説明

スロットル装置

【課題】電動モータを固定するための部品を削減することができるスロットル装置を提供する。
【解決手段】本発明の一態様は、スロットル装置1において、ギヤカバー3は電動モータ8が配置される側の面100にて電動モータ8の電源ターミナル112に接合する接合端子104と電動モータ8が配置される側に突出する突起部106とを備え、ギヤカバー3の突起部106と電動モータ8の出力側の第1端面128とを接触させることにより電動モータ8をモータハウジング14に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気通路に設けられ、吸気量を調節するために使用されるスロットル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載されるスロットル装置が知られている。特許文献1のスロットル装置は、電動モータに備わるフロントフレーム(フランジ)をケース本体の底壁面に固定用ボルトや締結ネジ等のスクリューを用いて締め付け固定して、電動モータをスロットルボディに固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−144039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のスロットル装置では、電動モータをスロットルボディに固定するための部品としてスクリューが必要であり、部品点数が増加してしまう。そして、フロントフレームをスロットルボディの底壁面にスクリューを用いて締め付け固定する作業が必要となり、作業工数が増加してしまう。また、スロットル装置内において電動モータを固定するために十分な作業スペースを確保することが必要になるので、電動モータの取り付け位置が限定されてしまう。なお、電動モータをスロットルボディにブラケットを介してスクリューで締め付け固定することも考えられるが、同様な課題が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、電動モータを固定するための部品を削減することができるスロットル装置を提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、スロットルバルブが固定されたスロットルシャフトと、前記スロットルシャフトを回転させるための電動モータと、前記電動モータを収容するハウジングと、前記ハウジングに収容される前記電動モータの出力側を覆うようにして前記ハウジングに固定されるカバーとを有するスロットル装置において、前記カバーは前記電動モータが配置される側の面にて前記電動モータの出力側に備わるモータ端子に接合する接合端子と前記電動モータが配置される側に突出する突起部とを備え、前記突起部と前記電動モータの出力側の端面とを接触させることにより前記電動モータを前記ハウジングに固定すること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、カバーの突起部と電動モータの出力側の端面とを接触させて電動モータを固定している。これにより、特許文献1に開示されたような電動モータを固定するための部品(スクリューやブラケットなど)が不要になる。そのため、電動モータを固定するための部品を削減することができる。
【0008】
上記の態様においては、前記電動モータの出力側とは反対側の端面と前記ハウジングとの間に前記電動モータの軸方向に付勢する弾性部材を配置すること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、弾性部材の弾性力により電動モータの出力側の端面がカバーの突起部に押し付けられるので、確実に電動モータを固定できる。また、外部からの振動が弾性部材に吸収されるので、外部からの振動が電動モータに伝達することを抑制できる。
【0010】
上記の態様においては、前記突起部は、前記接合端子の近傍に形成されていること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、突起部により接合端子の保護を図ることができる。
【0012】
上記の態様においては、前記電動モータの質量は100g以下であること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、電動モータの軽量化を図ることにより、電動モータの振動などによりカバーに掛かる荷重を低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るスロットル装置によれば、電動モータを固定するための部品を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係り、スロットル装置を示す正面図。
