説明

スペーサインク散布装置及び散布方法

【課題】 基板へのスペーサインクの散布状態における適正・不適正を早期に検出して、必要な修復を行うことによって、システムが停止するのを極力抑制する。
【解決手段】 液滴散布ステージ13において、インクジェット手段23により基板1にスペーサインクの液滴が散布されるが、この液滴散布ステージ13の下流側にカメラとフラッシュとを備えた撮像手段から構成される液滴検出手段28が設けられ、液滴の抜けが検出されると、基板1の散布終了後に、搬送テーブル20と、移動台25とを駆動して、基板1における液滴の抜け個所にインクジェットヘッド26を対面させて、抜け個所に向けてスペーサインクの噴射を行い、次いでノズル30の詰まりの解消を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネル等の表示パネルとして、相互に重ね合わせられる2枚の透明基板間に、液晶封入空間を形成するセルギャップを構成する隙間を形成するために、微小粒子からなるスペーサを含有するスペーサインクの液滴を基板表面に散布して固定するための装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置として、例えばカラーTFT液晶パネルは、共にガラス等の透明基板からなるTFT基板とカラーフィルタとを接合させたものから構成されるが、これらTFT基板とカラーフィルタとは密着状態ではなく、所謂セルギャップと呼ばれる微小な隙間を介して接合されるものであり、この隙間に液晶が封入される。この液晶封入空間を形成する微小隙間はスペーサにより確保されるようになっている。スペーサは球状の微小粒子からなるものであって、液晶パネルとして構成する場合、TFT基板側に散布されるのが一般的である。
【0003】
セルギャップとなる隙間を均一なものとするために、スペーサを構成する微小粒子は基板全体に均一に分散させる必要がある。しかも、このTFT基板に接合されるカラーフィルタ側の基板には、TFT基板の画素に対応するように、RGBのカラーフィルタが設けられ、これら各色の画素間にはブラックマトリックスが形成される。スペーサは不透明な粒子であるから、液晶パネルにおける画像の画質低下を防止するために、スペーサは各色のフィルタが形成されている画素領域を避けて、ブラックマトリックスの領域に配置する。このために、スペーサの散布位置を制御し、確実にブラックマトリックス領域に指向させなければならない。
【0004】
このスペーサの散布位置を制御するために、その散布手段として、インクジェット方式によるものが、例えば特許文献1において提案されている。ここで、インクジェットに用いられるスペーサは、その粒径が約5μm以下であって、好ましくは3〜5μm程度の微小な球形状をしている。現在実用化されているこの種の用途に用いられるインクジェットノズルの孔径は30μm程度である。スペーサは溶剤を含むインクに均一に分散させることによって、スペーサインクとなし、このスペーサインクをインクジェットノズルから基板に向けて噴射させて、基板上には液滴として付着させるが、噴射された液滴内に、少なくとも1個、最大で4〜5個程度のスペーサが含まれるように、インクとスペーサとの混合比を設定する。
【0005】
そして、例えば基板を所定の方向、つまりX方向に搬送するテーブルに位置決めした状態でセットしておき、所定数の噴射ノズルを設けたインクジェットヘッドを基板に対面させた状態で、基板をX方向に移動させる間に、この基板の送りと直交する方向、つまりY方向に走査するようにして基板表面の全体にわたってスペーサインクを散布することができる。
【特許文献1】特開2003−279999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、インクジェット手段におけるインクジェットヘッドには、スペーサインクの液滴を基板に向けて噴射するために、微小なノズルを設けるが、この微小ノズルは所定のピッチ間隔をもって複数配列される。そして、これら各微小ノズルから噴射されるスペーサインクは、インクに微小粒子を分散させたものであるから、この微小粒子によってノズルに詰まりが発生する可能性がある。インクジェットヘッドに設けた所定数の微小ノズルのうち、いずれかのノズルに詰まりが生じると、基板に供給されるスペーサインクの液滴に抜けが生じることになる。このような液滴の抜けが生じた基板は不良品であり、その基板から全てのスペーサインクを洗い流して、改めてスペーサインクの散布を行わなければならなくなる。また、一部のノズルに詰まりが生じていることを見過ごしたまま、スペーサインクの散布を継続すると、連続的に不良品が発生することになる。
