説明

シリマリン含有光老化防止剤キット

【課題】本発明は、光老化防止を課題とし、紫外線などによる皮膚の光老化を防止する効果に優れる光老化防止剤、また、外用剤と内服剤を併用することにより格段に光老化防止効果を高めた光老化防止剤キットの提供をその目的とする。
【解決手段】
シリマリンを含有することを特徴とする光老化防止剤を提供すること、及びシリマリンを含有する外用剤と、シリマリンを含有する内服剤で構成されることを特徴とする光老化防止剤キットを提供することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリマリンを含有する光老化防止剤、あるいは、シリマリンを含有する外用剤とシリマリンを含有する内服剤で構成されることを特徴とする光老化防止剤キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シリマリンは老化を防ぐのに有用であり、紅斑、火傷、皮膚又は粘膜のジストロフィー状態、皮膚炎等の治療における治癒を促進し、外部環境からの刺激(放射線、風、太陽等)から皮膚を保護するのに有用であることが知られている(特許文献1)。また、シリマリンの皮脂分泌抑制効果(特許文献2)、表皮透過バリア強化効果(特許文献3)、乾癬及びアトピー性皮膚炎の治療効果(特許文献4)、表皮の扁平化改善効果(特許文献5)抗酸化能に起因する皮膚老化防止用の化粧料(特許文献6)、I型コラーゲン及びエラスチンの産生促進効果(特許文献7)が知られている。
【0003】
一方、皮膚の蛍光励起スペクトルを測定することにより、皮膚中のトリプトファン量を測定する方法が確立されており、光老化によってトリプトファン量が増大することが確認されている(非特許文献1〜3)。すなわち、皮膚中のトリプトファン量は光老化の指標として有用である。
【0004】
従来技術において、シリマリンの老化防止に関して言及されているが、シリマリンの光老化防止効果は評価されていない。また、外用剤か又は内服剤として別個に研究されており、外用剤、内服剤の双方の投与経路を併用し、相乗的に皮膚の光老化を防止しようとする試みは全くされていなかった。
【特許文献1】特開平1−100132号公報
【特許文献2】特開2000−169332号公報
【特許文献3】特開2000−169328号公報
【特許文献4】特開平5−286864号公報
【特許文献5】特開2004−91397号公報
【特許文献6】特公平5−9406号公報
【特許文献7】国際公開WO2004/85429号公報
【特許文献8】特公昭63−41396号公報
【非特許文献1】Nikiforos K.,et al.,J.of Investigative Dermatology,111,776,1998.
【非特許文献2】Lorenzo B.,et al.,J.of Investigative Dermatology,113,977,1999.
【非特許文献3】Wei D.T.,et al.,J.of Investigative Dermatology,113,977,1999.
【非特許文献4】天然薬物事典、奥田拓男編、廣川書店、昭和61年3月3日 発行
【非特許文献5】Wagner H.,et al.,Arznein.Forsch,18,696,1968.
【非特許文献6】Wagner H.,et al.,Arznein.Forsch,24,466,1974.
【非特許文献7】Tittel G.,et al.,J.Chromatogr.,135,499,1977.
【非特許文献8】Tittel G.,et al.,J.Chromatogr.,153,227,1978.