【図2】同実施形態に係り、スロットル装置を示す図1の底面図。
【図3】同実施形態に係り、スロットル装置を示す図1の右側面図。
【図4】同実施形態に係り、スロットル装置を示す図2のA−A線断面図。
【図5】同実施形態に係り、スロットル装置につき図4の一部を拡大して示す断面図。
【図6】同実施形態に係り、スロットル装置からギヤカバーを取り外した状態を示す図1の右側面図。
【図7】同実施形態に係り、スロットル装置からギヤカバーを取り外した状態を示す図1のB−B線断面図。
【図8】同実施形態に係り、ギヤカバーにおいて、電動モータが配置される側の面を示す図。
【図9】同実施形態に係り、図8のC−C線断面図。
【図10】同実施形態に係り、電動モータの側面図。
【図11】同実施形態に係り、電動モータの上面図。
【図12】同実施形態に係り、図1のD−D線断面図。
【図13】同実施形態に係り、リブを備える電動モータの側面図。
【図14】同実施形態に係り、リブを備える電動モータの上面図。
【図15】同実施形態に係り、リブを備える電動モータとモータハウジングの一部(断面)を示す図。
【図16】同実施形態に係り、凸部を備える電動モータの側面図。
【図17】同実施形態に係り、嵌合部を備える電動モータの側面図。
【図18】同実施形態に係り、嵌合部を備える電動モータの上面図。
【図19】同実施形態に係り、嵌合部を備える電動モータに対応したモータハウジングの上面図。
【図20】同実施形態に係り、図19のE−E線断面図。
【図21】第2実施形態に係り、図9に対応する図。
【図22】同実施形態に係り、接合端子と板ばねの正面図。
【図23】同実施形態に係り、接合端子と板ばねの側面図。
【図24】同実施形態に係り、図12に対応する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明のスロットル装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。この実施形態のスロットル装置は、自動車用エンジンの吸気通路に設けられて、エンジンの吸気量を調節するために使用される。
【0017】
図1に、この実施形態のスロットル装置1を正面図により示す。図2に、同じくスロットル装置1を図1の底面図により示す。図3に、同じくスロットル装置1を図1の右側面図により示す。図1、図2に示すように、スロットル装置1は、金属製のスロットルボディ2と、樹脂製のギヤカバー3とを備える。
【0018】
スロットルボディ2は、エンジンの吸気通路に連通するボア11を有する円筒状のスロットルパイプ12と、内部にギヤ機構9(図4参照)等を収容するギヤハウジング13と、内部に電動モータ8(図4参照)を収容するモータハウジング14とを含む。ギヤハウジング13は、図1において上下方向に伸びる。モータハウジング14は、その中心軸線L1が、ギヤハウジング13に対して垂直に交わるように配置される。スロットルパイプ12は、ギヤハウジング13からもモータハウジング14からも離間して配置される。スロットルパイプ12の一端部(空気の流れの下流側端部)には、フランジ15が形成される。このフランジ15には、合計3つのボルト挿通孔15aが形成される。図1に示すように、スロットルパイプ12には、ボア11を径方向に横切るようにスロットルシャフト4が設けられる。スロットルボディ2には、このスロットルシャフト4の両端部を収容する一対の第1ボス部16A及び第2ボス部16Bが形成される。ボア11の中には、スロットルシャフト4に固定されたスロットルバルブ5が配置される。
【0019】
ここで、図1に示すように、モータハウジング14は、スロットルパイプ12に対して隙間を隔てて配置される。また、モータハウジング14の中心軸線L1とスロットルシャフト4とが平行をなすように配置される。図2において、スロットルパイプ12は、図面上側が空気の流れに対する上流側端12aであり、図面下側が空気の流れに対する下流側端12bである。図2において、スロットルパイプ12の上流側端12aは、ギヤハウジング13の前後方向(幅方向)の前端縁13aとほぼ同じ位置に配置される。図2において、スロットルパイプ12の下流側端12bは、ギヤハウジング13の前後方向(幅方向)の後端縁13bよりも前端縁13a寄り位置に配置される。図2に示すように、モータハウジング14の外周面の一部(後側部)14aは、スロットルパイプ12の下流側端12bよりも更に下流側に配置される。
