説明

コンクリート用型枠板およびその製造方法

【課題】
耐クラック性に優れ、コンクリート硬化物から離型(剥離)させて多数回繰返して使用できる、いわゆる剥離転用性が良好であるコンクリート用型枠板およびその製法を提供すること。
【解決手段】
基板の表面に、下記(A)、(B)および(C)の各塗膜が、その順序(基板/塗膜(A)/塗膜(B)/塗膜(C))で形成されたコンクリート用型枠板およびその製法:
(A)硬化性水酸基含有アクリル樹脂、イソシアネート系硬化剤および体質顔料を含む溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物から形成される目止め塗膜(A1)、または体質顔料を含む水性エマルション組成物から形成される目止め塗膜(A2)、(B)湿気硬化型ウレタン樹脂、硬化触媒および水分吸収剤を含む湿気硬化型ウレタン樹脂組成物から形成される中塗り塗膜、(C)アクリル樹脂、硬化剤および着色顔料を含む硬化性アクリル樹脂組成物から形成される上塗り塗膜。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート用型枠板(コンクリート型枠板)およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、コンクリート硬化物から離型(剥離)させて多数回繰返して使用しても、型枠板の表面に「割れ」の生じない、いわゆる耐クラック性の良好なコンクリート用型枠板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート用型枠板としては、塗装などの表面被覆が施されていない木製板材(基板)がそのまま使用される場合もあるが、木材の変質によるコンクリート面の硬化不良、木材からのヤニの滲出によるコンクリート面の着色、木材中の導管が、硬化したコンクリート面にむしり取られて生じた、コンクリート面への導管の食い込み・付着等を防止する目的で、コンクリート用型枠基板には、通常、塗装などの被覆処理が行われることが多い。
【0003】
コンクリート用型枠基板の被覆方法としては、例えば、コンクリート用型枠基板の表面にフェノール樹脂含浸紙を貼り付ける方法(イ)、プラスチック粉末を溶融圧着する方法(ロ)、あるいは ポリエステルウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、アクリルウレタ
ン樹脂塗料、等を塗装する方法(ハ)が挙げられる。
【0004】
しかしながら、コンクリート用型枠基板の表面に、上記のようにフェノール樹脂含浸紙を貼り付ける方法やプラスチック粉末を溶融圧着する方法では、製造設備や材料費が高価となる。また、コンクリート用型枠基板の表面にポリエステルウレタン樹脂塗料を塗装する方法では、得られたコンクリート用型枠板を用いると、コンクリート(通常、水とセメントと砂と砂利との硬化反応物で大きな強度が得られる。)の硬化不良を生じ易い。また、コンクリート用型枠基板の表面に、エポキシ樹脂塗料を塗装する方法では、得られるコンクリート用型枠板の耐候性や耐クラック性が不充分である。
【0005】
またコンクリート用型枠基板の表面に、アクリルウレタン樹脂塗料を塗装する方法では、耐候性や耐クラック性の点で一応満足しうるコンクリート用型枠板が得られるが、目止め用塗料と着色用塗料の2種類の塗料をコンクリート用型枠基板の表面に塗り重ねた一般的なコンクリート用型枠板では、コンクリートの打設に数回繰り返して用いると、型枠板の塗膜表面に「割れ」が生じ、コンクリート表面が不均一になると共に、木材中の樹液が付着して暗褐色の汚染となる。このため、実際上、繰返して使用可能な回数は、5〜6回程度までに制限されてしまっており、その後は焼却処分等に付されている。
【0006】
しかしながら、近年、公害問題の抑制等の観点から、建築現場におけるコンクリート用型枠板等の廃材の焼却処分の禁止が法令化されたため、建築業者等にとっては、使用済み型枠用合板の運搬、廃棄コストが大きな負担増となっている。
【0007】
このような使用済み型枠用合板の運搬、専門業者への廃棄依頼コスト等の削減のため、できるだけ多数回、例えば10回以上繰り返し使用可能なコンクリート用型枠板の出現が望まれている。
【0008】
なお、これまでにもウレタン系塗料をコンクリート型枠用塗料として使用することが提案されている(例えば、下記特許文献1〜11参照。)。
特許第2866662号(特許文献1)には、(A)水酸基を有するモノエチレン性不飽和単量体、(B)エチレン性不飽和二重結合を有する一塩基酸および/または多塩基酸、並びに(C)その他のエチレン性不飽和単量体を重合させて得られる共重合体と、ポリ
メチレン・ポリフェニル・ポリイソシアネートとを含有してなる木材用塗料用ポリウレタン樹脂組成物が開示され、ラワン合板等に塗装し室温乾燥させると、従来のポリウレタン系に比べ光沢、耐アルカリ性、ブロッキング性が良好な塗膜が得られ、コンクリート型枠合板用塗料として有用である旨記載されている。
【0009】
特公平07−98918号公報(特許文献2)には、ソリッド水酸基価10〜150mgKOH/g、ガラス転位温度20℃〜100℃、重量平均分子量30,000〜100,000の物性を有するアクリル樹脂にポリイソシアネート系硬化剤を配合してなるコンクリート用塗装型枠合板用アクリルウレタン塗料組成物、および合板の素地にアクリル系エマルジョン塗料を塗布し乾燥した後、この上に更に上記アクリルウレタン塗料組成物を塗布し、常温で短時間に乾燥させる、コンクリート用塗装型枠合板の製造方法が開示され、合板上にアクリル系エマルジョン下塗塗装した後、該アクリルウレタン塗料組成物を上塗すると、短時間に常温(20〜25℃)乾燥してコンクリート用塗装型枠合板が得られ、得られた合板を積み重ねても塗装面のブロッキング(粘着)がなく乾燥性がよく、基板との密着性、コンクリート離型性などが良好である旨記載されている。
【0010】
特許第2719045号(特許文献3)には、型枠用合板に、耐アルカリ性の目止めである下塗塗料を塗装し、その上にNCO基末端ウレタンポリマー(ポリオキシプロピレンポリオール+ポリイソシアネートの反応物)とポリイソシアネートとを含有する湿分硬化混合物を上塗塗料として塗装し、かつ上塗塗料の硬化が下塗塗料中の触媒成分によって促進されるコンクリート型枠用塗装合板の製造方法が開示されている。
【0011】
特開平8−142032号公報(特許文献4)には、型枠用合板に、水分散性樹脂および/または水溶牲樹脂と充填材とイソシアネート化合物を含有する下塗塗料を塗装し、その上にシリコン変性ウレタン樹脂を主成分とする上塗り塗料を塗装する型枠用塗装合板の製造方法が開示されており、シリコン変性ウレタン樹脂を湿気硬化させる方法についても記載がされている。
【0012】
特開2000−167814号公報(特許文献5)には、古紙とバインダーとを加熱圧縮成形したコンクリート型枠用ボードの表面に、湿潤硬化型ウレタン樹脂(硬質ウレタン樹脂)を含有する下塗塗料を塗装し、その上に2液反応型ウレタン樹脂(軟質ウレタン樹脂)を含有する下塗塗料を塗装する型枠用塗装ボードの製造方法が開示されている。
【0013】
特開2002−309171号公報(特許文献6)には、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させたNCO基末端ウレタンポリマーを基材表面に塗装し、セメント等の水硬性混合物の付着を防止する方法が開示されている。
【0014】
特開2002−322240号公報(特許文献7)には、イソシアネートとポリオキシアルキレンポリオールとを反応させたNCO基末端ウレタンポリマーとオキサゾリジン末端ウレタン化合物とを含む湿気硬化性ウレタン組成物について開示されており、該組成物は上塗材との密着性に優れると記載されている。
【0015】
特公平7−2931号公報(特許文献8)には、コンクリートと接する木質部材の表面に塗装してコンクリートとの剥離を良くするための塗料において、塗料用樹脂が有機ポリイソシアネートとポリオール等の活性水素基含有化合物とからなり、有機ポリイソシアネートが木質部材に非浸透性のものであるコンクリート剥離塗料および該塗料を板状体の表面に直接塗装したコンクリート型枠が開示され、該塗料には、シリコーン等の添加が可能である旨記載され、また、塗膜やコンクリート表面の平滑性、剥離容易性、剥離転用性(10回以上)などが良好である旨記載されている。
【0016】
特開平11−310621号公報(特許文献9)には、型枠用合板に、末端NCO基プレポリマーと水酸基化合物硬化剤とを反応させて得られるコンクリート型枠用ウレタンエラストマーを塗装したコンクリート型枠用塗装合板が開示されており、該型枠用合板は、離型剤を使用せずとも、繰り返し使用ができると記載されている。
【0017】
