説明

ケーブルの締結装置

【課題】装着が簡単で、端縁部に取り付けできる締結具を得る。
【解決手段】ケーブルの締結装置は、締結装置を基部分の端縁10上に取り付ける端縁クリップ部分20と、端縁クリップ部分20内に挿入される金属部品14と、ケーブルバンドロック18と、ケーブルバンドロック18内に導入することができるケーブルバンド16とを含む。金属部品14は、ケーブルバンドロック18内に突き出す舌状体を有している。舌状体は、ケーブルバンド16が導入されたとき、ケーブルバンド16上に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルの締結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、個々のケーブル又はケーブルハーネスを薄板金属部品に固定するための色々な締結装置が特に、自動車業界にて既知である。締結装置を薄板金属部品に、又は、一般に、基部分に取り付けるため、基部分は、通常、締結装置のディテント要素が押し込まれる、1つ又はより多くの開口部を有している。ケーブルを付設するとき、ケーブルを基部分の端縁にて又は端縁に沿って固定する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、好ましいコストにて製造することができ、また、装着が簡単であり、しかも、基部分の端縁に対してケーブルを極めて確実に固定することを可能にする締結装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に従い、ケーブルの締結装置は、締結装置を基部分の端縁上に取り付ける端縁クリップ部分と、端縁クリップ部分内に挿入される金属部品と、ケーブルバンドロックと、ケーブルバンドロック内に導入することができるケーブルバンドとを含む。金属部品は、ケーブルバンドロック内に突き出す舌状体を有している。舌状体は、ケーブルバンドが導入されたとき、ケーブルバンド上に係合する。本発明に従った締結装置は、ケーブルタイを有し又は有さずに、簡単に、基部分の端縁上に配置される。ケーブルバンドがケーブルバンドロック内に導入された後、ケーブルバンド上に係合する金属製の舌状体は、純粋にプラスチック製の従来のケーブルバンドのディテント機構を有するケーブルタイと比較して、明確に増大した引き抜き力を提供する、すなわち、ケーブルバンドは、意図せずに引き抜かれないよう一層良く固定される。このことは、従来のケーブルタイにて、ケーブルバンド及びケーブルバンドロックは、同一のプラスチックにて製造され、このことは、一方にて、ケーブルバンドの十分に僅かな曲がりを許容するが、他方にて、この可撓性のため、引き抜きに対する抵抗を制限することになると説明することができる。
【0005】
好ましくは、端縁クリップ部分、ケーブルバンドロック及びケーブルバンドは、(1つの)プラスチックにて一体的に(単一物として)製造され、このため、締結装置の個々の部品数は最小限まで減少するようにする。金属部品のみが別個に製造される。
【0006】
締結装置の特に簡単な組立体において、端縁クリップ部分は、金属部品を端縁クリップ部分内に挿入するときに通ることができる開口部を有する。開口部は、端縁クリップ部分の取り付け空隙に対向する端縁クリップ部分の側部に設けられることが好ましい。
【0007】
締結装置が基部分の端縁から意図せずに引き抜かれるのに効果的に反作用するため、金属部品は、締結装置が取り付けられたとき、基部分上に直接係合する少なくとも1つの薄板金属製の爪部を有する。この場合、金属部品は二重の機能を果たす、すなわち、第一に、舌状体はケーブルバンドを固定し、第二に、薄板金属製の爪部は締結装置を基部分上にて拘束する。
【0008】
金属部品は、金属部品を端縁クリップ部分内に位置決めし且つ確実に締結する少なくとも1つの位置決め部分を有しており、該位置決め部分は、金属部品を規定された位置にて端縁クリップ部分内に保持するか又は少なくともディテントフック部を有しており、該ディテントフック部は端縁クリップ部分の相応するディテント窓部内に係合する。
【0009】
端縁クリップ部分内の金属部品の挿入路を制限するため、端縁クリップ部分は、金属部品に対するストッパを形成する保持部分を有している。端縁クリップ部分の保持部分は、保持部分の後方にて係合する金属部品の一部分である、フック部としての構造とされることが好ましい。
【0010】
特別な適用例の場合、ケーブルバンドはケーブルバンドロック内に導入される前に、端縁クリップ部分により画成される取り付け方向に対して実質的に垂直に伸びることが望ましい。
【0011】
