説明

ゲル組成物及びその調製方法

【課題】 ゲル状の油性成分を皮膚等に塗布し、マッサージした時の伸びが非常に軽く、経時的な安定性にも優れた、使用感のよい透明〜半透明のゲル組成物、及びその調製方法を提供すること。
【解決手段】 長鎖疎水基と親水基とを分子内に2個以上ずつ有する多鎖多親水基型化合物を1種または2種以上、分子内に水酸基を2個以上有するポリヒドロキシル化合物の1種または2種以上、および油性成分の1種または2種以上を含有することを特徴とするゲル組成物であって、この中に含まれる多鎖多親水基型界面活性剤の酸価に対する中和度が0.1以上〜0.9未満であることを特徴とするゲル組成物、及び有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤を混合し、多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度を0.1以上〜0.9未満に調整することを特徴とするゲル組成物の調製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性成分を安定に配合した摩擦時ののびが非常に軽いゲル組成物、ゲル組成物の調製法に関し、特に香粧品として有用なゲル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
油性成分を含有したゲルには、例えば、水溶性高分子で形成したゲル状組成物(特許文献1参照)や油をゲル化剤でゲル化させたオイルゲル(特許文献2参照)、水中油型の乳化型ゲル状組成物(特許文献3参照)、油中水型の乳化型ゲル状組成物(特許文献4参照)といったものが挙げられる。こういった油性成分を含有したゲル組成物の用途には、クレンジング化粧料のような香粧品用途がある。油性成分を多量に含んだメイクアップ化粧料を洗い落とすには、油性成分を含有した洗浄剤を使うことが最良の方法であると考えられる。クレンジング化粧料に求められるものは、汚れ落ちの具合やその製品の経時的な安定性に加えて、皮膚等に塗布、摩擦した時の伸び易さといった使用感が特に求められている。
【0003】
【特許文献1】特公平6−37575号公報
【特許文献2】特開2000−344620号公報
【特許文献3】特公平1-53845号公報
【特許文献4】特公平1-14266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ゲル状の油性成分を皮膚等に塗布し、マッサージした時の伸びが非常に軽く、経時的な安定性にも優れた、使用感のよい透明〜半透明のゲル組成物を提供すること、及び該ゲル組成物の調製方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の界面活性剤、即ち、分子内に長鎖疎水基と親水基とを2個以上づつ有する多鎖多親水基型化合物において、酸価に対する中和度をある特定の範囲にすることで、油性成分を安定にゲル状に配合しながら、そのゲル状組成物を皮膚等に塗布した場合の伸びが特に軽く優れること、またこの組成物は水への分散性が極めてよいことから、このゲル状組成物が、使用感の優れた香粧品として有用なものであることを見出した。さらに、多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度は、該ゲル組成物中に有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤を混合することによって容易にある特定の範囲に調整できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明は、下記の通りである。
1.長鎖疎水基と親水基とを分子内に2個以上ずつ有する多鎖多親水基型化合物のうち、該多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度が0.1以上〜0.9未満のものを1種または2種以上、分子内に水酸基を2個以上有するポリヒドロキシル化合物の1種または2種以上、及び油性成分の1種または2種以上を含有することを特徴とするゲル組成物。
2.該ゲル組成物中に混合含有される有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤により、多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度を0.1以上〜0.9未満に調整したものを1種または2種以上含有することを特徴とする1.に記載のゲル組成物。
【0007】
3.該ゲル組成物中の水分含量が50重量%以下であり、かつ該ゲル組成物中の組成が、1)多鎖多親水基型化合物の総量が0.1〜40重量%、2)ポリヒドロキシル化合物の総量が1〜60重量%、3)油性成分の総量が1〜95重量%、4)有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤の総量が0〜10重量%である(但し、1)〜4)成分の合計は100重量%である。)ことを特徴とする1.または2.に記載のゲル組成物。
4.該ゲル組成物中の多鎖多親水基型化合物の少なくとも1種が、分子内にアミノ酸残基を有するものであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のゲル組成物。
【0008】
5.該ゲル組成物中の多鎖多親水基型化合物の少なくとも1種が下記一般式(1)に示す化合物であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のゲル組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
(上記一般式(1)において、n個のZはXに置換したm個(m≧n)の官能基に由来する結合部であり、それぞれ独立で、すなわち、同一でも異なっていてもよく、Xは前記官能基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであり、Zを介してXに付くn個の下記一般式(2)で表される置換基はそれぞれ独立で、すなわち、同一でも異なっていてもよく、
COは炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導される長鎖アシル基を示し、Rは水素であるか、またはヒドロキシル基またはカルボキシル基が置換していてもよい炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基および/またはそれらの塩を示し、j、kはそれぞれ独立に0,1,2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す)
【0011】
【化2】

【0012】
6.該ゲル組成物中の多鎖多親水基型化合物の少なくとも1種が上記一般式(1)に示す化合物であって、上記一般式(1)において、Xは前記官能基以外の置換基を有していてもよい炭素数1〜40の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載のゲル組成物。
7.該ゲル組成物を皮膚等に塗布、摩擦した時、非常に伸びが軽く、使用感のよいクレンジング化粧料として用いることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載のゲル組成物

8.該ゲル組成物中に混合含有される有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤により、多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度を0.1以上〜0.9未満に調整することを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載のゲル組成物の調製方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のゲル組成物は、長鎖疎水基と親水基とを分子内に2個以上づつ有する多鎖多親水基型化合物において、酸価に対する中和度を0.1以上〜0.9未満と規定したもの、もしくはゲル組成物と有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤の混合により酸価に対する中和度を0.1以上〜0.9未満と規定したものを含有するものであるが、実施例に示すように、ある特定の中和度の界面活性剤を用いて製造したゲル組成物は、この範囲外の中和度の界面活性剤を用いた場合に比し、摩擦時に静摩擦係数の低下が見られるとともに、官能評価においても非常に伸びが軽くなり、安定性の高いものであることが明らかである。また、該ゲル組成物の調製が容易であることは製造面において有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を、特にその実施態様を中心に、詳細に説明する。