特開2002−102792号公報(特許文献10)には、型枠用合板に、特定粘度の溶剤型浸透性シーラーを塗装し、その上に水分散性樹脂および/または水溶牲樹脂と水分散型ポリイソシアネートを含有し、特定粘度の下塗塗料、または、ヒドロキシル基を有する溶剤型樹脂と溶剤型ポリイソシアネートを含有する下塗塗料を塗装し、さらにその上に、上塗塗料を塗装する型枠用塗装合板の製造方法、および、型枠用合板に、上記特定粘度の水分散性樹脂および/または水溶牲樹脂と水分散型ポリイソシアネートを含有する水性の浸透性シーラーを塗装し、その上に上記と同様の下塗塗料、上塗塗料を順次塗装する型枠用塗装合板の製造方法が開示されている。
【0018】
特開2002−294137号公報(特許文献11)には、アクリルシリコーン樹脂エマルジョンおよびポリウレタンエマルジョンを含む水系塗料組成物について開示され、該組成物から形成される塗膜は耐クラック性が大幅に改善されていると記載されている。
【0019】
しかしながら、これら特許文献(1〜11)に記載の塗料などをコンクリート型枠用合板に塗設しコンクリート用型枠として用いると、耐クラック性、型枠の剥離性、基材との層間接着強度、耐アルカリ性、基材表面に対する隠蔽性、塗膜の外観や状態などの何れかの点で充分でない。
【特許文献1】特許第2866662号
【特許文献2】特公平7−98918号公報
【特許文献3】特許第2719045号
【特許文献4】特開平8−142032号公報
【特許文献5】特開2000−167814号公報
【特許文献6】特開2002−309171号公報
【特許文献7】特開2002−322240号公報
【特許文献8】特公平7−2931号公報
【特許文献9】特開平11−310621号公報
【特許文献10】特開2002−102792号公報
【特許文献11】特開2002−294137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、耐クラック製に優れ、コンクリート硬化物から離型(剥離)させて多数回繰返して使用できる、いわゆる剥離転用性の良好なコンクリート用型枠板およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係るコンクリート用型枠板は、
基板の表面に、下記(A)、(B)および(C)の各塗膜が、その順序(基板/塗膜(A)/塗膜(B)/塗膜(C))で形成されていることを特徴とする:
(A)硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)、
イソシアネート系硬化剤(ii)、ならびに、
炭酸カルシウム、タルク、クレーおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれた少な
くとも1種の体質顔料(iii)
を含む溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物(a1)から形成される目止め塗膜(A1)
、または、
炭酸カルシウム、タルク、クレーおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれた少な
くとも1種の体質顔料(iii)
を含む水性エマルション組成物(a2)から形成される目止め塗膜(A2)、
(B)湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)、
硬化触媒(v)、ならびに、
水分吸収剤(vi)
を含む湿気硬化型ウレタン樹脂組成物から形成される中塗り塗膜、
(C)硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)、
イソシアネート系硬化剤(ii)、ならびに、
酸化チタン、黄色酸化鉄、シアニンブルーおよびカーボンブラックからなる群から
選ばれた少なくとも1種の着色顔料(vii)
を含む硬化性アクリル樹脂組成物から形成される上塗り塗膜。
【0022】
本発明に係るコンクリート用型枠板では、上記目止め塗膜(A)用の組成物は、さらに酸化チタン、黄色酸化鉄、シアニンブルーおよびカーボンブラックからなる群から選ばれた少なくとも1種の着色顔料(vii)を含んでいてもよい。
【0023】
本発明に係るコンクリート用型枠板では、上記目止め塗膜(A1)用の組成物は、さらにビニル系樹脂(viii)、揺変剤(ix)および沈殿防止剤(x)の何れか1種以上を含ん
でいてもよい。
【0024】
本発明に係るコンクリート用型枠板では、上記目止め塗膜(A2)用の組成物は、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂およびウレタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含んでいてもよい。
【0025】
また、本発明に係るコンクリート用型枠板では、上記目止め塗膜(A2)用の組成物は、さらにイソシアネート系硬化剤(ii)を含んでいてもよい。
本発明に係るコンクリート用型枠板では、上記中塗り塗膜(B)用の組成物は、さらにレべリング剤(xi)および消泡剤(xii)の何れか1種以上を含んでいてもよい。
【0026】
本発明に係るコンクリート用型枠板では、上記上塗り塗膜(C)用の組成物は、さらに沈殿防止剤(x)、レべリング剤(xi)および消泡剤(xii)の何れか1種以上を含んでいてもよい。
【0027】
本発明に係るコンクリート用型枠板の製法は、基板の表面に、上記(A)、(B)および(C)の各塗膜を、その順序(基板/塗膜(A)/塗膜(B)/塗膜(C))で形成させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
上記コンクリート用型枠板は、耐クラック性に優れ、該型枠板を配設してなる型枠内に混練したコンクリートを流し込み、得られたコンクリート硬化物を容易に剥離させることができ、しかも該型枠板にはコンクリート硬化物は殆ど残存付着しないため、同一の型枠を再塗装せずに多数回(例:10回以上)繰返して使用でき、経済コスト、省資源、建設/土木作業性等の点で好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係るコンクリート用型枠板およびその製法について、具体的に説明する。
<コンクリート用型枠板>
本発明に係るコンクリート用型枠板は、コンクリート基板の表面に目止め塗膜(A)、中塗り塗膜、(B)上塗り塗膜(C)がこの順序で形成されているが、まずはじめにコンクリート型枠用基板について説明する。
【0030】
[コンクリート型枠用基板]
本発明に用いられるコンクリート型枠用基板の材質には特に制限はなく、例えば、天然材ではメランティ、ビンタンゴール、スンタイ、ドリアン、メルサワ、セラパット、レンガス、ラワン、ナラ、カバ、タモ、カエデ、ミズメ、シナ、セン、ブナなどを挙げることができる。本発明では、基板、特に強度、寸法安定性等の点から好ましく用いられる型枠用合板は、「コンクリート型枠用合板の日本農林規格」(農林省告示第932号、昭和42年6月30日)に適合するものであることが望ましい。
【0031】
[目止め塗膜(A)]
目止め塗膜(A)としては、上記基材の表面に、目止め塗料すなわち、溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物(a1)を塗布、硬化して形成される目止め塗膜(A1)、または、水性エマルション組成物(a2)を塗布、硬化して形成される目止め塗膜(A2)の2つの態様がある。
【0032】
このような目止め塗膜(A)は、本発明のコンクリート用型枠板において、基材表面および中塗り塗膜(B)との密着性、基材導管の隠蔽性、基材表面の平滑処理(加工)性、耐アルカリ性、耐水性、凹部の充填性、乾燥塗膜の研磨性などに優れる。
【0033】
<目止め塗膜(A1)>
上記目止め塗膜(A1)用の溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物(a1)には、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)、イソシアネート系硬化剤(ii)、ならびに、炭酸カルシウ
ム、タルク、クレーおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料成分(iii)が含まれる。
【0034】
また、上記目止め塗膜(A1)用の溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物(a1)には、通常含まれることの多い有機溶剤などの他、さらに下記のビニル樹脂(x)、着色顔料(vii)、揺変剤(ix)および沈殿防止剤(x)の何れか1種以上が含まれていてもよい。
[硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)]
硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)は、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)

