説明

グロー放電発生化学蒸着

グロー放電を用いて、基体上にプラズマ重合された付着を生成させる方法を記載する。グロー放電は電極と対電極との間に発生させる。バランスガス及びテトラアルキルオルトシリケートの混合物がグロー放電を通って基体上に流れ、基体上に、光学的に透明な被膜として、被膜を付着させるか、又は表面改質を生じさせる。この、好ましくは大気圧又はその近傍で実施する方法は光学的に透明で、粉末を含まないか又は事実上粉末を含まない被膜を生成するように設計することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本件は、2003年9月9日に出願された米国仮出願第60/501,477号からの優先権を主張する。
【0002】
本発明はグロー放電発生化学蒸着を用いた基体の被覆又は改質に関する。
【背景技術】
【0003】
広く入手可能で安価なポリオレフィンなどのポリマーの使用は、それらのポリマーの望ましくない低表面エネルギーによってしばしば制限される。従って、より高い表面エネルギーを有するより高価な材料が、表面湿潤性もしくは接着性、又はその両方が必要なところで、しばしば使用されている。近年、それに代わる研究、即ちコロナ放電又はプラズマ放電(ここでは「グロー放電」と呼ぶ)を用いた低表面エネルギーポリマーの表面改質が発展してきた。
【0004】
例えば、Slootmanらの特許文献1は、SiH4などのシラン、キャリヤーガス、及び酸素又は酸素生成可能な気体の存在下、大気圧で基体をグロー放電に曝すことで、可動性の基体上に酸化珪素を付着させることにより、ポリオレフィンフィルムの性能が改善されうることを教示している。Slootmanらにより記載された方法は、そのポリマーの表面を確かにより湿潤性にはするが、その方法では少なくとも2つの不利益をこうむる。第一には、好ましい作用気体(SiH4)が空気中で自然発火する極めて危険な物質であり;第二には、酸化珪素の付着は粉末の形体になり易く、その粉末の生成が可能な用途の範囲を制限し、また装置を汚すおそれがある。
【0005】
グロー放電プラズマ強化化学蒸着(PECVD)は、基体の耐薬品性、耐摩耗性、耐擦傷性、耐引掻性及び耐ガス透過性を改善するため、基体上に被膜を作製するのに使用されてきた。例えばSpenceらの特許文献2には、高周波(RF)共鳴励起モード又はパルス電圧励起モードのいずれかでプラズマ放電を発生させる、円筒状スリーブ電極集合装置が記載されている。その装置は、ラフな減圧モード、約10〜約760トルの範囲の作用気体圧力で運転された。ラフな減圧での稼動は、厳密に大気圧での稼動よりも有利であるといわれているが、それは必要な供給気体流速が、厳密に大気圧での稼動に比較して有意に減らされて、より高価な特殊ガスの経済的な使用を可能にするからである。更に創生された被膜が、低圧又は高圧のいずれかで運転される一般的なグロー放電装置を用いて形成された被膜に比べて、優れた特性を有している。
【0006】
Spenceらにより記載された方法では、ラフな減圧が必要という問題点があり、そのことが厳密な大気圧法よりも経済的に不利である。従って、大気圧で連続被膜(即ち無粉末形成、即ちフィルム被膜)を創生することができるということは、PECVDの技術分野においては有利なことであろう。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,576,076号明細書
【特許文献2】米国特許第6,106,659号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、基体の露出表面上にフィルム被膜を付着させる方法において、(a)電極と対電極との間の領域にグロー放電を発生させ;そして(b)バランスガス、テトラアルキルオルトシリケート及び、必要に応じて、テトラアルキルオルトシリケートのキャリヤーガスを含む混合物を、そのグロー放電を通し、且つ基体の少なくとも一表面上又はその近傍に、流速約0.05m/秒〜約5m/秒の流速で、混合物中のテトラアルキルオルトシリケート濃度が2000ppmより多く、約10000ppmまでの範囲で流して、その基体上にフィルム被膜を形成する工程によって特徴づけられる方法を提供することにより、当該技術分野における不足分に注力することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の方法において、電極と対電極(counterelectrode)との間にグロー放電を生じさせ、保持するために十分な電力密度及び周波数がその電極に与えられるが、対電極は好ましくは可動性の対電極である。