説明

ツーリング補助システムおよびツーリング補助装置

【課題】ナビゲーション装置を設置する車両を減らし、携帯電話装置による常時通信が必要なく、後続車両に異常が発生した時の先頭車両への通知を迅速にかつ先頭車両の操縦者が気付きやすいようにする。
【解決手段】ツーリングに参加する先頭車両には、ツーリング参加全した他の車両から受信した軌跡データから全車両の各位置を表示するナビゲーション装置33と無線送受信装置を備え、最終車両6にはツーリング参加先頭と最終車両の位置を表示するナビゲーション装置53と緊急通知スイッチ64と無線送受信装置を備え、他の車両4にはナビゲーション装置を無くして緊急通知スイッチ44と無線送受信装置を設けたツーリング補助システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の車両でツーリングする場合に各移動体で利用可能なツーリング補助システムおよびツーリング補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数台の車両でツーリングする場合には、各車両が他の車両と同経路を進行することの確認が必要である。例えば、後続車両が前走車両と信号待ち等で離れた場合には、その後の運転では、右/左折路の先や遠方に注意することから、周囲の状況やバックミラー等へ注意が散漫してしまい、運転に集中できないことが多い。また、後続車両は、追いつくためにスピードを上げがちであり、前走車両は、待ち受けのために狭い道での無理な路肩駐車をすることもあり、交通事故を起こしやすいという問題があった。
【0003】
そのような問題に対して、ナビゲーション装置と携帯電話装置を組み合わせて、後続車両の位置を先頭車両に通知し、二車間の距離が所定以上離れたら警報を出力すると共に待ち合わせポイントを設定し、後続車両を待ち合わせポイントに誘導するツーリングサポート方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、車両毎にナビゲーション装置を有する場合、各装置へ同じ目的地を個別に設定する煩雑さがあり、特に車両の台数が多い場合には煩雑であった。この問題を解消するために、無線通信装置の親機と子機を各車両のナビゲーション装置と組み合わせて、先頭車両のナビゲーション情報を親機から子機に通知することで、後続車両のナビゲーション情報と共有化する車両用無線通信システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−108460号公報
【特許文献2】特開2006−324872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の場合は、各車両に個別にナビゲーション装置を設置する必要がある。従って、個別のナビゲーション装置を設置し携帯電話装置と接続する工数と、各ナビゲーション装置に同じ目的地や立ち寄り地を個別に設定する工数が必要であり、出発前の準備期間における設置と設定が煩雑である。また、各車両に個別のナビゲーション装置が必要であるので高価である。さらに、ツーリング中は常時、携帯電話装置を通話状態にする必要があるので、通話料が増大して高額になり、携帯電話装置の契約者の金銭負担が大きい。
【0007】
また、特許文献2の場合は、ナビゲーション装置に目的地や立ち寄り地を設定する作業は簡略化できるものの、各車両に個別にナビゲーション装置を設置し、無線通信装置の親機または子機と接続する必要があることは特許文献1の場合と同様であるので、出発前の準備期間における設置が煩雑で、高価である。
【0008】
本発明の装置およびシステムは、ナビゲーション装置を設置する車両を減らし、携帯電話装置による常時通信が必要なく、後続車両に異常が発生した時の先頭車両への通知を迅速にかつ先頭車両の操縦者が気付きやすいようにしてツーリングをサポートすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するために、本発明のツーリング補助システムは、ツーリングに参加する各車両には、自車位置データを取得する位置データ取得手段と、位置データ取得手段で得られた自車位置データに基づく自車の移動軌跡を示す軌跡データを記憶する軌跡データ蓄積手段と、他の車両と軌跡データを含む情報を送受信する無線送受信手段と、少なくとも位置データ取得手段と軌跡データ蓄積手段と無線送受信手段と接続され、当該接続された各手段を制御する制御手段とを各々備え、さらに、ツーリングに参加する少なくとも先頭車両には、位置データ取得手段で検出した自車位置を地図上に表示すると共に、ツーリングに参加した他の車両から無線送受信手段を介して受信した軌跡データから、ツーリング参加車両の各位置を表示するナビゲーション手段を備える。
【0010】
本発明のツーリング補助システムによれば、例えば、ツーリングに参加する先頭車両のみにナビゲーション手段を含む装置を設置し、残りのツーリング参加車両については位置データ取得手段、軌跡データ蓄積手段、無線送受信手段、および、制御手段からなりナビゲーション手段を含まない装置を設置するようにして、ナビゲーション手段を設置する車両を先頭車両のみに減らすことができる。また、無線送受信手段により他の車両と軌跡データを含む情報を送受信するので携帯電話装置による常時通信の必要がなくなる。また、先頭車両のナビゲーション手段には、自車位置と他のツーリング参加後続車両の軌跡を表示できるので、先頭車両の操縦者に対して後続する他車に異常が発生したことをわかりやすく報知できる。
【0011】
ツーリングとは、複数の車両で遠出する行為を指し、車両の種類は問わない。例えば、バイクであってもよいし、自動車であってもよいし、自転車であってもよい。特にバイクの場合に好適である。
【0012】
(2)好ましくは、本発明のツーリング補助システムでは、ツーリングに参加する最終車両には、位置データ取得手段で得られた自車位置データに基づいて自車位置を地図上に表示すると共に、先頭車両から無線送受信手段を介して受信した軌跡データから、先頭車両の位置と走行軌跡を表示するナビゲーション手段を備えるようにするとよい。
【0013】
本発明のツーリング補助システムによれば、例えば、最終車両のナビゲーション手段には、先頭車両までの走行軌跡が表示され、最終車両の操縦者は、先頭車両から自車両までの走行路の状況および距離等を把握できる。従って、最終車両の操縦者は、先頭車両と無線通信することにより、先頭車両の速度の変更、または、停車して待機を依頼することができる。
【0014】
(3)好ましくは、本発明のツーリング補助システムでは、ツーリングに参加する先頭以外の車両には、無線送受信手段を介して、緊急事態の発生を当該車両の認識符号と共に通知する緊急通知手段を設け、先頭車両の制御手段は、他の車両から緊急事態の通知を受信した場合、ナビゲーション手段に表示された当該車両の位置近傍に、緊急事態発生を示す情報を表示するようにするとよい。
【0015】
