説明

シール部材

【課題】サイドメンバアウタ4及びホイールハウスアウタの少なくとも一方の貫通穴の穴周縁41に対する面圧を確保でき、貫通穴からの抜けを防止することができるシール部材を提供する。
【解決手段】穴周縁41を保持する外側保持部14と、穴周縁を保持する内側保持部と、外側保持部14と内側保持部との間を連結する連結部15とを備えている。外側保持部14は、穴周縁41を係合させる係合溝16と、外側保持部14の周方向にリング状に形成されているとともに、径外側方向に拡径する付勢力をもつ弾性リング2を径内側の開口17kから挿着するリング溝17とをもつ。リング溝17と係合溝16との間には周壁部16aが介設されている。リング溝17の周壁部16a側の壁面17aは、弾性リング2が当接する当接面17bをもつ。当接面17bは、径外側方向に対して、係合溝16から離間する方向に傾斜している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の外板に形成された貫通穴の穴周縁をシールするシール部材であって、特に車体の給油口付近をシールし、給油口付近への汚れ、水などの侵入を防止するシール部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に燃料を供給するための給油口には、燃料タンクから延びるインレットフィラーパイプの先端部が配設されている。インレットフィラーパイプの先端部は、車体外側に配設されたサイドメンバアウタの外側貫通穴と、車体内側に配設されたホイールハウスアウタに設けられた内側貫通穴との間に配置される。外側貫通穴は、リッドで開閉可能に覆われている。
【0003】
ところで、サイドメンバアウタとホイールハウスアウタとの間は、所定間隔を隔てて配設されて、電気系統を収容する空間として用いられる。しかし、この空間には、給油時などに外側貫通穴から侵入した水分、汚れなどが溜まり、錆などを発生させるおそれがある。そこで、特許文献1に示されているように、サイドメンバアウタの外側貫通穴とホイールハウスアウタの内側貫通穴との間をシールするシール部材が設けられていた。シール部材は、サイドメンバアウタの外側貫通穴の穴周縁に係合される外側係合溝と、ホイールハウスアウタの内側貫通穴の穴周縁に係合される内側係合溝を設けている。
【0004】
図6に、シール部材の外側係合溝付近の取付構造の断面図を示す。同図において、右側、左側、上側、下側は、それぞれ外側貫通穴の径内側方向、径外側方向、車体の外側、内側を示す。後述する図7においても同様である。図6に示すように、サイドメンバアウタ91の外側貫通穴92の穴周縁93を係合させる外側係合溝94には、弾性リング95を収容するリング溝96が隣設されている。弾性リング95は、リング溝96に径内側方向に圧縮された状態で配設されているため、径外側方向に拡径する付勢力F9をもつ。このため、外側係合溝94を囲む周壁部98がサイドメンバアウタ91の穴周縁93に弾接し、外側係合溝94の穴周縁93へのシール性が保持される。また、この弾性リング95によれば、外側貫通穴92及びシール部材90の寸法誤差を吸収でき、溶接を行わなくてもシール部材90を車体に組み付けることが可能となる。
【0005】
しかしながら、特許文献1のリング溝96は、シール部材90の径方向と平行に形成されている。このため、リング溝96に収容された弾性リング95の付勢力F9は、図6に示すように、リング溝96の径外側端部に位置する当接面97を径外側方向に押圧するにすぎない。それゆえ、付勢力F9からは、リング溝96の壁面を車体内側方向に押す分力が発生しない。ゆえに、リング溝96の車体内側に配置されている周壁部98の、サイドメンバアウタ91の穴周縁93に対する面圧は弱い。したがって、サイドメンバアウタ91の外側貫通穴92からシール部材90が抜け出るおそれがあった。
【0006】
そこで、図7に示すように、リング溝96の外径部99を直角に曲げることが考えられる(特許文献2)。しかし、外径部99は、穴周縁93に対して直角方向に延びている。このため、弾性リング95は、リング溝96の径外側端部に位置する当接面97に当接し、この当接面97を径外側方向に押圧するにすぎない。ゆえに、依然として、リング溝の壁面を車体内側方向に押圧する分力は発生せず、サイドメンバアウタ91の穴周縁93に対する面圧は弱い。また、リング溝96の外径部99は、弾性リング95の挿入方向と垂直方向に曲がっているため、弾性リング95を外径部99に配置しにくいという問題がある。
