説明

シート部材

【課題】 本発明は、乳首や乳房、あるいはこぶ(瘤)やくるぶし(踝)等に密着させて形状を良くするための伸縮性や通気性を有するシート部材に関するものである。
【解決手段】 本発明のシート部材は、ポリエステル不織布、ポリウレタンフィルム、ゲル状薬剤、透明ポリエチレンフィルムが積層状にラミネートされている。また、前記ポリエステル不織布とポリウレタンフィルムとの積層体には、複数の同心円からなる点線状切り込みが設けられている。前記点線状切り込みは、乳首または乳房、やこぶ(瘤)またはくるぶし(踝)等の凸部に対する密着性、伸縮性、および通気性を持たせている。また、ポリウレタンフィルムには、ゲル状薬剤が塗布または浸漬されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に貼るシート部材に関するものである。特に、本発明は、乳首、乳房、あるいはこぶ(瘤)、くるぶし(踝)等に密着させて形状を良くするための伸縮性や通気性を有するシート部材に関するものである。さらに、本発明は、美白剤等の薬剤を染み込ませたシート部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は従来のバストパットを説明するための概念図である。図5において、バストパット51は、乳房またはブラジャー等の形状に合わせて作製されている。また、前記バストパット51は、形状を維持することに重点が置かれていることが多い。前記形状の維持は、嵩が大きくなり、輸送コストや倉庫料に影響が出てくる。
【0003】
また、膏薬等の貼り薬は、通常、乳首、乳房、あるいはこぶ(瘤)、くるぶし(踝)等のような高低差の激しい場所に貼ることができなかった。
【0004】
その他、特開平11−269712号公報におけるバストパットは、衣服等に装着されるものであり、膨張収縮するパット本体と、前記パット本体を内包する気密性の袋部材と、前記袋部材に形成された開口部に設けられ、前記開口部を開閉する弁部材とからなり、前記弁部材を操作して前記開口部を開いた状態で前記パット本体を押し潰すことにより、前記パット本体を収縮する一方、押し潰し力を解除することにより膨張し得るようにしている。
【特許文献1】特開平11−269712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記公開公報に記載された発明は、パット本体に開口部を設け、前記開口部から所望の厚さとなる膨張収縮する部材を入れることにより、乳房を好みの形にすることができる。しかし、前記バストパットは、膨張収縮する部材を使用しているため、高価になるだけでなく、形状が大きいため、輸送コストや包装費用にも影響する。
【0006】
女性の乳首近傍は、産後に変色し易く、元の色に戻したいという要望がある。本発明は、以上のような課題を解決するために、乳首、乳房、あるいはこぶ(瘤)、くるぶし(踝)等のような高低差の激しい場所であっても、形状を変えることなく密着性、伸縮性、あるいは通気性に優れた安価なシート部材を提供することを目的とする。また、本発明は、前記要望あるいはその他の要望に答えるために、乳首近傍における皮膚の色を白くする美白剤等の薬剤を含むシート部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1発明)
第1発明のシート部材は、ポリエステル不織布とポリウレタンフィルムとを積層するとともに、複数の同心円からなる点線状切り込みを設けた伸縮性を有する基布と、前記基布のポリウレタンフィルム側に塗布または浸漬したゲル状の薬剤と、前記薬剤が塗布または浸漬された基布を覆う透明ポリウレタンフィルムとから少なくとも構成されている。
【0008】
(第2発明)
第2発明のシート部材は、第1発明の薬剤が美白剤であることを特徴とする。
【0009】
(第3発明)
第3発明のシート部材は、第1発明の薬剤が溶媒を含む感触改良剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、防腐剤、保湿剤、消炎剤、乾燥剤、清涼剤の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0010】
(第4発明)
第4発明のシート部材は、第1発明から第3発明の切り込みが渦巻き状の点線であることを特徴とする。
【0011】
(第5発明)
第5発明のシート部材は、第1発明から第4発明の切り込みが長短を混在させていることを特徴とする。
【0012】
(第6発明)