本発明のツーリング補助システムによれば、例えば、先頭以外の車両が、交差点の信号待ち等で前方の他車両が見えなくなり、その後の進行方向が不明になった場合に、緊急通知手段により緊急事態の発生を先頭車両に通知することができる。これにより、ナビゲーション手段に表示された当該車両の位置近傍に緊急事態発生を示す情報を表示するので、先頭車両の操縦者は、後続車両に緊急事態が発生したことと、その緊急事態の後続車両の走行順序等を迅速に知ることができ、最終車両または緊急通知車両の後続車両と無線通信することにより、緊急事態が発生した車両を迅速に救済することができる。
【0016】
(4)好ましくは、本発明のツーリング補助システムでは、少なくとも先頭車両には、ツーリングに参加した他の車両の操縦者が所持する携帯電話の電話番号を少なくとも記憶する記憶手段を設け、先頭車両の制御手段は、記憶手段に記憶された当該緊急事態発生を通知してきた車両の操縦者の携帯電話の電話番号を用いた出力制御処理を行うようにするとよい。
【0017】
本発明のツーリング補助システムによれば、例えば、後続車両に緊急事態が発生した時に、先頭車両の操縦者は、携帯電話装置を利用して当該後続車両の後ろの車両または最終車両の操縦者に対して、救済を容易に依頼できるので、無線送受信手段で通信ができない時でも、緊急事態が発生した車両を迅速に救済することができる。なお、当該緊急事態発生を通知してきた車両の操縦者の携帯電話の電話番号を用いた出力制御処理としては、例えば、ナビゲーション手段に対して当該電話番号を表示する処理や、当該装置に備えたスピーカーから当該電話番号のDTMF音を出力する処理や、当該装置に無線接続された携帯電話に対して当該電話番号への発呼を指示する処理など、緊急事態発生を通知してきた車両の操縦者の携帯電話の電話番号への発呼を支援する処理や発呼をする処理とするとよい。このようにすれば操縦者の所有する携帯電話へ迅速に発呼することができる。
【0018】
(5)好ましくは、本発明のツーリング補助システムでは、少なくとも先頭車両には、外部装置との間で少なくとも携帯電話の電話番号の入出力を、電波または光を利用した無線通信または着脱自在のメモリー素子を用いて実施する通信手段を備えるようにするとよい。
【0019】
本発明のツーリング補助システムによれば、例えば、先頭車両以外の車両の操縦者が保持する携帯電話装置の電話番号を、携帯電話が備える赤外線通信機能、または、携帯電話に内蔵される着脱自在のメモリー素子を用いて、先頭車両用の記憶手段に入力することができる。これにより、先頭車両のナビゲーション手段を含む装置では、容易に他車両の操縦者の携帯番号を記憶手段に記憶することができる。
【0020】
(6)好ましくは、本発明のツーリング補助システムでは、先頭車両には、最終車両から送信された無線信号受信強度レベルを監視する受信強度レベル監視手段を設け、先頭車両の制御手段は、最終車両の無線信号受信強度レベルを所定値と比較し、当該無線信号受信強度レベルが所定値未満に低下した場合には、ナビゲーション手段に速度低下または走行停止の警告を表示させるとよい。
【0021】
本発明のツーリング補助システムによれば、例えば、ツーリングの先頭車両において、最終車両からの無線電波の受信強度レベルを監視して、最終車両の受信強度レベルが所定値よりも低くなった場合に、その最終車両は離れ過ぎ(遅れ過ぎ)と判断し、スピードダウンまたは走行停止の表示を出力して操縦者に警告する。最終車両からの無線電波は、例えば、電波の周波数、変調/復調方法、デジタル信号の識別コード等により識別すればよい。最終車両からの無線電波を監視することで、通常状態では最終車両に先行するにツーリング参加の全車両が無線受信可能な一定範囲内にいることを確認できる。また、スピードダウンまたは走行停止の出力は、ナビゲーション画面への表示に限らず、フラッシュライト点灯、音声出力でもよい。このようにして先頭車両と最終車両との距離を、無線受信可能な一定範囲内に制御し、安全にツーリングすることができる。
【0022】
また、本発明のツーリング補助装置は、(7)上記した何れかのツーリング補助システムに用いられる制御手段を少なくとも含むか、(8)上記した何れかのツーリング補助システムにおける最終車両の構成を備えるか、(9)上記した何れかのツーリング補助システムにおける先頭車両の構成を備える。
【0023】
本発明のツーリング補助装置によれば、例えば、先頭車両用のナビゲーション手段を含む装置と、最終車両用のナビゲーション手段を含む装置と、中間車両用のナビゲーション手段を含まない装置とを備えるツーリング補助システムを構成して、ナビゲーション手段を設置する車両を減らすことができると共に、先頭車両には後続車両の緊急事態を迅速に報知できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のツーリング補助システムは、ナビゲーション装置を設置する車両を減らし、携帯電話装置による常時通信が必要なく、後続車両に異常が発生した時の先頭車両への通知を迅速にかつ先頭車両の操縦者が気付きやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るツーリング補助システムの使用される状況の一例を示す図である。
【図2】本発明のツーリング補助システムにおける先頭車両に設けられる装置構成の概要を示す図である。
【図3】本発明のツーリング補助システムにおける後続車両に設けられる装置構成の概要を示す図である。
【図4】本発明のツーリング補助システムにおける中間車両に設けられる装置構成の概要を示す図である。
【図5】本発明のツーリング補助システムの構成の概要を示す図である。
【図6】本発明のツーリング補助システムを用いたツーリング終了後の後処理の表示の一例を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明に係るツーリング補助システムの使用される状況の一例を示している。図1の状況は、6台のオートバイ(車両)がグループとなってツーリングに参加する場合である。第1車両1は6台の中でツーリングの先頭車両である。第2車両2〜第5車両5は中間の後続車両(以下、中間車両とも記載する)である。第6車両6は最終の後続車両(以下、最終車両とも記載する)である。第1車両1〜第6車両6には、本発明のツーリング補助システムの各ポジション(先頭車両、中間車両、最終車両)に対応するツーリング補助装置が各々取り付けられている。
【0027】
図1の交差点手前側道路800〜交差点左折側道路803は、交差点900から四方に延伸された道路である。各道路は、各々、第1車両1〜第6車両6の通行が可能である。交差点手前側道路800〜交差点左折側道路803は、直線的ではなく曲率を有し、道路脇には構造物または植物等があるため見通しが悪い道路である。
【0028】
図1におけるツーリングのルートは、交差点手前側道路800を図の下側から上方向に進行し、交差点900で右折して交差点右折側道路801に入り、図の右側に進行するルートである。交差点直進側道路802および交差点左折側道路803は、ツーリングのルートから外れたルートである。
