説明

シフト位置検出装置

【課題】車両用変速装置のシフト位置を、シフト位置に応じた接点を変えることによって検出する場合に、接点間の短絡故障を検知でき、シフト位置数の増加を容易にする。
【解決手段】シフト位置検出装置1は、シフト位置(P/R/N/D)に応じた接点SWに抵抗RとコンデンサCとを直列接続した回路を並列に接続する時定数設定部20を備え、各回路の時定数が異ならせてある。PNP型トランジスタTr1がONとなって接続点16から電圧Vccが時定数設定部20に印加されたとき、シフト位置判定部13が、観測点Bの電圧を取得して時定数を検出し、検出した時定数に対応するシフト位置を判定する。また、短絡検知部12は、電圧Vccが印加された際に、観測点Bにおける上流抵抗R1と時定数設定部20の合成抵抗との分圧比(または分圧電圧)を検出し、短絡していない正常時の分圧比(または分圧電圧)と比較することによって、短絡事故を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用変速装置のシフト位置を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用変速装置のシフト位置を検出する構成例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の構成は、シフトレバーの操作によって、シフト位置に応じた接点を接触させ、各接点に異なる電気抵抗を接続することで、電気抵抗の検出値からギヤシフト位置を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−295146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、接点間で短絡が起きた場合には、短絡した接点間と並列に配置された抵抗値はほぼ無効となるため、電気抵抗の検出値が正常時の検出値と区別できないケースが起こる。すなわち、接点間で短絡が起きた時と正常時との切り分けが困難になるという問題がある。
【0005】
また、特許文献1に記載の構成では、ギヤシフト位置を電気抵抗の検出値から求めているので、1つのシフト位置を識別するために、電気抵抗に印加する電圧の変動や電気抵抗値のバラツキに応じて検出値の幅を考慮する必要がある。したがって、接点間の短絡時と正常時とを切り分けるためには、短絡時の検出値が正常時の検出値の範囲に含まれないように電気抵抗値を設定する必要があり、設定可能な抵抗値の選択肢が限られることになり、接点数(シフト位置数)の増加を容易に行えないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明では、車両用変速装置のシフト位置を、シフト位置に応じた接点を変えることによって検出する場合に、接点間の短絡故障を検知でき、シフト位置数の増加を容易に行えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明における車両用変速装置のシフト位置を検出するシフト位置検出装置は、所定の信号入力に対して、前記シフト位置ごとに異なる時定数の出力信号を形成する時定数設定部と、前記時定数設定部の形成する出力信号を取得して、前記時定数を検出し、その検出した時定数に基づいて、前記シフト位置を判定するシフト位置判定部とを備えることを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、シフト位置検出装置は、新たにシフト位置を増加する場合に、時定数設定部において新たな時定数を設定すればよいので、シフト位置数の増加を容易に行うことができる。
【0009】
また、前記シフト位置検出装置の時定数設定部は、車両の移動に係るシフト位置の時定数を、他のシフト位置の時定数より小さくすることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、シフト位置検出装置は、車両の移動に係るシフト位置(例えば、D(前進)やR(後進))の時定数を、他のシフト位置(例えば、N(ニュートラル)やP(パーキング))の時定数より小さく設定する。したがって、接点間の短絡故障のときには時定数が大きくなる方向へ変化するため、車両の移動に係るシフト位置に誤検出され難くすることができる。
【0011】
また、前記シフト位置検出装置の時定数設定部は、シフト位置が選択されたときにONとなる接点に抵抗とコンテンサとを直列に接続した回路を、前記信号入力に対して並列に接続して構成し、前記抵抗の値が、すべての前記回路において同じに設定し、前記時定数が、前記コンデンサの静電容量によって異なるようにすることを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば、シフト位置検出装置は、新たにシフト位置を増加する場合に、他の回路では使用されていない静電容量のコンデンサを用いることによって新たな時定数を有する回路を並列に追加すればよいので、シフト位置数の増加を容易に行うことができる。また、接点間を含む回路間の短絡故障の場合には、複数のコンデンサが並列接続された状態となり、時定数が大きくなる方向へ変化するため、車両の移動に係るシフト位置の時定数を他のシフト位置の時定数より小さくすることによって、車両の移動に係るシフト位置に誤検出され難くすることができる。