本発明において、この中に含まれる多鎖多親水基型化合物の1種または2種以上の酸価に対する中和度としては、0.1以上〜0.9未満であって、好ましくは、酸価に対する中和度が0.1以上〜0.7未満である。さらに好ましくは、0.2以上〜0.5未満である。ここで、酸価に対する中和度がこの範囲外であってもゲル状の剤型になることはあるが、油性成分が分離して安定性に乏しかったり、伸びが悪くなったりし、使用感が好ましくなくなることがある。
【0015】
本発明のゲル組成物において、この中に含まれる多鎖多親水基型化合物の1種または2種以上の酸価に対する中和度としては、0.1以上〜0.9未満であって、好ましくは、酸価に対する中和度が0.1以上〜0.7未満である。さらに好ましくは、0.2以上〜0.5未満である。ここで、酸価に対する中和度がこの範囲外であってもゲル状の剤型になることはあるが、油性成分が分離して安定性に乏しかったり、伸びが悪くなったりし、使用感が好ましくなくなることがある。
【0016】
該ゲル組成物中に混合する有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤としては、該多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度を0.1以上〜0.9未満に調整可能なものであれば特に制限はないが、分子内に水酸基を2個以上有するポリヒドロキシル化合物またはその混合物と水との混合物に1重量%以上溶解または均一混合可能なものが好ましい。
【0017】
有機酸としては、例えば、アクリル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、3−フェニルプロピオン酸、エデト酸、クエン酸、グリコール酸、グルクロン酸、ゲラン酸、酢酸、プロピオン酸、ピルビン酸、酪酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−メチル吉草酸、3−メチル吉草酸、ヘキサン酸、イソヘキサン酸、2−ヘキサン酸、4−ペンテン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、ヘプタン酸、2−メチルヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、2−デセン酸、ウンデシレン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アントラニル酸、オレイン酸、レブリン酸、グルコン酸、コハク酸、サリチル酸、シュウ酸、酒石酸、炭酸、ニコチン酸、乳酸、フマル酸、ピロリドンカルボン酸、フタル酸、マロン酸、リンゴ酸、バニリン酸、アビエチン酸、ソルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられる。
【0018】
無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、亜硝酸、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられる。
有機塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス[(2−ヒドロキシ)−1−プロピル]アミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン、リジン等が挙げられる。
【0019】
無機塩基としては、例えば、アンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明のゲル組成物において、多鎖多親水基型化合物としては、長鎖疎水基としてはそれぞれ独立に、炭素数8〜20個の飽和または不飽和の直鎖、分枝鎖、環状鎖からなる疎水基を有し、親水基としてはそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸残基、リン酸残基またはそれらの塩等、あるいはオキシアルキレン基、ポリエチレングリコール基等、またはアミノ基、4級アンモニウム基、ピリジニウム基、スルホニウム基またはそれらの塩等を有するものである。
【0020】
例えば、多鎖多親水基型化合物の長鎖疎水基としては、例えば、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル等の各残基とこれらの分枝鎖異性体、ならびにこれらに対応した、1カ所、2カ所または3カ所に不飽和部分を有する不飽和残基等が挙げられる。
また、多鎖多親水基型化合物の長鎖疎水基としては、炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導される長鎖アシル基であり、
【0021】
例えばカプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸のような直鎖脂肪酸;
2−ブチル−5−メチルペンタン酸、2−イソブチル−5−メチルペンタン酸、ジメチルオクタン酸、ジメチルノナン酸、2−ブチル−5−メチルヘキサン酸、メチルウンデカン酸、ジメチルデカン酸、2−エチル−3−メチルノナン酸、2,2−ジメチル−4−エチルオクタン酸、メチルドコサン酸、2−プロピル−3−メチルノナン酸、メチルトリデカン酸、ジメチルドデカン酸、2−ブチル−3−メチルノナン酸、メチルテトラデカン酸、エチルトリデカン酸、プロピルドデカン酸、ブチルウンデカン酸、ペンチルデカン酸、ヘキシルノナン酸、2−(3−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、2−(2−メチルブチル)−3−メチルノナン酸、ブチルエチルノナン酸、
【0022】
メチルペンタデカン酸、エチルテトラデカン酸、プロピルトリデカン酸、ブチルドデカン酸、ペンチルウンデカン酸、ヘキシルデカン酸、ヘプチルノナン酸、ジメチルテトラデカン酸、ブチルペンチルヘプタン酸、トリメチルトリデカン酸、メチルヘキサデカン酸、エチルペンタデカン酸、プロピルテトラデカン酸、ブチルトリデカン酸、ペンチルドデカン酸、ヘキシルウンデカン酸、ヘプチルデカン酸、メチルヘプチルノナン酸、
ジペンチルヘプタン酸、メチルヘプタデカン酸、エチルヘキサデカン酸、エチルヘキサデカン酸、プロピルペンタデカン酸、ブチルテトラデカン酸、ペンチルトリデカン酸、ヘキシルドデカン酸、ヘプチルウンデカン酸、オクチルデカン酸、ジメチルヘキサデカン酸、
【0023】
メチルオクチルノナン酸、メチルオクタデカン酸、エチルヘプタデカン酸、ジメチルヘ
プタデカン酸、メチルオクチルデカン酸、メチルノナデカン酸、メチルノナデカン酸、ジメチルオクタデカン酸、ブチルヘプチルノナン酸のような分岐脂肪酸;
オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、リンデル酸、トウハク酸、ラウロレイン酸、トリデセン酸、ツズ酸、ミリストレイン酸、ペンタデセン酸、ヘキセデセン酸、パルミトレイン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸、オレイン酸、ノナデセン酸、ゴンドイン酸のような直鎖モノエン酸;
メチルヘプテン酸、
【0024】
メチルノネン酸、メチルウンデセン酸、ジメチルデセン酸、メチルドデセン酸、メチルトリデセン酸、ジメチルドデセン酸、ジメチルトリデセン酸、メチルオクタデセン酸、ジメチルヘプタデセン酸、エチルオクタデセン酸のような分岐モノエン酸;
リノール酸、リノエライジン酸、エレオステアリン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、プソイドエレオステアリン酸、パリナリン酸、アラキドン酸のようなジまたはトリエン酸;
【0025】
オクチン酸、ノニン酸、デシン酸、ウンデシン酸、ドデシン酸、トリデシン酸、テトラデシン酸、ペンタデシン酸、ヘプタデシン酸、オクタデシン酸、ノナデシン酸、ジメチルオクタデシン酸のようなアセチレン酸;
メチレンオクタデセン酸、メチレンオクタデカン酸、アレプロール酸、アレプレスチン酸、アレプリル酸、アレプリン酸、ヒドノカルプン酸、ショールムーグリン酸、ゴルリン酸、α−シクロペンチル酸、α−シクロヘキシル酸、α−シクロペンチルエチル酸のような環状酸から誘導されるアシル基等があげられる。
【0026】
また天然油脂から得られる脂肪酸由来のアシル基でも良く、上記の炭素原子数8〜20の飽和または不飽和脂肪酸を80%以上含む混合脂肪酸由来のアシル基であれば良い。例えば、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、ツバキ油脂肪酸、菜種油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等から誘導されるアシル基等が挙げられる。長鎖疎水基は、長鎖アシル基で、分子中の長鎖疎水基は同一であるのが好ましい。これら多鎖多親水基型化合物は2種以上組み合わせて用いても良い。
【0027】
