説明

コラーゲン産生促進剤

【課題】容易に取り扱いができ、少量で効果を発揮するコラーゲン産生促進剤、特にIII型コラーゲンを産生するコラーゲン産生促進剤、ならびにそれを配合した飲食品、化粧品、医薬品、ペットフード、飼料等の提供。
【解決手段】卵殻膜、なかでも鶏卵の卵殻膜及びコラーゲンを含有することで、取扱いが容易で少量で効果の高いコラーゲン産生促進剤、及びそれを配合した飲食品、医薬品、化粧品、ペットフード、飼料等が提供出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵殻膜及びコラーゲンを含有するコラーゲン産生促進剤、ならびにそれを配合した飲食品、医薬品、化粧品、ペットフード、飼料に関する。
【0002】
皮膚の老化(しわ、たるみ等)や肌荒れは、美容上の大きな悩みとなっている。これらの主たる要因は、皮膚繊維芽細胞のコラーゲン産生活性の低下、ヒアルロン酸合成活性の低下、紫外線によるコラゲナーゼ活性の上昇等にあると考えられている。また、環境等の外的要因、食事や嗜好品等の内的要因も影響し、さらには加齢等の要因による皮膚の保湿機能の低下により皮膚は乾燥し、弾力性も失われるため、乾燥肌やしわ等の状態を引き起こし、アトピー性皮膚炎等の発症につながることもあると考えられている。
【0003】
皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、繊維芽細胞及びこれらの細胞外にある構造支持体である細胞外マトリックス(コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等)により構成されている。これら皮膚組織はターンオーバーサイクルにより日常的に新しく生まれ変わることで、皮膚の水分、柔軟性、弾力性を保持している。しかしながら、上記のような外的・内的要因や加齢要因は、細胞外マトリックスの主要成分であるコラーゲン等の産生量を低下し、さらにはコラーゲン等の分解、変性を促進するため、結果として皮膚の水分量が低下して、柔軟性や弾力性は失われ、肌荒れ、しわの形成等の老化現象を引き起こす。
【0004】
コラーゲンは皮膚・血管・内臓・骨等の動物組織のいたるところに存在していることが知られている。例えば、真皮のタンパク質の70%、骨のタンパク質の90%はコラーゲンであり、個々の筋肉を包む筋膜もコラーゲンでできており、人間を構成するタンパク質の3分の1を占めているともいわれている。生体中のコラーゲンは、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸等の酸性ムコ多糖類と結合して、結合組織、軟骨組織や皮膚組織などに多く分布し、細胞の機能や形態を維持するのに役立っており、細胞本体を取り囲み、細胞を支える足場となる重要で基本的な成分の一つである。
【0005】
コラーゲンは通常のタンパク質と比較してターンオーバーに要する時間が長く、加齢(老化)に伴いそのサイクルは遅くなると言われている。そのサイクルが遅くなるとコラーゲン自体の変性(老化)も進行し、皮膚の柔軟性や弾力性の低下につながる。コラーゲンが老化すると、構造支持体としての機能が低下するため、皮膚基底部に存在する繊維芽細胞の増殖、分化、移動が妨げられ、皮膚のターンオーバーサイクルはさらに遅くなるという悪循環に陥ると考えられている。
【0006】
このような考えのもと、コラーゲン産生を促進する試みがなされてきた。例えば、コラーゲンを経口摂取することにより皮膚コラーゲンの減少を補う方法(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)、コラーゲンの代謝活性を促進する方法(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)、コラーゲンの産生を促進する方法(例えば、特許文献5、特許文献6参照。)などが挙げられる。
【0007】
しかしながら、上述したコラーゲン産生促進剤は一般的に高価な上に、脂溶性であるために水溶性の溶媒を用いることが難しいなど、活用が困難であるという問題がある。またコラーゲンの経口摂取による皮膚コラーゲンの産生促進効果に関しては、吸収性などの観点から、十分な効果を発揮するためにはコラーゲンの大量摂取、吸収性を向上させるための低分子化が必要であり、安全性の問題や高価格化などの問題点があった。
