説明

テンプレート処理装置、インプリントシステム、離型剤処理方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】テンプレートの表面に離型剤を適切に形成する。
【解決手段】テンプレート処理装置1は、テンプレート搬入出ステーション2と処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能で、且つ処理ステーション3に対してテンプレートTを搬入出する。処理ステーション3は、搬送ユニット20を有し、処理ブロックG1〜G4内に配置されている各種処理ユニットにテンプレートTを搬送する。処理ブロックG1〜G4は、テンプレートTの表面に離型剤を成膜する。処理ブロックG1、G2は、テンプレートTの外側領域の離型剤に紫外線を照射して、当該紫外線の離型効果を弱める離型剤改質ユニットをそれぞれ有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜し、当該離型剤に所定の処理を行うテンプレート処理装置、当該テンプレート処理装置を備えたインプリントシステム、当該テンプレート処理装置を用いた離型剤処理方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている(特許文献1)。このインプリント方法では、図32に示すように表面に微細な転写パターンCが形成され、且つ当該表面に離型剤Sが成膜されたテンプレートT(モールドや型と呼ばれることもある。)が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したインプリント方法では、先ず、図32(a)に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。そして、図32(b)に示すようにウェハW上にレジスト液が塗布されて形成されたレジスト膜Rに、テンプレートTが押し付けられ、転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される。このとき、レジスト膜Rに光が照射され、レジスト膜Rが光重合する。その後、図32(c)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPが形成される。
【0007】
しかしながら、図32(b)に示すようにテンプレートTの転写パターンCを転写する際、ウェハW上ではレジスト膜Rが転写パターンCの外側に押し出される。この押し出されたレジスト膜Rは、テンプレートT上の離型剤Sによって当該テンプレートTから離型するため、図32(c)に示すようにウェハW上には、所定のレジストパターンPの外側に不要な余剰パターンEが形成されてしまう。このように従来のインプリント方法では、ウェハW上に所定のレジストパターンPを適切に形成することができなかった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、テンプレートの表面に離型剤を適切に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜し、当該離型剤に所定の処理を行うテンプレート処理装置であって、前記テンプレートに所定の処理を行う処理ステーションと、複数の前記テンプレートを保有可能で、且つ前記処理ステーションに対して前記テンプレートを搬入出するテンプレート搬入出ステーションと、を有し、前記処理ステーションは、前記テンプレートの表面に離型剤を成膜する離型剤成膜ブロックと、前記テンプレートの転写パターンの外側に成膜された離型剤に紫外線を照射して、当該離型剤の離型効果を弱める離型剤改質ユニットと、前記離型剤成膜ブロック及び離型剤改質ユニットに対して、前記テンプレートを搬送する搬送ユニットと、を有することを特徴としている。なお、転写パターンの外側には、当該転写パターンの最外側にあるパターン(凸部)の外側の側面も含まれる。
【0010】
本発明によれば、処理ステーションにおいて、離型剤成膜ブロックでテンプレートの表面に離型剤を成膜した後、離型剤改質ユニットでテンプレートの転写パターンの外側に成膜された離型剤に紫外線を照射して、当該離型剤の離型効果を弱めることができる。すなわち、テンプレート表面において、転写パターン上に成膜される離型剤の離型効果を高くし、転写パターンの外側に成膜される離型剤の離型効果を低くすることができる。したがって、このテンプレートを用いて基板上の塗布膜に所定のパターンを形成する場合、塗布膜をテンプレートから離型させるに際し、転写パターンに対向する塗布膜は適切に離型する。一方、転写パターンの外側の塗布膜は離型せず、基板上から剥離してテンプレートに付着する。このため、基板の外周部上には、従来の不要な余剰パターンが形成されない。したがって、基板上に、テンプレートの転写パターンが適切に転写された所定のパターンを形成することができる。
【0011】
前記離型剤改質ユニットで離型効果が弱められた離型剤を洗浄する洗浄ユニットをさらに有していてもよい。
【0012】
複数の前記テンプレートは、一のホルダーに保持されていてもよい。かかる場合、前記ホルダーは、前記各テンプレートの転写パターンを覆い、紫外線を遮光する遮光板を有していてもよい。
【0013】
前記離型剤改質ユニットは、前記テンプレートの転写パターンを覆い、紫外線を遮光する遮光板を有していてもよい。
【0014】
前記遮光板の表面は、クロムメッキ処理されていてもよい。
【0015】
前記離型剤成膜ブロックは、前記テンプレートの表面を洗浄する他の洗浄ユニットと、前記洗浄されたテンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布ユニットと、前記塗布された離型剤を焼成する加熱ユニットと、を有していてもよい。
【0016】
前記塗布ユニットは、前記テンプレートの表面に液体状の離型剤を供給する離型剤供給部を有し、前記離型剤成膜ブロックは、前記加熱ユニットで焼成された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンスユニットを有していてもよい。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して吸着する部分以外をいう。
【0017】
前記塗布ユニットは、前記テンプレートの表面に気体状の離型剤を供給する離型剤供給部を有していてもよい。
【0018】
別な観点による本発明は、前記テンプレート処理装置を備えたインプリントシステムであって、前記処理ステーションで表面に離型剤が成膜された前記テンプレートを用いて、前記転写パターンを基板上に形成される塗布膜に転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットと、複数の前記基板を保有可能で、前記インプリントユニットに対して前記基板を搬入出する基板搬入出ステーションと、を有することを特徴としている。
【0019】
また別な観点による本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜し、当該離型剤を処理する離型剤処理方法であって、前記テンプレートの表面に離型剤を成膜する離型剤成膜工程と、その後、前記テンプレートの転写パターンの外側に成膜された離型剤に紫外線を照射して、当該離型剤の離型効果を弱める離型剤改質工程と、を有することを特徴としている。
【0020】
前記離型剤改質工程後、前記離型効果が弱められた離型剤を洗浄する洗浄工程をさらに有していてもよい。
【0021】