【0029】
交差点900には、車両が交差点手前側道路800を図の下側から上方向に進行してきた場合の正面に、正面側信号機901、左側に、交差点左折側信号機902、手前側に、交差点手前側信号機903、右側に、交差点右折側信号機904が各々設置されている。
【0030】
交差点900において、第1車両1〜第3車両3は、正面側信号機901が青信号である間に右折し、交差点右折側道路801に入り、図の右側に進行している。第4車両4は、正面側信号機901が赤信号になったため右折できず、青信号待ちで停車中である。5車両5と第6車両6は、交差点手前側道路800を図の下側から上方向に進行している。
【0031】
交差点900は、交差点手前側道路800側から、交差点右折側道路801側の見通しが悪い交差点である。第4車両4の運転者は、交差点900で停止しているため、交差点900を右折して交差点右折側道路801を進行する第1車両1〜第3車両3が見えない。
【0032】
第4車両4の運転者は、本発明の補助システムが無い場合には、正しいツーリングルートが交差点900を右折するか、直進するか、左折するかがわからない。仮に第4車両4が、正しいツーリングルートである右折をせずに、誤って直進するか、左折すると、ツーリングルートから外れ、緊急事態となる。緊急事態が発生した場合には、第4車両4を正しいツーリングルートに誘導して戻すための補助作業が必要になる。本発明のツーリング補助システムは、上記したような緊急事態が第2車両2以降の車両に発生した時に、その該当車両を補助することができるシステムである。
【0033】
以下に図2〜図5を用いて、本発明のツーリング補助システムの構成の概要を説明する。本実施形態では、各車両に備えられるツーリング補助装置は、各々異なる第1車両1の構成、第6車両6の構成、第2車両2〜第5車両5の構成の何れか1つの構成となる。
【0034】
<先頭車両:第1車両1>
以下に図2を用いて、本発明のツーリング補助システムにおける先頭車両に設けられるツーリング補助装置の構成について説明する。
【0035】
<<先頭車両の装置構成>>
第1車両1に設けられるツーリング補助装置には、マイクロフォン11、スピーカ21、ナビゲーション装置(ナビゲーション手段)33、ハンドルリモコン34、フラッシュライト35、制御装置(制御手段)71、無線送受信機(無線送受信手段)72、携帯電話インターフェース73、位置データ取得部(位置データ取得手段)74、記憶部(軌跡データ蓄積手段、記憶手段)75、赤外線通信部(通信手段)76、および外部メモリ通信インターフェース(通信手段)77を含み、制御装置(制御手段)71が、他の構成部分及びメーター部32と接続される。
【0036】
マイクロフォン11は、ヘルメット内部の口の近くに固定され、第1車両1の操縦者の発した音声をピックアップする。
スピーカ21は、ヘルメット内部の耳の近くに固定され、無線送受信機72で受信した信号を再生した音声を出力する。
マイクロフォン11と制御装置71間、あるいはスピーカ21と制御装置71間の接続は有線接続に限らず、Bluetooth等の近距離無線(ワイヤレス)通信装置を用いてもよい。
メーター部32は、オートバイ(車両)自体に装備され、オートバイ自体に設けられた各種センサや計測器からの信号に基づき、速度及びエンジン回転数等を表示するメーターと、ウインカー、照明上下状況、故障アラート等を表示する各種ランプを有している。
【0037】
ナビゲーション装置33は、通常のナビゲーション装置と同様に画面表示するための地図データを有し、位置データ取得部74で検出した自車位置を地図上に表示するという本来の機能に加えて、制御装置71と協働して、ツーリングに参加した他の車両から無線送受信機72を介して受信した軌跡データに基づき、ツーリング参加車両の各位置を表示する。より具体的には、他の車両から受信した軌跡データには当該車両の位置データが含まれるので、地図上又はツーリング補助用画面上の、その位置データに相当する位置に当該車両に相当するマーク等を表示する。マーク等は、他の表示と区別ができればよく、○印でも、車型アイコンでも、文字でも良い。
【0038】
さらに他の車両から緊急事態の通知を制御装置71で受信した場合、制御装置71からの制御信号により、ナビゲーション装置33に表示された当該車両の位置近傍に、「当該車両に緊急事態が発生したこと」を示す情報を表示する。緊急事態の発生を示す情報は、他の表示と異なる表示で、通常はあまり使用されない表示であれば良く、例えば「!」でよい。画面上にマーク等や緊急事態の発生を示す情報を表示するには、ナビゲーション装置33の画面上に文字を表示する機能を使用して、フォントの一つとして表示すればよい。
【0039】
ハンドルリモコン34は、防水性を有し、音声を送信するための発話スイッチ37と、ナビゲーション装置33を操作するための上下左右キー及び選択スイッチ38を備える。ナビゲーション装置33の上下左右キーは、表示された複数の選択肢の中から実行するものを選択するためのキーである。選択スイッチ38は、選択した内容を実行する場合の実行キーを有する。発話スイッチ37と選択スイッチ38は、運転用のグローブを装着しても操作可能な大型スイッチである。
【0040】
フラッシュライト35は、操縦者の注意を喚起するために強い光を発光する光源であり、メーター部32の上側の、視認性が良く、メーター部32の表示内容を隠さないような場所に、両面テープ等により固定される。
【0041】
無線送受信機72は、他の車両の無線通信装置との間で軌跡データを含む情報を無線信号で送受信する装置であり、特に操縦者の音声および各種データを無線信号に変換して送信し、受信した無線信号から音声および各種データを復調する。
無線通信装置としては、無線通信の到達距離が数百メートル以上の装置が使用され、具体的には、特定小電力無線装置、アマチュア無線装置等である。
【0042】
無線送受信機72の中には、受信強度レベル監視部(受信強度レベル監視手段)78を有する。受信強度レベル監視部78は、受信した無線信号から、第6車両6(最終車両)から送信された無線信号の受信強度のレベルを検出して、所定値のレベルと比較し、復調可能かと最終車両が離れすぎではないかを監視する。所定値のレベルは、受信信号が復調可能なレベルであって、距離が離れすぎではないと考えられるレベルに設定される。
【0043】
無線送受信装置72が、第2車両2〜第6車両6から受信する無線信号を識別する方法としては、各々の車両で使用する電波の周波数を異ならせる。特定小電力のデュープレックス方式の無線機を用いて常時接続する場合、例えば、ARIBの標準規格に規定された421MHz帯と440MHz帯の組み合わせのデュープレックス方式のチャンネル(12.5kHzステップ、送受信周波数間隔18.45MHz)から、各車両毎に異なる固定チャンネルを設定するか、空きチャンネルをサーチして使用すればよい。また、特定小電力のシンプレックス方式の無線機を用いて同一周波数で送信と受信を交互に行う場合、同様にARIBの標準規格に規定された422MHz帯のシンプレックス方式のチャンネル(12.5kHzステップ)から、各車両毎に異なる固定チャンネルを設定するか、空きチャンネルをサーチして使用すればよい。
