説明

キーレスエントリー装置

【課題】信号送信の時間をできるだけ短くして応答性の良好なキーレスエントリー装置を提供する。
【解決手段】車両側装置2は、車両側送信部11を制御すると共に携帯機3からのアンサー信号を認証すると所定の制御を行う車両側制御部12を備え、携帯機3は、車両側装置2の複数の送信アンテナ15から送信される信号の各強度を検出する携帯機制御部22を備え、車両側制御部12は、複数の送信アンテナ15からそれぞれ携帯機3を起動状態とするウェークアップ信号を送信させ、その後に複数の送信アンテナ15からそれぞれ強度測定用信号を送信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両側装置と携帯機の間で無線通信を行うことで車両のドアを施錠・解錠するキーレスエントリー装置に関し、特に携帯機の位置を判別できるキーレスエントリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられた車両側装置と使用者が携帯する携帯機の間で無線通信を行い、車両のドアを施錠・解錠するキーレスエントリー装置が知られている。また近年、携帯機が車両に近づくと、車両側装置と携帯機の間で自動的に通信が行われ、個々の携帯機に一義的に設定されている識別符号の認証がなされると、車両のドアの施錠・解錠動作を行うパッシブ・キーレスエントリー装置も知られている。
【0003】
パッシブ・キーレスエントリー装置においては、携帯機の位置を判別することが必要であり、例えば携帯機が車両の外側にあるか内側にあるかについて判別がなされる。この判別を行うため、車両の内外には複数の送信アンテナが設けられて、各送信アンテナからは強度測定用の信号が送信される。送信された各信号を受信した携帯機では、各強度測定用の信号の強度を検出し、該検出した信号の強度の情報に基づいて携帯機の位置判別が行われる。このように信号の強度に基づき携帯機の位置判別を行うキーレスエントリー装置としては、特許文献1に挙げるようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−348497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の送信アンテナから強度測定用の信号を送信する場合において、それぞれ送信アンテナから送信される信号は、スリープ状態にある携帯機を起動させるためのウェークアップ信号と、認証等を行うためのコマンド信号及び上述の強度測定用の信号などである。
【0006】
強度測定用信号については、信号レベルが小さくても携帯機で受信して強度を測定することができるが、ウェークアップ信号については高い信号レベルでないと、これを受信したと携帯機が判断できない。このため、ウェークアップ信号を十分な信号レベルで携帯機に受信させることのできる送信アンテナは、携帯機の位置によって異なることになる。
【0007】
従来は、携帯機からのアンサー信号が車両側で受信されるまで、これらの信号を全て各送信アンテナから順番に送信していたが、特許文献1では、これをウェークアップ信号及びコマンド信号については一つの送信アンテナから送信し、強度測定用信号のみを全ての送信アンテナから順次送信するようにして、信号送信にかかる時間を短くするようにしている。
【0008】
しかし、一つの送信アンテナからウェークアップ信号及びコマンド信号を送信すると共に全ての送信アンテナから強度測定用信号を送信しても、ウェークアップ信号が携帯機において十分な信号レベルで受信されなかった場合には、他の送信アンテナから同様の動作を開始する必要があり、最大で送信アンテナの数だけこれを繰り返す必要があるから、信号送信にはやはり時間を要することとなっていた。
【0009】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、信号送信の時間をできるだけ短くして応答性の良好なキーレスエントリー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係るキーレスエントリー装置は、車両に設けられリクエスト信号を送信する複数の送信アンテナを有する車両側送信部と、アンサー信号を受信する車両側受信部とを備えた車両側装置と、上記リクエスト信号を受信する携帯機受信部と、アンサー信号を送信する携帯機送信部とを備えた携帯機とを有したキーレスエントリー装置において、
