説明

シルセスキオキサン樹脂ワックス

シルセスキオキサン樹脂ワックス組成物、これの調製方法、ならびに、パーソナル、家庭、自動車、および医療ケア組成物における使用が、開示される。本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、粗精製油ワックス制御用のような、油(オイル)およびガス分野での種々の適用においても、有用性を見出し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シルセスキオキサン樹脂ワックス組成物、これの調製方法、ならびに、パーソナル、家庭、自動車、および医療ケア組成物における使用に関する。本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、粗精製油ワックス制御用のような、油(オイル)およびガス分野での種々の適用においても、使用され得る。
【背景技術】
【0002】
一般式RSiO(4−n)/2のシロキサン樹脂(式中、Rがアルキル基であり、nが一般的に1.8未満)は、シリコーンポリマーの重要なファミリーであり、これは、接着組成物やコーティングへの応用のような多くの商業的適用における、それらの有用性のためである。シロキサン樹脂の特に1つのサブクラスがMQ樹脂として知られ(一般式RSiO1/2の<<M>>単位および一般式SiOの<<Q>>単位から主に構成されるので)、化粧料において有用性を見出している。特に、MQ樹脂は、<<延長した保持>>もしくは<<耐移り性>>化粧料において、汎用される。これらの化粧料において、MQ樹脂は適用後、皮膚に対する色素もしくは他の活性成分の直接に染まる能力(直接性)を増強させ、より長い持続性、これゆえ、延長した保持製品を創出している。
【0003】
MQ樹脂を使用している耐移り性化粧料組成物の代表例は、米国特許第6,071,503号明細書、米国特許第6,074,654号明細書、米国特許第6,139,823号明細書、米国特許第6,340,466号明細書、国際公開(WO)第97/17058号パンフレット、および国際公開(WO)第97/17059号パンフレットにおいて見出され、有機シロキサン樹脂および流動二有機基シロキサン樹脂の、揮発性担体との組み合わせを含んでいる組成物を開示する。
【0004】
一般式RSiO3/2のシルセスキオキサン樹脂は、種々の機能目的のパーソナルケア製剤における添加剤としても、使用されてきた。例えば、Halloranによる米国特許第5,733,537号明細書は、非極性シルセスキオキサン樹脂の、毛髪固定化剤としての使用を教示する。Legrowによる米国特許出願公開第20030086888号明細書は、パーソナルケア用リーヴ・オン組成物におけるトリメチルシリルアルキルシルセスキオキサンを開示する。より最近では、本願と同一出願人により出願された米国仮出願第60/514,001および60/541,002号明細書が、MQ−プロピル樹脂組成物、および、種々のパーソナルケア製剤における使用を開示する。また、本願と同一出願人により出願された米国仮出願第60/553,450号明細書が、種々のパーソナルケアでの適用におけるアルキル−フェニルシルセスキオキサン樹脂を開示する。
【0005】
これらの文献は、当業界における進捗を代表する一方、スキンケア製剤における使用のための、改良されたシロキサン樹脂を求める必要性が尚あり、化粧料に延長した耐久性を与えるが、保湿、緻密さ、および向上した感触のような、他の機能面での有益性も提供するものである。更に、ワックス状の特徴を持っているが、尚、揮発性シリコーンを包含している汎用パーソナルケア用溶媒中での溶解性を保有するシロキサン樹脂を求める必要性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、2つの区別される炭化水素基をシルセスキオキサン樹脂中に取り込むことによる、改良シロキサン樹脂を発見した。第1の炭化水素は、1〜8炭素原子を持ち、第2の炭化水素基は、9〜40炭素原子を持つ。結果的に得られてくるシロキサン樹脂は、本明細書においてはシルセスキオキサン樹脂ワックスとして言及されるが、皮膚に対する局所的適用後に、化粧料の耐久性および直接性を向上させ、蓖麻子油ベースのリップスティックのような着色化粧料の色移りの無さを向上させ、化粧成分および香料中の他のシリコーンワックスに対する相容性を向上させつつ、保湿、緻密さ、および向上した感触のような他の機能面での有益性も提供している。これらのシルセスキオキサン樹脂ワックスは、油中水型および水中油型エマルションにおいて、きめおよびレオロジー修飾剤としても、振る舞うことができる。本シルセスキオキサン樹脂の融点および全体での炭化水素含量は調整され得、様々な触覚面での有益性を、パーソナルケア製剤から引き出す。本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、パーソナルケア製剤において使用されて、香り保持および活性成分供給を向上させることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シルセスキオキサン樹脂ワックスに関し、これは、式(RR’SiO1/2)x(R”SiO3/2)yを持っており、式中、xおよびyが、0.05〜0.95の値を持ち、Rが、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、カルビノール基、もしくはアミノ基であり、R’が、9〜40炭素原子を持っている1価の炭化水素であり、R”が、1〜8炭素原子を持っている1価の炭化水素基、もしくは、アリール基であるシロキシ単位を、少なくとも40モル%含んでいる。
【0008】
本発明の組成物は、種々のパーソナル、家庭用、自動車用、もしくは医療用ケア組成物中に、取り込まれ得る。本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、本発明の組成物を含んでいる製剤からの局所的適用後、皮膚上での化粧料の耐久性および直接性を増強させる。本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、オイルおよびガスの操作における粗精製ワックス制御用にも、使用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、シルセスキオキサン樹脂ワックスに関し、これは、式(RR’SiO1/2)x(R”SiO3/2)yを持っており、式中、xおよびyが、0.05〜0.95の値を持ち、Rが、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、カルビノール基、もしくはアミノ基であり、R’が、9〜40炭素原子を持っている1価の炭化水素であり、R”が、1〜8炭素原子を持っている1価の炭化水素基、もしくは、アリール基であるシロキシ単位を、少なくとも40モル%含んでいる。本明細書において使用される場合、xおよびyが、(RR’SiO1/2)および(R”SiO3/2)シロキシ単位のモル分率を表示し、互いに相対的に、本シルセスキオキサン樹脂ワックス中に存在している。これゆえ、(RR’SiO1/2)および(R”SiO3/2)シロキシ単位のモル分率は各々独立に、0.05から0.95まで変動し得る。典型的には、xの値が0.05〜0.95もしくは0.2〜0.8であり、yの値が0.05〜0.95もしくは0.2〜0.8である。しかしながら、存在している(RR’SiO1/2)および(R”SiO3/2)シロキシ単位の組み合わせは、合計して、本シルセスキオキサン樹脂ワックス中に存在している全シロキシ単位の少なくとも40モル%もしくは60モル%もしくは90モル%でなければならない。本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、室温において、液体、柔らかい固体、もしくは固体材料であってよい。
【0010】
本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、(i)(RSiO1/2)a、(ii)(RSiO2/2)b、(iii)(RSiO3/2)c、もしくは(iv)(SiO4/2)d単位のような、更なるシロキシ単位を含有し得、これらは、当業界においてよく知られ、本明細書においてもそれぞれ、M、D、T、およびQ単位として使用される。本シルセスキオキサン樹脂ワックス中に存在する各単位の量は、本シルセスキオキサン樹脂ワックス中に存在する全シロキシ単位の合計モル数のモル分率として表現され得る。これゆえ、本発明のシルセスキオキサン樹脂ワックスは、単位:
(i)(RSiO1/2)a
(ii)(RSiO2/2)b
(iii)(RSiO3/2)c
(iv)(SiO4/2)d
(v)(RR’SiO1/2)x
(vi)(R”SiO3/2)y
を含み、式中:
R、R、R、およびRが独立に、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、カルビノール基、もしくはアミノ基
R’が、9〜40炭素原子を持っている1価の炭化水素
R”が、1〜8炭素原子を持っている1価の炭化水素基
a、b、c、およびdが、0〜0.6の値
xおよびyが、0.05〜0.95の値
但し、x+yの値が0.40以上、a+b+c+d+x+yの値=1
である。
【0011】
R’は、9〜40炭素を持っている、1価の如何なる直鎖もしくは分岐炭化水素たり得る。あるいは、R’は、C18〜C40の炭化水素基である。R”は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、もしくはアリール基であり得る。あるいは、R”は、プロピルである。
【0012】
本発明の1実施形態において、R’およびy/x比の選択は、本シルセスキオキサン樹脂ワックスが30℃より高い融点を持つよう選択される。
【0013】
本シルセスキオキサン樹脂ワックスのこれら単位中のR、R、R、およびRは独立に、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、カルビノール基、アミノ基、もしくは4級アンモニウム基である。該アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、およびオクチルにより例示される。該アリール基は、フェニル、ナフチル、ベンジル、トリル、キシリル、キセニル、メチルフェニル、2−フェニルエチル、2−フェニルプロピル(α−メチルスチレン)、2−フェニル−2−メチルエチル、クロロフェニル、ブロモフェニル、およびフルオロフェニルにより例示され、該アリール基は、典型的にはフェニルである。
【0014】
本発明の目的では、「カルビノール基」が、少なくとも1つの炭素結合水酸基(ヒドロキシルラジカル、COH)を含有している如何なる基としても、定義される。これゆえ、該カルビノール基が、例えば:
【0015】
【化1】

