説明

コードターゲット、コード検出システム、及び3次元情報取得システム

【課題】傾斜して撮影された場合であってもコードを自動的に検出することができるコードターゲット、及び該コードマーカを用いたコード検出システム、及び3次元情報取得システムを提供することを目的とする。
【解決手段】円形領域Cを有する基準パターン2と、当該基準パターン2の周囲部に位置し、円形領域Cの中心Oと同心の仮想円C1の円周を等分した円弧をそれぞれ1つ含むコード領域A1乃至A8からなるコードパターン3と、を同一面上に備え、コード領域A1乃至A8内の濃度レベルを当該コード領域が標示するコードにそれぞれ対応させたコードターゲット1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影して得た画像データから標示されたコードを検出することができるコードターゲットに関する。また、このコードターゲットを撮影して得た画像データから、当該コードマークに標示されたコードを検出するコード検出システム、及び同じコードが検出された複数の画像データを対応付けて3次元空間座標等の3次元情報を取得する3次元情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、橋脚等の大型構造物や工業生産物を含む各種対象物を高性能なCCDカメラにより撮影し、撮影して得た画像データを解析処理することによって3次元情報を取得し、これに基づいて3次元計測や3次元モデル作成が行われている。
【0003】
このような3次元情報の取得は、基準となるレギュラーターゲットを付した対象物をCCDカメラ等により撮影し、同じレギュラーターゲットが撮影された複数の画像データを対応付けることにより行われる。この対応付けは、例えば、特許文献1に示すように、円形のレギュラーターゲットの下方に数字等のコードを付加させておき、撮影した画像から人間がコードを判別して、同じコードが付加されたレギュラーターゲットを含む画像データをこれらレギュラーターゲットの中心座標を同じ3次元空間座標に位置させることによって対応付けている。また、複数の図形パターンをレギュラーターゲットとすることもある。
【0004】
また、近年、従来の1方向にコード化された情報を持つバーコードに代わって、縦横2方向(マトリックス状)にコード化された情報を持つ2次元コードが普及してきている。2次元コードは、特定の1方向にてライン読み取りを行う必要があるバーコードとは異なり、2次元平面画像を読み取ってコード化された情報を得るものであり、非特許文献1に示すQRコード(登録商標)のように、読み取った向きに左右されず、全方向読み取り可能なものもある。
【特許文献1】特開2005−140550号公報
【非特許文献1】JIS X05010規格書 2次元コードシンボル
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように3次元情報を取得する場合、レギュラーターゲットに付加された数字等のコードを判別し、さらに同じコードが付加されたレギュラーターゲットを含む複数の画像データを対応付ける作業を人間が行う必要がある。この作業は自動的に行うことができないので、特に多数の画像データを処理する場合には、非常に時間がかかるという問題があった。また、複数の図形パターンをレギュラーターゲットとした場合には、撮影して得た画像データから自動的に判別可能な図形パターンの種類が限られており、また、その判別も複雑な解析処理を行う必要があるため困難であるという問題があった。
【0006】
また、上記のような2次元コードは、コードリーダ等の撮影装置の撮影方向を2次元コードの平面画像に対してほぼ垂直とする必要があり、垂直方向から所定角度以上に傾斜させて撮影した場合には情報を検出することができない、あるいは検出した情報にエラーが生じるという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決すべくなされたものであり、傾斜して撮影された場合であってもコードを自動的に検出することができるコードターゲット、及び該コードターゲットのコードを自動的かつ容易に検出することができるコード検出システム、当該コードターゲットを用いて3次元情報を自動的にかつ正確に取得することができる3次元情報取得システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のコードターゲットは、円形領域を有する基準パターンと、当該基準パターンの周囲部に位置し、前記円形領域の中心と同心の仮想円の円周を等分した円弧をそれぞれ1つ含むコード領域からなるコードパターンと、を同一平面上に備え、前記コード領域内の濃度レベルを当該コード領域が標示するコードにそれぞれ対応させたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載のコード検出システムは、請求項1に記載のコードターゲットの画像を撮影して得た画像データを解析し、当該コードターゲットに標示されたコードを検出することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載のコード検出システムは、請求項1に記載のコードターゲットを撮影する撮影手段と、該撮影手段がコードターゲットを撮影して得た画像データから、当該コードターゲットの円形領域が変形した楕円形状を抽出する円形領域抽出手段と、当該コードターゲットの仮想円が前記楕円形状と相似形に変形することに基づいて、当該コードターゲットのコード領域内の画像の画像データを抽出するコード領域画像抽出手段と、該コード領域画像抽出手段が抽出した前記各コード領域の画像データの濃度レベルにそれぞれ対応するコードを求め、該コードを所定のコード領域順に配したコード列を取得するコード列取得手段と、該コード列取得手段が取得したコード列から前記コード領域順に関わらず一意的に定まるコードを特定するコード特定手段と、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の3次元情報取得システムは、請求項3に記載のコード検出システムによって検出したコードが共通する複数の画像データに対して、該画像データの前記円形領域が変形した楕円形状に基づく対応付けを行うことにより3次元情報を取得することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載のコードターゲットによれば、円形領域を設け、各コード領域内の濃度レベルを当該コード領域が標示するコードに対応させる等により、コードターゲットを容易に形成することができる。また、コード領域数や濃度レベル数を変更することによって、コードターゲットにコード化される情報量に対応させることが可能となる。
【0013】
請求項2に記載のコード検出システムによれば、請求項1に記載のコードターゲットに標示されたコードを検出することができる。
【0014】
請求項3に記載のコード検出システムによれば、請求項1に記載のコードターゲットを撮影手段が撮影して得た画像データから、円形領域抽出手段が当該コードターゲットの円形領域が変形した楕円形状を抽出するので、この抽出は既知の各種方法によって自動的に行うことができる。また、抽出される楕円形状は限定されないので、撮影手段がコードターゲットを撮影した方向に関わらず、円形領域抽出手段は楕円形状を抽出することができる。さらに、コード領域画像抽出手段は、円形領域が変形した楕円形状と相似形にコードターゲットの仮想円が変形することに基づいて、当該コードターゲットのコード領域内の画像の画像データを抽出するので、これらの画像データを自動的に確実に抽出することができる。さらに、コード列取得手段は、コード領域画像抽出手段が抽出した各コード領域の画像データの濃度レベルにそれぞれ対応するコードを求め、該コードを所定のコード領域順に配したコード列を取得するので、コード列を自動的に取得することができる。さらに、コード特定手段は、コード列から前記コード領域順に関わらずコードを一意的に特定するので、コードターゲットに対する撮影方向などに関わらず、コードマークに一意的に標示されたコードを検出することができる。
【0015】
請求項4に記載の3次元情報取得システムによれば、コード検出システムによって検出したコードが共通する複数の画像データに対して対応付けを行うので、自動的に対応付けを行うことができる。さらに、コードターゲットの円形領域が変形した楕円形状に基づく対応付けを行うが、当該楕円領域の中心座標や傾斜角等は高い精度にて自動的に求められるので、高い精度の3次元情報を自動的に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るコードターゲット(「コードマーカ」や「識別標識」とも呼ばれる。)1は、図1(a)に示すように、基準パターン(「標定パターン」とも呼ばれる。)2と、該基準パターン2を取り囲むように配されたコードパターン3と、を同一平面上に備えたものである。なお、図1(a)等における2点鎖線は、実際のコードターゲットには記されない仮想線である。また、図1(a)等においては、各領域の濃度レベルを当該領域に記されたドットの密度にて表している。
【0017】
