説明

ジオキサアンタントレン系化合物及び半導体装置

【課題】高いキャリア移動度を示し、しかも、分子設計の自由度が高く、プロセスに対する適応性が高いジオキサアンタントレン系化合物を提供する。
【解決手段】ジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(1)で表される。但し、R3及びR8の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジオキサアンタントレン系化合物、及び、係るジオキサアンタントレン系化合物から成る半導体層を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機半導体材料から成る半導体層を備えた半導体装置が注目されている。このような半導体装置は、無機材料から成る半導体層を備えた構成と比較して、半導体層を低温で塗布成膜することが可能である。そのため、大面積化に有利であると共に、プラスチック等の、耐熱性は低いが、可撓性を有する基板上への形成が可能であり、多機能化と共に低コスト化も期待されている。
【0003】
現在、半導体層を構成する有機半導体材料として、例えば、下記の構造式を有するアントラセン、ナフタセン、ペンタセン等のポリアセン化合物が広く研究されている。
【0004】

【0005】
これらのアセン化合物は、隣り合う分子間で「C−H・・・π」相互作用を利用した分子間相互作用による凝集力が強いため、高い結晶性を有している。ここで、「C−H・・・π」相互作用とは、隣り合う分子の間で働く相互作用の1つであり、分子周辺のC−H基(エッジ)が、分子平面上下に張り出したπ軌道(フェイス)方向に弱く引き寄せられる状態のことを指し、一般的に、エッジ・トゥー・フェイスで配列する。そして、固体中においては、このように、分子同士が面と辺で接するヘリングボーン構造のパッキングとなっている。そして、このような構造によって、高いキャリア移動度と、優れた半導体デバイス特性とを発現することが報告されている(Wei-Qiao Deng and William A. Goddard III, J. Phys. Chem. B, 2004 American Chemical Society, Vol. 108, No. 25, 2004, p.8614-8621 参照)。
【0006】
ところが、一般的には、ヘリングボーン構造のパッキングは、分子面同士を平行に揃えて積層するπスタック構造のパッキングと比較して、分子軌道の重なりの観点からはキャリア伝導に対して不利であると云われている。そこで、ペンタセン骨格に嵩高い置換基を導入することによって、ヘリングボーン構造のパッキングとなることを回避し、キャリア伝導を担うペンタセン母骨格を図7に示すようなπスタック構造にパッキングさせる手法が提案されている(米国特許第6690029 B1号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6690029 B1号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Wei-Qiao Deng and William A. Goddard III, J. Phys. Chem. B, 2004 American Chemical Society, Vol. 108, No. 25, 2004, p.8614-8621
【非特許文献2】Ber. Dtsch. Chem. Ges., 59, 2159, 1926
【非特許文献3】浅利ら。Bull. Chem. Soc. Jpn., 74, 53, 2001
【非特許文献4】Inorg. Chim. Acta., 360, 1977, 2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ペンタセン母骨格をπスタック構造にパッキングさせるには、上述したように嵩高い置換基を導入する必要があるため、分子設計の自由度が極めて低い。このため、例えばプロセスに合わせた物性の微調整が困難である。
【0010】
また、ペリキサンテノキサンテン、それ自体は、Pummerer らによって製法が報告された分子であり(Ber. Dtsch. Chem. Ges., 59, 2159, 1926 参照)、また、電圧無印加の中性状態及び電圧印加時のイオン性状態においてπスタック構造にパッキングされることが知られている(浅利ら。Bull. Chem. Soc. Jpn., 74, 53, 2001 参照)。また、ペリキサンテノキサンテン誘導体の報告は、A. E. Wetherby Jr. らによって報告されているが(Inorg. Chim. Acta., 360, 1977, 2007 参照)、係るペリキサンテノキサンテン誘導体は嵩高い置換基を有しており、後述する本発明のジオキサアンタントレン系化合物とは全く異なるものである。
【0011】
従って、本発明の目的は、高いキャリア移動度を示し、しかも、分子設計の自由度が高く、プロセスに対する適応性が高い有機半導体材料(具体的には、ジオキサアンタントレン系化合物)、及び、係る有機半導体材料(具体的には、ジオキサアンタントレン系化合物)から成る半導体層を備えた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(1)で表される。但し、R3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。云い換えれば、上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、6,12−ジオキサアンタントレン(所謂、ペリキサンテノキサンテン,6,12-dioxaanthanthreneであり、『PXX』と略称する場合がある)の3位、9位の少なくとも一方を水素以外の置換基で置換した有機半導体材料である。
【0013】

【0014】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る半導体装置は、基体上に形成された、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域を備えており、チャネル形成領域は、上述した構造式(1)で表されるジオキサアンタントレン系化合物から成る。但し、上述したと同様に、R3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(2)で表される。但し、R1,R3,R4,R5,R7,R9,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。云い換えれば、上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、6,12−ジオキサアンタントレンの1位、3位、4位、5位、7位、9位、10位、11位の少なくとも1つを水素以外の置換基で置換した有機半導体材料である。
【0016】

