説明

スクリーン版

【課題】支持用スクリーンの変形を要因とする印刷パターンの精度低下を効果的に防止することが可能なスクリーン版を提供する。
【解決手段】スクリーン版1では、支持用スクリーン4において、第1固定部5及び第2固定部6における印刷方向に沿う辺5a,5a及び辺6a,6aが対向する領域にスクリーン変形規制部7が形成されている。スクリーン変形規制部7により、印刷方向に交差する方向への印刷用スクリーン3の伸びに伴う支持用スクリーン4の縮みが抑制される。一方、スクリーン変形規制部7は、第1固定部5及び第2固定部6における印刷方向に交差する辺5b,5b及び辺6b,6bが対向する領域には形成されていない。これにより、印刷方向に交差する方向への支持用スクリーン4の伸びに伴う印刷用スクリーン3の縮みは、支持用スクリーン4による引張り方向の張力によって抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン版に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン印刷に用いられるスクリーン版として、樹脂製の支持用スクリーンと、金属製の印刷用スクリーンとを組み合わせたコンビネーション張りスクリーン版が知られている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。この種のスクリーン版は、張力を付与した状態で支持用スクリーンを版枠に固定し、固定された支持用スクリーンの中央部に印刷用スクリーンを接着した後、支持用スクリーンにおける接着部の内側部分を切り抜くことにより製造される。
【特許文献1】特開2000−177262号公報
【特許文献2】特開2005−35056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来のスクリーン版を用いてスクリーン印刷を行う際、スキージ(ゴム製のヘラ)の圧力と印刷動作により、印刷用スクリーンを押し広げようとする力が加えられる。このため、スクリーン印刷を繰り返し行うにつれて、印刷用スクリーンが変形する現象が発生する。支持用スクリーンには張力が付与されているため、スキージの圧力等によって印刷用スクリーンが変形すると、これに伴って支持用スクリーンも変形することとなる。このような支持用スクリーンの変形は、印刷パターンの精度を低下させる原因となり、印刷パターンの微細化(ファインパターン化)にとって好ましくない現象である。
【0004】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、支持用スクリーンの変形を要因とする印刷パターンの精度低下を効果的に防止することが可能なスクリーン版を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題の解決のため、本願発明者は、鋭意研究を重ねていく過程で、スクリーン印刷後におけるスクリーン版の変形状態の詳細に着目した。本願発明者は、一般的な構成のスクリーン版20を試作し、スクリーン印刷を行った結果、図6に示すように、スクリーン印刷後には、印刷用スクリーン21においてスクリーン版20の印刷方向に沿う辺21a,21aは、印刷方向に交差する辺21b,21bに比べて大きく外側に伸びていることが分かった。
【0006】
このように、印刷用スクリーン21において、印刷方向に沿う辺21a,21aと、印刷方向に交差する辺21b,21bとの間で変形状態に差が生じるのは、スキージの形状に起因するものと考えられる。すなわち、スクリーン印刷時には、パターン形成領域よりも幅の広いスキージを印刷用スクリーン21に押し当てて印刷方向に摺動させるので、印刷用スクリーン21に加わるテンションの相違から、スキージSの厚さ方向(印刷方向に沿う方向)への印刷用スクリーン21の伸び(図7(a)参照)よりも、スキージSの幅方向(印刷方向に交差する方向)への印刷用スクリーン21の伸び(図7(b)参照)が大きくなるものと考えられる。
【0007】
さらに、本願発明者は、印刷用スクリーン及び支持用スクリーンの伸び・縮みの関係に着目し、支持用スクリーンの縮みを規制すれば、結果的に印刷用スクリーンの伸びを抑制できると考えた。この場合、例えば支持用スクリーンよりも硬度の高い樹脂層からなるスクリーン変形規制部を支持用スクリーンの全面にわたって形成することが考えられる。
【0008】
