説明

クロックデータリカバリ回路

【課題】簡単な回路で高データレートおよび低データレートに対応させる。
【解決手段】クロック信号CLK0、CLK1のエッジに係るタイミングt1、t2、t3(ただし、t2<t1<t3)でサンプリングした入力データ信号DATAINの論理値をそれぞれD1、D2、D3とする時、D1≠D2であるか、D1≠D3であるかを検出する検出回路11と、検出回路11の検出結果に基づいて、入力データ信号DATAINの論理値の遷移タイミングがタイミングt2、t3に一致するようにクロック信号CLK0、CLK1の位相を変化させるクロック発生回路14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロックデータリカバリ(Clock Data Recovery :CDR)回路に係り、特に、入力シリアルデータから、このシリアルデータに同期したクロック信号を再生してデータ信号を出力するクロックデータリカバリ回路に係る。
【背景技術】
【0002】
デジタルシリアル伝送方式は、通信ネットワークシステムや、PCI Express、SATA(serialATA)等のパーソナルコンピュータ内など多くの分野、装置で広く用いられている。通信システムでは、ITU(International Telecommunication Union)などにおいて、SDH(Synchronize Digital Hierarchy)として、低速(1.5Mbps)から高速(10Gbps)までの各種データレートの基準を規定している。SDH伝送装置の多くは、単一のデータレートをサポートするだけでなく、設定変更により、多くのデータレートに対応することが要求される。例えば、光伝送システムであるSTM(Synchronous Transfer Mode)を収容する装置では、STM1(155.52Mbps)/STM4(622.08Mbps)/STM16(2.48832Gbps)のデータレートに設定変更で対応することを要求される場合がある。
【0003】
デジタルシリアル伝送方式では、クロック信号を伝送せず、データ信号のみを伝送し、受信側でデータと同期したクロックを再生し、データを受信するクロックデータリカバリ回路が用いられる。クロックデータリカバリ回路として例えば、多相クロックを用いたクロックアンドデータリカバリ回路が特許文献1に記載されている。この回路は、多相クロックの位相をシフトさせて出力する位相シフト回路を備え、入力データを位相シフト回路出力の多相クロックでラッチし、そのラッチデータから、データの遷移位相と多相クロックの位相関係を検出し、データ遷移位相とクロック位相の関係から、位相シフト回路を制御して、多相クロックの位相をデータの遷移に追従させることで、入力データに同期したクロックを再生する。
【0004】
【特許文献1】特開2003−333021号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下の分析は本発明において与えられる。
【0006】
特許文献1に記載されているクロックアンドデータリカバリ回路は、データレートにあわせて、多相クロックの周波数を変更する必要がある。例えば、2.5Gbpsのデータを2.5GHzの2相クロックで動作させる場合、1.25Gbpsのデータレートで使用するには、1.25GHzの2相クロックにする必要がある。これは、アナログ回路で構成される位相シフト回路を1.25GHzと2.5GHzの両周波数で動作させることになる。一般的にアナログ回路を広い周波数範囲に対応させる場合、特性面を満足する結果を得るための設計における困難が増す。
【0007】
一例として特許文献1に記載されている位相シフト回路の中のインターポレータは、コンデンサへ充電された電荷を遅延差のある入力クロック(IN1,IN2)に対して、それぞれIN1、IN2の変化タイミングで駆動するNchトランジスタのオン/オフ数の割合を変更し放電させることで出力クロック波形の位相を制御している。
【0008】
この回路は、高速クロックから低速クロックまで対応する場合、コンデンサの容量変更で対応する。この場合、低速クロックに対応するには、大きな容量のコンデンサを備えることが必要となりLSIで実現する場合、インターポレータの面積が大きくなる。また、この回路は、コンデンサの充放電で波形を作成しているため、コンデンサの容量値や、トランジスタの駆動能力など素子特性のバラツキが特性に影響する。したがって、コンデンサの切り替え素子の追加によって、回路の負荷素子が増え、素子バラツキの要素が増えることから回路特性に対する影響が生じ、設計の難易度が上がる。