説明

コネクタ

【課題】ソケットとヘッダの結合状態を良好に保持しながら小型化を実現できるコネクタを提供することである。
【解決手段】ソケット2に略直方体のヘッダ3が装着され、前記ソケット2とヘッダ3とがロック機構で結合されるコネクタ1であって、前記ヘッダ3の短手B側の両辺に、ヘッダ3の短手方向に伸長又は収縮可能なアーチ状の係合部材4を設置し、前記係合部材4は突出部4aを有しており、前記突出部4aのヘッダ3からの突出量は前記係合部材の収縮時に大きくなり且つ伸長時に小さくなり、前記ソケット2に前記係合部材4の突出部4aと係合する保持部7aを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに結合して電気的に接続されるソケットとヘッダの嵌合状態を保持するロック機構を備えたコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、DSC(Digital Still Camera)、及びDVC(Digital Video Camera)等の小型の機器は、複数のプリント配線基板が組み合わされて目的の回路を構成している。プリント配線基板同士の接続には、図?に示すように、ソケット31とヘッダ32を備えたコネクタ30が使用されている。ソケット31とヘッダ32は、別々のプリント配線基板に実装され、ソケット31とヘッダ32を嵌合することにより、プリント配線基板同士を電気的に接続する。このようなコネクタ30が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−210182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した機器の携帯性を向上させるために、さらに機器の小型化を図るべく改良が要求されている。コネクタ30においても改良を図りたいところであるが、小型化を図りながらソケット31とヘッダ32の嵌合力を保ち、さらにソケット側の電気配線とヘッダ側の電気配線の接続が遮断又は不安定にならないようにするのは困難である。
【0005】
そこで本発明は上記事情に鑑み、ソケットとヘッダの結合状態を良好に保持しながら小型化を実現できるコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、ソケットに略直方体のヘッダが装着され、前記ソケットとヘッダとがロック機構で結合されるコネクタであって、前記ヘッダの短手側の両辺に、ヘッダの短手方向に伸長又は収縮可能なアーチ状の係合部材を設置し、前記係合部材は突出部を有しており、前記突出部のヘッダからの突出量は前記係合部材の収縮時に大きくなり且つ伸長時に小さくなり、前記ソケットに前記係合部材の突出部と係合する保持部を設けたことを特徴とするコネクタである。
【0007】
請求項1の発明では、ヘッダの短手側の両辺に設置するアーチ状の係合部材が、ヘッダの短手方向に伸長又は収縮する。よって、係合部材が変形しても、ヘッダのソケットへの装着方向の寸法は変わらない。その結果、従来の係合部材よりも変形代が無用な分だけコネクタを小型化することができる。
【0008】
また請求項1の発明では、係合部材は突出部を有しており、突出部のヘッダからの突出量は係合部材の収縮時に大きくなり且つ伸長時に小さくなり、ソケットに突出部と係合する保持部を設けたので、ソケットにヘッダを装着すると、突出部が保持部と係合する。よって、ソケットにヘッダが装着される際には、突出部が保持部と係合して両者は一体化する。すなわち、ワンタッチでヘッダをソケットに装着できる。
【0009】
請求項2の発明は、前記ソケットにヘッダを結合させる際に、前記突出部が保持部に押圧されてヘッダからの突出量が小さくなり、ソケットにヘッダが完全に結合されると、突出部が保持部を越えてヘッダからの突出量が大きくなることを特徴とする請求項1に記載のコネクタである。
【0010】
請求項2の発明では、ソケットにヘッダを結合させる際に、突出部が保持部に押圧されてヘッダからの突出量が小さくなるので、ソケットに対するヘッダの装着が阻害されることがない。そして、ソケットにヘッダが完全に結合されると、突出部が保持部を越えてヘッダからの突出量が大きくなるので、ソケットからヘッダが不用意に外れることがない。よって、請求項2の発明を実施すると、ソケットにヘッダを円滑に装着し、さらに装着後は外力が作用してもソケットからヘッダが外れることがない。
【0011】
