説明

タンデムポンプユニット及び作業車輌

【課題】部品点数削減によるコスト低廉化を図りつつ第1及び第2油圧ポンプを収容する第1及び第2ポンプ空間内の貯留油の温度上昇を有効に防止する。
【解決手段】軸線方向に関し第1及び第2油圧ポンプの間に位置するポートブロックに第1油圧ポンプ用チャージ油路及び第2油圧ポンプ用チャージ油路の双方の油圧を設定する単一のリリーフ弁を設け、前記リリーフ弁からのリリーフ油を前記第1及び第2ポンプ空間の双方へ案内し、且つ、前記第1及び第2ポンプ空間をそれぞれ外部に開く第1及び第2ポンプ側ドレンポートを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1及び第2油圧ポンプが直列配置されたタンデムポンプユニット、並びに、前記タンデムポンプユニットを備えた作業車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
第1及び第2油圧ポンプが直列配置されたタンデムポンプユニットは、従来から種々提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に記載のタンデムポンプユニット(以下、従来構成という)は、第1油圧ポンプが一対の駆動輪の一方を作動的に駆動する第1油圧モータと共働して第1HSTを形成し且つ第2油圧ポンプが前記一対の駆動輪の他方を作動的に駆動する第2油圧モータと共働して第2HSTを形成するように作業車輌に適用されており、従って、前記タンデムポンプユニットには前記第1及び第2HSTに対するチャージ油源として作用するチャージポンプが備えられている。
【0004】
詳しく説明すると、前記従来構成には、前記第1HSTにおける一対の作動油ラインの一部を形成する一対の第1油圧ポンプ用作動油路と、前記第2HSTにおける一対の作動油ラインの一部を形成する一対の第2油圧ポンプ用作動油路と、前記チャージポンプからの圧油を前記一対の第1油圧ポンプ用作動油路へ供給する為の第1油圧ポンプ用チャージ油路と、前記チャージポンプからの圧油を前記一対の第2油圧ポンプ用作動油路へ供給する為の第2油圧ポンプ用チャージ油路とが設けられており、前記第1及び第2油圧ポンプ用チャージ油路の油圧は単一のリリーフ弁によって設定されている。
【0005】
ところで、前記従来構成においては、前記リリーフ弁は直列配置された前記第1及び第2油圧ポンプの回転軸線方向一方側に配置されており、前記リリーフ弁からのドレン油は、前記第1及び第2油圧ポンプのうち前記リリーフ弁に近接する側の油圧ポンプを収容する一方のポンプ空間に排出されている。
【0006】
前記従来構成には、前記一方のポンプ空間を前記第1及び第2油圧ポンプのうち前記リリーフ弁から離間された側の油圧ポンプを収容する他方のポンプ空間に流体接続する油流通孔が設けられており、これにより、前記リリーフ弁から前記一方のポンプ空間へ流入されたドレン油が前記一方のポンプ空間及び前記他方のポンプ空間の双方に行きわたるようになっている。
【0007】
しかしながら、前記特許文献1には、前記一方のポンプ空間及び前記他方のポンプ空間の貯留油を積極的に循環させて、貯留油の温度上昇を有効に防止することについては開示も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−116107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、第1及び第2油圧ポンプが直列配置されてなるタンデムポンプユニットであって、部品点数削減によるコスト低廉化を図りつつ、前記第1及び第2油圧ポンプを収容する第1及び第2ポンプ空間内の貯留油の温度上昇を有効に防止し得るタンデムポンプユニット、並びに、前記タンデムポンプユニットを備えた作業車輌の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために、ポートブロックと前記ポートブロックの厚み方向一方側及び他方側の端面にそれぞれ摺接する第1及び第2油圧ポンプと前記第1油圧ポンプを収容する第1ポンプ空間を形成するように前記ポートブロックに連結される第1ポンプケースと前記第2油圧ポンプを収容する第2ポンプ空間を形成するように前記ポートブロックに連結される第2ポンプケースとを備えたタンデムポンプユニットであって、前記ポートブロックには、前記第1油圧ポンプに流体接続された状態で少なくとも一端部が外表面に開口して一対の給排ポートを形成する一対の第1油圧ポンプ用作動油路と、圧油供給源からの圧油をチェック弁を介して前記一対の第1油圧ポンプ用作動油路へ供給する為の第1油圧ポンプ用チャージ油路と、前記第2油圧ポンプに流体接続された状態で少なくとも一端部が外表面に開口して一対の給排ポートを形成する一対の第2油圧ポンプ用作動油路と、前記圧油供給源からの圧油をチェック弁を介して前記一対の第2油圧ポンプ用作動油路へ供給する為の第2油圧ポンプ用チャージ油路と、前記第1及び第2油圧ポンプ用チャージ油路の油圧を設定する単一のリリーフ弁と、前記リリーフ弁からのリリーフ油を前記第1ポンプ空間へ案内する第1リリーフドレン油路と、前記リリーフ油を前記第2ポンプ空間へ案内する第2リリーフドレン油路とが設けられ、前記ポートブロック及び前記第1ポンプケースの少なくとも一方には前記第1ポンプ空間を外部に開く第1ポンプ側ドレンポートが設けられ、前記ポートブロック及び前記第2ポンプケースの少なくとも一方には前記第2ポンプ空間を外部に開く第2ポンプ側ドレンポートが設けられているタンデムポンプユニットを提供する。
【0011】