【非特許文献9】Quercia V.,et al.,Chromatography in Biochemistry,Medicine and EnviromentalResearch,Frigerio A.(Ed).,Elsevier Scientific Publishing Company,Amsterdam,1983,p1.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
身体内で日光に暴露され易い部位である顔面、首、手、腕の皮膚は、衣服により日光から遮蔽されている臀部、体躯部の皮膚と比べて弾力性の低下、シワ、タルミあるいはシミの発生が顕著であり、老化の程度に大きな差があることは良く知られている。皮膚の老化を防止するためには光老化を防止することがとりわけ重要である。
【0006】
本発明は、光老化防止を課題とし、紫外線などによる皮膚の光老化防止効果に優れる光老化防止剤、外用剤と内服剤を併用することにより格段に光老化防止効果を高めた光老化防止剤キットの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主な構成は、次のとおりである。
1.シリマリンを含有することを特徴とする光老化防止剤、
2.シリマリンを含有する外用剤と、シリマリンを含有する内服剤で構成されることを特徴とする光老化防止剤キット、
に関する。
【発明の効果】
【0008】
1.光老化防止効果に優れるシリマリンを含有する光老化防止剤を提供することができた。
2.シリマリンを含有する外用剤と内服剤を併用することにより、外用剤、内服剤それぞれ単独で適用するよりも高い光老化防止効果を実現することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
シリマリン(Silymarin;CAS No.65666−07−1)は、キク科マリアアザミ(学名シリバム・マリアナムSilibum marianum Gaertn、別名オオアザミ、オオヒレアザミ、ミルクアザミ;CAS No.84604−20−6)から抽出されるフラボノリグナンの総称であり、分子式C252210で表されるシリビン(Silybin;CAS No.22888−70−6)、シリジアニン(Silydianin;CAS No.29782−68−1)、シリクリスチン(Silychristin;CAS No.33889−69−9)、イソシリビン(Isosilybin;CAS No.72581−71−6)などを含有している組成物である(非特許文献4)。本発明においては、マリアアザミ抽出物に含有されるこれらのフラボノリグナンを含有している組成物を従来技術と同様、シリマリンと呼ぶ。またシリマリンは前記の通りフラボノリグナンの混合物であり、シリマリンとしての植物抽出物や植物中の含有量は、分光光度計による測定に基づいた方法(非特許文献5)、薄層クロマトグラフィーによる方法(非特許文献6)、高速液体クロマトグラフィーによる方法(非特許文献7〜9)により測定可能である。これらの測定法の中でも、分光光度計による測定に基づいた方法の一つである2,4−ジニトロヒドラジン分析は、ドイツ薬局方(Silybum marianumの果実に関するモノグラフ)に報告されており、広く用いられている。本発明においても、上記成分の混合組成物の定量にあたっては2,4−ジニトロヒドラジン分析法を用いてシリマリンに換算した質量%で表記する。
【0010】
シリマリンをマリアアザミの果実から高純度で単離する方法として、70〜80%の純度で単離する方法や90〜96%の純度で単離する方法(特許文献8)が既に報告されている。シリマリンは通常マリアアザミの種実からエタノール、酢酸エチル、アセトンなどにより抽出し、スプレードライにより乾燥粉末として得られる抽出物原料として市販されている。本発明に使用するシリマリンはこのようにして調製されて、市販されているシリマリンをそのまま用いることができる。また、マリアアザミからシリビン、シリジアニン、シリクリスチン、イソシリビンなどのシリマリンの構成成分を濃縮した抽出物及びそれらを単離、精製して化合物として用いることができる。
【0011】
本発明におけるシリマリンを含む植物体は、葉、茎、芽、花、木質部、木皮部(樹皮)などの地上部、根、塊茎などの地下部、種子、樹脂などのすべての部位が使用可能である。
【0012】
本発明におけるシリマリン及びそれを含む植物体は、それら自体を乾燥させた乾燥物及びそれらを各種溶媒を用いて溶解した溶解物として使用できる。例えば、水またはエタノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール、エーテル、アセトン、酢酸エチルなどの有機溶媒を用いて溶解した溶解物として使用できる。
【0013】
本発明におけるシリマリンを含む植物体は、天然乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥させたり、醗酵させたりしたものをそのまま使用することができる。また植物抽出物を調製する場合は常法に従って、抽出、濃縮、粉末化などの処理を行って得られたものを使用することができる。
【0014】
本発明の外用剤に配合するシリマリンの濃度は0.1%以上が好ましく、0.3%以上がさらに好ましく、0.7%以上が最も好ましい。0.1%未満では、光老化防止作用が十分に発揮されない。
【0015】
本発明の光老化防止剤キットに係る外用剤には、適用形態に応じて、適宜、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、天然由来の界面活性剤、多価アルコール、植物油のような油脂類、ワックス等の炭化水素類、高級脂肪酸、シリコーン、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子、増粘剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤等を含有させることができる。また、ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。