【0017】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る半導体装置は、基体上に形成された、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域を備えており、チャネル形成領域は、上述した構造式(2)で表されるジオキサアンタントレン系化合物から成る。但し、上述したと同様に、R1,R3,R4,R5,R7,R9,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。
【0018】
上記の目的を達成するための本発明の第3の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンをハロゲン化して3,9−ジハロペリキサンテノキサンテンを得た後、ハロゲン原子を置換基で置換することで得られ、6,12−ジオキサアンタントレンの3位、9位の少なくとも一方を水素以外の該置換基で置換して成る。ここで、この場合、ハロゲン原子は臭素(Br)である形態とすることができる。そして、このような形態を含む本発明の第3の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物において、置換基は、アリール基又はアリールアルキル基から成る形態とすることができるし、あるいは又、置換基は、2位乃至6位のいずれか少なくとも1つがアルキル基で置換されたアリール基から成る形態、又は、2位乃至6位のいずれか少なくとも1つがアリール基で置換されたアリール基から成る形態とすることができるし、あるいは又、置換基は、p−トリル基、p−エチルフェニル基、p−イソプロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−ノニルフェニル基、又は、p−ビフェニルから成る形態とすることができる。
【0019】
上記の目的を達成するための本発明の第4の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をフェニル基で置換することで得られた、3,9−ジフェニルペリキサンテノキサンテンから成る。
【0020】
上記の目的を達成するための本発明の第5の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をトランス−1−オクテン−1−イル基で置換することで得られた、3,9−ジ(トランス−1−オクテン−1−イル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0021】
上記の目的を達成するための本発明の第6の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をβナフチル基で置換することで得られた、3,9−ジ(2−ナフチル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0022】
上記の目的を達成するための本発明の第7の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を2,2’−ビチオフェン−5−イル基で置換することで得られた、3,9−ビス(2,2’−ビチオフェン−5−イル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0023】
上記の目的を達成するための本発明の第8の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をトランス−2−(4−ペンチルフェニル)ビニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(トランス−2−(4−ペンチルフェニル)ビニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0024】
上記の目的を達成するための本発明の第9の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−トリル基で置換することで得られた、3,9−ジ(p−トリル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0025】
上記の目的を達成するための本発明の第10の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−エチルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(p−エチルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0026】
上記の目的を達成するための本発明の第11の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−イソプロピルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(p−イソプロピルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0027】
上記の目的を達成するための本発明の第12の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を4−プロピルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(4−プロピルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0028】
上記の目的を達成するための本発明の第13の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を4−ブチルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(4−ブチルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0029】
上記の目的を達成するための本発明の第14の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を4−ノニルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(4−ノニルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0030】
上記の目的を達成するための本発明の第15の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−ビフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(p−ビフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【発明の効果】
【0031】
本発明において、半導体層を構成するのに適した本発明のジオキサアンタントレン系化合物は、電圧無印加の中性状態及び電圧印加時のイオン性状態においてπスタック構造にパッキングされる。従って、特に嵩高い置換基を導入することなく、半導体層中において、本発明のジオキサアンタントレン系化合物の骨格は、容易にπスタック構造のパッキングとなり得る。それ故、高いキャリア移動度を示す半導体層を構成する有機半導体材料の分子設計の自由度を高くすることができるし、分子設計が容易となる。しかも、プロセス適応性の向上を図ることができる。即ち、PVD法だけでなく、塗布法や印刷法といった所謂ウェット・プロセスに基づき、チャネル形成領域の形成が可能である。そして、これによって、高いキャリア移動度を有し、高性能の半導体装置を容易に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、ジブロモペリキサンテノキサンテンの合成スキームを説明する図である。
【図2】図2の(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、実施例1のジオキサアンタントレン系化合物である3,9−ジフェニルペリキサンテノキサンテンの分子構造、結晶構造、及び、c軸方向のスタック構造を示す図である。
【図3】図3の(A)及び(B)は、それぞれ、実施例2のジオキサアンタントレン系化合物である3,9−ジ(トランス−1−オクテン−1−イル)ペリキサンテノキサンテンの分子構造及び結晶構造を示す図である。
【図4】図4は、実施例1のジオキサアンタントレン系化合物である3,9−ジフェニルペリキサンテノキサンテンを用いた半導体装置の試作品におけるソース/ドレイン電極間の電流/電圧曲線のゲート電圧依存性(I−V特性)を求めたグラフである。
【図5】図5の(A)は、所謂ボトムゲート/トップコンタクト型の電界効果トランジスタの模式的な一部断面図であり、図5の(B)は、所謂ボトムゲート/ボトムコンタクト型の電界効果トランジスタの模式的な一部断面図である。
【図6】図6の(A)は、所謂トップゲート/トップコンタクト型の電界効果トランジスタの模式的な一部断面図であり、図6の(B)は、所謂トップゲート/ボトムコンタクト型の電界効果トランジスタの模式的な一部断面図である。
【図7】図7は、πスタック構造のパッキングの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本発明の第1の態様〜第15の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物、及び、本発明の第1の態様〜第2の態様に係る半導体装置、全般に関する説明
2.実施例1(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第4の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
3.実施例2(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第5の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
4.実施例3(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第6の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
5.実施例4(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第7の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
6.実施例5(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第8の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
7.実施例6(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第9の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
8.実施例7(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第10の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
9.実施例8(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第11の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
10.実施例9(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第12の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
11.実施例10(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第13の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
