説明

スタビライザーブッシュ

【課題】グリスの外部への流出を抑制可能とするスタビライザーブッシュを提供する。
【解決手段】半筒状部材の内周面側にはスタビライザーバーの外周面に密着する第1シール突起111,112が設けられており、一対の半筒状部材のうちの少なくとも一方における他方の半筒状部材との接触面120,130には、該他方の半筒状部材における接触面に対して密着する第2シール突起121,131が設けられており、第1シール突起は、一対の半筒状部材が組み合わさった際に、2つの環状シール部を形成するように前記一対の半筒状部材の内周面にそれぞれ設けられており、第2シール突起は、前記一対の半筒状部材が組み合わさった際に、これら一対の半筒状部材における2か所の接触部の各々の箇所において、前記2つの環状シール部を繋ぐシール部を形成するように前記一対の半筒状部材のうちの少なくとも一方における他方の半筒状部材との接触面に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタビライザーバーを支持するために用いられるスタビライザーブッシュに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には車体のローリングを少なくするためにスタビライザーが取り付けられている。このスタビライザーには、車幅方向に伸びるように設けられたスタビライザーバーが備えられており、このスタビライザーバーの外周にはスタビライザーブッシュが装着されている。このスタビライザーブッシュは、ロッド等を介して車体本体側に固定されており、スタビライザーバーを支持するために用いられている。
【0003】
上記のように構成されるスタビライザーにおいては、自動車が旋回する場合等にスタビライザーバーがスタビライザーブッシュに対して回転する。そのため、異音防止等を図るべく、スタビライザーバーのスタビライザーブッシュに対する摺動性を高めるために、スタビライザーブッシュの内周面側にグリスを充填させている。
【0004】
図7を参照して、従来例に係るスタビライザーブッシュの一例を説明する。スタビライザーブッシュは、略円筒状の部材が縦方向に2分割されたような部材(半筒状部材300A)を2つ組み合わせることで構成される。すなわち、一対の半筒状部材300Aをスタビライザーバーの外周面側から組み合わせるように取り付けることで、略円筒状のスタビライザーブッシュが構成される。そして、このスタビライザーブッシュの外周面側に、車体本体に取り付けられたロッドに固定されるハウジング(ホルダ)が固定される。
【0005】
そして、半筒状部材300Aの内周面側には、グリスを溜めるための複数の溝301が形成されている。これにより、半筒状部材300Aの内周面側の摺動部分のグリスがなくなると、溝301内のグリスが供給される。
【0006】
この従来例に係るスタビライザーブッシュの場合、溝301からグリスが補充されるため、摺動部分のグリスがなくなってしまうまでの期間を延ばすことができる。しかしながら、摺動部分の外部にグリスが流出してしまうことに対する対策が取られていない。すなわち、スタビライザーバーの外周面とスタビライザーブッシュの内周面との間においては、面同士がグリスを介して接触しているだけの状態であるので、グリスが外部に流出してしまい易い。また、一対の半筒状部材300A同士の接触面においても、グリスを介して平面同士が接触しているだけの状態であるので、グリスが外部に流出してしまい易い。以上のことから、グリス切れ対策としては未だ改善の余地がある。
【0007】
関連する技術としては、特許文献1〜4に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−67118号公報
【特許文献2】特開平4−349012号公報
【特許文献3】特開2000−205321号公報
【特許文献4】特開平2−286929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、グリスの外部への流出を抑制可能とするスタビライザーブッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0011】
すなわち、本発明のスタビライザーブッシュは、
スタビライザーバーの外周に装着され、かつその内周側にグリスが充填されるスタビライザーブッシュであって、
ブッシュ本体は、一対の半筒状部材を前記スタビライザーバーの外周面側から組み合わせるように取り付けられることで筒状の部材となるように構成されると共に、
前記半筒状部材の内周面側には前記スタビライザーバーの外周面に密着する第1シール突起が設けられており、前記一対の半筒状部材のうちの少なくとも一方における他方の半筒状部材との接触面には、該他方の半筒状部材における接触面に対して密着する第2シール突起が設けられており、
第1シール突起は、前記一対の半筒状部材が組み合わさった際に、2つの環状シール部を形成するように前記一対の半筒状部材の内周面にそれぞれ設けられており、