このようにアナログ回路で低速クロックから高速クロックに対応するには、サイズが大きくなることや、設計の難度が上がってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つのアスペクト(側面)に係るクロックデータリカバリ回路は、クロック信号のエッジに係るタイミングt1、t2、t3(ただし、t2<t1<t3)でサンプリングした入力データ信号の論理値をそれぞれD1、D2、D3とする時、D1≠D2であるか、D1≠D3であるかを検出する検出回路と、検出回路の検出結果に基づいて、入力データ信号の論理値の遷移タイミングがタイミングt2、t3に一致するようにクロック信号の位相を変化させるクロック発生回路と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な回路で高データレートおよび低データレートに対応させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施形態に係るクロックデータリカバリ回路は、クロック信号のエッジに係るタイミングt1、t2、t3(ただし、t2<t1<t3)でサンプリングした入力データ信号の論理値をそれぞれD1、D2、D3とする時、D1≠D2であるか、D1≠D3であるかを検出する検出回路(図1の11)と、検出回路の検出結果に基づいて、入力データ信号の論理値の遷移タイミングがタイミングt2、t3に一致するようにクロック信号の位相を変化させるクロック発生回路(図1の14)と、を備える。
【0012】
クロックデータリカバリ回路において、第1および第2の指示信号でカウント値をそれぞれ増減するフィルタ回路(図1の12)と、フィルタ回路のカウント値に応じた位相制御信号を出力する制御回路(図1の13)と、をさらに備え、検出回路は、D1≠D2である場合に第1の指示信号を出力し、D1≠D3である場合に第2の指示信号をフィルタ回路に出力し、クロック発生回路は、位相制御信号に応じて位相を変化させたクロック信号を発生するようにしてもよい。
【0013】
クロックデータリカバリ回路において、フィルタ回路は、第1および第2の指示信号でアップダウン動作するカウンタで構成されてもよい。
【0014】
クロックデータリカバリ回路において、クロック信号は、互いに逆相となる第1および第2のクロック信号を含み、検出回路は、第1の動作モード(高速データ転送モードあるいはノーマルノード)に設定される場合、第1のクロック信号における一方のエッジのタイミングをt1とし、タイミングt1を挟んでなる、第2のクロック信号における一方のエッジのタイミングをそれぞれt2、t3とし、第2の動作モード(低速データ転送モード)に設定される場合、第1のクロック信号における時間的に3つの連続する一方のエッジのタイミングをそれぞれt2、t1、t3とすることが好ましい。
【0015】
このようなクロックデータリカバリ回路において、(1)2つのクロック信号を用いて、特定のタイミングのサンプリングデータとその前後のサンプリングデータを比較することで、データの遷移位相を検出する第1の動作モードと、(2)2つのクロック信号の中の一つのクロック信号を用いて、データをサンプリングした結果とその前後のタイミングでサンプリングしたデータを比較することで、データの変化点の有無を検出する第2の動作モードとを、データレートに応じて切り替える。この切り替えによって、クロック信号の周波数を変更することなく、低速(例えば高速の場合の1/2、1/4、・・・)のデータレートの変化点検出を行うことが簡単な回路構成で実現可能である。
【0016】
以下、実施例に即し、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の第1の実施例に係るクロックデータリカバリ回路の構成を示すブロック図である。図1において、クロックデータリカバリ回路は、検出回路11、フィルタ回路12、制御回路13、クロック発生回路14を備える。
【0018】
検出回路11は、シリアルデータである入力データ信号DATAINとクロック信号CLK0、CLK1を入力し、入力データ信号DATAINとクロック信号CLK0、CLK1との遷移位相のタイミング関係の判定結果であるUP信号およびDOWN信号と、入力データ信号DATAINをクロック信号CLK0、CLK1でラッチした再生データである出力データ信号DATAOUTとを出力する。また、クロック信号CLK0をバッファリングしてクロック信号CLKOUTを出力する。さらに、検出回路11は、モード切替信号SMODEに応じて動作モードを切り替える。
【0019】
フィルタ回路12は、検出回路11からUP信号、DOWN信号、クロック信号CLKOUTを入力し、クロックの位相の変更する方向を指示する指示信号CLKup、CLKdnを出力する。フィルタ回路12は、例えばアップダウンカウンタなどで構成され、UP/DOWN信号に従ってカウンタの値をそれぞれ増減して行き所定のカウンタ値の上限に達したときに指示信号CLKupを出力し、所定のカウンタ値の下限に達したときに指示信号CLKdnを出力する。所定のカウンタ値は、設定信号FSETによって設定変更可能とする。アップダウンカウンタは、上限と下限とこれらの中間の初期値をもち、指示信号CLKupあるいは指示信号CLKdnを出力した場合には初期値に戻る。すなわち、フィルタ回路12は、UP信号、DOWN信号の細かい変動を吸収すると共に、継続して変動した場合に指示信号CLKup、CLKdnを出力するフィルタとして機能する。