【0013】
また、前記シフト位置検出装置は、前記信号入力を前記時定数設定部に印加した際に、前記信号入力を供給する接続点と前記時定数設定部との間に配置される上流抵抗と前記時定数設定部の合成抵抗とで分圧される分圧電圧を取得して、前記分圧電圧に基づいて前記時定数設定部内の短絡事故を検知する短絡検知部をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば、シフト位置検出装置は、接点間が短絡する短絡事故の場合に、時定数設定部内の合成抵抗が正常時の合成抵抗より小さくなるため、正常時とは分圧電圧(分圧比)が異なる。したがって、取得した分圧電圧(分圧比)を正常時の分圧電圧(分圧比)と比較することによって、接点間の短絡事故を検知することができる。また、短絡した接点の数に応じて、分圧電圧(分圧比)が異なるため、短絡した接点の数も検出することができる。また、短絡故障の検知に用いる分圧電圧(分圧比)はコンデンサの静電容量とは無関係に決まるため、コンデンサの静電容量を選択する際の制約が少ないため、シフト位置数の増加を容易に行うことができる。さらに、上流抵抗、時定数設定部の抵抗およびコンデンサとでローパスフィルタが構成されるため、ノイズに対しての耐久性を向上させることができる。
【0015】
また、前記シフト位置検出装置は、前記信号入力をOFFした際に、前記時定数設定部の形成した出力信号の電圧を所定値以下とするカット回路部を備えることを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、シフト位置検出装置は、カット回路部を備えることによって、時定数設定部へ印加する信号入力をOFFした際に、シフト位置判定部や短絡検知部で検出される検出値が時定数の影響を受けないようにすることができるので、シフト位置を検出するための監視周期が長くなることを抑止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接点間の短絡故障を検知でき、シフト位置数の増加を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態におけるシフト位置検出装置の構成例を示す図である。
【図2】時定数を検出するときに参照する波形の一例を示す図であり、(a)は観測点Aにおける電圧波形を表し、(b)は観測点Bにおける電圧波形を表し、(c)は観測点Cにおける電圧波形を表す。
【図3】カット回路の作用を説明するための波形の一例を示す図であり、(a)は観測点Aにおける電圧波形を表し、(b)は観測点Bにおける電圧波形を表す。
【図4】短絡事故の波形の一例を示す図であり、(a)は観測点Aにおける電圧波形を表し、(b)は観測点Bにおける電圧波形を表す。
【図5】変形例におけるシフト位置検出装置の構成例を示す図である。
【図6】変形例における時定数を検出するときに参照する波形の一例を示す図であり、(a)は観測点Aにおける電圧波形を表し、(b)は観測点Bにおける電圧波形を表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態(以降、「本実施形態」と称す)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
本実施形態におけるシフト位置検出装置1の構成例について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、シフト位置検出装置1は、コントロールユニット10および時定数設定部20とで構成される。
【0021】
時定数設定部20は、車両用変速装置のシフト位置(例えば、P(パーキング)/R(後進)/N(ニュートラル)/D(前進))に対応して、P用回路21、R用回路22、N用回路23およびD用回路24を備える。P用回路21、R用回路22、N用回路23およびD用回路24は、時定数設定部20の外部接続端子25,26間に並列に接続される。ただし、図1に示すシフト位置のP,R,N,Dは、代表例であって、これらに限られるものではなく、シフト位置数も4に限られなくてもよい。なお、外部接続端子26は、車体GND(グランド)に接続される。
【0022】