第2シール突起は、前記一対の半筒状部材が組み合わさった際に、これら一対の半筒状部材における2か所の接触部の各々の箇所において、前記2つの環状シール部を繋ぐシール部を形成するように前記一対の半筒状部材のうちの少なくとも一方における他方の半筒状部材との接触面に設けられることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、スタビライザーバーの外周にスタビライザーブッシュを装着した状態で、2つの環状シール部が形成される。これら2つの環状シール部は、第1シール突起と、スタビライザーバーの外周面との接触部により形成される。従って、単に面同士が接触した場合とは異なり、当該環状シール部の部位にて優れたシール性が発揮され、2つの環状シール部間に充填されたグリスが、外部へ流出してしまうことを抑制できる。
【0013】
また、半筒状部材同士の2か所の接触部においても、それぞれ、2つの環状シール部を繋ぐシール部が形成される。そして、これらのシール部も、第2シール突起と、半筒状部材における接触面との接触部により形成される。従って、単に面同士が接触した場合とは異なり、上記シール部の部位にて優れたシール性が発揮され、第2シール突起よりも内側に充填されたグリスが、外部へ流出してしまうことを抑制できる。
【0014】
前記一対の半筒状部材は同一の構成であるとよい。
【0015】
この構成を採用することで、1種類の半筒状部材でスタビライザーブッシュを構成できるので、コストアップを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、グリスの外部への流出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明の実施例に係るスタビライザーブッシュがスタビライザーバーに装着された状態を示す外観図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係る半筒状部材の斜視図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係るスタビライザーブッシュを取り付ける様子を示す図である。
【図4】図4(a)は本発明の実施例1に係る半筒状部材の内周面側から見た図であり、図4(b)は本発明の実施例1に係る半筒状部材の断面図(図3中のAA断面図)である。
【図5】図5は本発明の実施例2に係る半筒状部材の斜視図である。
【図6】図6は本発明の実施例3に係る半筒状部材の斜視図である。
【図7】図7は従来例に係る半筒状部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0019】
(実施例1)
図1〜図4を参照して、本発明の実施例1に係るスタビライザーブッシュについて説明する。
【0020】
<スタビライザー>
図1を参照して、スタビライザーについて簡単に説明する。なお、図1はスタビライザーのうちスタビライザーバーとスタビライザーブッシュについてのみ示した外観図である。
【0021】
自動車には車体のローリングを少なくするためにスタビライザーが取り付けられている。このスタビライザーには、車幅方向に伸びるように設けられたスタビライザーバー200が備えられており、このスタビライザーバー200の外周にスタビライザーブッシュ100が装着されている。また、スタビライザーブッシュ100の外周面側に、車体本体に取り付けられるロッド(不図示)に固定されるハウジング(ホルダ(不図示))が固定される。なお、本実施例におけるスタビライザーブッシュ100には、その両端に外向きフランジ141,142が設けられている。そして、これら外向きフランジ141,142の間に不図示のハウジングが固定される。このように、スタビライザーブッシュ100は、ロッド等を介して車体本体側に固定され、スタビライザーバー200を支持するために用いられる。また、スタビライザーブッシュ100は、ウレタンゴムなどの弾性を有する材料で構成されており、振動を吸収する機能も発揮する。
【0022】
そして、上記のように構成されるスタビライザーにおいては、自動車が旋回する場合等にスタビライザーバー200がスタビライザーブッシュ100に対して回転する。そのため、異音防止等を図るべく、スタビライザーバー200のスタビライザーブッシュ100に対する摺動性を高めるために、スタビライザーブッシュ100の内周面側にグリスGを充填させている。
【0023】
<スタビライザーブッシュ>
特に、図2〜図4を参照して、本発明の実施例1に係るスタビライザーブッシュ100の構成について詳細に説明する。
【0024】
本実施例に係るスタビライザーブッシュ100(ブッシュ本体)は、一対の半筒状部材をスタビライザーバー200の外周面側から組み合わせるように取り付けられる(図3参照)ことで筒状の部材となるように構成される。本実施例において、一対の半筒状部材は同一の構成(同一部品)であるが、説明の便宜上、一対の半筒状部材のうちの一方を第1半筒状部材100A、他方を第2半筒状部材100Bと称する。
