説明

シルセスキオキサン樹脂

反射防止コーティングに有用なシルセスキオキサン樹脂であって、式:(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(R2SiO(3-x)/2(OR’)xq(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは硫黄含有有機官能基から選ばれ、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R2はエステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれ、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.97の値を有し、nは0.01〜0.97の値を有し、oは0.01〜0.97の値を有し、pは0.01〜0.97の値を有し、qは0〜0.96の値を有し、且つm+n+o+p+q≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
なし
【背景技術】
【0002】
半導体産業におけるより小さな形状に対する継続的な要求のために、100nm未満の特徴を有するデバイスを製造する技術として193mm光リソグラフィーがごく最近出現している。このような短い波長の光の使用には、フォトレジストを通過した光を吸収することにより、基材上での反射を低減すると共にフォトレジストのスイング硬化(swing cure)を抑えるために、下層反射防止コーティング(Bottom Antireflective Coating)(BARC)が必要である。市販の反射防止コーティング(ARC)は、有機材料及び無機材料の両方から成る。典型的には、良好なエッチング耐性を示す無機ARCは、CVDに基づいており、極端な微細構造(topography:トポグラフィー)による完全なる一体化の不利益を受けやすい。有機ARC物質は、スピンオンプロセスによって塗布され、優れた充填及び平坦化特性を有するが、有機フォトレジストに対する貧弱なエッチング選択性に苦しんでいる。結果として、無機及び有機ARC物質の組み合わせられた利点を示す材料が強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、反射防止コーティングに有用なシルセスキオキサン樹脂であって、式
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(R2SiO(3-x)/2(OR’)xq
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは硫黄含有有機官能基から選ばれ、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R2はエステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれ、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.97の値を有し、nは0.01〜0.97の値を有し、oは0.01〜0.97の値を有し、pは0.01〜0.97の値を有し、qは0〜0.96の値を有し、且つm+n+o+p+q≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂に関する。それらの樹脂が反射防止コーティングに用いられると、除去工程でコーティングを剥離する(stripped)ことができる。さらに、シルセスキオキサン樹脂中の水素原子基の存在は、193nmARC物質として所望の硬化特性及び剥離能に対して極めて重要である。
【0004】
本発明は、
(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(R2SiO(3-x)/2(OR’)xq
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは硫黄含有有機官能基から選ばれ、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R2はエステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれ、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.97の値を有し、nは0.01〜0.97の値を有し、oは0.01〜0.97の値を有し、pは0.01〜0.97の値を有し、qは0〜0.96の値を有し、且つm+n+o+p+q≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含む反射防止コーティング(ARC)組成物にも関する。
【0005】
本発明は、
(A)(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(R2SiO(3-x)/2(OR’)xq
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは硫黄含有有機官能基から選ばれ、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R2はエステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれ、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.97の値を有し、nは0.01〜0.97の値を有し、oは0.01〜0.97の値を有し、pは0.01〜0.97の値を有し、qは0〜0.96の値を有し、且つm+n+o+p+q≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含むARC組成物を電子デバイス上に塗布すること、及び
(B)溶媒を除去すると共にシルセスキオキサン樹脂を硬化させて、電子デバイス上に反射防止コーティングを形成すること
を含む、電子デバイス上に反射防止コーティングを形成する方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
反射防止コーティングを形成するに有用なシルセスキオキサン樹脂は、式
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(R2SiO(3-x)/2(OR’)xq
