説明

シート状材料の厚さ測定方法およびシート状材料の搬送装置

【課題】コストを抑えたシート状材料の厚さ測定を行うことを可能としたシート状材料の厚さ測定方法およびシート状材料の搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送ベルト12は、シート状材料2の搬送方向と直交する方向に2つに分割された第1、第2の搬送ベルト1202、1204で構成されている。第1、第2の搬送ベルト1202、1204の間には間隙Sが確保されている。シート状材料2は第1、第2の搬送ベルト1202、1204により搬送される。第1、第2の変位センサ16、18は、非接触式であり、第1の搬送ベルト1202と第2の搬送ベルト1204との間隙Sの領域内に位置するシート状材料2の上下に離間して配置され、シート状材料2の上面および下面の変位を検出する。厚さ算出手段20は、第1、第2の変位センサ16、18で検出された上面および下面の変位に基づいてシート状材料2の厚さを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送中のシート状材料の厚さの測定を行うシート状材料の厚さ測定方法およびシート状材料の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムシート等、均等な厚さが要求されるシート状材料の製造過程において、製品の信頼性や歩留まりを向上させる目的で厚さの測定を行っている。シート状材料の厚さを測定する装置の例として、接触式基準ロール厚さ計や、エア式基準ロール厚さ計が周知である。これらの装置は、基準ロール上に載置したシート状材料の表面に対し、前者は接触手段によりシートの厚さ方向における変位量を測定し、後者はセンサ等の非接触手段により、同様の測定を行うものである。このようにして得られた厚さの変位量の測定データが、設定された厚さの上限値または下限値の範囲内であるかを確認し、製造されたシート状材料の良否を判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−240728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のシート状材料の厚さを測定する装置は、比較的信頼性が高い測定値が得られるが、基準ロールを必要とするためにコストがかかるという課題があった。また、シート状材料を基準ロール上へ載置させて測定するため、測定対象のシート状材料が幅広である場合は、装置も大掛かりになるという課題もあった。
本発明は前記事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、コストを抑えたシート状材料の厚さ測定を行うことを可能とし、その上装置を大型化させることなく、信頼性の高い測定データを得ることも可能なシート状材料の厚さ測定方法およびシート状材料の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明は、搬送ベルトによりシート状材料を搬送させながら前記シート状材料の厚みを測定するシート状材料の厚さ測定方法であって、前記搬送ベルトを、前記シート状材料の搬送方向と直交する方向に複数に分割し、前記複数に分割された搬送ベルトの間隙の領域内に位置する前記シート状材料の上下において前記シート状材料の厚さを測定するようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、シート状材料を搬送させながら前記シート状材料の厚みを測定する搬送装置であって、前記搬送方向と直交する方向に複数に分割されそれらの上面に前記シート状材料が載置される複数の搬送ベルトと、前記複数の搬送ベルトを駆動させる駆動手段と、前記複数に分割された搬送ベルトの間隙の領域内に位置する前記シート状材料の上下に離間して配置され前記シート状材料の上面および下面の変位を検出する非接触式の第1および第2の変位センサと、前記第1および第2の変位センサで検出された前記上面および下面の変位に基づいて前記シート状材料の厚さを算出する厚さ算出手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のシート状材料の厚さ測定方法およびシート状材料の搬送装置によれば、分割された複数の搬送ベルトの間隙の領域内に位置するシート状材料の上下においてシート状材料の厚さを測定する。
したがって、従来使用していた基準ロールが不要となるので、装置を大型化させることなく、コストを抑制する上で有利となる。
また、分割された複数の搬送ベルトの間に露出させたシート状材料の部分に対して直接厚さを測定することができるため、信頼性が高く、正確なデータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態のシート状材料の搬送装置の構成を示す斜視図である。
【図2】搬送ベルトおよび第1、第2の変位センサを示す平面図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】図3のBB線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のシート状材料の厚さ測定方法をシート状材料の搬送装置と共に添付図面に従って説明する。
図1に示すように、本発明のシート状材料の搬送装置10は、厚さよりも大きな寸法の幅を有し、幅よりも大きな寸法の長さを有するシート状材料2をその長さ方向に沿って搬送するものである。
本実施の形態では、シート状材料2は、圧延により製造されるゴムシートである。
搬送装置10は、搬送ベルト12と、駆動手段14と、第1、第2の変位センサ16、18と、厚さ算出手段20(図3)とを備えている。