前記離型剤成膜工程は、前記テンプレートの表面を洗浄する工程と、その後、前記洗浄されたテンプレートの表面に液体状の離型剤を供給し、当該離型剤を塗布する工程と、その後、前記塗布された離型剤を焼成する工程と、その後、前記焼成された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去する工程と、を有していてもよい。
【0022】
前記離型剤成膜工程は、前記テンプレートの表面を洗浄する工程と、その後、前記洗浄されたテンプレートの表面に気体状の離型剤を供給し、当該離型剤を塗布する工程と、その後、前記塗布された離型剤を焼成する工程と、を有していてもよい。
【0023】
複数の前記テンプレートは、一のホルダーに保持されていてもよい。
【0024】
また別な観点による本発明によれば、前記離型剤処理方法をテンプレート処理装置によって実行させるために、当該テンプレート処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0025】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、テンプレートの転写パターンの外側に成膜された離型剤の離型効果を弱め、テンプレートの表面に離型剤を適切に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図4】テンプレートの斜視図である。
【図5】テンプレートの平面図である。
【図6】搬送ユニットの構成の概略を示す側面図である。
【図7】搬送ユニットの構成の概略を示す平面図である。
【図8】離型剤改質ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】テンプレートと遮光板の構成の概略を示す説明図である。
【図10】塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図11】保持部材の構成の概略を示す平面図である。
【図12】塗布ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図13】リンスユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図14】前洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図15】前洗浄ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図16】加熱ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図17】離型剤処理の各工程を示したフローチャートである。
【図18】離型剤処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面が洗浄された様子を示し、(b)はテンプレートの表面に離型剤が塗布された様子を示し、(c)はテンプレート上の離型剤が焼成された様子を示し、(d)はテンプレート上に離型剤が成膜された様子を示し、(e)はテンプレートの外側領域の離型剤が改質された様子を示す。
【図19】他の実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図20】塗布加熱ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図21】他の実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図22】他の実施の形態にかかる塗布ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図23】離型剤処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面が洗浄された様子を示し、(b)はテンプレートの表面に気化した離型剤が堆積された様子を示し、(c)はテンプレート上の離型剤が焼成された様子を示し、(d)はテンプレートの外側領域の離型剤が改質された様子を示す。
【図24】ホルダーの平面図である。
【図25】ホルダーの縦断面図である。
【図26】他の実施の形態にかかるホルダーの縦断面図である。
【図27】本実施の形態にかかるインプリントシステムの構成の概略を示す平面図である。
【図28】インプリントユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図29】インプリントユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図30】インプリント処理の各工程を示したフローチャートである。
【図31】インプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハ上にレジスト液が塗布された様子を示し、(b)はウェハ上のレジスト膜を光重合させた様子を示し、(c)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示し、(d)はウェハ上の残存膜が除去された様子を示す。
【図32】従来のインプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハ上にレジスト液が塗布された様子を示し、(b)はウェハ上のレジスト膜を光重合させた様子を示し、(c)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は、テンプレート処理装置1の構成の概略を示す側面図である。
【0029】
本実施の形態のテンプレート処理装置1では、図4に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成されたテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面Tといい、当該表面Tと反対側の面を裏面Tという。また、図5に示すようにテンプレートTの表面Tにおいて、転写パターンCが形成されている領域を内側領域Dといい、その外側の領域を外側領域Dという。この外側領域Dには、転写パターンCの最外側にあるパターン(凸部)の外側の側面も含まれる。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。
【0030】
テンプレート処理装置1は、図1に示すように複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とテンプレート処理装置1との間で搬入出したり、テンプレートカセットCに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション2と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0031】
テンプレート搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10は、複数のテンプレートカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
【0032】
テンプレート搬入出ステーション2には、X方向に延伸する搬送路11上を移動可能なテンプレート搬送体12が設けられている。テンプレート搬送体12は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレートカセットCと処理ステーション3との間でテンプレートTを搬送できる。
【0033】
