説明

スピンナ洗浄装置及びスピンナ洗浄方法

【課題】回転中の事故を防ぐスピンナ洗浄装置及びスピンナ洗浄方法を提供すること。
【解決手段】スピンナテーブル10Aのウェーハ吸着面12外側に設けられた吸着確認部16で、フレームFとウェーハWとの間のテープTを吸着し、検出部18で吸着確認部16の圧力の変化を検出する。テープTが正しく吸着確認部16に吸着され、吸着確認部16の圧力が下がりフレームFの位置に異常がないと判断された場合はスピンナ洗浄が開始される。吸着確認部16でテープTが吸着されず圧力が下がらない場合は、フレームFの位置が異常であるとしてスピンナテーブルの回転が行われない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハを吸着するとともに回転させながら洗浄水を吹き付けて洗浄を行なうスピンナ洗浄装置及びスピンナ洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や電子部品が形成されたウェーハに対して切断や溝入れ加工を施すダイシング装置は、少なくともスピンドルによって高速に回転されるダイヤモンド砥粒等により形成される薄い円盤状のブレードと、ウェーハを吸着保持するチャックテーブルと、チャックテーブルとブレードとの相対的位置を変化させるX、Y、Z、θの各移動軸とが設けられている。ウェーハを加工する際には冷却や潤滑用の切削液が回転するブレード、またはウェーハとブレードとが接触する加工点へノズルより供給される。
【0003】
図9にダイシング装置の例を示す。ダイシング装置1は、互いに対向配置され、先端にブレード2とホイールカバー(不図示)が取り付けられた高周波モータ内蔵型のスピンドル3、3と、ウェーハW表面を撮像する撮像手段(不図示)と、ウェーハWを吸着保持するチャックテーブル4と、ブレード2とチャックテーブル4を相対的に移動させる不図示の移動軸とを有する加工部5が設けられている。
【0004】
ダイシング装置1には、更に加工済みのウェーハWをスピン洗浄するスピンナ洗浄装置6と、フレームFにテープTによりマウントされたウェーハWを多数枚収納したカセットを載置するロードポート7と、ウェーハWを搬送する搬送手段8と、撮像手段により撮像された画像の表示と各部への動作を入力する表示手段9と、各部の動作を制御する不図示のコントローラ等とから構成されている。
【0005】
スピンナ洗浄装置6は図10に示すように、フレームFにマウントされたウェーハWが吸着されるスピンナテーブル10と、揺動するとともに洗浄液を噴射するノズル11を備えている。スピンナテーブル10の中央部にはポーラス等により形成されるウェーハ吸着面12が設けられ、外周部にはフレームFを固定する為のフック13が複数設けられている。スピンナテーブル10の下部にはスピンナテーブルを回転させる回転手段14が設けられ、スピンナテーブル10の周囲には洗浄液を受ける槽15が備えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
加工部5でダイシングされたウェーハWは搬送手段8によりチャックテーブル4上からスピンナテーブル10上へと搬送される。ウェーハWがウェーハ吸着面12に吸着載置された後、図11(a)に示すように、フック13が回転して上から押さえつけることによりフレームFが固定される。フレームFが固定された後、スピンナテーブル10が回転手段14により回転するとともに、洗浄液がノズル11より噴射されてウェーハWの洗浄が行なわれる。
【0007】
このとき、ウェーハWが正しい位置に吸着され、フック13がフレームFを確実に固定しているかは、通常ウェーハ吸着面12に生じている吸引圧力の変化を検知することにより行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−157930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、近年のウェーハWのサイズの大型化に伴いフレームFのサイズが大きくなり、テープTの撓み量も大きくなっている。このため、図11(b)に示すように、ウェーハWが正しい位置に吸着されずフック13がフレームFを確実に固定していない場合でも吸着圧力の差が出なくなり、エラーを検知出来ない場合がある。そのような状態でスピンナテーブル10が回転を開始すると、回転中にフレームFごとウェーハWが外れ大事故が発生する問題があった。
【0010】