【0008】
卵殻膜は、鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側にある膜で、内外2枚からなり、外卵殻膜は卵殻内面に密着し、内卵殻膜は卵白を包んでいる。厚さは70μm程度で、強靭な繊維性のタンパク質から主としてなり、昔から相撲部屋で擦り傷などの手当にも使われていたように、創傷部の皮膚の再生を促進する働きを有することが知られており、近年、胎児性コラーゲンとも称されるIII型コラーゲンの生成を促進させる作用を有することが報告されている。
【0009】
卵殻膜の工業的利用としては化粧品等に配合し、経皮吸収することでコラーゲン産生促進作用があることが報告されている(例えば、特許文献7参照。)。また、経口摂取に関しては飲食物の滋養増強方法(例えば、特許文献8参照。)、免疫賦活・感染防御剤(例えば、特許文献9参照。)、悪酔予防改善組成物(例えば、特許文献10参照。)、肌質改善剤(例えば、特許文献11参照。)などが報告されている。
【0010】
しかしながら、いずれにおいても単剤でのコラーゲン産生促進効果は低いため、有効量を摂取しようとすると多量が必要となり商品設計が難しくなったり、高コストとなってしまうなどの問題があった。また、経皮吸収剤においては、一度に塗布できる量が限られているため、十分な効果を得ること困難であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−51734号公報
【特許文献2】特開2003−238597号公報
【特許文献3】特開平07−2699号公報
【特許文献4】特許第3696464号公報
【特許文献5】特開2001−278783号公報
【特許文献6】特開2003−212748号公報
【特許文献7】特開2006−69892号公報
【特許文献8】特公昭55−45176号公報
【特許文献9】特開平6−65094号公報
【特許文献10】特開平9−40564号公報
【特許文献11】特開2003−246741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、容易に取り扱いができ、少量で効果を発揮するコラーゲン産生促進剤、特にIII型コラーゲンを産生するコラーゲン産生促進剤ならびにそれを配合した飲食品、化粧品、医薬品等を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の課題を解決すために鋭意検討した結果、意外にも卵殻膜とコラーゲンを含有する組成物に顕著なコラーゲン産生促進作用があることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(7)を要旨とするものである。
(1)卵殻膜及びコラーゲンを含有するコラーゲン産生促進剤。
(2)産生されるコラーゲンがIII型コラーゲンである(1)記載のコラーゲン産生促進剤。
(3)卵殻膜が鶏卵由来である(1)又は(2)記載のコラーゲン産生促進剤。
(4)(1)〜(3)いずれかに記載のコラーゲン産生促進剤を含有する飲食品。
(5)(1)〜(3)いずれかに記載のコラーゲン産生促進剤を含有する医薬品。
(6)(1)〜(3)いずれかに記載のコラーゲン産生促進剤を含有する化粧品。
(7)(1)〜(3)いずれかに記載のコラーゲン産生促進剤を含有するペットフード又は飼料。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、卵殻膜及びコラーゲンを含有することで、取扱いが容易で少量で効果の高いコラーゲン産生促進剤、及びそれを配合した飲食品、医薬品、化粧品、ペットフード、飼料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ラットを用いたコラーゲン産生促進試験における飼育期間中の各群のラットの体重変化を示した図である。
【図2】ラットを用いたコラーゲン産生促進試験における飼育期間中の各群のラットの平均摂食量を示した図である。