前記車両側装置は、前記車両側送信部を制御すると共に前記携帯機からのアンサー信号を認証すると所定の制御を行う車両側制御部を備え、前記携帯機は、前記車両側装置の複数の送信アンテナから送信される信号の各強度を検出する携帯機制御部を備え、
前記車両側制御部は、前記複数の送信アンテナからそれぞれ前記携帯機を起動状態とするウェークアップ信号を送信させ、その後に前記複数の送信アンテナからそれぞれ強度測定用信号を送信させることを特徴として構成されている。
【0011】
また、本発明に係るキーレスエントリー装置は、前記車両側制御部は、前記複数の送信アンテナからそれぞれ前記ウェークアップ信号を送信させて、前記携帯機からのアンサー信号を受信した場合にのみ、前記複数の送信アンテナからそれぞれ強度測定用信号を送信させることを特徴として構成されている。
【0012】
さらに、本発明に係るキーレスエントリー装置は、前記車両側制御部は、前記複数の送信アンテナからそれぞれ前記ウェークアップ信号を順次送信させて、前記携帯機からのアンサー信号を受信したら、その後のウェークアップ信号の送信を停止して前記複数の送信アンテナからそれぞれ強度測定用信号を送信させることを特徴として構成されている。
【0013】
さらにまた、本発明に係るキーレスエントリー装置は、前記車両側制御部は、前記携帯機からのアンサー信号を受信した後であって前記強度測定用信号を送信する前に、所定のコマンド信号を送信することを特徴として構成されている。
【0014】
そして、本発明に係るキーレスエントリー装置は、前記車両側制御部は、前記携帯機で受信したウェークアップ信号を送信した送信アンテナに前記所定のコマンド信号を送信させることを特徴として構成されている。
【0015】
また、本発明に係るキーレスエントリー装置は、前記車両側制御部は、前記所定のコマンド信号と共にウェークアップ信号を送信することを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るキーレスエントリー装置によれば、車両側制御部は、複数の送信アンテナからそれぞれ携帯機を起動状態とするウェークアップ信号を送信させ、その後に複数の送信アンテナからそれぞれ強度測定用信号を送信させることにより、携帯機が起動状態となっていないにもかかわらず強度測定用信号を送信することがなく、効率よく各信号を送信できるので、リクエスト信号の送信にかかる時間を短縮して応答性を良好にすることができる。
【0017】
また、車両側制御部が、複数の送信アンテナからそれぞれウェークアップ信号を順次送信させ、携帯機からのアンサー信号を受信したら、その後のウェークアップ信号の送信を停止して複数の送信アンテナからそれぞれ強度測定用信号を送信させることにより、リクエスト信号の送信にかかる時間をより短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態におけるキーレスエントリー装置の概要図である。
【図2】キーレスエントリー装置の構成図である。
【図3】車両側装置からリクエスト信号を送信する第1の形態のフローチャートである。
【図4】第1の形態におけるリクエスト信号及びアンサー信号の時間経過に対するチャート図である。
【図5】車両側装置からリクエスト信号を送信する第2の形態のフローチャートである。
【図6】第2の形態におけるリクエスト信号及びアンサー信号の時間経過に対するチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態におけるキーレスエントリー装置の概要図を示している。本実施形態におけるキーレスエントリー装置は、車両1のドア1aを施錠または解錠するものであり、車両1側には車両側装置2が設けられ、使用者は携帯機3を携帯し、車両側装置2と携帯機3の間で無線通信を行って認証や施錠・解錠の指令等をなすものである。車両側装置2は、車両1の各所に複数の送信アンテナ15を有しており、各送信アンテナ15から携帯機3に対してリクエスト信号が送信される。なお、リクエスト信号は低周波信号からなっている。
【0020】
携帯機3を持った使用者がドア1aを解錠するには、ドア1aのドアノブ1b近傍に設けられたリクエストスイッチ16を押すことが必要である。リクエストスイッチ16が押されると、車両側装置2と携帯機3との間で認証等の通信が行われ、認証がなされた場合に車両側装置2はドア1aを解錠する。
