説明

コネクタ構造

【課題】本発明は、第1プリント配線基板と第2プリント配線基板との着脱を繰り返し行っても第1プリント配線基板と第2プリント配線基板とを確実に連結でき、しかも、容易に製作できるコネクタ構造の提供を目的とする。
【解決手段】第1プリント配線基板1の端部には、第1連結部が設けられ、第2プリント配線基板の端部には、前記第1連結部と連結する第2連結部が設けられている。第2連結部には、第1連結部と第2連結部との連結を強化する連結強化部3が設けられている。また、この連結強化部3は、光硬化するまでは熱可塑性の性状を有する光硬化型樹脂から形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのプリント配線基板の端部同士を連結するコネクタ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話等のモバイル端末では、その内部のプリント配線基板同士が電気的に接続されて電気信号或いは光信号を送受信できるようになっている。このような2つのプリント配線基板の端部同士を電気的に接続した状態で連結するコネクタ構造にあっては、低背化しておくことが好ましく、低背化することでモバイル端末全体の小型化・薄型化に寄与できる。そのため、従来から、例えば第1プリント配線基板の端部に突起状端子を設け、第2プリント配線基板の端部に弾性を有する端子保持片を設け、前記端子保持片を前記突起状端子の周面に圧接させることにより、端部同士を連結するようにしたものが知られている。しかし、このものにおいては、例えば突起状端子と端子保持片との着脱を繰り返し行うと、端子保持片の永久変形(へたり)によって確実な連結をさせ難くなってしまうおそれがある。
【0003】
又、このような端子保持片の永久変形を起こし難くしたものとして、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示されたものは、端子保持片(弾性部)に、銅または銅を含む合金よりも高い弾性を有する薄板状の金属板を貼り付けたものである。そして、突起状端子が挿入されると変形した金属板の復元力により端子保持片が突起状端子の周面に確実に圧接状態にできるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−277916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されたものにおいては、金属板を端子保持片に貼り合せする際の精度を確保しなければならず、製作がし難い。又、金属板とプリント配線基板との熱膨張率の違いで生じる接着部位での熱応力や剥離の問題があり、長期信頼性に影響を及ぼす懸念がある。
【0006】
本発明は、第1プリント配線基板と第2プリント配線基板との着脱を繰り返し行っても第1プリント配線基板と第2プリント配線基板とを確実に連結でき、しかも、容易に製作できるコネクタ構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、第1プリント配線基板の端部と第2プリント配線基板の端部とを着脱自在に連結するコネクタ構造であって、前記第1プリント配線基板の端部と前記第2プリント配線基板の端部とのいずれか一方又は両方に、それらの連結を強化する連結強化部が設けられ、前記連結強化部は、合成樹脂から構成されていることを特徴とするコネクタ構造を提供する。
【0008】
前記合成樹脂は、光硬化型樹脂である構成とできる。
【0009】
前記合成樹脂は、光硬化するまでは熱可塑性の性状を有するものである構成とできる。
【0010】
前記第1プリント配線基板と前記第2プリント配線基板との何れか一方又は両方は、フレキシブルプリント基板である構成とできる。
【0011】
前記第1プリント配線基板の端部には、第1基板用電気回路と、前記第1基板用電気回路と接続された突起状端子が設けられ、前記第2プリント配線基板の端部には、第2基板用電気回路と、前記第2基板用電気回路と連結された弾性を有する端子保持片とが設けられ、前記端子保持片は、前記突起状端子の周面に圧接するようにして前記突起状端子を保持し、前記連結強化部は、前記端子保持片を強化する端子保持片強化部を備えている構成とできる。
【0012】
前記連結強化部は、前記端子保持片を含むように前記第2プリント配線基板の長手方向に所定の長さ範囲で形成された板状の挿抜用強化部と、前記挿抜用強化部の前記長手方向の側方側に前記挿抜用強化部と隣接して形成された板状の操作用強化部とを備え、前記挿抜用強化部は、その厚さが前記操作用強化部よりも薄くなるように構成され、前記端子保持片強化部は、前記挿抜用強化部の一部から構成されているものとできる。
【0013】
前記第1プリント配線基板の端部には、連結用突部が設けられ、前記第2プリント配線基板の端部には、弾性を有する突部保持片が設けられ、前記突部保持片は、前記連結用突部の周面に圧接するようにして前記連結用突部を保持し、前記連結強化部は、前記突部保持片を強化する突部保持片強化部を備えている構成とできる。
【0014】
前記第1プリント配線基板の端部には、連結用突部が設けられ、前記連結強化部は、前記連結用突部を保持する弾性を有する突部保持用弾性片を備えている構成とできる。
【0015】
前記突部保持用弾性片は、前記第2プリント配線基板の端部に設けられた収納孔に収納されている構成とできる。
【0016】
前記連結用突部は、リブ状突部又は柱状突部から構成されているものとできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、合成樹脂により形成された連結強化部によって、第1プリント配線基板と第2プリント配線基板との一方又は両方を強化できる。これにより、第1プリント配線基板と第2プリント配線基板との着脱を繰り返し行っても第1プリント配線基板と第2プリント配線基板とを確実に連結でき、両者の連結が弱まるようなことを防止できる。
【0018】
又、連結強化部の形成に際しては、インプリント成形によって容易に形成できるとともに、プリント配線基板との熱膨張差を低減でき、応力集中や剥離等の生じるおそれの少ないものにでき、長期信頼性を有するものにできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態のコネクタ構造の連結を外した状態の斜視図である。
