説明

スタータ制御装置

【課題】 スタータモータの誤動作を防止することができるスタータ制御装置を提供する。
【解決手段】 アイドルストップ制御ECU10は、エンジンの停止条件を満たすか否か判定してエンジンの停止条件を満たさなくなるとエンジンを始動させるべくスタータモータ31を駆動させる。エンジン制御ECU20は、アイドルストップ制御ECU10の動作許可条件が成立するか否か判定して、ECU10の動作許可条件が成立するまではECU10への電源供給を停止し、ECU10の動作許可条件が成立するとECU10を動作させるべくECU10に電源を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電子制御装置(ECU)に係り、アイドルストップ制御を行うためのスタータ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の消費電力を低減するためにアイドルストップ時に制御装置への電源供給を停止する技術がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−137905号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、制御装置(例えばアイドルストップECU)が故障等した場合、駆動部(例えばスタータモータ)が誤作動する可能性があった。
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、その目的は、スタータモータの誤動作を防止することができるスタータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、エンジンの停止条件を満たすか否か判定してエンジンの停止条件を満たさなくなるとエンジンを始動させるべくスタータモータを駆動させるアイドルストップ制御用電子制御装置と、前記アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するか否か判定して、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するまでは前記アイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止し、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するとアイドルストップ制御用電子制御装置を動作させるべくアイドルストップ制御用電子制御装置に電源を供給する電源制御用電子制御装置と、を備えたことを特徴としている。よって、電源制御用電子制御装置は、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するか否か判定して、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するまではアイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止し、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するとアイドルストップ制御用電子制御装置を動作させるべくアイドルストップ制御用電子制御装置に電源を供給する。これにより、アイドルストップ制御用電子制御装置の故障等によるスタータモータの誤作動を防止することができるとともに、消費電力の低下による燃費向上を図ることができる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、エンジンの停止条件を満たすか否か判定してエンジンの停止条件を満たさなくなるとエンジンを始動させるべくスタータモータを駆動させるアイドルストップ制御用電子制御装置と、エンジンの始動が完了したか否か判定して、エンジンの始動が完了するまではアイドルストップ制御用電子制御装置を動作させるべくアイドルストップ制御用電子制御装置に電源を供給し、エンジンの始動が完了すると前記アイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止する電源制御用電子制御装置と、を備えたことを特徴としている。よって、電源制御用電子制御装置は、エンジンの始動が完了したか否か判定して、エンジンの始動が完了するまではアイドルストップ制御用電子制御装置を動作させるべくアイドルストップ制御用電子制御装置に電源を供給し、エンジンの始動が完了するとアイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止する。これにより、アイドルストップ制御用電子制御装置の故障等によるスタータモータの連続作動を防止することができる。
【0006】
請求項3に記載の発明は、エンジンの停止条件を満たすか否か判定してエンジンの停止条件を満たさなくなるとエンジンを始動させるべくスタータモータを駆動させるアイドルストップ制御用電子制御装置と、前記アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するか否か判定して、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するまでは前記アイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止し、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するとアイドルストップ制御用電子制御装置を動作させるべくアイドルストップ制御用電子制御装置に電源を供給し、さらに、エンジンの始動が完了したか否か判定して、エンジンの始動が完了すると前記アイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止する電源制御用電子制御装置と、を備えたことを特徴としている。よって、電源制御用電子制御装置は、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するか否か判定して、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するまではアイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止し、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するとアイドルストップ制御用電子制御装置を動作させるべくアイドルストップ制御用電子制御装置に電源を供給し、さらに、エンジンの始動が完了したか否か判定して、エンジンの始動が完了するとアイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止する。これにより、アイドルストップ制御用電子制御装置の故障等によるスタータモータの誤作動を防止することができるとともに、消費電力の低下による燃費向上を図ることができる。