一形態においては、前記ポートブロックは、前記第1油圧ポンプが摺接する厚み方向第1端面及び前記第1端面とは厚み方向反対側の第2端面を有する第1ポートブロックと、前記第2油圧ポンプが摺接する厚み方向第1端面及び前記第1端面とは厚み方向反対側の第2端面を有する第2ポートブロックとを含むものとされ、前記第1及び第2ポートブロックの前記第2端面同士が当接された状態で連結される。
【0012】
又、本発明は、前記タンデムポンプユニットと、前記タンデムポンプユニットの動力源となるエンジンと、左右一対の駆動輪と、前記第1油圧ポンプと共働して第1HSTを形成する第1油圧モータを有し、前記第1油圧モータの回転動力を前記一対の駆動輪の一方に向けて出力する第1油圧モータユニットと、前記第2油圧ポンプと共働して第2HSTを形成する第2油圧モータを有し、前記第2油圧モータの回転動力を前記一対の駆動輪の他方に向けて出力する第2油圧モータユニットと、前記エンジンによって作動的に駆動され、前記第1及び第2油圧ポンプ用チャージ油路への圧油供給源として作用するチャージポンプと、前記チャージポンプの油源として作用する油タンクとを備えた作業車輌であって、前記第1油圧モータユニットには前記第1油圧モータを収容する第1モータ空間を外部に開く一対の第1モータ側ドレンポートが設けられ、前記第2油圧モータユニットには前記第2油圧モータを収容する第2モータ空間を外部に開く一対の第2モータ側ドレンポートが設けられ、前記第1ポンプ側ドレンポートが前記一対の第1モータ側ドレンポートの一方に流体接続され且つ前記一対の第1モータ側ドレンポートの他方が前記油タンクに流体接続され、前記第2ポンプ側ドレンポートが前記一対の第2モータ側ドレンポートの一方に流体接続され且つ前記一対の第2モータ側ドレンポートの他方が前記油タンクに流体接続されている作業車輌を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るタンデムポンプユニットによれば、軸線方向に関し第1及び第2油圧ポンプの間に位置するポートブロックに第1油圧ポンプ用チャージ油路及び第2油圧ポンプ用チャージ油路の双方の油圧を設定する単一のリリーフ弁を設け、前記リリーフ弁からのリリーフ油を前記第1及び第2油圧ポンプをそれぞれ収容する第1及び第2ポンプ空間へ案内し、且つ、前記第1及び第2ポンプ空間をそれぞれ外部に開く第1及び第2ポンプ側ドレンポートを設けたので、前記リリーフ弁の共用による部品点数の削減を図りつつ、追加部材を備えること無く前記第1及び第2ポンプ空間内の貯留油の効率的な循環による前記貯留油の油温上昇を抑えることができる。
【0014】
又、本発明に係る作業車輌によれば、前記タンデムポンプユニットにおける前記第1ポンプ側ドレンポートが第1油圧モータユニットにおける一対の第1モータ側ドレンポートの一方に流体接続され且つ前記一対の第1モータ側ドレンポートの他方が油タンクに流体接続され、さらに、前記タンデムポンプユニットにおける前記第2ポンプ側ドレンポートが前記一対の第2モータ側ドレンポートの一方に流体接続され且つ前記一対の第2モータ側ドレンポートの他方が前記油タンクに流体接続されているので、追加部材を備えることなく、第1及び第2ポンプ空間、第1及び第2モータ空間並びに油タンクの間で貯留油を積極的に循環させることができ、第1及び第2油圧ポンプ並びに第1及び第2油圧モータの温度上昇を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るタンデムポンプユニットの断面図である。
【図2】図2は、前記タンデムポンプユニットが適用された作業車輌の油圧回路図である。
【図3】図3は、図1におけるIII-III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、図1におけるIV-IV線に沿った断面図である。
【図5】図5は、図1におけるV-V線に沿った断面図である。
【図6】図6は、図5におけるVI-VI線に沿った端面図である。
【図7】図7は、図1におけるVII-VII線に沿った端面図である。
【図8】図8は、図1におけるVIII-VIII線に沿った端面図である。
【図9】図9は、図1におけるIX-IX線に沿った端面図である。
【図10】図10は、図5におけるX-X線に沿った断面図である。
【図11】図11は、前記作業車輌における第1油圧モータユニット近傍の断面図である。
【図12】図12は、図11に示す前記第1油圧モータユニットの断面図である。
【図13】図13は、図12に示す前記第1油圧モータユニットの変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るポンプユニットの好ましい実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1に本実施の形態に係るポンプユニット1の断面図を示す。
図1に示すように、前記ポンプユニット1は第1及び第2油圧ポンプが同一直線上に直列配置されたタンデム型とされている。
【0018】
即ち、前記ポンプユニット1は、複数の油路が形成されたポートブロック10と、前記ポートブロック10の厚み方向一方側の第1ポンプ側端面10(1)に摺接する第1油圧ポンプ15と、前記ポンプユニットの厚み方向他方側の第2ポンプ側端面10(2)に摺接する第2油圧ポンプ25と、前記第1油圧ポンプ15を収容する第1ポンプ空間P1を形成するように前記ポートブロック10に連結される第1ポンプケース16と、前記第2油圧ポンプ25を収容する第2ポンプ空間P2を形成するように前記ポートブロック10に連結される第2ポンプケース26とを備えている。
【0019】
前記ポンプユニット1は、例えば、走行系変速装置500を構成する部材として作業車輌に適用される。
図2に、前記ポンプユニット1が適用された走行系変速装置500の油圧回路図を示す。
【0020】
