説明

グリコーゲンシンターゼキナーゼ3のインヒビター

式(I)の新規な炭素環式化合物
【化1】


、グリコゲンシンターゼキナーゼ(GSK3)の活性をインビトロで阻害する組成物および方法、ならびにGSK3媒介傷害をインビボで処置する組成物および方法が、提供される。本発明の方法、化合物および組成物は、GSK3活性によって媒介される障害を処置する際に、単独でか、または他の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて使用され得る。この処置は、例えば、糖尿病、アルツハイマー病、他の神経変性障害(例えば、パーキンソン病およびハンティントン病)、肥満症、アテローム性動脈硬化症心血管疾患、本態的高血圧症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、外傷性脳傷害、双極性傷害、免疫不全または癌の処置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)の活性を阻害する炭素環式化合物誘導体、この化合物を含む薬学的組成物、ならびに単独でかまたは他の薬学的に活性な薬剤と組み合わせた化合物および組成物の使用に関する。本発明により提供される化合物および組成物は、GSK3活性により媒介される障害(例えば、糖尿病、アルツハイマー病、他の神経変性障害(例えば、パーキンソン病およびハンティングトン病)、肥満、アテローム硬化性心臓血管疾患、本態性高血圧症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、特に大脳虚血、外傷性脳損傷、双極性障害、免疫不全および癌)の処置において有用性を有する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
グリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)は、セリン/スレオニンキナーゼであり、これについては2つの異性体(αおよびβ)が同定されている。Woodgett、Trends Biochem.Sci.,16:177−81(1991)。両方のGSK3異性体は、休止細胞において構成的に活性である。GSK3は、もともと、直接リン酸化により、グリコーゲンシンターゼを阻害するキナーゼとして同定された。インスリンの活性化の際、GSK3は、不活性化され、それにより、グリコーゲンシンターゼの活性化およびおそらく他のインスリン依存性事象(例えば、グルコース輸送)を可能にする。続いて、GSK3活性がまた、レセプターチロシンキナーゼ(RTK)を介してシグナルを発する他の増殖因子(例えば、インスリン)によって不活性化されることが示された。このようなシグナル伝達分子の例としては、IGF−1およびEGFが挙げられる。Saitoら、Biochem.J.,303:27−31(1994);Welshら、Biochem.J.294:625−29(1993);およびCrossら、Biochem.J.303:21−26(1994)。
【0003】
GSK3活性を阻害する薬剤は、GSK3活性により媒介される障害を処置する際に有用である。さらに、GSK3の阻害は、増殖因子シグナル伝達経路の活性化を模倣し、従って、GSK3インヒビターは、このような経路が不十分に活性である疾患の処置において有用である。GSK3インヒビターを用いて処置され得る疾患の例は、以下に記載される。
【0004】
(糖尿病)
2型糖尿病は、加齢と共に罹患率が上がる疾患である。これは最初に、インスリンに対する上昇した感受性、および循環インスリン濃度の代償的な上昇により特徴付けられ、この後者は、正常な血液グルコースレベルを維持することを必要とする。上昇したインスリンレベルは、膵臓β細胞からの増加した分泌により生じ、そして生じる高インスリン血症は、糖尿病の心臓血管合併症に関連する。インスリン耐性が悪化するにつれて、膵臓β細胞の需要は、膵臓が、もはや適切なレベルのインスリンを供給できなくなるまで確実に増加し、血液中の上昇したグルコースレベルを生じる。最終的に、顕性高血糖症および高脂血症が生じ、糖尿病に関連する壊滅的な長期の合併症(心臓血管疾患、腎不全および失明を含む)に至る。2型糖尿病を生じる正確な機構は、未知であるが、不適切なインスリン応答に加えて、骨格筋への障害性のグルコース輸送および増加した肝臓グルコース産生が生じる。食餌変更は、しばしば効果が無く、従って最終的に、大部分の患者は、この疾患の合併症の進行を予防および/または遅らせる試みにおいて、薬学的介入を必要とする。多くの患者は、インスリン分泌を増加するために入手可能な多くの経口抗糖尿病剤(スルホニルウレアを含む)の1つ以上で処置され得る。スルホニルウレア薬物の例としては、膵臓グルコース産生の抑制のためのメトホルミン、およびトログリタゾン(troglitazone)(インスリン感作薬)が挙げられる。これらの薬剤の有用性にもかかわらず、糖尿病の30〜40%は、これらの医薬を使用して適切には制御されず、そして皮下インスリン注射を必要とする。さらに、これらの治療の各々は、関連する副作用を有する。例えば、スルホニルウレアは、低血糖症を生じ得、そしてトログリタゾンは、重篤な肝毒性を生じ得る。現在、糖尿病前症患者および糖尿病患者の処置のための新しく改良された薬物の必要性が存在する。
【0005】
上記のように、GSK3阻害は、インスリン依存性プロセスを刺激し、従って2型糖尿病の処置において有用である。リチウム塩を使用して得られた最近のデータは、この概念の証拠を提供する。リチウムイオンは、最近、GSK3活性を阻害することが報告されている。Kleinら、PNAS 93:8455−9(1996)。1924年から、リチウムは、抗糖尿病効果(血漿グルコースレベルを下げる能力、グリコーゲン取込みを増加する能力、インスリンを増強する能力、グルコースシンターゼ活性を上方制御する能力、ならびに皮膚、筋肉および脂肪細胞におけるグリコーゲン合成を刺激する能力を含む)を有することが報告された。しかし、リチウムは、おそらく、GSK3以外の分子標的に対する実証された効果のために、GSK活性の阻害における使用が広くは受け入れられていない。GSK3インヒビターでもあるプリンアナログ5−ヨードツベルジシン(iodotubercidin)は、同様に、グリコーゲン合成を刺激し、そしてラット肝臓細胞において、グルカゴンおよびバソプレシンによるグリコーゲンシンターゼの不活化を拮抗する。Fluckiger−Islerら、Biochem J 292:85−91(1993);およびMassillonら、Biochem J 299:123−8(1994)。しかし、この化合物はまた、他のセリン/スレオニンおよびチロシンキナーゼを阻害することが示された。Massillonら、Biochem J 299:123−8(1994)。
【0006】
(アルツハイマー病)
GSK3はまた、アルツハイマー(AD)に関連する生物学的経路に関与する。ADの特徴的な病理学的特徴は、異常にプロセシングされた形態のアミロイド前駆体タンパク質(APP)(いわゆる、β−アミロイドペプチド(β−AP))の細胞外プラーク、ならびに大部分が過リン酸化されたτタンパク質からなる対螺旋フィラメント(PHF)を含む細胞内の神経原線維変化の発達である。GSK3は、PHFτに特徴的な異常な部位で、インビトロにおいてτタンパク質をリン酸化することが見出された多数のキナーゼの1つであり、そしてこれは、生きた細胞および動物においてτタンパク質をリン酸化することもまた示された唯一のキナーゼである。Lovestoneら、Current Biology 4:1077−86(1994);およびBrownleesら、Neuroreport 8:3251−3255(1997)。さらに、GSK3キナーゼインヒビターであるLiClは、細胞において、τ過リン酸化をブロックする。Stambolicら、Current Biology 6:1664−8(1996)。従ってGSK3活性は、神経原線維変化の生成、従って、疾患の進行に寄与し得る。最近、GSK3βは、AD病因における別の重要なタンパク質、プレセニリン1(PS1)と会合することが示された。Takashimaら、PNAS 95:9637−9641(1998)。PS1遺伝子における変異は、β−APの増加した産生を導くが、著者らはまた、変異体PS1タンパク質が、GSK3βにより強固に結合し、そしてPS1の同じ領域に結合するτのリン酸化を増強することを示す。
【0007】
興味深いことに、別のGSK3基質であるβ−カテニンが、PS1に結合することもまた示された。Zhongら、Nature 395:698−702(1998)。細胞質ゾルβカテニンは、GSK3によるリン酸化の際の分解に対して標的化され、そして減少したβ−カテニン活性は、β−APの誘導性ニューロンアポトーシスに対するニューロン細胞の増加した感受性に関連する。従って、GSK3βと変異体PS1との増加した会合は、PS1変異体AD患者の脳において観察されたβ−カテニンの低下したレベルの原因であり得、そしてニューロン細胞の死におけるこの疾患に関連した増加の原因である。これらの観察と一致して、GSK3センスではなくGSK3アンチセンスの注射が、インビトロにおけるニューロンに対するβ−APの病理学的効果をブロックし、細胞死の発生における24時間の遅延および1時間における12から35%への細胞生存の増加をもたらすことが示された。Takashimaら、PNAS 90:7789−93(1993)。これらの後者の研究において、細胞死に対する効果が、細胞内GSK3活性を2倍にすることによって(β−AP投与の3〜6時間以内に)先行し、このことは、GSK3の近位にその基質を増やす遺伝的機構に加えて、β−APが、GSK活性を実際に上昇させ得ることを示唆する。ADにおけるGSK3の役割のさらなる証拠は、GSK3のタンパク質発現レベル(しかし、この場合、特異的活性ではない)が、正常な脳組織と比較して、ADのポストシナプトソーム上清において50%上昇するという観察によって提供される。Peiら、J Neurophathol Exp 56:70−78(1997)。
【0008】
さらにより最近では、公知のGSK3インヒビターである治療濃度のリチウムが、アミロイド前駆体タンパク質(APP)切断を妨害することにより、β−AP産生をブロックすることが示された。Phielら,Nature 423(22):435−438(2003)。GSK3はまた、神経原線維変化の主な成分であるτタンパク質をリン酸化するので、GSK3の阻害は、アミロイド斑および神経原線維変化の両方の減少をもたらし、そしてアルツハイマー病の処置において有用である。
【0009】
(他のCNS障害)
上記のリチウムの効果に加えて、双極性障害(躁鬱性症候群)を処置するためのリチウムの使用の長い歴史がある。リチウムに対するこの臨床的応答は、双極性障害の病因におけるGSK3活性の関与を反映し得、この場合、GSK3インヒビターは、この適応症に適切であり得る。この意見を支持して、双極性障害の処置において一般に使用される別の薬物である、バルプロエートもまた、GSK3インヒビターであることが、最近示された。Chenら、J.Neurochemistry 72:1327−1330(1999)。リチウムおよび他のGSK3インヒビターが双極性障害を処置するように作用し得る1つの機構は、神経伝達物質であるグルタメートにより引き起こされる異常に高レベルの励起に供されたニューロンの生存を増加することである。Nonakaら、PNAS 95:2642−2647(1998)。グルタメート誘導性ニューロン興奮毒性はまた、急性損傷(例えば、大脳虚血、外傷性脳損傷および細菌感染におけるような)に関連する神経変性の主な原因であると考えられる。さらに、過剰なグルタメートシグナル伝達は、アルツハイマー病、ハンティングトン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および多発性硬化症(MS)のような疾患において見られる慢性ニューロン損傷における因子であると考えられる。Thomas,J.Am.Geriatr.Soc.43:1279−89(1995)。従って、GSK3インヒビターは、これらおよび他の神経変性障害の有用な処置であると考えられる。
【0010】
(免疫増強)
GSK3は、転写因子NF−ATをリン酸化し、そしてカルシニューリンの効果とは逆に、その核からの輸送を促進する。Bealsら、Science 275:1930−33(1997)。従って、GSK3は、NF−ATを介する早期の免疫応答遺伝子活性化をブロックし、そしてGSK3インヒビターは、免疫応答の活性化を可能にするかまたは延長する傾向があり得る。従って、GSK3インヒビターは、特定のサイトカインの免疫刺激効果を延長し増強すると考えられ、そしてこのような効果は、これらのサイトカインの腫瘍免疫治療、または実際の一般的な免疫治療の可能性を上昇させ得る。
【0011】
(他の障害)
リチウムはまた、他の生物学的効果を有する。これは、インビトロおよびインビボの両方における造血の強力な刺激因子である。Hammondら、Blood 55:26−28(1980)。イヌにおいて、炭酸リチウムは、再発性好中球減少症を排除し、そして他の血球細胞数を正常化した。Doukasら、Exp Hematol 14:215−221(198)。リチウムのこれらの効果が、GSK3の阻害により媒介される場合、GSK3特異的インヒビターは、さらに広い適用を有し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
GSK3のインヒビターは、多くの疾患の処置において有用であるため、GSK3の新たなインヒビターの同定が非常に所望される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
グリコゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)活性が、本発明によって提供される特定の炭素環式ベースの誘導体によって、インビトロまたはインビボで阻害され得ることが、驚くべきことに、発見された。本発明の炭素環誘導体は、GSK3の特異性をプロセシングすることが見出された。従って、本発明は、グリコゲンシンターゼキナーゼ(GSK3)の活性をインビトロで阻害する新規化合物、組成物および方法、ならびにGSK3媒介傷害をインビボで処置する新規化合物、組成物および方法を提供する。1つの局面において、本発明は、以下の式(I)の、GSK3阻害活性を有する新規化合物:
【0014】
【化7】

およびその薬学的に受容可能な塩を提供し、ここで:
XおよびYは、独立して、窒素、酸素、および必要に応じて置換された炭素からなる群より選択され;
およびAは、必要に応じて置換された、アリール、アリールアミノ、アリールオキシまたはヘテロアリールであり;
、R、RおよびRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ならびに必要に応じて置換された低級アルキル、シクロ低級アルキル、アルキルアミノアルキル、低級アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、アリールおよびへテロアリールからなる群より選択され;
R’、R’、R’およびR’は、独立して、水素、および必要に応じて置換された低級アルキルからなる群より選択され;
R’およびR’は、水素、および必要に応じて置換された低級アルキルからなる群より選択され;
、RおよびRは、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロ、カルボニル、ニトロ、アミノ、アミド、アミジノ、イミド、シアノ、ならびに置換または非置換の低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アラルキルカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ、ホルミル、低級アルキルカルボニル、低級アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノアリール、アルキルスルホニル、スルホンアミド、アミノアルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アミジノ、シクロアルキル、シクロアミド、シクロチオアミド、シクロアミジノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアミジノ、シクロイミド、ヘテロシクロイミド、グアニジニル、アリール、ビアリール、ヘテロアリール、ヘテロビアリール、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、アリールスルホニルおよびアリールスルホンアミドからなる群より選択される。
【0015】
本発明の方法、化合物および組成物は、GSK3活性によって媒介される障害を処置する際に、単独でか、または他の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて使用され得る。この処置は、例えば、糖尿病、アルツハイマー病、他の神経変性障害(例えば、パーキンソン病およびハンティントン病)、肥満症、アテローム性動脈硬化症心血管疾患、本態的高血圧症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、外傷性脳傷害、双極性傷害、免疫不全または癌の処置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明に従って、グリコゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)活性を、インビトロまたはインビボのいずれかで阻害するための、化合物、組成物および方法が提供される。1つの局面において、本発明は、以下の式(I):
【0017】
【化8】