処理ステーション3には、その中心部に搬送ユニット20が設けられている。この搬送ユニット20の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックG1〜G4が配置されている。処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2が順に配置されている。処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第3の処理ブロックG3、第4の処理ブロックG4が順に配置されている。処理ステーション3のテンプレート搬入出ステーション2側には、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット21が配置されている。搬送ユニット20は、これらの処理ブロックG1〜G4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット21に対してテンプレートTを搬送できる。なお、本実施の形態においては、後述する離型剤改質ユニット41、51、後洗浄ユニット33を除く処理ブロックG1〜G4で離型剤成膜ブロックを構成している。
【0034】
第1の処理ブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートTに液体状の離型剤を塗布する塗布ユニット30、テンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニット31が下から順に2段に重ねられている。
【0035】
第2の処理ブロックG2には、塗布ユニット32、テンプレートTの外側領域D上の離型剤を改質後、当該離型剤の残渣を除去して洗浄する洗浄ユニットとしての後洗浄ユニット33が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室34、35がそれぞれ設けられている。
【0036】
第3の処理ブロックG3には、図3に示すようにテンプレートTに対して紫外線を照射し、テンプレートT上に離型剤が成膜される前の表面Tを洗浄する他の洗浄ユニットとしての前洗浄ユニット40、テンプレートTの外側領域D上の離型剤に紫外線を照射して、当該離型剤の離型効果を弱める離型剤改質ユニット41、テンプレートTの温度を調節する温度調節ユニット42、テンプレートTを加熱処理する加熱ユニット43、44が下から順に5段に重ねられている。
【0037】
第4の処理ブロックG4にも、第3の処理ブロックG3と同様に、前洗浄ユニット50、離型剤改質ユニット51、温度調節ユニット52、加熱ユニット53、54が下から順に5段に重ねられている。
【0038】
次に、上述した搬送ユニット20の構成について説明する。搬送ユニット20は、図6に示すようにテンプレートTを保持して搬送する搬送アーム100を複数、例えば2本有している。
【0039】
搬送アーム100は、図7に示すようにテンプレートTよりも大きい径の略3/4円環状に構成されたアーム部101と、このアーム部101と一体に形成され、且つアーム部101を支持する支持部102とを有している。アーム部101には、内側に向かって突出し、テンプレートTの角部を保持する保持部103が例えば4箇所に設けられている。搬送アーム100は、この保持部103上にテンプレートTを水平に保持することができる。
【0040】
搬送アーム100の基端部には、図6に示すようにアーム駆動部104が設けられている。このアーム駆動部104により、各搬送アーム100は独立して水平方向に移動できる。これら搬送アーム100とアーム駆動部104は、基台105に支持されている。基台105の下面には、シャフト106を介して回転駆動部107が設けられている。この回転駆動部107により、基台105及び搬送アーム100はシャフト106を中心軸として回転でき、且つ昇降できる。
【0041】
次に、上述した離型剤改質ユニット41、51の構成について説明する。離型剤改質ユニット41は、図8に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング110を有している。
【0042】
ケーシング110内の底面には、テンプレートTが載置される載置台111が設けられている。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くように載置台111の上面に載置される。載置台111内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン112が設けられている。昇降ピン112は、昇降駆動部113により上下動できる。載置台111の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔114が形成されおり、昇降ピン112は、貫通孔114を挿通するようになっている。
【0043】
ケーシング110内の天井面であって、載置台111の上方には、テンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部120が設けられている。紫外線照射部1
20は、載置台111に載置されたテンプレートTの表面Tに対向し、当該表面T全面を覆うように配置されている。
【0044】
載置台111と紫外線照射部120との間には、遮光板121が配置されている。遮光板121は、載置台111に載置されたテンプレートTの表面Tに対向し、当該表面T全面を覆うように配置されている。遮光板121は、図9に示すようにテンプレートTの転写パターンCが形成された内側領域Dに対向する下面がクロムメッキ処理されて、当該下面にクロムメッキ層122が形成されている。なお、遮光板121には、紫外線を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。
【0045】
ここで、処理ステーション3では、後述するように、テンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される。この離型剤Sの材料には、後述するウェハ上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素樹脂等が用いられる。また、離型剤Sは、紫外線が照射されると改質し、レジスト膜に対して親液性を有するようになる。すなわち、離型剤Sは、紫外線が照射されることによって離型効果が弱くなる。
【0046】
そして、離型剤改質ユニット41内において、紫外線照射部120から紫外線が照射されると、図9に示すようにテンプレートTの内側領域Dでは、紫外線がクロムメッキ層122によって遮光される。そうすると、内側領域Dの離型剤Sには紫外線が照射されず、当該離型剤Sの離型効果は維持される。一方、テンプレートTの外側領域Dでは、紫外線が遮光板121を透過する。そうすると、外側領域Dの離型剤Sに紫外線が照射され、当該離型剤Sの離型効果は弱められる。
【0047】
なお、離型剤改質ユニット51の構成は、上述した離型剤改質ユニット41の構成と同様であるので説明を省略する。
【0048】
次に、上述した塗布ユニット30、32の構成について説明する。塗布ユニット30は、図10に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング130を有している。
【0049】
