説明

ソレノイド・ハウジングの作成方法

本発明は、ソレノイド・ハウジングを提供する方法に関し、第1部分と第2部分を有する中実円筒体の展性材料を用意し;円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径よりも小さくなるように縮減し;総体的に第1部分に垂直な平坦化ディスクを生じるように第2部分を第1部分に向かって圧縮し;持ち上がり壁を画定するように少なくとも平坦化ディスクの周辺部の一部を第1部分に向かう方向へ持ち上げ;そして第1部分、第2部分および持ち上がり周辺部が単一の部品としてすべて一体に結合される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の関係】
【0001】
本発明は、2007年4月19日出願のインド特許出願第848/CHE/2007号の優先権を主張するものである。本出願はまた、2007年11月21日出願のアメリカ合衆国仮特許出願第60/987,649号のアメリカ合衆国法典第35編第119条(e)項に基づく利益を請求するものである。すべての先行出願は全体として参照内容として本説明に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ソレノイド・ハウジングを作成する方法に関する。
【0003】
ソレノイド・ハウジングは、典型的に、ドア、ウインドウ、流体制御、エンジン制御等のような自動車用制御システムに用いられている。その他の用途としては、冷蔵庫、洗濯機、乾燥機を含む。さらに別の用途としては、電気的に作動するバルブ/スイッチ、ドア・ホルダ、スピーカ、CRTモニタを含む。
【背景技術】
【0004】
ソレノイド・ハウジングは、典型的に、部品に組み立てられ、図1a〜1bに示すように、中心ポール8がカップ12に溶着または何らかの方法で取り付けられ、カップ12は、通常、シート状金属から切り出され、そして図示の形状に曲げられる。カップ12は、通常、シート状金属から切り出された平坦なディスクとして出発し、そして、その周辺部に沿って延びる持ち上がり壁14、または持ち上がりリップを形成するように、ディスクの周辺部の周りを上方へ曲げられる。ディスクの基部16、またはディスクの残りの平坦な部分は、通常、ポール8に溶接または取り付けられる。
【0005】
ソレノイド・ハウジングを作成する別の方法は、種々の部品を追加するか、または部品を組み立てる代わりに機械加工する方法である。いくつかの方法は少なくともポールまたはカップの部分を機械加工することを含んでいる。
【0006】
しかしながら、前述の方法でソレノイド・ハウジングを作成することは、いくつかの不利を呈する。ポール8を基部16に溶接するような、部品の組立ての場合、脆弱点が導きがちであり、そして一般的に、なんらかの機械的な不足はポール8と基部16の間の接合点に位置される。
【0007】
加えて、電磁場は、典型的に、ポール8から基部16にそして最後に持ち上がり壁14に流れるため、基部16がシート状金属で形成されそしてその厚さが、そこを通って電磁場が流れる小さな断面を呈するので、基部16とポール8の合わせ目に障害がしばしば生じる。その結果、本来、電磁場が入りそして基部16に向かって下方へ通過できるようにポール8が大きな直径を有していたとしても、このように電磁場は、ポール8から基部16を通って持ち上がり壁14に向かって伝送されると、通常、妨げられる。
【0008】
さらに、基部16および持ち上がり壁14のグレイン組織の配向を主張できるが、グレイン組織は電磁場の放射方向の動きに対して直角または交差するので、電磁場の流れを妨げる。カップ12は、通常、シート状金属から切り出されるので、通常、グレイン組織の向きはわからず、しばしば予測または調節できない。
【0009】
カップ12またはポール8の機械加工部品に関しては、そのような実施は、通常、1回で数千分の1または数百分の1インチ削り取られ、そしてこの割合で材料を削り取ることはソレノイドの製造にとって長時間となるので、労力の集中でありそして一般的に時間の浪費である。さらに、機械加工部品のために用いられる旋盤は概して高価であり、そして適切な作業のために大きなスペースを必要とする。それ故、機械加工部品に付随するコストは組立部品以上の機械加工部品から得られる利益よりも過重である。
【0010】
アメリカ合衆国特許第4,217,526号は、その図10および10Aに、内向きに延びるポール部分52により形成される外面の中空空間内に締りばめのように押圧された適合ノーズ部分を有する単一の軟鉄製プラグまたはインサート75に関するものを示している。プラグ75は、ボビン55の壁60によって画定される隙間を横切るフラックス流動容量を増加する効果を有する。実質的に、さらに低いコストで同様な効果が達成され得、そこにおいて、フラックス流動プラグ手段は、ポール部分52により画定される中空外面空洞内に押し込まれた1つまたはそれ以上の軟鋼球76を備える。
【0011】
クロダ他のアメリカ合衆国特許第6,029,704号は、圧縮成形または冷間押出しされた鋼板および中空円筒形ソレノイドを開示している。しかしながら、クロダのソレノイド・ハウジングおよびポールは複数の部品から作成されて組み立てられるので、電磁界を効果的には誘導しない。
