説明

ガラスペーストおよびその製造方法、ならびにそれを用いたプラズマディスプレイ用パネル

【課題】高透過かつ緻密で、絶縁信頼性の高い透明誘電体層および、透明誘電体パターン層を得るためのガラスペーストを提供する。
【解決手段】少なくとも無機微粒子とバインダー樹脂と有機溶媒とを含み、無機微粒子としてガラス転移温度が350℃〜550℃の範囲内にあるガラス粒子を含むガラスペーストの製造方法であって、ガラス粒子に超音波を照射することを特徴とするガラスペーストの製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラスペースト、特にプラズマディスプレイ前面板透明誘電体層の形成用に好適なガラスペーストの製造方法およびガラスペースト、ならびにそれを用いたプラズマディスプレイ用パネルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイは液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、かつ大型化が容易であることから、オフィス・オートメーション機器および広報表示装置などの分野に利用されている。また、高品位テレビジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。
【0003】
プラズマディスプレイは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で対向するアノードおよびカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を、放電空間内に設けた蛍光体に照射することにより表示を行うものである。
【0004】
プラズマディスプレイにおいては奥行きと重量の点で40インチ以上の大画面パネルとして陰極線管(CRT)よりも優れているが、より高い表示品位にするために、パネルの高輝度化が望まれている。特に前面板に形成する透明誘電体層の全光線透過率を向上することでディスプレイの輝度を大幅に改善することができる。
【0005】
従来、ガラス軟化点を650℃以下に抑えた低軟化点ガラスを用いることで焼成中に誘電体中の気泡を減少させ、高透過かつ表面粗さが小さい透明誘電体層を形成できることが提案されている(特許文献1)。また、透明誘電体層に用いるガラス粒子の50重量%粒子径が0.1〜1.5μmの範囲にある微粒子を用いることで誘電体層に含まれる気泡を極力減らし、表面の粗さを低減させることで、透明誘電体の透過率を向上させ、パネルを高輝度化することができると提案されている(例えば特許文献2、特許文献3)。しかしながら、例えば50重量%粒子径が1μm以下の微細なガラス粒子を含有したペーストでは、ガラス粒子の表面積が増大するので、ガラス最表面での水素結合や、無機微粒子の帯電などよる凝集力が非常に強く、3本ローラーなどの分散機器を用いてペースト化を行ったとしても、凝集が解けずペースト中のガラス粒子は不均一に存在してしまう。このような不均一ペーストで透明誘電体層を形成した場合巨大な気泡が残存したり、表面に突起ができるなどの問題があった。また、力学的な破砕により、一時的に分散されたとしても、ガラス粒子が再度凝集するため、ペーストの保存安定性が悪いという欠点があった。
【0006】
このような無機微粒子の凝集を抑制するために、従来、リン酸化合物やスルホン酸化合物、カルボン酸化合物などの酸性基を有する化合物が分散剤として用いられている(特許文献4参照)。これらの酸性基を有する化合物が、無機微粒子の表面に吸着し、分散安定化するとされている。しかし、例えば50重量%粒子径が1μm以下の極端に小さい粒子においては、3本ローラーなどの混練だけでは粒子の凝集が解けないため、分散剤の機能を十分に引き出すことが難しかった。
【特許文献1】特開2001−206732号公報(請求項5)
【特許文献2】特開2000−156165号公報(請求項1)
【特許文献3】特開2002−329462号公報(請求項1)
【特許文献4】特開2000−105453号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に着目し、高透過かつ緻密で、絶縁信頼性の高い透明誘電体層および透明誘電体パターン層が得られるガラスペーストの製造方法、これを用いたガラスペーストおよびプラズマディスプレイ用パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を有する。すなわち本発明は、少なくとも無機微粒子とバインダー樹脂と有機溶媒を含み、無機微粒子としてガラス粒子を含むガラスペーストの製造方法であって、ガラス粒子に超音波を照射する工程を含むことを特徴とするガラスペーストの製造方法、およびそれを用いて製造したガラスペースト、さらには上記ガラスペーストを塗布後焼結することによって誘電体層を設けたことを特徴とするプラズマディスプレイ用パネルである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高透過かつ緻密で、絶縁信頼性の高い誘電体層および透明誘電体パターンが得られるガラスペーストを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のガラスペーストに用いる無機微粒子としては、例えばガラスやシリカやアルミナなどのセラミックス及び金、銀、パラジウム、白金などの導電性微粒子を用いることができるが、ガラス粒子を含むことが必要である。ガラス粒子を含むことで焼結性を与えることができる。
【0011】
ガラス粒子のガラス転移温度は350℃〜550℃の範囲内にあることが好ましい。ガラス転移温度を350℃以上にすることで良好な焼結性を与えることができ、550℃以下にすることで、低温での焼成を可能とし、例えばプラズマディスプレイ用パネルに用いた場合に周辺部材のダメージを低減し、隔壁等の型崩れを防止することができるためである。
【0012】
特に、プラズマディスプレイ前面板の透明誘電体層で好ましく用いられるガラス粒子としては、酸化ケイ素や酸化ホウ素、酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ビスマス、酸化バリウムなどを主成分とするものを用いることができる。例えば酸化物換算表記で
酸化ケイ素 2〜40重量%
酸化ホウ素 1〜30重量%
酸化鉛 0〜70重量%
酸化亜鉛 0〜70重量%
酸化ビスマス 0〜90重量%
酸化バリウム 0〜30重量%
の範囲であるものが挙げられる。
【0013】
本発明のガラスペーストに使用するガラス粒子の50重量%粒子径は1μm以下であることが好ましい。50重量%粒子径を1μm以下とすることで、焼成前の誘電体膜の緻密性が増し、ガラス粒子の間に形成される粒界一つあたりの体積が小さくなる。これにより焼成後に誘電体層内に取り残される気泡径が微小化し、誘電体層の全光線透過率が向上する。また、透明誘電体層表面の凹凸が減少し表面粗さが低下するため、ヘイズ値を小さく抑えることができる。さらに絶縁性能に支障をきたすほどの気泡が発生することはないので、耐電圧が向上する。より好ましい50重量%粒子径は、0.7μm以下であるが、ガラス粒子の粉砕には限界があるため、50重量%粒径を0.5μm以下にすることは難しい。