基準パターン2は、外部となる基準面4に対して濃度差のある半径rの円形領域Cを少なくとも有するパターンであり、コードターゲット1を検出する際にコードターゲットであることを認識可能とするためのシンボルパターンでもある。円形領域Cの中心Oは、コードターゲット1の基準点となる。
【0018】
コードパターン3は、基準パターン2を囲繞する周囲部に位置し、円形領域Cの中心Oと同心の仮想の半径k・rの基準円(仮想円)C1の円周を複数に等分した円弧をそれぞれ1つ含む複数のコード領域Aから構成されるパターンである。各コード領域Aは、コードターゲット1が全体として標示する情報がコード化された1のコードに対応する濃度レベルを有しており、各コード領域Aがそれぞれ1のコードを標示している。図1(a)に示したコードパターン3は、円形領域Cの中心Oと同心の環形を8等分した8つの扇形状のコード領域A1乃至A8からなり、各コード領域Aが濃度レベル差のある濃淡2色の何れか1色に彩色されており、「0」又は「1」の何れかのコードを標示している。
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るコードターゲットについて、図1(b)に基づいて説明する。このコードターゲット10は、前記図1(a)に示したコードターゲット1において、外部の白色の基準面4に対して基準パターン2の円形領域C内を黒色の領域とし、コードパターン3の扇形状のコード領域A1乃至A8をその標示する2進コードにそれぞれ対応させて白色又は黒色の領域としたものであり、白色領域がコード「0」を、黒色領域がコード「1」をそれぞれ表している。また、このコードターゲット10は、薄い平板状のものであり、その裏面は接着材を付した接着面となっており、対象物の表面に貼り付けることによって、当該対象物の表面にコードターゲット10を付することができるようになっている。
【0020】
以下、前記本発明の実施の形態に係るコードターゲット10を撮影した画像から当該コードターゲット10に標示された情報がコード化されたコードを検出(デコード)するコード検出システム100について説明する。
【0021】
コード検出システム100は、図2に示すように、制御部101、撮影部102、A/D変換部103、画像メモリ104、RAM(Random Access Memory)105及びROM(Read Only Memory)106を備えたものであって、各部101乃至106はバス107によって接続されている。
【0022】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)などからなり、所定のプログラムに従って、コード検出システム100を構成する各部を制御する。
【0023】
撮影部102は、コードターゲット10、あるいはコードターゲット10が付された対象物Tを撮影する部分であって、必要に応じてLED(発光ダイオード)や半導体レーザーなどからなる光源(不図示)から対象物Tに光を照射し、コードターゲット10等からの反射光を受信した2次元CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)センサ(不図示)が光をアナログ信号に変換し画素データとして出力する。2次元CCDにおける各ピクセル素子は、受信した光の量または強さに対応するグレーレベルのアナログ信号を出力する。
【0024】
A/D変換部103は、撮影部102からのグレーレベルのアナログ信号を受信し、例えば、グレーの16レベルを有するデジタル信号に変換する。
【0025】
画像メモリ104は、A/D変換部103にてデジタル信号に変換された画像データを格納する。
【0026】
ROM105は、制御部101によりコード検出システム100を構成する各部の動作を制御するための各種プログラム格納するメモリであり、例えば、円形領域抽出プログラム110、コード領域画像抽出プログラム111、コード列取得プログラム112、コード特定プログラム113が格納されている。
【0027】
RAM106は、コード検出システム100の処理動作に用いる設定情報や動作情報等の各種データを読み出し及び書き込み可能な状態で格納するメモリであり、例えば、しきい値S、円形領域半径r、円形領域Cとコードパターン3の基準円C1との半径比率k等が格納されているとともに、楕円パラメータP等を格納する。
【0028】
ROM105に格納されている円形領域抽出プログラム110は、A/D変換部103にてデジタル信号に変換されて画像メモリ104に格納された画像データから、コードターゲット10の基準パターン11が変形した楕円形状を抽出する処理を制御部101が行うためのプログラムである。本発明においては、制御部101と円形領域抽出プログラム110とが、円形領域抽出手段として機能する。
