説明

シリコーン含有封止材

【課題】低内部応力およびより良い黄変防止性能を達成する固体発光素子に使用し得る、改良された封止材組成物を提供する。
【解決手段】シリコーン含有封止材組成物に関する。封止材組成物の一つの態様は、(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;(c)上述の(a)および(b)と均一混合物を形成し得る、0.1〜30重量%のカルビノール機能シリコーン樹脂;および、(d)0.1〜5重量%の反応性UV吸収剤またはHALS;および反応性酸化防止剤および/またはリン含有難燃剤を含む。封止材組成物は、固体発光素子に使用して、低内部応力およびより良い抗黄変性能を達成し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止材組成物に関し、より具体的には、固体発光素子に使用し得る、封止材組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(LED)は、LCDバックライト光源、大型ディスプレイ装置、および光照明機器等の多数の電子デバイスにおいて、広く使用されている。故に、高輝度を有するLEDの需要が増している。種々のLED用途の環境的要求により、発光素子における使用に好適な封止材組成物は、高電流が適用された場合に高温に抵抗するため、均一である、高透明度を有する、および長期貯蔵容量の能力がある等の、いくつかの特徴を有するべきである。LEDに使用される従来の透明封止材材料としては、エポキシまたはシリコーン樹脂が挙げられ、シリコーン樹脂はより優れた光学特性を有するが、コストは高い。一方で、エポキシ樹脂は、低コストであるため、広く使用されてきた。しかし、エポキシ樹脂は、LEDの封止材組成物として使用される場合、黄変が起こるという重大な問題を有する。高出力操作の高温によって引き起こされるエポキシ樹脂の黄変は、短波長光の透過率に影響し、かつ色ずれ発生の可能性がある。従って、エポキシ樹脂は、高電流および高温操作環境では使用される用途が制限される。
【0003】
エポキシ樹脂等の封止材組成物の黄変防止は、通常、酸化防止剤の添加によって達成される。添加される酸化防止剤は、過酸化物基を除去して連鎖反応を止めるか、ポリマーの分解の間に産生されるヒドロペルオキシドを分解することによって、ポリマーの分解速度を低下させ得る。しかし、酸化防止剤の添加によって達成される黄変防止は、LEDの長時間の操作には満足できず、好適な酸化防止剤を見つけるのが難しいだけではなく、いくつかの酸化防止剤は、封止材材料内でのマイグレーションの問題を起こし得る、高揮発性を有することも判っている。
【0004】
加えて、高出力操作の間の高温が引き起こす内部応力は、半導体素子に悪影響を与え、短絡を引き起こし、適用されたLEDの輝度を低下させる可能性がある。従って、封止材組成物の内部応力を低下させるため、米国特許第5,145,88号には4つの方法が開示されており:(1)封止材組成物のガラス転移温度(Tg)の低下;(2)封止材組成物の線膨張係数の低下;(3)弾性(E)のヤング率の低下;および(4)収縮率(ε)の低下が含まれる。一般に、ガラス転移温度(Tg)の低下により、高温での封止材の機械的強度が低下し;弾性のヤング率の低下により、封止材のチップ、回路基板またはリードフレームへの接着が劇的に低下し;加えて、フィラーをかなり増量すると、封止材の粘度は上がりすぎて、加工性に好ましくなくなる。
【0005】
米国特許第6,800,373号には、シリコーン樹脂、低分子量脂環式化合物、芳香族化合物、エポキシ樹脂官能基を有する複素環化合物、およびシロキサン界面活性剤を含む、封止材組成物が開示されている。しかし、光透過性は不十分であり、シロキサン界面活性剤は、反応に関与せず、また一般的エポキシ封止材組成物と均一な混合物を形成しない。
【0006】
従って、低内部応力およびより良い黄変防止性能を達成する固体発光素子に使用し得る、改良された封止材組成物を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,145,88号
【特許文献2】米国特許第6,800,373号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、LED等の固体発光素子用の封止材組成物であって、黄変の問題を克服し、長時間の高温操作条件において低内部応力を達成するものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明は、(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;(c)前記(a)および(b)と均一混合物を形成し得る、0.1〜30重量%のカルビノールシロキサン樹脂;および(d)0.1〜5重量%の反応性UV吸収剤および/または反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS):を含む、封止材組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;(c)前記(a)および(b)と均一混合物を形成し得る、0.1〜30重量%のカルビノールシロキサン樹脂;(d)0.01〜3.0重量%の硬化促進剤;
(e)0.1〜5重量%の反応性UV吸収剤;および(f)0.1〜5重量%の反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS):を含む、別の封止材組成物を提供する。加えて、反応性酸化防止剤およびリン含有難燃剤を選択的に使用し得る。
【0011】
加えて、本発明は、(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;(c)前記(a)および(b)と均一混合物を形成し得る、0.1〜30重量%のカルビノールシロキサン樹脂;(d)0.1〜5重量%の一般的UV吸収剤;および(e)0.1〜5重量%の一般的ヒンダードアミン系光安定剤(HALS):を含む、シリコーン含有封止材組成物も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、技術的特徴および利点を、以下により詳細に説明する。
【0013】
本発明は、LED等の固体発光素子用の封止材組成物であって、低内部応力を達成し、長時間かつ高温操作でより良い黄変防止性能を与え得るものを提供する。本発明は、エポキシ樹脂および酸無水物の存在下、カルビノールシロキサン樹脂を導入して、エポキシ樹脂組成物を硬化する間の硬度および内部応力を低下させ;加えて、カルビノールシロキサン樹脂の使用により、封止材のクラッキングを防ぎ、低接着の問題を克服し得る。反応基を有するUV吸収剤およびヒンダードアミン系光安定剤(HALS)の添加は、封止材の黄変防止能力の向上に寄与し得る。
【0014】
カルビノールシロキサン樹脂の添加により、エポキシ樹脂と酸無水物との重合後に、もしあれば、残った未反応の酸無水物と反応して、未反応の酸無水物によって引き起こされる黄変を減少させることが可能である。また、カルビノールシロキサン樹脂は、エポキシ樹脂の反応基と反応して、封止材の弾性を増加させ得る。さらに、残ったあらゆる未反応のカルビノールシロキサン樹脂は、フィラーとして働いて、封止材の線膨張率を低下させ得る。本発明では、カルビノールシロキサン樹脂は、以下の式の化合物である:
【0015】
【化1】