【0014】
本発明のガラスペーストの製造方法は、少なくともガラス粒子と有機溶媒を含む混合物に対して超音波を照射する工程を含むことを必要とする。ガラスの表面は水酸基などによる親水性基に覆われており、ガラス粒子同士は水素結合等の相互作用による凝集力を持っている。先に述べたように、50重量%粒子径が1μm以下の微細なガラス粒子では、粒子の表面積が著しく増大するので、凝集力が非常に大きく、ガラス粉砕後、微粒子の状態において、乾燥状態であっても凝集を起こしやすい。このような乾燥状態でも容易に凝集するガラス粒子は、3本ローラーなどによる混練を行っても分散安定化させることが困難である。しかし、超音波を照射することによって、3本ローラーや自動乳鉢などの弱いせん断力により混練する機器では分散できなかったガラス粒子を容易に分散させることが可能である。超音波を発生する機器は特に限定されないが、ホーン型の超音波破砕機など、高周波で強力な超音波を発生させることのできるものを好ましく用いることができる。超音波破砕機の出力は500g以下のガラス粒子に対して、200〜750Wの出力を調節できるものが好ましい。200W未満ではガラス粒子を効果的かつ効率的に分散安定化しにくく、750Wを越える強力な照射では溶液に含まれる有機化合物の原子間結合が開裂してしまうことがあるためである。さらに好ましくは300〜500Wである。ガラス粒子が500gより多い場合は、超音波破砕機の出力を適宜上げることも好ましい。
【0015】
本発明のガラスペーストは、分散剤として分子内に酸性基を少なくとも1個以上有する化合物を含むことが好ましい。酸性基を有する化合物は、ガラスの表面に対してイオン的、または配位的に相互作用するので、ガラス粒子の分散剤として作用する。従って、酸性基を1個以上有する分散剤を含むことで、超音波のみでは分散できなかったガラス粒子を効果的に分散させることができるため、有効である。また、一度分散したガラス粒子が再凝集するのを防ぐことができるため、分散安定化にも効果的である。塩基性の分散剤もガラス表面と反応し、ガラスを分散させることができるが、アルカリ現像液を用いたパターン形成を行う場合、酸性基を有するポリマーやモノマーと、塩基性分散剤が反応し、ペーストのゲル化が促進されるため好ましくない。酸性基を有する化合物は、一般に無機微粒子を分散安定化させるために用いられる化合物であり、酸性基としてはカルボン酸(−COOH)、カルボヒドラゾン酸(−C(=NNH)OH)、カルボキシミド酸(−C(=NH)OH)、スルホン酸(−SOH)、スルフィン酸(−SOH)、スルフェン酸(−SOH)、セレノン酸(−SeOH)、セレニン酸(−SeOH)、セレネン酸(−SeOH)、及びそれらの酸素、硫黄、セレン、テルルなどのカルコゲン類縁体とペルオキソ酸が含まれる。また、炭酸、硫酸、セレン酸、テルル酸、硝酸、リン酸、ヒ酸、ケイ酸、ホウ酸などの無機オキソ酸関連酸性基も挙げられる。
【0016】
また、本発明に用いる分散剤の最も好ましい酸性基は、カルボキシル基である。カルボン酸類はその他の酸と比べ熱分解性が高く、500℃以上でのガラスの溶融時に残さとして残る重量保持率が低く、この溶融時に分解、発泡してしまうことがないため、焼成後に透明誘電体層中に残る気泡を極力減らすことができるためである。
【0017】
カルボキシル基を有する化合物を分散剤として用いる場合、例えば、パルミチン酸やステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸やその塩、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸、(メタ)アクリル酸のホモポリマーや(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステル、スチレンなどのコポリマー、およびそれらの誘導体を用いることができるが、特にポリマーを分散剤として用いる場合は、アルキル、アルケニル、アルキニルなどの脂肪鎖や、ポリオキシエチレンやポリオキシプロピレンなどのエーテル類、ポリアミドやポリアミドエーテルなどのアミド結合を有するものが、ポリマーの主鎖の熱分解性が高いものとして好ましく用いることができる。中でも、熱分解特性が優れたポリオキシエチレンを主鎖に有するものが特に好適である。
【0018】
また、分散剤の重量平均分子量は、200〜2000であることが好ましい。200以上とすることで分散剤の酸性基以外の部分による立体障害により、ガラス粒子を効率良く分散させることができるためである。また、2000以下とすることで、酸性基の含有濃度を上げることができるので、分散剤の添加量を少なくすることができる。さらに効率良く分散させるには300〜800であることが好ましい。
【0019】
分散剤の添加量は、ガラス粒子100重量部に対し0.1〜10重量部であることが好ましい。添加量を粒子0.1重量部以上とすることで十分なガラス粒子の分散性を得ることができ、10重量部以下とすることで焼成時の焼成残さを低減し、ペーストの酸性度を下げることができる。十分な分散性と焼成後残さを低減するためには0.5〜5重量部であることがより好ましい。
【0020】
また、本発明のガラスペーストには、有機溶媒を含むことが必要である。有機溶媒はその他の有機物を溶解させる他、ガラス粒子の分散媒として作用し、ガラス粒子への超音波照射効率を向上させる役割を果たすためである。有機溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルへキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルへキシルエーテル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジイソブチレート、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、テルピネオール、ベンジルアルコール、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトンなどやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物を用いることができる。有機溶媒はガラスペースト全量に対して、25〜65重量%含むことが好ましい。25重量%以上とすることで、ガラスペーストに適度な流動性を与え、65重量%以下とすることでガラスペーストの粘度が下がりすぎるのを防止することができる。より好ましい有機溶媒の添加範囲は30〜60重量%であるが、ガラス粒子の分散状態や有機成分の添加量等によりガラスペーストの粘度が左右されるため、上記範囲の中で溶媒量を適宜調節する。また、ガラスペーストの好ましい粘度範囲は5〜100Pa・sである。