【0016】
のような1つより多いCOH基を含有してもよい。
【0017】
該カルビノール基は、もしアリール基がなければ、少なくとも3炭素原子を持ち、または、少なくとも6炭素原子を持っているアリール含有カルビノール基である。アリール基のない少なくとも3炭素原子を持っているカルビノール基は、式ROHを持っている基により例示され、式中、Rが、少なくとも3炭素原子を持っている2価の炭化水素基、または、少なくとも3炭素原子を持っている2価の炭化水素オキシ基である。基Rは、−(CH)x−(式中、xが、3〜10の値を持つ)、−CHCH(CH)−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCH(CHCH)CHCHCH−、および−OCH(CH)(CH)x−(式中、xが、1〜10の値を持つ)のようなアルキレン基により例示される。
【0018】
該アリール含有カルビノール基は、少なくとも6炭素原子を持っており、式ROHを持っている基により例示され、式中、Rが、−(CH)xC−(式中、xが、0〜10の値を持つ)、−CHCH(CH)(CH)xC−(式中、xが、0〜10の値を持つ)、−(CH)xC(CH)x−(式中、xが、1〜10の値を持つ)のようなアリーレン基である。該アリール含有カルビノール基は典型的に、6〜14原子を持つ。
【0019】
該アミノ基は、式−RNHもしくは−RNHRNHを持っている基により例示され、式中、Rが、少なくとも2炭素原子を持っている2価の炭化水素基であり、Rが、少なくとも2炭素原子を持っている2価の炭化水素基である。基Rは典型的に、2〜20炭素原子を持っているアルキレン基である。Rは、エチレン、プロピレン、−CHCHCH−、ブチレン、−CHCH(CH)CH−、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、3−エチルヘキサメチレン、オクタメチレン、およびデカメチレンにより例示される。
【0020】
は典型的に、2〜20炭素原子を持っているアルキレン基である。Rは、エチレン、プロピレン、−CHCHCH−、ブチレン、−CHCH(CH)CH−、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、3−エチルヘキサメチレン、オクタメチレン、およびデカメチレンにより例示される。
【0021】
典型的なアミノ基は、−CHCHCHNH、−CH(CH)CHCH(H)NCH、−CHCHNHCHCHNH、−CHCHNH、−CHCHNHCH、−CHCHCHCHNH、−(CHCHNH)H、および−CHCHNHCHCHNHCである。
【0022】
典型的には、Rがメチル基であり、Rがメチル基であり、Rがメチルもしくはフェニル基であり、Rがメチル基である。
【0023】
本シルセスキオキサン樹脂ワックスの如何なる個々のD、T、もしくはQシロキサン単位も、水酸基(ヒドロキシ基)および/またはアルコキシ基をも含有し得る。ヒドロキシ基および/またはアルコキシ基を含有しているこのようなシロキサン単位は、一般式RSiO(4−n)/2を持っているシロキサン樹脂中によく見出される。これらシロキサン樹脂中のヒドロキシ基は典型的に、そのシロキサン単位上の加水分解可能な基の、水との反応から、結果的に得られる。該アルコキシ基は、アルコキシシラン前駆体が使用される場合、部分加水分解から、または、加水分解可能な基でのアルコール交換から、結果的に得られる。典型的に、本シルセスキオキサン樹脂ワックス中に存在するヒドロキシ基の合計重量%は、10%までである。典型的に、本シルセスキオキサン樹脂ワックス中に存在するアルコキシ基の合計重量%は、20%までである。
【0024】
本シルセスキオキサン樹脂ワックスの分子量は拘束されないが、典型的に、その数平均分子量(M)が750〜10,000もしくは1,000〜5,000の範囲である。
【0025】
本発明のシルセスキオキサン樹脂ワックスは、当業界において既知の方法のいずれによっても調製され得、一般式RSiO(4−n)/2を持っているシロキサン樹脂を調製し、式中、Rが、アルキルもしくはアリール基であり、nが一般的に、1.8未満である。あるいは、本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、下記のような本発明の方法により、調製され得る。
【0026】
本発明のシルセスキオキサン樹脂ワックスは:
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CHSiO1/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CHSiO2/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CH)SiO3/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
(SiO4/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CHSiO1/2
(SiO4/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CHSiO1/2
((CH)SiO3/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CHSiO2/2
((CH)SiO3/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CHSiO2/2
(SiO4/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CH)SiO3/2
(SiO4/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2
((CH)SiO3/2
(SiO4/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
(CSiO3/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
(R(2n+1)SiO1/2 式中、n=9〜40
(CHCHCHSiO3/2
((CH)(C)SiO2/2
単位を含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス
により例示され、式中、a、b、c、およびdが、0〜0.4の値を持ち、xおよびyが、0.05〜0.95の値を持ち、但し、x+yの値が0.40以上であり、a+b+c+d+x+yの値=1であり、Rが、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、カルビノール基、もしくはアミノ基に等しい。
【0027】
上に例示した全ての式において、R’基は、Mシロキシ単位上に存在しているようデザインされる。本発明のもう1つ別の実施形態において、R’基は、DもしくはTシロキシ単位上に存在し得る。
【0028】
本発明は、シルセスキオキサン樹脂ワックスを調製する方法をも提供する。本方法は:
A)SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂
B)C〜C40ビニル末端化炭化水素
C)ヒドロシリル化触媒
および任意に
D)溶媒
を反応させることを含む。
【0029】
この反応は、以降の一般スキームにより例示される。
【0030】
【化2】

