説明

コーティングされた基材、およびこの作製における使用に適したポリマー分散体

コーティングされた基材は、基材と、前記基材の少なくとも1つの表面上のコーティングを含む。前記コーティングは、例えば、(i)イソシアナート(例えば、ポリイソシアナート)、(ii)活性な水素末端を有する着色剤、および任意に(iii)鎖延長剤、ポリオール、内部界面活性剤、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤の反応により生成したプレポリマー、ポリマーまたは樹脂を含む。このようなコーティングされた基材の作製において適切なポリマー分散体は、このようなプレポリマー、ポリマーまたは樹脂を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
発明の分野
本発明は、その表面上にコーティングを含む基材、例えば革の外観および感触を模倣するように意図されたコーティングを有する基材に関する。このような基材は、限定されないが、天然皮革基材およびテキスタイル材料を含む。
【0002】
発明の背景
合成皮革は典型的には、弾性ポリマー樹脂、例えばポリウレタン樹脂、ポリビニルクロリド樹脂、またはこのような樹脂の配合物を、繊維基材の表面上にコーティングする、または積層することにより製造されている。多様な色および/または色合いで合成皮革を製造するためには、種々の色素または染料が、上記基材の表面に塗布される樹脂を着色するために用いられている。しかしながら、このような色素および染料の使用は、その不利点および欠点を伴う。
【0003】
例えば、色素は通常低い着色力とくすんだ色合いを有し、これはこの色素を用いて製造される合成皮革の美的性質を制限してしまう。色素は典型的には可溶化基を欠き、このことは、しばしば、色素粒子を凝集させて、製造プロセス中により大きな第2および第3の凝集粒子を形成する。これらの違いのため、一般的な色素により着色された合成皮革はしばしば乏しい保色性を示し、暗いまたはくすんだ色合いを有し、または色の深みにおける不適切な変化を包含する。これらの問題には、分散剤の添加を通じて、または色素分散体を用いることにより部分的には対処することができるが、これらの手段はしばしば、製造コストの増加をもたらし、並びに色素の定着により生じる色のばらつきを最小限にし、および/またはこれらの成分と樹脂との不相容性を最小限にするために多大な努力をなお必要としている。
【0004】
一方、染料は典型的に、適切な媒体中で染料の分散を促進し得る可溶化基を含む。染料はまた、典型的に、比較的高い着色力、良好な透明性、良好な熱安定性、および容認できる樹脂相容性を示す。それにも関らず、染料は典型的に、乏しい耐候性、乏しい耐水性、乏しい耐油性を示し、および移動基材(transfer substrate)、例えば合成皮革を製造するために用いられる剥離紙、および染料が接触し得る他の基材、例えばポリビニルクロリド(PVC)基材へと移動しまたは滲む。染料の移動基材への移動を解決するために、移動基材に塗布されるナイロンまたはポリウレタン保護膜を用いる試みがなされている。しかしながら、著しく高いコストを招くことのない、満足のいくトップコートは開発されていない。
【0005】
従って、一般的な色素および染料を用いて製造される製品の欠陥に取り組む一方で、所望の美的性質を示す新規の着色された皮革についての要求が存在する。本発明はこのような製品と、これを製造するための方法を提供する。
【0006】
発明の概要
1つの実施形態において、皮革製品は基材と、基材の少なくとも1つの表面のコーティングとを含む。コーティングは、樹脂とポリマー着色剤とを含む。ポリマー着色剤は、発色団と、発色団に結合したオリゴマー成分とを含む。
【0007】
他の実施形態において、皮革製品は、基材と、基材の少なくとも1つの表面のコーティングとを含む。コーティングは、プレポリマーまたは樹脂を含む。プレポリマーまたは樹脂を、例えば、(i)イソシアナート、(ii)鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤、および(iii)活性な水素末端を有する着色剤の反応により製造することができる。活性な水素末端を有する着色剤は、発色団と、その発色団に結合した少なくとも1つの活性な水素末端を有する成分を含む。
【0008】
他の実施形態において、コーティングされた基材は、基材と、基材の少なくとも1つの表面上のコーティングとを含む。コーティングは、プレポリマー、ポリマー、または樹脂を含む。プレポリマー、ポリマーまたは樹脂は、例えば、(i)イソシアナート(例えばポリイソシアナート)、(ii)活性な水素末端を有する着色剤、および任意に(iii)鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤の反応により製造することができる。活性な水素末端を有する着色剤は、発色団と、その発色団に結合した少なくとも1つの活性な水素末端を有する成分とを含む。特定の実施形態において、活性な水素末端を有する着色剤は、発色団と、その発色団に結合したオリゴマー成分とを含むポリマー着色剤であり得る。プレポリマー、ポリマーまたは樹脂を製造するのに用いられる反応剤混合物は内部界面活性剤(internal surfactant)をさらに含み得る。
【0009】
第1の実施形態において、合成皮革製品を製造するための方法は、(a)樹脂またはプレポリマーを提供する工程、(b)ポリマー着色剤を提供する工程、(c)ポリマー着色剤と樹脂またはプレポリマーとを混合して混合物を生成する工程、(d)工程(c)において得られた混合物を移動基材上に塗布し、基材を加熱して基材を乾燥させてその上に樹脂コーティングを形成する工程、(e)工程(d)において製造した樹脂コーティング上に接着剤を塗布する工程、(f)工程(e)において製造した接着層に裏基材を付着させる工程、(g)工程(f)において製造したアセンブリを加熱して、アセンブリを乾燥し、繊維状裏基材を接着層に接着させる工程、および(h)(g)において製造したアセンブリから移動基材を除去して、合成皮革製品を製造する工程を含む。
【0010】
第2の実施形態において、合成皮革製品を製造するための方法は、(a)樹脂またはプレポリマーを提供する工程、(b)ポリマー着色剤を提供する工程、(c)ポリマー着色剤と樹脂またはプレポリマーとを混合して混合物を生成する工程、(d)工程(c)において得られた混合物を裏基材に塗布する工程、(e)工程(d)において得られたコーティングされた基材を水溶液に浸漬させて、樹脂またはプレポリマーを硬化させてその表面上にコーティングを形成する工程、(f)水溶液から基材を取り出す工程、および(g)基材を加熱して基材を乾燥し、合成皮革製品を製造する工程を含む。
【0011】
他の実施形態において、皮革製品を製造するための方法は、(a)(i)イソシアナート、(ii)鎖延長剤、ポリオールおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤、および(iii)活性な水素末端を有する着色剤の反応により生成するプレポリマーまたは樹脂を提供する工程、(b)プレポリマーまたは樹脂を移動基材上に塗布してプレポリマーのフィルムコーティングを形成する工程、(c)工程(b)において製造したプレポリマーまたは樹脂のフィルムコーティング上に裏基材を付着させる工程、(d)組み合わせた裏基材、フィルムコーティング、および移動基材を加熱して、裏基材をプレポリマーまたは樹脂のフィルムコーティングに接着させる工程、および(e)移動基材を除去して、裏基材とその表面のコーティングとを含む皮革製品を得る工程を含む。コーティングは、(i)イソシアナート、(ii)鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤、および(iii)活性な水素末端を有する着色剤の反応により製造されるプレポリマーまたは樹脂を含む。活性な水素末端を有する着色剤は、構造(I)
【化10】

【0012】
に適合する着色剤の群から選択される。
【0013】
構造(I)において、R1またはR1−[E]mは有機発色団であり、Eは窒素、酸素、硫黄、スルフィット基、スルホンアミド基、およびカルボキシル基から成る群から選択される架橋部位であり、並びにnおよびmは独立して、1〜5の整数から成る群から選択される。各Zは、C1−C20アルキル部位、アリール部位、およびアルコキシ部位から成る群から独立して選択される二価の有機部位である。各Xは水素、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、アミン基、アルキル基、アリール基、アルキルエステル基、アリールエステル基、有機スルホナート基、有機スルファート基、およびアミド基から成る群から独立して選択される末端基である。少なくとも1つの−Z−X成分は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わっている。
【0014】
他の実施形態において、皮革製品を製造するための方法は、(a)(i)イソシアナート、(ii)鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤、並びに(iii)活性な水素末端を有する着色剤により生成するプレポリマーまたは樹脂を提供する工程、(b)裏基材を提供する工程、(c)上記プレポリマーまたは樹脂を裏基材の表面に塗布する工程、(d)工程(c)において製造したコーティングされた基材を加熱して裏基材の表面にコーティングを形成する工程を含み、これにより、裏基材およびその表面のコーティングを含む皮革製品が得られる。(i)イソシアナート、(ii)鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤、および(iii)活性な水素末端を有する着色剤の反応により生成するプレポリマーまたは樹脂を含むコーティング。活性な水素末端を有するものは、構造(I)
【化11】

【0015】
に適合する着色剤の群から選択される。
【0016】
構造(I)において、R1またはR1−[E]mは有機発色団であり、Eは窒素、酸素、硫黄、スルフィット基、スルホンアミド基、およびカルボキシル基から成る群から選択される架橋部位であり、並びにnおよびmは独立して、1〜5の整数から成る群から選択される。各Zは、C1−C20アルキル部位、アリール部位、およびアルコキシル部位から成る群から独立して選択される二価の有機部位である。各Xは、水素、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、アミン基、アルキル基、アリール基、アルキルエステル基、アリールエステル基、有機スルホナート基、有機スルファート基、およびアミド基から成る群から独立して選択される末端基である。少なくとも1つの−Z−X成分は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わっている。
【0017】
他の実施形態において、コーティングされた基材を形成するための方法は、(a)(i)イソシアナート、(ii)活性な水素末端を有する着色剤、並びに任意に(iii)鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤の反応により生成するプレポリマー、ポリマーまたは樹脂を提供する工程、(b)裏基材を提供する工程、および(c)上記プレポリマーまたは樹脂を裏基材の表面上に塗布する工程を含み、これにより基材の少なくとも1つの表面にコーティングを形成する。コーティングは、(i)イソシアナート、(ii)活性な水素末端を有する着色剤、並びに(iii)鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の着色剤の反応により生成するプレポリマー、ポリマーまたは樹脂を含む。活性な水素末端を有するものは、構造(I)
【化12】