【0016】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類等が挙げられる。
【0017】
アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシン酸、スルホコハク酸塩、N−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
【0018】
カチオン界面活性剤としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0019】
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン等のベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0020】
天然由来の界面活性剤としては、リン脂質、胆汁酸、糖セラミド等が挙げられる。
【0021】
多価アルコールとしては、グリセリン、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0022】
油脂類としては、例えばツバキ油、月見草油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、トウモロコシ油、ゴマ油、ホホバ油、胚芽油、小麦胚芽油、トリオクタン酸グリセリン、等の液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ、モクロウ核油、硬化油、硬化ヒマシ油等の固体油脂、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、ヌカロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ等のロウ類が挙げられる。
【0023】
炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0024】
高級脂肪酸として、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等が挙げられる。
【0025】
高級アルコールとして、例えば、水添ナタネ油アルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ラノリンアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0026】
シリコーンとして、例えば、鎖状ポリシロキサンのジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等、環状ポリシロキサンのデカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0027】
防腐剤として、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン等を挙げることができる。
【0028】
金属イオン封鎖剤として、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エデト酸、エデト酸ナトリウム塩等のエデト酸塩を挙げることができる。
【0029】
高分子として、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、グアーガム、カラギーナン、ペクチン、寒天、クインスシード、デキストラン、プルラン、カルボキシメチルデンプン、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、等を挙げることができる。
【0030】
増粘剤として、例えば、カラギーナン、トラガカントガム、クインスシード、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、CMC、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、カルボキシメチルデキストランナトリウム、ベントナイト等を挙げることができる。
【0031】
粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、セルロース粉末、無機白色顔料、無機赤色系顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ等のパール顔料、赤色201号、赤色202号等の有機顔料を挙げることができる。
【0032】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、2、4−ジヒドロキシベンゾフェノン、等を挙げることができる。
【0033】
紫外線遮断剤として、例えば、酸化チタン、タルク、カルミン、ベントナイト、カオリン、酸化亜鉛等を挙げることができる。
【0034】
保湿剤として、例えば、キシリトール、マルチトール、マルトース、ソルビトール、ブドウ糖、果糖、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸、シクロデキストリン等が挙げられる。
【0035】