【0031】
ここで、m=6〜37、a、x、y、R、およびR”は、上で定義したとおりである。
【0032】
成分A)は、SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂であり、このような樹脂を調製する、当業界において既知の方法のいずれによっても調製され得るが、典型的に、2つの手法のうちの1つにより、調製される。第1の手法において、当該アルキルシラン分子中に存在しているハロゲンもしくはアルコキシ基のような3つの加水分解可能な基を持っているアルキルシランが、水素含有シランもしくはシロキサンと共に加水分解される。例えば、該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂は、プロピルトリメトキシシランのようなアルキルトリアルコキシシランの、テトラメチルジシロキサンとの、酸触媒反応により得られる。第2の手法において、SiH含有シランもしくはシロキサンが、予め形成されたアルキルシルセスキオキサン樹脂と平衡化される。例えば、テトラメチルジシロキサンが、プロピルシルセスキオキサン樹脂と反応させられ得、SiH含有プロピルシルセスキオキサン樹脂を与える。
【0033】
上記したような、更なるM、D、T、およびQ単位が、本シルセスキオキサン樹脂ワックス中に導入され得、これは、このような単位を、該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂前駆体中に取り込むことにより、これは、更なる有機シラン(単数もしくは複数)を反応させることにより、これ(ら)は、プロピルシランとSiHシランもしくはシロキサンとの加水分解の間に、結果的に得られてくる樹脂において望まれるシロキシ単位を生成させるよう選択される。例えば、メトキシトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、テトラメトキシシラン(または、各々に対応しているエトキシもしくはクロロシラン)を反応させることがそれぞれ、M、D、T、もしくはQ単位を、該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂中に導入することになる。該加水分解反応中に存在しているこれら更なるシランの量は、上記のようなモル分率の定義に合うよう選択される。
【0034】
あるいは、該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂は、予め形成されたアルキルシルセスキオキサン、SiH含有シランもしくはシロキサン、および、種々のM、D、T、およびQ単位を含有している他のシロキサンを反応させることにより調製され得、M、D、T、およびQシロキサン単位の反応を有効にすると当業界において知られた如何なる方法をも使用する。
【0035】
該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂は、成分B)、ビニル末端化炭化水素と、ヒドロシリル化触媒存在下に反応させられる。典型的に、該ビニル末端化炭化水素は式HC=CH(CHCHを持ち、式中、mが6〜37である。該ビニル末端化炭化水素はαオレフィンとして知られ、6〜40炭素原子を持っており、または、これらのブレンドが、使用され得る。該ビニル末端化炭化水素は、Amoco Chemical Companyのαオレフィン製品、Chevron Phillips Chemical CompanyのαオレフィンC20〜24、C24〜28、C26〜28、C30+、C30+HA、ならびに、米国三井化学Inc.のTafmer(登録商標)等々により例示される。
【0036】
ビニル末端化炭化水素およびSiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂の量は変動し得るが、典型的には、ヒドロシリル化反応において、過剰モルの該ビニル末端化炭化水素が、該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂量に対して使用され、該反応中の全SiHの完全な反応を確実にする。あるいは、該ビニル末端化炭化水素は、該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂量に対して、30%、または、10モル%過剰に使用される。
【0037】
該ヒドロシリル化触媒は、該ビニル末端化炭化水素の末端ビニル基との、該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂のシリコン結合水素原子の反応を容易にする如何なる金属含有触媒によっても例示される。これら金属は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、もしくは白金により例示される。
【0038】
該金属含有触媒は典型的に、白金含有触媒であり、これは、最も広く使用され、入手可能であるからであり、本発明の組成物に関しては、反応速度の向上において、より好ましい効果を与えるからである。白金含有触媒は、金属白金の化合物もしくは錯体であり得る。
【0039】
本発明の組成物における典型的な白金含有触媒の1タイプは、塩化白金酸が、ジビニルテトラメチルジシロキサンのような、脂肪族不飽和有機シリコン化合物と反応させられる場合に得られる組成物であり、有機シリコン系中での容易な分散性のためである。
【0040】
好ましくは、該ヒドロシリル化触媒は、塩化白金酸、アルコール修飾塩化白金酸、塩化白金酸オレフィン錯体、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体、カーボンに担持吸着させた白金微粒子、Pt(Al)のような金属酸化物に担持させた白金、白金黒、白金アセチルアセトナート、白金(ジビニルテトラメチルジシロキサン)、PtCl、PtClにより例示されるハロゲン化白金、Pt(CN)、ハロゲン化白金と、エチレン、プロピレン、および有機ビニルシロキサンにより例示される不飽和化合物との錯体、スチレンヘキサメチル二白金、ならびに、RhCl(BuS)から選択される。
【0041】
使用されるヒドロシリル化触媒の量は、該ビニル末端化炭化水素と該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂との間の反応を、室温もしくは室温を上回る温度において加速させるに充分な量がある限り、狭くは限定されない。この触媒の精確な必要量は、利用される特定の触媒に依ることになり、容易に予見できない。しかしながら、白金含有触媒に関しては、その量は、100万重量部の成分、該ビニル末端化炭化水素および該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂につき、1重量部の白金程度の少なさにできる。該触媒は、100万部の成分、該ビニル末端化炭化水素および該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂につき、1〜120重量部の量で加えられ得るが、典型的には、100万部の該ビニル末端化炭化水素および該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂につき、2〜60重量部の量で加えられる。
【0042】
該ヒドロシリル化反応は、ニート(原液)でもD)溶媒存在下でも、実施され得る。該溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、もしくはn−プロパノールのようなアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、もしくはメチルイソブチルケトンのようなケトン、ベンゼン、トルエン、もしくはキシレンのような芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサン、もしくはオクタンのような脂肪族炭化水素、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、もしくはエチレングリコールn−ブチルエーテルのようなグリコールエーテル、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、もしくはクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット、ミネラルスピリット、またはナフサであり得る。
【0043】
溶媒量は、50重量%までであり得るが、典型的には、20〜50重量%であり、該重量%は、該ヒドロシリル化反応中の成分の全重量に基づいている。該ヒドロシリル化反応の間に使用される溶媒は引き続いて、結果的に得られてくるシルセスキオキサン樹脂ワックスから除去され得、これは、種々の既知の方法による。
【0044】
該シルセスキオキサン樹脂ワックスは、種々のパーソナル(個人的)、家庭用、自動車用、医療用ケア組成物において、有用である。該シルセスキオキサン樹脂ワックスは、ニート(原液)でもしくは担体に分散させて、使用され得る。典型的には、該担体は、揮発性シロキサンもしくは有機溶媒から選択される。該揮発性シロキサン溶媒は、環状ポリシロキサン、直鎖ポリシロキサン、低分子量シルセスキオキサン、または、TMもしくはMQのようなQシロキサン構造、あるいは、これら上記のいずれの混合物でもあり得る。ある幾つかの代表的な揮発性直鎖ポリシロキサンは、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、およびヘキサデカメチルヘプタシロキサンである。ある幾つかの代表的な揮発性環状ポリシロキサンは、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、およびドデカメチルシクロヘキサシロキサンである。該有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、もしくはn−プロパノールのようなアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、もしくはメチルイソブチルケトンのようなケトン、ベンゼン、トルエン、もしくはキシレンのような芳香族炭化水素、ヘプタン、ヘキサン、もしくはオクタンのような脂肪族炭化水素、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、もしくはエチレングリコールn−ブチルエーテルのようなグリコールエーテル、酢酸エチルもしくは酢酸ブチルのような酢酸エステル(アセテート)、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、もしくはクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、あるいは、ホワイトスピリット、ミネラルスピリット、イソドデカン、ヘプタン、ヘキサン、もしくはナフサのような脂肪族炭化水素であり得る。典型的には、該担体は、デカメチルシクロペンタシロキサンもしくはイソドデカンである。本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、担体中でも、ペースト、柔らかい固体、もしくは分散固体であり得る。
【0045】
本アルキルシルセスキオキサン樹脂ワックスは、抗汗剤、脱臭剤、皮膚用クリーム、スキンケアローション、保湿剤、面皰もしくは染みソバカス除去剤のようなフェイシャル処理剤、パーソナルおよびフェイシャルクレンザー、日焼け止め、メイキャップ、着色化粧料、ファンデーション、ブラシ、リップスティック、リップバーム(香膏)、アイライナー、マスカラ、およびパウダーにおいて、使用され得る。更に、本発明の組成物が、種々の他の成分と組み合わせられ、下記のパーソナルケアもしくは医療用ケア製品を調製し得ることが、予期される。これらの成分は、シリコーン材料、香料、保存料、グリセリンおよびプロピレングリコールのようなポリオール、更なる界面活性剤、保湿剤、色素およびパウダー(粉末)、日焼け止め、香料、皮膚軟化剤、構成分、増粘剤、弾性化剤、pH制御剤、フィルム(皮膜)形成剤、コンディショニング剤、植物抽出物、ビタミンおよびこれらの誘導体のような活性分、抗酸化剤および同様なもの、アミノ酸誘導体、リポゾーム、抗汗剤および脱臭剤、皮膚漂白剤、皮膚保護剤、自己収斂剤、4級ポリマーもしくはアミノ官能基化シリコーンのような毛髪および皮膚用コンディショニング剤を包含し、これらは、このようなパーソナルケアおよび医療用製品を製剤するのに汎用される。このシルセスキオキサン樹脂ワックスは、0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、最も好ましくは1〜5重量部の量で、使用される。
【0046】
本発明による組成物は、数多くの任意成分とも組み合わされてもよい。
非揮発性ポリシロキサン:
【0047】
【化3】