【0007】
従って、基板に対して適正に液滴が散布されているか否かを検出する必要があり、このためには、例えば、スペーサインクが散布された後に、その基板の表面をカメラで撮影して、画像処理を行うことによって、基板上における液滴の抜けを検出することは可能である。そして、液滴の抜けが検出されたときには、インクジェットヘッドを構成するノズルをクリーニングすれば、ノズルの詰まりを解消することができる。また、液滴の抜けが検出された基板を速やかに洗浄することによって、基板上に残存する液滴及びインクを完全に除去することができて、この基板を再生することができる。
【0008】
しかしながら、基板におけるスペーサインクの液滴に抜けが生じたとしても、インクジェットヘッドにおける他のノズルにより抜けの修復を行える場合がある。また、ノズルの詰まりが軽度なものであれば、ノズルに高圧を作用させて、スペーサインクを噴射することにより、詰まりが解消する可能性がある。このように、液滴の抜けの修復やノズル詰まりの解消を行えば、そのままこのシステムの稼動を継続させることができることになる。
【0009】
従って、本発明の目的とするところは、スペーサインクの散布状態を早期に検出して、必要な修復を行うことによって、システムが停止するのを極力抑制できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明において、2枚の透明基板間に微小粒子からなるスペーサを介在させることによって所定の隙間をもって接合させたパネルを形成するために、微小粒子からなるスペーサをインクに含有させたスペーサインクを前記2枚の透明基板のうち、一方の基板の表面に散布する装置の構成としては、前記基板を水平状態にして搬送する基板搬送手段と、前記基板搬送手段による前記基板の搬送方向と直交する方向に往復移動するように装着され、この基板の表面に前記スペーサインクの液滴を供給する所定数のノズルを備えたインクジェット手段と、前記インクジェット手段の下流側に配置され、このインクジェット手段と連動して移動し、スペーサインクが前記基板表面に供給された直後の液滴を検出する液滴監視手段と、前記液滴監視手段からの信号に基づいて、前記基板への液滴の散布が適正であるか否かを判断して、不適正な場合には、前記インクジェット手段の作動により修復が可能であるか否かを判定して、修復が可能な場合には、修復手順に応じて前記インクジェット手段を作動させるインクジェット制御手段とから構成したことをその特徴とするものである。
【0011】
また、2枚の透明基板間に微小粒子からなるスペーサを介在させることによって所定の隙間をもって接合させたパネルを形成するために、微小粒子からなるスペーサをインクに含有させたスペーサインクを前記透明基板のうち、一方の基板の表面に散布する方法の発明については、前記基板を基板搬送手段により水平状態で搬送する間に、インクジェット手段をこの基板の搬送方向と直交する方向に往復移動させながら、前記基板表面にスペーサインクを供給するようになし、前記インクジェット手段と連動して動作し、このインクジェット手段により前記基板に供給された直後に、スペーサインクの液滴が基板表面に適正に散布されているか否かを検出し、前記基板への液滴の散布が不適正であるが、前記インクジェット手段の作動により修復が可能であるときには、前記インクジェット手段を作動させて、液滴の散布修正を行うことをその特徴としている。
【0012】
システムの稼動停止という事態を最小限に抑制するには、インクジェット手段におけるノズルに詰まりが生じた場合、そのことを迅速に検出することが最も重要である。液滴監視手段は、インクジェット手段からスペーサインクを噴射させた直後に基板上の液滴を検出するようにしている。基板には、それが基板搬送手段により搬送される間に、インクジェット手段を構成する各ノズルから間欠的に噴射されたスペーサインクが基板の表面に液滴として付着する。従って、液滴監視手段はインクジェット手段の下流側に配置され、かつインクジェット手段と同期して移動するように構成している。これによって、基板における液滴形成直後に検出を行うことができる。