クリル酸エステルから誘導される成分単位と、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルから誘導される成分単位とを含有するアクリルポリオール樹脂であって、該樹脂(i)中に
おいて、各成分単位は、ブロックを形成して存在していてもよく、またランダムに存在していてもよい。また該樹脂(i)は、ポリエーテル、ポリエーテルポリオールなど通常塗
料で用いられる他のセグメントで変性されていてもよく、また、水酸基以外の官能基、例えば、カルボキシル基、アルコキシフェニル基などを有していてもよい。
【0035】
このような硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)は、例えば、
(a):水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能で水酸基を含有しないビニル系モノマーである、(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステル等と、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させる、あるいは
(b):水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを単独重合させる、あるいは
(c):上記(a)の共重合時に、さらに変性用モノマー(例:カルボキシル基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、ポリオキシアルキレン基含有モノマーなど)を添加し共重合させる、
など常法により製造することができる。なお、各モノマーの添加・混合順序は特に限定されない。
【0036】
(メタ)アクリル酸エステルその他のビニル系モノマー(水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを除く。以下同様。)としては、従来より公知のものが広く使用でき、例えば
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)ア
クリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i
−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジブロモプロピル(メタ)アクリレート等の炭化水素置換基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体;
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性不飽和ニトリル類;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド系単量体;
酢酸ビニル等のビニルエステル類;
グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の塩基性単量体
等が挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸エステル単量体やスチレンが好ましい。
【0037】
これらは単独で使用することができ、二種以上を併用することもできる。
また水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、具体的には2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジ−2−ヒドロキシエチルフマレート、モノ−2−ヒドロキシエチル−モノブチルフマレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートへのエチレンオキシドの開環付加物やプロピレンオキシドの開環付加物、
上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとε−カプロラクトンとの付加物あるいは、ポリエチレングリコール(および/またはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート)とε−カプロラクトンとの付加物(「プラクセルFMシリーズ、FAシリーズ」のモノマー、ダイセル化学(株)製のカプロラクトン付加モノマーの商品名)のような、各種のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの二量体や三量体等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体
などが挙げられる。
【0038】
上記のようにε−カプロラクトンが併用されていると、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)を用いた塗膜の耐クラック性が向上する点で好ましい。
本発明では、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)は、他のセグメントで変性されてい
てもよく、そのような変性された硬化性水酸基含有(メタ)アクリル樹脂(i)を得るに
は、例えば、変性基含有モノマーを、上記した(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルなどと共重合させればよい。
【0039】
硬化性水酸基含有アクリル樹脂として、上市されているものでは、例えば、
「アクリディック 51−302」(大日本インキ化学工業 (株)製、溶剤:ブチルア
セテート、不揮発分50%)、
「アクリディック A‐850」(大日本インキ化学工業 (株)製、溶剤:トルエン、
ブチルアセテート、不揮発分70%)、
「ヒタロイド 3083−70B」(日立化成工業(株)製、溶剤:トルエン、メチルエチルケトン、イソブチルアセテート、不揮発分70%)、
「オーラック APO−101」(大竹明新化学(株)製、溶剤:トルエン、メチルイソブチルケトン、不揮発分60%)、
「オーラック APO−301」(大竹明新化学(株)製、溶剤:キシレン、不揮発分65%)等が用いられる。
【0040】
また、この硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)の数平均分子量(Mn)[測定法:G
PC。標準ポリスチレン検量線を用いて換算。]は、通常、500〜50,000、好ましくは1,800〜30,000の範囲にあり、
この硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)の重量平均分子量(Mw)[測定法:GPC
。標準ポリスチレン検量線を用いて換算。]は、通常、5,000〜100,000、好ましくは20,000〜70,000の範囲にあることが望ましい。これらの数/重量平均分子量が上記範囲より少ないと乾燥性が低下し、塗膜強度が低下して耐候性が不良となる傾向があり、上記範囲を超えると塗料の粘度が高すぎて塗装性が低下し、塗料中の不揮発分量が低下する傾向がある。
【0041】
なお、上記GPC測定条件は、以下の通り:
(イ)機器製造社と型番:Water Asia Limited、
以下の型番の装置(コンポーネント)を組み合わせて使用:
1) Waters 410 Differential Refractometer
2) Waters 600S Controller
3) Waters 717 Plus Autosampler、
(ロ)カラム:TSK G2000H,TSK G4000H,TSK GMH−M、
(ハ)溶離液:テトラヒドロフラン、
(ニ)カラム温度:40℃、
(ホ)流量:1ml/分、
(ヘ)検出器:600S Controller。
【0042】
水酸基価(ヒドロキシル価)が好ましくは50〜180mgKOH/g、さらに好ましくは70〜100mgKOH/gであることが適度の硬化反応性を有し、得られる塗膜中の親水基残量も少なくなり塗膜の耐水性が優れ、耐酸・アルカリ性に優れるなどの点で望ましい。
【0043】
硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)は、通常、該樹脂の合成の際に用いられた溶剤な
どを含むワニスの形態で用いられることが多い。
該硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)のTgは、通常6〜130℃、好ましくは30
〜120℃程度であり、低くなるに連れて生成した塗膜が軟弱となり、また高過ぎると塗膜が不均一となりやすく、塗膜が硬すぎてクラックが発生しやすい。
【0044】
この硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)の重合方法としては、溶液重合法、塊状重合
法、乳化重合法等の公知の重合法でよいが、一般には、溶液重合法が用いられる。
例えば、溶液重合法による場合、有機溶剤及び重合開始剤の存在下に、前記モノマーの混合物を共重合させればよい。有機溶剤としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、トルエン、キシレン、エッソ社製「ソルベッソ100、ソルベッソ150」等の通常用いられる有機溶剤が使用できる。また、重合開始剤としては、ア
ゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の通常用いられる重合開始剤が使用できる。さらに、必要に応じて、2−メルカプトエタノール、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を使用することができる。
[イソシアネート系硬化剤(ii)]
本発明で用いられるイソシアネート系硬化剤(ii)としては、イソシアネート基を2個以上有する化合物(ポリイソシアネート)、ブロック化ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0045】
ポリイソシアネートとしては、具体的にはジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、ビス(4−イソシアナートフェニル)メタン、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、6−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどが挙げられる。また、上記ポリイソシアネートのアダクト体、あるいはイソシアヌレートなどの多官能イソシアネート化合物、さらにはこれらの二量体、三量体などの化合物が挙げられる。
【0046】
なお、型枠合板や木製床材の場合、素材(基材)を通常100℃以上の温度に加熱すると物性低下を招く恐れがあるため、このような温度には通常加熱されないことが多い。そのため、ポリイソシアネートとして、ブロックイソシアネートを使用した高温乾燥方式は、通常、あまり利用されない。
【0047】
硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)の水酸基含有率に対するイソシアネート系硬化剤
(ii)のイソシアネート基含有率の当量比(NCO/OH)は、通常0.8〜1.6、好ましくは0.9〜1.2である。この水酸基含有率(ヒドロキシル価)は、試料1g中の水酸基に相当する水酸化カリウムのミリグラム数である。
【0048】
なお、上記のイソシアネート基含有率および水酸基含有率などは、本願出願人の出願に係る特開平8−157769号公報(特願平6−301039号明細書)の[0020]〜[0026]欄に記載の方法と同様にして求められる値である。
【0049】
このようなイソシアネート系硬化剤として、上市されているものでは、
「ミリオネート MR−200」(日本ポリウレタン工業(株)製、不揮発分 100%
、メチレンジイソシアネート)、
「スミデュール 44V−20」(住化バイエルウレタン(株)製、不揮発分 100%、メチレンジイソシアネート)、
「ディスモデュール L−75」(バイエル AG社製、溶剤:エチルアセテート、不揮発分 75%、トリレンジイソシアネートプレポリマー)、
「オレスター P45−75MT」(三井武田ケミカル(株)製、溶剤:トルエン、メチルイソブチルケトン、不揮発分 75%、トリレンジイソシアネートプレポリマー)、
などが用いられる。
[体質顔料(iii)]
本発明で用いられる体質顔料としては、炭酸カルシウム、タルク、クレーおよび硫酸バリウムが挙げられる。
【0050】
これらの体質顔料は、塗膜中にあって透明で被塗面(基材表面)を隠さない「体質顔料」として機能し、凹部の充填性、塗料コストの低減などの働きを有している。
これらの体質顔料は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上を組み合わせて使用する場合には、それらの合計量が単独で使用する場合の使用量と同様となればよい。
【0051】
これらの体質顔料の中でも、特に炭酸カルシウムを、単独でまたは他の1種と組み合わせて使用することが好ましい。
炭酸カルシウムとして、上市されているものとしては、例えば、
「NS−300、400」(日本粉化工業(株)製)、
「CaCO3 スーパーSS」(九州カルシウム(株)製)、
「CaCO3 サンライト No.300」(竹原工業(株)製)、
「炭酸カルシウム NN−200」(日東粉化(株)製)などが、
タルクとして、例えば、
「タルク MS」(日本タルク(株)製)などが
用いられる。
【0052】
なお、上記炭酸カルシウムなどの体質顔料には、不活性であり、耐アルカリ性、耐水性、熱安定性などに優れる、他の体質顔料が少量含まれてもよい。このような他の体質顔料としては、例えば、白陶土、カオリン等が挙げられる。
[任意成分]
[着色顔料(vii)]
着色顔料としては、黄色酸化鉄、酸化チタン、シアニンブルー、カーボンブラック等が好ましく用いられる。
【0053】
これらの着色顔料は、コンクリート中のアルカリ等の成分に侵されないため変色等が生じにくいという利点を有し、求められるコンクリート用型枠板の色調に応じて選択される。本発明では、このような着色顔料(vii)に代えて、またこのような着色顔料(vii)と共に、アルカリ等に安定なその他の顔料を用いてもよく、例えば赤色酸化鉄などが挙げられる。