【0021】
車両側装置2及び携帯機3の構成について説明する。図2にはキーレスエントリー装置の構成図を示している。この図に示すように、車両側装置2は、携帯機3からのアンサー信号を受信する車両側受信部10と、携帯機3に対してリクエスト信号を送信する車両側送信部11と、アンサー信号を受信した際やリクエストスイッチ16が押された際に各種制御を行う車両側制御部12とを有している。
【0022】
車両側制御部12には、車固有の識別符号である例えば8ビットのV−ID(Vhicle−ID)や1台の車両を操作可能な複数の携帯機のIDなど制御に必要な情報を記憶するメモリ13と、上述したリクエストスイッチ16が接続されている。また、車両側受信部10にはアンサー信号を受信するための受信アンテナ14が接続され、車両側送信部11にはリクエスト信号を送信するための複数の送信アンテナ15が接続される。複数の送信アンテナ15は、それぞれ車両1の内外各所に設けられる。
【0023】
携帯機3は、車両側装置2からのリクエスト信号を受信する携帯機受信部20と、車両側装置2に対してアンサー信号を送信する携帯機送信部21と、リクエスト信号を受信した際に各種制御を行う携帯機制御部22と、自機にそれぞれ固有の値が設定されている例えば24ビットの携帯機ID及びV−ID等を記憶したメモリ24とを有している。また、携帯機受信部20と携帯機送信部21には、互いに直行するX、Y、Z方向の受信軸を有し、リクエスト信号やアンサー信号の送受信を行う三軸アンテナ23が接続される。
【0024】
携帯機制御部22は、携帯機受信部20で受信する車両側装置2からのリクエスト信号に含まれるウェークアップ信号によって、消費電力が略ゼロの状態であるスリープ状態からIDの認証など通常の動作が可能な起動状態に切り替わる。また、携帯機制御部22は、リクエスト信号に含まれるコマンド信号に基づいて各種動作を行う。
【0025】
車両側装置2からのリクエスト信号の送信につき詳細に説明する。図3には車両側装置2からリクエスト信号を送信する第1の形態のフローチャートを、図4には第1の形態におけるリクエスト信号及びアンサー信号の時間経過に対するチャート図を、それぞれ示している。本フローでは、車両1に設けられる送信アンテナ15は、3つであるものとする。また、本フローは、車両1のリクエストスイッチ16が操作されるのに伴いスタートするものとする。
【0026】
スタートすると、車両側制御部12は、第1の送信アンテナ15aからリクエスト信号RW1を送信させるように、車両側送信部11を制御する(S1)。リクエスト信号RW1は、携帯機3をスリープ状態から起動状態とするウェークアップ信号と、送信するアンテナに固有の識別符号を含みアンテナを特定可能なアンテナ識別信号とを含んでいる。続いて、車両側制御部12は、第2の送信アンテナ15bからリクエスト信号RW2を送信させ(S2)、さらに第3の送信アンテナ15cからリクエスト信号RW3を送信させる(S3)。リクエスト信号RW2、RW3も、リクエスト信号RW1と同様にウェークアップ信号とアンテナ識別信号とを含んでいる。なお、各リクエスト信号の符号のうち数字の部分は、どの送信アンテナ15からのリクエスト信号であるかを示しており、以下においても同様である。
【0027】
携帯機3は、これらのリクエスト信号RW1、RW2、RW3のいずれかを受信したら、ウェークアップ信号によってスリープ状態から起動状態へと起動すると共に、アンテナ識別信号によってどの送信アンテナ15からの信号を受信したかを判別する。そして、携帯機制御部22は、携帯機送信部21にアンサー信号AAを送信させる(S4)。信号AAには、車両側装置2に応答を伝える情報と、携帯機3で受信したリクエスト信号を送信した送信アンテナ15の識別符号を含める。また、携帯機3は、ウェークアップ信号によって起動した起動状態を、後述するアンサー信号ABの送信まで継続する。本例では、携帯機3において、第2の送信アンテナ15bから送信されたリクエスト信号RW2を受信したものとする。
【0028】
車両側装置2では、携帯機3からのアンサー信号AAの受信の有無を検出し(S5)、受信したら次のステップに進み、所定時間内に受信しなかったらS1に戻る。車両側装置2においてアンサー信号AAを受信したら、車両側制御部12は、信号AAに含まれる携帯機3で受信したリクエスト信号を送信した送信アンテナ15からリクエスト信号RCを送信させる(S6)。本例では、第2の送信アンテナ15bからのリクエスト信号RW2を携帯機3が受信しているから、第2の送信アンテナ15bからリクエスト信号RC2が送信される。