【0018】
に適合する着色剤の群から選択される。
【0019】
構造(I)において、R1またはR1−[E]mは有機発色団であり、Eは窒素、酸素、硫黄、スルフィット基、スルホンアミド基、およびカルボキシル基から成る群から選択される架橋部位であり、並びにnおよびmは1〜5の整数から成る群から独立して選択される。各Zは、C1−C20アルキル部位、アリール部位、およびアルコキシル部位から成る群から独立して選択される二価の有機部位である。各Xは、水素、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、アミン基、アルキル基、アリール基、アルキルエステル基、アリールエステル基、有機スルホナート基、有機スルファート基、およびアミド基から成る群から独立して選択される末端基である。少なくとも1つの−Z−X成分は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わっている。プレポリマー、ポリマーまたは樹脂を生成するために用いられる反応剤混合物はさらに、内部界面活性剤を含んでいてもよい。
【0020】
本発明は、また、コーティングされた基材の作製における使用に適しているポリマーの分散体を提供する。第1の実施形態において、分散体は、(a)水性連続相、および(b)ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを含む不連続相を含む。ポリマーまたはポリマーセグメントは、(i)ポリイソシアナート、(ii)内部界面活性剤、および(iii)活性な水素末端を有する着色剤を含む反応剤混合物の反応の生成物であり得る。続いて生じたポリマーを水に分散させ、所望される場合には、ポリマーの分子量を増大させるために適切な鎖延長剤と反応させ得る。
【0021】
第2の実施形態において、分散体は、(a)水性の連続相、および(b)ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを含む不連続相を含む。ポリマーまたはポリマーセグメントは、(i)ポリイソシアナートと活性な水素末端を有する着色剤とを反応させてポリマー中間体を生じる工程、および(ii)工程(i)において生じたポリマー中間体を内部界面活性剤と反応させてポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを生じる工程を含むプロセスにより生成し得る。その後生じたポリマーを水に分散させて、所望される場合には、ポリマーの分子量を増大させるために適切な鎖延長剤と反応させ得る。
【0022】
発明の詳細な記載
コーティングされた基材は、基材と、基材の少なくとも1つの表面におけるコーティングとを含む。コーティングは、プレポリマー、ポリマーまたは樹脂を含む。コーティングされた基材のある実施形態において、合成皮革製品は、基材と、基材の少なくとも1つの表面におけるコーティングとを含む。コーティングは樹脂およびポリマー着色剤を含む。ポリマー着色剤は樹脂中に分散させてもよいし、またはポリマー着色剤および樹脂を共重合して着色した樹脂を精製してもよい。
【0023】
基材はいずれもの適切な基材であり、例えば繊維状基材、天然皮革基材、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、およびこれらの組み合わせであり得る。ある場合によって好ましい実施形態において、基材はテキスタイル材料である。適切なテキスタイルは、限定されないが、織テキスタイル、ニットテキスタイル、および不織布を含む。テキスタイルは、いずれもの適切な天然繊維、合成繊維またはこれらの組み合わせから作製され得る。
【0024】
基材とコーティングとの間の付着を促進するために、基材はコーティングが塗布される表面にプレコート層を含み得る。プレコート層はいずれもの適切な材料、例えば基材とコーティングとの間の付着を促進する材料を含み得る。例えば、プレコート層は弾性ポリマーを含み得る。
【0025】
コーティングは、コーティングされる基材のいずれもの適切な部位を構成し得る。ある場合により好ましい実施形態において、コーティングは、基材の少なくとも1つの表面と実質的に同一の広がりをもつか、同一の広がりをもち得る。本明細書において用いられる「実質的に同一の広がりをもつ」という語は、コーティングが配置される基材表面の面積の約50%以上、好ましくは約75%以上、より好ましくは約90%以上、および最も好ましくは約95%以上をコーティングが被覆することを意味する。コーティングの量は、また、コーティングされる基材の総重量へのその寄与という点で表現され得る。ある場合により好ましい実施形態において、コーティングは、コーティングされる基材の総重量の約0.1%以上、約0.5%以上、または約1%以上を構成する。
【0026】
コーティングにおけるプレポリマー、ポリマーまたは樹脂は、いずれもの適切なプレポリマー、ポリマーまたは樹脂であり得る。プレポリマー、ポリマーまたは樹脂は、典型的に、柔軟性および耐性のある製品を提供すると同時に、例えば本物の皮革を模倣するのに必要または望まれる性質を提供するように選択され得る。ある場合により好ましい実施形態において、プレポリマー、ポリマーまたは樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される。適切なポリウレタンは、直鎖のポリウレタンおよび架橋されたポリウレタン、例えばヘキサメチレンジイソシアナートトリマーと架橋されたポリウレタンを含む。
【0027】
ある実施形態において、プレポリマー、ポリマーまたは樹脂は、例えば、(i)イソシアナート(例えばポリイソシアナート)および(ii)活性な水素末端を有する着色剤を含む反応剤混合物の反応の生成物であり得る。ある実施形態において、反応混合物はさらに、鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤を含み得る。反応剤混合物は、ある実施形態においては、内部界面活性剤をさらに含み得る。
【0028】
コーティングにおいて用いられるプレポリマー、ポリマーまたは樹脂は、あらゆる適切な方法により製造され得る。上記した通り、プレポリマー、ポリマーまたは樹脂は、イソシアナート(例えばポリイソシアナート)および活性な水素末端を有する着色剤、並びに所望される場合には内部界面活性剤、ポリオール、および鎖延長剤の1種以上の反応により製造され得る。反応剤混合物中に存在する化合物は、いずれもの適切な条件下、例えばイソシアナート基と、着色剤に存在する活性な水素基、内部界面活性剤(存在する場合)、ポリオール(存在する場合)、および鎖延長剤(存在する場合)との反応を通じてポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを生成する、従来技術において知られる条件下で反応し得る。例えば、内部界面活性剤が用いられるある実施形態において、イソシアナート、活性な水素末端を有する着色剤、および内部界面活性剤全てを、適切な反応媒体中で互いに混合し、適切な条件下で反応させてポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを生成する。このようなプロセスにおいて、生じるポリウレタンポリマーまたはプレポリマーは、おそらく、イソシアナートと活性な水素末端を有する着色剤との反応、およびイソシアナートと内部界面活性剤との反応から生じるモノマーのランダムな配列からなっているであろう。当業者により理解され得ることだが、ポリウレタンポリマーまたはプレポリマーのポリマー鎖におけるこれらのモノマーの配列は、全ての反応剤が同時に反応剤混合物中に存在し、各モノマーを生成するのに必要な反応は同程度に(または少なくともほぼ同様に)起こるという事実のために、ランダムな配列であろう。つまり、生じるポリマーまたはプレポリマーは、反応剤混合物中で起こるランダムな反応から生じるこれらのモノマーのランダムな配列を含み得る。ある場合により好ましい実施形態において、いくつかの分子のイソシアナートと活性な水素末端を有する着色剤との反応により生成する異なる部位と、いくつかの分子のイソシアナートと内部界面活性剤との反応により生成する異なる部位またはブロックとを含むポリマーまたはプレポリマーを生成することが有益であり得る。このようなポリマーまたはプレポリマーは、例えば、イソシアナートと活性な水素末端を有する着色剤をまず反応させてポリマー中間体を生成した後、このポリマー中間体と内部界面活性剤とを反応させてポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを生成することにより生成し得る。あるいは、イソシアナートと内部界面活性剤とをまず反応させた後、生じたポリマー中間体を活性な水素末端を有する着色剤と反応させることができる。反応剤は上記した所望のプロセス中において順次に加えられるため、生じるポリマーまたはプレポリマーは、連続する反応のそれぞれから生じるモノマーのブロックまたはセグメントを含み得る。
【0029】
コーティングにおける使用に適したプレポリマー、ポリマーまたは樹脂を、いずれもの適切なポリオールを用いて生成することができる。適切なポリオールは、限定されないが、低分子量のグリコール、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、および1,6−ヘキサメチレングリコール;二塩基酸、例えばアジピン酸、マレイン酸、およびテレフタル酸から得られるポリエステルジオール;ポリエステルジオール、例えばラクトンを、グリコールを用いる開環重合に供することにより得られるポリアセトン;ポリカルボナートジオール;およびポリエーテルジオール、例えばポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールを含む。
【0030】
コーティングにおける使用に適するプレポリマー、ポリマーまたは樹脂を、いずれもの適切なイソシアナートを用いて生成することができる。適切なイソシアナートは、限定されないが、芳香族ジイソシアナート、例えばトルエン−2,4−ジイソシアナート(TDI)、トルエン−2,4−ジイソシアナートおよびトルエン−2,6−ジイソシアナートの混合物、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアナート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアナート、4−クロロ−1,3−フェニレンジイソシアナート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアナート、2,4−ジイソシアナートジフェニルエーテル、4,4’−メチレンビス(フェニル−イソシアナート)(MDI)、2,4’−メチレンビス(フェニル−イソシアナート)、4,4’−メチレンビス(フェニル−イソシアナート)および2,4’−メチレンビス(フェニル−イソシアナート)の混合物、ポリマーMDI、ジュリレン(durylene)ジイソシアナート、トリジンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアナート、ベンジジンジイソシアナート、o−ニトロベンジジンジイソシアナート、および4,4−ジイソシアナートジベンジル;脂肪族ジイソシアナート、例えばメチレンジイソシアナート、1,4−テトラメチレンジイソシアナート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、および1,10−デカメチレンジイソシアナート;脂環式ジイソシアナート、例えば1,4−シクロヘキシレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアナート、メタ−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、水素化MDI、および水素化XDI;およびいずれもの上記したジイソシアナートと、低分子量のポリオールまたはポリアミンとを、生じるプレポリマーがその末端にイソシアナート基を有するように反応させることにより得られるポリウレタンプレポリマーを含む。上記した中でも、芳香族ジイソシアナート、特にジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート(4,4’−MDI)またはポリマーMDIが、熱的安定性、溶液安定性、および破壊応力のような良好な物性を示す製品を得るためには好ましい。脂環式ジイソシアナート、例えばイソホロンが、抗黄変性質を示すポリウレタンを得るためには好ましく、日光に曝露した際にも容易に変色しない。
【0031】
上記した通り、コーティングにおける使用に適したプレポリマー、ポリマーまたは樹脂を、適切な鎖延長剤を用いて生成することができる。これらは、限定されないが、低分子量ジオール、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコール;脂肪族ジアミン、例えばエチレンジアミン;芳香族ジアミン、例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン;脂環式ジアミン、例えば4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびイソホロンジアミン;アルカノールアミン、例えばエタノールアミン;ヒドラジン;およびジヒドラジド、例えばコハク酸ジヒドラジドを含む。上記した鎖延長剤の中でも、ジアミン化合物が好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルメタンはその耐熱性のために特に好ましく、また、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンは耐光性のために好ましい。上記した鎖延長剤を、勿論のこと、単独で、またはいずれもの適切な組み合わせでも用いることができる。
【0032】
上記した通り、コーティングにおけるプレポリマー、ポリマーまたは樹脂を製造するのに用いられる反応剤混合物は、内部界面活性剤を含み得る。本明細書中で用いられる通り、「内部界面活性剤」という語は、少なくとも1つの界面活性剤基(例えばアミン基、カルボン酸基、スルホン酸基、スルホナート基、アルキレンオキシド基等)と、少なくとも1つの活性な水素含有基とを含む化合物を指すために用いられる。ある場合により好ましい実施形態において、内部界面活性剤は、界面活性剤基に加えて、2以上の活性な水素含有基を含む。当業者により理解され得るが、内部界面活性剤は、好ましくは少なくとも2つの活性な水素含有基を含み、従って、界面活性剤を、反応剤混合物に存在する双方の活性な水素含有基とイソシアナートとの反応を通じてポリウレタンポリマーまたはポリマーセグメントのポリマー鎖中に取り込むことができる。適切な内部界面活性剤は、限定されないが、スルホナートジアミン、スルホナートジオール、アミンジオール、ジヒドロキシカルボン酸、ポリエチレングリコール、およびこれらの組み合わせを含む。ある場合により好ましい実施形態において、内部界面活性剤は、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸(これは一般には、ジメチロールプロピオン酸またはDMPAとしても知られる)、N−メチルジエタノールアミン(これは一般にはMDEAとして知られる)、またはこれらの組み合わせである。
【0033】
存在する場合には、内部界面活性剤は、いずれもの適切な量の反応剤混合物を含み得る。存在する際は、内部界面活性剤は、典型的に、ポリマーを水性媒体中において分散させるに十分な数の親水性基(内部界面活性剤由来)を有するポリウレタンポリマーまたはポリマーセグメントを得るのに十分な量で、反応剤混合物中に存在する。他の成分との関連で内部界面活性剤の量があまりにも高い場合には、生じるポリマーは製造するのに高価となることがあり、および/または過剰な親水基は、分散させるよりもむしろ、水性媒体におけるポリマーを溶解させ得る。ある場合により好ましい実施形態において、内部界面活性剤の、イソシアナートおよび着色剤に対するモル比(すなわち、内部界面活性剤のモル数の、イソシアナートと活性な水素末端を有する着色剤の総モル数に対する比)は、約0.05以上、約0.1以上、約0.15以上、または約0.2以上である。典型的に、内部界面活性剤の、イソシアナートおよび着色剤に対するモル比は、約1以下、約0.80以下、約0.75以下、約0.6以下、約0.5以下、約0.45以下、または約0.4以下である。ある場合により好ましい実施形態において、内部界面活性剤の、イソシアナートおよび着色剤に対するモル比は、約0.1〜約0.5、約0.15〜約0.45、約0.2〜約0.45、または約0.2〜約0.40である。
【0034】
他の樹脂またはポリマーを、上記したプレポリマー、ポリマーまたは樹脂と組み合わせて用いることができる。つまり、ある実施形態において、コーティングは、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルアセタート、ポリアクリル酸、アルキルポリアクリラート、ポリメタクリル酸、アルキルポリメタクリラート、およびこれらのコポリマーから成る群から選択される1種以上のポリマーまたは樹脂を含み得る。
【0035】
コーティングにおける着色剤はいずれもの適切な活性な水素末端を有する着色剤であり、ポリマー着色剤を含む。本明細書中で用いられる通り、「活性な水素末端を有する着色剤」という語は、発色団と、発色団に結合した活性な水素末端を有する成分とを含む着色剤を指すのに用いられる。活性な水素末端を有する成分は、発色団に、いずれもの適切な手段、例えば共有結合、イオン結合、または適切な静電相互作用により結合することができる。「活性な水素」という語は、炭素よりもより電気陰性である原子に結合される水素原子を指すために本明細書中では用いられる。適切な活性な水素末端を有する基は、限定されないが、ヒドロキシ基、アミン基、アミド基、およびスルフヒドリル基(例えばチオール)を含む。適切な活性な水素末端を有する着色剤は、少なくとも1つの活性な水素末端を有する基を含む。好ましくは、活性な水素末端を有する着色剤は、少なくとも2つの活性な水素末端を有する基を含み、これらは、活性な水素末端を有する基とイソシアナートとの反応を通じて、着色剤分子をポリマー鎖に取り込むことを可能にする。
【0036】
本明細書中で用いられる「ポリマー着色剤」という語は、発色団と、発色団に結合したオリゴマー成分とを含む着色剤を指す。オリゴマー成分は、発色団に、いずれもの適切な手段、例えば共有結合、イオン結合、または適切な静電相互作用による結合され得る。オリゴマー成分はいずれもの適切な式量を有し得る。オリゴマー成分に関して本明細書中で用いられる通り、「式量」という語は、ポリマー着色剤の1モル当たりのオリゴマー成分の重量(グラム)を指す。言い換えれば、オリゴマー成分の「式量」は、オリゴマー成分に起因し得るポリマー着色剤の分子量の割合を指す(残部は、発色団およびここに結合しているいずれもの基に起因し得る)。典型的に、オリゴマー成分は約40以上の式量を有する。オリゴマー成分は、典型的に、約3,000以下の式量を有する。ある場合により好ましい実施形態において、オリゴマー成分は約40〜約3,000の式量を有する。
【0037】
適切な活性な水素末端を有する着色剤は、限定されないが、以下の構造(I)または構造(III)に適合する活性な水素末端を有する着色剤を含む。
【化13】

【化14】

【0038】
構造(I)において、R1またはR1−[E]mは有機発色団を示す。Eは、窒素、酸素、硫黄、スルフィット基、スルホンアミド基、およびカルボキシル基から成る群から選択される架橋部位である。また、nおよびmは、独立して、1〜5の整数から成る群から選択される。構造(III)において、R4またはR4(G)hは有機発色団を示す。Gは、SO3-(スルフィットアニオン)、およびCO2-(カルボキシラートアニオン)から成る群から選択される。各R5は、独立して、水素、アルキル基、およびアリール基から成る群から選択され、並びにMは、窒素原子およびリン原子から成る群から選択される。また、hは1〜4の整数であり、kは、0〜5の整数であり、およびjは、1〜6の整数である。Mが窒素原子である場合には、kおよびjの合計は4であり、Mがリン原子である場合には、kおよびjの合計は6である。
【0039】
構造(I)および(III)のそれぞれにおいて、Xは、水素、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、アミン基、アルキル基、アリール基、アルキルエステル基、アリールエステル基、有機スルホナート基、有機スルファート基、およびアミド基から成る群から独立して選択される末端基である。また、構造における各Zは、C1−C20アルキル部位(例えば、C2−C10アルキル部位)、アリール部位、アルコキシル部位、およびオリゴマー成分から成る群から独立して選択される二価の有機部位である。適切なオリゴマー成分は、(i)C2−C20アルキレンオキシ基、グリシドール基およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー、(ii)構造(II)
【化15】

【0040】
に適合する脂肪族オリゴマーエステル、および(iii)(i)および(ii)の組み合わせ、から成る群から独立して選択される。構造(II)において、R2およびR3は、独立して、水素およびC1−C10アルキル基から成る群から選択され、fは1〜10の整数であり、およびgは、1〜20のうちのいずれもの正の整数または分数である。当業者には理解され得ることだが、個々の着色剤分子におけるオリゴマー成分の長さは変化し得るために、gについての適切な値は整数および分数の双方を含む。つまり、gについての値は、所定のサンプルまたは着色剤分子のコレクションについてのエステル鎖の平均長さを示す。
【0041】
式(I)に適合する適切な活性な水素末端を有する着色剤の例は、メチンベースの着色剤、例えば、構造(IV)
【化16】

【0042】
に適合する着色剤を含む。
【0043】
構造(IV)において、R6は、水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、および上記した構造−Z−Xを有する成分から成る群から選択される。各R7は、独立して、水素、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、およびスルホンアミド基から成る群から選択され、およびqは0〜4の整数である。R8およびR9は、独立して、水素、ハロゲン原子、第三級アミノ基、イミン基、シアノ基、ピリジニウム基、エステル基、アミド基、スルファート基、スルホナート基、スルフィド基、スルホキシド基、ホスフィン基、ホスフィニウム(phosphinium)基、ホスファート基、ニトリル基、メルカプト基、ニトロ基、スルホン基、アシル基、アゾ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アルキルアリール基、およびアルキルアリールオキシ基から成る群から選択される。−Z−X成分(または1つを超えて存在する場合には少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。
【0044】
本発明における使用に適したメチンベースの活性な水素末端を有する着色剤のより具体的な例は、構造(IX)
【化17】