の、GSK3阻害活性を有する新規化合物、およびその薬学的に受容可能な塩を提供する。ここで:
XおよびYは、独立して、窒素、酸素、および必要に応じて置換された炭素からなる群より選択され;
およびAは、必要に応じて置換された、アリール、アリールアミノ、アリールオキシまたはヘテロアリールであり;
、R、RおよびRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ならびに必要に応じて置換された低級アルキル、シクロ低級アルキル、アルキルアミノアルキル、低級アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、アリールおよびへテロアリールからなる群より選択され;
R’、R’、R’およびR’は、独立して、水素、および必要に応じて置換された低級アルキルからなる群より選択され;
R’およびR’は、水素、および必要に応じて置換された低級アルキルからなる群より選択され;
、RおよびRは、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロ、カルボニル、ニトロ、アミノ、アミド、アミジノ、イミド、シアノ、ならびに置換または非置換の低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アラルキルカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ、ホルミル、低級アルキルカルボニル、低級アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノアリール、アルキルスルホニル、スルホンアミド、アミノアルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アミジノ、シクロアルキル、シクロアミド、シクロチオアミド、シクロアミジノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアミジノ、シクロイミド、ヘテロシクロイミド、グアニジニル、アリール、ビアリール、ヘテロアリール、ヘテロビアリール、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、アリールスルホニルおよびアリールスルホンアミドからなる群より選択される。
【0018】
本発明の1つの現在好ましい実施形態において、XおよびYのうちの少なくとも1つは、窒素である。この群の代表的な化合物としては、XおよびYのうちの一方が窒素であり、そしてXおよびYのうちの他方が、酸素、または必要に応じて置換された窒素である、化合物が挙げられる。好ましくは、XとYとの両方が、窒素である。
【0019】
構成要素AおよびAは、独立して、3〜10個の炭素環原子および必要に応じて1つ以上のヘテロ原子を有する、芳香族環を構成し得る。従って、1つの実施形態において、Aおよび/またはAは、必要に応じて置換された、炭素環式アリール、アリールアミノまたはアリールオキシであり得、例えば、置換または非置換のフェニル、フェニルアミノ、フェニルオキシであり得る。あるいは、Aおよび/またはAは、必要に応じて置換されたヘテロアリールであり得、例えば、置換または非置換のピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、トリアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、プリニル、ナフチル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピリジル、およびベンゾイミダゾリルであり得、これらは、少なくとも1個でありかつ3個未満の置換基で置換され得る。代表的な置換基は、例えば、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロ、チオアミド、アミジノ、オキサミジノ、アルコキシアミジノ、イミジノ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルキルアミノ低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アラルキルカルボニル、低級ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルチオ、アミノアルキルおよびシアノアルキルからなる群より独立して選択され得る。
【0020】
本発明の他の実施形態において、R、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは、may be 水素、またはハロ低級アルキル、ヘテロシクロアミノアルキル、および低級アルキルアミノ低級アルキルからなる群より選択される、非置換もしくは置換された低級アルキルであり得る。現在好ましい本発明の実施形態は、R、R、およびRが、水素であり、そしてRが、水素、メチル、エチル、アミノエチル、ジメチルアミノエチル、ピリジルエチル、ピペリジニルエチル、ピロリジニルエチル、ピペラジニルエチルおよびモルホリニルエチルからなる群より選択される化合物を含む。
【0021】
置換基Aは、3〜10個の炭素環原子および必要に応じて1つ以上の環ヘテロ原子を有する芳香族環であり得る。従って、1つの実施形態において、Aは、必要に応じて置換された炭素環式アリールであり得る。あるいは、Aは、必要に応じて置換されたヘテロアリール(例えば、置換または非置換のピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、トリアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、プリニル、ナフチル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピリジル、およびベンゾイミダゾリル)であり得、これらは、少なくとも1個でありかつ3個未満の置換基で置換され得る。代表的な置換基は、例えば、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロ、チオアミド、アミジノ、オキサミジノ、アルコキシアミジノ、イミジノ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルキルアミノ低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アラルキルカルボニル、低級ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルチオ、アミノアルキルおよびシアノアルキルからなる群より独立して選択され得る。
【0022】
現在特に好ましい本発明の実施形態において、Aは、以下の式:
【0023】
【化9】

を有し、ここで、RおよびRは、水素、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロ、チオアミド、アミジノ、オキサミジノ、アルコキシアミジノ、イミジノ、グアニジニル、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、低級アルキル、アミノ低級アルキル、低級アルキルアミノ低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルキルアミノ低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アラルキルカルボニル、低級ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルチオ、アリール、およびアラルキルからなる群より独立して選択される。最も好ましくは、Aは、アミノピリジル、ニトロピリジル、アミノニトロピリジル、シアノピリジル、シアノチアゾリル、アミノシアノピリジル、トリフルオロメチルピリジル、メトキシピリジル、メトキシニトロピリジル、メトキシシアノピリジルおよびニトロチアゾリルからなる群より選択される。
【0024】
本発明の他の現在好ましい化合物は、R、R、およびRのうちの少なくとも1つが、置換および非置換のアリール、ヘテロアリールおよびビアリールからなる群より選択されるbiアリール式(I)の化合物を含む。現在好ましい実施形態において、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、置換または非置換の、以下の式の部分である:
【0025】
【化10】

ここで、R10、R11、R12、R13、およびR14が、水素、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロ、チオアミド、カルボキシル、ヒドロキシ、ならびに必要に応じて置換された低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルコキシ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ アミノカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、アミノアラルキル、低級アルキルアミノアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロヘテロアリール、アラルキル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アラルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、ヘテロアリールカルボニルオキシアルキル、アラルキルカルボニルオキシアルキル、およびヘテロアラルキルカルボニルオキシアルキルからなる群より独立して選択される。R10、R11、R13、およびR14が、水素であり、そしてR12が、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシル、低級アルコキシ、ハロ低級アルキル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、モルホリノ、ピペリジノおよびシアノからなる群より選択される化合物;R11、R13、およびR14が、水素であり、そしてR10およびR12が、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシル、低級アルコキシ、ハロ低級アルキル、モルホリノ、ピペリジノおよびシアノからなる群より独立して選択される化合物;R10、R11、R13、およびR14が、水素であり、そしてR12がヘテロアリールである化合物;R10、R11、R13、およびR14が、水素であり、そしてR12がヘテロシクロアルキルである化合物;ならびにR10、R11、R12、R13、およびR14のうちの少なくとも1つが、ハロであり、そしてR10、R11、R12、R13、およびR14の残りのものが、水素である化合物という、現在特に好ましい化合物が得られる。好ましくは、RおよびRのうちの少なくとも1つは、クロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、ブロモフェニル、ジクロロフルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、ブロモクロロフェニル、ブロモフルオロフェニル、エチルフェニル、メチルクロロフェニル、エチルクロロフェニル、イミダゾリルフェニル、シアノフェニル、モルホリノフェニルおよびシアノクロロフェニルからなる群より選択される。
【0026】
本発明の代表的な実施形態において、R、RおよびRは、置換されたアルキル(例えば、アラルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アミノアラルキル、カルボニルアミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アリールカルボニルアミノアルキル、アラルキルカルボニルアミノアルキル、アミノアルコキシアルキルおよびアリールアミノアルキル;置換されたアミノ(例えば、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ,アルコキシカルボニルアミノ、アリールアルキルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、およびヘテロアラルキルカルボニルアミノ);または置換されたカルボニル(例えば、非置換もしくは置換されたアミノカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニルおよびアルキルアミノアルキルオキシカルボニル)であり得る。他の実施形態において、Rは、アミジノ、グアニジノ、シクロイミド、ヘテロシクロイミド、シクロアミド、ヘテロシクロアミド、シクロチオアミドおよびヘテロシクロ低級アルキルからなる群より選択され得る。なお他の実施形態において、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、アリール、ヘテロアリール、or heterocyclyl such as,例えば、置換または非置換のピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピラジニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジノニル、テトラゾリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、トリアゾリル、チエニル、フラニル、キノリニル、ピロロピリジル、ピラゾロニル、ピリダジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピリジル、ベンゾトリアゾリル、およびベンゾイミダゾリルであり得る。なお他の実施形態において、R、R、およびRのうちの少なくとも1つは、以下の構造:
【0027】
【化11】

を有するモノケトピペラジニル基であり、ここで、R15およびR16は、水素、低級アルキル、低級アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリール低級アルキル、低級アルキルアリール低級アルキル、ハロ低級アルキル、ハロアリール低級アルキル炭素環式およびハロアリール低級アルキル複素環式からなる群より独立して選択されるか;またはR16は、別のR16またはR15と一緒になって、炭素環式環、複素環式環またはアリール環を形成し得;そしてoは、1と3との間の整数である。本発明のこの局面の例示的な実施形態において、R15は、低級アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、およびt−ブチル)であるか、または R15は、R16と一緒になって、以下の構造:
【0028】
【化12】

を有する基を形成する。
【0029】
本明細書中において使用される場合、他の例示的なヘテロシクロ基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる(ここで、置換基の付着点、および以下に示されるほかの置換基は、左上の結合を介する)。これらのヘテロシクロ基は、さらに置換され得、そして本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医化学の分野の当業者に明らかであるように、種々の位置で付着され得る。
【0030】
【化13】

【0031】
【化14】

代表的なヘテロアリール基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる。これらのヘテロアリール基は、さらに置換され得、そして本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医化学の分野の当業者に明らかであるように、種々の位置で付着され得る。
【0032】
【化15】

代表的なシクロイミド基およびヘテロシクロイミド基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる。これらのシクロイミド基およびヘテロシクロイミド基は、さらに置換され得、そして本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医化学の分野の当業者に明らかであるように、種々の位置で付着され得る。
【0033】
【化16】

代表的な置換されたアミジノ基およびヘテロシクロアミジノ基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる。これらのアミジノ基およびヘテロシクロアミジノ基は、さらに置換され得、そして本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医化学の分野の当業者に明らかであるように、種々の位置で付着され得る。
【0034】
【化17】

例示的な置換されたアルキルカルボニルアミノ基、アルキルオキシカルボニルアミノ基、アミノアルキルオキシカルボニルアミノ基、およびアリールカルボニルアミノ基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる。これらの基は、さらに置換され得、そして本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医化学の分野の当業者に明らかであるように、種々の位置で付着され得る。
【0035】
【化18】

代表的な置換されたアミノカルボニル基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる。これらのヘテロシクロ基は、さらに置換され得、そして本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医化学の分野の当業者に明らかであるように、種々の位置で付着され得る。
【0036】
【化19】

代表的な置換されたアルコキシカルボニル基としては、例えば、以下に示されるものが挙げられる。これらのアルコキシカルボニル基は、さらに置換され得、そして本明細書中の開示と組み合わせて、有機化学および医化学の分野の当業者に明らかであるように、種々の位置で付着され得る。
【0037】
【化20】

この群の現在好ましい例示的な化合物としては、例えば、[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−ニトロフェニル]{2−[(5−ニトロ (2−ピリジル)アミノ] エチル}アミン,{2−[(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル)アミノ] エチル}[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−ニトロフェニル]−アミン,6−[(2−{[3−(2,4ジクロロフェニル)−4−ニトロフェニル] アミノ}エチルアミノピリジン−3−カルボニトリル、N−[2−(2,4ジクロロフェニル)−4−({2−[(5−シアノ(2−ピリジル))アミノ] エチル}−アミノ)フェニル] アセトアミド、6−[(2−{[4−アミノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル] アミノ}−エチル)アミノピリジン−3−カルボニトリル、N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−({2−[(5−シアノ(2−ピリジル))アミノ]エチル}アミノ)フェニル]−2−(メチルアミノ)アセトアミド、[3−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−ニトロフェニル] メチル{2−[(5−ニトロ (2−ピリジル))アミノ] エチル}アミンおよび{2−[(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))アミノ] エチル}[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−ニトロフェニル] メチル−アミンが挙げられる。
【0038】
別の局面において、本発明は、ある量の式(I)の化合物を含有する組成物を提供し、この量は、ヒト被験体または動物被験体に、薬学的に受容可能なキャリアと一緒に投与される場合に、ヒト被験体または動物被験体において、GSK3活性を調節するために有効な量である。
【0039】
なお他の実施形態において、本発明は、ヒト被験体または動物被験体において、GSK3活性を阻害する方法を提供し、この方法は、ヒト被験体または動物被験体に、式(I)の化合物を投与する工程を包含する。
【0040】
本発明は、さらに、ヒト被験体または動物被験体において、GSK3媒介障害を処置するための方法であって、該方法は、該ヒト被験体または動物被験体に、該被験体におけるGSK3活性を阻害するために有効な量の、上記式(I)の化合物を、単独でか、または他の薬学的に活性な薬剤と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0041】
なお他の実施形態において、本発明は、薬剤として使用するための上記のような式Iの化合物、および糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティントン病、肥満症、アテローム性動脈硬化症の心血管疾患、本態的高血圧症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、外傷性脳傷害、双極性傷害、免疫不全または癌処置のための医薬におけるこれらの化合物の使用方法を提供する。
【0042】
上記および本明細書中の他の場所において用いられる場合、以下の用語は、以下で定義された意味を有する:
「グリコーゲンシンターゼキナーゼ3」および「GSK3」は、本明細書中交換可能に使用され、ヒトGSK3βアミノ酸配列(Genbank登録番号L33801)の56位と340位との間のアミノ酸に60%より多い配列相同性を有する任意のタンパク質をいう。2つのアミノ酸配列または2つの核酸の相同性のパーセントを決定するために、これらの配列は、最適比較の目的のために整列される(例えば、ギャップは、他のポリペプチドまたは核酸との最適配置について1つのポリペプチドまたは核酸の配列に導入され得る)。次いで、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。1つの配列でのある位置が、他の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められる場合、それらの分子は、その位置で相同である(すなわち、本明細書中で使用される場合、アミノ酸または核酸の「相同性」は、アミノ酸または核酸の「同一性」と等しい)。2つの配列間の相同性のパーセントは、これらの配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、%相同性=同位置の数/位置の総数×100)。GSK3は、Woodgettら、Trends Biochem.Sci.,16:177−81(1991)(本明細書中で参考として援用される)に記載されるグリコーゲンシンターゼのリン酸化によってもともと同定された。GSK3キナーゼ活性を調節することによって、GSK3活性の下流の活性は、阻害され得るか、あるいは刺激され得る。例えば、GSK3活性が阻害される場合、グリコーゲンシンターゼは、活性化され得、グリコーゲン産生の増加を生じ得る。GSK3はまた、種々の他の状況(例えば、c−jun、β−カテニンおよびτタンパク質のリン酸化を含む)においてキナーゼとして作用することが公知である。GSK3キナーゼ活性の阻害が種々の生物学的状況において種々の効果を導き得ることが理解される。しかし、本発明は、本発明が作用する方法に関しての機構の任意の理論によって限定されない。
【0043】
「GSK3インヒビター」とは、本明細書中以下に一般的に記載されるGSK3阻害性活性についての無細胞アッセイにおいて測定した場合に、約100μM以下、そしてより代表的には約50μM以下のGSK3に関するIC50を示す化合物をいうために本明細書中で使用される。「IC50」は、酵素(例えば、GSK3)の活性を最大レベルの半分へ減少させるインヒビターの濃度である。本発明の代表的な化合物は、GSK3に対する阻害性活性を示すことを発見した。本発明の化合物は、好ましくは、無細胞GSK3キナーゼアッセイにおいて測定した場合に、約10μM以下、そしてより好ましくは約5μM以下、なおより好ましくは約1μM以下、最も好ましくは、約200nMのGSK3に関するIC50を示す。
【0044】
「必要に応じて置換される」とは、水素の、一価または二価のラジカルでの置換をいう。適切な置換基としては、例えば、ヒドロキシル、ニトロ、アミノ、イミノ、シアノ、ハロ、チオ、チオアミド、アミジノ、イミジノ、オキソ、オキソアミジノ、メトキシアミジノ、イミジノ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルチオ、アミノアルキル、シアノアルキルなどが挙げられる。
【0045】
置換基は、それ自身置換され得る。置換基上で置換される基は、カルボキシル、ハロ;ニトロ、アミノ、シアノ、ヒドロキシル、低級アルキル、低級アルコキシ、アミノカルボニル、−SR、チオアミド、−SOH、−SOR、またはシクロアルキルであり得、ここで、Rは、代表的に、水素、ヒドロキシルまたは低級アルキルである。
【0046】
置換された置換基が直鎖基を含む場合、この置換は鎖内(例えば、2−ヒドロキシプロピル、2−アミノブチルなど)または鎖の末端(例えば、2−ヒドロキシエチル、3−シアノプロピルなど)のいずれかで起こり得る。置換された置換基は、共有結合した炭素またはヘテロ原子の直鎖状、分枝状または環状の構造であり得る。
【0047】
「低級アルキル」は、本明細書中で使用される場合、1〜10個の炭素原子を含む分枝状または直鎖状のアルキル基であって、非置換であるか、または、例えば1つ以上のハロゲン、ヒドロキシルまたは他の基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる)で置換されている基をいう。
【0048】
語句「アルキル」とは、ヘテロ原子を含まないアルキル基をいう。従って、この語句は、直鎖アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなど)を包含する。この語句はまた、直鎖アルキル基の分枝鎖異性体を包含し、この異性体としては、例として提供される以下:−CH(CH、−CH(CH)(CHCH)、−CH(CHCH、−C(CH3、−C(CHCH、−CHCH(CH、−CHCH(CH)(CHCH)、−CHCH(CHCH、−CHC(CH、−CHC(CHCH、−CH(CH)CH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CH、−CHCHCH(CH)(CHCH)、−CHCHCH(CHCH、−CHCHC(CH、−CHCHC(CHCH、−CH(CH)CHCH(CH、−CH(CH)CH(CH)CH(CH、−CH(CHCH)CH(CH)CH(CH)(CHCH)などが挙げられるが、これらに限定されない。この語句はまた、環状アルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル)、ならびに上記に規定されるような直鎖アルキル基および分枝鎖アルキル基を包含する。この語句はまた、多環式アルキル基(例えば、アダマンチルノルボルニル、ならびにビシクロ[2.2.0]オクチルならびに上記のような直鎖アルキル基および分枝鎖アルキル基で置換されているような基であるがこれらに限定されない)を包含する。従って、語句非置換アルキル基は、一級アルキル基、二級アルキル基および三級アルキル基を包含する。非置換アルキル基は、親化合物における1以上の炭素原子、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子に結合され得る。好ましい非置換のアルキル基としては、1〜20個の炭素原子を有する、直鎖アルキル基および分枝鎖アルキル基、ならびに環式アルキル基が挙げられる。より好ましいこのような非置換アルキル基は、1〜10個の炭素原子を有するが、より好ましくはこのような基は、1〜5個の炭素原子を有する。最も好ましい非置換アルキル基としては、1〜3個の炭素原子を有する、直鎖アルキル基および分枝鎖アルキル基が挙げられ、これらとしては、メチル、エチル、プロピルおよび−CH(CHが挙げられる。
【0049】
「アルキレニル」とは、1〜20個の炭素原子を有する二価の直鎖状または分枝鎖状の飽和脂肪族ラジカルをいう。本発明の化合物において使用される代表的なアルキレニル基は、その骨格に1〜約6個の炭素原子を有する低級アルキレニル基である。「アルケニル」とは、本明細書中では、1つ以上の二重結合および2〜20個の炭素原子を有する、直鎖状、分枝状、または環状のラジカルをいう。「アルキニル」とは、本明細書中では、1つ以上の三重結合および2〜20個の炭素原子を有する、直鎖状、分枝状または環状のラジカルをいう。
【0050】
「低級アルコキシ」とは、本明細書中で使用される場合、RO−をいい、ここでRは低級アルキルである。低級アルコキシ基の代表例としては、メトキシ、エトキシ、t−ブトキシ、トリフルオロメトキシなどが挙げられる。
【0051】
「シクロアルキル」とは、単環式または多環式の、複素環式または炭素環式のアルキル置換基をいう。代表的なシクロアルキル置換基は、3〜8個の骨格(すなわち、環の)原子を有し、ここで各骨格原子は、炭素またはヘテロ原子のいずれかである。用語「ヘテロシクロアルキル」とは、本明細書中では、1〜5個、そしてより代表的には1〜4個のヘテロ原子をその環構造に有するシクロアルキル置換基をいう。本発明の化合物中で用いられる適切なヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄である。代表的なヘテロシクロアルキル部分としては、例えば、モルホリノ、ピペラジニル、ピペラジニルなどが挙げられる。カルボシクロアルキル基は、全ての環原子が炭素であるシクロアルキル基である。シクロアルキル置換基と関連して使用される場合、用語「多環式」とは、本明細書中では、縮合または非縮合のアルキル環式構造をいう。
【0052】
「ハロ」とは、本明細書中ではハロゲンラジカル(例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素)をいう。「ハロアルキル」とは、1つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルラジカルをいう。用語「ハロ低級アルキル」とは、1つ以上のハロゲン原子で置換された低級アルキルラジカルをいう。用語「ハロアルコキシ」とは、1つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシラジカルをいう。用語「ハロ低級アルコキシ」とは、1つ以上のハロゲン原子で置換された低級アルコキシラジカルをいう。
【0053】
「アリール」とは、3〜14個の骨格炭素またはヘテロ原子を有する、単環式および多環式の芳香族基をいい、そして炭素環式アリール基および複素環式アリール基の両方が含まれる。炭素環式アリール基は、芳香族環の全ての環原子が炭素であるアリール基である。用語「ヘテロアリール」とは、本明細書中では、環原子として1〜4個のヘテロ原子を芳香族環中に有し、この環原子の残りが炭素原子であるアリール基をいう。アリール置換基と関連して使用される場合、用語「多環式」とは、本明細書中では、少なくとも1つの環構造が芳香族(例えば、ベンゾジオキソゾロ(これは、フェニル基に縮合した複素環式構造、すなわち
【0054】
【化20A】