【0044】
無線送受信装置72がアマチュア無線装置等を用いる場合は、そのアマチュア無線等の規格に規定された周波数を利用する。上記のように周波数を異ならせる他の識別方法としては、無線の変調/復調方法を異ならせる方法、デジタル無線におけるデジタル信号の識別コードを異ならせる方法等を用いることができる。
【0045】
携帯電話インターフェース73は、携帯電話装置と音声データの授受を行うインターフェースであり、携帯電話のイヤホンマイク用の端子と接続可能なインターフェースである。
位置データ取得部74は、例えば、複数の衛星からの受信信号(時間信号)から自車の位置データを取得して出力するGPS(Global Positioning System)装置である。
【0046】
記憶部75は、少なくとも位置データ取得部74で得られた自車の位置データに基づく自車の移動軌跡を示す軌跡データと、ツーリングに参加した他の車両の操縦者が所持する携帯電話の電話番号を記憶する。記憶部75の少なくとも一部として、着脱が自在なメモリー素子が使用可能である。記憶部75の記憶内容としては、自車両の軌跡データと他車両操縦者の携帯電話番号の他、ツーリングのルートデータ、ツーリングの立寄地データ、ツーリング全参加者の携帯電話番号およびメールアドレス、ツーリングに参加した他車両の軌跡データ等である。
【0047】
赤外線通信部76は、赤外線を利用して、携帯電話装置36又はパーソナルコンピュータ等の外部の装置と記憶部75との間で、少なくとも携帯電話の電話番号を含む各種データの入出力に使用される通信部である。外部の装置とは、例えば第6車両6の記憶部85、携帯電話装置36、ツーリング終了後の処理に使用されるパーソナルコンピュータ等である。赤外線通信部76はツーリング中は使用されないので、コネクタ等により制御装置71から着脱可能であってもよい。その場合、走行の前又は後に取り付けて各種のデータ交換に使用し、走行時には車両から外しておく。これにより第1車両1のツーリング補助装置は、容易にかつ確実に他車両の操縦者の携帯番号を記憶部75に記憶することができる。
【0048】
外部メモリ通信インターフェース77は、着脱自在のメモリー素子を利用して、外部の装置と記憶部75との間で、一方から他方へ、又は逆方向へ脱着を実施することで、各種データを交換するための通信部である。外部の装置とは、上記赤外線通信部76の場合と同様である。コネクタ等により制御装置71から着脱可能であってもよい点と、少なくとも携帯電話の電話番号の入出力に使用される点も、赤外線通信部76と同様である。
【0049】
制御装置71は、プログラムの実行が可能で接続された各部を制御するためのマイクロコンピュータ、クロック及び計時部、作業用メモリ、不揮発性メモリ等を備え、不揮発性メモリには各種のプログラムとデータを有する。
プログラムとしては、先頭車両用の各装置の制御プログラム、蓄積された自車軌跡データを定期的に後続車両に送信する処理プログラム、他の各車両から受信する軌跡データの記憶および表示処理プログラム、最終車両から受信する電波の受信強度レベルを判定するプログラム等を含む。
データとしては、後続車両から緊急通知を受信した場合または最終車両からの受信強度レベルが所定のしきい値以下に低下した場合等の複数種類の警告表示/音声データ等を含む。
制御装置71はマイクロコンピュータおよび作業用メモリ等を用いて上記各プログラムを実行することで、接続された各装置を制御する。
【0050】
また、制御装置71は、無線送受信機72で後続車両から緊急事態発生の通知を受信した場合、記憶部75に記憶された当該緊急事態発生を通知してきた車両の操縦者の携帯電話の電話番号を用いて出力制御処理を行い、携帯電話インターフェース73を介して、当該車両の操縦者の携帯電話へ発信する機能(プログラム及びデータ)を有する。
【0051】
また、制御装置71は、受信強度レベル監視部78からの第6車両6(最終車両)の無線信号受信強度レベルを所定値と比較し、当該無線信号受信強度レベルが所定値未満に低下した場合には、ナビゲーション装置33に対して速度低下または走行停止の警告を表示する機能(プログラム及びデータ)を有する。所定値は、第6車両6(最終車両)が予定された距離以上に離れた場合や、無線送受信装置72による通信ができなくなる距離まで離れた場合の値である。
【0052】
<<先頭車両のツーリング準備段階の処理動作>>
第1車両1の操縦者またはその依頼を受けた作業者は以下の準備を行う。
(A1)ナビゲーション装置33とハンドルリモコン34をハンドルバー31に固定する。
(A2)フラッシュライト35をメーター部32上に固定する。
(A3)第1車両1の操縦者のヘルメット内にマイクロフォン11とスピーカ21を固定する。
(A4)制御装置71、無線送受信機72、携帯電話インターフェース73、位置データ取得部74、および記憶部75等を第1車両1に搭載する。
【0053】
(A5)携帯電話装置36を携帯電話インターフェース73と接続し、第1車両1の操縦者が保持する。
(A6)赤外線通信部76、外部メモリ通信インターフェース77または近距離無線通信装置を用いて、ナビゲーション装置33用の、車両の故障、事故に対応できるバイク販売店データ、ツーリング向けルートおよび立ち寄り地(休憩、トイレ、ガソリンスタンド(GS)、観光スポット、風景スポット)データを記憶部75へ登録する。
(A7)赤外線通信部76、外部メモリ通信インターフェース77または近距離無線通信装置を用いて、ナビゲーション装置33のルートおよび立ち寄り地データを第6車両6の記憶部85に転送する。
(A8)赤外線通信部76、外部メモリ通信インターフェース77または近距離無線通信装置を用いて、携帯電話装置46、携帯電話装置56の使用者の氏名、携帯電話番号およびメールアドレスを転送し、記憶部75に登録する。
【0054】
<<先頭車両のツーリング中の処理動作>>
制御装置71はツーリング中に以下の処理を実施する。
(B1)ナビゲーション装置33でナビゲーション表示する。
(B2)位置データ取得部74で位置データを取得する。
(B3)記憶部75に軌跡データを蓄積する。
(B4)位置データ取得部74で取得した自車の位置をナビゲーション装置33に表示する。
【0055】
(B5)無線送受信機72から最終車両の第6車両6に向けて、記憶部75に記憶された自車の軌跡データを送出する。
(B6)無線送受信機72で第2車両2乃至第6車両6からの無線電波を受信する。
(B7)無線送受信機72で他車両から軌跡データを受信して記憶部75に蓄積し、ナビゲーション装置33に他車両のアイコンと状況を表示する。他車両の状況としては緊急時のみ「緊急」「!」を表示し、通常時は他車両のアイコンのみを表示する。
【0056】