【0029】
リクエスト信号RCには、コマンド信号とローリングコード信号とが含まれる。コマンド信号には、携帯機3にアンサー信号ABを送信させる命令が含まれる。また、ローリングコード信号は、通信毎に変化する信号であり、これが所定のものであった場合に正規の信号であると判断するためのものである。
【0030】
車両側制御部12は、リクエスト信号RCの送信に続いて、各送信アンテナ15から強度測定用信号を送信させる。まず、第1の送信アンテナ15aから強度測定用信号RSSI1を送信させ(S7)、次に第2の送信アンテナ15bから強度測定用信号RSSI2を送信させ(S8)、最後に第3の送信アンテナ15cから強度測定用信号RSSI3を送信させる(S9)。
【0031】
携帯機3は、これらの強度測定用信号を受信し、それぞれ強度を測定する。強度を測定したら、携帯機制御部22は、コマンド信号の命令に従ってアンサー信号ABを送信する(S10)。アンサー信号ABには、携帯機IDと各送信アンテナ15から受信した強度測定用信号の強度情報が含まれる。
【0032】
車両側装置2では、携帯機3からのアンサー信号ABの受信の有無を検出し(S11)、受信したら次のステップに進み、所定時間内に受信しなかったらS1に戻る。車両側装置2においてアンサー信号ABを受信したら、車両側制御部12は、アンサー信号ABに含まれる携帯機IDを認証すると共に、アンサー信号ABに含まれる強度情報に基づき、携帯機3の位置を判別する(S12)。ここでは、携帯機3が車内にあるか車外にあるかを判別する。
【0033】
信号強度の情報に基づく携帯機3の位置判別は、特定の手法に限られないが、例えば以下のように行われる。それぞれの送信アンテナ15に対応する強度情報から、携帯機3と各送信アンテナ15との距離を算出すると、各送信アンテナ15の位置を中心とした各距離の半径を有する球面の交点位置が、携帯機3の位置であり、その位置が車内の範囲であるか車外の範囲であるかを判別することで、位置判別が可能である。また、車両の内側に沿って各送信アンテナ15からの強度情報を取得した内側データ群と、車両の外側に沿って各送信アンテナ15からの強度情報を取得した外側データ群とを予め取得しておき、実際に測定された強度情報と各データ群とのマハラノビス距離を算出し、その大小により携帯機3の位置を判別するようにしてもよい。
【0034】
携帯機3の位置を判別したら、車両側制御部12は判別された携帯機3位置に応じた制御を行う(S13)。ここでの動作は、必要とされる機能に応じて様々に設定することができる。例えば、本フローはリクエストスイッチ16が操作された際に位置判別を行っているから、このとき携帯機3が車外にあればドア1aの解錠を行い、携帯機3が車内にあればドア1aの解錠は行わないようにすることができる。これにより、車外から携帯機3を持たない人がリクエストスイッチ16を操作しても、ドア1aの解錠がされないようにすることができる。
【0035】
第1の形態のリクエスト信号の送信フローは、より簡易に変更することもできる。まず、S6におけるリクエスト信号RCの送信は省略してもよい。この場合には、どの送信アンテナ15からリクエスト信号RCを送信すればよいかを判別する必要がないので、S1〜S3において各送信アンテナ15から送信するリクエスト信号RW1、RW2、RW3にアンテナ識別信号を含める必要もない。このとき携帯機3は、コマンド信号がなくても、アンサー信号AAの送信後に車両側装置2からの強度測定用信号を受信したら、アンサー信号ABを自動的に送信するように構成される。
【0036】
これに加えて、S4におけるアンサー信号AAの送信を省略するようにしてもよい。この場合、車両側装置2は、リクエスト信号RW1、RW2、RW3を送信した後、直ちに強度測定用信号を送信するように構成される。
【0037】
また、本形態において携帯機3は、リクエスト信号RW1、RW2、RW3のいずれかにより起動状態となった後、リクエスト信号RC及び強度測定用信号を受信してアンサー信号ABを送信するまで、継続して起動状態となるようにしているが、アンサー信号AAを送信したら再度スリープ状態となるように携帯機3が構成されている場合には、車両側装置2から再度送信するリクエスト信号RCにもウェークアップ信号を含める必要がある。