ケーシング130内の中央部には、テンプレートTを保持して回転させる保持部材131が設けられている。保持部材131の中央部分は下方に窪み、テンプレートTを収容する収容部132が形成されている。収容部132の下部には、テンプレートTの外形より小さい溝部132aが形成されている。したがって、収容部132内では、溝部132aによってテンプレートTの下面内側は保持部材131と接しておらず、テンプレートTの下面外周部のみが保持部材131に支持されている。収容部132は、図11に示すようにテンプレートTの外径に適合した略四角形の平面形状を有している。収容部132には、側面から内側に突出した突出部133が複数形成され、この突出部133により、収容部132に収容されるテンプレートTの位置決めがされる。また、搬送アーム100から収容部132にテンプレートTを受け渡す際に、搬送アーム100の保持部103が収容部132と干渉するのを避けるため、収容部132の外周には、切欠き部134が4箇所に形成されている。
【0050】
保持部材131は、図10に示すようにカバー体135に取り付けられ、保持部材131の下方には、シャフト136を介して回転駆動部137が設けられている。この回転駆動部137により、保持部材131は鉛直周りに所定の速度で回転でき、且つ昇降できる。
【0051】
保持部材131の周囲には、テンプレートTから飛散又は落下する離型剤Sを受け止め、回収するカップ140が設けられている。カップ140の下面には、回収した離型剤を排出する排出管141と、カップ140内の雰囲気を排気する排気管142が接続されている。
【0052】
図12に示すようにカップ140のX方向負方向(図12の下方向)側には、Y方向(図12の左右方向)に沿って延伸するレール150が形成されている。レール150は、例えばカップ140のY方向負方向(図12の左方向)側の外方からY方向正方向(図12の右方向)側の外方まで形成されている。レール150には、アーム151が取り付けられている。
【0053】
アーム151には、テンプレートT上に離型剤Sを供給する離型剤供給部としての離型剤ノズル152が支持されている。アーム151は、ノズル駆動部153により、レール150上を移動自在である。これにより、離型剤ノズル152は、カップ140のY方向正方向側の外方に設置された待機部154からカップ140内のテンプレートTの中心部上方まで移動できる。また、アーム151は、ノズル駆動部153によって昇降自在であり、離型剤ノズル152の高さを調整できる。
【0054】
なお、例えば保持部材131の溝部132a内に、洗浄液、例えば有機溶剤を噴射する洗浄液ノズルを設けてもよい。この洗浄液ノズルからテンプレートTの裏面Tに洗浄液を噴射することによって、当該裏面Tを洗浄することができる。
【0055】
なお、塗布ユニット32の構成は、上述した塗布ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0056】
また、後洗浄ユニット33の構成についても、上述した塗布ユニット30と同様の構成を有し、離型剤ノズル152に代えて、洗浄液として純水を供給する洗浄液ノズルが用いられる。なお、後洗浄ユニット33では、この洗浄ノズルに代えて、テンプレートTに加熱された乾燥空気等の気体ガスを吹き付けるガスノズルを用いてもよい。
【0057】
次に、上述したリンスユニット31の構成について説明する。リンスユニット31は、図13に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング160を有している。
【0058】
ケーシング160内の底面には、テンプレートTを浸漬させる浸漬槽161が設けられている。浸漬槽161内には、テンプレートT上の離型剤Sをリンスするための有機溶剤が貯留されている。
【0059】
ケーシング160内の天井面であって、浸漬槽161の上方には、テンプレートTを保持する保持部162が設けられている。保持部162は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック163を有している。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くようにチャック163に保持される。チャック163は、昇降機構164により昇降できる。そして、テンプレートTは、保持部162に保持された状態で浸漬槽161に貯留された有機溶剤に浸漬され、当該テンプレートT上の離型剤がリンスされる。
【0060】
保持部162は、チャック163に保持されたテンプレートTの上方に設けられたガス供給部165を有している。ガス供給部165は、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを下方、すなわちチャック163に保持されたテンプレートTの表面Tに吹き付けることができる。これにより、浸漬層161でリンスされたテンプレートTの表面Tを乾燥させることができる。なお、リンスユニット31には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。
【0061】
次に、上述した前洗浄ユニット40、50の構成について説明する。前洗浄ユニット40は、図14に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング170を有している。
【0062】
ケーシング170内には、テンプレートTを吸着保持するチャック171が設けられている。チャック171は、テンプレートTの表面Tが上方を向くように、その裏面Tを吸着保持する。チャック171の下方には、チャック駆動部172が設けられている。このチャック駆動部172は、ケーシング150内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール173上に取付けられている。このチャック駆動部172により、チャック171はレール173に沿って移動できる。
【0063】
ケーシング170内の天井面であって、レール173の上方には、チャック171に保持されたテンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部174が設けられている。紫外線照射部174は、図15に示すようにX方向に延伸している。そして、テンプレートTがレール173に沿って移動中に、紫外線照射部174から当該テンプレートTの表面Tに紫外線を照射することで、テンプレートTの表面T全面に紫外線が照射される。
【0064】
なお、前洗浄ユニット50の構成は、上述した前洗浄ユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0065】
次に、上述した加熱ユニット43、44、53、54の構成について説明する。加熱ユニット43は、図16に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング180を有している。
【0066】
ケーシング180内の底面には、テンプレートTが載置される載置台181が設けられている。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くように載置台181の上面に載置される。載置台181内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン182が設けられている。昇降ピン182は、昇降駆動部183により上下動できる。載置台181の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔184が形成されおり、昇降ピン182は、貫通孔184を挿通するようになっている。また、載置台181の上面には、テンプレートTを加熱する熱板185が設けられている。熱板185の内部には、例えば給電により発熱するヒータが設けられており、熱板185を所定の設定温度に調節できる。なお、この熱板185は、テンプレートTの上方、例えば後述する蓋体190の天井面に設けてもよい。また、テンプレートTの上方と下方に熱板185を設けてもよい。
【0067】