【0020】
図1〜図3に示すように、ギヤカバー3は、ギヤハウジング13の開口部を閉鎖するように、ネジ6とナット7によりギヤハウジング13に締め付けられて固定される。ギヤカバー3は、外部配線用のコネクタ3aを含む。
【0021】
図4に、スロットル装置1を図2のA−A線断面図により示す。図5に、スロットル装置1につき、図4の一部を拡大して断面図により示す。図6に、スロットル装置1からギヤカバー3を取り外した状態を図1の右側面図により示す。図7に、スロットル装置1からギヤカバー3を取り外した状態を図1のB−B線断面図により示す。
【0022】
図4において、スロットルパイプ12の左右両側部に形成された一対のボス部16A,16Bには、ボア11を横切るスロットルシャフト4が、それぞれ一対をなす第1軸受21A及び第2軸受21Bを介して回転可能に支持される。スロットルシャフト4に固定されたスロットルバルブ5は、ボア11の形状に合わせて円板状をなし、スロットルシャフト4と一体的に回動する。これにより、ボア11を開閉してボア11を流れる吸気量を調節するようになっている。
【0023】
図4、図7に示すように、スロットルシャフト4は、第1端部4aと第2端部4bを含む。スロットルシャフト4の第1端部4a(図4、図7の左端部)は、第1ボス部16Aにて第1軸受21Aを介して回転可能に支持される。第1ボス部16Aには、その開口部を閉鎖するプラグ22が取り付けられる。スロットルシャフト4の第2端部4b(図4、図7の右端部)の近傍は、第2ボス部16Bにて第2軸受21Bを介して回転可能に支持される。第2軸受21Bに隣接して、第2ボス部16Bの端部には、スロットルシャフト4との間で気密性を保つためのシール材23が設けられる。第2端部4bは、ギヤハウジング13の中へ突出する。第2端部4bには、扇形ギヤを有するスロットルギヤ31が固定される。
【0024】
図4に示すように、モータハウジング14の一端は、ギヤハウジング13に開口する。モータハウジング14には、例えば、DC電動モータ等の電動モータ8が収容される。電動モータ8の出力軸8aには、駆動ギヤ32が取り付けられる。
【0025】
図4に示すように、スロットルシャフト4と電動モータ8との間には、スロットルボディ2とギヤカバー3との間にてカウンタシャフト24が設けられる。カウンタシャフト24には、カウンタギヤ33が回転可能に支持される。カウンタギヤ33は、駆動ギヤ32に噛み合う大径ギヤ部33aと、スロットルギヤ31に噛み合う小径ギヤ部33bとを有する。この実施形態では、これらスロットルギヤ31、駆動ギヤ32及びカウンタギヤ33により、減速ギヤ機構として機能する本発明のギヤ機構9が構成される。
【0026】
以上のような構成のスロットル装置1において、電動モータ8及びその関連構成について詳しく説明する。ここで、図8は、電動モータ8の関連構成の一つであるギヤカバー3において、電動モータ8が配置される側の面を示す図である。また、図9は、図8のC−C線断面図である。また、図10は電動モータ8の側面図であり、図11は電動モータ8の上面図である。さらに、図12は、図1のD−D線断面図である。
【0027】
そこで、まず、電動モータ8の構造について説明する。電動モータ8は、出力軸8aの動力によりギヤ機構9を介してスロットルシャフト4を回転させる。図11と図12に示すように、電動モータ8は、その外形が円筒状に形成され、前記した出力軸8aと駆動ギヤ32の他に、出力側の第1端面128に2つの電源ターミナル112を備えている。電源ターミナル112は、前記のコネクタ3aを介して外部電源に接続するモータ端子である。また、電動モータ8は、質量が100g以下の軽量のモータであることが望ましい。ここでは、一例として、電動モータ8として、質量が90g、無負荷回転数が7800rpm、拘束トルクが60mN・m、拘束電流が4Aなどの特性を有するモータを使用する。
【0028】
次に、電動モータ8の関連構成の一つであるギヤカバー3の構造について説明する。図8と図9に示すように、ギヤカバー3は、電動モータ8が配置される側の面100において、ネジ孔102、接合端子104、突起部106、センサ取付部108、シャフト挿入部110などを備えている。
【0029】
ネジ孔102は、ネジ6を挿入して、前記の図1に示すように、ネジ6とナット7によりギヤカバー3をギヤハウジング13に締め付けて固定するための孔である。本実施形態では、ネジ孔102は、一例として6つ形成されているが、その数は特に限定されない。
【0030】