【図2】(a)は、本発明の第1実施形態のコネクタ構造の第1プリント配線基板の端部の平面図、(b)は、(a)の側面図である。
【図3】(a)は、本発明の第1実施形態のコネクタ構造の第2プリント配線基板の端部の平面図、(b)は、(a)の側面図である。
【図4】第1実施形態の突起状端子と端子保持片との連結状態の断面図である。
【図5】(a)は、第2プリント配線基板の端部の斜視図、(b)は、第2プリント配線基板の端部に、熱可塑性樹脂材或いは熱硬化性樹脂材を塗布した状態の斜視図、(c)は、その熱可塑性樹脂材或いは熱硬化性樹脂材にモールドを押し付けた状態の斜視図、(d)は、モールドを離型した状態の分解斜視図である。
【図6】(a)は、第2プリント配線基板の端部に、紫外線硬化性樹脂材を塗布した状態の斜視図、(b)は、その紫外線硬化性樹脂材にモールドを押し付けて紫外線を照射した状態の斜視図、(c)は、モールドを離型した状態の分解斜視図である。
【図7】(a)は、第2プリント配線基板の端部に、光硬化性エポキシ樹脂材を塗布した状態の斜視図、(b)は、その光硬化性エポキシ樹脂材にモールドを押し付けた状態の斜視図、(c)は、モールドを離型した状態の分解斜視図、(d)は、光硬化性エポキシ樹脂材に紫外線を照射した状態の斜視図、(e)は、光硬化性エポキシ樹脂材に紫外線を照射した後の状態の分解斜視図である。
【図8】第1実施形態のコネクタ構造の変形例の断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態のコネクタ構造の連結を外した状態の斜視図である。
【図10】第2実施形態の連結用突部と突部保持片との連結状態の断面図である。
【図11】第2実施形態の変形例の連結を外した状態の斜視図である。
【図12】第2実施形態の他の変形例に係り、(a)は、他の変形例の断面図、(b)は、(a)の変形例の突部保持用弾性片と連結用突部との連結状態の断面図である。
【図13】図12の変形例の突部保持用弾性片の製造工程に係り、(a)は、第2プリント配線基板の収納孔に、光硬化性エポキシ樹脂材を塗布した状態の断面図、(b)は、その光硬化性エポキシ樹脂材にモールドを押し付けた状態の断面図、(c)は、モールドを離型した状態の断面図、(d)は、光硬化性エポキシ樹脂材に紫外線を照射した状態の断面図、(e)は、光硬化性エポキシ樹脂材から未硬化部分を除去して突部保持用弾性片を形成した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態のコネクタ構造の連結を外した状態の斜視図、図2(a)は、第1実施形態のコネクタ構造の第1プリント配線基板の端部の平面図、図2(b)は、図2(a)の側面図である。また、図3(a)は、第1実施形態のコネクタ構造の第2プリント配線基板の端部の平面図、図3(b)は、図3(a)の側面図である。
【0021】
本発明のコネクタ構造10は、第1プリント配線基板1と、第2プリント配線基板2とを備えている。
【0022】
第1プリント配線基板1は、この実施形態では、基材がガラスエポキシ等から構成されたリジッド基板からなる。そして、第1プリント配線基板1の長手方向(図のX−Y方向)の端部(この図1、図2では、左端部)には、円柱状の金属製の複数(この例では、7個)の突起状端子11が設けられている。
【0023】
これらの突起状端子11は、図1、図2に示すように夫々、第1プリント配線基板1の表面上に、その表面上に設けられた第1基板用電気回路12夫々と接触するようにして配設されてそれらの第1基板用電気回路12夫々と通電可能に接続されている。
【0024】
詳しくは、第1プリント配線基板1の表面には、幅方向に沿って互いに所定の距離を持って並列されるようにして長手方向に沿って延ばされた複数本(この例では、7本)の第1基板用電気回路12が設けられている。そして、突起状端子11は、夫々、その第1基板用電気回路12夫々の端部に載せられるようにして幅方向に1列状に配設されている。
【0025】
この実施形態では、これらの突起状端子11は、夫々、その径が100μm〜200μm程度、第1プリント配線基板1の表面からの突出高さが150μm程度のものとされている。
【0026】
第2プリント配線基板2は、この実施形態では、柔軟性があり大きく変形させることができる基材を有するフレキシブルプリント基板から構成されている。この第2プリント配線基板2の端部には、上記第1プリント配線基板1の突起状端子11夫々が挿入される複数の端子挿入部21が設けられている。
【0027】
これらの端子挿入部21は、図1、図5(a)に示すように上記突起状端子11に対応して、第2プリント配線基板2の幅方向に沿って並列されるように配設されている。各端子挿入部21には、図3(a)に示すように中心部に裏面から表面に貫通した円形状の中心孔22と、その中心孔22から径外側に放射状に延ばされたスリット23と、中心孔22とスリット23とにより区画形成された弾性を有する端子保持片24とが設けられている。
【0028】
この端子保持片24は、図3(b)に示すように対向する2つのスリット23の外端同士の距離を直径とする保持片形成円24a内に概ね形成されている。
【0029】
中心孔22は、その直径が突起状端子11の直径よりも小さく設定されている。この実施形態では、中心孔22は、その直径が突起状端子11の直径よりも20μm程度小さく設定されている。
【0030】
又、第2プリント配線基板2の裏面には、図1に示すように上記第1プリント配線基板1の第1基板用電気回路12に対応して第2基板用電気回路(導体パターン)25が設けられている。これらの第2基板用電気回路25は、図3(b)に示すように端子挿入部21夫々を含んで端子挿入部21夫々から第2プリント配線基板2の長手方向(図のX−Y方向)に延ばされており、端子保持片24の裏面全体に積層されるようにして連結されている。
【0031】
又、第2プリント配線基板2の端部における表面には、第1プリント配線基板1と第2プリント配線基板2との連結を強化する連結強化部としての強化板部3が設けられている。
【0032】
又、この実施形態の強化板部3は、板状の挿抜用強化板部31と、板状の操作用強化板部32とを備えている。挿抜用強化板部31は、例えば第2プリント配線基板2の端子挿入部21に突起状端子11が繰り返し挿抜されて突起状端子11と端子保持片24が着脱されても端子保持片24がへたり難い(永久変形し難い)ように端子挿入部21の端子保持片24を強化する。
