説明

キャリア再生を向上させるシステム及び方法

キャリアを再生するシステム及び方法は、複数のキャリア再生モジュール(102、108、110)を含む。それぞれは、同じ入力シンボル(14)を処理し、それぞれは利得入力及びエラー出力を有する。ループ利得制御(112)は、キャリア再生モジュール(102、108、110)からエラーを受信し、キャリア再生モジュール(102、108、110)に利得を備える。現在の期間中のエラーに基づいて、ループ利得制御(112)は、最低のエラーをもたらしたモジュールを判定し、そのモジュールに関連した利得を最良の利得として選択する。この利得は、次の期間中に復号化するためのシンボル(16)を出力するモジュールに施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にディジタル通信に関し、特にキャリア再生システムの帯域幅を最適化する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャリア再生は、受信信号を基準に同期化させることを含む。多くのシステムでは、このことは、位相ロック・ループ(PLL)を用いて行われる。ディジタル・システムでは、位相シフト並びに雑音の課題を含む複数の種々の課題を解決することができるディジタル位相ロック・ループ(DPLL)が用いられている。多くのシステムでは、ディジタル・キャリア再生システムにおいてDPLLループ帯域幅が増加するにつれ、信号上の位相雑音による残留位相ジッタが削減される。DPLLは信号位相雑音を一段とうまくトラッキングすることが可能であるからである。しかし、DPLLループ帯域幅が増加するにつれ、一段と多くの相加性雑音(例えば、白色ガウス雑音)がキャリア再生ループに入り、更に多くの残留位相ジッタをもたらす。
【0003】
一般に、特定の位相雑音及び相加性雑音の状態の場合、全体残留位相ジッタが最小にされるループ帯域幅が存在し得る。現在の実務では、キャリア再生ループ帯域幅は、期待される信号状態に基づいて特定の基準値に設定される。このことによって、ループ帯域幅が最適でなくなり、キャリア再生に後続する残留位相ジッタが不必要に大きくなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、現在の信号状態に応じてループ帯域幅を最適化して位相ジッタを最小にするシステム及び方法に対する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
キャリアを再生するシステム及び方法は、複数のキャリア再生モジュールを含み、キャリア再生モジュールそれぞれは、同じ入力シンボルを処理し、キャリア再生モジュールそれぞれは利得入力及びエラー出力を有する。ループ利得制御は、キャリア再生モジュールからエラーを受信し、キャリア再生モジュールに利得を備える。現在の期間中のエラーに基づいて、ループ利得制御は、最低のエラーをもたらしたモジュールを判定し、そのモジュールに関連した利得を最良の利得として選択する。この利得は、次の期間中に復号化するためのシンボルを出力するモジュールに施される。
【0006】
別のキャリア再生実施例は、位相検出器と、位相検出器に結合された経路とを含む。経路は、そこに入力された複数の利得から選択される現在の利得を含む。先行期間における基準に基づいて現在の利得が選択される。位相積分器は、経路の出力を受信し、複数のレジスタを含む。レジスタそれぞれは、複数の利得のうちの1つと関連付けられる。ルックアップ・テーブルは、位相検出器における位相検出のために入力シンボルを回転解除する回転解除器に位相補正が供給されるように位相積分器から補正位相を受信する。位相検出器は、回転解除されたシンボルを受信する。
【0007】
キャリアを再生する方法は、現在のループ利得によってシンボルを処理する工程と、現在のループ利得それぞれ及び複数の他の利得に関連したエラー情報を累算する工程と、エラー情報に基づいて、次の期間におけるシンボルを処理するために、現在のループ利得及び複数の他の利得のうちの1つから新たな利得を選択する工程とを含む。別の実施例では、選択する工程は、複数のエラーのうちの最小のエラーを判定する工程であって、各エラーが利得と関連付けられる工程と、最小のエラーと関連付けられた利得を新たな利得として選択する工程とを含み得る。処理の工程は、複数のモジュールによって同じシンボルを処理する工程であって、各モジュールが、それに関連したそれ自身の利得を有する工程を含み得る。
【0008】