12.実施例11(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第14の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
13.実施例12(本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第15の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物)
14.実施例13(本発明の第1の態様〜第2の態様に係る半導体装置、その他)
【0034】
[本発明の第1の態様〜第15の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物、及び、本発明の第1の態様〜第2の態様に係る半導体装置、全般に関する説明]
以下の説明において、本発明の第1の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物あるいは本発明の第1の態様に係る半導体装置を総称して、単に、『本発明の第1の態様』と呼ぶ場合がある。また、本発明の第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物あるいは本発明の第2の態様に係る半導体装置を総称して、単に、『本発明の第2の態様』と呼ぶ場合がある。更には、本発明の第1の態様及び本発明の第2の態様を総称して、単に、『本発明』と呼ぶ場合がある。
【0035】
本発明の第1の態様にあっては、
(1−1)R3を水素以外の置換基とし、R9を水素原子とするケース
(1−2)R9を水素以外の置換基とし、R3を水素原子とするケース
(1−3)R3及びR9を水素以外の置換基とするケース
がある。ここで、ケース(1−3)の場合、R3とR9とは、同一の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0036】
一方、本発明の第2の態様にあっては、
(2−1)R1を水素以外の置換基とし、R3〜R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
(2−2)R3を水素以外の置換基とし、R1,R4〜R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
(2−3)R4を水素以外の置換基とし、R1,R3,R5〜R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
(2−4)R5を水素以外の置換基とし、R1〜R4,R7〜R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
(2−5)R7を水素以外の置換基とし、R1〜R5,R9〜R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
(2−6)R9を水素以外の置換基とし、R1〜R7,R10,R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
(2−7)R10を水素以外の置換基とし、R1〜R9,R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
(2−8)R11を水素以外の置換基とし、R1〜R10を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
が存在し得る。尚、上記のケースの数は重複したケースを含んでいる。また、R1,R3,R4,R5,R7,R9,R10,R11のそれぞれは、同一の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0037】
あるいは又、本発明の第2の態様において、R3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基であり、R1,R4,R5,R7,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である構成とすることができる。あるいは又、本発明の第2の態様において、R3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基であり、R4,R5,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である構成とすることができる。
【0038】
ここで、係る好ましい構成にあっては、具体的には、例えば、
(3−1)R3を水素以外の置換基とし、R1,R4〜R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
(3−2)R9を水素以外の置換基とし、R1〜R7,R10,R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、27通りのケース)
(3−3)R3及びR9を水素以外の置換基とし、R1,R4,R5,R7,R10,R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、26通りのケース)
(3−4)R3を水素以外の置換基とし、R1を水素原子とし、R4〜R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、26通りのケース)
(3−5)R3を水素以外の置換基とし、R7を水素原子とし、R1,R4,R5,R9〜R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、26通りのケース)
(3−6)R9を水素以外の置換基とし、R1を水素原子とし、R3〜R7,R10,R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、26通りのケース)
(3−7)R9を水素以外の置換基とし、R7を水素原子とし、R1,R3〜R5,R10,R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、26通りのケース)
(3−8)R3及びR9を水素以外の置換基とし、R1を水素原子とし、R4〜R7,R10,R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、25通り)
(3−9)R3及びR9を水素以外の置換基とし、R7を水素原子とし、R1,R4,R5,R10,R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、25通り)
(3−10)R3及びR9を水素以外の置換基とし、R1及びR7を水素原子とし、R4,R5,R10,R11を水素以外の置換基又は水素原子とするケース(合計、24通り)
が存在し得る。尚、上記のケースの数は重複したケースを含んでいる。また、R1,R3,R4,R5,R7,R9,R10,R11のそれぞれは、同一の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0039】
上記の好ましい構成を含む本発明にあっては、前記水素以外の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、及び、シリル基から成る群から選択された置換基である形態とすることができる。
【0040】
あるいは又、上記の好ましい構成を含む本発明にあっては、前記水素以外の置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、又は、ハロゲン原子から成る群から選択された置換基である形態とすることができる。
【0041】
ここで、アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基等を挙げることができる。尚、直鎖、分岐は問わない。また、シクロアルキル基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができるし;アルケニル基として、ビニル基等を挙げることができるし;アルキニル基として、エチニル基等を挙げることができるし;アリール基として、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基等を挙げることができるし;アリールアルキル基として、メチルアリール基、エチルアリール基、イソプロピルアリール基、ノルマルブチルアリール基、p−トリル基、p−エチルフェニル基、p−イソプロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−ノニルフェニル基を挙げることができるし;芳香族複素環として、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等を挙げることができるし;複素環基として、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等を挙げることができるし;アルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等を挙げることができるし;シクロアルコキシ基として、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を挙げることができるし;アリールオキシ基として、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等を挙げることができるし;アルキルチオ基として、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等を挙げることができるし;シクロアルキルチオ基として、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等を挙げることができるし;アリールチオ基として、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等を挙げることができるし;アルコキシカルボニル基として、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等を挙げることができるし;アリールオキシカルボニル基として、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等を挙げることができるし;スルファモイル基として、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等を挙げることができるし;アシル基として、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等を挙げることができるし;アシルオキシ基として、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等を挙げることができるし;アミド基として、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等を挙げることができるし;カルバモイル基として、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等を挙げることができるし;ウレイド基として、メチルウレイド基、エチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等を挙げることができるし;スルフィニル基として、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等を挙げることができるし;アルキルスルホニル基として、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等を挙げることができるし;アリールスルホニル基として、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等を挙げることができるし;アミノ基として、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等を挙げることができるし;ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができるし;フッ化炭化水素基として、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等を挙げることができる。更には、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基を挙げることができるし、シリル基として、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等を挙げることができる。ここで、以上で例示した置換基は、上記の置換基によって更に置換されていてもよい。また、これらの置換基は、複数が互いに結合して環を形成してもよい。