【0025】
第1半筒状部材100Aは、略円筒状の部材が、中心軸を通る面で2分割されたような
形状をなしている。第1半筒状部材100Aの内周面側にはスタビライザーバー200の外周面に密着する一対の第1シール突起111,112が設けられている。これら第1シール突起111,112の両側には、いずれも突起に沿うように溝111a,111b及び溝112a,112bが形成されている。また、これら一対の第1シール突起111,112は、スタビライザーブッシュ100の外周面側において、不図示のハウジングによって締め付けられる領域内に設けられている。
【0026】
また、第1半筒状部材100Aにおける第2半筒状部材100Bとの第1接触面120及び第2接触面130には、第2半筒状部材100Bにおける第1半筒状部材100Aとの第2接触面130及び第1接触面120に対してそれぞれ密着する第2シール突起121,131が設けられている。これら第2シール突起121,131の両側には、いずれも突起に沿うように溝121a,121b及び溝131a,131bが形成されている。
【0027】
第1接触面120に設けられている第2シール突起121は、第1シール突起111の一端部に繋がり、かつ第1シール突起111の一端部と第1シール突起112の一端部からの距離が等しくなる位置まで延びるように設けられている。また、第2接触面130に設けられている第2シール突起131は、第1シール突起112の他端部に繋がり、かつ第1シール突起112の他端部と第1シール突起111の他端部からの距離が等しくなる位置まで延びるように設けられている。ここで、本実施例においては、第2シール突起121の先端面121cと第2シール突起131の先端面131cは、軸心(スタビライザーバー200の中心線)に対して垂直な面で構成されている。
【0028】
以上のように構成された一対の第1半筒状部材100A及び第2半筒状部材100Bをスタビライザーバー200の外周面側から組み合わせるように取り付けると、両者に設けられた第1シール突起111,112により、それぞれ環状のシール部が形成される。つまり、2つの環状シール部が形成される。なお、これら2つの環状シール部はいずれも途切れた部分がない連続した環状のシール部である。ここで、本実施例における「シール部」とは、シール突起先端における相手部材(第1シール突起の場合にはスタビライザーバー200)に対する接触部を意味している。本実施例においては、第1シール突起111,112の先端はスタビライザーバー200の外周表面に対して線接触しており、上記2つの環状シール部はライン状のシール部となる。
【0029】
また、同一の構成である第1半筒状部材100A及び第2半筒状部材100Bをスタビライザーバー200の外周面側から組み合わせるように取り付けることで、両者は2か所の位置で接触する。すなわち、第1半筒状部材100Aの第1接触面120と第2半筒状部材100Bの第2接触面130とが接触し、第1半筒状部材100Aの第2接触面130と第2半筒状部材100Bの第1接触面120とが接触する。このとき、第1半筒状部材100Aの第2シール突起121は、第2半筒状部材100Bの第2接触面130に接触し、第1半筒状部材100Aの第2シール突起131は、第2半筒状部材100Bの第1接触面120に接触する。そして、第2半筒状部材100Bの第2シール突起121は、第1半筒状部材100Aの第2接触面130に接触し、第2半筒状部材100Bの第2シール突起131は、第1半筒状部材100Aの第1接触面120に接触する。また、第1半筒状部材100Aにおける第2シール突起121の先端面121cは、第2半筒状部材100Bにおける第2シール突起131の先端面131cと接触し、第1半筒状部材100Aにおける第2シール突起131の先端面131cは、第2半筒状部材100Bにおける第2シール突起121の先端面121cと接触する。
【0030】
以上のことから、第1半筒状部材100Aの第1接触面120と第2半筒状部材100Bの第2接触面130との接触箇所、及び第1半筒状部材100Aの第2接触面130と第2半筒状部材100Bの第1接触面120との接触箇所において、それぞれ上述した2
つの環状シール部を繋ぐシール部が形成される。なお、本実施例においては、第2シール突起121,131の先端は相手側の接触面(平面)に対して線接触しており、2つの環状シール部を繋ぐシール部はライン状のシール部となる。
【0031】
<本実施例に係るスタビライザーブッシュの優れた点>
本実施例に係るスタビライザーブッシュ100によれば、スタビライザーバー200の外周にスタビライザーブッシュ100を装着した状態で、2つの環状シール部が形成される。これら2つの環状シール部は、第1シール突起111,112と、スタビライザーバー200の外周面との接触部(線接触部)により形成される。そのため、単に面同士が接触した場合とは異なり、第1シール突起111,112による接触部での面圧が高くなり、当該環状シール部の部位にて優れたシール性が発揮される。従って、2つの環状シール部間に充填されたグリスGが、外部へ流出してしまうことを抑制できる。