【0012】
フィチャント他のアメリカ合衆国特許第4,365,223号は、共にバラバラに置かれたソレノイド・ハウジングに関する。
【0013】
それ故、何が要望されているかが、製造効率を犠牲にすることなしに脆弱点を減衰するソレノイド・ハウジング作成方法である。別の要望は電磁場の流れを強めるソレノイド・ハウジング作成方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許第4,217,526号公報
【特許文献2】アメリカ合衆国特許第4,365,223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
それ故、本発明の目的は、一体型のソレノイド・ハウジングを作成する方法を提供することにある。
【0016】
別の目的は、ハウジング全体を中実材料で作成されたソレノイド・ハウジングの作成方法を提供することである。
【0017】
別の目的は、単一で中実の電磁的に透過性のある材料から中心ポール、基部および立ち上り側壁を形成したソレノイド・ハウジングの作成方法を提供することである。
【0018】
さらに別の目的は、電磁透過率を高めるために材料のグレイン組織を配向したソレノイド・ハウジングの作成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらおよびその他の本発明の目的は、第1部分と第2部分を有する、展性材料の中実の円筒体を用意し;円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径以下となるよう減縮し;第2部分を第1部分に向かって軸方向に圧縮して総体的に第1部分に対して垂直な平坦にされたディスク(以下、「平坦化ディスク」と言う。)となし;持ち上がり壁を形成するように少なくとも平坦化ディスクの周辺の部分を第1部分に向かう方向へ持ち上げる工程を含み、そこにおいて第1部分、第2部分および もちあがり周辺部がすべて単一部品として一体に結合されるソレノイド・ハウジングの作成方法によって達成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1部分の直径は円筒体の第1部分をダイスに通して押し出すことにより縮減される。別の実施形態において、本方法は第1部分と、第1部分と第1部分に対面する平坦化ディスクの側部との連結部により画定される領域とを形づくる。
【0021】
別の実施形態では、本方法は、第1部分と第2部分とを有する展性材料の中実円筒体を用意し;円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径以下に減縮し;第2部分を第1部分に向かって軸方向に圧縮して総体的に第1部分に対して垂直な平坦化ディスクとなし;そして少なくとも平坦化ディスクの周辺の部分を第1部分に向かう方向へ持ち上げる工程のうちの少なくともいずれか1つの工程の後にハウジングを焼きなますことを含む。
【0022】
別の実施形態では、本方法は、少なくとも持ち上がり周辺部の部分の断面に対する平坦化ディスクの断面を制御する。これらの実施形態のいくつかにおいて、本方法は、持ち上がり周辺部の厚さを平坦化ディスクの厚さ以下に減縮する。
【0023】
さらに別の実施形態では、本方法は、総体的に平坦化ディスクの全体的な中心から放射方向へ延びる方向となるように平坦化ディスクの複数のグレイン組織を配向させる。これらの実施形態のいくつかにおいて、本方法はさらに、総体的に第1部分の長さに沿って延びる軸方向となるように第1部分の複数のグレイン線を配向させる。
【0024】
別の実施形態では、本方法は、第1部分に対向する第2部分の側に展性材料の中実円筒体の第3の部分を用意し;そして第3の部分を押し出すことにより円筒体の第3の部分の直径を第2部分の直径以下に減縮することを含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、本方法は、円筒体の第3の部分をダイスに通して押し出し、それにより、第3の部分は、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形、多角形およびそれらの組合せからなる群から選択された断面形状を有する。別の実施形態において、本方法は、ダイスに通して第3の部分を押し出し、それにより第3の部分の直径が第1部分の直径と異なる。
【0025】
選択的な実施形態では、本方法は持ち上がり周辺部の上方部分にフランジを設ける。
【0026】