【0042】
半導体装置において、基体上に形成された、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域を備えており、チャネル形成領域は、上述した本発明の第3の態様から第15の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物のいずれかから構成されている形態とすることもできる。尚、係る形態の半導体装置にあっても、次に述べるボトムゲート/ボトムコンタクト型の電界効果トランジスタ(FET)、ボトムゲート/トップコンタクト型のFET、トップゲート/ボトムコンタクト型のFET、トップゲート/トップコンタクト型のFETとすることができる。
【0043】
本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置を、ボトムゲート/ボトムコンタクト型の電界効果トランジスタ(FET)から構成する場合、係るボトムゲート/ボトムコンタクト型のFETは、
(A)基体上に形成されたゲート電極、
(B)ゲート電極上に形成されたゲート絶縁層、
(C)ゲート絶縁層上に形成されたソース/ドレイン電極、並びに、
(D)ソース/ドレイン電極の間であってゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域、
を備えている。
【0044】
あるいは又、本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置を、ボトムゲート/トップコンタクト型のFETから構成する場合、係るボトムゲート/トップコンタクト型のFETは、
(A)基体上に形成されたゲート電極、
(B)ゲート電極上に形成されたゲート絶縁層、
(C)ゲート絶縁層上に形成されたチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、並びに、
(D)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
を備えている。
【0045】
あるいは又、本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置を、トップゲート/ボトムコンタクト型のFETから構成する場合、係るトップゲート/ボトムコンタクト型のFETは、
(A)基体上に形成されたソース/ドレイン電極、
(B)ソース/ドレイン電極の間の基体上に形成されたチャネル形成領域、
(C)チャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(D)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0046】
あるいは又、本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係る半導体装置を、トップゲート/トップコンタクト型のFETから構成する場合、係るトップゲート/トップコンタクト型のFETは、
(A)基体上に形成されたチャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部、
(B)チャネル形成領域延在部上に形成されたソース/ドレイン電極、
(C)ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域上に形成されたゲート絶縁層、並びに、
(D)ゲート絶縁層上に形成されたゲート電極、
を備えている。
【0047】
ここで、基体は、酸化ケイ素系材料(例えば、SiOXやスピンオンガラス(SOG));窒化ケイ素(SiNY);酸化アルミニウム(Al23);金属酸化物高誘電絶縁膜から構成することができる。基体をこれらの材料から構成する場合、基体を、以下に挙げる材料から適宜選択された支持体上に(あるいは支持体の上方に)形成すればよい。即ち、支持体として、あるいは又、上述した基体以外の基体として、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)を挙げることができ、あるいは又、雲母を挙げることができる。このような可撓性を有する高分子材料から構成された基体を使用すれば、例えば曲面形状を有するディスプレイ装置や電子機器への半導体装置の組込みあるいは一体化が可能となる。あるいは又、基体として、各種ガラス基板や、表面に絶縁膜が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成されたシリコン基板、ステンレス等の各種合金や各種金属から成る金属基板を挙げることができる。電気絶縁性の支持体としては、以上に説明した材料から適切な材料を選択すればよい。支持体として、その他、導電性基板(金等の金属、高配向性グラファイトから成る基板、ステンレス基板等)を挙げることができる。また、半導体装置の構成、構造によっては、半導体装置が支持体上に設けられているが、この支持体も上述した材料から構成することができる。
【0048】
ゲート電極やソース/ドレイン電極、配線を構成する材料として、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、銅(Cu)、チタン(Ti)、インジウム(In)、錫(Sn)等の金属、あるいは、これらの金属元素を含む合金、これらの金属から成る導電性粒子、これらの金属を含む合金の導電性粒子、不純物を含有したポリシリコン等の導電性物質を挙げることができるし、これらの元素を含む層の積層構造とすることもできる。更には、ゲート電極やソース/ドレイン電極、配線を構成する材料として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸[PEDOT/PSS]といった有機材料(導電性高分子)を挙げることもできる。ゲート電極やソース/ドレイン電極、配線を構成する材料は、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0049】
ゲート電極やソース/ドレイン電極、配線の形成方法として、これらを構成する材料にも依るが、物理的気相成長法(PVD法);MOCVD法を含む各種の化学的気相成長法(CVD法);スピンコート法;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、オフセット印刷法、反転オフセット印刷法、グラビア印刷法、マイクロコンタクト法といった各種印刷法;エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、ナイフコーター法、スクイズコーター法、リバースロールコーター法、トランスファーロールコーター法、グラビアコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、スリットオリフィスコーター法、カレンダーコーター法、浸漬法といった各種コーティング法;スタンプ法;リフト・オフ法;シャドウマスク法;電解メッキ法や無電解メッキ法あるいはこれらの組合せといったメッキ法;及び、スプレー法の内のいずれかと、必要に応じてパターニング技術との組合せを挙げることができる。尚、PVD法として、(a)電子ビーム加熱法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着、ルツボを加熱する方法等の各種真空蒸着法、(b)プラズマ蒸着法、(c)2極スパッタリング法、直流スパッタリング法、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、バイアススパッタリング法等の各種スパッタリング法、(d)DC(direct current)法、RF法、多陰極法、活性化反応法、電界蒸着法、高周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法等の各種イオンプレーティング法を挙げることができる。
【0050】
更には、ゲート絶縁層を構成する材料として酸化ケイ素系材料、窒化ケイ素(SiNY)、金属酸化物高誘電絶縁膜にて例示される無機系絶縁材料だけでなく、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリビニルフェノール(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)にて例示される有機系絶縁材料を挙げることができるし、これらの組み合わせを用いることもできる。尚、酸化ケイ素系材料として、酸化シリコン(SiOX)、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、酸化窒化シリコン(SiON)、SOG(スピンオングラス)、低誘電率材料(例えば、ポリアリールエーテル、シクロパーフルオロカーボンポリマー及びベンゾシクロブテン、環状フッ素樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化アリールエーテル、フッ化ポリイミド、アモルファスカーボン、有機SOG)を例示することができる。
【0051】
あるいは又、ゲート絶縁層は、ゲート電極の表面を酸化あるいは窒化することによって形成することができるし、ゲート電極の表面に酸化膜や窒化膜を成膜することで得ることもできる。ゲート電極の表面を酸化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、O2プラズマを用いた酸化法、陽極酸化法を例示することができる。また、ゲート電極の表面を窒化する方法として、ゲート電極を構成する材料にも依るが、N2プラズマを用いた窒化法を例示することができる。あるいは又、例えば、Au電極に対しては、一端をメルカプト基で修飾された直鎖状炭化水素のように、ゲート電極と化学的に結合を形成し得る官能基を有する絶縁性分子によって、浸漬法等の方法で自己組織的にゲート電極表面を被覆することで、ゲート電極の表面にゲート絶縁層を形成することもできる。
【0052】
チャネル形成領域、あるいは、チャネル形成領域及びチャネル形成領域延在部の形成方法として、上述の各種PVD法;スピンコート法;上述した各種印刷法;上述した各種コーティング法;浸漬法;キャスティング法;及び、スプレー法の内のいずれかを挙げることができる。場合によっては、本発明の第1の態様あるいは第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に添加物(例えば、n型不純物やp型不純物といった、所謂ドーピング材料)を加えることもできる。
【0053】
本発明の半導体装置を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体に多数の半導体装置を集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各半導体装置を切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。また、半導体装置を樹脂にて封止してもよい。
【実施例1】
【0054】
実施例1は、本発明の第1の態様、第2の態様、第3の態様、及び、第4の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例1のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(1)で表される。但し、R3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。あるいは又、実施例1のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(2)で表される。但し、R1,R3,R4,R5,R7,R9,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。
【0055】