本発明のゲル組成物において、多鎖多親水基型化合物の例を挙げると、構造的には、分子内に長鎖疎水基と親水基をそれぞれ少なくとも1個以上有する界面活性剤を適当なスペーサーで連結した構造のものであり、この構造であればよく、これまで公知になっている化合物でよい。スペーサーとしては、置換基を有していてもよい分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖がよい。より好ましくは、炭素数1〜40の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーがよい。
【0028】
本発明のゲル組成物において、多鎖多親水基型化合物の親水基はそれぞれ独立に、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基および/またはそれらの塩であることが好ましい。ここで塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩等が挙げられ、具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛等の金属、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機アミン、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等から任意に選ばれる1種または2種以上との塩である。これらの中でも、ナトリウム塩、カリウム塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩が特に好ましい。
【0029】
本発明のゲル組成物において、多鎖多親水基型化合物の少なくとも1種が、分子内にアミノ酸残基を有する界面活性剤であることが、生分解性の点、皮膚のような外用剤などへ用いたときの低刺激性の点から好ましい。さらには、多鎖多親水基型化合物の少なくとも1種が上記一般式(1)で示される化合物であることが、さらに好ましい。
上記一般式(1)中、RCOで示される長鎖アシル基は独立して、すなわち、それぞれ異なっても同一でもよく、上記したように炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるものであれば何でも良く、直鎖、分岐、環状を問わない。また、分子中のRCOは、同一であるのが反応条件等からみても好ましい。
【0030】
上記一般式(1)中、Rは水素であるか、またはヒドロキシル基またはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩等が置換していてもよい炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ(イソ)プロピル基、ジヒドロキシ(イソ)プロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、スルホエチル基等が挙げられる。
上記一般式(1)中、Xに付くn個の置換基(上記一般式(2))は独立して、すなわち、それぞれ異なっても同一でもよい。また、上記一般式(2)は、いわゆる酸性アミノ酸がN−アシル化されたものを示すものであり、それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0031】
酸性アミノ酸は、分子中に存在するカルボキシル基とアミノ基の数がそれぞれ2個と1個のモノアミノジカルボン酸であり、アミノ基はN−メチル基またはN−エチル基でもかまわない。また光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。酸性アミノ酸としては、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、ランチオニン、β−メチルランチオニン、シスタチオニン、ジエンコール酸、フェリニン、アミノマロン酸、β−オキシアスパラギン酸、α−アミノ−α−メチルコハク酸、β−オキシグルタミン酸、γ−オキシグルタミン酸、γ−メチルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、γ−メチル−γ−オキシグルタミン酸、α−アミノアジピン酸、α−アミノ−γ−オキシアジピン酸、α−アミノピメリン酸、α−アミノ−γ−オキシピメリン酸、β−アミノピメリン酸、α−アミノスベリン酸、α−アミノセバシン酸、パントテン酸等が挙げられる。
【0032】
Xに付くn個の置換基(上記一般式(2))は、酸性アミノ酸がL−酸性アミノ酸分子である場合が、生分解性に優れることから好ましい。それらの中でも、置換基は同一である方が好ましい。
上記一般式(1)中、Xに付くn個のZは、Xに置換したm個(m≧n、かつ、2〜20の整数)の官能基(ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基)に由来する結合部(−O−、−NR−、−S−)であり、それぞれ独立で、すなわち、同一でも異なっていてもよい。ここで、Rは水素、または炭素原子数1〜10のアルキル基またはアルケニル基またはアリール基またはアルキルアリール基である。
【0033】
上記一般式(1)中、Xはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる1種または2種以上からなるm個の官能基を有する分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであり、Xは、前記ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基以外の置換基を有していてもよい。
上記一般式(1)中、Xは好ましくはヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる1種または2種以上の官能基をm個有する分子量100万以下のm価の化合物の残基であって、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基以外の置換基を有していてもよい化合物残基である。ここで、m価の上記化合物は、m個の官能基に由来する結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0034】
このようなm価の化合物としては、例えば、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、シスチンジスルホキシド、シスタチオニン、メチオニン、アルギニン、リジン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、オキシプロリン等のアミノ酸類;
アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノプロパンジオール、アミノエチルエタノールアミン、アミノエチルアミノエタノール、アミノクレゾール、アミノナフトール、アミノナフトールスルホン酸、
【0035】
アミノヒドロキシ安息香酸、アミノヒドロキシブタン酸、アミノフェノール、アミノフェネチルアルコール、グルコサミン等の分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有する化合物類;
メルカプトエタノール、メルカプトフェノール、メルカプトプロパンジオール、グルコチオース等の分子内にチオール基とヒドロキシル基を有する化合物類;
アミノチオフェノール、アミノトリアゾールチオール等の分子内にチオール基とアミノ基を有する化合物類;が挙げられる。また、タンパク質やペプチド等、またはそれらを加水分解したもの等でも良い。
【0036】
Xはこのような化合物の残基の中でも、炭素数1〜40の場合が好ましい、さらに好ましくは、Xは炭素数1〜20である。特に好ましいのは炭素数1〜10である。さらには、Xが分子内にヒドロキシル基、アミノ基、チオール基以外の置換基として、少なくとも1個以上のそれぞれ独立なカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩等を含有する場合、上記一般式(1)で示される多鎖多親水基型化合物が弱酸性での溶解性に優れる点で好ましい。また、Xは天然に存在する型である場合の方が、生分解性に優れるという点で好ましい。
また、上記一般式(1)中、Xは好ましくはヒドロキシル基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下のm価(m≧n)のポリヒドロキシル化合物残基である。ここで、m価のポリヒドロキシル化合物は、m個のエステル結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0037】
このようなm価のポリヒドロキシル化合物としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソプレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ソルバイト、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、