、ナフチルなどを有する))である、縮合および非縮合の環状構造をいう。本発明の化合物で置換基として用いられる例示的アリール部分としては、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、プリニル、ナフチル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピリジル、およびベンズイミダゾリルなどが挙げられる。
【0055】
「アラルキル」とは、アリール基で置換されたアルキル基をいう。代表的に、本発明の化合物で用いられるアラルキル基は、このアラルキル基のアルキル部分に組み込まれた1〜6個の炭素原子を有する。本発明の化合物において用いられる適切なアラルキル基としては、例えば、ベンジル、ピコリルなどが挙げられる。
【0056】
「アミノ」とは、本明細書中では基−NHをいう。用語「アルキルアミノ」とは、本明細書中では基−NRR’をいい、ここでRおよびR’は、水素または低級アルキルから各々独立して選択される。用語「アリールアミノ」とは、本明細書中では基−NRR’をいい、ここでRはアリールでありそしてR’は、水素、低級アルキル、またはアリールである。用語「アラルキルアミノ」とは、本明細書中では基−NRR’をいい、ここでRは低級アラルキルであり、そしてR’は、水素、低級アルキル、アリール、または低級アラルキルである。
【0057】
用語「アリールシクロアルキルアミノ」とは、本明細書中では、基アリール−シクロアルキル−NH−をいい、ここでシクロアルキルは二価のシクロアルキル基である。代表的に、シクロアルキルは3〜6個の骨格原子を有し、このうち、必要に応じて1〜約4個はへテロ原子である。用語「アミノアルキル」とは、アミノ基で末端置換されたアルキル基をいう。
【0058】
用語「アルコキシアルキル」とは、基−alk−O−alkをいい、ここでalkは、アルキレニルまたはアルケニルであり、そしてalkは、アルキルまたはアルケニルである。用語「低級アルコキシアルキル」とは、アルコキシアルキルをいい、ここでalkは、低級アルキレニルまたは低級アルケニルであり、そしてalkは、低級アルキルまたは低級アルケニルである。用語「アリールオキシアルキル」とは、基−アルキレニル−O−アリールをいう。用語「アラルコキシアルキル」とは、基−アルキレニル−O−アラルキルをいい、ここでアラルキルは低級アラルキルである。
【0059】
用語「アルコキシアルキルアミノ」とは、本明細書中では、基−NR−(アルコキシルアルキル)をいい、ここでRは、代表的には水素、低級アラルキル、または低級アルキルである。用語「アミノ低級アルコキシアルキル」とは、本明細書中ではアミノアルコキシアルキルをいい、ここでこのアルコキシアルキルは低級アルコキシアルキルである。
【0060】
用語「アミノカルボニル」とは、本明細書中では基−C(O)−NHをいう。「置換アミノカルボニル」とは、本明細書中では基−C(O)−NRR’をいい、ここでRは低級アルキルであり、そしてR’は水素または低級アルキルである。用語「アリールアミノカルボニル」とは、本明細書中では基−C(O)−NRR’をいい、ここでRはアリールであり、そしてR’は、水素、低級アルキルまたはアリールである。「アラルキルアミノカルボニル」とは、本明細書中では基−C(O)−NRR’をいい、ここでRは低級アラルキルであり、そしてR’は、水素、低級アルキル、アリール、または低級アラルキルである。
【0061】
「アミノスルホニル」とは、本明細書中では基−S(O)−NHをいう。「置換アミノスルホニル」とは、本明細書中では基−S(O)−NRR’をいい、ここでRは低級アルキルであり、そしてR’は水素または低級アルキルである。用語「アラルキルアミノスルホニルアリール」とは、本明細書中では基−アリール−S(O)−NH−アラルキルをいい、ここで、アラルキルは低級アラルキルである。
【0062】
「カルボニル」とは、二価の基−C(O)−をいう。
【0063】
「カルボニルオキシ」とは、一般に基−C(O)−O−をいう。このような基としては、エステル、−C(O)−O−Rが挙げられ、ここでRは、水素、低級アルキル、シクロアルキル、アリールまたは低級アラルキルである。用語「カルボニルオキシシクロアルキル」とは、本明細書中では一般に「カルボニルオキシカルボシクロアルキル」および「カルボニルオキシヘテロシクロアルキル」(すなわち、ここでRが、それぞれカルボシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルである)の両方をいう。用語「アリールカルボニルオキシ」とは、本明細書中では基−C(O)−O−アリールをいい、ここでアリールは単環式または多環式のカルボシクロアリールまたはヘテロシクロアリールである。用語「アラルキルカルボニルオキシ」とは、本明細書中では基−C(O)−O−アラルキルをいい、ここでアラルキルは低級アラルキルである。
【0064】
用語「スルホニル」とは、本明細書中では基−SO−をいう。「アルキルスルホニル」とは、構造−SOR−の置換スルホニルをいい、ここでRはアルキルである。本発明の化合物で用いられるアルキルスルホニル基は、代表的に1〜6個の炭素原子をその骨格構造に有する低級アルキルスルホニル基である。したがって、本発明の化合物において用いられる代表的なアルキルスルホニル基としては、例えば、メチルスルホニル(すなわち、Rがメチル)、エチルスルホニル(すなわち、Rがエチル)、プロピルスルホニル(すなわち、Rがプロピル)などが挙げられる。用語「アリールスルホニル」とは、本明細書中では基−SO−アリールをいう。用語「アラルキルスルホニル」とは、本明細書中では基−SO−アラルキルをいい、ここでアラルキルは低級アラルキルである。用語「スルホンアミド」とは、本明細書中では−SONHをいう。
【0065】
本明細書中で使用される場合、用語「カルボニルアミノ」とは、二価の基−NH−C(O)−をいい、ここでカルボニルアミノ基のアミド窒素の水素原子は、低級アルキル、アリール、または低級アラルキル基に置換され得る。このような基としては、カルバメートエステル(−NH−C(O)−O−R)およびアミド−NH−C(O)−O−NR’−R(ここで、RおよびR’は、直鎖または分枝鎖の低級アルキル、シクロアルキル、またはアリール、あるいは低級アラルキルである)のような部分が挙げられる。用語「低級アルキルカルボニルアミノ」とは、アルキルカルボニルアミノをいい、ここでRは、その骨格構造に1〜約6個の炭素原子を有する低級アルキルである。用語「アリールカルボニルアミノ」とは、基−NH−C(O)−Rをいい、ここでRはアリールである。同様に、用語「アラルキルカルボニルアミノ」とは、カルボニルアミノをいい、ここでRは低級アラルキルである。
【0066】
本明細書中で使用される場合、用語「グアニジノ」または「グアニジル」とは、グアニジン(HN−C(=NH)−NH)から誘導された部分をいう。このような部分としては、形式的な(formal)二重結合を有する窒素原子で結合したもの(グアニジンの「2」位、例えば、ジアミノメチレンアミノ(HN)C=NH−))、および形式的な単結合を有する窒素原子のいずれかで結合したもの(グアニジンの「1」位および/または「3」位、例えば、HN−C(=NH)−NH−)が挙げられる。この窒素の任意の水素原子は、低級アルキル、アリールまた低級アラルキルのような適切な置換基で置換され得る。
【0067】
本明細書中で使用される場合、用語「アミジノ」とは、R−C(=N)−NR’−(この基は「N」窒素にある)およびR(NR’)C=N−(この基は、「N」窒素にある)の部分をいい、ここで、RおよびR’は、水素、低級アルキル、アリール、または低級アラルキルであり得る。
【0068】
本発明の化合物は、本明細書中に記載の方法、または当該分野で周知の他の方法を使用して容易に合成され得る。
【0069】
本発明のGSK3インヒビター化合物は、例えば、クロマトグラフィー、結晶化などのような公知の方法を使用して精製され得る。
【0070】
本発明の化合物は、好ましくは、少なくとも他の1つの型のキナーゼと比較して、GSK3に対して相対的に実質的に選択的である阻害活性を示す。本明細書中で使用される場合、用語「選択的」とは、少なくとも他の1つの型のキナーゼと比較して、GSK3に対する阻害についての相対的により高い効力をいう。好ましくは、本発明のGSK3インヒビターは、少なくとも2つの他の型のキナーゼと比較して、GSK3について選択的である。GSK3以外のキナーゼについてのキナーゼ活性アッセイは、一般に公知である。例えば、Havlicekら,J.Med.Chem.,40:408−12(1997)(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。GSK3選択性は、以下に従って定量化され得る:GSK3選択性=IC50(他のキナーゼ)÷IC50(GSK3)、ここで、GSK3インヒビターは、IC50(他のキナーゼ)>IC50(GSK3)の場合に、GSK3について選択的である。したがって、GSK3に対して選択的なインヒビターは、GSK3以外のキナーゼの阻害に関して1倍より高いGSK3選択性を示す。本明細書中で使用される場合、用語「他のキナーゼ」とは、GSK3以外のキナーゼをいう。このような選択性は、一般に実施例20に記載される無細胞アッセイで測定される。
【0071】
代表的に、本発明のGSK3インヒビターは、他のキナーゼと比較して、GSK3について少なくとも約2倍(すなわち、IC50(他のキナーゼ)÷IC50(GSK3))の選択性を示し、より代表的には、これらは少なくとも約5倍の選択性を示す。通常、本発明のGSK3インヒビターは、少なくとも1つの他のキナーゼと比較して、GSK3に対して少なくとも約10倍、望ましくは少なくとも約100倍、そしてより好ましくは少なくとも約1000倍の、選択性を示す。
【0072】
GSK3阻害活性は、本明細書中に記載されるアッセイ、ならびに当業者に一般に公知のアッセイを使用して、容易に検出され得る。GSK3の特異的インヒビターを同定するための例示的な方法としては、無細胞アッセイおよび細胞ベースのGSK3キナーゼアッセイの両方が含まれる。無細胞GSK3キナーゼアッセイは、ポリペプチドGSK3と直接相互作用することによって作用するインヒビターを検出し、一方、細胞ベースのGSK3キナーゼアッセイは、GSK3それ自体との直接相互作用、あるいは、GSK3発現の妨害または成熟した活性GSK3の産生に必要な翻訳後プロセシングの妨害によって機能するインヒビターを同定し得る。
【0073】
一般に、無細胞GSK3キナーゼアッセイは、以下によって容易に実施され得る:(1)GSK3を、ペプチド基質、放射性標識されたATP(例えば、γ33P−またはγ32P−ATP、この両方はAmersham,Arlington Heights,Illinoisから入手可能)、マグネシウムイオン、および必要に応じて1つ以上の候補インヒビターと共にインキュベートすること;(2)この混合物を、GSK3活性によって放射標識ホスフェートをペプチド基質に取り込むことを可能とする時間インキュベートすること;(3)この酵素反応混合物の全てまたは一部を、均一量の捕捉リガンド(これは、ペプチド基質上のアンカーリガンドに結合し得る)を含む別の容器(代表的には、マイクロタイターウェル)に移すこと;(4)未反応の放射標識ATPを除去するために洗浄すること;次いで(5)各ウェルに残存する33Pまたは32Pの量を定量すること。この量は、このペプチド基質に取り込まれた放射標識ホスフェートの量を示す。阻害は、このペプチド基質への放射標識ホスフェートの取り込みにおける減少として観察される。
【0074】
無細胞アッセイにおける使用に適切なペプチド基質は、適切な量のATPの存在下でGSK3によってリン酸化され得る、任意のペプチド、ポリペプチドまたは合成ペプチド誘導体であり得る。適切なペプチド基質は、GSK3の種々の天然のタンパク質基質の配列の一部に基づき得、そしてまた、N末端またはC末端での改変または伸長(スペーサー配列およびアンカーリガンドを含む)を含み得る。したがって、このペプチド基質は、より大きなポリペプチドに存在し得るか、またはGSK3によるリン酸化のために設計された単離ペプチドであり得る。
【0075】
例えば、ペプチド基質は、DNA結合タンパク質CREB(例えば、Wangら,Anal.Biochem.,220:397−402(1994)(これは、本明細書中に参考として援用される)に記載されるCREB DNA結合タンパク質のSGSG連結CREBペプチド配列)の部分配列に基づいて設計され得る。Wangらによって報告されるアッセイにおいて、CREBペプチドのSXXXSモチーフのC末端セリンは、cAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)によって酵素的に前リン酸化され、この工程は、N末端セリンをGSK3によってリン酸化可能なモチーフにするために必要である。代替として、同じSXXXSモチーフを有し、そしてN末端アンカーリガンドもまた含むが、その前リン酸化されたC末端セリンを用いて合成される、改変されたCREBペプチド基質が用いられ得る(このような基質は、Chiron Technologies PTY Ltd.,Clayton,Australiaから市販されている)。ペプチド合成の間のSXXXSモチーフの第2のセリンのリン酸化は、分離工程としてPKAを残す酵素的リン酸化の必要性を排除し、そしてアンカーリガンドの組み込みは、GSK3との反応後のペプチド基質の捕捉を容易にする。
【0076】
一般に、キナーゼ活性アッセイに使用されるペプチド基質は、GSK3によってリン酸化可能な1つ以上の部位、および他のキナーゼによってリン酸化されるがGSK3によってはリン酸化されない1つ以上の他の部位を含み得る。したがって、これらの他の部位は、GSK3によってリン酸化可能なモチーフを作製するために前リン酸化され得る。用語「前リン酸化された」とは、本明細書中では、基質ペプチドを用いるキナーゼアッセイを行う前の、非放射標識ホスフェートでのこの基質ペプチドのリン酸化をいう。このような前リン酸化は、ペプチド基質の合成の間に、好都合に行われ得る。
【0077】
SGSG結合CREBペプチドは、ビオチンのようなアンカーリガンドに結合され得、ここでPとYとの間のC末端付近のセリンが前リン酸化される。本明細書中で使用される場合、用語「アンカーリガンド」とは、捕捉リガンド上のペプチド基質の捕捉を容易にするためにペプチド基質に結合し得るリガンドをいい、そしてこれは、洗浄工程の間にこのペプチド基質を適切な位置に保持するように機能し、なお未反応の放射標識ATPの除去を可能にする。例示的なアンカーリガンドはビオチンである。用語「捕捉リガンド」とは、本明細書中では、高親和性でアンカーリガンドに結合し得る分子をいい、そしてこれは固体構造体に結合される。結合捕捉リガンドの例としては、例えば、アビジンコーティングまたはストレプトアビジンコーティングされたマイクロタイターウェルまたはアガロースビーズが挙げられる。捕捉リガンドを保有するビーズは、シンチラント(scintillant)にさらに結合し得、捕捉された放射標識基質ペプチドの検出手段を提供するか、または後の工程で捕捉したペプチドにシンチラントが加えられ得る。
【0078】
捕捉された放射標識ペプチド基質は、公知の方法を使用してシンチレーションカウンターで定量化され得る。このシンチレーションカウンターで検出されるシグナルは、このペプチド基質の制限された部分のみ(例えば、20%未満)がリン酸化される条件下でこの酵素反応がなされた場合、GSK3活性に比例する。この反応の間にインヒビターが存在する場合、GSK3活性は減少し、したがってより少量の放射標識ホスフェートがペプチド基質に取り込まれる。そのため、より低いシンチレーションシグナルが検出される。結果的に、GSK3阻害活性は、反応の間にインヒビターが存在しないネガティブコントロールで観測されるものと比較した、シンチレーションシグナルの減少として検出される。このアッセイは、本明細書中以下の実施例265により詳細に記載される。
【0079】
細胞ベースのGSK3キナーゼ活性アッセイは、代表的には、GSK3およびGSK3基質の両方(例えば、GSK3をコードする遺伝子で形質転換された細胞およびその基質)(この遺伝子の発現のための調節制御配列を含む)を発現し得る細胞を用いる。細胞ベースのアッセイの実施において、この遺伝子を発現し得る細胞は、本発明の化合物の存在下でインキュベートされる。この細胞は溶解され、そしてこのリン酸化形態における基質の割合が決定される(例えば、SDS PAGE上で非リン酸化形態と比較したその移動度を観察することによって、または基質のリン酸化形態に特異的な抗体によって認識される基質の量を決定することによって)。基質のリン酸化の量は、この化合物の阻害活性を示す(すなわち、阻害は、インヒビターが存在せずに行われたアッセイと比較した、リン酸化の減少として検出される)。細胞ベースのアッセイにおいて検出されたGSK3阻害活性は、例えば、GSK3の発現の阻害に起因し得るか、またはGSK3のキナーゼ活性の阻害によるものであり得る。
【0080】
従って、細胞ベースアッセイはまた、GSK3阻害(例えば、τタンパク質リン酸化、インシュリン信号伝達の相乗作用などの阻害)によって影響を与えられる活性について特異的にアッセイするために使用され得る。例えば、GSK3インヒビターが微小管結合τタンパク質のアルツハイマー様リン酸化を阻害する能力を評価するために、細胞は、ヒトGCK3βおよびヒトτタンパク質を用いて同時トランスフェクトされ得、次いで1つ以上の候補インヒビターと共にインキュベートされ得る。種々の哺乳動物細胞株および発現ベクターは、このタイプのアッセイに対して使用され得る。例えば、COS細胞は、Stambolicら、1996、Current Biology 6:1164−68(本明細書中に参考として援用される)に記載のプロトコルに従うヒトGSK3β発現プラスミド、およびpSG5などの発現プラスミド(初期SV40プロモーターの元でヒトτタンパク質をコードする配列を含む)の両方を用いてトランスフェクトされ得る。本明細書中に参考として援用されるGoedertら、EMBO J.,8:393−399(1989)をまた参照のこと。τのアルツハイマー様リン酸化は、細胞を溶解後、例えばPolymedco Inc.(Cortlandt Manor,New York)から入手可能なAT8などの特異的な抗体を用いてたやすく検出され得る。このアッセイは、本明細書中、以下の実施例においてさらに詳細に記載される。
【0081】
同様に、GSK3インヒビター化合物がグリコーゲンシンターゼを活性化するによってインシュリンシグナル伝達を強化する能力は、細胞ベースグリコーゲンシンターゼ活性アッセイを使用してたやすく確かめられ得る。このアッセイは、グリコーゲンシンターゼ活性を増加することによってインシュリン刺激に応答する細胞(例えば、野生型インシュリンレセプターを過剰発現するCHO−HIRC細胞株(約100,000結合部位/細胞))を使用する。CHO−HIRC細胞株は、Mollerら、J.Biol.Chem.,265:14979−14985(1990)およびMollerら、Mol.Endocrinol.,4:1183−1191(1990)(共に本明細書中に参考として援用される)に記載されるように産生され得る。アッセイは、血清枯渇CHO−HIRC細胞を培地において本発明の種々の濃度の化合物の存在下でインキュベートし、引き続きインキュベーション期間の終わりに細胞を溶解することによって実施され得る。グリコーゲンシンターゼ活性は、Thomasら、Anal.Biochem.,25:486−499(1968)に記載のように溶解物中において検出され得る。グリコーゲンシンターゼ活性は、各サンプルに対して、Thomasら(上記)に記載のように最大グリコーゲンシンターゼ活性のパーセンテージとして見積もられ、そして候補GSK3インヒビター濃度の関数としてプロットされ得る。グリコーゲンシンターゼ活性を増加する候補GSK3インヒビターの最大濃度の半分の濃度(すなわちEC50)は、当業者に周知の慣用的な曲線適合方法を使用して4つのパラメーターS字状曲線に合うようにすることによって計算され得る。このことは、本明細書中下の実施例266により詳細に記載される。
【0082】
GSK3インヒビターは、例えば、当業者に周知の方法を使用してインビボ活性についてたやすくスクリーニングされ得る。例えば、2型糖尿病の処置において強力な治療活性を有する候補化合物は、2型糖尿病の動物モデルにおいてグルコース耐性を改善する能力を検出することによってたやすく同定され得る。特に、候補化合物は、糖尿病のマウス(例えば、KK、db/db、ob/ob)または糖尿病ラット(例えば、Zucker Fa/FaまたはGK)のいずれかにおいてグルコースボーラスの投与の前に任意のいくつかの経路を使用して投薬され得る。候補化合物およびグルコースの投与に引き続いて、血液サンプルが、前もって選択された時間間隔で取り出され、そして血清グルコースおよびインシュリンレベルについて評価される。上昇した分泌レベルの内因性のインシュリンが存在しない改善されたグルコースの処理は、インシュリン感作と考察され得、そして化合物効果を示し得る。本アッセイの詳細な記載は、本明細書中以下の実施例において提供される。
【0083】
同様に、GSKインヒビターは、例えば、当業者に周知の方法を使用して、神経保護活性について容易にスクリーニングされ得る。例えば、潜在的な神経保護活性を有する候補化合物は、Maierら(Maier、C.M.ら、「Optimal depth and duration of mild hupothermia in a focal model of transient cerebral ischemia」Stroke 29:2171−2180(1998))の中脳動脈閉塞によって容易に同定され得る。このモデルにおいて、成体雄性ラットは、麻酔される。右大腿動脈は、血圧をモニタリングすること、血液サンプルを回収すること、ならびに生理食塩水の注入および実験化合物の導入について特徴付けられる。発作は、中脳動脈を閉塞するためにモノフィラメント縫合糸を挿入することによって作られる。縫合糸は2時間そのままにしておく。縫合糸を除去した後、組織を22〜72時間再灌流する。化合物は、虚血の発症前、発症中、または発症後に投与され得る。24〜72時間後、生存する動物を安楽死させ、脳を直ぐに取り出し、切り出す。脳の切片を、塩化テトラゾリウム、ヘマトキシリンおよびエオジン、クリスタルバイオレットならびに免疫組織学について処理する。梗塞領域は、光学顕微鏡によって決定し、そして全左半球領域の割合として表す。本発明の好ましいGSK2インヒビターは、MCAOモデルにおける梗塞のサイズを減少させる。
【0084】