【0032】
なお、本実施例においては、第1シール突起111,112の両側には、いずれも突起に沿うように溝111a,111b及び溝112a,112bが形成されている。そのため、第1シール突起111,112がスタビライザーバー200の外周面に対して接触することにより圧縮変形する際に、横方向に膨らむように変形する部分が、これらの溝111a,111b,112a,112bに逃げることができる。従って、第1シール突起111,112がいびつに変形してしまうことを抑制でき、安定したシール性を発揮させることができる。
【0033】
また、第1半筒状部材100Aと第2半筒状部材100Bとの2か所の接触部においても、それぞれ、2つの環状シール部を繋ぐシール部が形成される。そして、これらのシール部も、第2シール突起121,131と、半筒状部材における接触面(第2接触面130及び第1接触面120)との接触部により形成される。そのため、単に面同士が接触した場合とは異なり、第2シール突起121,131による接触部での面圧が高くなり、上記シール部の部位にて優れたシール性が発揮される。従って、第2シール突起121,131よりも内側に充填されたグリスが、外部へ流出してしまうことを抑制できる。
【0034】
また、第2シール突起121,131の両側には、いずれも突起に沿うように溝121a,121b及び溝131a,131bが形成されており、第1シール突起111,112の場合と同様に、いびつな変形が抑制され、安定したシール性を発揮させることができる。
【0035】
ここで、本実施例に係るスタビライザーブッシュ100においては、第2シール突起の先端面同士のシール部のみが面接触となり、その他のシール部は全て線接触となるように構成される。
【0036】
また、本実施例においては、第1半筒状部材100Aと第2半筒状部材100Bは同一の構成(同一の部品)である。従って、1種類の半筒状部材でスタビライザーブッシュ100を構成できるので、コストアップを抑制することができる。
【0037】
(実施例2)
図5には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、第2シール突起の先端面が軸心に対して垂直な面で構成される場合を示した。これに対して、本実施例においては、第2シール突起の先端面が軸心に対して傾斜した面で構成される場合を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0038】
本実施例に係るスタビライザーブッシュ(ブッシュ本体)においても、上記実施例1と
同様に、一対の半筒状部材をスタビライザーバー200の外周面側から組み合わせるように取り付けられることで筒状の部材となるように構成される。そして、上記実施例1と同様に、一対の半筒状部材は同一の構成(同一部品)である。
【0039】
本実施例に係る第1半筒状部材100Aにおいても、第1接触面120及び第2接触面130には、第2シール突起121,131が設けられている。本実施例におけるスタビライザーブッシュが、上記実施例1と異なるのは、これら第2シール突起121,131の先端面121d,131dが、軸心(スタビライザーバー200の中心線)に対して傾斜した面で構成されている点である。その他の構成は、全て、実施例1と同一である。
【0040】
本実施例においても、一対の第1半筒状部材100A及び第2半筒状部材(特に図示しないが、上記の通り、第1半筒状部材100Aの構成と同一である)をスタビライザーバー200の外周面側から組み合わせるように取り付けることで、実施例1の場合と同様のシール部が形成される。このとき、実施例1の場合と同様に、第1半筒状部材100Aにおける第2シール突起121の先端面121dは、第2半筒状部材における第2シール突起131の先端面131dと接触し、第1半筒状部材100Aにおける第2シール突起131の先端面131dは、第2半筒状部材における第2シール突起121の先端面121dと接触する。
【0041】
以上のような構成により、本実施例に係るスタビライザーブッシュ100においても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。ここで、本実施例に係るスタビライザーブッシュ100においても、実施例1の場合と同様に、第2シール突起の先端面同士のシール部のみが面接触となり、その他のシール部は全て線接触となるように構成される。そして、本実施例においては、第2シール突起の先端面同士のシール部が、軸心(スタビライザーバー200の中心線)に対して傾斜した面で構成される。従って、このシール部からのグリスの漏れを、実施例1の場合に比して抑制することが可能となる。
【0042】
(実施例3)
図6には、本発明の実施例3が示されている。上記実施例1,2では、第1接触面及び第2接触面にそれぞれ第2シール突起を設ける場合の構成を示した。これに対して、本実施例においては、一方の接触面(第1接触面)にのみ第2シール突起を設ける場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0043】