本発明はこのような問題に対して成されたものであり、フレームの固定状況を確実に検知することで回転中の事故を防ぐスピンナ洗浄装置及びスピンナ洗浄方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記目的を達成する為に、請求項1に記載の発明は、中央部にウェーハ吸着面が設けられ、前記ウェーハ吸着面の外側に吸着確認部が設けられ、テープによりフレームにマウントされたウェーハを前記ウェーハ吸着面で吸着固定するスピンナテーブルと、前記吸着確認部に生じる圧力を検出する検出部と、揺動しながら前記スピンナテーブル上のウェーハへ向けて洗浄水を噴射するノズルと、前記スピンナテーブルの外周部に設けられた前記フレームを固定する複数のフックと、前記スピンナテーブルを回転させる回転手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項1の発明によれば、スピンナ洗浄装置は、モータ等の回転手段により高速に回転されるスピンナテーブルと、テープによりウェーハがマウントされるフレームを固定するフックと、スピンナテーブル上で回転するウェーハへ向かって揺動しながら洗浄液を噴射するノズルと、吸着確認部の圧力を検出する検出部を備えている。
【0013】
スピンナテーブルには、中央部にポーラス等により形成されるウェーハ吸着面が設けられ、ウェーハ吸着面の外側には吸着確認部が設けられ、スピンナテーブルの外周部にフックが設けられている。
【0014】
スピンナ洗浄装置によりウェーハの洗浄を行なう際には、テープによりフレームにマウントされたウェーハが、フレームごとスピンナテーブル上に搬送され、ウェーハ吸着面で吸着固定される。ウェーハとフレームとの間のテープ部分はウェーハ吸着面よりも外側となる吸着確認部により吸着される。吸着後、フレームがフックにより固定される。
【0015】
このとき、ウェーハ吸着面の外側に設けられた吸着確認部に生じる圧力が検出部により検出される。吸着確認部でテープが吸着されず圧力が変化しない場合は、フレームの位置が異常であるとしてスピンナテーブルの回転が行われない。
【0016】
これにより、フレームが正しい位置に搬送されず突起などに乗りあがりテープが僅かに浮いているような場合であっても、ウェーハ吸着面の外側に設けられた吸着確認部が僅かな変化を検知し、安全にスピンナ洗浄を実行することが出来る。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記吸着確認部は複数の穴により構成されていることを特徴としている。
【0018】
請求項2の発明によれば、スピンナテーブルのウェーハ吸着面の外側には、吸着確認部として複数の穴が形成される。ウェーハとフレームとの間のテープ部分は、ウェーハ吸着面よりも外側となる吸着確認部により複数個所吸着される。いずれかの吸着確認部でテープが吸着されず圧力が変化しない場合は、フレームの位置が異常であるとしてスピンナテーブルの回転が行われない。
【0019】
これにより、フレームのフックによる固定状況が正確に検知され、安全にスピンナ洗浄を実行することが出来る。
【0020】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記吸着確認部は前記ウェーハ吸着面外周部に沿って形成された溝により構成されていることを特徴としている。
【0021】
請求項3の発明によれば、スピンナテーブルのウェーハ吸着面の外周部に沿って、吸着確認部として溝が形成される。ウェーハとフレームとの間のテープ部分は、ウェーハ吸着面よりも外側となる吸着確認部により、ウェーハ吸着面を囲うように吸着される。吸着確認部でテープが吸着されず圧力が変化しない場合は、フレームの位置が異常であるとしてスピンナテーブルの回転が行われない。
【0022】
これにより、フレームのフックによる固定状況が正確に検知され、安全にスピンナ洗浄を実行することが出来る。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3に記載の発明において、前記吸着確認部に生じる圧力を前記検出部で検出することにより前記吸着確認部における前記テープの吸着状況を検知し、前記吸着確認部における前記テープの吸着状況より前記フックによる前記フレームの固定状況を検知することを特徴としている。
【0024】
請求項4の発明によれば、スピンナテーブル上に搬送されてウェーハ吸着面で吸着固定されたウェーハと、ウェーハがマウントされているフレームとの間のテープが吸着確認部により吸着される。テープが吸着確認部に吸着されることで吸着確認部に生じる圧力の変化は検出部で検出される。
【0025】
フレームの位置に異常があって吸着確認部でテープが吸着されていない場合には、吸着確認部での圧力の変化が生じないので、検出部ではフレームの位置に異常があると判断する。また、圧力の変化している吸着確認部と変化していない吸着確認部との位置から、スピンナテーブル上のどの方向でフレーム位置に異常が起きているかを検知することが可能となる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4に記載の発明において、前記吸着確認部で前記テープを吸着するとともに吸引することにより該テープを該吸着確認部へ突出させ、前記洗浄水の前記ウェーハ吸着面への浸入を防止することを特徴としている。