【図3】ラットを用いたコラーゲン産生促進試験における各群のラットから抽出した皮膚サンプル8点に含まれる総コラーゲン量を示した図である。
【図4】ラットを用いたコラーゲン産生促進試験における各群のラットのコラーゲン量に対するIII型コラーゲン量を示した図である。
【図5】ヒト経口摂取試験における各群における皮膚のシワのパーセンタイルの値を示した図である。
【図6】ヒト経皮吸収試験における各群における皮膚のシワのパーセンタイルの値を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の卵殻膜は、卵殻膜であれば特に限定されず、例えば鳥類の卵殻の内側にある膜(外卵殻膜および/または内卵殻膜)が好ましく用いられる。具体的には、鶏、ウズラ、ダチョウ、アヒル、鴨、キジなどの卵殻膜が挙げられ、なかでも鶏卵の卵殻膜が、入手の容易性、コストなどの点から好ましく用いられる。
【0018】
卵殻膜の形態は、特に限定されず、卵殻膜をそのまま用いても良い。微粉砕化や酸、アルカリ又は酵素処理による加水分解により低分子量化したものは、より吸収性が向上するため好ましい。またこられの処理は単独で用いてもよく、2種以上の処理を同時にもしくは別々に組み合わせて実施しても良い。
【0019】
本発明のコラーゲンは、特に限定されず、例えば動物由来のコラーゲン、魚類由来のコラーゲンが好適に用いられる。動物性コラーゲンとしては、例えば、牛、豚、鳥類、羊、猪、馬、山羊、水牛由来のものが挙げられる。魚類由来コラーゲンとしては、例えば、カツオ、マグロ、カジキ、タラ、アジ、サバ、サケ、マス、サンマ、ウナギ、ティラピア、カワハギ、ハタ、オヒョウ、カレイ、ヒラメ、ニシン、イワシ、サメ、エイ、フグ、ブリ、カサゴ、メバル等の魚由来のものが挙げられる。
【0020】
コラーゲンの形態としては、動物・魚類を原料として調整されたものをそのまま用いても良く、調整されたコラーゲンを微粉砕したものを用いても良い。また吸収性を向上するために、酸、アルカリ、酵素等による低分子量化処理を行ったものを用いても良い。またこれらの処理は単独でもよく、2種以上の処理を同時にもしくは別々に組合わせて実施しても良い。コラーゲンの形態としては、特に限定されず、粉末状、液体状などが好適に使用できる。
【0021】
本発明のコラーゲン産生促進剤において、卵殻膜の含有量は特に限定されないが、コラーゲン産生促進効果の観点から、0.1質量%以上100質量%未満含有することが好ましく、0.5質量%以上25質量%以下含有することがより好ましく、1質量%以上10質量%以下含有することがいっそう好ましい。
【0022】
本発明のコラーゲン産生促進剤において、コラーゲンの含有量は特に限定されないが、コラーゲン産生促進効果の観点から、0.1質量%以上100質量%未満含有することが好ましく、0.5質量%以上25質量%以下含有することがより好ましく、1質量%以上10質量%以下含有することがいっそう好ましい。
【0023】
本発明における卵殻膜及びコラーゲンの配合比率は特に限定されないが、コラーゲン産生促進効果の観点から、卵殻膜1質量部に対し、コラーゲンを0.01質量部以上100質量部以下とすることが好ましく、0.1質量倍以上10質量部以下がより好ましい。
【0024】
本発明のコラーゲン産生促進剤の形態は、飲食品、医薬品などの経口で摂取される形態、化粧品などの経皮吸収される形態、ペットや家畜などが経口で摂取される形態をとることもできる。
【0025】
本発明の飲食品としては、医薬品以外で経口摂取されるものをいい、食品、飲料、嗜好品、サプリメント等が挙げられる。例えば、パン類、麺類等の主菜となりうるもの、チーズ、ハム、ウィンナー、魚介加工品等の副菜となりうるもの、果汁飲料、炭酸飲料、乳飲料等の飲料、クッキー、ケーキ、ゼリー、プリン、キャンディー、ヨーグルト等の嗜好品となりうるもの、を挙げることが出来る。また、サプリメントとしての形態も特に限定されるものではなく、錠剤、カプセル、ソフトカプセル、栄養ドリンク状の形態を取ることもできる。
【0026】