【0021】
さらに、本発明のガラスペーストにはバインダー樹脂が必要である。バインダー樹脂はガラスペーストに適正な粘性を与え、製膜を容易にさせる働きがあるためである。バインダー樹脂としては、具体的には(ポリ)ビニルブチラール、(ポリ)ビニルアセテート、(ポリ)ビニルアルコール、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、(ポリ)ビニルピロリドン、ポリアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレートおよび種々のアクリルポリマーとそれらのコポリマーやターポリマーを挙げることができる。また、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロースなどのセルロースとその誘導体である樹脂は、焼成後の焼成残さが少ないので、より好ましく用いられる。また、後述のように感光性ガラスペーストとする場合、バインダー樹脂としては、炭素−炭素2重結合を側鎖や分子末端に有する感光性バインダー樹脂を用いることが好ましい。
【0022】
上記のように製造したガラスペースト中において、粒子径が10μm以上の凝集ガラス粒子は全ガラス粒子の3重量%以下であることが好ましい。粒子径が10μm以上の凝集ガラス粒子が全ガラス粒子の3重量%を超えると誘電体に巨大な気泡を発生させ、耐電圧が低下したり、表面粗さが大きくなることでヘイズが上昇する場合がある。耐電圧や表面粗さの程度を損なわないためには、1重量%以下であることがより好ましい。凝集ガラス粒子の確認は、粒子径分布測定装置(例えば日機装株式会社製、マイクロトラック9320HRA)により行える。ガラスが凝集している場合、実粒子径分布曲線とは異なる曲線として認識でき、10μm以上で、かつ50重量%粒子径の5倍から50倍の粒子径の位置に極大値が現れることで確認できる。
【0023】
本発明のガラスペーストは、感光性ガラスペーストにも好ましく適用することができる。フォトリソ法を用いたパターン形成を行う場合、本発明のガラスペーストを用いれば、ガラスの分散不良がなく、緻密な厚膜を得ることができるので、良好なパターンを得ることができる。感光性ガラスペーストとして用いる場合、感光性モノマーと光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤により露光光の照射でラジカルを発生させることができ、感光性モノマーが連鎖反応を起こすことで膜の硬化が達成される。膜の硬化度を向上させるためには、上述の通りバインダー樹脂として側鎖または分子末端に炭素−炭素2重結合を有する感光性ポリマーを含むことがより好ましい。これにさらに増感剤、重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、増粘剤等を加えることも好ましい。
【0024】
感光性ペーストとした場合、バインダー樹脂としてアルカリ可溶性のポリマーを好ましく用いることができる。バインダー樹脂がアルカリ可溶性を有することで現像液として環境に問題のある有機溶媒ではなくアルカリ水溶液を用いることができるためである。アルカリ可溶性のポリマーとしては、アクリル系共重合体を好ましく用いることができる。アクリル系共重合体とは、共重合成分に少なくともアクリル系モノマーを含む共重合体であり、アクリル系モノマーとは、具体的な例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロへキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレートなどのアクリル系モノマー、及びこれらのアクリレートをメタクリレートに代えたものなどが挙げられる。アクリル系モノマー以外の共重合成分としては、炭素−炭素2重結合を有する全ての化合物が使用可能であるが、好ましくはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどのスチレン類や、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。アクリル系共重合体にアルカリ可溶性を付与するためには、モノマーとして不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えることにより達成される。不飽和酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニル、またはこれらの酸無水物が挙げられる。これらを加えることによるポリマーの酸価は50〜150の範囲であることが好ましい。
【0025】
硬化速度を向上させるためには、ポリマーの少なくとも一部が、側鎖または分子末端に炭素−炭素2重結合を有する感光性ポリマーを用いることが好ましい。炭素−炭素2重結合を有する基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基等が挙げられる。このような官能基をポリマーに付加させるには、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基と炭素−炭素2重結合有する化合物や、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させてつくる方法がある。
【0026】
グリシジル基と炭素−炭素2重結合を有する化合物としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジルエチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、グリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネートなどが挙げられる。イソシアナート基と炭素−炭素2重結合を有する化合物としては、アクリロイルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アクリロイルエチルイソシアネート、メタクリロイルエチルイソシアネート等が挙げられる。
【0027】
また、感光性モノマーは、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物であり、その具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート、また、これらの芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマー、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、および、上記化合物の分子内のアクリレートを一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
【0028】