図2に示す前記走行系変速装置500においては、前記ポンプユニット1の前記第1油圧ポンプ15は左右一対の第1及び第2駆動輪501、502の一方501を駆動する第1油圧モータ511と共働して第1HSTを形成し、前記第2油圧ポンプ25は前記一対の第1及び第2駆動輪501、502の他方502を駆動する第2油圧モータ521と共働して第2HSTを形成している。
【0021】
詳しくは、図2に示すように、前記作業車輌は、前記ポンプユニット1に加えて、前記ポンプユニット1の動力源となるエンジン505と、前記一対の第1及び第2駆動輪501、502と、前記第1油圧ポンプ15に一対の第1油圧ライン410を介して流体接続されて前記第1HSTを形成する前記第1油圧モータ511を有し、前記第1油圧モータ511の回転動力を前記第1駆動輪501に向けて出力する第1油圧モータユニット510と、前記第2油圧ポンプ25に一対の第2油圧ライン420を介して流体接続されて前記第2HSTを形成する前記第2油圧モータ521を有し、前記第2油圧モータ521の回転動力を前記第2駆動輪502に向けて出力する第2油圧モータユニット520と、前記エンジン505によって作動的に駆動され、前記第1及び第2HSTに対する作動油供給源として作用するチャージポンプ530と、前記チャージポンプ530の油源として作用する油タンク540とを備えている。
【0022】
図2に示すように、前記ポートブロック10には、前記一対の第1油圧ライン410の一部を形成する一対の第1油圧ポンプ用作動油路411と、前記一対の第2油圧ライン420の一部を形成する一対の第2油圧ポンプ用作動油路421とが形成されている。
【0023】
本実施の形態においては、図1に示すように、前記ポートブロック10は、前記第1油圧ポンプ15が摺接する摺接領域10a(1)を含む前記第1ポンプ側端面10(1)を有し且つ前記第1ポンプケース16が連結される第1ポートブロック11と、前記第2油圧ポンプ25が摺接する摺接領域10a(2)を含む前記第2ポンプ側端面10(2)を有し且つ前記第2ポンプケース26が連結される第2ポートブロック12とを含んでいる。
前記摺接領域10a(1)、10a(2)の各々には、対応する前記第1及び第2油圧ポンプ15、16の吸入・吐出部に通じる一対のキドニーポート(図示せず)が設けられており、前記一対のキドニーポートを介して対応する前記油圧ポンプ及び対応する前記油圧ポンプ用作動油路の間で作動油が給排されるようになっている。
なお、本実施の形態においては、図1に示すように、前記油圧ポンプ15、16は、前記吸入・吐出部を有する端面が凹状球面とされており、前記摺接領域の外表面は前記凹状球面と係合する凸状球面とされている。
【0024】
詳しくは、図1に示すように、前記第1ポートブロック11は、前記第1ポンプ側端面10(1)を形成する第1端面11(1)と前記第1端面11(1)とは厚み方向反対側の第2端面11(2)とを有している。
一方、前記第2ポートブロック12は、前記第2ポンプ側端面10(2)を形成する第1端面12(1)と前記第1端面12(1)とは厚み方向反対側の第2端面12(2)とを有している。
そして、前記第1及び第2ポートブロック11、12は、前記第2端面11(2)、12(2)同士が当接された状態で連結されている。
【0025】
図3に、図1におけるIII-III線に沿った前記第1ポートブロック11の断面図を示す。
又、図4に、図1におけるIV-IV線に沿った前記第2ポートブロック12の断面図を示す。
図3及び図4に示すように、本実施の形態においては、前記一対の第1油圧ポンプ用作動油路411は前記第1ポートブロック11に形成され、前記一対の第2油圧ポンプ用作動油路421は前記第2ポートブロックに形成されている。
【0026】
図3に示すように、前記一対の第1油圧ポンプ用作動油路411は、前記第1油圧ポンプ15に流体接続された状態で少なくとも一端部が外表面に開口して一対の第1給排ポート411(P)を形成している。
【0027】
詳しくは、図1及び図3に示すように、前記第1ポートブロック11には対応する前記第1油圧ポンプ15を駆動する第1ポンプ軸17が挿通されるように前記第1及び第2端面11(1)、11(2)間を貫通する軸線孔11aが形成されている。
【0028】
図3に示すように、前記一対の第1油圧ポンプ用作動油路411は、前記軸線孔11aを挟んで互いに対して平行な状態で前記第1ポートブロック11の第1板面方向に延び且つ前記第1油圧ポンプ15に流体接続されるように前記第1端面11(1)に開口された一対の平行部415と、前記一対の平行部415から前記第1板面方向一方側に延びて外表面に開口し前記一対の第1給排ポート411(P)を形成する一対のメイン開口部416とを有している。
【0029】
なお、本実施の形態においては、前記一対の第1油圧ポンプ用作動油路411は、前記一対の平行部415から前記第1板面方向反対側に延びて外表面に開口する一対のサブ開口部417を有しており、前記一対のサブ開口部417はプラグ417aによって閉塞されている。
【0030】
同様に、図4に示すように、前記一対の第2油圧ポンプ用作動油路421は、前記第2油圧ポンプ25に流体接続された状態で少なくとも一端部が外表面に開口して一対の第2給排ポート421(P)を形成している。
【0031】
詳しくは、図1及び図4に示すように、前記第2ポートブロック12には対応する前記第2油圧ポンプ25を駆動する第2ポンプ軸27が挿通されるように前記第1及び第2端面12(1)、12(2)間を貫通する軸線孔12aが形成されている。
【0032】