【0056】

【0057】
より具体的には、実施例1のジオキサアンタントレン系化合物は、6,12−ジオキサアンタントレン(PXX)の3位、9位の両方を、アリール基としてフェニル基で置換した有機半導体材料であり、以下の構造式(3)で表される3,9−ジフェニルペリキサンテノキサンテン(『PXX−Ph2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アリール基(具体的には、フェニル基)である。
【0058】

【0059】
また、実施例1のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンをハロゲン化して3,9−ジハロペリキサンテノキサンテンを得た後、ハロゲン原子を置換基で置換することで得られ、6,12−ジオキサアンタントレンの3位、9位の少なくとも一方を水素以外の該置換基で置換して成る。ここで、ハロゲン原子は、具体的には、臭素(Br)である。また、置換基は、アリール基又はアリールアルキル基から成り、あるいは又、置換基は、2位乃至6位のいずれか少なくとも1つがアルキル基で置換されたアリール基、あるいは又、2位乃至6位のいずれか少なくとも1つがアリール基で置換されたアリール基から成る。後述する実施例2〜実施例12においても同様である。尚、実施例1においては、置換基は、具体的には、フェニル基から成る。あるいは又、実施例1のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をフェニル基で置換することで得られた、3,9−ジフェニルペリキサンテノキサンテンから成る。
【0060】
実施例1のジオキサアンタントレン系化合物であるPXX−Ph2は、以下のスキームに基づき合成することができる。
【0061】
先ず、図1のスキームに示すように、PXX臭素体であるPXX−Br2を合成する。具体的には、PXX(1当量)のジクロロメタン溶液に、−78゜Cにおいて、臭素のジクロロメタン溶液(2当量)を反応させた。その後、反応液を室温に戻して、亜硫酸水素ナトリウム水溶液で処理することにより、黄緑色の粗生成物を得た。そして、濾取した粗生成物をジクロロメタンで洗浄し、3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテン(PXX−Br2)を得た。尚、飛行時間型質量分析装置(Time-of-flight Mass Spectrometry,『Tof−MS』と略称する)、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴分光法)により二臭素化体であることが確認できた。
【0062】
次いで、PXX−Br2(1当量)及び(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼン(2当量)のトルエン溶液に、炭酸ナトリウム存在下、触媒量のテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)を加え、48時間、還流させた。その後、反応液を室温まで放冷して、メタノールに注ぎ入れることによって沈殿した黄色固体を濾取し、メタノール、塩酸、水で洗浄した。そして、テトラヒドロフランから再結晶化することにより、黄色針状結晶を得た。Tof−MS、1H−NMRによって、二置換体、3,9−ジフェニルペリキサンテノキサンテン(PXX−Ph2)であることが確認できた。
【0063】
得られたPXX−Ph2の単結晶を用いてX線構造解析を行った。その結果は、以下のとおりであった。分子構造を図2の(A)に示すが、フェニル基がPXX骨格の3、9位の2箇所において置換した分子構造であることが確認された。また、結晶構造を図2の(B)に示すが、隣り合う分子同士はPXX母骨格のπ平面を平行に重ねるようにc軸方向に配列している(図2の(C)参照)。このスタック方向での分子面間隔は、3.47Åであった。
【0064】
晶系 :斜方晶系
空間群:Pccn(#56)
格子定数
a=15.920(5)Å
b=18.508(5)Å
c= 6.930(5)Å
V=2041.9(17)Å3
Z=8
【0065】
実施例1のジオキサアンタントレン系化合物の評価のために、以下の試作品を作製した。即ち、150nmの厚さの熱酸化膜を主面に有する、n型ドーパントでヘビードープされたシリコン半導体基板の表面を、シランカップリング剤を用いて処理した。そして、真空蒸着法によって、厚さ50nmのPXX−Ph2薄膜を成膜した。その後、PXX−Ph2薄膜上に、メタルマスクを用いて金電極を真空蒸着し、ソース・ドレイン電極とすることで、トランジスタ構造とした。尚、シリコン半導体基板それ自体が、ゲート電極として機能する。ソース/ドレイン電極として機能する金電極のパターンは、短冊状のパターンが平行に形成されているものであり、パターン間隔(チャネル長;L)は50μm、パターン長(チャネル幅;W)は30mmである。
【0066】
シリコン半導体基板をゲート電極として用い、ソース/ドレイン電極間の電流/電圧曲線のゲート電圧依存性を測定した。ゲート電圧を0Vから−30Vまで、10Vステップで変化させた。その結果、ドレイン電圧の増加に伴うドレイン電流の飽和現象が確認された。この飽和領域(Vd=−40V)でのドレイン電流/ゲート電圧曲線の傾きより求めたホール移動度は、0.33cm2/(V・秒)であった。尚、測定結果を図4に示すが、図4の横軸はゲート電圧Vg(単位ボルト)であり、縦軸はドレイン電流Id(単位:アンペア)である。
【0067】
比較のために、ジオキサアンタントレン系化合物の代わりにペンタセンを用いて、上述したと同様の試作品を試作した。そして、実施例1と同様にして、シリコン半導体基板をゲート電極として用い、ソース/ドレイン電極間の電流/電圧曲線のゲート電圧依存性を測定した。ゲート電圧を0Vから−30Vまで、10Vステップで変化させた。飽和領域(Vd=−40V)でのドレイン電流/ゲート電圧曲線の傾きより求めたホール移動度は、0.2cm2/(V・秒)であり、実施例1よりも低い値であった。
【実施例2】
【0068】
実施例2も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第5の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例2のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(4)で表される3,9−ジ(トランス−1−オクテン−1−イル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(VC6)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アルケニル基(具体的には、ビニル基)、及び、アルキル基から構成されている。
【0069】

【0070】
また、実施例2のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をトランス−1−オクテン−1−イル基で置換することで得られた、3,9−ジ(トランス−1−オクテン−1−イル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0071】
実施例2のPXX−(VC6)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンをトランス−1−オクテン−1−イルボロン酸ピナコールエステルに変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、トルエンから再結晶化することにより精製を行った。Tof−MS、1H−NMRによって、二置換体、PXX−(VC6)2であることが確認できた。
【0072】
得られたPXX−(VC6)2の単結晶を用いてX線構造解析を行った。その結果は、以下のとおりであった。分子構造を図3の(A)に示すが、トランス−1−オクテン−1−イル基がPXX骨格の3、9位の2箇所において置換した分子構造であることが確認された。また、結晶構造を図3の(B)に示すが、隣り合う分子同士はPXX母骨格のπ平面を平行に重ねるようにc軸方向に配列している。尚、下記の結晶系において、「P−1」は、

を意味する。
【0073】
晶系 :三斜晶系
空間群:P−1(#2)
格子定数
a= 8.279(2) Å
b=18.015(5) Å
c= 4.9516(13)Å
α= 97.291(4)°
β=103.559(4)°
γ= 98.867(4)°
V=699.0(3)Å3
Z=1
【0074】
実施例2のジオキサアンタントレン系化合物の評価のために、実施例1と同様の試作品を作製した。そして、係る試作品において、ソース/ドレイン電極間の電流/電圧曲線のゲート電圧依存性を測定した。ゲート電圧を0Vから−30Vまで変化させたところ(10Vステップ)、ドレイン電圧の増加に伴うドレイン電流の飽和現象が確認された。尚、後述する実施例3〜実施例12においても、同様であった。
【実施例3】
【0075】
実施例3も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第6の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例3のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(5)で表される3,9−ジ(2−ナフチル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(Nap)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アリール基(具体的には、βナフチル基)である。
【0076】

【0077】
また、実施例3のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をβナフチル基で置換することで得られた、3,9−ジ(2−ナフチル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0078】
実施例3のPXX−(Nap)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンをナフタレン−2−ボロン酸ピナコールエステルに変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、テトラヒドロフランを用いて抽出することにより精製を行った。Tof−MS、1H−NMRによって、二置換体、PXX−(Nap)2であることが確認できた。
【実施例4】
【0079】
実施例4も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第7の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例4のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(6)で表される3,9−ビス(2,2’−ビチオフェン−5−イル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(BT)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、芳香族複素環(具体的には、2,2’−ビチオフェン−5−イル基)である。
【0080】

【0081】
また、実施例4のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を2,2’−ビチオフェン−5−イル基で置換することで得られた、3,9−ビス(2,2’−ビチオフェン−5−イル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0082】
実施例4のPXX−(Nap)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンを2,2’−ビチオフェン−5−ボロン酸ピナコールエステルに変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、テトラヒドロフランを用いて抽出することにより精製を行った。Tof−MS、1H−NMRによって、二置換体、PXX−(BT)2であることが確認できた。
【実施例5】
【0083】
実施例5も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第8の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例5のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(7)で表される3,9−ビス(トランス−2−(4−ペンチルフェニル)ビニル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(VPC5)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、ビニル基、フェニル基、及び、アルキル基から構成されている。
【0084】