【0048】
構造を持っており、式中、nは、100〜10,000mm/秒の範囲中の粘度を持っているポリシロキサンポリマーを与えるに充分の値を持つ。R1およびR2は、1〜20炭素原子を含有しているアルキル基、もしくは、アリール基であり得、好ましくは1〜6炭素原子を含有しているアルキル基、より好ましくはメチル基もしくはフェニル基である。典型的には、nの値は、20〜500であり、より好ましくは80〜375である。ある幾つかの例示的なポリシロキサンポリマーは、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、およびポリジフェニルシロキサンを包含する。
アルキルメチルシロキサン:
これらのシロキサンポリマーは一般的に、式MeSiO[MeSiO][MeRSiO]SiMeを持つものであり、式中、Rは、6〜30炭素原子を含有している炭化水素基であり、Meは、メチルを表し、重合度(DP)つまりyおよびzの和が、3〜50である。揮発性および液体両方の種類のアルキルメチルシロキサンが、本組成物において使用され得る。
シリコーンゴム:
ポリジ有機基シロキサンゴムは、当業界において知られており、市販されている。一般的に、不溶性ポリジ有機基シロキサンからなり、25℃において1,000,000センチストーク(mm/秒)を超える、好ましくは25℃において5,000,000センチストーク(mm/秒)より大きな粘度を持っている。これらのシリコーンゴムは典型的に、これらの取り扱いを容易にするために、適切な溶媒中に既に分散された組成物として、販売される。超高粘度シリコーンも、任意成分として包含され得る。これら超高粘度シリコーンは典型的に、25℃において5,000,000センチストーク(mm/秒)より大〜25℃において約20,000,000センチストーク(mm/秒)までの動粘度を持つ。このタイプの組成物は懸濁の形であり、最も好ましく、例えば、米国特許第6,013,682号明細書(2000年1月11日)に記載される。
シリコーンポリアミド:
適切なシリコーンポリアミドコポリマーの代表的な組成物が詳細に、米国特許第5,981,680号明細書(1999年11月9日)において説明される。
シリコーン樹脂:
これらの樹脂組成物は一般的に、高度に架橋されたポリマーシロキサンである。架橋は、3官能基および/または4官能基を有するシランを、製造の間に使用される1官能基を有するシランおよび/または2官能基を有するシランのモノマーと共に取り込むことにより得られる。適切なシリコーン樹脂を得るのに必要とされる架橋度は、該シリコーン樹脂の製造の間に取り込まれるこれらシランのモノマーの単位の比により、変動することになる。一般的に、充分なレベルの3官能基および4官能基を有するシロキサンのモノマーの単位を持っていて、これゆえ、充分なレベルの架橋を保有し、乾ききって剛直もしくは硬いフィルム(皮膜)にまで至る如何なるシリコーンも、該シリコーン樹脂としての使用に適していると考えられ得る。本明細書における適用に適切な市販のシリコーン樹脂は一般的に、低粘度揮発性もしくは非揮発性シリコーン流動体中において、非硬化の形で供給される。該シリコーン樹脂は、硬化された樹脂状構造としてよりもむしろ、非硬化の形で、本発明の組成物中に取り込まれるべきである。
シリコーンエラストマー:
このようなエラストマーは一般的に、末端シリコン原子に結合した不飽和基を持っている有機ポリシロキサンと有機水素シロキサンとを組み合わせ、次いで少なくとも、部分硬化に付すことにより得られる、反応生成物である。適切なエラストマーの1例は、化粧品業界において、ジメチコーン/ビニルジメチコーン架橋ポリマーもしくはジメチコーン架橋ポリマーのINCI名の下に知られる組成物である。これらのポリシロキサンエラストマーのエマルションおよび懸濁も、該組成物の成分として使用され得る。マイカおよびシリカのような異なる有機および無機材料でコーティングされた粉末の形でのポリシロキサンエラストマーも、使用され得る。
カルビノール流動体:
これらの材料は、国際公開(WO)第03/101412A2号パンフレットに記載され、置換炭化水素官能基を有するシロキサン流動体もしくは樹脂として、よく記述され得る。
水溶性もしくは水分散性シリコーンポリエーテル組成物:
これらは、ポリアルキレンオキシドシリコーンコポリマー、シリコーンポリ(オキシアルキレン)コポリマー、シリコーングリコールコポリマー、もしくはシリコーン界面活性剤としても知られる。これらは、直鎖型もしくはグラフト型の材料であり得、または、ABA型であり得、式中、Bがシロキサンポリマーブロックであり、Aがポリ(オキシアルキレン)基である。該ポリ(オキシアルキレン)基は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、もしくは混合ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシド基からなり得る。ブチレンオキシドもしくはフェニレンオキシドのような他のオキシドも、可能である。
【0049】
本発明による組成物は、油中水型もしくはシリコーン中水型のエマルションの形で与えられ得、シリコーン乳化剤を使用する。典型的には、該シリコーン中水型の乳化剤は非イオン性であり、ポリオキシアルキレン置換シリコーン、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、およびシリコーングリコシドを含んでいる群から選択される。適切なシリコーン主体の界面活性剤は、当業界においてよく知られ、例えば、米国特許第4,122,029号明細書(Geeら)、米国特許第5,387,417号明細書(Rentsch)、および米国特許第5,811,487号明細書(Schulzら)に記載されており、本質的にRSiO(4−b)/2シロキサン単位からなる少なくとも1つのポリジ有機基シロキサンセグメントを含有しているポリジ有機基シロキサンポリオキシアルキレンコポリマーを包含し、式中、bが、0〜3の値を持ち、該コポリマー中の全シロキサン単位に関して、1つのシリコンにつき平均値およそ2つのR基を包含しており、Rは、メチル、エチル、ビニル、フェニル、および、該ポリジ有機基シロキサンセグメントにポリオキシアルキレンセグメントを結合させる2価の基からなる群から選択される基を言い、全Rの少なくとも95%がメチルであり、少なくとも1つのポリオキシアルキレンセグメントが、少なくとも1000の平均分子量を持っており、0〜50モル%のポリオキシプロピレン単位および50〜100モル%のポリオキシエチレン単位からなり、該ポリオキシアルキレンセグメントの少なくとも1つの末端部分が、該ポリジ有機基シロキサンセグメントに結合していて、該ポリオキシアルキレンセグメントのいずれの末端部分も、該ポリジ有機基シロキサンセグメントに結合しておらず、末端基により満たされている。該コポリマーにおいて、ポリオキシアルキレンセグメントに対するポリジ有機基シロキサンセグメントの重量比は、2〜8の値を持っている。あるいは、該シリコーン主体の界面活性剤は、架橋された乳化剤であり得、ここで、少なくとも2分子の有機ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン分子が、架橋基により架橋され、この架橋された有機ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン乳化剤は、式:
【0050】
【化4】