【0029】
図1(b)に示したコードターゲット10を撮影部102が撮影した画像は、当該コードターゲット10を真正面から撮影した場合を除き、図3に示すように、基準パターン2の円形領域Cが楕円形状C´に変形している。そこで、円形領域抽出手段は、まず、画像メモリ104に格納された画像データの個々の画素データをそのグレースケールがROM106に格納されたしきい値Sを超えるか否かを基準に「0(白)」又は「1(黒)」の2値に区分する。そして、「白」と「黒」との境界が楕円に近似可能であり、かつ、その境界の内側領域が全て「黒」で外側領域が「白」となるパターンを、既知の方法に基づいて探索する。そして、このような探索に基づいて認識したパターンの楕円形状C´の傾斜角度、長径、短径などから円形領域Cの外周円からその中心を同じくした場合の当該パターンの境界となる楕円への変換行列Z、及び当該楕円の中心座標Q等からなる楕円パラメータPをRAM106に格納する。なお、当該画像データのローカル座標系における楕円の方程式の定数などを楕円パラメータPとしてRAM106に格納してもよい。
【0030】
ROM105に格納されているコード領域画像抽出プログラム111は、画像メモリ104に格納された画像データから、コードターゲット10のコードパターン3の各コード領域A1乃至A8内の画像を撮影して得た画像データを抽出する処理を制御部101が行うためのプログラムである。本発明においては、制御部101とコード領域画像抽出プログラム111とが、コード領域画像抽出手段として機能する。
【0031】
コードターゲット10を撮影した画像において、図3に示すように、コードパターン12の仮想の基準円C1は楕円C1´に変形しており、この楕円C1´は前記円形領域Cが変形した楕円形状C´の中心Qと中心を同じくし、k倍に拡大した相似形である。そこで、コード領域画像抽出手段は、コードパターン12の各コード領域A1乃至A8内の基準円C1上に位置する点P1乃至P8が、図3に示した画像において位置する点P1’乃至P8’の座標を、前記RAM106に格納した楕円パラメータPに基づいて算出し、撮影された画像のローカル座標における点P1’乃至P8’の座標位置を特定し、これら座標位置の画素データを抽出する。あるいは、円形領域Cが変形した楕円形状C´をk倍に拡大して楕円C1´を求め、例えば、その長軸を直径とする円の円周上の内角45度毎の点から短軸方向に延長して前記楕円C1´と交差した点によって、座標位置を特定してもよい。
【0032】
ROM105に格納されているコード列取得プログラム112は、コード領域画像抽出手段によって抽出されたコードパターン12の各コード領域A1乃至A8の画像データからコード列を取得する処理を制御部101が行うためのプログラムである。本発明においては、制御部101とコード列取得プログラム112とが、コード列取得手段として機能する。
【0033】
コード列取得手段は、まず、コード領域画像抽出手段によって抽出された点P1´乃至P8´の画素データをそのグレースケールがROM106に格納されたしきい値Sを超えるか否かを基準に「0(白)」又は「1(黒)」の2値のいずれかに区分する。そして、これら画素データが属するコード領域A1乃至A8が「白」又は「黒」の領域の何れであるかを判別して、各コード領域A1乃至A8に標示された「0」又は「1」のコードを求める。なお、各コード領域A1乃至A8内の複数の点の画素データを参考としてコードを求めてもよい。例えば、基準円C1以外の基準円(不図示)上に位置する点や、点P1´乃至P8´の近隣の点などを参考としてコードを求めることにより、コードの検出精度を向上させることが可能になる。
【0034】
そして、コード列取得手段は、任意のコード領域から切り出しを開始して、順次、例えば時計周り方向に向かって、各コード領域A1乃至A8に標示されたコードを並べ、コード列を取得する。例えば、図3に示す場合には、コード領域A1からコード領域A8まで時計周り方向に向かってコードを順次並べた場合には、「01101010」とのコード列を取得する。
【0035】
ROM105に格納されているコード取得プログラム113は、コード列取得手段にて取得されたコード列からコードターゲット10に標示された情報をコード化したコードを特定する処理を制御部101が行うためのプログラムである。本発明においては、制御部101とコード特定プログラム113とが、コード特定手段として機能する。
【0036】