【0027】
請求項5の発明によれば、ウェーハとフレームとの間の撓んだテープが、吸着確認部で吸着吸引されることにより、吸着確認部に向かって突出される。吸着確認部はウェーハ吸着面外側に配置されているので、突出したテープが壁となり、テープとスピンナテーブルの間を伝ってウェーハ吸着面へ洗浄液が進入することが防止される。これにより、ポーラス等により形成されたウェーハ吸着面の汚れが軽減され、ウェーハの吸着を確実にする。
【0028】
請求項6に記載の発明は、中央部にウェーハ吸着面が設けられ、前記ウェーハ吸着面の外側に吸着確認部が設けられ、テープによりフレームにマウントされたウェーハを前記ウェーハ吸着面で吸着固定するスピンナテーブルと、前記吸着確認部に生じる圧力を検出する検出部と、揺動しながら前記スピンナテーブル上のウェーハへ向けて洗浄水を噴射するノズルと、前記スピンナテーブルの外周部に設けられた前記フレームを固定する複数のフックと、前記スピンナテーブルを回転させる回転手段と、を備えたスピンナ洗浄装置を用いたスピンナ洗浄方法において、前記吸着確認部に生じる圧力を前記検出部で検出することにより前記吸着確認部における前記テープの吸着状況を検知し、前記吸着確認部における前記テープの吸着状況より前記フックによる前記フレームの固定状況を検知した後、前記回転手段により前記スピンナテーブルを回転させるとともに前記ノズルより洗浄液を噴射することで前記ウェーハの洗浄を行なうことを特徴としている。
【0029】
請求項6の発明によれば、スピンナ洗浄装置は、スピンナテーブルと、テープによりウェーハがマウントされるフレームを固定するフックと、洗浄液を噴射するノズルと、吸着確認部の圧力を検出する検出部が備えられている。スピンナテーブルには、中央部にポーラス等により形成されるウェーハ吸着面が設けられ、ウェーハ吸着面の外側には吸着確認部が設けられ、スピンナテーブルの外周部にフックが設けられている。
【0030】
ウェーハをスピンナ洗浄する際には、テープによりフレームにマウントされたウェーハが、フレームごとスピンナテーブル上に搬送され、ウェーハ吸着面で吸着固定される。ウェーハとフレームとの間のテープ部分はウェーハ吸着面よりも外側となる吸着確認部により吸着される。吸着後、フレームがフックにより固定される。
【0031】
続いて、ウェーハ吸着面の外側に設けられた吸着確認部に生じる圧力が検出部により検出される。
【0032】
テープが正しく吸着確認部に吸着され、吸着確認部の圧力が変化してフレームの位置に異常がないと判断された場合はスピンナ洗浄が開始される。吸着確認部でテープが吸着されず圧力が変化しない場合は、フレームの位置が異常であるとしてスピンナテーブルの回転が行われない。
【0033】
これにより、フレームが正しい位置に搬送されず突起などに乗りあがりテープが僅かに浮いているような場合であっても、ウェーハ吸着面の外側に設けられた吸着確認部が僅かな変化を検知し、安全にスピンナ洗浄を実行することが出来る。
【発明の効果】
【0034】
本発明のスピンナ洗浄装置及びスピンナ洗浄方法によれば、フレームの位置の不具合を正確に検知し、フックが確実にフレームを固定していない状態のままでのスピンナテーブルの回転を未然に防ぎ、安全にスピンナ洗浄を実行することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るスピンナ洗浄装置の構成を示した斜視図
【図2】第1の実施の形態によるスピンナテーブルの上面図
【図3】検出部からの配管を示した構成図
【図4】第1の実施の形態によるスピンナテーブルの側面断面図
【図5】第1の実施の形態による別の形状のスピンナテーブルの上面図
【図6】第2の実施の形態によるスピンナテーブルの上面図
【図7】第2の実施の形態による別の形状のスピンナテーブルの上面図
【図8】第2の実施の形態によるスピンナテーブルの側面断面図
【図9】ダイシング装置の構成を示した斜視図
【図10】従来のスピンナ洗浄装置の例を示した図
【図11】従来のスピンナテーブルの側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面に従って本発明に係るスピンナ洗浄装置及びスピンナ洗浄方法の好ましい実施の形態について詳説する。まず第1の実施の形態によるスピンナ洗浄装置の構成について説明する。図1は第1の実施の形態によるスピンナ洗浄装置の構成を示した斜視図、図2はスピンナテーブルの上面図、図3は検出部からの配管を示した構成図、図4はスピンナテーブルの側面図である。
【0037】