各利得は好ましくは、平均二乗位相エラーと関連付けられる。最小の平均二乗位相エラーに関連付けられた利得を用いて、回転解除されたシンボルを処理する。このシンボルは後の処理(例えば、前方エラー訂正)に送られる。しかし、他の利得に関連付けられた位相エラーは、同じシンボルを処理しながら判定され続け、将来の期間における最低位相エラー選択の候補に留まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の利点、特性及び種々の更なる特徴は、添付図面に関して次に説明する例証的な実施例を検討することによって更に徹底的に分かるであろう。
【0010】
添付図面が、本発明の概念を示す目的のためのものであり、本発明を示すうえで考えられる唯一の構成では必ずしもないことが分かる。
【実施例】
【0011】
本発明は、キャリア再生システムに関する。本発明は、例えば、位相雑音及び相加性雑音によって損なわれた信号のループ帯域幅を自動的に最適化する。キャリア再生システムは、位相が情報を伝達するシステムの入力信号にロックされた局所キャリアを再生する。位相シフト・キーイング(PSK)や直交振幅変調(QAM)などのシステムは、位相データを用いて情報を伝達する例である。ディジタル位相ロックループ(DPLL)は一般に、前述のシステムにおいて用いられている。DPLLにおいて用いられるループ帯域幅は、位相雑音トラッキング(例えば、より大きなループ帯域幅がより好適である)と、相加性雑音による損傷(例えば、より小さなループ帯域幅がより好適である)との折衷策を表す。本発明は、DPLL帯域幅の影響をバランスさせるよう、信号上で受ける位相雑音及び相加性雑音の関数としてDPLLループ帯域幅を自動的に最適化する手法を提供する。
【0012】
本発明は、キャリア再生のためのDPLLシステムによって説明する。しかし、本発明は更にずっと広く、同期化されて情報を送信又は受信する何れかの通信システム、集積回路若しくはデータ処理システムに含まれ得る。更に、本発明は、エラー(例えば、位相エラー)を用いて情報を伝達するか、又は上記エラーを、システム機能が適切になるように調節する必要がある何れかのシステムに適用可能である。本発明は、電気通信産業、ラジオ産業やテレビジョン産業、半導体やその他の集積回路、ケーブル通信や衛星通信等に用いることができる。
【0013】
図に示す構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせの種々の形態で実現することができる。前述の構成要素は、適切にプログラムされる1つ又は複数の汎用装置(プロセッサ、メモリ及び入出力インタフェースを含み得る)上のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせで実現することができる。
【0014】
いくつかの図を通して同じ参照符号が同様な、又は同一の構成要素を表す添付図面を次に特に詳細に参照し、まず図1を参照すれば、当該技術分野において知られているキャリア再生システム10を示す。システム10は、2つの信号間の位相差を推定し、位相不一致に基づいて結果を出力する位相検出器38を備える。スライサ40を用いて、回転解除シンボル16に対する比較のためにスライス(目標)シンボルを供給する。1次経路37及び2次経路39は位相積分器20に接続する。位相積分器20は次いで、回転解除位相を複素正弦/余弦値に変換して回転解除器12における信号を回転解除するようルックアップ・テーブル18へのアドレス指定を行う。位相積分器20及びルックアップ・テーブル18はよって、併せて数値制御発振器(NCO)の機能を行う。回転解除シンボル16は次いで、マッピング解除器によって、又はより一般的には、1つ若しくは複数の前方エラー訂正(FEC)復号器41によってデータに復号化することができる。位相積分器20も2次積分器30も、レジスタ22及び28それぞれ、並びに加算器24及び32それぞれを含む。経路37及び39それぞれは、そのそれぞれの経路の利得を備えるために増幅器34及び36を有する。1次経路37及び2次経路39は、位相積分器20への入力の前に加算器26によって加算される。
【0015】
図2を参照すれば、本発明の例証的な実施例を表す。システム100は、解析期間にわたって検査される複数のループ帯域幅を含み、好適性又は適合性の特定の基準に基づいて、最良のループ帯域幅が選択され、次の解析期間中の帯域幅の1つとして用いられる。システム100は図では、3つの並列キャリア再生モジュール102、108及び110を含む。各モジュール102、108及び110は、同じデータ組(例えば、同じ回転受信シンボル組14)を処理する。各キャリア再生モジュール102、108及び110は、シンボル入力14、利得入力(利得1、2又は3)及びエラー出力(位相エラー1、2又は3)を有する。
