チロシンキナーゼ阻害剤およびインテグリンα5β1(CD49E)に対する抗体を含む薬学的な組み合わせ
チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせてα5β1アンタゴニストを含む薬学的な組み合わせ。いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストはボロシキシマブである。いくつかの実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤はスニチニブまたはその薬学的に受容可能な塩である。本発明はまた、その薬学的な組み合わせを患者に投与することによって、癌を治療する方法に関連する。本発明の方法によって治療され得る癌としては、腎細胞癌、黒色腫、膵臓癌、胃腸間質腫瘍、膀胱癌、乳癌、大腸癌、線維肉腫、肺癌、転移性黒色腫、前立腺癌、卵巣癌、および脾臓癌が挙げられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の予防または治療のための、α5β1インテグリンアンタゴニストおよびチロシンキナーゼ阻害剤を含む薬学的な組み合わせに関連する。
【背景技術】
【0002】
癌は、制御されない細胞分裂によって特徴付けられる疾患または障害の種類である。癌は、全ての年齢の人々が発症し、そして先進諸国において死亡の主な原因の1つである。多くの異なる型の癌が存在する。診断されたら、癌を手術、化学療法および放射線療法の組み合わせで治療する。しかし、これらの治療はそれぞれ多くの望ましくない副作用を有する。それに加えて、癌は疾患の種類を指すので、癌の単一の治療が存在する可能性は低い。従って、癌の新規治療が必要である。
【0003】
α5β1インテグリンと腫瘍血管新生との関連はよく証明されている。α5β1は、内皮細胞の表面に発現し、そして細胞外マトリックスのフィブロネクチンに対する遊走および結合を媒介する、ヘテロダイマーのインテグリンである。α5β1およびフィブロネクチンの間の結合相互作用は、腫瘍血管新生に重要であることが示された。腫瘍内の血管新生は、FGF、VEGF、PDGF等のような、1つまたはそれ以上の血管新生促進増殖因子の放出が、内皮細胞を局所的に活性化した時に始まる。これらの活性化内皮細胞は次いで、そのα5β1インテグリンを介して、細胞外マトリックスのフィブロネクチンに結合することによって、新しい血管を形成する。α5β1アンタゴニストは、インビボ腫瘍モデルにおいて、血管新生を阻害することが示された。
【0004】
プロテインキナーゼは、タンパク質のチロシン、セリン、およびスレオニン残基の水酸基のリン酸化を触媒する酵素である。2つの型のプロテインキナーゼ:チロシンキナーゼおよびセリン−スレオニンキナーゼが存在する。
【0005】
チロシンキナーゼは、チロシン残基のリン酸化を触媒する酵素である。2つの型のチロシンキナーゼ:受容体型チロシンキナーゼおよび細胞内チロシンキナーゼ(非受容体型チロシンキナーゼ)が存在する。チロシンキナーゼは、細胞内シグナル伝達経路に関与し、そして細胞の成長、増殖、分化、抗アポトーシスシグナル伝達および神経突起の伸長のような、重要な細胞機能を調節する。点突然変異等のようなメカニズムによる、これらの酵素の制御されない活性化は、様々な形式の癌を引き起こし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の典型的な実施態様は、チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせた、α5β1アンタゴニストを含む薬学的な組み合わせに関連する。その薬学的な組み合わせは、第一の量のα5β1アンタゴニストを、第二の量のチロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて含み、それらは共に癌の予防または治療のために治療的に有効な量を含む。いくつかの実施態様において、α5β1アンタゴニストは、ボロシキシマブ(volociximab)またはその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、スニチニブ(sunitinib)またはその薬学的に受容可能な塩である。他の実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、ソラフェニブ(sorafenib)またはその薬学的に受容可能な塩である。さらなる実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、ベバシズマブ(bevacizumab)またはその抗原結合断片である。本発明の他の実施態様は、その薬学的な組み合わせを患者に投与することによって、癌を予防または治療する方法に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】図1Aおよび1Bは、横紋筋肉種(A673)のマウス異種移植モデルにおける、各薬剤単独と比較した、時間をわたっての腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図1B】図1Aおよび1Bは、横紋筋肉種(A673)のマウス異種移植モデルにおける、各薬剤単独と比較した、時間をわたっての腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図2】図2は、腎臓癌(SN12C)のマウス異種移植モデルにおける、各薬剤単独と比較した、時間をわたっての腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明するプロットである。
【図3】図3は、腎臓癌(786−0)のマウス異種移植モデルにおける、各薬剤単独と比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明するプロットである。
【図4】図4は、腎臓癌(786−0)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明するプロットである。
【図5】図5は、腎臓癌(786−0)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明するプロットである。
【図6A】図6Aおよび6Bは、腎臓癌(A673)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図6B】図6Aおよび6Bは、腎臓癌(A673)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図7A】図7Aおよび7Bは、黒色腫(LOX)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図7B】図7Aおよび7Bは、黒色腫(LOX)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図8A】図8Aおよび8Bは、肺癌(H460)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図8B】図8Aおよび8Bは、肺癌(H460)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中で言及される、全ての特許および刊行物は、そのような特許および刊行物で開示される全ての配列を含んで、明白に参考文献に組み込まれる。本明細書中で他に規定されなければ、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で記載された様々な実施態様と同様の、または等価なあらゆる方法および材料を、本発明の実施または試験において使用し得る。
【0009】
本明細書中で開示された全ての最大(または最低)の数字の限界は、そのようなより低い(またはより高い)数字の限界が本明細書中で明白に書かれたように、全てのより低い(またはより高い)数字の限界を含むことが意図される。さらに、本明細書中で開示された全ての数字の範囲は、そのようなより広い数字の範囲内に含まれる、すべてのより狭い数字の範囲を含むことが、そのようなより狭い数字の範囲が全て明白に本明細書中で書かれたように意図される。
【0010】
本明細書中で使用される「少なくとも」という語句は、値または用語のリストと組み合わせて使用される場合、リスト中の各値または用語に適用することを意味する。例えば、「少なくとも85%、90%、95%、および99%の配列同一性」という語句は、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、および/または少なくとも99%の配列同一性を指して使用する。
【0011】
本明細書中で使用される「含む(comprising)」という用語およびその同種のものは、その包括的な意味で使用される、すなわち、「含む(including)」という用語およびその対応する同種のものと等価である。
【0012】
他に示されなければ、それぞれ核酸は左から右へ、5’から3’の方向で書かれ、アミノ酸配列は左から右へ、アミノからカルボキシルの方向で書かれる。
【0013】
本明細書中で提供される標題は、明細書全体として参照することによって有し得る、本発明の様々な局面または実施態様の制限ではない。よって、下記で規定される用語は、明細書全体として参照することによって、より完全に規定される。
【0014】
薬学的な組み合わせ
本発明の典型的な実施態様は、チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせたα5β1アンタゴニストを含む、薬学的な組み合わせに関連する。その薬学的な組み合わせは、第一の量のα5β1アンタゴニストを第二の量のチロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて含み、それは共に癌の予防または治療のために治療的に有効な量を含む。いくつかの実施態様において、本発明の薬学的な組み合わせは、その構成医薬品単独(すなわち組み合わせでない)による治療と比較して、癌の治療において相乗効果(すなわち相加効果)を示し得ることが企図される。
【0015】
本明細書中で使用される「薬学的な組み合わせ」という用語は、2つまたはそれ以上の薬物の組み合わせを意味する。その薬剤を、単一の丸剤または溶液におけるように共同で、または2つまたはそれ以上の別の丸剤、2つまたはそれ以上の別の溶液、または1つまたはそれ以上の溶液および1つまたはそれ以上の丸剤におけるように、別々に投与し得る。別々に投与するなら、その薬物を同時に、連続的に、またはお互い特定の期間内に投与し得る。
【0016】
本明細書中で使用される「治療的に有効な量」という用語は、第一の量の第一の薬物と組み合わせた第二の量の第二の薬物、および任意で、さらなる量のさらなる薬物を意味し、それらは共に癌の1つまたはそれ以上の症状または合併症を予防、軽減、減弱、または治療する。治療的に有効な量を決定する臨床的な方法は、当業者に周知である。例えば、治療的に有効な量は、組み合わせて、腫瘍のサイズを減少させる;癌細胞の数を減少させる;腫瘍の増殖を阻害する;腫瘍の転移を阻害する;および患者において癌に関連する1つまたはそれ以上の症状または合併症をある程度予防または緩和する効果を有する量を指す。
【0017】
本明細書中で使用される「患者」という用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳類を意味する。
【0018】
α5β1アンタゴニスト
上記の薬学的な組み合わせは、α5β1アンタゴニスト、その薬学的に受容可能な塩、またはその抗原結合断片を含む。しかし、その薬学的な組み合わせは、複数のα5β1アンタゴニストを含み得る。本明細書中で使用される「α5β1アンタゴニスト」という用語は、α5β1インテグリンに結合し、そしてインテグリンがそのリガンド、フィブロネクチンに結合するのを阻害する化合物を意味する。α5β1アンタゴニストの種類の例は、抗体、ペプチド、および小分子有機化合物を含むがこれに限らない。
【0019】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストは抗体またはその抗原結合断片である。本明細書中で使用される「抗体」という用語は、特定の抗原と免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子を意味する。その用語は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、およびキメラ抗体、ヒト化抗体、および二重特異性抗体(bispecific antibody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)およびテトラボディ(tetrabody)のようなヘテロ結合抗体のような、遺伝的に操作した形式も含む。本発明で有用なモノクローナル、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、およびヘテロ結合抗体を産生する方法は、当該分野で公知である。
【0020】
「抗原結合断片」という用語は、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、scFv、およびrIgGのような、抗体の抗原結合断片、すなわち抗原結合能力を有する断片を意味する。本発明で有用な公知の抗体から抗原結合断片を産生する方法は、当該分野で公知である。
【0021】
α5β1アンタゴニスト活性を有する抗体またはその抗原結合断片の例は、ボロシキシマブ(いくつかの参考文献においては「M200」とも呼ばれる)、F200、IIA1、NKI−SAM−1、JBS5、および本明細書中で開示された様々なヒト化抗体を含むがこれに限らない。これらの抗体およびその抗原結合断片のアミノ酸配列および作製および使用の方法は、他の参考文献の中で特に、米国特許第6,852,318号、米国特許出願公開第2005/0054834号および米国特許出願公開第2005/0260210号において開示され、それらはそれぞれ本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。
【0022】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストはボロシキシマブである。ボロシキシマブは、固形腫瘍の治療のために開発されている抗α5β1抗体である。ボロシキシマブは、α5β1インテグリンに特異的に結合する、高親和性、キメラIgG4モノクローナル抗体である。ボロシキシマブは現在、黒色腫、腎細胞癌、および膵臓癌の治療に関して、3つの別々の第II相臨床試験中である。
【0023】
ボロシキシマブ、その調製、処方、および癌治療のための使用は、当該分野で公知であり、そして他の参考文献の中で特に、米国特許出願公開第2005/0054834号および米国特許出願公開第2005/0260210号において開示されている。ボロシキシマブは、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施態様において、その重鎖のアミノ酸配列は、配列番号1の核酸配列によってコードされ、そして軽鎖のアミノ酸配列は、配列番号3の核酸配列によってコードされる。
【0024】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストは、ボロシキシマブの抗原結合断片である。そのような断片、その調製、およびその使用は、他の参考文献の中で特に、米国特許出願公開第2005/0054834号において開示されている。そのような断片は、配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施態様において、その抗原結合断片を、ヒト定常領域と結合させる。
【0025】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストはF200、ボロシキシマブのFab断片である。F200、その調製、およびその使用は当該分野で公知である。例えば、それは、他の参考文献の中で特に、米国特許出願公開第2005/0054834号において開示されている。それはFab断片であるので、F200軽鎖DNAおよびアミノ酸配列は、ボロシキシマブ軽鎖DNAおよびアミノ酸配列と同じである。F200は、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施態様において、重鎖のアミノ酸配列は、配列番号7の核酸配列によってコードされる。
