説明

ズームレンズ及び撮像装置

【課題】変倍比20倍以上の高変倍を達成しつつ、コンパクト化もなされ、さらに諸収差が良好に補正されたズームレンズ及びそれを用いた撮像装置を提供する。
【解決手段】物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群Gr1と、負の屈折力を有する第2レンズ群Gr2と、正の屈折力を有する第3レンズ群Gr3と、負の屈折力を有する第4レンズ群Gr4と、正の屈折力を有する第5レンズ群Gr5から構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズであって、変倍時に、前記第1レンズ群Gr1から前記第4レンズ群Gr4までの各々のレンズ群が移動するようになっており、前記第5レンズ群Gr5は変倍時、合焦時ともに移動しないレンズ群であり、以下の条件式を満足する。6.5<|f1/f2|<15.0(1)ただし、f1:第1レンズ群の焦点距離f2:第2レンズ群の焦点距離

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のレンズ群からなり、レンズ群の光軸方向の間隔を変えることで変倍を行うズームレンズ及び、該ズームレンズを備える撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charged Coupled Device)型イメージセンサあるいはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサ等の固体撮像素子を用いたデジタルスチルカメラやビデオカメラにおいては、小型化や薄型化といったコンパクト性と高変倍化を両立したズームレンズへの要望が高まっている。
【0003】
高変倍のズームレンズとしては、一般的に正負正正の4群構成のズームレンズがよく知られており、特許文献1、2に、このような正負正正の4群構成のズームレンズが開示されている。
【0004】
しかるに、上述のような要望に対し、特許文献1に開示されたズームレンズは変倍比が6〜7倍と小さく、一方、特許文献2に開示されたズームレンズは、変倍比が9〜12倍と特許文献1のものよりは比較的大きいものの、望遠端での全長が大きくなるという課題を有している。全長が大きいと、沈胴時の鏡胴のコンパクト化、特に薄型化に対し不利な条件となる。また、最終レンズ群が変倍時に可動であるため、全長を短縮化すると最終レンズ群と固体撮像素子の距離が近づいた際に、撮像画像が最終レンズ群のゴミやキズの影響を受けやすくなるという課題もある。これらのことから、正負正正の4群構成のズームレンズは、コンパクト化と高変倍化の両立には不向きであると言える。
【0005】
これに対し、第1群が正、第2群が負、第3群が正、第4群が正の4群構成に比べ、第3群と第4群の間に負の屈折力を有する可動レンズ群を加え、最終群を固定することにより、可動群の数は4群と同じでありながら、高い変倍比や光学性能を実現したズームレンズとして、特許文献3、4に開示されたような正負正負正の5群構成のズームレンズが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-146016号公報
【特許文献2】特開2011-28238号公報
【特許文献3】特開2008-304708号公報
【特許文献4】特開2009-282429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3や4に開示されたズームレンズでは、最終レンズ群が変倍時に固定されていることから、上述したゴミやキズの影響が抑えられており、更に変倍比は11〜15倍と、特許文献1や2に開示されたズームレンズと比べると高変倍が得られている。しかしながら近年においては、コンパクト化を維持しつつ、さらなる高変倍化が求められているという実情がある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、例えば変倍比20倍以上の高変倍を達成しつつ、コンパクト化もなされ、さらに諸収差が良好に補正されたズームレンズ及びそれを用いた撮像装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群から構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズにおいて、
変倍時に、前記第1レンズ群から前記第4レンズ群までの各々のレンズ群が移動するようになっており、前記第5レンズ群は変倍時、合焦時ともに移動しないレンズ群であり、以下の条件式を満足することを特徴とする。
6.5 < |f1/f2| < 15.0 (1)
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0010】
小型と高変倍を兼ねそろえ、収差の良好に補正されたズームレンズを得るための、本発明の基本構成は物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群からなる。このような構成にすることによって、負レンズ群が二つになるため、レンズ系全体における屈折力の構成が対称形となり、歪曲収差やコマ収差、倍率色収差といった対称形によって補正される諸収差を効果的に補正することが可能となる。また、前記第4レンズ群が負の屈折力を有するため、従来の正負正正の構成に比べ、前記第4レンズ群による負の跳ね上げ(光線を光軸から離す)の効果が加わるので、それより物体側の前記第1〜3レンズ群を通過する軸外光線がより光軸付近を通過するようになり、小型化が可能となる。
【0011】
第5レンズ群は固体撮像素子に最も近いレンズ群であり、仮に第5レンズ群を変倍および合焦時に移動させるよう構成すると、固体撮像素子との距離が近づき、撮像画像が第5レンズ群のゴミやキズの影響を受けやすくなる恐れがある。特に小型化されたズームレンズでは、より最終レンズと固体撮像素子との距離も近づくので、その傾向が顕著に表れる。そこで本発明においては、第5レンズ群を光軸方向に移動させず固定することによって、最終レンズと固体撮像素子との距離が固定されることとなり、これによりゴミやキズの影響を抑えることができる。また、固体撮像素子を第5レンズ群と鏡胴とで密封状態にできるので、固体撮像素子上にホコリ等のゴミが混入して付着することを防ぐことができる。
【0012】
条件式(1)は前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の焦点距離の比を規定したものである。条件式(1)の値が下限値を上回ることによって、前記第1レンズ群の焦点距離が長く、前記第2レンズ群の焦点距離が短くなるので、広角端における前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の合成焦点距離が短くなり、その結果、広角端における全系の焦点距離が短くなるので、広角化が可能となる。また、前記第2レンズ群が適度な負の屈折力を持つことにより、変倍時に前記第2レンズ群が移動する際の焦点距離変動が大きくなり、高変倍化が可能となる。一方で、条件式(1)の値が上限値を下回ることによって、前記第1レンズ群が過度な屈折力を持つことに起因した望遠端における前記第1レンズ群による像面湾曲や倍率色収差の増大を抑えることが可能となる。また、以下の条件式を満たすとより望ましい。
6.5 < |f1/f2| < 10.0 (1)’
【0013】
請求項2に記載のズームレンズは、請求項1に記載の発明において、以下の条件式を満足することを特徴とする。
3.0 < f5/fW < 6.5 (2)
ただし、
f5:前記第5レンズ群の焦点距離
fW:広角端における全系の焦点距離
【0014】
条件式(2)は、前記第5レンズ群と広角端における全系の焦点距離の比を規定したものである。条件式(2)の値が上限値を下回ることによって、前記第5レンズ群が適度な正の屈折力を有する事から、負の屈折力を有する前記第4レンズ群によって跳ね上げられた軸外光線の角度を緩めることができるので、固体撮像素子の撮像面周辺部に結像する光束の主光線入射角度(主光線と光軸のなす角度)を小さく抑えることができ、所謂テレセントリック特性を確保することができる。さらに、広角端における前記第4レンズ群と前記第5レンズ群の間隔を詰めることができるので、全長の短縮化が可能となる。一方で、条件式(2)の値が下限値を上回ることによって、広角端の焦点距離が長くなることによる望遠化を防ぐことができるので、広角化が可能となる。また、以下の条件式を満たすとより望ましい。
3.5 < f5/fW < 6.5 (2)’
【0015】
請求項3に記載のズームレンズは、請求項1又は2に記載の発明において、前記第3レンズ群を光軸と直交する方向に移動させることによって、像面上の結像のブレの補正を行うようになっており、以下の条件式を満足することを特徴とする。
2.5 < (1−m3T)・m45T < 4.5 (3)
ただし、
m3T:前記第3レンズ群の望遠端における横倍率