電力密度は、好ましくは少なくとも1W/cm2(対電極に隣接する電極のcm2当たり)、より好ましくは少なくとも5W/cm2、最も好ましくは少なくとも10W/cm2であり;且つ好ましくは200W/cm2以下、より好ましくは100W/cm2以下、最も好ましくは50W/cm2以下である。その周波数は、好ましくは少なくとも2kHz、より好ましくは少なくとも5kHz、最も好ましくは少なくとも10kHzであり;且つ好ましくは100kHz以下、より好ましくは60kHz以下、最も好ましくは40kHz以下である。
【0010】
電極と対電極との間の間隔は、グロー放電を起こさせ、維持するために十分なものであり、好ましくは少なくとも0.1mm、より好ましくは少なくとも1mmであり、且つ好ましくは50mm以下、より好ましくは20mm以下、最も好ましくは10mm以下である。対電極は、好ましくは誘電スリーブが取り付けられた回転性ドラムの形状であり、被覆される基体は、好ましくはそのドラムに沿って運ばれるのがよい。或いは、対電極は、好ましくは誘電カバーが取り付けられた平坦な電極の形状であることができ、被覆される基体は、好ましくはその平坦な対電極によって運ばれるのがよい。本発明の目的に対しては、電極及び対電極という用語は、一番目の電極及び二番目の電極を指すために便宜上使用するもので、いずれか一方は加電することができ、他方は加電するか又は接地することができる。電極は、それを通って又はその中に穿孔(perforation)を穿つことができ、その穿孔は、例えば、これらに限定するものではないが、スロット又はホールの形状であることができる。
【0011】
バランスガス並びに、テトラアルキルオルトシリケート、より好ましくはテトラエチルオルトシリケート及び必要に応じて、テトラアルキルオルトシリケートのキャリヤーガスを含む気体の混合物を(全混合気体を一緒に)、グロー放電の中に、そして被覆する基体上に流す。
【0012】
本明細書において、「キャリヤーガス」は、好ましくは非反応性の気体を指し、バランスガスをテトラアルキルオルトシリケートに混入させるための好都合な手段を提供する。好ましいキャリヤーガスには窒素、ヘリウム及びアルゴンが含まれる。
【0013】
本明細書において、「バランスガス」なる用語は、作用気体を電極の穿孔を通って最終的には基体まで搬送する、反応性又は非反応性の気体である。適当なバランスガスの実例には、空気、酸素、CO2、O3、NO、窒素、ヘリウム及びアルゴン並びにこれらの組合せを含む。気体混合物全体の流速は、基体に、粗面で不連続な被膜又は粉末とは対照的な、フィルム様の被膜を形成するため、プラズマ重合性のテトラアルキルオルトシリケートを運搬するのに十分に高いものである。好ましくは、気体全体の流速は、その穿孔を通過する気体の速度が、少なくとも約0.05m/秒、より好ましくは少なくとも約0.1m/秒、最も好ましくは少なくとも約0.2m/秒であり;且つ好ましくは約10m/秒以下、より好ましくは約5m/秒以下、最も好ましくは約2m/秒以下となるようなものである。多孔電極の穿孔を通過する気体の流速は、m3/秒の単位で測定した気体の流速を、m2の単位で測定した穿孔の合計面積で割算することにより決定される。電極と対電極との間の一つ又は複数のギャップを通過する気体の流速は、m3/秒の単位で測定した気体の流速を、m2の単位で測定した一つ又は複数のギャップの合計面積で割算することにより決定される。
【0014】
本明細書において、「電極」は、単一の導電性有孔素子又は、1つもしくはそれ以上のギャップがその間もしくはその中に生ずるように隔てられた複数の導電性素子を指す。本発明の気体が、電極と対電極との間のギャップに、又は電極対の間のギャップに流され、そして基体上に流されうることを理解されたい。
【0015】