【0026】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストはヒト化抗体である。ヒトα5β1インテグリンに特異的に結合する異なるヒト化抗体の範囲の例は、米国特許第6,852,318号において開示され(例えば図1および2を参照のこと)、そして下記で記載され、ここでその抗体は:配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0027】
いくつかの実施態様において、本発明の薬学的な組み合わせにおいて有用なα5β1アンタゴニストは、ボロシキシマブ、IIA1、およびIIA1のヒト化バージョンから選択される抗α5β1抗体のCDR配列を含む抗体である。ボロシキシマブ、IIA1および上記で列挙したヒト化抗α5β1抗体は、同一のCDR配列を共有し、それは米国特許第6,852,318号において開示された様々なアミノ酸配列で示される(例えば図2を参照のこと)。
【0028】
抗α5β1抗体ボロシキシマブは、マウスα5β1インテグリンと交差反応しない。他の実施態様において、本発明はモノクローナル抗体339.1を提供し、それはマウスα5β1を標的として、結合特性および機能阻害特徴は、ヒトα5β1に対するボロシキシマブと同様である。339.1の重鎖可変領域(配列番号22)および339.1の軽鎖可変領域(配列番号23)のアミノ酸配列を、添付の配列表で示す。
【0029】
他の実施態様において、そのα5β1アンタゴニストはペプチドである。本明細書中で使用される「ペプチド」という用語は、ペプチド結合またはペプチド結合のアナログで共に連結したアミノ酸またはアミノ酸アナログのオリゴマーおよびポリマーを含む。従って、ペプチドは2つまたはそれ以上のアミノ酸を含み、それはL−アミノ酸またはD−アミノ酸のいずれか、化学的に修飾されたアミノ酸、天然に存在するまたは天然に存在しないアミノ酸、またはアミノ酸アナログであり得る。α5β1ペプチドアンタゴニストを、ペプチドのライブラリーをスクリーニングすることによって同定し得る、化学合成の周知の方法を用いて調製し得る、または市販の供給源から購入し得る。
【0030】
α5β1アンタゴニスト活性を有するペプチドの例は、アミノ酸配列CRRETAWAC(配列番号21)を含むペプチド、またはATN−161(Attenuon、San Diego、CA)を含むがこれに限らない。α5β1アンタゴニストペプチドは、他の参考文献の中で特に、米国特許第6,852,318号において開示されている。
【0031】
さらなる実施態様において、そのα5β1アンタゴニストは小分子有機化合物またはその薬学的に受容可能な塩である。α5β1アンタゴニスト活性を有する小分子有機化合物の例は、一般的な化学構造(S)−2−フェニルスルフォニルアミノ−3−{{{8−(2−ピリジニルアミノメチル)−}−1−オキサ−2−アザスピロ{4,5}−デカ−2−エニル}カルボニルアミノ}プロピオン酸を有するヘテロ環を含むがこれに限らない。いくつかの実施態様において、その化合物はSJ749であり、それは化学構造:(S)−2−{(2,4,6−トリメチルフェニル)スルフォニル}アミノ−3−{7−ベンジルオキシカルボニル−8−(2−ピリジニルアミノメチル)−1−オキサ−2,7−ジアザスピロ−{4,4}−ノナ−2−エン−3−イル}カルボニルアミノ}プロピオン酸を有する。これらの化合物、その合成方法、およびその使用は、米国特許第5,760,029号において開示され、それは本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。
【0032】
本明細書中で使用される「薬学的に受容可能な塩」という用語は、親化合物の薬理学的有効性および性質を保持する塩を指す。そのような塩は、親化合物の遊離塩基と無機酸の反応によって得られる酸付加塩、または親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオンによって置換されるか、または有機塩基と配位する場合に形成される塩を含む。薬学的に受容可能な塩の例は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、炭酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、およびマグネシウム塩である。
【0033】
チロシンキナーゼ阻害剤
上記の医薬品の組合せは、チロシンキナーゼ阻害剤、その薬学的に受容可能な塩、またはその抗原結合断片を含む。しかし、その医薬品の組合せは、複数のチロシンキナーゼ阻害剤を含み得る。本明細書中で使用される「チロシンキナーゼ阻害剤」という用語は、タンパク質のチロシン残基の水酸基のリン酸化を阻害する化合物を意味し、それは細胞の成長、増殖、分化およびアポトーシスシグナル伝達を阻害するよう作用する。チロシンキナーゼ阻害剤の種類の例は、抗体、ペプチドおよび小分子有機化合物を含むがこれに限らない。チロシンキナーゼの阻害はメカニズムに制限されず、そして本発明のチロシンキナーゼ阻害剤は、例えばチロシンキナーゼ受容体および/またはその受容体のリガンドの機能に拮抗することによって作用し得る。
【0034】
チロシンキナーゼ阻害剤は、多数の種類の細胞受容体に拮抗し得る。例えば、チロシンキナーゼ阻害剤が拮抗し得る受容体のいくつかは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFRαおよびPDGFRβ)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR1、VEGFR2、およびVEGFR3)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、幹細胞因子受容体(KIT)、Fms様チロシンキナーゼ−3(FLT3)、コロニー刺激因子受容体1型(CSF−1R)、Rafキナーゼ、Srcファミリーのキナーゼ、およびグリア細胞系統由来神経栄養因子受容体(RET)を含むがこれに限らない。チロシンキナーゼ阻害剤は、1つまたはそれ以上のこれらの受容体を阻害する。
【0035】
いくつかの実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、小分子有機化合物である。チロシンキナーゼを阻害する小分子有機化合物の例は、二単環式、二環式、およびヘテロ環式アリール化合物、ビニレンアザインドール誘導体、1−シクロプロピル−4−ピリジルキノロン、スチリル化合物、スチリル置換ピリジル化合物、キナゾリン誘導体、セレナインドールおよびセレン化物、三環系ポリヒドロキシ化合物、ベンジルホスホン酸化合物、およびピロール置換2−インドリノンである。これらの化合物、その調製および使用は、他の参考文献の中で特に、国際特許出願公開第WO92/20642、WO94/14808、WO94/03427、WO92/21660、WO91/15495号、米国特許第5,330,992、5,217,999、5,302,606、6,573,293、7,125,905号;および欧州特許出願公開第EP0566266号において開示され、それらはそれぞれ本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。
【0036】
チロシンキナーゼを阻害する小分子有機化合物のさらなる例は、商業的にはNEXAVAR(登録商標)として知られるソラフェニブ;商業的にはSPRYCEL(登録商標)として知られるダサチニブ(dasatinib)、商業的にはTARCEVA(登録商標)として知られるエルロチニブ(erlotinib)、商業的にはIRESSA(登録商標)として知られるゲフィチニブ、商業的にはGLEEVAC(登録商標)およびGLIVEC(登録商標)として知られるイマチニブ(imatinib)、商業的にはTYKERB(登録商標)およびTYCERB(登録商標)として知られるラパチニブ(lapatinib)、ニロチニブ(nilotinib)、商業的にはSUTENT(登録商標)として知られるスニチニブ、および商業的にはZACTIMA(登録商標)として知られるバンデタニブ(vandetanib)である。
【0037】
いくつかの実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、ピロール置換2−インドリノンである。ピロール置換2−インドリノンおよびその薬学的に受容可能な塩、その調製、およびその使用は、当該分野において公知である。例えば、それらは、他の参考文献の中で特に、米国特許第6,573,293および7,125,905号において開示され、それらはそれぞれこれによって本明細書中で参考文献に組み込まれる。ピロール置換2−インドリノンの薬学的に受容可能な塩の例は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、炭酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩を含むがこれに限らない。
【0038】
いくつかの実施態様において、そのピロール置換2−インドリノンはスニチニブである。スニチニブの好ましい薬学的に受容可能な塩は、リンゴ酸スニチニブである。スニチニブは、いくつかの受容体型チロシンキナーゼを標的とする多キナーゼ阻害剤(multi−kinase inhibitor)である。商業的にはSUTENT(登録商標)として公知であるリンゴ酸スニチニブは、化学的には、ブタン二酸,ヒドロキシ−,(2S)−化合物とN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリジン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(1:1)として表される。リンゴ酸スニチニブは、複数の受容体型チロシンキナーゼを阻害する小分子有機化合物であり、それらのいくつかは腫瘍の増殖、病的血管新生、および癌の転移性の進行に関係する。例えば、スニチニブは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFRαおよびPDGFRβ)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR1、VEGFR2およびVEGFR3)、幹細胞因子受容体(KIT)、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、コロニー刺激因子受容体1型(CSF−1R)、およびグリア細胞系統由来神経栄養因子受容体(RET)の阻害剤である。Pfizer(New York、NY)によって販売されているSUTENT(登録商標)は、進行腎細胞癌およびメシル酸イマチニブに対する疾患進行または不耐性の後の胃腸間質腫瘍の両方に対する適用を有する。
【0039】
他の実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、アリール尿素化合物である。アリール尿素化合物およびその薬学的に受容可能な塩、その調製、およびその使用は、当該分野で公知である。例えば、それらは、他の参考文献の中で特に、米国特許出願公開第2003/0216446、2003/0232765および2004/0023961号において開示され、それらはそれぞれこれによって本明細書中で参考文献に組み込まれる。アリール尿素化合物の薬学的に受容可能な塩の例は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、炭酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩を含むがこれに限らない。
【0040】
いくつかの実施態様において、そのアリール尿素化合物はソラフェニブである。ソラフェニブの好ましい薬学的に受容可能な塩は、ソラフェニブトシレートである。商業的にはNEXAVAR(登録商標)として知られるソラフェニブトシレートは、化学名4−(4−{3−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)N2−メチルピリジン−2−カルボキサミド4−メチルベンゼンスルホネートを有する。ソラフェニブは、複数の受容体型チロシンキナーゼを阻害する小分子有機化合物であり、そのいくつかは、腫瘍の増殖、病的血管新生、および癌の転移性の進行に関係する。例えば、ソラフェニブはCRAF、BRAF、KIT、FLT−3、VEGFR−2、VEGFR−3、およびPDGFR−βの阻害剤である。Onyx Pharmaceuticals(Emeryville、CA)によって販売されているNEXAVAR(登録商標)は、腎細胞癌の治療に適用を有する。
【0041】
さらなる実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、チロシンキナーゼの機能に拮抗する抗体またはその抗原結合断片である。チロシンキナーゼ受容体および/またはその受容体に結合するリガンド(例えば増殖因子)に対する抗体の結合によって、機能の阻害が起こり得る。いくつかの実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤はベバシズマブである。ベバシズマブは、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)に結合し、そしてその生物学的活性を阻害する、組換えヒト化モノクローナルIgG1抗体である。ベバシズマブ、その調製、およびその使用は、当該分野で公知である。例えば、それは他の参考文献の中で特に、Prestaら、「Humanization of an Anti−Vascular Endothelial Growth Factor Monoclonal Antibody for the Therapy of Solid Tumors and Other Disorders」、Cancer Research、第57巻、4593−4599頁(1997)において開示されている。商業的にはAVASTIN(登録商標)として知られるベバシズマブは、Genentech(South San Francisco、CA)によって販売されている。ベバシズマブは、結腸または直腸の転移性癌腫、および転移性非扁平上皮、非小細胞肺癌の治療に適用を有する。
【0042】
処方および投与
薬学的な組み合わせ中のそれぞれの薬物を、単離されたおよび精製された形式で投与し得、そして癌細胞または腫瘍と直接接触させ得る。α5β1アンタゴニストおよびチロシンキナーゼ阻害剤を産生および精製する方法は、本明細書中で引用された参考文献において開示されている。純度および均一性を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーのような、標準的な分析的化学技術を用いて決定し得る。調製物に存在する主な種である化合物は、実質的に精製されたと考えられる。例えば、電気泳動ゲルにおいて本質的に1本のバンドを示す化合物は、実質的に精製されている。いくつかの実施態様において、本発明の薬学的な組み合わせにおいて使用されるそれぞれの薬物は、少なくとも85%純粋、少なくとも95%純粋、またはさらに少なくとも99%純粋である。
【0043】
あるいは、その薬学的な組み合わせの薬物を、投与の前に1つまたはそれ以上の薬学的組成物に処方し得る。本明細書中で使用される「薬学的組成物」という用語は、薬学的に受容可能な担体または賦形剤中で処方された薬物を意味する。従って、その薬学的な組み合わせの薬物を、別々の薬学的組成物に、または1つまたはそれ以上の薬学的組成物に処方し得る。そのような薬学的組成物は、通常薬学的に受容可能な担体または薬学的に受容可能な賦形剤中で処方された薬物を含む。適当な処方は、選択された投与経路に依存する。薬剤(薬物)の処方および投与の技術は、「Remington’s Pharmacological Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PAにおいて見出し得る。
【0044】
本明細書中で使用される「薬学的に受容可能な担体」および「薬学的に受容可能な賦形剤」という用語は、薬物の投与を促進し、患者に有意な刺激を引き起こさず、そして投与された薬物の薬理学的活性および性質を抑制せず、そして採用された投与量および濃度においてそれに接触する細胞または患者に対して無毒性である、担体、賦形剤または希釈剤を指す。薬学的に受容可能な担体および賦形剤の例は、緩衝剤、共溶媒、浸透圧剤(tonicity agent)、pH調整剤、抗酸化剤、糖、ゼラチン、ゴム、色素、結合剤、潤滑剤、増量剤、崩壊剤、保存剤、香料、増粘剤、着色料および乳化剤を含むがこれに限らない。
【0045】