m45T:前記第4レンズ群と前記第5レンズ群の望遠端における合成横倍率
【0016】
像面上の結像のブレの補正とは、いわゆる手振れ補正のことである。条件式(3)は、前記第3レンズ群が光軸に対し直交する方向に、単位量移動した際の軸上光線の像面上での移動量の比を表したものである。よって、条件式(3)の値が上限値を下回ることによって、前記第3レンズ群の移動量を抑えつつ、手振れ補正を行うことが可能となる。一方で、条件式(3)の値が下限値を上回ることによって、前記第3レンズ群の屈折力の増大による収差の発生を抑えることができる。
【0017】
請求項4に記載のズームレンズは、請求項1から3のいずれかに記載の発明において、前記第3レンズ群は、物体側より順に、正のP1レンズ、正のP2レンズ、負のN1レンズ、正のP3レンズから構成され、このうち前記P2レンズと前記N1レンズは接合されており、以下の条件式を満足することを特徴とする。
0.3 < nN1 − nP2 < 0.6 (4)
ただし、
nN1:前記N1レンズのd線に対する屈折率
nP2:前記P2レンズのd線に対する屈折率
【0018】
前記第3レンズ群は、物体側より順に、正のP1レンズ、正のP2レンズ、負のN1レンズ、正のP3レンズからなり、このうちP2レンズとN1レンズは接合された構成となっている。前記第3レンズ群は、球面収差やコマ収差への寄与が大きく、これらを良好に補正する為に、従来では正負正のトリプレット構成や、正の単レンズと正・負の接合レンズ1組など、3枚のレンズを用いることが多かった。しかしながら、高い変倍比を持つズームレンズになると、レンズ3枚では収差の補正力が足りずに、コマ収差等の軸外収差が多く発生してしまう恐れがある。そのため、本発明では、正の単レンズと正・負の接合レンズ1組の像側にもう1枚正の単レンズを追加することによって、軸外収差の発生を抑え、良好な光学性能を得ている。
【0019】
条件式(4)は、前記N1レンズと前記P2レンズの屈折率の差を規定したものである。条件式(4)の値が下限値を上回ることによって、屈折率の高い負レンズと屈折率の低い正レンズの組み合わせとなり、前記P1レンズで補正し切れなかった球面収差やコマ収差を効果的に補正することが出来る。一方、条件式(4)の値が上限値を下回ることで、入手しやすい硝材でレンズを構成することが出来る。
【0020】
請求項5に記載のズームレンズは、請求項1から4のいずれかに記載の発明において、前記第1レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズから成る接合レンズを有し、以下の条件式を満たすことを特徴とする。
0.3 < n1N − n1P < 0.6 (5)
ただし、
n1N:前記第1レンズ群の接合レンズにおける負レンズのd線に対する屈折率
n1P:前記第1レンズ群の接合レンズにおける正レンズのd線に対する屈折率
【0021】
前記第1レンズ群は、物体側より順に、1枚の負レンズと1枚の正レンズからなる接合レンズを有する。条件式(5)は、前記接合レンズの負レンズと正レンズの屈折率の差を規定している。前記接合レンズの接合面が物体側に凸であり、条件式(5)の値が下限値を上回ることによって、この接合面は負の屈折力を有する発散面となり、望遠端における球面収差を効果的に補正することが出来る。一方、条件式(5)の値が上限値を下回ることで、入手しやすい硝材でレンズを構成することが出来る。
【0022】
また、前記接合レンズの像側に正レンズを配置することで、前記接合レンズの正の屈折面による屈折力を分担することが出来るので、前記接合レンズの正の屈折面による過度な屈折力に起因したコマ収差等の発生を抑えることが出来る。よって、前記接合レンズの像側に正レンズを配置することが望ましい。
【0023】
請求項6に記載のズームレンズは、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記第2レンズ群が、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズと、像側に凹面を向けた負レンズと、物体側に凸面を向けた正レンズで構成されていることを特徴とする。
【0024】
前記第2レンズ群は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズと、像側に凹面を向けた負レンズと、物体側に凸面を向けた正レンズから構成される。正レンズより物体側に、像側に凹面を向けた負レンズを2枚並べることによって、径の大きな前記第1レンズ群から大きな角度で入射する光線をいち早く緩めるとともに、像面湾曲と歪曲を効果的に補正することが出来る。さらに、物体側に凸面を向けた前記正レンズを、2枚の負レンズより像側に配置することで、広角端での倍率色収差と望遠端での軸上色収差を効果的に補正することが出来る。尚、前記第2レンズ群における前記負レンズと前記正レンズの間の空気間隔は極めて狭くなることが多く、レンズの製造誤差による光学性能への影響を受けやすいことから、接合することが望ましい。
【0025】
請求項7に記載のズームレンズは、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、以下の条件式を満足することを特徴とする。
3.0 < (D1 + D2) / fW < 6.0 (6)
ただし、
D1:前記第1レンズ群の光軸上の厚さ
D2:前記第2レンズ群の光軸上の厚さ
fW:広角端における全系の焦点距離
【0026】
条件式(6)は、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の光軸上の厚さの和と、広角端における焦点距離の比を規定している。小型化、薄型化が求められているズームレンズでは、未使用時では各レンズ群を収容した鏡筒が沈胴し、撮影時よりも薄型化されるのが一般的である。各レンズ群間の空気間隔は沈胴によって詰める事が出来るが、レンズ群の光軸上の厚さは収納によって詰めることが出来ない。そこで、条件式(6)の値が上限値を下回るようにすることによって、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の光軸上の厚さが薄くなり、沈胴時のコンパクト化が可能となる。一方、条件式(6)の値が下限値を上回るようにすることによって、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の過度な薄型化を防ぎ、レンズ性能に必要なコバ厚(レンズ周辺部の厚さ)の確保等が可能となる。
【0027】
請求項8に記載のズームレンズは、請求項1から7のいずれかに記載の発明において、前記第5レンズ群は、単レンズであることを特徴とする。
【0028】
前記第5レンズ群は像面に近いため、ここを通る光束が細くなり、球面収差やコマ収差の発生量を比較的小さく抑えることができる。したがって、前記第5レンズ群を単レンズで構成することが、低コスト化や光学系の小型化を達成する上で望ましい。
【0029】
請求項9に記載のズームレンズは、請求項1から8のいずれかに記載の発明において、前記第4レンズ群は、単レンズであることを特徴とする。
【0030】
前記第4レンズ群は前記第5レンズ群に次いで像面に近いため、ここを通る光束が細くなり、球面収差やコマ収差の発生量を比較的小さく抑えることができる。したがって、前記第4レンズ群を単レンズで構成することが、低コスト化や光学系の小型化を達成する上で望ましい。
【0031】
請求項10に記載のズームレンズは、請求項1から9のいずれかに記載の発明において、前記ズームレンズは、前記第4レンズ群を移動させることにより、合焦を行うことを特徴とする。
【0032】
前記第4レンズ群により合焦を行うことによって、レンズ群の繰り出しによる光学全長の増加や前玉径の増大を招くことなく、近距離の被写体まで鮮明な像を結像することが出来る。
【0033】
請求項11に記載のズームレンズは、請求項1から10のいずれかに記載の発明において、実質的に屈折力を有しないレンズを有することを特徴とする。つまり、請求項1の構成に、実質的にパワーを持たないダミーレンズを付与した場合でも本発明の適用範囲内である。
【0034】
請求項12に記載のズームレンズは、請求項1から11のいずれかに記載の発明において、20倍以上の変倍比を有することを特徴とする。
請求項13に記載の撮像装置は、請求項1から12のいずれかに記載のズームレンズと、前記ズームレンズにより撮像面に形成された画像を光電変換する撮像素子とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、例えば変倍比20倍以上の高変倍を達成しつつ、コンパクト化もなされ、さらに諸収差が良好に補正されたズームレンズ及びそれを用いた撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施の形態にかかる撮像装置を搭載したデジタルカメラの正面上部側から見た斜視図(a)及び背面下部側から見た斜視図(b)である。