【0051】
を持っており、この架橋された有機ポリシロキサン−ポリオキシアルキレン乳化剤式において、Rが、2〜25炭素原子を持っている脂肪族基であり、R’が、有機もしくは有機シロキサン基であり、加水分解可能な結合を含有せず、R’’が、末端基であり、R’’’が独立に、1〜25炭素原子を持っている脂肪族基であり、Rが独立に、水素、および、1〜3炭素原子を含有している脂肪族基からなる群から選択され、xが、0〜100の整数であり、cが、1〜5の整数であり、zが、0〜600の整数であり、yが、1〜10の整数であり、x+y+z>40、aが、4〜40の整数であり、bが、0〜40の整数であり、a/b>1である。最終的な組成物中での該シリコーン乳化剤の量は、広く変動してよいが、典型的であれば、0.05%〜1.5%、好ましくは0.1〜1%、より好ましくは0.15〜0.8重量%、最も好ましくは0.2〜0.6重量%である。
【0052】
本発明による組成物は、日焼け止めを、任意もしくは主要成分として包含し得る。日焼け止めは、メトキシ桂皮酸エチルヘキシルのような、p−アミノ安息香酸誘導体および桂皮酸誘導体(シンナメート)のような、290〜320nm、つまりUV−B領域の紫外光(紫外線)を吸収する成分;ならびに、ベンゾフェノン誘導体およびブチルメトキシジベンゾイルメタン誘導体のような、320〜400nmの範囲中の、つまりUV−A領域の紫外光(紫外線)を吸収する組成物、および、ベンジリデン−2−カンファースルホン酸誘導体のような親水性組成物を包含するが、これらに限定されない。本発明による化粧料組成物は、コーティングされているかもしくはコーティングされていない金属酸化物の、例えば、二酸化チタン(アモルファス、あるいは、ルチル形および/またはアナタース形に結晶化)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、もしくは酸化セリウムのナノ色素のような、色素またはナノ色素(平均の第1義的な粒子サイズ:一般的に5nm〜100nm、好ましくは10nm〜50nm)をも含有し得、これらは全て光からの保護剤であり、これら自体がよく知られ、UV照射を物理的にブロックすること(反射および/または散乱)により、作用する。標準的なコーティング剤は更に、アルミナおよび/またはアルミニウムである。
【0053】
本発明による組成物が水中油型エマルションである場合、水中油型エマルションを調製すると当業界においてよく知られている非イオン性界面活性剤のような、しかしこれらに限定されない、エマルションを調製するのに一般的に汎用される成分を包含することになる。非イオン性界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、およびポリオキシアルキレングリコール修飾ポリシロキサン界面活性剤を包含する。
【0054】
本発明による組成物は、キサンタンゴム、カルボキシビニルポリマーのような懸濁剤を包含し得る。これらのポリマーの例は、Carbopol934、940、941、および956を包含し、B.F.Goodrich Companyから入手できる。尚他の適切な懸濁剤は、ジ(水素化獣脂)フタル酸アミド、架橋されたマレイン酸無水物−メチルビニルエーテルコポリマー、セルロースエーテル誘導体、グアーゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルグアーゴム、スターチ(澱粉)およびスターチ誘導体を包含する。適切な増粘剤は、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、ポリオキシエチレン、グアーゴム、ヒドロキシプロピルグアーゴム、ラウレス−4もしくはポリエチレングリコール400のような、エトキシル化アルコールにより例示される。
【0055】
本発明による組成物は更に、油もしくは油状成分を含有し得る。この用語「油」は、本明細書において使用される場合、水に実質的に不溶な如何なる材料をも言い、一般的に、本組成物中に存在する如何なる種類の低分子量シリコーンとも相容れる。本組成物が、化粧料もしくはパーソナルケア製品において使用されるものである場合、その製品の成分も、化粧品として許容可能でなくてはならず、さもなくば、当該製品の末端使用条件に合わなくてはならない。適切な油成分のある幾つかの例は、ココナッツオイル(椰子油)のような天然オイル(油);鉱油および水素化ポリイソブテンのような炭化水素;オクチルドデカノールのような脂肪アルコール;安息香酸C12〜C15アルキルのようなエステル;二ペラルゴン酸プロピレンのようなジエステル;ならびに、三オクタン酸グリセリルのようなトリエステルを包含する。低粘度油も使用され得、25℃において、粘度5〜100mPa.sを持っている油のようなものであり、一般的に、RCO−OR’のような構造を持っているエステルからなっており、式中、RCOは、カルボン酸基を表し、OR’は、アルコール残基である。低粘度油のある幾つかの例は、イソノナン酸イソトリデシル、二ヘプタン酸PEG−4、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸トリデシル、オクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、リシノレン酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、二カプリル酸/カプリン酸椰子油、イソステアリン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソヘキシル、パルミチン酸オクチル、リンゴ酸ジオクチル、オクタン酸トリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、オクタドデカノールおよびオクチルドデカノール混合物、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、イソドデカノール、大豆油、向日葵油、小麦および/または穀類の発芽油、アーモンド油、ホホバ(jojoba)油、アボカド油、オリーブ油、パーム油、calophyllum、および蓖麻子油を包含する。
【0056】
他の添加剤は、パウダー(粉末)および色素を包含し得、特に、本発明による組成物が、メーキャップ用に使用されるものと意図される場合である。本発明の粉末成分は一般的に、乾燥した、粒子状物質として定義され得、粒子サイズ0.02〜50ミクロンを持っている。該粒子状物質は、着色されていてもよく、または、着色されていなくてもよい(例えば、白)。適切な粉末は、オキシ塩化ビスマス、チタン酸マイカ、発煙シリカ、球状シリカビーズ、ポリメチルメタクリレートビーズ、窒化硼素、珪酸アルミニウム、澱粉オクテニルコハク酸アルミニウム、ベントナイト、カオリン、珪酸マグネシウムアルミニウム、シリカ、タルク、マイカ、二酸化チタン、カオリン、ナイロン、シルク(絹)粉末を包含するが、これらに限定されない。上記粉末は、表面処理されて、その粒子の性質を疎水性にしてもよい。
【0057】
該粉末成分は、種々の有機および無機色素をも含む。該有機色素は一般的に、種々のタイプの芳香族であり、アゾ、インディゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、およびキサンチン染料を包含しており、D&CおよびFD&C青、褐、緑、橙、赤、黄等と命名される。無機色素は一般的に、証明された着色添加剤の不溶性金属塩からなり、レーキもしくは酸化鉄として言及される。粉状の着色料は、カーボンブラック(黒鉛)、酸化クロムもしくは酸化鉄、ウルトラマリン、ピロ燐酸マンガン、鉄青、および二酸化チタンのようなものであり、真珠状光沢剤は一般的に、着色色素との混合物として使用され、あるいは、ある幾つかの有機染料は一般的に、着色色素との混合物として使用され、化粧品業界において汎用され、これらは、本組成物に加えられ得る。一般的に、これら着色料は、最終組成物重量に関して0〜20重量%の量で存在し得る。
【0058】
粉状の無機もしくは有機充填剤も加えられ得、一般的に、最終組成物重量に関して0〜40重量%の量である。これら粉状の充填剤は、タルク、マイカ、カオリン、酸化亜鉛もしくは酸化チタン、炭酸カルシウムもしくは炭酸マグネシウム、シリカ、球状二酸化チタン、ガラスもしくはセラミックのビーズ、8〜22炭素原子を持っているカルボン酸由来の金属石鹸、非膨張性合成ポリマー粉末、膨張性粉末、ならびに、穀類の澱粉のような天然有機化合物からの粉末から選ばれ得、これらは架橋されていてもいなくてもよいコポリマー微小球であり、EXPANCEL(Nobel Industrie)、ポリトラップ、ならびに、シリコーン樹脂粉末およびミクロビーズ(例えば、東芝からのTOSPEARL)のようなものである。