【0016】
式中、(R1O)mは、アルキレンオキシド基(m=1のとき)またはポリ(アルキレンオキシド)基(m>1のとき)であり;R1は独立して、−C24−、−C36−、−C48−から選択される、線状および分枝状の二価の基を表す。mが1より大きいとき、例えば、2またはそれ以上のとき、アルキレンオキシド基は同一または異なって、ポリ(アルキレンオキシド)ホモポリマー、ランダムコポリマー、およびブロックコポリマーを形成し得ることに注目すべきである。
【0017】
2およびR3は独立してHまたはC1〜C2アルキルであり;R4はHまたはC1〜C2アルキルであって、R2と同一または異なり;xは1〜100の整数であり;yは1〜100の整数であり;nは1〜5の整数であり;および、mは1〜40の整数である。
【0018】
カルビノールシロキサン樹脂は、内部応力および線膨張率がより低い利点があるが、全ての黄変の問題を解決し得ず、従って、反応基を有するUV吸収剤および/またはヒンダードアミン系光安定剤(HALS)の添加が有効であろう。使用するカルビノールシロキサン樹脂の量を調節することによって、OHまたはCOOH反応基を含有する反応性UV吸収剤が封止材と反応して、高分子UV吸収剤を形成し得る。故に、低分子量UV吸収剤のマイグレーションによる揮発が減少し、ひいては、UV吸収剤の長期的な性能を増進し得る。このタイプの封止材の黄変防止性能は実質的に向上しているので、LEDに対する長期的な要求は満足され得る。
【0019】
本発明の封止材組成物は、(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;(c)前記(a)および(b)と均一混合物を形成し得る、0.1〜30重量%のカルビノールシロキサン樹脂;および(d)0.1〜5重量%の反応性UV吸収剤または反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS):を含む。また、本発明は、(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;(c)前記(a)および(b)と均一混合物を形成し得る、0.1〜30重量%のカルビノールシロキサン樹脂;(d)0.01〜3.0重量%の硬化促進剤;(e)0.1〜5重量%の反応性UV吸収剤;および(f)0.1〜5重量%の反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含む:別の封止材組成物も提供する。加えて、反応性酸化防止剤およびリン含有難燃剤を選択的に使用し得る。
【0020】
本発明の封止材組成物は、主成分としてエポキシ樹脂および硬化剤、封止材の内部応力を低下させるためのカルビノールシロキサン樹脂、および反応基を有するUV吸収剤またはヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を含み、さらに、より良い黄変防止性能を増進するために、反応性酸化防止剤およびリン含有難燃剤を選択的に添加し得る。本発明の封止材組成物では、(a)エポキシ樹脂は、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、またはシリコーン修飾エポキシ樹脂であってもよく;(b)酸無水物硬化剤は、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)またはヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)であってもよく;(c)カルビノールシロキサン樹脂は、以下の式の化合物であってもよく:
【0021】
【化2】

