説明

スプレー噴射状態監視システム及びスプレー噴射状態監視プログラム

【課題】スプレーの噴射状態の良否を正確に判定することができるスプレー噴射状態監視システムを提供する。
【解決手段】連続的に流体が噴射されるスプレーの噴射状態を監視するスプレー噴射状態監視システムであって、スプレーの噴射状態を撮影するITVカメラ5と、スプレー噴射形状を背後から照明する照明装置6と、カメラ5により撮影された画像データを画像処理することで、スプレー噴射形状を抽出する形状抽出手段24と、抽出されたスプレー噴射形状に基づいて噴射状態が正常か否かを判定する判定手段25とを備える。形状抽出は、フィルター処理により行われ、このフィルターは、注目画素よりも前記噴射先に近い側の画素に対して正の係数、注目画素よりもスプレーノズルに近い側の画素に対して負の係数、注目画素に対して0を与える行列式で与えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に流体が噴射されるスプレーの噴射状態を監視するスプレー噴射状態監視システム及びスプレー噴射状態監視プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体原料等をスプレーにより供給する製造プロセスにおいては、原料が適正量供給されているか否かを確認する必要があり、そのために流量計を使用する方法がある。しかしながら、流量計は、配管を流れる流体の量が適正か否かを判定するものであり、配管途中における液漏れや、スプレーノズルからの噴射状態の変化が生じても、検知することは難しい。そこで、スプレーの噴射状態を直接監視する方法として、下記の特許文献1,2が知られている。
【0003】
特許文献1は、粒子噴霧発生器(スプレー缶)から発生される粒子噴霧の形状を測定するものであり、粒子噴霧に対して面状の光線を照射し、この照射された面状の光線を撮像し、撮像することで得られた粒子噴霧の形状に関する情報を処理して、粒子噴霧の形状を測定するものである。
【0004】
特許文献2は、インクジェット装置に関するものであり、インクの粒速、インクの粒量、サテライト粒子の数のインクの飛翔特性を計測する。そして、インクを噴射するための波形生成手段が、インクの飛翔特性に関する評価関数を最適化する入力波形を作成するように構成され、インクの飛翔特性の計測結果がこの評価関数の最適化に用いられる。
【特許文献1】特開平6−258052号公報
【特許文献2】特開平9−174835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2については、次に説明するような課題を有する。すなわち、特許文献1では、照射された面状の光線がスプレーにより散乱された形状を撮影するようにしているため、光源と撮像装置(カメラ)の設置位置の自由度が低下したり、光を照射するための設備が複雑になったりする。また、製造プロセスにおいて、原料を吹き付ける場合においては、雰囲気中に原料あるいは生成物の微粒子が浮遊しており、照射された光がスプレーに到達する前に散乱することが考えられる。従って、噴射状態の監視を行う場合には、適切な方法とはいえず、採用することが難しい。また、特許文献2の場合は、スプレーの微視領域を観察することで、より詳細な情報が得られるが、一般的なスプレーでは、噴射される粒子の数が多いため、この方法は汎用性を有しない。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、スプレーの噴射状態の良否を正確に判定することができるスプレー噴射状態監視システム及びスプレー噴射状態監視プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明に係るスプレー噴射状態監視システムは、
連続的に流体が噴射されるスプレーの噴射状態を監視するスプレー噴射状態監視システムであって、
スプレーの噴射状態を撮影する撮像装置と、
撮影された画像データを画像処理することで、スプレー噴射形状を抽出する形状抽出手段と、
抽出されたスプレー噴射形状に基づいて噴射状態が正常か否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
この構成によるスプレー噴射状態監視システムの作用・効果を説明する。まず、撮像装置によりスプレーの噴射状態を撮影する。撮影することで得られた画像データを画像処理し、スプレー噴射形状を抽出する。ノズルから流体が噴射されているときのスプレー噴射形状は、先端に行くほど広がりを有するので、その形状を画像処理により抽出することができる。スプレーに何らかの異常が発生した場合、スプレー噴射形状が本来の形状ではなくなるため、抽出されたスプレーの形状に基づいて、噴射状態が正常か否かを判定することができる。その結果、スプレーの噴射状態の良否を正確に判定することができるスプレー噴射状態監視システムを提供することができる。