【0033】
この挿抜用強化部31は、第2プリント配線基板2の端縁から長手方向に端子挿入部21を含んで所定の長さ範囲に形成されている。この実施形態では、挿抜用強化部31の厚さt1が200μm程度で、長手方向の長さL1が3mm程度に設定されている。
【0034】
そして、この挿抜用強化部31には、図3(b)に示すように、端子挿入部21夫々に対応する位置に、円形状の端子受容孔31aと、端子受容孔31aを囲むようにその全周部に形成された端子保持片強化部31bとが設けられている。
【0035】
この端子受容孔31aは、その径が中心孔22の径よりも大きく、上記保持片形成円24aよりも小さく設定され、端子保持片強化部31bは、各端子保持片24の基端部上に積層されるようにして配設されている。この実施形態では、端子受容孔31aの径は、突起状端子11の直径よりも50μm程度大きく設定されている。
【0036】
操作用強化板部32は、例えば端子挿入部21を突起状端子11に入れる場合に第2プリント配線基板2の端部が撓んで入れ操作し難くなるのを防止して、連結操作を容易にする。
【0037】
この操作用強化板部32は、図1に示すように挿抜用強化部31の上記長手方向の側方側に、挿抜用強化部31と隣接して形成されている。この実施形態では、挿抜用強化部31の厚さt2が400μm程度で、長手方向の長さL2が3mm程度に設定されている。
【0038】
これらの挿抜用強化板部31と操作用強化板部32とを有する強化板部3は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、或いは、光硬化性樹脂等の合成樹脂から形成されている。
【0039】
これらの合成樹脂によって強化板部3を形成するには、次のようにして行うことができる。まず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂によって形成する場合から説明する。
【0040】
強化板部3の材料として用いることができる熱可塑性樹脂としては、次のものを例示できる。例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、液晶ポリマー(LCP)、ポリフタルアミド(PPA)などである。
【0041】
又、強化板部3の材料として用いることができる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーンなどを例示できる。
【0042】
そして、例えば図5(a)(b)に示すように、第2プリント配線基板2の端部における表面上に、液状の熱可塑性樹脂材或いは熱硬化性樹脂材を強化部材料30aとして塗布する。又は、フィルム状の熱可塑性樹脂材或いは熱硬化性樹脂材を強化部材料30aとして積層する。
【0043】
次に、加熱雰囲気中で、強化部材料30aを加熱し軟化させ、その軟化状態で、モールド100の下面を押し付ける。このモールド100の下面には、段部101が設けられているとともに、図示しないが、複数(この実施形態では7個)の端子受容孔形成ピンが下面から下方に突設されている。
【0044】
このモールド100の押し付けにより、図5(c)に示すようにその下面の形状が強化部材料30aに転写される。尚、この加熱雰囲気の温度は、この実施形態では、80°C〜150°Cに設定されている。
【0045】
そして、その転写された強化部材料30aが固化した後、図5(d)に示すようにモールド100を離型する。尚、離型は、強化部材料30aが熱可塑性樹脂の場合には、強化部材料30aの温度が下がって強化部材料30aが固化した後に行い、一方、強化部材料30aが熱硬化性樹脂の場合は、強化部材料30aが熱硬化した後に行うことができる。
【0046】
これにより、挿抜用強化部31とその挿抜用強化部31よりも厚い操作用強化部32とを有するとともに、挿抜用強化部31に端子受容孔形成ピンによって端子受容孔31aが形成された強化板部3を、第2プリント配線基板2の表面上に一体的に形成できる。
【0047】
次に、光硬化性樹脂によって強化板部3を形成する場合について、説明する。強化板部3の材料として用いることができる光硬化性樹脂としては、例えば紫外線硬化性樹脂を例示できる。
【0048】
又、使用できる紫外線硬化性樹脂は、特に限定されず、種々のものを用いることができるが、成型加工を容易にできる等の点で特に好適なものとして、光硬化するまでは熱可塑性の性状を有する光硬化性エポキシ樹脂(以下、「光硬化性エポキシ樹脂」というときは、光硬化するまでは熱可塑性の性状を有する光硬化性エポキシ樹脂をいうものとする。)を挙げることができる。
【0049】
この光硬化性エポキシ樹脂は、室温で固形でありかつ加熱によって溶融する未硬化の光硬化樹脂であり、エポキシ樹脂モノマおよびオリゴマと光重合開始剤からなる。
【0050】
モノマおよびオリゴマは室温では分子量が小さいものほど液状を示し、大きいものほど粘性が上昇し固形に達するものもあるが、いわゆるポリマと異なり分子量が小さいため、室温で固形であっても加熱によって分子が自由に移動できるようになり液状化する。これらエポキシモノマ、オリゴマは非常に多くの種類が販売されており、これらを混ぜ合わせることによって、温度による形状制御を比較的自由に設計することができる。
【0051】
温度による固液状態の制御は型形状の転写性、スループットに大きく影響する。理想的には、室温では完全に固体であり、表面は粘着性(タック性)がなく、型離れが容易にでき、またできるだけわずかな加熱で溶融、液状化するものが好ましい。賦型時と離型時の温度差が少ないほど形状転写精度が向上し、かつスループットが向上する。
【0052】
フェノキシ樹脂とは、ビスフェノールA型あるいはビスフェノールF型のエポキシ樹脂から合成される、エポキシ基を持つポリヒドロキシポリエーテルであり、重量平均分子量(Mw)が4万〜6万のものが市販されている。例えば、エピコート1256(ビスフェノールA型でMw約5万、三菱化学株式会社製)、フェノトートYP−50(ビスフェノールA型でMw約6万、新日鐵化学株式会社製)が市販されている。フェノキシ樹脂は反応基を持つ熱可塑性樹脂なので、固形樹脂層の表面タック性を低減して離型性を向上させ、かつ脆性を低減して離型時のクラッキングや欠け、露光・現像時のパターン欠けを防止し、かつ下地との密着性を向上させることができる。ただし前記エポキシモノマ、オリゴマの混合体に配合するときその量が過多であると、樹脂層形成のための塗布時に流動性がわるく充填性の悪化や、気泡の巻き込みが多くなる。また、加熱時の流動性が損なわれ、賦型性が悪化し、また露光後に架橋密度を向上させるために加熱を加えるとその熱可塑性のために変形が生じたりする。そのため、その配合比率は1〜30重量%の範囲内であることが好ましい。