【0022】
式中、(R1O)mは、アルキレンオキシド基(m=1のとき)またはポリ(アルキレンオキシド)基(m>1のとき)であり;R1は独立して、−C24−、−C36−、−C48−から選択される、線状および分枝状の二価の基を表す。mが1より大きいとき、例えば、2またはそれ以上のとき、アルキレンオキシド基は同一または異なって、ポリ(アルキレンオキシド)ホモポリマー、ランダムコポリマー、およびブロックコポリマーを形成し得ることに注目すべきである。R2およびR3は独立してHまたはC1〜C2アルキルであり;R4はHまたはC1〜C2アルキルであって、R2と同一または異なる。本発明の好ましい態様では、R2およびR4は両者ともメチルであってもよい。xは1〜100の整数であり;yは1〜100の整数であり;nは1〜5の整数であり;および、mは1〜40の整数である。
【0023】
例えば、シルウェット(Silwet)L−7608、コートオシル(CoatOSil)7604、BYK−373、BYK−377、およびテゴプレン (TEGOPREN)5842等の市販品が、本書におけるカルビノールシロキサン樹脂として働き得る。
【0024】
本発明の別の封止材組成物では、主成分として使用されるエポキシ樹脂および硬化剤に加えて、封止材の内部応力を低下させるため、カルビノールシロキサン樹脂をさらに含有してもよく、同時に、反応基を有する、反応性UV吸収剤または反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)を選択的に添加してもよい。また、反応性酸化防止剤およびリン含有難燃剤を選択的に使用して、封止材の黄変防止性能を増進し得る。(a)エポキシ樹脂、(b)酸無水物硬化剤、および(c)カルビノールシロキサン樹脂の詳細な情報は、上述の通りである。(d)硬化促進剤は、臭化テトラエチルアンモニウムまたは臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウム塩;または、臭化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラ−n−ブチルホスホニウム、ヨウ化メチルトリブチルホスホニウム、ジメチルリン酸メチルトリ−n−ブチルホスホニウム、またはテトラフルオロホウ酸テトラエチルホスホニウム等の、テトラアルキルホスホニウム塩であってもよい。反応性UV吸収剤は、以下の式の化合物であってもよい:
【0025】
【化3】

【0026】
式中、p、q、w、xはそれぞれ独立して、1〜5の整数であり;RはHまたはC1〜C8アルキルであり;R5は直鎖または分枝鎖を有するC2〜C4アルキルである。(f)反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、以下の式の化合物であってもよい:
【0027】
【化4】