流速の制御の重要性に加えて、気体混合物全体中のテトラアルキルオルトシリケートの濃度を決定する、バランスガスとテトラアルキルオルトシリケートとの相対的な流速の制御も、基体上に形成される被膜の品質に貢献する。グロー放電に入る気体混合物全体中のテトラアルキルオルトシリケートの濃度は、気相核形成を最小にしつつ、付着又は沈積(deposition)を生じさせる、好ましくは光学的に透明なフィルム被膜を創生させるのに十分なものである。気相核形成はその被膜中に粒状物及び粉末を形成する原因となり、そのことが物理特性を劣化させると共に、装置を汚染し、コスト高となる中断時間につながる。気体混合物全体中のテトラアルキルオルトシリケートの濃度は、もちろん混合気体全体を形成する個々の流れの相対的な流速に依存する。
【0016】
驚くべきことには、大幅な粉末形成なしに、異常に高い濃度のテトラアルキルオルトシリケートを、相対的に低い流速で使用し得ることを見出した。テトラアルキルオルトシリケートの濃度は、少なくとも約2000ppm、好ましくは少なくとも約2200ppm、より好ましくは少なくとも約3500ppmであり;且つ約10000ppm以下、好ましくは約8000ppm以下、より好ましくは約7000ppm以下である。本発明の方法を、グロー放電の領域(即ち、グロー放電が形成される領域)に減圧又は部分的減圧を適用することにより実施することもできるが、本発明方法は、好ましくはグロー放電領域が、何らかの有意の減圧又は部分減圧となることなく、実施される;即ち本発明方法は、好ましくは大気圧で実施する。
【0017】
本発明の方法によって実施するグロー放電領域におけるプラズマ重合は、典型的には、光学的に透明な被覆基体又は表面改質基体をもたらす。「光学的に透明な(optically clear)」なる用語は、ここでは、光学的透明度(optical clarity)少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも98%を有し、且つヘイズ値は好ましくは10%以下、より好ましくは2%以下、最も好ましくは1%以下を有するフィルム被膜を記述するために用いる。光学的透明度は、透過無散乱光と透過散乱光(<2.5°)との合計に対する透過無散乱光の割合である。ヘイズは全透過光に対する透過散乱光(>2.5°)の割合である。(例えばASTM D 1003−97を参照されたい)。フィルム被膜は、例えば、接着促進剤被膜又は防曇被膜などの表面改質被膜;反射被膜又は無反射被膜などの光学的被膜;透過促進被膜;耐擦傷性被膜;又は包装のための気体遮蔽被膜などであることができる。
【0018】
本発明に用いられる基体は限定されない。基体の実例には、ガラス、金属、セラミック、紙、織物及びポリエチレン及びポリプロピレンを含むポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸及びポリブチレンテレフタレートを含むポリエステルなどの不織プラスチックを含むプラスチック並びに米国特許出願公開第2002/0039869号明細書に記載されたものを含む熱可塑性超吸収ポリマーが含まれる。
【0019】
図1は、本発明の好ましい方法の実施において用いられる、好ましい装置の図面である。ここで図1を参照すれば、テトラアルキルオルトシリケート(10)は、含まれるテトラアルキルオルトシリケートの揮発性液体(10a)の上部空間から発生し、キャリヤーガス(12)によってその上部空間から搬送され、中空電極(16)に向かうバランスガス(14)に混入される。キャリヤーガス(12)及びバランスガス(14)は、テトラアルキルオルトシリケート(10)を、電極(16)を通し、より詳しくは電極(16)の少なくとも1つの入口(18)を通し、そして、典型的にはスリットもしくはホール又は、複数の導電性素子の間のギャップの形状をなしている穿孔(20)を通して運搬する。電力を電極に負荷して、電極(16)と、好ましくは誘電スリーブ(26)が取り付けられた円筒状のローラーである対電極(24)との間にグロー放電(22)を発生させる。基体(28)は誘電スリーブ(26)に沿って連続的に通し、好ましくは重合シロキサンであるプラズマ重合性テトラアルキルオルトシリケートで被覆する。
【0020】
図2は、電極(16)、対電極(24)及びグロー放電領域(22)の側面図である。基体が導電性であるときには、誘電層(26)を電極(16)上に配置することができる。