図4に示すように、前記一対の第2油圧ポンプ用作動油路421は、前記軸線孔12aを挟んで互いに対して平行な状態で前記第2ポートブロック12の第1板面方向に延び且つ前記第2油圧ポンプ25に流体接続されるように前記第1端面12(1)に開口された一対の平行部425と、前記一対の平行部425から前記第1板面方向一方側へ延びて外表面に開口し前記一対の第2給排ポート421(P)を形成する一対のメイン開口部426とを有している。
【0033】
なお、本実施の形態においては、前記一対の第2油圧ポンプ用作動油路421は、前記一対の平行部425から前記第1板面方向反対側に延びて外表面に開口する一対のサブ開口部427を有しており、前記一対のサブ開口部427はプラグ427aによって閉塞されている。
【0034】
図2に示すように、前記ポートブロック10には、さらに、作動油供給源として作用する前記チャージポンプ530からの圧油を一対のチェック弁435を介して前記一対の第1油圧ポンプ用作動油路411へ案内する第1油圧ポンプ用チャージ油路430(1)と、前記チャージポンプ530からの圧油を一対のチェック弁435を介して前記一対の第2油圧ポンプ用作動油路421へ案内する第2油圧ポンプ用チャージ油路430(2)とが形成されている。
【0035】
前記ポートブロック10が前記第1及び第2ポートブロック11、12を有している本実施の形態においては、前記第1及び第2油圧ポンプ用チャージ油路430(1)、430(2)はそれぞれ前記第1及び第2ポートブロック11、12に形成されている。
【0036】
詳しくは、図3に示すように、前記第1油圧ポンプ用チャージ油路430(1)は、一端部が外表面に開口して圧油受入ポート430Pを形成可能で且つ他端部が分岐されて前記一対の第1ポンプ用作動油路411にそれぞれ前記チェック弁435を介して流体接続されている。
【0037】
同様に、図4に示すように、前記第2油圧ポンプ用チャージ油路430(2)は、一端部が外表面に開口して圧油受入ポート430Pを形成可能で且つ他端部が分岐されて前記一対の第2ポンプ用作動油路421にそれぞれ前記チェック弁435を介して流体接続されている。
【0038】
本実施の形態においては、前記チャージポンプ530からの圧油を前記第1及び第2油圧ポンプ用チャージ油路430(1)、430(2)へ供給する為の配管構造の簡略化を図る為に、下記構成を採用している。
【0039】
即ち、前記第1及び第2油圧ポンプ用チャージ油路430(1)、430(2)の何れか一方のチャージ油路(本実施の形態においては前記第1油圧ポンプ用チャージ油路430(1))の前記圧油受入ポート430Pをプラグ431(図3参照)によって閉塞し且つ前記チャージポンプ530を他方のチャージ油路(本実施の形態においては前記第2油圧ポンプ用チャージ油路430(2))の前記圧油受入ポート430Pに流体接続させた状態で、他方のチャージ油路の圧油の一部を一方のチャージ油路へ分流させている。
【0040】
具体的には、図1、図3及び図4に示すように、前記第1及び第2ポートブロック11、12の各々には、一端部が対応する前記チャージ油路430(1)、430(2)に流体接続され且つ他端部が前記第2端面11(2)、12(2)に開口されて接続ポート440Pを形成する分岐油路440が設けられている。
【0041】
前記接続ポート440Pは、図3及び図4に示すように、前記軸線孔11a,12aの軸線を通った状態で前記第1板面方向及び前記ポートブロック11、12の厚み方向に沿った仮想面IP上に位置されており、これにより、前記第1及び第2ポートブロック11、12の前記第2端面11(2)、12(2)同士を当接させた状態で両ポートブロック11、12を連結することにより前記第1ポートブロック11の前記接続ポート440P及び前記第2ポートブロック12の前記接続ポート440Pが流体接続されるようになっている。
【0042】
図2に示すように、本実施の形態に係る前記ポンプユニット1は、さらに、前記第1及び第2油圧ポンプ用チャージ油路430(1)、430(2)の油圧を設定する単一のリリーフ弁450と、前記リリーフ弁450からのリリーフ油を前記第1ポンプ空間P1へ案内する第1リリーフドレン油路460(1)と、前記リリーフ油を前記第2ポンプ空間P2へ案内する第2リリーフドレン油路460(2)とを有している。
【0043】
前述の通り、本実施の形態に係る前記ポンプユニット1においては、前記ポートブロック10は前記第1及び第2ポートブロック11、12を含んでいる。
この場合には、前記単一のリリーフ弁450は前記第1及び第2ポートブロック11、12の一方(本実施の形態においては前記第1ポートブロック11)に装着される。
【0044】
図5に、図1におけるV-V線に沿った断面図を示す。
又、図6に、図5におけるVI-VI線に沿った端面図を示す。
図3及び図5に示すように、前記第1及び第2ポートブロック11、12の一方(本実施の形態においては前記第1ポートブロック11)には、一端部が前記チェック弁435より圧油流れ方向上流側において対応する前記チャージ油路430(1)に流体接続され且つ他端部が外表面に開口された穿孔459が形成されている。
そして、前記リリーフ弁450は一次側が前記チャージ油路430(1)に臨むように前記他端部から前記穿孔459内に挿入されている。
【0045】
本実施の形態においては、前記第1及び第2ポートブロック11、12はベース構造は共通とされている。
即ち、前記第1及び第2ポートブロック11、12は一方(本実施の形態においては前記第1ポートブロック11)に前記チェック弁435が備えられている点を除き、実質的に同一構成を有するものとされている。
詳しくは、前記リリーフ弁450が装着されない側のポートブロック(本実施の形態においては前記第2ポートブロック12)にも、図4及び図5に示すように、一端部が前記チェック弁435より圧油流れ方向上流側において対応する前記チャージ油路430(2)に流体接続され且つ他端部が外表面に開口された穿孔459が形成されている。