本願発明者は、図8に示すように、上述したスクリーン変形規制部22を支持用スクリーン23の全面にわたって形成したスクリーン版30を試作し、スクリーン印刷後における印刷用スクリーン21の変形の様子を調べた。その結果、同図に示すように、印刷用スクリーン21において、スクリーン版の印刷方向に沿う辺21a,21aの外側への伸びは、スクリーン変形規制部22を形成しない場合に比べて小さくなっているが、その伸び量は、辺21a,21aの中央部ほど大きくなっていることが分かった。また、印刷用スクリーン21において、印刷方向に交差する辺21b,21bは、内側に向かって縮んでいることが分かった。
【0009】
このように、辺21a,21aの外側への伸び量が辺21a,21aの中央部ほど大きくなっているのは、スクリーン変形規制部22を支持用スクリーン23の全面にわたって形成した結果、印刷方向の前後に位置するスクリーン変形規制部22による変形規制作用が辺21a,21aの端部にも働き、辺21a,21aの端部と辺21a,21aの中央部とで、印刷用スクリーン21にかかるテンションに差異が生じているためと考えられる。
【0010】
また、辺21b,21bが内側に向かって縮むのは、印刷方向の前後に位置するスクリーン変形規制部22によって支持用スクリーン23の張力が減少したためと考えられる。すなわち、図7に示したように、辺21a,21aには、辺21b,21bに比べて大きなテンションが加わるので、辺21b,21bの外側への伸びが規制された結果、辺21a,21aの外側への伸びに伴って辺21b,21bが内側に引っ張られたためと考えられる。そこで、本願発明者は、このような変形状態の詳細を考慮してスクリーン変形抑制部を形成すれば、印刷パターンの精度低下を効果的に防止することができるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明に係るスクリーン版は、開口を有する版枠と、印刷パターンが形成された印刷用スクリーンと、開口内で印刷用スクリーンを弾性支持する支持用スクリーンとを備えたスクリーン版であって、版枠の内縁と支持用スクリーンの外縁とを固定する第1固定部、及び支持用スクリーンの内縁と印刷用スクリーンの外縁とを固定する第2固定部と、支持用スクリーンに設けられ、当該支持用スクリーンの縮みを規制するスクリーン変形規制部とを備え、第1固定部及び第2固定部は、印刷用スクリーンの印刷方向に沿う辺と、印刷方向に交差する方向に沿う辺とをそれぞれ有し、スクリーン変形規制部は、支持用スクリーンにおいて、第1固定部及び第2固定部の印刷方向に沿う辺同士が対向する領域に形成され、第1固定部及び第2固定部の印刷方向に交差する辺同士が対向する領域には形成されていないことを特徴としている。
【0012】
このスクリーン版では、支持用スクリーンにおいて、第1固定部及び第2固定部の印刷方向に沿う辺同士が対向する領域にスクリーン変形規制部が形成されている。このスクリーン変形規制部により、印刷方向に交差する方向への印刷用スクリーンの伸びに伴う支持用スクリーンの縮みが抑制される。一方で、スクリーン変形規制部は、第1固定部及び第2固定部の印刷方向に交差する辺同士が対向する領域には形成されていない。これにより、印刷用スクリーンの印刷方向に沿う辺の端部と中央部とで、スクリーン印刷時に加わるテンションが均一化されると共に、支持用スクリーンの伸びに伴う印刷用スクリーンの縮みは、支持用スクリーンの張力が十分に作用することによって抑制される。これらの結果、このスクリーン版では、支持用スクリーンの変形を要因とする印刷パターンの精度低下を効果的に防止できる。
【0013】
また、スクリーン変形規制部は、第1固定部及び第2固定部の印刷方向に沿う辺同士が対向する領域の全域にわたって形成されていることが好ましい。この場合、スクリーン変形規制部によって、印刷方向に交差する方向への印刷用スクリーンの伸びに伴う支持用スクリーンの縮みをより効果的に抑制できる。
【0014】
また、スクリーン変形規制部は、第1固定部の印刷方向に沿う辺と、第2固定部の印刷方向に沿う辺を長手方向に延長した仮想辺とが対向する領域の全域にわたって形成されていることが好ましい。この場合、スクリーン変形規制部によって、印刷方向に交差する方向への印刷用スクリーンの伸びに伴う支持用スクリーンの縮みを一層効果的に抑制できる。
【0015】