【0053】
光重合開始剤は、光照射によって前記エポキシモノマ、オリゴマの未反応のエポキシ基を開環自重合させるためのもので、これも多くのものが市販されている。具体例としては、陰イオンとしてPF6−、AsF6−、SbF6−、SbCl62−、BF4−、SnCl6−、FeCl4−、BiCl52−などをもつアリールジアゾニウム塩を挙げることができる。また、陰イオンとしてPF6−、AsF6−、SbF6−、SbCl62−、BF4−、ClO4−、CF3SO3−、FSO3−、F2PO2−、B(C6F5)4−などをもつジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩を挙げることができる。さらに、陰イオンとしてPF6−、AsF6−、SbF6−などを持つジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキル−4−ヒドロキシルフェニルスルフォニウム塩、また、α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステルや、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトンやβ−スルホニロキシケトンなどのスルホン酸エステル、さらに鉄のアレン化合物、シラノール−アルミニウム錯体、o−ニトロベンジル−トリフェニルシリルエーテル等を例示できる。
【0054】
溶剤は特に固形のエポキシ樹脂を溶解し、さらに液状のエポキシ樹脂、光重合開始剤、さらにはフェノキシ樹脂、カップリング剤を溶解できるものが選択される。極性や沸点を考慮し、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)等、もしくはこれらの混合物が用いられる。樹脂成分との混合比率は、滴下や塗布に最適な粘度となるよう決定されるが、乾燥(溶剤揮発)後体積減少分も考慮して決められる。おおよそ1:1を基準として微調整される。
【0055】
次に、紫外線硬化性樹脂を用いた強化板部3の具体的形成方法を、光硬化性エポキシ樹脂以外の紫外線硬化性樹脂(以下、光硬化性エポキシ樹脂以外の紫外線硬化性樹脂を、単に「紫外線硬化性樹脂」という)と、光硬化性エポキシ樹脂との夫々について説明する。
【0056】
まず、紫外線硬化性樹脂の場合から説明する。例えば図6(a)に示すように、第2プリント配線基板2の端部における表面上に、液状の紫外線硬化性樹脂を強化部材料30bとして塗布し、又は、フィルム状の紫外線硬化性樹脂を強化部材料30bとして積層する。
【0057】
次に、強化部材料30bを、モールド110を用いて成型する。この紫外線硬化性樹脂の成型に際して用いるモールド110は、光透過可能な透明体、例えば石英モールドやPDMS(シリコーンゴム)などの透明樹脂モールドが使用される。又、モールド110は、上述の熱可塑性樹脂等の成型に用いたモールド100と同様に、その下面に段部111が設けられている。ただし、このモールド110には、端子受容孔形成ピンは設けられていない。
【0058】
そして、図6(b)に示すように、この強化部材料30b上に、モールド110の下面を押し付けてその下面の形状を転写させる。その際、強化部材料30bとモールド110との間における未硬化設定部に、紫外線透過不能なマスクを配設する。例えば形成しようとする端子受容孔31aに相応する部分に、端子受容孔形成マスク112を配設しておくとともに、形成しようとする操作用強化部32の側方側に、除去部形成マスク113を配設しておく。
【0059】
尚、端子受容孔形成マスク112及び除去部形成マスク113のマスクの配設は、この実施形態では、予めモールド110の下面の未硬化設定部に対応する部位にマスク材料を印刷して端子受容孔形成マスク112及び除去部形成マスク113を形成しておき、強化部材料30b上にモールド110の下面を押し付ける際に、同時に端子受容孔形成マスク112及び除去部形成マスク113を強化部材料30bとモールド110との間における未硬化設定部に配設するようして行っている。ただし、これらのマスクの配設は、この形態のものに限らず、例えばモールド110と別体のマスクを強化部材料30b上の未硬化設定部に配設し、その後、モールド110をマスク上から押し付けるようにしてもよく、適宜変更できる。
【0060】
その後、紫外線Uをモールド110の上方側から、モールド110を透過させるようにして強化部材料30bに照射する。これにより、強化部材料30bは、紫外線Uが当たった部分だけが硬化し、端子受容孔形成マスク112及び除去部形成マスク113が配設されて紫外線Uが当たらなかった部分は未硬化部112a、113aとして残る。
【0061】
その後、図6(c)に示すようにモールド110を離型するとともに、その離型に際して端子受容孔形成マスク112及び除去部形成マスク113を外す。そして、端子受容孔形成マスク112及び除去部形成マスク113によって紫外線Uが当たらなかった未硬化部112a、113aを溶剤等で除去する。
【0062】
これにより、挿抜用強化部31とその挿抜用強化部31よりも厚い操作用強化部32とを有するとともに、操作用強化部32に端子受容孔形成マスク112によって端子受容孔31aが形成された強化板部3を、第2プリント配線基板2の表面上に一体的に形成できる。
【0063】
次に、光硬化性エポキシ樹脂を用いて形成する場合について説明する。例えば図7(a)に示すように、第2プリント配線基板2の端部における表面上に、液状の光硬化性エポキシ樹脂を強化部材料30cとして塗布し、又は、フィルム状の光硬化性エポキシ樹脂を強化部材料30cとして積層する。
【0064】
そして、加熱雰囲気中で、強化部材料30cを加熱し軟化させ、その軟化状態で、モールド120の下面を押し付けてその下面の形状を転写させる。この光硬化性エポキシ樹脂の成型に際して用いるモールド120は、この実施形態では、ニッケル(Ni)等から形成された不透明体から構成されている。又、モールド120は、上記紫外線硬化性樹脂の成型に用いたモールド110と同様に、その下面に段部121が設けられている。又、このモールド120には、端子受容孔形成ピンは設けられていない。