そして、前記リリーフ弁450が装着されない側のポートブロック12においては、前記穿孔459の他端部はプラグ458によって閉塞されている。
【0046】
なお、図3及び図4に示すように、前記第1及び第2ポートブロック11、12の各々には、板厚方向に沿って視た際の四隅に取付ボス13が設けられている。この取付ボス13を備えることにより、前記第1及び第2ポートブロック11、12の汎用性を向上させることができる。即ち、前記取付ボス13を備えることによって、前記第1及び第2ポートブロック11、12の各々を独立して固定部材に取り付ける仕様態様にも対応可能となる。
【0047】
前記第1リリーフドレン油路460(1)は、図5に示すように、一端部が前記リリーフ弁450の二次側に流体接続され且つ他端部が対応するポンプ空間(本実施の形態においては第1ポンプ空間P1)に開口されるように前記リリーフ弁450が装着された側のポートブロック(本実施の形態においては前記第1ポートブロック11)に形成されている。
詳しくは、前記第1リリーフドレン油路460(1)の他端部は、対応する前記摺接領域10a(1)以外の領域において前記第1端面11(1)に開口されている。
【0048】
一方、前記第2リリーフドレン油路460(2)は、図5に示すように、一端部が前記リリーフ弁450の二次側に流体接続され且つ他端部が前記第2端面11(2)に開口されるように前記リリーフ弁450が装着された側のポートブロック(本実施の形態においては前記第1ポートブロック11)に形成された上流側部分461と、前記上流側部分461を前記リリーフ弁450が装着されない側のポートブロックによって形成されるポンプ空間(本実施の形態においては第2ポンプ空間P2)に流体接続させるように前記リリーフ弁450が装着されない側のポートブロック(本実施の形態においては前記第2ポートブロック12)に形成された下流側部分462とを含んでいる。
詳しくは、前記下流側部分462は、一端部が前記上流側部分に流体接続されるように前記第2端面12(2)に開口され且つ他端部が対応する前記摺接領域10a(2)以外の領域において前記第1端面12(1)に開口されている。
【0049】
なお、本実施の形態においては、図3及び図4に示すように、前記第1及び第2ポートブロック11、12の各々には、対応する前記一対の作動油路411(421)の間を選択的に連通又は遮断するバイパス弁480が備えられている。
【0050】
さらに、図2に示すように、前記ポンプユニット1には、前記第1ポンプ空間P1を外部に開く第1ポンプ側ドレンポート470(1)と前記第2ポンプ空間P2を外部に開く第2ポンプ側ドレンポート470(2)とが設けられている。
前記第1ポンプ側ドレンポート470(1)は前記ポートブロック10及び前記第1ポンプケース16の少なくとも一方に形成され、前記第2ポンプ側ドレンポート470(2)は前記ポートブロック10及び前記第2ポンプケース26の少なくとも一方に形成される。
【0051】
図1に示すように、本実施の形態においては、前記第1ポンプ側ドレンポート470(1)は前記第1ポンプケース16に形成され、前記第2ポンプ側ドレンポート470(2)は前記第2ポンプケース26に形成されている。
【0052】
このように、本実施の形態に係る前記ポンプユニット1は、前記ポートブロック10の一方側及び他方側に形成された前記第1及び第2ポンプ空間P1、P2に前記第1及び第2油圧ポンプ15、25がそれぞれ収容されたタンデムポンプユニットにおいて、前記第1油圧ポンプ15を含む前記第1HSTに作動油を補給する為の前記第1油圧ポンプ用チャージ油路430(1)及び前記第2油圧ポンプ25を含む前記第2HSTに作動油を補給する為の前記第2油圧ポンプ用チャージ油路430(2)の油圧を単一の前記リリーフ弁450によって設定するように構成されており、これにより、部品共通化によるコスト低廉を図っている。
【0053】
さらに、前記ポンプユニット1は、軸線方向に関し前記第1及び第2油圧ポンプ15、25の間に位置する前記ポートブロック10に前記単一のリリーフ弁450を装着させつつ、前記リリーフ弁450からのリリーフ油を前記第1及び第2ポンプ空間P1、P2にそれぞれ案内し、且つ、前記第1及び第2ポンプ空間P1、P2の貯留油を前記第1及び第2ポンプ側ドレンポート470(1)、470(2)を介して外部に排出させ得るように構成されており、これにより、追加部品を備えること無く前記第1及び第2ポンプ空間P1、P2内の貯留油を効率的に循環させることができ、これにより、前記貯留油の温度上昇を有効に抑え得るようになっている。
【0054】
好ましくは、前記ポートブロック10には前記第1及び第2ポンプ空間P1、P2を流体接続させる貫通孔が形成される。
前述の通り、本実施の形態においては前記ポートブロック10は前記第1及び第2ポートブロック11、12を有している。
従って、図3及び図4に示すように、前記貫通孔は、前記第1ポートブロック11に形成された第1貫通孔11bと前記第2ポートブロック12に形成された第2貫通孔12bとを含んでいる。
【0055】
前記第1貫通孔11bは、一端部が前記第1ポンプ空間P1に流体接続するように前記第1端面11(1)に開口し且つ他端部が前記第2端面11(2)に開口している。
前記第2貫通孔12bは、一端部が前記第2ポンプ空間P2に流体接続するように前記第1端面12(1)に開口し且つ他端部が前記第1貫通孔11bに流体接続するように前記第2端面12(2)に開口している。
【0056】