【0054】
黄色酸化鉄は、必要により用いられる黄色顔料で、天然物と合成物(湿式、乾式)の両者があるが、合成物中でも湿式法による黄色酸化鉄は、目止め塗膜(A1)中にあって、分散性、着色力・隠ぺい力、耐候性、耐酸・耐アルカリ性に優れ、塗膜の耐溶剤性の向上に寄与している。この黄色酸化鉄としては、例えば、「タロックス LL−XLO」(チタン工業(株)製、水和酸化第二鉄)、「BAYFERROX 920」(バイエル社製、水和酸化第二鉄)などが用いられる。
[ビニル系樹脂(viii)]
ビニル系樹脂(viii)は、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)の硬度またはガラス転
移点の調整剤として用いられ、乾燥塗膜の木材への付着性や耐クラック性を向上させることができる。
【0055】
このようなビニル系樹脂(viii)としては、具体的には、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合樹脂、塩化ビニル・ビニルイソブチルエーテル共重合樹脂、塩化ビニル・プロピオン酸ビニル共重合樹脂などの塩化ビニル共重合樹脂;塩化ゴム樹脂;塩素化オレフィン樹脂;上記硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)以外の(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂あるいは(メ
タ)アクリル酸エステル共重合樹脂などのアクリル樹脂;スチレン・ブタジエン共重合樹脂などが挙げられる。これらの中では、特に、硬化性水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体が、イソシアネートと反応性を有し木材の付着性が良好である点で好ましい。このようなビニル樹脂として、上市されているものとしては、例えば、「ビニライト VAGD」、「ビニライト VAGH」、「ビニライト VAGC」(何れもダウケミカ
ル(株)製であり、いずれも硬化性水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂。)などが用いられる。
[揺変剤(ix)]
揺変剤(チキソトロピー調整剤)(ix)としては、有機、無機、複合系があり、有機系では水添ひまし油系、アマイド系、酸化ポリエチレン系、植物油重合油系、界面活性剤系が、無機系ではシリカやベントナイト等が、複合系ではアマイド/ポリエチレン系などが挙げられ、塗料の貯蔵安定性、塗装時の塗料のタレ防止に寄与し、多すぎると塗膜の刷毛目発生等による塗膜の平坦化へ悪影響を与える。この遥変剤として、上市されているものとしては、例えば、「エロジール200」(日本アエロジル(株)製)、「ディスパロン4200−20」(楠本化成(株)製、酸化ポリエチレン系)などが用いられる。
[沈殿防止剤(x)]
沈殿防止剤(x)としては、Al,Ca,Znのステアレート、有機ベントナイト、ポ
リエチレンワックス、アミドワックス、レシチン、アルキルスルホン酸塩などが挙げられる。上市されているものとしては、例えば、「ディスパロン4200−20」(楠本化成(株)製)などが用いられる。
【0056】
目止め塗膜(A1)用の組成物(塗料)中に含まれる上記硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)(固形分)は、目止め塗膜(A1)用の組成物中に含まれる揮発分である溶剤を
除く成分、すなわち固形分の合計100重量%中に、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜45重量%、特に好ましくは15〜40重量%の量で、また、硬化した目止め塗膜(A1)中に好ましくは4〜56重量%、さらに好ましくは10〜45重量%、特に好ましくは15〜40重量%となるような量で、
炭酸カルシウムなどの体質顔料(iii)は、硬化した塗膜中に好ましくは20〜85重
量%、さらに好ましくは30〜75重量%となる量で、また、上記のアクリル樹脂(i)
(固形分)100重量部に対して、合計で70〜800重量部の量で、含まれることが好ましい。
【0057】
また、イソシアネート系硬化剤(ii)は、イソシアネート基(−NCO)含量が、理論的には、上記のアクリル樹脂(i)中の水酸基(−OH)含量と等量となるような量で用
いればよいが、上記のアクリル樹脂(i)(固形分)100重量部に対して、25〜15
0重量部の量で、換言すれば、イソシアネート系硬化剤(ii)中のイソシアネート基数と、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)中の水酸基数との比([NCO]/[OH])が
、0.8/1.0〜1.2/1.0となるように、塗料中に含まれていることが望ましい。
【0058】
目止め塗膜(A1)用の組成物中に、上記硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)が上記
のような量で含まれていると、十分な顔料結合力、流動性を有するため好ましく、
イソシアネート系硬化剤(ii)が上記のような量で、例えば、使用直前に混合して得られた目止め塗料中に含まれていると、基材、特に木材への付着性、耐水性や耐アルカリ性が良好となるため好ましく、また、
体質顔料(iii)などが合計で上記のような量で含まれていると、木材表面の導管部へ
の充填性が十分なために平滑な塗面が得られ、しかも塗料の流動性も良好で塗装性に優れるため好ましい。
【0059】
また、必要によりこの目止め塗膜(A1)用の組成物に上記着色顔料(vii)、ビニル
系樹脂(viii)、揺変剤(ix)、沈殿防止剤(x)などが含まれる場合には、
着色顔料(vii)は、上記アクリル樹脂(i)(固形分)100重量部に対して、10〜70重量部の量で、
ビニル樹脂(viii)は、上記アクリル樹脂(i)(固形分)100重量部に対して、5
0〜300重量部の量で、
遥変剤(ix)は、上記アクリル樹脂(i)(固形分)100重量部に対して、0.5〜
15重量部の量で、
沈殿防止剤(x)は、上記アクリル樹脂(i)(固形分)100重量部に対して、0.1〜8重量部の量で含まれていてもよい。
【0060】
また、必要により用いられる着色顔料(vii)が上記のような量で含まれていると、十
分な隠ぺい性が得られるため好ましく、
ビニル系樹脂(viii)が上記のような量で含まれていると、木材への付着性と塗膜の可とう性が良好となるため好ましく、
揺変剤(xii)が上記のような量で含まれていると、塗料のエッジからの垂れを防止し
うるため好ましく、
沈殿防止剤(x)が上記のような量で含まれていると、顔料の沈殿防止効果が得られる
ため好ましい。
【0061】
上記のような目止め塗膜(A1)用の組成物(目止め塗料、目止め剤)は、常法により製造され、通常、硬化剤の種類などに応じて1液型、2液型として用いられる。
このような目止め塗料は、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)などの種類によっては
、常温(20〜30℃)で硬化し、また、上記イソシアネート系硬化剤(ii)の種類等(例えば、ブロックイソシアネート)によっては、1液型で加熱硬化性となる。
【0062】
この目止め塗料は、溶剤形塗料の形態で用いられる。溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルアセテート等の有機溶剤が挙げられる。なお、溶剤の添加量は、特に限定されないが、粘度調整し塗工性の向上を図るなどの見地から目止め塗料(溶剤を含む。)100重量%中に、例えば、2〜40重量%となる量で用いられる。
【0063】
なお、この目止め塗膜(A1)用の塗料が2液型として用いられる場合には、互いに反応性の成分が接触しないように、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)を含む主剤成分(
樹脂分)と、イソシアネート系硬化剤(ii)を含む硬化剤成分とからなる。硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)あるいはイソシアネート系硬化剤(ii)と非反応性の成分、例え
ば、炭酸カルシウム、タルクなどの体質顔料、黄色酸化鉄などの着色顔料、ビニル樹脂などは、主剤成分(樹脂成分)、硬化剤成分の何れに配合してもよいが、通常では、主剤成分に配合されることが多い。揺変剤、沈殿防止剤も樹脂分、顔料などの沈降・凝集性の成分と共に、通常、主剤成分に配合されることが多い。下記の中塗り塗料、上塗り塗料の場合も同様である。
【0064】
<目止め塗膜(A2)>
上記目止め塗膜(A2)用の水性エマルション組成物(a2)には、炭酸カルシウム、タルク、クレーおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれた少なくとも1種の顔料成分(iii)が含まれる。
【0065】
また、上記目止め塗膜(A2)用の水性エマルション組成物(a2)には、イソシアネート系硬化剤(ii)および着色顔料(vii)の何れか1種以上が含まれていてもよい。
[水性エマルション]
上記水性エマルションに含まれる樹脂に特に制限はなく、水性エマルションとしては、たとえばアクリル系エマルション、酢酸ビニル系エマルション、エポキシ系エマルション、ウレタン系エマルションなどを挙げることができる。これらの中では、アクリル系エマルション、酢酸ビニル系エマルションが好ましい。
【0066】
また、水性エマルションとして供される重合体は、アミノ基、水酸基、カルボキシル基
などの活性水素を含む官能基を有することが望ましい。
たとえば、アクリル系エマルションについては、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらのアルキルエステルと、スチレンなどのモノマーとの共重合体に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどを付加させることにより、水酸基を末端に有する重合体を合成することができる。
【0067】
また、酢酸ビニル系エマルションについては、酢酸ビニルの重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体などにポリビニルアルコールを付加させることにより、同様に水酸基を有する重合体を合成することができる。
【0068】
本発明で用いられるアクリル系エマルションの形態で供されるアクリル樹脂としては、特に制限はなく、従来公知のアクリル系モノマーの単独の重合体または他のモノマーとの共重合体が使用できる。アクリル系モノマーとしては、たとえば
(メタ)アクリル酸;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸シクロへキシルなどの(メタ)アクリル酸C3-12シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル;ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2-6アルキル(メタ)アクリレート;
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアルキルアミノ−アルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド又はその誘導体;
グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
【0069】
アクリル系モノマーと共重合されるモノマーとしては、たとえば
スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル系モノマー;
プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエスエル系モノマー;
無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和多価カルボン酸もしくはマレイン酸ジメチル、フマル酸ジエチルなどの不飽和多価カルボン酸誘導体のエステル類;
N−フェニルマレイミドなどのN−置換マレイミド;
エチレン、プロピレンなどのオレフィン系モノマー
などが挙げられる。これらのモノマーは、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0070】
酢酸ビニル系エマルションの形態で供される酢酸ビニル樹脂としては、特に制限はなく従来公知のものが使用でき、ポリ酢酸ビニルまたは酢酸ビニルと他のモノマーとの共重合体が使用できる。酢酸ビニルと共重合される他のモノマーとしては、たとえば
エチレンなどのオレフィン;
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘ
キシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルアクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体;
マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸2−エチルヘキシルなどのマレイン酸エステルやこれらに対応するフマル酸エステル;
プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプロン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのビニルエステル;クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル、マレイン酸、マレイン酸半エステルなどのカルボキシ基を有するモノマー;
スチレン、塩化ビニル、メチルビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、クロトンアルデヒドなどが挙げられる。これらのモノマーは、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0071】