また、接合端子104は、ギヤカバー3内に埋設された通電端子(不図示)に接続され、前記のコネクタ3aに接続している。この接合端子104は、電動モータ8の電源ターミナル112(図10参照)に接合する端子である。接合端子104は、2つ形成さ
れている。
【0031】
また、突起部106は、接合端子104の近傍にて、当該接合端子104の周囲を囲むようにして接合端子104に隣接するように形成されている。そして、この突起部106は、電動モータ8が配置される側に突出しており、その先端面114は接合端子104よりも電動モータ8が配置される側に突出した位置に形成されている。なお、この突起部106は、本実施形態では一例として四角筒状に形成されているが、これに限定されず、円筒状など他の筒形状に形成されていてもよい。あるいは、突起部106は、接合端子104の周囲の一部のみ形成されていてもよい。
【0032】
その他、センサ取付部108は、ボア11に対するスロットルバルブ5の開度を検出するためのスロットルセンサ10(MRE素子)を取り付ける部分であり、シャフト挿入部110はカウンタシャフト24の先端部が挿入される部分である。
【0033】
次に、電動モータ8の関連構成の一つであるモータハウジング14の構造について説明する。モータハウジング14は、図12に示すように、穴部116を備えている。そして、穴部116の内部に電動モータ8が収容されている。穴部116は、その内周面118が円筒状に形成されている。この穴部116は、電動モータ8の出力軸8aの軸方向について、電動モータ8の出力側から順に第1底面部120、第2底面部122、第3底面部124からなる底面部125を備えている。そして、電動モータ8の径方向について、第1底面部120の内側に第2底面部122が形成され、第2底面部122の内側に第3底面部124が形成されている。本実施形態では、第2底面部122と電動モータ8の第2端面130との間に、弾性部材であるウェーブワッシャ126を配置する。なお、電動モータ8の第2端面130は、電動モータ8の出力側の第1端面128とは出力軸8aの軸方向について反対側の端面である。
【0034】
次に、電動モータ8をモータハウジング14(スロットルボディ2)に固定する方法について説明する。本実施形態では、前記の図1に示すように、ギヤカバー3をネジ6とナット7によりギヤハウジング13に締め付けて固定する。これにより、ギヤカバー3は、モータハウジング14に収容される電動モータ8を覆うようにして、ギヤハウジング13を介してモータハウジング14に固定される。すると、図12に示すように、ギヤカバー3の2つの突起部106が電動モータ8の出力側の第1端面128に接触して、当該第1端面128を押さえ付ける。
【0035】
このように、突起部106と電動モータ8の第1端面128とを接触させることにより、電動モータ8をモータハウジング14に固定する。すなわち、電動モータ8の出力軸8aの軸方向からギヤカバー3により直接的に電動モータ8を押さえ付けることにより、電動モータ8をモータハウジング14に固定する構造としている。そのため、ギヤカバー3をギヤハウジング13に締め付けて固定するだけで、電動モータ8の出力軸8aの軸方向の位置決めを容易に行うことができる。したがって、電動モータ8をモータハウジング14に固定することを目的とする作業工程を削減できる。特に、ギヤカバー3の突起部106の突起量の精度(先端面114の位置精度)は製品上管理し易いので、電動モータ8の軸方向の位置決めを確実に行うことができる。
【0036】
ここで、図12に示すように、突起部106の先端面114について、その全面積のうちの半分以上の面積を占める部分を電動モータ8の第1端面128に接触させる。これにより、突起部106から電動モータ8の第1端面128に十分な押圧力を加えることができる。そのため、電動モータ8をモータハウジング14に確実に固定することができる。
【0037】
また、前記のように、第2底面部122と電動モータ8の第2端面130との間に、弾性部材であるウェーブワッシャ126を配置する。これにより、ウェーブワッシャ126の付勢力によりギヤカバー3の突起部106と電動モータ8の出力側の第1端面128との間に押圧力が加わって、確実に電動モータ8をモータハウジング14に固定できる。
【0038】
ここで、前記のようにギヤカバー3の突起部106と電動モータ8の出力側の第1端面128とを接触させて電動モータ8をモータハウジング14に固定するに際し、駆動ギヤ32とカウンタギヤ33との間にて所望のピッチ(ギヤ間の距離)を確実に確保する必要がある。そこで、駆動ギヤ32とカウンタギヤ33との間にて所望のピッチを確実に確保するために、前記のようにモータハウジング14に収容される電動モータ8の径方向の位置決めを行う方法について説明する。ここで、図13はリブ132を備える電動モータ8の側面図であり、図14はリブ132を備える電動モータ8の上面図である。また、図15は、リブ132を備える電動モータ8とモータハウジング14の一部(断面)を示す図である。さらに、図16は、凸部134を備える電動モータ8の側面図である。