α5β1アンタゴニストまたはチロシンキナーゼ阻害剤を含む薬学的組成物を、経口、皮下、静脈内、硝子体内、鼻腔内、局所、経皮、経粘膜、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内、眼内、脳室内、またはくも膜下腔内を含むがこれに限らない、様々な方法で患者に投与し得る。いくつかの実施態様において、その組成物を静脈内または経口投与する。
【0046】
薬学的組成物を、当該分野で周知の過程によって、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣丸製造、湿式粉砕、乳化、カプセル封入、封入、または凍結乾燥過程によって製造し得る。薬学的組成物を、丸剤、溶液、錠剤、カプセル、液体、ゲル、懸濁液、糖衣丸コア、エアロゾルスプレー、坐剤等として製造し得、それは選択された投与経路に依存する。
【0047】
注射のために、薬物を水性溶液中で処方し得る。いくつかの実施態様において、その溶液は水中5%のデキストロース、0.9%生理食塩水、またはハンクス液またはリンゲル液のような生理学的に適合性の緩衝液である。さらに、活性化合物(薬物)の懸濁液を、親油性媒体またはリポソーム中で調製し得る。適当な親油性媒体は、ゴマ油のような脂肪油;オレイン酸エチルおよびトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル;またはリポソームのような材料を含む。水性注射懸濁液はまた、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランのような、懸濁液の粘性を高める物質を含み得る。任意で、その懸濁液はまた、高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために、適当な安定剤および/または化合物の溶解性を高める薬剤を含み得る。あるいは、その活性成分(薬物)は、滅菌、発熱物質を含まない水、水中5%のデキストロース、または0.9%の生理食塩水のような、適当な媒体で使用前に構成するための粉末形式であり得る。
【0048】
薬物を、例えばボーラス注射または持続注入による、非経口投与のために処方し得る。注射のための処方は、アンプル、バイアル、複数回投与の容器、静脈内バッグまたはボトルのような、単位投与形式で提示し得る。
【0049】
経粘膜投与のために、浸透すべきバリアに適当な浸透剤を処方中で使用する。そのような浸透剤は、当該分野で一般的に公知である。
【0050】
経口投与のために、薬物を、薬学的に受容可能な担体と組み合わせることによって処方し得る。そのような担体は、薬物を、経口摂取のための錠剤、丸剤、ロゼンジ、糖衣丸、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として処方することを可能にする。経口使用のための薬学的組成物を、固体賦形剤を用いて、望ましいなら適当な補助剤を加えた後に、任意でできた混合物を粉砕して、そして顆粒の混合物を処理して作製して、錠剤または糖衣丸のコアを得ることができる。有用な賦形剤は、ラクトース、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプンおよびジャガイモデンプンのようなセルロース調製物;およびゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のような他の材料のような増量剤を含む。もし望ましいなら、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸のような崩壊剤を加え得る。アルギン酸ナトリウムのような塩も使用し得る。
【0051】
薬物を、糖衣丸コアとして処方し得る。この目的のために、任意でアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る、濃縮糖溶液を使用し得る。同定のために、または異なる組み合わせの活性化合物投与量を特徴付けるために、色素(dyestuffs)または色素(pigments)を、錠剤または糖衣丸コーティングに加え得る。
【0052】
薬物をまた、ゼラチンでできたプッシュフィット(push−fit)カプセルとして、およびゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのような可塑剤でできた軟らかい、密封カプセルとして処方し得る。プッシュフィット(push−fit)カプセルは、ラクトースのような増量剤;デンプンのような結合剤;および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;および任意で安定剤と混合して薬物を含み得る。ソフトカプセルにおいて、薬物を、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールのような、適当な液体に溶解または懸濁し得る。あるいは、薬物をハードゼラチンカプセルとして処方し得る。
【0053】
吸入による投与のために、薬物を、加圧パックまたは噴霧器およびジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素のような適当な噴霧剤を用いて、エアロゾルスプレーの形式で送達し得る。加圧エアロゾルの場合、計量した量を伝達するためのバルブを提供することによって、投与単位をコントロールし得る。吸入器(inhaler)または注入器(insufflator)で使用するための、例えばゼラチンのカプセルまたはカートリッジを、薬物の粉末混合物およびラクトースまたはデンプンのような適当な粉末基剤を含んで処方し得る。
【0054】
薬物をまた、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を用いて、坐剤または保持浣腸のような直腸内組成物に処方し得る。
【0055】
それに加えて、薬物をデポー調製物として処方し得る。そのような長時間作用型組成物を、例えば皮下の埋め込みによって、または筋肉内注射によって投与し得る。薬物を、適当なポリマー性または親水性材料を用いて、イオン交換樹脂を用いて、または難溶性の塩として、この投与経路のために処方し得る。
【0056】
さらに、薬物を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスのような、徐放性システムを用いて、薬物を伝達し得る。様々な徐放性材料が当業者に周知である。徐放性カプセルは、その化学的性質に依存して、薬物を数日から100日までの期間をかけて放出する。薬物の化学的性質および安定性に依存して、安定化のためのさらなる戦略を採用し得る。
【0057】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストは、その抗原結合断片を含む抗α5β1抗体であり、それを、pH5.5から7.5で、1.0mg/mLから15.0mg/mLのα5β1アンタゴニスト、22mMから28mMのクエン酸塩、135mMから165mMの塩化ナトリウム、0.04%−0.06%のポリソルベート(TWEEN(登録商標))80の溶液を含む薬学的組成物として処方する。いくつかの実施態様において、その液体処方のpHの範囲は、pH6.0およびpH7.0の間、pH6.3およびpH6.7の間、pH6.4および6.6の間、または約pH6.5である。好ましくは、その組成物は安定および等張である。特に好ましい実施態様において、その薬学的組成物は、pH6.5において、10.0mg/mLのα5β1アンタゴニスト、25mMのクエン酸塩、150mMの塩化ナトリウム、0.05%のポリソルベート(TWEEN(登録商標))80の溶液を含む。好ましくは、その組成物を2〜8℃で冷蔵する。
【0058】
本発明の薬学的な組み合わせにおいて有用な抗α5β1抗体の例示的な処方、投与量、投与方法、および他の治療プロトコールは、米国特許出願公開第2005/0260210号において開示され、これは参考として本明細書に援用される。
【0059】
いくつかの実施態様において、その薬学的に受容可能な塩を含むスニチニブを、12.5mg、25mgまたは50mgのスニチニブと同等のリンゴ酸スニチニブ、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、およびステアリン酸マグネシウムを含むカプセルを含む薬学的組成物として処方する。
【0060】
いくつかの実施態様において、その薬学的に受容可能な塩を含むソラフェニブを、200mgのソラフェニブと同等のソラフェニブトシレート、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース、ヒプロメロース、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、および酸化鉄(III)を含む錠剤を含む薬学的組成物として処方する。
【0061】
いくつかの実施態様において、その抗原結合断片を含むベバシズマブを、それぞれ4mlまたは16mlの単回使用バイアル中に100mgまたは400mgのベバシズマブを含む薬学的組成物として処方する。100mg、4mlのバイアルを、240mgのα,α−トレハロース二水和物、23.2mgのリン酸ナトリウム(一塩基、一水和物)、4.8mgのリン酸ナトリウム(二塩基、無水)、1.6mgのポリソルベート20、および水で処方する。400mg、16mlのバイアルを、960mgのα,α−トレハロース二水和物、92.8mgのリン酸ナトリウム(一塩基、一水和物)、19.2mgのリン酸ナトリウム(二塩基、無水)、6.4mgのポリソルベート20、および水で処方する。好ましくは、それぞれの組成物を2〜8℃で冷蔵する。それに加えて、組成物を光から保護することが好ましい。患者への投与前に、必要な量のベバシズマブをバイアルから取り、そして100mlの0.9%生理食塩水に希釈することも好ましい。
【0062】
薬物を、投与の方法に依存して様々な単位投与形式で投与し得る。本発明の特定の実施態様において使用する正確な投与量および投与の頻度は、治療の目的に依存し、そして周知の技術を用いて当業者によって確認し得る。当該分野において公知であるように、全身対局所伝達、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与の時間、薬剤の相互作用、および状態の重症度に関する調整が必要であり得る。
【0063】
投与量および間隔を、個々に調整して、薬理学的効果を維持するために十分な薬物の血漿レベルを提供し得る。これらの血漿レベルを、最低有効濃度(MEC)と呼ぶ。MECは、各薬物に関して変動するが、インビトロのデータから推定し得る。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特徴および投与経路に依存する。HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して血漿濃度を決定し得る。投与間隔も、MEC値を用いて決定し得る。10−90%の時間、好ましくは30−90%の間、そして最も好ましくは50−90%の間、MECより上の血漿レベルを維持するレジメを用いて薬物を投与するべきである。
【0064】
いくつかの実施態様において、患者の体重(kgのような)あたりの薬物の重量(mgのような)(すなわち「mg/kg」)に基づいて、薬物を患者に投与する。他の実施態様において、薬物の重量(mgのような)に基づいて、薬物を患者に投与する。さらなる実施態様において、血液容積(mlのような)あたりの薬物の量(mMのような)に基づいて、薬物を患者に投与する。
【0065】
一般的に、α5β1アンタゴニストの有効な投与量は、1−15mg/kgの範囲である。好ましくは、その投与量は10−15mg/kgである。好ましくは、α5β1抗体アンタゴニスト、またはその抗原結合断片を、患者の体重(kg)あたりの抗体の重量(mg)に基づいて、患者に投与し、そして0.1−15mg/kgの、ボロシキシマブのようなα5β1アンタゴニスト抗体、またはF200のようなその抗原結合断片を含む。例えば、抗体またはその抗原結合断片の適当な濃度は、0.1−15mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.0−5.0mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、5−10mg/kg、7.5mg/kg、10mg/kg、10−15mg/kg、12.5mg/kgまたは15mg/kgを含むがこれに限らない。好ましくは、その濃度は10または15mg/kgのいずれかである。
【0066】
本発明の薬学的な組み合わせにおいて有用な抗α5β1抗体の典型的な投与量およびレジメが、米国特許出願公開第2005/0260210号において開示され、これは参考として本明細書に援用される。
【0067】
好ましくは、α5β1ペプチドおよび小分子有機化合物アンタゴニストを、1−100ピコモル/血液容積のmlの濃度で投与する。好ましくは、その投与量を、1時間以上かけた静脈内注入として患者に投与する。さらなる投与量を、患者において定常状態の血清濃度が確立するように、延長した時間をかけて投与し得る。例えば、10mg/kgの注入を、1年の過程で週1回投与し得る。
【0068】
一般的に、チロシンキナーゼ阻害剤の有効な投与量は、1−1000mgの範囲である。好ましくは、その投与量は1−600mgである。
【0069】
好ましくは、薬学的組成物が0.1−100mgのスニチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含むように、薬剤の重量に基づいて、スニチニブを患者に投与する。例えば、スニチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の適当な濃度は、0.1−100mg、12.5mg、0.1−25mg、25mg、25−50mg、37.5mg、50mg、50−75mg、62.5mg、75mg、75−100mg、87.5mgおよび100mgを含むがこれに限らない。
【0070】
リンゴ酸スニチニブは、商業的にはSUTENT(登録商標)として公知である。SUTENT(登録商標)カプセルは、12.5、25または50mgのスニチニブと等価なリンゴ酸スニチニブを含む、プリントされたハードシェルカプセルとして供給される。胃腸間質腫瘍および腎細胞癌の治療のために推奨されるSUTENT(登録商標)の投与量は、4週間の治療に続く2週間の休止のスケジュールで、1日1回50mgの経口投与である。個々の安全性および耐容性に基づいて、12.5mgずつの投与量増加または減少が推奨される。
【0071】
好ましくは、薬学的組成物が1−800mgのソラフェニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含むように、薬剤の重量に基づいて、ソラフェニブを患者に投与する。例えば、ソラフェニブまたはその薬学的に受容可能な塩の適当な濃度は、200mg、400mg、600mgおよび800mgを含むがこれに限らない。
【0072】
ソラフェニブトシレートは、商業的にはNEXAVAR(登録商標)として公知である。NEXAVAR(登録商標)錠は、200mgのソラフェニブと等価のソラフェニブトシレートを含む、赤い、丸い、フィルムコートされた錠剤として供給される。腎細胞癌の治療のために推奨されるNEXAVAR(登録商標)の投与量は、1日2回投与の400mg(2つの200mg錠)である。
【0073】
好ましくは、ベバシズマブ、またはその抗原結合断片を、患者の体重(kg)あたりの抗体の重量(mg)に基づいて患者に投与し、そして0.1−20mg/kgのベバシズマブ、またはその抗原結合断片を含む。例えば、抗体またはその抗原結合断片の適当な濃度は、0.1−20mg/kg、1.0−5.0mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、5−10mg/kg、7.5mg/kg、10mg/kg、10−15mg/kg、12.5mg/kg、15mg/kg、17.5mg/kgまたは20mg/kgを含むがこれに限らない。
【0074】
薬学的な組み合わせの個々の薬物を別々に投与する場合、1日あたりに投与する各薬物の投与の数は、必ずしも同じである必要はないかもしれない。例えば、1つの薬物は、より長い作用時間を有し得、そしてより少ない回数を投与する必要がある。
【0075】
キット
本発明のいくつかの実施態様は、各薬物を別々に投与し得る薬物の組み合わせを投与することによる癌の予防または治療に関連するので、本発明はまた、別々の薬物または薬学的組成物をキット形式に組み合わせることに関連する。すなわち、2つまたはそれ以上の別々のユニット:1つまたはそれ以上のα5β1アンタゴニスト薬学的組成物および1つまたはそれ以上のチロシンキナーゼ阻害剤薬学的組成物が組み合わされたキットが企図される。そのキットは、好ましくは別々の成分の投与に関する指示を含む。別々の成分を異なる投与形式で、例えば経口および非経口で投与しなければならない、または異なる投与間隔で投与する場合に、そのようなキット形式は特に有利である。