図1に示すスピンナ洗浄装置6Aは、図9に示すダイシング装置1に取り付けられている。ダイシング装置1には、スピンナ洗浄装置6Aの他に、先端にブレード2とホイールカバー(不図示)が取り付けられたスピンドル3、3、撮像手段(不図示)、チャックテーブル4、ロードポート7、搬送手段8、表示手段9、コントローラ(不図示)等とから構成されている。
【0038】
スピンナ洗浄装置6Aは図1に示すように、フレームFにマウントされたウェーハWが吸着されるスピンナテーブル10Aと、揺動するとともに洗浄液を噴射するノズル11を備えている。スピンナテーブル10Aの中央部にはポーラス等により形成されるウェーハ吸着面12が設けられ、外周部にはフレームFを固定する為のフック13が複数設けられている。スピンナテーブル10Aの下部にはスピンナテーブルを回転させる回転手段14が設けられ、スピンナテーブル10Aの周囲には洗浄液を受ける槽15が備えられている。
【0039】
図2に示すように、スピンナテーブル10A中央部に形成されたウェーハ吸着面12の外側には、穴形状の吸着確認部16が90度毎に配置されるように複数形成されている。吸着確認部16は、ウェーハ吸着面12と同じ平面上の金属部分である平面部Aに形成されているのが望ましく、平面部Aよりも外側の傾斜部Bに形成されていても良い。
【0040】
フレームFにテープTによりマウントされたウェーハWはウェーハ吸着面12にテープごと吸着され、ウェーハWとフレームFとの間のテープTは吸着確認部16に吸着される。テープTがウェーハ吸着面12と吸着確認部16に吸着された後、フック13が不図示の駆動手段により軸13Aを中心に回転してフレームFがスピンナテーブル10Aに押し付けられて固定される。
【0041】
スピンナテーブル10Aに形成された吸着確認部16、16・・は、図3に示すように、スピンナテーブル10A内の穴やチューブにより構成される流路17、17・・によりそれぞれ検出部18へ接続されている。なお、各吸着確認部16は個別に検出部18へ接続されるのではなく、1つの流路にまとめられてから一括で検出部18に接続されていてもよい。
【0042】
検出部18は、コンプレッサーやエジェクターなどの不図示の真空吸引手段と接続され、流路17を通して各吸着確認部16を真空状態にするとともに、吸着確認部16の圧力変化を検知する不図示の圧力計を備えている。検出部18に備えられた圧力計は、ダイシング装置1に備えられたコントローラ19と接続され、吸着確認部16の圧力の変化に応じてダイシング装置1へ各種の指令を発する。
【0043】
このように構成されたダイシング装置1のスピンナ洗浄装置6Aでは、図4(a)に示すように、フレームFが正しい位置に搬送されてフック13により確実に固定されている場合、吸着確認部16によりテープTが吸着されることで吸着確認部16の圧力が下がり、検出部18で圧力の変化が検知される。これにより、フレームFが正しい位置にあると検出部18またはコントローラ19において判断され、スピンナテーブル10Aが回転してスピンナ洗浄が開始される。
【0044】
図4(b)に示すように、フレームFが正しい位置に搬送されず、フック13がフレームFを確実に固定していないような場合は、吸着確認部16によりテープTが吸着されない為、吸着確認部16の圧力が下がらず真空状態とならない。これにより、圧力の変化が検出部18で検知されず、フレームFの位置に異常があると検出部18またはコントローラ19において判断され、スピンナテーブル10Aの回転が行われない。
【0045】
これらにより、フレームFが正しい位置に搬送されず突起などに乗りあがりテープTが僅かに浮いているような場合であっても、ウェーハ吸着面12の外側に設けられた吸着確認部16の圧力の変化を検知することでフレームFの異常を検知し、安全にスピンナ洗浄を実行することが可能となる。
【0046】
なお、吸着確認部16は図2に示すように90度毎に4箇所配置されているだけに限らず、図5に示すスピンナテーブル10Bのように8箇所、またはそれ以上でも良く、均等に配置されていればいずれの数でも良い。
【0047】
また、検出部18では、各吸着確認部16の圧力の変化を個別に検知することで、圧力の変化のある吸着確認部16と変化の無い吸着確認部16の位置からいずれの方向でフレームFが異常な位置にあるのかを検出することも可能である。これにより、コントローラ19はダイシング装置1にフレームFの異常位置を知らせ、備えられた搬送手段8によりフレームFの搬送位置を修正する。
【0048】
次に本発明に係る第2の実施の形態によるスピンナ洗浄装置について説明する。図6は第2の実施の形態によるスピンナテーブルの上面図、図7は第2の実施の形態によるスピンナテーブルの別の形状を示した上面図。図8はスピンナテーブルの側面図である。
【0049】