各回路は、接点SWに抵抗RとコンデンサCとを直列に接続して構成される。なお、接点SWは、シフト位置の操作にともなってON/OFFされ、シフト位置がシフトレバー等によって選択されたときにONとなる。例えば、P(パーキング)が選択された場合には、P用回路21の接点SWがONされ、他の回路22,23,24の接点SWはOFFとなる。なお、図1に記載のスイッチSWrは、接点SWをONからOFFに切り替えたときに、コンデンサCに蓄積されている電荷を放出するために設けてある。つまり、接点SWとSWrとの動作は反転動作となる。具体的には、接点SWがONの場合、スイッチSWrはOFFとなるため、コンデンサCに電荷がチャージされる。また、接点SWがOFFの場合、スイッチSWrはONとなり、コンデンサCに蓄積されている電荷が放電される。なお、図1に示した回路構成は、一例であり、これに限られなくとも良い。
【0023】
抵抗Rは、いずれの回路21,22,23,24においても同じ抵抗値である。この抵抗Rの条件は、後記する接点SWの短絡事故を検知するために必要となる。
また、コンデンサC1,C2,C3,C4の静電容量は、時定数が異なるようにするために、それぞれ異なっている。本実施形態では、C1>C3>C2>C4とする。
【0024】
この理由は、車両のシフト位置の検知において、接点SWのON故障(短絡故障)が発生した場合、誤ってD(前進)判定およびR(後進)判定となって誤走行することを防止するためである。具体的な例で説明すると、接点SWのON故障の組み合わせにおいて、最もコンデンサの静電容量の小さい組み合わせは、C4+C2となる。つまり、(C4+C2)>C2>C4となるため、誤走行となるような時定数になることを防止できる。さらに、D用回路24の接点SWとR用回路22の接点SWとを離した配置にした場合には、隣接する接点SWにおいて短絡故障が発生しても(C4+C2)よりも大きな(C4+C3)、(C4+C1)、(C2+C3)、(C2+C1)等の静電容量となることによって、C2やC4の静電容量から識別しやすくすることができる。
【0025】
また、シフト位置検出装置1は、上流抵抗R1と時定数設定部20の抵抗RおよびコンデンサCとでローパスフィルタが構成されるため、ノイズに対しての耐久性を向上させることができる。
【0026】
コントロールユニット10は、少なくとも、パルス波発生部11、短絡検知部12、シフト位置判定部13、カット回路14、コンパレータ15、PNP型トランジスタTr1および上流抵抗R1で構成される。ここで、図1中の符号A,B,Cは、電圧の観測点を表している。
【0027】
パルス波発生部11は、PNP型トランジスタTr1およびカット回路14のNPN型トランジスタTr2のスイッチング動作をON/OFFするために、パルス波を出力する機能を有する。
【0028】
短絡検知部12は、PNP型トランジスタTr1がONとなって、時定数設定部20に所定の信号入力が印加された際に、観測点Bの電圧を取得する。観測点Bの電圧は、上流抵抗R1と時定数設定部20内の合成抵抗とで分圧された分圧電圧となる。短絡検知部12は、取得した分圧電圧に基づいて分圧比を求め、分圧比に基づいて時定数設定部20内の短絡事故を検知する機能を有する。分圧比を用いる理由は、電圧Vccが変動した場合であっても、その変動を相殺できるためである。したがって、電圧Vccが安定している場合には、分圧電圧に基づいて短絡事故を検知しても構わない。なお、短絡事故の検知についての詳細は後記する。
【0029】
シフト位置判定部13は、PNP型トランジスタTr1がONとなって、時定数設定部20に所定の信号入力が印加された状態で取得される観測点Bの電圧と判定基準電圧Vrefとを比較するコンパレータ15の出力電圧に基づいて、時定数を検出し、その検出した時定数に基づいて、シフト位置を判定する機能を有する。なお、時定数の検出についての詳細は後記する。
【0030】
カット回路14は、NPN型トランジスタTr2によって構成され、時定数設定部20に印加する信号入力をOFFした際に、時定数設定部20の形成した出力信号の電圧を所定値以下とする機能を有する。このカット回路14の目的は、PNP型トランジスタTr1をOFFした後に観測点Bで検出される電圧を、時定数の検出や短絡故障の検出が可能となる電圧状態に初期化することにある。なお、カット回路14の作用についての詳細は後記する。
【0031】
コンパレータ15は、観測点Bにおける電圧と判定基準電圧Vrefとを比較し、観測点Bにおける電圧が判定基準電圧Vref以上のときに信号を出力する機能を有する。
【0032】
また、接続点16は、時定数設定部20に印加する所定の信号入力を供給する所定の電圧Vccが加えられる地点であり、上流抵抗R1の一端に位置している。PNP型トランジスタTr1のエミッタは上流抵抗R1の他端に接続され、PNP型トランジスタTr1のベースはパルス波発生部11に接続され、PNP型トランジスタTr1のコレクタは時定数設定部20の外部接続端子25に接続される。
【0033】