【0059】
本発明による組成物において有用なワックスもしくはワックス状材料は一般的に、大気圧において35〜120℃の融点範囲を持つ。このカテゴリー中のワックスは、合成ワックス、セレシン、パラフィン、オゾケライト(地蝋)、蜜蝋、カルナウバ、微結晶のもの、ラノリン、ラノリン誘導体、カンデリラ、ココアバター、セラックワックス、鯨蝋(spermaceti)、糠ワックス、カポック(capok)ワックス、砂糖黍ワックス、モンタンワックス、鯨蝋(whale wax)、ベーベリ蝋、もしくはこれらの混合物を包含する。非シリコーン脂肪物質として使用できるワックスの中で、蜜蝋のような動物ワックス;カルナウバ、カンデリラワックスのような植物ワックス;例えば、パラフィンもしくは亜炭ワックスもしくは微結晶ワックスもしくはオゾケライトのような鉱物ワックス;ポリエチレンワックスを包含して合成ワックス;ならびに、Fischer−Tropsch合成により得られるワックスについて、述べられてもよい。シリコーンワックスの中で、ポリメチルシロキサンの、アルキル体、アルコキシ体、および/またはエステル体について、述べられてもよい。
【0060】
シリコーンシルセスキオキサン樹脂ワックスは、抗汗および脱臭組成物においても、スティック、柔らかい固体、ロールオン、エアロゾル、ポンプスプレーの形で使用され得るが、これらに限定されない。抗汗剤および脱臭剤のある幾つかの例は、塩化アルミニウム、テトラクロロヒドレックス(hydrex)GLYアルミニウムジルコニウム、テトラクロロヒドレックス(hydrex)PEGアルミニウムジルコニウム、クロロヒドレックス(hydrex)アルミニウム、テトラクロロヒドレックス(hydrex)PGアルミニウムジルコニウム、クロロヒドレックス(hydrex)PEGアルミニウム、トリクロロ水和アルミニウムジルコニウム、クロロヒドレックス(hydrex)PGアルミニウム、トリクロロヒドレックス(hydrex)GLYアルミニウムジルコニウム、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、セスキクロロ水和アルミニウム、重炭酸ナトリウム、セスキクロロヒドレックス(hydrex)PEGアルミニウム、クロロフィリン銅錯体、トリクロサン、オクタクロロ水和アルミニウムジルコニウム、リシノレン酸亜鉛である。
【0061】
本発明による組成物は、これをヒトの体、例えば、皮膚もしくは毛髪に適用していくような標準的な方法により、適用器械、ブラシを使用して、手で適用して、それを注いだり、および/または、可能であれば本組成物を体の上もしくは中へと擦り込んだりもしくはマッサージしたりして、使用され得る。除去方法も、例えば着色化粧料に関しては、洗ったり、拭き取ったり、はがしたり、および同様な標準的なよく知られた方法である。
【0062】
皮膚上での使用に関し、本発明による組成物は、例えば皮膚をコンディショニングするための従来の様式で使用されてよい。有効量の本組成物はこの目的で、皮膚に対して適用される。このような有効量は一般的に、約1mg/cm〜約3mg/cmの範囲である。皮膚に対する適用は典型的に、本組成物を皮膚中へと作用させることを包含する。皮膚に対する適用のためのこの方法は、皮膚を有効量の本組成物と接触させ、次いで、本組成物を皮膚中へと擦り込むステップを含む。これらのステップは、望まれるだけ多くの回数繰り返され得、望まれる有益性を達成させる。
【0063】
本発明による組成物の、毛髪上における使用は、毛髪をコンディショニングするための従来の様式を使用してよい。毛髪をコンディショニングするのに有効量の本組成物が、毛髪に適用される。このような有効量は一般的に、約1g〜約50g、好ましくは約1g〜約20gの範囲である。毛髪に対する適用は典型的に、本組成物を毛髪を通して作用させることを包含し、大部分もしくは全ての毛髪が、本組成物と接触されるようにする。毛髪をコンディショニングするためのこの方法は、有効量のこのヘアケア組成物を毛髪に対して適用し、次いで、本組成物を毛髪を通して作用させるステップを含む。これらのステップは、望まれるだけ多くの回数繰り返され得、望まれるコンディショニング面での有益性を達成させる。高シリコーン含量が、本発明によるヘアケア組成物中に取り込まれる場合、これは、分けられた末端ヘア製品に有用な材料であることがある。
【0064】
本発明による組成物は、ヒトもしくは動物の皮膚上において使用され得、例えば、その外観を、保湿したり、着色したり、もしくは一般的に向上させたり、または、日焼け止め、脱臭剤、昆虫忌避剤等のような活性分を適用したりする。
【0065】
本シルセスキオキサン樹脂ワックスは特に、局所用製剤における化粧料の耐久性および直接性を増強させるのに有用であり、化粧料における構成分として使用され得る。これらは、研磨剤、ワックス、ビニルおよび皮革処理剤のような家庭用ケア品において、ならびに、粗精製油回収におけるワックス制御においても、使用され得る。これらは、研磨剤、ワックス、ビニル、皮革、およびタイヤ処理剤、ならびに、保護剤のような、自動車ケア品においても、使用され得る。
【実施例】
【0066】
以降の実施例が著され、更に本発明の組成物および方法を例示するが、本発明を限定しているものとして解釈されるべきでない。反対に指し示されなければ、これら実施例における全ての部および%は重量基準であり、全ての測定値は約23℃において得られた。
【0067】
これら実施例の代表的なシルセスキオキサン樹脂ワックス(これらを調製する中間体)が、該樹脂中に存在しているシロキシ単位に関して、M、D、T、およびQ命名法を使用して、記載される。上付き文字は更に、該シロキシ単位上に存在しているアルキル置換基を記述する。本明細書において使用される上付き文字は、以降を命名する。
Prは、CHCHCH
Hは、水素(≡SiHとして)
下付き文字は、該樹脂における該シロキシ単位のモル分率を記述する。
【0068】
材料
Pr樹脂=プロピルシルセスキオキサン樹脂、トルエン中、71.0重量%。該プロピルシルセスキオキサン樹脂(本明細書において、TPrと略記)は、式CHCHCHSiO3/2を持ち、M3500を有し、7重量%のOH基が、プロピルトリクロロシランの加水分解から調製された。
C18オレフィンは、HC=CH(CH15CH、1−オクチルデセンを表し、Chevron Phillips Chemical Company、10001 Six Pines Drive、The Woodlands、TX77380から受け取った状態で使用された。
C20−C24オレフィンは、HC=CH(CH20−24CHを表し、Chevron Phillips Chemical Company、10001 Six Pines Drive、The Woodlands、TX77380から受け取った状態で使用された。
C26−C28オレフィンは、HC=CH(CH26−28CHを表し、Chevron Phillips Chemical Company、10001 Six Pines Drive、The Woodlands、TX77380から受け取った状態で使用された。
C30+オレフィンは、CAS#260255−62−7を表し、Chevron Phillips Chemical Company、10001 Six Pines Drive、The Woodlands、TX77380から受け取った状態で使用された。
【0069】
実施例1(参考)
Prシルセスキオキサン樹脂からのMMPr樹脂の調製
3頸反応フラスコに、攪拌棒(攪拌器)、温度計(温度プローブ)、Dean Sta
rk トラップ、およびジムロート(濃縮管、濃縮器)を備え付け、Tプロピル樹脂、ヘ
キサメチルジシロキサン、テトラメチル二水素ジシロキサン、および水を、表1中に示さ
れた比でチャージした。該Dean Stark トラップを、トルエンと共に予め載せ
、確実に固形分濃度を維持した。トリフルオロメタンスルホン酸を触媒として、該フラス
コ中、反応混合物に対して0.01重量%にて加えた。該反応混合物の温度を、50℃以
下に維持したが、水浴を当初必要に応じて用いた。該温度が安定化されたら、該温度を5
0℃に3時間維持した。次いで、該反応混合物を加熱還流させ(100〜140℃)、必
要に応じて該Dean Stark トラップを介して、水を除去した。該反応において
形成された全ての水を除去した後、樹脂混合物を放冷し、10モル倍過剰の炭酸カルシウ
ム(700マイクロリットルのFC−24に対して9.31g)を加え、酸触媒を中和さ
せた。該樹脂混合物を次いで、圧フィルターを通して濾過し、揮発分を、ロータリーエバ
ポレーターを介して除去した。
【0070】
【表1】