光重合開始剤としての具体的な例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組合せなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。光重合開始剤は、感光性モノマーとバインダー樹脂の合計量に対し、0.05〜10重量%、より好ましくは、0.1〜5重量%の範囲で添加される。重合開始剤の量が少なすぎると、光感度が不良となるおそれがあり、光重合開始剤の量が多すぎれば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0029】
紫外線吸収剤を添加することも有効である。紫外線吸収効果の高い化合物を添加することによって高アスペクト比、高精細、高解像度が得られる。紫外線吸収剤としては有機系染料からなるもの、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は吸光剤として添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残存しないで吸光剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。
【0030】
有機染料の添加量は、感光性モノマーとバインダー樹脂の合計量に対し0.05〜5重量%が好ましい。0.05重量%以下では紫外線吸光剤の添加効果が減少し、5重量%を越えると焼成後の絶縁膜特性が低下する場合がある。より好ましくは0.05〜1重量%である。
【0031】
重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上させるために添加されることが好ましい。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性ペースト中に、通常、0.001〜1重量%である。
【0032】
次に、本発明のガラスペーストの製造方法について説明する。まず、少なくともガラス粒子と有機溶媒を含む混合物に対して、前記に記載したような方法で超音波を照射することが必要である。より好ましい製造方法は、ガラス粒子と溶媒と分散剤を混合したスラリーに超音波を照射することである。凝集した無機粒子のスラリーに超音波を照射すればスラリーの粘度が低下し、流動性が増すのでより効果的に破砕効果が得られるためである。また、超音波の伝達を高めるためにも、スラリーの粘度が低い方が好ましい。また、分散剤を混合しておくことによって、超音波照射によって分散したガラス粒子が再凝集することを防ぐことができる。必要であれば超音波を照射する時点で金属微粒子などの無機微粒子を加えておくことも可能である。さらに、バインダー樹脂、可塑剤、消泡剤、レベリング剤、チキソ性付与剤、酸化防止剤、沈殿防止剤、感光性モノマー、光重合開始剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤等の有機化合物を加えておくことも可能であるが、本発明で使用する超音波破砕機の出力は比較的高出力ものが好ましいため、これら有機化合物の分子内での解裂を引き起こす可能性があるので、これら有機化合物をペーストに添加する前に、超音波を照射する工程を設けることが好ましい。次に、バインダー樹脂等の残りの添加すべき成分を加え、予備混練を行うことが好ましい。予備混連は手による攪拌、マグネチックスターラーや、メカニカルスターラーを好ましく適用することができる。また、バインダー樹脂を添加する場合は、バインダー樹脂を直接ガラス粒子分散液に添加しても良いが、あらかじめ有機溶媒にバインダー樹脂を溶解させたバインダー樹脂溶液を添加することが、均一なペーストを得ることができるため好ましい。次に、3本ローラーなどの混練機器を用いて本混練を行って、均質分散し、ガラスペーストを作製する。また、本混練を終えたガラスペーストを目開きが1〜20μmのフィルターを用いて濾過しておくことも好ましい。さらに、混練・脱泡機や、真空攪拌機を用いてガラスペーストを脱泡しておくことも好ましい。
【0033】
次に本発明のガラスペーストの製造方法で製造したガラスペーストを用いたプラズマディスプレイ部材およびプラズマディスプレイについて、図1を用いてその作製手順を説明する。ここでは、プラズマディスプレイとして最も一般的な交流(AC)型プラズマディスプレイを例に取りその基本的構造などについて説明するが、必ずしもこれに限定されない。また、本発明のガラスペーストを用いて透明誘電体層および透明誘電体パターン層を形成する場合について以下に説明するが、本発明はこれに限定されず、隔壁パターンや電極パターンなどのフォトリソ法を用いたパターンの形成にも適用することができる。
【0034】
図1の通り、プラズマディスプレイは、前面板および/または背面板に形成された蛍光体層(図1の場合、背面板のみに蛍光体層が形成されている)が内部空間内に面しているように、該前面板と該背面板を封着してなる部材において、前記内部空間内に放電ガスが封入されてなるものである。すなわち、前面板には、表示面側の基板上に表示用放電のための透明電極(サスティン電極、スキャン電極)が形成されている。放電のため、前記サスティン電極と前記スキャン電極の間隙は比較的狭い方がよい。より低抵抗な電極を形成する目的で透明電極の背面側にバス電極を形成してもよい。但し、バス電極は材質がAg、Cr/Cu/Cr等で構成されていて、不透明であることが多い。従って、前記透明電極とは異なり、セルの表示の邪魔となるので、表示面の外縁部に設けることが好ましい。AC型プラズマディスプレイの場合、電極の上層に透明誘電体層およびその保護膜としてMgO薄膜が形成される場合が多い。背面板には、表示させるセルをアドレス選択するための電極(アドレス電極)が形成されている。セルを仕切るための隔壁や蛍光体層は前面板、背面板のどちらかまたは両方に形成してもよいが、図1のように背面板のみに形成される場合が多い。プラズマディスプレイは、前記前面板と前記背面板は封着され、両者の間の内部空間には、Xe−Ne、Xe−Ne−He等の放電ガスが封入されているものである。
【0035】
まず、部材作製工程に関し、前面板の作製方法について述べる。基板としては、ソーダガラスの他にプラズマディスプレイ用の耐熱ガラスである“PP8”(日本電気硝子株式会社製)や、“PD200”(旭硝子株式会社製)を用いることができる。ガラス基板のサイズは特に限定はなく、厚みは1〜5mmのものを用いることができる。
【0036】
ガラス基板上に、放電のための複数の電極を形成する。電極形成法としては、例えば、酸化錫、ITOなどの透明電極をリフトオフ法、フォトエッチング法などによって、銀やアルミ、銅、金、ニッケル等の電極(バス電極など)をスクリーン印刷や感光性導電ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によってパターン形成してもよい。より低抵抗な電極を形成する目的で透明電極の上にバス電極を形成することは好ましい。ここで、放電のための複数の電極を形成したガラス基板上に、本発明により製造したガラスペーストを用いて、透明誘電体層を形成する。透明誘電体層の形成方法は特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター、スピンコーターなどにより、電極形成基板上にガラスペーストを全面塗布または、部分的に塗布した後に、通風オーブン、ホットプレート、IR乾燥炉、真空乾燥など任意なものを用いて乾燥し、厚膜を形成することができる。また、ガラスペーストをグリーンシート化し、これを電極形成基板上にラミネートすることも可能である。