エポキシ系エマルションの形態で供されるエポキシ樹脂としては、特に制限はなく従来公知のエポキシ樹脂が使用でき、たとえばビスフェノール型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フタル酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルジアミン型エポキシ樹脂、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどの環状オキシラン型エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0072】
ウレタン系エマルションの形態で供されるウレタン樹脂としては、特に制限はなく従来公知のウレタン樹脂が使用でき、たとえばポリオール類および/またはポリアミンの混合物を第1成分とし、1分子中に平均2個以上の末端イソシアネート基を含有するポリイソシアネート類を第2成分として反応硬化して得られるウレタン系樹脂などが挙げられる。
【0073】
上記ポリオール類としては、たとえばポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールなどが、上記ポリイソシアネートとしては、たとえばTDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(メチルジフェニルジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)およびHMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく2種以上併用してもよい。
【0074】
これらの水性エマルションは、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
これらの水性エマルションは、性状が安定である点から、固形分が30〜50重量%であることが好ましい。
【0075】
このような水性エマルションとして上市されているものでは、「ボンコート EC−100」(大日本インキ化学工業(株)、水性アクリル系エマルション)、「KRボンド F−29」(光洋産業(株)、水性酢酸ビニル系エマルション)などが挙げられる。
[イソシアネート系硬化剤(ii)]
水性エマルション組成物(a2)は、体質顔料(iii)を含有する一液型塗料として使
用することも可能であるが、イソシアネート系硬化剤(ii)を併用してもよい。このイソシアネート系硬化剤(ii)は、上記目止め塗膜(A1)または上記溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物(a1)中の対応する成分と同様のものである。
【0076】
イソシアネート系硬化剤(ii)を併用すると、目止め塗膜(A2)の木材に対する付着性が向上する点で、また、上記水性エマルションとして供される重合体の活性水素を有する官能基と該イソシアネート系硬化剤(ii)のイソシアネート基とが反応することにより
架橋構造が形成され、目止め塗膜(A2)の耐水性や耐アルカリ性が向上する点で好ましい。
【0077】
また、体質顔料(iii)および任意成分である着色顔料(vii)は、上記目止め塗膜(A1)または上記溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物(a1)中の対応する成分と同様のものである。
【0078】
目止め塗膜(A2)用の組成物中に含まれる、水性エマルションの形態で供される樹脂は、水性エマルション組成物(a2)中に含まれる溶媒の水を除く成分、すなわち固形分の合計100重量%中に、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30重量%、特に好ましくは20〜25重量%の量で、また、硬化した目止め塗膜(A2)中に好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜30重量%、特に好ましくは20〜25重量%となるような量で、
体質顔料(iii)は、硬化した塗膜中に好ましくは20〜85重量%、さらに好ましく
は30〜75重量%となる量で、上記の水性エマルションの形態で供される樹脂(固形分)100重量部に対して、好ましくは70〜800重量部の量で含まれる。
【0079】
イソシアネート系硬化剤(ii)は、水性エマルション(水系塗料)(a2)中の水によりイソシアネート系硬化剤(ii)の一部が消費されてしまうことを考慮すると、過剰に添加することが望ましい。イソシアネート系硬化剤の添加量(ii)は、上記の水性エマルションの形態で供される樹脂(固形分)100重量部に対して、通常10〜40重量部である。
【0080】
着色顔料(vii)は、使用される場合であれば、上記の水性エマルションの形態で供さ
れる樹脂(固形分)100重量部に対して、通常10〜70重量部の量で含まれる。
目止め塗膜(A2)用の組成物中に、水性エマルションの形態で供される樹脂(固形分)が上記のような量で含まれていると、十分な顔料結合力、流動性を有するため好ましく、また、体質顔料(iii)が合計で上記のような量で含まれていると、木材表面の導管部
への充填性が十分なために平滑な塗面が得られ、しかも塗料の流動性も良好で塗装性に優れるため好ましい。
【0081】
イソシアネート系硬化剤(ii)が上記のような量で含まれていると、基材、特に木材への付着性、耐水性や耐アルカリ性が良好となるため好ましく、また、着色顔料(vii)が
上記のような量で含まれていると、十分な隠ぺい性が得られるため好ましい。
【0082】
[中塗り塗膜(B)]
中塗り塗膜(B)は、目止め塗膜(A)の表面に、中塗り塗料すなわち、湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)、硬化触媒(v)、および水分吸収剤(vi)を含む湿気硬化型ウレタン
樹脂組成物を塗布、硬化して形成されている。
【0083】
また、上記中塗り塗膜(B)用の組成物は、通常含まれることの多い前記と同様の有機溶剤などの他、さらに、レべリング剤(xi)、消泡剤(xii)の何れか1種以上を含んで
いてもよい。
【0084】
中塗り塗膜(B)は、このような湿気硬化型ウレタン樹脂成分を含有する中塗り塗料を塗設してなり、耐クラック性に優れたコンクリート用型枠板を提供することができる。また、目止め塗膜(層)(A)と中塗り塗膜(層)(B)との層間接着性、中塗り塗膜(層)(B)と上塗り塗膜(C)との層間接着性(密着性)にも優れる。したがって型枠を繰返して使用でき、しかも繰返し使用可能な回数が多く、例えば、10回以上、好ましくは15回以上、特に好ましくは20回以上であり、さらに、通常の塗装型枠板と比較して使
用後の廃棄処理費用大幅な低減が可能であるという効果がある。
[湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)]
湿気硬化型ウレタン樹脂(プレポリマー)(iv)としては、従来より公知のものが広く使用でき、例えば、特開平6−157987号公報、特開平11−116652号公報、特開2000−129115号公報、特開2003−128942号公報、特開2000−37659号公報等に記載のウレタン樹脂組成物、特に湿気硬化型ウレタン樹脂組成物あるいは塗料等に使用されるものを使用できる。
【0085】
湿気硬化型ウレタン樹脂(プレポリマー)は、例えば、グリコール類(ポリオール)に、過剰量のジイソシアネート等の前記イソシアネート系硬化剤(ii)を反応させて、分子末端に遊離イソシアナート基を残すことにより得られる。
<ポリオール>
ポリオールとしては、本願出願人が先に提案した特開2000−37659号公報の[0044]〜[0045]欄に記載されているようなものが挙げられる。
【0086】
すなわち、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、ポリブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,10- デカンジオール、アルカンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の2価アルコール;グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、2,4-ジヒドロキシ-3- ヒドロキシメチルペンタン、1,1,1-トリス(ビスヒドロキシメチル)プロパン、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)ブタノール-3等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、ジグリセロール等の4価アルコール;アラビット、リビトール、キシリトール等の5価アルコール(ペンチット);ソルビット、マンニット、ガラクチトール、アロズルシット等の6価アルコール(ヘキシット);ポリグリセロール、ポリテトラメチレングリコール等の多価ヒドロキシ化合物などの炭素原子数10程度までのポリグリコール化合物、および無水フタル酸、セバシン酸、脂肪酸、エポキシ樹脂等から誘導されるポリエステルポリオール、エポキシポリオール(アルカノールアミン変性エポキシ)、ポリエーテルポリオールまたはアクリルポリオールなどが挙げられる。
【0087】
中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールが好ましい。
<イソシアネート系硬化剤(ii)>
本発明でイソシアネート系硬化剤(ii)としては、本願出願人が先に提案した特開2000−37659号公報の[0052]〜[0065]欄に記載されているようなポリイソシアネート系硬化剤から適宜選択して用いてもよいが、前記したイソシアネート系硬化剤(ii)を用いればよい。
【0088】
本発明においては、ポリオール、ポリイソシアネートの各成分は、湿気硬化型となるように、イソシアネート末端のウレタンポリマーが形成されるような量比、すなわち、イソシアネート基量が水酸基量より過剰となる量比[(NCO基)量>(OH基)量]で反応されていればよい。このような湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)(ウレタンプレポリマー)は、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基の当量と、ポリオールに含まれる水酸基の当量との比[NCO基/OH基]が通常1を超え、好ましくは1.5以上であり、上限は、硬化遅延、湿気硬化途中の発泡の増加などの弊害を考慮すると[NCO基/OH基]が10.0以下、好ましくは8.0以下と成るように反応されていることが好ましい。
【0089】
例えば、水酸基を有するモノマーやプレポリマー(例:ポリエチレングリコール、ポリメチレングリコール、ポリブチレングリコールやその誘導体)と、イソシアネート系硬化剤(ii)(例:トリレンジイソシアネートやそのプレポリマー)とを、水酸基量に比してイソシアネート基量リッチとなるような量比で用いて反応させればよい。
【0090】
このような湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)(ウレタンプレポリマー)を得る際の重合温度及び重合時間は特に制限されないが、例えば、通常窒素ガス気流下でポリオールとポリイソシアネートとを混合後、60〜100℃にて3〜8時間反応させるのがよい。反応に際しては、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属塩系ウレタン触媒等を何れの段階でも適量を随時添加してもよい。
【0091】
このような湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)(あるいは溶剤などを含むもの)として、上市されているものでは、例えば、
「MT オレスター M95−50A」(三井武田ケミカル(株)製、湿気硬化型ウレタン樹脂ワニス、溶剤:トルエン、キシレン、エチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、不揮発分50%)、
「MT オレスター M75−50E」(三井武田ケミカル(株)製、湿気硬化型ウレタン樹脂ワニス、溶剤:トルエン、キシレン、エチルアセテート、不揮発分 50%)、
「コロネート 2014」(日本ポリウレタン工業(株)製 湿気硬化型ウレタン樹脂ワ
ニス、溶剤:キシレン、不揮発分50%)
等が用いられる。
[硬化触媒(v)]
本発明において、使用される湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)用の硬化触媒(v)として
は、従来より公知の湿気硬化用触媒を広く使用でき、例えば、ジブチルスズビストリエトキシシリケート、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ブチルスズトリ−2−エチルヘキソエート、鉛−2−エチルオクトエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、亜鉛−2−エチルヘキソエート、カプリル酸第1スズ、ナフテン酸スズ、オレイン酸スズ、ブチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛などの有機酸カルボン酸の金属塩;アルコキシアルミニウム化合物;ベンジルトリエチルアンモニウムアセテートなどの第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、しゅう酸リチウムなどのアルカリ金属の低級脂肪酸塩;アミン系硬化剤、例えば、ジメチルヒドロキシアミン、ジエチルヒドロキシアミンなどのジアルキルヒドロキシルアミンなどが挙げられる。
【0092】
これらの硬化触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
ウレタン樹脂(vii)用の硬化触媒(vi)として、上市されているものとしては、例え
ば、「U−CAT 651M」(サンアプロ(株)製、湿気硬化型ウレタン樹脂用の硬化触媒、変性アミン、不揮発分100%)、「NY‐1」(日本ポリウレタン工業(株)製