【図2】本実施の形態にかかるズームレンズを有する撮像装置のブロック図である。
【図3】実施例1のズームレンズの断面図である。
【図4】実施例1のズームレンズの収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)である。
【図5】実施例2のズームレンズの断面図である。
【図6】実施例2のズームレンズの収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)である。
【図7】実施例3のズームレンズの断面図である。
【図8】実施例3のズームレンズの収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態にかかる撮像装置の一例であるデジタルカメラの正面上部側から見た斜視図(a)及び背面下部側から見た斜視図(b)であり、図2は、本実施の形態にかかるズームレンズを有する撮像装置のブロック図である。
【0038】
図1(a)において、デジタルカメラDCは、ズームレンズ101を内蔵しカメラボディ81に対して沈胴する沈胴式のレンズ鏡胴80と、ファインダ窓82と、レリーズ釦83と、フラッシュ発光部84と、ストラップ取り付け部87と、USB端子88と、レンズカバー89とを有している。レンズカバー89を開くと、不図示のスイッチがオン操作され、レンズ鏡胴80が前方に繰り出されて撮影状態になり、一方、撮影終了後に、レンズカバー89を閉じると、不図示のスイッチがオフ操作されレンズ鏡胴80は沈胴するようになっている。尚、レンズ鏡胴80を沈胴させる構成については、良く知られているので以下に詳細は記載しない。
【0039】
更に、図1(b)において、デジタルカメラDCは、ファインダ接眼部91と、レリーズ釦83が押圧された時にAFやAEの情報を発光もしくは点滅により撮影者に表示する赤と緑の表示ランプ92と、撮影者の操作に応じてズームアップ、ズームダウンをおこなうズーム釦93と、各種設定用のメニュー/セット釦95と、選択釦である4方向スイッチ96と、画像やその他文字情報等を表示するモニターLCD112と、モニターLCD112において撮影した画像の再生を行うための再生釦97と、モニターLCD112に表示された画像やその他文字情報の表示や消去を選択するディスプレイ釦98と、撮影記録した画像の消去をおこなう消去釦99と、三脚穴71と、開閉自在な電池/カード蓋72とを有する。撮影者は、メニュー/セット釦95で、モニターLCD112上に各種のメニューを表示させ、選択釦96で選択し、メニュー/セット釦95で設定を確定することができる。電池/カード蓋72の内部には、デジタルカメラDCの電源を供給する電池と、撮影した画像を記録するカード型のリムーバブルメモリが装填されるようになっている。
【0040】
更に、デジタルカメラDCに搭載される撮像装置100は、図2に示すように、ズームレンズ101と、固体撮像素子102と、A/D変換部103と、制御部104と、光学系駆動部105と、タイミング発生部106と、撮像素子駆動部107と、画像メモリ108と、画像処理部109と、画像圧縮部110と、画像記録部111と、モニターLCD112と、図1を参照して上述した釦群を含む操作部113とを備えて構成される。
【0041】
ズームレンズ101は、被写体像を固体撮像素子102の撮像面に結像させる機能を有する。本実施の形態のズームレンズ101は、詳しくは後述するが、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群から構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズであって、変倍時に、前記第1レンズ群から前記第4レンズ群までの各々のレンズ群が移動するようになっており、前記第5レンズ群は変倍時、合焦時ともに移動しないレンズ群であり、以下の条件式を満足する。
6.5 < |f1/f2| < 15.0 (1)
ただし、
f1:第1レンズ群の焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
【0042】
固体撮像素子102は、CCDやCMOS等の撮像素子であり、RGBカラーフィルターを備え、入射光をR、G、B毎に光電変換してそのアナログ信号を出力する。A/D変換部103は、アナログ信号をデジタルの画像データに変換する。
【0043】
制御部104は、撮像装置100の各部を制御する。制御部104は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を含み、ROMから読み出されてRAMに展開された各種プログラムと、CPUとの協働で各種処理を実行する。
【0044】
光学系駆動部105は、制御部104の制御により、変倍、合焦、露出等において、ズームレンズ101を駆動制御する。タイミング発生部106は、アナログ信号出力用のタイミング信号を出力する。撮像素子駆動部107は、固体撮像素子102を駆動制御する。
【0045】
画像メモリ108は、画像データを読み出し及び書き込み可能に記憶する。画像処理部109は、画像データに各種画像処理を施す。画像圧縮部110は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の圧縮方式により、撮像画像データを圧縮する。画像記録部111は、図示しないスロットにセットされた、メモリカード等の記録メディアに画像データを記録する。
【0046】
モニターLCD112は、カラー液晶パネル等であり、撮影後の画像データ、撮影前のスルー画像、各種操作画面等を表示する。操作部113は、図1を参照して上述した釦群を介して、ユーザにより操作入力された情報を制御部104に出力する。
【0047】
ここで、撮像装置100における動作を説明する。被写体撮影では、被写体のモニタリング(スルー画像表示)と、画像撮影実行とが行われる。モニタリングにおいては、ズームレンズ101を介して得られた被写体の像が、固体撮像素子102の受光面(撮像面)に結像される。ズームレンズ101の撮影光軸後方に配置された固体撮像素子102が、タイミング発生部106、撮像素子駆動部107によって駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力としてのアナログ信号を1画面分出力する。
【0048】
このアナログ信号は、RGBの各原色成分毎に適宜ゲイン調整された後に、A/D変換部103でデジタルデータに変換される。そのデジタルデータは、画像処理部109により、画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理が行なわれて、デジタル値の輝度信号Y及び色差信号Cb、Cr(画像データ)が生成されて画像メモリ108に格納され、定期的にその信号が読み出されてそのビデオ信号が生成されて、モニターLCD112に出力される。尚、ホワイトバランス調整手段でもある制御部104は、撮影画像のホワイトバランスを調整する。
【0049】
モニターLCD112は、モニタリングにおいては電子ファインダとして機能し、撮像画像を、ほぼリアルタイムに表示することとなる。この状態で、随時、撮影者による操作部113を介する入力に基づいて、光学系駆動部105の駆動によりズームレンズ101の変倍、合焦、露出等が設定される。
【0050】
このようなモニタリング状態において、静止画撮影を行ないたいタイミングで、ユーザがレリーズ釦83を操作することにより、静止画像データが撮影される。レリーズ釦83の操作に応じて、画像メモリ108に格納された1コマの画像データが読み出されて、画像圧縮部110により圧縮される。その圧縮された画像データが、画像記録部111によりリムーバブルメモリに記録される。
【0051】
尚、レンズカバー89の閉じ操作により、不図示のスイッチをオフ操作することで、ズームレンズ101を内包するレンズ鏡胴80は、互いのレンズ群間隔が狭くなるように駆動され、沈胴動作を行う。このとき、第1、第2レンズ群より径の小さい第3レンズ群と第4レンズ群を、光路から退避させるよう構成すると、沈胴後の全長がより短くなるので好ましい。
【0052】
なお、上記実施の形態及び各実施例における記述は、本発明に係る好適なズームレンズ及び撮像装置の一例であり、これに限定されるものではない。又、本撮像装置はビデオカメラにも搭載可能である。
【0053】
(実施例)
次に、上述した実施の形態に好適な実施例について説明する。但し、以下に示す実施例により本発明が限定されるものではない。
f :ズームレンズ全系の焦点距離
Fno:Fナンバー
2Y:固体撮像素子の撮像面対角線長
R :曲率半径
D :軸上面間隔
Nd:レンズ材料のd線に対する屈折率
νd:レンズ材料のアッベ数
【0054】
各実施例において、各面番号の後に「*」が記載されている面が非球面形状を有する面であり、非球面の形状は、面の頂点を原点とし、光軸方向にX軸をとり、光軸と垂直方向の高さをhとして以下の「数2」で表す。
【0055】
【数1】