【0020】
制御回路13は、指示信号CLKup、CLKdnを入力し、クロック発生回路14のクロック信号CLK0、CLK1の出力位相を設定する位相制御信号SEL[n:0]を出力する。
【0021】
クロック発生回路14は、基準クロック信号CLKと位相制御信号SEL[n:0]を入力し、位相制御信号SEL[n:0]に従って基準クロック信号CLKから位相を変化させたクロック信号CLK0、CLK1を出力する。クロック発生回路14は、例えばフェーズインターポレータ等で構成してもよく、UP入力で周波数を上昇させ、DOWN入力で周波数を下降させるような可変周波数の発振器、例えば、電圧制御オシレータ(VCO)とチャージポンプで構成してもよい。
【0022】
次に、検出回路11の詳細について説明する。図2は、検出回路11の回路図である。検出回路11は、ラッチ回路21、同期化回路22、比較データ生成回路23、変化点検出回路24、タイミング発生回路25、出力データ生成回路26、バッファ回路BUFを備える。
【0023】
ラッチ回路21は、フリップフロップ回路FF1、FF2を備える。フリップフロップ回路FF1、FF2は、入力データ信号DATAINをそれぞれクロック信号CLK1、CLK0の立ち上がりタイミングでラッチし、それぞれ信号D11、D10として出力する。
【0024】
同期化回路22は、フリップフロップ回路FF3を備え、信号D11を、同期処理するためにクロック信号CLK0の立ち上がりタイミングでラッチし、信号D12として出力する。
【0025】
比較データ生成回路23は、セレクタSL1、SL2、フリップフロップ回路FF4〜FF6を備える。比較データ生成回路23は、第1の動作モード(高データレートモード)と第2の動作モード(低データレートモード)を切り替えるモード切替信号SMODEと、クロック信号CLK0に同期化された、フリップフロップ回路FF2の出力である信号D10およびフリップフロップ回路FF3の出力である信号D12と、クロック信号CLK0とを入力する。フリップフロップ回路FF6は、信号D10を入力し、クロック信号CLK0の立ち上がりタイミングでラッチし、信号D3として出力する。
【0026】
高データレートモードでは、モード切替信号SMODEがL(ロー)レベルとされ、フリップフロップ回路FF5は、セレクタSL2によって信号D12を入力し、クロック信号CLK0の立ち上がりタイミングで信号D12をラッチし、信号D1として出力する。また、フリップフロップ回路FF4は、セレクタSL1によって信号D3を入力し、クロック信号CLK0の立ち上がりタイミングで信号D3をラッチし、信号D2として出力する。
【0027】
一方、低データレートモードでは、モード切替信号SMODEがH(ハイ)レベルとされ、フリップフロップ回路FF5は、セレクタSL2によって信号D3を入力し、クロック信号CLK0の立ち上がりタイミングで信号D3をラッチし、信号D1として出力する。また、フリップフロップ回路FF4は、セレクタSL1によって信号D1を入力し、クロック信号CLK0の立ち上がりタイミングで信号D1をラッチし、信号D2として出力する。
【0028】
タイミング発生回路25は、インバータINV、フリップフロップ回路FF7、セレクタSL5を備え、モード切替信号SMODEとクロック信号CLK0を入力し、高データレートモードと低データレートモードを切り替えるタイミング信号TIMIを生成する。フリップフロップ回路FF7は、出力端子QとD端子をインバータINVを介して接続し、1/2分周器として機能する。セレクタSL5は、高データレートモードではタイミング信号TIMIとして常時ハイレベルを出力し、低データレートモードではクロック信号CLK0を1/2分周した信号を出力する。
【0029】
変化点検出回路24は、排他的論理和回路EXOR1、EXOR2、セレクタSL3、SL4を備え、比較データ生成回路23の出力である信号D1、D2、D3と、タイミング発生回路25からタイミング信号TIMIとを入力する。タイミング信号TIMIが有効(ハイレベル)を示す際に、排他的論理和回路EXOR1は、信号D1とD2の値が異なるときにセレクタSL3を介してDOWN信号をハイレベルとして出力する。また、タイミング信号TIMIが有効(ハイレベル)を示す際に、排他的論理和回路EXOR2は、信号D1とD3の値が異なるときにセレクタSL4を介してUP信号をハイレベルとして出力する。タイミング信号TIMIが無効(ローレベル)を示す際に、DOWN信号、UP信号は、それぞれセレクタSL3、SL4によってローレベルとされる。