本発明の飲食品に含有される卵殻膜、コラーゲンの量は、特に限定されないが、コラーゲン産生促進の観点から、例えば、成人1日当たりの卵殻膜、コラーゲンそれぞれの摂取量として、0.1〜1000gとなるように含有することが好ましく、1〜500gとなるように含有することがより好ましい。
【0027】
本発明の医薬品としては、上記コラーゲン産生促進剤を配合した医薬品、医薬部外品をいう。その形態は特に限定されなく、例えば適当な固体又は液状の製剤形態、例えば顆粒、粉剤、被覆錠剤、錠剤、(マイクロ)カプセル、坐剤、シロップ、ジュース、懸濁液、乳濁液、滴下剤、注射用溶液、活性物質の放出を延長する製剤等を挙げることができる。
【0028】
本発明の医薬品に含有される卵殻膜、コラーゲンの量は、特に限定されないが、コラーゲン産生促進の観点から、例えば、成人1日当たりの卵殻膜、コラーゲンそれぞれの摂取量として、0.1〜1000gとなるように含有することが好ましく、1〜500gとなるように含有することがより好ましい。
【0029】
本発明の化粧品としては、上記コラーゲン産生促進剤を配合したものであり、例えば、化粧水、クリーム等の基礎化粧品、あるいはファンデーション等のメイクアップ化粧品が挙げられる。形態は特に限定されず、例えば化粧水、クリ−ム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、軟膏、パップ剤、エッセンス、パック、洗浄剤、ヘヤトニック、浴用剤、ファンデ−ション、打粉、口紅等の皮膚に適用されるものが挙げられる。
【0030】
本発明の化粧品に含有される卵殻膜、コラーゲンの量は、特に限定されないが、コラーゲン産生促進の観点から、例えば、成人1日当たりの卵殻膜、コラーゲンそれぞれの塗布量として、1〜1000mgとなるように含有することが好ましく、10〜500mgとなるように含有することがより好ましい。
【0031】
本発明のペットフード・飼料としては、上記コラーゲン産生促進剤を配合したものであり、例えば、家禽、家畜、ペット類のペットフード・飼料が挙げられる。形態は特に限定されなく、例えばドライドッグフード、ドライキャットフード、ウェットドッグフード、ウェットキャットフード、セミモイストドックフード、養鶏用飼料、牛、豚などの家畜用飼料、魚餌に配合することができる。
【0032】
ペットフード、飼料に含有されるコラーゲン産生促進剤の量は特に限定されないが、コラーゲン産生促進効果の観点から、ペットフード・飼料1kgあたり0.01質量%以上100質量%以下が好ましく、0.1質量%以上50質量%以下がより好ましい。
【0033】
本発明のペットフード、飼料に含有される卵殻膜、コラーゲンの量は、特に限定されないが、コラーゲン産生促進の観点から、例えば、卵殻膜、コラーゲン、1日当たりのそれぞれの摂取量として、0.1〜1000gとなるように含有することが好ましく、1〜250gとなるように含有することがより好ましく、10〜100gとなるように含有することがいっそう好ましい。
【0034】
本発明のコラーゲン産生促進剤及びそれを配合した飲食物、医薬品、化粧品、ペットフード・飼料には、その効果をさらに促進するために、コラーゲン産生促進作用がすでに報告されている素材、各種機能性成分を混合することができる。これら素材、成分としては、例えば、ビタミンC、コラーゲン、スクワラン、ナイアシン、ナイアシンアミド、ヒアルロン酸、プラセンタエキス、ソルビトール、キチン、キトサン、及び種々の植物抽出物等が挙げられる。これらの混合量については、本発明の効果を損なわない限り限定されない。
【0035】
本発明のコラーゲン産生促進剤、飲食品、医薬品、化粧品、ペットフード、飼料の投与期間は、効果が得られる限りにおいて、その期間を特に限定されるものではないが、年間7日以上365日以下が好ましく、14日以上140日以下が効果が高く、さらに好ましい。
【0036】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない
なお、実施例ならびに比較例で用いた主たる原料は次の通りである。
【0037】
・原料
(1)低タンパク食(A)
(A−1)日本クレア社製、商品名「6%低タンパク食」(成分:タンパク質含有量
6質量%)
(2)卵殻膜(B)