本発明の別の観点において、ソレノイド・ハウジングの作成方法は、第1部分と第2部分とを有する展性材料の中実円筒体を用意し;円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径以下に減縮し;第2部分を第1部分に向かって軸方向に圧縮して総体的に第1部分に対して垂直な平坦化ディスクとなし;持ち上がり壁を形成するように少なくとも平坦化ディスクの周辺部を第1部分に向かう方向に持ち上げ;少なくとも持ち上がり周辺部の部分の断面に対する平坦化ディスクの断面を制御し;平坦化ディスクの複数のグレイン線を平坦化ディスクの全体的な中心から外方へ延びる放射方向となるように配向させ;そして第1部分のグレイン線を第1部分の長さに添って伸びる軸方向となるように配向させる工程を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、本方法は、第1部分と第2部分とを有する展性材料の中実円筒体を用意し;円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径以下に減縮し;第2部分を第1部分に向かって軸方向に圧縮して総体的に第1部分に対して垂直な平坦化ディスクとなし;持ち上がり壁を形成するように少なくとも平坦化ディスクの周辺の部分を第1部分に向かう方向へ持ち上げ;少なくとも持ち上がり周辺部の部分の断面に対する平坦化ディスクの断面を制御し;平坦化ディスクの複数のグレイン線を平坦化ディスクの全体的な中心から外方へ延びる放射方向となるように配向させ;そして第1部分のグレイン線を第1部分の長さに添って伸びる軸方向となるように配向させる工程のうちの少なくともいずれか1つの工程の後にハウジングを磁気的に焼きなます。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1a】図1aは従来技術によるソレノイド・ハウジングを示す。
【図1b】図1bは従来技術によるソレノイド・ハウジングを示す。
【図2】図2は本発明によるソレノイド・ハウジングを作成する方法を示す。
【図3】図3は図2に示す方法によるソレノイド・ハウジングの作成の開始工程をより詳細に示す。
【図4a】図4aは図2に示す方法によるソレノイド・ハウジングの作成の中間工程をより詳細に示す。
【図4b】図4bは図2に示す方法によるソレノイド・ハウジングの作成の中間工程をより詳細に示す。
【図4c】図4cは図2に示す方法によるソレノイド・ハウジングの作成の中間工程をより詳細に示す。
【図5a】図5aは図2に示す方法によるソレノイド・ハウジングの作成の最終工程をより詳細に示す。
【図5b】図5bは図2に示す方法によるソレノイド・ハウジングの作成の最終工程をより詳細に示す。
【図5c】図5cは図2に示す方法によるソレノイド・ハウジングの作成の最終工程をより詳細に示す。
【図5d】図5dは図2に示す方法によるソレノイド・ハウジングの作成の最終工程をより詳細に示す。
【図6】図6は図2に示す方法により作成されたソレノイド・ハウジングを示す。
【図7】図7は図2に示す方法によるソレノイド・ハウジングの作成の互換性のある実施形態をより詳細に示す。
【図8a】図8aは図7に示す互換性のある実施形態を行うのに用いられるダイスを示す。
【図8b】図8bは図7に示す互換性のある実施形態を行うのに用いられるダイスを示す。
【図8c】図8cは図7に示す互換性のある実施形態を行うのに用いられるダイスを示す。
【図8d】図8dは図7に示す互換性のある実施形態を行うのに用いられるダイスを示す。
【図8e】図8eは図7に示す互換性のある実施形態を行うのに用いられるダイスを示す。
【図8f】図8fは図7に示す互換性のある実施形態を行うのに用いられるダイスを示す。
【図8g】図8gは図7に示す互換性のある実施形態を行うのに用いられるダイスを示す。
【図9a】図9aは図2および7に示す中心ポールの種々の形状を示す。
【図9b】図9bは図2および7に示す中心ポールの種々の形状を示す。
【図9c】図9cは図2および7に示す中心ポールの種々の形状を示す。
【図9d】図9dは図2および7に示す中心ポールの種々の形状を示す。
【図10a】図10aは図2に示す方法による持ち上がり壁にフランジが配置された実施形態を示す。
【図10b】図10bは図2に示す方法による持ち上がり壁にフランジが配置された実施形態を示す。
【図10c】図10cは図2に示す方法による持ち上がり壁にフランジが配置された実施形態を示す。
【図10d】図10dは図2に示す方法による持ち上がり壁にフランジが配置された実施形態を示す。
【図10e】図10eは図2に示す方法による持ち上がり壁にフランジが配置された実施形態を示す。
【図10f】図10fは図2に示す方法による持ち上がり壁にフランジが配置された実施形態を示す。
【図11a】図11aは図2に示す方法によりハウジングが形成される実施形態を示す。
【図11b】図11bは図2に示す方法によりハウジングが形成される実施形態を示す。
【図11c】図11cは図2に示す方法によりハウジングが形成される実施形態を示す。
【図11d】図11dは図2に示す方法によりハウジングが形成される実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図2は本発明によるソレノイド・ハウジングを作成するための方法20を示し、そこにおいて、ソレノイド・ハウジング102(図5d参照)は、本方法20により、展性の材料106の単一の中実円筒体から製造される。いくつかの実施形態において、材料106はSAE1006、1008、1010および同等物のような低炭素鋼である。
【0030】
図2に示すように、本方法20は、第1部分と第2部分を有する展性金属の中実円筒体を用意する工程20と、円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径以下に減縮する工程26と、第2部分を第1部分に向かって軸方向へ圧縮する工程28とを含む。
【0031】