【0085】
また、実施例5のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をトランス−2−(4−ペンチルフェニル)ビニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(トランス−2−(4−ペンチルフェニル)ビニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0086】
実施例5のPXX−(VPC5)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンを2−[2−(4−ペンチルフェニル)ビニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランに変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、テトラヒドロフランを用いて抽出することにより精製を行った。Tof−MS、1H−NMRによって、二置換体、PXX−(VPC5)2であることが確認できた。
【実施例6】
【0087】
実施例6も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第9の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例6のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(8)で表される3,9−ジ(p−トリル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(C1Ph)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アリールアルキル基(アルキル基で一部が置換されたアリール基。以下においても同様)から構成されている。
【0088】

【0089】
また、実施例6のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−トリル基で置換することで得られた、3,9−ジ(p−トリル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0090】
実施例6のPXX−(C1Ph)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンをp−トリルボロン酸に変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、高真空下で昇華後、テトラヒドロフランを用いて抽出することにより精製を行った。Tof−MSによって、二置換体、PXX−(C1Ph)2であることが確認できた。
【実施例7】
【0091】
実施例7も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第10の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例7のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(9)で表される3,9−ビス(p−エチルフェニル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(C2Ph)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アリールアルキル基から構成されている。
【0092】

【0093】
また、実施例7のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−エチルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(p−エチルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0094】
実施例7のPXX−(C2Ph)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンをp−エチルフェニルボロン酸に変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、高真空下で昇華後、トルエンを用いて再結晶することにより精製を行った。Tof−MS、1H−NMRによって、二置換体、PXX−(C2Ph)2であることが確認できた。
【実施例8】
【0095】
実施例8も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第11の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例8のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(10)で表される3,9−ビス(p−イソプロピルフェニル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(iC3Ph)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アリールアルキル基から構成されている。
【0096】

【0097】
また、実施例8のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−イソプロピルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(p−イソプロピルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0098】
実施例8のPXX−(iC3Ph)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンをp−イソプロピルフェニルボロン酸に変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、高真空下で昇華後、トルエンを用いて再結晶することにより精製を行った。Tof−MS、1H−NMRによって、二置換体、PXX−(iC3Ph)2であることが確認できた。
【実施例9】
【0099】
実施例9も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第12の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例9のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(11)で表される3,9−ビス(4−プロピルフェニル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(C3Ph)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アリールアルキル基から構成されている。
【0100】

【0101】
また、実施例9のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を4−プロピルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(4−プロピルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0102】
実施例9のPXX−(C3Ph)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンを4−プロピルフェニルボロン酸に変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、高真空下で昇華後、トルエンを用いて再結晶することにより精製を行った。Tof−MS、1H−NMRによって、二置換体、PXX−(C3Ph)2であることが確認できた。
【実施例10】
【0103】
実施例10も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第13の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例10のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(12)で表される3,9−ビス(4−ブチルフェニル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(C4Ph)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アリールアルキル基から構成されている。
【0104】

【0105】
また、実施例10のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を4−ブチルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(4−ブチルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0106】
実施例10のPXX−(C4Ph)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンを4−ブチルフェニルボロン酸に変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、高真空下で昇華後、トルエンを用いて再結晶することにより精製を行った。Tof−MS、1H−NMRによって、二置換体、PXX−(C4Ph)2であることが確認できた。
【実施例11】
【0107】
実施例11も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第14の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例11のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(13)で表される3,9−ビス(4−ノニルフェニル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(C9Ph)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アリールアルキル基から構成されている。
【0108】

【0109】
また、実施例11のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を4−ノニルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(4−ノニルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0110】
実施例11のPXX−(C9Ph)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンを4−ノルマル−ノニルベンゼンボロン酸に変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、高真空下で昇華後、トルエンを用いて再結晶することにより精製を行った。Tof−MSによって、二置換体、PXX−(C9Ph)2であることが確認できた。
【実施例12】
【0111】
実施例12も、本発明の第1の態様及び第2の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関し、更には、第3の態様、第15の態様に係るジオキサアンタントレン系化合物に関する。実施例12のジオキサアンタントレン系化合物は、以下の構造式(14)で表される3,9−ビス(p−ビフェニル)ペリキサンテノキサンテン(『PXX−(BPh)2』と表す)である。即ち、R3及びR9は、アリール基から構成されている。
【0112】