【0076】
適応症
上記の薬学的な組み合わせは、腎細胞癌、黒色腫、膵臓癌、胃腸間質腫瘍、膀胱癌、乳癌、大腸癌、線維肉腫、肺癌、転移性黒色腫、前立腺癌、卵巣癌、および脾臓癌を含むがこれに限らない、多くの種類の固形腫瘍の治療のための治療アプローチを提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、その腫瘍細胞の表面にα5β1インテグリンを発現するあらゆる癌の治療のための、薬学的な組み合わせを提供する。その表面にα5β1インテグリンを発現する腫瘍細胞は、当該分野で公知であり、そして例えば米国特許出願公開第2005/0260210号において開示され、これは参考として本明細書に援用される。
【0077】
本発明を実施するための方式および方法は、以下の実施例を参照することによって、当業者によってより完全に理解され得、その実施例はいかなる方式においても本発明またはそれに向けられた請求の範囲を制限することを意図しない。
【実施例】
【0078】
実施例1
この実施例は、α5β1インテグリンアンタゴニスト、ボロシキシマブアナログである339.1抗体と組み合わせたチロシンキナーゼ阻害剤、SUTENT(登録商標)の効果の研究を説明する。その研究を、3つの異なる癌:横紋筋肉種(A673)、腎臓癌(SN−12C)、および腎臓癌(786−0)の前臨床マウス異種移植腫瘍モデルを用いて行った。
【0079】
ボロシキシマブはマウスα5β1インテグリンと交差反応しないので、これらのマウス異種移植実験においてはボロシキシマブではなく代替抗体、339.1を用いた。339.1抗体は、マウスα5β1を標的とし、ヒトα5β1を標的とするボロシキシマブと同様の性質を有する。339.1重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号22)および339.1軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号23)を、添付した配列表において示す。従って、それは、マウスα5β1インテグリンに起因する、異種移植腫瘍増殖に対する血管新生効果を標的とし得るので、ボロシキシマブのマウスアナログを用いることが、有効性のより良い基準を提供することが企図された。
【0080】
確立したA673、SN−12C、または786−0異種移植腫瘍を有するマウスを、媒体、339.1、SUTENT(登録商標)、または339.1および最大下の投与量のSUTENT(登録商標)で治療した。339.1抗体を、10mg/kgで週2回、腹腔内に投与し、そしてSUTENT(登録商標)を20mg/kgで毎日経口投与した。
【0081】
腫瘍モデルA673、SN−12C、および786−0による研究に関する、異種移植腫瘍の増殖対治療日数のプロットを、それぞれ図1、2、および3に示す。その結果は、抗α5β1アンタゴニストをチロシンキナーゼ阻害剤、SUTENT(登録商標)と組み合わせて使用した場合のより大きな腫瘍縮小の傾向を示唆する。
【0082】
実施例2
この実施例は、癌の前臨床モデルを用いた、SUTENT(登録商標)、ボロシキシマブおよびボロシキシマブアナログ、339.1の組み合わせ効果の研究を説明する。具体的には、その研究を腎臓癌(786−0)のマウス異種移植腫瘍モデルを用いて行った。
【0083】
ボロシキシマブを含む薬学的組成物を用いて、ヒト癌患者の治療の完全な抗腫瘍効果のモデルとするために、この研究において、ボロシキシマブ代替抗体、339.1に加えて、ボロシキシマブを用いた。339.1抗体は、腫瘍異種移植モデルを支持するように発達するマウス脈管構造を標的とし得、一方ボロシキシマブはヒト786.0腫瘍細胞のヒトα5β1インテグリンを標的とし得る。従って、異種移植モデルにおけるボロシキシマブおよび339.1の組み合わせは、腫瘍および脈管構造の両方を標的とすることによって、ヒトにおけるボロシキシマブの臨床試験の結果により近いモデルとなることが期待される。
【0084】
これらの実験において、確立した異種移植腫瘍を有するマウスを、媒体および媒体、媒体およびSUTENT(登録商標)、339.1+ボロシキシマブおよび媒体、または339.1+ボロシキシマブおよびSUTENT(登録商標)で治療した。339.1抗体およびボロシキシマブを、25mg/kgの339.1の最初の投与量以外は10mg/kgで週2回、腹腔内に投与し、そしてSUTENT(登録商標)を20mg/kgで毎日経口投与した。
【0085】
上記の研究の結果を、図4にプロットしたデータによって説明する。腎臓癌の786−0モデルにおいて、コントロールと比較して、統計学的に有意な効果が、SUTENT(登録商標)、339.1およびボロシキシマブの組み合わせで観察された。
【0086】
これらの結果は、癌、特に腎細胞癌を有する患者における、ボロシキシマブおよびSUTENT(登録商標)(スニチニブ)の薬学的な組み合わせの使用を支持する。
【0087】
実施例3
この実施例は、腎臓癌(786−0)のマウス異種移植腫瘍モデルを用いた、NEXAVAR(登録商標)、ボロシキシマブおよびボロシキシマブアナログ、339.1の薬学的な組み合わせの組み合わせ効果の研究を説明する。
【0088】
上記の実施例2で説明したように、339.1抗体は、腫瘍異種移植モデルを支持するように発達するマウス脈管構造を標的とし得、一方ボロシキシマブはヒト786.0腫瘍細胞のヒトα5β1インテグリンを標的とし得るので、代替抗体、339.1に加えて、ボロシキシマブを用いた。従って、異種移植モデルにおけるボロシキシマブおよび339.1の組み合わせは、腫瘍および脈管構造の両方を標的とすることによって、ヒトにおけるボロシキシマブの臨床試験の結果により近いモデルとなることが期待される。
【0089】
これらの実験において、確立した異種移植腫瘍を有するマウスを、媒体および媒体、媒体およびNEXAVAR(登録商標)、339.1+ボロシキシマブおよび媒体、または339.1+ボロシキシマブおよびNEXAVAR(登録商標)で治療した。339.1抗体およびボロシキシマブを、25mg/kgの339.1の最初の投与量以外は10mg/kgで週2回、腹腔内に投与し、そしてNEXAVAR(登録商標)を12.5mg/kgで毎日経口投与した。
【0090】
上記の実験の結果を、図5に示した腫瘍体積対試験日数のプロットによって説明する。腎臓癌の786−0モデルにおいて、NEXAVAR(登録商標)、339.1およびボロシキシマブの薬学的な組み合わせによって、コントロールと比較して、統計学的に有意な効果が観察された。
【0091】
これらの結果は、癌、特に腎細胞癌を有する患者における、ボロシキシマブおよびNEXAVAR(登録商標)(ソラフェニブ)の薬学的な組み合わせの使用を支持する。
【0092】
実施例4
この実施例は、3つの異なる癌の前臨床モデルを用いた、AVASTIN(登録商標)、ボロシキシマブおよびボロシキシマブアナログ、339.1の組み合わせ効果の研究を説明する。具体的には、横紋筋肉腫(A673)、黒色腫(LOX)、および肺癌(H460)のマウス異種移植腫瘍モデルを用いて、その研究を行った。AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)は、VEGF増殖因子リガンドに結合することによって、チロシンキナーゼVEGF受容体を阻害するよう作用する、上市された癌治療薬である。
【0093】
上記の実施例2で説明したように、339.1抗体は、腫瘍異種移植モデルを支持するように発達するマウス脈管構造を標的とし得、一方ボロシキシマブはヒト786.0腫瘍細胞のヒトα5β1インテグリンを標的とし得るので、代替抗体、339.1に加えて、ボロシキシマブを用いた。従って、異種移植モデルにおけるボロシキシマブおよび339.1の組み合わせは、腫瘍および脈管構造の両方を標的とすることによって、ヒトにおけるボロシキシマブの臨床試験の結果により近いモデルとなることが期待される。
【0094】
これらの実験において、確立した異種移植腫瘍を有するマウスを、媒体および媒体、媒体およびAVASTIN(登録商標)、339.1+ボロシキシマブ、または339.1+ボロシキシマブおよびAVASTIN(登録商標)で治療した。A673異種移植による研究において、339.1抗体およびボロシキシマブを10mg/kgで週2回、腹腔内投与し、そしてAVASTIN(登録商標)を0.5mg/kgで週2回投与した。LOXおよびH460異種移植による研究に関して、25mg/kgの339.1の最初の投与量を用いたいくつかの研究を除いて、339.1抗体およびボロシキシマブを10mg/kgで週2回、腹腔内投与し、そしてAVASTIN(登録商標)を10mg/kgで週2回投与した。
【0095】
上記の実験の結果を、それぞれ図6、7、および8に示す、腫瘍体積対試験日数のプロットによって説明する。これらの結果は、抗α5β1アンタゴニストをAVASTIN(登録商標)と共に使用した場合のより高い腫瘍縮小の傾向を示唆する。
【0096】
マウス異種移植モデルにおける339.1によるこれらの結果は、ボロシキシマブおよびベバシズマブの薬学的な組み合わせを、ヒト癌患者における、特に腎臓癌、肺癌、および黒色腫の適応症で、可能性のある治療として示唆する。
【0097】
実施例5
薬学的な組み合わせに関する臨床試験モデル
この実施例は、癌を治療するために用いるボロシキシマブおよびSUTENT(登録商標)の組み合わせを支持するために行い得る、可能性のあるヒト臨床試験を説明する。
【0098】
転移性腎細胞癌を有する患者に、疾患が進行するまで、静脈内プラセボと組み合わせてSUTENT(登録商標)を経口投与(50mg qd、4週間オン、2週間オフ)、または静脈内ボロシキシマブ(10または15mg/kg q2w)と組み合わせてSUTENT(登録商標)を経口投与(50mg qd、4週間オン、2週間オフ)する。治療後、患者を評価して疾患の進行までの時間を決定する。患者を評価して、プラセボプラスSUTENT(登録商標)で治療した患者と比較して、ボロシキシマブプラスSUTENT(登録商標)で治療した患者の反応期間も決定する。疾患指向性X線検査画像診断、理学的検査、生命徴候の測定、および他の標準的な臨床検査測定によるような、安全性および有効性の測定も行う。
【0099】
当業者は、そこに内在するものと同様に、目的を実行し、そして述べられた結果および利点を得るために本発明をよく適応させることを容易に認識する。本明細書中で記載された組成物および方法は代表的、典型的な実施態様であり、そして本発明の範囲の制限として意図されない。
【0100】
本発明の特定の実施態様が説明および記載されたが、様々な他の変化および修飾を、本発明の意図および範囲から離れることなく行い得ることが、当業者に明らかである。従って添付の請求において、本発明の範囲内にある全てのそのような変化および修飾を含むことが意図される。
【0101】
本明細書中で適当に説明的に記載された本発明を、本明細書中で具体的に開示されていないあらゆる要素または制限の非存在下で実施し得る。採用された用語および表現は、制限ではなく説明の用語として用いられ、そしてそのような用語および表現の使用において、示されたおよび説明された特徴のあらゆる同等物またはその一部を除外する意図はない。
【0102】
本発明は、本明細書中で広範囲におよび一般的に説明された。一般的な開示の範囲内に入る、より狭い種および亜属のそれぞれも、本発明の部分を形成する。これは、除外されるものが本明細書中で具体的に引用されるかどうかに関わらず、条件またはその属からあらゆる内容を除去する負の制限を有する本発明の一般的な説明を含む。
【0103】
全ての特許および刊行物は、個々の刊行物それぞれが具体的におよび個々に参考文献に組み込まれると示されたように同じ程度、本明細書中で参考文献に組み込まれる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の予防または治療のための、α5β1インテグリンアンタゴニストおよびチロシンキナーゼ阻害剤を含む薬学的な組み合わせに関連する。
【背景技術】
【0002】
癌は、制御されない細胞分裂によって特徴付けられる疾患または障害の種類である。癌は、全ての年齢の人々が発症し、そして先進諸国において死亡の主な原因の1つである。多くの異なる型の癌が存在する。診断されたら、癌を手術、化学療法および放射線療法の組み合わせで治療する。しかし、これらの治療はそれぞれ多くの望ましくない副作用を有する。それに加えて、癌は疾患の種類を指すので、癌の単一の治療が存在する可能性は低い。従って、癌の新規治療が必要である。
【0003】
α5β1インテグリンと腫瘍血管新生との関連はよく証明されている。α5β1は、内皮細胞の表面に発現し、そして細胞外マトリックスのフィブロネクチンに対する遊走および結合を媒介する、ヘテロダイマーのインテグリンである。α5β1およびフィブロネクチンの間の結合相互作用は、腫瘍血管新生に重要であることが示された。腫瘍内の血管新生は、FGF、VEGF、PDGF等のような、1つまたはそれ以上の血管新生促進増殖因子の放出が、内皮細胞を局所的に活性化した時に始まる。これらの活性化内皮細胞は次いで、そのα5β1インテグリンを介して、細胞外マトリックスのフィブロネクチンに結合することによって、新しい血管を形成する。α5β1アンタゴニストは、インビボ腫瘍モデルにおいて、血管新生を阻害することが示された。
【0004】
プロテインキナーゼは、タンパク質のチロシン、セリン、およびスレオニン残基の水酸基のリン酸化を触媒する酵素である。2つの型のプロテインキナーゼ:チロシンキナーゼおよびセリン−スレオニンキナーゼが存在する。
【0005】
チロシンキナーゼは、チロシン残基のリン酸化を触媒する酵素である。2つの型のチロシンキナーゼ:受容体型チロシンキナーゼおよび細胞内チロシンキナーゼ(非受容体型チロシンキナーゼ)が存在する。チロシンキナーゼは、細胞内シグナル伝達経路に関与し、そして細胞の成長、増殖、分化、抗アポトーシスシグナル伝達および神経突起の伸長のような、重要な細胞機能を調節する。点突然変異等のようなメカニズムによる、これらの酵素の制御されない活性化は、様々な形式の癌を引き起こし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の典型的な実施態様は、チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせた、α5β1アンタゴニストを含む薬学的な組み合わせに関連する。その薬学的な組み合わせは、第一の量のα5β1アンタゴニストを、第二の量のチロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて含み、それらは共に癌の予防または治療のために治療的に有効な量を含む。いくつかの実施態様において、α5β1アンタゴニストは、ボロシキシマブ(volociximab)またはその抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、スニチニブ(sunitinib)またはその薬学的に受容可能な塩である。他の実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、ソラフェニブ(sorafenib)またはその薬学的に受容可能な塩である。さらなる実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、ベバシズマブ(bevacizumab)またはその抗原結合断片である。本発明の他の実施態様は、その薬学的な組み合わせを患者に投与することによって、癌を予防または治療する方法に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】図1Aおよび1Bは、横紋筋肉種(A673)のマウス異種移植モデルにおける、各薬剤単独と比較した、時間をわたっての腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図1B】図1Aおよび1Bは、横紋筋肉種(A673)のマウス異種移植モデルにおける、各薬剤単独と比較した、時間をわたっての腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図2】図2は、腎臓癌(SN12C)のマウス異種移植モデルにおける、各薬剤単独と比較した、時間をわたっての腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明するプロットである。