図3(A)は、材料106の第1部分108および第2部分10を示し、そして図3(D)は、第1部分108の直径112を減縮する工程後の、第2部分110の直径114以下である第1部分108の直径112を示す。材料106を受容することにより直径112を減縮する工程中、第1ダイス115が用いられ、そこにおいて、第1部分108は矢印118の方向へ第1ダイス115に挿入され、続いて第1部分108の直径112を減縮するために、第1部分はオリフィス117内に押し入れられ、またはそこを通って押し出される。本方法20は円筒形の第1部分をダイスに通して押し出す工程29により第1部分の直径を減縮する。
【0032】
図4aは、第2部分110を矢印122の方向へ圧縮する工程28を示し、その結果、総体的に第1部分108を長さ方向へ通る軸に垂直な平坦化ディスクが形成される。図示のように、第2部分110をディスク126状に平坦にする圧縮工程28中、第1部分108は、圧縮工程後に第1部分108に与えられる面取りおよび/または外形を結果として生じる面取りまたはその他の外形を有する形に作られた第2ダイス119によって適所に確実に保持される。別の実施形態では、第1部分108は第1ダイス115によって適所に保持される。本方法20のある実施形態では、本方法20は、第1部分および第1部分と第1部分に対面する平坦化ディスクの側部との連結部(面取りを含む図4aの符号132)により画定される領域を形成する工程30を含む。
【0033】
図2を参照すると、本方法20はまた、持ち上がり壁または持ち上がりリップを画定するために、少なくとも平坦化ディスクの周辺部を第1部分に向かう方向へ持ち上げる工程32を含む。図4bは、平坦化ディスク126の全周に沿って延びるように示された持ち上がり壁128を示している。別の実施形態では、持ち上がり壁128は平坦化ディスク126の全周の一部に沿って延びる。
【0034】
図4bに示すように、第3ダイス123は、平坦化ディスク126上へ押し下げられたとき、ディスク126の周辺部を第1部分108に向かって下向きに曲げるキャビティを有するように形成される。周辺用ダイス123が持ち上がり壁128を形成するように下げられる一方、第1部分108は、少なくとも周辺部の一部を持ち上げる工程32の間、第1部分108を動かなくするために、第1ダイス115、第2ダイス119、またはその他のダイスによって適所に保持される。図4cは、周辺用ダイス123から取り外されたハウジングを示し、そこにおいて持ち上がり壁128は、平坦化ディスク126全体に沿って延びて基部134となる。
【0035】
図3(A)−(D)に記載されているように、材料106は、各工程間で焼きなまし、または応力除去される。いくつかの実施形態において、材料106は磁気焼きなましされる。別の実施形態では、焼きなましは本方法20の各工程間で行われる。焼きなましは、材料106をダイスに押し入れ、曲げ、或いはその他の形成を行う毎に生じ、冷却作業中、または押し出し加工中に材料106内に導かれる応力を減衰するので有益である。焼きなましを行わないと、材料106は各低温加工工程後にますます脆くなり、そして材料106は後続の低温加工工程でますます形成し難くなってひび割れまたは損失となりがちとなる。材料106をより度々焼きなますことは、後続の工程における材料106の押し出し、または成形をより容易にする。
【0036】
一実施形態において、焼きなましは、約850℃まで材料106を加熱し、次いで材料106を720℃に冷却する前にその温度で滞在させ、そして材料106を室温に冷却する前にこの温度で滞在させることを含む。
【0037】
しかしながら、焼きなましに伴うコストおよび時間は作業者に1つまたはそれ以上の焼きなまし工程を省略させ得る。いくつかの実施形態では、焼きなましは、図3(A)−4cで述べた焼きなましまたは応力除去指示により示されるように、図3(A)−5dまたは本方法20の前述のいくつかの工程中に遂行される。焼きなましに必要なすべては、本方法20によってハウジング102を作成するのに十分だけ行われることである。別の実施形態において、焼きなましは本方法20中または前述の図3(A)−5dの工程中に少なくとも1回遂行される。
【0038】
本方法20のまた別の実施形態において、本方法は、持ち上がり周辺部、持ち上がり壁の少なくとも一部の断面に対する平坦化ディスクの断面を制御する工程34を含む。換言すると、そして図5aを参照すると、基部134の断面は持ち上がり周辺部128の断面より小さく、大きくまたは同じとなるように制御される。特に、基部134の厚さ135は持ち上がり壁128の厚さ137に対して制御される。
【0039】
図示のように、本方法は、ポール142から持ち上がり壁128に伝送されるような電気、電流、電気エネルギ、磁性エネルギ、および/または電磁場の流れをより大きな厚さ135が助長するので、持ち上がり周辺部、または持ち上がり壁の厚さより大きくなるように平坦化ディスクの厚さを増加(工程36)する。別の実施形態において、本方法は、平坦化ディスクの厚さ135より小さく持ち上がり周辺部の厚さ137を減縮(工程46)する。より大きな厚さ135は、特に電磁場が外向きに配置された持ち上がり壁128に到達するようなとき、電磁場を伝導するため、或いは対向するような電磁エネルギの流れをより薄い基部134に流させるためにより重要である。図示のように、持ち上がり壁128は、ダイス125によって基部134より薄く作成され、そこにおいて基部134は矢印127で示される下向きの圧縮運動で壁128に対して押され、その結果、厚さ137は厚さ135より小さくそして壁128は基部134から離れて展延、または伸長される。