ただし、
Ai:i次の非球面係数
R :曲率半径
K :円錐定数
【0056】
(実施例1)
実施例1のレンズデータを表1に示す。なお、これ以降(表のレンズデータを含む)において、10のべき乗数(たとえば2.5×10-02)を、E(たとえば2.5E−02)を用いて表すものとする。図3は、実施例1のズームレンズの断面図であり、(a)は広角端の状態を示し、(b)は中間の状態を示し、(c)は望遠端の状態を示す。図中Gr1は正の屈折力を有する第1レンズ群であり、第1レンズL1と第2レンズL2と第3レンズL3とからなる。1枚の負レンズである第1レンズL1と、1枚の正レンズである第2レンズL2は接合されており、接合面は物体側に凸である。又、Gr2は負の屈折力を有する第2レンズ群であり、像側に凹面を向けた負レンズである第4レンズL4と、像側に凹面を向けた負レンズである第5レンズL5と、物体側に凸面を向けた正レンズである第6レンズL6とからなる。第5レンズL5と第6レンズL6は接合されており、接合面は物体側に凸である。更に、Gr3は正の屈折力を有する第3レンズ群であり、第7レンズL7(正のP1レンズ)と第8レンズL8(正のP2レンズ)と第9レンズL9(負のN1レンズ)と第10レンズL10(正のP3レンズ)とからなる。第8レンズL8と第9レンズL9は接合されており、接合面は像側に凸である。又、Gr4は負の屈折力を有する第4レンズ群であり、第11レンズL11のみからなる。更に、Gr5は正の屈折力を有する第5レンズ群であり、第12レンズL12のみからなる。Sは第7レンズL7の物体側に設けられた開口絞り、Iは撮像面を示す。また、F1、F2は光学的ローパスフィルタやIRカットフィルタ、固体撮像素子のシールガラス等を想定した平行平板を示す。
【0057】
[表1]
実施例1
f = 4.12 - 21.15 - 109.59
Fno = 3.13 - 4.92 - 6.08
ズーム比 = 26.60