【0016】
3つのキャリア再生モジュール102、108及び110に供給される利得(利得1、利得2、利得3)は、以下に説明するようにループ利得制御モジュール112によって供給される。ループ利得制御モジュール112は、エラー出力(位相エラー1、位相エラー2、位相エラー3)を3つのキャリア再生モジュール102、108、110から受信し、利得(利得1、利得2、利得3)をキャリア再生モジュール102、108及び110に供給する。モジュール112は、更新入力(「更新」)も含む。
【0017】
所定の解析期間中に、タイミング発生器114が、3つのキャリア再生モジュール102、108及び110に新たな利得組を施すために更新信号を生成する。上記期間は、何れかの適切な時間経過を含み得る。好ましくは、更新間の期間は、最良の性能を備えるよう最適化される。キャリア再生モジュール102のうちの1つの詳細を図3に示す。
【0018】
図3を参照すれば、キャリア再生モジュール102の処理はモジュール108及び110と同様である。更に、モジュール102の処理の多くは、図1に示す既知のキャリア再生回路10の処理と同様である。入力シンボル14が、複素乗算器である回転解除器12によって回転解除される。回転解除シンボル16と、スライサ40によって供給される目標(スライス)シンボルとの間の位相エラーは、スライス・シンボルの共役とシンボルとの積の虚数部分を計算することによって定められる、すなわち、
【数1】


である。ここで、zはシンボルであり、zslはスライス・シンボルの共役であり、zslはスライス・シンボルであり、∠z及び∠zslは、シンボル及びスライス・シンボルそれぞれの位相角である。
【0019】
位相エラー推定φerrは、1次経路214における乗算器214を用いて1次利得202によって乗算され、位相エラー推定φerrは、乗算器206によって、増幅器208によって修正された2次利得202によって乗算される。増幅器又は乗算器208を用いて、2次経路216の利得202を増幅又は調節することができる。2次経路216は積分器30を有する。2次レジスタ28は、シンボル・レート(図示せず)でクロッキングされる。1次経路及び2次経路(214及び216)を、加算器26によって併せて加算し、次いで積分器20によって積分して、補正位相を得る。位相レジスタ22は、シンボル・レート(図示せず)でクロッキングされる。この位相は次いで、回転解除器12における次のシンボルを回転解除させるための複素値を供給するよう正弦/余弦ルックアップ・テーブル18に入力される。2次経路216をキャリア再生モジュールから完全になくしてもよいか、又は更なる経路を1次経路214に追加してもよい。
【0020】
可変利得202が、回路に入力され、1次経路214において直接用いられる。この利得202は、2次経路216において増幅器208によって用いられる対象の倍数よりも小さな係数K12によってダウンスケーリングされる。位相エラー212が、ループ利得制御回路内で解析される対象の回路から供給される。ループ利得制御モジュールの詳細は、図4を参照しながら例証的に説明する。
【0021】
図4を参照すれば、ループ利得制御モジュール112は3つの入力エラー信号(位相エラー1、2、3)を検査し、最小平均二乗値を有するエラー信号を、ロジック302を用いて判定する。図示した実施例では、各位相エラーがブロック304によって2乗され、エラーが累算器310に供給される。累算器では、加算器308を用いて新たなエラーを加算することによってエラー二乗レジスタ306が更新される。
【0022】
更新信号(更新)がアサートされると、モジュール112は、最小エラー信号を生成した利得を新たな利得1として選択し、利得1未満の新たな利得2、及び利得1より大きな新たな利得3を生成する。この選択は、指数301に応じて、多重化装置328を用いて行われる。更新信号がアサートされると、3つのエラー信号累算器310(レジスタ306)は、次の解析期間における2乗エラー累算の処理を始めるようゼロにリセットされる。
【0023】
ループ利得制御回路112では、3つのキャリア再生モジュール102、108及び110によって供給される3つの位相エラーは全て、2乗され(304)、積分される(310)。3つのエラー二乗レジスタ306は、シンボル・レート(図示せず)でクロッキングされる。前述の積分エラーはロジック・ブロック302に供給される。ロジック・ブロック302は最小エラー301の指数を判定する。例えば、位相エラー1の積分値が、位相エラー2の積分値及び位相エラー3の積分値の何れよりも小さい場合、ロジック302は、指数1を出力する。
【0024】