載置台181の上方には、上下動自在の蓋体190が設けられている。蓋体190は、下面が開口し、載置台181と一体となって処理室Kを形成する。蓋体190の上面中央部には、排気部191が設けられている。処理室K内の雰囲気は、排気部191から均一に排気される。
【0068】
なお、加熱ユニット44、53、54の構成は、上述した加熱ユニット43の構成と同様であるので説明を省略する。
【0069】
また、温度調節ユニット42、52の構成についても、上述した加熱ユニット43と同様の構成を有し、熱板185に代えて、温度調節板が用いられる。温度調節板の内部には、例えばペルチェ素子などの冷却部材が設けられており、温度調節板を設定温度に調節できる。また、この場合、加熱ユニット43における蓋体190を省略してもよい。
【0070】
以上のテンプレート処理装置1には、図1に示すように制御部200が設けられている。制御部200は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、テンプレート搬入出ステーション2と処理ステーション3との間のテンプレートTの搬送や、処理ステーション3における駆動系の動作などを制御して、テンプレート処理装置1における後述する離型剤処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部200にインストールされたものであってもよい。
【0071】
本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1は以上のように構成されている。次に、そのテンプレート処理装置1で行われる離型剤Sの処理について説明する。図17は、この離型剤処理の主な処理フローを示し、図18は、各工程におけるテンプレートTの状態を示している。
【0072】
先ず、テンプレート搬送体12によって、カセット載置台10上のテンプレートカセットCからテンプレートTが取り出され、処理ステーション3のトランジションユニット21に搬送される(図17の工程A1)。このとき、テンプレートカセットC内には、テンプレートTは、転写パターンCが形成された表面Tが上方を向くように収容されており、この状態でテンプレートTはトランジションユニット21に搬送される。
【0073】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、前洗浄ユニット40に搬送され、チャック171に吸着保持される。続いて、チャック駆動部172によってテンプレートTをレール173に沿って移動させながら、紫外線照射部174から当該テンプレートTに紫外線が照射される。こうして、テンプレートTの表面T全面に紫外線が照射され、図18(a)に示すようにテンプレートTの表面Tが洗浄される(図17の工程A2)。
【0074】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは塗布ユニット30に搬送され、保持部材131に受け渡される。続いて、離型剤ノズル152をテンプレートTの中心部上方まで移動させると共に、テンプレートTを回転させる。そして、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給し、遠心力により離型剤SをテンプレートT上で拡散させて、図18(b)に示すようにテンプレートTの表面T全面に離型剤Sを塗布する(図17の工程A3)。
【0075】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは加熱ユニット43に搬送される。加熱ユニット43に搬入されたテンプレートTは、昇降ピン182に受け渡され、載置台181に載置される。続いて、蓋体190が閉じられ、テンプレートTは熱板185によって例えば200℃に加熱される。所定時間経過後、図18(c)に示すようにテンプレートT上の離型剤Sが焼成される(図17の工程A4)。
【0076】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは温度調節ユニット42に搬送され、テンプレートTが所定の温度に調節される。
【0077】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはリンスユニット31に搬送され、保持部162に保持される。続いて、保持部162を下降させ、テンプレートTを浸漬槽161に貯留された有機溶剤に浸漬させる。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみが剥離し、図18(d)に示すようにテンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される(図17の工程A5)。その後、保持部162を上昇させ、ガス供給部165から気体ガスをテンプレートTに吹き付け、その表面Tを乾燥させる。
【0078】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは離型剤改質ユニット41に搬送される。離型剤改質ユニット41に搬入されたテンプレートTは、昇降ピン112に受け渡され、載置台111に載置される。続いて、紫外線照射部120からテンプレートTに紫外線が照射される。照射された紫外線は、テンプレートTの内側領域Dでは、クロムメッキ層122によって遮光される。一方、テンプレートTの外側領域Dでは、紫外線は遮光板121を透過し離型剤Sに照射される。そして、内側領域Dの離型剤Sの離型効果が維持され、外側領域Dの離型剤Sの離型効果が弱められる。このようにして、図18(e)に示すように外側領域Dの離型剤Sのみが改質される(図17の工程A6)。
【0079】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは後洗浄ユニット33に搬送される。後洗浄ユニット33では、先ず、洗浄液ノズルをテンプレートTの外側領域D上方に移動させる。その後、回転中のテンプレートTに洗浄液ノズルから純水を供給して、外側領域Dで改質された離型剤Sの残渣が除去される。こうして、テンプレートTの外側領域Dの離型剤Sが洗浄される(図17の工程A7)。
【0080】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはトランジションユニット21に搬送され、テンプレート搬送体12によってテンプレートカセットCに戻される(図17の工程A8)。こうしてテンプレート処理装置1における一連の離型剤処理が終了する。
【0081】
以上の実施の形態によれば、処理ステーション3において、テンプレートTの表面Tに離型剤Sを成膜した後、離型剤改質ユニット41でテンプレートTの外側領域Dに成膜された離型剤Sに紫外線を照射して、当該離型剤Sの離型効果を弱めることができる。すなわち、テンプレートTの表面Tにおいて、転写パターンCが形成された内側領域Dに成膜される離型剤Sの離型効果を高くし、外側領域Dに成膜される離型剤Sの離型効果を低くすることができる。したがって、このテンプレートTを用いてウェハ上のレジスト膜に所定のレジストパターンを形成する場合、レジスト膜をテンプレートTから離型させるに際し、内側領域Dに対向するレジスト膜は適切に離型する。一方、外側領域Dに対向するレジスト膜は離型せず、ウェハ上から剥離してテンプレートTに付着する。このため、ウェハの外周部には不要な余剰パターンが形成されない。したがって、ウェハ上に、テンプレートTの転写パターンCが適切に転写された所定のレジストパターンを形成することができる。なお、このテンプレートTを用いてウェハ上に所定のレジストパターンを形成する場合の作用、効果等については、後述において詳細に説明する。