【0009】
本発明において、デジタルデータ化された画像データの個々の画素に対して作用させるフィルターであって、スプレー噴射方向に注目画素に隣り合って存在し、スプレーの噴射先に近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より大きく、スプレーノズル側に近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より小さい場合の注目画素を抽出するフィルターを用いて画像処理演算を行うフィルター処理手段、及びフィルター処理された画像データに対して二値化処理を行う二値化処理手段を備え、前記形状抽出手段は、この二値化処理により得られた結果に基づいて、前記スプレー噴射形状の抽出を行うことが好ましい。
【0010】
スプレーノズルから流体が噴射される場合、噴射先(流体が噴射される対象)に近くなるほど、噴射領域が広がる。従って、スプレーの背後に照明装置を設けておくことで、ノズルに近い領域では、粒子の密度が高いため、輝度は暗くなるが、噴射先に行けば行くほど粒子の密度が低くなり、輝度は明るくなる。従って、スプレー噴射方向に注目画素に隣り合って存在し、スプレーの噴射先に近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より大きく、スプレーノズルに近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より小さい場合の注目画素を抽出するフィルターを用いて画像処理演算を行うと、スプレー噴射領域内の画素と、スプレー噴射領域外の画素とを区別できるような演算結果が得られる。すなわち、かかるフィルターを使用することで、ノズルの噴射先に行くほど輝度値が高くなる領域(=スプレー噴射形状の領域)を抽出することができる。
【0011】
前記フィルターは、注目画素よりも前記噴射先に近い側の画素に対して正の係数、注目画素よりもスプレーノズルに近い側の画素に対して負の係数、注目画素に対して0を与える行列式で与えられるものであることが好ましい。
【0012】
かかるフィルター処理を行うと、スプレー噴射形状を構成する画素については、正の値を有する画素に変換され、それ以外の画素については、負の値もしくは0の値を有する画素に変換処理される。従って、正の値を有する画素群からスプレー噴射形状を抽出することができる。
【0013】
本発明において、異なる時刻に撮影された複数の画像データの平均を演算して平均画像データを取得する平均画像取得手段を備え、前記フィルター処理手段は、平均画像データに基づいて、注目画素を抽出することが好ましい。
【0014】
スプレーを撮影すると、撮影画像にはスプレーだけではなく、そのほかのノイズ成分も含まれるため、これをそのまま使用すると、スプレー噴射形状を抽出する場合の誤差要因となる。そこで、複数の画像データの平均を演算して、平均画像データを取得する。平均することで、背景のノイズ成分は平均化され、ノイズの影響を低下させることができる。また、スプレー噴射形状に揺らぎがある場合も、スプレーの噴射状態の画像を安定した形で得ることができる。
【0015】
本発明に係るスプレー噴射状態監視システムに用いられるスプレー噴射状態監視プログラムは、
撮像装置により、撮影された画像データを画像処理することで、スプレー噴射形状を抽出する処理と、
抽出されたスプレー噴射形状に基づいて噴射状態が正常か否かを判定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明において、デジタルデータ化された画像データの個々の画素に対して作用させるフィルターであって、スプレー噴射方向に注目画素に隣り合って存在し、スプレーの噴射先に近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より大きく、スプレーノズル側に近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より小さい場合の注目画素を抽出するフィルター処理を行い、次にフィルター処理された画像データに対して二値化処理を行い、この二値化処理により得られた結果に基づいて、前記スプレー噴射形状を抽出する処理を実行することが好ましい。
【0017】
更に、前記フィルターは、注目画素よりも前記噴射先に近い側の画素に正の係数、注目画素よりもスプレーノズルに近い側の画素に対して負の係数、注目画素に対して0を与える行列式で与えられることが好ましい。