【0007】
請求項1または3に記載の発明において前記アイドルストップ制御用電子制御装置の動作許可条件が成立するとは、請求項4に記載のように、車両速度が所定速度よりも小さくなることであっても、請求項5に記載のように、エンジンの温度状態が所定レベルを超えることであっても、請求項6に記載のように、バッテリの電荷状態が所定レベルを超えることであっても、請求項7に記載のように、エンジン回転数が所定回転数よりも小さくなることであっても、請求項8に記載のように、道路の傾斜が所定値よりも小さくなることであっても、請求項9に記載のように、エンジンの排気管に設置した触媒の温度が所定値以上となることであってもよく、このようにすると、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作時間を抑制でき、請求項1または3に記載の発明の効果がより得られる。
【0008】
請求項10に記載の発明は、エンジンの停止条件を満たすか否か判定してエンジンの停止条件を満たさなくなるとエンジンを始動させるべくスタータモータを駆動させるアイドルストップ制御用電子制御装置と、前記アイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給によるアイドルストップ制御用電子制御装置の動作によりエンジンの始動が完了した後において、所定の条件が成立するまで前記アイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止する電源制御用電子制御装置と、を備えたことを特徴としている。よって、電源制御用電子制御装置は、アイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給によるアイドルストップ制御用電子制御装置の動作によりエンジンの始動が完了した後において、所定の条件が成立するまでアイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止する。これにより、アイドルストップ制御用電子制御装置の故障等によるスタータモータの誤作動を防止することができるとともに、消費電力の低下による燃費向上を図ることができる。
【0009】
請求項10に記載の発明において前記エンジンの始動が完了した後の所定の条件が成立するまでとは、請求項11に記載のように、所定時間が経過するまでであっても、請求項12に記載のように、バッテリの電荷状態が所定レベルを超えるまでであっても、請求項13に記載のように、車両が所定距離走行するまでであってもよく、このようにすると、アイドルストップ制御用電子制御装置の動作時間を抑制でき、請求項10に記載の発明の効果がより得られる。
【0010】
請求項14に記載の発明では、請求項2または3に記載のスタータ制御装置において、電源制御用電子制御装置はエンジンの始動が完了したことを検知すると、エンジンの始動が完了したことを示す情報をアイドルストップ制御用電子制御装置に送り、アイドルストップ制御用電子制御装置は前記情報によりエンジンの始動が完了したことを検知するとスタータモータを停止させるようにしている。このようにすると、アイドルストップ制御用電子制御装置への電源を供給/停止する機器(リレー等)が故障した場合においても、スタータモータを停止させることができる。
【0011】
請求項15に記載のように、請求項1〜14のいずれか1項に記載のスタータ制御装置において前記電源制御用電子制御装置の駆動停止時に、アイドルストップ制御用電子制御装置への電源供給を停止すると、電源制御用電子制御装置の故障時にも確実にスタータモータを停止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に、本実施形態におけるスタータ制御装置のシステム構成図(アイドルストップ制御システムの構成図)を示す。
【0013】
本システムは、バッテリ1とアイドルストップ制御用電子制御装置(以下、アイドルストップ制御ECUという)10とエンジン制御用電子制御装置(以下、エンジン制御ECUという)20とスタータ30とリレー40とエンジン回転センサ50を具備している。これらは全てエンジンを搭載した車両に搭載されている。アイドルストップ制御ECU10によりスタータ30が駆動される。エンジン制御ECU20によりエンジンの燃料噴射制御、点火時期制御等が行われる。
【0014】
アイドルストップ制御ECU10はCPU11と電源IC12とCAN(コントロールエリアネットワーク)ドライバ13とラッチ回路14を備えている。エンジン制御ECU20はCPU21と電源IC22とCANドライバ23とトランジスタ24と抵抗25を備えている。スタータ30はスタータモータ31とリレースイッチ32とリレーコイル33からなる。リレー40はリレースイッチ41とリレーコイル42からなる。
【0015】
アイドルストップ制御ECU10において電源IC12がリレー40のリレースイッチ41を介してバッテリ1のプラス端子と接続されており、電源IC12はバッテリ電圧(例えば12ボルト)から一定電圧Vcc(例えば5ボルト)を生成してCPU11を含めたECU10内の機器に供給する。また、エンジン制御ECU20において電源IC22がバッテリ1のプラス端子と接続されており、電源IC22はバッテリ電圧(例えば12ボルト)から一定電圧Vcc(例えば5ボルト)を生成してCPU21を含めたECU20内の機器に供給する。
【0016】
アイドルストップ制御ECU10のCPU11はCANドライバ13を介して通信線L1と接続されている。同様に、エンジン制御ECU20のCPU21はCANドライバ23を介して通信線L1と接続されている。これにより、アイドルストップ制御ECU10のCPU11とエンジン制御ECU20のCPU21とは、CANドライバ13,23および通信線L1を介して接続されており、制御中はアイドルストップ制御ECU10とエンジン制御ECU20の間でCAN通信にて定期的に情報のやりとりが行われる。CAN通信等によりECU10のCPU11はドライバ情報(ブレーキ、アクセル、ステアリング)や車両情報(車速、傾斜)等を得る。また、ECU20のCPU21はエンジン回転センサ50からの信号によりエンジン回転数を検知するとともに、他にも、冷却水温、触媒温度、バッテリ残量、車両情報(車速、傾斜、走行距離)、気筒判別が完了したか否か、エンジンがアイドル状態か否か等の情報を得ることができるようになっている。
【0017】