面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
1 52.962 1.500 1.90370 31.3 15.76
2 33.783 4.660 1.48750 70.4 15.02
3 277.200 0.200 14.75
4 38.131 3.650 1.48750 70.4 14.15
5 405.000 d1 13.95
6 2670.000 0.800 1.91080 35.3 8.31
7 8.945 5.010 6.42
8 -18.905 0.710 1.48750 70.4 6.17
9 12.787 2.310 1.92290 20.9 6.14
10 54.300 d2 6.00
11(絞り) ∞ 0.620 3.24
12* 17.308 2.620 1.69350 53.2 3.42
13* -24.699 0.380 3.50
14 11.681 3.010 1.48750 70.4 3.45
15 -27.710 2.500 1.90370 31.3 3.16
16 10.822 0.740 2.94
17 24.500 1.650 1.49700 81.6 3.01
18 -13.511 d3 3.05
19* 5576.445 1.100 1.54470 56.2 2.95
20* 9.522 d4 2.90
21* 61.735 3.500 1.54470 56.2 4.70
22* -10.581 1.057 4.69
23 ∞ 0.300 1.52310 54.5 4.50
24 ∞ 3.830 4.47
25 ∞ 0.500 1.51680 64.2 4.06
26 ∞ 0.370 4.03

非球面係数

第12面 第20面
K=0.00000E+00 K=0.00000E+00
A4=-0.56600E-04 A4=-0.23368E-03
A6=-0.31016E-04 A6=0.22004E-03
A8=0.49703E-05 A8=-0.30770E-04
A10=-0.38910E-06 A10=0.16520E-05
A12=0.11034E-07

第13面 第21面
K=0.00000E+00 K=0.00000E+00
A4=0.22903E-04 A4=0.30477E-03
A6=-0.33741E-04 A6=0.10647E-04
A8=0.53349E-05 A8=-0.11281E-06
A10=-0.41097E-06 A10=0.10753E-08
A12=0.11520E-07

第19面 第22面
K=0.00000E+00 K=0.00000E+00
A4=-0.39392E-03 A4=0.55143E-03
A6=0.15875E-03 A6=-0.36835E-06
A8=-0.21849E-04 A8=0.29881E-06
A10=0.11547E-05 A10=-0.35562E-08

各ポジションの焦点距離、Fナンバー、画角(゜)、撮像面対角線長、群間距離

f Fno 画角 2Y d1 d2 d3 d4
4.12 3.13 86.6 6.453 0.788 38.373 2.103 2.935
21.15 4.92 20.8 7.98 24.438 12.528 6.708 8.963
109.59 6.08 4.1 7.957 45.936 1.107 11.046 10.584