3つのレジスタ324、325及び326は、3つのキャリア再生モジュール102、108及び110によって現在の解析期間において用いられる3つの利得を含む。解析期間の終了時に、更新信号(更新)が、3つのレジスタ324、325及び326をクロッキングするようアサートされる。その時点で、利得1を保持しているレジスタは、解析期間中の累算エラーを最小にした利得を受信する。すなわち、最小エラー指数が2の場合、利得2を用いるキャリア再生回路が、最低の累算エラーをもたらし、利得2が、次の解析期間の新たな利得1としてレジスタ化される。同時に、利得2を乗算器320によって、1つのKsmallよりも小さな値で乗算して新たな利得2を生成し、利得2を乗算器322によって、1つのKbigよりも大きな値で乗算して新たな利得3を生成する。よって、3つの新たな利得(先行解析期間から入手可能な最良の利得、及び更なる2つの利得(先行解析期間からの最良の利得よりわずかに小さい利得、及び前述の最良の利得よりもわずかに大きい利得))が、次の解析期間に用いるようレジスタ化される。
【0025】
更新信号がアサートされ、新たな利得が選択されると、3つの累算器310は、次の解析期間中に位相エラーの、意味のある積分を得るようゼロにリセットされる。
【0026】
図2から分かるように、利得1は、先行解析期間から求められる最良の利得をレジスタ化するので、キャリア再生モジュール102を、実際のデータ復号化に用いる。すなわち、その回転解除シンボルは、FEC41やその他の後続回路によって用いられるために出力される。
【0027】
図5を参照すれば、ハードウェア要件を削減する別の実現形態を示す。このことは、ハードウェアの再使用と、図2の3つのキャリア再生モジュール102、108及び110毎に、位相積分器/累算器422、及び2次経路416上の2次積分器/累算器426によって状態が記憶されるという認識とに基づいている。よって、シンボル毎に複数のクロック・サイクルが利用可能な場合、複数の状態エレメント(422又は426)を備える単一キャリア再生モジュール400を用いて、図2中の3つの個々のキャリア再生モジュール102、108及び110の機能を実現することが可能である。図5では、単一の回転解除器(複素乗算器)12、位相検出器38、1次乗算器404、2次乗算器406及び正弦/余弦ルックアップ・テーブル18のみが必要である。
【0028】
この実現形態は、回路に入力される各回転シンボル14が、シンボル期間中、一定状態に留まり、その期間中、事実上、3つの別々の利得を用いる3つの別々のキャリア再生回路に入力されることを基礎としている。この実現形態では、2次レジスタA、B及びC(426)、並びに位相レジスタA、B及びC(422)が、3倍(「3X」)のシンボル・レート(図示せず)でクロッキングされる。構造420及び424は、例えば、循環シフト・レジスタとして、レジスタ422及び426、並びに加算器24及び32の構成によって乗算器と積分器を組み合わせている。他の多重化/逆多重化構成も用いることができる。
【0029】
利得1を用いて生成された回転解除シンボルは、FEC41や他の後続回路において用いるために、イネーブルされたレジスタ402における回転解除器12の出力においてレジスタ化される。ENA1がハイの場合、レジスタ402の入力が、次の正の3xクロック・エッジ上で記憶される。同様に、位相エラー1、2及び3は、イネーブルされたレジスタ428にレジスタ化される。ENA1、2又は3がハイの場合、レジスタ428の入力が、次の3xクロック・エッジ上で位相エラー1、2又は3それぞれとして記憶される。ループ利得制御モジュール112(図2)からの利得が、多重化装置430を介して選択される。利得選択値は、系列(1,2,3,1,2,3)において回転する。イネーブル信号ENAは、利得選択値の対応する時点においてハイである(すなわち、ENA1は、利得選択が1の場合にハイである等である)。2次経路エレメント208、406、424、及び加算器26はなくすことができる、又は更なる経路を1次経路に追加することができる。
【0030】
より高い、又はより低いクロック・レート(例えば、シンボル・レートの2倍若しくは4倍、又はそれを超える倍数)が利用可能であり得るものであり、適切なイネーブル信号を加えることによって前述の回路において用いることが可能である。本明細書及び特許請求の範囲記載の実現形態によって、同じデータ組に複数のループ帯域幅を施すことが可能になる。他の実現形態では、単一のキャリア再生回路を用い得るものであり、単一ループ利得を解析期間中に用いることが可能である。例えば、利得1を解析期間にわたって用いることが可能であり、関連した積分エラーを計算することが可能である。次の解析期間では、より小さな利得2を試行することが可能である。第3の解析期間では、より大きな利得3を試行することが可能である。3つの解析期間全てに続いて、最良の利得を選択し、主たる標準利得1として用いることが可能であり、新たな、より小さな利得2及びより大きな利得3を、3つの解析期間の別の系列について選択することが可能である。前述の手法の利点は、複数のキャリア再生回路、又はシンボル毎の複数の処理を必要とすることなくループ帯域幅を最適化することである。