【0065】
そして、図7(b)に示すようにこの強化部材料30c上に、モールド120の下面を押し付けてその下面の形状を転写させ、図7(c)に示すようにモールド120を離型する。このモールド120を押し付けて転写させた状態では、強化部材料30cは未硬化状態である。しかし、光硬化性エポキシ樹脂からなる強化部材料30cは、加熱と冷却とにより軟化と固化とを可逆的に状態変化が可能なため、加熱状態で通常のモールドで形状転写し、そのまま冷却して離型すると強化部材料30cが転写形状を維持できる。そのため、上記の紫外線硬化性樹脂の場合に用いたような透明なモールド110を使用する必要がなく、加工コストも安く抑えられる。
【0066】
その後、図7(d)に示すように強化部材料30c上に、上記と同様なマスクを配設する。例えば形成しようとする端子受容孔31aに相応する部分に、端子受容孔形成マスク121を配設する。また、形成しようとする操作用強化部32の側方側に、除去部形成マスク122を配設しておく。
【0067】
そして、紫外線Uを強化部材料30cに上方側から照射する。これにより、図7(e)に示すように強化部材料30cは、紫外線Uが当たった部分だけが硬化し、端子受容孔形成マスク121及び除去部形成マスク122が配設されて紫外線Uが当たらなかった部分は未硬化部121a、122aとして残る。
【0068】
その後、端子受容孔形成マスク121及び除去部形成マスク122によって紫外線が当たらなかった未硬化部121a、122aを溶剤等で除去する。
【0069】
これにより、挿抜用強化部31とその挿抜用強化部31よりも厚い操作用強化部32とを有するとともに、挿抜用強化部31に端子受容孔31aが形成された強化板部3を、第2プリント配線基板2の表面上に一体的に形成できる。
【0070】
以上のように構成された第1プリント配線基板1の端部と第2プリント配線基板2の端部とを連結するには、図4に示すように、第1プリント配線基板1の突起状端子11夫々を、第2プリント配線基板2の端子挿入部21夫々に挿入させる。
【0071】
その際、第2プリント配線基板2の端部を、操作用強化部32によって、操作用強化部32を有しない通常のフレキシブルプリント基板よりも変形し難くでき、容易に挿入できる。
【0072】
そして、挿入に際して、端子保持片24及び端子保持片強化部31b夫々の弾性に抗して突起状端子11が端子挿入部21から端子受容孔31aに入りこむ。又、この状態で、各端子保持片24及び端子保持片強化部31bの弾性によって各端子保持片24の先端が突起状端子11の周面に圧接して保持した状態になる。
【0073】
又、その端子保持片24による突起状端子11の保持に際して、端子保持片24の弾性力に加えて端子保持片強化部31bの弾性力もかかり、確実に保持できる。また、突起状端子11が端子挿入部21に繰り返し挿抜されても端子保持片24のへたりを抑えることができる。
【0074】
又、この状態で、第2基板用電気回路25と突起状端子11とが電気的に接続した状態になり、第1プリント配線基板1の端部と第2プリント配線基板2の端部とを電気的に接続した状態にして連結できる。
【0075】
尚、上記第1実施形態では、挿抜用強化部31の端子受容孔31aの径を、第2プリント配線基板2の端子挿入部21の中心孔22の径よりも大きくしているが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば図8に示すように挿抜用強化部31の端子受容孔31aの径を、第2プリント配線基板2の端子挿入部21の中心孔22の径と略同じにして、端子保持片強化部31bを端子保持片24の全体に積層したものとしてもよい。このようにしても、端子保持片強化部31bが合成樹脂から構成されて弾性を有するため、突起状端子11を端子受容孔31aに受容できる。又、その場合において、端子保持片強化部31bにスリットを設けなくても良いが、設けてもよい。
【0076】
次に、第2実施形態のコネクタ構造210について説明する。上述したように先の第1実施形態のコネクタ構造10は第2プリント配線基板2の端部にだけ連結強化部が設けられていた。これに対し、この第2実施形態のコネクタ構造210は、第1プリント配線基板201の端部と第2プリント配線基板202の端部との両方に、連結強化部が設けられている。以下に、この第2実施形態のコネクタ構造210について詳しく説明する。
【0077】
図9に示すように第2実施形態における第1プリント配線基板201の端部の表面には、先の第1実施形態のものと同様に、複数(この実施形態では4個)の突起状端子211及び第1基板用電気回路212が設けられている。更に、第2実施形態における第1プリント配線基板201の端部に、第1プリント配線基板用の連結強化部としての連結用突部213が設けられている。
【0078】
連結用突部213は、第2プリント配線基板202を位置決めするとともに、第2プリント配線基板202と連結するためのもので、この実施形態では、第1プリント配線基板201の幅方向における突起状端子211を挟んだ両側夫々に1つずつ配設されている。
【0079】
各連結用突部213は、上述の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、或いは、光硬化性樹脂等の合成樹脂から円柱状に形成されている。尚、連結用突部213の形成は、上述した先の第1実施形態における連結強化部の場合と同様にして形成できる。また、この実施形態の連結用突部213の寸法は、突起状端子211と略同じに設定されている。
【0080】
第2実施形態の第2プリント配線基板202の端部には、先の第1実施形態のものと同様に、複数の端子挿入部221と複数の第2基板用電気回路225と第2プリント配線基板用の連結強化部として強化板部203とが設けられている。
【0081】
端子挿入部221は、先の第1実施形態のものと同構成を採っており、円形状の中心孔と、中心孔から径方向外側に放射状に延ばされたスリットと、中心孔とスリットとにより区画形成された弾性を有する端子保持片とが設けられている(図3(b)参照)。
【0082】