また、スクリーン変形規制部は、支持用スクリーンに形成された樹脂層からなり、樹脂層の硬度は、10Hv以上40Hv以下の範囲に設定されていることが好ましい。樹脂層の硬度が10Hv以上である場合、印刷用スクリーンの伸びに伴う支持用スクリーンの縮みを効果的に抑制できる。すなわち、樹脂層の硬度が10Hv未満である場合、樹脂層が柔らかすぎるために、印刷用スクリーンの伸びに伴う支持用スクリーンの縮みを抑制することができない。樹脂層の硬度が40Hv以下である場合、支持用スクリーンの伸びを阻害することなく支持用スクリーンの伸び方向での弾性変形が許容される。このため、高い版離れ性といった従前のコンビネーション張りスクリーン版が有する機能を確保できる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係るスクリーン版によれば、支持用スクリーンの変形を要因とする印刷パターンの精度低下を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るスクリーン版の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るスクリーン版の一実施形態を示す平面図である。また、図2は、図1におけるII−II線断面図である。図1及び図2に示すスクリーン版1は、例えば積層チップコンデンサの製造工程において、グリーンシートに電極パターンを印刷するための版である。このスクリーン版1は、版枠2と、印刷用スクリーン3と、支持用スクリーン4と、を備えている。
【0019】
版枠2は、例えばアルミニウムなどの軽金属によって矩形状に形成されている。版枠2の略中央には、印刷用スクリーン3及び支持用スクリーン4を配置するための矩形状の開口2aが形成されている。
【0020】
印刷用スクリーン3は、例えばステンレス鋼などの金属からなる細線を縦横に織り込んだ金属メッシュによって矩形状に形成されている。細線の径は、例えばφ15μm〜φ27μmであり、例えば1インチ当たり500〜600メッシュ(♯500〜#600)程度のものが用いられる。なお、印刷用スクリーン3は、織布及び不織布のいずれであってもよい。
【0021】
印刷用スクリーン3の一面側は、被印刷物に対して押圧される印刷面となっており、例えば図1におけるY軸方向がスキージの摺動方向、すなわち、印刷方向となっている。印刷面の略中央のパターン形成領域Pには、メッシュに含まれる各開口部分を乳剤等の目止め剤で塞いだ部分と塞いでいない部分とによって、所定の印刷パターンが形成されている。
【0022】
支持用スクリーン4は、例えばポリエステルなどの合成樹脂繊維を縦横に織り込んだメッシュによって矩形状に形成されている。支持用スクリーン4の略中央には、印刷用スクリーン3の印刷面を露出させるための矩形状の開口4aが形成されている。支持用スクリーン4の繊維の径は例えばφ45〜φ55であり、例えば1インチ当たり180〜230メッシュ(#180〜#230)程度のものが用いられる。メッシュの各開口部分には、導電ペーストの漏れを防止するため、乳剤等の目止め剤が塗布されている。支持用スクリーン4についても、印刷用スクリーン3と同様に、織布及び不織布のいずれであってもよい。
【0023】
支持用スクリーン4には、引張り方向の張力が付与されており、支持用スクリーン4の外縁は、例えばエポキシ樹脂等の接着剤によって形成された第1固定部5によって、版枠2の内縁に強固に接着されている。また、支持用スクリーン4の内縁は、第1固定部5と同様の接着剤によって形成された第2固定部6によって、印刷用スクリーン3の外縁に強固に接着されている。これにより、支持用スクリーン4は、版枠2の開口2a内で印刷用スクリーン3を引張り方向に弾性支持している。
【0024】
さらに、支持用スクリーン4には、スクリーン変形規制部7としての樹脂層8が設けられている。樹脂層8は、エポキシ樹脂或いはアクリル樹脂によって形成されている。樹脂層8の硬度は、支持用スクリーン4の硬度よりも高く、例えば10Hv以上40Hv以下の範囲、好ましくは20Hv以上30Hv以下の範囲に設定されている。
【0025】
樹脂層8は、支持用スクリーン4において、第1固定部5における印刷方向に沿う辺5a,5aと、第2固定部6における印刷方向に沿う辺6a,6aを長手方向に延長した仮想辺6c,6cとが対向する領域の全域にわたって形成されている。この樹脂層8により、第1固定部5の辺5a,5aと第2固定部6の辺6a,6aとは互いに連結され、支持用スクリーン4における印刷方向に交差する方向の縮みが抑制されている。
【0026】
一方、樹脂層8は、第1固定部5における印刷方向に交差する辺5b,5bと、第2固定部6における印刷方向に交差する辺6b,6bとが対向する領域には形成されていない。したがって、第1固定部5の辺5b,5bと第2固定部6の辺6b,6bとは互いに連結されておらず、支持用スクリーン4における印刷方向に沿う方向の縮みは許容されている。
【0027】
このようなスクリーン版1を用いて、グリーンシートに電極パターンを印刷する場合には、グリーンシートの被印刷面に対して所定の間隔をもってスクリーン版1の印刷用スクリーン3を対面させる。そして、印刷用スクリーン3に導電ペーストを供給し、印刷用スクリーン3上でスキージを摺動させることにより、グリーンシートの被印刷面に印刷用スクリーン3を接触させて、所定の電極パターンを印刷する。