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは硫黄含有有機官能基から選ばれ、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R2はエステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれ、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.97の値を有し、nは0.01〜0.97の値を有し、oは0.01〜0.97の値を有し、pは0.01〜0.97の値を有し、qは0〜0.96の値を有し、且つm+n+o+p+q≒1)を有する。典型的にmは0.02〜0.7、あるいは0.05〜0.15の値を有する。典型的にnは0.05〜0.90、あるいは0.10〜0.30の値を有する。典型的にoは0.05〜0.90、あるいは0.25〜0.75の値を有する。典型的にpは0.02〜0.20、あるいは0.05〜0.5の値を有する。典型的にqは0〜0.25、あるいは0〜0.15の値を有する。
【0007】
前記樹脂中、Rは硫黄含有官能基である。Rは、一般式HS(CH2z−(式中、zは1〜18の値を有する)のメルカプトアルキル基、又は一般式R3S(CH2z−、R3SS(CH2z−及びR3SSS(CH2z−(式中、R3はH原子、C1〜C4アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)又はアリール基(例えば、フェニル)である)を有するスルフィドもしくはポリスルフィド化合物により例示され得る。Rはメルカプトプロピル、メルカプトエチル、及びメルカプトメチルによりさらに例示され得る。
【0008】
R’は独立して水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基である。R’は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチルにより例示され得る。
【0009】
2は、エステル基、ポリエーテル基、及びポリエチレンオキシド基から選ばれる。エステル基は少なくとも1個のエステル官能性を含有する任意の有機置換基でもよい。ポリエーテル基は酸素原子を経由して連結された炭化水素単位を有する有機置換基であり、限定されないが、以下の構造により表される:−(CH2a[O(CH2bcOR’(式中、a=2〜12、b=2〜6、c=2〜200、R’=H、アルキル、又はその他の有機基)。ポリエチレンオキシド基は、繰り返し単位−(CH2CH2O)t−(式中、tは0〜50から選ばれる数である)を少なくとも1つ有する基である。本明細書で有用なエステル基の例には、−(CH22−O−C(O)Me及び−(CH22−C(O)−OMeがある。本明細書で有用なポリエーテル基の例には、−(CH23−(OCH2CH27−OMe、−(CH23−(OCH2CH27−OH及び−(CH23−(OCH2CH27−OAcがある。本明細書で有用なポリエチレンオキシドの例には、−(CH23−(OCH2CH2t−OMe、−(CH23−(OCH2CH2t−OC(O)Me及び−(CH23−(OCH2CH2t−OHがある。
【0010】
シルセスキオキサン樹脂を製造する典型的な方法は、適当なシランの加水分解・縮合を伴う。この方法によれば、不完全な加水分解又は縮合の結果としてシルセスキオキサン樹脂中に残存−OH及び/又は−OR’が残る可能性がある。シルセスキオキサン樹脂中で−OR’基を含有する単位の総量が40モル%を超えると、樹脂のゲル化及び不安定化が起こることになる。典型的には、シルセスキオキサン樹脂は−OR’基を含有する単位を5モル%未満、あるいは1モル%未満含有する。
【0011】
シルセスキオキサン樹脂は、RI検出器及びポリスチレン標準液を用いるゲル透過クロマトフラフィーにより測定された、500〜50,000の範囲、あるいは2500〜25,000の範囲、あるいは4,000〜20,0000の範囲の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0012】
シルセスキオキサン樹脂は当技術分野で知られている方法により製造することができる。例えばそれらは、ベッカー(Becker)らの米国特許第6,281,285号及びバンク(Bank)らの米国特許第5,010,159号に説明されている方法を用いてトリクロロシランの加水分解及び縮合により製造することができる。あるいは、シルセスキオキサン樹脂はアルコキシシランの加水分解及び縮合により製造することができる。
【0013】
シルセスキオキサン樹脂は典型的に溶媒の存在下で製造される。加水分解及び縮合反応に関与し得る官能基を含まない任意の好適な有機溶媒又はシリコーン溶媒を、シルセスキオキサン樹脂の製造に用いることができる。溶媒は一般に溶媒及びシラン反応物の総重量に基づいて、40〜98重量%、あるいは70〜90重量%の量で用いられる。反応は二相系又は単相系として実施し得る。
【0014】
有用な有機溶媒は、n−ペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン及びイソオクタンなどの飽和脂肪族化合物;シクロペンタン及びシクロヘキサンなどのシクロ脂肪族化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチル(dietheyl)エーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル;メチルイソブチルケトン(MIBK)及びシクロヘキサノンなどのケトン;トリクロロエタンなどのハロゲン置換アルカン;ブロモベンゼン及びクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、イソ酪酸イソブチル及びプロピルプロピオネート(propronate)などのエステルにより例示され得るが、これらに限定されない。有用なシリコーン溶媒は、オクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンなどの環状シロキサンにより例示され得るが、これらに限定されない。単一の溶媒を用いてもよく、又は溶媒の混合物を用いてもよい。
【0015】
シルセスキオキサン樹脂を製造するための反応は、シルセスキオキサン樹脂の著しいゲル化又は硬化を引き起こさない限り、任意の温度で行うことができる。典型的に、反応は、5℃〜150℃の範囲内の温度で行われるが、50℃〜100℃が推奨される。
【0016】