【0028】
式中、yは0〜8の整数である。
【0029】
加えて、反応性酸化防止剤およびリン含有難燃剤は、封止材の黄変防止性能を増進する添加剤として働き得る。リン含有難燃剤は、例えば、トリフェニルホスファイトおよび3,4:5,6−ジベンゾ−2H−1,2−オキサホスホリン−2−オキシドであってもよい。
【0030】
本発明の封止材組成物は、(1)カルビノールシロキサン樹脂の添加による、低内部応力;(2)反応基を有するUV吸収剤またはヒンダードアミン系光安定剤(HALS)の添加、および、反応性酸化防止剤およびリン含有難燃剤の添加による、優れた黄変防止性能;および(3)高分子UV吸収剤および/または高分子ヒンダードアミン系光安定剤をその場で形成することによる、長期的な黄変防止性能等の、多数の様相において有利であり、故に、一般的な低分子量UV吸収剤および/またはヒンダードアミン系光安定剤のマイグレーションおよび高揮発性による、含有するUV吸収剤が減少する可能性を回避する。
【実施例】
【0031】
[実施例1]
[表1の組成]主成分

【0032】
ここで使用したエポキシ樹脂は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(NPEL−128E、ナン・ヤ・プラスチックス社(Nan Ya Plastics Company)より購入)であり、ここで使用した酸無水物硬化剤は、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)であり、ここで使用したカルビノールシロキサン樹脂Aは、シルウェット(Silwet)L−7608(GEシリコーン社より購入)である。
【0033】
テトラアルキルホスホニウム塩(硬化促進剤)を室温で硬化剤(表1中のMHHPA等)中に添加し、撹拌して、溶液を形成し(約0.5時間)、その後、更なる成分を添加して撹拌し、均一な混合物とした。得られた樹脂混合物は、120℃で1.5時間加熱した後、140℃で3.5時間加熱して、硬化させた。
【0034】
このようにして形成されたフィルムは、熱機械分析(TMA、パーキン・エルマー(Perkin Elmer)DMA7e)に附し、試験温度25〜250℃、加熱速度5℃/分での内部応力(α2/α1)値を測定した。結果を以下の表1に挙げる。
【0035】
[表1]

【0036】
[実施例2]
[表2の組成]主成分

【0037】
シルウェット(Silwet)L−7608をコートオシル(CoatOSil)7604(GEシリコーン社より購入)で置換した以外は、実施例1に記載したものと同様の方法に従った。測定した内部応力(α2/α1)値を、以下の表2に示す。
【0038】
[表2]

【0039】
[実施例3]
[表3の組成]主成分

【0040】
カルビノールシロキサン樹脂CがBYK−373(BYK社より購入)であった以外は、実施例1に記載したものと同様の方法に従い、測定した内部応力(α2/α1)値を、以下の表3に示す。
【0041】
[表3]

【0042】
上記の表1〜3に示す結果より、カルビノールシロキサン樹脂A、BおよびCの使用により、エポキシ樹脂の硬度を低下し、有機材料および無機材料の種々の熱膨張係数によって引き起こされる内部応力を低下し得ると考えられる。詳しくは、カルビノールシロキサン樹脂の含量が増えた場合、内部応力(α2/α1)値が減少する。ガラス転移温度の上下での熱膨張係数の差は小さくなり、このことは、内部応力が効果的に削減され、封止材のクラッキングおよび電子機器の短絡の問題が克服され得ることを意味する。
【0043】
[実施例4]
[表4の組成]主成分

【0044】
ここで使用したエポキシ樹脂は、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(NPEL−128E、ナン・ヤ・プラスチクス社(Nan Ya Plastics Company)より購入)であり、カルビノールシロキサン樹脂Aは、シルウェット(Silwet)L−7608(GEシリコーン社より購入)であり、ここで使用した酸無水物硬化剤は、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)であり、ここで使用した反応性UVA(UV吸収剤)は、SV8A(エバーライト・ケミカル・インダストリー社(Everlight Chemical Industrial Corp.)製)であり、ここで使用した一般的UVAはEV81(エバーライト・ケミカル・インダストリー社製)である。
【0045】
【化5】