更に、この第2実施形態の第2プリント配線基板202の端部には、突部挿入部226が設けられている。この突部挿入部226は、端子挿入部221とほぼ同構成を採っており、図10に示すように突部挿入部226には、中心孔222と、スリット(図示せず)と、第1プリント配線基板201の連結用突部213を着脱自在に保持する突部保持片224とが設けられている。突部保持片224は、上記端子保持片と同構成を採っている。
【0083】
強化板部203は、図9に示すように先の第1実施形態のものと同様に、挿抜用強化板部231と操作用強化板部232とを備えている。操作用強化板部232は先の第1実施形態のものと同構成を採っている。
【0084】
また、第2実施形態における挿抜用強化板部231には、端子挿入部221に対応する位置に端子受容孔231a及び端子保持片用強化部231bが設けられている。更に、第2実施形態における挿抜用強化板部231には、突部挿入部226に対応する位置に連結用突部213を受容する突部受容孔231c及び突部保持片強化部231dが設けられている。
【0085】
突部保持片強化部231dは、例えば第2プリント配線基板202の突部保持片224と連結用突部213とが繰り返し着脱(挿抜)されても突部保持片224がへたり難い(永久変形し難い)ように突部保持片224を強化する。又、この実施形態の突部受容孔231cは、その径が突部挿入部226の中心孔222の径よりも50μm程度大きく設定されている。
【0086】
以上のように構成された第2実施形態の第1プリント配線基板201と第2プリント配線基板202とを連結するには、図10に示すように、第1プリント配線基板201の連結用突部213夫々を、第2プリント配線基板202の突部挿入部226夫々に挿入させる。
【0087】
その挿入に際して、端子挿入部221と突起状端子211とが位置合わせされた状態になり、端子挿入部221に突起状端子211を自然と挿入させることができる(図9参照)。
【0088】
また、その連結用突部213の突部挿入部226への挿入に際して、突部保持片224及び突部保持片強化部231d夫々の弾性に抗して連結用突部213が突部挿入部226から突部受容孔231cに入りこむ。又、この状態で、各突部保持片224及び突部保持片強化部231dの弾性によって各突部保持片224の先端が連結用突部213の周面に圧接して連結用突部213を保持した状態になる。
【0089】
又、その保持に際して、突部保持片224の弾性力に加えて突部保持片強化部231dの弾性力もかかり、確実に保持できる。また、連結後は、連結用突部213が合成樹脂から構成されているため、例えば連結用突部213を金属から構成した場合に較べて圧接状態の突部保持片224が連結用突部213の周面を滑り難くでき、連結が外れるおそれの少ないものにできる。また、連結用突部213と突部保持片224との着脱が繰り返し行われても突部保持片強化部231dによって突部保持片224のへたりを抑えることができる。
【0090】
従って、この第2実施形態においては、突起状端子211と端子保持片との連結に加えて、連結用突部213と突部保持片224とが連結して、より確実に連結できる。
【0091】
又、この状態で、第2基板用電気回路225と突起状端子211とが電気的に接続した状態になり、第1プリント配線基板201の端部と第2プリント配線基板202の端部とを電気的に接続した状態にして連結できる。
【0092】
尚、上記第2実施形態では、連結用突部213は、円柱状のものから構成されたが、連結用突部の形状は、特に限定されず、適宜変更できる。例えば図11に示すように連結用突部313を、四角柱状のリブ状突部から構成する。そして、第2プリント配線基板202の突部保持用孔326及び挿抜用強化板部231の端子受容孔331aをその四角柱状の連結用突部313を受容できるスリット状の孔から構成してもよい。又、例えば連結用突部313を、先端部に径大部を有するきのこ形状のものとしてもよい。
【0093】
又、上記第2実施形態では、突部受容孔231cの径を、突部挿入部226の中心孔222の径よりも大きくしているが(図10参照)、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば突部受容孔231cの径を、突部挿入部226の中心孔222の径と同じにして突部保持片強化部231dが突部保持片224の上面全体に積層されたものとしてもよい。このようにしても、突部保持片強化部231dが合成樹脂から構成されて弾性を有するため、連結用突部213を突部受容孔231cに受容できる。又、その場合において、突部保持片強化部231dにスリットを設けなくても良いが、設けてもよい。
【0094】
又、上記第2実施形態では、連結用突部213を、第2プリント配線基板202の突部保持片224が保持しているが、この形態のものに限らず、例えば挿抜用強化板部231に連結用突部213を着脱自在に保持する突部保持用弾性片334を設けてもよい。
【0095】
詳しくは、図12に示すように、第2プリント配線基板202に設けた挿抜用強化板部231には、突部受容孔333と突部保持用弾性片334とが設けられている。突部受容孔333は、連結用突部213の径よりもやや小さく形成されている。突部保持用弾性片334は、突部受容孔333を囲むようにその突部受容孔333の全周縁部に形成されている。
【0096】
一方、第1プリント配線基板201には、収納孔240が設けられており、この収納孔240に突部保持用弾性片334が収納されている。
【0097】
そして、図12(b)に示すように突部受容孔333に、第1プリント配線基板201の連結用突部213を突部保持用弾性片334の弾性に抗して押し入れる。これにより、突部保持用弾性片334が撓んで連結用突部213の周部に圧接して保持する。
【0098】
又、このように第1プリント配線基板201の収納孔240に突部保持用弾性片334を収納するには、上記紫外線硬化性樹脂又は光硬化性エポキシ樹脂等を用いて、上述したと同様にして行うことができる。
【0099】
詳しくは、例えば図13(a)に示すように第1プリント配線基板201の上面における収納孔240の周部及び収納孔240に、上記光硬化性エポキシ樹脂からなる液状の強化部材料30cを塗布する。
【0100】
その後、図13(b)に示すように加熱雰囲気中で、強化部材料30cを加熱し軟化させ、その軟化状態で、下面に段部141を有するモールド140を押し付けてその下面の形状を転写させ、図13(c)に示すようにモールド140を離型する。
【0101】