3級アミン、不揮発分100%)等が用いられる。
[水分吸収剤(vi)]
水分吸収剤(脱水剤)(vi)は、中塗り塗料中に含まれる水分を除去することによって塗料のゲル化を防止し、塗料の優れた貯蔵安定性に寄与する。水分吸収剤としては、コンクリートとの反応性を有しない限り、従来より公知のものを広く使用でき、有機系、無機系の何れでもよく、無水石膏(CaSO4)、合成ゼオライト系吸着剤(商品名:モレキ
ュラーシーブ等)、オルソギ酸メチル、オルソ酢酸メチル等のオルソエステル類、オルソほう酸エステル、シリケート類やイソシアネート類(商品名:アディティブT1)等が挙げられる。これら水分吸収剤は、1種または2種以上組合わせて用いてもよい。上市され
ているものとしては、例えば、「アディティブOF」(住友バイエルウレタン社製)等が用いられる。
[レベリング剤(xi)]
レベリング剤(xi)としては、ポリブチルアクリレート、ポリメチルシロキサン、変性シリコーン化合物、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。上市されているものとしては、例えば、「ポリフロー No.7、ポリフロー No.77」(共栄社油脂(株)製)、「BYK−354、BYK−360P」(ドイツ、ビックケミー社製)などが用いられる。
[消泡剤(xii)]
消泡剤(xii)としては、シリコーン系、オキシアルキレン系、プロルニック型、鉱物
系などの消泡剤が挙げられ、例えば、「フローレンAC−300」(共栄社油脂(株)製)、「BYK−088、BYK−065、BYK−P104」(ドイツ、ビックケミー社製)、「ディスパロンOX−70」(楠本化成(株)製)等が用いられる。
【0093】
本発明では、得られる塗膜の平滑性、塗装時に塗料中に巻き込まれた気泡による塗面の発泡防止を考慮すると消泡剤を含むことが好ましい。
湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)(固形分、すなわち溶剤を除く不揮発分)は、中塗り塗膜(B)用の組成物中の揮発分である溶剤を除く成分、すなわち固形分の合計100重量%中に、好ましくは30〜99重量%、さらに好ましくは40〜98重量%の量で、
硬化触媒(v)は、上記湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)(固形分)100重量部に対し
て、0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜2重量部の量で、中塗り塗膜(B)用の組成物(固形分)中に含まれていることが望ましい。
【0094】
また、水分吸収剤(vi)は、上記湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)(固形分)100重量部に対して、好ましくは1.0〜40重量部、さらに好ましくは1.0〜5重量部の量で含まれていることが望ましい。
【0095】
中塗り塗膜(B)用の組成物中に、上記湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)が上記のような量で含まれていると、塗装や取扱いに適した粘度となり、さらに、耐クラック製に優れたコンクリート用型枠板を提供することができるため好ましく、
硬化触媒(v)が、上記のような量で含まれていると、塗装工程に適した乾燥時間と可
使時間となるため好ましく、
また、水分吸収剤(vi)が上記のような量で含まれていると、空気中の水分の影響の防止に有効となるため好ましい。
【0096】
また、必要によりこの中塗り塗膜(B)用の組成物に上記レべリング剤(xi)、消泡剤(xii)などが含まれる場合には、
レべリング剤(xi)は、上記湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)(固形分)100重量部に対して、0.05〜5.0重量部の量で、
消泡剤(xii)は、上記湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)(固形分)100重量部に対し
て、0.02〜2.0重量部の量で含まれていてもよい。
【0097】
また、必要により用いられるレべリング剤(xi)が上記のような量で含まれていると、得られる塗膜は平滑な塗面となるため好ましく、
消泡剤(xii)が上記のような量で含まれていると、塗装時に生ずる発泡防止となるた
め好ましい。
【0098】
上記のような中塗り塗膜(B)用の組成物は、常法により製造され、通常、塗料の組成、温度や湿度などの塗料の貯蔵環境、塗装環境などにも依るが通常1液型として用いられ、場合によっては2液型としても用いられ得る。
【0099】
このような中塗り塗料は、通常、常温で、空気中などの湿気(水分)により硬化する。また、この中塗り塗料は、通常、溶剤型として用いられる。なお、溶剤の添加量は、特に限定されないが、中塗り塗料(溶剤を含む。)100重量%中に、例えば、10〜60重量%となる量で用いられる。
【0100】
なお、本発明においては、1層目の目止め塗膜(A)、3層目の上塗り塗膜(C)にて十分な着色がなされているので、2層目の中塗り塗膜(B)用の塗料には顔料を添加する必要は無く、通常、クリヤーとして使用されるが、1層目、3層目の塗膜では着色不充分な場合には、2層目の中塗り塗料に少量の着色顔料を添加してもよい。
【0101】
[上塗り塗膜(C)]
上塗り塗膜(C)は、中塗り塗膜(B)の表面に、上塗り塗料すなわち、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)、イソシアネート系硬化剤(ii)および着色顔料(vii)を含む硬化性アクリル樹脂組成物を塗布、硬化して形成されている。
【0102】
また、上記上塗り塗膜(C)用の組成物は、通常含まれることの多い前記と同様の有機溶剤などの他、さらに、沈殿防止剤(x)、レべリング剤(xi)、消泡剤(xii)の何れか1種以上を含んでいてもよい。
【0103】
このような上塗塗料を塗布硬化してなる上塗り塗膜(C)は、本発明のコンクリート用型枠板において、中塗り塗膜(B)との密着性(層間剥離強度)、塗膜の平滑性、コンクリート硬化物の離型性に優れ、該上塗り塗膜(C)を有する本発明のコンクリート用型枠板を用いると、得られるコンクリート硬化物は、表面の平滑性に優れ、また型枠表面に固化したコンクリート屑などが残存付着せず、型枠用合板などに損傷が生じ難く、型枠を繰返して使用でき、しかも型枠を繰返して使用可能な回数が多く、例えば、10回以上、好ましくは15回以上、特に好ましくは20回以上であり、さらに、通常の塗装型枠板と比較して使用後の廃棄処理費用大幅な低減が可能であるという効果がある。
【0104】
この上塗り塗料中に含まれる硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)、イソシアネート系
硬化剤(ii)および着色顔料(vii)は、上記目止め塗膜(A)あるいは目止め塗料中の
対応する成分と同様のものである。
【0105】
上塗り塗膜(C)用の組成物に含まれる上記硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)は、
上塗り塗膜(C)用の組成物に含まれる溶剤を除く成分、すなわち固形分の合計100重量%中に、好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは50〜75重量%の量で、また硬化した上塗り塗膜(C)中に、好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは40〜65重量%となるような量で、