本発明の更なる特徴及び有利な点は、添付図面を参照して好ましい実施の形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には、ケーブル又はケーブルハーネスを基部分の取り付け端縁10に固定する作用を果たす、本発明に従った締結装置の個々の部品が示されている。基部分は、例えば、自動車の車体の薄板金属部品又は一部とすることができる。その構造に関して以下に更に詳細に説明する、プラスチック部品12に加えて、締結装置はまた金属部品14も有している。
【0013】
単一物として製造されるプラスチック部品12は、3つの機能部分、すなわち固定すべき1つ又は複数のケーブルの回りに配置されるケーブルバンド16と、1つ又は複数のケーブルを固定するためケーブルバンド16が内部に導入されるケーブルバンドロック18と、基部分の端縁10の上に締結装置を取り付ける端縁クリップ部分20とに分割することができる。
【0014】
図2において、プラスチック部品12の更なる詳細を見ることができる。ケーブルバンドロック18は、両端側部が開放した管路によって実質的に形成される。ケーブルバンド16は、管路から実質的に垂直に伸びている。U字形の端縁クリップ部分20は、2つのアーム22、24を含み且つ、ケーブルバンドロック18の反対側にて接続される。アーム22、24は、取り付け空隙26を画成し且つ基部分の端縁10に対するストッパとして作用する接続部分28により反対側部にて互いに接続されている。ケーブルバンドロック18から反対側を向いた第一のアーム22は、角度付き部分22aを有し、該角度付き部分は、第二のアーム24の面取り加工端縁24aと共に、端縁10への取付を容易にする。更に、第一のアーム22は、弾性的に偏向可能であり、また、端縁10上に取り付けた後、弾性力を加えるような構造とされている。
【0015】
更に、プラスチック部品12は、取り付け空隙26と反対側の側部に開口部30を有しており、該開口部30を通して、図3に個別に示した金属部品14を端縁クリップ部分20内に挿入することができる。端縁クリップ部分20は、金属部品14に対して特に適合しており、また、保持部分32を有し、該保持部分はフックの態様の構造とされ、また、金属部品14に対するストッパとして機能し、該保持部分は、また、その重要性に関して以下に更に詳細に説明する2つのディテント窓部34も有している。
【0016】
金属部品14(図3参照)は平坦な金属板から形成され、また、基部分36を有しており、該基部分から、2つのディテントフック部38、2つの位置決め部分40及び2つの薄板金属製の爪部42が伸びている。ディテントフック部38は、第一の方向に向けて傾斜しており、位置決め部分40は反対の第二の方向に向けて傾斜し、爪部42は位置決め部分40と同一方向に向けて傾斜している。更に、金属部品14は、第一の方向に向けて曲げられた舌状体44を有している。
【0017】
図4には、開口部30を通して金属部品14をプラスチック部品12の端縁クリップ部分20内に挿入する方法が示されている。図5a、図5b及び図5cには、金属部品14が完全に挿入されたプラスチック部品12が示されている。金属部品14が押し込まれる間、端縁クリップ部分20の保持部分32はストッパとして作用し、金属部品14の基部分36はフック状の保持部分32の後方にて係合する(図5a)。これにより、挿入方向Aに向けた金属部品14の動きは制限される。
【0018】
更に、金属部品14が押し込まれる間、ディテントフック部38はプラスチック部品12のディテント窓部34内に係合し、このため、金属部品14は挿入方向A(図5b)に対して反対方向である方向Bに対して確実に着座する。位置決め部分40は、端縁クリップ部分20内の金属部品14を所定の位置まで押し且つ、金属部品14がこの画成された位置(図5c)を保つようにする措置を為す。
【0019】
図6にて、金属部品14の舌状体44がケーブルバンドロック18内に突き出し且つケーブルバンド16がケーブルバンドロック18内に導入されたとき、ケーブルバンド16に直接係合することが理解できる。既知の態様にて、ケーブルバンド16は、鋸歯状の輪郭外形16aを有する。プラスチック部品12の材料と比較して、金属製の舌状体44は遥かに高剛性であるため、極めて大きい引き抜き力が加わった場合でさえ、ケーブルバンド16は、ケーブルバンドロック18内に依然として確実に保持される。
【0020】
最後に、図7には、基部分の端縁10の上に取り付けられた後の締結装置が示されている(端縁クリップ部分20の第一のアーム22は非偏向状態にて示されている)。ケーブルバンドロック18から反対側を向いた薄板金属製の爪部42は、第二のアーム24に面する基部分の側部に直接係合し、これにより締結装置が基部分の端縁10から意図せずに引き抜かれるのを阻止する。