(B8)制御装置71は、受信強度レベル監視部78で受信した第6車両6(最終車両)の無線信号の受信強度レベルを検出し、その無線信号の受信強度レベルを所定値と比較することで、第6車両6から到達する電波強度が一定か、強くなりつつあるか、弱くなりつつあるかを監視する。当該無線信号受信強度レベルが一定か強くなりつつある場合には、最終車は無事に追従しているので、ナビゲーション装置33の当該車両の表示の近傍に「○」の表示を行う。
【0057】
当該無線信号の受信強度レベルが弱くなりつつあり、所定値未満に低下したと場合には、ナビゲーション装置33に速度低下または走行停止の警告を表示させて第1車両1の操縦者に警告すると共に、スピーカ21に警報を出力し、フラッシュライト35を点滅させる。さらに電波強度が受信困難なレベルになった場合、携帯電話により当該車両の運転者の携帯電話に向けて発信する。電波強度が弱くなりつつある場合のナビゲーション装置33内の警告は、「後続車が離れつつあります。ペースを落として下さい。」を表示する。
【0058】
(B9)制御装置71は、無線送受信機72で他の車両からの緊急通知を監視し、緊急事態の通知を受信した場合、ナビゲーション装置33に表示された当該車両の位置近傍に、緊急事態発生を示す情報(緊急アイコン)を表示し、スピーカ21に警報を出力すると共に、記憶部75に記憶された当該緊急事態発生を通知してきた車両の操縦者の携帯電話の電話番号を用いた出力制御処理を行い、当該車両の操縦者の携帯電話へ発信する。
【0059】
<<先頭車両のツーリング終了後の処理動作>>
第1車両1の操縦者またはその依頼を受けた作業者は以下の後処理を行う。
(C1)ナビゲーション装置33とハンドルリモコン34をハンドルバー31から回収する。
(C2)フラッシュライト35をメーター部32上から回収する。
(C3)第1車両1の操縦者のヘルメット内からマイクロフォン11とスピーカ21を回収する。
(C4)制御装置71、無線送受信機72、携帯電話インターフェース73、位置データ取得部74、および記憶部75等を第1車両1から回収する。
【0060】
(C5)赤外線通信部76、外部メモリ通信インターフェース77または近距離無線通信装置を用いて、他の車両第2車両2乃至第6車両6から軌跡データのログ情報を収集する。
(C6)記憶部75に収集した他の車両の軌跡データ情報を合体し、パーソナルコンピュータの表示画面中の地図上に表示する。
(C7)合体させた軌跡データ情報を第2車両2乃至第6車両6の運転者のメールアドレスに送信する。
【0061】
<最終車両:第6車両6>
以下に図3を用いて、本発明のツーリング補助システムにおける最終車両に設けられるツーリング補助装置の構成について説明する。
【0062】
<<最終車両の装置構成>>
第6車両6に設けられるツーリング補助装置には、マイクロフォン12、スピーカ22、ナビゲーション装置(ナビゲーション手段)53、ハンドルリモコン54、フラッシュライト55、緊急通知スイッチ(緊急通知手段)64、制御装置(制御手段)81、無線送受信機(無線送受信手段)82、携帯電話インターフェース83、位置データ取得部(位置データ取得手段)84、記憶部(軌跡データ蓄積手段、記憶手段)85、赤外線通信部(通信手段)86、および外部メモリ通信インターフェース(通信手段)87を含み、制御装置(制御手段)81が、他の構成部分およびメーター部52と接続される。
【0063】
第6車両6が、第1車両1と異なる構成は、以下ようになる。
緊急通知スイッチ64は、防水性を有し、運転用のグローブを装着しても操作可能な大型スイッチであり、無線送受信機82を介して、緊急事態の発生を当該車両の認識符号と共に第1車両1に通知する。
【0064】
ナビゲーション装置53は、通常のナビゲーション装置と同様に画面表示するための地図データを有し、位置データ取得部84で検出した自車位置を地図上に表示するという本来の機能に加えて、制御装置81と協働して、第1車両1(先頭車両)から無線送受信機82を介して受信した軌跡データに基づき、第1車両1の位置と走行軌跡を表示する。より具体的には、第1車両1から受信した軌跡データには位置データが含まれるので、その位置データに相当する地図上又はツーリング補助用画面上の位置に、第1車両1に相当するマーク等を表示する。また、ナビゲーション装置53は、ハンドルリモコン54により操作可能である。
【0065】
制御装置81は制御装置71と同様な構成であるが、プログラムとしては、最終車両用の各装置の制御プログラム、蓄積された自車軌跡データを定期的に先頭車両に送信する処理プログラム、先頭車両から受信する軌跡データの記憶および表示処理プログラム等を含む。データとしては、信号待ち等で先行車両を見失った場合等に先頭車両に送信する緊急通知等を含む。
【0066】
無線送受信機82は、無線送受信機72と同様な装置であるが、受信強度レベル監視部78を内蔵しない。
【0067】
記憶部85は、記憶部75と同様に少なくとも位置データ取得部84で得られた自車位置データに基づく自車の移動軌跡を示す軌跡データを記憶する記憶装置であるが、記憶内容は記憶部75と異なり、自車両の軌跡データの他、ツーリングのルートデータ、ツーリングの立寄地データ、先頭車両の軌跡データ等となる。
【0068】
その他の構成は、第1車両1に設けられるツーリング補助装置と同様である。具体的には、マイクロフォン12はマイクロフォン11と同様な構成であり、スピーカ22はスピーカ21と同様な構成であり、携帯電話インターフェース83は、携帯電話インターフェース73と同様な端子である。また、位置データ取得部84は、位置データ取得部74と同様な装置であり、赤外線通信部86は、赤外線通信部76と同様な外部の装置との通信部である。外部メモリ通信インターフェース87は、外部メモリ通信インターフェース77と同様な外部の装置とのインターフェースである。
【0069】
<<最終車両のツーリング準備段階の処理動作>>
第6車両6の操縦者またはその依頼を受けた作業者は以下の準備を行う。
(D1)ナビゲーション装置53とハンドルリモコン54と緊急通知スイッチ64をハンドルバー51に固定する。
(D2)フラッシュライト55をメーター部52上に固定する。
(D3)第6車両6の操縦者のヘルメット内にマイクロフォン12とスピーカ22を固定する。
【0070】
(D4)制御装置81、無線送受信機82、携帯電話インターフェース83、位置データ取得部84、および記憶部85等を第6車両6に搭載する。
(D5)携帯電話装置56を携帯電話インターフェース83と接続し、第6車両6の操縦者が保持する。
(D6)赤外線通信部86、外部メモリ通信インターフェース87または近距離無線通信装置を用いて、第1車両1のナビゲーション装置33のルートおよび立ち寄り地データを記憶部85に転送する。
【0071】
<<最終車両のツーリング中の処理動作>>
制御装置81はツーリング中に以下の処理を実施する。
(E1)ナビゲーション装置53でナビゲーション表示する。
(E2)位置データ取得部84で位置データを取得する。
(E3)記憶部85に軌跡データを蓄積する。
【0072】
(E4)位置データ取得部84で取得した自車の位置をナビゲーション装置53に表示する。