アイドルストップ制御ECU10においてCPU11にはラッチ回路14が接続されている。詳しくは、ラッチ回路14のS端子(セット端子)とR端子(リセット端子)がCPU11と接続されている。ラッチ回路14のO端子(出力端子)にはリレーコイル33が接続されている。リレーコイル33の通電によりリレースイッチ32が閉路してバッテリ1からスタータモータ31に電力(電源)が供給され同モータ31が駆動する。ここで、ラッチ回路14により、スタータ駆動にてバッテリ電圧が下がり、CPU動作電圧を下回った場合(電源IC12からCPU11にリセット信号が出力され、CPU11がリセットされた場合)にもスタータモータ31が停止することなく駆動が継続される。即ち、低電圧作動を目的としてラッチ回路14が設けられ、ラッチ回路14にて出力が保持される。
【0018】
ラッチ回路14は、図2の真理値表のように動作し、アイドルストップ制御ECU10の電源供給が停止された場合は、出力(O端子)がオフになり、電源供給が開始されれば、オフ状態から動作するようになっている。
【0019】
エンジン制御ECU20のNPNトランジスタ24に関して、エミッタ端子は接地されている。NPNトランジスタ24のコレクタ端子はリレーコイル42を介してバッテリ1のプラス端子と接続されている。また、NPNトランジスタ24のベース端子は抵抗25を介して接地されているとともにCPU21と接続されている。そして、CPU21によりNPNトランジスタ24のベース電圧がHレベルにされるとトランジスタ24がオンする。トランジスタ24のオンにてリレーコイル42が通電され、リレースイッチ41が閉路する。これにより、アイドルストップ制御ECU10の電源IC12にバッテリ1から電力(電源)が供給される。このようにして、エンジン制御ECU20はアイドルストップ制御ECU10の電源を制御することができるようになっている。
【0020】
次に、このように構成したスタータ制御装置の作用を説明する。
図3は、アイドルストップ制御ECU10の動作(処理)を示すフローチャートであり、1ms毎に起動する情報受信処理を示す。
【0021】
図3において、CPU11はステップ100で受信の有無を判定して、受信があればステップ101で受信情報(始動完了フラグ、アイドルストップ許可情報)を取得する。
このようにして、1ms毎に受信の有無をチェックし、受信していれば受信情報(始動完了フラグ、アイドルストップ許可情報)を取得する。
【0022】
図4は、アイドルストップ制御ECU10の動作(処理)を示すフローチャートであり、10ms毎に起動する処理を示す。
図4において、CPU11はステップ200で動作モード処理を行い、さらに、ステップ210でスタータ制御を行い、さらに、ステップ220でラッチ回路制御を行った後、ステップ230で送信処理(エンジン停止指示等の送信)を実行する。ステップ200の動作モード処理の詳細を図5に示す。
【0023】
図5において、CPU11はステップ201〜206でエンジン制御ECU20の条件が成立し(アイドルストップが許可され)、かつ、ブレーキ・オンで、かつ、アクセル・閉で、かつ、ステアリングが直進で、かつ、車速が停止で、かつ、道路の傾斜状態が坂道でない平地であると、ステップ207に移行して動作モードとしてエンジンストップモードを設定する。一方、CPU11はステップ201〜206で、エンジン制御ECU20の条件が不成立(アイドルストップが禁止)、あるいは、ブレーキ・オフ、あるいは、アクセル・開、あるいは、ステアリングが旋回、あるいは、車速が走行、あるいは、道路の傾斜状態が坂道であると、ステップ208に移行して動作モードとしてエンジンランモードを設定する。
【0024】
このように、エンジン制御ECU20の情報(アイドルストップ許可情報)、ドライバ情報(ブレーキ、アクセル、ステアリング)、車両情報(車速、傾斜)より、動作モード(エンジンストップ又はラン)を決定する。この動作モード(ストップ又はラン)が図4のステップ230において10ms毎にエンジン制御ECU20に送信メッセージとして送られる。即ち、CPU11は動作モードがストップの時にはエンジン停止指示(エンジン停止指示がないと動作モードがラン)を送信メッセージとして10ms毎に送る。
【0025】
図4のステップ210のスタータ制御処理の詳細を図6に示すとともに、図4のステップ220のラッチ回路制御処理の詳細を図7に示す。
図6において、CPU11はステップ211,212においてスタータ・オフの状態で動作モードがストップからランに切り替わると、ステップ213,214でタイマーのカウント値を「0」にするとともにスタータ・オンとする。なお、CPU11はステップ212で動作モードがストップからランへの切り替わりでなければ、ステップ213,214の処理は行わない。
【0026】
図7において、CPU11はステップ221でスタータ・オンかオフを判定し、図6のステップ214の処理によりスタータ・オンとなっているとステップ226でスタータ前回値がスタータ・オフならばステップ227でラッチ回路14へのS出力をHレベル、R出力をLレベルにし、その後にステップ224で次回の処理のためにスタータ今回値をスタータ前回値とする。このような処理により、スタータ指示のオフからオンへの遷移時においては、ラッチ回路14がS端子=H、R端子=Lにされ、これによりO端子=オンにされる(図2参照)。その結果、図1のリレーコイル33が通電され、リレースイッチ32が閉路してスタータモータ31が通電される(スタータの駆動が開始される)。
【0027】
そして、次回の処理においてCPU11は図6のステップ211でスタータ・オンなので、ステップ215でエンジン制御ECU20との交信にて得た始動完了フラグがオフでかつステップ216でタイマーが500ms未満ならばステップ217でタイマーの値を10ms分だけ加算する。また、CPU11は図7のステップ221→226→225と移行してステップ225でラッチ回路14へのS出力をLレベル、R出力をLレベルにし、その後にステップ224の処理を行う。これによって、ラッチ回路14がS端子=L、R端子=Lにされ、これによりO端子=ホールドにされる(図2参照)。
【0028】
一方、図6においてCPU11はステップ211→215→216→217を10ms毎に繰り返して、ステップ215,216で始動完了フラグがオン、あるいはタイマーが500msに達したならば、ステップ218でスタータ・オフにする。そして、図7において、CPU11はステップ221でスタータ・オンかオフを判定した結果、図6のステップ218の処理によりスタータ・オフとなっているとステップ222でスタータ前回値がスタータ・オンならばステップ223でラッチ回路14へのS出力をLレベル、R出力をHレベルにし、その後にステップ224の処理を行う。これによって、スタータ指示のオンからオフへの遷移時においては、ラッチ回路14がS端子=L、R端子=Hにされ、これによりO端子=オフにされる(図2参照)。その結果、図1のリレーコイル33が非通電にされ、リレースイッチ32が開路してスタータモータ31の通電が遮断される(スタータが停止される)。
【0029】