本発明のGSKインヒビターは、Mandirら(Mandir,A.S.ら、「Poly(ADR−ribose)polymerase activation mediates1−methyl−4−phenyl−1,2,3,6−tetrahydropyridine(MPTP)−induced parkinsonism」、P.N.A.S.96(10):5774−5779(1999)のメチルフェニルテトラヒドロピリジン(MPTP)モデルを用いて、抗パーキンソン病活性について容易にスクリーニングされる。パーキンソン病は、黒質における神経の選択的変性によって特徴付けられる。インビトロでは、活性代謝産物MPP+に転換されるMPTPは、霊長類において亜急性のパーキンソンニズムを引き起こし、げっ歯類において黒質ニューロンの変性を引き起こす。この疾患の進行を混乱させるかまたは遅延させ得る化合物を評価するために、MPTPげっ歯類モデルが使用される。成体ラットまたはマウスは、MPTPの2〜4回の腹腔内注射を、2〜12時間間隔(30mg/kg)で与えられることにより、ドーパミン黒質線条体(nigostriatal)経路の破壊を引き起こす。GKSインヒビターは、浸透圧性ミニポンプを介して静脈内に連続的に7日間にわたって投与される。動物を安楽死させ、脳を取りだす。脳の領域を、チロシンヒドロキシラーゼ線維、アポトーシス細胞、およびドーパミンの存在について分析する。本発明の好ましいGSK3インヒビターは、黒質におけるニューロンおよび線維の生存の増加を実証する。
【0085】
本発明のGSK3インヒビターは、Andersonら(Anderson,K.D.ら、「Ciliary neurotrophic factor protects striatal output neurons in an animal model of Huntington disease」、P.N.A.S.93:7346−7351(1996))のキノリン酸傷害モデルを用いて、抗ハンチントン活性について容易にスクリーニングされる。このモデル系において、成体ラットにキノリン酸の一側性線条体注射を与える。これは、7日後に線条体において著しい細胞喪失を引き起こす。AQ注射時および7日間の回復期間の間でのGSK3インヒビターを用いた処置は、OAが組織学的に評価されるような線条体損傷を誘発することを阻害するはずである。
【0086】
本発明のGSK3インヒビターの活性はまた、Alberiら(Alberi,S.ら、「Axotomized neonatal motoneurons overexpressing the bcl−2 proto−oncogene retain functional electrophysiological prpperties」、P.N.S.A.93:3978−3983(1996))の運動神経変性モデルを用いて評価され得る。このモデルにおいて、2〜4週齢のラットにおける顔面神経の一側性軸策は、顔面神経核において運動神経の40〜90%の死を生じる。GKS3インヒビターは、ゲルフォームスポンジまたは注射によって傷害部位に導入される。傷害から7〜10日後、動物を安楽死させ、顔面神経核の運動神経を染色(クリスタルバイオレット)し、そしてカウントする。本発明の好ましいGSK3インヒビターは、顔面神経を傷害誘導性死から保護する。
【0087】
本発明の化合物は、無機酸または有機酸由来の塩の形態で使用され得る。これらの塩として、以下が挙げられるがそれらに限定されない:アセテート、アジパート、アルギナート、シトラート、アスパルテート、ベンゾアート、ベンゼンスルホナート、重硫酸塩、ブチラート、ショウノウ酸塩(camphorate)、ショウノウスルホン酸塩(camphorsulfonate)、ジグルコナート(digluconate)、シクロペンタンプロピオナート、ドデシル硫酸塩、エタン硫酸塩、グルコノヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、エキサノン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタン硫酸塩、ラクタート、マレアート、メタン硫酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレン硫酸塩、オキザラート、パモエート、ペクチン酸塩(pectinate)、硫酸塩、3−フェニルポリピオナート、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオナート、スクシナート、タータラート、チオシアン酸塩、p−トルエン硫酸塩、およびウンデカン酸塩。また、塩基性窒素含有基は、以下のような因子で4級化され得る:低級アルキルハロゲン化物(例えば、塩化、臭化、およびヨウ化のメチル、エチル、プロピル、およびブチル);硫酸ジアルキル(硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチル、および硫酸ジアミルのような)、長鎖ハロゲン化物(例えば、塩化、臭化、およびヨウ化のデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル)、アラルキルハロゲン化物(臭化ベンジル、および臭化フェネチルおよび他のような)。これによって、水または油溶解性または分散性の生成物が得られる。
【0088】
薬学的に受容可能な酸付加塩を形成するために使用され得る酸の例として、塩酸、硫酸およびリン酸などの無機酸ならびにシュウ酸、マレイン酸、コハク酸およびクエン酸などの有機酸が挙げられる。塩基付加塩は、最終単離および式(I)の化合物の精製の間にインサイチュにおいて、またはカルボン酸部分を適切な塩基(例えば、薬学的に受容可能な金属カチオンの水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩)またはアンモニア、または有機一級、二級もしくは三級アミンと別個に反応することによって調製され得る。薬学的に受容可能な塩として以下が挙げられるがそれらに限定されない:アルカリ金属およびアルカリ土類金属に基づくカチオン(例えばナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム塩など)、ならびに非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどが挙げられるがこれらに限定されない)。塩基付加塩の形成に有用である他の代表的な有機アミンとして、ジエチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ピペラジンなどが挙げられる。
【0089】
本発明の化合物は、経腸経路、非経口経路および局所的経路を含む種々の投与法で投与され得る。例えば、適切な投与形態としては、経口、皮下、経皮、経粘膜、イオン導入、静脈内、筋内、腹腔内、鼻腔内、硬膜下、直腸などが挙げられる。
【0090】
本発明の他の実施形態に従って、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と一緒に、本発明のGSK3インヒビター化合物を含有する組成物が提供される。
【0091】
適切な薬学的に受容可能な賦形剤は、プロセシング剤および薬物送達調節剤および増強剤(例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、単糖、二糖、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、低融点ワックス、イオン交換樹脂など、ならびにこれらの任意の2種以上の組み合わせ)を含む。他の適切な薬学的に受容可能な賦形剤は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Pub,Co.、New Jersey(1991)(これは、本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0092】
本発明のGSK3インヒビター化合物を含有する薬学的組成物は、意図された投与方法に適切な任意の形態(例えば、溶液、懸濁液または乳濁液)であり得る。液体キャリアは、代表的に、溶液、懸濁液、および乳濁液を調製する際に使用される。本発明の実施において使用するために意図された液体キャリアとしては、例えば、水、生理食塩水、薬学的に受容可能な有機溶媒、薬学的に受容可能な油または脂肪など、ならびにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。液体キャリアは、他の適切な薬学的に受容可能な添加剤(例えば、可溶化剤、乳化剤、栄養素、緩衝液、保存剤、懸濁剤、増粘剤、粘度調節剤、安定剤など)を含み得る。適切な有機溶媒としては、例えば、一価アルコール(例えば、エタノール)および多価アルコール(例えば、グリコール)が挙げられる。適切な油としては、例えば、大豆油、ココナツ油、オリーブ油、ベニバナ油、綿実油などが挙げられる。非経口投与について、キャリアはまた、油性エステル(例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルなど)であり得る。本発明の組成物は、微粒子、マイクロカプセル、リポソーム封入など、ならびにこれらの2種以上の組み合わせの形態であり得る。
【0093】
本発明の化合物は、所望のように、従来の非毒性の薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントおよびビヒクルを含有する投薬単位処方物で、経口的に、非経口的に、舌下で、吸入スプレーによって、直腸的に、または局所的に投与され得る。局所的投与はまた、経皮的投与(例えば、経皮パッチまたはイオン導入デバイス)の使用を含み得る。本明細書中で使用される場合、用語、非経口とは、皮下注射、静脈内、筋内、胸骨内注射または注入技術を含む。
【0094】
注射可能な調製物(例えば、滅菌の注射可能な水性または油性の懸濁液)は、適切な分散剤、潤滑剤および懸濁剤を使用して、公知技術に従って処方され得る。滅菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の、滅菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−プロパンジオール中の溶液)であり得る。受容可能なビヒクルおよび溶媒の中で、水、リンガー溶液および等張塩化ナトリウム溶液が使用され得る。さらに、滅菌の不揮発油は、溶媒または懸濁媒体として従来使用される。この目的のために、任意の無刺激の不揮発油(合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む)が使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)は、注射可能な調製物において用途を見出す。
【0095】
薬物の直腸投与のための坐剤は、通常の温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って、直腸中で溶解して薬物を放出する、適切な非刺激性賦形剤(例えば、ココアバターおよびポリエチレングリコール)と、この薬物とを混合することによって調製され得る。
【0096】
経口投与のための固体投薬形態としては、カプセル、錠剤、丸剤、粉末および顆粒が挙げられ得る。このような固体投薬形態において、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプン)と混合され得る。このような投薬形態はまた、通常の使用の場合、不活性な希釈剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤)以外に、さらなる物質を含み得る。カプセル、錠剤および丸剤の場合、投薬形態はまた、緩衝剤を含み得る。錠剤および丸剤は、腸溶性コーティングを用いてさらに調製され得る。
【0097】
経口投与のための液体投薬形態としては、水のような、当該分野で一般的な不活性な希釈剤を含む、薬学的に受容可能な乳濁液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられ得る。このような組成物はまた、アジュバント(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤)、シクロデキストリンならびに甘味剤、香味料および香料を含み得る。
【0098】
なお他の実施形態に従って、本発明は、ヒトまたは動物の被験体においてGSK3活性を阻害するための方法を提供し、この方法は、被験体においてGSK3活性を阻害するに有効な量の、構造(I)を有するGSK3インヒビター化合物(またはこのような化合物を含有する組成物)を、被験体に投与する工程を包含する。他の実施形態は、細胞または、ヒトもしくは動物の被験体におけるGSK3媒介性の障害を処置するための方法を提供し、この方法は、細胞または被験体におけるGSK3活性を阻害するに有効な量の、本発明の化合物または組成物を、細胞またはヒトもしくは動物の被験体に投与する工程を包含する。好ましくは、この被験体は、ヒトまたは非ヒト動物の被験体である。GSK3活性の阻害は、コントロールと比較したか、または予測されるGSK3活性と比較した、GSK3活性の検出可能な抑制を含む。
【0099】
有効量の本発明の化合物は、一般に、本明細書中に記載される任意のアッセイによってか、当業者に公知の他のGSK3キナーゼ活性アッセイによってか、またはGSK3媒介性の障害に罹患した被験体における症状の緩和を検出することによって、GSK3活性を検出可能に阻害するに十分な、任意の量を含む。
【0100】
本発明に従って処置され得るGSK3媒介性障害としては、GSK3活性が関係するか、または処置される疾患において特徴的に欠損する経路を通じて、GSK3の阻害がシグナル伝達を増強する、任意の生物学的障害または医学的障害が挙げられる。この状態または障害は、異常なGSK3活性によって引き起こされるかまたは特徴付けられるかのいずれかであり得る。代表的なGSK3媒介性障害としては、例えば、2型糖尿病、アルツハイマー病および他の神経変性障害(例えば、パーキンソン病、ハンティングトン病)、肥満、アテローム硬化症心血管疾患、本態性高血圧症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群(syndrome X)、虚血、特に脳虚血、外傷性脳損傷、双極性障害、免疫不全、癌などが挙げられる。
【0101】
本発明に従う、被験体の首尾よい処置は、医学的または生物学的障害を罹患した被験体における症状の低減または緩和の誘導を生じ、例えば、障害のさらなる進行を停止するか、または障害を予防し得る。従って、例えば、糖尿病の処置は、患者におけるグルコースレベルまたはHbA1cレベルの減少を生じ得る。同様に、アルツハイマー病の処置は、例えば、痴呆の進行速度の減少を測定することによって検出される、疾患の進行速度の減少を生じ得る。
【0102】
キャリア材料と合わされて単回投薬形態を生成し得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与様式に依存して異なる。しかし、任意の特定の患者についての特定の用量レベルが、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的健康、性別、食餌、投与回数、投与経路、排泄速度、薬物の組み合わせ、および治療を受ける特定の疾患の重篤度を含む種々の因子に依存することが理解される。所定の状況についての治療的有効量は、慣用的な実験によって容易に決定され得、そして通常の臨床医の技術および判断の範囲内である。
【0103】
本発明の目的のために、治療的有効用量は、一般に、約0.1mg/kg/日〜約100mg/kg/日、好ましくは約1mg/kg/日〜約20mg/kg/日、そして最も好ましくは約2mg/kg/日〜約10mg/kg/日の本発明のGSK3インヒビター化合物であり、これは、1つまたは複数の用量で投与され得る。
【0104】
本発明の化合物はまた、リポソーム形態で投与され得る。当該分野で公知のように、リポソームは、一般に、リン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中に分散された単層または多層の水和液晶によって形成される。リポソームを形成し得る、任意の非毒性の生理的に受容可能かつ代謝可能な脂質が使用され得る。リポソーム形態の本発明の組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存剤、賦形剤などを含み得る。好ましい脂質は、天然および合成両方の、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)である。リポソームを形成する方法は、当該分野で公知である。例えば、Prescott、編、Methods in Cell Biology、Volume XIV、Academic Press、New York、N.W.、33頁以下参照(1976)。
【0105】
本発明の化合物は、単独で活性な薬学的薬剤として投与され得るが、これらはまた、障害の処置において使用される1以上の他の薬剤と組み合わせて使用され得る。2型糖尿病の処置のために、本発明の化合物と組み合わせて有用な代表的薬剤としては、例えば、インスリン、トログリタゾン、ロジグリタゾン(rosiglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、グリピジド、メトホルミン、アカルボースなどが挙げられる。アルツハイマー病の処置のために、本発明の化合物と組み合わせて有用な代表的薬剤としては、例えば、ドネペジル(donepezil)、タクリンなどが挙げられる。双極性疾患の処置のために、本発明の化合物と組み合わせて有用な代表的薬剤としては、例えば、リチウム塩、バルプロエート、カルバマゼピンなどが挙げられる。発作の処置のために、本発明の化合物と組み合わせて有用な代表的薬剤は、例えば、組織プラスミノゲン活性化因子である。
【0106】
さらなる活性薬剤が、本発明の化合物と組み合わせて使用される場合、このさらなる活性薬剤は、一般に、PHYSICIANS’ DESK REFERENCE(PDR)第53版(1999)(これは、本明細書中で参考として援用される)に示されるような治療的量で使用され得るか、または当業者に公知であるような治療的に有用な量で使用され得る。
【0107】
本発明の化合物および他の治療的に活性な薬剤は、推奨される最大の臨床的投薬量またはより低い用量で投与され得る。本発明の組成物中の活性化合物の投薬レベルは、投薬経路、疾患の重篤度および患者の応答に依存して、所望の治療応答を獲得するように、変化され得る。組み合わせは、別個の組成物としてか、または両方の薬剤を含有する単一投薬形態として、投与され得る。組み合わせとして投与される場合、この治療剤は、同時もしくは異なる時点で与えられる別個の組成物として処方され得るか、またはこの治療剤は、単一組成物として与えられ得る。
【0108】
上記は、以下の各実施例と関連して、よりよく理解され得、これらは、説明のために提示され、本発明の概念の範囲を制限しない。
【実施例】
【0109】
(実施例1)
(特徴付けおよび精製方法)
本発明の化合物は、2690 Separation Module(Milford、Massachusetts)を用いて、Waters Millenniumクロマトグラフィーシステムを使用して、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって特徴づけられた。分析カラムは、Column Engineering 5μ Reliasil C18カラム(50×4.6mm)であり、18分で水中5%〜80%アセトニトリルの傾斜の勾配であった。全ての溶媒は、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含んでいた。化合物を、220nmまたは254nmのいずれかでの紫外線(UV)吸収によって検出した。HPLC溶液は、Burdick and Jackson(Muskegan、Michigan)またはFisher Scientific(Pittsburgh、Pennsylvania)製であった。いくつかの例において、純度を、裏がガラスまたはプラスチックのゲルプレート(例えば、Baker−Flex Silica Gel 1B2−F可撓性シート)を使用して、薄層クロマトグラフィー(TLC)によって評価した。TLCの結果を、紫外線光の下で、または周知のヨウ素蒸気および他の種々の染色技術を使用することによって、容易に可視的に検出した。
【0110】
質量分析を、Fisons VG Electrospray Mass Spectrometerで実行した。全ての質量は、プロトン化された親イオンの質量として報告される。
【0111】
核磁気共鳴(NMR)分析を、Varian 300MHz NMR(Palo Alto、California)で実行した。スペクトル基準は、TMSまたは溶媒の公知の化学的シフトのいずれかであった。いくつかの化合物サンプルを、上昇した温度(すなわち、75℃)で実行して、サンプルの溶解性の増大を促進した。
【0112】
本発明のいくつかの化合物の純度を、元素分析(Desert Analytics、Tucson、Arizona)によって評価した。
【0113】
融点を、Laboratory Devices Mel−Temp apparatus(Holliston、Massachusetts)で決定した。
【0114】
(実施例2)
(2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フルオロ−1−ニトロベンゼンの合成)
ベンゼンおよび3mlの水中の、1−ブロモ−5−フルオロ−2−ニトロベンゼン(1g、4.5mmol)、2,4−ジクロロベンゼンボロン酸(907mg、4.7mmol)、炭酸ナトリウム(1,44g、13.5mmol)を含む混合物を、30分間、窒素でパージした。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(264mg、0.2mmol)を、この混合物に添加し、そして一晩、75℃に加熱した。反応混合物を酢酸エチルと水との間で分割した。有機層を分離し、そしてブラインで洗浄し、乾燥(MgSO)させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して、褐色の固体を得、これを再結晶化させて、1g(収率80%)の白色の固体を得た。生成物は、満足なNMRを与えた。
HPLC:13.2分(100%)
MS(M+H/Z)、266。
【0115】
(実施例3)
(N−(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)−N’−(5−ニトロピリジン−2−イル)エタン−1,2−ジアミンの合成)
【0116】
【化21】