【0045】
に適合する活性な水素末端を有する着色剤を含む。
【0046】
構造(IX)において、R26は、シアノ基、ニトロ基、アルキルカルボニル基、アリールアルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールアルコキシカルボニル基、アミド基、およびアルキルアミド基から成る群から選択される。R27は、水素、C1−C20アルキル基、およびC7−C20アリールアルキル基から成る群から選択される。R28は、水素、C1−C20アルキル基、アリール基、C7−C20アリールアルキル基、C7−C20アルキルアリール基、および上記した構造−Z−Xを有する成分から成る群から選択される。−Z−X成分(または、1つを超えて存在する場合には、少なく主1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。構造(IX)に適合するメチンベースの着色剤のある場合により好ましい実施形態において、R26はシアノ基またはC1−C10アルキルカルボニル基であり、R27は水素またはメチル基であり、R28は、構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分であり、およびZは、C2−C10アルキル部位、並びにC2−C20アルキレンオキシ基(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド)、グリシドール基およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー成分、から成る群から選択される二価の有機部位である。ある場合により好ましい実施形態において、メチンベースの着色剤は、以下の構造(XVII)
【化18】

【0047】
に適合する。
【0048】
構造(I)に適合する適切な活性な水素末端を有する着色剤の他の例は、アゾベースの着色剤、例えば式(V)
【化19】

【0049】
に適合する着色剤を含む。
【0050】
構造(V)において、R10は、水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、および構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。各R11は、独立して、水素、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、アミド基、およびスルホンアミド基から成る群から選択され、およびqは0〜4の整数である。R12は、芳香族基およびヘテロ原子含有芳香族基から成る群から選択される。Qは水素、または酸素、硫黄、カルボニル基、スルホニル基、置換および無置換の1,3−ベンゾチアゾール基、C1−C8アルキル基、C2−C8アルケン基、p−フェニレンジアミン基、m−ヒドロキシベンゼン基、およびm−ジ(C1−C4)アルコキシベンゼン基から成る群から選択される架橋基であり、rは1または2である。−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。
【0051】
皮革製品における使用に適するアゾベースの活性な水素末端を有する着色剤のより具体的な例は、構造(X)
【化20】

【0052】
に適合する活性な水素末端を有する着色剤を含む。
【0053】
構造(X)において、R29は、芳香族基、ヘテロ原子含有芳香族基、置換および無置換1,3−ベンゾチアゾール基、並びに置換および無置換1,2−ベンズイソチアゾール基(例えば、ベンズイソチアゾオール基の3位によりアゾ基に結合している置換および無置換の1,2−ベンズイソチアゾール基)から成る群から選択される。R30は、水素、C1−C20アルキル基、およびC7−C20アリールアルキル基から成る群から選択される。R31は、水素、C1−C20アルキル基、アリール基、C7−C20アリールアルキル基、C7−C20アルキルアリール基、および構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。構造(X)に適合するアゾベースの着色剤のある場合により好ましい実施形態において、R29は芳香族基またはヘテロ原子含有芳香族基であり、R30は水素またはメチル基であり、R31は構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分であり、およびZは、C2−C10アルキル部位、並びにC2−C20アルキレンオキシ基(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド)、グリシドール基およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー成分、から成る群から選択される二価の有機部位である。ある場合により好ましい実施形態において、アゾベースの活性な水素末端を有する着色剤は、以下の構造(XVIII)
【化21】

【0054】
に適合する。
【0055】
皮革製品における使用に適したアゾベースの着色剤は、構造(XI)
【化22】

【0056】
に適合するもののようなビスアゾベースの着色剤を含む。
【0057】
構造(XI)において、Wは架橋基であり、酸素、硫黄、スルホン基、カルボニル基、C1−C8アルキル基、C2−C8アルキレン基、およびp−フェニレンジアミンから成る群から選択される。R32は、水素、C1−C20アルキル基、およびC7−C20アリールアルキル基から成る群から選択される。R33は、水素、C1−C20アルキル基、アリール基、C7−C20アリールアルキル基、C7−C20アルキルアリール基、および構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。構造(XI)に適合するビスアゾベースの着色剤のある場合により好ましい実施形態において、Wはスルホン基であり、R32は水素またはメチル基であり、R33は構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する着色剤であり、およびZは、C2−C10アルキル部位、並びにC2−C20アルキレンオキシ基(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド)、グリシドール基およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー成分、から成る群から選択される二価の有機部位である。ある場合により好ましい実施形態において、ビスアゾベースの活性な水素末端を有する着色剤は、構造(XIX)
【化23】

【0058】
に適合する。
【0059】
構造(I)に適合する適切な活性な水素末端を有する着色剤は、また、トリフェニルメタンベースの着色剤、例えば構造(VI)
【化24】

【0060】
に適合する着色剤を含む。
【0061】
13は、水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、および上記した構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。R14は、水素、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、およびアリールアミノ基から成る群から選択される。R15は、水素、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、スルフィット基およびスルホンアミド基から成る群から選択され、および各qは0〜4の整数である。−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。
【0062】
本発明における使用に適したトリフェニルメタンベースの活性な水素末端を有する着色剤のより具体的な例は、構造(XII)
【化25】

【0063】
に適合する活性な水素末端を有する着色剤を含む。
【0064】
構造(XII)において、R35は、水素、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基およびアリールアミノ基から成る群から選択される。R34は、水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、および構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。あるいは、R35はR34と結合して環を形成することができる。構造(XII)に適合するトリフェニルメタンベースの着色剤のある場合により好ましい実施形態において、R35は水素であり、R34は構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分であり、およびZは、C2−C10アルキル部位、並びにC2−C20アルキレンオキシ基(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド)、グリシドール基およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー成分、から成る群から選択される二価の有機部位である。ある場合により好ましい実施形態において、トリフェニルメタンベースの活性な水素末端を有する着色剤は、以下の構造(XX)
【化26】

【0065】
に適合する。
【0066】
構造(I)に適合する適切な活性な水素末端を有する着色剤は、さらに、ベンゾジフラノンベースの着色剤、例えば構造(VII)
【化27】

【0067】
に適合する着色剤を含む。
【0068】
構造(VII)において、Yは、酸素、硫黄、および−NR40を有する基から成る群から選択され、ここで、R40は、水素、アルキル基およびアリール基から成る群から選択される。R16およびR17は、独立して、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基およびアルコキシ基から成る群から選択される。R18、R19、R20、R21、およびR22は、独立して、水素、ハロゲン原子、C1−C20アルキル基、C1−C20アルキルエステル基、ヒドロキシル基、チオ基、シアノ基、スルホニル基、スルホ基、スルファト基、アリール基、ニトロ基、カルボキシル基、C1−C20アルコキシ基、C1−C20アルキルアミノ基、アシルアミノ基、C1−C20アルキルチオ基、C1−C20アルキルスルホニル基、C1−C20アルキルフェニル基、ホスホニル基、C1−C20アルキルホスホニル基、C1−C20アルコキシカルボニル基、フェニルチオ基、および上記した構造−E−(Z−X)nを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。R18、R19、R20、R21およびR22のうちの少なくとも1つは、構造−E−(Z−X)nを有する活性な水素末端を有する成分であり、−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。
【0069】
本発明における使用に適したベンゾジフラノンベースの活性な水素末端を有する着色剤のより具体的な例は、構造(XII)
【化28】

【0070】
に適合する、活性な水素末端を有する着色剤を含む。
【0071】
構造(XIII)において、R36は、水素、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、および構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。R37は、水素、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルアミノ基、および構造R41−C(O)−NH−を有する基から成る群から選択され、ここで、R41は、水素、アルキル基およびアリール基から成る群から選択される。−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。構造(XIII)に適合するベンゾジフラノンベースの着色剤のある場合により好ましい実施形態において、R37は水素またはメチル基であり、R36は、構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分であり、およびZは、C2−C10アルキル部位、並びにC2−C20アルキレンオキシ基(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド)、グリシドール基およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー成分、から成る群から選択される二価の有機部位である。ある場合により好ましい実施形態において、ベンゾジフラノンベースの、活性な水素末端を有する着色剤は、以下の式(XXI)
【化29】

【0072】
に適合する。
【0073】
構造(XXI)において、Yは、酸素、硫黄、および−NR40を有する基から成る群から選択され、ここで、R40は、水素、アルキル基およびアリール基から成る群から選択される。R37は水素またはメチル基である。
【0074】
構造(I)に適合する、適切な活性な水素末端を有する着色剤の他の例は、アントラキノンベースの着色剤、例えば構造(VIII)
【化30】

【0075】
に適合する着色剤を含む。
【0076】
構造(VIII)において、R23は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミン基、ニトロ基およびアセトアミド基から成る群から選択される。R24およびR25は、独立して、水素およびヒドロキシル基から成る群から選択され、並びにAは、アルキル基およびアリール基から成る群から選択される。Bは、構造(XV)および構造(XVI)
【化31】

【0077】
に適合する基から成る群から選択される。
【0078】
構造(XV)において、R38は、水素、C1−C18アルキル基およびアリール基から成る群から選択される。構造(XVI)において、R39は、アリール基、および構造−A−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。
【0079】
本発明における使用に適した、アントラキノンベースの、活性な水素末端を有する着色剤のより具体的な例は、構造(XIV)
【化32】

【0080】
に適合する活性な水素末端を有する着色剤を含む。
【0081】
構造(XIV)において、Aはアルキル基およびアリール基から成る群から選択され、並びにBは、構造(XV)および構造(XVI)
【化33】

【0082】
に適合する基から成る群から選択される。
【0083】
構造(XV)において、R38は、水素、C1−C18アルキル基およびアリール基から成る群から選択される。構造(XVI)において、R39は、アリール基、および−A−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。構造(XIV)に適合するある場合により好ましい着色剤において、Aは、アルキル基およびアリール基から成る群から選択され、並びにBは、構造−NH−R39を有する基である。−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。
【0084】
構造(I)に適合する、適切な活性な水素末端を有する着色剤の他の例は、アントラキノンベースの着色剤、例えば構造(XXIII)
【化34】

【0085】
に適合する着色剤を含む。
【0086】
構造(XXIII)において、R50は、水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミン基、ニトロ基おおよびアセトアミド基から成る群から選択される。R51およびR52は、独立して、水素およびヒドロキシル基から成る群から選択され、並びに−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。Bは、構造(XV)および構造(XXIV)
【化35】

【0087】
に適合する基から成る群から選択される。
【0088】
構造(XV)において、R38は、水素、C1−C18アルキル基およびアリール基から成る群から選択される。構造(XVI)において、R53は、アリール基、および上記した構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。
【0089】
本発明における使用に適した、アントラキノンベースの、活性な水素末端を有する着色剤のより具体的な例は、構造(XXV)
【化36】

【0090】
に適合する、活性な水素末端を有する着色剤を含む。
【0091】
構造(XIV)において、Bは、構造(XV)および構造(XXIV)
【化37】

【0092】
に適合する基から成る群から選択される。
【0093】
構造(XV)において、R38は、水素、C1−C18アルキル基、およびアリール基から成る群から選択される。構造(XVI)において、R53は、アリール基、および構造−Z−Xを有する活性な水素末端を有する成分から成る群から選択される。構造(XIV)における−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。構造(XIV)に適合する、ある場合により好ましい着色剤において、Bは、構造−NH−R53を有する基であり、およびZは、C2−C10アルキル部位から成る群から選択される二価の有機部位である。ある場合により好ましい実施形態において、アントラキノンベースの着色剤は、以下の構造(XXII)
【化38】