【0082】
また、処理ステーション3内には、後洗浄ユニット33が配置されているので、テンプレートTの外側領域Dの離型剤Sを改質後、当該離型剤Sの残渣を除去して洗浄することができる。これによって、外側領域Dの離型剤Sの離型効果を確実に弱めることができる。
【0083】
さらに、テンプレート搬入出ステーション2が複数のテンプレートTを保有できるので、当該テンプレート搬入出ステーション2から処理ステーション3にテンプレートTを連続して搬送することができる。また、処理ステーション3においては、搬送ユニット20が各種処理ユニットにテンプレートTを搬送できるので、複数のテンプレートTに対して所定の処理を連続して行うことができる。したがって、これら複数のテンプレートTに対して、離型剤Sを連続的に成膜し処理することができる。
【0084】
ここで、テンプレートTは、例えば6.35mmの厚みを有する。本実施の形態の加熱ユニット43、44、53、54内において、熱板185がテンプレートTの上方(テンプレートTの転写パターンC側)に配置されている場合、テンプレートTの表面T側から、当該表面T上の離型剤Sを直接加熱することができる。したがって、テンプレートTの厚みに関わらず、離型剤Sを効率よく加熱して焼成することができる。一方、熱板185がテンプレートTの下方に配置されている場合でも、熱伝導によってテンプレートTの裏面T側から離型剤Sを効率よく加熱することができる。
【0085】
以上の実施の形態では、処理ステーション3の離型剤改質ユニット41、51において、遮光板121はテンプレートTの表面T全面を覆うように設けられていたが、テンプレートTの内側領域Dのみを覆うように設けられていてもよい。かかる場合、遮光板のクロムメッキ層は、当該遮光板の下面全面に形成される。
【0086】
以上の実施の形態では、処理ステーション3の塗布ユニット30、32において、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給することにより、テンプレートTの表面Tに離型剤Sを塗布していたが、例えばテンプレートTの幅方向に延伸し、下面にスリット状の供給口が形成された離型剤ノズルを用いてテンプレートT上に離型剤Sを塗布してもよい。かかる場合、離型剤ノズルをテンプレートTの辺方向に移動させながら、供給口から離型剤Sを供給し、テンプレートTの表面T全面に離型剤Sが塗布される。なお、この場合、離型剤ノズルを固定して、テンプレートTを移動させてもよい。さらに、例えば離型剤Sが貯留された浸漬槽にテンプレートTを浸漬させて、テンプレートT上に離型剤Sを塗布してもよい。
【0087】
以上の実施の形態のリンスユニット31では、浸漬層161に貯留された有機溶剤にテンプレートTを浸漬することで離型剤Sをリンスしていたが、図10及び図12に示した塗布ユニット30、32と同様の構成を有するリンスユニットを用いてもよい。かかる場合、塗布ユニット30、32の離型剤ノズル152に代えて、テンプレートT上に離型剤Sのリンス液としての有機溶剤を供給するリンス液ノズルが用いられる。
【0088】
そして、このリンスユニットでは、回転中のテンプレートT上に有機溶剤が供給し、テンプレートTの表面T全面をリンスする。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみが剥離し、テンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される。その後、有機溶剤の供給を停止した後、さらにテンプレートTを回転させ続け、その表面Tを振り切り乾燥させる。このようにして、テンプレートT上の離型剤Sがリンスされる。
【0089】
以上の実施の形態では、前洗浄ユニット40、50において、テンプレートTを移動させながら、当該移動中のテンプレートTに紫外線を照射していたが、例えばテンプレートTの表面T全面を覆う紫外線照射部を用いて、テンプレートTに紫外線を照射してもよい。この紫外線照射部は、テンプレートTに対向するように、当該テンプレートTの上方に配置される。かかる場合、一度の照射でテンプレートTの表面T全面に紫外線を照射することができるので、テンプレートTの表面Tの洗浄を迅速に行うことができる。また、この場合、図10及び図12に示した塗布ユニット30、32と同様に、テンプレートTを回転させ、当該回転中のテンプレートTの表面T全面に紫外線を照射してもよい。
【0090】
なお、以上の実施の形態において、離型剤改質ユニット41、51でテンプレートTの外側領域Dの離型剤Sを改質後、当該外側領域Dに残渣が残っていない場合には、後洗浄ユニット33における洗浄を省略してもよい。
【0091】
以上の実施の形態では、テンプレートT上への離型剤Sの塗布とテンプレートTの加熱は、それぞれ別の処理ユニット(塗布ユニット30、32と加熱ユニット43、44、53、54)で行われていたが、一の処理ユニットで行われてもよい。かかる場合、図19に示すようにテンプレート処理装置1の第1の処理ブロックG1には、図2に示した塗布ユニット30に代えて、塗布加熱ユニット200が配置される。同様に、第2の処理ブロックG2にも、塗布ユニット32に代えて、塗布加熱ユニット201が配置される。また、この場合、図3に示した加熱ユニット43、44、53、54が省略される。
【0092】
図17に示すように塗布加熱ユニット200は、図10及び図12に示した塗布ユニット30と同様の構成に、さらに熱供給器210を有している。熱供給器210は、加熱された乾燥空気等の気体ガスに吹き付けることができる。また、熱供給器210は、保持部材131に保持されたテンプレートTに対向するように、当該テンプレートTの上方に配置されている。なお、塗布加熱ユニット201についても、同様の構成を有している。
【0093】
かかる場合、離型剤ノズル152によってテンプレートTの表面T全面に離型剤Sを塗布した後、熱供給器210から加熱された乾燥空気をテンプレートTに吹き付けて、当該テンプレートTを加熱することができる。このように一の塗布加熱ユニット200で離型剤Sの塗布とテンプレートTの加熱を連続して行うことができるので、処理ステーション3において、テンプレートT上に離型剤Sをより円滑に成膜することができ、離型剤処理のスループットを向上させることができる。また、テンプレート処理装置1の構成を簡略化することもできる。
【0094】
以上の実施の形態では、塗布ユニット30、32において、回転中のテンプレートT上に液体状の離型剤Sを供給することにより、テンプレートTの表面Tに離型剤Sを塗布していたが、テンプレートTの表面Tに気化した離型剤を堆積させて離型剤Sを成膜してもよい。かかる場合、図21に示すようにテンプレート処理装置1の第1の処理ブロックG1には、図2に示した塗布ユニット30とリンスユニット31に代えて、塗布ユニット220、221が配置される。同様に、第2の処理ブロックG2には、塗布ユニット32に代えて、塗布ユニット222が配置される。
【0095】
塗布ユニット220は、図22に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング230を有している。ケーシング230の底面には、内部の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。
【0096】