【0021】
図3は、電極の穿孔(20)の好ましい態様の図面であり;その穿孔は、ほぼ電極の長さに延びる平行又は実質的に平行で、実質的に均等な間隙のスリットの形体をなしている。スリットの幅は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、最も好ましくは0.5mm以上であり;且つ好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、最も好ましくは2mm以下である。
【0022】
図4は、別の好ましい幾何構造と間隙とを有する電極の穿孔(20)の図面であり、その穿孔は、実質的に円形の小孔の形体をなしている。この幾何構造を本発明方法の実施に使用するなら、その出口の直径は、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上、最も好ましくは0.2mm以上であり;且つ好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下、最も好ましくは1mm以下である。
【0023】
図5は、本発明の好ましい方法の実施において使用する、別の好ましい装置の図面である。ここで図5を参照するに、テトラアルキルオルトシリケート(10b)は、含まれるテトラアルキルオルトシリケートの揮発性液体(10ab)の上部空間から発生し、キャリヤーガス(12b)によってその上部空間から搬送され、中空電極(16b)に向かうバランスガス(14b)に混入される。キャリヤーガス(12b)及びバランスガス(14b)は、テトラアルキルオルトシリケート(10b)を、電極(16b)を通し、より詳しくは電極(16b)の少なくとも1つの入口(18b)を通し、そして、典型的にはスリットもしくはホール又は、複数の導電性素子の間のギャップの形体をなしている穿孔(20b)を通して運搬する。電力がその電極に負荷されて、電極(16b)と、好ましくは誘電スリーブ(26b)が取り付けられた平らな形状である対電極(24b)との間に、グロー放電(22b)を発生させるために、電力に電力を負荷する。基体(28b)は誘電カバー(26b)に沿って連続的に通されて、好ましくは重合シロキサンであるプラズマ重合性テトラアルキルオルトシリケートで被覆される。
【0024】
図6は、電極(16b)、対電極(24b)及びグロー放電領域(22b)の側面図である。基体が導電性であるときには、誘電カバー(26b)を電極(16b)上に配置することができる。
【0025】
驚くべきことには、本発明の方法を用いて、本質的に粉末を含まない又は実質的に粉末を含まない、本質的に一体で、光学的に透明な連続SiOxフィルム被膜を、基体上に迅速に連続的に付着させうることを見出した。まさに、10倍の付着速度の増加が、テトラアルキルオルトシリケート濃度のかなりの上昇と、電極の穿孔を通る全気体混合物の流速のかなりの低下によって達成された。更に、例えば接着性の助長や防曇性をもたらすための表面改質を施された基体を形成するためには、工程パラメータを調節することができる。
【実施例】
【0026】
以下の実施例は例示を目的にするものであり、決して本発明を限定することを意図するものではない。
【0027】
実施例1
実質的に図1に図示した装置を用いて被膜を製造する。対電極及び電力供給(30kHzに固定)は、Corotec Industries,Farmington,CT.から得られる。長さ12”×幅6”×高さ6”の電極が、1つの入口及び、セラミック被覆アルミニウム電極の間のギャップである7つの穿孔出口を付けて設計する。
【0028】
基体は厚さ7ミル(0.18mm)のポリカーボネートフィルムである。テトラエチルオルトシリケート(TEOS)を110℃に加熱し、窒素中17%V/Vの濃度で搬送し、空気であるバランスガスと混合する。調節されたTEOSの流速は510sccmであり、バランスガスの流速は5scfm(142000sccm)であり、そして気体混合物全体に基づくTEOSの濃度は3530ppmと計算される。気体全体の基体に対する流速は0.25m/秒と計算される。付着時間1秒後、得られた被膜は化学組成SiOxを有していた。得られた被覆フィルムは、非被覆フィルムと比べて遥かに改善された湿潤性を示す。基体上の被膜の付着速度は1.8μm/分である。