シルセスキオキサン樹脂を形成するための時間は、温度、シラン反応物の種類及び量、並びに(存在する場合は)触媒の量などの多数の因子によって決まる。典型的には、反応時間は数分から数時間である。当業者であれば反応を完了するに要する時間を容易に決めることができる。反応を促進するために用いられ得る触媒には、硝酸、硫酸、塩酸他が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
反応完了後、任意で触媒を除去してもよい。触媒の除去方法は当該技術分野で周知であり、中和、ストリッピングもしくは水洗浄又はそれらの組合せが挙げられる。触媒は、溶液中でのこのような除去が推奨される場合、シリコーン樹脂の貯蔵寿命に悪影響を特に与えることがある。
【0018】
シルセスキオキサン樹脂を製造するプロセスにおいて、反応が完了した後、減圧下で揮発物をシルセスキオキサン樹脂溶液から除去してもよい。そのような揮発物には、副生成物のアルコール、過剰の水、触媒、塩酸(クロロシランからの)及び溶媒が挙げられる。揮発物の除去方法は当技術分野では公知であり、例えば蒸留が挙げられる。
【0019】
シルセスキオキサン樹脂を製造するための反応の後に、所望の形態のシルセスキオキサン樹脂を得るために、多数の任意の工程を行ってもよい。例えば、溶媒を除去することにより、シルセスキオキサン樹脂を固体の形態で回収してもよい。溶媒の除去方法は当技術分野で周知である(例えば、加熱及び/又は真空下での蒸留)。シルセスキオキサン樹脂が固体の形状で回収されると、その樹脂を、特定の用途のために同じ又は他の溶媒に任意に再溶解することができる。あるいは、反応で用いられた溶媒とは異なる溶媒が最終製品に望まれる場合、例えば、第2の溶媒を添加すると共に、蒸留により第1の溶媒を除去することにより、溶媒交換を行ってもよい。さらに、溶媒の一部を除去するか、又は追加量の溶媒を添加することにより、溶媒中の樹脂濃度を調整することができる。
【0020】
本発明は、
(i)式 (PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(R2SiO(3-x)/2(OR’)xq
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは硫黄含有有機官能基から選ばれ、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R2はエステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれ、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.97の値を有し、nは0.01〜0.97の値を有し、oは0.01〜0.97の値を有し、pは0.01〜0.97の値を有し、qは0〜0.96の値を有し、且つm+n+o+p+q≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含む反射防止コーティング(ARC)組成物にも関する。
【0021】
有用な溶媒(ii)には、特に1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート及びシクロヘキサノンが挙げられるが、これらに限定されない。ARC組成物は典型的にARC組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約99.9重量%、あるいは80重量%〜95重量%の溶媒を含む。
【0022】
ARC組成物は遊離基開始剤又はその他の添加剤を含むことができる。好適な遊離基開始剤には、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの過酸化物及び光開始剤が挙げられる。典型的には遊離基開始剤は、ARC組成物の総重量に基づいて、1000ppmまでの量、あるいは10〜500ppmの量で存在する。その他の添加剤には、光酸及び熱酸発生剤、光塩基及び熱塩基発生剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
反射防止コーティング組成物は、シルセスキオキサン樹脂、溶媒、及び任意に遊離基開始剤又はその他の添加剤を混合することにより形成される。典型的には、遊離基開始剤又はその他の添加剤は、早期硬化を防ぐためにその使用直前にコーティング組成物に添加される。
【0024】
反射防止コーティング組成物は電子デバイス上に塗布されて、コーティングされた基板を製造する。溶媒が除去されると共にシルセスキオキサン樹脂が硬化されて、電子デバイス上に反射防止コーティングを生じる。
【0025】
典型的には、電子デバイスは、半導体構成部品の製造における使用が意図されたシリコン系デバイス及びガリウムヒ素系デバイスなどの半導体デバイスである。典型的に、デバイスは少なくとも1個の半導体層と、種々の導電性、半導性又は絶縁性材料を含む複数の他の層とを含む。
【0026】
ARC組成物の電子デバイスへの具体的な塗布方法は、スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、フローコーティング、スクリーン印刷などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい塗布方法はスピンコーティングである。典型的には、コーティングには電子デバイスを約2000RPMでスピンさせ、スピンされた電子デバイスの表面にARC組成物を添加することを伴う。
【0027】
溶媒は除去されると共にシルセスキオキサン樹脂が硬化されて、電子デバイス上に反射防止コーティングを形成する。硬化は通常硬化をもたらすために十分な時間十分な温度でコーティングを加熱することを含む。シルセスキオキサン樹脂が溶媒(その溶媒からシルセスキオキサン樹脂が塗布された)に本質的に不溶になるように十分な架橋が生じたときに硬化は起こる。硬化は、例えばコーティングされた電子デバイスを80℃〜450℃で0.1分間〜60分間、あるいは150℃〜275℃で0.5分間〜5分間、あるいは200℃〜250℃で0.5分間〜2分間加熱することで行うことができる。任意の加熱方法が硬化工程中に用いられ得る。例えば、コーティングされた電子デバイスを、石英管炉、対流式オーブン内に置くか、又はホットプレート上に放置してもよい。あるいは、反射防止コーティングは、光酸発生剤(PAG)又は光塩基発生剤などの光活性添加剤の存在下で紫外線照射により硬化させることができる。
【0028】