そして、図13(d)に示すように強化部材料30c上に、突部受容孔形成マスク114を配設し、紫外線Uを強化部材料30cに照射する。これにより、強化部材料30cは、紫外線Uが当たった部分だけが硬化し、突部受容孔形成マスク114によって紫外線Uが当たらなかった部分は未硬化の状態になる。
【0102】
その後、図13(e)に示すように、突部受容孔形成マスク114によって紫外線Uが当たらなかった未硬化部分を除去する。これにより、収納孔240に光硬化性エポキシ樹脂からなる保持部430を収納した第1プリント配線基板201を得ることができる。
【0103】
尚、上記第2実施形態では、連結用突部213を、合成樹脂から構成して第1プリント配線基板用の連結強化部とし第1プリント配線基板にも連結強化部を有するものとしたが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば連結用突部213を金属から構成して第1プリント配線基板に連結強化部を有しないものとしてもよい。或いは、連結用突部213を、合成樹脂から構成して第1プリント配線基板用の連結強化部とし、第2プリント配線基板202に連結強化部を設けないものとしてもよい。
【0104】
又、上記第2実施形態では、挿抜用強化板部231に端子保持片用強化部231bを設けているが、この形態のものに限らず、挿抜用強化板部231に端子保持片用強化部231bを設けないものでもよく、適宜変更できる。以上が、第2実施形態の説明である。
【0105】
尚、上記第1及び第2実施形態では、突起状端子を円柱状のものから構成したが、この形状のものに限らず、例えば先端部に径大部を有するきのこ形状のものにする等、適宜変更できる。
【0106】
又、上記第1及び第2実施形態では、第2プリント配線基板をフレキシブルプリント基板から構成し、第1プリント配線基板を、リジッド基板から構成したが、この形態のものに限らず、適宜変更できる。例えば第1プリント配線基板と第2プリント配線基板との一方又は両方を、フレキシブルプリント基板から構成し、或いは、両方を、リジッド基板から構成してもよい。
【0107】
以上のように本発明に係るコネクタ構造は、第1プリント配線基板の端部と第2プリント配線基板の端部とを着脱自在に連結するコネクタ構造であって、前記第1プリント配線基板の端部と前記第2プリント配線基板の端部とのいずれか一方又は両方に、それらの連結を強化する連結強化部が設けられ、前記連結強化部は、合成樹脂から構成されていることを特徴とする。
【0108】
これによれば、連結強化部が合成樹脂により形成されているため、連結強化部を弾性を有するものにできる。これにより、第1プリント配線基板と第2プリント配線基板との一方又は両方を強化でき、第1プリント配線基板と第2プリント配線基板との着脱を繰り返し行っても第1プリント配線基板と第2プリント配線基板とを確実に連結できる。
【0109】
又、連結強化部の形成に際しては、インプリント成形によって容易に形成できるとともに、プリント配線基板との熱膨張差を低減でき、応力集中や剥離等の生じるおそれの少ないものにでき、長期信頼性を有するものにできる。
【0110】
又、前記合成樹脂は、光硬化型樹脂である構成とできる。これによれば、全工程を通して室温プロセスで工程が完結でき、基板、モールド間の熱膨張率差の影響を受けずに基板上の狙い位置に高精度に形状転写ができる。また、加熱して冷却する工程が不要なため、成形タクトも短くできる。更には、モールド下面にマスクを配置することで、不必要な部分は硬化させずに後工程で溶剤等で除去(現像)でき、基板上の特定部位に選択的に樹脂構造体が形成できる。
【0111】
又、前記光硬化型樹脂は、光硬化するまでは熱可塑性の性状を有するものである構成とできる。
【0112】
これによれば、光硬化するまでは熱可塑性の性状を有する樹脂を用いると、未硬化状態で、加熱と冷却とにより軟化と固化とを可逆的に状態変化可能なため、加熱状態で通常のモールドで形状転写し、そのまま冷却して離型しても樹脂が転写形状を維持できる。そのため、透明なモールドを使用せずに不透明なモールドを使用できる。透明なモールドは石英等の紫外線透過可能なガラスを使用するために直接加工やエッチング加工などの加工を行わなければならず加工コストが高くなるが、不透明なモールドは、例えばニッケル(Ni)から形成でき、電鋳(めっき)によって複製可能であり、その結果、使用するモールドの加工コストも低く抑えることができる。また、加熱及び冷却しても液状のものでは、インプリントごとにマスクやモールドに樹脂が付着してしまい、その都度、洗浄せねばならないが、光硬化するまでは熱可塑性の性状を有する樹脂を用いると、室温状態で固化しているため、マスク工程においても、マスクに樹脂が付着することがなく、プロセスが流しやすいといった効果も期待できる。
【0113】
また、前記第1プリント配線基板と前記第2プリント配線基板との何れか一方又は両方は、フレキシブルプリント基板である構成とできる。
【0114】
これによれば、連結強化部によって、変形し易いフレキシブルプリント基板の連結を強化でき、フレキシブルプリント基板の連結に好ましいものにできる。
【0115】
また、前記第1プリント配線基板の端部には、第1基板用電気回路と、前記第1基板用電気回路と連結された突起状端子が設けられ、前記第2プリント配線基板の端部には、第2基板用電気回路と、前記第2基板用電気回路と接続された弾性を有する端子保持片とが設けられ、前記端子保持片は、前記突起状端子の周面に圧接するようにして前記突起状端子を保持し、前記連結強化部は、前記端子保持片を強化する端子保持片強化部を備えている構成とできる。
【0116】
これによれば、端子保持片強化部によって端子保持片を強化でき、突起状端子と端子保持片とを繰り返し着脱しても端子保持片がへたるようなことを防止できる。従って、確実に連結でき、接触不良を起こすようなことも防止できる。
【0117】
また、前記連結強化部は、前記端子保持片を含むように前記第2プリント配線基板の長手方向に所定の長さ範囲で形成された板状の挿抜用強化部と、前記挿抜用強化部の前記長手方向の側方側に前記挿抜用強化部と隣接して形成された板状の操作用強化部とを備え、前記挿抜用強化部は、その厚さが前記操作用強化部よりも薄くなるように構成され、前記端子保持片強化部は、前記挿抜用強化部の一部から構成されているものとできる。
【0118】