ケーシング230内の底面には、テンプレートTが載置される載置台232が設けられている。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くように載置台232の上面に載置される。載置台232の上面には、テンプレートTの温度を制御する温度制御板233が設けられている。温度制御板233は、例えばペルチェ素子などを内蔵し、テンプレートTを所定の温度に設定できる。載置台232内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン234が設けられている。昇降ピン234は、昇降駆動部235により上下動できる。載置台232の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔236が形成されおり、昇降ピン234は、貫通孔236を挿通するようになっている。
【0097】
ケーシング230内の天井面であって、載置台232の上方には、テンプレートT上に気化した離型剤を下方に供給する離型剤供給部としてのシャワーヘッド240が設けられている。シャワーヘッド240は、載置台232に載置されたテンプレートTの表面Tに対向して配置されている。シャワーヘッド240の内部には、離型剤供給源(図示せず)から供給された気化した離型剤が導入される内部空間241が形成されている。シャワーヘッド240の下面には、内部空間241に導入された離型剤を下方に向かって供給する複数の供給口242が、シャワーヘッド240の下面全体に分布させられた状態で設けられている。すなわち、シャワーヘッド240からテンプレートTの表面に対して、気化した離型剤が水平面内で均一に供給されるように複数の供給口242が形成されている。シャワーヘッド240から供給された離型剤は、テンプレートTの表面T上に転写パターンCに沿って堆積する。
【0098】
なお、塗布ユニット221、222の構成は、上述した塗布ユニット220の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0099】
次に、かかる塗布ユニット220、221、222が配置された処理ステーション3において、テンプレートTに離型剤Sを成膜する処理について説明する。
【0100】
処理ステーション3内では、先ず、テンプレートTは前洗浄ユニット40に搬送され、図23(a)に示すようにテンプレートTの表面Tが洗浄される。その後、テンプレートTは塗布ユニット220に搬送され、図23(b)に示すようにテンプレートTの表面T上に気化した離型剤Sが供給され、当該離型剤Sが転写パターンCに沿って堆積する。このとき、テンプレートTは、温度制御板233によって所定の温度に設定されている。その後、テンプレートTは加熱ユニット43に搬送され、図23(c)に示すようにテンプレートT上の離型剤Sが焼成される。その後、テンプレートTは温度調節ユニット42に搬送され、テンプレートTが所定の温度に調節される。その後、テンプレートTは離型剤改質ユニット41に搬送され、図23(d)に示すようにテンプレートTの外側領域Dの離型剤Sが改質される。その後、テンプレートTは後洗浄ユニット33に搬送され、テンプレートTの外側領域Dの離型剤Sが洗浄される。こうしてテンプレート処理装置1における一連の離型剤処理が終了する。
【0101】
以上の実施の形態によれば、気化した離型剤SがテンプレートTの転写パターンCに沿って堆積するため、離型剤Sをリンスする必要がない。したがって、処理ステーション3において、テンプレートT上に離型剤Sをより円滑に成膜することができ、離型剤処理のスループットを向上させることができる。
【0102】
また、温度制御板233によって所定の温度に設定されたテンプレートT上に気化した離型剤Sを供給しているので、テンプレートT上に離型剤Sを効率よく均一に堆積させることができる。
【0103】
さらに、シャワーヘッド240の複数の供給口242から気化した離型剤Sを供給しているので、複雑な駆動機構を必要としないため、塗布ユニット220の構成を簡略化することができる。
【0104】
なお、以上の実施の形態では、塗布ユニット220、221、222において、シャワーヘッド240の複数の供給口から気化した離型剤Sを供給していたが、例えばテンプレートTの幅方向に延伸し、下面にスリット状の供給口242が形成された離型剤ノズルを用いてテンプレートT上に気化した離型剤Sを供給してもよい。かかる場合、離型剤ノズルをテンプレートTの辺方向に移動させながら、供給口から気化した離型剤Sを供給し、テンプレートTの表面T全面に離型剤Sが塗布される。
【0105】
以上の実施の形態では、テンプレート処理装置1において、テンプレートTは個別に搬送され処理されていたが、図24に示すように複数、例えば9枚のテンプレートTが1つのホルダー250に保持されて処理されてもよい。かかる場合、ホルダー250には、図25に示すように各テンプレートTを収容するために下方に窪んだ収容部251が形成されている。収容部251の底面には例えば複数の吸引口(図示せず)が形成され、各テンプレートTは収容部251内に吸着保持されるようになっている。
【0106】
本実施の形態によれば、処理ステーション3において、複数のテンプレートTに対して一度に所定の処理を行うことができる。したがって、短時間でより多くのテンプレートT上に離型剤Sを成膜することができ、離型剤処理のスループットを向上させることができる。
【0107】
以上の実施の形態のホルダー250は、図26に示すように遮光板260を有していてもよい。遮光板260は、支持部材261に支持され、ホルダー250に収容された複数のテンプレートTを覆うように、当該複数のテンプレートTの上方に配置されている。また、遮光板260は、取り外し自在に構成されている。遮光板260は、各テンプレートTの転写パターンCが形成された内側領域Dに対向する下面がクロムメッキ処理されて、当該下面にクロムメッキ層262がそれぞれ形成されている。この遮光板260には、紫外線を透過可能な透明材料、例えばガラスが用いられる。なお、この場合、離型剤改質ユニット41内に設けられていた遮光板121を省略することができる。
【0108】
かかる場合、離型剤改質ユニット41内において、紫外線照射部120から紫外線が照射されると、各テンプレートTの内側領域Dでは、紫外線がクロムメッキ層262によって遮光される。一方、各テンプレートTの外側領域Dでは、紫外線は遮光板260を透過し離型剤Sに照射される。そして、各テンプレートTにおいて、内側領域Dの離型剤Sの離型効果が維持され、外側領域Dの離型剤Sの離型効果が弱められる。
【0109】
本実施の形態によれば、処理ステーション3において、複数のテンプレートTに対して一度に外側領域Dの離型剤Sを改質することができる。したがって、短時間でより多くのテンプレートTに離型剤処理を行うことができ、離型剤処理のスループットを向上させることができる。
【0110】
以上の実施の形態のテンプレート処理装置1は、図27に示すようにインプリントシステム300に配置されていてもよい。インプリントシステム300は、テンプレートTを用いて基板としてのウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット310と、複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とインプリントシステム300との間で搬入出したり、ウェハカセットCに対してウェハWを搬入出したりする基板搬入出ステーションとしてのウェハ搬入出ステーション311とを有している。また、テンプレート処理装置1とインプリントユニット310との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション312が配置されている。インプリントシステム300は、これらテンプレート処理装置1、インターフェイスステーション312、インプリントユニット310、ウェハ搬入出ステーション311を一体に接続した構成を有している。