そして、次回の処理においてCPU11は図7のステップ221→222→225と移行してステップ225でラッチ回路14へのS出力をLレベル、R出力をLレベルにし、その後にステップ224の処理を行う。これによって、ラッチ回路14がS端子=L、R端子=Lにされ、これによりO端子=ホールドにされる(図2参照)。
【0030】
このようにして、CPU11はスタータ指示の遷移時に、10ms(1処理周期)だけ、ラッチ回路14へのS出力/R出力をHレベルとし、すぐにLレベルに戻す。
この図6,7の処理により、動作モードのストップからランへの遷移でスタータ・オンして(スタータモータ31の駆動を開始して)、エンジン制御ECU20との交信にて得た始動完了フラグがオン(意味はエンジン回転数が800rpm以上となる等)か500msの間、スタータモータ31の駆動を続けて行い、その後にスタータ・オフする(スタータモータ31の駆動を停止する)。
【0031】
図8は、エンジン制御ECU20の動作(処理)を示すフローチャートであり、1ms毎に起動する情報受信処理を示す。
図8において、CPU21はステップ300で受信の有無を判定する。そして、CPU21は、受信があればステップ301で受信情報(エンジン停止指示等の情報)を取得する。一方、CPU21はステップ300で受信がなければステップ301の処理は行わない。
【0032】
このように、1ms毎に受信の有無をチェックし、受信していれば、受信情報(エンジン停止指示等の情報)を取得する。
図9は、エンジン制御ECU20の動作(処理)を示すフローチャートであり、10ms毎に起動される処理を示す。
【0033】
図9において、CPU21はステップ400でアイドルストップ条件処理を行い、さらに、ステップ410で燃料カット判定を行い、さらに、ステップ420で点火カット判定を行い、ステップ430で始動完了判定を行った後、ステップ440で電源カット制御を行い、ステップ450でウォッチドッグクリア出力制御を行い、ステップ460で送信処理(始動完了フラグ、アイドルストップ許可等の情報の送信)を実行する。ステップ400のアイドルストップ条件処理の詳細を図10に示す。
【0034】
図10において、CPU21はステップ401で始動完了フラグがオフからオンになったか否か判定し、始動完了フラグがオフからオンになるとステップ402で走行距離=0を設定する。CPU21はステップ401で始動完了フラグがオフからオンになるとき以外はステップ402の処理は行わない。CPU21はステップ403でエンジン始動完了後において走行距離が500mに達したか否か判定する。CPU21はステップ403〜409で、エンジン始動完了後ならばその走行距離が500mに達している、また、エンジン回転数が1000rpm未満、かつ、エンジン冷却水温が90℃以上(暖気後)、かつ、触媒温度が500℃以上、かつ、バッテリ残量が90%以上、かつ、車速が所定値未満、かつ、路面の傾斜が所定値未満であると、ステップ410に移行してアイドルストップの許可モードを設定する。その後、CPU21はステップ411で始動完了フラグをオフにする。
【0035】
一方、CPU21はステップ403〜409で、エンジン始動完了後ならばその走行距離が500mに達していない、また、エンジン回転数が1000rpmより大きい、あるいは、エンジン冷却水温が90℃より低い(暖気中)、あるいは、触媒温度が500℃より低い、あるいは、バッテリ残量が90%未満、あるいは、車速が所定値以上、あるいは、路面の傾斜が所定値以上であると、ステップ412に移行してアイドルストップの禁止モードを設定する。
【0036】
このように、エンジン条件(エンジン回転数、冷却水温)、エミッション条件(触媒温度)、バッテリ条件(バッテリ残量)、車両情報(車速、傾斜)、および、始動完了フラグがオフからオンに切り替わった後の走行距離より、アイドルストップ許可/禁止を判断する。
【0037】
図9のステップ410の燃料カット判定の詳細を図11に示す。
図11において、CPU21はステップ411〜414で、エンジン停止指示が無く、エンジン回転数が7000rpm未満で、アイドル状態であり、エンジン回転数が燃料カット回転数NCUT未満であると、ステップ415に移行して燃料カットをオフにする(燃料カットは行わない)。なお、CPU21はステップ413でアイドル状態でなければステップ414の処理を行わずにステップ415に移行する。
【0038】
ここで、ステップ414で用いる燃料カット回転数NCUTはエンジン冷却水温に応じた値であり、詳しくは図12に示すように予め決められている(図12には、冷却水温に対応する燃料カット回転数NCUTを示す)。
【0039】
図11においてCPU21はステップ411〜414で、エンジン停止指示が有る、あるいは、エンジン回転数が7000rpm以上である、あるいは、アイドル状態でのエンジン回転数が燃料カット回転数NCUT以上であると、ステップ416に移行して燃料カットをオンにする(燃料カットを行う)。
【0040】
このように、オーバーランカット、減速時カットに加え、エンジン停止指示があった場合にも燃料をカットし、エンジンを停止させる。
図9のステップ420の燃料カット判定の詳細を図13に示す。
【0041】
図13においてCPU21はステップ421で動作モードがラン、即ち、エンジン停止指示がないとステップ422で点火出力を行う(通常の点火を行う)。一方、CPU21はステップ421において動作モードがストップ、即ち、エンジン停止指示があるとステップ423に移行して点火カットにする(点火を停止する)。
【0042】
このように、エンジン停止指示の有無、即ち、動作モード(ランかストップ)に基づき点火出力/燃料カットを行う。
図9のステップ430の始動完了判定の詳細を図14に示す。
【0043】
図14においてCPU21はステップ431〜433でエンジン停止指示がある、もしくは、エンジン回転数がアイドル回転数(800rpm)未満である、もしくは、気筒判別が未完了であるならば、ステップ435に移行して始動完了フラグをオフとする。一方、CPU21はステップ431〜433でエンジン停止指示が無く、かつ、エンジン回転数がアイドル回転数(800rpm)以上で、かつ、気筒判別が完了していると、ステップ434に移行してエンジンの始動ができたとして始動完了フラグをオンにする。
【0044】
図9のステップ440の電源カット制御の詳細を図15に示す。