【0037】
次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や温度は、ペーストや基板の種類により異なるが、空気中や窒素、水素等の雰囲気下で焼成する。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やローラー搬送式の連続型焼成炉を用いることができる。焼成温度は、通常、400〜1000℃で行う。ガラス基板上にパターン加工する場合は、520〜620℃の温度で10〜60分間保持して焼成を行う。
【0038】
本発明のガラスペーストはガラス粒子の凝集がなく長期的な分散安定化が可能であり、ペースト中のガラス粒子濃度が不均一化しにくい。従ってガラスペーストを塗布した時に、濃度の不均一性によって起こる膜表面の凹凸が少ないので、焼成後も膜厚が一定した緻密な構造を保持させることが可能である。また、ガラス粒子濃度の不均一性によって膜内部で発生する巨大な気泡も、本発明のガラスペーストを用いれば発生することはない。以上のような理由から本発明のガラスペーストは、膜厚を薄く設定しても絶縁性を保持させることが可能である。焼成後の誘電体膜厚は、20〜50μmであることが好ましい。50μm以下とすることで、透明誘電体の全光線透過率を十分確保することができ、20μm以上とすることで絶縁性を確保することができる。全光線透過率をより高く維持するためには、20〜40μmであることがより好ましい。
【0039】
さらに、透明誘電体パターン層をこの上層に形成してもよい。図2はAC型プラズマディスプレイの前面板の断面概略図を示したものである。通常、図2のように、前面板に形成するスキャン電極3とサステイン電極4の上層に、前記の透明誘電体層6を10〜50μmの膜厚で形成する。しかしながら、図3で示すように、銀などからなるバス電極5上にのみ第2層目の透明誘電体パターン層8を形成すれば、絶縁性は確保されるので、第1層目の透明誘電体層6の膜厚をさらに薄くして全光線透過率を向上させることができる。第2層目の透明誘電体パターン層8の膜厚は10〜30μmとすることが好ましい。10μm以上とすることで絶縁性を有し、30μm以下にすることで、全光線透過率を確保することができるからである。
【0040】
透明誘電体パターン層の形成方法は特に限定されないが、本発明の製造方法により製造した感光性ガラスペーストを好ましく用いることができる。この場合、感光性ガラスペーストを塗布、乾燥した後、露光装置を用いて露光を行う。露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを介して露光する方法が一般的である。また、フォトマスクを用いずに、レーザー光などで直接描画する方法を用いてもよい。
【0041】
露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機などを用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感光性ガラスペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。この際使用される活性光源は、例えば、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられる。これらの中で紫外線が最も好ましく、その光源として、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも、超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みにより異なるが、通常、1〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いて0.01〜30分間露光を行う。
【0042】
露光後、露光部分と非露光部分の現像液に対する溶解度差を利用して現像を行うが、通常、浸漬法やスプレー法、ブラシ法等で行う。現像液には、感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を用いてもよいが、バインダー樹脂としてアルカリ可溶性のポリマーを用いる場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液としては水酸化ナトリウムや、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム水溶液等を使用することができる。
【0043】
現像後、焼成炉において焼成を行う。透明誘電体パターン層を形成する場合は、下層の透明誘電体層との同時焼成を行っても良い。
【0044】
透明誘電体層上には、放電によるイオン衝撃からの保護を目的としてMgO膜を形成することも好ましい。形成手法は、電子ビーム蒸着法、プラズマ蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、Mgターゲットの反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、CVD法などが適用できる。
【0045】
次に背面板の作製方法について述べる。
【0046】
ガラス基板上に、スクリーン印刷や感光性導電ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によって、銀やアルミ、銅、金、ニッケル、酸化錫、ITO等を含むアドレス電極層をパターン形成する。さらに、放電の安定化のためにアドレス電極層の上に誘電体層を設けても良い。
【0047】
アドレス電極層を形成したガラス基板上に、セルを仕切るための隔壁をサンドブラスト法、型転写法、フォトリソグラフィー法等によって形成する。フォトリソグラフィー法によって形成する場合、上記と同様に感光性ペーストを使用して、塗布、乾燥、露光、現像、焼成を行うことによって隔壁を形成することができる。この際、隔壁形成に使用するペーストにも、本発明のガラスペーストを好ましく適用することができ、超音波による分散を行って、上部が平滑な隔壁を得ることができる。
【0048】
さらに、電極層および隔壁を形成したガラス基板上に、蛍光体粉末と樹脂を含有する蛍光体ペーストを用い、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、ダイレクト塗布法、インクジェット法、さらに感光成分を添加したペーストを用いた感光性ペースト法等によって蛍光体層を塗布し、焼成することによって背面板を作製することができる。