【0040】
シート状金属から基部と持ち上がり壁を形成し、次いで中心ポールを溶着する従来のソレノイド・ハウジングは、調節自在性を達成できず(図1b参照)、それ故、ポール142から壁128へ流れる電磁場を助長する可能性を制限される。
【0041】
選択的に、本方法20は、持ち上がり周辺部の上方部分にフランジを設ける(工程58)。フランジ146は図5b−5cにより詳細に示されており、持ち上がり周辺部128をダイス129、131間に配置した後に形成され、そこにおいて、ダイス129、131は続いて回転され、持ち上がり周辺部128を所望の形状に曲げて、フランジ146を形成する。図5dは最終的な磁気焼きなまし処理の前のハウジング102を示す。
【0042】
別の実施形態および従来技術以上の別の利点において、本方法20は、平坦化ディスク126の複数のグレイン線を総体的に放射方向となるように配向させる工程36を含む。前述したように、電磁場はポール142から平坦化ディスク126を介して持ち上がり壁128へ伝送される。平坦化ディスク126を通る電磁場の伝送を助長するための、厚さを含む平坦化ディスクの断面を制御する工程34に加え、平坦化ディスクの複数のグレイン線を総体的に放射方向となるように配向させる工程36は、エネルギが持ち上がり壁128に向かって移動するときに電磁場が総体的に放射方向のグレイン線に沿って通過するので、電磁場の伝送をさらに助長する。
【0043】
グレイン線が配向されていない従来技術の典型的なハウジングにおいて、グレイン線は電磁場の移動に関して無作為、垂直、または角度をなした関係で配向され、そのような場合、グレイン線は電磁場の流れを助長すると言うよりもむしろ阻害する。
【0044】
本方法20は第2端部110を圧縮するので、第2端部110が外向きに広がる、または第2端部の直径がサイズ的に広がり、それにより、平坦化ディスク126を形成させる。第2端部110が外向きに広がるとき、ディスク126内のグレイン線もまた外向きの方向に移動し、そして総体的に放射方向へ、または第2端部110が広がる外向きの方向へ自動的に配向する。
【0045】
別の実施形態および従来技術以上の別の利点において、本方法20は、総体的に第1部分の長さに沿って延びる軸方向となるように第1部分108の複数のグレイン線を配向させる工程40を含む。前述したように、電磁場はポール142の長さを通って平坦化ディスク126に伝送される。それ故、第1部分108の複数のグレイン線を総体的に軸方向となるように配向させる(工程40)ことは、エネルギが平坦化ディスク126に向かって移動するとき、エネルギが総体的にグレイン線の軸方向に沿って通過するので、第1部分108を通る電磁場の伝送を助長する。前述したように配向されたグレイン線104を有するハウジング102を示す図6を参照されたい。
【0046】
グレイン線が配向されていない典型的な従来技術のハウジングにおいて、グレイン線は電磁場の移動に関して無作為、垂直、または角度をなした関係であり、その場合、グレイン線はエネルギの流れを助長すると言うよりもむしろ阻害する。
【0047】
本方法20は、材料106を第1端部108の長さに沿った長手方向に第1ダイス105に押し込むことにより第1端部108を押し出すので、第1端部108内のグレインもまた同様に、第1端部108の長さに沿った長手方向、または第1端部108が押し出される方向に移動する。
【0048】
別の実施形態において、本方法20はまた、第1部分108に対向する第2部分110の側に中実円筒体の材料106の第3部分を用意する工程44と、第3部分を押し出すことにより第2部分直径より小さくなるように円筒体の第3部分の直径を縮減する工程48とを含む。
【0049】
図7に示す別の実施例において、第ポール142に加えて第2ポール148が設けられる。図8aに示すように、第3部分または第2ポール148は、第2部分110をダイス161のオリフィス158に通して押し出すことにより得られ、そこにおいて材料106は、組み合わされるダイス161に適合するポンチ163によってオリフィス158に押し込まれる(図8b参照)。ポンチ163がダイス161から離されると、エジェクタ159が材料106に対向する端部からオリフィス158に入り、材料106をダイス161から取り出す。
【0050】
その結果、オリフィス156を有するダイス153がダイス167に対して押されるとき、材料106の第3部分または第2ポール148は第167内の適所に保持され(図8d−8e参照)、その結果、第1端部108はオリフィス156を通って押し出されて第1ポール142と平坦化ディスク126を設ける(図8d−8e参照)。
【0051】
平坦化ディスク126が完成すると、ダイス153は取り外され、平坦化ディスク126の第1ポール142に対向する側に第2ポール148を設けられた(工程44)材料106をエジェクタ155が取り出す。
【0052】