また、カット回路14のNPN型トランジスタTr2のコレクタはPNP型トランジスタTr1のコレクタと接続され、NPN型トランジスタTr2のベースはパルス波発生部11に接続され、NPN型トランジスタTr2のエミッタは車体GND(グランド)に接続されている。
【0034】
次に、時定数を検出するときに参照する波形の一例について、図2を用いて説明する(適宜、図1参照)。
図2(a)は、観測点Aにおいて観測される、パルス波発生部11から出力されるパルス波を表している。パルス波のパルスは、シフト位置を監視する周期で出力される。
【0035】
図2(b)は、観測点Bにおいて観測される、時定数設定部20の回路21,22,23,24の接点SWのいずれかがON状態のときの電圧波形を表している。回路21,22,23,24ごとに時定数が異なるため、信号入力に応じて、観測される電圧が目標の電圧値(すなわち、判定基準電圧Vref)に達するまでの時間が異なる。なお、図2(a)に示すパルス波の電圧が高い間は、PNP型トランジスタTr1はOFFとなっているため、時定数設定部20に信号入力は印加されない。
【0036】
図2(c)は、観測点Cにおいて観測される、コンパレータ15の出力波形を表している。例えば、コンパレータ15の判定基準電圧Vrefが、観測点Bで観測される最終値(=Vcc*R/(R1+R))の約63%に設定されている場合には、判定基準電圧Vrefに達するまでの時間が時定数となる。このようにして、シフト位置判定部13は、時定数を検出することができる。図2(c)では、コンデンサC1,C2,C3,C4の静電容量がC1>C3>C2>C4となっているので、時定数は、D用回路24、R用回路22、N用回路23、P用回路21の順で大きくなる。そして、シフト位置判定部13は、検出した時定数または判定基準電圧Vrefに達するまでの時間に基づいて、シフト位置を判定することができる。
【0037】
次に、カット回路14の作用について、図3を用いて説明する(適宜、図1参照)。図3(a)は、観測点Aで観測される、パルス波発生部11から出力されるパルス波を表している。また、図3(b)は、観測点Bで観測される、時定数設定部20によって形成される出力信号の電圧波形を表している。図3(b)に示すように、パルス波の電圧が高い間(すなわち、PNP型トランジスタTr1がOFFの間)に、時定数設定部20によって形成される電圧波形が所定の電圧以下になるようにする。そのため、カット回路14には、NPN型トランジスタTr2を用いて、パルス波の電圧が高い間にNPN型トランジスタTr2をONして、観測点Bの電位を車体GNDの電位と等しくする。つまり、カット回路14は、PNP型トランジスタTr1をOFFにした後に、急激に観測点Bの電圧を所定の電圧以下に下げる機能を有する。
このことによって、監視周期(パルス波の周期)を短くすることが可能となる。
【0038】
次に、短絡故障の検知について、図4を用いて説明する(適宜、図1参照)。図4(a)は、観測点Aで観測される、パルス波発生部11から出力されるパルス波を表している。また、図4(b)は、観測点Bで観測される、時定数設定部20によって形成される出力信号の電圧波形を表している。
【0039】
図4(b)に示すように、パルス波の電圧が低くなったときに、PNP型トランジスタTr1がONとなり、上流抵抗R1と時定数設定部20の合成抵抗との直列接続に電圧Vccが印加される。つまり、観測点Bでは、上流抵抗R1と時定数設定部20の合成抵抗との分圧比分の電圧(分圧電圧)が短絡検知部12によって取得される。図4(b)には、時定数設定部20における正常時(1接点ON時)の場合の電圧波形と、短絡故障時(2接点ON時)の場合の電圧波形とを表している。
【0040】
正常時(1接点ON時)の場合には、観測点Bにおいて検出される電圧はVcc*R/(R1+R)となり、分圧比はR/(R1+R)となる。この分圧比は、時定数設定部20内のいずれの回路21,22,23,24においても同じとなる。この理由は、回路21,22,23,24の抵抗Rが等しいであるためである。
【0041】
短絡故障時では、(1)2接点ON時には、合成抵抗はR/2となり、(2)3接点ON時には、合成抵抗はR/3となり、(3)4接点ON時には、合成抵抗はR/4となる。さらに、外部結線が車体GNDへ短絡した場合には合成抵抗は0となる。
このように、短絡故障時の合成抵抗はR/2以下となるため、短絡故障時の分圧比は、正常時の分圧比より小さくなる。したがって、短絡検知部12は、正常時に想定される分圧比から算出した電圧値に、観測点Bにおける電圧が到達するまでの時間が、所定の閾値以下である場合には短絡故障はないと判定し、所定の閾値より大きい場合には短絡故障があると判定する。
【0042】