アセトニトリル中の2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フルオロ−1−ニトロベンゼン(30mg、0.1mmol)に、2−(2−アミノエチルアミノ)−5−ニトロピリジン(19mg、0.1mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(18μl、0.1mmol)を添加し、この混合物を、80℃で一晩加熱した。この混合物を酢酸エチルと水との間で分割し、有機層を乾燥(MgSO)させ、濃縮した。溶出液としてジクロロメタン中の5%メタノールを用いて、シリカゲル上で精製して、32mgのN−(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)−N’−(5−ニトロピリジン−2−イル)エタン−1,2−ジアミンを得た。
HPLC:12.6分(90%)
MS(M+H/Z)、448。
【0117】
(実施例4)
(N〜6〜−{2−[(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)アミノ]エチル}−3−ニトロピリジン−2,6−ジアミンの合成)
【0118】
【化22】

N,N−ジメチルホルムアミド中の2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フルオロ−1−ニトロベンゼン(20mg、0.06mmol)に、2−アミノ−3−ニトロ−6−(2−アミノエチルアミノ)ピリジン(14mg、0.07mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(16μl、0.07mmol)を添加し、80℃で一晩加熱した。この混合物を酢酸エチルと水との間で分割し、有機層を乾燥(MgSO)させ、濃縮した。溶出液としてジクロロメタン中の5%メタノールを用いて、シリカゲル上で精製して、7mgのN〜6〜−{2−[(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)アミノ]エチル}−3−ニトロピリジン−2,6−ジアミンを得た。
HPLC:11.5分(100%)
MS(M+H/Z)、463。
【0119】
(実施例5)
(6−({2−[(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)アミノ]エチル}アミノ)ニコチノニトリルの合成)
【0120】
【化23】

アセトニトリル中の2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フルオロ−1−ニトロベンゼン(32mg、0.1mmol)に、2−(2−アミノエチルアミノ)−5−シアノピリジン(19.2mg、0.1mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(18μl、0.1mmol)を添加し、この混合物を85℃で一晩加熱した。この混合物を酢酸エチルと水との間で分割し、有機層を乾燥(MgSO)させ、濃縮した。溶出液としてジクロロメタン中の5%メタノールを用いて、シリカゲル上で精製して、25mgの6−({2−[(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)アミノ]エチル}アミノ)ニコチノニトリルを得た。
HPLC:13.1分(90%)
MS(M+H/Z)、428。
【0121】
(実施例6)
(N−[2’,4’−ジクロロ−5−({2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル}アミノ)−1,1’−ビフェニル−2−イル]アセトアミドの合成)
【0122】
【化24】

ジクロロメタン中の6−[(2−{[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−ニトロフェニル]アミノ}エチルアミノピリジン−3−カルボニトリル(40mg、0.1mmol)に、50μlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、この混合物を10分間撹拌した。この溶液を濃縮し、これに、SnCl(90mg、0.5mmol)および(1:4)ジオキサン:HO中の100μl塩酸の溶液の2mlを添加した。この溶液を1時間撹拌した。この混合物を酢酸エチルと水との間で分割し、44mgのN−[4−アミノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル]−N−{2−[(5−シアノ(2−ピリジル))アミノ]エチル}−2,2,2−トリフルオロアセトアミドを単離した。ジクロロメタン中のこれに、10μlの塩化アセチルおよび13μlのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加し、30分で、アセチル化生成物をLC/MSで観察する。水性ワークアップ後、(1:1)水:ジオキサン中の生成物に、10mgのKCOを添加し、2時間撹拌した。この混合物を酢酸エチルと水との間で分割し、有機層を乾燥(MgSO)させ、エーテルで粉砕して、20mgのN−[2’,4’−ジクロロ−5−({2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル}アミノ)−1,1’−ビフェニル−2−イル]アセトアミドをを得た。
HPLC:7.2分(99%)
MS(M+H/Z),440。
【0123】
(実施例7)
(6−({2−[(6−アミノ−2’,4’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)アミノ]エチル}アミノ)ニコチノニトリルの合成)
【0124】
【化25】