【0018】
かかるスプレー噴射状態監視プログラムの作用・効果は、既に説明したとおりである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明に係るスプレー噴射状態監視システムの好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、システムの概要を示す模式図である。
【0020】
<システムの構成>
図1において、スプレーノズル1からは、液体原料が下方に向けて連続的に噴射されている。スプレーノズル1に接続されている配管2の途中経路には、流量計3が設けられており、常時流量を監視できるようにしている。スプレーの噴射状態を監視するために、スプレーの正面側に撮像装置としてのITVカメラ5が設置されている。スプレーノズル1が設けられている場所は、壁面4により周囲が覆われているが、一部に開口窓4aが設けられており、ITVカメラ5による監視を可能にする。また、スプレーの背面側にも開口窓4bが設けられており、照明装置6が設置される。照明装置6は、スプレー噴射領域Sを背後側から照明し、その画像をITVカメラ5により撮影する。
【0021】
図1に示すように、下方に向けて流体を噴霧する場合は、正常な状態のスプレー噴射形状Sは、略三角形となる。この三角形を撮影した画像データから抽出することで、噴射状態が正常か否かを判定することができる。流量計3においてもスプレーの噴霧が正常に行われているか否かを判定できるが、スプレーノズル1から噴霧されたあとの噴射状態の良否や等、流量計3のみでは判定できないような異常現象もある。そこで、ITVカメラ5によりスプレー噴射形状を監視することで、流量計3と合わせて噴射状態の監視を行うようにしている。
【0022】
画像受信部7は、ITVカメラ5で撮影された画像信号を受信する。表示処理部8は、受信した画像信号をモニター9で観察するための表示処理を行う。A/D変換部10は、画像受信部7で受信した画像信号を処理してデジタルデータ化した画像データを生成する。画像データ保存部11は、画像データを保存するフレームメモリ等により構成される。
【0023】
画像処理部20は、コンピュータプログラムにより構成され、受信した画像データを画像処理してスプレー噴射形状を抽出する処理を行う。平均画像取得手段21は、画像データ中に含まれるノイズ成分を除去するために行う処理である。具体的には、時間的に異なるタイミングで取得された複数の画像データの平均を演算して平均画像データを取得する。ノイズ成分の存在場所は、個々の画像ごとに異なる場所にあると考えられるので、平均化することでノイズの量を低下させることができる。画像データの平均をとる場合の画像の枚数については、適宜設定することができ、特定の数に限定されるものではない。例えば、時間的に連続する5枚の画像データの平均を演算する場合、対応する画素を足し算して5で割ればよい。ノイズの位置は、画像ごとに異なる位置にあるので、平均することでノイズの影響を低下させることができる。また、スプレー噴射形状の位置は、常に同じ位置にあるので、平均化することで、より安定した形でスプレー噴射形状の画像を取得することができる。
【0024】
フィルター処理手段22は、平均画像データに対して画像処理を行い、スプレー噴射形状を抽出するための前処理としてフィルターを使用した画像処理演算を行う。このフィルター処理について、図2により説明する。
【0025】
フィルターは図2(a)に示すように、3×1の行列で表され、縦方向に(−1,0,1)で代表される非対称のフィルターを用いる。平均化された画像中の注目画素をAとした場合、このフィルターを用いてA’=D×(−1)+A×0+H×1 を演算する。このフィルターの係数は(−1,0,1)に限定されるものではなく、例えば(−2,0,2)でもよい。すなわち、このフィルターは、注目画素よりも噴射先に近い側の画素に対して正の係数、注目画素よりもスプレーノズルに近い側の画素に対して負の係数、注目画素に対して0を与える行列式で与えられる。
【0026】
ここで、スプレー噴射形状Sの背面側から照明をしているので、スプレー噴射形状Sの先端に行くほどスプレー噴射形状Sが広がり、粒子の密度が小さくなるので、スプレー噴射形状Sが存在する領域では、下側へ行くほど画素の輝度値が大きくなる。例えば、図2(b)に示すような下側に行くほど画素の輝度が大きい輝度分布の場合は、フィルター演算を行うと、得られた注目画素Aの変換値は正の値となる。逆に、スプレー噴射形状Sではない領域の輝度分布の例として、(c)に示すように、上側へ行くほど輝度値が大きくなる場合がある。この場合は、フィルター演算を行うと、変換値は負の値となる。また、全く輝度変化がない(d)のような場合、変換値は0となる。従って、変換値が正の値になった領域を抽出することで、スプレー噴射形状を抽出できることになる。