【0013】
液滴監視手段による液滴の検出は、透過型または反射型のセンサを用いて行うことができ、また液滴の抜けの有無だけでなく、そのサイズも検出するには、カメラを用いるのが望ましい。そして、液滴をより正確に検出するには、フラッシュを用いて、このフラッシュをシャッタと連動させて作動させ、フラッシュによる閃光の照射下で基板を撮影することによって、液滴をより鮮明に撮影できる。
【0014】
基板上において、液滴の抜けがあったときには、そのままで一度基板の全面にスペーサインクの散布を完了させ、基板搬送手段を作動させて、基板を散布前の位置に戻す。この状態でインクジェット手段を構成するインクジェットヘッドの詰まりがない他のノズルを使用して、液滴が抜けた部位に対する修正を行う。この修正が完了した後にノズルの詰まりを解除する。この詰まり解除は、高圧でノズルからスペーサインクを噴出させて、捨て打ちすることにより行うことができる。この捨て打ちを可能にするために、スペーサインクを受ける容器を設けておくのが望ましい。
【0015】
基板における液滴修正及びノズルの詰まり解除が行われると、そのまま作業を継続することができ、システムを停止させる必要はない。ただし、他のノズルを使用して行う液滴の修正が不可能である場合、その基板をシステム外に排除する。また、ノズルの詰まりが解除できない場合には、システムを停止させて、ノズルの清掃を行うことになる。
【発明の効果】
【0016】
これによって、ノズル詰まりが発生しても、システムが停止するのを最小限に抑制でき、スペーサインクの基板への散布作業を効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まず、図1において、1は基板であり、この基板1はガラス等からなる透明基板であって、具体的には例えばTFT基板である。この基板1にはマトリックス状に薄膜トランジスタからなるスイッチング素子が形成されており、カラーフィルタが位置合わせされた状態で接合される。同図において、2はRGBの各色の画素を構成する画素領域であり、各画素領域2間はブラックマトリックス領域3により区画形成されている。このブラックマトリックス領域3にスペーサ4が均一に散布されて、このスペーサ4によってTFT基板とカラーフィルタとを接合させたときに、セルギャップと呼ばれる隙間が形成される。このように、スペーサ4により形成される両基板間の隙間に液晶を封入することによって、液晶パネルが形成されることになる。
【0018】
図2に基板1へのスペーサ散布及び定着を行うためのシステムの全体構成を示す。図中において、10はワーク搬入部、11はワーク搬出部である。ワーク搬入部10から処理対象となる基板1は搬入される。そして、このようにして搬入された基板1は、必要に応じて、表面改質等の処理を行う前処理ステージ12を経て、液滴散布ステージ13に搬送されるようになっている。この液滴散布ステージ13において、基板1の表面にスペーサインクが散布される。
【0019】
基板1の表面にスペーサインクが散布された後には、基板1は第1の熱処理ステージ14に移行して、スペーサインクからインク成分を揮発させるようになし、もってスペーサ4のみを基板上に残留させる。次いで、第2の熱処理ステージ15において、基板1をベーキングすることによって、スペーサを基板表面に定着させる。
【0020】
ここで、基板1を2段階で熱処理するのは、まず第1段階で、インクジェット手段23から適下したスペーサインクを乾燥させて、インク成分を除去し、スペーサ4を基板1上に残留させる際に、基板1を高い温度にまで急速に加熱させると、スペーサインク中の個々のスペーサがばらばらの位置のまま乾燥してしまう。スペーサは微小粒子からなるものであり、複数個のスペーサがある程度纏まっていた方が望ましい。このために、基板1を低温で加熱し、緩慢に乾燥させることにより、複数のスペーサ粒が液の中心方向に引き寄せられて集中させる。そして、第2段階目で、基板1を高温で加熱することによりベーキングを行い、インクが乾燥したスペーサ4を基板1に固着させる。