【0094】
に適合し、ここで、R42は、水素、メチル基およびエチル基から成る群から選択される。
【0095】
構造(III)に適合する、適切な活性な水素末端を有する着色剤は、フタロシアニンベースのポリマー着色剤を含み、ここで、R4は金属フタロシアニン誘導体である。構造(III)に適合するポリマー着色剤の、ある場合により好ましい実施形態において、R4は銅フタロシアニン発色団であり、Gはスルフィット基、h、jおよびkは2、R5はC1−C20アルキル基であり、Mは窒素であり、および−Z−X成分(または、1を超えて存在する場合には、少なくとも1つの−Z−X成分)は、ヒドロキシル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる。ある場合により好ましい実施形態において、Zは上記したオリゴマー成分、例えばC2−C20アルキレンオキシ基(例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド)、グリシドール基およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー成分である。
【0096】
適切な活性な水素末端を有する着色剤の選択は、いくつかのファクタに基づき得る。例えば、着色されたポリウレタンプレポリマー、ポリマーまたは樹脂を製造するために、活性な水素末端を有する着色剤を用いる場合には、着色剤における末端の活性な水素は適切なイソシアナート含有化合物と反応することができ、これにより、着色されたプレポリマー、ポリマーまたは樹脂が生成する。続いて、この着色されたプレポリマー、ポリマーまたは樹脂はさらに反応して、本発明によって、コーティングされた基材(例えば着色された皮革製品)を生じる。
【0097】
コーティングされた基材(例えば、着色された皮革製品)を製造するために、ポリウレタン樹脂溶液または分散体を用いる場合には、活性な水素末端を有する着色剤(例えば、ポリマー着色剤)と樹脂との相容性は、活性な水素末端基の反応性よりも一層重要である。言い換えれば、活性な水素末端を有する着色剤(例えば、ポリマー着色剤)は、基材のコーティングのポリマーまたは樹脂において単に分散されている際には、末端基Xは、活性な水素末端を有する着色剤(例えば、ポリマー着色剤)の作用に関して決定的に重要であるとは考えられない。
【0098】
活性な水素末端を有する着色剤は、本発明の反応剤混合物またはコーティングされた基材(例えば、皮革製品)中に、いずれもの適切な量(例えば、反応剤混合物の重量に基づいて約1〜約75重量%)で存在し得る。一般的に、着色されたポリウレタンプレポリマー若しくは樹脂、またはコーティングされた基材(例えば、皮革製品)に用いられる、活性な水素末端を有する着色剤の量は、所望の色合いおよび色の深みに依存する。他のファクタは、他の着色剤、例えば色素および/または顔料を用いるか否かということを含み得る。ポリウレタンプレポリマーまたは樹脂を生成するために用いられる場合には、イソシアナート/活性な水素末端を有する着色剤からのOHのモル比は、(用いる場合には)ポリオールの添加量を調節するために考慮に入れる必要がある。というのは、活性な水素末端を有する着色剤はヒドロキシル基を含有するからである。考慮する他のファクタは、活性な水素末端を有する着色剤が、基層に用いられるか、またはスキン塗層に用いられるかである。用いられる、活性な水素末端を有する着色剤の量は、特定の重量範囲には限定されない。しかしながら、着色されたポリウレタンプレポリマーまたは樹脂を生成するには、生成するプレポリマーまたは樹脂の、目的とする色合い若しくは色の深み、または物理的特性の必要に応じて、活性な水素末端を有する着色剤を約0.01〜60重量%の量で用いることができ、また、約0.1〜約15重量%の範囲で用いてもよい。ある場合により好ましい実施形態において、プレポリマーまたは樹脂を生成するために用いられる、活性な水素末端を有する着色剤の量は、コーティングにおけるプレポリマーまたは樹脂を生成するために用いられるイソシアナートのものと同じか、それ未満のモル当量の(着色剤からの)活性な水素を提供するのに十分な量であり得る。
【0099】
ある場合により好ましい実施形態において、活性な水素末端を有する着色剤は、反応剤混合物の、約5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、または約45重量%以上(例えば、約50重量%以上)を構成する。本明細書中で用いられる際には、反応剤混合物の「重量」とは、反応剤混合物における、イソシアナート、着色剤、(存在する場合に)内部界面活性剤、(存在する場合に)ポリオール、および(存在する場合に)鎖延長剤の総重量を指す。つまり、反応剤混合物の重量とは、そこに含まれる反応剤の総重量を指し、その中に反応剤を含む溶媒または他の反応媒体の重量は含まない。典型的には、活性な水素末端を有する着色剤は、反応剤混合物の、約75重量%以下、約70重量%以下、または約65重量%以下を構成する。ある場合により好ましい実施形態において、活性な水素末端を有する着色剤は、反応剤混合物の、約5〜約75重量%(例えば、約5〜約70重量%、または約5〜約65重量%)、約10〜約75重量%、約15〜約75重量%、または約20〜約75重量%を構成する。ある他の場合により好ましい実施形態において、活性な水素末端を有する着色剤は、反応剤混合物の、約25〜約75重量%、約30〜約75重量%、約40〜約70重量%、または約45〜約65重量%(例えば、約50〜約65重量%、または約50〜約60重量%)を構成する。
【0100】
ある実施形態において、活性な水素末端を有する着色剤(例えば、ポリマー着色剤)のオリゴマー鎖またはポリマー鎖の柔軟性を、殆どのあらゆるポリマー樹脂およびプレポリマーと相容し得るように設計しまたは改変することができ、従って、ポリウレタン/ポリウレア樹脂若しくはプレポリマー、および/またはコーティングされた基材(例えば、着色された皮革製品)についての所望の物理的性質または化学的性質を達成するために、ポリウレタン/ポリウレア樹脂と共に用いられる他の弾性ポリマーを生成するために選択されるイソシアナートおよびポリオールの幅広い選択を可能とする。活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)を含有するコーティングされた基材(例えば、着色された皮革製品)は、一般的に、例えば、コーティングされた基材を作製するのに用いられ得る剥離紙への低い滲みおよび移染を示すか、これらを示さない。いずれもの特定の理論に拘束されることを望まないが、このことは、用いられる着色剤とポリマー若しくは樹脂との間の相容性か、またはプレポリマー、ポリマー若しくは樹脂のポリマー鎖への活性な水素末端を有する着色剤の取り込み(例えば、着色剤における活性な水素末端を有する成分の少なくとも一部と、プレポリマー、ポリマーまたは樹脂の調製において用いられるイソシアナートとの反応によるもの)のいずれかに起因すると考えられる。ある活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)の液体またはペースト性は、コーティングされた基材(例えば、合成皮革)を製造するのに典型的に用いられる顔料のような、大量の固体を取り扱うことに関連する問題を省くことにより、コーティングされた基材(例えば、着色された合成皮革)の製造工程を促進することもできる。染料または顔料を用いた場合に必要とされる混合時間と比較して、ポリマー着色剤の液体またはペースト性、および樹脂との相容性は、着色剤と樹脂またはプレポリマーとを十分に混合するために必要とされる時間を短くすることもできる。
【0101】
着色されたプレポリマーまたは樹脂を製造するために、イソシアナートおよび(必要な場合には)鎖延長剤および/またはポリオールを伴う着色剤の取り込みを促進するためには、活性な水素末端を有する着色剤は、典型的には、液体の形態で提供される。典型的な処理条件において固体である活性な水素末端を有する着色剤については、着色剤を、適切な溶媒、例えばジメチルホルムアミド、トルエン、およびこれらの混合物(例えば、トルエンおよびイソプロピルアルコールの混合物)中での着色剤の溶液または分散体として提供することができる。
【0102】
ポリマー着色剤の固有の特性、例えば、液体またはペースト性、およびポリマー着色剤同士の相容性は、外部の溶媒を用いる必要なく、複数の異なるポリマー着色剤を複数の異なる量で自由に配合することを可能とする。ポリマー着色剤を自由に配合する能力は、殆どのあらゆる所望の色合いを生じることを可能とし、これは、他に、一般的な染料または顔料を用いては達成することが極めて困難である。つまり、例えば、たった5つのポリマー着色剤、例えば黄色の着色剤、オレンジ色の着色剤、赤色の着色剤、紫色の着色剤、および青色着色剤を用いることにより、一般的な染料および/または顔料を用いて生じるものよりも、より幅広い色空間を達成することができる。例えば、1つの計画において、コーティングされた基材(例えば、合成皮革製品)について幅広い種類の所望の色合いを生じるために、コーティングされた基材(例えば合成皮革)の製造業者は、標準的な5色の異なるポリマー着色剤を必要とするのみである。つまり、ポリマー着色剤の固有の特性は、本発明によりコーティングされた基材(例えば、着色された合成皮革製品)が、一般的な染料および/または顔料を用いてこれまで得られていたものよりも、より幅広くおよび/またはより明るい色合いを達成することを可能にする。
【0103】
さらに、ポリマー着色剤の比較的高い水溶性は、本発明によりコーティングされた基材(例えば合成皮革製品)を製造するために用いられる製造装置が、一般的な染料および/または顔料を用いてコーティングされた基材(例えば、合成皮革)を製造するために用いられる装置と比較して、より容易に洗浄されることを可能とする。この容易な洗浄は、本発明による合成皮革製品が、一般的な染料および/または顔料を用いる一般的な製造工程と比較して、よりコスト効率のよい製造プロセスにおいて製造されることを可能とし得る。
【0104】
上記した活性な水素末端を有する着色剤に加えて、本発明のコーティングされた基材(例えば合成皮革)のコーティング中に他の着色剤を取り込んで、色合いを制御することができる。これらの着色剤は、一般的に知られる顔料および染料を含む。青色顔料の例は、限定されないが、フタロシアニンC.I.顔料ブルー15:3、およびインダンスロンC.I.顔料ブルー60を含み、赤色顔料の例は、限定されないが、キナクリドンC.I.顔料レッド122、アゾC.I.顔料レッド22、C.I.顔料レッド48:1、C.I.顔料レッド48:3、およびC.I.顔料レッド57:1を含み、黄色顔料の例は、限定されないが、アゾC.I.顔料イエロー12、C.I.顔料イエロー13、C.I.顔料イエロー14、C.I.顔料イエロー17、C.I.顔料イエロー97、C.I.顔料イエロー155、ベンゾイミダゾールオンC.I.顔料イエロー151、C.I.顔料イエロー154、およびC.I.顔料イエロー180を含み、黒色顔料の例は、限定されないが、カーボンブラックを含む。適切な染料の例は、限定されないが、油溶性染料(solvent dye)、例えばイエロー82、オレンジ5、オレンジ62、レッド8、レッド62、レッド122、ブルー70、ブラック27、およびブラック34を含む。コーティングされた基材(例えば、合成皮革製品)の製造における処理および混合を容易にするために、用いられるいずれもの顔料は、好ましくは、分散体の形態、または樹脂プレット/フレーク形態で加えられ、および用いられるいずれもの染料は、好ましくは、溶液の形態、または樹脂プレット/フレークの形態で加えられる。
【0105】
本発明のコーティングされた基材(例えば合成皮革製品)を、いずれもの適切な方法を用いて製造することができる、例えば、コーティングされた基材(例えば、合成皮革製品)を、「ダイレクトコーティングプロセス」および「トランスファーコーティングプロセス」、または「乾式」および「湿式」方法の双方を用いて製造することができる。2成分テクノロジーにおいて、活性な水素末端を有する着色剤を、鎖延長剤および/またはポリオールと混合して、高粘度のイソシアナート末端またはヒドロキシ末端を有するプレポリマーを形成することができる。続いて、このプレポリマーを、基材または移動基材(例えば剥離紙)上に、ドクターブレードを用いて直接コーティングして、それぞれの硬化方法により硬化させることができる。独立樹脂フィルムを製造する場合には、フィルムは、続く工程において基材(例えばテキスタイル基材)に積層させる必要がある。一般的に入手できるポリウレタンまたはポリウレア樹脂を用いる1成分テクノロジーにおいて、活性な水素末端を有する着色剤、例えばポリマー着色剤は樹脂と混合され、従って、着色剤は、樹脂のポリマー鎖中に取り込まれるというよりむしろ、樹脂内に分散または分布している。樹脂を溶媒溶液(溶媒法)の形態で用いることができ、または樹脂を、水性分散体(水性法)の形態で用いることができる。溶媒法において、着色剤は好ましくは、極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(DMF)および/またはメチルエチルケトン(MEK)中のポリウレタン溶液と十分に混合される。続いて、高粘度溶液をキャリアまたは剥離紙上に広げ、材料をオーブン乾燥して基材上に積層させて、コーティングされた基材(例えば、合成皮革製品)を形成する。水性法においては、着色剤を好ましくは、水性ポリウレタン分散体(PUD)と十分に混合して、水性エマルジョンを生じる。その後、適切な基材にエマルジョンを染みこませ、コーティングされた基材を乾燥および硬化して、コーティングされた基材(例えば合成皮革製品)を製造する。
【0106】
第1の実施形態において、本発明は、(a)ポリマー、樹脂、またはプレポリマーを提供する工程、(b)活性な水素末端を有する着色剤(例えば、ポリマー着色剤)を提供する工程、(c)活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)、およびポリマー、樹脂またはプレポリマーを混合して混合物を生じる工程、(d)工程(c)において得られた混合物を、移動基材上に塗布し、基材を加熱して基材を乾燥し、その上に樹脂コーティングを形成する工程、(e)接着剤を、工程(d)において形成した樹脂コーティング上に塗布する工程、(f)裏基材を、工程(e)において形成した接着層に貼り付ける工程、(g)工程(f)において製造したアセンブリを加熱してアセンブリを乾燥し、裏基材を接着層に接着させる工程、および(h)移動基材を、(g)において製造されたアセンブリから剥がして、コーティングされた基材(例えば合成皮革製品)を製造する工程を含む、コーティングされた基材(例えば合成皮革製品)を製造するための方法を提供する。
【0107】
第1の方法の実施形態において用いられる基材、ポリマー、樹脂、プレポリマー、および/または活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)は、いずれもの適切な基材、ポリマー、樹脂、プレポリマー、および/または活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)であってよく、本発明によるコーティングされた基材(例えば合成皮革製品)に関して上記したものを含む。第1の方法の実施形態において用いられる移動基材は、その上での樹脂コーティングの形成を可能にすると同時に、さらに、樹脂コーティングがその基材から、コーティングにダメージを与えることなく剥離されることを可能にするいずれもの基材であり得る。適切な移動基材は、限定されないが、剥離紙、例えばシリコーン処理された鏡面剥離紙を含む。
【0108】
第1の方法の実施形態に従って、コーティングされた基材(例えば合成皮革製品)を、例えば、メチルエチルケトン/ジメチルホルムアミド中のポリウレタン樹脂を、少なくとも1つの活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)と、および任意に他の添加剤と十分に混合することにより製造することができる。その後、混合物を剥離紙上に直接的にコーティングする。オーブン乾燥または他の乾燥プロセスにより溶媒を蒸発させて、剥離紙上に樹脂コーティングを形成した後に、接着剤の薄層を樹脂コーティング上に塗布する。その後、適切な基材を接着層に貼り付け、生じたアセンブリを加熱する。その後、剥離紙をアセンブリから剥がして、コーティングされた基材(例えば合成皮革製品)を生じる。さらに、ポリマー着色剤の使用に起因して色移りが全くないか、わずかな色移りのみであるため、剥離紙は、典型的に、用いた着色剤により変色せず、従って、再使用することができる。
【0109】
第2の方法の実施形態において、本発明は、(a)ポリマー、樹脂またはプレポリマーを提供する工程、(b)活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)を提供する工程、(c)活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)と、ポリマー、樹脂またはプレポリマーとを混合して混合物を生成する工程、(d)工程(c)において得られた混合物を裏基材に塗布する工程、(e)工程(d)において得られたコーティングされた基材を水溶液中に浸漬して、ポリマー、樹脂またはプレポリマーを硬化(cure)させて、その表面にコーティングを形成する工程、(f)水溶液から基材を取り出す工程、および(g)基材を加熱して基材を乾燥し、コーティングされた基材(例えば、合成皮革製品)を生ずる工程とを含む、コーティングされた基材(例えば、合成皮革製品)を製造するための方法を提供する。
【0110】
第2の方法の実施形態において用いられる基材、ポリマー、樹脂、プレポリマー、および/または活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)は、いずれもの適切な基材、ポリマー、樹脂、プレポリマー、および/または活性な水素末端を有する着色剤(ポリマー着色剤)であってよく、本発明によるコーティングされた基材(例えば、合成皮革製品)に関して上記したものを含む。
【0111】
第2の方法の実施形態に従って、コーティングされた基材(例えば、合成皮革製品)を、例えば、ジメチルホルムアミド中のポリウレタン樹脂またはプレポリマー溶液を、少なくとも1つの活性な水素末端を有する着色剤(例えばポリマー着色剤)と、および任意に他の添加剤と十分に混合することにより製造することができる。その後、混合物を適切な基材にコーティングし、続いてコーティングされた基材を水性媒体中に浸漬する。水性媒体中に浸漬させながら、溶媒(例えばジメチルホルムアミド)を混合物から抽出(extract)し、これは、混合物のポリマーを凝固させて、フィルムを形成させる。続いて生じた基材を乾燥して、コーティングされた基材(例えば合成皮革製品)を生じる。
【0112】
他の方法の実施形態において、コーティングされた基材(例えば皮革製品)を製造するための方法は、(a)(i)イソシアナート、(ii)鎖延長剤、ポリオールおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤、および(iii)活性な水素末端を有する着色剤の反応により生成するプレポリマーまたは樹脂を提供する工程、(b)プレポリマーまたは樹脂を移動基材に塗布して、プレポリマーのフィルムコーティングを形成する工程、(c)裏基材を、工程(b)において生成したプレポリマーまたは樹脂のフィルムコーティング上に貼り合わせる工程、(d)組み合わされた裏基材、フィルムコーティング、および移動基材を加熱して、裏基材をプレポリマーまたは樹脂のフィルムコーティングに付着させる工程、および(e)移動基材を取り除き、裏基材とその表面上のコーティングとを含む、コーティングされた基材(例えば皮革製品)を得る工程を含む。コーティングは、(i)イソシアナート、(ii)鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤、および(iii)活性な水素末端を有する着色剤の反応により生成するプレポリマーまたは樹脂を含む。
【0113】
他の実施形態において、コーティングされた基材(例えば皮革製品)を製造するための方法は、(a)(i)イソシアナート、(ii)鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤、並びに(iii)活性な水素末端を有する着色剤の反応により生成するプレポリマーまたは樹脂を提供する工程、(b)裏基材を提供する工程、(c)プレポリマーまたは樹脂を裏基材に塗布する工程、(d)工程(c)において生成したコーティングされた基材を加熱して、コーティングを裏基材の表面上に形成する工程を含み、これにより、裏基材およびその表面のコーティングを含むコーティングされた基材(例えば皮革製品)を生じる。コーティングは、(i)イソシアナート、(ii)鎖延長剤、ポリオールおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤、並びに(iii)活性な水素末端を有する着色剤の反応により生成するプレポリマーまたは樹脂を含む。このような実施形態において、プレポリマーまたは樹脂を、いずれもの適切な手段、例えばディップコーティング、スプレイコーティング等を用いて基材に塗布することができる。
【0114】
方法の実施形態において用いられる活性な水素末端を有する着色剤、イソシアナート、鎖延長剤(存在する場合)、ポリオール(存在する場合)、および基材は、いずれもの適切な、活性な水素末端を有する着色剤、イソシアナート、鎖延長剤、ポリオール、および基材であってよく、本発明によるコーティングされた基材(例えば皮革製品)に関して上記したものを含む。方法において用いられる移動基材は、その上での樹脂コーティングの形成を可能にする一方で、さらに、樹脂コーティングを基材から、コーティングにダメージを与えることなく剥離することを可能にするいずれもの基材であってよい。適切な移動基材は、限定されないが、剥離紙、例えばシリコーン処理された鏡面剥離紙を含む。
【0115】
方法の実施形態に従って、コーティングされた基材(例えば皮革製品)を、例えば、活性な水素末端を有する着色剤、1種以上の適切な鎖延長剤(所望される場合)、1種以上の適切なイソシアナート、およびポリオール(所望される場合)を、適切な媒体、例えばn−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、またはメチルエチルケトンおよびジメチルホルムアミドの組み合わせ中で十分に混合することにより生成することができる。その後混合物を反応させて、イソシアナート末端を有する、または活性な水素末端を有するプレポリマーまたは樹脂を生成し、この樹脂またはプレポリマーは、樹脂またはプレポリマーのポリマー鎖中に取り込まれている活性な水素末端を有する着色剤を有する。当業者には理解されるであろうが、活性な水素末端を有する着色剤はポリマー鎖中に、着色剤の活性な水素末端を有する成分の少なくとも一部分とイソシアナートとの反応を通じて取り込まれる。例えば、イソシアナートがポリイソシアナート(例えば、2以上のイソシアナート基を含有する化合物)である場合には、イソシアナートは複数の活性な水素末端を有する着色剤と反応することができ、これにより、着色剤分子をポリマー鎖中に結合させる。反応混合物中のイソシアナートと活性な水素末端を有する着色剤とのこの反応は繰り返して起こるため、着色剤およびイソシアナートから生じる交互のモノマーユニットを含むポリマーまたはポリマーセグメントが生成する。イソシアナートは鎖延長剤および/またはポリオール(存在する場合)と反応することができ、これは、活性な水素末端を有する着色剤および鎖延長剤および/またはポリオール(存在する場合)の「架橋」をウレタン基を通じてもたらし、プレポリマーまたは樹脂のポリマー鎖の形成をもたらす。生じたプレポリマーまたは樹脂は、典型的に、粘性の溶液または分散体の形態にあり、これは、適切な媒体(例えば、ジメチルホルムアミド、またはメチルエチルケトンおよびジメチルホルムアミドの組み合わせ)を用いてさらに希釈して、プレポリマーまたは樹脂の移動基材への塗布を促進することができる。いったん移動基材に塗布したら、溶媒/媒体をオーブン乾燥または他の乾燥プロセスにより除去して、移動基材上にプレポリマーまたは樹脂コーティングを生じる。上記した反応により生成したプレポリマーまたは樹脂を、ある場合により好ましい実施形態において、他の市販されている樹脂と組み合わせて用いることができ、基材の表面上にコーティングを形成する。適切な樹脂は、限定されないが、コーティングされた基材(例えば、皮革製品または合成皮革製品)の製造において現在用いられている、市販されているポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、アクリル酸樹脂、ウレタン−アクリル酸ハイブリッド樹脂、およびポリビニルクロリド樹脂を含む。
【0116】
本発明のコーティングされた基材を、目的の基材、例えば上記した基材のようなものに、コーティングを形成するのに適した樹脂、プレポリマーまたはポリマー、例えば本発明のコーティングされた基材の考察において上記した樹脂、プレポリマーおよびポリマーを含む分散体を塗布することにより作製することもできる。このような方法において、分散体を、いずれもの適切な手段により基材に塗布することができる。例えば、分散体を、適切なスプレイ装置(例えばロータリースプレイ機)、フローコーティング機(例えば、薄く、破損しない液体のシートを、シートを通過する基材に付着させる機械)、ロールコーティング機(例えば、液体をロールに付着させて、基材上に移す機械)、またはシーズニング機(例えば、液体を供給から回転溝付ロールにより巻上げた後、ロールから基材へと回転ブラシにより移す機械)を用いて、基材に塗布することができる。
【0117】
本発明は、また、コーティングされた基材の作製における使用に適した、ポリマーの分散体を提供する。第1の実施形態において、分散体は、(a)水性成分相、および(b)ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを含む不連続相を含む。ポリマーまたはポリマーセグメントは、(i)ポリイソシアナート、(ii)内部界面活性剤、および(iii)活性な水素末端を有する着色剤を含む反応混合物の反応の生成物であり得る。第2の実施形態において、分散体は、(a)水性成分相、および(b)ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを含む不連続相を含む。ポリマーまたはポリマーセグメントを、(i)ポリイソシアナートと、活性な水素末端を有する着色剤とを反応させて、ポリマー中間体を生成する工程、および(ii)工程(i)において生じたポリマー中間体と、内部界面活性剤とを反応させて、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを生成する工程を含む方法により製造することができる。
【0118】
分散体の不連続相中に存在するポリウレタンポリマーまたはポリマーセグメントは、いずれもの適切なポリマーまたはポリマーセグメントであってよく、例えば、本発明のコーティングされた基材におけるコーティングに関して上記した内部界面活性剤を含むものである。ポリマーまたはポリマーセグメントを、本発明のコーティングされた基材におけるコーティングに関して上記した反応剤および量を含む、いずれもの適切な反応剤をいずれもの適切な量で用いて製造することができる。
【0119】
分散体をより安定にするために、上記したポリウレタンポリマーまたはポリマーセグメントを、適切な中和剤とさらに反応させてることができ、この中和剤は、ポリマー中に存在する界面活性基を中和する。中和剤は、界面活性基の少なくとも一部と反応して、(カチオン性界面活性剤については)プロトン化、または(アニオン性界面活性剤については)脱プロトン化することができるいずれもの適切な化合物であり得る。適切な中和剤は、限定されないが、酸およびアルキルアミン、例えばトリエチルアミン、エチレンジアミン、およびこれらの組み合わせを含む。
【0120】
不連続相におけるポリウレタンポリマーまたはポリマーセグメントの分子量を、ポリマーまたはポリマーセグメントと、鎖延長剤、例えば上記したものとの反応により増加させることができる。この方法において、ポリウレタンポリマー分子におけるいずれもの過剰な、または未反応のイソシアナート基は、鎖延長剤に存在する活性な水素基と反応し、これにより鎖の長さが伸び、そして鎖延長剤が2以上の活性な水素含有基を含む場合には、いくつかのポリウレタンポリマー分子を架橋する。
【0121】
分散体の不連続相は、いずれもの適切な量の分散体を含み得る。ある場合により好ましい実施形態において、不連続相は、分散体の総重量に基づいて、約5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上(約25重量%以上)の分散体を含む。典型的に、不連続相は、分散体の総重量に基づいて、約50重量%以下、約40重量%以下、または約35重量%以下の分散体を含む。ある場合により好ましい実施形態において、不連続相は、分散体の総重量の、約15〜約50重量%、約20〜約40重量%、または約25〜約30重量%を含む。
【0122】
以下の例は、本発明をさらに説明するが、当然ながら、その範囲を決して限定するように構成されているものではない。
【0123】
例1
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。70部(0.14モル)の、500の分子量および225のOH数を有するFomrez(登録商標)ポリエステルポリオール(Witcoから市販)、48部(0.04モル)のMillijet(登録商標)Red17ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、30abs./g/Lの明度にまで希釈したもの、32部(0.36モル)の1,4−ブチレングリコール、および374部のジメチルホルムアミド(DMF)を、還流冷却器、メカニカルスターラー、およびサーモコントローラを備えた3つ首フラスコ中に入れた。激しく撹拌しながら、136部(0.54モル)のジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナートをゆっくりと加えた。15分間撹拌した後、300部のDMFを加え、全混合物を、約90〜100℃に1.5時間加熱して、反応を完結した。続いて、生じた生成物をDMFにより希釈して、25%の固体成分を含有する、赤色の粘性ポリウレタン溶液を生じた。
【0124】
その後、赤色のポリウレタン溶液を市販されているファブリック基材に塗布して、2mmの厚さを有する基材のコーティングを形成した。4重量%のDMFを含有する水浴中に浸して30℃に5分間保ち、コーティング層を固めた。続いて、コーティングされたファブリックを温水中に、約50〜60℃において40分間浸してDMFを抽出し、スクィーズして、100℃で20分間乾燥した。赤色の合成皮革を得た。
【0125】
例2
本例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。赤色ポリマー着色剤を、60部のMillijet(登録商標)Violet82ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、24abs./g/Lの明度にまで希釈したものと置き換えることを除いては、例1の手法を繰り返した。このプロセスは、紫色の合成皮革を生じた。
【0126】
例3
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。Fomrez(登録商標)ポリエステルポリオールを、74部のTone(登録商標)Polyol 0201ポリエステルポリオール(Dow社から市販)であって、530の分子量と210のOH数を有するものに置き換えたこと以外は、例1の手法を繰り返した。得られた赤色のポリウレタン溶液は25%の固体含有量を有し、このプロセスは、赤色の合成皮革を生じた。
【0127】
例4
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。赤色ポリマー着色剤を、60部のMillijet(登録商標)Violet82ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、24abs./g/Lの明度にまで希釈したものに置き換えたこと以外は、例3の手法を繰り返した。このプロセスは、紫色の合成皮革を生じた。
【0128】
例5
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。Fomrez(登録商標)ポリエステルポリオールを、116部のTone(登録商標)Polyol 0201ポリエステルポリオール(Dow社から市販)であって、830の分子量と135のOH数を有するものに置き換えたこと以外は、例1の手法を繰り返した。得られた赤色のポリウレタン溶液は25%の固体含有量を有し、このプロセスは、赤色の合成皮革を生じた。
【0129】
例6
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。70部(0.14モル)のFomrez(登録商標)ポリエステルポリオール(Witcoから市販)であって、500の分子量および225のOH数を有するもの、48部(0.04モル)のMilijet(登録商標)Red17ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、30abs./g/Lの明度にまで希釈したもの、32部(0.36モル)の1,4−ブチレングリコール、および374部のジメチルホルムアミド(DMF)を、還流冷却器、メカニカルスターラー、およびサーモコントローラを備えた3つ首フラスコ中に入れた。激しく撹拌しながら、152部(0.61モル)のジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナートをゆっくりと加えた([NCO]/[OH]比は1.12)。15分間撹拌した後、300部のDMFを加え、全混合物を、約90〜100℃に1.5時間加熱して、反応を完結した。続いて、生じた生成物をDMFにより希釈して、25%の固体成分および12.2%(モル濃度)の過剰の遊離のイソシアナートを含有する、赤色の粘性ポリウレタン溶液を生じた。
【0130】
合成皮革製品を製造するための第1の方法において、赤色のポリウレタン樹脂/プレポリマー溶液を、市販のシリコーン処理された鏡面の剥離紙上に直接塗布して、約15ミクロンの厚さを有するフィルムコーティングを形成した。続いて、1mmの厚さを有する市販の裏基材(80ミクロンの厚さ、および片面に含浸/コーティングして固めたポリウレタンエラストマーを有する不織繊維シート)を、このフィルムコーティング上にプレスし/付着させた。その後、アセンブリをオーブン中で約120℃の温度にまで加熱し、この温度に3分間保った。続いてアセンブリをオーブンから取り出し、室温にまで冷却して、その後剥離紙をアセンブリから剥がした。こうして、赤色のスキン層を有する合成皮革製品が得られた。さらに、剥離紙については目視できる赤色は認められず、これは、赤色着色剤は、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0131】