請求項3の発明は、前記ソケットの、ヘッダを装着した側とは反対側に孔を設け、前記孔には棒状部材の差し込みが可能であり、前記孔に棒状部材を差し込むと、前記係合部材の突出部のヘッダからの突出量を変更し、突出部と保持部の係合を解除可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコネクタである。
【0012】
請求項3の発明を実施すると、棒状部材で突出部を押圧してヘッダからの突出量を変更できる。その結果、棒状部材で突出部のヘッダからの突出量を小さくして保持部との係合を解除し、円滑にソケットからヘッダを取り外すことができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、係合部材の突出部がヘッダの短手方向に伸長又は収縮して、ヘッダからの突出量が変化するので、コネクタの、ソケットにヘッダを取付ける方向の寸法を小さくすることができ、コネクタの小型化を図ることができる。また、ソケットとヘッダは、良好に結合されるので、両者の電気的な接続は良好である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のコネクタを備えたソケットとヘッダの分解斜視図である。
【図2】ヘッダの斜視図であり、(a)はヘッダの表側を示し、(b)はヘッダの裏側を示す。
【図3】(a)はヘッダに設ける係合部材の斜視図であり、(b)は(a)の係合部材の正面図であり、(c)は(a)の係合部材の側面図である。
【図4】ソケットの斜視図であり、(a)はソケットの表側を示し、(b)はソケットの裏側を示す。
【図5】(a)はソケットに設ける被係合部材の斜視図であり、(b)は(a)の被係合部材の正面図であり、(c)は(a)の被係合部材の側面図である。
【図6】係合部材と被係合部材とが係合する状態を示す断面図であり、(a)はソケットにヘッダが近接した状態を示し、(b)はソケットにヘッダが装着される途上でヘッダの係合部材がソケットの被係合部材に係合する途中の状態を示し、(c)はヘッダの係合部材がソケットの被係合部材に対して完全に係合した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。図1に示すように、本発明のコネクタ1は、ソケット2にヘッダ3を装着して一体化したものである。ソケット2には、従来のソケットと同様に複数のソケット用コンタクト12(信号端子)が設けられている。また、ヘッダ3にも従来のヘッダと同様に複数のヘッダ用コンタクト21(信号端子)が設けられている。両者が一体化すると、ソケット用コンタクト12とヘッダ用コンタクト21とが接触し、電気的に接続される。
【0016】
ところで、ソケット2とヘッダ3の結合が外れたり、結合に遊びがあると、ソケット用コンタクト12とヘッダ用コンタクト21の電気的な接続が遮断される、又は不安定になる。そこで、以下のような本発明の構成により、ソケット2とヘッダ3の結合が良好に保たれる。以下では、ソケット2とヘッダ3の構成を説明し、続いて両者の係合の仕方を説明する。
【0017】
まず、ヘッダ3について説明する。図1に示すようにヘッダ3の外形は略直方体形状を呈している。その四辺のうちの短手側(矢印Bで示す側)の辺には係止溝6が設けられている。すなわち、ヘッダ3の短手側の両側にはくぼみが設けられ、くぼみの外側に支持壁5が設けられることによって係止溝6が形成されている。支持壁5の両側は係止溝6の開口になっている。
【0018】
この係止溝6にはアーチ状の係合部材4が設置されている。図3に示すように係合部4は、本体4c,アーム部4b,及び突出部4aを備えている。アーム部4bは本体4cの両側に配置されており、各アーム部4bの先端に各々突出部4aが設けられている。
【0019】
アーム部4bは、先端に行くほど前方に迫り出しており、突出部4aは前方に突出している。仮に、本体4cの裏面側を押さえ、突出部4aを押圧すると、突出部4aは図3(a)において矢印Cで示すように後方へ移動(退避)する。すなわち係合部材4は、突出部4aを押圧すると、変形してヘッダ3の係止溝6(図1)から突出した状態から、係止溝6の中に押し込まれる。
【0020】
その際の係合部材4の変形は、図1に矢印Aで示す方向と直交する面内で行われる。よって、変形する前と後では、係合部材4の矢印A方向の寸法は変わらない。ちなみに、従来の係合部材は、矢印Aで示す方向に変形するため、変形後の係合部材の矢印A方向の寸法は変形前よりも大きくなる。よって、本発明を実施した係合部材4は、矢印A方向に寸法が変わらない分だけコネクタ1を薄く小型化(低背化)できる。
【0021】