ポール142、148はオリフィス156、158に基づいて異なった直径または形状であってもよいことを理解すべきである。図8a−8eに示すように、オリフィス156の寸法は第1部分108(第1ポール142)の直径112とは関係なく、そこにおいてオリフィス156は直径112より大きくても、より小さくても、或いは同じ直径であってもよい。作業者の選択に基づいて、オリフィス156のための寸法が決定され、そして第2ポール148は、第2ポール148の直径が第1ポール142の直径112と異なるように、ダイス161に通して押し出され(工程54)または圧縮される。
【0053】
加えて、オリフィス158の形状は第1ポール142またはオリフィス156の形状とは無関係である。いくつかの実施形態において、本方法は、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形、多角形およびそれらの組合せからなる群から選択された断面形状を有する第2ポール148を設けるように、ダイス161またはオリフィス158に通して第3部分または第2ポール148を押し出す(工程56)。図9a−9dに示すように、第2ポール148の断面または形状のいくつかの例が示されており、それらの形状はオリフィス158に起因する。オリフィス117および/またはオリフィス156の限定はオリフィス158の形状と同様にオリフィス158と同じ限定を含む。
【0054】
平坦化ディスク126から持ち上がり壁128を完成するために、図8fは第1ポール142を堅固な手段で保持することを示しており、そこにおいてダイス153かまたは別のダイス(第1ポール142を押し出すように用いられるダイス153が第1ポール142を固定するのに不適当な場合には別のダイスが使用される。)に保持される。
【0055】
チャネル165を有するダイス157およびオリフィス158’(オリフィス158と同じ寸法を有する。)を有する内部ダイス169は、平坦化ディスク126に対して下向きにもたらされて、持ち上がり壁128(図8g参照)を生じる。内部ダイス169はバネ171によってばね荷重を加えられるので、内部ダイス169はチャネル165内に押し込まれ、ダイス157とダイス153の間に押されることにより持ち上がり壁を形成できる(図8g参照)。ダイス153はチャネル165から取り外され、そしてエジェクタ173が材料106をダイス153から取り外す。
【0056】
第2ポール148および第2ポール142を設けるための方法が、第1ポール142および第1ポール142を設けるための方法のすべての利点および限定を含み、グレイン線の配向、第2ポール148の厚さの制御、そして第2ポール148がソレノイド・ハウジング102の残部と一体に結合されること、そして第2ポール148が単一の材料106から押し出されて形成されることを含むことに留意することは重要である。加えて、焼きなましが図8a−8gに示す工程の少なくとも1つの工程間に導入される。
【0057】
図10a−10fに示すように、外壁206にフランジ204が取り付けられた別の実施形態のハウジング200が示されている。図10aに示すように、第1端部108と第2端部110を備えた材料が前述と同様な手段で用意され、そしてフランジ204は第1端部108および第2端部110と同じ材料から押し出され、そこにおいて図10a−10fの元で説明されるすべてのコンポーネントが一体に結合され、そして図10a−10fに示される工程少なくとも1つの工程間で焼きなましおよび/または応力軽減が行われる。
【0058】
図10bに示すように、第2端部110はダイス207内に置かれ、ダイス207の側壁209により拘束される。側壁209が第2端部110と接触する必要はなく、そしていくつかの実施形態において、第2端部10とダイス207の間に間隙があることを理解されたい。
【0059】
オリフィス213を有するポンチ211が材料106に対して下向きに動かされると、ダイス207とポンチ228の間に押し込まれる第2端部110によって持ち上がり壁228が形成される。前述の持ち上がり壁128と同様に、持ち上がり壁228は第2端部110の全周辺に沿って延び、そしていくつかの実施形態において、持ち上がり壁128と同様な限定を含む。図10参照。オリフィス213の寸法および形状は、最終的にポール208(図10f参照)となる第1端部108の寸法および形状を表わす。
【0060】
別の実施形態において、オリフィス213に材料を押し込んでポール208を形成するダイス207内に置かれたとき、ポンチ211は材料上に下げられるので、ダイス207内に置かれる前に第1端部106を押し出す必要はない。これらの実施形態において、材料は、ダイス207に置かれるとき、単一の円筒体である。
【0061】
図10dは、ダイス207から取り出されたときの、ポール208、持ち上がり壁208および基部226を有する材料206を示す。
【0062】
図10eに示すように、材料206は上下逆にされてダイス215内に置かれ、そこにおいてポール208および持ち上がり壁228は固定され、基部226は露呈される。図10fに示すように、ポンチ217は平坦化ディスク232を形成するように第2端部110上に下げられ、そこにおいてディスク232の最外方周辺部がフランジ204を画定するように持ち上がり壁228の直径を越えて延び、フランジ204は持ち上がり壁228、基部226およびポール208を設けるのに用いられたものと同じ材料から押し出しおよび/または押し抜かれる。