(E5)無線送受信機82から先頭車両の第1車両1に向けて、記憶部85に記憶された自車の軌跡データを所定時間毎に送出する。
(E6)無線送受信機82で先頭車両の第1車両1から軌跡データを受信して記憶部85に蓄積し、ナビゲーション装置53に第1車両1とその走行軌跡を出力する。
(E7)緊急通知スイッチ64が押されたら、無線送受信機82から第1車両1に緊急通知を送信する。緊急通知のデータは記憶部85に記憶しておけばよい。
【0073】
<<最終車両のツーリング終了後の処理動作>>
第6車両6の操縦者またはその依頼を受けた作業者は以下の後処理を行う。
(F1)ナビゲーション装置53とハンドルリモコン54と緊急通知スイッチ64をハンドルバー51から回収する。
(F2)フラッシュライト55をメーター部52上から回収する。
(F3)第6車両6の操縦者のヘルメット内からマイクロフォン12とスピーカ22を回収する。
【0074】
(F4)制御装置81、無線送受信機82、携帯電話インターフェース83、位置データ取得部84、記憶部85等を第6車両6から回収する。
(F5)赤外線通信部86、外部メモリ通信インターフェース87または近距離無線通信装置を用いて、第1車両1の記憶部75に記憶部85の軌跡データのログ情報を転送する。
【0075】
<中間車両:第2車両2〜第5車両5>
以下に図4を用いて、本発明のツーリング補助システムにおける中間車両に設けられるツーリング補助装置の構成について説明する。中間車両とは、ツーリングに参加する先頭と最終以外の車両である。中間車両である第2車両2〜第5車両5の装置構成は同様であるので、以下では第4車両4の構成を代表として説明する。
【0076】
第4車両4が設置するツーリング補助装置が第1車両1及び第6車両6と異なる点は、ナビゲーション装置を含まないことである。中間車両がナビゲーション装置を含まない理由は、中間車両の場合、先行車両が視認できていればその後をついて行けばよいのでナビゲーション装置は必須ではないためである。しかし、ナビゲーション装置が無いと、信号待ち等で先行車両を見失った場合には、進行方向が不明(緊急事態)となる。その場合、緊急事態を先頭車両に通知し、先頭車両を含む先行車両を待たせる必要があるため、緊急通知スイッチ44を装備する。
【0077】
<<中間車両の装置構成>>
第4車両4に設けられるツーリング補助装置には、マイクロフォン13、スピーカ23、緊急通知スイッチ(緊急通知手段)44、制御装置(制御手段)91、無線送受信機(無線送受信手段)92、携帯電話インターフェース93、位置データ取得部(位置データ取得手段)94、記憶部(軌跡データ蓄積手段、記憶手段)95、赤外線通信部(通信手段)96、および外部メモリ通信インターフェース(通信手段)97を含み、制御装置(制御手段)81が、他の構成部分およびメーター部42と接続される。
【0078】
第4車両4が、第1車両1又は第6車両6と異なる構成は、以下ようになる。
緊急通知スイッチ44は、防水性を有し、運転用のグローブを装着しても操作可能な大型スイッチであり、無線送受信機92を介して、緊急事態の発生を当該車両の認識符号と共に第1車両1に通知する。
【0079】
制御装置91は制御装置81と同様な構成であるが、プログラムとしては、中間車両用の各装置の制御プログラム、蓄積された自車軌跡データを定期的に先頭車両に送信する処理プログラム、先頭車両から受信する軌跡データの記憶および表示処理プログラム等を含む。データとしては、信号待ち等で先行車両を見失った場合等に先頭車両に送信する緊急通知等を含む。
【0080】
記憶部95は、記憶部85と同様に少なくとも位置データ取得部94で得られた自車位置データに基づく自車の移動軌跡を示す軌跡データを記憶する記憶装置である。
【0081】
その他の構成は、第6車両6に設けられるツーリング補助装置と同様である。具体的には、マイクロフォン13はマイクロフォン12と同様な構成であり、スピーカ23はスピーカ22と同様な構成であり、無線送受信機92は無線送受信機82と同様な装置であり、携帯電話インターフェース93は携帯電話インターフェース83と同様な端子である。また、位置データ取得部94は位置データ取得部84と同様な装置であり、赤外線通信部96は赤外線通信部86と同様な外部の装置との通信部である。さらに外部メモリ通信インターフェース97は外部メモリ通信インターフェース87と同様な外部の装置とのインターフェースである。
【0082】
<<中間車両のツーリング準備段階の処理動作>>
第4車両4の操縦者またはその依頼を受けた作業者は以下の準備を行う。
(G1)緊急通知スイッチ44をハンドルバー41に固定する。
(G2)第4車両4の操縦者のヘルメット内にマイクロフォン13とスピーカ23を固定する。
(G3)制御装置91、無線送受信機92、携帯電話インターフェース93、位置データ取得部94、記憶部95等を第4車両4に搭載する。
(G4)携帯電話装置46を携帯電話インターフェース93と接続し、第4車両4の操縦者が保持する。
【0083】
<<中間車両のツーリング中の処理動作>>
制御装置91はツーリング中に以下の処理を実施する。
(H1)位置データ取得部94で位置データを取得する。
(H2)記憶部95に軌跡データを蓄積する。
(H3)無線送受信機92から先頭車両の第1車両1に向けて、記憶部95に記憶された自車の軌跡データを所定時間毎に送出する。
(H4)緊急通知スイッチ44が押されたら、無線送受信機92から第1車両1に緊急通知を送信する。緊急通知のデータは記憶部95に記憶しておけばよい。
【0084】
<<中間車両のツーリング終了後の処理動作>>
第4車両4の操縦者またはその依頼を受けた作業者は以下の後処理を行う。
(J1)緊急通知スイッチ44をハンドルバー41から回収する。
(J2)第4車両4の操縦者のヘルメット内からマイクロフォン13とスピーカ23を回収する。
(J3)制御装置91、無線送受信機92、携帯電話インターフェース93、位置データ取得部94、記憶部95等を第4車両4から回収する。
(J4)赤外線通信部96、外部メモリ通信インターフェース97または近距離無線通信装置を用いて、第1車両1の記憶部75に記憶部95の軌跡データのログ情報を転送する。
【0085】
以下に図5(a)、(b)、(c)を用いて、本発明のツーリング補助システムにおける第1車両1、第4車両4、及び、第6車両6の各ツーリング補助装置の取付方法と、ナビゲーション装置の画面と、各補助装置が他の補助装置と連係する処理動作について説明する。
【0086】
図5(a)に示した第1車両1のハンドルバー31には、図2に示したメーター部32、ナビゲーション装置33、及び、ハンドルリモコン34を含むツーリング補助装置をクランプを用いて固定する。さらに、メーター部32の上側には、フラッシュライト35を両面テープにより固定する。また、第1車両1の操縦者は、第1車両1に設けられるツーリング補助装置の携帯電話インターフェース73に携帯電話装置36を接続し、携帯電話装置36を衣服のポケット等に保持する。