【0030】
出力データ生成回路26は、セレクタSL6、フリップフロップ回路FF8を備え、信号D1とタイミング信号TIMIとクロック信号CLK0を入力する。フリップフロップ回路FF8は、タイミング信号TIMIが有効(ハイレベル)を示すときはセレクタSL6によって信号D1をラッチして出力データ信号DATAOUTとして出力する。タイミング信号TIMIが無効(ローレベル)のときは、セレクタSL6によって前の出力データの値を保持する。
【0031】
次に、図1を用いてクロックデータリカバリ回路の全体の動作を説明する。ここでは、クロック信号CLK0、CLK1の2相のクロックを使用する例である。
【0032】
第1の動作モード(高データレートモード)において、入力データ信号DATAINのデータレートとクロック信号CLK0、CLK1の周波数の関係は、n[Mbps]のデータレートに対し、n[MHz]の関係となる。クロック信号CLK0、CLK1の位相は、クロックの半周期時間ずれている。すなわち、逆相の関係にある。
【0033】
ここで、クロック信号CLK0、CKL1、CLK0の3つの連続する立ち上がりのタイミングをそれぞれt2、t1、t3とする。
【0034】
まず、t1とt2において入力データ信号DATAINをラッチした値が異なる状態が連続する場合について説明する。先に示したように、検出回路11は、t1とt2でラッチした値が異なる場合、DOWN信号を出力する。これは、t1とt2の間に入力データ信号DATAINにおけるデータの遷移する位相があることを意味する。フィルタ回路12は、DOWN信号が入力されるたびに、アップダウンカウンタの値を減算する。アップダウンカウンタの値が最小の値に達したときに、CLKdn信号を出力すると共に、アップダウンカウンタを初期値に戻す。
【0035】
制御回路13は、CLKdn信号に基づき、現在のクロック生成回路14の出力であるクロック信号CLK0、CLK1の位相を後ろ(遅れ)の方向に変更する位相制御信号SEL[n:0]をクロック発生回路14に出力する。クロック発生回路14は、この位相制御信号SEL[n:0]を入力し、クロック信号CLK0、CLK1の位相を後ろ(遅れ)方向に移動させる。これを繰り返すと、t1とt2でラッチした値がいずれ等しくなる。これは、t2がデータの遷移する位相を超えてt1のデータと同じ値をとるようになるためである。
【0036】
なお、データの値の遷移がない場合、t1とt2のラッチデータの値は、等しくなり、検出回路11からは、UP信号もDOWN信号も出力されない。
【0037】
逆に、t1とt3のラッチデータの値が異なる場合が連続する状態では、検出回路11は、UP信号を出力し、フィルタ回路12のアップダウンカウンタの値を加算し、所定の最大値に達したときにCLKup信号を出力すると共に、アップダウンカウンタを初期値に戻す。
【0038】
制御回路13は、CLKup信号に基づき、現在のクロック信号CLK0、CLK1の位相を前(進み)の方向に変更する位相制御信号SEL[n:0]を出力する。クロック発生回路14は、位相制御信号SEL[n:0]を入力し、クロック信号CLK0、CLK1の位相を前(進み)方向に移動させる。これを繰り返すと、t1とt3でラッチした値がいずれ等しくなる。これは、t3がデータの遷移する位相を超えてt1のデータと同じ値をとるようになるためである。
【0039】
上記の動作を繰り返すことで、t2とt3は、入力データ信号DATAINにおけるデータの遷移する位相を追従する動作を行うこととなる。また、生成されるクロック信号CLK0、CLK1は、入力データ信号DATAINと同期したクロック信号となり、クロック信号が再生される。
【0040】
第2の動作モード(低データレートモード)において、入力データレートとクロック信号CLK0、CLK1の周波数の関係が、n/2[Mbps]のデータレートに対し、n[MHz]のクロックの関係となる。検出回路11では、クロック信号CLK0またはクロック信号CLK1のみでt1、t2、t3を生成し、UP、DOWN信号を出力する。
【0041】
次に、検出回路11の第1および第2の動作モードにおける動作について説明する。
【0042】
図3は、第1の動作モード(高データレートモード)であって、t1とt2のラッチデータの値が異なる場合における検出回路11の動作を表すタイミングチャートである。DATAIN=622Mbps、クロック信号CLK0、CLK1の周波数を622MHzとする。また、SMODE=Lowである。
【0043】
入力データ信号DATAINは、ラッチ回路21でクロック信号CLK0、CLK1の立ち上がり(t2、t1)でラッチされ、それぞれ信号D10、D11として出力される。ここで、クロック信号CLK1の立ち上がりエッジをt1とし、その前のクロック信号CLK0の立ち上がりがt2となり、t1の後ろのクロック信号CLK0の立ち上がりがt3となる。