薬効成分としては、例えば、ビタミンA油、レチノール等のビタミンA類、リボフラビン等のビタミンB類、ピリドキシン塩酸塩等のB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸モノパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−グルコシド等のビタミンC類、パントテン酸カルシウム等のパントテン酸類、ビタミンD、コレカルシフェロール等のビタミンD類;α−トコフェロール、酢酸トコフェロール、ニコチン酸DL−α−トコフェロール等のビタミンE類等のビタミン類を挙げることができる。プラセンタエキス、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ローヤルゼリー、ブナノキエキス等の皮膚賦活剤、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、γ−オリザノール等の血行促進剤、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、アズレン等の消炎剤、アルギニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸類、常在菌コントロール剤のマルトースショ糖縮合物、塩化リゾチーム等を挙げることができる。さらに、カミツレエキス、パセリエキス、ブナノキエキス、ワイン酵母エキス、グレープフルーツエキス、スイカズラエキス、コメエキス、ブドウエキス、ホップエキス、コメヌカエキス、ビワエキス、オウバクエキス、ヨクイニンエキス、センブリエキス、メリロートエキス、バーチエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、トウガラシエキス、レモンエキス、ゲンチアナエキス、シソエキス、アロエエキス、ローズマリーエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、ハマメリスエキス、クワエキス等の各種抽出物を挙げることができる。
【0036】
本発明の光老化防止剤キットに係る外用剤は、化粧料、医薬部外品、医薬であることができ、例えば、水溶液、油剤、乳液、けん濁液等の液剤、ゲル、クリーム等の半固形剤、粉末、固形等の固形剤の形態で適用可能である。従来から公知の方法でこれらの形態に調製し、ローション剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏、硬膏、ハップ剤、エアゾル剤等の種々の剤型とすることができる。これらを身体に塗布、貼付、噴霧等により適用することができる。化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、パック等の顔用化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション等の身体用化粧料等とすることができる。
【0037】
本発明の光老化防止剤キットに係る内服剤は、シリマリンを必須成分とするが、懸濁剤、シロップ剤、散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、フィルム剤及びカプセル剤などの製剤形態やその他の必要性に応じて他の任意成分を添加することができる。懸濁剤及びシロップ剤のような経口液体調製物は、水、シュークロース、ソルビトール、ラクトース及びフルクトース等の糖類、ポリエチレングリコール等のグリコール類、ゴマ油、オリーブ油及び大豆油等の油類、アルキルヒドロキシベンゾエート等の防腐剤、ストロベリー・フレーバー及びペパーミント等のフレーバー類などを使用することにより製造できる。
【0038】
散剤、顆粒剤、丸剤、錠剤、フィルム剤及びカプセル剤は、ラクトース、グルコース、シュークロース及びマンニトール等の賦形剤、澱粉及びアルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム及びタルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース及びゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の可塑剤などを用いて製造できる。錠剤及びカプセル剤は、投与が容易であるという理由から最も有用である。
【0039】
かかるカプセル剤としては、液状、懸濁状、のり状、粉末状又は顆粒状のシリマリンを含有する内服剤組成物を、ゼラチン又はゼラチンとグリセリンの混合物等のカプセル基剤で被覆成形したものが好ましい。この内服剤組成物をカプセル化するには、例えば、トコトリエノール及び必要に応じて下記の成分を配合し、常法によりゼラチンとグリセリンを混合したカプセル基材中に充填すればよい。更に必要に応じて、内容物にセラミド、シルクペプチド、グルコサミン、ビオチン、パントテン酸及びこれらの誘導体、DHAやEPAを同時に配合してもよい。通常、カプセルの内容物に添加される小麦胚芽油、大豆油、ミツロウ及びレシチン等の油分、コーンスターチ、乳糖及び還元麦芽糖等の賦形剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宣配合することができる。
【0040】
本発明の光老化防止剤キットにかかる内服剤は食品の形態でもよい。
【0041】
内服剤によるシリマリンの投与量は、約1〜3000mg/人/日であり、その服用回数は1〜3回/日とすることができる。また、本発明の光老化防止剤キットに係る外用剤と内服剤とは、ほぼ同時に使用ないしは服用することが望ましいが、1日1回外用剤の使用と内服剤の服用を併用してもかまわない。
【実施例1】
【0042】
シリマリン含有外用剤の調製
表1に示す組成にて、シリマリン含有外用剤(実施例1)を調製した。同じ基剤でシリマリンを含有しないものを調製し、プラセボ外用剤(比較例1)とした。
【0043】
【表1】