イソシアネート系硬化剤(ii)は、同上の基準で組成物中に、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)中の水酸基(−OH)価とイソシアネート系硬化剤(ii)中のイソシアネー
ト基(−NCO)との反応比([NCO]量/[OH]量)が理論的には等量となるように、通常では、0.8/1.0〜1.2/1.0となるような量で、
着色顔料(vii)は、同上の基準で組成物中に、好ましくは1〜30重量%、さらに好
ましくは5〜20重量%の量で、また、上記アクリル樹脂(i)(固形分)100重量部
に対して、1〜30重量部の量で用いればよい。
【0106】
上塗り塗膜(C)用の組成物中に、上記硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)が上記の
ような量で含まれていると、塗装や取扱いに適した粘度となり、耐候性が良好となるため好ましく、
黄色酸化鉄、酸化チタン、シアニンブルーおよびカーボンブラックからなる群から選ば
れた少なくとも1種の着色顔料(vii)が上記のような量で含まれていると、合板の素地
の隠ぺい性が良好となり好ましく、また、
イソシアネート系硬化剤(ii)が上記のような量で含まれていると、耐水性や耐アルカリ性などの塗膜性能が良好となるため好ましい。
【0107】
また、必要により、この上塗り塗膜(C)用の組成物に上記沈殿防止剤(x)、消泡剤
(xii)、レべリング剤(xi)などが含まれる場合には、
沈殿防止剤(x)は、上記アクリル樹脂(i)(固形分)100重量部に対して、0.5〜6重量部の量で、
消泡剤(xii)は、上記アクリル樹脂(i)(固形分)100重量部に対して、0.2〜1.0重量部の量で、
レべリング剤(xi)は、上記アクリル樹脂(i)(固形分)100重量部に対して、0
.05〜5.0重量部の量で含まれていてもよい。
【0108】
また、必要により用いられる沈殿防止剤(x)が上記のような量で含まれていると、顔
料の沈殿防止に有効となるため好ましく、
消泡剤(xii)が上記のような量で含まれていると、塗面の発泡防止となるため好まし
く、
レべリング剤(xi)が上記のような量で含まれていると、得られる塗膜は平滑な塗面となるため好ましい。
【0109】
上記のような上塗り塗膜(C)用の組成物(上塗り塗料、上塗り剤)は、常法により製造され、通常、硬化剤の種類などに応じて1液型、2液型として用いられる。
このような上塗り塗料は、硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)などの種類によっては
、常温で硬化し、また、50〜70度で焼付け乾燥することにより乾燥時間を短縮することもできる。また、この上塗り塗料は、通常、溶剤型として用いられる。なお、溶剤の添加量は、特に限定されないが、上塗り塗料(溶剤を含む。)100重量%中に、例えば、2〜40重量%となる量で用いられる。
【0110】
以上詳述してきたように、本発明に係るコンクリート用型枠板では、コンクリート型枠合板の表面被覆物として、1層目にその好ましい態様では、上記のように多量の体質顔料を含有するアクリルウレタン樹脂塗料などを目止め剤として塗装しており、木材表面を平滑にすることができる。また、2層目に上記のような湿気硬化型ウレタン塗料を中塗り塗装してコンクリート用型枠板の耐クラック性を向上させている。また、その中塗り塗装の後に、3層目に上記のように着色顔料を含有するアクリルウレタン樹脂塗料を塗り重ねており、コンクリート打設後の離型を容易にすることが可能となっている。
【0111】
<コンクリート用型枠板の製法>
本発明に係るコンクリート用型枠板の製法は、基板の表面に、上記(A)、(B)および(C)の各塗膜用の塗料を塗布、硬化させ、その順序(基板/塗膜(A)/塗膜(B)/塗膜(C))で形成させることを特徴としている。
【0112】
より具体的に説明すると、好ましい態様は、以下の通りである。
(1)1層目の目止め塗料の塗装
1層目の目止め塗料の塗装の際には、合板表面の凹凸を埋めて平滑とするために、型枠合板を搬送するコンベヤと、合板の進行方向に対して垂直(直角)に取り付けた薄い鋼鈑よりなるナイフコーターとが用いられる。通常はナイフコーターで1回のみ塗装しても、導管部への目止め塗料の充填が不完全であることが多く、十分な平滑性が得られないことが多い。そこで、通常では、同一の目止め塗料を用いてナイフコーター塗装を2〜3回繰り返し、1平方メートルあたりのトータル塗布量(未硬化物)が80〜150gとなるよ
うに塗装することが望ましい。
(2)2層目の中塗り塗料の塗装
2層目の中塗り塗料の塗装では、例えば、ロールコーターにて同一の中塗り塗料を1〜3回繰り返して塗装し、トータル塗布量(未硬化物)が1平方メートル当たり20〜90gとなるように塗装することが望ましい。
(3)3層目の上塗り塗料の塗装
3層目の上塗り塗料の塗装では、例えば、ロールコーターにて同一の上塗り塗料を1〜2回繰り返して塗装し、トータル塗布量(未硬化物)が1平方メートル当たり20〜90gとなるように塗装することが望ましい。
(4)乾燥方法
1層目の目止め塗料、2層目の中塗り塗料、3層目の上塗り塗料の乾燥方法は、通常は室温乾燥が採用されるが、成分組成等によっては、60〜80℃の加熱温度下で強制乾燥することも可能である。
【0113】
室温乾燥の場合は、1層目と2層目を塗り重ねる場合の1層目の乾燥時間は1〜3時間、2層目と3層目を塗り重ねる場合の2層目の乾燥時間は0〜3時間である。
すなわち、2層目と3層目を塗り重ねる場合には、2層目を3時間程度乾燥させ十分乾燥させた後に3層目を塗り重ねても良いが、2層目を塗装した直後(2層目の乾燥時間:0時間)の未硬化状態のうちに、3層目を塗り重ねること(Wet-on-Wet方式)も可能である。
【0114】
また、3層目を塗装した後、塗装済み型枠合板を積み重ねて保存、運搬等を行うことが可能となるまでの時間としては、未乾燥塗膜同士の付着を防止するために5時間以上の乾燥時間が必要である。
<発明の効果>
本発明のコンクリート用型枠板は、著しくクラックが生じ難く、コンクリート硬化物から容易に剥離させることができ、一回の塗装で多数回(例:10回以上)繰返してコンクリートの打設に使用でき、従来の通常の塗装による型枠合板の2倍以上の回数の使用に絶え得るので、作業性、経済性共に好適である。従って、建設現場でのコンクリート用型枠の使用枚数の低減を図り、外表面が良質の建造物を効率的に建設でき、資源の節約を図ることができる。
【0115】
本発明のコンクリート用型枠板は、このように多数回繰り返して再利用できるから、本発明のコンクリート用型枠板を使用すれば、コンクリート打設工事に使用されて、割れを生じて廃品となった型枠合板等の廃棄費用を従来品を使用する場合に比して、1/2以下に節約することが可能となる。さらに、本発明のコンクリート用型枠板を用いると、木材資源の保存、資源の有効利用にも大きな効果を及ぼす。
【0116】
[実施例]
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は、係る実施例により何ら限定されるものではない。
[塗料組成物の調製]
下記の表3〜6に示す1層目用の目止め塗料A,B,C,D(目止めA,B,C,D)、下記の表7,8に示す2層目用の中塗り塗料A,B(中塗りクリヤーA,B)、下記の表9,10に示す3層目用の上塗り塗料A,B(上塗りA,B)を調製した。
【0117】
なお、下記の表中の各成分の組成、物性等は、以下の表1の通り。
【0118】
【表1】