【0087】
ナビゲーション装置33の表示画面は、左右に分割されて2画面になっている。左側が通常のナビゲーション装置と同様に地図で道案内をするナビゲーション画面1000であり、右側がツーリング時に参加する全車両の状況を示す車両状況画面200である。
【0088】
ナビゲーション装置33のナビゲーション画面1000は、自車位置データに基づき自車周辺の地図1001を表示し、さらに地図1001上に、第1車両1を示す第1車両アイコン101と第1車両文字表示111を表示する。第1車両アイコン101は独自の図形(アイコン)であり、第1車両文字表示111は第1車両1を示す文字である。第1車両文字表示111は第1車両アイコン101の周辺に表示する。
【0089】
車両状況画面200には、第1車両アイコン101、第2車両アイコン201、第3車両アイコン301、第4車両アイコン401、第5車両アイコン501、第6車両アイコン601が表示される。先頭の第1車両アイコン101と最終の第6車両アイコン601は、独自のアイコンであり、残りの中間車両は同じアイコンである。各車両アイコンは、例えば無線送受信装置が特定小電力の無線機である場合、各無線機の周波数の相違毎に異なるアイコンを割り当てることで各車両に対応して独自の位置に表示する。
【0090】
また、第6車両6のアイコンの横には、第6車両6からの良好な無線受信状況を示す○表示2012が表示されるが、無線受信状況が悪化した場合には○表示2012は表示されなくなる。
【0091】
車両状況画面200の左端には、第1車両アイコン101に対応して先頭車両であることを文字で表示する先頭表示2001、第2〜第5車両アイコン201、301、401、501に対応して中間車両であることを文字で表示する中間表示2002、第6車両アイコン601に対応して最終車両であることを文字で示す最終表示2003が示される。
【0092】
図5(b)に示した第6車両6のハンドルバー51には、図3に示したメーター部52、ナビゲーション装置53、ハンドルリモコン54、及び、緊急通知スイッチ64を含むツーリング補助装置をクランプを用いて固定する。さらに、メーター部52の上側には、フラッシュライト55を両面テープにより固定する。また、第6車両6の操縦者は、第6車両6に設けられるツーリング補助装置の携帯電話インターフェース83に携帯電話装置56を接続し、携帯電話装置56を衣服のポケット等に保持する。
【0093】
ナビゲーション装置53の表示画面も、左右に分割されて2画面になっている。左側が通常のナビゲーション装置と同様に地図で道案内をするナビゲーション画面4000であり、右側がツーリング時に参加する全車両の状況を示す車両状況画面700である。
【0094】
ナビゲーション装置53のナビゲーション画面4000は、自車位置データに基づき自車周辺の地図4001を表示し、さらに地図4001上に、第6車両6を示す第6車両アイコン601と第6車両文字表示611を表示する。第6車両アイコン601は独自の図形(アイコン)であり、第6車両文字表示611は第6車両6を示す文字である。第6車両文字表示611は第6車両アイコン601の周辺に表示する。
【0095】
車両状況画面700には、第1車両アイコン101、及び第6車両アイコン601と第1車両1の走行軌跡2022が表示される。第1車両アイコン101と第6車両アイコン601は、例えば無線送受信装置が特定小電力の無線機である場合、各無線機の周波数の相違毎に異なるアイコンを割り当てることで各車両に対応する。第1車両1の走行軌跡2022は、例えば第1車両1から受信した軌跡データを車両状況画面700上にプロットして表示する。走行軌跡2022は、従来のナビゲーション装置に表示される走行軌跡と同様であるが、第1車両アイコン101と第6車両アイコン601の間に表示できるように縮尺される。
【0096】
車両状況画面700の左端には、第1車両アイコン101に対応して先頭車両であることを文字で表示する先頭表示5001、走行軌跡5022に対応して走行軌跡であることを文字で示す軌跡文字表示5021、第6車両アイコン601に対応して最終車両であることを文字で示す最終表示5003が示される。
【0097】
図5(c)に示した第4車両4のハンドルバー41には、図4に示したメーター部42、及び、緊急通知スイッチ44を含むツーリング補助装置をクランプを用いて固定する。また、第4車両4の操縦者は、第4車両4に設けられるツーリング補助装置の携帯電話インターフェース93に携帯電話装置46を接続し、携帯電話装置46を衣服のポケット等に保持する。残りの第2車両2、第3車両3、第5車両5の各ツーリング補助装置の各要素部も第4車両4と同様に固定され、各車両の操縦者に携帯電話装置が保持される。
【0098】
前述のように第1車両1のツーリング補助装置は、第6車両6の無線電波の受信強度レベルが所定値よりも低くなることを監視して、第6車両6の離れ過ぎ(遅れ過ぎ)を監視する。第6車両6が離れ過ぎた時には、第6車両6の表示の近傍に「○」の表示を消去する他に、他の警告表示を組み合わせ、フラッシュライト点灯、音声出力を組み合わせることで、操縦者の認識度を高めることができる。その場合、操縦者は自主的に走行速度を遅くするか、または停車して待機する。
【0099】
また、第2車両2〜第6車両6の操縦者は、緊急通知スイッチ44または緊急通知スイッチ64を押すだけの簡単な操作で、第1車両1の操縦者に緊急事態の発生を通知することができる。一方、第1車両1の操縦者は、ナビゲーション装置33を見るだけで緊急通知を送信した車両をすぐに認識でき、緊急通知を送信した車両に対して携帯電話をかけて道を教え、緊急事態が発生した車両を迅速に救済することができ、中間車両の操縦者の不安を増大させることなくナビゲーション装置を設置する中間車両を減らすことができる。また、第1車両1のツーリング補助装置は、携帯電話を常時通信接続する必要が無いので、接続時間と料金を低減できる。
【0100】
図6の地図表示3001は、インターネットに接続されたパーソナルコンピュータのディスプレイに表示された地図表示であり、地図データはグーグルアース(登録商標)等のインターネットサービスから提供される。走行軌跡3010は、第1車両1の移動した走行軌跡であり、通過ポイント3030はツーリングで指定したルートにより通過するポイントであり、ポイント情報3040は各通過ポイント3030の詳細な情報である。
【0101】
この図6の表示の前処理として、第1車両1の操縦者は、制御装置71により、赤外線通信部76、外部メモリ通信インターフェース77または近距離無線通信装置を用いて、他の車両(第2車両2乃至第6車両6)から軌跡データのログ情報を記憶部75に収集する。逆に第6車両6の操縦者は、記憶部85の軌跡データのログ情報を赤外線通信部86、外部メモリ通信インターフェース87または近距離無線通信装置を用いて、第1車両1の記憶部75に転送する。あるいは、第4車両4の操縦者は、記憶部95の軌跡データのログ情報を赤外線通信部96、外部メモリ通信インターフェース97または近距離無線通信装置を用いて、第1車両1の記憶部75に転送する。第2車両2の操縦者、第3車両3の操縦者、第5車両5の操縦者も第4車両4の操縦者と同様に記憶部の軌跡データのログ情報を第1車両1の記憶部75に転送する。