【0044】
同期化回路22は、信号D11をクロック信号CLK0でラッチし(t3)、クロック信号CLK0に同期した信号D12を出力する。比較データ生成回路23の内部のセレクタ回路SL2は、SMODE=Lowであるので、“0”の入力データを選択して出力する。このセレクタSL2の設定により、同期化回路22から入力される信号D12が、t1のラッチデータである信号D1として比較データ生成回路23から出力される。信号D10に対し、t2、t3のタイミングのラッチデータは、FF6からFF4と伝播してそれぞれ、t2のラッチデータが信号D2として、t3のタイミングのラッチデータが信号D3として比較データ生成回路23から出力される。このとき、信号D1、D2、D3は、クロック信号CLK0の同一の立ち上がりタイミングで出力される。SMODE=Lowでは、タイミング発生回路25のタイミング信号TIMIは、常時ハイレベルとなる。
【0045】
変化点検出回路24は、信号D1とD2、および、信号D1とD3のそれぞれ排他的論理和演算を行ってそれぞれDOWN信号およびUP信号を生成する。図3では、信号D1とD3は常に同じ値となり、UP信号は常時ローレベルである。信号D1とD2は、比較するデータが異なる時(入力データ信号DATAINの値が変化したとき)に、DOWN=Highを出力することになる。また、TIMIが常時ハイレベルであるので、t1のラッチデータである信号D1は、常にクロック信号CLK0でラッチされて出力データ信号DATAOUTとして出力される。さらに、クロック信号CLK0は、バッファリングされてクロック信号CLKOUTとして出力される。
【0046】
図4は、第1の動作モード(高データレートモード)であって、t1とt3のラッチデータの値が異なる場合における検出回路11の動作を表すタイミングチャートである。動作の概要は、図3とほぼ同じである。図4の場合、変化点検出回路24において、信号D1とD2は、常に同じ値となり、DOWN信号は常時ローレベルである。信号D1とD3は、比較するデータが異なる時(入力データ信号DATAINの値が変化したとき)に、UP=Highを出力することになる。また、TIMIが常時ハイレベルであるので、t1のラッチデータである信号D1は、常にクロック信号CLK0でラッチされて出力データ信号DATAOUTとして出力される。
【0047】
図5は、第2の動作モード(低データレートモード)であって、t1とt2のラッチデータの値が異なる場合における検出回路11の動作を表すタイミングチャートである。DATAIN=311Mbps、クロック信号CLK0、CLK1の周波数を図3と同じ622MHzとする。また、SMODE=Highである。
【0048】
入力データ信号DATAINは、ラッチ回路21において、クロック信号CLK0の立ち上がりでラッチされ、信号D10として出力される。クロック信号CLK1のラッチデータである信号D11、D12は、第2の動作モードでは使用されない(無効である)。
【0049】
比較データ生成回路23の内部のセレクタSL1、SL2は、SMODE=Highにより“1”の入力データを出力する。信号D10は、FF6→FF5→FF4の経路で伝播し、それぞれ信号D3、D1、D2として出力される。タイミング生成回路25は、SMODE=Highであるので、クロック信号CLK0の周期で1(ハイレベル)、0(ローレベル)を繰り返すタイミング信号TIMIを出力する。
【0050】
変化点検出回路24は、タイミング信号TIMIがハイレベルのとき、信号D1とD2、および信号D1とD3のそれぞれ排他的論理和をそれぞれDOWN信号およびUP信号として出力する。タイミング信号TIMIがローレベルであるときは、UP、DOWN信号は常にローレベルとなる。
【0051】
第2の動作モードでは、t1、t2、t3は、タイミング信号TIMIで決定される。タイミング信号TIMIがハイレベルに遷移するときのクロック信号CLK0の立ち上がりエッジがt1である。また、t1の一つ前のクロック信号CLK0の立ち上がりがt2である。さらに、t1の一つ後ろのタイミングの立ち上がりがt3となる。
【0052】
ここで、タイミング信号TIMI=Highのとき、信号D1とD3は、常に同じ値となり、UP信号は常時ローレベルとなる。
【0053】
また、タイミング信号TIMI=Highのとき、信号D1とD2は、比較するデータが異なる時(入力データ信号DATAINのデータ値が変化したとき)に、DOWN=Highを出力することになる。
【0054】
出力データ生成回路26は、タイミング信号TIMIがハイレベルのときに、信号D1をラッチし、タイミング信号TIMI=Lowのときは、ラッチした値を保持する。ここでラッチするデータは、t1で入力データ信号DATAINをラッチしたデータとする。出力データ信号DATAOUTには、622MHzの2クロック分、t1のラッチデータを出力することで、311Mbpsのデータを再生して出力している。