レンズ群データ

レンズ群 始面 焦点距離(mm)
1 1 69.03
2 6 -8.68
3 11 13.43
4 19 -17.51
5 21 16.87
【0058】
図4は実施例1の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)である。ここで、図4(a)は広角端における収差図である。図4(b)は中間における収差図である。図4(c)は望遠端における収差図である。ここで、球面収差図において、点線はg線、実線はd線に対する球面収差量をそれぞれ表す。また、非点収差図において、実線Sはサジタル面、点線Mはメリディオナル面をそれぞれ表す(以下同じ)。
【0059】
実施例1のズームレンズでは、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群Gr1、第2レンズ群Gr2、第3レンズ群Gr3、第4レンズ群Gr4が光軸方向に沿って移動し、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うことが出来る。第5レンズ群Gr5は変倍に際し固定されている。また、第4レンズ群Gr4のみを光軸方向に移動させることによって、無限遠から有限距離への合焦を行うことが出来る。なお、第7レンズL7はガラスモールドレンズ、第11レンズL11、第12レンズL12はプラスチックレンズ、それ以外のレンズはガラス材料による研磨レンズを想定している。第11レンズL11、第12レンズL12は比較的像側に配置されたレンズであり、レンズを通る光束も細くなっていることから、温度変化による光学性能への影響が小さいため、プラスチックレンズを使用することで低コスト化が可能となる。また、射出成形によるプラスチックレンズは非球面レンズを容易に製造することが可能なため、非球面レンズによって、像面湾曲や歪曲収差などの各収差を効果的に補正することが可能となる。
【0060】
(実施例2)
実施例2のレンズデータを表2に示す。図5は、実施例2のズームレンズの断面図であり、(a)は広角端の状態を示し、(b)は中間の状態を示し、(c)は望遠端の状態を示す。図中Gr1は正の屈折力を有する第1レンズ群であり、第1レンズL1と第2レンズL2と第3レンズL3とからなる。1枚の負レンズである第1レンズL1と、1枚の正レンズである第2レンズL2は接合されており、接合面は物体側に凸である。又、Gr2は負の屈折力を有する第2レンズ群であり、像側に凹面を向けた負レンズである第4レンズL4と、像側に凹面を向けた負レンズである第5レンズL5と、物体側に凸面を向けた正レンズである第6レンズL6とからなる。第5レンズL5と第6レンズL6は接合されており、接合面は物体側に凸である。更に、Gr3は正の屈折力を有する第3レンズ群であり、第7レンズL7(正のP1レンズ)と第8レンズL8(正のP2レンズ)と第9レンズL9(負のN1レンズ)と第10レンズL10(正のP3レンズ)とからなる。第8レンズL8と第9レンズL9は接合されており、接合面は像側に凸である。又、Gr4は負の屈折力を有する第4レンズ群であり、第11レンズL11のみからなる。更に、Gr5は正の屈折力を有する第5レンズ群であり、第12レンズL12のみからなる。Sは第7レンズL7と第8レンズL8の間に設けられた開口絞り、Iは撮像面を示す。また、F1、F2は光学的ローパスフィルタやIRカットフィルタ、固体撮像素子のシールガラス等を想定した平行平板を示す。
【0061】
[表2]
実施例2
f = 4.42 - 20.02 - 91.49
Fno = 2.98 - 4.70 - 5.90
ズーム比 = 20.68

面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
1 66.346 1.500 1.84670 23.8 17.03
2 36.513 5.475 1.48750 70.4 15.52
3 -1712.538 0.200 14.42
4 31.663 3.286 1.72920 54.7 14.10
5 88.075 d1 13.83
6 109.014 0.800 1.83480 42.7 8.76
7 8.130 4.997 6.42
8 -15.470 0.710 1.51740 52.2 6.27
9 14.184 2.279 1.92290 20.9 6.22
10 81.744 d2 6.10
11 14.851 1.913 1.53170 48.8 3.71
12 -32.613 0.792 3.55
13(絞り) ∞ -0.150 3.29
14 10.354 2.510 1.48750 70.4 3.28
15 -14.193 2.000 1.83400 37.4 3.10
16 15.229 0.615 2.97
17* 25.131 2.500 1.58310 59.5 3.01
18 -14.290 d3 3.05
19* 25.569 1.009 1.60700 27.0 2.89
20* 7.318 d4 2.81
21* -818.962 3.000 1.53050 55.7 4.42
22* -11.123 1.409 4.48
23 ∞ 0.500 1.52310 54.5 4.27
24 ∞ 3.630 4.24
25 ∞ 0.500 1.51680 64.2 3.90
26 ∞ 0.380 3.87

非球面係数

第17面 第21面
K=0.00000E+00 K=0.00000E+00
A4=-0.13295E-03 A4=0.25995E-03
A6=-0.27921E-05 A6=0.22159E-04
A8=0.51186E-06 A8=-0.44387E-06
A10=-0.25239E-07 A10=0.24853E-08

第19面 第22面
K=0.00000E+00 K=0.00000E+00
A4=-0.52548E-03 A4=0.11650E-03
A6=0.63402E-04 A6=0.15982E-04
A8=-0.13611E-04 A8=0.43958E-07
A10=0.82709E-06 A10=-0.54674E-08

第20面
K=0.00000E+00
A4=-0.19220E-03
A6=0.70141E-04
A8=-0.15100E-04
A10=0.93019E-06

各ポジションの焦点距離、Fナンバー、画角(゜)、撮像面対角線長、群間距離

f Fno 画角 2Y d1 d2 d3 d4
4.42 2.98 82.9 6.7 0.991 37.000 2.925 3.027
20.02 4.70 22.1 7.666 17.370 12.838 5.823 10.027
91.49 5.90 4.9 7.663 33.305 0.870 9.725 11.855