この構成によれば、挿抜用強化部によって、例えば端子保持片を強化できる。また、操作用強化部によって、例えば、端子保持片が設けられた第2プリント配線基板の端部を強化して変形し難くでき、突起状端子と端子保持片との着脱操作を容易なものにできる。
【0119】
また、前記第1プリント配線基板の端部には、連結用突部が設けられ、前記第2プリント配線基板の端部には、弾性を有する突部保持片が設けられ、前記突部保持片は、前記連結用突部の周面に圧接するようにして前記連結用突部を保持し、前記連結強化部は、前記突部保持片を強化する突部保持片強化部を備えている構成とできる。
【0120】
これによれば、突起状端子とは別に設けた連結用突部を保持する突部保持片を、突部保持片強化部によって強化するため、第1プリント配線基板と第2プリント配線基板とを、より一層、確実に連結できる。また、その際、連結用突部も連結強化部として合成樹脂から構成するため、連結用突部をも弾性を有するものにでき、突部保持片で連結用突部を確実に保持できる。
【0121】
また、前記第1プリント配線基板の端部には、連結用突部が設けられ、前記連結強化部は、前記連結用突部を保持する弾性を有する突部保持用弾性片を備えている構成とできる。
【0122】
これによれば、合成樹脂から構成した突部保持用弾性片によって連結用突部を保持するため、連結用突部と突部保持用弾性片とを繰り返し着脱しても突部保持用弾性片がへたるようなことを抑えることができ、確実に保持できる。
【0123】
また、前記突部保持用弾性片は、前記第2プリント配線基板の端部に設けられた収納孔に収納されている構成とできる。これによれば、突部保持用弾性片を容易に形成できる。
【0124】
また、前記連結用突部は、リブ状突部又は柱状突部から構成されているものにできる。
【0125】
これによれば、リブ状突部又は柱状突部によって第1プリント配線基板と第2プリント配線基板との連結を、より一層、強化でき、より一層確実に連結できる。また、リブ状突部又は柱状突部を合成樹脂で形成すればよく、容易に形成できる。
【符号の説明】
【0126】
1,201 第1プリント配線基板
2,202 第2プリント配線基板
3,303 強化板部(連結強化部)
10,210 コネクタ構造
11,211 突起状端子
12,212 端子挿入部
24 端子保持片
31,231 挿抜用強化板部
31b 端子保持片強化部
32,232 操作用強化板部
213 連結用突部(連結強化部)
224 突部保持片
335 突部保持用弾性片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プリント配線基板の端部と第2プリント配線基板の端部とを着脱自在に連結するコネクタ構造であって、
前記第1プリント配線基板の端部と前記第2プリント配線基板の端部とのいずれか一方又は両方に、それらの連結を強化する連結強化部が設けられ、
前記連結強化部は、合成樹脂から構成されていることを特徴とするコネクタ構造。
【請求項2】
前記合成樹脂は、光硬化型樹脂であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ構造。
【請求項3】
前記合成樹脂は、光硬化するまでは熱可塑性の性状を有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ構造。
【請求項4】
前記第1プリント配線基板と前記第2プリント配線基板との何れか一方又は両方は、フレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のコネクタ構造。
【請求項5】
前記第1プリント配線基板の端部には、第1基板用電気回路と、前記第1基板用電気回路と接続された突起状端子が設けられ、
前記第2プリント配線基板の端部には、第2基板用電気回路と、前記第2基板用電気回路と連結された弾性を有する端子保持片とが設けられ、
前記端子保持片は、前記突起状端子の周面に圧接するようにして前記突起状端子を保持し、
前記連結強化部は、前記端子保持片を強化する端子保持片強化部を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のコネクタ構造。
【請求項6】
前記連結強化部は、前記端子保持片を含むように前記第2プリント配線基板の長手方向に所定の長さ範囲で形成された板状の挿抜用強化部と、前記挿抜用強化部の前記長手方向の側方側に前記挿抜用強化部と隣接して形成された板状の操作用強化部とを備え、
前記挿抜用強化部は、その厚さが前記操作用強化部よりも薄くなるように構成され、
前記端子保持片強化部は、前記挿抜用強化部の一部から構成されていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ構造。
【請求項7】
前記第1プリント配線基板の端部には、連結用突部が設けられ、
前記第2プリント配線基板の端部には、弾性を有する突部保持片が設けられ、
前記突部保持片は、前記連結用突部の周面に圧接するようにして前記連結用突部を保持し、
前記連結強化部は、前記突部保持片を強化する突部保持片強化部を備えていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のコネクタ構造。
【請求項8】
前記第1プリント配線基板の端部には、連結用突部が設けられ、
前記連結強化部は、前記連結用突部を保持する弾性を有する突部保持用弾性片を備えていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のコネクタ構造。
【請求項9】
前記突部保持用弾性片は、前記第2プリント配線基板の端部に設けられた収納孔に収納されていることを特徴とする請求項8記載のコネクタ構造。
【請求項10】
前記連結用突部は、リブ状突部又は柱状突部から構成されていることを特徴とする請求項7〜9の何れか一項に記載のコネクタ構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2013−26102(P2013−26102A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161560(P2011−161560)
【出願日】平成23年7月25日(2011.7.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】