本実施の形態に係る前記ポンプユニット1においては、図1に示すように、前記第1ポンプ軸17は一端部が前記第1ポンプ空間P1から外方へ延在された状態で前記第1ポンプケース16及び前記第1ポートブロック11に軸線回り回転自在に支持されており、前記第1ポンプ軸17の一端部に前記エンジン505からの回転動力が入力可能とされている。
【0057】
前記第2ポンプ軸27は、前記第1ポンプ軸17と同軸上において前記第1ポンプ軸17に相対回転不能に連結された状態で前記第2ポンプケース26及び前記第2ポートブロック12に軸線回り回転自在に支持されている。
【0058】
図1に示すように、本実施の形態においては、前記チャージポンプ530は前記第2ポンプ軸27からの回転動力によって駆動されている。
即ち、前記第2ポンプ軸27は、一端部が前記第1ポンプ軸17の他端部に相対回転不能に連結され且つ他端部から前記チャージポンプ530に回転動力を出力している。
【0059】
前記チャージポンプ530は種々の形態をとり得るが、本実施の形態においてはギヤポンプとされている。
図7に、図1におけるVII-VII線に沿った端面図を示す。
【0060】
詳しくは、図1及び図7に示すように、前記チャージポンプ530は、前記ポンプユニット1に連結されるチャージポンプケース531と、前記チャージポンプケース531に支持され且つ前記第2ポンプ軸27に軸線回り相対回転不能に連結される駆動軸535と、前記駆動軸535と平行な状態で前記チャージポンプケース531に支持された従働軸536と、前記駆動軸535に相対回転不能に支持された状態で前記チャージポンプケース531に収容された駆動ギヤ537と、前記駆動ギヤ537と噛合するように前記従働軸536に支持された状態で前記チャージポンプケース531に収容された従働ギヤ538とを含んでいる。
【0061】
図1及び図7に示すように、前記チャージポンプケース531は、対応する前記第2ポンプケース26に連結されるケース本体532と、前記ケース本体532に連結される蓋部材533とを含んでいる。
【0062】
図7に示すように、前記ケース本体532は前記第2ポンプケース26の端面にボルト等の締結部材532aを介して着脱可能に連結されており、前記蓋部材533は前記ケース本体532にボルト等の締結部材533aを介して着脱可能に連結されている。
【0063】
本実施の形態に係る前記ポンプユニット1は、図1に示すように、前記第1ポンプケース16を介して車輌フレーム等の固定部材503に支持されている。
【0064】
図8及び図9に、それぞれ、図1におけるVIII-VIII線及びIX-IX線に沿った端面図を示す。
詳しくは、図1及び図8に示すように、前記第1ポンプケース16の端面にはボルト等の締結部材19aを介して台座部材18が連結されており、前記ポンプユニット1は前記台座部材18が前記固定部材503に載置された状態でボルト等の締結部材504を介して前記固定部材503に固定されている。
【0065】
本実施の形態に係る前記ポンプユニット1においては、部品共通化を図る為に前記第1及び第2ポンプケース16、26は同一構成とされている。
従って、図8及び図9に示すように、前記第1及び第2ポンプケース16、26の各々の端面に前記チャージポンプケース531用の締結孔532b及び前記台座部材18用の締結孔19bが形成されている。
【0066】
本実施の形態に係る前記ポンプユニット1は、前記第1及び第2油圧ポンプ15、25の容積を個別に変更し得る可変容積型とされている。
詳しくは、図1及び図2に示すように、前記ポンプユニット1は、さらに、前記第1及び第2油圧ポンプ15、25の容積をそれぞれ変更する一対の容積調整機構30を備えている。
【0067】
図10に、図5におけるX-X線に沿った断面図を示す。
図1に示すように、前記容積調整機構30は、対応する前記ポンプ軸17、27と直交する揺動基準軸線(図示せず)回りに傾転することで対応する前記油圧ポンプの容積を変更する可動斜板31を有している。
【0068】
本実施の形態に係る前記ポンプユニット1においては、前記可動斜板31は油圧の作用を利用して傾転される。
詳しくは、図2及び図10に示すように、前記ポンプユニットは、前記第1及び第2油圧ポンプ15、25用の前記可動斜板31をそれぞれ傾転させる一対の油圧サーボ機構35を備えている。
【0069】
前記油圧サーボ機構は、図2及び図10に示すように、シリンダ351の内部空間を正転室351a及び逆転室351bに液密に分離するように前記シリンダ351内に往復動可能に収容されたピストン352と、圧油供給源から圧油が供給される供給ライン356と、圧油を油溜めへ案内する排出ライン357と、前記正転室及び前記逆転室にそれぞれ流体接続された正転ライン358及び逆転ライン359と、一次側に前記供給ライン356及び前記排出ライン357が流体接続され且つ二次側に前記正転ライン358及び前記逆転ライン359が流体接続された切換弁353とを有している。
【0070】
前記切換弁353は、外部操作される入力アーム353aを介して、前記正転ライン358及び前記逆転ライン359を閉塞する保持位置と前記供給ライン356を前記正転ライン358に流体接続させ且つ前記排出ライン357を前記逆転ライン359に流体接続させる正転位置と前記供給ライン356を前記逆転ライン359に流体接続させ且つ前記排出ライン357を前記正転ライン358に流体接続させる逆転位置とを選択的にとり得る。
なお、前記入力アーム353aは、図外のリンク機構を介して前記作業車輌に備えられる操作レバー等の主変速操作部材に作動的に連結される。
【0071】
前記ピストン352は、前記正転室351aへの圧油供給に応じて軸線方向に沿って正転方向へ移動し且つ前記逆転室351bへの圧油供給に応じて軸線方向に沿って逆転方向へ移動する。