コーティングされた組成物のシルセスキオキサン樹脂を硬化中に酸素又は炭素との反応から保護するために、硬化工程は不活性雰囲気中で行うことができる。この明細書で有用な不活性雰囲気には、窒素及びアルゴンが挙げられるが、これらに限定されない。「不活性」とは、周囲環境が酸素を50ppm未満、好ましくは10ppm未満含有することを意味する。硬化及び除去工程が行われるときの圧力は重要ではない。硬化工程は、大気圧未満又は大気圧よりも高い圧でも実施できるが、典型的には大気圧下で行われる。
【0029】
硬化すると、反射防止コーティングを含む電子デバイスがさらなる基板処理工程、例えばフォトリソグラフィーなどに用いられ得る。フォトリソグラフィーに用いられるときは、レジスト画像は反射防止コーティングの上に形成される。レジスト画像の形成方法は、(a)レジスト組成物の皮膜を反射防止コーティングの上部に形成すること、(b)レジスト皮膜を放射線に像様露光し、露光皮膜を生じさせること、及び(c)露光皮膜を現像し、画像を生じさせることを含む。電子デバイス上の反射防止コーティングは、157nm〜365nmの波長を有する紫外線照射、あるいは157nm〜193nmの波長を有する紫外線照射に像様露光されたレジスト組成物を用いる場合に特に有用である。像をレジスト皮膜に生じさせた後、反射防止コーティングにおいてパターンがエッチングされる。反射防止コーティングを除去するために既知のエッチング材料を用いてもよい。所望の構造を有するデバイスを生産するために、レジスト膜を除去するさらなる工程及び反射防止コーティングを残すさらなる工程を使用してもよい。
【0030】
ARCコーティング組成物は、低温で硬化でき、剥離用溶液により除去できるコーティングを作製する。本明細書で生産される反射防止コーティングは良好な溶剤(例えば、PGMEA及びTMAH)耐性を有することを見出した。
【0031】
以下の実施例は、本発明の実施態様を説明するために挙げられている。後に続く実施例に開示された技術は、発明の実施に十分に機能すると発明者が見出した技術を表しており、それ故その実施に好ましい形態を構成していると考えられ得ることが、当業者により理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示を踏まえて、開示された具体的実施態様において多くの変更がなし得ること、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく、同様な又は類似の結果が得られることを理解するべきである。
【実施例】
【0032】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施態様を説明するために挙げられている。後に続く実施例に開示された技術は、発明の実施に十分に機能すると発明者が見出した技術を表しており、それ故その実施に好ましい形態を構成していると考えられ得ることが、当業者により理解されるべきである。しかし、当業者は、本開示を踏まえて、開示された具体的実施態様において多くの変更がなし得ること、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく、同様な又は類似の結果が得られることを理解するべきである。すべてのパーセントは重量%である。
【0033】
<実施例1〜12>
用いられた反応物の量は表1に示される。PGMEA、フェニルトリクロロシラン(シラン1)、トリクロロシラン(シラン2)、メチルトリクロロシラン(シラン3)、及び2−(カルボメトキシ)エチルトリクロロシラン(シラン4)及びメルカプトプロピルトリメトキシシラン(シラン5)の混合物が窒素下で反応器に加えられた。PGMEAと水の溶液がトリクロロシラン溶液に90分間掛けて加えられた。反応は20℃さらに1時間攪拌して、ボディー化された(allowed to body)。得られた反応生成物は水又は水/酢酸エチルで洗浄し分離された。その後、エタノールが樹脂溶液に加えられ、溶液はおよそ22重量%にストリッピングされた。その後、冷たいn−ヘキサンが溶液に加えられ、底層が回収された。追加のPGMEAが加えられ、溶液がPGMEA中固形分<10重量%にストリッピングされた。溶液は追加のPGMEAで10重量%に希釈された。溶液は0.20ミクロンPTFEフィルターによりろ過された。一般式T(H)T(Me)T(Ph)T(R2)T(R)を有する樹脂が作製された。結果は表2に示される。実験4/5は1つの実験として行い、生成物が分別されて、異なるMwを有する二つの樹脂が得られた。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(R2SiO(3-x)/2(OR’)xq
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは硫黄含有有機官能基から選ばれ、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R2はエステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれ、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.97の値を有し、nは0.01〜0.97の値を有し、oは0.01〜0.97の値を有し、pは0.01〜0.97の値を有し、qは0〜0.96の値を有し、且つm+n+o+p+q≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂。
【請求項2】
mが0.02〜0.7の値を有し、nが0.05〜0.90の値を有し、oが0.05〜0.90の値を有し、pが0.02〜0.20の値を有し、且つqが0〜0.25の値を有する請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項3】
Rが、式HS(CH2z−(式中、zは1〜18の値を有する)のメルカプトアルキル基である請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項4】
Rが、式R3SS(CH2z−及びR3SSS(CH2z−(式中、R3はH原子、C1〜C4アルキル基又はアリール基である)のポリスルフィド基である請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項5】
Rが、メルカプトプロピル基である請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項6】
2が、エステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれる請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項7】