図15においてCPU21はステップ441でアイドルストップが許可か否か判定するとともにステップ442で始動完了フラグがオフか否か判定する。CPU21はアイドルストップが許可かつ始動完了フラグがオフならばステップ443に移行してアイドルストップ制御ECU10へ電源を供給する。詳しくは、図1のトランジスタ24をオンにしてリレーコイル42を通電しリレースイッチ41を閉路してECU10へ電源を供給する。一方、CPU21は図15のステップ441でアイドルストップが禁止、あるいは、ステップ442で始動完了フラグがオンならばステップ444でアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止(遮断)する。詳しくは、図1のトランジスタ24をオフにしてリレーコイル42を非通電にしリレースイッチ41を開路してECU10への電源供給を停止する。このようにして、アイドルストップが禁止または始動完了フラグがオンの場合にはアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止する。この電源供給の停止によりラッチ回路14の出力がオフになり(図2参照)リレースイッチ32が開路されスタータモータ31が停止状態になる。
【0045】
ここで、図14のステップ434で始動完了フラグがオフからオンにされることにより図10のステップ401→402で走行距離=0とされ、ステップ403→412と移行してアイドルストップ=禁止とされる。そして、次回以降の処理においてステップ401→403と移行して走行距離が500mに達するとステップ404〜409を経てステップ410→411でアイドルストップ=許可、始動完了フラグ=オフにされる。このアイドルストップ=許可、始動完了フラグ=オフにより、図15のステップ443でアイドルストップ制御ECU10への電源の供給が開始される。
【0046】
図9のステップ450のウォッチドッグクリア出力制御の詳細を図16に示す。
図16においてCPU21はステップ451で電源IC22に対する前回のウォッチドッグクリア出力がLレベルならばステップ452でウォッチドッグクリア出力をHレベルにする。一方、CPU21はステップ451で前回のウォッチドッグクリア出力がHレベルならばステップ453でウォッチドッグクリア出力をLレベルにする。このように、ウォッチドッグクリア信号を10ms毎に反転出力し、電源IC22に正しく動作していることを伝える。これにより、電源IC22においてウォッチドッグタイマのカウント動作がウォッチドッグクリア信号の立下りエッジでリセットされる。
【0047】
図3〜図16の処理を実行することにより次の動作が行われる(システム全体の動作を図17のタイムチャートを用いて説明する)。
図17においてt1のタイミングでアイドルストップ禁止状態からアイドルストップが許可され(アイドルストップ許可状態となり)、さらに、t2のタイミングでエンジンが停止される(エンジン停止状態になる)。引き続き、この状態からt3のタイミングでエンジン始動が開始され(エンジン始動開始状態になり)、さらに、t4のタイミングでエンジン始動が完了される(エンジン始動完了状態となる)。
【0048】
アイドルストップ制御ECU10とエンジン制御ECU20はCAN通信を行っており、アイドルストップ許可/禁止やエンジンの始動完了やエンジン停止指示(噴射、点火の停止/解除)の情報を送受信している。エンジン制御ECU20は図10のステップ401→403〜409の処理によりアイドルストップ禁止状態からアイドルストップ許可状態に変わったか否か判定する。そして、エンジン制御ECU20は許可条件を満たすとステップ410でアイドルストップ=許可とし(図17のt1)、エンジン制御ECU20は図15のステップ441→442→443の処理によりアイドルストップ制御ECU10へ電源を供給する。
【0049】
そして、アイドルストップ制御ECU10は図5のステップ201〜206の処理によりエンジンを停止させるか否かを判断し、アイドルストップ許可状態でエンジンを停止させると判断した場合(ステップ207)には図4のステップ230でエンジン制御ECU20にエンジンを停止するよう指示を出す。エンジン制御ECU20は図8の受信処理によりエンジン停止指示を受け取ると、図11のステップ411→416および図13のステップ421→423の処理により噴射、点火を止め、エンジンを停止させる(図17のt2)。つまり、アイドルストップ許可状態からエンジンストップモードに変わると、エンジン制御ECU20は図11,13の処理により点火、噴射を停止させエンジンを停止させる。
【0050】
その後、アイドルストップ制御ECU10は図5のステップ201〜206の処理によりエンジンを始動すべき状態になったか否かを判断し始動すべき状態になったと判断した場合はステップ208で動作モード=ランとする。このようにエンジン停止状態からエンジンランモード(エンジン始動開始モード)に変わると、エンジン制御ECU20は図8,11,13の処理により点火、噴射の停止を解除し(図11のステップ415、図13のステップ422に移行し)、アイドルストップ制御ECU10は図6のステップ214でスタータ=オンとする(図17のt3)。このスタータ=オンにより図7のステップ227等の処理によってスタータの駆動が開始される。
【0051】
そして、エンジン制御ECU20は図14のステップ431〜433の処理によりエンジンの始動が完了したと判断するとステップ434で始動完了フラグ=オンにする(図17のt4)。これにより、図15のステップ441→442→444でアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止する(リレー40のスイッチ41を開路し、アイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止する)。これによって、ラッチ回路14の出力がオフになり(図2参照)リレースイッチ32が開路しスタータモータ31が停止状態になる。また、スイッチ41が作動せずに電源が供給され続けた場合には次のようになる。図9のステップ460でエンジン制御ECU20からアイドルストップ制御ECU10にエンジンの始動が完了したことを示す情報として始動完了フラグ・オン情報が送られることにより、アイドルストップ制御ECU10は図3の受信処理により始動完了情報(始動完了フラグ・オン情報)を受け取ると、図6のステップ211→215→218の処理によりスタータ=オフにし、あるいは、図6のステップ216でスタータ・オン後に500msが経過するとステップ218に移行してスタータ=オフにする。このようにしてスタータ=オフとなると、エンジン制御ECU10において図7のステップ221→222→223の処理によりラッチ回路14へのR出力がHレベルになり図2に示すようにラッチ回路14のO端子がオフになってスタータモータ31が停止状態になる。
【0052】
このように、図17のt1でアイドルストップ許可状態になった時にアイドルストップ制御ECU10が起動(スタータへの通電が実施されない側にマイコンのレジスタ、ラッチ回路を初期化)され、走行時等のアイドルストップが不可能な状態(アイドルストップ禁止状態)においてはアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止させる。これによりアイドルストップが不可能な時にアイドルストップ制御ECU10が故障等することによりスタータが誤作動することはない。