以上、本実施形態におけるシフト位置検出装置1は、シフト位置に応じて接点SWに抵抗RとコンデンサCとを直列に接続した回路21,22,23,24を有し、回路21,22,23,24を並列に配置した時定数設定部20を備えている。そして、回路21,22,23,24ごとに、コンデンサCの静電容量は異ならせてあり、抵抗Rは等しくしている。したがって、シフト位置が選択されて接点SWがONとなった場合に、時定数の違いを検出することによって、シフト位置を判定することができる。また、新たにシフト位置を増加する場合には、他の回路では使用されていない静電容量のコンデンサCを用いることによって新たな時定数を有する回路を並列に追加すればよいので、シフト位置数の増加を容易に行うことができる。
【0043】
また、接点間の短絡故障のときには、複数のコンデンサが並列接続された状態となり、時定数が大きくなる方向へ変化するため、車両の移動に係るシフト位置の時定数を他のシフト位置の時定数より小さくすることによって、車両の移動に係るシフト位置に誤検出され難くすることができる。
【0044】
また、シフト位置検出装置1は、上流抵抗R1と時定数設定部20とを直列に接続した構成であり、時定数設定部20内の短絡故障時には時定数設定部20内の抵抗は並列接続となるため、上流抵抗R1と時定数設定部20の合成抵抗との分圧電圧または分圧比に基づいて、時定数設定部20の短絡故障を検出することができる。
【0045】
なお、本実施形態では、図1に示すように、時定数設定部20へ所定の信号入力を印加するためのスイッチとしてPNP型トランジスタTr1を用い、カット回路14にはNPN型トランジスタTr2を用いる構成について説明した。しかし、これに限られることはなく、変形例として、図5に示すように、PNP型トランジスタTr1の代わりにNPN型トランジスタTr3を用い、カット回路14にはPNP型トランジスタTr4を用いても構わない。そして、この変形例の場合には、パルス波発生部11は、図6(a)のようなパルス波を出力すれば、本実施形態と同様の機能を実現することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 シフト位置検出装置
10,10a コントロールユニット
11 パルス波発生部
12 短絡検知部
13 シフト位置判定部
14,14a カット回路
15 コンパレータ
16 接続点
20 時定数設定部
21 P用回路
22 R用回路
23 N用回路
24 D用回路
25,26 外部接続端子
C,C1,C2,C3,C4 コンデンサ
R 抵抗
R1 上流抵抗
SW 接点
Tr1,Tr4 PNP型トランジスタ
Tr2,Tr3 NPN型トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用変速装置のシフト位置を検出するシフト位置検出装置であって、
所定の信号入力に対して、前記シフト位置ごとに異なる時定数の出力信号を形成する時定数設定部と、
前記時定数設定部の形成した出力信号を取得して、前記出力信号から前記時定数を検出し、その検出した時定数に基づいて、前記シフト位置を判定するシフト位置判定部と
を備えることを特徴とするシフト位置検出装置。
【請求項2】
前記時定数設定部は、車両の移動に係るシフト位置の時定数を、他のシフト位置の時定数より小さくする
ことを特徴とする請求項1に記載のシフト位置検出装置。
【請求項3】
前記時定数設定部は、
前記シフト位置が選択されたときにONとなる接点に抵抗とコンテンサとを直列に接続した回路を、前記信号入力に対して並列に接続して構成し、
前記抵抗の値は、すべての前記回路において同じに設定し、
前記時定数は、前記コンデンサの静電容量によって異なるようにする
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシフト位置検出装置。
【請求項4】
前記信号入力を前記時定数設定部に印加した際に、前記信号入力を供給する接続点と前記時定数設定部との間に配置される上流抵抗と前記時定数設定部の合成抵抗とで分圧される分圧電圧を取得して、前記分圧電圧に基づいて前記時定数設定部内の短絡事故を検知する短絡検知部
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のシフト位置検出装置。
【請求項5】
前記信号入力をOFFした際に、前記時定数設定部の形成した出力信号の電圧を所定値以下とするカット回路部
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のシフト位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86607(P2013−86607A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227602(P2011−227602)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】