レンズ群データ

レンズ群 始面 焦点距離(mm)
1 1 55.14
2 6 -8.43
3 11 12.91
4 19 -17.25
5 21 21.23
【0062】
図6は実施例2の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)である。ここで、図6(a)は広角端における収差図である。図6(b)は中間における収差図である。図6(c)は望遠端における収差図である。
【0063】
実施例2のズームレンズでは、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群Gr1、第2レンズ群Gr2、第3レンズ群Gr3、第4レンズ群Gr4が光軸方向に沿って移動し、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うことが出来る。第5レンズ群Gr5は変倍に際し固定されている。また、第4レンズ群Gr4のみを光軸方向に移動させることによって、無限遠から有限距離への合焦を行うことが出来る。なお、第10レンズL10はガラスモールドレンズ、第11レンズL11、第12レンズL12はプラスチックレンズ、それ以外のレンズはガラス材料による研磨レンズを想定している。
【0064】
(実施例3)
実施例3のレンズデータを表3に示す。図7は、実施例3のズームレンズの断面図であり、(a)は広角端の状態を示し、(b)は中間の状態を示し、(c)は望遠端の状態を示す。図中Gr1は正の屈折力を有する第1レンズ群であり、第1レンズL1と第2レンズL2と第3レンズL3とからなる。1枚の負レンズである第1レンズL1と、1枚の正レンズである第2レンズL2は接合されており、接合面は物体側に凸である。又、Gr2は負の屈折力を有する第2レンズ群であり、像側に凹面を向けた負レンズである第4レンズL4と、像側に凹面を向けた負レンズである第5レンズL5と、物体側に凸面を向けた正レンズである第6レンズL6とからなる。第5レンズL5と第6レンズL6は接合されており、接合面は物体側に凸である。更に、Gr3は正の屈折力を有する第3レンズ群であり、第7レンズL7(正のP1レンズ)と第8レンズL8(正のP2レンズ)と第9レンズL9(負のN1レンズ)と第10レンズL10(正のP3レンズ)とからなる。第8レンズL8と第9レンズL9は接合されており、接合面は像側に凸である。又、Gr4は負の屈折力を有する第4レンズ群であり、第11レンズL11のみからなる。更に、Gr5は正の屈折力を有する第5レンズ群であり、第12レンズL12のみからなる。Sは第7レンズL7の物体側に設けられた開口絞り、Iは撮像面を示す。また、F1、F2は光学的ローパスフィルタやIRカットフィルタ、固体撮像素子のシールガラス等を想定した平行平板を示す。
【0065】
[表3]
実施例3
f = 4.16 - 26.19 - 166.30
Fno = 2.86 - 5.33 - 6.50
ズーム比 = 40.00

面番号 R(mm) D(mm) Nd νd 有効半径(mm)
1 75.269 1.556 1.91080 35.3 17.82
2 39.509 5.384 1.49700 81.6 16.21
3 -252.462 0.689 15.37
4 34.030 3.592 1.49700 81.6 14.00
5 163.590 d1 13.79
6 90.402 0.800 1.88300 40.8 7.79
7 8.456 5.240 5.89
8 -10.504 0.700 1.77250 49.6 5.23
9 42.609 1.562 1.94590 18.0 5.35
10 -33.322 d2 5.00
11(絞り) ∞ 0.280 3.62
12* 8.860 2.100 1.59200 67.0 3.96
13* -32.501 0.300 3.93
14 10.890 1.901 1.56880 56.0 3.83
15 -26.210 1.445 1.88300 40.8 3.65
16 7.245 0.729 3.32
17 10.287 2.074 1.54070 47.2 3.44
18 -25.035 d3 3.50
19* -13.619 1.087 2.00180 19.3 3.06
20* -49.482 d4 3.02
21* 100.000 3.500 1.54470 56.2 4.80
22* -15.787 4.225 4.70
23 ∞ 0.500 1.52310 54.5 4.19
24 ∞ 2.000 4.16

非球面係数

第12面 第20面
K=0.00000E+00 K=0.00000E+00
A4=-0.39993E-04 A4=0.24984E-02
A6=-0.23314E-04 A6=0.18627E-04
A8=0.34989E-05 A8=-0.50743E-05
A10=-0.21587E-06 A10=0.11704E-06
A12=0.51476E-08

第13面 第21面
K=0.00000E+00 K=0.00000E+00
A4=0.14737E-03 A4=0.73781E-04
A6=-0.22655E-04 A6=0.32694E-04
A8=0.37143E-05 A8=-0.77209E-06
A10=-0.23856E-06 A10=0.77872E-08
A12=0.59113E-08

第19面 第22面
K=0.00000E+00 K=0.00000E+00
A4=0.24426E-02 A4=-0.13247E-03
A6=-0.16710E-04 A6=0.27583E-04
A8=-0.46194E-05 A8=-0.18995E-06
A10=0.16976E-06 A10=-0.24753E-08

各ポジションの焦点距離、Fナンバー、画角(゜)、撮像面対角線長、群間距離

f Fno 画角 2Y d1 d2 d3 d4
4.16 2.86 88.2 6.577 0.598 29.142 2.102 2.803
26.19 5.33 17.5 7.834 27.181 11.052 4.938 15.365
166.30 6.50 2.8 7.919 47.243 0.920 10.593 14.784

レンズ群データ

レンズ群 始面 焦点距離(mm)
1 1 66.01
2 6 -6.74
3 11 11.62
4 19 -19.05
5 21 25.30
【0066】
図8は実施例3の収差図(球面収差、非点収差、歪曲収差)である。ここで、図8(a)は広角端における収差図である。図8(b)は中間における収差図である。図8(c)は望遠端における収差図である。
【0067】
実施例3のズームレンズでは、広角端から望遠端への変倍に際し、第1レンズ群Gr1、第2レンズ群Gr2、第3レンズ群Gr3、第4レンズ群Gr4が光軸方向に沿って移動し、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うことが出来る。第5レンズ群Gr5は変倍に際し固定されている。また、第4レンズ群Gr4のみを光軸方向に移動させることによって、無限遠から有限距離への合焦を行うことが出来る。なお、第7レンズL7、第11レンズL11はガラスモールドレンズ、第12レンズL12はプラスチックレンズ、それ以外のレンズはガラス材料による研磨レンズを想定している。
【0068】
各条件式に対応する各実施例の値を表4に示す。
【0069】
【表4】