コード列取得手段によって取得されたコード列は、当該コード列の切り出しを開始したコード領域によって、同じコードターゲット10から取得したものであっても異なる。すなわち、同じコードターゲット10を撮影して得た画像データであっても、当該コードターゲット10の貼付け方向、コードターゲット10に対する撮影方向などによって取得するコード列が異なる。例えば、図4に示すように、同じコードターゲット10を撮影した画像から得たコード列は、切り出しを開始したコード領域A1乃至A8によってそれぞれ異なっている。そこで、コード特定手段は、これらのコード列から特定の1のコードを検出することができるように、コード列を循環したコードとみなし、各コード領域から切り出しを開始したコード列、図4においては、コード領域A1からコード領域A8のそれぞれから切り出しを開始した8つのコード列を二進数とみなした場合の最小値をコードとして特定する。コード領域A2から切り出しを開始したコード列からなる二進数が最小値「00110101」(十進数に変換すると「53」)となるので、この二進数をコードターゲット10のコードとして特定する。なお、最大値をコードとして特定してもよい。また、コードターゲット10のコード領域A1乃至A8の内の一部の領域がチェックコードを標示するものとし、特定されたコードの汚れの付着等による誤検出を防止するものとしてもよい。
【0037】
このように、前記コード列取得手段にて切り出しを開始したコード領域に関わらず、コードターゲット10のコードを特定することができる。従って、前記従来の2次元コードのコードを検出するシステムのように、切り出しを開始する方向を特定する切り出しシンボルをパターン認識する等の画像データ処理を行う必要がなく、また、切り出し方向の検出精度に影響を受けることがないので、コードを高い精度で正確に検出することができる。すなわち、切り出しシンボルや基準マーク等を用いて、所定の方向に位置合わせを行ってから、コード化された画像データを順次読み取る場合には、前記切り出しシンボル等を画像データからパターン認識等して切り出し位置を定めるまでに要する画像データ処理が複雑であり、処理時間が長くなる。一方、コード検出システム100は、楕円の中心座標等を求める簡単な画像データ処理のみによりコードを読み出す領域を定めており、位置合わせを行うことなく、コード化されたコードを順次読み取った後に、読み取ったコード列から一意的なコードを特定するので、画像データ処理が簡単となり、処理時間が短くなる。
【0038】
このように、コード検出システム100は、コードターゲット10の円形領域Cが変形した楕円形状C´を楕円として認識することができれば、当該コードターゲット10に標示されたコードを検出することができる。従って、コードターゲット10の大きさや撮影部102の撮影能などは、これによって定まるものである。
【0039】
以下、前記本発明の実施の形態に係るコードターゲット10を撮影して得た画像データから当該コードターゲット10に標示されたコードを検出し、さらに、同じコード、すなわち、同じコードターゲット10が検出された複数の画像データを対応付けて3次元空間座標等の情報を取得する3次元情報取得システムに200について説明する。
【0040】
3次元情報取得システム200は、図5に示すように、図2に示したコード検出システム100と同様に、制御部101、撮影部102、A/D変換部103、画像メモリ104及びROM106を備えるともに、RAM105´を備えたものであって、各部101乃至104、105´及び106はバス107によって接続されている。
【0041】
RAM105´は、制御部101により3次元情報取得システム200を構成する各部の動作を制御するための各種プログラム格納するメモリであり、前記コード検出システム100のRAM105に格納された各プログラム110乃至113の他に、例えば、画像データ対応付けプログラム114が格納されている。
【0042】
ROM105´に格納されている画像データ対応付けプログラム114は、前記コード特定手段によって複数の画像データから共通に検出された複数のコードを認識して対応付けを行う処理を制御部101が行うためのプログラムである。本発明においては、制御部101と画像データ対応付けプログラム114とが、画像データ対応付け手段として機能する。
【0043】