【0053】
また、エンジン制御ECU20側でエンジン回転数等の情報からエンジン始動完了判定を行い、図17のt4で始動が完了したと判断した場合には、アイドルストップ制御ECU10への電源供給を止めることで、スタータを停止させる。つまり、エンジン始動完了状態になると、アイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止する。よって、アイドルストップ制御ECU10が故障してスタータ30が誤作動しようとした場合にも、アイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止することで、スタータ30を止めることができる。
【0054】
アイドルストップ制御ECU10が故障した時の動作を、図18を用いて詳しく説明する。
図18はアイドルストップ制御ECU10が故障した時のエンジン状態のタイムチャートであり、図18において、アイドルストップ制御ECU10の電源制御をしない場合、アイドルストップ制御ECU10が故障し、スタータ30が図中の破線のように誤作動する可能性がある。これに対し、本実施形態ではアイドルストップ制御ECU10の電源はオフされているため、スタータ30がオンされることはない。
【0055】
このようにして、アイドルストップ制御ECU10が故障してスタータ30が誤動作しようとしてもアイドルストップ制御ECU10への電源供給が停止されスタータ30が誤動作することを防止することができる。
【0056】
図19を用いて、図1のリレー40でのスイッチ41の固着等によりリレー40が常時オンとなってしまった時の動作を説明する。
図19のタイムチャートにおいて、スイッチ41の固着等によりリレー40が常時オンした場合、スタータ30が図中の破線で表されるように、オフできない。これに対し、本実施形態では図14の処理によりエンジン制御ECU20がエンジン始動を検知すると始動完了フラグをオンにして図6の処理によりエンジン制御ECU10がステップ211→215において始動完了フラグ=オンであると、ステップ218においてスタータ=オフにする(あるいは、スタータ・オン後に500msが経過するとスタータ=オフにする)。このスタータ=オフにてエンジン制御ECU10が図7のステップ223の処理によってR出力=Hにてスタータモータ31を停止させる(アイドルストップ制御ECU10がスタータをオフする)。よって、仮にリレー40のスイッチ41が固着して常時閉路したとしてもエンジンが始動したときにスタータモータ31を停止することができる。
【0057】
このようにして、アイドルストップ制御ECU10への電源の供給/停止をコントロールするリレー40が故障(固着等により常時オン)した場合にも、ラッチ出力R=Hでスタータ出力を停止させることができる。
【0058】
図17において、t4でエンジン始動完了にてアイドルストップ制御ECU10への電源供給が停止されるとともに、図10のステップ401→402の処理により走行距離=0がセットされる。走行距離が500mとなるまではステップ403→412でアイドルストップ=禁止とされ、これにより、図15においてステップ441→444となり、アイドルストップ制御ECU10への電源供給の停止が継続される。そして、図17のt5のタイミングにおいて走行距離が500mとなると、図10のステップ410,411でアイドルストップ=許可、始動完了フラグ=オフとされる。これにより、図15においてステップ441→442→443となり、アイドルストップ制御ECU10に電源が供給される。
【0059】
また、図1のECU20の電源IC22にはCPU21の監視機能があり、CPU21から電源IC22に所定時間ウォッチドッグクリアパルスが出力されない場合にはCPU21をリセットする。これにより、エンジン制御ECU20のCPU21が動作を停止してしまった場合には電源IC22によりCPU21がリセットされる。その結果、図1のトランジスタ24がオフとなりリレースイッチ41が開路して確実にアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止することができる。即ち、エンジン制御ECU20が駆動を停止した時に、アイドルストップ制御ECU10の駆動を停止させることができる。
【0060】
本実施形態は下記の特徴を有する。
(イ)アイドルストップ制御を行うためのスタータ制御装置において、アイドルストップ制御ECU10は、エンジンの停止条件を満たすか否か判定して(図5のステップ201〜206)エンジンの停止条件を満たさなくなると(図5のステップ208)エンジンを始動させるべくスタータモータ31を駆動させる(図7のステップ227)。電源制御用電子制御装置としてのエンジン制御ECU20は、アイドルストップ制御ECU10の動作許可条件が成立するか否か判定して(図10のステップ404〜409)、アイドルストップ制御ECU10の動作許可条件が成立するまではアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止し(図10のステップ412、図15のステップ441,444)、アイドルストップ制御ECU10の動作許可条件が成立するとアイドルストップ制御ECU10を動作させるべくアイドルストップ制御ECU10に電源を供給する(図10のステップ410、図15のステップ441,443)。よって、アイドルストップ制御ECU10の故障等によるスタータモータ31の誤作動を防止することができるとともに、消費電力の低下による燃費向上を図ることができる。
【0061】
(ロ)電源制御用電子制御装置としてのエンジン制御ECU20は、エンジンの始動が完了したか否か判定して(図14のステップ431〜433)、エンジンの始動が完了するまではアイドルストップ制御ECU10を動作させるべくアイドルストップ制御ECU10に電源を供給し(図14のステップ435、図15のステップ442,443)、エンジンの始動が完了するとアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止する(図14のステップ434、図15のステップ442,444)。よって、アイドルストップ制御ECU10の故障等によるスタータモータ31の連続作動を防止することができる。
【0062】
(ハ)電源制御用電子制御装置としてのエンジン制御ECU20は、アイドルストップ制御ECU10の動作許可条件が成立するか否か判定して、アイドルストップ制御ECU10の動作許可条件が成立するまではアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止し(図10のステップ412、図15のステップ441,444)、アイドルストップ制御ECU10の動作許可条件が成立するとアイドルストップ制御ECU10を動作させるべくアイドルストップ制御ECU10に電源を供給し(図10のステップ410、図15のステップ441,443)、さらに、エンジンの始動が完了したか否か判定して、エンジンの始動が完了するとアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止する(図14のステップ434、図15のステップ442,444)。よって、アイドルストップ制御ECU10の故障等によるスタータモータ31の誤作動を防止することができるとともに、消費電力の低下による燃費向上を図ることができる。