製法:1,2を混合し、11を加え溶解する(A)。3〜5を10に溶解し、80℃に加熱し、Aを投入する(B)。6〜8を混合し、80℃に過熱してBに投入し、攪拌する(C)。Cを30℃に冷却し、9を添加して攪拌、混合する。
【実施例2】
【0044】
シリマリン含有内服剤の調製
表2に示す組成にてソフトカプセル形態のシリマリン含有内服剤(実施例2)を調製した。表3に示す組成にてシリマリンを含有しないものをプラセボ内服剤(比較例2)として調製した。
【0045】
シリマリンエキスを1粒中に77mg (シリマリンとして50mg) 含有し、その他に賦形剤としてグレープシードオイル、ミツロウを含む1錠あたり329mgのソフトカプセルとした。プラセボはシリマリン含有内服剤と外観状類似したソフトカプセルを用いた。
【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
[シリマリンを含有する外用剤、内服剤の連用試験、ならびに光老化防止効果の測定]
(1)試験期間および被験者
試験実施期間:16週間、3月から8月までの期間に実施した。
被験者:40歳以上の女性(63名)。
【0049】
(2)試験デザイン
被験者を年齢の偏りがないように実施例2のシリマリン含有内服剤使用群と比較例2のプラセボ内服剤使用群の2群に振り分けた。また,両群ともに、顔の右半分には実施例1のシリマリン含有外用剤を、左半分には比較例2のプラセボ外用剤を使用させた。
【0050】
(3)外用剤、内服剤の使用方法
外用剤:試験期間中は毎日,1日2回,朝晩の洗顔後に化粧水を塗布した後に右半顔に実施例1のシリマリン含有外用剤、左半顔に比較例1のプラセボ外用剤を約0.2g(1プッシュ)ずつ塗布させた。
内服剤:試験期間中は毎日,1日2回,1回3粒づつ朝夕の食後に摂取させた。
【0051】
(4)トリプトファンの測定
装置:SKINSKAN (Jobin Yvon spec.社)
測定部位:目尻
励起波長:295nm
蛍光波長:360nm
試験開始前(0週)および16週後にトリプトファン量を反映する励起波長295nmにおける360nmの蛍光強度を測定し、試験開始前(0週)に対する16週後の変化率を求めた。
【0052】
(5)測定結果
測定結果を図1に示した。トリプトファン量の変化率は試験開始から16週後には比較例1プラセボ外用剤、比較例2プラセボ内服剤使用で90.6%、実施例1シリマリン含有外用剤、比較例2プラセボ内服剤使用で87.9%、比較例1プラセボ外用剤、実施例2シリマリン含有内服剤使用で81.2%、実施例1シリマリン含有外用剤、実施例2シリマリン含有内服剤使用で73.6%となった。プラセボ外用剤、プラセボ内服剤使用と比べて、外用剤のみシリマリン含有外用剤を使用しても、トリプトファン変化率はあまり低下しないが、内服剤のみシリマリン含有内服剤を使用するとトリプトファン変化率が9.4%低下し、さらに、外用剤、内服剤ともにシリマリン含有の剤を併用するとトリプトファン変化率が17.0%低下した。日常生活において、恒常的に生活紫外線にさらされることにより光老化が進行するが、その結果として皮膚中で生成されるトリプトファンの量がシリマリン含有外用剤、シリマリン含有内服剤の使用、特にシリマリン含有外用剤とシリマリン含有内服剤の併用により顕著に低下することがわかった。従って、シリマリンを含有する光老化防止剤、特にシリマリンを含有する外用剤とシリマリンを含有する内服剤の併用は、光老化防止に有効である。
【実施例3】
【0053】
下記外用剤と内服剤で構成される光老化防止剤キット。
外用剤(クリーム)
下記の処方(単位は重量%)により、クリームを製造した。
(1)ステアリルアルコール 6.0
(2)ステアリン酸 2.0
(3)水添ラノリン 4.0
(4)スクワラン 9.0
(5)オクチルドデカノール 10.0
(6)POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0
(7)モノステアリン酸グリセリン 2.0
(8)シリマリンエキス 0.1
(9)防腐剤 適量
(10)香料 適量
(11)1、3ブチレングリコール 6.0
(12)PEG1500 4.0
(13)精製水
残余
〔製法〕上記成分(1)〜(10)を80℃に加熱溶解し油相とする。成分(11)〜(13)を70℃に加熱溶解し水相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、さらに30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
内服剤(錠剤)
下記の処方(単位は重量%)により、錠剤を製造した。
(1)シリマリン 20.0
(2)乳糖 65.0
(3)コーンスターチ 14.0
(4)グアーガム 1.0
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】トリプトファン量を反映する励起波長295nmにおける360nmの蛍光強度の試験開始前(0週)に対する16週後の変化率。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリマリンを含有することを特徴とする光老化防止剤。
【請求項2】
シリマリンを含有する外用剤と、シリマリンを含有する内服剤で構成されることを特徴とする光老化防止剤キット。

【図1】
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【公開番号】特開2006−265186(P2006−265186A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87028(P2005−87028)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)
【Fターム(参考)】