(B−1)キューピー社製、商品名「卵殻膜EMパウダー300」(成分:卵殻膜、含 有率100質量%)
(B−2)キューピー社製、商品名「卵殻膜EMプロテイン」(成分:卵殻膜、含有率 100質量%)
(3)コラーゲン(C)
(C−1)ゼライス社製、商品名「HACP−01」(成分:豚由来加水分解コラーゲ ン、含有率90質量%)
【0038】
実施例1
<ラットを用いたコラーゲン産生促進試験>
4週齢のWistarラット(日本クレア社製)に(A−1)を自由摂食し3週間飼育することにより擬似老化ラットを作成した。作成した擬似老化ラット16匹を、(A−1)のみの餌を与える群(Control群)、(A−1)及び(B−1)の質量比94:6である餌を与える群(卵殻膜食群)、(A−1)及び(C−1)の質量比が93.4:6.6である餌を与える群(コラーゲン食群)、(A−1)、(B−1)及び(C−1)の質量比が94:3:3.3である餌を与える群(試験食群)の4群(各4匹)に分け、自由摂食にて2週間飼育をいった。2週間の飼育期間中の各群のラットの体重変化を図1に、該平均摂食量を図2に示す。餌組成及び該平均摂食量より計算した各群での卵殻膜及びコラーゲンの摂食量を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
該飼育終了後、背部をシェーバーで除毛後、皮膚10cmを採取し、湿重量を測定した。採取した皮膚より、φ3mmの皮膚サンプルを8点採取した後、該皮膚サンプルを70%エタノールに2週間浸漬させ、脱脂した皮膚サンプル8点の総コラーゲン量の定量を、定量キット(SILCOL社製)を用いて行った。同様に再度φ3mmの皮膚サンプルを8点採取し、皮膚サンプル8点の総III型コラーゲン量の定量として、III型コラーゲン抗体(biologo社製)を用いてWestern blottingを行った。発色はAP発色キット(BIO−RAD社製)を用い、結果はデンシトメーター(JustTLC)をもちいて測定した。
得られた皮膚サンプル8点中の総コラーゲン量を図3に、III型コラーゲンの定量結果を図4に示す。
【0041】
図3に示すように、コントロール群、コラーゲン食群、卵殻膜食群に比べ、卵殻膜及びコラーゲンを含有する試験食群での総コラーゲンの増加量は顕著であり、その増加量は、コントロール群に対する、コラーゲン食群及び卵殻膜食群それぞれの増加量の和よりも顕著であった。また、経口摂取による効果は、後述する経皮吸収における効果よりも顕著であった。
【0042】
実施例2
<ヒトでの経口摂取試験>
社内ボランティアを40名募り、ヒトに対する経口摂取試験を行った。
増量剤600mgのみを用いて打錠した対照群錠、(B−1)50mgに増量剤550mgを加えて打錠した卵殻膜食群錠、(C−1)100mgに増量剤500mgを加えて打錠したコラーゲン食群錠、(B−1)50mg及び(C−1)100mgに増量剤450mgを加え打錠した試験食群錠をそれぞれ作成し、対照群、卵殻膜食群、コラーゲン食群、試験食群の各群10名にそれぞれ与えて経口摂取試験を行なった。試験期間は28日間とし、投与のタイミングは毎食後1時間以内に4粒の摂取とした。
各群の1日当たりの(B−1)及び(C−1)の摂取量は、卵殻膜食群:(B−1)600mg及び(C−1)0mg、コラーゲン食群:(B−1)0mg及び(C−1)1200mg、試験食群:(B−1)600mg及び(C−1)1200mgであり、対照食群は(B−1)及び(C−1)は摂取しなかった。なお、試験中は特に食事の制限を設けることなく、通常通りの生活をお願いした。また過度な運動等は控えるようにお願いした。
Visia Evolution(Canfield imaging systems社製)を用い、試験前後のシワのパーセンタイル(蓄積された性別・年代別のデータと比較し、シワの状況が良いほど値が高い)を比較して評価を行った。なお、測定30分前には恒温恒質室にて、肌水分率等の平衡化を行なった。また、試験終了後に10cmのVASスケールを用いたアンケート(試験前後での肌質、ハリの違い)を実施し、試験前後での肌の質感の違いの評価を行った。