【0029】
実施例2
TEOS濃度2100ppmを用いて実施例1の方法を、繰り返す。基体上の被膜の付着速度は1μm/分である。
【0030】
実施例3
実質的に図1に図示した装置を用いて被膜を製造する。基体は厚さ18gsmのポリプロピレン不織シートである。TEOSを110℃に加熱し、窒素中17%V/Vの濃度で搬送し、空気であるバランスガスと混合する。調節されたTEOSの流速は850sccmであり、バランスガスの流速は5scfm(142000sccm)であり、そして気体混合物全体に基づくTEOSの濃度は5780ppmと計算される。ポリプロピレン不織シートは3〜80m/分の範囲の速度でその装置を通って流す。表面エネルギーは、非被覆基体については35dyne/cm、被覆基体について72dyne/cmであることが見出される。
【0031】
実施例4
実質的に図1に図示した装置を用いて被膜を製造する。基体は厚さ7ミルの薄いポリスチレン延伸フィルムである。TEOSを110℃に加熱し、窒素中17%V/Vの濃度で搬送し、空気であるバランスガスと混合する。調節されたTEOSの流速は425sccmであり、バランスガスの流速は5scfm(142000sccm)であり、そして気体混合物全体に基づくTEOSの濃度は2941ppmと計算される。薄いポリスチレン延伸フィルムを10秒間で被覆する。得られた被覆フィルムは、非被覆フィルムと比べて遥かに改善された防曇性を示す。得られた被覆フィルムの表面エネルギーは50dyne/cmより大きい。
【0032】
実施例5
実質的に図1に図示した装置を用いて被膜を製造する。基体は厚さ4ミル(0.10mm)を有する熱可塑性超吸収ポリマー(TSAP)共押出フィルム(the Dow Chemical Company製)である。TSAPは、熱可塑性ポリマーと超吸収ポリマーとの溶融混合ブレンドである。詳しくは、熱可塑性ポリマーは、酸9重量%〜20重量%を有するエチレンとアクリル酸のコポリマーであり、超吸収ポリマーは部分中和された架橋ポリアクリレートポリマーである。その他の熱可塑性ポリマー及び超吸収ポリマーは、国際公開第02/07791号パンフレット及び米国特許出願公開第2002/0039869号明細書に記載のものを使用することができる。混合されたブレンドはペレット化し、次いで、ペレットを、標準のインフィレーション法及び流延フィルム押出法を用いて単層フィルム又は共押出フィルムとして製造する。
【0033】
テトラエチルオルトシリケート(TEOS)は110℃に加熱し、窒素中17%V/Vの濃度で搬送し、空気であるバランスガスと混合する。調節されたTEOSの流速は510sccmであり、バランスガスの流速は5scfm(142000sccm)であり、そして気体混合物全体に基づくTEOSの濃度は3530ppmと計算される。付着時間1秒後、得られた被膜は化学組成SiOxを有していた。得られたTSAP被覆フィルムは、コーティングしていないTSAPフィルムと比べて遥かに改善された湿潤性を示す。
【0034】
実施例6
実質的に図1に図示した装置を用いて被膜を製造する。基体は次のような方法で作製したポリマーフォームである。エチレン/1−オクテンコポリマーの水性分散液を、一般的な混合用ボールで、起泡用界面活性剤及びヒドロキシアルキルセルロースエーテルの水溶液とブレンドする。最初のブレンドの製造後、針金製泡立て器付のHobart型スタンドミキサー(KitchenAid Professional mixer Model KSM50PWH)を用いた機械発泡により、空気を混入する。ミキサーの速度は、硬い泡が形成されるまで、ほぼ3〜10分間に亘って低速から高速に高められる。泡の密度は、その泡で満たされた3oz.(89mL)の紙コップの重さを量ることにより測定し、所望の密度約80〜90g/Lに達したら泡立てを停止する。泡は、固めの紙シートで支持された離型紙上に広げ、高さ0.05inに均される。泡は、乾燥温度約75℃のBlue M強制風乾燥炉中に約10分間置く。乾燥フォームシート(0.04in厚)を取出し、約30〜200μmの範囲の小さな気泡サイズを外側表面に有し、約250〜800μmの範囲の大きめの気泡サイズを内側の主表面に有する、耐久性のあるフォームが得られる。