合成皮革製品を製造するための第2の方法において、赤色ポリウレタン樹脂/プレポリマー溶液を、市販のファブリック基材に塗布して、2mmの厚さを有するフィルムコーティングを形成した。続いて、コーティングされた基材を、4重量%のDMFを含有する水浴中に浸し、30℃に5分間保って、コーティング層を固めた。その後、コーティングされたファブリックを温水中に50〜60℃で40分間浸してDMFを抽出し、スクィーズして、100℃で20分間乾燥した。赤色の合成皮革を得た。
【0132】
例7
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。Fomrez(登録商標)ポリエステルポリオールを、74部のTone(登録商標)Polyol 0201ポリエステルポリオール(Dow社から市販)であって、530の分子量と210のOH数を有するものに置き換えたこと以外は、例6の手法に従った。25%の固体含有量および12.2%(モル濃度)の過剰の遊離イソシアナートを含有する、赤色の粘性ポリウレタン樹脂/プレポリマー溶液が得られた。
【0133】
続いて、生じたポリウレタン樹脂/プレポリマー溶液を用いて、例6において記載した第1および第2の方法に従って、赤色の合成皮革製品を製造した。例6において記載した第1の方法と同じく、合成皮革製品を製造するために用いた剥離紙は、色移りの目視できる徴候を示さなかった。
【0134】
例8
本例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。Fomrez(登録商標)ポリエステルポリオールを、116部のTone(登録商標)Polyol 0201ポリエステルポリオール(Dow社から市販)であって、830の分子量と135のOH数を有するものに置き換えたこと以外は、例6の手法に従った。25%の固体含有量および12.2%(モル濃度)の過剰の遊離イソシアナートを含有する、赤色の粘性ポリウレタン樹脂/プレポリマー溶液が得られた。
【0135】
続いて、生じたポリウレタン樹脂/プレポリマー溶液を用いて、例6において記載した第1および第2の方法に従って、赤色の合成皮革製品を製造した。例6において記載した第1の方法と同じく、合成皮革製品を製造するために用いた剥離紙は、色移りの目視できる徴候を示さなかった。
【0136】
例9
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。74部(0.14モル)のTone(登録商標)0201ポリエステルポリオール(DOWから市販)であって、530の分子量と210のOH数を有するもの、48部(0.04モル)のMillijet(登録商標)Red17ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、30abs./g/Lの明度にまで希釈したもの、32部(0.36モル)の1,4−ブチレングリコール、および374部のジメチルホルムアミド(DMF)を、還流冷却器、メカニカルスターラー、およびサーモコントローラを備えた3つ首フラスコ中に入れた。激しく撹拌しながら、152部(0.61モル)のジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナートをゆっくりと加えた([NCO]/[OH]比は1.12)。15分間撹拌した後、300部のDMFを加え、全混合物を、約90〜100℃に1.5時間加熱して、反応を完結した。混合物を約70℃まで冷却した後、10部のDMF中に2.2部のメタノールを含む溶液を混合物に加え、生じた混合物を約70℃の温度に20分間維持した。その後、生じた生成物をDMFにより希釈して、25%の固体含有量および6%(モル濃度)の過剰の遊離イソシアナートを含有する、赤色の粘性ポリウレタン樹脂/プレポリマーを生じた。
【0137】
続いて、赤色のポリウレタン樹脂/プレポリマー溶液を、市販のシリコーン処理された鏡面剥離紙上に直接的に塗布して、約0.15mmの厚さを有するフィルムコーティングを形成した。このコーティング層上に、1mmの厚さを有する市販の裏基材(80ミクロンの厚さ、および片面に含浸/コーティングして固めたポリウレタンエラストマーを有する不織繊維シート)をプレスし/付着させた。その後、アセンブリをオーブン中で約120℃の温度にまで加熱し、この温度に3分間保った。続いてアセンブリをオーブンから取り出し、室温にまで冷却して、その後剥離紙をアセンブリから剥がした。こうして、赤色のスキン層を有する合成皮革製品が得られた。さらに、剥離紙については目視できる赤色は認められず、これは、赤色着色剤は、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0138】
例10
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。116部(0.14モル)のTone(登録商標)0210ポリエステルポリオール(DOWから市販)であって、830の質量部と135のOH数を有するもの、48部(0.04モル)のMillijet(登録商標)Red17ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、30abs./g/Lの明度にまで希釈したもの、32部(0.36モル)の1,4−ブチレングリコール、および374部のジメチルホルムアミド(DMF)を、還流冷却器、メカニカルスターラー、およびサーモコントローラを備えた3つ首フラスコ中に入れた。激しく撹拌しながら、152部(0.61モル)のジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナートをゆっくりと加えた([NCO]/[OH]比は1.12)。15分間撹拌した後、300部のDMFを加え、全混合物を、約90〜100℃に1.5時間加熱して、反応を完結した。混合物を約70℃まで冷却した後、10部のDMF中に4.2部(0.135モル)のメタノールを含む溶液を混合物に加え、生じた混合物を約70℃の温度に20分間維持した。その後、生じた生成物をDMFにより希釈して、25%の固体含有量を含有し、過剰の遊離イソシアナートを含有しない、赤色の粘性ポリウレタン樹脂を生じた。
【0139】
続いて、赤色のポリウレタン樹脂/プレポリマー溶液を、市販のシリコーン処理された鏡面剥離紙上に直接的に塗布して、約0.15mmの厚さを有するフィルムコーティングを形成した。このコーティング層上に、1mmの厚さを有する市販の裏基材(80ミクロンの厚さ、および片面に含浸/コーティングして固めたポリウレタンエラストマーを有する不織繊維シート)をプレスし/付着させた。その後、アセンブリをオーブン中で約120℃の温度にまで加熱し、この温度に3分間保った。続いてアセンブリをオーブンから取り出し、室温にまで冷却して、その後剥離紙をアセンブリから剥がした。こうして、赤色のスキン層を有する合成皮革製品が得られた。さらに、剥離紙については目視できる赤色は認められず、これは、赤色着色剤は、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0140】
例11
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。100部のUR−1100ポリウレタン樹脂(台湾のHome Sun Industrial Co.,Ltd)であって、60,000〜100,000センチポアズの粘性およびDMF/MEK/トルエン中で29〜31%の固体含有量を有するもの、90部のメチルエチルケトン(MEK)、および0.3部のMillijet(登録商標)Yellow26ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、27abs./g/Lの明度にまで希釈したものをビーカーに入れた。生じた混合物を、メカニカルスターラーを用いて10分間激しく撹拌して、均一で、黄色の粘性ポリウレタン溶液を得た。続いて、少量のこの黄色ポリウレタン溶液を、市販のシリコン処理されたミラー効果剥離紙上に直接的に流し、0.12mmへこませた(caved)ステンレススチール圧伸成形ロッドを用いて広げ、0.12mmの厚さを有するフィルムコーティングを形成した。その後、コーティングされた剥離紙を約120℃のオーブンに入れた。約1分後、コーティングされた剥離紙をオーブンから取り出し、室温にまで冷却した。続いて、コーティングされた剥離紙を、0.5mmへこませた圧伸成形ロッドを用いて、PVC気泡樹脂溶液を用いてコーティングし、基材の表面に0.5mmのPVCフィルムを形成する。その後、生じた基材を約200℃の温度で約1分間、オーブンに入れた。オーブンからコーティングされた剥離紙を取り出し、これを室温にまで冷却した後、厚さ約0.12mmと測定された接着層を圧伸成形ロッドを用いてPVCフィルム上にコーティングした。市販のベース基材(上記したもの)を堆積したばかりの接着層に圧着させた。その後、生じたアセンブリを約120℃で約1〜3分間オーブンに入れた。アセンブリをオーブンから取り出し、室温にまで冷却させたら、剥離紙を剥がした。黄色のポリウレタンスキン層を有する合成皮革製品が得られた。さらに、剥離紙については目視できる赤色は認められず、これは、赤色着色剤は、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0141】
比較例1
黄色のポリマー着色剤を、0.3部の黄色染料溶液(30%の着色力(color strength)のC.I.Solvent Yellow82(キシレン中))と置き換えたこと以外は、黄色の合成皮革製品を、例11に記載した手法に従って製造した。剥離紙を剥がした際に、かなりの量の黄色が剥離紙に観察された。このことは、黄色染料が、合成皮革製品の製造中に剥離紙上に移染したことを示している。
【0142】
例12
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。黄色ポリマー着色剤を、0.6部のMillijet(登録商標)Orange31ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、18abs./g/Lの明度にまで希釈したものと置き換えたこと以外は、例11に記載した手法に従って、オレンジ色の合成皮革製品を製造した。例11の通り、合成皮革製品を製造した後に、剥離紙については目視できる色は認められず、これは、オレンジ色ポリマー着色剤は、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0143】
比較例2
オレンジ色のポリマー着色剤を、0.6部のオレンジ色染料溶液(30%の着色力のC.I.Solvent Orange54(キシレン/MEK中))と置き換えたこと以外は、オレンジ色の合成皮革製品を、例12に記載した手法に従って製造した。剥離紙を剥がした際に、かなりの量のオレンジ色が剥離紙に観察された。このことは、黄色染料が、合成皮革製品の製造中に剥離紙上に移染したことを示している。
【0144】
例13
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。黄色ポリマー着色剤を、0.6部のMillijet(登録商標)Red17ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、30abs./g/Lの明度にまで希釈したものと置き換えたこと以外は、例11に記載した手法に従って、赤色の合成皮革製品を製造した。剥離紙を剥がした後、わずかに赤色が剥離紙に見受けられ、これは、わずかにトレース量の赤色ポリマー着色剤が、剥離紙上に移動したということを示唆している。
【0145】
比較例3
赤色のポリマー着色剤を、0.6部の赤色染料溶液(30%の着色力のC.I.Solvent Red8(キシレン/MEK中))と置き換えたこと以外は、赤色の合成皮革製品を、例13に記載した手法に従って製造した。剥離紙を剥がした際に、かなりの量の赤色が剥離紙に観察された。このことは、赤色染料が、合成皮革製品の製造中に剥離紙上に移染したことを示している。
【0146】
例14
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。100部のUR−1100ポリウレタン樹脂(台湾のHome Sun Industrial Co.,Ltd)であって、60,000〜100,000センチポアズの粘性およびDMF/MEK/トルエン中で29〜31%の固体含有量を有するもの、90部のメチルエチルケトン(MEK)、および0.3部のMillijet(登録商標)Violet82ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、24abs./g/Lの明度にまで希釈したものをビーカーに入れた。生じた混合物を、メカニカルスターラーを用いて10分間激しく撹拌して、均一で、紫色の粘性ポリウレタン溶液を得た。続いて、少量のこの紫色ポリウレタン溶液を、市販のシリコン処理されたミラー効果剥離紙上に直接的に流し、0.12mmへこませたステンレススチール圧伸成形ロッドを用いて広げ、0.12mmの厚さを有するフィルムコーティングを形成した。その後、コーティングされた剥離紙を約120℃のオーブンに入れた。約1分後、コーティングされた剥離紙をオーブンから取り出し、室温にまで冷却した。続いて、厚さ約0.12mmと測定された接着層を同じ圧伸成形ロッドを用いてPUフィルム上にコーティングした。市販のベース基材(上記したもの)を堆積したばかりの接着層に圧着させた。その後、生じたアセンブリを約120℃で約1〜3分間オーブンに入れた。アセンブリをオーブンから取り出し、室温にまで冷却させたら、剥離紙を剥がした。紫色のポリウレタンスキン層を有する合成皮革製品が得られた。さらに、剥離紙については目視できる紫色は認められず、これは、紫色着色剤は、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0147】
例15
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。黄色ポリマー着色剤を、0.3部のMillijet(登録商標)Violet82ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、24abs./g/Lの明度にまで希釈したものと置き換えたこと以外は、例11に記載した手法に従って、紫色の合成皮革製品を製造した。例11の通り、合成皮革製品を製造した後に、剥離紙については目視できる色は認められず、これは、紫色ポリマー着色剤は、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0148】
例16
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。黄色ポリマー着色剤を、0.6部のMillijet(登録商標)Blue28ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、25abs./g/Lの明度にまで希釈したものと置き換えたこと以外は、例11に記載した手法に従って、青色の合成皮革製品を製造した。例11の通り、合成皮革製品を製造した後に、剥離紙については目視できる色は認められず、これは、青色ポリマー着色剤は、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0149】
比較例4
青色のポリマー着色剤を、0.6部の青色染料溶液(30%の着色力のC.I.Solvent Red8(キシレン/MEK中))と置き換えたこと以外は、青色の合成皮革製品を、例16に記載した手法に従って製造した。剥離紙を剥がした際に、かなりの量の青色が剥離紙に観察された。このことは、青色染料が、合成皮革製品の製造中に剥離紙上に移染したことを示している。
【0150】
例17
この例は、本発明に従う合成皮革製品の製造を示す。黄色ポリマー着色剤を、0.3部の黒色ポリマー着色剤と置き換えたこと以外は、例11に記載した手法に従って、黒色の合成皮革製品を製造した。用いた黒色ポリマー着色剤は、44%のMillijet(登録商標)Orange31ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、18abs./g/Lの明度にまで希釈したもの、28%のMillijet(登録商標)Violet82ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、24abs./g/Lの明度にまで希釈したもの、および28%のMillijet(登録商標)Blue28ポリマー着色剤(Milliken Chemicalから市販)であって、39abs./g/Lの明度にまで希釈したものを混合することにより得た。例11の通り、合成皮革製品を製造した後に、剥離紙については目視できる色は認められず、これは、どのポリマー着色剤も、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0151】
比較例5
黒色のポリマー着色剤を、0.3部の黒色染料溶液(30%の着色力のC.I.Solvent Black27(キシレン/MEK中))と置き換えたこと以外は、黒色の合成皮革製品を、例16に記載した手法に従って製造した。剥離紙を剥がした際に、黙視できる黒色が剥離紙に観察された。このことは、黒色染料が、合成皮革製品の製造中に剥離紙上に移染したことを示している。
【0152】
例18
この例は、活性な水素末端を有する着色剤を用いたポリウレタンポリマーの製造を示す。5.25部のFormez(登録商標)ポリエステルポリオール(Witcoから市販)であって、500の分子量と225のOH数を有するもの、1.49部の構造(XVII)に適合する黄色染料、7.5部の1,4−ブチレングリコール、および34部のジメチルホルムアミド(DMF)を、還流冷却器、メカニカルスターラー、およびサーモコントローラを備えた3つ首フラスコ中に入れた。激しく撹拌しながら、28.3部のジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナートを、約55℃の温度でゆっくりと加えた。30分間撹拌した後、34部のDMFを再び加え、全混合物を、約65〜70℃に約2時間加熱して、反応を完結した。生じた生成物をDMFを用いて調整し、約38%の固体含有量を含有する黄色の粘性ポリウレタン樹脂を生じた。
【0153】
例19
この例は、活性な水素末端を有する着色剤を用いたポリウレタンポリマーの製造を示す。17.4部のFormez(登録商標)ポリエステルポリオール(Witcoから市販)であって、500の分子量と225のOH数を有するもの、および8.2部の構造(XXII)(式中、R42は水素)に適合する青色染料を、還流冷却器、メカニカルスターラー、およびサーモコントローラを備えた3つ首フラスコ中の125部のジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。激しく撹拌しながら、35.2部のジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナートを、約55℃の温度でゆっくりと加えた。さらに30分間約55℃で撹拌した後、6.8部の1,4−ブチレングリコールをゆっくりと加え、全混合物を、約65℃に約30分間加熱した後、約75℃に約2時間加熱して反応を完結した。生じた生成物は、重量で35%の固体含有量を含有する青色の粘性ポリウレタン樹脂を生じた。
【0154】
例20
この例は、本発明に従う着色された合成皮革の製造を示す。例18において調製した黄色ポリウレタンプレポリマー溶液を、市販のシリコン処理された鏡面剥離紙上に直接的に塗布して、約0.15mmの厚さを有するフィルムコーティングを形成した。このコーティング層上に、1mmの厚さを有する市販の「BASE基材」(80ミクロンの厚さを有する不織繊維シートであって、ポリウレタンエラストマーを含浸/コーティングしたもの)をプレスし/付着させた。その後、アセンブリをオーブン中に、約120℃で約3分間入れた。続いてアセンブリをオーブンから取り出し、室温にまで冷却して、その後剥離紙をアセンブリから剥がした。得られた黄色の合成皮革製品は、BASE基材、およびその表面上に樹脂コーティングを含み、これは、構造(XVII)に適合する活性な水素末端を有する着色剤を含有していた。さらに、剥離紙の目視検査は、目視できる黄色はないことを明らかにし、これは、感知できる量の黄色着色剤は、剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0155】
例21
この例は、本発明に従う着色された合成皮革の製造を示す。1部の例18において調製された黄色ポリウレタンプレポリマーを、DMF/トルエン/メチルエチルケトン(MEK)中の9部のポリウレタンプレスキン樹脂(Home Sun Industrial Co.,台湾からのUR−1390ND)を混合した。ポリウレタンプレスキン樹脂は、約17%の固体含有量を有した。その後、均一に混合したポリウレタン溶液を、市販のシリコン処理された鏡面剥離紙上に直接塗布して、約0.10mmの厚さを有するフィルムコーティングを形成し、続いて、剥離紙を約120℃に維持したオーブン中に約1分間入れて、樹脂を硬化させた。その後、コーティングされた紙をオーブンから取り出して室温にまで冷却した。ポリウレタン樹脂溶液(Stahl USA Inc.からの27%の固体含有量を有するSU13−550)の0.15mm厚のコーティングを、コーティングされた剥離紙に直接塗布した。続いて、生じたコーティングされた紙を120℃に維持したオーブンに約2分間入れた。その後、紙をオーブンから取り出して室温にまで冷却した。接着樹脂溶液(Stahl USA Inc.からのSU41−952)の0.05厚の層をコーティングされた紙に塗布した。続いて、「BASE基材」(上記したもの)をコーティングされた紙にプレスし/付着させた。生じたアセンブリを約120℃に維持したオーブンに約3分間入れた。その後、アセンブリをオーブンから取り出して室温にまで冷却し、剥離紙を除いた。生じた黄色の合成皮革製品は、BASE基材およびその表面上の樹脂コーティングを含み、これは、構造(XVII)に適合する活性な水素末端を有する着色剤を含有した。さらに、剥離紙の目視検査は目視できる黄色がないことを明らかにし、これは、感知できる量の黄色着色剤は、プロセス中に剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0156】
例22
この例は、本発明に従う着色された合成皮革の製造を示す。黄色ポリウレタンプレポリマーの代わりに、例19において調製した青色ポリウレタンプレポリマーを用いて、例20の手法を繰り返した。生じた青色の合成皮革製品は、BASE基材、およびその表面上に樹脂コーティングを含み、これは、構造(XXII)に適合する、活性な水素末端を有する着色剤を含有した。さらに、剥離紙の目視検査は目視できる青色がないことを明らかにし、これは、感知できる量の青色着色剤は、プロセス中に剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0157】
例23
この例は、本発明に従う着色された合成皮革の製造を示す。黄色ポリウレタンプレポリマーの代わりに、例19において調製した青色ポリウレタンプレポリマーを用いて、例21の手法を繰り返した。生じた青色の合成皮革製品は、BASE基材、およびその表面上に樹脂コーティングを含み、これは、構造(XXII)に適合する、活性な水素末端を有する着色剤を含有した。さらに、剥離紙の目視検査は目視できる青色がないことを明らかにし、これは、感知できる量の青色着色剤は、プロセス中に剥離紙上に移動しなかったということを示唆している。
【0158】
例24
この例は、本発明に従う分散体の製造を示す。1リットルのリアクタケトルに、コンデンサとメカニカルスターラーを取り付けた。約25グラムの黄色の活性な水素末端を有する着色剤(Milliken ChemicalからのLeathertint(登録商標)Yellow836着色剤)、9.6グラムのDMPA(すなわち、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸)、50グラムの1−メチル−2−ピロリドン、および0.04グラムのジラウリル酸ジブチルすず(dibutyl tin dilaurate)触媒(ニュージャージーのWitcoからのMAVS1038触媒)をリアクタに加えた。撹拌しながら、混合物を約60℃に温め、約15分間窒素をパージした。その後、約43.8グラムの水素化MDI(すなわち、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン)(ペンシルバニア州ピッツバーグのBayer MaterialScienceからのDesmodur W)をリアクタに加えた。反応が始まったら、材料を急速に86℃に温める。温度を約90℃(±7℃)に約5時間保って、プレポリマーを生成した。イソシアナート濃度が安定するまで、反応を赤外分光法により監視した。温度を約70℃にまで下げて、約30分間絶えず撹拌しながら、約7.2グラムのトリエチルアミンを加えた。分離混合容器において、約5.7グラムのエチレンジアミン(EDA)を約188.5グラムの脱イオン水に加えた。熱を反応容器から除き、EDAおよび水をリアクタに即座に加えた。混合物を約1.5時間迅速に撹拌して、室温にまで冷却した。残るイソシアナートは、EDAからの遊離アミンと反応して、プレポリマーのポリマー鎖を延長させた。結果は、着色剤、イソシアナートおよび内部界面活性剤の反応から得られる、着色されたポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを含有する細かな(fine)分散体であった。
【0159】
例25
この例は、本発明に従う分散体の製造を示す。1リットルのリアクタケトルに、コンデンサとメカニカルスターラーを取り付けた。約25グラムの赤色の、活性な水素末端を有する着色剤(Milliken ChemicalからのLeathertint(登録商標)Red864着色剤)、3.9グラムのDMPA、61.7グラムのアセトン、および0.15グラムのジラウリル酸ジブチルすず触媒(ニュージャージーのWitcoからのMAVS1038触媒)をリアクタに加えた。撹拌しながら、混合物をアセトンが還流するまで(約60℃)温めた。その後、約22.7グラムの水素化MDI(すなわち、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン)(ペンシルバニア州ピッツバーグのBayer MaterialScienceからのDesmodur W)をリアクタに加えた。混合物を約6時間還流させた。反応を赤外分光法により監視し、イソシアナート濃度が安定化するまで続けさせた。約2.9グラムのトリエチルアミンを加え、生じた混合物を約30分間絶えず撹拌した。分離混合容器において、約2.6グラムのエチレンジアミン(EDA)を約188.5グラムの脱イオン水に加えた。熱を反応容器から除き、EDAおよび水をリアクタに即座に加えた。混合物を約1時間迅速に撹拌して、室温にまで冷却し、ポリマー化を完結させた。残るイソシアナートは、EDAからの遊離アミンと反応して、プレポリマーのポリマー鎖を延長させた。結果は、着色剤、イソシアナートおよび内部界面活性剤の反応から得られる、着色されたポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを含有する細かな分散体であった。
【0160】
例26
この例は、本発明に従う分散体の製造を示す。1リットルのリアクタケトルに、コンデンサとメカニカルスターラーを取り付けた。約40グラムの赤色の、活性な水素末端を有する着色剤(Milliken ChemicalからのLeathertint(登録商標)Red864着色剤)、4.4グラムのDMPA、および0.34グラムのジラウリル酸ジブチルすず触媒(ニュージャージーのWitcoからのMAVS1038触媒)をリアクタに加えた。撹拌しながら、混合物を70℃に温めた。その後、約24.1グラムのメタ−テトラメチルキシリレンジイソシアナート(ニュージャージーのCytec Industries Inc.からのTMXDI(登録商標)(META))をリアクタに加えた。温度を約105℃にまで上げ、この温度に約24時間保った。約3.3グラムのトリエチルアミンを、分離容器中の約178.0グラムの脱イオン水に加え、この水を約20℃以下に冷やした。その後、着色剤、内部界面活性剤、およびイソシアナートの反応から得られる温度の高いプレポリマー混合物を、冷やした水に、温度を約40℃以下に保ちつつ、迅速に撹拌しながら加えた。約3分間混合した後、約3.0グラムのエチレンジアミン(EDA)を容器に加え、迅速な撹拌を約1時間続けた。残るイソシアナートは、EDAからの遊離アミンと反応して、ポリマー鎖を延長させた。結果は、着色剤、イソシアナートおよび内部界面活性剤の反応から得られる、着色されたポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを含有する細かな分散体であった。
【0161】
例27
この例は、本発明に従う分散体の製造を示す。1リットルのリアクタケトルに、コンデンサとメカニカルスターラーを取り付けた。約35グラムの構造(XII)(式中、R35は水素であり、R34は、構造−Z−Xを含有するオリゴマー成分であり、および各−Z−Xは、1つのエチレンオキシドモノマーと4つのプロピレンオキシドモノマーを含有する活性な水素末端を有する成分である)に適合する青色の、活性な水素末端を有する着色剤、7.2グラムのDMPA、18.8グラムの1−メチル−2−ピロリドン、および0.03グラムのジラウリル酸ジブチルすず触媒(ニュージャージーのWitcoからのMAVS1038触媒)をリアクタに加えた。撹拌しながら、混合物を50℃に温め、15分間窒素をパージした。その後、約27.8グラムの水素化されたMDI(すなわち、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン)(ペンシルバニア州ピッツバーグのBayer MaterialScienceからのDesmodur W)をリアクタに加えた。反応が始まったら、材料を約86℃に迅速に温めた。温度を約90℃(±7℃)に維持した。約1時間後、さらに15グラムの1−メチル−2−ピロリドンを加えた。反応をさらに約3時間続けた。イソシアナート濃度が安定するまで、反応を赤外分光法により監視した。反応混合物の温度を約75℃にまで下げ、約3.7グラムのトリエチルアミンを加えて、混合物を絶えず約30分間撹拌した。その後熱を反応容器から除いた。続いて、約234.7グラムの脱イオン水をリアクタに加えて、混合物を約24時間迅速に撹拌し、溶液を冷却させた。残るイソシアナートは、トリエチルアミンの遊離アミンと反応して、ポリマー鎖を延長させた。結果は、着色剤、イソシアナートおよび内部界面活性剤の反応から得られる、着色されたポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを含有する細かな分散体であった。この分散体は、重量で約21.3%の固体を含有していた。
【0162】
例28
この例は、本発明に従う分散体の製造を示す。1リットルのリアクタケトルに、コンデンサとメカニカルスターラーを取り付けた。約30グラムの赤色の、活性な水素末端を有する着色剤(Milliken ChemicalからのLeathertint(登録商標)Red864着色剤)、2.9グラムのN−メチルジエタノールアミン(MDEA)、52.5グラムのアセトン、および0.13グラムのジラウリル酸ジブチルすず触媒(ニュージャージーのWitcoからのMAVS1038触媒)をリアクタに加えた。撹拌しながら、アセトンが還流するまで(約60℃)混合物を温めた。その後、約19.4グラムの水素化されたMDI(すなわち、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン)(ペンシルバニア州ピッツバーグのBayer MaterialScienceからのDesmodur)をリアクタに加えた。温度を還流温度に約5時間維持した。イソシアナート濃度が安定するまで、反応を赤外分光法により監視した。約7.3グラムの1,4−ブタンジオールを生じた混合物に加えて、約2時間絶えず撹拌した。分離混合容器において、約2.1グラムの濃塩酸を、約149.3グラムの脱イオン水に加えた。加熱を反応容器から除き、塩酸および水溶液をリアクタに即座に加えた。生じた混合物を約1時間迅速に撹拌し、混合物を冷却させてポリマー化を完結させた。結果は、着色剤、イソシアナートおよび内部界面活性剤の反応から得られる、着色されたポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを含有する細かな分散体であった。この分散体は、重量で約23.8%の固体を含有していた。
【0163】
例29
この例は、本発明に従う分散体の製造を示す。1リットルのリアクタケトルに、コンデンサとメカニカルスターラーを取り付けた。約30グラムの赤色の、活性な水素末端を有する着色剤(Milliken ChemicalからのLeathertint(登録商標)Red864着色剤)、52.9グラムのアセトン、および0.13グラムのジラウリル酸ジブチルすず触媒(ニュージャージーのWitcoからのMAVS1038触媒)をリアクタに加えた。撹拌しながら、アセトンが還流するまで(約60℃)混合物を温めた。その後、約19.4グラムの水素化されたMDI(すなわち、ビス(4−イソシアナートシクロヘキシル)メタン)(ペンシルバニア州ピッツバーグのBayer MaterialScienceからのDesmodur)をリアクタに加えた。反応混合物の温度を還流温度に約4時間保った。続いて、約3.3グラムのDMPAを加え、反応混合物をさらに4時間還流させた。イソシアナート濃度が安定するまで、反応を赤外分光法により監視した。その後、約2.5グラムのトリエチルアミンを反応混合物に加えて、約30分間絶えず撹拌した。分離混合容器において、約2.2グラムのエチレンジアミン(EDA)を約137.4グラムの脱イオン水に加えた。加熱を反応容器から除いた後、EDAおよび水溶液をリアクタに加えた。生じた混合物を約30分間迅速に撹拌し、混合物を冷却させてポリマー化を完結させた。残るイソシアナートはトリエチルアミンの遊離アミンと反応して、ポリマー鎖を延長した。結果は、着色剤、イソシアナートおよび内部界面活性剤の反応から得られる、着色されたポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを含有する細かな分散体であった。この分散体は、重量で約23.3%の固体を含有していた。
【0164】
例30
この例は、本発明に従う分散体の製造を示す。10個のポリウレタン分散体着色剤(例30A〜30J)を、ランダムポリマーについての例25の手法、またはブロックポリマーについての例26の手法を用いて作製した。イソシアナートのヒドロキシル含有量に対するモル比(表1において「NCO:OH」と省略)、および内部界面活性剤のイソシアナートと着色剤の両方に対するモル比(表1において「IS:NCO+Colorと省略)を、以下の表1に説明する通り、例の間で変化させた。表1において、「明度」とは、分散体の量(グラム)あたりの着色剤の量(グラム)を指す。各ケースにおいて、結果は、着色剤、イソシアナートおよび内部界面活性剤の反応から得られる、着色されたポリウレタンポリマーまたはプレポリマーを含有する細かな分散体であった。
【表1】