【0063】
(ニ)前述の(イ)または(ハ)において、アイドルストップ制御用電子制御装置10の動作許可条件が成立するとは、詳しくは、次のこととした。
・車両速度が所定速度よりも小さくなること(図10のステップ408)、
・エンジンの温度状態が所定レベルを超えること(図10のステップ405)、
・バッテリの電荷状態が所定レベルを超えること(図10のステップ407)、
・エンジン回転数が所定回転数よりも小さくなること(図10のステップ404)、
・道路の傾斜が所定値よりも小さくなること(図10のステップ409)、
・エンジンの排気管に設置した触媒の温度が所定値以上となること(図10のステップ406)。
【0064】
よって、アイドルストップ制御ECU10の動作時間を抑制でき、(イ)または(ハ)の効果がより得られる。
ここで、バッテリの電荷状態が所定レベルを超えたことをモニタする(図10のステップ407)ことにより、バッテリの放電を抑制することができる。また、道路の傾斜が所定値よりも小さくなったことをモニタする(図10のステップ409)ことにより車両の安全性を確保する上で好ましい。
【0065】
なお、図10のステップ405でエンジン冷却水温が90℃以上ならばエンジンの温度状態が所定レベルを超えたと判断したが、エンジン冷却水温に代わり外気温が所定温度以上であったならば、あるいは、車室内温度が所定温度以上であったならばエンジンの温度状態が所定レベルを超えたと判断してもよい。
【0066】
(ホ)電源制御用電子制御装置としてのエンジン制御ECU20は、アイドルストップ制御ECU10への電源供給によるアイドルストップ制御ECU10の動作によりエンジンの始動が完了した後において、所定の条件が成立するまで(図10のステップ401,402,403)アイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止する(図10のステップ412、図15のステップ441,444)。よって、アイドルストップ制御ECU10の故障等によるスタータモータ31の誤作動を防止することができるとともに、消費電力の低下による燃費向上を図ることができる。
【0067】
具体的には、エンジンの始動が完了した後の所定の条件が成立するまでとは、車両が所定距離走行するまでである(図10のステップ401,402,403)。これに代わり、エンジンの始動が完了した後の所定の条件が成立するまでとは、所定時間が経過するまでであってもよい。あるいは、エンジンの始動が完了した後の所定の条件が成立するまでとは、バッテリの電荷状態が所定レベルを超えるまでであってもよい。具体的には、例えばオルタネータの制御ユニットからの充放電データに基づいてバッテリの電荷状態を検知して所定の充電量となるまではアイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止する。このようにすると、アイドルストップ制御ECU10の動作時間を抑制でき、(ホ)の効果がより得られる。
【0068】
(ヘ)前述の(ロ)または(ハ)において、エンジン制御ECU20はエンジンの始動が完了したことを検知すると(図14のステップ431〜434)、エンジンの始動が完了したことを示す情報をアイドルストップ制御ECU10に送り(図9のステップ460)、アイドルストップ制御ECU10は当該情報によりエンジンの始動が完了したことを検知するとスタータモータ31を停止させる(図3のステップ101、図6のステップ211,215,218)。このようにすると、アイドルストップ制御ECU10への電源を供給/停止する機器としてのリレー40が故障した場合においても、スタータモータ31を停止させることができる。
【0069】
(ト)エンジン制御ECU20の駆動停止時に、アイドルストップ制御ECU10への電源供給を停止するようにしたので、エンジン制御ECU20の故障時にも確実にスタータモータ31を停止することができる。
【0070】
なお、電源制御用電子制御装置としてエンジン制御ECU20を用いたが、電源制御用電子制御装置としてエンジン制御ECU以外の他のECU(専用のECUを含む)を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施形態におけるシステム構成図。
【図2】ラッチ回路の真理値を示す説明図。
【図3】アイドルストップ制御ECUの動作(処理)を示すフローチャート。
【図4】アイドルストップ制御ECUの動作(処理)を示すフローチャート。
【図5】アイドルストップ制御ECUにおける動作モード処理を示すフローチャート。
【図6】アイドルストップ制御ECUにおけるスタータ制御処理を示すフローチャート。
【図7】アイドルストップ制御ECUにおけるラッチ回路制御処理を示すフローチャート。
【図8】エンジン制御ECUの動作(処理)を示すフローチャート。
【図9】エンジン制御ECUの動作(処理)を示すフローチャート。
【図10】エンジン制御ECUにおけるアイドルストップ条件処理を示すフローチャート。
【図11】エンジン制御ECUにおける燃料カット判定処理を示すフローチャート。
【図12】冷却水温に対応する燃料カット回転数を示す説明図。
【図13】エンジン制御ECUにおける点火カット判定を示すフローチャート。
【図14】エンジン制御ECUにおける始動完了判定を示すフローチャート。
【図15】エンジン制御ECUにおける電源カット制御処理を示すフローチャート。
【図16】エンジン制御ECUにおけるウォッチドッグクリア出力制御処理を示すフローチャート。
【図17】実施形態における効果を説明するためのタイムチャート。
【図18】実施形態における効果を説明するためのタイムチャート。
【図19】実施形態における効果を説明するためのタイムチャート。
【符号の説明】
【0072】
1…バッテリ、10…アイドルストップ制御ECU、20…エンジン制御ECU、30…スタータ、31…スタータモータ、32…リレースイッチ、33…リレーコイル、40…リレー、41…リレースイッチ、42…リレーコイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの停止条件を満たすか否か判定してエンジンの停止条件を満たさなくなるとエンジンを始動させるべくスタータモータ(31)を駆動させるアイドルストップ制御用電子制御装置(10)と、