【0046】
樹脂混合物は、硬化時間が120℃で2時間加熱し、その後140℃で4時間加熱した以外は、実施例1に記載した方法と同様に調製した。
【0047】
実施例4で製造したフィルム(厚さ3mm)は、その後、QUA促進耐候性テスター(モデルQUV/SE太陽眼照射コントロール(solar Eye Irradiance Control))に入れ、試験条件は、温度70℃;340nm;および1.35w/m2であった。分光光度計(SPECTROPHOTOMETER CM-3500d/ミノルタ)を使用して、UV光照射の前と後に、黄度インデックス(YI)を測定したが、ΔYI=YI/t−YI/t0である。結果を以下の表4に示す。
【0048】
[表4]

【0049】
上記の表4において、「不適」は、露光336時間後に、ΔYI値>3.00であることを意味し、「適」は、露光336時間後に、ΔYI値<3.00であることを意味する。
【0050】
[実施例5]
[表5の組成]主成分

【0051】
実施例1に記載したものと同様の方法を用いて、ヒンダードアミン系光安定剤の効果を測定した。本実施例における反応性ヒンダードアミン系光安定剤はIA38(中国のナントン・シティ・ゼンジン・ファインケミカル社(Nantong City Zhenxing Fine Chemical Co.,Ltd.)より購入)であり、一般的ヒンダードアミン系光安定剤はEV77(エバーライト・ケミカル・インダストリアル社(Everlight Chemical Industrial Corp.)より購入)である。測定したΔYI値を以下の表5に示す。
【0052】
[表5]

【0053】
上記の表5において、「不適」は、露光336時間後に、ΔYI値>3.00であることを意味し、「適」は、露光336時間後に、ΔYI値<3.00であることを意味する。
【0054】
上記の表4および5に示した結果によれば、反応基を有するUVAおよびヒンダードアミン系光安定剤の添加により、優れた黄変防止効果を達成し得ることが示された。本発明を、その好ましい態様に関して説明したが、以下に特許請求した通りの発明の範囲を逸脱することなく、多くの他の可能な改良および変化がなされ得ることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;
(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;
(c)前記(a)および(b)と均一混合物を形成し得る、0.1〜30重量%のカルビノールシロキサン樹脂;および
(d)0.1〜5重量%の反応性UV吸収剤または反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS):
を含む、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項2】
請求項1のシリコーン含有封止材組成物であって、エポキシ樹脂が、芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、またはシリコーン修飾エポキシ樹脂よりなる群から選択される、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項3】
請求項1のシリコーン含有封止材組成物であって、酸無水物硬化剤が、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)またはヘキサヒドロフタル酸無水物(HHPA)よりなる群から選択される、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項4】
請求項1のシリコーン含有封止材組成物であって、カルビノールシロキサン樹脂が、以下の式の化合物である、シリコーン含有封止材組成物:
【化1】

式中、(R1O)mは、m=1のとき、アルキレンオキシド基であり、または、m>1のとき、ポリ(アルキレンオキシド)基であり;R1は独立して、−C24−、−C36−、および−C48−から選択される線状および分枝状の二価の基を表し;mが1より大きいとき、アルキレンオキシド基は同一であるか互いに異なって、ポリ(アルキレンオキシド)ホモポリマー、ランダムコポリマー、およびブロックコポリマーを形成し;R2およびR3は独立して、HまたはC1〜C2アルキルであり;R4は、HまたはC1〜C2アルキルであり、R2と同一または異なり;xは1〜100の整数であり;yは1〜100の整数であり;nは1〜5の整数であり;および、mは1〜40の整数である。
【請求項5】
請求項1のシリコーン含有封止材組成物であって、反応性UV吸収剤が、以下の式の化合物から選択される少なくとも一つである、シリコーン含有封止材組成物:
【化2】