触媒量の10%Pd/Cを伴う、エチルアルコール中の40mgの6−[(2−{[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−ニトロフェニル]アミノ}エチルアミノピリジン−3−カルボニトリルに、500μlのヒドラジンを添加し、そして2時間溶液を還流させた。触媒を濾過して除き、濾液を減圧下で濃縮して、22mgの6−({2−[(6−アミノ−2’,4’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)アミノ]エチル}アミノ)ニコチノニトリルを得た。
HPLC:6.7分(80%)
MS(M+H/Z),398。
【0125】
(実施例8)
(N〜1〜−[2’,4’−ジクロロ−5−({2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル}アミノ)−1,1’−ビフェニル−2−イル]−N〜2〜−メチルグリシンアミドの合成)
【0126】
【化26】

テトラヒドロフラン中の20mgの6−[(2−{[4−アミノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル]アミノ}エチル)−アミノピリジン−3−カルボニトリルに、19mgのBOC−サルコシン、38mgのHBTUおよび24μlのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加し、そしてこの混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を酢酸エチルと水との間で分割した後、有機層を濃縮した。これに、ジクロロメタンおよびTFAを添加し、HPLC後に、TFA塩として、1.2mgの93%純粋N〜1〜−[2’,4’−ジクロロ−5−({2−[(5−シアノピリジン−2−イル)アミノ]エチル}アミノ)−1,1’−ビフェニル−2−イル]−N〜2〜−メチルグリシンアミドを、得た。
MS:(M+H/Z),469。
【0127】
(実施例9)
(N−(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)−N−メチル−N’−(5−ニトロピリジン−2−イル]エタン−1,2−ジアミンの合成)
【0128】
【化27】

N,N−ジメチルホルムアミド中の22mgの2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フルオロ−1−ニトロベンゼンに、15mgの[2−(メチルアミノエチル] (5−ニトロ (2−ピリジル))−アミンおよび30μlのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加し、そしてこの混合物を、85℃に一晩加熱した。この混合物を酢酸エチルと水との間で分配した後に、その有機層を濃縮し、そして乾燥し(MgSO)、そして再結晶して、6mgのN−(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)−N−メチル−N’−(5−ニトロピリジン−2−イル)エタン−1,2−ジアミンを得た。
HPLC: 13.2分(100%)
MS: MS (M+H/Z),462。
【0129】
(実施例10)
(N〜6〜−{2−[(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)(メチル)アミノ]エチル}−3−ニトロピリジン−2,6−ジアミンの合成)
【0130】
【化28】

アセト二トリル中の10mgの2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フルオロ−1−ニトロベンゼンに、10mgの(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))[2−(メチルアミノ)エチル] アミンおよび7μlのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを添加し、そしてこの混合物を、85℃に一晩加熱した。水での後処理後に、その組成物質を、溶出液としてヘキサン中30%のアセトンを用いるシリカゲルカラムで精製して、6mgのN〜6〜−{2−[(2’,4’−ジクロロ−6−ニトロ−1,1’−ビフェニル−3−イル)(メチル)アミノ] エチル}−3−ニトロピリジン−2,6−ジアミンを得た。
HPLC,12.1分(85%)
MS (M+H/Z),477。
【0131】
(実施例11)
(l−({2−[(6−アミノ−5−ニトロピリジン−2−イル)アミノ]エチル}アミノ)−2’,4’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル−2−イルl−4−メチルピペラジン−2−オンの合成)
【0132】
【化29】

(A.N−[4−({2−[(6−アミノ−5−ニトロ(2−ピリジル))アミノ]エチル}アミノ)−2−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル]−2−ブロモアセトアミドの調製)
水性NaHCO(8当量)を、最少量のEtOAc中の[4−アミノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル]{2−[(6−アミノ−5−ニトロ(2−ピリジル))アミノ] エチル}アミン(1当量)攪拌溶液に室温で添加した。最少量のEtOAc中の2−ブロモアセチルクロリド(1.5当量)を、激しく攪拌している反応溶液にゆっくりと添加した。この反応を、LC/MSで追跡し、そして 30分以内で完了したことを決定した。その有機層を分離し、そして水、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして濃縮乾固して、粗製N−[4−({2−[(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))アミノ] エチル}アミノ)−2−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル] −2−ブロモアセトアミドをas a dark yellow glass in 暗黄色のガラス状物を76%の収率で得た。(〜90%純粋、LC/MS m/z 555.2MH+)。この生成物を、分解を防ぐために、−4℃で保存した。
【0133】
(B.N−[4−({2−[(6−アミノ−5−ニトロ(2−ピリジル))アミノ]エチル}アミノ)−2−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル]−2−[(2−ヒドロキシエチルメチルアミノ1アセトアミドの調製)
N−メチルエタノールアミン (2当量)を、CHCN中のN−[4−({2−[(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))アミノ] エチル}アミノ)−2−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル]−2−ブロモアセトアミド (8.65当量)の攪拌溶液に、室温で添加した。この反応をLC/MSにより追跡し、そして12時間後に完了したことを決定した。この反応物を濃縮し、そしてCHCl中MeOH(5: 95,v/v)で溶出するシリカカラムクロマトグラフィーによって精製した。精製した画分を収集および濃縮した後に、N−[4−({2−[(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))アミノ]エチル}アミノ)−2−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル]−2−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ] アセトアミドを、淡黄色のガラス状物(21% yield,LC/MS m/z 549.4 MH+)として、95%の純度で得た。
【0134】
(C.1−[5−({2−[C6−アミノ−5−ニトロピリジン−2−イル)アミノ] エチル}アミノ)−2’4’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル−2−イル]−4−メチルピペラジン−2−オンの調製)
DEAD (2.5当量)およびPPh(2当量)を、THFに溶解したN−[4−({2−[(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))アミノ] エチル}アミノ)−2−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル]−2−[(2−ヒドロキシエチル)−メチルアミノ] アセトアミド (1当量)に室温で添加した。この反応物をLC/MSによって完了が決定されるまで、55℃で1時間加熱した。この反応物を濃縮し、そしてCHCl中MeOH(5: 95,v/v)で溶出するシリカカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した画分を収集し、そして濃縮した後に、1−[5−({2−[(6−アミノ−5−ニトロピリジン−2−イル)アミノ] エチル}アミノ)−2’,4’−ジクロロ−l,1’−ビフェニル−2−イル]−4−メチルピペラジン−2−オンを、淡黄色ガラス状物として(LC/MS mlz 531.4 MH+)定量的な収率で得た。
【0135】
(実施例12−15)
本明細書中に記載される一般的手順に従って、以下のさらなる化合物を合成した:
【0136】
【表1−1】

【0137】
【表1−2】

(実施例16)
(酸およびアルキル炭素環式アナログの合成)
【0138】
【化30】

(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンカルボニトリル (1)の準備)
出発物質である2−ブロモ−4−フルオロベンゼンカルボニトリル (1)を、Esprix Technologies of Sarasota FLから購入する。あるいはこれは、Engelhardt,E.L.; Christy,M.E.Division of US 3812177,1976 ; US 3978127 19760831の方法によって調製され得る。
【0139】
(2−(24−ジクロロフェニル]−4−フルオロベンゼンカルボニトリル (2)の調製)
この材料を、この出願の実施例2 についてのSuzuki方法によって調製し得る−2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フルオロ−1−ニトロベンゼンを参照のこと。
【0140】
(4−({2−[(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))アミノエチル}アミノ’)−2−(2,4−ジクロロフェニル)ベンゼンカルボニトリル (3)の調製)
この材料を、この出願における実施例3 についての芳香族交換方法によって調製し得る−[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−ニトロフェニル]{2−[(5−ニトロ (2−ピリジル)アミノ] エチル}アミンを参照のこと。ただし、より高い温度(90〜120℃)およびより長い反応時間(12〜48h)が必要とされる。また、これらの反応は、水素をパージされ、そして窒素雰囲気下で実施される。水(2×)、飽和水性NaCO(3×)およびブライン(1×)での抽出後、この反応物を、NaSOで乾燥させる。
【0141】
出発物質である(2−アミノエチル)(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))アミンを、以下の様式で調製する。2−アミノ−6−クロロ−3−ニトロピリジン (65g,376 mmol),アセトニトリル(400 ml)、およびエチレンジアミン (500 ml)の混合物を、アルゴン下75〜80℃で一晩(約20時間)攪拌する。ジアミンを添加すると、この反応は発熱反応になる。このエチレンジアミンを減圧下で除去し、次いで真空中で除去する(12h)。この完全に乾燥した材料を、2Mの水酸化ナトリウム溶液(500ml)に、激しく攪拌しながら30分間懸濁させる。その固体を濾過する。この黄色の固体を、激しく攪拌しながら、水(500 ml)中に30分間懸濁させ、その後、その固体を濾過する。水での洗浄および濾過をもう1回繰り返して、塩の蓋を得る。この黄色固体を、減圧下で乾燥させる。その粗製黄色固体を、エーテル(3×500ml)で粉砕し、そして減圧下で一晩乾燥させて、 59gの2−(2−アミノエチル)アミノ−6−アミノ−5−ニトロピリジンを、99%を超える純度で得る。
【0142】
(4−({2−[(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))アミノ1エチル}アミノ)−2−(2,4−ジクロロフェニル] 安息香酸 (4)の調製)
水(5ml)およびTFA(15ml)を、ベンゾニトリル(3)(l00mg,
0.2 mmol)室温で攪拌しながら添加し、溶液を形成する。この攪拌している黄色溶液に、濃HCl(10ml)を、N下で加える。この反応物を、LCMSによって完了が確認されるまで、90℃で約2日間加熱する。この反応物を凍結乾燥により乾燥させ、TFA塩としてカルボン酸(4)を得る。この生成物4を、HPLCおよびLCMSによって、黄色粉末として、85%の純度で得る。質量回収は、ほぼ定量的である。この生成物を、さらに精製することなく使用する。
【0143】
([4−({2−[(6−アミノ−5−ニトロ (2−ピリジル))アミノ] エチル}アミノ)−2−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル−N−(2−ピロリジニルエチル)カルボキサミド(5)の調製)
アミン(1.5〜2.0当量)を、酸4 (1.0当量、25mg)、HBTU(1.5当量)、Hunig塩基(2.0当量)およびDMF(0.4ml)の攪拌溶液に添加する。 酸4、HBTU、Hunig塩基およびDMFを、バイアル中でこの順序で順番に、アルゴン下、室温で予め一緒に混合するによって、酸4を予め活性化させる。この反応物を、LCMSおよびHPLCによって完了が示されるまで、3〜4時間攪拌する。この反応を完了させるために、時々、さらに0.25当量または0.5当量のカップリング剤を添加することが必要である。この反応物を、分取HPLCによって精製する。この反応物全体を、分取HPLCに直接注入する。精製した画分をプールし、そして凍結乾燥して、アミド5を85%より高い純度および50−70%の収率で、黄色粉末として得る。
【0144】
【化31】

(N−(2−{[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−シアノフェニル]アミノ}エチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド(6)の調製)
この材料を、100℃で12時間、DMF中の巣ラリーを加熱することによって、調製する。過剰のBoc−エチレンジアミン を使用して、この反応の完了に導き得る(実施例4を参照のこと)。
【0145】
(N−(2−{[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(ヒドロキシメチル)フェニル]アミノ}−エチル (tert−ブトキシ)カルボキサミド (7)の調製)
THF (10ml)中のN−(2−{[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−シアノフェニル]−アミノ}エチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド (2.13g)の攪拌溶液に、窒素下室温で、DIBAL−H (5当量)(THF中1M)を滴下する。1時間後、得られた溶液をさらに7時間、70℃で加熱する。次いで、この反応物を冷却し、そしてRochelle塩の添加によってクエンチする。この得られた懸濁物を、塩化メチレン(120ml)と水(30ml)との間で分配する。その水層を塩化メチレン(25ml)で2回抽出し、そして合わせた有機層を、ブライン(30ml)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させる。濃縮により、2.05gの黄色泡状物が得られる。溶出液としてメタノール/EtOAc(約20%)を使用するシリカゲル(110 g)でのクロマトグラフィーにより、生成物7を得る。
【0146】
(N−(2−{[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−カルボニルフェニル]アミノ}エチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド (8)の調製)
Swernらの方法を使用して、N−(2−{[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(ヒドロキシ−メチル)フェニル] アミノ}エチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド(100mg)を、無水塩化メチレン(lml)中に溶解し、そして塩化オキサリル(1.5当量)およびDMSO (3当量)の、塩化メチレン(25ml)中の、−78℃で15分間攪拌した予め混合した溶液に添加した。この得られた溶液を、さらに30分間、−78℃で攪拌し、この時点で、トリエチルアミン (6当量)を添加する。この得られた懸濁物を、室温まで温める。15分後、水(1ml)を添加し、そして層を分離する。その水層を塩化メチレン(2×1Oml)で抽出し、そして合わせた有機層を、乾燥し(硫酸ナトリウム)そして濃縮して、アルデヒド8を70−80%の収率で、淡黄色泡状物として得る。この生成物は、不安定であることが示され、そしてさらなる操作なしで使用する。
【0147】
(N−(2−{[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]アミノ}エチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド (9)の調製)
シアノホウ素化水素ナトリウム(2当量)(THF中1M)を、 THF(5ml)に溶解したアルデヒド8 (50 mg,0.121 mmol)、モルホリン(2当量)および氷酢酸(5ml)の溶液に、室温で、攪拌しながら添加する。この混合物を70℃で18時間加熱し、その後、水(1ml)をゆっくりと添加して、過剰の試薬を分解する。この混合物を、酢酸エチル(30ml)と飽和クエン酸溶液(10mol)との間で分配する。その有機層を処分し、そしてその水層を、1M水性水酸化ナトリウムでpH 9に注意深く塩基性化する。次いで、この塩基性の水層を、酢酸エチル(2×25ml)で抽出する。合わせた有機層を乾燥し(硫酸ナトリウム)、濃縮し、そしてクロマトグラフィー(シリカゲル、10%メタノール/塩化メチレン)によって精製して、純粋な生成物9を得る(収率52%)。
【0148】
((2−アミノエチル]3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(モルホリン−4−イルメチル)−フェニル] アミン (10)の調製)
Boc材料9 (40 mg)の、メタノール(1ml)中の溶液を、ジオキサン中1N HCl(1 ml)で攪拌する。この溶液を室温で一晩攪拌し、そして蒸発乾固させる。この混合物を無水トルエン(2 ml)と共沸したメタノール (2 ml)中に再溶解する。この黄色固体を、エーテル(2×2 ml)、酢酸エチル(2×2ml)で粉砕し、そして減圧下で乾燥させる。生成物10のHCl塩は、さらに精製していない。
【0149】
(N−2’−{(2−4’−ジクロロ−6−(モルホリン−4−イルメチル)−1,1’−ビフェニル−3−イル]−アミノ}エチル)−3−ニトロピリジン−2,6−ジアミン(12)の調製)
【0150】
【化32】

アセトニトリル(2ml)中のアミン塩酸塩10 (35mg)を、N,N−ジイソプロピルエチルアミン (54当量)および6−クロロ−3−ニトロ−2−ピリジルアミン 11 (1.2当量)で処理し、そして90℃で2時間攪拌する。この混合物を減圧下で濃縮し、そして減圧下で乾燥させる。その粗製生成物を、塩化メチレン中3%MeOHと一緒に攪拌しながらクロマトグラフィーによって精製し、そして塩化メチレン中5%MeOHで仕上げて、12を黄色固体(50−70%)として得る。この材料を、2当量のHClで酸性化し、そして凍結乾燥して、乾燥粉末にする。
【0151】
(実施例17)
([5−({2−[(6−アミノ−5−ニトロピリジン−2−イル)アミノ]エチル}アミノ)−2’,4’−ジクロロ−1,1’−ビフェニル−2−イル] (フェニル)メタノール (15)の調製)
【0152】
【化33】