2が、−(CH22−C(O)−OMeである請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項8】
前記樹脂が、500〜50,000の範囲の分子量を有する請求項1に記載のシルセスキオキサン樹脂。
【請求項9】
(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(R2SiO(3-x)/2(OR’)xq
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは硫黄含有有機官能基から選ばれ、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R2はエステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれ、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.97の値を有し、nは0.01〜0.97の値を有し、oは0.01〜0.97の値を有し、pは0.01〜0.97の値を有し、qは0〜0.96の値を有し、且つm+n+o+p+q≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含む反射防止コーティング組成物。
【請求項10】
mが0.02〜0.7の値を有し、nが0.05〜0.90の値を有し、oが0.05〜0.90の値を有し、pが0.02〜0.20の値を有し、且つqが0〜0.25の値を有する請求項9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項11】
Rが、式HS(CH2z−(式中、zは1〜18の値を有する)のメルカプトアルキル基である請求項9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項12】
Rが、式R3SS(CH2z−及びR3SSS(CH2z−(式中、R3はH原子、C1〜C4アルキル基又はアリール基である)のポリスルフィド基である請求項9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項13】
Rが、メルカプトプロピル基である請求項9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項14】
2が、エステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれる請求項9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項15】
2が、−(CH22−C(O)−OMeである請求項9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項16】
前記樹脂が、500〜50,000の範囲の分子量を有する請求項9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項17】
前記溶媒が、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート及びシクロヘキサノンから選ばれる請求項9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項18】
前記組成物が、遊離基開始剤をさらに含む請求項9に記載の反射防止コーティング組成物。
【請求項19】
(A)(i)式
(PhSiO(3-x)/2(OR’)xm(HSiO(3-x)/2(OR’)xn(MeSiO(3-x)/2(OR’)xo(RSiO(3-x)/2(OR’)xp(R2SiO(3-x)/2(OR’)xq
(式中、Phはフェニル基であり、Meはメチル基であり、Rは硫黄含有有機官能基から選ばれ、R’は水素原子又は1〜4個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R2はエステル基、ポリエーテル基及びポリエチレンオキシド基から選ばれ、xは0、1又は2の値を有し、mは0.01〜0.97の値を有し、nは0.01〜0.97の値を有し、oは0.01〜0.97の値を有し、pは0.01〜0.97の値を有し、qは0〜0.96の値を有し、且つm+n+o+p+q≒1)を有するシルセスキオキサン樹脂と、
(ii)溶媒と
を含む反射防止コーティング(ARC)組成物を電子デバイスに塗布すること、及び
(B)溶媒を除去すると共にシルセスキオキサン樹脂を硬化させて、電子デバイス上に反射防止コーティングを形成すること
を含む、電子デバイス上に反射防止コーティングを形成する方法。
【請求項20】
Rが、メルカプトプロピル基である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
2が、−(CH22−C(O)−OMeである請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒が、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート及びシクロヘキサノンから選ばれる請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物が遊離基開始剤をさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ARC組成物が、スピンコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、フローコーティング又はスクリーン印刷によって塗布される請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記シルセスキオキサン樹脂を、80℃〜450℃で0.1分間〜60分間加熱することにより硬化させる請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記シルセスキオキサン樹脂を不活性雰囲気中で加熱する請求項25に記載の方法。

【公表番号】特表2011−509333(P2011−509333A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542226(P2010−542226)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/085643
【国際公開番号】WO2009/088600
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】