【0039】
そこで、電動モータ8の径方向の位置決めを行う方法としては、電動モータ8の外周面136の全周をモータハウジング14の内周面118に接触させてもよいが、以下の方法が考えられる。例えば、電動モータ8の径方向の位置決め機構として、電動モータ8の外周面136に数箇所(例えば、3箇所)の位置に、リブ132(図13参照)や凸部134(図16参照)を形成する。一方、図15に示すように、モータハウジング14には、リブ132や凸部134が接触する入口部138を形成する。この入口部138は、その内径の寸法精度を向上させるため、穴部116における電動モータ8の出力側の入口部分を加工して形成する。
【0040】
そして、リブ132や凸部134を備える電動モータ8をモータハウジング14の穴部116に収容することにより、リブ132や凸部134が穴部116の入口部138に圧入された状態で接触するので、電動モータ8の径方向の位置決めを行うことができる。そしてこれにより、駆動ギヤ32とカウンタギヤ33との間にて所望のピッチを確実に確保することができる。
【0041】
また、電動モータ8の径方向の位置決めを行うその他の方法として、以下のような方法が考えられる。ここで、図17は嵌合部140を備える電動モータ8の側面図であり、図18は嵌合部140を備える電動モータ8の上面図である。また、図19と図20は嵌合部140を備える電動モータ8に対応したモータハウジング14に関する図であり、図19はモータハウジング14の上面図であり、図20は図19のE−E線断面図である。
【0042】
そこで、その他の電動モータ8の径方向の位置決め機構として、として、例えば、図17と図18に示すように、電動モータ8の外周面136の軸方向の端部(第1端面128)の径方向の両側に凹部141を備える一対の嵌合部140を形成し、モータハウジング14に一対のピン142を形成する。そして、電動モータ8の嵌合部140の凹部141とモータハウジング14のピン142とを嵌合させながら、電動モータ8をモータハウジング14の穴部116に収容する。これにより、電動モータ8の径方向の位置決めを行うことができる。そしてこれにより、駆動ギヤ32とカウンタギヤ33との間にて所望のピッチを確実に確保することができる。
【0043】
以上説明したようにこの実施形態のスロットル装置1によれば、ギヤカバー3は電動モータ8が配置される側の面100に突起部106を備える。そして、この突起部106と電動モータ8の出力側の第1端面128とを接触させることにより、電動モータ8をモータハウジング14に固定する。これにより、電動モータ8を固定するための専用のスクリューやブラケットなどの部品が不要になる。そのため、電動モータ8を固定するための部品を削減することができる。また、電動モータ8を固定するための専用のスクリューなどの部品の取り付けを行うことを目的とする作業を廃止できるので、作業工程を削減することができる。したがって、製造コストを低減できる。さらに、ギヤカバー3をギヤハウジング13に締め付けて固定するだけでよいので、電動モータ8をモータハウジング14に固定する方法の簡素化を図れ、スロットル装置1内において電動モータ8を固定するための作業スペースを確保しておく必要がなくなる。そのため、スロットル装置1内における電動モータ8の取り付け位置の自由度が向上する。
【0044】
また、電動モータ8の第2端面130とモータハウジング14の穴部116の第2底面部122との間に、電動モータ8の軸方向に付勢するウェーブワッシャ126を配置する。これにより、ウェーブワッシャ126の付勢力によりギヤカバー3の突起部106と電動モータ8の出力側の第1端面128との間に押圧力が加わって、確実に電動モータ8をモータハウジング14に固定できる。また、エンジン(不図示)などの外部の機構からの振動はウェーブワッシャ126に吸収されるので、外部の機構からの振動が電動モータ8に伝達することを抑制できる。
【0045】
また、ギヤカバー3において、突起部106は接合端子104の近傍に形成されている。これにより、接合端子104の保護を図ることができる。
【0046】