【0038】
ダイマージオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、酒石酸、ジヒドロキシ酒石酸、メバロン酸、3,4−ジヒドロキシけい皮酸、3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン等およびこれらの各異性体等の2価ヒドロキシル化合物;
グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、
【0039】
2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、
2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシステアリン酸等の3価ポリヒドロキシル化合物;
ペンタエリスリトール、エリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン等の4価ポリヒドロキシル化合物;
【0040】
アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価ポリヒドロキシル化合物;
ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価ポリヒドロキシル化合物;
またはこれらの脱水縮合物、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0041】
また、糖類、例えばエリスロース、スレオース、エリスルロース等のテトロース;
リボース、アラビノース、キシロース、リクソース、キシルロース、リブロース等のペントース;アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ギューロース、イドース、ガラクトース、タロース、フラクトース、ソルボース、プシコース、タガトース等のヘキソース等の単糖類;
マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラクトース、ツラノース、トレハロース、サッカロース、マンニトリオース、セロトリオース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース、セロテトロース、スタキオース等のオリゴ糖類が挙げられる。
【0042】
また、その他の糖類、例えばヘプトース、デオキシ糖、アミノ糖、チオ糖、セレノ糖、アルドン糖、ウロン酸、糖酸、ケトアルドン酸、アンヒドロ糖、不飽和糖、糖エステル、糖エーテル、グリコシド等の残基でもよく、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン等の多糖類またはそれらを加水分解したものでもよい。
Xは、このような化合物の残基の中でも、炭素数1〜40の場合が好ましい、さらに好ましくはXは炭素数1〜20である。特に好ましいのは炭素数1〜10である。
【0043】
さらには、Xが、置換基として少なくとも1個以上のそれぞれ独立なカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩等を含有する場合、上記一般式(1)で示される多鎖多親水基型界面活性剤が弱酸性での溶解性に優れる点で好ましい。また、Xは天然に存在する型である場合の方が、生分解性に優れるという点で好ましい。
また、上記一般式(1)中、Xは好ましくはアミノ基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下のm価のポリアミノ化合物残基である。ここで、m価のポリアミノ化合物は、m個の酸アミド結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0044】
このようなm価のポリアミノ化合物としては、例えばN,N’−ジメチルヒドラジン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、ジアミノアジピン酸、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸およびこれらの各異性体等の脂肪族ジアミン類;
ジエチレントリアミン、トリアミノヘキサン、トリアミノドデカン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチル−オクタン、2,6−ジアミノカプリン酸−2−アミノエチルエステル、1,3,6−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウンデカン、ジ(アミノエチル)アミンおよびこれらの各異性体等の脂肪族トリアミン類;
【0045】
ジアミノシクロブタン、ジアミノシクロヘキサン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、トリアミノシクロヘキサン等の脂環族ポリアミン類;
ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノ安息香酸、ジアミノアントラキノン、ジアミノベンゼンスルホン酸、ジアミノ安息香酸、およびこれらの各異性体等の芳香族ポリアミン類;
ジアミノキシレン、ジ(アミノメチル)ベンゼン、ジ(アミノメチル)ピリジン、ジ(アミノメチル)ナフタレン、およびこれらの各異性体等の芳香脂肪族ポリアミン類;
ジアミノヒドロキシプロパンおよびこれらの各異性体等のヒドロキシル基が置換したポリアミン類等が挙げられる。
【0046】
Xは、このような化合物の残基の中でも、炭素数1〜40の場合が好ましい、さらに好ましくはXは炭素数1〜20である。特に好ましいのは炭素数1〜10である。
さらには、Xが置換基として少なくとも1個以上のそれぞれ独立なカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩等を含有する場合、上記一般式(1)で示される多鎖多親水基型化合物が弱酸性での溶解性に優れる点で好ましい。また、Xは天然に存在する型である場合の方が、生分解性に優れるという点で好ましい。
また、上記一般式(1)中、Xは好ましくはチオール基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下のm価のポリチオール化合物残基である。ここで、m価のポリチオール化合物は、m個のチオエステル結合を作りうることを意味する。それらは光学異性体例えばD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0047】
このようなm価のポリチオール化合物としては、例えば、ジチオエチレングリコール、ジチオエリトリトール、ジチオトレイトール等のジチオール化合物類等が挙げられる。Xはこのような化合物の残基の中でも、炭素数1〜40の場合が好ましい、さらに好ましくはXは炭素数1〜20である。特に好ましいのは炭素数1〜10である。
さらには、Xが置換基として1〜10個のそれぞれ独立なカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩等を含有する場合、上記一般式(1)で示される多鎖多親水基型化合物が弱酸性での溶解性に優れる点で好ましい。また、Xは天然に存在する型である場合の方が、生分解性に優れるという点で好ましい。
【0048】
上記一般式(2)中、Yで示されるカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基およびX中に含まれうるカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基等は、種々の塩基性物質との間に塩を形成し得る。
かかる塩としては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩等が挙げられ、具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛等の金属、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の有機アミン、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等から任意に選ばれる1種または2種以上との塩である。これらの中でも、ナトリウム塩、カリウム塩、有機アミン塩、塩基性アミノ酸塩が好ましい。
【0049】
このような上記一般式(1)で示される多鎖多親水基型化合物の製造方法としては、下記一般式(3)で示されるN−長鎖アシル酸性アミノ酸無水物と分子内にヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる1種または2種以上のm個の官能基を有する化合物とを、水および/または水と有機溶媒との混合溶媒中で反応させることによって得ることができる。