(N−(2−{[3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(ヒドロキシフェニルメチル)フェニル]−アミノ}エチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド (13)の調製)
フェニルマグネシウムブロミド(THF中1M)(2当量)を、 THF (10ml)中8 (50mg)の溶液に、78℃アルゴン下で、攪拌しながら添加する。この反応物を、Grignardの添加後15分間、78℃で攪拌し、この時点で、飽和水性NH4Cl(4ml)を添加して、この反応をクエンチする。この混合物をEtOAc(60ml)および水(2ml)で希釈し、そして層を分離する。その有機層を飽和水性NHCl(lOml)、水(lOml)、ブライン(lOml)で洗浄し、乾燥し(NaSO)濾過し、そして濃縮する。その残渣を、EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカカラムクロマトグラフィーによって精製して、13を得る、
{4−[(2−アリニノエチル)アミノl−2−(2,4−ジクロロフェニル)フェニル3フェニルメタン−1−オール(1当量)および6−クロロ−3−ニトロ−2−ピリジルアミン (1.2当量)を、攪拌しながらアルゴン下室温で、DMAに溶解する。Hunig塩基(1.5当量)を、この透明な暗褐色の溶液に添加し、これを、LC/MSおよびTLC(EtOAc/ヘキサン(3: 2,v/v)で溶出、(Rf=0.3))によって完了が決定されるまで、80℃で12時間加熱する。EtOAcをこの反応混合物に添加し、これを次いで、水、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO),濾過し、そして濃縮乾固して、粗製褐色生成物を得る。この褐色の残渣を、EtOAc/ヘキサン(24 : 26,v/v)で溶出するシリカカラムクロマトグラフィーによって精製する。精製した画分を収集し、そして濃縮した後に、その生成物を、淡黄色固体として単離する(収率75%、LCMS m/z MH 525.4)。
【0153】
(実施例18)
(6−[(2−{[2’,4’−ジクロロ−6−(1H−イミダゾール−1−イル)−1,1’−ビフェニル−3−イル)アミノ}エチル,アミノ]ニコチノにトリルの合成)
【0154】
【化34】

6−[(2−{[2’,4’−ジクロロ−6−(lH−イミダゾール−1−イル)−1,1’−ビフェニル−3−イル] アミノ}エチル)アミノ]ニコチノニトリル(化合物A)を、実施例7の化合物を、ホルムアルデヒド、グリオキサール、およびNHClを処理することによって、形成し得る (Perry,M.C.ら,「Optically Active IridiumImidazol−2−ylidene−oxazoline Complexes: Preparation and Use in Asymmetric Hydrogenation of Arylalkenes」、J.Am.Chem.Soc.125(1): 113−123 (2003))。
【0155】
(実施例19)
(6−f (2−{[2’,4’−ジクロロ−6−(2−フェニル−1H−イミダゾール−1−イル)−1,1’−ビフェニル−3−イル] アミノ}エチル)アミノ]ニコチノにトリルの合成)
【0156】
【化35】

6−[(2−{[2’,4’−ジクロロ−6−(2−フェニル−1 H−イミダゾール−1−イル)−1,1’−ビフェニル−3−イル]−アミノ)エチル)アミノ] ニコチノニトリル(化合物B)を、実施例7 の化合物を、塩化ベンゾイル、2−アミノアセトアルデヒドジエチルアセタール、PCl、p−トルエンスルホン酸および過酸化水素で処理することによって、形成し得る(Romine,J.L.ら,「4,5−Diphenyltriazol−3−ons: Openers of Large−Conductance Ca2+−Activated Potassium (Maxi−K)Channels,”J Med.Chem.45 (14): 2942−2952 (2002))。
【0157】
(実施例20)
(6−[(2−{[2’,4’−ジクロロ−6−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,1’−ビフェニル−3−イル] アミノ}エチル)アミノlニコチノニトリルの合成)
【0158】
【化36】

6−[(2−{[2’,4’−ジクロロ−6−(1H−イミダゾール−2−イル)−1,1’−ビフェニル−3−イル]アミノ}エチル)−アミノ] ニコチノニトリル(化合物C)を、実施例17の化合物8をグリオキサールおよびアンモニアで処理することによって、形成し得る(Hagedorn III A.A.ら、「Cardiotonic agents.2.(Imidazolyl)aroylimidazolones,highly potent and selective positive inotropicagents」、J.Med.Chem.30 (8): 1342−7 (1987))。
【0159】
(実施例21)
(無細胞アッセイを用いるGSK3阻害活性のスクリーニング)
本発明のピリミジン化合物およびピリジン化合物を、DMSOに溶解し、次いでヒトGSK3β(GenBankに受託番号L33801で現れる、ヒトHSK3βに対するヌクレオチド配列)の阻害について試験した。GSK3βの発現は、例えば、Hughesら、Eur.J.Biochem.,203:305−11(1992)に記載されており、これは、本明細書中に参考として援用される。
【0160】
基質緩衝液(30 mM tris−HCl,10mM MgCl,2mM DTT,3μg/ml GSK3βおよび0.5μMの先にリン酸化し、ビオチン化した(biotinylated prephosphorylated)SGSG連結CREBペプチド(Chiron Technologies PTY Ltd.,Clayton,Australia)300μlのアリコートを、96ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレートのウェルへ分配した。アッセイされるべき種々の濃度の各化合物、またはスタウロスポリン(ポジティブコントロール、またはネガティブコントロールとして使用される公知のキナーゼインヒビター(すなわち、DMSOのみ)を含むDMSO3.5μl/ウェルを、添加し、そして徹底的に混合した。次いで、反応を、1μMの標識されていないATPおよび1〜2×10cpm γ33Pで標識されたATP 50μl/ウェルを添加することによって開始し、そして反応を、室温で約3時間続けさせた。
【0161】
反応を続けさせる間、ストレプトアビジンでコーティングしたLabsystems「Combiplate 8」捕捉プレート(Labsystems,Helsinki,Finland)を、1%のウシ血清アルブミンを含むPBS 300μl/ウェルと共に室温で少なくとも1時間インキュベートすることによってブロッキングした。次いで、ブロッキング溶液を吸引によって除去し、そして捕捉プレートを100μl/ウェルの停止試薬(50μM ATP/20mM EDTA)で満たした。
【0162】
3時間の酵素反応が完了したとき、各反応混合物の3連の100μlのアリコートを停止溶液を含む3つのウェルに移し(3つの捕捉プレートの各々に1ウェル)、そしてウェル内容物をよく混合した。室温で1時間後、捕捉プレートのウェルを吸引によって空にし、そしてPBS、および12チャネルCorning430474 ELISAプレートウォッシャーを用いて5回洗浄した。最終的に、200μlのMicroscint−20シンチレーション液体を、プレートの各ウェルに添加した。プレートをプレートシーラーでコーティングし、次いで、振盪器に30分間置いた。各捕捉プレートをPackard TopCountシンチレーションカウンター(Meridian,Connecticut)内でカウントし、そして結果を化合物濃度の関数としてプロットした。
【0163】
次いで、本発明の化合物を、このアッセイに従ってGSK3に対する阻害活性についてスクリーニングした。実施例3〜11の化合物は、この細胞遊離アッセイにおいて、GSK3に関して1μM以下のIC50を示した。
【0164】
従って、これらの結果は、本発明の化合物がGSK3に対する阻害活性を示すことを示した。
【0165】
(実施例22)
(細胞ベースのグリコーゲンシンターゼアッセイを用いるGSK3阻害活性についてのスクリーニング)
CHO−HIRC細胞を、ハムF12培地/10% 透析したウシ胎仔血清を含む10cm組織培養プレートに保持する。コンフルエントな10cmプレートからの細胞を回収し、そして6ウェル組織培養プレートの6つのウェルに、培地2mlの最終容量まで分ける。細胞を37℃で24時間増殖させる。次いで、細胞を、ウシ胎仔血清を含まないハム12培地中で3回洗浄し、そして最後に、細胞をさらに24時間37℃で2mlの無血清培地中に置いた。
【0166】
このとき最後に、DMSO中に溶解した化合物20μlを各ウェルに添加し、そして37℃でインキュベートする。20分後、培地を除去し、そして細胞をPBSで室温で一回洗浄し、次いで、液体窒素中でプレート上に急速に凍結する。次いで、細胞を、ウェル当たり140μlの溶解緩衝液(50mM Tris pH 7.8;1mM EDTA,100mM NaF,25μg/ml ロイペプチン,1mM DTT,1mM PMSF)の存在下で、氷上で解凍する。細胞をプレートからすくい取り、そしてEppendorfチューブ内でドライアイスによって凍結する。次いで、溶解物を解凍し、そしてドライアイスによって再凍結する。
【0167】
再解凍後、溶解物を14,000gで15分間スピンダウンする。次いで、上清を取り出し、そして氷上に置く。各上清(45μl)を反応緩衝液(65 mM Tris pH 7.8;26 mM EDTA,32.5 mM KF,9.3mM UDP−グルコース;11mg/mlグリコーゲン;500nCi/mI 14C−UDP−グルコース)45μlに添加し、そしてさらに45μlを、45μl 反応緩衝液/20mM グルコース−6−リン酸に添加する。反応物を30℃で30分間インキュベートし、次いで、2cm平方の31ETクロマトグラフ紙(Whatman)上にスポットする。濾紙を66% エタノール中で20分間2回洗浄し、アセトン中で簡単にリンスし、そして室温で1時間乾燥する。
【0168】
濾液を5mlの液体シンチラント(scintillant)に添加し、液体シンチレーションカウンター内でカウントする。任意の溶解物中で活性である全グルコーゲンシンターゼの百分率を、100×(cmp −グルコース−6−リン酸)/(cmp + グルコース−6−リン酸)として示す。この値は、5つの異なる濃度の化合物について、およびDMSO単独について、2連で決定し、次いで、値を濃度の対数に対してプロットする。最大レベルの50%までグリコーゲンシンターゼを刺激する化合物の濃度は、S状曲線をプロットされたデータに合致させることによって決定される。最大レベルは、試験化合物の濃度が実質的にEC50を超えて増える場合、グリコーゲンシンターゼ活性が、漸近的に(asymtotically)向かうレベルとして規定される。
【0169】
(実施例23)
(tauタンパク質リン酸化の阻害についてのスクリーニング)
(A.GSK3発現プラスミドおよびtau発現によるCOS細胞の一時的トランスフェクション)
プラスミド構築
COS細胞を、高グリコースMEM培地/5%ウシ胎仔血清を含むT25組織培養フラスコ内に保持する。コンフルエントなT25フラスコからの細胞を回収し、そして、最終容量2ml/ウェルの培地で、80,000細胞/ウェルをCorning 6ウェル組織培養プレートに接種する。細胞を37℃で48時間増殖させる。次いで、細胞を、ウシ胎仔血清を含まないOpti−MEM中で2回洗浄し、そして最後に、細胞を1mlのOpti−MEM中に置く。
【0170】
tauタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、初期SV40プロモーターの下、プラスミドpSG5にサブクローニングし、tau発現プラスミドを生成する。tauタンパク質をコードするcDNAのクローニングは、通常、Goedertら,EMBO Journal,8(2):393−399(1989)に記載され、これは、本明細書中で参考として援用される。GSK3発現プラスミドを、GSK3βをコードするポリヌクレオチドをpCGにサブクローニングすることによって調製する(これは、Gieseら,Genes & Development,9:995−1008(1995)およびMatthiasら,Nucleic Acid Research,17:6418 (1989)(これらの両方は、本明細書中で参考として援用される)に記載されるApEVRF誘導体である)。
【0171】
以下の溶液を、1.5mlのEppendorfチューブ内で調製する:溶液A:各トランスフェクションに対して、2μgのDNA(tau発現プラスミド)および0.7μgのDNA(GSK3発現プラスミド)を100μlのOpti−MEM(Gibco BRL)中に希釈する;溶液B:各トランスフェクションに対して、8μlのLipofectamine試薬を、100μlのOpti−MEM中に希釈する。この2つの溶液を混ぜ合わせ、穏やかに混合し、そして室温で45分間インキュベートし、DNA−リポソーム複合体を形成させる。各トランスフェクションに対して、0.8mlのOpti−MEMをこの複合体を含む管に添加する。希釈溶液を穏やかに混合し、そしてリンスした細胞上にオーバーレイする。細胞を複合型DNA/Lipofectamineと共に、CO2インキュベータ内で室温で6時間インキュベートする。インキュベーション後、20%のFBSを含む増殖培地(高グルコースMEM)1mlを、各ウェルに添加し、そして37℃で一晩インキュベートする。トランスフェクション開始18時間後に、培地を新鮮な完全培地と交換し、そして細胞を37℃でさらに48時間増殖させる。
【0172】
(B.tauリン酸化阻害アッセイ)
回収の2時間前に、DMSO中に溶解した試験化合物(GSK3インヒビター)2μlを各ウェルに添加し、そして37℃でインキュベートする。2時間後、培地を除去し、そして細胞を、プレート上でドライアイスによって急速に凍結し、そして−70℃で貯蔵する。細胞を溶解緩衝液(% Triton(登録商標)X−100,20mM Tris pH 7.5,137mM NaCl,15%グリセロール,25μg/ロイペプチン,1μg ml ペプスタチン−A,1μM PMSF,21μg/mlアプロチニン,50mM NaF,50mM β−グリセロリン酸,15mM ピロリン酸ナトリウム,1mM オルトバナデン酸ナトリウム200μlの存在下で、氷上で溶解する。各ウェルの内容物を14,000g、4℃で5分間遠心分離し、そして上清を清潔な管に移す。この時点で、溶解物を−20℃で貯蔵し得る。
【0173】
(C.細胞溶解物におけるリン酸化tauを検出するためのELISA)
Immulon 4小片(strips)(Dynatech)を、Ca++およびMg++,100μl/ウェルを含むPBS中で5μg/mlでモノクローナル抗リン酸化tau(AT8,Polymedco,Inc.)でコーティングする。4℃で一晩インキュベートした後、この小片をウォッシャー緩衝液(0.05% Tween(登録商標)20を含むPBS)で2回洗浄し、そして1%BSA、5%正常マウス血清および0.05% Tween(登録商標)20を含むPBSで、室温で1時間ブロックする。小片をウォッシャー緩衝液で5回洗浄する。1% BSA、0.1% NaNを含むPBS中で1:10に希釈した溶解物(100μl)を、各ウェルに添加し、そして室温で1時間インキュベートする。洗浄後、PBS−BSA中の0.5μg/mlのビオチン化モノクローナル抗(非リン酸化)tau(HT7,Polymedco,Inc.)100μlを各ウェルに添加する。小片を5回洗浄し、そしてHRP連結ストレプトアビジンを添加し、室温で30分間インキュベートし、そしてウォッシャー緩衝液で大規模に洗浄する。TMB基質(Pierce)を発色のために使用し、そして等容量の0.8Mの硫酸を添加することによって反応を停止する。小片を450nmフィルターを用いて、ELISAプレートリーダー上で読む。tauリン酸化を最大レベルの50%(すなわち、IC50)まで阻害する化合物の濃度を、S状曲線をプロットされたデータに合致させることによって決定する。
【0174】
(実施例24)
(GSK3インヒビターがグルタミン酸興奮毒性から初代海馬細胞を保護する可能性の試験)
海馬を胎齢18〜19日のラットから解剖した。組織をHibemate TM培地(Gibco BRL)中に収集し、そして約1mm片に細かく刻んだ。組織を、Papain Dissociation System(Worthington Biochemical Corporation)を用いて分離した。単離後に、細胞を、Neurobasal TM(Gibco BRL)、2% B27サプリメント(GibcoBRL)、L−グルタミンおよび抗生物質からなる無血清培地に再懸濁した。細胞を、ディッシュ当たり7.5×10細胞の濃度で、ポリ−L−リシンでコーティングした35mm組織培養ディッシュにプレーティングした。5% CO中で37℃で10〜14日後に、細胞をリンスし、そして新鮮な培地を与えた。翌日、本発明の代表的化合物を、1nMと100μMとの間の最終濃度まで添加した。化合物の添加後4〜8時間目に、馴化培地を細胞から除去し、そして37℃で貯蔵した。培養物を、10μMのグリシンを含むHEPES緩衝化平衡塩類溶液(HBSS)で2回リンスしたGrabbおよびChoi、J.Neuroscience 19:1657−62(1999)。次いで、耐用物を室温で5分間、同じHBSS中で200μMグルタミン酸に暴露した。暴露後、培養物を緩衝液で3回リンスし、次いで、化合物を含むそれらの本来の馴化培地に戻した。グルタミン酸暴露後20〜24時間目に、培養物をHBSS中でリンスし、そしてTrypan Blueに10分間暴露した。この染料は、死細胞によって取り込まれる。培養物をリンスし、次いで、4%パラホルムアルデヒド中で30分間固定した。生きているニューロンと死んだ(青い核)の大きなニューロンの数(少なくとも各培養物から200細胞)を、位相差顕微鏡によってカウントし、そして写真を撮った。この方法を用いて、本発明の化合物は、グルタミン酸塩のニューロン細胞死を誘導する可能性を有意に減少し得ることが示された。
【0175】
(実施例25)
(糖尿病げっ歯類における有効性の評価)
(グルコース耐性試験:)
(経口投薬のための化合物処方)
試験化合物を、典型的に、投与前日に、1% カルボキシメチルセルロース/0.1% tween−80(両方ともSigma Chem,MOから)中の水または懸濁液中の溶液として、経口栄養のために処方した。いくつかの初期化合物を、以下の手順と共通の手順に従って、15% Captisol(CyDex Co.,ILによって改変されたシクロデキストリン)中の溶液として処方した。水溶液のために、乾燥および凍結乾燥した試験化合物粉末を、蒸留水に可溶化し、そしてボルテックスおよび超音波処理することによってよく混合する。必要ならば、試験化合物を1N NaOHまたは1N HClでpH調節し、そして最後に、0.2ミクロンのセルロースアセテート膜(Millipore Co.,MA)を付けた注射器を介して滅菌濾過する。経口懸濁液のために、試験化合物粉末を、1%カルボキシメチルセルロース/0.1% tween−80の新鮮な懸濁液と混合し、そして大規模に超音波処理し、必要ならば、上記のようにpH調節し、そして粒子サイズが均一になり、そしてサイズが10ミクロンより小さくなるまでボルテックスする。
【0176】
(糖尿病マウスグルコース耐性試験:)
肥満db/db(雌性 C57BlKs/J)マウスを、8週齢でJackson Labs(BarHarbor,ME)から得て、そして1〜2週間後に有効性試験のために使用した。試験をモニターするとき、食餌を朝早く(グルコースボーラスの7〜8時間前)に除去した。局所麻酔(EMLA creme,Astra Pharm.,MA)を尾の末端に適用し、そして500〜100μlの血液サンプルを尾先端の少量断片(snip)から得て、そして500U/mlのナトリウムヘパリン(Elkins−Sinn,NJ)5μlを含むEppendorfチューブへ収集し、続いて血漿を単離した。サンプルを、その日の間、種々の間隔で、合計で6〜8の時間点で得た。マウスを処置群へと無作為化し、そして試験化合物の第1の経口用量(0.2ml用量)をグルコースの4.5時間前に、および再び経口栄養(oGTT)または腹腔内注射によって、50%ブドウ糖(Abbott Lab,IL)0.2mlの投与0.5時間前に投与した。グルコース投与の約2時間後の最終血液サンプル採取後に、食餌を動物に戻した。
【0177】
(基本的な糖血症およびインスリン血症の調節:)
試験化合物を、典型的に、複数の日の状況で、複数の投薬レジメンまたは一回のボーラスで、db/dbマウス(上を参照)またはZDFラット(Genetic Models,Inc.;Indianapolis,IN)に経口投与した。ZDFラットを8週齢で受け取り、そして1〜2週間後に、有効性試験のために使用した。食餌を投薬の約30分前に除去し、そして試験化合物の一回のボーラス(投薬用量は1〜8mg/mlの範囲)を投与した。血液を上記のように、続く2〜3時間にわたって1〜6個の時間点でサンプリングした。食餌を血液サンプリング後に動物のケージに戻した。
【0178】
(最初の終末点:)
グルコースおよびインスリンのレベルを血漿および/または血液サンプルから測定する。グルコースレベルをOne−Touchグルコメーター(Lifescan Co.,CA)によって白血球から、およびBeckmanグルコースアナライザによって血漿から測定する。グルコースの結果は、典型的に、マウスについての血液値およびラット研究についての血漿値を反映する。インスリンレベルの測定は、供給者のプロトコルに従って、ELISA(Crystal Chem.Co.,IL)によった。
【0179】
(結果の定量化:)
有効性は、mg/dLグルコースまたはng/mlインスリンとして表され得るか、あるいは、(100mg/dLの正常血糖の基線を超えて取られた)血漿グルコースおよび(1ng/mLの正常血糖の基線を超えて取られた)インスリンについての曲線下の領域(AUC)として表される。典型的には、AUCとして表される場合、結果は、実際に、減少したAUCとして示される([(ビヒクルコントロールAUC −試験群AUC)/ビヒクルコントロールAUC×100])。このような表現は、プラシーボコントロール群と比較して、改善されたグルコースの処理(disposal)および/または減少された基本的な高血糖値またはインスリン保存の大きさの単一の量的表現を提供する。
【0180】
(結果:)
本発明の代表的な化合物は、よいインビトロ力価を示し、そしてカプセルで処方され、そしてマウスに皮下投与(30mg/kg)される場合、インビボで高いバイオアベイラビリティおよび組織浸透度を示した。グルコース耐性試験直前の基本的な高血糖症における有意な減少、およびグルコースチャレンジに続く有意に改善されたグルコース処分が観察された。グルコース応答が、−60分〜+120分の血液グルコース曲線の下の領域(AUC)を決定することによって定量化される場合、コントロール群と比較して、AUCにおける45〜50%の減少が観察される。これは、Troglitazoneによって得られる有効性と矛盾しない(60または100mg/kg/日のいずれかで少なくとも数日間経口的に投薬される場合)。また、処置された動物におけるインスリンレベルは、コントロールマウスより低いままであるという観察は、重要であった。
【0181】
本発明の好ましい実施形態が、説明および記載されたが、種々の変化が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく本発明になされ得ることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造:
【化1】