【0028】
以上説明したように、スクリーン版1では、支持用スクリーン4において、第1固定部5における印刷方向に沿う辺5a,5aと、第2固定部6における印刷方向に沿う辺6a,6aを長手方向に延長した仮想辺6c,6cとが対向する領域にスクリーン変形規制部7が形成されている。このスクリーン変形規制部7により、印刷方向に交差する方向への印刷用スクリーン3の伸びに伴う支持用スクリーン4の縮みが抑制される。
【0029】
一方で、スクリーン変形規制部7は、第1固定部5における印刷方向に交差する辺5b,5bと、第2固定部6における印刷方向に交差する辺6b,6bとが対向する領域には形成されていない。これにより、印刷用スクリーン3の印刷方向に沿う辺3a,3aの端部と中央部とで、スクリーン印刷時に支持用スクリーン4から加わるテンションが均一化される。また、支持用スクリーン4の外側への伸びに伴う印刷用スクリーン3の印刷方向に交差する辺3b,3bの内側への縮みは、支持用スクリーン4による引張り方向の張力が十分に作用することによって抑制される。これらの結果、このスクリーン版1では、支持用スクリーン4の変形を要因とする印刷パターンの精度低下を効果的に防止できる。
【0030】
また、スクリーン版1では、樹脂層8の硬度が10Hv以上40Hv以下の範囲に設定されている。樹脂層8の硬度が10Hv以上である場合、印刷用スクリーン3の伸びに伴う支持用スクリーン4の縮みを効果的に抑制できる。すなわち、樹脂層8の硬度が10Hv未満である場合、樹脂層8が柔らかすぎるために、印刷用スクリーン3の伸びに伴う支持用スクリーン4の縮みを抑制することができない。樹脂層8の硬度が40Hv以下である場合、支持用スクリーン4の伸びを阻害することなく支持用スクリーン4の伸び方向での弾性変形が許容される。このため、高い版離れ性といった従前のコンビネーション張りスクリーン版が有する機能を確保できる。
【0031】
また、樹脂層8は、スクリーン印刷時に支持用スクリーン4の伸びを抑制しつつ、支持用スクリーン4と共に伸びる必要がある。このため、樹脂層8の伸び率は、0.06%以内であることが好ましい。ここでいう伸び率とは、樹脂層8を49.03N(5kgf)の力で、かつ引張り速度10mm/minで引っ張ったときの伸び率である。
【0032】
次に、上述したスクリーン版1において、支持用スクリーンの変形を抑制する効果を確認した試験の試験結果について説明する。
【0033】
この実験では、印刷用スクリーンに形成された複数の位置合わせマーク(ターゲットマーク)の間隔の印刷後における変化を求めた。具体的には、図3に示すように、印刷用スクリーンPSにおけるパターン形成領域PAの外側に形成された位置合わせマークA,Bの間隔、位置合わせマークC,Dの間隔、位置合わせマークE,Fの間隔、位置合わせマークA,Eの間隔、及び位置合わせマークB,Fの間隔を測定し、印刷前後での各間隔の変化率を求めた。図3に示す矢印は、スキージの移動方向を示している。位置合わせマークCは、位置合わせマークAと位置合わせマークEとの中央に位置し、位置合わせマークDは、位置合わせマークBと位置合わせマークFとの中央に位置する。
【0034】
本実施形態に係るスクリーン版1と同様の構成のスクリーン版を試作し、11万回のスクリーン印刷を繰り返し行った。その結果、位置合わせマークA,Bの間隔の変化率は+0.004%であった。また、位置合わせマークC,D間の間隔の変化率は+0.006%であり、位置合わせマークE,F間の間隔の変化率は+0.004%であった。さらに、位置合わせマークA,E間の間隔の変化率、及び位置合わせマークB,F間の間隔の変化率は、共に−0.002%であった。なお、変化率が「+」であることは、印刷後に位置合わせマークの間隔が拡がったことを示し、変化率が「−」であることは、印刷後に位置合わせマークの間隔が狭くなったことを示している。
【0035】
次に、従来のスクリーン版、すなわち支持用スクリーンに樹脂層が設けられていないスクリーン版を試作し、11万回の印刷を行なった。その結果、位置合わせマークA,Bの間隔の変化率は、+0.026%であった。また、位置合わせマークC,Dの間隔の変化率は、+0.045%であり、位置合わせマークE,Fの間隔の変化率は、+0.026%であった。位置合わせマークA,Eの間隔の変化率、および位置合わせマークB,Fの間隔の変化率は、共に+0.012%であった。
【0036】
このように、支持用スクリーンに樹脂層を設けたスクリーン版では、支持用スクリーンに樹脂層を設けていないスクリーン版と比べて、位置合わせマークの間隔の変化が低く抑えられている。これは、支持用スクリーンに樹脂層、すなわちスクリーン変形規制部を設けることにより、印刷用スクリーンの変形に伴う支持用スクリーンの変形が抑制されるためであり、本発明の有効性が確認された。