第6発明のシート部材は、第1発明から第5発明の切り込みが異なる向きのものが混在していることを特徴とする。
【0013】
(第7発明)
第7発明のシート部材は、第1発明から第6発明の切り込みが中心近傍が短く、周辺に行くに従い長くなっていることを特徴とする。
【0014】
(第8発明)
第8発明のシート部材は、第1発明から第7発明のポリエステル不織布および/またはポリウレタンフィルムが肌色、さくら色、または、薄いピンク色からなることを特徴とする。
【0015】
(第9発明)
第9発明は、第1発明から第8発明のシート部材がバスト用であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ポリエステル不織布とポリウレタンフィルムに切り込みが設けられているため、乳首あるいは乳房等高低差のある場所に対する密着度および伸縮性が高く、かつ、通気性の優れたシート部材となった。
【0017】
本発明によれば、シート部材におけるポリウレタンフィルムに薬剤を含ませるため、乳首あるいは乳房に起こる色素沈着の改善、その他の不具合を改善することができる。
【0018】
本発明によれば、シート部材は、ポリエステル不織布、ポリウレタンフィルム、ゲル状薬剤、透明ポリエチレンフィルムからなり、前記透明ポリエチレンフィルムを剥がしてから使用するため、使用勝手が簡単であるとともに、安価で、肌触りが良くなった。
【0019】
本発明によれば、乳首または乳房上のシート部材は、上面がポリエステル不織布を用いているため、前記不織布とブラジャーとの摩擦により、ブラジャー内を簡単に移動することがない。
【0020】
本発明によれば、シート部材は、平らなシートであるため、積み重ねても嵩張らず、包装費用、輸送費、倉庫費が安価になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1発明)
第1発明のシート部材は、ポリエステル不織布、ポリウレタンフィルム、ゲル状薬剤、透明ポリエチレンフィルムが積層状にラミネートされている。また、前記ポリエステル不織布とポリウレタンフィルムとの積層体には、複数の同心円からなる点線状切り込みが設けられている。
【0022】
前記ポリエステル不織布とポリウレタンフィルムとの積層体基布は、複数の同心円からなる点線状切り込みを設けることにより、乳首または乳房、あるいは、こぶ(瘤)またはくるぶし(踝)等の凸部に対する密着性、伸縮性、および通気性を持たせている。前記積層体基布におけるポリウレタンフィルムには、ゲル状薬剤が塗布または浸漬されている。そして、乳首、乳房、あるいはこぶ(瘤)、くるぶし(踝)等の肌側には、透明ポリエチレンフィルムによって覆われている。
【0023】
前記シート部材は、前記透明ポリエチレンフィルムを剥がし、前記薬剤側が皮膚に当るように、たとえば、ブラジャー等の中に入れる。前記薬剤は、ポリウレタンフィルムに塗布または浸漬されているので、急激に流れ出すことなく保持されるとともに、徐々に皮膚に浸透する。第1発明は、乳首、乳房、あるいは、こぶ(瘤)、くるぶし(踝)に対する密着性を向上させるとともに、伸縮性および通気性に優れ、安価で、嵩張らないシート部材とすることができる。
【0024】
なお、本発明における切り込みは、線状、点状、スリット状のものを含み、また、シート部材の乳首またはくるぶし(踝)等の外周辺において、前記線状、点状、スリット状の幅および長さが変化する。
【0025】
(第2発明)
第2発明のシート部材は、第1発明における薬剤を美白剤に限定している。前記美白剤は、産後の乳首の色素沈着を改善することができる。
【0026】
(第3発明)
第3発明のシート部材は、第1発明における薬剤を、溶媒を含む感触改良剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、防腐剤、保湿剤、消炎剤、乾燥剤、清涼剤の少なくとも一つとしている。前記薬剤は、乳首あるいは乳房、こぶ(瘤)あるいはくるぶし(踝)等の近傍に対して快適な感触や清涼感を与えるとともに、前記各薬剤の効果を発揮させるためのものである。
【0027】
(第4発明)
第4発明のシート部材は、第1発明から第3発明の切り込みを渦巻き状の点線にしている。前記渦巻き状の点線からなる切り込みは、前記発明とほぼ同様に体における凸部に対する密着性、伸縮性、通気性に優れているという効果を奏する。
【0028】
(第5発明)
第5発明のシート部材は、第1発明から第4発明における同心円の切り込みを長短が混在するとともに、その長さもいろいろと任意に変えて、密着性、伸縮性、および通気性を向上させている。