【図3】図3は、腎臓癌(786−0)のマウス異種移植モデルにおける、各薬剤単独と比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明するプロットである。
【図4】図4は、腎臓癌(786−0)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、スニチニブ(SUTENT(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明するプロットである。
【図5】図5は、腎臓癌(786−0)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))の薬学的な組み合わせの効果を説明するプロットである。
【図6A】図6Aおよび6Bは、腎臓癌(A673)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図6B】図6Aおよび6Bは、腎臓癌(A673)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図7A】図7Aおよび7Bは、黒色腫(LOX)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図7B】図7Aおよび7Bは、黒色腫(LOX)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図8A】図8Aおよび8Bは、肺癌(H460)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【図8B】図8Aおよび8Bは、肺癌(H460)のマウス異種移植モデルにおける、コントロールと比較した、腫瘍体積に対する、α5β1アンタゴニスト、モノクローナル抗体339.1(マウスα5β1に高い親和性で結合する)、そのアナログ、キメラ抗体ボロシキシマブ(ヒトα5β1に高い親和性で結合するが、マウスα5β1と交差反応しない)、およびチロシンキナーゼ阻害剤、AVASTIN(登録商標)の薬学的な組み合わせの効果を説明する、2つの別々の研究のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中で言及される、全ての特許および刊行物は、そのような特許および刊行物で開示される全ての配列を含んで、明白に参考文献に組み込まれる。本明細書中で他に規定されなければ、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書中で記載された様々な実施態様と同様の、または等価なあらゆる方法および材料を、本発明の実施または試験において使用し得る。
【0009】
本明細書中で開示された全ての最大(または最低)の数字の限界は、そのようなより低い(またはより高い)数字の限界が本明細書中で明白に書かれたように、全てのより低い(またはより高い)数字の限界を含むことが意図される。さらに、本明細書中で開示された全ての数字の範囲は、そのようなより広い数字の範囲内に含まれる、すべてのより狭い数字の範囲を含むことが、そのようなより狭い数字の範囲が全て明白に本明細書中で書かれたように意図される。
【0010】
本明細書中で使用される「少なくとも」という語句は、値または用語のリストと組み合わせて使用される場合、リスト中の各値または用語に適用することを意味する。例えば、「少なくとも85%、90%、95%、および99%の配列同一性」という語句は、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、および/または少なくとも99%の配列同一性を指して使用する。
【0011】
本明細書中で使用される「含む(comprising)」という用語およびその同種のものは、その包括的な意味で使用される、すなわち、「含む(including)」という用語およびその対応する同種のものと等価である。
【0012】
他に示されなければ、それぞれ核酸は左から右へ、5’から3’の方向で書かれ、アミノ酸配列は左から右へ、アミノからカルボキシルの方向で書かれる。
【0013】
本明細書中で提供される標題は、明細書全体として参照することによって有し得る、本発明の様々な局面または実施態様の制限ではない。よって、下記で規定される用語は、明細書全体として参照することによって、より完全に規定される。
【0014】
薬学的な組み合わせ
本発明の典型的な実施態様は、チロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせたα5β1アンタゴニストを含む、薬学的な組み合わせに関連する。その薬学的な組み合わせは、第一の量のα5β1アンタゴニストを第二の量のチロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて含み、それは共に癌の予防または治療のために治療的に有効な量を含む。いくつかの実施態様において、本発明の薬学的な組み合わせは、その構成医薬品単独(すなわち組み合わせでない)による治療と比較して、癌の治療において相乗効果(すなわち相加効果)を示し得ることが企図される。
【0015】
本明細書中で使用される「薬学的な組み合わせ」という用語は、2つまたはそれ以上の薬物の組み合わせを意味する。その薬剤を、単一の丸剤または溶液におけるように共同で、または2つまたはそれ以上の別の丸剤、2つまたはそれ以上の別の溶液、または1つまたはそれ以上の溶液および1つまたはそれ以上の丸剤におけるように、別々に投与し得る。別々に投与するなら、その薬物を同時に、連続的に、またはお互い特定の期間内に投与し得る。
【0016】
本明細書中で使用される「治療的に有効な量」という用語は、第一の量の第一の薬物と組み合わせた第二の量の第二の薬物、および任意で、さらなる量のさらなる薬物を意味し、それらは共に癌の1つまたはそれ以上の症状または合併症を予防、軽減、減弱、または治療する。治療的に有効な量を決定する臨床的な方法は、当業者に周知である。例えば、治療的に有効な量は、組み合わせて、腫瘍のサイズを減少させる;癌細胞の数を減少させる;腫瘍の増殖を阻害する;腫瘍の転移を阻害する;および患者において癌に関連する1つまたはそれ以上の症状または合併症をある程度予防または緩和する効果を有する量を指す。
【0017】
本明細書中で使用される「患者」という用語は、ヒトおよび非ヒト哺乳類を意味する。
【0018】
α5β1アンタゴニスト
上記の薬学的な組み合わせは、α5β1アンタゴニスト、その薬学的に受容可能な塩、またはその抗原結合断片を含む。しかし、その薬学的な組み合わせは、複数のα5β1アンタゴニストを含み得る。本明細書中で使用される「α5β1アンタゴニスト」という用語は、α5β1インテグリンに結合し、そしてインテグリンがそのリガンド、フィブロネクチンに結合するのを阻害する化合物を意味する。α5β1アンタゴニストの種類の例は、抗体、ペプチド、および小分子有機化合物を含むがこれに限らない。
【0019】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストは抗体またはその抗原結合断片である。本明細書中で使用される「抗体」という用語は、特定の抗原と免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子を意味する。その用語は、モノクローナルおよびポリクローナル抗体、およびキメラ抗体、ヒト化抗体、および二重特異性抗体(bispecific antibody)、ダイアボディ(diabody)、トリアボディ(triabody)およびテトラボディ(tetrabody)のようなヘテロ結合抗体のような、遺伝的に操作した形式も含む。本発明で有用なモノクローナル、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、およびヘテロ結合抗体を産生する方法は、当該分野で公知である。
【0020】
「抗原結合断片」という用語は、Fab’、F(ab’)2、Fab、Fv、scFv、およびrIgGのような、抗体の抗原結合断片、すなわち抗原結合能力を有する断片を意味する。本発明で有用な公知の抗体から抗原結合断片を産生する方法は、当該分野で公知である。
【0021】
α5β1アンタゴニスト活性を有する抗体またはその抗原結合断片の例は、ボロシキシマブ(いくつかの参考文献においては「M200」とも呼ばれる)、F200、IIA1、NKI−SAM−1、JBS5、および本明細書中で開示された様々なヒト化抗体を含むがこれに限らない。これらの抗体およびその抗原結合断片のアミノ酸配列および作製および使用の方法は、他の参考文献の中で特に、米国特許第6,852,318号、米国特許出願公開第2005/0054834号および米国特許出願公開第2005/0260210号において開示され、それらはそれぞれ本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。
【0022】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストはボロシキシマブである。ボロシキシマブは、固形腫瘍の治療のために開発されている抗α5β1抗体である。ボロシキシマブは、α5β1インテグリンに特異的に結合する、高親和性、キメラIgG4モノクローナル抗体である。ボロシキシマブは現在、黒色腫、腎細胞癌、および膵臓癌の治療に関して、3つの別々の第II相臨床試験中である。
【0023】
ボロシキシマブ、その調製、処方、および癌治療のための使用は、当該分野で公知であり、そして他の参考文献の中で特に、米国特許出願公開第2005/0054834号および米国特許出願公開第2005/0260210号において開示されている。ボロシキシマブは、配列番号2のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施態様において、その重鎖のアミノ酸配列は、配列番号1の核酸配列によってコードされ、そして軽鎖のアミノ酸配列は、配列番号3の核酸配列によってコードされる。
【0024】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストは、ボロシキシマブの抗原結合断片である。そのような断片、その調製、およびその使用は、他の参考文献の中で特に、米国特許出願公開第2005/0054834号において開示されている。そのような断片は、配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。いくつかの実施態様において、その抗原結合断片を、ヒト定常領域と結合させる。
【0025】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストはF200、ボロシキシマブのFab断片である。F200、その調製、およびその使用は当該分野で公知である。例えば、それは、他の参考文献の中で特に、米国特許出願公開第2005/0054834号において開示されている。それはFab断片であるので、F200軽鎖DNAおよびアミノ酸配列は、ボロシキシマブ軽鎖DNAおよびアミノ酸配列と同じである。F200は、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖、および配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施態様において、重鎖のアミノ酸配列は、配列番号7の核酸配列によってコードされる。
【0026】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストはヒト化抗体である。ヒトα5β1インテグリンに特異的に結合する異なるヒト化抗体の範囲の例は、米国特許第6,852,318号において開示され(例えば図1および2を参照のこと)、そして下記で記載され、ここでその抗体は:配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0027】
いくつかの実施態様において、本発明の薬学的な組み合わせにおいて有用なα5β1アンタゴニストは、ボロシキシマブ、IIA1、およびIIA1のヒト化バージョンから選択される抗α5β1抗体のCDR配列を含む抗体である。ボロシキシマブ、IIA1および上記で列挙したヒト化抗α5β1抗体は、同一のCDR配列を共有し、それは米国特許第6,852,318号において開示された様々なアミノ酸配列で示される(例えば図2を参照のこと)。
【0028】
抗α5β1抗体ボロシキシマブは、マウスα5β1インテグリンと交差反応しない。他の実施態様において、本発明はモノクローナル抗体339.1を提供し、それはマウスα5β1を標的として、結合特性および機能阻害特徴は、ヒトα5β1に対するボロシキシマブと同様である。339.1の重鎖可変領域(配列番号22)および339.1の軽鎖可変領域(配列番号23)のアミノ酸配列を、添付の配列表で示す。
【0029】
他の実施態様において、そのα5β1アンタゴニストはペプチドである。本明細書中で使用される「ペプチド」という用語は、ペプチド結合またはペプチド結合のアナログで共に連結したアミノ酸またはアミノ酸アナログのオリゴマーおよびポリマーを含む。従って、ペプチドは2つまたはそれ以上のアミノ酸を含み、それはL−アミノ酸またはD−アミノ酸のいずれか、化学的に修飾されたアミノ酸、天然に存在するまたは天然に存在しないアミノ酸、またはアミノ酸アナログであり得る。α5β1ペプチドアンタゴニストを、ペプチドのライブラリーをスクリーニングすることによって同定し得る、化学合成の周知の方法を用いて調製し得る、または市販の供給源から購入し得る。
【0030】
α5β1アンタゴニスト活性を有するペプチドの例は、アミノ酸配列CRRETAWAC(配列番号21)を含むペプチド、またはATN−161(Attenuon、San Diego、CA)を含むがこれに限らない。α5β1アンタゴニストペプチドは、他の参考文献の中で特に、米国特許第6,852,318号において開示されている。
【0031】
さらなる実施態様において、そのα5β1アンタゴニストは小分子有機化合物またはその薬学的に受容可能な塩である。α5β1アンタゴニスト活性を有する小分子有機化合物の例は、一般的な化学構造(S)−2−フェニルスルフォニルアミノ−3−{{{8−(2−ピリジニルアミノメチル)−}−1−オキサ−2−アザスピロ{4,5}−デカ−2−エニル}カルボニルアミノ}プロピオン酸を有するヘテロ環を含むがこれに限らない。いくつかの実施態様において、その化合物はSJ749であり、それは化学構造:(S)−2−{(2,4,6−トリメチルフェニル)スルフォニル}アミノ−3−{7−ベンジルオキシカルボニル−8−(2−ピリジニルアミノメチル)−1−オキサ−2,7−ジアザスピロ−{4,4}−ノナ−2−エン−3−イル}カルボニルアミノ}プロピオン酸を有する。これらの化合物、その合成方法、およびその使用は、米国特許第5,760,029号において開示され、それは本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。
【0032】
本明細書中で使用される「薬学的に受容可能な塩」という用語は、親化合物の薬理学的有効性および性質を保持する塩を指す。そのような塩は、親化合物の遊離塩基と無機酸の反応によって得られる酸付加塩、または親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオンによって置換されるか、または有機塩基と配位する場合に形成される塩を含む。薬学的に受容可能な塩の例は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、炭酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、およびマグネシウム塩である。
【0033】
チロシンキナーゼ阻害剤
上記の医薬品の組合せは、チロシンキナーゼ阻害剤、その薬学的に受容可能な塩、またはその抗原結合断片を含む。しかし、その医薬品の組合せは、複数のチロシンキナーゼ阻害剤を含み得る。本明細書中で使用される「チロシンキナーゼ阻害剤」という用語は、タンパク質のチロシン残基の水酸基のリン酸化を阻害する化合物を意味し、それは細胞の成長、増殖、分化およびアポトーシスシグナル伝達を阻害するよう作用する。チロシンキナーゼ阻害剤の種類の例は、抗体、ペプチドおよび小分子有機化合物を含むがこれに限らない。チロシンキナーゼの阻害はメカニズムに制限されず、そして本発明のチロシンキナーゼ阻害剤は、例えばチロシンキナーゼ受容体および/またはその受容体のリガンドの機能に拮抗することによって作用し得る。
【0034】