図6に示すように、スピンナテーブル10C中央部に形成されたウェーハ吸着面12の外側には、溝形状の吸着確認部20がウェーハ吸着面12の外周に沿って形成されている。吸着確認部20は、ウェーハ吸着面12と同じ平面上の金属部分である平面部Aに形成されているのが望ましく、平面部Aよりも外側の傾斜部Bに形成されていても良い。
【0050】
フレームFにテープTによりマウントされたウェーハWはウェーハ吸着面12にテープごと吸着され、ウェーハWとフレームFとの間のテープTは吸着確認部20に吸着される。テープTがウェーハ吸着面12と吸着確認部20に吸着された後、フック13が不図示の駆動手段により軸13Aを中心に回転してフレームFがスピンナテーブル10Cに押し付けられて固定される。
【0051】
吸着確認部20は、溝形状の吸着確認部20の底面に形成された流路20Aと、流路20Aに続く不図示のチューブにより、図3に示される検出部18へ接続されている。検出部18は、吸着確認部20を真空状態にするとともに、吸着確認部20の圧力変化を検知する。検出部18に備えられた圧力計は、ダイシング装置1に備えられたコントローラ19と接続され、吸着確認部20の圧力の変化に応じてダイシング装置1へ各種の指令を発する。
【0052】
このように構成されたスピンナテーブル10Cは、スピンナテーブル10Aと同様に、フレームFが正しい位置に搬送されてフック13により確実に固定されている場合、吸着確認部20によりテープTが吸着されることで吸着確認部20の圧力が下がり、検出部18で圧力の変化が検知される。これにより、フレームFが正しい位置にあると検出部18またはコントローラ19において判断され、スピンナテーブル10Aが回転してスピンナ洗浄が開始される。
【0053】
フレームFが正しい位置に搬送されず、フック13がフレームFを確実に固定していないような場合は、吸着確認部20によりテープTが吸着されない為、吸着確認部20の圧力が変化せず検出部で検知されない。これにより、フレームFの位置に異常があると検出部18またはコントローラ19において判断され、スピンナテーブル10Cの回転が行われない。
【0054】
これらにより、フレームFが正しい位置に搬送されず突起などに乗りあがりテープTが僅かに浮いているような場合であっても、ウェーハ吸着面12の外周に沿って形成された吸着確認部20の圧力の変化を検知することでフレームFの異常を検知し、安全にスピンナ洗浄を実行することが可能となる。
【0055】
なお、吸着確認部20は図6に示すように、ウェーハ吸着面12の外周に沿って連続して形成されているだけに限らず、図7に示すスピンナテーブル10Dのように、ウェーハ吸着面12の外周に沿って形成される複数の溝形状である吸着確認部21のような形状であっても良い。
【0056】
また、図8に示すように、ウェーハWとフレームFとの間の撓んだテープTが、吸着確認部20で吸着吸引されることにより、吸着確認部20に向かってテープTが突出される。これにより、吸着確認部20はウェーハ吸着面12外側に配置されているので、突出したテープTが壁となり、テープTとスピンナテーブル10Cの間を伝ってウェーハ吸着面12へ洗浄液が進入することが防止される。これにより、ポーラス等により形成されたウェーハ吸着面12の汚れが軽減され、ウェーハWの吸着を確実にする。
【0057】
次に、本発明に係るスピンナ洗浄方法について詳説する。
【0058】
図1に示すスピンナ洗浄装置6Aは、スピンナテーブル10Aと、テープTによりウェーハWがマウントされるフレームFを固定するフック13と、洗浄液を噴射するノズル11と、図3に示す検出部18が備えられている。スピンナテーブル10Aには、中央部にポーラス等により形成されるウェーハ吸着面12が設けられ、ウェーハ吸着面12の外側には吸着確認部16が設けられ、スピンナテーブル10Aの外周部にフック13が設けられている。
【0059】
ウェーハWをスピンナ洗浄する際には、テープTによりフレームFにマウントされたウェーハWが、フレームFごとスピンナテーブル10A上に図9に示す搬送手段8により搬送され、ウェーハ吸着面12で吸着固定される。ウェーハWとフレームFとの間のテープT部分はウェーハ吸着面12よりも外側となる吸着確認部16により吸着される。吸着後、フレームFがフック13により固定される。
【0060】
続いて、ウェーハ吸着面12の外側に設けられた吸着確認部16に生じる圧力が検出部18により検出される。
【0061】
テープTが正しく吸着確認部16に吸着され、吸着確認部16の圧力が下がりフレームFの位置に異常がないと判断された場合はスピンナテーブル10Aが回転手段14により回転されてスピンナ洗浄が開始される。吸着確認部16でテープが吸着されず圧力が変化しない場合は、フレームFの位置が異常であるとしてスピンナテーブル10Aの回転が行われない。
【0062】