また、電動モータ8の質量を100g以下として軽量化することにより、電動モータ8の振動などによりギヤカバー3に掛かる荷重を低減することができる。そして、軽量化した電動モータ8であれば、ギヤカバー3の突起部106と電動モータ8の出力側の第1端面128とを接触させることにより、電動モータ8をモータハウジング14に確実に固定することができる。
【0047】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明では、第1実施形態と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に述べる。ここで、図21は、第2実施形態において前記の図9に対応する図である。また、図22と図23は第2実施形態の接合端子104と板ばね144の図であり、図22は接合端子104と板ばね144の正面図であり、図23は接合端子104と板ばね144の側面図である。さらに、図24は、第2実施形態において前記の図12に対応する図である。
【0048】
第2実施形態では、図22と図23に示すように、板ばね144を備えている。なお、接合端子104と板ばね144は一体化して形成されていてもよく、それぞれ別に形成されていてもよい。そして、図21に示すように、板ばね144を当該板ばね144が接合端子104とギヤカバー3とに挟まれるようにして配置する。そして、前記の図1に示すようにギヤカバー3をギヤハウジング13に固定すると、図24に示すように、板ばね144の付勢力により、ギヤカバー3の接合端子104が電動モータ8の電源ターミナル112を押さえ付ける。このようにして、電動モータ8をモータハウジング14に固定している。このような第2実施形態によっても、前記の第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0049】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0050】
1 スロットル装置
2 スロットルボディ
3 ギヤカバー
4 スロットルシャフト
5 スロットルバルブ
6 ネジ
7 ナット
8 電動モータ
9 ギヤ機構
13 ギヤハウジング
14 モータハウジング
24 カウンタシャフト
31 スロットルギヤ
32 駆動ギヤ
33 カウンタギヤ
102 ネジ孔
104 接合端子
106 突起部
112 電源ターミナル
114 (突起部の)先端面
116 穴部
120 第1底面部
122 第2底面部
124 第3底面部
125 底面部
126 ウェーブワッシャ
128 第1端面
130 第2端面
132 リブ
134 凸部
136 (モータの)外周面
138 入口部
140 嵌合部
141 凹部
142 ピン
144 板ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スロットルバルブが固定されたスロットルシャフトと、前記スロットルシャフトを回転させるための電動モータと、前記電動モータを収容するハウジングと、前記ハウジングに収容される前記電動モータの出力側を覆うようにして前記ハウジングに固定されるカバーとを有するスロットル装置において、
前記カバーは前記電動モータが配置される側の面にて前記電動モータの出力側に備わるモータ端子に接合する接合端子と前記電動モータが配置される側に突出する突起部とを備え、
前記突起部と前記電動モータの出力側の端面とを接触させることにより前記電動モータを前記ハウジングに固定すること、
を特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
請求項1のスロットル装置において、
前記電動モータの出力側とは反対側の端面と前記ハウジングとの間に前記電動モータの軸方向に付勢する弾性部材を配置すること、
を特徴とするスロットル装置。
【請求項3】
請求項1または2のスロットル装置において、
前記突起部は、前記接合端子の近傍に形成されていること、
を特徴とするスロットル装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つのスロットル装置において、
前記電動モータの質量は100g以下であること、
を特徴とするスロットル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−104391(P2013−104391A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250075(P2011−250075)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】