駆動手段14は、搬送ベルト12を搬送させるものであり、従来公知の様々な構成が採用可能であり、例えば、図2に示すように、駆動ローラ1402および従動ローラ1404を含んで構成されている。
搬送ベルト12は、シート状材料2の搬送方向と直交する方向に分割された、本実施の形態では、シート状材料2の幅方向に2つに分割された第1の搬送ベルト1202と第2の搬送ベルト1204とで構成されている。それら第1の搬送ベルト1202と第2の搬送ベルト1204とは駆動ローラ1402および従動ローラ1404に掛け渡され、同期して駆動される。
第1の搬送ベルト1202と第2の搬送ベルト1204との間には、シート状材料2の搬送方向と直交する方向に沿った幅と、シート状材料2の搬送方向に沿った長さとを有する間隙Sが形成されている。言い換えると、第1の搬送ベルト1202と第2の搬送ベルト1204との間には、シート状材料2の幅方向に沿った幅と、シート状材料2の長さ方向に沿った長さとを有する間隙Sが確保されている。
シート状材料2は第1の搬送ベルト1202と第2の搬送ベルト1204の上に載置され、より詳細にはそれらベルト1202、1204の上側部分に載置され、第1の搬送ベルト1202と第2の搬送ベルト1204とが駆動されることにより搬送される。
本実施の形態では、搬送装置10により搬送されたシート状材料2は、2つのガイドローラ22、24により向きを変えられて、ライナー4と重ね合わされて巻き取りロール28により巻き取られる。
なお、駆動ローラ1402および従動ローラ1404の傾き調整や、第1の搬送ベルト1202、第2の搬送ベルト1204の張力調整などには、従来公知の様々な構成が採用可能である。
【0009】
図3、図4に示すように、第1、第2の変位センサ16、18は、非接触式であり、第1の搬送ベルト1202と第2の搬送ベルト1204との間隙Sの領域内に位置するシート状材料2の上下に離間して配置され、シート状材料2の上面および下面の変位を検出するものである。
第1、第2の変位センサ16、18を構成する変位センサとしては、例えば、測定対象物にレーザ光からなる検出光を照射すると共に、測定対象物から反射された反射光を受光し、反射光の角度あるいは位置に基づいて変位センサから測定対象物までの距離を変位として検出するものなど従来公知のさまざまな変位センサが使用可能である。
【0010】
厚さ算出手段20は、第1、第2の変位センサ16、18で検出された上面および下面の変位に基づいてシート状材料2の厚さを算出するものである。
厚さ算出手段20は、マイクロコンピュータあるいは変位センサに対応して市販されているコントローラ(専用アンプ)を用いるなど任意である。
【0011】
また、本実施の形態では、図4に示すように、搬送装置10は、校正用基準板30を備えている。
校正用基準板30は、厚さが既知であり、アクチュエータ32により第1の変位センサ16と、第2の変位センサ18との間に挿入される二点鎖線で示す挿入位置と、この挿入位置から外れた実線で示す退避位置とに挿脱可能に移動される。
アクチュエータ32としては、エアシリンダーなど従来公知の様々なアクチュエータが使用可能である。
【0012】
なお、本実施の形態では、シート状材料2が搬送ローラ12によって水平方向に沿って搬送される部分で第1、第2の変位センサ16、18によりシート材料2の変位を検出している。
このようにシート状材料2が水平に搬送されている状態では、シート状材料2の厚さの大小に拘らず第1、第2の変位センサ16、18に対するシート状材料2の位置の変動が少ないため、シート状材料2の変位を正確に検出し厚さを正確に算出する上で有利となる。
なお、シート状材料2が垂直方向に搬送されている部分で第1、第2の変位センサ16、18によりシート材料2の変位を検出することも可能である。しかしながら、シート状材料2が垂直方向に搬送されている状態では、シート状材料2の厚さの大小によってシート状材料2の傾斜が変化し、第1、第2の変位センサ16、18に対するシート状材料2の位置の変動が生じるため、実施の形態のようにシート状材料2が水平方向に搬送される部分でシート状材料2の厚さを測定することが好ましい。
【0013】
また、本実施の形態では、シート状材料2の製造過程のうち、シート状材料2がライナー4と共に巻き取りローラ28に巻き取られる前段階でシート状材料2の厚さを計測している。
したがって、圧延後一定の時間が経過してシート状材料2であるゴムシートの厚さが安定した状態で、言い換えると、ゴムシートが実際に製品として出荷される状態に近い状態でゴムシートの厚さの測定を行うことになるため、測定された厚さの信頼性を高める上で有利となる。
【0014】
次に動作について説明する。
まず、シート状材料2の厚さ測定を行う前に、アクチュエータ32により校正用基準板30を退避位置から挿入位置に移動させる。
校正用基準板30が挿入位置に位置したならば、厚さ算出手段32は、第1、第2の変位センサ16、18によって検出される変位に基づいて算出される厚さが、既知である校正用基準板30の厚さと一致するように、第1、第2の変位センサ16、18で検出される変位を校正する。
第1、第2の変位センサ16、18の校正がなされたならば、アクチュエータ32により校正用基準板30を挿入位置から退避位置に移動させる。
次いで、駆動手段14により搬送ローラ12を駆動すると共に、巻き取りロール28によるシート状材料2およびライナー4の巻き取りを開始する。
これにより、シート状材料2が第1、第2の搬送ローラ1202、1204で搬送され、隙間Sを通過するシート状材料2の上面および下面の変位が第1、第2の変位センサ16、18によって検出され、それら検出結果に基づいて厚さ算出手段20によりシート状材料2の厚さが算出される。