【特許文献1】特開2007−84043号公報(図2)
【特許文献2】実開昭61−118835号公報(第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、サイドメンバアウタ及びホイールハウスアウタの少なくとも一方の貫通穴の穴周縁に対する面圧を確保でき、貫通穴からの抜けを防止することができるシール部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する本発明のシール部材は、略筒状を呈するとともに、車体のサイドメンバアウタに形成されている外側貫通穴の穴周縁を保持する外側保持部と、前記サイドメンバアウタの内側に前記サイドメンバアウタと離間して配置されたホイールハウスアウタに形成されている内側貫通穴の穴周縁を保持する内側保持部と、前記外側保持部と前記内側保持部との間を連結する連結部と、を備え、前記外側保持部及び前記内側保持部の少なくとも一方は、前記穴周縁を係合させる係合溝と、前記外側保持部又は前記内側保持部の周方向にリング状に形成され径内側に開口をもつとともに、径外側方向に拡径する付勢力をもつ弾性リングを径内側の前記開口から挿着するリング溝と、をもつ周縁係合部から構成されている、シール部材であって、前記リング溝と前記係合溝との間には周壁部が介設されているとともに、前記リング溝の前記周壁部側の壁面は、前記弾性リングが当接する当接面をもち、該当接面は、径外側方向に対して、前記係合溝から離間する方向に傾斜していることを特徴とする。
【0009】
本発明のシール部材は、下記の構成(1)〜(3)の少なくとも1つを備えることが好ましい。
(1)前記リング溝は、径外方向に対して、前記係合溝から離間する方向に傾斜している。
(2)前記係合溝は、前記周壁部から前記穴周縁側に向けて突出するシールリップ部をもつ。
(3)前記シールリップ部は、前記当接面よりも径外側に配設されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシール部材によれば、リング溝の弾性リングとの当接面は、径外側方向に対して、係合溝から離間する方向に所定角度で傾斜している。弾性リングは、径外側方向に拡径する付勢力をもつ。この付勢力の向きは、リング溝の当接面の面方向に対して所定角度で傾斜する方向となり、当接面を押圧する分力が発生する。この付勢力の分力によって当接面は押圧され、この押圧力は周壁部に伝達される。ゆえに、周壁部は、サイドメンバアウタ又はホイールハウスアウタがもつ貫通穴の穴周縁を押圧し、穴周縁に対する面圧を確保することができる。したがって、シール部材が貫通穴から抜け出ることを抑制することができる。
【0011】
前記構成(1)によれば、リング溝が径外方向に対して係合溝から離間する方向に傾斜しているため、リング溝が直角に屈曲している場合(特許文献2)に比べて、弾性リングをリング溝の奥部に配置することができる。
【0012】
前記構成(2)によれば、シールリップ部が穴周縁に弾接する。弾性リングの付勢力によって、シールリップ部は、穴周縁に押し付けられる。ゆえに、シールリップ部は、穴周縁を確実にシールすることができる。
【0013】
前記構成(3)によれば、弾性リングの当接面を押圧する分力の方向は、当接面よりも径外側に向かって傾斜している。この当接面よりも径外側にシールリップ部を配置することにより、シールリップ部に、弾性リングの当接面を押圧する分力が効率的に伝わり、穴周縁にするシール性をより高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のシール部材は、全体として略筒状を呈しており、環状の外側保持部と、環状の内側保持部と、外側保持部と内側保持部とを連結する連結部とをもつ。シール部材は、外側保持部と連結部と内側保持部とを連通する連通穴を内部にもつ。連通穴には、例えば、インレットフィラーパイプが挿着される。この場合、例えば、シール部材の内周面には、インレットフィラーパイプの先端部をシールするシール部を有する。