【0021】
ケーブルを付設するとき、環境に依存して、最初に、ケーブルバンド16をケーブル/ケーブルハーネスの回りに付設し且つケーブルバンド16をケーブルバンドロック18内に導入することにより、ケーブル/ケーブルハーネスを締結装置に固定するか又は最初に、締結装置を端縁10の上に配置することにより、締結装置は基部分に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従った締結装置の分解図である。
【図2】端縁クリップ部分の斜視図である。
【図3】金属部品の斜視図である。
【図4】端縁クリップ部分及び金属部品の斜視図である。
【図5】5a、5b、5cは、金属部品が挿入された端縁クリップ部分の色々な斜視図である。
【図6】金属部品が挿入され、ケーブルバンドが導入された、締結装置の断面図である。
【図7】取り付けられた締結装置の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの締結装置において、
締結装置を基部分の端縁(10)上に取り付ける端縁クリップ部分(20)と、端縁クリップ部分(20)内に挿入される金属部品(14)と、ケーブルバンドロック(18)と、ケーブルバンドロック(18)内に導入することができるケーブルバンド(16)とを含み、
前記金属部品(14)は、ケーブルバンドロック(18)内に突き出す舌状体(44)を有し、
前記舌状体(44)は、ケーブルバンド(16)が導入されたとき、ケーブルバンド(16)上に係合する、ケーブルの締結装置。
【請求項2】
請求項1に記載の締結装置において、
端縁クリップ部分(20)、ケーブルバンドロック(18)及びケーブルバンド(16)は、プラスチックにて一体的に製造されることを特徴とする、締結装置。
【請求項3】
請求項1に記載の締結装置において、
端縁クリップ部分(20)は、金属部品(14)を端縁クリップ部分(20)内に挿入するときに通ることができる開口部(30)を有することを特徴とする、締結装置。
【請求項4】
請求項3に記載の締結装置において、
端縁クリップ部分(20)は、一側部に取り付け空隙(26)を有し、
金属部品(14)に対する開口部(30)が反対側部に提供されることを特徴とする、締結装置。
【請求項5】
請求項1に記載の締結装置において、
金属部品(14)は、締結装置が取り付けられたとき、基部分上に直接係合する少なくとも1つの薄板金属製の爪部(42)を有することを特徴とする、締結装置。
【請求項6】
請求項1に記載の締結装置において、
金属部品(14)は、金属部品(14)を規定された位置にて端縁クリップ部分(20)内に保持する少なくとも1つの位置決め部分(40)を有することを特徴とする、締結装置。
【請求項7】
請求項1に記載の締結装置において、
金属部品(14)は、端縁クリップ部分(20)の相応するディテント窓部(34)内に係合する少なくともディテントフック部(38)を有することを特徴とする、締結装置。
【請求項8】
請求項1に記載の締結装置において、
端縁クリップ部分(20)は、金属部品(14)に対するストッパを形成する保持部分(32)を有することを特徴とする、締結装置。
【請求項9】
請求項8に記載の締結装置において、
端縁クリップ部分(20)の保持部分(32)は、保持部分(32)の後方にて係合する金属部品(14)の一部分(36)である、フック部としての構造とされることを特徴とする、締結装置。
【請求項10】
請求項1に記載の締結装置において、
端縁クリップ部分(20)は取り付け方向を画成し、
ケーブルバンド(16)は、ケーブルバンドロック(18)内に導入される前に、取り付け方向に対して実質的に垂直に伸びることを特徴とする、締結装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−182880(P2008−182880A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−336777(P2007−336777)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(597013146)ティーアールダブリュー・オートモーティブ・エレクトロニクス・アンド・コンポーネンツ・ゲーエムベーハー (51)
【住所又は居所原語表記】Industriestr.2−8,78315 Radolfzell,Germany
【Fターム(参考)】