【0063】
別の実施形態で示されるように、図11aは六角形形状の持ち上がり壁224を有するハウジング222を示している。持ち上がり壁224は六角形として形作られているが、その他の実施形態では八角形、正方形、長方形、三角形、またはいずれかの多角形のように形成された壁を有することを理解されたい。変形形態は形作られる限り制限はない。図2に示すように、本方法20は持ち上がり壁を形成する工程39を含み、それにより正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形、多角形およびそれらの組合せからなる群から選択された断面形状を有する。
【0064】
前述の実施形態のすべての記載と合致して、種々の形状の持ち上がり壁224はハウジングと一体に結合され、そしてそこにおいて図11a−11dを参照して述べたすべてのコンポーネントは一体に結合され、そして図11a−11dに示す工程の少なくとも1つの工程間に焼きなましおよび/または応力軽減が行われる。
【0065】
図11bに示すように、ポール234と平坦化ディスク236は図4aを参照して述べたようにして用意され、そしてその周縁部236の回りに六角形形状を有するポンチ227に対して置かれる。オリフィス238を有するダイス225はディスク236に対して下げられ、そこにおいてポンチ227とディスク236はオリフィス238内に適合し、そしてオリフィスがまた六角形形状を有する。このことは図11c−11dにより詳細に示されている。
【0066】
図11c−11dに示すように、ポンチ227はポール234を配置または固定するようにオリフィス239を備える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部分と第2部分を有する中実円筒体の展性材料を用意する工程と、
円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径よりも小さくなるように減縮する工程と、
総体的に第1部分に垂直な平坦化ディスクを生じるように、第2部分を第1部分に向かって軸方向へ圧縮する工程と、
持ち上がり壁を画定するように、少なくとも平坦化ディスクの周辺部の一部を第1部分に向かう方向へ持ち上げる工程とからなり、
そこにおいて、第1部分、第2部分および持ち上がり周辺部が単一の部品としてすべて一体に結合される、ソレノイド・ハウジングの作成方法。
【請求項2】
第1部分の直径は円筒体の第1部分をダイスに通して押し出すことにより縮減される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1部分と、第1部分に対面する平坦化ディスクの側部と第1部分との連結部により画定される領域とを形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1部分と第2部分を有する中実円筒体の展性材料を用意する工程と、
円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径より小さくなるように縮減する工程と、
第2部分を第1部分に向かって軸方向へ圧縮して、総体的に第1部分に垂直な平坦化ディスクとなす工程と、
平坦化ディスクの周縁部の少なくとも一部を第1部分に向かう方向へ持ち上げる工程
の少なくとも1つの工程の後にハウジングを磁気焼きなましする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
持ち上がり周辺部の少なくとも一部の断面に対する平坦化ディスクの断面を制御する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
持ち上がり周辺部の厚さを平坦化ディスクの厚さよりも小さく減縮する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
平坦化ディスクの総体的な中心から総体的に外方へ延びる放射方向となるように平坦化ディスクの複数のグレイン線を配向させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
総体的に第1部分の長さに沿って延びる軸方向となるように第1部分の複数のグレイン線を配向させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
中実円筒体の展性材料の第3の部分を第1部分に対向する第2部分の側に設ける工程と、
円筒体の第3部分を押し出すことにより第3の部分の直径を第2部分の直径より小さく縮減する工程と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第3部分が正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形、多角形およびそれらの組合せからなる群から選択された断面形状を有するように、円筒体の第3部分をダイスに通して押し出す工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第3部分の直径が第1部分の直径と異なるように、円筒体の第3部分をダイスに通して押し出す工程をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