【0055】
図6は、第2の動作モード(低データレートモード)であって、t1とt3のラッチデータの値が異なる場合における検出回路11の動作を表すタイミングチャートである。動作の概要は、図5とほぼ同じである。図6の場合、TIMI=Highのタイミングでは、信号D1とD2は、常に同じ値となり、DOWN信号は常時ローレベルとなる。TIMI=Highであって信号D1とD3の比較データの値が異なる時(データの値が変化したとき)に、UP=Highを出力する。出力データ生成回路26の動作は、図5の説明と同じである。
【0056】
以上のように第2の動作モード(低データレートモード)では、クロックデータリカバリ回路は、同じ周波数のクロック信号を用いて、1/2のデータレートで動作可能である。
【0057】
なお、前述の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施例に係るクロックデータリカバリ回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る検出回路の回路図である。
【図3】第1の動作モード(高データレートモード)であって、t1とt2のラッチデータの値が異なる場合における検出回路の動作を表すタイミングチャートである。
【図4】第1の動作モード(高データレートモード)であって、t1とt3のラッチデータの値が異なる場合における検出回路の動作を表すタイミングチャートである。
【図5】第2の動作モード(低データレートモード)であって、t1とt2のラッチデータの値が異なる場合における検出回路の動作を表すタイミングチャートである。
【図6】第2の動作モード(低データレートモード)であって、t1とt3のラッチデータの値が異なる場合における検出回路の動作を表すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0059】
11 検出回路
12 フィルタ回路
13 制御回路
14 クロック発生回路
21 ラッチ回路
22 同期化回路
23 比較データ生成回路
24 変化点検出回路
25 タイミング発生回路
26 出力データ生成回路
BUF バッファ回路
FF1〜FF8 フリップフロップ回路
INV インバータ
SL1〜SL6 セレクタ
EXOR1、EXOR2 排他的論理和回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック信号のエッジに係るタイミングt1、t2、t3(ただし、t2<t1<t3)でサンプリングした入力データ信号の論理値をそれぞれD1、D2、D3とする時、D1≠D2であるか、D1≠D3であるかを検出する検出回路と、
前記検出回路の検出結果に基づいて、前記入力データ信号の論理値の遷移タイミングがタイミングt2、t3に一致するように前記クロック信号の位相を変化させるクロック発生回路と、
を備えることを特徴とするクロックデータリカバリ回路。
【請求項2】
第1および第2の指示信号でカウント値をそれぞれ増減するフィルタ回路と、
前記フィルタ回路のカウント値に応じた位相制御信号を出力する制御回路と、
をさらに備え、
前記検出回路は、D1≠D2である場合に前記第1の指示信号を出力し、D1≠D3である場合に前記第2の指示信号を前記フィルタ回路に出力し、
前記クロック発生回路は、前記位相制御信号に応じて位相を変化させた前記クロック信号を発生することを特徴とする請求項1記載のクロックデータリカバリ回路。
【請求項3】
前記フィルタ回路は、前記第1および第2の指示信号でアップダウン動作するカウンタで構成されることを特徴とする請求項2記載のクロックデータリカバリ回路。
【請求項4】
前記クロック信号は、互いに逆相となる第1および第2のクロック信号を含み、
前記検出回路は、
第1の動作モード(ノーマルノード)に設定される場合、前記第1のクロック信号における一方のエッジのタイミングをt1とし、タイミングt1を挟んでなる、前記第2のクロック信号における一方のエッジのタイミングをそれぞれt2、t3とし、
第2の動作モード(低速データ転送モード)に設定される場合、前記第1のクロック信号における時間的に3つの連続する一方のエッジのタイミングをそれぞれt2、t1、t3とすることを特徴とする請求項1記載のクロックデータリカバリ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−147558(P2010−147558A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319702(P2008−319702)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】