【0165】
例31
この例は、本発明に従うコーティングの製造を示す。コーティング組成物を、約4.4gのWF−41−302水系(waterborne)ポリウレタン分散体(MA,ピーボディのStahl,Inc.から入手可能)、約4.4gのWF−40−357水系ポリウレタン分散体(MA,ピーボディのStahl,Inc.から入手可能)、約0.5gのXR−2569架橋剤(MA,ピーボディのStahl,Inc.から入手可能)、約0.2gのXR−2500架橋剤(MA,ピーボディのStahl,Inc.から入手可能)、約0.5gの水、および約1.0gのサンプル30A〜30Jとした分散体サンプルのうちの1つを混合することにより調製した。11番目のサンプルを、分散体の代わりに、1.0gの赤色の、活性な水素末端を有する着色剤(Milliken ChemicalからのLeathertint(登録商標)Red864)を用いたことを除いては、同じ基本のコーティング組成物を用いて生成した。コーティング組成物を十分に撹拌し、非粘着性の表面にキャストし、コーティング組成物が完全に乾燥するまで、約120℃(250F°)の温度に加熱した。
【0166】
約1グラム量りとった、用いた分散体に基づくサンプル30A〜30Jおよび原料の着色剤を用いて調製したサンプルについてのサンプル31と称する生じたコーティングの切断物を、約10グラムの蒸留水またはフタル酸ジイソノニル(DINP)中に、約48時間、約40℃(104F°)の温度で浸漬した。浸漬後、切断物を溶媒から取り出し、溶媒中に抽出された着色剤の量を可視分光法を用いて測定した。分光計測は、Beer’s Lawを用いて較正した。色抽出(分散体中の着色剤1グラムあたりの、抽出された着色剤のミリグラムとして計算)を、着色剤固体、コーティング固体、および明度について補正した、ポリウレタン分散体中の本来の着色剤の量に関して測定した。抽出実験の結果を、以下の表2に示す。
【表2】