【0102】
第1車両1の操縦者は、記憶部75に収集した他の車両の軌跡データ情報を合体し、パーソナルコンピュータの表示画面中の地図上に表示する。そして、第1車両1の操縦者は表示内容を確認する。表示内容が良好であれば、第1車両1の操縦者は、合体させた軌跡データ情報を第2車両2乃至第6車両6の運転者のメールアドレスに送信する。
【0103】
第2車両2乃至第6車両6の各操縦者は、メールで受信した軌跡データ情報を自分のパーソナルコンピュータに記憶し、グーグルアース(登録商標)等の地図上に表示させることができる。これにより、ツーリングに参加した全ての操縦者は、自分のパーソナルコンピュータのディスプレイ上で自分の走った経路を確認することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 第1車両(先頭車両)、
2 第2車両(中間車両)、
3 第3車両(中間車両)、
4 第4車両(中間車両)、
5 第5車両(中間車両)、
6 第6車両(最終車両)、
11、12、13 マイクロフォン、
21、22、23 スピーカ、
31、41、51 ハンドルバー、
32、42、52 メーター部、
33、53 ナビゲーション装置、
34、54 ハンドルリモコン、
35、55 (警報用)フラッシュライト、
36、46、56 携帯電話装置、
37、57 発話スイッチ、
38、58 選択スイッチ、
44、64 緊急通知スイッチ、
71、81、91 制御装置、
72、82、92 無線送受信機、
73、83、93 携帯電話インターフェース(インターフェース)、
74、84、94 位置データ取得部、
75、85、95 記憶部、
76、86、96 赤外線通信部、
77、87、97 外部メモリ通信インターフェース(インターフェース)、
78 受信強度レベル監視部、
101 第1車両アイコン、
111 第1車両文字表示、
200 車両状況画面、
201 第2車両アイコン、
301 第3車両アイコン、
401 第4車両アイコン、
501 第5車両アイコン、
601 第6車両アイコン、
611 第6車両文字表示、
800 交差点手前側道路、
801 交差点右折側道路、
802 交差点直進側道路、
803 交差点左折側道路、
900 交差点、
901 正面側信号機、
902 交差点左折側信号機、
903 交差点手前側信号機、
904 交差点右折側信号機、
1000、4000 ナビゲーション画面、
1001、4001 地図表示、
2001、5001 先頭表示、
2002 中間表示、
2003、5003 最終表示、
2011 緊急表示、
2012 ○表示、
2022 走行軌跡、
3001 地図表示、
3010 走行軌跡、
3030 通過ポイント、
3040 ポイント情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツーリングに参加する各車両には、
自車位置データを取得する位置データ取得手段と、
前記位置データ取得手段で得られた自車位置データに基づく自車の移動軌跡を示す軌跡データを記憶する軌跡データ蓄積手段と、
他の車両と前記軌跡データを含む情報を送受信する無線送受信手段と、
少なくとも前記位置データ取得手段と前記軌跡データ蓄積手段と前記無線送受信手段と接続され、当該接続された各手段を制御する制御手段と
を各々備え、
さらに、ツーリングに参加する少なくとも先頭車両には、
前記位置データ取得手段で検出した自車位置を地図上に表示すると共に、ツーリングに参加した他の車両から無線送受信手段を介して受信した軌跡データから、ツーリング参加車両の各位置を表示するナビゲーション手段を
備えることを特徴とするツーリング補助システム。
【請求項2】
ツーリングに参加する最終車両には、
前記位置データ取得手段で得られた自車位置データに基づいて自車位置を地図上に表示すると共に、前記先頭車両から前記無線送受信手段を介して受信した軌跡データから、前記先頭車両の位置と走行軌跡を表示するナビゲーション手段を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のツーリング補助システム。
【請求項3】
ツーリングに参加する先頭以外の車両には、
前記無線送受信手段を介して、緊急事態の発生を当該車両の認識符号と共に通知する緊急通知手段を設け、
前記先頭車両の制御手段は、他の車両から前記緊急事態の通知を受信した場合、前記ナビゲーション手段に表示された当該車両の位置近傍に、緊急事態発生を示す情報を表示する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のツーリング補助システム。
【請求項4】
少なくとも前記先頭車両には、
ツーリングに参加した他の車両の操縦者が所持する携帯電話の電話番号を少なくとも記憶する記憶手段を設け、
前記先頭車両の制御手段は、前記記憶手段に記憶された当該緊急事態発生を通知してきた車両の操縦者の携帯電話の電話番号を用いた出力制御処理を行う
ことを特徴とする請求項3に記載のツーリング補助システム。
【請求項5】
少なくとも前記先頭車両には、
外部装置との間で少なくとも携帯電話の電話番号の入出力を、電波または光を利用した無線通信または着脱自在のメモリー素子を用いて実施する通信手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のツーリング補助システム。
【請求項6】
前記先頭車両には、
前記最終車両から送信された無線信号受信強度レベルを監視する受信強度レベル監視手段を設け、
前記先頭車両の制御手段は、前記最終車両の無線信号受信強度レベルを所定値と比較し、当該無線信号受信強度レベルが所定値未満に低下した場合には、前記ナビゲーション手段に速度低下または走行停止の警告を表示させる
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のツーリング補助システム。
【請求項7】
請求項1〜5の何れかのツーリング補助システムに用いられる制御手段を少なくとも含むツーリング補助装置。
【請求項8】
請求項2に記載のツーリング補助システムにおける請求項2に記載の前記最終車両の構成を備えるツーリング補助装置。
【請求項9】
請求項4または5に記載のツーリング補助システムにおける当該請求項に記載の前記先頭車両の構成を備えるツーリング補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−7632(P2013−7632A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139941(P2011−139941)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】