【0029】
(第6発明)
第6発明のシート部材は、第1発明から第5発明における同心円に沿った切り込みを異なる向きにしている。たとえば、前記切り込みは、同心円に沿ったもの以外に、同心円に対していろいろな角度のものが混在している。
【0030】
(第7発明)
第7発明のシート部材は、第1発明から第6発明の切り込みを中心近傍が短く、外周辺に行くに従い長くしている。前記発明は、切り込みの形状を変えることにより、密着性、伸縮性、および通気性を良くしている。
【0031】
(第8発明)
第8発明のシート部材は、第1発明から第7発明におけるポリエステル不織布および/またはポリウレタンフィルムが肌色、さくら色、または、薄いピンク色からなる。前記ポリエステル不織布および/またはポリウレタンフィルムの着色は、ブラジャー等を通してほのかな肌色、さくら色、または、薄いピンク色となり、胸近傍を美しく見せることができる。
【0032】
(第9発明)
第9発明のシート部材は、乳首や乳房を覆うためのバスト用に使用されるものである。前記シート部材は、ブラジャーの中において、不織布のために位置がずれることなく所定部分に密着する。
【実施例1】
【0033】
図1(イ)は本発明の第1実施例であるバスト用シートの平面概略図で、(ロ)は(イ)における拡大断面図である。図1(イ)および(ロ)において、バスト用シート11は、ポリエステル不織布111とポリウレタンフィルム112とがラミネートされた基布と、前記基布に設けられた点線状の切り込み12と、ゲル状パック剤113と、透明または半透明ポリエチレンフィルム114とから構成されている。
【0034】
前記点線状の切り込み12は、前記基布(111、112)に対して、小円から大円の同心円状となる。前記基布におけるポリウレタンフィルム112には、ゲル状パック剤113が塗布または浸漬されているとともに、透明ポリエチレンフィルム114によって覆われている。
【0035】
前記ゲル状パック剤113は、美白剤、清涼感を味わうような清涼剤、乾燥剤等からなる。前記バスト用シート11は、前記透明ポリエチレンフィルム114を剥がして、前記ポリウレタンフィルム112に塗布または浸漬されたゲル状パック剤113が皮膚に接するように、たとえば、ブラジャーに入れる。前記ポリウレタンフィルム112に塗布または浸漬されたゲル状パック剤113は、少しずつ皮膚に浸み出て、効果的に作用する。
【実施例2】
【0036】
図2は本発明の第2実施例であるバスト用シートの平面概略図である。図2において、バスト用シート21には、渦巻き状の切り込み22が設けられている。
【実施例3】
【0037】
図3は本発明の第3実施例であるバスト用シートの平面概略図である。図3において、バスト用シート31には、複数の同心円状の切り込み32が設けられている。第3実施例は、前記同心円状の切り込み32の長さが中心部で短く、周辺にいくにしたがい長くなっている。第3実施例は、乳首あるいは乳房、こぶ(瘤)あるいはくるぶし(踝)等の大きさを考慮した同心円状の切り込み32の長さとしている。
【実施例4】
【0038】
図4は本発明の第4実施例であるバスト用シートの平面概略図である。図4において、バスト用シート41には、複数の同心円状の切り込み42と、前記切り込み42と方向が異なる切り込み43が設けられている。第4実施例は、前記切り込み42、43の向きを任意に変えることにより、乳首あるいは乳房、こぶ(瘤)あるいはくるぶし(踝)等に対する密着性、伸縮性、および通気性等を良くしている。
【0039】
前記美白剤、抗酸化作用、コラーゲンとしては、アスコルビン酸リン酸ナトリウムがある。前記ゲル状パック剤113は、ゲル剤、溶媒、変色防止剤、その他の薬剤の少なくとも一つが塗布または浸漬されている。前記ゲル剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸部分中和物、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、カリミョウバン、合成ケイ酸アルミニウム等がある。
【0040】
溶媒、感触改良剤、保湿剤、消炎剤としては、ノウグリセリン、オリーブ油、アロエエキス等がある。不織布の変色防止剤としては、1,3−ブチレングリコール、ピロ亜硫酸ナトリウムがある。前記防黴剤、防腐剤としては、塩化ベンザルコニウム、チルパラベン、エチルパラベン、精製水等がある。
【0041】