【0015】
外側保持部及び内側保持部の少なくとも一方は、サイドメンバアウタまたはホイールハウスアウタの穴周縁を係合させる係合溝と、係合溝を囲む周壁部を介して係合溝に隣設されているとともに弾性リングを嵌着するリング溝とをもつ周縁係合部から構成されている。サイドメンバアウタまたはホイールハウスアウタの穴周縁は、一般に、シール部材の径方向と略平行に配設される。
【0016】
リング溝は、係合溝に対して車体の内側または外側のいずれに隣設されていてもよい。そして、図2に示すように、リング溝17は、少なくとも弾性リング2と当接する当接面17bが、径外側方向に対して係合溝16から離間する方向に所定角度αで傾斜している。この当接面17bには、径外側方向に拡径する付勢力F1をもつ弾性リング2が当接する。弾性リング2の付勢力F1は、当接面17bを法線方向に押す分力F2と、当接面17bの面方向に移動しようとする分力F3とに分解される。そして、分力F2は、周壁部16a側に所定角度(90―α)°で傾斜する方向に向く。ゆえに、この分力F2は、周壁部16aを穴周縁41に対して押し付け、周縁41に対する面圧を発生させている。
【0017】
ここで、当接面の径外側方向との間で形成される所定角度αは、15〜75°であることが好ましく、更には30〜60°であることがより好ましい。これにより、弾性リングの当接面を押圧する力がより大きくなり、周壁部のシール性が更に向上する。
【0018】
外側保持部又は内側保持部は、係合溝とリング溝とをもつ周縁係合部以外の構造として、穴周縁を係合させる係合溝のみから構成されている場合、ボルトなどの締結部材で穴周縁に締結されている場合などがある。
【0019】
連結部は、外側のサイドメンバアウタと内側のホイールハウスアウタとの間の隙間を塞ぐように、外側保持部と内側保持部との間を連結している。連結部は、略円筒形状であり、たとえば、直管状、蛇腹状に形成されている。
【0020】
シール部材を構成する材料は特に問わないが、樹脂、ゴム、エラストマー等の変形可能な材料であることが好ましい。
【0021】
弾性リングは、略リング形状を呈しており、径内側方向に圧縮された状態でリング溝に挿着される。
【0022】
弾性リングを構成する材料は特に問わないが、ゴム、エラストマー等の弾性変形可能な材料、又はばね弾性をもつ形状に成形された金属材であってもよい。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
(実施例1)
図1は、本例のシール部材の取付構造の断面図である。図1において、左上方向を車体の外側、右下方向を車体の内側と称する。図1に示すように、本例のシール部材1は、車体の給油口8の付近に組み付けられ連通穴10をもつ略円筒形状の部材であり、車体のサイドメンバアウタ4に形成されている穴周縁41を保持する外側保持部14と、車体のホイールハウスアウタ3に形成されている穴周縁31を保持する内側保持部13と、外側保持部14と内側保持部13との間を連結するとともに円筒形状で蛇腹状の周面151をもつ連結部15とを備えている。
【0025】
シール部材1が組み付けられるサイドメンバアウタ4及びホイールハウスアウタ3は、車体の外板を構成する金属製部材であり、サイドメンバアウタ4は、所定の間隔を隔ててホイールハウスアウタ3の外側に配設されている。サイドメンバアウタ4には、凹部42が形成されており、この凹部42の底部に円形の穴からなる外側貫通穴40が貫通形成されている。ホイールハウスアウタ3には、円形の穴からなる内側貫通穴30が貫通形成され、この内側貫通穴30は、外側貫通穴40とほぼ同軸的に連通している。サイドメンバアウタ4とホイールハウスアウタ3とは、図示しない部位で互いに溶接されて結合されている。
【0026】
シール部材1は、ゴム製の弾性部材であり、サイドメンバアウタ4の外側貫通穴40の穴周縁41及びホイールハウスアウタ3の内側貫通穴30の穴周縁31に弾接して、サイドメンバアウタ4とホイールハアウスアウタ3との間の空間34をシールしている。
【0027】