【0050】
【化3】

【0051】
あるいは、上記一般式(1)で示される多鎖多親水基型化合物は、上記一般式(3)で示されるN−長鎖アシル酸性アミノ酸無水物とポリヒドロキシル化合物またはポリアミノ化合物またはポリチオール化合物、または分子内にヒドロキシル基、アミノ基、チオール基のうちいずれか2種または3種を有する化合物とをいずれかの融点以上の温度で、またはテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム、アセトン等の不活性溶媒を使用して−5〜200℃で混合することで得ることができる。
【0052】
または、上記一般式(1)で示される多鎖多親水基型化合物は、N−長鎖アシル酸性アミノ酸モノ低級エステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)とポリヒドロキシル化合物またはポリアミノ化合物またはポリチオール化合物、または分子内にヒドロキシル基、アミノ基、チオール基のうちいずれか2種または3種を有する化合物とをジメチルホルムアミド等の適当な溶媒中に溶解し、炭酸カリウム等の触媒を加え、減圧下に−5℃〜250℃で加熱反応させた後反応溶媒を除去することで得ることができる。あるいは、無溶媒で加熱溶融し、水酸化ナトリウム等の触媒を加えて室温〜250℃でエステル交換反応させて本発明の界面活性剤を得ることができる。
【0053】
本発明のゲル組成物において、界面活性剤として、多鎖多親水基型化合物以外にも、本発明の目的が損なわれない限り、その他の界面活性剤を含むことができる。こうした界面活性剤としては、例えば、分子内に長鎖疎水基および/または親水基が1個である構造のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等である。中でも該水溶液中にアニオン性界面活性剤としてN−長鎖アシルアミノ酸型界面活性剤またはアシルペプチド型界面活性剤を含有したものが好ましい。
【0054】
ここでいうN−長鎖アシルアミノ酸とは、アミノ酸のアミノ基に、炭素数8〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるアシル基を導入したものである。N−長鎖アシルアミノ酸中のアミノ酸残基はα−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸やω−アミノ酸等各種アミノ酸であり、アミノ基はN−メチル体、N−エチル体であってもかまわない。また光学異性体すなわちD−体、L−体、ラセミ体であるかは問わない。
【0055】
例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン、ランチオニン、β−メチルランチオニン、シスタチオニン、ジエンコール酸、フェリニン、アミノマロン酸、β−オキシアスパラギン酸、α−アミノ−α−メチルコハク酸、β−オキシグルタミン酸、γ−オキシグルタミン酸、γ−メチルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、γ−メチル−γ−オキシグルタミン酸、α−アミノアジピン酸、α,α’−ジアミノアジピン酸、β,β’−ジアミノアジピン酸、α−アミノ−γ−オキシアジピン酸、α−アミノピメリン酸、α−アミノ−γ−オキシピメリン酸、β−アミノピメリン酸、α−アミノスベリン酸、α−アミノセバシン酸、パントテン酸、サルコシン
、タウリン、メチルタウリン等である。
【0056】
アシル基としては、炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導されるものであれば何でも良く、直鎖、分岐、環状を問わない。N−長鎖アシルアミノ酸がN−長鎖アシル−L−アミノ酸であることが生分解性の点から好ましい。
また、ここでいうアシルペプチドとは、タンパク質を加水分解した後、アシル化して得られるものである。
【0057】
本発明のゲル組成物において、分子内に水酸基を2個以上有するポリヒドロキシル化合物としては、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソプレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ソルバイト、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、
【0058】
ダイマージオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、酒石酸、ジヒドロキシ酒石酸、メバロン酸、3,4−ジヒドロキシけい皮酸、3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン等およびこれらの各異性体等の2価ヒドロキシル化合物;
グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、
【0059】
2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシステアリン酸等の3価ポリヒドロキシル化合物;
ペンタエリスリトール、エリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ソルビタン等の4価ポリヒドロキシル化合物;
【0060】
アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価ポリヒドロキシル化合物;
ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価ポリヒドロキシル化合物;
またはこれらの脱水縮合物、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0061】
また、糖類、例えばエリスロース、スレオース、エリスルロース等のテトロース;
リボース、アラビノース、キシロース、リクソース、キシルロース、リブロース等のペントース;アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ギューロース、イドース、ガラクトース、タロース、フラクトース、ソルボース、プシコース、タガトース等のヘキソース等の単糖類;
マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラクトース、ツラノース、トレハロース、サッカロース、マンニトリオース、セロトリオース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース、セロテトロース、スタキオース等のオ
リゴ糖類が挙げられる。
【0062】
また、その他の糖類、例えばヘプトース、デオキシ糖、アミノ糖、チオ糖、セレノ糖、アルドン糖、ウロン酸、糖酸、ケトアルドン酸、アンヒドロ糖、不飽和糖、糖エステル、糖エーテル、グリコシド等の残基でもよく、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン、キトサン等の多糖類またはそれらを加水分解したものでもよい。これらポリヒドロキシル化合物は2種以上組み合わせて用いても良い。ポリヒドロキシル化合物として好ましくは、3価以上のポリヒドロキシル化合物がよい。
【0063】
本発明のゲル組成物において、油性成分としては、液状油または固体脂のいずれをも使用することができ、化粧料や外用の医薬品などの成分として慣用されている油性成分でもよい。
例えば、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、パーシック油、ひまし油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、卵黄油、パーム油、パーム核油、トリイソオクタン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルコレステロール脂肪酸エステル等の油脂、
鯨ロウ、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン等およびその誘導体等のロウ類、
【0064】
流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、スクアレン等の炭化水素、
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸酸等の高級脂肪酸、
ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、へキシルデカノール等の高級アルコール、
【0065】
ミリスチン酸イソピロピル、ミリスチン酸オクタデシル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリルコレステリルエステル、ステアリン酸ブチル等の高級アルコール脂肪酸エステル、
メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油等の揮発性および不揮発性の油性成分が挙げられる。これら油性成分は2種以上組み合わせて用いても良い。
【0066】
本発明のゲル組成物は、多鎖多親水基型化合物の1種または2種以上、分子内に水酸基を2個以上有するポリヒドロキシル化合物の1種または2種以上、および油性成分の1種または2種以上、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤を含有するゲル組成物であって、該組成物中の水分含量が50重量%以下であり、かつ該組成物中の組成が、1)多鎖多親水基型化合物の総量が0.1〜40重量%、2)ポリヒドロキシル化合物の総量が1〜60重量%、3)油性成分の総量が1〜95重量%、4)有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤の総量が0〜10重量%とする(但し、1)〜4)成分の合計は100重量%である。)ことが好ましい。ここで、多鎖多親水基型化合物、ポリヒドロキシル化合物、油性成分、中和度調整剤のそれぞれの総量は、それぞれに該当する成分の総和である。各成分の組成がこの範囲外であってもゲル状の剤型になることはあるが皮膚等に塗布した場合に伸びが悪くなったり、油性成分が分離して安定性に乏しかったり、ゲ
ル形成力が不十分であったり、目的によっては汚れの洗浄力が低下したり、伸びが悪くなる等使用感が好ましくなくなることがある。
【0067】
本発明のゲル組成物においては、多鎖多親水基型化合物、ポリヒドロキシル化合物、油性成分、中和度調整剤の各成分組成は、好ましくは、該組成物中の組成が、1)多鎖多親水基型化合物の総量が1〜25重量%、2)ポリヒドロキシル化合物の総量が5〜40重量%、3)油性成分の総量が20〜80重量%、4)中和度調整剤の総量が0〜5重量%とする。さらに好ましくは、1)多鎖多親水基型化合物の総量が3〜15重量%、2)ポリヒドロキシル化合物の総量が5〜30重量%、3)油性成分の総量が30〜70重量%、4)中和度調整剤の総量が0〜2重量%とする。
【0068】
本発明のゲル組成物において、水分含量は50重量%以下が好ましい。この範囲外ではゲル状を安定に保持しにくい場合がある。水分含量はより好ましくは、30重量%以下である。さらに好ましくは、20重量%以下とする。
本発明のゲル組成物において、外観が透明なゲル組成物を得るためには該組成物中の多鎖多親水基型化合物、ポリヒドロキシル化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤および水からなる水相と、油性成分からなる油相との20℃における屈折率の差を±0.05以下とすることが好ましい。両相の屈折率の差がこの範囲を外れると、外観の透明な組成物を得にくく、両相の屈折率差は0に近づける方がよい。より好ましくは、両相の屈折率の差を±0.03以下とする。さらに好ましくは、両相の屈折率差を±0.01以下とする。
【0069】
本発明のゲル組成物を製造するには、多鎖多親水基型化合物、ポリヒドロキシル化合物、油性成分、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤および場合によっては水を高専断力の下で攪拌・混合することにより製造される。好ましい製造方法としては、油性成分以外の成分を十分に攪拌・混合し、これに油性成分を添加していく方法がよい。
【0070】
かくして得られる、本発明のゲル組成物の特徴は、
1)皮膚等に塗布した時の伸びに特に優れ、また塗布後水を添加すると極めて容易にエマルジョン状態に微分散する、2)ゲル形成力が高く、経時的にも非常に安定なゲルを保つ、3)含有する該多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度の調整が容易、という特徴があり、これまでの課題を解決するものである。
【0071】
本発明のゲル組成物は、例えば家庭用(衣料、台所、住居、食器、コンタクトレンズ等)洗浄剤、香粧品、食品、医薬品等の人に接触する組成物から工業用洗浄剤等に幅広く適用することができる。
本発明のゲル組成物は、その形態が液体状、固体状、ゲル状、ペースト、スラリー、ミスト状、液晶、粉体、エアゾール等の目的に応じて種々の形態で用いることができる。但し、この形態に限定されることはない。
【0072】
本発明に於ける香粧品とは、薬事法に言う医薬部外品および化粧品の総称であり、具体的には、医薬部外品としては口中清涼剤、腋臭防止剤、てんか粉類、養毛剤、除毛剤、染毛剤、パーマネントウェーブ用剤、浴用剤、薬用化粧品、薬用歯磨き類などを列挙することができ、
化粧品としては、化粧石鹸、洗顔料(クリーム・ペースト状、液・ジェル状、顆粒・粉末状、エアゾール使用など)、シャンプー、リンスなどの清浄用化粧品;
【0073】
染毛料、ヘアトリートメント剤(クリーム状、ミスト状、オイル状、ジェル状その他の形態の物および枝毛コート剤を含む)、ヘアセット剤(髪油、セットローション、カーラ
ーローション、ポマード、チック、びんつけ油、ヘアスプレー、ヘアミスト、ヘアリキッド、ヘアフォーム、ヘアジェル、ウォーターグリース)などの頭髪用化粧品;
一般クリーム、乳液(クレンジングクリーム、コールドクリーム、バニシングクリーム、ハンドクリームなど)、ひげ剃り用クリーム(アフターシェービングクリーム、シェービングクリームなど)、化粧水(ハンドローション、一般化粧水など)、オーデコロン、ひげ剃り用ローション(アフターシェービングローション、シェービングローションなど)、化粧油、パックなどの基礎化粧品;
【0074】
おしろい(クリームおしろい、固形おしろい、粉おしろい、タルカムパウダー、練りおしろい、ベビーパウダー、ボディパウダー、水おしろいなど)、パウダー、ファンデーション(クリーム状、液状、固形など)、ほお紅、まゆずみ、アイクリーム、アイシャドウマスカラなどのメークアップ化粧品;
一般香水、練り香水、粉末香水などの香水類; ゲルタイプ、液体タイプ、陶器タイプ等の芳香剤、消臭剤、脱臭剤;
【0075】
日焼け・日焼け止めクリーム、日焼け・日焼け止めローション、日焼け・日焼け止めオイルなどの日焼け・日焼け止め化粧品;
爪クリーム、エナメル、エナメル除去液などの爪化粧品;
アイライナー化粧品;
口紅、リップクリームなどの口唇化粧品;
歯磨きなどの口腔化粧品;
バスソルト、バスオイル、バブルバスなどの浴用化粧品などを列挙することができる。
【0076】
また本発明のゲル組成物においては、本発明の目的が損なわれない限り、用途、目的に応じ各種の基材と併用することができる。
具体的には、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグルコシド類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等のノニオン性高分子等の分散剤;
【0077】
高級脂肪酸塩(石鹸);疎水基部の炭素数8〜20の高級脂肪酸またはそれらの塩、
N−アシルアミノ酸型アニオン界面活性剤;アシル基としては、炭素数8〜20のもので前記したようなものが挙げられ、構成アミノ酸としては、グルタミン酸やアスパラギン酸等の前記した酸性アミノ酸類、またはグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、システイン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、オキシプロリン、β−アミノプロピオン酸、γ−アミノ酪酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、等のアミノ酸等;アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩等、アルキル硫酸エステル塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩(AES)、アルキルエーテル硫酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、アルファ−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩(SAS)、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルファースルホン化脂肪酸塩、アルカンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、アルファースルホン化脂肪酸塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、ナフタリンスルフォン酸塩ホルマリン縮合物などのアニオン性界面活性剤;
【0078】