チロシンキナーゼ阻害剤は、多数の種類の細胞受容体に拮抗し得る。例えば、チロシンキナーゼ阻害剤が拮抗し得る受容体のいくつかは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFRαおよびPDGFRβ)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR1、VEGFR2、およびVEGFR3)、表皮増殖因子受容体(EGFR)、幹細胞因子受容体(KIT)、Fms様チロシンキナーゼ−3(FLT3)、コロニー刺激因子受容体1型(CSF−1R)、Rafキナーゼ、Srcファミリーのキナーゼ、およびグリア細胞系統由来神経栄養因子受容体(RET)を含むがこれに限らない。チロシンキナーゼ阻害剤は、1つまたはそれ以上のこれらの受容体を阻害する。
【0035】
いくつかの実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、小分子有機化合物である。チロシンキナーゼを阻害する小分子有機化合物の例は、二単環式、二環式、およびヘテロ環式アリール化合物、ビニレンアザインドール誘導体、1−シクロプロピル−4−ピリジルキノロン、スチリル化合物、スチリル置換ピリジル化合物、キナゾリン誘導体、セレナインドールおよびセレン化物、三環系ポリヒドロキシ化合物、ベンジルホスホン酸化合物、およびピロール置換2−インドリノンである。これらの化合物、その調製および使用は、他の参考文献の中で特に、国際特許出願公開第WO92/20642、WO94/14808、WO94/03427、WO92/21660、WO91/15495号、米国特許第5,330,992、5,217,999、5,302,606、6,573,293、7,125,905号;および欧州特許出願公開第EP0566266号において開示され、それらはそれぞれ本明細書中でその全体として参考文献に組み込まれる。
【0036】
チロシンキナーゼを阻害する小分子有機化合物のさらなる例は、商業的にはNEXAVAR(登録商標)として知られるソラフェニブ;商業的にはSPRYCEL(登録商標)として知られるダサチニブ(dasatinib)、商業的にはTARCEVA(登録商標)として知られるエルロチニブ(erlotinib)、商業的にはIRESSA(登録商標)として知られるゲフィチニブ、商業的にはGLEEVAC(登録商標)およびGLIVEC(登録商標)として知られるイマチニブ(imatinib)、商業的にはTYKERB(登録商標)およびTYCERB(登録商標)として知られるラパチニブ(lapatinib)、ニロチニブ(nilotinib)、商業的にはSUTENT(登録商標)として知られるスニチニブ、および商業的にはZACTIMA(登録商標)として知られるバンデタニブ(vandetanib)である。
【0037】
いくつかの実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、ピロール置換2−インドリノンである。ピロール置換2−インドリノンおよびその薬学的に受容可能な塩、その調製、およびその使用は、当該分野において公知である。例えば、それらは、他の参考文献の中で特に、米国特許第6,573,293および7,125,905号において開示され、それらはそれぞれこれによって本明細書中で参考文献に組み込まれる。ピロール置換2−インドリノンの薬学的に受容可能な塩の例は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、炭酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩を含むがこれに限らない。
【0038】
いくつかの実施態様において、そのピロール置換2−インドリノンはスニチニブである。スニチニブの好ましい薬学的に受容可能な塩は、リンゴ酸スニチニブである。スニチニブは、いくつかの受容体型チロシンキナーゼを標的とする多キナーゼ阻害剤(multi−kinase inhibitor)である。商業的にはSUTENT(登録商標)として公知であるリンゴ酸スニチニブは、化学的には、ブタン二酸,ヒドロキシ−,(2S)−化合物とN−[2−(ジエチルアミノ)エチル]−5−[(Z)−(5−フルオロ−1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3H−インドール−3−イリジン)メチル]−2,4−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(1:1)として表される。リンゴ酸スニチニブは、複数の受容体型チロシンキナーゼを阻害する小分子有機化合物であり、それらのいくつかは腫瘍の増殖、病的血管新生、および癌の転移性の進行に関係する。例えば、スニチニブは、血小板由来増殖因子受容体(PDGFRαおよびPDGFRβ)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR1、VEGFR2およびVEGFR3)、幹細胞因子受容体(KIT)、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、コロニー刺激因子受容体1型(CSF−1R)、およびグリア細胞系統由来神経栄養因子受容体(RET)の阻害剤である。Pfizer(New York、NY)によって販売されているSUTENT(登録商標)は、進行腎細胞癌およびメシル酸イマチニブに対する疾患進行または不耐性の後の胃腸間質腫瘍の両方に対する適用を有する。
【0039】
他の実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、アリール尿素化合物である。アリール尿素化合物およびその薬学的に受容可能な塩、その調製、およびその使用は、当該分野で公知である。例えば、それらは、他の参考文献の中で特に、米国特許出願公開第2003/0216446、2003/0232765および2004/0023961号において開示され、それらはそれぞれこれによって本明細書中で参考文献に組み込まれる。アリール尿素化合物の薬学的に受容可能な塩の例は、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、炭酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩およびマグネシウム塩を含むがこれに限らない。
【0040】
いくつかの実施態様において、そのアリール尿素化合物はソラフェニブである。ソラフェニブの好ましい薬学的に受容可能な塩は、ソラフェニブトシレートである。商業的にはNEXAVAR(登録商標)として知られるソラフェニブトシレートは、化学名4−(4−{3−[4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]ウレイド}フェノキシ)N2−メチルピリジン−2−カルボキサミド4−メチルベンゼンスルホネートを有する。ソラフェニブは、複数の受容体型チロシンキナーゼを阻害する小分子有機化合物であり、そのいくつかは、腫瘍の増殖、病的血管新生、および癌の転移性の進行に関係する。例えば、ソラフェニブはCRAF、BRAF、KIT、FLT−3、VEGFR−2、VEGFR−3、およびPDGFR−βの阻害剤である。Onyx Pharmaceuticals(Emeryville、CA)によって販売されているNEXAVAR(登録商標)は、腎細胞癌の治療に適用を有する。
【0041】
さらなる実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤は、チロシンキナーゼの機能に拮抗する抗体またはその抗原結合断片である。チロシンキナーゼ受容体および/またはその受容体に結合するリガンド(例えば増殖因子)に対する抗体の結合によって、機能の阻害が起こり得る。いくつかの実施態様において、そのチロシンキナーゼ阻害剤はベバシズマブである。ベバシズマブは、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)に結合し、そしてその生物学的活性を阻害する、組換えヒト化モノクローナルIgG1抗体である。ベバシズマブ、その調製、およびその使用は、当該分野で公知である。例えば、それは他の参考文献の中で特に、Prestaら、「Humanization of an Anti−Vascular Endothelial Growth Factor Monoclonal Antibody for the Therapy of Solid Tumors and Other Disorders」、Cancer Research、第57巻、4593−4599頁(1997)において開示されている。商業的にはAVASTIN(登録商標)として知られるベバシズマブは、Genentech(South San Francisco、CA)によって販売されている。ベバシズマブは、結腸または直腸の転移性癌腫、および転移性非扁平上皮、非小細胞肺癌の治療に適用を有する。
【0042】
処方および投与
薬学的な組み合わせ中のそれぞれの薬物を、単離されたおよび精製された形式で投与し得、そして癌細胞または腫瘍と直接接触させ得る。α5β1アンタゴニストおよびチロシンキナーゼ阻害剤を産生および精製する方法は、本明細書中で引用された参考文献において開示されている。純度および均一性を、ポリアクリルアミドゲル電気泳動および高速液体クロマトグラフィーのような、標準的な分析的化学技術を用いて決定し得る。調製物に存在する主な種である化合物は、実質的に精製されたと考えられる。例えば、電気泳動ゲルにおいて本質的に1本のバンドを示す化合物は、実質的に精製されている。いくつかの実施態様において、本発明の薬学的な組み合わせにおいて使用されるそれぞれの薬物は、少なくとも85%純粋、少なくとも95%純粋、またはさらに少なくとも99%純粋である。
【0043】
あるいは、その薬学的な組み合わせの薬物を、投与の前に1つまたはそれ以上の薬学的組成物に処方し得る。本明細書中で使用される「薬学的組成物」という用語は、薬学的に受容可能な担体または賦形剤中で処方された薬物を意味する。従って、その薬学的な組み合わせの薬物を、別々の薬学的組成物に、または1つまたはそれ以上の薬学的組成物に処方し得る。そのような薬学的組成物は、通常薬学的に受容可能な担体または薬学的に受容可能な賦形剤中で処方された薬物を含む。適当な処方は、選択された投与経路に依存する。薬剤(薬物)の処方および投与の技術は、「Remington’s Pharmacological Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PAにおいて見出し得る。
【0044】
本明細書中で使用される「薬学的に受容可能な担体」および「薬学的に受容可能な賦形剤」という用語は、薬物の投与を促進し、患者に有意な刺激を引き起こさず、そして投与された薬物の薬理学的活性および性質を抑制せず、そして採用された投与量および濃度においてそれに接触する細胞または患者に対して無毒性である、担体、賦形剤または希釈剤を指す。薬学的に受容可能な担体および賦形剤の例は、緩衝剤、共溶媒、浸透圧剤(tonicity agent)、pH調整剤、抗酸化剤、糖、ゼラチン、ゴム、色素、結合剤、潤滑剤、増量剤、崩壊剤、保存剤、香料、増粘剤、着色料および乳化剤を含むがこれに限らない。
【0045】
α5β1アンタゴニストまたはチロシンキナーゼ阻害剤を含む薬学的組成物を、経口、皮下、静脈内、硝子体内、鼻腔内、局所、経皮、経粘膜、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸内、眼内、脳室内、またはくも膜下腔内を含むがこれに限らない、様々な方法で患者に投与し得る。いくつかの実施態様において、その組成物を静脈内または経口投与する。
【0046】
薬学的組成物を、当該分野で周知の過程によって、例えば従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣丸製造、湿式粉砕、乳化、カプセル封入、封入、または凍結乾燥過程によって製造し得る。薬学的組成物を、丸剤、溶液、錠剤、カプセル、液体、ゲル、懸濁液、糖衣丸コア、エアロゾルスプレー、坐剤等として製造し得、それは選択された投与経路に依存する。
【0047】
注射のために、薬物を水性溶液中で処方し得る。いくつかの実施態様において、その溶液は水中5%のデキストロース、0.9%生理食塩水、またはハンクス液またはリンゲル液のような生理学的に適合性の緩衝液である。さらに、活性化合物(薬物)の懸濁液を、親油性媒体またはリポソーム中で調製し得る。適当な親油性媒体は、ゴマ油のような脂肪油;オレイン酸エチルおよびトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル;またはリポソームのような材料を含む。水性注射懸濁液はまた、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランのような、懸濁液の粘性を高める物質を含み得る。任意で、その懸濁液はまた、高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために、適当な安定剤および/または化合物の溶解性を高める薬剤を含み得る。あるいは、その活性成分(薬物)は、滅菌、発熱物質を含まない水、水中5%のデキストロース、または0.9%の生理食塩水のような、適当な媒体で使用前に構成するための粉末形式であり得る。
【0048】
薬物を、例えばボーラス注射または持続注入による、非経口投与のために処方し得る。注射のための処方は、アンプル、バイアル、複数回投与の容器、静脈内バッグまたはボトルのような、単位投与形式で提示し得る。
【0049】
経粘膜投与のために、浸透すべきバリアに適当な浸透剤を処方中で使用する。そのような浸透剤は、当該分野で一般的に公知である。
【0050】
経口投与のために、薬物を、薬学的に受容可能な担体と組み合わせることによって処方し得る。そのような担体は、薬物を、経口摂取のための錠剤、丸剤、ロゼンジ、糖衣丸、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等として処方することを可能にする。経口使用のための薬学的組成物を、固体賦形剤を用いて、望ましいなら適当な補助剤を加えた後に、任意でできた混合物を粉砕して、そして顆粒の混合物を処理して作製して、錠剤または糖衣丸のコアを得ることができる。有用な賦形剤は、ラクトース、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールを含む糖;トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプンおよびジャガイモデンプンのようなセルロース調製物;およびゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)のような他の材料のような増量剤を含む。もし望ましいなら、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸のような崩壊剤を加え得る。アルギン酸ナトリウムのような塩も使用し得る。
【0051】
薬物を、糖衣丸コアとして処方し得る。この目的のために、任意でアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および適当な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る、濃縮糖溶液を使用し得る。同定のために、または異なる組み合わせの活性化合物投与量を特徴付けるために、色素(dyestuffs)または色素(pigments)を、錠剤または糖衣丸コーティングに加え得る。
【0052】
薬物をまた、ゼラチンでできたプッシュフィット(push−fit)カプセルとして、およびゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールのような可塑剤でできた軟らかい、密封カプセルとして処方し得る。プッシュフィット(push−fit)カプセルは、ラクトースのような増量剤;デンプンのような結合剤;および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;および任意で安定剤と混合して薬物を含み得る。ソフトカプセルにおいて、薬物を、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールのような、適当な液体に溶解または懸濁し得る。あるいは、薬物をハードゼラチンカプセルとして処方し得る。
【0053】