を有する化合物、およびその薬学的に受容可能な塩であって、ここで:
XおよびYは、窒素であり;
およびAは、必要に応じて置換された、アリール、アリールアミノ、アリールオキシまたはヘテロアリールであり;
、R、RおよびRは、独立して、水素、ヒドロキシル、ならびに必要に応じて置換された低級アルキル、シクロ低級アルキル、アルキルアミノアルキル、低級アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、アリールおよびへテロアリールからなる群より選択され;
R’およびR’は、水素であり;
R’およびR’は、水素、および必要に応じて置換された低級アルキルからなる群より選択され;
、RおよびRは、独立して、水素、ヒドロキシ、ハロ、カルボニル、ニトロ、アミノ、アミド、アミジノ、イミド、シアノ、ならびに置換または非置換の低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アラルキルカルボニルオキシ、アルキルアミノカルボニルオキシ、アリールアミノカルボニルオキシ、ホルミル、低級アルキルカルボニル、低級アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アミノアリール、アルキルスルホニル、スルホンアミド、アミノアルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアラルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニルアミノ、アリールアミノカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アミジノ、シクロアルキル、シクロアミド、シクロチオアミド、シクロアミジノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアミジノ、シクロイミド、ヘテロシクロイミド、グアニジニル、アリール、ビアリール、ヘテロアリール、ヘテロビアリール、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、アリールスルホニルおよびアリールスルホンアミドからなる群より選択される、
化合物。
【請求項2】
およびAのうちの少なくとも1つが、3〜10個の炭素環原子および必要に応じて1つ以上の環ヘテロ原子を有する芳香族環を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびAのうちの少なくとも1つが、必要に応じて置換された、炭素環式アリール、アリールアミノまたはアリールオキシである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
およびAのうちの少なくとも1つが、必要に応じて置換されたヘテロアリールである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
およびAのうちの少なくとも1つが、置換または非置換のフェニル、フェニルアミノ、フェニルオキシ、ピリジル、ピリミジニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、トリアゾニル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、プリニル、ナフチル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピリジル、およびベンゾイミダゾリルからなる群より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
およびAのうちの少なくとも1つが、少なくとも1個でありかつ3個未満の置換基で置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
前記置換基が、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロ、チオアミド、アミジノ、オキサミジノ、アルコキシアミジノ、イミジノ、グアニジノ、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルキルアミノ低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アラルキルカルボニル、低級ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルチオ、アミノアルキルおよびシアノアルキルからなる群より独立して選択される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、以下の式:
【化2】

を有する、請求項4に記載の化合物であって、ここで、RおよびRが、水素、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロ、チオアミド、アミジノ、オキサミジノ、アルコキシアミジノ、イミジノ、グアニジニル、スルホンアミド、カルボキシル、ホルミル、低級アルキル、アミノ低級アルキル、低級アルキルアミノ低級アルキル、ハロ低級アルキル、低級アルコキシ、ハロ低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、低級アルキルアミノ低級アルコキシ、低級アルキルカルボニル、低級アラルキルカルボニル、低級ヘテロアラルキルカルボニル、アルキルチオ、アリール、およびアラルキルからなる群より選択される、化合物。
【請求項9】
が、アミノピリジル、ニトロピリジル、アミノニトロピリジル、シアノピリジル、シアノチアゾリル、アミノシアノピリジル、トリフルオロメチルピリジル、メトキシピリジル、メトキシニトロピリジル、メトキシシアノピリジルおよびニトロチアゾリルからなる群より選択される、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
、R、RおよびRのうちの少なくとも1つが、ハロ低級アルキル、ヘテロシクロアミノアルキル、および低級アルキルアミノ低級アルキルからなる群より選択される置換低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
、R、RおよびRのうちの少なくとも1つが、低級アルキルアミノ低級アルキルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
、R、およびRが、水素であり、そしてRが、水素、メチル、エチル、アミノエチル、ジメチルアミノエチル、ピリジルエチル、ピペリジニルエチル、ピロリジニルエチル、ピペラジニルエチルおよびモルホリニルエチルからなる群より選択される、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
、R、およびRのうちの少なくとも1つが、置換および非置換のアリール、ヘテロアリールおよびビアリールからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
、RおよびRのうちの少なくとも1つが、置換または非置換の、以下の式:
【化3】

の部分であり、ここで、R10、R11、R12、R13、およびR14が、水素、ニトロ、アミノ、シアノ、ハロ、チオアミド、カルボキシル、ヒドロキシ、ならびに必要に応じて置換された低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシアルキル、ハロ低級アルキル、ハロ低級アルコキシ、アミノアルキル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ アミノカルボニル、低級アルキルアミノカルボニル、アミノアラルキル、低級アルキルアミノアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロヘテロアリール、アラルキル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アラルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシアルキル、アルキルカルボニルオキシアルキル、ヘテロアリールカルボニルオキシアルキル、アラルキルカルボニルオキシアルキル、およびヘテロアラルキルカルボニルオキシアルキルからなる群より独立して選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
10、R11、R13、およびR14が、水素であり、そしてR12が、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシル、低級アルコキシ、ハロ低級アルキル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、モルホリノ、ピペリジノおよびシアノからなる群より選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
11、R13、およびR14が、水素であり、そしてR10およびR12が、ハロ、低級アルキル、ヒドロキシル、低級アルコキシ、ハロ低級アルキル、モルホリノ、ピペリジノおよびシアノからなる群より独立して選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
10、R11、R13、およびR14が、水素であり、そしてR12がヘテロアリールである、請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
10、R11、R13、およびR14が、水素であり、そしてR12がヘテロシクロアルキルである、請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
10、R11、R12、R13、およびR14のうちの少なくとも1つが、ハロであり、そしてR10、R11、R12、R13、およびR14の残りのものが、水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
10、R11、R12、R13、およびR14のうちの少なくとも1つが、モルホリノ、ピペリジノからなる群より選択され、そしてR10、R11、R12、R13、およびR14の残りのものが、水素である、請求項14に記載の化合物。
【請求項21】
、RおよびRのうちの少なくとも1つが、ジクロロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、クロロフルオロフェニル、ブロモクロロフェニル、ブロモフルオロフェニル、エチルフェニル、メチルクロロフェニル、エチルクロロフェニル、イミダゾリルフェニル、シアノフェニル、モルホリノフェニルおよびシアノクロロフェニルからなる群より選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項22】
が、アラルキル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アミノアラルキル、カルボニルアミノアルキル、アルキルカルボニルアミノアルキル、アリールカルボニルアミノアルキル、アラルキルカルボニルアミノアルキル、アミノアルコキシアルキルおよびアリールアミノアルキルからなる群より選択される置換アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
が、アルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アリールアルキルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルキルチオカルボニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アラルキルカルボニルアミノ、およびヘテロアラルキルカルボニルアミノからなる群より選択される置換アミノである、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
が、非置換または置換のアミノカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、およびアルキルアミノアルキルオキシカルボニルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
が、アミジノ、グアニジノ、シクロイミド、ヘテロシクロイミド、シクロアミド、ヘテロシクロアミド、シクロチオアミドおよびヘテロシクロ低級アルキルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
がアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
、RおよびRのうちの少なくとも1つが、置換または非置換のヘテロアリール基またはヘテロシクリル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
、RおよびRのうちの少なくとも1つが、置換または非置換の、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピラジニル、チアゾリル、インドリル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル、テトラゾリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チアゾリル、チエニル、フラニル、キノリニル、ピロリルピリジル、ピラゾロニル、ピリダジニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピリジル、ベンゾトリアゾリル、およびベンゾイミダゾリルからなる群より選択される、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
、RおよびRのうちの少なくとも1つが、以下の構造:
【化4】

を有するモノケトピペラジニル基である、請求項28に記載の化合物であって、
ここで、R15およびR16は、水素、低級アルキル、低級アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アリール低級アルキル、低級アルキルアリール低級アルキル、ハロ低級アルキル、ハロアリール低級アルキル炭素環式およびハロアリール低級アルキル複素環式からなる群より独立して選択されるか;またはR16は、別のR16またはR15と一緒になって、炭素環式環、複素環式環またはアリール環を形成し得;そしてoは、1と3との間の整数である、化合物。
【請求項30】
15が低級アルキルである、請求項29に記載の化合物。
【請求項31】
15が、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、およびt−ブチルからなる群より選択される、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
15がR16と一緒になって、以下の構造:
【化5】

を有する基を形成する、請求項29に記載の化合物。
【請求項33】
15がR16と一緒になって、以下の構造:
【化6】

を有する基を形成する、請求項29に記載の化合物。
【請求項34】
ある量の請求項1に記載の化合物を含有する組成物であって、該量は、ヒト被験体または動物被験体に、薬学的に受容可能なキャリアと一緒に投与される場合に、該ヒト被験体または動物被験体において、GSK3活性を調節するために有効な量である、組成物。
【請求項35】
ヒト被験体または動物被験体において、GSK3活性を阻害する方法であって、該方法は、該ヒト被験体または動物被験体に、請求項29に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項36】
細胞を処理する方法であって、該方法は、該細胞に、該細胞においてGSK3活性を阻害するために有効な量の請求項1に記載の化合物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項37】
ヒト被験体または動物被験体において、GSK3媒介障害を処置するための方法であって、該方法は、該ヒト被験体または動物被験体に、該被験体におけるGSK3活性を阻害するために有効な量の、請求項34に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
【請求項38】
前記組成物が、経口投与、皮下投与、経皮投与、経粘膜投与、イオン導入法、静脈内投与、鞘内投与、頬投与、舌下投与、鼻腔内投与、および直腸投与からなる群より選択される投与様式によって投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記GSK3媒介障害が、糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティントン病、肥満症、アテローム性動脈硬化症の心血管疾患、本態的高血圧症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、外傷性脳傷害、双極性傷害、免疫不全および癌からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記被験体に、1種以上のさらなる活性薬剤を投与する工程をさらに包含する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記GSK3媒介傷害が、糖尿病であり、そして前記さらなる活性薬剤が、インスリン、トログリタゾン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、グリピジドおよびメトホルミンからなる群より選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
薬剤として使用するための、請求項1に記載の化合物。
【請求項43】
糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティントン病、肥満症、アテローム性動脈硬化症の心血管疾患、本態的高血圧症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、虚血、外傷性脳傷害、双極性傷害または癌を処置するための医薬の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−506383(P2006−506383A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546978(P2004−546978)
【出願日】平成15年10月20日(2003.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2003/033370
【国際公開番号】WO2004/037791
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(591076811)カイロン コーポレイション (265)
【Fターム(参考)】