画像データ対応付け手段は、まず、前記コード特定手段によって複数の画像データから共通に検出された複数のコードターゲット10を認識する。認識するコードターゲット10の数は、3次元カメラ計算に必要な個数以上であればよい。そして、認識された各コードターゲット10の円形領域Cが変形した楕円形状C´の楕円パラメータPを前記RAM106からそれぞれ取得し、それらをもとに各コードターゲット10のコードを認識する。各コードターゲット10のコードが認識されると、複数の画像データ上の各コードターゲット10がそれぞれ対応付けられ、これに基づいて撮影部102の位置姿勢状態と立体像構成を認識する。次に、コードパターン3が無く基準パターン2のみからなる等のレギュラーターゲットの対応付けを各画像データに対して行い、最後にコードターゲット10、レギュラーターゲットのすべての対応付けから画像データ全体の3次元座標を生成する。これにより、3次元座標の精度向上を図ることができる。なお、3次元情報取得システム200は、全自動にて3次元情報を取得することが可能となるが、そのためには、同じコードを標示するコードターゲットを複数用いることがないように留意すべきである。
【0044】
このように複数の画像データの対応付けを行うことによって、3次元情報取得システム200は、コードターゲット10が付された対象物Tの特徴点などの3次元空間座標や3次元モデルなどの3次元情報を取得することができる。このような3次元情報取得システム200は、対象物Tの大きさや設置場所、撮影方向などに関わらず、また、対象物Tが移動するものであっても、3次元情報を取得することが可能な非常に柔軟性の高いシステムである。3次元情報取得システム200は、例えば、崖崩れや地殻変動等による地形表面の初期変化の計測、車両のバンパ等の工業生産物の3次元計測、橋梁や建物等の大型構造物の3次元計測、事故現場の再現等の3次元モデリングなどの多様な分野に適用することが可能である。
【0045】
なお、本発明に係るコードターゲット、コード検出システム及び3次元情報取得システムは、本発明の実施の形態としてそれぞれ示したコードターゲット10、コード検出システム100及び3次元情報取得システム200に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜設計変更できることは勿論である。
【0046】
コードターゲットは、図1(b)に示したように、裏面を接着面とするものに限定されない。例えば、コードターゲットを薄板状の永久磁石としても良い。これにより、コードターゲットの対象物に対する着脱が容易で繰り返し使用できると共に、付着する位置の修正も容易となる。また、対象物の平面状の表面に黒色インク等を塗布してコードターゲットを描いてもよい。
【0047】
また、コードターゲットは、図1(a)及び図1(b)に示すように、その基準パターン2が円形領域Cのみからなるものに限定されない。円形領域Cに他の形状パターンを含む基準パターンを備えたものであってもよい。例えば、図6(a)に示したコードターゲットは、基準パターンとして黒白に色分けされた3重円からなるものであり、その中央の黒円が円形領域となるものである。このようなコードターゲットを撮影して得た画像データにおいては、前記3重円は3重の相似形の楕円形状に変形されるので、前記円形領域抽出手段は、確実にその認識した3重の楕円形状が基準パターンの変形した形状であると認識することができる。従って、対象物Tの表面に円形模様がある場合等であっても、コードターゲットであることを確実に認識でき、誤ったコードの検出を防止することが可能となる。
【0048】
また、コードターゲットは、図1(a)及び図1(b)に示すように、そのコード領域Aが扇形状であるものに限定されない。前述したように、コード領域Aは、円形領域Cの中心Oと同心の仮想の基準円C1の円周を複数に等分した円弧を1つ含む領域であればよく、例えば、図6(b)に示すように、扇形状以外の形状であってもよい。
【0049】
また、コードターゲットは、図1(a)及び図1(b)に示すように、そのコードパターン3が、基準円C1を1つとし全体として1重の環形形状をなすコード領域Aからなるものに限定されない。例えば、図7(a)及び図7(b)に示すように、基準円を2つ以上とし全体として2重以上の環形形状をなすコード領域からなるものであってもよい。また、この場合、内側のコード領域と外側のコード領域とは、図7(a)に示すように隣接していても、図7(b)に示すように離間していてもよい。また、内側のコード領域と外側のコード領域との領域数は、図7(a)に示すように同じであっても、図7(b)に示すように異なっていてもよい。
【0050】