【0031】
前述の実施例は、複数のやり方で修正することもできる。例えば、ループの2次利得は、DPLLの自然周波数ωの2乗に比例し得る。ループの1次利得は、自然周波数と制動係数との積に比例し得る。したがって、一定の制動係数(又は、ループ周波数応答における一定のピーク)を維持するために、2次利得は、図6及び図7に示すように、ループの1次利得を、定数によって乗算し、1次利得によっても乗算したものである。
【0032】
図6を参照すれば、乗算器206に施される全体2次利得は、乗算器203からの利得(202)×利得(202)×K12である。図7を参照すれば、乗算器206が、乗算器204に続いて施されるので、2次経路におけるカスケード利得はやはり利得利得K12であり、ここでK12は、一定の制動比の定数を含む。
【0033】
上記例証的な例を前提とすれば、別の多くの実施例を本発明によって用いることができる。例えば、好適性の基準は、前述の、位相検出器によって推定される最小平均二乗位相エラー、目標シンボルまでの最小平均二乗距離、又は特定の他の基準であり得る。他の実施例は、種々のハードウェア又はソフトウェアの構成(何れかの数の位相エラー・モジュール及び利得モジュール等を含む)を用い得る。そうした実施例の1つでは、第1の経路の利得を第2の経路における利得と無関係に制御することができる。一例では、これは、先行する期間において判定された最小エラーに基づいて選択し得る1次利得及び2次利得を含む。別の実施例では、1次利得は先行期間において判定された最小エラーに基づいて選択することができ、2次利得は、別の先行期間において判定された最小エラーに基づいて選択することができる。
【0034】
(例証的であり、限定的でないことが意図された)キャリア再生を向上させる方法及びシステムの好ましい実施例を説明したが、当業者は修正及び変形を上記教示に照らして行うことが可能である。したがって、特許請求の範囲記載の本発明の範囲及び趣旨の範囲内に収まる変更を、本明細書及び特許請求の範囲に開示した本発明の特定の実施例において行うことができる。詳細を含み、特許法によって特に要求される本発明の説明を行ったが、特許請求の対象であり、特許証によって保護されることが望まれる内容は、本特許請求の範囲に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来技術によるキャリア再生モジュールの構成図である。
【図2】本発明の一実施例による、ループ利得を備えたキャリア再生モジュールの構成図である。
【図3】本発明の一実施例による、図2のシステムのキャリア再生モジュールの構成図である。
【図4】本発明の一実施例による、図2のループ利得制御の構成図である。
【図5】システムが循環シフトを備え、複数の利得に対応する状態情報を維持しながら構成部分を再使用する、キャリア再生のための、本発明の別の実施例の構成図である。
【図6】図3及び図5の実施例において用いる別のループ・フィルタ構成を示す図である。
【図7】図3及び図5の実施例において用いる別のループ・フィルタ構成を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアを再生するシステムであって、
複数のキャリア再生モジュールであって、それぞれが、同じ入力シンボルを処理し、それぞれが利得入力及びエラー出力を有するキャリア再生モジュールと、
該キャリア再生モジュールからエラーを受信し、前記キャリア再生モジュールに利得を備えるループ利得制御とを備え、 