吸入による投与のために、薬物を、加圧パックまたは噴霧器およびジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素のような適当な噴霧剤を用いて、エアロゾルスプレーの形式で送達し得る。加圧エアロゾルの場合、計量した量を伝達するためのバルブを提供することによって、投与単位をコントロールし得る。吸入器(inhaler)または注入器(insufflator)で使用するための、例えばゼラチンのカプセルまたはカートリッジを、薬物の粉末混合物およびラクトースまたはデンプンのような適当な粉末基剤を含んで処方し得る。
【0054】
薬物をまた、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドのような従来の坐剤基剤を用いて、坐剤または保持浣腸のような直腸内組成物に処方し得る。
【0055】
それに加えて、薬物をデポー調製物として処方し得る。そのような長時間作用型組成物を、例えば皮下の埋め込みによって、または筋肉内注射によって投与し得る。薬物を、適当なポリマー性または親水性材料を用いて、イオン交換樹脂を用いて、または難溶性の塩として、この投与経路のために処方し得る。
【0056】
さらに、薬物を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスのような、徐放性システムを用いて、薬物を伝達し得る。様々な徐放性材料が当業者に周知である。徐放性カプセルは、その化学的性質に依存して、薬物を数日から100日までの期間をかけて放出する。薬物の化学的性質および安定性に依存して、安定化のためのさらなる戦略を採用し得る。
【0057】
いくつかの実施態様において、そのα5β1アンタゴニストは、その抗原結合断片を含む抗α5β1抗体であり、それを、pH5.5から7.5で、1.0mg/mLから15.0mg/mLのα5β1アンタゴニスト、22mMから28mMのクエン酸塩、135mMから165mMの塩化ナトリウム、0.04%−0.06%のポリソルベート(TWEEN(登録商標))80の溶液を含む薬学的組成物として処方する。いくつかの実施態様において、その液体処方のpHの範囲は、pH6.0およびpH7.0の間、pH6.3およびpH6.7の間、pH6.4および6.6の間、または約pH6.5である。好ましくは、その組成物は安定および等張である。特に好ましい実施態様において、その薬学的組成物は、pH6.5において、10.0mg/mLのα5β1アンタゴニスト、25mMのクエン酸塩、150mMの塩化ナトリウム、0.05%のポリソルベート(TWEEN(登録商標))80の溶液を含む。好ましくは、その組成物を2〜8℃で冷蔵する。
【0058】
本発明の薬学的な組み合わせにおいて有用な抗α5β1抗体の例示的な処方、投与量、投与方法、および他の治療プロトコールは、米国特許出願公開第2005/0260210号において開示され、これは参考として本明細書に援用される。
【0059】
いくつかの実施態様において、その薬学的に受容可能な塩を含むスニチニブを、12.5mg、25mgまたは50mgのスニチニブと同等のリンゴ酸スニチニブ、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、およびステアリン酸マグネシウムを含むカプセルを含む薬学的組成物として処方する。
【0060】
いくつかの実施態様において、その薬学的に受容可能な塩を含むソラフェニブを、200mgのソラフェニブと同等のソラフェニブトシレート、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース、ヒプロメロース、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、および酸化鉄(III)を含む錠剤を含む薬学的組成物として処方する。
【0061】
いくつかの実施態様において、その抗原結合断片を含むベバシズマブを、それぞれ4mlまたは16mlの単回使用バイアル中に100mgまたは400mgのベバシズマブを含む薬学的組成物として処方する。100mg、4mlのバイアルを、240mgのα,α−トレハロース二水和物、23.2mgのリン酸ナトリウム(一塩基、一水和物)、4.8mgのリン酸ナトリウム(二塩基、無水)、1.6mgのポリソルベート20、および水で処方する。400mg、16mlのバイアルを、960mgのα,α−トレハロース二水和物、92.8mgのリン酸ナトリウム(一塩基、一水和物)、19.2mgのリン酸ナトリウム(二塩基、無水)、6.4mgのポリソルベート20、および水で処方する。好ましくは、それぞれの組成物を2〜8℃で冷蔵する。それに加えて、組成物を光から保護することが好ましい。患者への投与前に、必要な量のベバシズマブをバイアルから取り、そして100mlの0.9%生理食塩水に希釈することも好ましい。
【0062】
薬物を、投与の方法に依存して様々な単位投与形式で投与し得る。本発明の特定の実施態様において使用する正確な投与量および投与の頻度は、治療の目的に依存し、そして周知の技術を用いて当業者によって確認し得る。当該分野において公知であるように、全身対局所伝達、年齢、体重、一般的な健康、性別、食事、投与の時間、薬剤の相互作用、および状態の重症度に関する調整が必要であり得る。
【0063】
投与量および間隔を、個々に調整して、薬理学的効果を維持するために十分な薬物の血漿レベルを提供し得る。これらの血漿レベルを、最低有効濃度(MEC)と呼ぶ。MECは、各薬物に関して変動するが、インビトロのデータから推定し得る。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特徴および投与経路に依存する。HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して血漿濃度を決定し得る。投与間隔も、MEC値を用いて決定し得る。10−90%の時間、好ましくは30−90%の間、そして最も好ましくは50−90%の間、MECより上の血漿レベルを維持するレジメを用いて薬物を投与するべきである。
【0064】
いくつかの実施態様において、患者の体重(kgのような)あたりの薬物の重量(mgのような)(すなわち「mg/kg」)に基づいて、薬物を患者に投与する。他の実施態様において、薬物の重量(mgのような)に基づいて、薬物を患者に投与する。さらなる実施態様において、血液容積(mlのような)あたりの薬物の量(mMのような)に基づいて、薬物を患者に投与する。
【0065】
一般的に、α5β1アンタゴニストの有効な投与量は、1−15mg/kgの範囲である。好ましくは、その投与量は10−15mg/kgである。好ましくは、α5β1抗体アンタゴニスト、またはその抗原結合断片を、患者の体重(kg)あたりの抗体の重量(mg)に基づいて、患者に投与し、そして0.1−15mg/kgの、ボロシキシマブのようなα5β1アンタゴニスト抗体、またはF200のようなその抗原結合断片を含む。例えば、抗体またはその抗原結合断片の適当な濃度は、0.1−15mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、1.0−5.0mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、5−10mg/kg、7.5mg/kg、10mg/kg、10−15mg/kg、12.5mg/kgまたは15mg/kgを含むがこれに限らない。好ましくは、その濃度は10または15mg/kgのいずれかである。
【0066】
本発明の薬学的な組み合わせにおいて有用な抗α5β1抗体の典型的な投与量およびレジメが、米国特許出願公開第2005/0260210号において開示され、これは参考として本明細書に援用される。
【0067】
好ましくは、α5β1ペプチドおよび小分子有機化合物アンタゴニストを、1−100ピコモル/血液容積のmlの濃度で投与する。好ましくは、その投与量を、1時間以上かけた静脈内注入として患者に投与する。さらなる投与量を、患者において定常状態の血清濃度が確立するように、延長した時間をかけて投与し得る。例えば、10mg/kgの注入を、1年の過程で週1回投与し得る。
【0068】
一般的に、チロシンキナーゼ阻害剤の有効な投与量は、1−1000mgの範囲である。好ましくは、その投与量は1−600mgである。
【0069】
好ましくは、薬学的組成物が0.1−100mgのスニチニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含むように、薬剤の重量に基づいて、スニチニブを患者に投与する。例えば、スニチニブまたはその薬学的に受容可能な塩の適当な濃度は、0.1−100mg、12.5mg、0.1−25mg、25mg、25−50mg、37.5mg、50mg、50−75mg、62.5mg、75mg、75−100mg、87.5mgおよび100mgを含むがこれに限らない。
【0070】
リンゴ酸スニチニブは、商業的にはSUTENT(登録商標)として公知である。SUTENT(登録商標)カプセルは、12.5、25または50mgのスニチニブと等価なリンゴ酸スニチニブを含む、プリントされたハードシェルカプセルとして供給される。胃腸間質腫瘍および腎細胞癌の治療のために推奨されるSUTENT(登録商標)の投与量は、4週間の治療に続く2週間の休止のスケジュールで、1日1回50mgの経口投与である。個々の安全性および耐容性に基づいて、12.5mgずつの投与量増加または減少が推奨される。
【0071】
好ましくは、薬学的組成物が1−800mgのソラフェニブまたはその薬学的に受容可能な塩を含むように、薬剤の重量に基づいて、ソラフェニブを患者に投与する。例えば、ソラフェニブまたはその薬学的に受容可能な塩の適当な濃度は、200mg、400mg、600mgおよび800mgを含むがこれに限らない。
【0072】
ソラフェニブトシレートは、商業的にはNEXAVAR(登録商標)として公知である。NEXAVAR(登録商標)錠は、200mgのソラフェニブと等価のソラフェニブトシレートを含む、赤い、丸い、フィルムコートされた錠剤として供給される。腎細胞癌の治療のために推奨されるNEXAVAR(登録商標)の投与量は、1日2回投与の400mg(2つの200mg錠)である。
【0073】
好ましくは、ベバシズマブ、またはその抗原結合断片を、患者の体重(kg)あたりの抗体の重量(mg)に基づいて患者に投与し、そして0.1−20mg/kgのベバシズマブ、またはその抗原結合断片を含む。例えば、抗体またはその抗原結合断片の適当な濃度は、0.1−20mg/kg、1.0−5.0mg/kg、2.5mg/kg、5mg/kg、5−10mg/kg、7.5mg/kg、10mg/kg、10−15mg/kg、12.5mg/kg、15mg/kg、17.5mg/kgまたは20mg/kgを含むがこれに限らない。
【0074】
薬学的な組み合わせの個々の薬物を別々に投与する場合、1日あたりに投与する各薬物の投与の数は、必ずしも同じである必要はないかもしれない。例えば、1つの薬物は、より長い作用時間を有し得、そしてより少ない回数を投与する必要がある。
【0075】
キット
本発明のいくつかの実施態様は、各薬物を別々に投与し得る薬物の組み合わせを投与することによる癌の予防または治療に関連するので、本発明はまた、別々の薬物または薬学的組成物をキット形式に組み合わせることに関連する。すなわち、2つまたはそれ以上の別々のユニット:1つまたはそれ以上のα5β1アンタゴニスト薬学的組成物および1つまたはそれ以上のチロシンキナーゼ阻害剤薬学的組成物が組み合わされたキットが企図される。そのキットは、好ましくは別々の成分の投与に関する指示を含む。別々の成分を異なる投与形式で、例えば経口および非経口で投与しなければならない、または異なる投与間隔で投与する場合に、そのようなキット形式は特に有利である。
【0076】
適応症
上記の薬学的な組み合わせは、腎細胞癌、黒色腫、膵臓癌、胃腸間質腫瘍、膀胱癌、乳癌、大腸癌、線維肉腫、肺癌、転移性黒色腫、前立腺癌、卵巣癌、および脾臓癌を含むがこれに限らない、多くの種類の固形腫瘍の治療のための治療アプローチを提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、その腫瘍細胞の表面にα5β1インテグリンを発現するあらゆる癌の治療のための、薬学的な組み合わせを提供する。その表面にα5β1インテグリンを発現する腫瘍細胞は、当該分野で公知であり、そして例えば米国特許出願公開第2005/0260210号において開示され、これは参考として本明細書に援用される。
【0077】
本発明を実施するための方式および方法は、以下の実施例を参照することによって、当業者によってより完全に理解され得、その実施例はいかなる方式においても本発明またはそれに向けられた請求の範囲を制限することを意図しない。
【実施例】
【0078】
実施例1
この実施例は、α5β1インテグリンアンタゴニスト、ボロシキシマブアナログである339.1抗体と組み合わせたチロシンキナーゼ阻害剤、SUTENT(登録商標)の効果の研究を説明する。その研究を、3つの異なる癌:横紋筋肉種(A673)、腎臓癌(SN−12C)、および腎臓癌(786−0)の前臨床マウス異種移植腫瘍モデルを用いて行った。
【0079】
ボロシキシマブはマウスα5β1インテグリンと交差反応しないので、これらのマウス異種移植実験においてはボロシキシマブではなく代替抗体、339.1を用いた。339.1抗体は、マウスα5β1を標的とし、ヒトα5β1を標的とするボロシキシマブと同様の性質を有する。339.1重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号22)および339.1軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号23)を、添付した配列表において示す。従って、それは、マウスα5β1インテグリンに起因する、異種移植腫瘍増殖に対する血管新生効果を標的とし得るので、ボロシキシマブのマウスアナログを用いることが、有効性のより良い基準を提供することが企図された。
【0080】
確立したA673、SN−12C、または786−0異種移植腫瘍を有するマウスを、媒体、339.1、SUTENT(登録商標)、または339.1および最大下の投与量のSUTENT(登録商標)で治療した。339.1抗体を、10mg/kgで週2回、腹腔内に投与し、そしてSUTENT(登録商標)を20mg/kgで毎日経口投与した。
【0081】
腫瘍モデルA673、SN−12C、および786−0による研究に関する、異種移植腫瘍の増殖対治療日数のプロットを、それぞれ図1、2、および3に示す。その結果は、抗α5β1アンタゴニストをチロシンキナーゼ阻害剤、SUTENT(登録商標)と組み合わせて使用した場合のより大きな腫瘍縮小の傾向を示唆する。
【0082】
実施例2
この実施例は、癌の前臨床モデルを用いた、SUTENT(登録商標)、ボロシキシマブおよびボロシキシマブアナログ、339.1の組み合わせ効果の研究を説明する。具体的には、その研究を腎臓癌(786−0)のマウス異種移植腫瘍モデルを用いて行った。
【0083】
ボロシキシマブを含む薬学的組成物を用いて、ヒト癌患者の治療の完全な抗腫瘍効果のモデルとするために、この研究において、ボロシキシマブ代替抗体、339.1に加えて、ボロシキシマブを用いた。339.1抗体は、腫瘍異種移植モデルを支持するように発達するマウス脈管構造を標的とし得、一方ボロシキシマブはヒト786.0腫瘍細胞のヒトα5β1インテグリンを標的とし得る。従って、異種移植モデルにおけるボロシキシマブおよび339.1の組み合わせは、腫瘍および脈管構造の両方を標的とすることによって、ヒトにおけるボロシキシマブの臨床試験の結果により近いモデルとなることが期待される。
【0084】
これらの実験において、確立した異種移植腫瘍を有するマウスを、媒体および媒体、媒体およびSUTENT(登録商標)、339.1+ボロシキシマブおよび媒体、または339.1+ボロシキシマブおよびSUTENT(登録商標)で治療した。339.1抗体およびボロシキシマブを、25mg/kgの339.1の最初の投与量以外は10mg/kgで週2回、腹腔内に投与し、そしてSUTENT(登録商標)を20mg/kgで毎日経口投与した。
【0085】
上記の研究の結果を、図4にプロットしたデータによって説明する。腎臓癌の786−0モデルにおいて、コントロールと比較して、統計学的に有意な効果が、SUTENT(登録商標)、339.1およびボロシキシマブの組み合わせで観察された。
【0086】
これらの結果は、癌、特に腎細胞癌を有する患者における、ボロシキシマブおよびSUTENT(登録商標)(スニチニブ)の薬学的な組み合わせの使用を支持する。
【0087】
実施例3
この実施例は、腎臓癌(786−0)のマウス異種移植腫瘍モデルを用いた、NEXAVAR(登録商標)、ボロシキシマブおよびボロシキシマブアナログ、339.1の薬学的な組み合わせの組み合わせ効果の研究を説明する。
【0088】