【0167】
表2に示したデータの比較から理解できる通り、本発明の着色された分散体を用いて調製されたコーティングは、コーティング組成物中への原料着色剤の単なる混合により調製したコーティングと比較して、実質的に低い色抽出を示した。いずれもの特定の理論に拘束されることを望まないが、これらのコーティングにより示される低い色抽出は、着色剤が、コーティング中に存在するポリウレタンポリマーまたはポリマーセグメントのポリマー鎖の一部を形成しているという事実に少なくとも部分的に起因していると考えられる。(上記した反応による)ポリマー鎖中への着色剤の取り込みは、コーティングからの色の抽出を抑制すると考えられる。
【0168】
各文献が個々に、また具体的に示され、本明細書の一部として本願に援用されているのと同程度に、本明細書に挙げた公報、特許出願および特許を含む全ての文献を、本明細書の一部として本願に援用する。
【0169】
「1つ(a および an)」、および「前記(the)」、並びに本発明を記載するものとの関連における(特に請求項の関連における)同様の指示対象は、本明細書に他に示さない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の双方をカバーするように解釈されるものである。「含む」「有する」「含有する」という語は、他に示さない限り、制限されない用語(すなわち、「含有する、限定されないが」を意味する)として解釈されるものである。本明細書中の値の範囲の記載は、本明細書に示さない限り、その範囲に入る1つ1つの値を個々に指す簡略な方法としての役割を果たし、1つ1つの値は、本明細書に個別に記載されているものとして明細書中に取り込まれている。本明細書に記載した全ての方法を、本明細書に他に示さない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、いずれもの適切なオーダーで行うことができる。本明細書に示したいずれものおよび全ての例または典型的な語(例えば、「例えば(such as)」)は、本発明をより明らかにすることを単に意図し、他に主張しない限り、本発明の範囲についての限定をもたらすものでない。本明細書の用語は、いずれもの主張しない要素が本発明の実施に不可欠であると示すようには解釈されない。
【0170】
本発明を行うために発明者等に知られるベストモードを含む本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載されている。これらの好ましい実施形態の変形は、当業者に、上述の記載を読めば明らかとなり得る。発明者等は、当業者が、必要に応じてこのような変形を用いることを予測し、また、発明者等は、本発明については、本明細書に具体的に記載されているものと異なって実施されることをも意図している。従って、本発明は、適用法令により認められる、添付した特許請求の範囲に記載した発明特定事項の全ての改変および均等物を含む。さらに、その全ての可能性のある変形における上記した要素のいずれもの組み合わせは、本明細書に他に示さない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)表面を有する基材であって、前記表面がテキスタイル材料、皮革、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される基材、
(b)前記基材の前記表面のコーティングであって、前記コーティングは、前記基材の前記表面と実質的に同一の広がりを有し、また、
(i)ポリイソシアナート、および
(ii)活性な水素末端を有する着色剤であって、前記活性な水素末端を有する着色剤が、構造(I)および構造(III)に適合する着色剤から成る群から選択されるもの
を含む反応剤混合物の反応の生成物であるポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを含むコーティング
を含むコーティングされた基材。
【化1】