【0113】
また、実施例12のジオキサアンタントレン系化合物は、ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−ビフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(p−ビフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成る。
【0114】
実施例12のPXX−(BPh)2は、実施例1の合成における(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンを4−ビフェニルボロン酸に変更した以外は、実施例1と同じスキームを経ることで得ることができた。そして、高真空下で昇華後、ベンゼンを用いて抽出することにより精製を行った。Tof−MSによって、二置換体、PXX−(BPh)2であることが確認できた。
【実施例13】
【0115】
実施例13は、本発明の第1の態様及び第2の態様に係る半導体装置に関する。実施例13の半導体装置(具体的には、電界効果トランジスタ,FET)は、基体上に形成された、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域を備えており、チャネル形成領域は、上述した構造式(1)で表されるジオキサアンタントレン系化合物から成る。但し、上述したと同様に、R3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。あるいは又、実施例13の半導体装置は、基体上に形成された、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域を備えており、チャネル形成領域は、上述した構造式(2)で表されるジオキサアンタントレン系化合物から成る。但し、上述したと同様に、R1,R3,R4,R5,R7,R9,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。
【0116】
より具体的には、実施例13の半導体装置は、図5の(A)に模式的な一部断面図を示すように、所謂ボトムゲート/トップコンタクト型のFETであり、
(A)基体10,11上に形成されたゲート電極12、
(B)ゲート電極12上に形成されたゲート絶縁層13、
(C)ゲート絶縁層13上に形成されたチャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14A、並びに、
(D)チャネル形成領域延在部14A上に形成されたソース/ドレイン電極15、
を備えている。
【0117】
尚、基体10,11は、ガラス基板から成る基板10、及び、その表面に形成されたSiO2から成る絶縁膜11から構成されており、ゲート電極12及びソース/ドレイン電極15は金薄膜から成り、ゲート絶縁層13はSiO2から成る。また、チャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14Aは、実施例1〜実施例12において説明したジオキサアンタントレン系化合物のいずれかから構成されている。ここで、ゲート電極12及びゲート絶縁層13は、より具体的には、絶縁膜11上に形成されている。
【0118】
以下、ボトムゲート/トップコンタクト型のFET(具体的にはTFT)の製造方法の概要を説明する。
【0119】
[工程−1300A]
先ず、基体(ガラス基板10、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜11が形成されている)上にゲート電極12を形成する。具体的には、絶縁膜11上に、ゲート電極12を形成すべき部分が除去されたレジスト層(図示せず)を、リソグラフィ技術に基づき形成する。その後、密着層としてのクロム(Cr)層(図示せず)、及び、ゲート電極12としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法にて全面に成膜し、その後、レジスト層を除去する。こうして、所謂リフトオフ法に基づき、ゲート電極12を得ることができる。
【0120】
[工程−1310A]
次に、ゲート電極12を含む基体(絶縁膜11)上にゲート絶縁層13を形成する。具体的には、SiO2から成るゲート絶縁層13を、スパッタリング法に基づきゲート電極12及び絶縁膜11上に形成する。ゲート絶縁層13の成膜を行う際、ゲート電極12の一部をハードマスクで覆うことによって、ゲート電極12の取出部(図示せず)をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0121】
[工程−1320A]
次に、ゲート絶縁層13上に、チャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14Aを形成する。具体的には、真空蒸着法に基づき、先に説明した実施例1〜実施例12において説明したジオキサアンタントレン系化合物のいずれかの成膜を行う。
【0122】
[工程−1330A]
その後、チャネル形成領域延在部14Aの上に、チャネル形成領域14を挟むようにソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、全面に、密着層としてのクロム(Cr)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極15としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。こうして、図5の(A)に示した構造を得ることができる。ソース/ドレイン電極15の成膜を行う際、チャネル形成領域延在部14Aの一部をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極15をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0123】
[工程−1340A]
最後に、全面にパッシベーション膜である絶縁層(図示せず)を形成し、ソース/ドレイン電極15の上方の絶縁層に開口部を形成し、開口部内を含む全面に配線材料層を形成した後、配線材料層をパターニングすることによって、ソース/ドレイン電極15に接続された配線(図示せず)が絶縁層上に形成された、ボトムゲート/トップコンタクト型のFET(TFT)を得ることができる。
【0124】
尚、FETは、図5の(A)に示した所謂ボトムゲート/トップコンタクト型に限定されず、その他、所謂ボトムゲート/ボトムコンタクト型、所謂トップゲート/トップコンタクト型、所謂トップゲート/ボトムコンタクト型とすることもできる。
【0125】
図5の(B)に模式的な一部断面図を示す、所謂ボトムゲート/ボトムコンタクト型のFETは、
(A)基体10,11上に形成されたゲート電極12、
(B)ゲート電極12上に形成されたゲート絶縁層13、
(C)ゲート絶縁層13上に形成されたソース/ドレイン電極15、並びに、
(D)ソース/ドレイン電極15の間であってゲート絶縁層13上に形成されたチャネル形成領域14、
を備えている。
【0126】
以下、ボトムゲート/ボトムコンタクト型のTFTの製造方法の概要を説明する。
【0127】
[工程−1300B]
先ず、[工程−1300A]と同様にして、基体(絶縁膜11)上にゲート電極12を形成した後、[工程−1310A]と同様にして、ゲート電極12及び絶縁膜11上にゲート絶縁層13を形成する。
【0128】
[工程−1310B]
次に、ゲート絶縁層13の上に金(Au)層から成るソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、ゲート絶縁層13上に、ソース/ドレイン電極15を形成すべき部分が除去されたレジスト層をリソグラフィ技術に基づき形成する。そして、[工程−1300A]と同様にして、レジスト層及びゲート絶縁層13上に、密着層としてのクロム(Cr)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極15としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法にて成膜し、その後、レジスト層を除去する。こうして、所謂リフトオフ法に基づき、ソース/ドレイン電極15を得ることができる。
【0129】
[工程−1320B]
その後、[工程−1320A]と同様の方法に基づき、ソース/ドレイン電極15の間のゲート絶縁層13の部分の上にチャネル形成領域14を形成する。こうして、図5の(B)に示した構造を得ることができる。
【0130】
[工程−1330B]
最後に、[工程−1340A]と同様の工程を実行することで、ボトムゲート/ボトムコンタクト型のFET(TFT)を得ることができる。
【0131】
図6の(A)に模式的な一部断面図を示す、所謂トップゲート/トップコンタクト型のFETは、
(A)基体10,11上に形成されたチャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14A、
(B)チャネル形成領域延在部14A上に形成されたソース/ドレイン電極15、
(C)ソース/ドレイン電極15及びチャネル形成領域14上に形成されたゲート絶縁層13、並びに、
(D)ゲート絶縁層13上に形成されたゲート電極12、
を備えている。
【0132】
以下、トップゲート/トップコンタクト型のTFTの製造方法の概要を説明する。
【0133】
[工程−1300C]
先ず、基体(ガラス基板10、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜11が形成されている)上に、[工程−1320A]と同様の方法に基づき、チャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14Aを形成する。
【0134】
[工程−1310C]
次いで、チャネル形成領域延在部14A上に、チャネル形成領域14を挟むようにソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、全面に、密着層としてのクロム(Cr)層(図示せず)、及び、ソース/ドレイン電極15としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法に基づき形成する。ソース/ドレイン電極15の成膜を行う際、チャネル形成領域延在部14Aの一部をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極15をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0135】
[工程−1320C]
次いで、ソース/ドレイン電極15及びチャネル形成領域14上に、ゲート絶縁層13を形成する。具体的には、PVAをスピンコーティング法にて全面に成膜することで、ゲート絶縁層13を得ることができる。
【0136】
[工程−1330C]
その後、ゲート絶縁層13上にゲート電極12を形成する。具体的には、密着層としてのクロム(Cr)層(図示せず)、及び、ゲート電極12としての金(Au)層を、順次、真空蒸着法にて全面に成膜する。こうして、図6の(A)に示した構造を得ることができる。ゲート電極12の成膜を行う際、ゲート絶縁層13の一部をハードマスクで覆うことによって、ゲート電極12をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。最後に、[工程−1340A]と同様の工程を実行することで、トップゲート/トップコンタクト型のFET(TFT)を得ることができる。
【0137】
図6の(B)に模式的な一部断面図を示す、所謂トップゲート/ボトムコンタクト型のFETは、
(A)基体10,11上に形成されたソース/ドレイン電極15、
(B)ソース/ドレイン電極15の間の基体10,11上に形成されたチャネル形成領域14、
(C)チャネル形成領域14上に形成されたゲート絶縁層13、並びに、
(D)ゲート絶縁層13上に形成されたゲート電極12、
を備えている。
【0138】
以下、トップゲート/ボトムコンタクト型のTFTの製造方法の概要を説明する。
【0139】
[工程−1300D]
先ず、基体(ガラス基板10、及び、その表面にSiO2から成る絶縁膜11が形成されている)上に、ソース/ドレイン電極15を形成する。具体的には、絶縁膜11上に、密着層としてのクロム(Cr)層(図示せず)、ソース/ドレイン電極15としての金(Au)層を真空蒸着法に基づき形成する。ソース/ドレイン電極15の成膜を行う際、基体(絶縁膜11)の一部をハードマスクで覆うことによって、ソース/ドレイン電極15をフォトリソグラフィ・プロセス無しで形成することができる。
【0140】
[工程−1310D]
その後、ソース/ドレイン電極15の間の基体(絶縁膜11)上に、[工程−1320A]と同様の方法に基づき、チャネル形成領域14を形成する。実際には、ソース/ドレイン電極15の上にチャネル形成領域延在部14Aが形成される。
【0141】
[工程−1320D]
次に、ソース/ドレイン電極15及びチャネル形成領域14上に(実際には、チャネル形成領域14及びチャネル形成領域延在部14A上に)、[工程−1320C]と同様にして、ゲート絶縁層13を形成する。
【0142】
[工程−1330D]
その後、[工程−1330C]と同様にして、ゲート絶縁層13上にゲート電極12を形成する。こうして、図6の(B)に示した構造を得ることができる。最後に、[工程−1340A]と同様の工程を実行することで、トップゲート/ボトムコンタクト型のFET(TFT)を得ることができる。
【0143】
以上、本発明を好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。半導体装置の構造や構成、製造条件、製造方法は例示であり、適宜変更することができる。本発明によって得られた半導体装置を、ディスプレイ装置や各種の電子機器に適用、使用する場合、支持体や支持部材に多数のFETを集積したモノリシック集積回路としてもよいし、各FETを切断して個別化し、ディスクリート部品として使用してもよい。
【符号の説明】
【0144】
10・・・基板、11・・・絶縁膜、12・・・ゲート電極、13・・・ゲート絶縁層、14・・・チャネル形成領域、14A・・・チャネル形成領域延在部、15・・・ソース/ドレイン電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式(1)で表されるジオキサアンタントレン系化合物。