【0071】
実施例2(参考)
プロピルトリメトキシシランからのMMPr樹脂の調製
3頸反応フラスコに、攪拌器、温度プローブ、滴下漏斗、および濃縮器を備え付け、プ
ロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチル二水素ジシロキサ
ン、およびFC−24触媒を、表1中の比でチャージした。水を次いで、該滴下漏斗を介
して加えた。水の添加の制御およびもし必要とされれば水浴の使用により、温度を50℃
より低く維持した。水の添加後、温度を50℃に3時間維持した。結果的に得られてくる
2相の反応混合物を次いで、分液漏斗に入れ、水相を、樹脂相から分離させた。ヘプタン
を、過剰な水を樹脂から分離させるのを補助するに充分な量加えた。集めた樹脂相を次い
で、3頸フラスコ中に戻し、10モル倍過剰のCaCOを加え、残っている如何なる酸
触媒をも中和させた。水も加えられ、存在している如何なるメトキシをも除去し、混合物
は熱せられて、痕跡量の水およびヘプタンを除去する代わりに、Dean Stark トラップを用いて還流させた(100〜140℃)。冷却後、MgSOを加え、存在している如何なる水をも除去した。仕上げに、樹脂を、圧フィルターを通過させた。
【0072】
【表2】

【0073】
実施例3
MMPr樹脂からのTPr樹脂ワックス
この実施例は、本発明の代表的なシルセスキオキサン樹脂ワックスを調製するのに使用された手順を記載する。使用された製剤およびオレフィン性ワックスの記述を、下の表3中に示す。
【0074】
3頸反応フラスコに、攪拌器、温度プローブ、および濃縮器を備え付け、シロキサン樹
脂(参考例1もしくは2により調製されたとおり)および粘度を抑えるに充分なヘプタン
をチャージした。内容物を次いで60〜70℃まで加熱した。オレフィン性ワックスを次
いで、該反応フラスコに加え、以降、白金触媒を加えた。初期の発熱後、温度を120℃
に3〜4時間維持し、その後、該ワックスのSi−Hをチェックした。結果的に得られて
くるワックスの融点を、DSCにより特徴化し、下の表4中に示す。
比較例C−1
3頸反応フラスコに、攪拌器、温度プローブ、および濃縮器を備え付け、オレフィン性
ワックスをチャージした。内容物を次いで75〜85℃まで加熱し、白金触媒を加えた。
メチル水素直鎖シロキサン流動体を次いで、滴下漏斗を通じて反応に加えた。初期の発熱
後、温度を120℃に3〜4時間維持し、ワックスのSi−Hをチェックした。使用され
た製剤を、表3中に示す。
【0075】
【表3】

【0076】
【表4】

【0077】
実施例4
シルセスキオキサン樹脂ワックスは、C−1に比較して、揮発性シリコーンとの相容性
が向上しており、同時に、他の化粧料成分との相容性を維持しており、表5に示されると
おりである。
【0078】
【表5】

【0079】
実施例5
本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、アルキルメチルシリコーンワックスC−1より
も、シクロメチコーン、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、およびフェノキシエタノール
のような溶媒および香料成分と相容れる。これゆえ、本シルセスキオキサン樹脂ワックス
は、C−1よりも、シリコーン主体の系を増粘させていくのに適している。また、特定の
香料成分との相容性の向上は、香りの保持への潜在的なインパクト(効果)を与える。表
6は、試験された代表例をまとめる。
【0080】
【表6】

【0081】
本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、アルキルメチルシリコーンワックスC−1より
も、シクロメチコーン、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、およびフェノキシエタノール
のような溶媒および香料成分と相容れる。これゆえ、本シルセスキオキサン樹脂ワックス
は、C−1よりも、シリコーン主体の系を増粘させていくのに適していると考えられる。
また、特定の香料成分との相容性の向上は、香りの保持への潜在的なインパクトを与える

【0082】
実施例6
水中油型および油中水型エマルションに関してのレオロジー修飾剤
【0083】
【表7】

【0084】
手順
1.相A成分を一緒に混合し、75℃まで熱する。
2.相C成分を一緒に混合し、75℃まで熱する。
3.温度が75℃のままであることを確認しながら、相Bを、相A中に加える。
4.激しい攪拌下に、相Cを、相A+B中に加える。添加が完結したら、この加熱を
停止させる。
5.温度が50℃を下回ったら、激しい攪拌下に、相Dを、上記に加える。
6.激しい攪拌下に、相Eを、上記に加える。
もし必要なら、pH7に調整し、加熱による水の損失を補う。
【0085】
【表8】

【0086】
手順:
DC245中のワックスを溶融させ、熱い混合物をDC5225Cに加えつつ、2枚羽
ブレードを用いて混合する。分散されるまで、混合する。混合スピードを1376RPM
まで上昇させつつ、水相(水、NaCl、およびグリセリン)を加える。水相を10分に
亘り加える。更に10分間、混合する。
樹脂ワックス含有クリーム粘度:80,000cPs
コントロールクリーム(樹脂ワックスなし)粘度:50,500cPs
これらの実施例は、本樹脂シルセスキオキサンワックスが、水中油型および油中水型両
方の系の粘度を増大させることにより、レオロジー修飾剤として作用することを指し示す

【0087】
実施例7
水中油型および油中水型クリームに関してのきめ修飾剤
きめ分析機を使用して、表6および7に記載された水中油型および油中水型エマルショ
ンが、以降のパラメーター:
硬さ、圧縮性、接着性(adhesiveness)、および粘着性(cohesi
veness)
に関して、それらのコントロールに比較された。
設備:きめ分析機
安定ミクロ系(Stable Micro system)
ソフトウェア:Texture Expert Exceed
使用されたプローブ:0.5半球ステンレス
手順:
該プローブは機械的に、分析中の皮膚用クリーム中に浸され、一定スピードにおいて該
クリーム中に深さ10mmまで浸透していき(2回ゆっくりしたスピードで浸し、2回速
いスピードで浸す)、該プローブはスタート位置に戻される。該クリーム中での該プロー
ブの浸透を2回繰り返すことにより、その力が、圧縮モードにおいて測定される。この実
験は、同一クリームの2つの他のサンプル(40gr)に関して繰り返される。3つの結
果が、各クリームに関して得られる。
マクロデータ解析を使用して、以降の情報が得られた。
第1の押し込みからのピーク圧縮力が、該クリームの硬さに関する情報を与える。
第1の押し込み曲線下の面積が、該クリームの圧縮性に関する情報を与える。
引き出し曲線下の面積が、該クリームの接着性に関する情報を与える。
第2の押し込み曲線下の面積/第1の押し込み曲線下の面積が、該クリームの粘着性
に関する情報を与える。
【0088】
【表9】

【0089】
要約:
コントロールのクリームに比較して、樹脂ワックスの添加は有意に、エマルションの硬
さおよび圧縮性を増強させ、安定性を向上させるが、粘着性を増強させることなく、皮膚
上でのクリームの良好な拡張性を可能にしている。接着性へのインパクト(衝撃)は最小
限であり、最小限のフィルムが残り、低い粘着性である。
【0090】
実施例8
日焼け止め水中油型エマルション
【0091】
【表10】

【0092】
手順
1.相A成分を混合し、ゆっくり攪拌しながら(200RPM)60℃まで熱する。
2.乳化直前まで、相Bを相Aに加える。
3.もう1つ別のビーカーにおいて相C成分を混合し、60℃まで熱する。
4.非常に強い攪拌下に(1900rpm)、相Cを、非常にゆっくり相A+B中に
加える。
5.添加が完結したら、攪拌下に更に5分間置き、ホモジェナイザー(均一化機)を
通過させる。
【0093】
実施例9
体の日焼け止めにおける、本シルセスキオキサン樹脂ワックス製剤
【0094】
【表11】

【0095】
手順
1.相A成分を混合し、ゆっくり攪拌しながら(200RPM)60℃まで熱する。
2.もう1つ別のビーカーにおいて相B成分を混合し、60℃まで熱する。
3.非常に強い攪拌下に(1900rpm)、相Bを、非常にゆっくり相A中に加え
る。
4.添加が完結したら、攪拌下に更に5分間置き、均一化機を通過させる。
【0096】
実施例10
シルセスキオキサン樹脂ワックスおよびビタミン製剤
【0097】
【表12】

【0098】
手順
1.相A成分を混合し、パルミチン酸ビタミンAを除き均一化させ、ゆっくり攪拌し
ながら(200RPM)60℃まで熱する。
2.もう1つ別のビーカーにおいて相B成分を混合し、60℃まで熱する。
3.非常に強い攪拌下に(1900rpm)、相Bを、非常にゆっくり相A中に加え
る。
4.添加が完結したら、パルミチン酸ビタミンAを加え、攪拌下に更に5分間置き、
均一化機を通過させる。
【0099】
実施例11
シルセスキオキサン樹脂ワックスを有するファンデーションクリーム
【0100】
【表13】

【0101】
手順
1.相A成分を混合し、高剪断ミキサーを使用して、均一化させる。
2.相Aを60℃まで熱し、シルセスキオキサン樹脂ワックスを加え、溶融したら、
相Bの残りを加える。
3.もう1つ別のビーカーにおいて相C成分を混合し、60℃まで熱する。
4.非常に強い攪拌下に(1900rpm)、相Cを、非常にゆっくり相A+B中に
加える。
5.添加が完結したら、攪拌下に更に5分間置き、均一化機を通過させる。
【0102】
実施例12
リップスティック製剤
【0103】
【表14】

【0104】
手順
1.相Aを85℃まで熱する。
2.相Bを加える。
3.製剤をリップスティック用モールド中に注ぐ。
4.60分間フリーザーに入れる。
5.モールドから除去する。
【0105】
【表15】