【化2】

(式中、R1またはR1−[E]mは有機発色団であり、Eは窒素、酸素、硫黄、スルフィット基、スルホンアミド基、およびカルボキシル基から成る群から選択される架橋部位であり、並びにnおよびmは独立して、1〜5の整数から成る群から選択され;
4またはR4(G)hは有機発色団を示し、Gは、SO3-およびCO2-から成る群から選択され、各R5は、独立して、水素、アルキル基、およびアリール基から成る群から選択され、Mは、窒素原子およびリン原子から成る群から選択され、hは1〜4の整数であり、kは、0〜5の整数であり、jは、1〜6の整数であり、並びにMが窒素原子である場合には、kおよびjの合計は4であり、Mがリン原子である場合には、kおよびjの合計は6であり;
各Zは、C1−C20アルキル部位、アリール部位、アルコキシル部位、およびオリゴマー成分から成る群から独立して選択される二価の有機部位であり;ここで、前記オリゴマー成分は、
(A)C2−C20アルキレンオキシ基、グリシドール基、およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー、
(B)構造(III)
【化3】

(式中、R2およびR3は、独立して、水素およびC1−C10アルキル基から成る群から選択され、fは1〜10の整数であり、並びにgは1〜20のいずれもの正の整数または分数である)
に適合する脂肪族オリゴマーエステル、並びに
(C)(A)および(B)の組み合わせ
から成る群から選択され;
各xは、水素、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、アミン基、アルキル基、アリール基、アルキルエステル基、アリールエステル基、有機スルホナート基、有機スルファート基、およびアミド基から成る群から独立して選択される末端基であり、
少なくとも1つの−Z−X成分は、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わっており、並びに
少なくとも1つの−Z−X成分は、前記活性な水素末端を有する着色剤が式(III)に適合する場合にはオリゴマー成分を含む)
【請求項2】
前記基材が、テキスタイル材料、皮革、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項3】
前記反応剤混合物は重量を有し、および前記活性な水素末端を有する着色剤は、前記反応混合物の重量の約5〜約65%を構成する請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項4】
前記反応剤混合物は、鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤をさらに含む請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項5】
ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントは、
(a)ポリイソシアナート、および活性な水素末端を有する着色剤を反応させて、ポリマー中間体を生成する工程、および
(b)前記工程(a)において生成したポリマー中間体と、鎖延長剤、ポリオールおよびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤とを反応させて、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを生成する工程
を含むプロセスにより生成する請求項4に記載のコーティングされた基材。
【請求項6】
前記反応剤混合物が、内部界面活性剤をさらに含む請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項7】
ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントが、
(a)ポリイソシアナート、および活性な水素末端を有する着色剤を反応させて、ポリマー中間体を生成する工程、および
(b)前記工程(a)において生成したポリマー中間体と内部界面活性剤とを反応させて、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを生成する工程
を含むプロセスにより生成する請求項6に記載のコーティングされた基材。
【請求項8】
前記コーティングが、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントに加えて、第2のポリマーをさらに含む請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項9】
前記基材が、テキスタイル材料、皮革、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項1に記載のコーティングされた基材。
【請求項10】
(a)水性連続相、および
(b)(i)ポリイソシアナート、
(ii)内部界面活性剤、および
(iii)下記構造(I)および構造(III)に適合する着色剤から成る群から選択される活性な水素末端を有する着色剤
を含む反応剤混合物の反応の生成物であるポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを含む不連続相
を含む分散体。
【化4】

【化5】

(式中、R1またはR1−[E]mは有機発色団であり、Eは窒素、酸素、硫黄、スルフィット基、スルホンアミド基、およびカルボキシル基から成る群から選択される架橋部位であり、並びにnおよびmは、1〜5の整数から成る群から独立して選択され;
4またはR4(G)hは有機発色団であり、Gは、SO3-およびCO2-から成る群から選択され、各R5は水素、アルキル基およびアリール基から成る群から独立して選択され、Mは窒素原子およびリン原子から成る群から選択され、hは1〜4の整数であり、kは0〜5の整数であり、jは1〜6の整数であり、並びにMが窒素の場合にはkおよびjの合計は4であり、およびMがリンの場合にはkおよびjの合計は6であり;
各ZはC1−C20アルキル部位、アリール部位、アルコキシル部位、およびオリゴマー成分から成る群から独立して選択される二価の有機部位であり、ここで、オリゴマー成分は、
(A)C2−C20アルキレンオキシ基、グリシドール基、およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー、
(B)構造(II)に適合する脂肪族オリゴマーエステル、並びに
【化6】

(式中、R2およびR3は、水素およびC1−C10アルキル基から成る群から独立して選択され、fは1〜10の整数であり、およびgは1〜20のいずれもの正の整数または分数である)
(C)(A)および(B)の組み合わせ
から成る群から選択され、
各Xは、水素、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、アミン基、アルキル基、アリール基、アルキルエステル基、アリールエステル基、有機スルホナート基、有機スルファート基、およびアミド基から成る群から選択され、
少なくとも1つの−Z−X成分は、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基、および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わっており、
前記反応混合物は重量を有し、前記活性な水素末端を有する着色剤は、前記反応剤混合物の重量の20%を超えて構成する)
【請求項11】
前記反応剤混合物が、鎖延長剤、ポリオール、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の反応剤をさらに含む請求項10に記載の分散体。
【請求項12】
前記活性な水素末端を有する着色剤は、反応剤混合物の重量の約25〜約75%を構成する請求項10に記載の分散体。
【請求項13】
前記不連続相が、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメント、および中和剤の反応の生成物を含む請求項10に記載の分散体。
【請求項14】
前記不連続相は、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメント、中和剤、および鎖延長剤を含む請求項10に記載の分散体。
【請求項15】
前記分散体は重量を有し、前記不連続相は、前記分散体の重量に基づいて約5〜約50%の分散体を含む請求項10に記載の分散体。
【請求項16】
(a)水性連続相、および
(b)
(i)ポリイソシアナートと活性な水素末端を有する着色剤とを反応させてポリマー中間体を生成する工程、
(ii)前記工程(i)において生成したポリマー中間体と内部界面活性剤とを反応させて、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを生成する工程
とを含むプロセスにより生成するポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメントを含む不連続相
を含む分散体であって、ここで、前記活性な水素末端を有する着色剤は、以下の構造(I)および構造(III)に適合する着色剤から成る群から選択される分散体。
【化7】

【化8】

(式中、R1またはR1−[E]mは有機発色団であり、Eは窒素、酸素、硫黄、スルフィット基、スルホンアミド基、およびカルボキシル基から成る群から選択される架橋部位であり、並びにnおよびmは、1〜5の整数から成る群から独立して選択され;
4またはR4(G)hは有機発色団であり、GはSO3-およびCO2-から成る群から選択され、各R5は水素、アルキル基、およびアリール基から成る群から独立して選択され、Mは窒素原子およびリン原子から成る群から選択され、hは1〜4の整数であり、kは0〜5の整数であり、jは1〜6の整数であり、Mが窒素原子の場合にはkおよびjの合計は4であり、Mがリン原子である場合にはkおよびjの合計は6であり;
各ZはC1−C20アルキル部位、アリール部位、アルコキシ部位、およびオリゴマー成分から成る群から独立して選択される二価の有機部位であり、前記オリゴマー成分は、
(A)C2−C20アルキレンオキシ基、グリシドール基、およびグリシジル基から成る群から選択される少なくとも3つのモノマーを含むオリゴマー、
(B)構造(II)に適合する脂肪族オリゴマーエステル、並びに
【化9】

(式中、R2およびR3は、水素およびC1−C10アルキル基から成る群から独立して選択され、fは1〜10の整数であり、並びにgは1〜20のいずれもの正の整数または分数である)
(C)(A)および(B)の組み合わせ
から成る群から選択され、
各Xは、水素、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、アミン基、アルキル基、アリール基、アルキルエステル基、アリールエステル基、有機スルホナート基、有機スルファート基、およびアミド基から成る群から独立して選択される末端基であり、
少なくとも1つの−Z−X成分は、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、チオール基、第一級アミン基、第二級アミン基、第一級アミド基および第二級アミド基から成る群から選択される基で終わる)
【請求項17】
前記不連続相は、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメント、および中和剤の反応の生成物を含む請求項16に記載の分散体。
【請求項18】
前記不連続相が、ポリウレタンポリマーまたはポリウレタンポリマーセグメント、中和剤、および鎖延長剤の反応の生成物を含む請求項16に記載の分散体。
【請求項19】
前記ポリイソシアナート、前記活性な水素末端を有する着色剤、および前記内部界面活性剤は合計した総重量を有し、前記活性な水素末端を有する着色剤は、前記総重量の約25〜約75%を構成する請求項16に記載の分散体。
【請求項20】
前記分散体は重量を有し、前記不連続相は、前記分散体の重量に基づいて、約5〜約50%の分散体を含む請求項16に記載の分散体。
【請求項21】
(a)少なくとも1つの表面を有する繊維状基材、および
(b)前記基材の表面上のコーティングであって、前記コーティングは、
(i)ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、およびこれらの組み合わせから成る群から選択される樹脂、並びに
(ii)発色団、および前記発色団に結合したオリゴマー成分を含むポリマー着色剤
を含有する
を含む合成皮革製品。

【公表番号】特表2009−532591(P2009−532591A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502917(P2009−502917)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/007427
【国際公開番号】WO2007/126742
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】