持ち上がり周辺部の上方部分にフランジを設ける工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
持ち上がり周辺部の下方部分にフランジを設ける工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第2部分が正方形、長方形、三角形、五角形、六角形、八角形、多角形およびそれらの組合せからなる群から選択された断面形状を有するように、第2部分をダイスに通して押し出す工程をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
第1部分と第2部分を有する中実円筒体の展性材料を用意する工程と、
円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径よりも小さくなるように減縮する工程と、
総体的に第1部分に垂直な平坦化ディスクを生じるように、第2部分を第1部分に向かって軸方向へ圧縮する工程と、
持ち上がり壁を画定するように、少なくとも平坦化ディスクの周辺部の一部を第1部分に向かう方向へ持ち上げる工程と、
持ち上がり周縁部の少なくとも一部の断面に対する平坦化ディスクの断面を制御する工程と、
平坦化ディスクの総体的な中心から外向きに延びる放射方向となるように平坦化ディスクの複数のグレイン線を配向させる工程と、
第1部分の長さ方向に沿って延びる軸方向となるように第1部分のグレイン線を配向させる工程と
からなる、ソレノイド・ハウジングの作成方法。
【請求項16】
第1部分と第2部分を有する中実円筒体の展性材料を用意する工程と、
円筒体の第1部分の直径を円筒体の第2部分の直径より小さくなるように縮減する工程と、
第2部分を第1部分に向かって軸方向へ圧縮して、総体的に第1部分に垂直な平坦化ディスクとなす工程と、
持ち上がり壁を形成するように平坦化ディスクの周縁部の少なくとも一部を第1部分に向かう方向へ持ち上げる工程と、
持ち上がり周縁部の少なくとも一部の断面に対する平坦化ディスクの断面を制御する工程と、
平坦化ディスクの総体的な中心から外向きに延びる放射方向となるように平坦化ディスクの複数のグレイン線を配向させる工程と、
第1部分の長さ方向に沿って延びる軸方向となるように第1部分のグレイン線を配向させる工程
の少なくとも1つの工程の後にハウジングを磁気焼きなましする工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図8f】
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【図8g】
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【図9a】
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【図9b】
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【図9c】
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【図9d】
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【図10a】
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【図10b】
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【図10c】
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【図10d】
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【図10e】
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【図10f】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図11d】
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【公表番号】特表2010−527788(P2010−527788A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504087(P2010−504087)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/004977
【国際公開番号】WO2008/130605
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(509287418)インディメット、インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】