【0106】
手順
1.相Aを85℃まで熱する。
2.相Bを加える。
3.リップスティック用モールド中に注ぐ。
4.60分間フリーザーに入れる。
5.モールドから除去する。
リップスティックに関する移り耐性試験
手順:14人のパネリストが、2種の製剤の2とおりの比較に関してあてがわれる(1と
おりの比較は、各前腕上でのもの)。該パネリストは、異なる基準を評価しなければなら
ない。
1.適用の容易さ:
該パネリストは、利き手でない方の甲に各々のラインを1本引くことにより、リッ
プスティックを自分自身で適用するよう、どれが適用するに最も容易な製品であるか指し
示すよう求められる。
2.移らなかった度合い:
オペレーターが10秒間、2スポットのリップスティック上に顕微鏡用スライドを
適用し、該パネリストが次いで、該スライド上にどの製品が最も移らないと考えるかを指
し示す。
もし14人中13人のパネリストがAを選べば、違いが有意差0.1%で現れる。
もし14人中12人のパネリストがAを選べば、違いが有意差1 %で現れる。
もし14人中11人のパネリストがAを選べば、違いが有意差5 %で現れる。
【0107】
【表16】

【0108】
要約
本シルセスキオキサン樹脂ワックスは、C−1と同様に容易に、両方のリップスティッ
ク製剤中へと取り込まれた。本シルセスキオキサン樹脂ワックスを有するシクロペンタシ
ロキサン主体のリップスティックは、より優れた適用の容易さを示し、蓖麻子油主体のリ
ップスティックは、C−1を凌駕して、より優れた移らないという特性を示した。
【0109】
実施例13
家庭用もしくは自動車用ケア製品
シルセスキオキサン樹脂ワックスサンプルが、溶媒中、10%固形分で供給され、アル
ミニウムパネルおよびビニル片に適用され、摩擦係数(CoF)、接触角、およびグロス
に関して試験された。
【0110】
【表17】

【0111】
グロス、接触角、およびCoFに関する試験方法:
結果的に得られてくるフィルムは、視覚的な観察、および、Gardner Tri−
Gloss Meterを用いた、20°、60°、80°でのグロス測定値により特徴
付けられた。
Advanced Surface Technology Inc.,USAによる
VCA2000ビデオ接触角設備(ゴニオメーターとしても知られる)が使用され、表面
エネルギーおよび接触角を測定した。接触角は、フィルムと、3種のプローブ液体との界
面において測定される。
脱イオン水、試薬級沃化メチレン、試薬級ヘキサデカン
これらプローブ液体は、ある角度で載せられたシリンジからフィルム表面まで、単一の滴
(〜0.1〜0.2マイクロリットル)として、供給される。デジタル画像が直ちに撮ら
れ、接触角が測定される。1種の液体につき3滴の平均が、報告される。表面エネルギー
が、3種のプローブ液体の接触角から計算され、Owens/Wendt法もしくはGe
ometric法プログラムを、SE2000ソフトウェア上で使用している。
摩擦係数(COF)の測定値は、Testing Machines,Inc.からの
Monitor Slip & Friction Tester、Model32−0
6を使用して得られた。3インチ×6インチのアルミニウムパネルが、そのクランプの下
に置かれた。4層の寒冷紗が、その<<B>>スレッド(そり)の下に取り付けられ、こ
れは200g重である。測定値は、1分につき6インチで採られ、最初の2インチの試験
測定値が静止COFを与え、残りの測定値が動的COF(動摩擦係数)を与えた。結果が
、同一サンプルでの3回の試験の平均として報告される。
溶媒から供給され、アルミニウムパネルに適用された場合、本シルセスキオキサン樹脂
ワックスは、あまり移らず、アンチブロッキングに関与し得るCoFにより分かるように
、滑りを与えた。加えて、接触角およびCoFは変動し、本シルセスキオキサン樹脂ワッ
クス組成に拠り、操作され得る。ビニル基材に適用された場合、その効果は、非粘着性の
マット状の仕上がりであり得、良い感触である。この特性は、ある幾つかの自動車のビニ
ル処理において、有利であり得る。これらの特性は、本シルセスキオキサン樹脂ワックス
が表面コーティングにおける添加剤として使用される場合にも、もたらされると考えられ
る。
【0112】
実施例14
粗精製油におけるワックス沈着阻害
使用された粗精製油:メキシコ湾(GOM)粗精製中重油。
試 験:標準コールドフィンガー試験。オイルは105°Fにおいて、
ΔT15°F。
【0113】
【表18】

【0114】
コールドフィンガー試験手順:
この試験の基本は、オイルをその曇点より高い温度に維持しつつ、冷表面上で沈着した
ワックス量を測定することにある。該オイル温度は、定温浴中にオイルコンテナ(油容
器)を浸すことにより、維持される。該冷表面は、その内側を流体が循環しているプロー
ブである(コールドフィンガー)。一旦、該オイルが、望まれる試験温度になれば、該コ
ールドフィンガーは、該オイルコンテナ中へと沈められる。固定期間後、該プローブは、
該オイルから除去され、該プローブ上に沈着されたワックス量が、測定される。この実施
例において、該オイル温度は105°Fであり、該コールドフィンガーは15°F冷たい
(ΔT=15°F)。阻害度(%)は、ブランクに対して比較した場合のものであり、0
%=阻害なし、100%=ワックス沈着なしである。
この実施例により、本シルセスキオキサン樹脂ワックスの使用が、ワックス沈着量を抑えることができ、同時に、いずれの沈着したワックスの特徴をも変え、除去を容易にすることがあることが、実証される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(RR’SiO1/2)x(R”SiO3/2)yを持っており、式中、xおよびyが、0.05〜0.95の値を持ち、Rが、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、カルビノール基、もしくはアミノ基であり、R’が、9〜40炭素原子を持っている1価の炭化水素であり、R”が、1〜8炭素原子を持っている1価の炭化水素基、もしくは、アリール基であるシロキシ単位を、少なくとも40モル%含んでいる、シルセスキオキサン樹脂ワックス。
【請求項2】
前記シルセスキオキサン樹脂ワックスが、単位:
(i)(RSiO1/2)a
(ii)(RSiO2/2)b
(iii)(RSiO3/2)c
(iv)(SiO4/2)d
(v)(RR’SiO1/2)x
(vi)(R”SiO3/2)y
を含み、式中:
R、R、R、およびRが独立に、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、カルビノール基、もしくはアミノ基
R’が、9〜40炭素原子を持っている1価の炭化水素
R”が、1〜8炭素原子を持っている1価の炭化水素基、もしくは、アリール基
a、b、c、およびdが、0〜0.4の値
xおよびyが、0.05〜0.95の値
但し、x+yの値が、0.40以上、a+b+c+d+x+yの値=1
である、請求項1の組成物。
【請求項3】
(C)揮発性シロキサンもしくは有機溶媒から選択される担体
を更に含む、請求項1のシルセスキオキサン樹脂ワックス。
【請求項4】
請求項1もしくは3のシルセスキオキサン樹脂ワックスを含んでいる、パーソナルケア製品。
【請求項5】
前記パーソナルケア製品が、保湿クリームもしくはローションである、請求項4のパーソナルケア製品。
【請求項6】
請求項1もしくは3のシルセスキオキサン樹脂ワックスを含んでいる、家庭用ケア製品。
【請求項7】
請求項1もしくは3のシルセスキオキサン樹脂ワックスを含んでいる、粗精製油ワックス制御製品。
【請求項8】
請求項1もしくは3のシルセスキオキサン樹脂ワックスを含んでいる、自動車用ケア製品。
【請求項9】
シルセスキオキサン樹脂ワックスを調製する方法であって:
A)SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂
B)C〜C40ビニル末端化炭化水素
C)ヒドロシリル化触媒
および任意に
D)溶媒
を反応させることを含んでいる、方法。
【請求項10】
前記SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂が、式(RHSiO1/2)x(R”SiO3/2)yのシロキシ単位を含み、式中:
Rが、1〜8炭素原子を持っているアルキル基、アリール基、カルビノール基、もしくはアミノ基
R”が、1〜8炭素原子を持っている1価の炭化水素基、もしくは、アリール基
xおよびyが、0.05〜0.95の値
但し、該SiH含有アルキルシルセスキオキサン樹脂におけるx+yの値が、0.40以上である、請求項9の方法。

【公表番号】特表2007−532754(P2007−532754A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508391(P2007−508391)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/011705
【国際公開番号】WO2005/100444
【国際公開日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】