前記ピストンは、軸線方向に沿った正転方向への移動に応じて前記可動斜板31を前記揺動基準軸線回りに正転方向へ傾転させ且つ軸線方向に沿った逆転方向への移動に応じて前記可動斜板31を前記揺動基準軸線回りに逆転方向へ傾転させるように、前記可動斜板31に作動連結されている。
【0072】
本実施の形態においては、図2に示すように、前記供給ライン356は、対応する前記チャージ油路430(1)、460(2)のうち前記一対のチェック弁435より圧油流れ方向上流側に位置する部分に流体接続されており、前記リリーフ弁450によって設定された圧油を受け入れるようになっている。
斯かる構成によれば、前記油圧サーボ機構35に対する圧油供給構造の簡略化によるコスト低廉化を図ることができる。
【0073】
詳しくは、前記供給ライン356は、図5に示すように、前記第1及び第2ポートブロック11、12の各々に形成されたポートブロック側供給油路356aと、前記第1及び第2ポンプケース16、26の各々に形成されたポンプケース側供給油路356bとを含んでいる。
【0074】
前記ポートブロック側供給油路356aは、図1、図3、図4及び図5に示すように、一端部が対応する前記チャージ油路430(1)、430(2)における前記一対のチェック弁435より圧油流れ方向上流側に位置する部分に流体接続され且つ他端部が前記第2端面11(2)、12(2)に開口されている。
【0075】
前記ポンプケース側供給油路356aは、図1、図5及び図6に示すように、一端部が前記ポートブロック側供給油路356aに流体接続されるように前記ポートブロック11、12との当接部分に開口され且つ他端部が前記切換弁353の一次側に流体接続されている。
【0076】
図2に示すように、前記作業車輌は、前記第1油圧ポンプ15と共働して前記第1HSTを形成する前記第1油圧モータ511を含む前記第1油圧モータユニット510と、前記第2油圧ポンプ25と共働して前記第2HSTを形成する前記第2油圧モータ521を含む前記第2油圧モータユニット520とを備えている。
なお、前記第2油圧モータユニット520は前記第1油圧モータユニット510と同一構成を有している。従って、下記における前記第1油圧モータユニット510の説明は前記第2油圧モータユニット520にも適用される。
【0077】
図11に、前記第1油圧モータユニット510近傍の断面図を示す。
さらに、図12に、前記第1油圧モータユニット510の断面図を示す。
図2及び図12に示すように、前記第1油圧モータユニット510には前記第1油圧モータ511を収容する第1モータ空間M1を外部に開く一対の第1モータ側ドレンポート570(1)が設けられている。
同様に、前記第2油圧モータユニット520には前記第2油圧モータ521を収容する第2モータ空間M2を外部に開く一対の第2モータ側ドレンポート570(2)が設けられている。
【0078】
そして、図2に示すように、前記一対の第1モータ側ドレンポート570(1)の一方は前記第1ポンプ側ドレンポート470(1)に流体接続され且つ前記一対の第1モータ側ドレンポート570(1)の他方は前記油タンク540に流体接続されており、前記一対の第2モータ側ドレンポート570(2)の一方は前記第2ポンプ側ドレンポート470(2)に流体接続され且つ前記一対の第2モータ側ドレンポート570(2)の他方は前記油タンク540に流体接続されている。
【0079】
斯かる構成によれば、追加部材を備えることなく、前記第1及び第2ポンプ空間P1、P2、前記第1及び第2モータ空間M1、M2並びに前記油タンク540の間で貯留油を積極的に循環させることができ、前記第1及び第2油圧ポンプ15、25並びに前記第1及び第2油圧モータ511、521の温度上昇を有効に防止することができる。
【0080】
前記第1及び第2油圧モータユニット510、520の各々は、ポートブロック513と、前記ポートブロック513に摺接される前記油圧モータ511(521)と、前記油圧モータ511(521)を収容する前記モータ空間M1(M2)を形成するように前記ポートブロック513に連結されるモータケース514と、前記油圧モータ511(521)を相対回転不能に支持した状態で前記ポートブロック513及び前記モータケース514に軸線回り回転自在に支持されるモータ軸515とを有している。
そして、前記モータケース514に前記一対のモータ側ドレンポート570(1)(570(2))が形成されている。
【0081】
なお、本実施の形態においては、前記第1及び第2油圧モータユニット510、520の各々は、対応する前記油圧モータ511(521)の容積が固定された固定容積型とされている。
【0082】
即ち、図11及び図12に示すように、前記第1及び第2油圧モータユニット510、520の各々は、さらに、対応する前記油圧モータ511(521)を所定容積に固定する固定斜板516を有している。
当然ながら、図13に示すように、前記第1及び第2油圧モータユニット510、520の各々に、前記固定斜板516に代えて可動斜板517を備えることも可能である。
この場合には、前記駆動輪を駆動する走行出力のトルクアップが可能となる。
なお、前記第1及び第2油圧モータユニット510、520の前記可動斜板517は単一の副変速操作部材によって互いに対して同期した状態で操作される。即ち、前記第1油圧モータユニット510の前記可動斜板517及び前記第2油圧モータユニット520の前記可動斜板517はリンク機構を介して前記単一の副変速操作部材に作動連結される。
【0083】
なお、本実施の形態においては、前記作業車輌には、図2及び図11に示すように、前記第1及び第2油圧モータユニット510、520と対応する駆動輪501、502との間に介挿された一対の減速ギヤユニット550と、前記第1及び第2油圧モータユニット510、520のモータ軸515にそれぞれ制動力を付加し得る一対のブレーキユニット560とが備えられている。