得られたパーセンタイル評価結果を図5に、VASアンケート結果を表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
図5に示すように、対照食群に比べ、卵殻膜及びコラーゲンを含有する試験食群においてはパーセンタイル値が顕著に上昇し、特に対照食群に対する卵殻膜食群及びコラーゲン食群との差の総和に比べても値の上昇は顕著であり、卵殻膜及びコラーゲンの併用によるシワの改善作用があることが明らかとなった。また、表2に示すように、対照食群に比べ、試験食群では、肌質、ハリが試験前に比べ改善しており、特に卵殻膜食群及びコラーゲン食群と比べても、効果は顕著であった。
【0045】
実施例3
<ヒトでの経皮吸収試験>
社内ボランティアを32名募り、ヒトに対する経皮吸収試験を行った。以下に示す処方例にて、(B−2)及び(C−1)を含有するクリームを作成し、1回当たりの塗布量1g、1日当たりの塗布回数2回にて、28日間塗布を行った。クリームは(B−2)と(C−1)を含む試験群のほかに、(B−2)のみを有効成分とする卵殻膜群、(C−1)のみを有効成分とするコラーゲン群、基材のみを含む対照群の4群とし、各群8名にて実施した。塗布位置は頬とし、塗布期間中の過度な運動は控えた。塗布期間終了後、実施例2と同様にVisia Evolutionを使用してシワを測定し、パーセンタイルにて評価を行った。
得られたパーセンタイル評価結果を図6に示す。
【0046】
処方例
保湿クリーム
有効成分
(B−2) 5.00質量%
(C−1) 5.00質量%
基材
脱イオン水 58.80質量%
SOLANACE STARCH 0.80質量%
グリセリン 2.00質量%
SURFHOPE(R) SE COSME C−1815 1.50質量%
キサンタガム 0.20質量%
SURFHOPE(R) SE COSME C−1805 3.50質量%
DPPG(R) 6.00質量%
MOD(R) 3.00質量%
ISIS(R) 4.00質量%
イソノナン酸イソノニル 5.00質量%
防腐剤 0.50質量%
セトステアリルアルコール 0.50質量%
DOW CORNING(R) 345 FLUID 2.00質量%
小麦粉エキス 2.00質量%
香料 0.20質量%
なお、(B−2)及び/又は(C−1)を含まない場合は、脱イオン水をその分追加して総量を調製した。
【0047】
図6に示すように、対照群に比べ、卵殻膜及びコラーゲンを含有する試験群においてはパーセンタイル値が顕著に上昇し、特に対照群に対する卵殻膜群及びコラーゲン群との差の総和に比べても値の上昇は顕著であり、卵殻膜及びコラーゲンの併用によるシワの改善作用があることが明らかとなった。ただし、経口摂取に比べると、経皮吸収においては、その併用効果はやや劣っていた。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻膜及びコラーゲンを含有するコラーゲン産生促進剤。
【請求項2】
産生されるコラーゲンがIII型コラーゲンである請求項1記載のコラーゲン産生促進剤。
【請求項3】
卵殻膜が鶏卵由来である請求項1又は2記載のコラーゲン産生促進剤。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載のコラーゲン産生促進剤を含有する飲食品。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか1項に記載のコラーゲン産生促進剤を含有する医薬品。
【請求項6】
請求項1〜3いずれか1項に記載のコラーゲン産生促進剤を含有する化粧品。
【請求項7】
請求項1〜3いずれか1項に記載のコラーゲン産生促進剤を含有するペットフード又は飼料。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−153614(P2012−153614A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11577(P2011−11577)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000004503)ユニチカ株式会社 (1,214)
【Fターム(参考)】