現在の期間中のエラーに基づいて、前記ループ利得制御は、最低のエラーをもたらしたモジュールを判定し、該モジュールに関連した利得を、次の期間中に復号化するためのシンボルを出力するモジュールに施される最良の利得として選択することを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、前記エラーが位相エラーであることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1記載のシステムであって、前記エラーは、回転解除されたシンボルと、それがスライスされたバージョンとの間の差であることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1記載のシステムであって、前記ループ利得制御は、タイミング発生器からの更新信号によってイネーブルされることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1記載のシステムであって、前記最良の利得を用いて、入力シンボルを処理するために後続期間中に用いるために他のモジュールに供給する対象の更なる利得を計算することを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5記載のシステムであって、前記最良のモジュール利得よりも大きな第1の利得と、前記最良のモジュール利得未満の第2の利得とを供給するために更なる利得が乗算器を用いて計算されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1記載のシステムであって、前記エラーは、エラー2乗累算器を用いてモジュール毎に累算されることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7記載のシステムであって、前記ループ利得制御は、前記エラー2乗累算器から最小の累算エラーを判定するためのロジックを更に備えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムであって、前記ロジックは、前記最小の累算エラーに関連した利得を多重化装置が選択することをイネーブルすることによって最良のモジュール利得を選択するための信号を出力することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1記載のシステムであって、各モジュールは、位相検出器、並びに第1の経路及び第2の経路を備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10記載のシステムであって、前記第1の経路及び前記第2の経路のそれぞれは、現在供給されているモジュール利得の関数をそれに入力させていることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項10記載のシステムであって、前記第1の経路及び前記第2の経路を加算し、位相積分器に入力して補正位相を得ることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項12記載のシステムであって、前記補正位相を正弦/余弦ルックアップ・テーブルに入力して、次の入力シンボルを回転解除するための複素値を供給することを特徴とするシステム。
【請求項14】
キャリアを再生するモジュールであって、
位相検出器と、
該位相検出器に結合された経路であって、該経路が、それに入力される複数の利得から選択される現在の利得を有し、該現在の利得が、先行期間における基準に基づいて選択される経路と、
前記経路の出力を受信する位相積分器であって、該位相積分器が複数のレジスタを有しており、前記レジスタのそれぞれが、前記複数の利得のうちの1つに関連付けられる位相積分器と、
前記位相検出器における位相検出のために入力シンボルを回転解除するための回転解除器に位相補正が供給されるように前記位相積分器から補正位相を受信するルックアップ・テーブルとを備えることを特徴とするモジュール。
【請求項15】
請求項14記載のモジュールであって、前記位相検出器は、複数の位相エラーを出力し、各位相エラーは、前記複数の利得のうちの1つに関連付けられることを特徴とするモジュール。
【請求項16】
請求項14記載のモジュールであって、複数のエラーを計算するエラー計算器を更に備え、各エラーは、前記複数の利得のうちの1つに関連付けられることを特徴とするモジュール。
【請求項17】
請求項14記載のモジュールであって、前記位相積分器は、1つのレジスタが前記複数の利得のうちの1つに関連付けられ、前記複数の利得のうちの1つに関連付けられた期間中にアクティブであるような循環シフト器を有することを特徴とするモジュール。
【請求項18】
請求項14記載のモジュールであって、シンボルが、先行期間の、前記複数の利得に関連付けられた最低エラーに基づいて選択された現在の利得によって処理されることを特徴とするモジュール。
【請求項19】
請求項14記載のモジュールであって、前記現在の利得が多重化装置によって選択されることを特徴とするモジュール。
【請求項20】
請求項14記載のモジュールであって、エラーが、エラー2乗累算器を用いて利得毎に累算されることを特徴とするモジュール。