【0070】
最近では、プラスチック材料中に無機微粒子を混合させ、プラスチック材料の温度変化を小さくできることが分かってきた。詳細に説明すると、一般に透明なプラスチック材料に微粒子を混合させると、光の散乱が生じ透過率が低下するため、光学材料として使用することは困難であったが、微粒子の大きさを透過光束の波長より小さくすることにより、散乱が実質的に発生しないようにできる。プラスチック材料は温度が上昇することにより屈折率が低下してしまうが、無機粒子は温度が上昇すると屈折率が上昇する。そこで、これらの温度依存性を利用して互いに打ち消しあうように作用させることにより、屈折率変化がほとんど生じないようにすることができる。具体的には、母材となるプラスチック材料に最大長が20ナノメートル以下の無機粒子を分散させることにより、屈折率の温度依存性のきわめて低いプラスチック材料となる。例えばアクリルに酸化ニオブ(Nb2O5)の微粒子を分散させることで、温度変化による屈折率変化を小さくすることができる。本発明において、第11レンズや第12レンズに、このような無機粒子を分散させたプラスチック材料を用いることにより、ズームレンズ全系の温度変化時の像点位置変動をより小さく抑えることが可能となる。
【0071】
また近年、撮像装置を低コストに且つ大量に実装する方法として、予め半田がポッティングされた基板に対し、ICチップその他の電子部品と光学素子とを載置したままリフロー処理(加熱処理)し、半田を溶融させることにより電子部品と光学素子とを基板に同時実装するという技術が提案されている。
【0072】
このようなリフロー処理を用いて実装を行うためには、電子部品と共に光学素子を約200〜260度に加熱する必要があるが、このような高温下では熱可塑性樹脂を用いたレンズでは熱変形し或いは変色して、その光学性能が低下してしまうという問題点がある。このような問題を解決するための方法のひとつとして、耐熱性能に優れたガラスモールドレンズを使用し、小型化と高温環境での光学性能を両立する技術が提案されているが、熱可塑性樹脂を用いたレンズよりもコストが高いため、撮像装置の低コスト化の要求に応えられないという問題があった。
【0073】
そこで、ズームレンズの材料にエネルギー硬化性樹脂を使用することで、ポリカーボネイト系やポリオレフィン系のような熱可塑性樹脂を用いたレンズに比べ、高温に曝されたときの光学性能の低下が小さいため、リフロー処理に有効であり、かつガラスモールドレンズよりも製造しやすく安価となり、ズームレンズを組み込んだ撮像装置の低コストと量産性を両立できる。なお、エネルギー硬化性樹脂とは、熱硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂のいずれをも指すものとする。本発明のプラスチックレンズを前述のエネルギー硬化性樹脂を用いて形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、明細書に記載の実施例に限定されるものではなく、他の実施例・変形例を含むことは、本明細書に記載された実施例や思想から本分野の当業者にとって明らかである。例えば、実質的にパワーを持たないダミーレンズを更に付与した場合でも本発明の適用範囲内である。
【符号の説明】
【0075】
71 三脚穴
72 カード蓋
80 レンズ鏡胴
81 カメラボディ
82 ファインダ窓
83 レリーズ釦
84 フラッシュ発光部
87 ストラップ取り付け部
88 USB端子
89 レンズカバー
91 ファインダ接眼部
92 表示ランプ
93 ズーム釦
95 セット釦
96 4方向スイッチ
96 選択釦
97 再生釦
98 ディスプレイ釦
99 消去釦
100 撮像装置
101 ズームレンズ
102 固体撮像素子
103 変換部
104 制御部
105 光学系駆動部
106 タイミング発生部
107 撮像素子駆動部
108 画像メモリ
109 画像処理部
110 画像圧縮部
111 画像記録部
112 モニターLCD
113 操作部
DC デジタルカメラ
Gr1〜Gr5 レンズ群
L1〜L12 レンズ
S 開口絞り
I 撮像面
F1,F2 平行平板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、負の屈折力を有する第4レンズ群と、正の屈折力を有する第5レンズ群から構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズにおいて、
変倍時に、前記第1レンズ群から前記第4レンズ群までの各々のレンズ群が移動するようになっており、前記第5レンズ群は変倍時、合焦時ともに移動しないレンズ群であり、以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
6.5 < |f1/f2| < 15.0 (1)
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【請求項2】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
3.0 < f5/fW < 6.5 (2)
ただし、
f5:前記第5レンズ群の焦点距離
fW:広角端における全系の焦点距離
【請求項3】
前記第3レンズ群を光軸と直交する方向に移動させることによって、像面上の結像のブレの補正を行うようになっており、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
2.5 < (1−m3T)・m45T < 4.5 (3)
ただし、
m3T:前記第3レンズ群の望遠端における横倍率
m45T:前記第4レンズ群と前記第5レンズ群の望遠端における合成横倍率
【請求項4】
前記第3レンズ群は、物体側より順に、正のP1レンズ、正のP2レンズ、負のN1レンズ、正のP3レンズから構成され、このうち前記P2レンズと前記N1レンズは接合されており、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.3 < nN1 − nP2 < 0.6 (4)
ただし、
nN1:前記N1レンズのd線に対する屈折率
nP2:前記P2レンズのd線に対する屈折率
【請求項5】
前記第1レンズ群は、1枚の負レンズと1枚の正レンズから成る接合レンズを有し、以下の条件式を満たすことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のズームレンズ。
0.3 < n1N − n1P < 0.6 (5)
ただし、
n1N:前記第1レンズ群の接合レンズにおける負レンズのd線に対する屈折率
n1P:前記第1レンズ群の接合レンズにおける正レンズのd線に対する屈折率
【請求項6】
前記第2レンズ群が、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズと、像側に凹面を向けた負レンズと、物体側に凸面を向けた正レンズで構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項7】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のズームレンズ。
3.0 < (D1 + D2) / fW < 6.0 (6)
ただし、
D1:前記第1レンズ群の光軸上の厚さ
D2:前記第2レンズ群の光軸上の厚さ
fW:広角端における全系の焦点距離
【請求項8】
前記第5レンズ群は、単レンズであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第4レンズ群は、単レンズであることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記ズームレンズは、前記第4レンズ群を移動させることにより、合焦を行うことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項11】
実質的に屈折力を有しないレンズを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記ズームレンズは、20倍以上の変倍比を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載のズームレンズ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のズームレンズと、前記ズームレンズにより撮像面に形成された画像を光電変換する撮像素子とを有することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−105142(P2013−105142A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250700(P2011−250700)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】