【0021】
基板1は図3に示すように搬送テーブル20に載置されて、この搬送テーブル20に真空吸着等の手段で固定的に保持されている。そして、搬送テーブル20はボールねじ送り手段21によりX軸ガイド22に沿って図中のX方向に搬送される。この搬送テーブル20のX方向の搬送経路において、表面改質ステージ12の下流側に配置した液滴塗布ステージ13は、図3に示した構成となっている。基板1が液滴散布ステージ13に搬入されると、この基板1の表面に対してスペーサインクが散布される。
【0022】
このために、液滴散布ステージ13にはインクジェット手段23が配設されており、このインクジェット手段23は、搬送テーブル20を跨ぐように門型をしたY軸ガイド24に装着されており、このY軸ガイド24にはインクジェット手段23を設置した移動台25が装着されており、この移動台25は搬送テーブル20の搬送方向と直交するY方向に移動可能となっている。そして、インクジェット手段23は、インクジェットヘッド26とインクボトル27とを備え、これらインクジェットヘッド26及びインクボトル27は移動台25によってY軸ガイド24に沿ってY方向に移動することになる。
【0023】
また、移動台25には、搬送テーブル20の送り方向において、インクジェット手段23の装着位置の直近位置であって、このインクジェット手段23より下流側の位置に液滴検出手段28が設けられている。この液滴検出手段28はカメラとフラッシュとを備えた撮像手段であり、カメラはスペーサインクの液滴が形成される領域の一部を視野範囲としている。そして、液滴検出手段28は移動台25の移動によりインクジェット手段23と共にY方向に走査するようになっており、この間に基板1にスペーサインクが適正に散布されたか否かを判定するための画像が取得される。
【0024】
インクジェット手段23を構成するインクジェットヘッド26は、図4に示したように、多数の微小ノズル30を所定のピッチ間隔で配列したものから構成され、各微小ノズル30から一定量のスペーサインクを間欠的に噴射できるようにしたものである。スペーサインクの噴射は各々の微小ノズル30につき、個別的に制御されて、それぞれスペーサインクを噴射させるようにしている。そして、図5に示したように、インクジェットヘッド26には、微小ノズル30に連通するチャンバピース31を備え、このチャンバピース31はインクボトル27からのインク供給路に接続されている。
【0025】
チャンバピース31には圧電素子からなるアクチュエータ32が装着されており、このアクチュエータ32に電圧を印加すると、図5に一点鎖線で示したように、アクチュエータ32が変形して、チャンバピース31が拡張することになる。その結果、インクボトル27側からスペーサインクがチャンバピース31内に吸い込まれる。次いで、アクチュエータ32への電圧の印加を遮断すると、元の状態に復元することになり、チャンバピース31の容積が減少し、その分のスペーサインクが微小ノズル30から噴射される。
【0026】
従って、搬送テーブル20により基板1をX方向に間欠的に送る間に、各微小ノズル30からスペーサインクを噴射させることによって、基板1にはスペーサインクの液滴が滴下されることになる。また、インクジェットヘッド26が基板1の幅方向の一部分にしか及んでおらず、このためにインクジェットヘッド26はY方向に走査することになる。そして、微小ノズル30によるスペーサインクの噴射制御を含め、このインクジェットヘッド26の動作制御を行うために、インクジェット制御装置29が設けられている。
【0027】
カメラとフラッシュとを備えた撮像手段から構成される液滴検出手段28には制御装置33が接続されており、この制御装置33によりカメラ及びフラッシュの作動が制御されることになる。即ち、搬送テーブル20により基板1が所定量搬送され、かつ移動台25がこれと直交する方向に所定量移動したときに、フラッシュが作動すると共に、それと連動してカメラにより基板1の表面の一部が撮影される。このカメラにより取得した画像が制御装置33に取り込まれて、画像認識により所定の位置に液滴が存在するか否かの判定が行われる。