【0027】
二値化処理手段23は、フィルター演算された画像データに対して二値化処理を行う。8ビットの輝度データを用いて二値化処理をすることで、スプレー噴射形状の抽出を容易にする。二値化するときのしきい値は、フィルター処理された画像データのヒストグラムに基づいて、適切な値をしきい値とすることができる。しきい値は、動的しきい値としてもよいし、静的しきい値としてもよい。
【0028】
形状抽出手段24は、二値化処理手段23により得られた結果に基づいて、スプレー噴射形状の抽出を行う。スプレー噴射形状の特徴として、予めパターン形状、長さ、面積などを記憶しておき、この記憶された登録データと抽出されたデータとを対比させることで、スプレー噴射形状を抽出する。二値化処理して得られるデータには、スプレー噴射形状のデータ以外にも、上記の処理条件で抽出されるスプレー噴射形状以外のデータが含まれることがあるので、スプレー噴射形状が記憶された登録データと対比して、スプレー噴射形状のみを抽出する。
【0029】
判定手段25は、形状抽出手段24による抽出結果に基づいて、正常か否かを判定する。例えば、スプレー噴射形状が抽出されればOK,抽出できなければNGとする。異常信号出力手段26は、判定手段25による判定結果に基づいて、異常信号を出力する。例えば、スプレー噴射形状が抽出できなかった場合に、直ちに異常信号を出力してもよいが、NG信号が所定回数連続した場合に、異常信号を出力するようにしてもよい。
【0030】
<監視手順>
次に、図1に示すシステムにおいて、スプレーの監視を行う場合の手順を図3のフローチャートにより説明する。まず、ITVカメラ5から画像が入力される(#1)。入力された画像信号は、A/D変換処理され(#2)、画像処理部20へと送られる。図4(a)は、実際にスプレーを撮影した画像(画像処理前)を示している。図番30で示されているのが、スプレーから流体が噴霧している状態を示しており、下方に向けて液体原料が噴霧されている。次に、時間的に異なる複数の画像データを用いて、平均画像データを演算する(#3)。これにより、ノイズ成分を低下させる。
【0031】
平均画像データを用いて、図2に示すフィルターを用いてフィルター処理を行う(#4)。これにより、下方に向けて輝度が明るくなっている領域が抽出される。さらに、フィルター処理により得られた画像データに対して二値化処理を行う(#5)。これにより、スプレー噴射形状の抽出が容易になる。この二値化処理を行った結果の画像が図4(b)に示される。画像処理を行った領域は、撮影された画像の全領域ではなく、Rで示される枠内のみである。撮影されている画像領域の中で、スプレーが存在する領域は、予め分かっているので、その領域のみを画像処理すればよい。これにより、無駄な処理を行わなくてすみ、効率よく処理を行うことができる。
【0032】
図4に示されるように、抽出された領域は31と32で示される。スプレー噴射形状が存在する領域以外にも、いくつかの領域が抽出されていることになる。抽出された複数の領域の中から、スプレー噴射形状に該当するものだけを選び出すようにする(#6)。これは、予め登録してあるスプレー噴射形状に関するデータ(形状、長さ、面積など)と比較することで、スプレー噴射形状のみ(31で示される)を抽出することができる。また、画像中におけるスプレーの位置は決まっているので、この位置情報に基づいてスプレー噴射形状を抽出することもできる。
【0033】
次に、抽出された形状に基づいて、判定手段25により、異常が発生しているか否かを判定する(#7)。異常が発生していれば、異常信号を出力し、警報を発する(#8)。例えば、モニター9に異常が発生したことを表示させたり、ブザーを鳴らせたりする。
【0034】
<別実施形態>
本発明に係るスプレー噴射状態監視システムで監視可能なスプレーについては、特定の種類のものに限定されるものではない。
【0035】
本実施形態では、スプレーは下方向に噴射されているが、噴射方向はこれに限定されるものではなく、他方向に噴射される場合でも本発明は応用可能である。この場合、図2(a)に示すフィルターは、噴射方向に対応して用意しておくことができる。
【0036】
本実施形態では、スプレー噴射形状が抽出されればOKで、抽出されなければNGと判定したが、スプレー噴射形状が抽出された場合でも、抽出された形状に応じた判定をすることができる。例えば、抽出された形状が、本来の形状(例えば、三角形)からかなり異なっている場合は、NGと判定してもよい。また、判定内容に応じたNG結果を出してもよく、夫々異なった異常信号を出力するようにする。これにより、表示態様を異ならせ、監視者は、どの程度の異常が発生しているのかを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】スプレー噴射状態監視システムの概要を示す模式図