【0038】
このように、車両側装置2からリクエスト信号を送信する際に、まず各送信アンテナ15からウェークアップ信号を送信して携帯機3を起動状態とし、その後に各送信アンテナ15から強度測定用信号を送信するようにしたことで、携帯機3が起動状態となっていない、すなわち強度測定用の信号を受信してもその強度を検知できないにもかかわらず、強度測定用信号を送信することがなく、効率よく各信号を送信できるので、リクエスト信号の送信にかかる時間を短縮して応答性のよいキーレスエントリー装置とすることができる。
【0039】
次に、第2の形態の車両側装置2からのリクエスト信号の送信につき説明する。図5には車両側装置2からリクエスト信号を送信する第2の形態のフローチャートを、図4には第2の形態におけるリクエスト信号及びアンサー信号の時間経過に対するチャート図を、それぞれ示している。本フローでも、車両1に設けられる送信アンテナ15は、3つであり、車両1のリクエストスイッチ16が操作されるのに伴いスタートするものとする。
【0040】
スタートすると、車両側制御部12は、第1の送信アンテナ15aからリクエスト信号RW1を送信させるように、車両側送信部11を制御する(S1)。リクエスト信号RW1には、ウェークアップ信号が含まれるが、アンテナ識別信号は含まれない。これは以下のリクエスト信号RW2、RW3についても同様である。
【0041】
本形態では、携帯機3はリクエスト信号RW1、RW2、RW3のいずれかを受信したら、直ちにアンサー信号AAを送信するように構成されている。本形態でのアンサー信号AAには、車両側装置2に応答を伝える情報が含まれるが、アンテナ識別信号は含まれない。車両側装置2では、どのタイミングでアンサー信号AAを受信したかによって、どの送信アンテナ15からの信号を携帯機3が受信したかを判別する。
【0042】
車両側装置2は、第1の送信アンテナ15aからリクエスト信号RW1を送信したら、携帯機3からのアンサー信号AAの受信の有無を検出し(S2)、受信したらS7に進み、所定時間内に受信しなかったら、第2の送信アンテナ15bからリクエスト信号RW2を送信する(S3)。リクエスト信号RW2を送信したら、車両側装置2は携帯機3からのアンサー信号AAの受信の有無を検出し(S4)、受信したらS7に進み、所定時間内に受信しなかったら、第3の送信アンテナ15cからリクエスト信号RW3を送信する(S5)。リクエスト信号RW3を送信したら、車両側装置2は携帯機3からのアンサー信号AAの受信の有無を検出し(S6)、受信したらS7に進み、所定時間内に受信しなかったらS1に戻る。
【0043】
このように本形態では、いずれかの送信アンテナ15からのリクエスト信号RWを携帯機3が受信して、アンサー信号AAが車両側装置2で受信されると、それ以降にリクエスト信号RWを送信する送信アンテナ15からはリクエスト信号RWが送信することなく、リクエスト信号RCを送信するようにしている。本例では、図5に示すように、第2の送信アンテナ15bからのリクエスト信号RW2の送信後にアンサー信号AAを受信しているから、車両側装置2は、携帯機3で受信したリクエスト信号を送信した送信アンテナ15を第2の送信アンテナ15bであるものと判別し、第3の送信アンテナ15cからリクエスト信号RW3を送信することなく、第2の送信アンテナ15bからリクエスト信号RC2を送信させる(S7)。リクエスト信号RCには、第1の形態と同様、コマンド信号とローリングコード信号とが含まれる。
【0044】
以下の動作は第1の形態と同様である。車両側制御部12は、リクエスト信号RCの送信に続いて、各送信アンテナ15から強度測定用信号を送信させる。まず、第1の送信アンテナ15aから強度測定用信号RSSI1を送信させ(S8)、次に第2の送信アンテナ15bから強度測定用信号RSSI2を送信させ(S9)、最後に第3の送信アンテナ15cから強度測定用信号RSSI3を送信させる(S10)。
【0045】