【0049】
次に、プラズマディスプレイの製造方法について説明する。
プラズマディスプレイ用部材の背面板と前面板を用いて、背面板と前面板とを封着フリットを用いて封着し、前背面の基板間隔に形成された空間に、ヘリウム、ネオン、キセノンなどから構成される放電ガスを封入後、駆動回路を装着し、エージングを行いプラズマディスプレイを作製できる。
【実施例】
【0050】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。まず、評価の方法について説明する。
【0051】
A.ガラス粒子のガラス転移温度の測定方法
用いたガラス粒子のガラス転移温度を熱機械分析装置(セイコーインスツル株式会社製、EXTER6000 TMA/SS)を用いて測定した。ガラス粒子を800℃で溶融し、直径5mm、高さ2cmの円柱状に加工して測定サンプルとした。
【0052】
B.ガラス粒子の50重量%粒子径の測定方法
用いたガラス粒子の50重量%粒子径を粒子径分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラック9320HRA)を用いて測定した。また、ガラス粒子の50重量%粒子径は、下記C項の方法でガラスペーストから分離したガラス粒子に超音波照射を行った後に、上記方法装置を用いることによっても測定することができる。
【0053】
C.ガラスペースト中の粒子径が10μmを超える凝集ガラス粒子の割合(凝集率)の測定
ガラスペースト10gをγ−ブチロラクトン20gで希釈し、攪拌して遠心分離によりガラス粒子を沈降させ、上澄みを除去して得られる回収ガラス粒子の粒度分布を上記Bの方法で求めた。求めた粒度分布から粒子径が10μmを超える粗大粒子を凝集ガラス粒子と見なし、全ガラス粒子中に占める凝集ガラス粒子の重量比率を凝集率として計算した。
【0054】
D.バインダー樹脂の重量平均分子量の測定方法
作製したアクリル系共重合体の重量平均分子量をテトラヒドロフランを移動相としたサイズ排除クロマトグラフィーにより測定した。カラムはShodex KF−803を用い、重量平均分子量はポリスチレン換算で計算した。
【0055】
E.ガラスペーストの保存安定性の評価(粘度上昇率)
ガラスペースト作製直後の初期粘度と、作製から7日後のペースト粘度を粘度計(BROOKFIELD社製、MODEL DV−II)で測定し、粘度上昇率(%)として、((作製から7日後の粘度)−(初期粘度))/(初期粘度)×100を算出して評価した。特に、ペーストの塗布性、露光感度のずれ、現像液に対する溶解性等の観点から、粘度上昇率が−30〜30%であることが好ましい。
【0056】
F.全光線透過率の測定方法
ガラス基板上にガラスペーストを塗布、乾燥後に焼成して、20μmの膜厚でペースト膜を形成し、分光光度計(株式会社日立製作所製、U−3410型自記分光光度計)を用いて全光線透過率の測定を行った。用いたガラス基板を100%透過として、550nmでの全光線透過率を読み取った。特にプラズマディスプレイの前面板に用いる場合は全光線透過率が80%以上が好ましく、高輝度のプラズマディスプレイを得るためには85%以上であることが特に好ましい。
【0057】
G.耐電圧の測定方法
基板上に銀を含むペーストを一面に塗布・焼成を行い、これをプラス電極とした。次に、プラス電極上にガラスペーストを塗布・焼成して誘電体層を30μmの膜厚で形成し、その上に導電性ペーストを用いてマイナス電極を形成した。電圧を印加した時に、絶縁破壊した電圧を耐電圧試験装置(菊水電子工業株式会社製、TOS9201)により測定し、計測を行った。特にプラズマディスプレイの透明誘電体に用いる場合、耐電圧は1.0kV以上が好ましい。
【0058】
H.表面粗さの測定方法
触針式の表面形状測定装置(東京精密株式会社製、surfcom 1500A)を用いて、Ra値を測定した。測定はパネルを9分割に切断して小基板とし、それぞれの小基板においてランダムに一点選出して測定して測定し、平均値を算出した。特に、プラズマディスプレイの前面板に用いる場合はRa値が0.3μm以下、特に0.1μm以下であることが好ましい。
【0059】
I.パネルの相対輝度評価
プラズマディスプレイの輝度は、放電維持電圧170V、周波数30kHz、パルス幅3μmの放電条件で全面を点灯させ、分光放射輝度計(ミノルタ株式会社製、CS−1000)を用いて測定した。また、実施例として下記の比較例1のプラズマディスプレイの輝度を100とし、それぞれのプラズマディスプレイの相対輝度を求めた。
【0060】
J.透明誘電体パターン層の形状評価
パネルを9分割に切断して小基板とし、それぞれの小基板においてランダムに一点選出してパターンの長手方向と垂直な断面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S2400)で観察を行い、パターンの底部幅を計測した。パターンの底部幅のばらつきが、9点の観察箇所において全て目標値から±5μm以内であればAA、±5μmからは外れるものがあるが、全て±10μm以内であればA、±10μmから一部外れるものがあればB、9点の全てが±10μmから外れるものは不適であり、Cとした。
【0061】
K.ガラスペースト、プラズマディスプレイの作製(実施例1〜6、比較例1〜2)
以下に述べる方法でガラスペーストの調製を行い、ガラスペーストの凝集率と粘度上昇率を測定した。また、調製したガラスペーストを用いて透明誘電体層を形成し、透明誘電体層の全光線透過率と耐電圧と表面粗さの評価を行った。さらに本ガラスペーストを用いたプラズマディスプレイを作製し、相対輝度についての評価を行った。使用した原料類を以下に示す。
ガラス粒子A:酸化鉛;64重量%、酸化ケイ素;30重量%、酸化ホウ素;3重量%、酸化亜鉛;3重量% ガラス転移温度450℃、50重量%粒子径0.9μm。
ガラス粒子B:50重量%粒子径が1.8μmであり、その他、ガラス粒子Aと同じ物性を持つ微粒子。
バインダー樹脂:エチルセルロース(重量平均分子量80,000、分子量分布2.1、日新化成株式会社製)
溶媒:テルピネオール(異性体混合物)
分散剤A:CH−(CO)−(CO)−CO−C−COOH(分子量384)
分散剤B:C17−(CO)−CH−P(O)OH(分子量636)
分散剤C:C1837−N(CH・Cl(分子量332)
ラスペースト調製方法について以下に述べる。ガラス粒子30g、溶媒15g、分散剤0.3gを秤量後、混合、攪拌し超音波破砕機(Sonics&Materials社製、VCX−500、出力500W)を用いて氷冷下で超音波を照射した。次にバインダー樹脂3gを溶媒10gに溶解させた溶液を加え、よく攪拌して1次混練した後に、3本ローラーで分散、混練した。
【0062】
プラズマディスプレイの作製は以下のように行った。