但し、R3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。
【請求項2】
前記水素以外の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、及び、シリル基から成る群から選択された置換基である請求項1に記載のジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項3】
前記水素以外の置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、及び、ハロゲン原子から成る群から選択された置換基である請求項1に記載のジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項4】
以下の構造式(2)で表されるジオキサアンタントレン系化合物。

但し、R1,R3,R4,R5,R7,R9,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。
【請求項5】
3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基であり、
1,R4,R5,R7,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である請求項4に記載のジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項6】
前記水素以外の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、及び、シリル基から成る群から選択された置換基である請求項4に記載のジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項7】
前記水素以外の置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、及び、ハロゲン原子から成る群から選択された置換基である請求項4に記載のジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項8】
基体上に形成された、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域を備えており、
チャネル形成領域は、以下の構造式(1)で表されるジオキサアンタントレン系化合物から成る半導体装置。

但し、R3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。
【請求項9】
前記水素以外の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、及び、シリル基から成る群から選択された置換基である請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記水素以外の置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、及び、ハロゲン原子から成る群から選択された置換基である請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
基体上に形成された、ゲート電極、ゲート絶縁層、ソース/ドレイン電極及びチャネル形成領域を備えており、
チャネル形成領域は、以下の構造式(2)で表されるジオキサアンタントレン系化合物から成る半導体装置。

但し、R1,R3,R4,R5,R7,R9,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である。
【請求項12】
3及びR9の内の少なくとも1つは水素以外の置換基であり、
1,R4,R5,R7,R10,R11の内の少なくとも1つは水素以外の置換基である請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記水素以外の置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、複素環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、ウレイド基、スルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、ハロゲン原子、フッ化炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、及び、シリル基から成る群から選択された置換基である請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記水素以外の置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、芳香族複素環、及び、ハロゲン原子から成る群から選択された置換基である請求項11に記載の半導体装置。
【請求項15】
ペリキサンテノキサンテンをハロゲン化して3,9−ジハロペリキサンテノキサンテンを得た後、ハロゲン原子を置換基で置換することで得られた、6,12−ジオキサアンタントレンの3位、9位の少なくとも一方を水素以外の該置換基で置換して成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項16】
ハロゲン原子は臭素である請求項15に記載のジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項17】
置換基は、アリール基又はアリールアルキル基から成る請求項15又は請求項16に記載のジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項18】
置換基は、2位乃至6位のいずれか少なくとも1つがアルキル基又はアリール基で置換されたアリール基から成る請求項15又は請求項16に記載のジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項19】
置換基は、p−トリル基、p−エチルフェニル基、p−イソプロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−ノニルフェニル基、又は、p−ビフェニルから成る請求項15又は請求項16に記載のジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項20】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をフェニル基で置換することで得られた、3,9−ジフェニルペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項21】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をトランス−1−オクテン−1−イル基で置換することで得られた、3,9−ジ(トランス−1−オクテン−1−イル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項22】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をβナフチル基で置換することで得られた、3,9−ジ(2−ナフチル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項23】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を2,2’−ビチオフェン−5−イル基で置換することで得られた、3,9−ビス(2,2’−ビチオフェン−5−イル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項24】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をトランス−2−(4−ペンチルフェニル)ビニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(トランス−2−(4−ペンチルフェニル)ビニル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項25】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−トリル基で置換することで得られた、3,9−ジ(p−トリル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項26】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−エチルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(p−エチルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項27】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−イソプロピルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(p−イソプロピルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項28】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を4−プロピルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(4−プロピルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項29】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を4−ブチルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(4−ブチルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項30】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子を4−ノニルフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(4−ノニルフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。
【請求項31】
ペリキサンテノキサンテンと臭素とを反応させて3,9−ジブロモペリキサンテノキサンテンを得た後、臭素原子をp−ビフェニル基で置換することで得られた、3,9−ビス(p−ビフェニル)ペリキサンテノキサンテンから成るジオキサアンタントレン系化合物。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−6794(P2010−6794A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61511(P2009−61511)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】