【0119】
耐クラック試験、及びJAS規格試験の試験方法は、以下の通り。
<耐クラック試験>
各塗装済み試験板より縦×横=15cm×15cmの試験片を切り出して、これらの試験片を80℃±3℃の恒温器中に2時間放置した後、−20℃±3℃の恒温器中に2時間放置する工程を2回繰り返し、その後試験片の温度が室温に達するまで室温で放置する。試験片の表面に生じた割れ本数を記録する。これを試験片表面に多数の割れが生じるまで繰り返す。
<JAS規格試験>
JAS(コンクリート型枠合板の日本農林規格、「4、板面の品質」)に規定されている平面引張試験法、寒熱繰返し試験法、耐アルカリ試験法を下記の表2に示す。
【0120】
【表2】

【0121】
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
【表5】

【0124】
【表6】

【0125】
【表7】

【0126】
【表8】

【0127】
【表9】

【0128】
【表10】

【実施例1】
【0129】
<コンクリート用型枠板の製造>
上記表に示す、1層目用目止め塗料A用の主剤成分に硬化剤を添加して十分に攪拌してなる目止め塗料Aを、コンクリート型枠用合板に、室温(25℃)下に、ナイフコーターで1時間毎に3回繰り返して塗装して、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約
90gとなるように塗装した。
【0130】
目止め塗料Aを塗装して1時間乾燥させた後、2層目用中塗り塗料A用の主剤成分に硬化剤を添加してなる中塗り塗料Aを、室温下に、ロールコーターで連続して2回塗装して、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約50gとなるように塗装した。
【0131】
中塗り塗料Aを塗装して2時間乾燥させた後、3層目用上塗り塗料A用の主剤成分に硬化剤を添加してなる上塗り塗料Aを、室温下に、ロールコーターで連続して1回塗装して、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約50gとなるように塗装した。
【0132】
塗装された型枠合板を室温下に48時間乾燥させ、コンクリート用型枠板を製造した。<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0133】
結果を表12に示す。
【実施例2】
【0134】
<コンクリート用型枠板の製造>
実施例1において1層目用の目止め塗料Aに代えて目止め塗料Bを、2層目用の中塗り塗料A用に代えて中塗り塗料Bを、3層目用の上塗り塗料Aに代えて上塗り塗料Bを用いた以外は実施例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0135】
結果を表12に示す。
【実施例3】
【0136】
<コンクリート用型枠板の製造>
実施例1において2層目用の中塗り塗料Aに代えて中塗り塗料Bを用いた以外は実施例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0137】
結果を表12に示す。
【実施例4】
【0138】
<コンクリート用型枠板の製造>
実施例1において1層目用の目止め塗料Aに代えて目止め塗料Cを用いた以外は実施例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0139】
結果を表12に示す。
【実施例5】
【0140】
<コンクリート用型枠板の製造>
実施例1において1層目用の目止め塗料Aに代えて目止め塗料Dを、2層目用の中塗り塗料Aに代えて中塗り塗料Bを、3層目用の上塗り塗料Aに代えて上塗り塗料Bを用いた以外は実施例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0141】
結果を表12に示す。
[比較例1]
<コンクリート用型枠板の製造>
実施例1において、1層目用の目止め塗料Aを、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約50gとなるように塗装し、2層目用の中塗り塗料を塗布せずに、3層目用の上塗り塗料Aを、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約50gとなるように塗装以外は実施例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0142】
結果を表12に示す。
[比較例2]
<コンクリート用型枠板の製造>
比較例1において目止め塗料Aを、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約90gとなるように塗装し、上塗り塗料Aを1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約40gとなるように塗装した以外は比較例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0143】
結果を表12に示す。
[比較例3]
<コンクリート用型枠板の製造>
比較例1において1層目用の目止め塗料Aに代えて目止め塗料Bを、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約90gとなるように塗装し、3層目用の上塗り塗料Aに代えて上塗り塗料Bを、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約90gとなるように塗装した以外は比較例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0144】
結果を表12に示す。
[比較例4]
<コンクリート用型枠板の製造>
実施例1において1層目用目止め塗料Aを塗装して乾燥させた後、3層目用上塗り塗料Aを塗装して乾燥させ、その後、2層目用中塗り塗料Aを塗装した以外は実施例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0145】
結果を表12に示す。
[比較例5]
<コンクリート用型枠板の製造>
比較例1において1層目用の目止め塗料Aに代えて目止め塗料Cを、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約90gとなるように塗装し、3層目用の上塗り塗料Aを、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約90gとなるように塗装した以外は比較例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0146】
結果を表12に示す。
[比較例6]
<コンクリート用型枠板の製造>
比較例1において1層目用の目止め塗料Aに代えて目止め塗料Dを、1平方メートルあたりの塗布量(未硬化物)が約90gとなるように塗装し、3層目用の上塗り塗料Aに代えて上塗り塗料Bを塗装した以外は比較例1と同様にして、コンクリート用型枠板を製造した。
<試験>
得られたコンクリート用型枠板について、耐クラック試験、及びJAS規格試験を実施した。
【0147】
結果を表12に示す。
【0148】
【表11】

【0149】
【表12】

【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明に係るコンクリート用型枠板は、耐クラック性に著しく優れ、しかも撥水性、スリップ性、耐擦傷性等にも優れ、層間接着性に優れた塗装面を有しており、コンクリート硬化物の離型性が従来品に比して飛躍的に向上しており、マンション、ビルディング、橋梁等のコンクリート構造物を建設する際に、同一の型枠板を再塗装することなく転用可能な回数を大幅に増すことができ、建設コストの削減や産業廃棄物処理コストの削減を図ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に、下記(A)、(B)および(C)の各塗膜が、その順序(基板/塗膜(A)/塗膜(B)/塗膜(C))で形成されたコンクリート用型枠板:
(A)硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)、
イソシアネート系硬化剤(ii)、ならびに、
炭酸カルシウム、タルク、クレーおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれた少な
くとも1種の体質顔料(iii)
を含む溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物(a1)から形成される目止め塗膜(A1)
、または、
炭酸カルシウム、タルク、クレーおよび硫酸バリウムからなる群から選ばれた少な
くとも1種の体質顔料(iii)
を含む水性エマルション組成物(a2)から形成される目止め塗膜(A2)、
(B)湿気硬化型ウレタン樹脂(iv)、
硬化触媒(v)、ならびに、
水分吸収剤(vi)
を含む湿気硬化型ウレタン樹脂組成物から形成される中塗り塗膜、
(C)硬化性水酸基含有アクリル樹脂(i)、
イソシアネート系硬化剤(ii)、ならびに、
酸化チタン、黄色酸化鉄、シアニンブルーおよびカーボンブラックからなる群から
選ばれた少なくとも1種の着色顔料(vii)
を含む硬化性アクリル樹脂組成物から形成される上塗り塗膜。
【請求項2】
上記目止め塗膜(A)が、さらに、酸化チタン、黄色酸化鉄、シアニンブルーおよびカーボンブラックからなる群から選ばれた少なくとも1種の着色顔料(vii)を含む溶剤形
硬化性アクリル樹脂組成物(a1)または水性エマルション組成物(a2)から形成された請求項1に記載のコンクリート用型枠板。
【請求項3】
上記目止め塗膜(A1)が、さらに、ビニル系樹脂(viii)を含む溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物(a1)から形成された請求項1または2に記載のコンクリート用型枠板。
【請求項4】
上記目止め塗膜(A1)が、さらに、揺変剤(ix)を含む溶剤形硬化性アクリル樹脂組成物(a1)から形成された請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート用型枠板。
【請求項5】
上記目止め塗膜(A1)が、さらに、沈殿防止剤(x)を含む溶剤形硬化性アクリル樹
脂組成物(a1)から形成された請求項1〜4のいずれかに記載のコンクリート用型枠板。
【請求項6】
上記目止め塗膜(A2)が、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂およびウレタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂を含む水性エマルション組成物(a2)から形成された請求項1または2に記載のコンクリート用型枠板。
【請求項7】
上記目止め塗膜(A2)が、さらに、イソシアネート系硬化剤(ii)を含む水性エマルション組成物(a2)から形成された請求項1,2または6に記載のコンクリート用型枠板。
【請求項8】
上記中塗り塗膜(B)が、さらに、レべリング剤(xi)を含む湿気硬化型ウレタン樹脂組成物から形成された請求項1〜7のいずれかに記載のコンクリート用型枠板。
【請求項9】
上記中塗り塗膜(B)が、さらに、消泡剤(xii)を含む湿気硬化型ウレタン樹脂組成
物から形成された請求項1〜8のいずれかに記載のコンクリート用型枠板。
【請求項10】
上記上塗り塗膜(C)が、さらに、沈殿防止剤(x)を含む硬化性アクリル樹脂組成物
から形成された請求項1〜9のいずれかに記載のコンクリート用型枠板。
【請求項11】
上記上塗り塗膜(C)が、さらに、レべリング剤(xi)を含む硬化性アクリル樹脂組成物から形成された請求項1〜10のいずれかに記載のコンクリート用型枠板。
【請求項12】
上記上塗り塗膜(C)が、さらに、消泡剤(xii)を含む硬化性アクリル樹脂組成物か
ら形成された請求項1〜11のいずれかに記載のコンクリート用型枠板。
【請求項13】
基板の表面に、上記(A)、(B)および(C)の各塗膜を、その順序(基板/塗膜(A)/塗膜(B)/塗膜(C))で形成させることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のコンクリート用型枠板の製造方法。

【公開番号】特開2006−212546(P2006−212546A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−27943(P2005−27943)
【出願日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(390033628)中国塗料株式会社 (57)
【Fターム(参考)】