【図2】フィルター処理を説明する図
【図3】スプレー噴射状態を監視する場合の手順を示すフローチャート
【図4】画像処理した結果を示す画像例
【符号の説明】
【0038】
1 スプレーノズル
2 配管
3 流量計
5 ITVカメラ
6 照明装置
7 画像受信部
9 モニター
20 画像処理部
21 平均画像取得手段
22 フィルター処理手段
23 二値化処理手段
24 形状抽出手段
25 判定手段
26 異常信号出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に流体が噴射されるスプレーの噴射状態を監視するスプレー噴射状態監視システムであって、
スプレーの噴射状態を撮影する撮像装置と、
スプレー噴射形状を背後から照明する照明装置と、
撮像装置により撮影された画像データを画像処理することで、スプレー噴射形状を抽出する形状抽出手段と、
抽出されたスプレー噴射形状に基づいて噴射状態が正常か否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とするスプレー噴射状態監視システム。
【請求項2】
デジタルデータ化された画像データの個々の画素に対して作用させるフィルターであって、スプレー噴射方向に注目画素に隣り合って存在し、スプレーの噴射先に近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より大きく、スプレーノズル側に近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より小さい場合の注目画素を抽出するフィルターを用いて画像処理演算を行うフィルター処理手段、及びフィルター処理された画像データに対して二値化処理を行う二値化処理手段を備え、前記形状抽出手段は、この二値化処理により得られた結果に基づいて、前記スプレー噴射形状の抽出を行うことを特徴とする請求項1に記載のスプレー噴射状態監視システム。
【請求項3】
前記フィルターは、注目画素よりも前記噴射先に近い側の画素に対して正の係数、注目画素よりもスプレーノズルに近い側の画素に対して負の係数、注目画素に対して0を与える行列式で与えられるものであることを特徴とする請求項2に記載のスプレー噴射状態監視システム。
【請求項4】
異なる時刻に撮影された複数の画像データの平均を演算して平均画像データを取得する平均画像取得手段を備え、前記フィルター処理手段は、平均画像データに基づいて、注目画素を抽出することを特徴とする請求項2に記載のスプレー噴射状態監視システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のスプレー噴射状態監視システムに用いられるスプレー噴射状態監視プログラムであって、
撮像装置により、撮影された画像データを画像処理することで、スプレー噴射形状を抽出する処理と、
抽出されたスプレー噴射形状に基づいて噴射状態が正常か否かを判定する処理をコンピュータに実行させることを特徴とするスプレー噴射状態監視プログラム。
【請求項6】
デジタルデータ化された画像データの個々の画素に対して作用させるフィルターであって、スプレー噴射方向に注目画素に隣り合って存在し、スプレーの噴射先に近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より大きく、スプレーノズル側に近い側の画素の輝度値が注目画素の輝度値より小さい場合の注目画素を抽出するフィルター処理を行い、次にフィルター処理された画像データに対して二値化処理を行い、この二値化処理により得られた結果に基づいて、前記スプレー噴射形状を抽出する処理を実行することを特徴とする請求項5に記載のスプレー噴射状態監視プログラム。
【請求項7】
前記フィルターは、注目画素よりも前記噴射先に近い側の画素に正の係数、注目画素よりもスプレーノズルに近い側の画素に対して負の係数、注目画素に対して0を与える行列式で与えられることを特徴とする請求項6に記載のスプレー噴射状態監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−266718(P2006−266718A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81563(P2005−81563)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】