これにより、フレームFが正しい位置に搬送されず突起などに乗りあがりテープTが僅かに浮いているような場合であっても、ウェーハ吸着面12の外側に設けられた吸着確認部16の圧力の変化を検知することでフレームFの異常を検知し、安全にスピンナ洗浄を実行することが出来る。
【0063】
以上、説明したように、本発明に係わるスピンナ洗浄装置及びスピンナ洗浄方法によれば、フレームの位置の不具合を正確に検知し、フックが確実にフレームを固定していない状態のままでのスピンナテーブルの回転を未然に防ぎ、安全にスピンナ洗浄を実行することを可能にする。
【0064】
また、各吸着確認部の圧力の変化を個別に検知することで、いずれの方向でフレームが異常な位置にあるのかを検出することも可能である。
【0065】
更には、ウェーハとフレームとの間の撓んだテープが、吸着確認部で吸着吸引されることにより、突出したテープが壁となり、テープとスピンナテーブルの間を伝ってウェーハ吸着面へ洗浄液が進入することが防止されるので、ポーラス等により形成されたウェーハ吸着面の汚れを軽減することも可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1…ダイシング装置,2…ブレード,3…スピンドル,4…チャックテーブル,5…加工部,6、6A…スピンナ洗浄装置,7…ロードポート,8…搬送手段,9…表示手段,10A、10B、10C、10D…スピンナテーブル,12…ウェーハ吸着面,13…フック,13A…軸,14…回転手段,15…槽,16、20、21…吸着確認部,17、20A…流路,18…検出部,19…コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部にウェーハ吸着面が設けられ、前記ウェーハ吸着面の外側に吸着確認部が設けられ、テープによりフレームにマウントされたウェーハを前記ウェーハ吸着面で吸着固定するスピンナテーブルと、
前記吸着確認部に生じる圧力を検出する検出部と、
揺動しながら前記スピンナテーブル上のウェーハへ向けて洗浄水を噴射するノズルと、
前記スピンナテーブルの外周部に設けられた前記フレームを固定する複数のフックと、
前記スピンナテーブルを回転させる回転手段と、
を備えたことを特徴とするスピンナ洗浄装置。
【請求項2】
前記吸着確認部は複数の穴により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピンナ洗浄装置。
【請求項3】
前記吸着確認部は前記ウェーハ吸着面外周部に沿って形成された溝により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスピンナ洗浄装置。
【請求項4】
前記吸着確認部に生じる圧力を前記検出部で検出することにより前記吸着確認部における前記テープの吸着状況を検知し、前記吸着確認部における前記テープの吸着状況より前記フックによる前記フレームの固定状況を検知することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のスピンナ洗浄装置。
【請求項5】
前記吸着確認部で前記テープを吸着するとともに吸引することにより該テープを該吸着確認部へ突出させ、前記洗浄水の前記ウェーハ吸着面への浸入を防止することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のスピンナ洗浄装置。
【請求項6】
中央部にウェーハ吸着面が設けられ、前記ウェーハ吸着面の外側に吸着確認部が設けられ、テープによりフレームにマウントされたウェーハを前記ウェーハ吸着面で吸着固定するスピンナテーブルと、前記吸着確認部に生じる圧力を検出する検出部と、揺動しながら前記スピンナテーブル上のウェーハへ向けて洗浄水を噴射するノズルと、前記スピンナテーブルの外周部に設けられた前記フレームを固定する複数のフックと、前記スピンナテーブルを回転させる回転手段と、を備えたスピンナ洗浄装置を用いたスピンナ洗浄方法において、
前記吸着確認部に生じる圧力を前記検出部で検出することにより前記吸着確認部における前記テープの吸着状況を検知し、前記吸着確認部における前記テープの吸着状況より前記フックによる前記フレームの固定状況を検知した後、前記回転手段により前記スピンナテーブルを回転させるとともに前記ノズルより洗浄液を噴射することで前記ウェーハの洗浄を行なうことを特徴とするスピンナ洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−84792(P2012−84792A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231543(P2010−231543)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】