以上、本実施例を詳述したが、本発明は、前記本実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明のシート部材は、基布に設けた切り込みの向き、長さ、大きさ等を任意(ランダム)に配置することにより、乳首あるいは乳房、こぶ(瘤)あるいはくるぶし(踝)等に対する密着性、伸縮性、および通気性を良くしている。
【0042】
本発明は、前記実施例において、バスト用シートで説明しているが、これ以外に、高低差のある場所、たとえば、こぶ(瘤)やくるぶし(踝)等の場所における貼り薬として使用することができる。本発明は、天然系、植物性の原料、食品点火物使用原料等を中心に製品レシピを組み立てると同時に環境問題等にも対応可能な安全性の高い製品を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(イ)は本発明の第1実施例であるバスト用シートの平面概略図で、(ロ)は(イ)における拡大断面図である。(実施例1)
【図2】本発明の第2実施例であるバスト用シートの平面概略図である。(実施例2)
【図3】本発明の第3実施例であるバスト用シートの平面概略図である。(実施例3)
【図4】本発明の第4実施例であるバスト用シートの平面概略図である。(実施例4)
【図5】従来のバストパットを説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0044】
11・・・バスト用シート
111・・・ポリエステル不織布
112・・・ポリウレタンフィルム
113・・・ゲル状パック剤
114・・・透明ポリエチレンフィルム
12・・・点線状の切り込み
21・・・バスト用シート
22・・・渦巻き状の切り込み
31・・・バスト用シート
32・・・同心円状の切り込み
41・・・バスト用シート
42、43・・・同心円状の切り込み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル不織布とポリウレタンフィルムとを積層するとともに、複数の同心円からなる点線状切り込みを設けた伸縮性を有する基布と、
前記基布のポリウレタンフィルム側に塗布または浸漬したゲル状の薬剤と、
前記薬剤が塗布または浸漬された基布を覆う透明ポリウレタンフィルムと、
から少なくとも構成されているシート部材。
【請求項2】
前記薬剤は、美白剤であることを特徴とする請求項1に記載されたシート部材。
【請求項3】
前記薬剤は、溶媒を含む感触改良剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、防腐剤、保湿剤、消炎剤、乾燥剤、清涼剤の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載されたシート部材。
【請求項4】
前記切り込みは、渦巻き状の点線であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されたシート部材。
【請求項5】
前記切り込みは、長短が混在していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載されたシート部材。
【請求項6】
前記切り込みは、異なる向きのものが混在していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載されたシート部材。
【請求項7】
前記切り込みは、中心近傍が短く、周辺に行くに従い長くなっていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載されたシート部材。
【請求項8】
前記ポリエステル不織布および/またはポリウレタンフィルムは、肌色、さくら色、または、薄いピンク色からなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載されたシート部材。
【請求項9】
バスト用であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載されたシート部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−167096(P2007−167096A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364532(P2005−364532)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(592163789)大一紙工株式会社 (6)
【Fターム(参考)】