携帯機3は、これらの強度測定用信号を受信してそれぞれ強度を測定し、携帯機制御部22は、コマンド信号の命令に従ってアンサー信号ABを送信する(S11)。車両側装置2では、携帯機3からのアンサー信号ABの受信の有無を検出し(S12)、受信したら次のステップに進み、所定時間内に受信しなかったらS1に戻る。車両側装置2においてアンサー信号ABを受信したら、車両側制御部12は、アンサー信号ABに含まれる携帯機IDを認証すると共に、アンサー信号ABに含まれる強度情報に基づき、携帯機3の位置を判別する(S13)。携帯機3の位置を判別したら、車両側制御部12は判別された携帯機3位置に応じた制御を行う(S14)。
【0046】
本形態では、ウェークアップ信号を含むリクエスト信号RWに対して携帯機3からアンサー信号AAを受信したら、それ以降のリクエスト信号RWの送信を停止して以降の動作を行うようにしたので、リクエスト信号の送信にかかる時間をより短縮することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態において、送信アンテナ15は3つであるものとしたが、2つ、あるいは4つ以上設置されてもよく、複数であればどのような数であっても同様に本発明を適用することができる。また、本実施形態では、車両1のリクエストスイッチ16が操作された際の動作につき説明したが、それ以外の場合、例えば運転席でイグニッションスイッチを操作したときや、携帯機3を携帯した人が車両1から離れていくときなど、携帯機3の位置判別を行うときには同様に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 車両
2 車両側装置
3 携帯機
10 車両側受信部
11 車両側送信部
12 車両側制御部
13 メモリ
14 受信アンテナ
15 送信アンテナ
16 リクエストスイッチ
20 携帯機受信部
21 携帯機送信部
22 携帯機制御部
23 三軸アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられリクエスト信号を送信する複数の送信アンテナを有する車両側送信部と、アンサー信号を受信する車両側受信部とを備えた車両側装置と、上記リクエスト信号を受信する携帯機受信部と、アンサー信号を送信する携帯機送信部とを備えた携帯機とを有したキーレスエントリー装置において、
前記車両側装置は、前記車両側送信部を制御すると共に前記携帯機からのアンサー信号を認証すると所定の制御を行う車両側制御部を備え、前記携帯機は、前記車両側装置の複数の送信アンテナから送信される信号の各強度を検出する携帯機制御部を備え、
前記車両側制御部は、前記複数の送信アンテナからそれぞれ前記携帯機を起動状態とするウェークアップ信号を送信させ、その後に前記複数の送信アンテナからそれぞれ強度測定用信号を送信させることを特徴とするキーレスエントリー装置。
【請求項2】
前記車両側制御部は、前記複数の送信アンテナからそれぞれ前記ウェークアップ信号を送信させて、前記携帯機からのアンサー信号を受信した場合にのみ、前記複数の送信アンテナからそれぞれ強度測定用信号を送信させることを特徴とする請求項1記載のキーレスエントリー装置。
【請求項3】
前記車両側制御部は、前記複数の送信アンテナからそれぞれ前記ウェークアップ信号を順次送信させて、前記携帯機からのアンサー信号を受信したら、その後のウェークアップ信号の送信を停止して前記複数の送信アンテナからそれぞれ強度測定用信号を送信させることを特徴とする請求項2記載のキーレスエントリー装置。
【請求項4】
前記車両側制御部は、前記携帯機からのアンサー信号を受信した後であって前記強度測定用信号を送信する前に、所定のコマンド信号を送信することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のキーレスエントリー装置。
【請求項5】
前記車両側制御部は、前記携帯機で受信したウェークアップ信号を送信した送信アンテナに前記所定のコマンド信号を送信させることを特徴とする請求項4記載のキーレスエントリー装置。
【請求項6】
前記車両側制御部は、前記所定のコマンド信号と共にウェークアップ信号を送信することを特徴とする請求項4または5記載のキーレスエントリー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−184609(P2012−184609A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49171(P2011−49171)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】