【0028】
基板1の全体において、液滴が適正な位置に、正常な大きさで形成されていると判定された場合には、インクジェットヘッド26が正確に作動していることであり、そのまま作動を継続して、順次基板1に対するスペーサインクの散布が継続される。インクジェットヘッド26を構成するいずれかの微小ノズル30に詰まりが生じたときには、基板1において、それに対応する列には液滴が存在しなくなって液滴の抜けが発生するか、若しくは他の液滴より小さくなる。この場合には、液滴監視手段28により液滴の抜け(若しくは不均一)が検出されるので、制御装置33からの出力信号に基づいて、インクジェット制御装置29による基板1の液滴修正と、ノズル30の詰まり解除との動作が行われる。なお、液滴の修正は抜けが発生した場合であり、液滴の大きさの不均一については修正ができない。
【0029】
基板1の液滴抜けの修正は、液滴の抜けが検出される都度修正するのではなく、一度基板1の全面にスペーサインクを散布し終えた後に液滴を追加して修正する。即ち、制御装置33において、画像認識に基づいて検出された液滴の抜け箇所の座標位置を記憶しておき、基板1の散布終了後に、搬送テーブル20と、移動台25とを駆動して、基板1における液滴の抜け個所にインクジェットヘッド26を対面させて、抜け個所に向けてスペーサインクの噴射を行う。ここで、インクジェットヘッド26は多数の微小ノズル30を備えているが、液滴の追加を行うためのノズル30を予め特定しておく。例えば、インクジェットヘッド26における両端いずれかのノズルを液滴追加用として特定することができる。そして、このように特定されたノズルに詰まりが生じていると、次の位置のノズルを液滴追加用とする。
【0030】
インクジェットヘッド26にノズル30が1列しか設けられていない場合には、同一の列において、連続的に抜けが生じる。一方、ノズル30が複数列設けられている場合には、間欠的に抜けが存在することになる。いずれにしろ、全ての抜け個所に液滴を補充するようにインクジェットヘッド26を操作する。補充された液滴は、既に適用されている他の液滴との間に時間差が生じていることから、インクの乾燥度合いが異なってくる。しかしながら、液滴の補充は、基板1への散布終了後に、直ちに行われることから、さほど時間差が生じておらず、液滴の補充後に第1の加熱ステージ14で基板1が加熱されて、乾燥を促進することから、実質的に乾燥時間に差が生じることがなく、後続の工程、即ち第2の加熱ステージ15におけるベーキング工程等に影響を与えることはない。
【0031】
液滴に抜けが生じているということは、インクジェットヘッド26を構成するいずれかのノズル30に詰まりが生じていることである。このノズル30の詰まりは液滴の抜け個所から特定することができる。そこで、基板1に対する散布終了後に、この詰まりが発生したノズル30に対して詰まり解除を行う。ノズル30の詰まりの主な原因はスペーサインクに含まれる微小粒子であることから、チャンバピース31に高い圧力を作用させると、ノズル30を構成する細い通路内でジャミング状態となっている微小粒子が排出されて、ノズル30の通りが良くなる。このためには、圧電素子からなるアクチュエータ32に高い電圧を作用させて、大きく変形させた後に迅速に復元させる動作を行わせる。このときに、ノズル30から噴出するスペーサインクは捨て打ちになる。この捨て打ちされたスペーサインクを受けるために、インクジェットヘッド26の可動範囲であって、搬送テーブル20と干渉しない位置に捨て打ちされるスペーサインクを受ける容器34を設けておく。
【0032】
以上のように操作することによって、ノズル30における詰まりの大半は解除することになる。しかしながら、この詰まり解除を行ってもなおノズル30の詰まりが解消しない場合もある。この場合には、システムを停止させて、ノズル30の修復を行う。勿論、この場合においても、散布中の基板1に対しては、他のノズル30で液滴の抜けを補充することができるので、散布中において、システムの停止を行わなければならないという事態が発生することはない。また、システムの停止はノズル30に解除できない詰まりが生じた後、直ちに行わなければならないものではなく、抜け修復によりスペーサインクの散布をある程度継続して、タイミングを見計らってシステムを停止させるという選択も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】スペーサが散布される基板の構成説明図である。