式中、p、q、w、xはそれぞれ独立して、1〜5の整数であり;RはHまたはC1〜C8アルキルであり;R5は直鎖または分枝鎖を有するC2〜C4アルキルである。
【請求項6】
請求項1に記載のシリコーン含有封止材組成物であって、反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が:
【化3】

であって、式中、yは0〜8の整数である、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項7】
請求項1のシリコーン含有封止材組成物であって、さらに0.01〜3.0重量%の硬化促進剤を含み、硬化促進剤は、テトラアルキルアンモニウム塩およびテトラアルキルホスホニウム塩よりなる群から選択される、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項8】
請求項1のシリコーン含有封止材組成物であって、さらに0.1〜5重量%の反応性酸化防止剤および/またはリン含有難燃剤を含む、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項9】
請求項1のシリコーン含有封止材組成物であって、シリコーン含有封止材組成物がLED封止に使用される、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項10】
(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;
(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;
(c)前記(a)および(b)と均一混合物を形成し得る、0.1〜30重量%のカルビノールシロキサン樹脂;
(d)0.01〜3.0重量%の硬化促進剤;
(e)0.1〜5重量%の反応性UV吸収剤;および
(f)0.1〜5重量%の反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS):
を含む、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項11】
請求項10のシリコーン含有封止材組成物であって、硬化促進剤が、テトラアルキルアンモニウム塩およびテトラアルキルホスホニウム塩よりなる群から選択される、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項12】
請求項10のシリコーン含有封止材組成物であって、反応性UV吸収剤が、以下の式の化合物から選択される少なくとも一つである、シリコーン含有封止材組成物:
【化4】

式中、p、q、w、xはそれぞれ独立して、1〜5の整数であり;RはHまたはC1〜C8アルキルであり;R5は直鎖または分枝鎖を有するC2〜C4アルキルである。
【請求項13】
請求項10のシリコーン含有封止材組成物であって、反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が以下の式の化合物である、シリコーン含有封止材組成物:
【化5】

式中、yは0〜8の整数である。
【請求項14】
請求項10のシリコーン含有封止材組成物であって、さらに0.1〜5重量%の反応性酸化防止剤および/またはリン含有難燃剤を含む、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項15】
請求項1のシリコーン含有封止材組成物であって、シリコーン含有封止材組成物がLED封止に使用される、シリコーン含有封止材組成物。
【請求項16】
(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;
(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;
(c)0.1〜5重量%の反応性UV吸収剤または反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS);および
(d)0.1〜5重量%の反応性酸化防止剤および/またはリン含有難燃剤:
を含む、エポキシ封止材組成物。
【請求項17】
請求項16のエポキシ含有封止材組成物であって、反応性UV吸収剤が、以下の式の化合物から選択される少なくとも一つである、エポキシ含有封止材組成物:
【化6】

式中、p、q、w、xはそれぞれ独立して、1〜5の整数であり;RはHまたはC1〜C8アルキルであり;R5は直鎖または分枝鎖を有するC2〜C4アルキルである。
【請求項18】
請求項16に記載のエポキシ含有封止材組成物であって、反応性ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)が:
【化7】

であって、式中、yは0〜8の整数である、エポキシ含有封止材組成物。
【請求項19】
(a)30〜60重量%のエポキシ樹脂;
(b)30〜60重量%の酸無水物硬化剤;
(c)前記(a)および(b)と均一混合物を形成し得る、0.1〜30重量%のカルビノールシロキサン樹脂;
(d)0.1〜5重量%の一般的UV吸収剤;および
(e)0.1〜5重量%の一般的ヒンダードアミン系光安定剤(HALS):
を含む、シリコーン含有封止材組成物。

【公開番号】特開2012−84641(P2012−84641A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−228442(P2010−228442)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(598062332)エバーライト ユーエスエー、インク (13)
【Fターム(参考)】