アルキルベタイン類、アルキルアミドベタイン類、アルキルスルホベタイン類、イミダゾリニウムベタイン類、レシチン類などの両性界面活性剤;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(AE)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、等の酸化エチレン縮合型、
【0079】
多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、アルキルポリグルコシド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ等脂肪酸エステル等の多価アルコールエステル、などのノニオン性界面活性剤;脂肪酸アルカノールアミド、糖アミンアシル化物、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アルキルアミンオキサイド、
等が挙げられる。
【0080】
第1〜第3級脂肪アミン塩、塩化アルキルアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、ジアルキルモルフォリニウム塩、アルキルイソキノリウム塩、ベンゼトニウム塩、ベンザルコニウム塩などのカチオン性界面活性剤;
アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体、トラガントゴムなどの高分子界面活性剤;
レシチン、ラノリン、コレステロール、サポニンなどの天然界面活性剤;
【0081】
アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、椿油、パーシック油、ひまし油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、卵黄油、パーム油、パーム核油、合成トリグリセライド、ホホバ油等の油脂;
流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、イソパラフィン等の炭化水素;
ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウおよびその誘導体等のロウ;
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸等の高級脂肪酸;
【0082】
ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、へキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;
ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル等のその他のエステル油;
金属石鹸、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、揮発性シリコーン等のシリコーン類等の揮発性および不揮発性の油分;
【0083】
グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブタンジオール、プロパンジオール、ポリエチレングリコールなどのポリオール類;
トリメチルグリシン、ソルビトール、ラフィノース、ピロリドンカルボン酸塩類、乳酸塩類、ヒアルロン酸塩類、セラミド類などの保湿剤;
ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、
【0084】
アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、
アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、シリコーンレジン等の水溶性および油溶性高分子;
としては、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体、ジアリル第4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、4級化ポリビニルピロリドン誘導体、4級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー、ポリグリコール/アミン縮合物、4級化コラーゲンポリペプチド、ポリエチレンイミン、カチオン性シリコーンポリマー、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンコポリマー、ポリアミノポリアミド、カチオン性キチン誘導体、4級化ポリマー等のカチオン性高分子;
【0085】
ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルメチルグリコシド、テトラデセンスルホン酸塩等の増粘、増泡成分;
エチレンジアミン四酢酸およびその塩類、ヒドロキシエチレンジアミン3酢酸およびその塩類、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸塩類、メタリン酸塩、ヒノキチール類などの金属イオン封鎖剤;
パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸およびその塩類、フェノキシエタノール、ヒノキチール等の防腐剤;
【0086】
クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等のpH調整剤;
その他トリクロロルカルバニリド、サリチル酸、ジンクピリチオン、イソプロピルメチルフェノールなどのふけ・かゆみ防止剤;
ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸誘導体その他の紫外線吸収剤;
アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸、ヒノキチールおよびその誘導体などの美白剤;
【0087】
センブリエキス、セファランチン、ビタミンEおよびその誘導体、ガンマーオリザノールなどの血行促進剤;
トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステルなどの局所刺激剤;
各種ビタミンやアミノ酸などの栄養剤;
女性ホルモン剤;
毛根賦活剤;
【0088】
グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、アラントイン、アズレン、アミノカプロ
ン酸、ヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤;
酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸などの収斂剤;
メントール、カンフルなどの清涼剤;
抗ヒスタミン剤;
高分子シリコーン、環状シリコーン等のシリコーン系物質、トコフェロール類、BHA、BHT、没食子酸、NDGAなどの酸化防止剤;
【0089】
精製水、その他、カキョクエキス、N−メチル−L−セリン、ホエイ、ニコチン酸アミド、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、メバロン酸、γ−アミノ酪酸(γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸を含む)、アルテアエキス、アロエエキス、アンズ核エキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、海水乾燥物、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カロットエキス、キューカンバエキス、ゲンチアナエキス、酵母エキス、米胚芽油、コンフリーエキス、サボンソウエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シラカバエキス、セイヨウハッカエキス、センブリエキス、ビサボロ−ル、プロポリス、ヘチマエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、海草、米ヌカ、カンゾウ、チンピ、トウキ、モモノハの粉砕物、スフィンゴ脂質、グアイアズレン、ビタミンC等を含むことができる。
【0090】
特に、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンジオレイン酸メチルグルコシド、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、テトラデセンスルホン酸塩、ミリスチン酸塩類、ミリスチルジメチルアミンとの併用は粘度、起泡力を増加させる点で有用であり、また、各両イオン性界面活性剤との併用は刺激性を一層低減させるという点に於いてきわめて有用である。
以下で、本発明を実施例等を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定させるものではない。
【実施例】
【0091】
本発明の実施例等で用いる評価手段などは以下の通りである。