【0037】
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、種々の変形を適用できる。例えば、樹脂層8は、図4に示すように、第1固定部5における印刷方向に沿う辺5a,5aと、第2固定部6の印刷方向に沿う辺6a,6aとが対向する領域の全域にわたって形成してもよく、図5に示すように、辺5a,5aと辺6a,6aとが対向する領域の一部(ここでは中央部)のみに形成してもよい。
【0038】
また、上記各実施形態において、樹脂層8は、第1固定部5と第2固定部6とを連結するように形成しているが、樹脂層8は、第1固定部5及び第2固定部6のいずれか一方又は双方と離間するように形成してもよい。
【0039】
さらには、印刷用スクリーン3は、金属メッシュに限られず、メタルマスクによって構成してもよく、版枠2、開口2a、印刷用スクリーン3、及び支持用スクリーン4等の形状も上述した実施形態に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係るスクリーン版の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1に示したスクリーン版のII−II線断面図である。
【図3】印刷用スクリーンの構成を示す図である。
【図4】本発明の変形例に係るスクリーン版を示す平面図である。
【図5】本発明の別の変形例に係るスクリーン版を示す平面図である。
【図6】スクリーン印刷時にスクリーン版にかかるテンションを模式的に示す図である。
【図7】支持用スクリーンの全面にスクリーン規制部を設けた場合の、スクリーン印刷時にスクリーン版にかかるテンションを模式的に示す図である。
【図8】スキージによる印刷用スクリーンの伸びの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…スクリーン版、2…版枠、2a…開口、3…印刷用スクリーン、4…支持用スクリーン、5…第1固定部、6…第2固定部、5a,6a…印印刷方向に沿う辺、5b,6b…印刷方向に交差する方向に沿う辺、6c…仮想辺、7…スクリーン変形規制部、8…樹脂層、P…パターン形成領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する版枠と、印刷パターンが形成された印刷用スクリーンと、前記開口内で前記印刷用スクリーンを弾性支持する支持用スクリーンとを備えたスクリーン版であって、
前記版枠の内縁と前記支持用スクリーンの外縁とを固定する第1固定部、及び前記支持用スクリーンの内縁と前記印刷用スクリーンの外縁とを固定する第2固定部と、
前記支持用スクリーンに設けられ、当該支持用スクリーンの縮みを規制するスクリーン変形規制部とを備え、
前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記印刷用スクリーンの印刷方向に沿う辺と、前記印刷方向に交差する方向に沿う辺とをそれぞれ有し、
前記スクリーン変形規制部は、前記支持用スクリーンにおいて、前記第1固定部及び前記第2固定部の前記印刷方向に沿う辺同士が対向する領域に形成され、前記第1固定部及び前記第2固定部の前記印刷方向に交差する辺同士が対向する領域には形成されていないことを特徴とするスクリーン版。
【請求項2】
前記スクリーン変形規制部は、前記第1固定部及び前記第2固定部の前記印刷方向に沿う辺同士が対向する領域の全域にわたって形成されていることを特徴とする請求項1記載のスクリーン版。
【請求項3】
前記スクリーン変形規制部は、前記第1固定部の前記印刷方向に沿う辺と、前記第2固定部の前記印刷方向に沿う辺を長手方向に延長した仮想辺とが対向する領域の全域にわたって形成されていることを特徴とする請求項1記載のスクリーン版。
【請求項4】
前記スクリーン変形規制部は、前記支持用スクリーンに形成された樹脂層からなり、
前記樹脂層の硬度は、10Hv以上40Hv以下の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載のスクリーン版。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−237684(P2007−237684A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66266(P2006−66266)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】