図2、図3は、それぞれシール部材1の外側保持部14、内側保持部13の取付構造の断面説明図である。図2において、右側、左側、上側、下側を、サイドメンバアウタの外側貫通穴の径内側、外側貫通穴の径外側、車体の外側、車体の内側と称し、図3においても同様である。なお、後述する図4,図5においても、同様の配置関係を示す。
【0028】
図2に示すように、外側保持部14は、シール部材1の車体外側端部に形成されている。そして、外側保持部14は、サイドメンバアウタ4の穴周縁41を係合させる係合溝16と、係合溝16に隣設されているとともに弾性リング2を収容するリング溝17と、をもつ周縁係合部14aから構成されている。係合溝16は、穴周縁41の外側面を被覆する外側の周壁部16aと、穴周縁41の内側面を被覆する内側の周壁部16bとにより囲まれている。係合溝16は、外側の周壁部16aから穴周縁41に向けて突出するシールリップ部16cをもつ。シールリップ部16cは、弾性リング2が当接するリング溝17の当接面17bよりも径外側に配設されている。
【0029】
リング溝17は、周方向にリング状に形成され、径内側に開口17kをもち、また、係合溝16の外側の周壁部16aに隣設されている。したがって、周壁部16aは、内側面16eでサイドメンバアウタ4の穴周縁41を被覆し、外側面16dでリング溝17を囲む壁面17aを構成することになる。リング溝17には弾性リング2が挿着される。弾性リング2は、リングバネであり、径外側方向に拡径する付勢力F1をもち、圧縮状態でリング溝17の径方向内側の開口17kから挿着する。リング溝17の径内側方向の内径部17dは係合溝16と平行に延び、径外側方向の外径部17eは、径外方向に対して、係合溝16から離間する方向に角度α(45°)で傾斜している。リング溝17の周壁部16a側の壁面17aは、弾性リング2が当接する当接面17bをもつ。当接面17bは、径外側方向に対して、係合溝16から離間する方向に角度αで傾斜している。外側保持部14は、リング溝17に挿着された弾性リング2の付勢力によって、係合溝16の外側の周壁部16aに突設されたシールリップ部16cが、内側の周壁部16bとの間でサイドメンバアウタ4の穴周縁41を挟持した状態が保持される。内側の周壁部16bは、連結部15と連結されている。
【0030】
図3に示すように、内側保持部13は、ホイールハウスアウタ3に形成された内側貫通穴30の穴周縁31を係合させる係合溝18と、係合溝18に隣設されているとともに弾性リング2と同様の弾性リング21を収容するリング溝19と、をもつ周縁係合部13aから構成されている。係合溝18は、穴周縁31の外側面を被覆する外側の周壁部18aと、穴周縁31の内側面を被覆する内側の周壁部18bとにより囲まれている。外側の周壁部18aは、連結部15に連結されている。内側の周壁部18bは、穴周縁31に向けて突出するシールリップ部18cをもつ。シールリップ部18cは、弾性リング21が当接するリング溝19の当接面19bよりも径外側に配設されている。
【0031】
内側保持部13のリング溝19は、係合溝18の内側の周壁部18bに隣設されている。したがって、周壁部18bは、外側面18eでホイールハウスアウタ3の穴周縁31を被覆し、内側面18dでリング溝19を囲む壁面19aを構成することになる。リング溝19は、外側保持部14のリング溝17と同様に、内側保持部13の周方向に形成されているとともに、その内径部19dは係合溝18と平行に延び、外径部19eは、径外方向に対して、係合溝18から離間する方向に角度α(45°)で傾斜している。
【0032】
図1に示すように、シール部材1の内側保持部13よりも車体内側には、インレットフィラーパイプ6の先端部61をシールするシール部11が延びている。組み付け前のシール部11の内径は、インレットフィラーパイプ6の先端部61の外径よりも小さい。このため、インレットフィラーパイプ6の組み付けによって、シール部11はインレットフィラーパイプ6の先端部61の外縁に沿った形状となるように変形し、先端部61をシールする。
【0033】
インレットフィラーパイプ6は樹脂製であり、一方の端部は給油口8に配設されて燃料キャップ7が螺合し、他方の端部は燃料タンクに固定されていて、給油口と燃料タンクとを連通している。インレットフィラーパイプ6の先端部61及び燃料キャップ7は、サイドメンバアウタ4に形成されている凹部42に収容されている。凹部42は、図示しないヒンジによって揺動自在に保持され、リッド43によって凹部42の開口を開閉可能としている。