【0035】
テトラエチルオルトシリケート(TEOS)は110℃に加熱し、窒素中17%V/Vの濃度で搬送し、空気であるバランスガスと混合する。製造されたTEOSの流速は510sccmであり、バランスガスの流速は5scfm(142000sccm)であり、そして気体混合物全体に基づくTEOSの濃度は3530ppmと計算される。付着時間5秒後、得られた被膜は化学組成SiOxを有していた。得られた被覆フォームは、非被覆ポリマーフォームと比べて改善された垂直方向のウィッキング性(wicking)と改善されたウィッキング均一性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は本発明の方法で用いられる、中空の多孔電極及びドラム型の対電極を用いた好ましい装置の図面である。
【図2】図2は図1の装置の電極及び対電極の側面図である。
【図3】図3は図1の中空電極のより詳細な図面である。
【図4】図4は出口としての穴を持つ中空電極構造の図面である。
【図5】図5は本発明の方法で用いられる、中空の貫通口を有する電極及び平坦な対電極を用いた別の好ましい装置の図面である。
【図6】図6は図5の装置の電極及び対電極の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)電極と対電極との間の領域にグロー放電を発生させ;そして(b)バランスガス、テトラアルキルオルトシリケート及び、必要に応じて、テトラアルキルオルトシリケートのキャリヤーガスを含む混合物を、そのグロー放電を通し、且つ前記基体の少なくとも一表面上又はその近傍に、約0.05m/秒〜約5m/秒の流速で、その混合物中のテトラアルキルオルトシリケート濃度が2000ppmより多く、約10000ppmまでの範囲で流して、基体上にフィルム被膜を形成する工程によって特徴づけられる基体の露出表面上にフィルム被膜を付着させる方法。
【請求項2】
電極がその中に穿孔を含む多孔電極であり、バランスガス及びテトラアルキルオルトシリケート並びに、必要に応じて、テトラアルキルオルトシリケートのキャリヤーガスの混合物がその穿孔を通って流れる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
方法が連続法であり、対電極が可動する基体を支持している請求項2に記載の方法。
【請求項4】
対電極が誘電スリーブで覆われている請求項3に記載の方法。
【請求項5】
テトラアルキルオルトシリケートがテトラエチルオルトシリケートである請求項2に記載の方法。
【請求項6】
バランスガスが空気、酸素、窒素、ヘリウム、アルゴン又はそれらの組合せである請求項2に記載の方法。
【請求項7】
グロー放電領域の圧力をほぼ大気圧に保持し、テトラエチルオルトシリケートの濃度が3500ppmより高い請求項5に記載の方法。
【請求項8】
バランスガス、テトラエチルオルトシリケート及びキャリヤーガスの穿孔を通って流れる流速が約0.1m/秒〜約2m/秒の範囲である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
被膜が少なくとも98%の光学的透明度及び2%以下のヘイズ値を有している請求項7に記載の方法。
【請求項10】
フィルム被膜が透明フィルム被膜である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
フィルム被膜が50dyne/cmより大きい表面エネルギーを有する請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−505219(P2007−505219A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526286(P2006−526286)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/029442
【国際公開番号】WO2005/049228
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】