【図2】基板へのスペーサの散布・固定を行う機構の全体構成を示す説明図である。
【図3】液滴散布ステージの構成を示す外観図である。
【図4】インクジェットヘッドの先端部を示す構成説明図である。
【図5】インクジェットヘッドを構成する微小ノズルからのスペーサインクを噴射する動作の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 基板 2 画素領域
3 ブラックマトリックス領域 4 スペーサ
10 ワーク搬入部 11 ワーク搬出部
12 表面改質ステージ 13 液滴散布ステージ
14 第1の熱処理ステージ 15 第2の熱処理ステージ
20 搬送テーブル 23 インクジェット手段
26 インクジェットヘッド 27 インクボトル
28 液滴検出手段 29 インクジェット制御装置
30 微小ノズル 31 チャンバピース
32 アクチュエータ 33 制御装置
34 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の透明基板間に微小粒子からなるスペーサを介在させることによって所定の隙間をもって接合させたパネルを形成するために、微小粒子からなるスペーサをインクに含有させたスペーサインクを前記2枚の透明基板のうち、一方の基板の表面に散布する装置であって、
前記基板を水平状態にして搬送する基板搬送手段と、
前記基板搬送手段による前記基板の搬送方向と直交する方向に往復移動するように装着され、この基板の表面に前記スペーサインクの液滴を供給する所定数のノズルを備えたインクジェット手段と、
前記インクジェット手段の下流側に配置され、このインクジェット手段と連動して移動し、スペーサインクが前記基板表面に供給された直後の液滴を検出する液滴監視手段と、
前記液滴監視手段からの信号に基づいて、前記基板への液滴の散布が適正であるか否かを検出して、不適正な場合には、前記インクジェット手段の作動により修復が可能であるか否かを判定して、修復が可能な場合には、修復手順に応じて前記インクジェット手段を作動させるインクジェット制御手段と
を備える構成としたことを特徴とするスペーサインク散布装置。
【請求項2】
前記液滴監視手段は前記基板表面を撮影するカメラとストロボから構成したことを特徴とする請求項1記載のスペーサインク散布装置。
【請求項3】
2枚の透明基板間に微小粒子からなるスペーサを介在させることによって所定の隙間をもって接合させたパネルを形成するために、微小粒子からなるスペーサをインクに含有させたスペーサインクを前記透明基板のうち、一方の基板の表面に散布する方法であって、
前記基板を基板搬送手段により水平状態で搬送する間に、インクジェット手段をこの基板の搬送方向と直交する方向に往復移動させながら、前記基板表面にスペーサインクを供給するようになし、
前記インクジェット手段と連動して動作し、このインクジェット手段により前記基板に供給された直後に、スペーサインクの液滴が基板表面に適正に散布されているか否かを検出し、
前記基板への液滴の散布が不適正であるが、前記インクジェット手段の作動により修復が可能であるときには、前記インクジェット手段を作動させて、液滴の散布修正を行う
ことを特徴とするスペーサインク散布方法。
【請求項4】
前記基板への液滴の散布不適正が、前記インクジェット手段を構成する前記ノズルの詰まりに起因する液滴の抜けであるときに、その修復は前記インクジェット手段を構成する他のノズルを用いて行うことを特徴とする請求項3記載のスペーサインク散布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−25334(P2007−25334A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208463(P2005−208463)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】