【0034】
本例のシール部材1を車体に組み付けるにあたっては、図1に示すように、シール部材1のリング溝17,19に弾性リング2,21を径内側の開口17k、19kから圧縮状態で挿着する。次に、このシール部材1を、径内側に圧縮した状態で、車体の外側から外側貫通穴40及び内側貫通穴30の中に挿入する。シール部材1を径内側方向の圧縮力から解放して、穴周縁31及び穴周縁41を、それぞれ内側保持部13の係合溝16及び外側保持部14の係合溝18に係合させる。次に、インレットフィラーパイプ6の先端部61を車体の内側からシール部材1の連通穴10の中に挿入し、ホイールハウスアウタ3の内側貫通穴30よりも外側に突出させる。これにより、シール部11が先端部61の外縁に沿って変形して先端部61をシールする。その後、インレットフィラーパイプ6は、図示しない固定部で車体に固定される。
【0035】
図2に示すように、本例のシール部材1の外側保持部14においては、リング溝17の弾性リング2との当接面17bは、径外側方向に対して、係合溝16から離間する方向に所定角度αで傾斜している。弾性リング2は、径外側方向に拡径する付勢力F1をもつ。付勢力F1の向きは、傾斜したリング溝17の当接面17bの面方向に対して所定角度αで傾斜する方向となる。弾性リング2の付勢力F1は、当接面17bをその法線方向に押す分力F2と、当接面17bの面方向に移動しようとする分力F3とに分解される。分力F3は、リング溝17の径外側端部に位置する底面17cを押圧する。このため、弾性リング2は底面17cに押し付けられた状態で保持される。そして、分力F2は、周壁部16a側に所定角度(90―α)°で傾斜する方向に向く。ゆえに、この分力F2は、周壁部16aを穴周縁41に対して押し付け、穴周縁41に対する面圧を発生させている。このため、周壁部16aは穴周縁41を押圧し、穴周縁41に対する面圧を確保することができる。したがって、シール部材1が外側貫通穴40から抜け出ることを抑制することができる。
【0036】
リング溝17は、径外方向に対して、係合溝16から離間する方向に角度αで傾斜している。このため、弾性リング2をリング溝17の奥部まで確実に配置することができる。
【0037】
係合溝16は、周壁部16aから穴周縁41側に向けて突出するシールリップ部16cをもつ。このため、シールリップ部16cが穴周縁41に弾接し、弾性リング2の付勢力によって、シールリップ部16cは、穴周縁41に押し付けられる。ゆえに、シールリップ部16cは、穴周縁41を確実にシールすることができる。
【0038】
弾性リング2の当接面17bを押圧する方向は、当接面17bよりも径外側に向かって傾斜している。この当接面17bよりも径外側にシールリップ部16cを配置することにより、シールリップ部16cは、弾性リング2による押圧力が効率的に伝わり、外側貫通穴40の穴周縁41にするシール性をより高めることができる。
【0039】
図3に示すように、内側保持部13においても、前記した外側保持部14と同様に、リング溝19の当接面19bが係合溝18から離間する方向に角度αで傾斜しているため、外側保持部14と同様の効果を発揮することができる。
【0040】
(実施例2)
本例のシール部材1は、図4に示すように、外側保持部14のリング溝17の全体が、径外方向に対して係合溝16から離間する方向に傾斜している。内側保持部13は、外側保持部14と同様の構成をもつ。この場合も、実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(実施例3)
本例のシール部材1は、図5に示すように、外側保持部14のリング溝17の全体が係合溝16と平行に延びている。リング溝17の外径部17eにおける周壁部16a側の壁面17aは、径外方向に対して、係合溝16から離間する方向に角度αで傾斜している。一方、外径部17eの車体外側の壁面17fは径外側方向に沿って形成されており、壁面17aと壁面17fとの間の間隔は径外側方向に向かって徐々に狭くなっている。従って、弾性リング2は、リング溝17に挿着すると、壁面17a上の当接面17bと壁面17f上の当接面17gとで保持される。内側保持部のリング溝も、外側保持部のリング溝と同様の形状を有している。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0042】