次に、ソケット2について説明する。ソケット2は、ヘッダ3よりも一回り大きい略直方体形状を呈している。ソケット2の短手側の両辺には保持部材7が固定されている。すなわち保持部材7は、ソケット2にヘッダ3が取り付けられた際に、ヘッダ3の係合部材4と係合する位置に配置されている。図5(a)に示すように保持部材7は、2つの当接部7aを備えている。
【0022】
また、図4(b)に示すように、ソケット2の裏面側には孔8が設けられている。孔8は、ソケット2に保持部材7を装着した際に、保持部材7の当接部7a付近に相当する位置に設けられている。
【0023】
次に、図6(a)〜(c)を参照しながらソケット2とヘッダ3の結合の仕方を説明する。図6(a)に示すようにソケット2とヘッダ3が離れていると、ヘッダ3の係合部材4の突出部4aは前方(図6で見て左方)に突出している。
【0024】
図6(b)に示すように、ヘッダ3がソケット2に装着される途上では、ヘッダ3側の係合部材4の突出部4aがソケット2側の保持部材7の当接部7aに当接して後方(図6で見て右方)に移動(後退)している。
【0025】
図6(c)に示すように、さらにヘッダ3がソケット2に押し込まれると、係合部材4の突出部4aと保持部材7の当接部7aの当接が解除され、突出部4aは前方(図6で見て左方)に移動している。図6(c)に示す状態になると、ヘッダ3がソケット2から外れようとしても、保持部材7の当接部7aに係合部材4の突出部4aが係合するため、容易に外れることがない。
【0026】
仮に、ソケット2からヘッダ3を外す必要がある場合には、ソケット2に設けた孔8から棒状の部材(図示せず)を挿入し、突出部4aの突出を押さえる。その際、図6(c)に示すように、突出部4aの下部に傾斜部4bを設けておくと、孔8から差し込んだ棒状の部材の先端が傾斜部4bを押圧し、棒状部材の先端が傾斜部4b上を滑って突出部4aが右方へ円滑に後退する。
【0027】
図6(c)では、保持部材7の当接部7aと係合部材4の突出部4aとが離れている状態を描写しているが、このとき、図1に示すソケット用コンタクト12にヘッダ用コンタクト21が過剰に押し付けられて撓んでおり、当接部7aの下面と突出部4aの上面とが当接すると、ソケット用コンタクト12とヘッダ用コンタクト21とが丁度接触するように位置調整が為されている。よって、ソケット用コンタクト12とヘッダ用コンタクト21の間の通電は十分に確保される。
【0028】
以上では、係合部材4が2つの突出部4aを備えた例を説明したが、係合部材4は、突出部の数だけ設けてもよい。すなわち、1つの係合部材に1つの突出部を備えるようにすることもできる。例えば、長さが図1に示す係合部材4の半分以下の短い係合部材を2つ使用し、図1に示す2つの突出部4aの位置に、短い係合部材の中央部分を個々に配置し、アーチ状の両端部分をヘッダ3に当接させ、中央部分を突出部として保持部7a側に突出させる。係止溝6の形状も、短い係合部材の形状に合わせて形成する。
【符号の説明】
【0029】
1 コネクタ
2 ソケット
3 ヘッダ
4 アーチ状の係合部材
4a 突出部
7a 保持部
8 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットに略直方体のヘッダが装着され、前記ソケットとヘッダとがロック機構で結合されるコネクタであって、前記ヘッダの短手側の両辺に、ヘッダの短手方向に伸長又は収縮可能なアーチ状の係合部材を設置し、前記係合部材は突出部を有しており、前記突出部のヘッダからの突出量は前記係合部材の収縮時に大きくなり且つ伸長時に小さくなり、前記ソケットに前記係合部材の突出部と係合する保持部を設けたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ソケットにヘッダを結合させる際に、前記突出部が保持部に押圧されてヘッダからの突出量が小さくなり、ソケットにヘッダが完全に結合されると、突出部が保持部を越えてヘッダからの突出量が大きくなることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ソケットの、ヘッダを装着した側とは反対側に孔を設け、前記孔には棒状部材の差し込みが可能であり、前記孔に棒状部材を差し込むと、前記係合部材の突出部のヘッダからの突出量を変更し、突出部と保持部の係合を解除可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−225400(P2010−225400A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71198(P2009−71198)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】