[ゲル組成物の静摩擦係数]
十分乾燥させた人工皮革にゲル組成物0.15gを塗り、これを250gの重りを乗せた人工皮革によって移動幅 40mm、移動速度 10mm/秒で15回往復摩擦し、5〜10回目の往復移動時に測定した静摩擦係数から平均静摩擦係数をとり、下記基準に従い評価した。
○:静摩擦係数が、0.5未満
△: 〃 、0.5以上〜0.6未満
×: 〃 、0.6以上
【0092】
[使用時の伸び易さ]
パネラー5人によって、ゲル組成物0.15gを皮膚に塗布し、指で5回軽くマッサージした後のゲル組成物の伸び易さを下記基準に従い、官能評価を実施した。
○:マッサージにより、伸びがさらに軽くなったと感じた人が、3人以上
△: 〃 、1または2人
×: 〃 、0人
【0093】
[安定性]
各ゲル組成物を40℃で保存して、1ヵ月後における状態を観察し、安定性を下記基準に従い評価した。
○:状態変化がなく良好
△:わずかに分離が見られる
×:明らかに分離がみられる。
[外観]
各ゲル組成物を目視にて評価した。
【0094】
[多鎖多親水基型化合物の製造例1]
L−リジン塩酸塩9.1g(0.05mol)を水57gと混合した。この液を25%水酸化ナトリウム水溶液でpH範囲を10〜11に調整しながら、また反応温度を5℃に維持しながら、攪拌下にN−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物31.1g(0.1mol)を2時間を要して添加し、反応を実施した。さらに30分攪拌を続けた後、ターシャリーブタノールを液中濃度10重量%となるように添加した後、75%硫酸を滴下して液のpH値を2に、また液の温度を65℃に調整した。滴下終了後、攪拌を停止し、20分間65℃で静置すると有機層と水層とに分層し、これから有機層を分離した。分離した有機層にターシャリーブタノールおよび水を添加して、温度を65℃にして20分攪拌した。攪拌停止後、静置すると有機層と水層とに分層した。得られた有機層に対して、同じ水洗操作をくり返した後、得られた有機層から溶媒を除去し、水酸化ナトリウムで固形分30重量%、酸価に対する中和度0.3に中和した後乾燥して多鎖多親水基型化合物を得た。
【0095】
[多鎖多親水基型化合物の製造例2]
製造例1において、中和条件として水酸化ナトリウムで固形分30重量%、酸価に対する中和度0.6とした以外は製造例1と同じ条件で実施し、多鎖多親水基型化合物を得た。
[多鎖多親水基型化合物の製造例3]
製造例1において、中和条件として水酸化ナトリウムで固形分30重量%、酸価に対する中和度1.2とした以外は製造例1と同じ条件で実施し、多鎖多親水基型化合物を得た。
【0096】
[多鎖多親水基型化合物の製造例4]
製造例1において、中和条件として水酸化カリウムで固形分30重量%、酸価に対する中和度0.4とした以外は製造例1と同じ条件で実施し、多鎖多親水基型化合物を得た。[多鎖多親水基型化合物の製造例5]
製造例1において、中和条件としてトリエタノールアミンで固形分30重量%、酸価に対する中和度0.4とした以外は製造例1と同じ条件で実施し、多鎖多親水基型化合物を得た。
【0097】
[多鎖多親水基型化合物の製造例6]
製造例1において、添加物としてN−ココイル−L−グルタミン酸無水物とした以外は製造例1と同じ条件で実施し、多鎖多親水基型化合物を得た。
[多鎖多親水基型化合物の製造例7]
製造例1において、添加物としてN−ステアロイル−L−グルタミン酸無水物とし、酸価に対する中和度0.8とした以外は製造例1と同じ条件で実施し、多鎖多親水基型化合物を得た。
【0098】
[実施例1〜15、比較例1]
表1に示す組成のゲル組成物を製造し、それぞれについて、静摩擦係数、使用時の伸び易さ、安定性を評価した。結果を表1に示す。
[ゲル組成物の製造方法]
いずれのゲル組成物も下記の方法で調製した。
油性成分以外の成分を70℃で攪拌しながら混合する。これに、攪拌しながら油性成分
をゆっくりと滴下し、更に攪拌した後、冷却してゲル組成物を得た。
【0099】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のゲル組成物は、皮膚等に塗布、摩擦した時の伸び易さといった使用感が特に優れており、クレンジング化粧料のような香粧品分野で好適に利用できる。また、調製方法が容易で製造面において有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長鎖疎水基と親水基とを分子内に2個以上ずつ有する多鎖多親水基型化合物のうち、該多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度が0.1以上〜0.9未満のものを1種または2種以上、分子内に水酸基を2個以上有するポリヒドロキシル化合物の1種または2種以上、及び油性成分の1種または2種以上を含有することを特徴とするゲル組成物。
【請求項2】
該ゲル組成物中に混合含有される有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤により、多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度を0.1以上〜0.9未満に調整したものを1種または2種以上含有することを特徴とする請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項3】
該ゲル組成物中の水分含量が50重量%以下であり、かつ該ゲル組成物中の組成が、1)多鎖多親水基型化合物の総量が0.1〜40重量%、2)ポリヒドロキシル化合物の総量が1〜60重量%、3)油性成分の総量が1〜95重量%、4)有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤の総量が0〜10重量%である(但し、1)〜4)成分の合計は100重量%である。)ことを特徴とする請求項1または2に記載のゲル組成物。
【請求項4】
該ゲル組成物中の多鎖多親水基型化合物の少なくとも1種が、分子内にアミノ酸残基を有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゲル組成物。
【請求項5】
該ゲル組成物中の多鎖多親水基型化合物の少なくとも1種が下記一般式(1)に示す化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゲル組成物。
【化1】

(上記一般式(1)において、n個のZはXに置換したm個(m≧n)の官能基に由来する結合部であり、それぞれ独立で、すなわち、同一でも異なっていてもよく、Xは前記官能基以外の置換基を有していてもよい分子量100万以下の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであり、Zを介してXに付くn個の下記一般式(2)で表される置換基はそれぞれ独立で、すなわち、同一でも異なっていてもよく、
COは炭素原子数8〜20の飽和または不飽和の脂肪酸から誘導される長鎖アシル基を示し、Rは水素であるか、またはヒドロキシル基またはカルボキシル基が置換していてもよい炭素原子数1〜3の低級アルキル基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基および/またはそれらの塩を示し、j、kはそれぞれ独立に0,1,2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す)
【化2】

【請求項6】
該ゲル組成物中の多鎖多親水基型化合物の少なくとも1種が上記一般式(1)に示す化合物であって、上記一般式(1)において、Xは前記官能基以外の置換基を有していてもよい炭素数1〜40の直鎖または分枝鎖または環状鎖または芳香族炭化水素鎖であるスペーサーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゲル組成物。
【請求項7】
該ゲル組成物を皮膚等に塗布、摩擦した時、非常に伸びが軽く、使用感のよいクレンジング化粧料として用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のゲル組成物。
【請求項8】
該ゲル組成物中に混合含有される有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の中和度調整剤により、多鎖多親水基型化合物の酸価に対する中和度を0.1以上〜0.9未満に調整することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のゲル組成物の調製方法。

【公開番号】特開2006−225368(P2006−225368A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2005−178418(P2005−178418)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】