まず、プラズマディスプレイ前面版を以下の手順にて作製した。旭硝子株式会社製“PD−200”ガラス基板(5インチ)上に、フォトエッチング法によりITO電極を1μmの厚みで形成した後、感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によりバス電極パターンを形成した。しかる後、調製したガラスペーストをスクリーン印刷法により、ITO電極およびバス電極が形成された前面板用ガラス基板上に均一に塗布した。塗布膜にピンホールなどの発生を回避するために塗布・乾燥を繰り返し行い、焼成後の膜厚が30μmになるよう膜厚みの調整を行った。乾燥は80℃で5分間行った。さらに、590℃で15分間保持して焼成することにより、透明誘電体層を形成した。最後に、500nm厚のMgO膜を電子ビーム蒸着により形成して、前面板を得た。
【0063】
プラズマディスプレイ背面版は以下の手順にて作製した。旭硝子株式会社製 “PD−200”ガラス基板(5インチ)上に、感光性銀ペーストを用いたフォトリソグラフィー法によりアドレス電極パターンを形成した。次いで、アドレス電極が形成されたガラス基板上に誘電体層をスクリーン印刷法により20μmの厚みで形成した。しかる後、感光性隔壁ペーストをスクリーン印刷法によりアドレス電極パターンおよび誘電体層が形成された背面版ガラス基板上に所望の厚みになるまで均一に塗布した。引き続き、透明誘電体パターン層と同様にして露光・現像を行った。露光量は1.5J/cm、現像時間は150秒であった。さらに、590℃で15分間保持して焼成することにより、隔壁を形成した。次に、蛍光体層をディスペンサー法にて厚さ20μmに形成し、焼成して背面版を作製した。
【0064】
作製した前面板と背面版を封着後、前背面の基板間隔に形成された空間に、キセノンが5体積%のキセノン−ネオン混合ガスの希ガスを450mmHgの圧力で封入することによって、プラズマディスプレイのパネル部分を作製した。さらに、駆動用のドライバーICを実装することによって、プラズマディスプレイを作製した。
【0065】
表1に各実施例のガラスペーストに用いたガラス粒子と分散剤の種類、超音波の照射時間、および評価結果について示した。
【0066】
(実施例1〜2)
50重量%粒子径が0.9μmのガラス粒子Aと分散剤AまたはBを用いて、ガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。化合物A、Bのどちらを用いても、全光線透過率、耐電圧、表面粗さ、相対輝度は良好な値を示した。また、カルボキシル基を有する分散剤Aを用いた方が、カルボキシル基を有しない分散剤Bを用いた場合よりも良好な結果が得られた。
【0067】
(実施例3)
分散剤として分散剤Cを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。塩基性の分散剤を用いたため、ガラスの分散状態や、全光線透過率などの特性は実施例1よりも低下したが、問題ない程度であった。
【0068】
(実施例4)
分散剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。分散剤を添加しなかったので、凝集ガラス粒子が存在し、誘電体層の特性は実施例1より低下した。また、ペースト粘度が上昇した。
【0069】
(実施例5)
ガラス粒子としてガラス粒子Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。50重量%粒子径が1.8μmを超えるガラスを用いたので、誘電体層の特性は実施例1より低下したが、ガラスの凝集はなく、保存安定性も良好であった。
【0070】
(実施例6)
超音波を照射するタイミングを3本ローラーで混練する直前にしたこと以外は、実施例1と同様の方法でガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。バインダー樹脂を加えた後に超音波を照射したため、超音波の伝導が鈍く、ガラスの分散状態がやや不良であった。このため、耐電圧や表面粗さは実施例1よりは低下した。
【0071】
(比較例1)
超音波を照射せず、分散剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様の方法でガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。凝集ガラス粒子が多いため、全光線透過率は大きく低下し、相対輝度は低いものであった。また、表面粗さも大きく、膜の緻密性に欠けるため耐電圧は低下した。さらに、ペーストにおいてガラス粒子が沈降したため、ペースト粘度は低下した。
【0072】
(比較例2)
超音波を照射しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でガラスペーストを作製し、パネルの評価を行った。結果を表1に示す。分散剤を添加した効果はあったが、超音波を照射しなかったので比較例1からは大きな変化はなかった。
【0073】
【表1】

【0074】
L.感光性ガラスペーストおよび透明誘電体パターン層の作製(実施例7〜11、比較例4〜5)
以下に述べる要領で感光性ガラスペーストの調製を行い、ガラスペーストの凝集率と粘度上昇率を測定した。また、作製したガラスペーストを用いて透明誘電体層を形成し、全光線透過率と耐電圧と表面粗さの評価を行った。さらに透明誘電体パターン層を形成し、パターン形状の評価を行った。使用した原料類を以下に示す。なお、ガラス粉末および分散剤は実施例1〜6と同様のものを用いた。
感光性ポリマー:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=40/30/30からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.5モル等量のグリシジルメタクリル酸メチルを付加反応させたもの(重量平均分子量43000)。
感光性モノマー:下記の構造式を有する化合物を用いた。
【0075】
【化1】

【0076】
光重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1:“イルガキュア369”(チバスペシャリティーケミカルズ社製)
紫外線吸収剤:スダンIV(東京化成工業株式会社製)
溶媒:γ−ブチロラクトン
感光性ガラスペースト調製方法について以下に述べる。ガラス粒子30g、溶媒15g、分散剤0.3gを秤量後、混合、攪拌し超音波破砕機(Sonics&Materials社製、VCX−500、出力500W)を用いて氷冷下で超音波を照射した。次にバインダー樹脂3gを溶媒10gに溶解させた溶液、感光性モノマー3g、光重合開始剤1g、紫外線吸収剤0.1gを加え、よく攪拌して1次混練した後に、3本ローラーで分散、混練した。
【0077】
透明誘電体パターン形成基板の作製は以下のように行った。
【0078】
まず、前記の前面板の作製方法と同様に、ITO電極およびバス電極を形成した5インチ基板上に、実施例1で用いたガラスペーストを用いて透明誘電体層を焼成後膜厚が20μmとなるように形成した。次に、作製した感光性ペーストをスクリーン印刷法により焼成後膜厚が20μmとなるように均一に塗布した。塗布膜にピンホールなどの発生を回避するために塗布・乾燥を繰り返し行い、膜厚みの調整を行った。乾燥は80℃で5分間行った。