上記の実施例2で説明したように、339.1抗体は、腫瘍異種移植モデルを支持するように発達するマウス脈管構造を標的とし得、一方ボロシキシマブはヒト786.0腫瘍細胞のヒトα5β1インテグリンを標的とし得るので、代替抗体、339.1に加えて、ボロシキシマブを用いた。従って、異種移植モデルにおけるボロシキシマブおよび339.1の組み合わせは、腫瘍および脈管構造の両方を標的とすることによって、ヒトにおけるボロシキシマブの臨床試験の結果により近いモデルとなることが期待される。
【0089】
これらの実験において、確立した異種移植腫瘍を有するマウスを、媒体および媒体、媒体およびNEXAVAR(登録商標)、339.1+ボロシキシマブおよび媒体、または339.1+ボロシキシマブおよびNEXAVAR(登録商標)で治療した。339.1抗体およびボロシキシマブを、25mg/kgの339.1の最初の投与量以外は10mg/kgで週2回、腹腔内に投与し、そしてNEXAVAR(登録商標)を12.5mg/kgで毎日経口投与した。
【0090】
上記の実験の結果を、図5に示した腫瘍体積対試験日数のプロットによって説明する。腎臓癌の786−0モデルにおいて、NEXAVAR(登録商標)、339.1およびボロシキシマブの薬学的な組み合わせによって、コントロールと比較して、統計学的に有意な効果が観察された。
【0091】
これらの結果は、癌、特に腎細胞癌を有する患者における、ボロシキシマブおよびNEXAVAR(登録商標)(ソラフェニブ)の薬学的な組み合わせの使用を支持する。
【0092】
実施例4
この実施例は、3つの異なる癌の前臨床モデルを用いた、AVASTIN(登録商標)、ボロシキシマブおよびボロシキシマブアナログ、339.1の組み合わせ効果の研究を説明する。具体的には、横紋筋肉腫(A673)、黒色腫(LOX)、および肺癌(H460)のマウス異種移植腫瘍モデルを用いて、その研究を行った。AVASTIN(登録商標)(ベバシズマブ)は、VEGF増殖因子リガンドに結合することによって、チロシンキナーゼVEGF受容体を阻害するよう作用する、上市された癌治療薬である。
【0093】
上記の実施例2で説明したように、339.1抗体は、腫瘍異種移植モデルを支持するように発達するマウス脈管構造を標的とし得、一方ボロシキシマブはヒト786.0腫瘍細胞のヒトα5β1インテグリンを標的とし得るので、代替抗体、339.1に加えて、ボロシキシマブを用いた。従って、異種移植モデルにおけるボロシキシマブおよび339.1の組み合わせは、腫瘍および脈管構造の両方を標的とすることによって、ヒトにおけるボロシキシマブの臨床試験の結果により近いモデルとなることが期待される。
【0094】
これらの実験において、確立した異種移植腫瘍を有するマウスを、媒体および媒体、媒体およびAVASTIN(登録商標)、339.1+ボロシキシマブ、または339.1+ボロシキシマブおよびAVASTIN(登録商標)で治療した。A673異種移植による研究において、339.1抗体およびボロシキシマブを10mg/kgで週2回、腹腔内投与し、そしてAVASTIN(登録商標)を0.5mg/kgで週2回投与した。LOXおよびH460異種移植による研究に関して、25mg/kgの339.1の最初の投与量を用いたいくつかの研究を除いて、339.1抗体およびボロシキシマブを10mg/kgで週2回、腹腔内投与し、そしてAVASTIN(登録商標)を10mg/kgで週2回投与した。
【0095】
上記の実験の結果を、それぞれ図6、7、および8に示す、腫瘍体積対試験日数のプロットによって説明する。これらの結果は、抗α5β1アンタゴニストをAVASTIN(登録商標)と共に使用した場合のより高い腫瘍縮小の傾向を示唆する。
【0096】
マウス異種移植モデルにおける339.1によるこれらの結果は、ボロシキシマブおよびベバシズマブの薬学的な組み合わせを、ヒト癌患者における、特に腎臓癌、肺癌、および黒色腫の適応症で、可能性のある治療として示唆する。
【0097】
実施例5
薬学的な組み合わせに関する臨床試験モデル
この実施例は、癌を治療するために用いるボロシキシマブおよびSUTENT(登録商標)の組み合わせを支持するために行い得る、可能性のあるヒト臨床試験を説明する。
【0098】
転移性腎細胞癌を有する患者に、疾患が進行するまで、静脈内プラセボと組み合わせてSUTENT(登録商標)を経口投与(50mg qd、4週間オン、2週間オフ)、または静脈内ボロシキシマブ(10または15mg/kg q2w)と組み合わせてSUTENT(登録商標)を経口投与(50mg qd、4週間オン、2週間オフ)する。治療後、患者を評価して疾患の進行までの時間を決定する。患者を評価して、プラセボプラスSUTENT(登録商標)で治療した患者と比較して、ボロシキシマブプラスSUTENT(登録商標)で治療した患者の反応期間も決定する。疾患指向性X線検査画像診断、理学的検査、生命徴候の測定、および他の標準的な臨床検査測定によるような、安全性および有効性の測定も行う。
【0099】
当業者は、そこに内在するものと同様に、目的を実行し、そして述べられた結果および利点を得るために本発明をよく適応させることを容易に認識する。本明細書中で記載された組成物および方法は代表的、典型的な実施態様であり、そして本発明の範囲の制限として意図されない。
【0100】
本発明の特定の実施態様が説明および記載されたが、様々な他の変化および修飾を、本発明の意図および範囲から離れることなく行い得ることが、当業者に明らかである。従って添付の請求において、本発明の範囲内にある全てのそのような変化および修飾を含むことが意図される。
【0101】
本明細書中で適当に説明的に記載された本発明を、本明細書中で具体的に開示されていないあらゆる要素または制限の非存在下で実施し得る。採用された用語および表現は、制限ではなく説明の用語として用いられ、そしてそのような用語および表現の使用において、示されたおよび説明された特徴のあらゆる同等物またはその一部を除外する意図はない。
【0102】
本発明は、本明細書中で広範囲におよび一般的に説明された。一般的な開示の範囲内に入る、より狭い種および亜属のそれぞれも、本発明の部分を形成する。これは、除外されるものが本明細書中で具体的に引用されるかどうかに関わらず、条件またはその属からあらゆる内容を除去する負の制限を有する本発明の一般的な説明を含む。
【0103】
全ての特許および刊行物は、個々の刊行物それぞれが具体的におよび個々に参考文献に組み込まれると示されたように同じ程度、本明細書中で参考文献に組み込まれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
α5β1アンタゴニストおよびチロシンキナーゼ阻害剤を含む、癌を処置するための薬学的な組み合わせ。
【請求項2】
前記癌が、腎細胞癌、黒色腫、膵臓癌、胃腸間質腫瘍、膀胱癌、乳癌、大腸癌、線維肉腫、肺癌、転移性黒色腫、前立腺癌、卵巣癌、および脾臓癌からなる群より選択される、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
前記α5β1アンタゴニストが抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号2を含む重鎖および配列番号4を含む軽鎖を含む、請求項3に記載の組み合わせ。
【請求項5】
前記抗体が、配列番号5を含む重鎖可変領域、配列番号6を含む軽鎖可変領域、およびヒト定常領域を含む、請求項3に記載の組み合わせ。
【請求項6】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が、二単環式、二環式、およびヘテロ環式アリール化合物、ビニレンアザインドール誘導体、1−シクロプロピル−4−ピリジルキノロン、スチリル化合物、スチリル置換ピリジル化合物、キナゾリン誘導体、セレナインドールおよびセレン化物、三環系ポリヒドロキシ化合物、ベンジルホスホン酸化合物、ピロール置換2−インドリノン、アリール尿素化合物、ソラフェニブ、ソラフェニブトシレート、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、スニチニブ、リンゴ酸スニチニブ、バンデタニブおよびベバシズマブからなる群より選択される、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項7】
前記ピロール置換2−インドリノンが、スニチニブまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項8】
前記ピロール置換2−インドリノンがリンゴ酸スニチニブである、請求項7に記載の組み合わせ。
【請求項9】
ボロシキシマブおよびリンゴ酸スニチニブを含む、請求項8に記載の組み合わせ。
【請求項10】
ボロシキシマブおよびソラフェニブトシレートを含む、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項11】
ボロシキシマブおよびベバシズマブを含む、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項12】
前記α5β1アンタゴニストが、静脈内投与のために処方されたボロシキシマブである、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項13】
前記ボロシキシマブ処方物が、5.5〜7.5のpHで、1.0mg/mLと15.0mg/mLとの間のボロシキシマブ、22mM〜28mMのクエン酸塩、135mM〜165mMの塩化ナトリウム、0.04%〜0.06%のポリソルベート(TWEEN(登録商標))80を含む、請求項12に記載の組み合わせ。
【請求項14】
溶液が、6.5のpHで、10.0mg/mLのボロシキシマブ、25mMのクエン酸塩、150mMの塩化ナトリウム、0.05%のポリソルベート(TWEEN(登録商標))80を含む、請求項13に記載の組み合わせ。
【請求項15】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が、カプセルとして処方されたリンゴ酸スニチニブである、請求項8に記載の組み合わせ。
【請求項16】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が、錠剤として処方されたソラフェニブトシレートである、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項17】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が、静脈内投与のために処方されたベバシズマブである、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項18】
請求項9に記載の薬学的な組み合わせを投与することを含む、癌を処置または予防するための方法。
【請求項19】
請求項10に記載の薬学的な組み合わせを投与することを含む、癌を処置または予防するための方法。
【請求項20】
請求項11に記載の薬学的な組み合わせを投与することを含む、癌を処置または予防するための方法。
【請求項1】
α5β1アンタゴニストおよびチロシンキナーゼ阻害剤を含む、癌を処置するための薬学的な組み合わせ。
【請求項2】
前記癌が、腎細胞癌、黒色腫、膵臓癌、胃腸間質腫瘍、膀胱癌、乳癌、大腸癌、線維肉腫、肺癌、転移性黒色腫、前立腺癌、卵巣癌、および脾臓癌からなる群より選択される、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項3】
前記α5β1アンタゴニストが抗体またはその抗原結合断片である、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項4】
前記抗体が、配列番号2を含む重鎖および配列番号4を含む軽鎖を含む、請求項3に記載の組み合わせ。
【請求項5】
前記抗体が、配列番号5を含む重鎖可変領域、配列番号6を含む軽鎖可変領域、およびヒト定常領域を含む、請求項3に記載の組み合わせ。
【請求項6】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が、二単環式、二環式、およびヘテロ環式アリール化合物、ビニレンアザインドール誘導体、1−シクロプロピル−4−ピリジルキノロン、スチリル化合物、スチリル置換ピリジル化合物、キナゾリン誘導体、セレナインドールおよびセレン化物、三環系ポリヒドロキシ化合物、ベンジルホスホン酸化合物、ピロール置換2−インドリノン、アリール尿素化合物、ソラフェニブ、ソラフェニブトシレート、ダサチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、スニチニブ、リンゴ酸スニチニブ、バンデタニブおよびベバシズマブからなる群より選択される、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項7】
前記ピロール置換2−インドリノンが、スニチニブまたはその薬学的に受容可能な塩である、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項8】
前記ピロール置換2−インドリノンがリンゴ酸スニチニブである、請求項7に記載の組み合わせ。
【請求項9】
ボロシキシマブおよびリンゴ酸スニチニブを含む、請求項8に記載の組み合わせ。
【請求項10】
ボロシキシマブおよびソラフェニブトシレートを含む、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項11】
ボロシキシマブおよびベバシズマブを含む、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項12】
前記α5β1アンタゴニストが、静脈内投与のために処方されたボロシキシマブである、請求項1に記載の組み合わせ。
【請求項13】
前記ボロシキシマブ処方物が、5.5〜7.5のpHで、1.0mg/mLと15.0mg/mLとの間のボロシキシマブ、22mM〜28mMのクエン酸塩、135mM〜165mMの塩化ナトリウム、0.04%〜0.06%のポリソルベート(TWEEN(登録商標))80を含む、請求項12に記載の組み合わせ。
【請求項14】
溶液が、6.5のpHで、10.0mg/mLのボロシキシマブ、25mMのクエン酸塩、150mMの塩化ナトリウム、0.05%のポリソルベート(TWEEN(登録商標))80を含む、請求項13に記載の組み合わせ。
【請求項15】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が、カプセルとして処方されたリンゴ酸スニチニブである、請求項8に記載の組み合わせ。
【請求項16】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が、錠剤として処方されたソラフェニブトシレートである、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項17】
前記チロシンキナーゼ阻害剤が、静脈内投与のために処方されたベバシズマブである、請求項6に記載の組み合わせ。
【請求項18】
請求項9に記載の薬学的な組み合わせを投与することを含む、癌を処置または予防するための方法。
【請求項19】
請求項10に記載の薬学的な組み合わせを投与することを含む、癌を処置または予防するための方法。
【請求項20】
請求項11に記載の薬学的な組み合わせを投与することを含む、癌を処置または予防するための方法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2010−534685(P2010−534685A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518437(P2010−518437)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/071379
【国際公開番号】WO2009/018226
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(509189086)ファセット バイオテック コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/071379
【国際公開番号】WO2009/018226
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(509189086)ファセット バイオテック コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】
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