前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するか否か判定して、アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するまでは前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)への電源供給を停止し、アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するとアイドルストップ制御用電子制御装置(10)を動作させるべくアイドルストップ制御用電子制御装置(10)に電源を供給する電源制御用電子制御装置(20)と、
を備えたことを特徴とするスタータ制御装置。
【請求項2】
エンジンの停止条件を満たすか否か判定してエンジンの停止条件を満たさなくなるとエンジンを始動させるべくスタータモータ(31)を駆動させるアイドルストップ制御用電子制御装置(10)と、
エンジンの始動が完了したか否か判定して、エンジンの始動が完了するまではアイドルストップ制御用電子制御装置(10)を動作させるべくアイドルストップ制御用電子制御装置(10)に電源を供給し、エンジンの始動が完了すると前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)への電源供給を停止する電源制御用電子制御装置(20)と、
を備えたことを特徴とするスタータ制御装置。
【請求項3】
エンジンの停止条件を満たすか否か判定してエンジンの停止条件を満たさなくなるとエンジンを始動させるべくスタータモータ(31)を駆動させるアイドルストップ制御用電子制御装置(10)と、
前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するか否か判定して、アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するまでは前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)への電源供給を停止し、アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するとアイドルストップ制御用電子制御装置(10)を動作させるべくアイドルストップ制御用電子制御装置(10)に電源を供給し、さらに、エンジンの始動が完了したか否か判定して、エンジンの始動が完了すると前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)への電源供給を停止する電源制御用電子制御装置(20)と、
を備えたことを特徴とするスタータ制御装置。
【請求項4】
前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するとは、車両速度が所定速度よりも小さくなることであることを特徴とする請求項1または3に記載のスタータ制御装置。
【請求項5】
前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するとは、エンジンの温度状態が所定レベルを超えることであることを特徴とする請求項1または3に記載のスタータ制御装置。
【請求項6】
前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するとは、バッテリの電荷状態が所定レベルを超えることであることを特徴とする請求項1または3に記載のスタータ制御装置。
【請求項7】
前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するとは、エンジン回転数が所定回転数よりも小さくなることであることを特徴とする請求項1または3に記載のスタータ制御装置。
【請求項8】
前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するとは、道路の傾斜が所定値よりも小さくなることであることを特徴とする請求項1または3に記載のスタータ制御装置。
【請求項9】
前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作許可条件が成立するとは、エンジンの排気管に設置した触媒の温度が所定値以上となることであることを特徴とする請求項1または3に記載のスタータ制御装置。
【請求項10】
エンジンの停止条件を満たすか否か判定してエンジンの停止条件を満たさなくなるとエンジンを始動させるべくスタータモータ(31)を駆動させるアイドルストップ制御用電子制御装置(10)と、
前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)への電源供給によるアイドルストップ制御用電子制御装置(10)の動作によりエンジンの始動が完了した後において、所定の条件が成立するまで前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)への電源供給を停止する電源制御用電子制御装置(20)と、
を備えたことを特徴とするスタータ制御装置。
【請求項11】
前記エンジンの始動が完了した後の所定の条件が成立するまでとは、所定時間が経過するまでであることを特徴とする請求項10に記載のスタータ制御装置。
【請求項12】
前記エンジンの始動が完了した後の所定の条件が成立するまでとは、バッテリの電荷状態が所定レベルを超えるまでであることを特徴とする請求項10に記載のスタータ制御装置。
【請求項13】
前記エンジンの始動が完了した後の所定の条件が成立するまでとは、車両が所定距離走行するまでであることを特徴とする請求項10に記載のスタータ制御装置。
【請求項14】
前記電源制御用電子制御装置(20)はエンジンの始動が完了したことを検知すると、エンジンの始動が完了したことを示す情報をアイドルストップ制御用電子制御装置(10)に送り、前記アイドルストップ制御用電子制御装置(10)は前記情報によりエンジンの始動が完了したことを検知するとスタータモータ(31)を停止させることを特徴とする請求項2または3に記載のスタータ制御装置。
【請求項15】
前記電源制御用電子制御装置(20)の駆動停止時に、アイドルストップ制御用電子制御装置(10)への電源供給を停止するようにしたことを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のスタータ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−291713(P2006−291713A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108926(P2005−108926)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】