【0079】
続いて、ネガ型クロムマスクを用いて上面から30mJ/cm出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。露光量は0.5J/cmであった。クロムマスクはline/spaceパターンで、線幅/線間は50/100μmのものを用いた。
【0080】
次に、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.3重量%水溶液をシャワーで150秒間かけることにより現像し、その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していない部分を除去して現像を行った。その後、580℃で15分間保持することにより、ストライプ状の透明誘電体パターン層形成基板を作製した。
【0081】
表2に各実施例の感光性ガラスペーストに用いたガラス粒子と分散剤の種類、超音波の照射時間および、評価結果について示した。
【0082】
(実施例7〜8)
50重量%粒子径が0.9μmのガラス粒子Aと分散剤Aまたは分散剤Bを用いて、感光性ガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。ガラスペーストにおける有機成分の含有量が実施例1よりも多いため、耐電圧や表面粗さは実施例1よりも低下したが、分散剤A、分散剤Bのどちらを用いても、全光線透過率、耐電圧、表面粗さは良好であった。さらに、塗布膜における露光光の直進性が高いので、精度の高いパターンを形成することができた。また、カルボンキシル基を有する分散剤Aを用いた方が、分散剤Bを用いた場合よりも良好な結果が得られた。
【0083】
(実施例9)
分散剤として分散剤Cを用いたこと以外は、実施例7と同様の方法で感光性ガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。塩基性の分散剤を用いたため、ペーストの粘度上昇が著しく、全光線透過率などの特性は実施例7よりも低下したが、問題ない程度であった。
【0084】
(実施例10)
分散剤を添加しなかったこと以外は、実施例7と同様の方法で感光性ガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。分散剤を添加しなかったので、凝集ガラス粒子が存在し、誘電体パターンの特性は実施例7より低下した。また、ペースト粘度が上昇した。
【0085】
(実施例11)
ガラス粒子としてガラス粒子Bを用いたこと以外は、実施例7と同様の方法で感光性ガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。50重量%粒子径が1.8μmを超えるガラスを用いたので、誘電体層の特性は実施例7より低下したが、ガラスの凝集はなく、保存安定性も良好であった。
【0086】
(比較例4)
超音波を照射せず、分散剤を添加しなかったこと以外は、実施例7と同様の方法で感光性ガラスペーストを作製し、評価を行った。結果を表2に示す。ガラス粒子の凝集が解けず、透過率は大きく低下し、相対輝度は低いものであった。また、表面粗さも大きく、膜の緻密性に欠けるため耐電圧は低下した。さらに、パターン形状は不良であった。
【0087】
(比較例5)
超音波を照射しなかったこと以外は、実施例7と同様の方法で感光性ガラスペーストを作製し、パネルの評価を行った。結果を表2に示す。分散剤を添加した効果はあったが、超音波を照射しなかったので比較例4からは大きな変化はなかった。
【0088】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】AC型プラズマディスプレイの断面斜視図である。
【図2】通常の透明誘電体を有するAC型プラズマディスプレイ前面板の断面図である。
【図3】パターン化した透明誘電体を有するAC型プラズマディスプレイ前面板の断面図である。
【符号の説明】
【0090】
1:前面板
2:ガラス基板(前面基板)
3:スキャン電極
4:サスティン電極
5:バス電極
6:透明誘電体層
7:MgO保護膜
8:透明誘電体パターン層
9:背面板
10:ガラス基板
11:アドレス電極
12:誘電体層
13:隔壁層
14:赤色蛍光体層
15:緑色蛍光体層
16:青色蛍光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも無機微粒子とバインダー樹脂と有機溶媒とを含み、無機微粒子としてガラス粒子を含むガラスペーストの製造方法であって、少なくともガラス粒子と有機溶媒を含む混合物に対して超音波を照射する工程を含むことを特徴とするガラスペーストの製造方法。
【請求項2】
ガラスペーストが、分散剤として、重量平均分子量が200〜2000であり、かつ分子内に酸性基を少なくとも1個有する化合物を含むものである請求項1に記載のガラスペーストの製造方法。
【請求項3】
ガラスペーストに含まれる分散剤の有する酸性基が、カルボキシル基である請求項2に記載のガラスペーストの製造方法。
【請求項4】
ガラスペーストに含まれるガラス粒子の50重量%粒子径が1μm以下である請求項1または2に記載のガラスペーストの製造方法。
【請求項5】
ガラスペーストは、感光性モノマーと光重合開始剤を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載のガラスペーストの製造方法。
【請求項6】
ガラス粒子と有機溶媒と分散剤を含有するスラリー溶液に超音波照射することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のガラスペーストの製造方法。
【請求項7】
超音波を照射した後に、少なくともバインダー樹脂を加え、混練することを特徴とする請求項1〜6に記載のガラスペーストの製造方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載のガラスペーストの製造方法を用いて製造したことを特徴とするプラズマディスプレイ用ガラスペースト。
【請求項9】
請求項6または7に記載のガラスペーストの製造方法を用いて製造したことを特徴とするプラズマディスプレイ前面板透明誘電体層用ガラスペースト。
【請求項10】
請求項8または9に記載のペーストを塗布後、焼結することによって誘電体層を設けたことを特徴とするプラズマディスプレイ用パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−169417(P2006−169417A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365462(P2004−365462)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】