【請求項21】
請求項20記載のモジュールであって、前記エラー2乗累算器からの最小累算エラーを用いて、次の期間に用いる対象のシンボルを処理するための新たな利得値を選択し、該新たな利得は、前記複数の利得から選択されることを特徴とするモジュール。
【請求項22】
請求項14記載のモジュールであって、前記位相積分器は、シンボル・レートによって乗算された前記複数の利得におけるいくつかの利得に等しいレートで動作することを特徴とするモジュール。
【請求項23】
請求項14記載のモジュールであって、補正位相を正弦/余弦ルックアップ・テーブルに入力して、次の入力シンボルを回転解除するための複素値を供給することを特徴とするモジュール。
【請求項24】
請求項14記載のモジュールであって、シンボルは、関連付けられた利得全てについて処理され、エラー判定は、将来の期間において用いるうえでの候補に利得全てが留まるように前記複数の利得のうちの利得全てについて行われることを特徴とするモジュール。
【請求項25】
キャリアを再生するモジュールであって、
位相検出器と、
該位相検出器に結合された1次経路及び2次経路であって、前記1次経路は、そこに入力された複数の利得から選択される現在の利得を有しており、
前記2次経路は、そこに入力された現在の利得の倍数を含み、前記2次経路は、エラーを累算するために複数のレジスタを有する2次積分器を更に備え、各レジスタは前記複数の利得のうちの1つに関連付けられる1次経路及び2次経路と、
前記1次経路及び前記2次経路を加算することによる加算結果を受信する位相積分器であって、該位相積分器が複数のレジスタを有しており、前記レジスタのそれぞれが前記複数の利得のうちの1つに関連付けられる位相積分器と、
前記位相検出器における位相検出のために入力シンボルを回転解除するための回転解除器に位相補正が供給されるように前記位相積分器から補正位相を受信するルックアップ・テーブルであって、前記位相検出器が前記回転解除シンボルを受信するテーブルとを備えることを特徴とするモジュール。
【請求項26】
請求項25記載のモジュールであって、前記位相検出器は、複数の位相エラーを出力し、各位相エラーは、前記複数の利得のうちの1つに関連付けられることを特徴とするモジュール。
【請求項27】
請求項25記載のモジュールであって、複数のエラーを計算するエラー計算器を更に備え、各エラーは、前記複数の利得のうちの1つに関連付けられることを特徴とするモジュール。
【請求項28】
請求項25記載のモジュールであって、2次位相積分器は、1つのレジスタが前記複数の利得のうちの1つに関連付けられ、前記複数の利得のうちの1つに関連付けられた期間中にアクティブであるような循環シフト器を有することを特徴とするモジュール。
【請求項29】
請求項25記載のモジュールであって、2次位相積分器は、シンボル・レートによって乗算された前記複数の利得におけるいくつかの利得に等しいレートで動作することを特徴とするモジュール。
【請求項30】
キャリアを再生する方法であって、
現在のループ利得及び複数の他の利得によってシンボルを処理する工程と、
前記現在のループ利得及び複数の他の利得のそれぞれに関連したエラー情報を累算する工程と、
前記エラー情報に基づいて、次の期間において前記シンボルを処理するために、前記現在のループ利得及び前記複数の他の利得のうちの1つから新たな利得を選択する工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法であって、前記選択する工程は、複数のエラーのうちの最小エラーを判定する工程であって、各エラーが利得と関連付けられる工程と、前記最小エラーと関連付けられた利得を前記新たな利得として選択する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項30記載の方法であって、前記処理する工程は、複数のモジュールによって同じシンボルを処理する工程を含み、各モジュールは、それに関連付けられたそれ自身の利得を有することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−507197(P2008−507197A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−521440(P2007−521440)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022779
【国際公開番号】WO2006/019371
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】