また、コードターゲットは、図1(b)に示すように、外部の白色の基準面4に対して基準パターン2の円形領域C内を黒色の領域としているが、これに限定されない。例えば、図7(c)に示すように、外部の黒色の基準面に対して基準パターンの円形領域内を白色の領域としてもよい。また、図示しないが、黒白の濃度差や濃度レベルにて円形領域Cやコード領域A1乃至A9を彩色することに限定されるものではなく、R,G,Bの色濃度によって濃度差や濃度レベルにてこれら各領域を彩色してもよい。さらに、コードターゲットは、図1(a)及び(b)に示すように、コード領域Aが基準円C1の円周を8等分した円弧をそれぞれ1つ含むものに限定されるものではなく、コード領域が基準円C1の円周を複数等分した円弧をそれぞれ1つ含むものであればよく、分割数はコードターゲットにコード化される情報量に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(a)は、本発明に係るコードターゲット1を、(b)は、本発明の実施の形態に係るコードターゲット10を、それぞれ示す表面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るコード検出システム100を示すブロック図である。
【図3】(a)は、コードターゲット10を、(b)は、コードターゲット10を撮影して得た画像データのローカル座標系においてコードターゲット10が変形した形状を、それぞれ示す図である。
【図4】コードターゲット10が変形した形状を示す図、及び切り出し開始のコード領域とコード列等の関係を示す表である。
【図5】本発明の実施の形態に係る3次元取得システム200を示すブロック図である。
【図6】(a)及び(b)は、それぞれ本発明に係るコードターゲットの変形例を示す表面図である。
【図7】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明に係るコードターゲットの変形例を示す表面図である。
【符号の説明】
【0052】
1、10 コードターゲット
2 基準パターン
3 コードパターン
100 コード検出システム
101 制御部(円形領域抽出手段、コード領域画像抽出手段、コード列取得手段、コード特定手段)
102 撮影部(撮影手段)
110 円形領域抽出プログラム(円形領域抽出手段)
111 コード領域画像抽出プログラム(コード領域画像抽出手段)
112 コード列取得手段プログラム(コード取得手段)
113 コード特定手段プログラム(コード特定手段)
200 3次元情報取得システム
A1〜A8 コード領域
C 円形領域
C1 基準円
D 楕円形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形領域を有する基準パターンと、当該基準パターンの周囲部に位置し、前記円形領域の中心と同心の仮想円の円周を等分した円弧をそれぞれ1つ含むコード領域からなるコードパターンと、を同一平面上に備え、前記コード領域内の濃度レベルを当該コード領域が標示するコードにそれぞれ対応させたことを特徴とするコードターゲット。
【請求項2】
請求項1に記載のコードターゲットの画像を撮影して得た画像データを解析し、当該コードターゲットに標示されたコードを検出することを特徴とするコード検出システム。
【請求項3】
請求項1に記載のコードターゲットを撮影する撮影手段と、
該撮影手段がコードターゲットを撮影して得た画像データから、当該コードターゲットの円形領域が変形した楕円形状を抽出する円形領域抽出手段と、
当該コードターゲットの仮想円が前記楕円形状と相似形に変形することに基づいて、当該コードターゲットのコード領域内の画像の画像データを抽出するコード領域画像抽出手段と、
該コード領域画像抽出手段が抽出した前記各コード領域の画像データの濃度レベルにそれぞれ対応するコードを求め、該コードを所定のコード領域順に配したコード列を取得するコード列取得手段と、
該コード列取得手段が取得したコード列から前記コード領域順に関わらず一意的に定まるコードを特定するコード特定手段と、
を備えることを特徴とするコード検出システム。
【請求項4】
請求項3に記載のコード検出システムによって検出されたコードが共通する複数の画像データに対して、該画像データの前記円形領域が変形した楕円形状に基づく対応付けを行うことにより3次元情報を取得することを特徴とする3次元情報取得システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−3233(P2007−3233A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180996(P2005−180996)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(301021658)株式会社三次元メディア (15)
【Fターム(参考)】