本実施例に係るスタビライザーブッシュ100(ブッシュ本体)においても、上記実施例1,2と同様に、一対の半筒状部材をスタビライザーバー200の外周面側から組み合わせるように取り付けられることで筒状の部材となるように構成される。そして、上記実施例1と同様に、一対の半筒状部材は同一の構成(同一部品)である。
【0044】
本実施例に係る第1半筒状部材100Aにおいては、第1接触面150にのみ第2シール突起151が設けられ、第2接触面160は平面で構成されている。その他の構成は、実施例1と同一である。ここで、第2シール突起151は、第1シール突起111の一端部と第1シール突起112の一端部とを繋ぐように設けられている。また、第2シール突起151の両側には、突起に沿うように溝151a,151bが設けられている。
【0045】
本実施例においても、一対の第1半筒状部材100A及び第2半筒状部材(特に図示しないが、上記の通り、第1半筒状部材100Aの構成と同一である)をスタビライザーバー200の外周面側から組み合わせるように取り付けることで、実施例1の場合と同様のシール部が形成される。このとき、第1半筒状部材100Aにおける第1接触面150に設けられた第2シール突起151は、第2半筒状部材における平面で構成された第2接触
面160に接触し、第2半筒状部材における第1接触面150に設けられた第2シール突起151は、第1半筒状部材100Aにおける平面で構成された第2接触面160に接触する。
【0046】
以上のような構成により、本実施例に係るスタビライザーブッシュ100においても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。ここで、本実施例に係るスタビライザーブッシュ100においては、実施例1,2とは異なり、第2シール突起の先端面同士のシール部が存在せず、全てのシール部が線接触となるように構成される。従って、実施例1,2に比べてグリスGの流出をより抑制することが可能となる。
【0047】
(その他)
上記の各実施例においては、コスト削減等を目的として、一対の半筒状部材が同一の構成(同一部品)で構成される場合を示したが、必ずしも、同一の構成とする必要はない。例えば、一方の半筒状部材における第1接触面と第2接触面に、それぞれ、上記実施例3のように、一対の第1シール突起の端部同士を繋ぐ第2シール突起を設けて、他方の半筒状部材における第1接触面と第2接触面はいずれも平面とする構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
100 スタビライザーブッシュ
100A 第1半筒状部材
100B 第2半筒状部材
111,112 第1シール突起
111a,111b,112a,112b 溝
120,150 第1接触面
130,160 第2接触面
121,131,151 第2シール突起
121a,121b,131a,131b,151a,151b 溝
121c,121d,121d,131d 先端面
141,142 外向きフランジ
200 スタビライザーバー
G グリス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタビライザーバーの外周に装着され、かつその内周側にグリスが充填されるスタビライザーブッシュであって、
ブッシュ本体は、一対の半筒状部材を前記スタビライザーバーの外周面側から組み合わせるように取り付けられることで筒状の部材となるように構成されると共に、
前記半筒状部材の内周面側には前記スタビライザーバーの外周面に密着する第1シール突起が設けられており、前記一対の半筒状部材のうちの少なくとも一方における他方の半筒状部材との接触面には、該他方の半筒状部材における接触面に対して密着する第2シール突起が設けられており、
第1シール突起は、前記一対の半筒状部材が組み合わさった際に、2つの環状シール部を形成するように前記一対の半筒状部材の内周面にそれぞれ設けられており、
第2シール突起は、前記一対の半筒状部材が組み合わさった際に、これら一対の半筒状部材における2か所の接触部の各々の箇所において、前記2つの環状シール部を繋ぐシール部を形成するように前記一対の半筒状部材のうちの少なくとも一方における他方の半筒状部材との接触面に設けられることを特徴とするスタビライザーブッシュ。
【請求項2】
前記一対の半筒状部材は同一の構成であることを特徴とする請求項1に記載のスタビライザーブッシュ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−1154(P2013−1154A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131318(P2011−131318)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】