又、本実施の形態においては、前記ポートブロック513は、前記第1及び第2ポートブロック11、12と同一ベース構造を有しており、前記取付ボス13を介して前記減速ギヤユニット550の入力部回りの外表面にボルト連結されている。
【符号の説明】
【0084】
1 ポンプユニット
10 ポートブロック
11 第1ポートブロック
11(1) 第1端面
11(2) 第2端面
12 第2ポートブロック
12(1) 第1端面
12(2) 第2端面
15 第1油圧ポンプ
16 第1ポンプケース
25 第2油圧ポンプ
26 第2ポンプケース
411 第1油圧ポンプ用作動油路
411(P) 第1給排ポート
421 第2油圧ポンプ用作動油路
421(P) 第2給排ポート
430(1) 第1油圧ポンプ用チャージ油路
430(2) 第2油圧ポンプ用チャージ油路
435 チェック弁
450 リリーフ弁
460(1) 第1リリーフドレン油路
460(2) 第2リリーフドレン油路
470(1) 第1ポンプ側ドレンポート
470(2) 第2ポンプ側ドレンポート
500 走行系変速装置
501 第1駆動輪
502 第2駆動輪
505 エンジン
510 第1油圧モータユニット
511 第1油圧モータ
520 第2油圧モータユニット
521 第2油圧モータ
530 チャージポンプ
540 油タンク
570(1) 第1モータ側ドレンポート
570(2) 第2モータ側ドレンポート
P1 第1ポンプ空間
P2 第2ポンプ空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポートブロックと前記ポートブロックの厚み方向一方側及び他方側の端面にそれぞれ摺接する第1及び第2油圧ポンプと前記第1油圧ポンプを収容する第1ポンプ空間を形成するように前記ポートブロックに連結される第1ポンプケースと前記第2油圧ポンプを収容する第2ポンプ空間を形成するように前記ポートブロックに連結される第2ポンプケースとを備えたタンデムポンプユニットであって、
前記ポートブロックには、前記第1油圧ポンプに流体接続された状態で少なくとも一端部が外表面に開口して一対の給排ポートを形成する一対の第1油圧ポンプ用作動油路と、圧油供給源からの圧油をチェック弁を介して前記一対の第1油圧ポンプ用作動油路へ供給する為の第1油圧ポンプ用チャージ油路と、前記第2油圧ポンプに流体接続された状態で少なくとも一端部が外表面に開口して一対の給排ポートを形成する一対の第2油圧ポンプ用作動油路と、前記圧油供給源からの圧油をチェック弁を介して前記一対の第2油圧ポンプ用作動油路へ供給する為の第2油圧ポンプ用チャージ油路と、前記第1及び第2油圧ポンプ用チャージ油路の油圧を設定する単一のリリーフ弁と、前記リリーフ弁からのリリーフ油を前記第1ポンプ空間へ案内する第1リリーフドレン油路と、前記リリーフ油を前記第2ポンプ空間へ案内する第2リリーフドレン油路とが設けられ、
前記ポートブロック及び前記第1ポンプケースの少なくとも一方には前記第1ポンプ空間を外部に開く第1ポンプ側ドレンポートが設けられ、前記ポートブロック及び前記第2ポンプケースの少なくとも一方には前記第2ポンプ空間を外部に開く第2ポンプ側ドレンポートが設けられていることを特徴とするタンデムポンプユニット。
【請求項2】
前記ポートブロックは、前記第1油圧ポンプが摺接する厚み方向第1端面及び前記第1端面とは厚み方向反対側の第2端面を有する第1ポートブロックと、前記第2油圧ポンプが摺接する厚み方向第1端面及び前記第1端面とは厚み方向反対側の第2端面を有する第2ポートブロックとを含み、
前記第1及び第2ポートブロックの前記第2端面同士が当接された状態で連結されていることを特徴とする請求項1に記載のタンデムポンプユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のタンデムポンプユニットと、前記タンデムポンプユニットの動力源となるエンジンと、左右一対の駆動輪と、前記第1油圧ポンプと共働して第1HSTを形成する第1油圧モータを有し、前記第1油圧モータの回転動力を前記一対の駆動輪の一方に向けて出力する第1油圧モータユニットと、前記第2油圧ポンプと共働して第2HSTを形成する第2油圧モータを有し、前記第2油圧モータの回転動力を前記一対の駆動輪の他方に向けて出力する第2油圧モータユニットと、前記エンジンによって作動的に駆動され、前記第1及び第2油圧ポンプ用チャージ油路への圧油供給源として作用するチャージポンプと、前記チャージポンプの油源として作用する油タンクとを備え、
前記第1油圧モータユニットには、前記第1油圧モータを収容する第1モータ空間を外部に開く一対の第1モータ側ドレンポートが設けられ、
前記第2油圧モータユニットには、前記第2油圧モータを収容する第2モータ空間を外部に開く一対の第2モータ側ドレンポートが設けられ、
前記第1ポンプ側ドレンポートが前記一対の第1モータ側ドレンポートの一方に流体接続され且つ前記一対の第1モータ側ドレンポートの他方が前記油タンクに流体接続され、
前記第2ポンプ側ドレンポートが前記一対の第2モータ側ドレンポートの一方に流体接続され且つ前記一対の第2モータ側ドレンポートの他方が前記油タンクに流体接続されていることを特徴とする作業車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−144998(P2012−144998A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2140(P2011−2140)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】