本例においても、弾性シール部材2が当接するリング溝17の当接面17bが、径外方向に対して、係合溝16から離間する方向に傾斜しているため、実施例1と同様に、周壁部16aを押圧する力が発生する。したがって、サイドメンバアウタ4の外側貫通穴40の穴周縁41に対する周壁部16aの面圧を確保することができる。したがって、シール部材1が開口40から抜け出ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例1に係るシール部材の取付構造の断面図である。
【図2】実施例1のシール部材の外側保持部の取付構造を示す断面説明図である。
【図3】実施例1のシール部材の内側保持部の取付構造を示す断面説明図である。
【図4】実施例2のシール部材の外側保持部の取付構造を示す断面説明図である。
【図5】実施例3のシール部材の外側保持部の取付構造を示す断面説明図である。
【図6】従来例に係るシール部材の取付構造の断面説明図である。
【図7】他の従来例に係るシール部材の取付構造の断面説明図である。
【符号の説明】
【0044】
1:シール部材、2、21:弾性リング、3:ホイールハウスアウタ、4:サイドメンバアウタ、6:インレットフィラーパイプ、7:燃料キャップ、8:給油口、10:連通穴、11:シール部、13:内側保持部、13a、14a:周縁係合部、14:外側保持部、15:連結部、16、18:係合溝、16a、18a:外側の周壁部、16b、18b:内側の周壁部、16c、18c:シールリップ部、17、19:リング溝、17b、17c、17g:当接面、17d、19d:内径部、17e、19e:外径部、17k、19k:開口、30:内側貫通穴、31,41:穴周縁、40:外側貫通穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略筒状を呈するとともに、
車体のサイドメンバアウタに形成されている外側貫通穴の穴周縁を保持する外側保持部と、前記サイドメンバアウタの内側に前記サイドメンバアウタと離間して配置されたホイールハウスアウタに形成されている内側貫通穴の穴周縁を保持する内側保持部と、前記外側保持部と前記内側保持部との間を連結する連結部と、を備え、
前記外側保持部及び前記内側保持部の少なくとも一方は、前記穴周縁を係合させる係合溝と、前記外側保持部又は前記内側保持部の周方向にリング状に形成され径内側に開口をもつとともに、径外側方向に拡径する付勢力をもつ弾性リングを径内側の前記開口から挿着するリング溝と、をもつ周縁係合部から構成されている、シール部材であって、
前記リング溝と前記係合溝との間には周壁部が介設されているとともに、前記リング溝の前記周壁部側の壁面は、前記弾性リングが当接する当接面をもち、
該当接面は、径外側方向に対して、前記係合溝から離間する方向に傾斜していることを特徴とするシール部材。
【請求項2】
前記リング溝は、径外方向に対して、前記係合溝から離間する方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載のシール部材。
【請求項3】
前記係合溝は、前記周壁部から前記穴周縁側に向けて突出するシールリップ部をもつことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシール部材。
【請求項4】
前記シールリップ部は、前記当接面よりも径外側に配設されていることを特徴とする請求項3記載のシール部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−51408(P2009−51408A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221249(P2007−221249)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】