このようにしてシート状材料2が搬送されている期間、シート状材料2の厚さの測定が連続して行われ、シート状材料2の後端が第1、第2の変位センサ16、18の間を通過することでシート状材料2の厚さの測定が終了する。
このようにして一連の測定動作がなされる。
次いで新たなシート状材料2の厚さを測定する場合には、測定に先立って校正用基準板30を用いた校正を行い、上記と同様の測定動作を行う。
【0015】
以上説明したように本実施の形態によれば、シート状材料2の搬送方向と直交する方向に分割された第1、第2の搬送ベルト1202、1204の間隙Sの領域内に位置するシート状材料2の上下において搬送ベルトの厚さを測定するようにした。
したがって、従来使用していた基準ロールが不要となるので、装置を大型化させることなく、コストを抑制する上で有利となる。
また、第1、第2の搬送ベルト1202、1204の間に露出させたシート状材料2の部分に対して直接厚さを測定することができるため、信頼性が高く、正確なデータを得ることができる。
また、非接触式の第1、第2の変位センサ16、18を用いてシート状材料2の厚さの測定を行うので、製造ラインにおいてシート状材料2の流れを止めないまま厚さを測定でき、効率良くシート状材料2の測定を行うことができる。
また、校正用基準板30を用いて第1、第2の変位センサ16、18で検出される変位を校正するようにしたため、より正確な測定データを得ることができる。
【0016】
本発明は上述の実施の形態に限定されないことは明らかである。たとえば、実施の形態では、シート状材料2をゴムシートとしたが、その他のシート状材料2においても適用可能である。接触式では傷を付けるおそれがあるゴムシートのようなシート状材料2の場合、本実施の形態のように、非接触型のレーザ式変位センサを用いて厚さの測定を行うのが好適である。
また、実施の形態では二分割された搬送ベルト12を用いた例を示したが、たとえば三分割されたものであっても良いし、それ以上の数に分割されていても良い。その場合も、分割された搬送ベルト12に複数存在する間隙の領域内の適切な位置に、第1、第2の変位センサ16、18を設置すれば良い。
また、従動ローラ1404と駆動ローラ1402との間で各第1、第2搬送ベルト1202、1204の上側のベルト部分の下面に、回転可能な多数のガイドローラやガイドなどを設け、第1、第2搬送ベルト1202、1204の上側のベルト部分の平坦性を確保するなど任意である。
【符号の説明】
【0017】
10……搬送装置、2……シート状材料、4……ライナー、12……搬送ベルト、1202……第1の搬送ベルト、1204……第2の搬送ベルト、14……駆動手段、1402……駆動ローラ、1404……従動ローラ、16……第1の変位センサ、18……第2の変位センサ、20……厚さ算出手段、22、24……ガイドローラ、28……巻き取り用ロール、30……校正用基準板、32……アクチュエータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルトによりシート状材料を搬送させながら前記シート状材料の厚みを測定するシート状材料の厚さ測定方法であって、
前記搬送ベルトを、前記シート状材料の搬送方向と直交する方向に複数に分割し、
前記複数に分割された搬送ベルトの間隙の領域内に位置する前記シート状材料の上下において前記シート状材料の厚さを測定するようにした、
ことを特徴とするシート状材料の厚さ測定方法。
【請求項2】
前記厚さの測定は、前記複数に分割された搬送ベルトの間隙の領域内に位置する前記シート状材料の上下に離間して配置され前記シート状材料の上面および下面の変位を検出する非接触式の第1および第2の変位センサと、前記第1および第2の変位センサで検出された前記上面および下面の変位に基づいて前記シート状材料の厚さを算出する厚さ算出手段とで行われる、
ことを特徴とする請求項1記載のシート状材料の厚さ測定方法。
【請求項3】
前記厚さの測定前に、前記第1の変位センサと、前記第2の変位センサとの間に厚さが既知の校正用基準板を挿入し、前記第1の変位センサおよび前記第2の変位センサで検出される変位を校正する、
ことを特徴とする請求項2記載のシート状材料の厚さ測定方法。
【請求項4】
前記シート状材料は前記搬送ベルトにより水平に搬送される、
ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載のシート状材料の厚さ測定方法。
【請求項5】
シート状材料を搬送させながら前記シート状材料の厚みを測定する搬送装置であって、
前記搬送方向と直交する方向に複数に分割されそれらの上面に前記シート状材料が載置される複数の搬送ベルトと、
前記複数の搬送ベルトを駆動させる駆動手段と、
前記複数に分割された搬送ベルトの間隙の領域内に位置する前記シート状材料の上下に離間して配置され前記シート状材料の上面および下面の変位を検出する非接触式の第1および第2の変位センサと、
前記第1および第2の変位センサで検出された前記上面および下面の変位に基づいて前記シート状材料の厚さを算出する厚さ算出手段と、
を備えたことを特徴とするシート状材料の搬送装置。
【請求項6】
前記第1の変位センサと、前記第2の変位センサとの間に挿脱される厚さが既知の校正用基準板をさらに備えた、
ことを特徴とする請求項5記載のシート状材料の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−3117(P2013−3117A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137909(P2011−137909)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】