【0111】
ウェハ搬入出ステーション311には、カセット載置台320が設けられている。カセット載置台320は、複数のウェハカセットCをX方向(図27中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション311は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
【0112】
ウェハ搬入出ステーション311には、X方向に延伸する搬送路321上を移動可能なウェハ搬送体322が設けられている。ウェハ搬送体322は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCとインプリントユニット310との間でウェハWを搬送できる。
【0113】
ウェハ搬入出ステーション311には、ウェハWの向きを調整するアライメントユニット323がさらに設けられている。アライメントユニット323では、例えばウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。
【0114】
インターフェイスステーション312には、X方向に延伸する搬送路330上を移動するテンプレート搬送体331が設けられている。また、搬送路330のX方向正方向側には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット332が配置され、搬送路330のX方向負方向側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット333が配置されている。テンプレート搬送体331は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、処理ステーション3、反転ユニット332、バッファカセット333、インプリントユニット310との間でテンプレートTを搬送できる。
【0115】
テンプレート処理装置1の処理ステーション3には、搬送ユニット20のインターフェイスステーション312側に、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット334が配置されている。
【0116】
次に、上述したインプリントユニット310の構成について説明する。インプリントユニット310は、図28に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成されたケーシング340を有している。
【0117】
ケーシング340内の底面には、ウェハWが載置されて保持されるウェハ保持部341が設けられている。ウェハWは、その被処理面が上方を向くようにウェハ保持部341の上面に載置される。ウェハ保持部341内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン342が設けられている。昇降ピン342は、昇降駆動部343により上下動できる。ウェハ保持部341の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔344が形成されおり、昇降ピン342は、貫通孔344を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部341は、当該ウェハ保持部341の下方に設けられた移動機構345により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0118】
図29に示すようにウェハ保持部341のX方向負方向(図29の下方向)側には、Y方向(図29の左右方向)に沿って延伸するレール350が設けられている。レール350は、例えばウェハ保持部341のY方向負方向(図29の左方向)側の外方からY方向正方向(図29の右方向)側の外方まで形成されている。レール350には、アーム351が取り付けられている。
【0119】
アーム351には、ウェハW上にレジスト液を供給するレジスト液ノズル352が支持されている。レジスト液ノズル352は、例えばウェハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル352には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル352の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。そして、レジスト液ノズル352は、レジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量等を厳密に制御できる。
【0120】
アーム351は、ノズル駆動部353により、レール350上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル352は、ウェハ保持部341のY方向正方向側の外方に設置された待機部354からウェハ保持部341上のウェハWの上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム351は、ノズル駆動部353によって昇降自在であり、レジスト液ノズル352の高さを調整できる。
【0121】
ケーシング340内の天井面であって、ウェハ保持部341の上方には、図28に示すようにテンプレートTを保持するテンプレート保持部360が設けられている。すなわち、ウェハ保持部341とテンプレート保持部360は、ウェハ保持部341に載置されたウェハWと、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部360は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック361を有している。チャック361は、当該チャック361の上方に設けられた移動機構362により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部341上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0122】
テンプレート保持部360は、チャック361に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源363を有している。光源363からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源363からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。
【0123】
本実施の形態にかかるインプリントシステム300は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム300で行われるインプリント処理について説明する。図30は、このインプリント処理の主な処理フローを示し、図31は、このインプリント処理の各工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
【0124】
先ず、テンプレート搬送体12によって、テンプレート搬入出ステーション2から処理ステーション3にテンプレートTが搬送される(図30の工程B1)。処理ステーション3では、テンプレートTの表面Tの洗浄(図30の工程B2)、表面Tへの離型剤Sの塗布(図30の工程B3)、離型剤Sの焼成(図30の工程B4)、離型剤Sのリンス(図30の工程B5)が順次行われ、テンプレートTの表面Tに離型剤Sが成膜される。その後、テンプレートTの外側領域Dの離型剤Sが改質され(図30の工程B6)、当該離型剤Sが洗浄される(図30の工程B7)。なお、これら工程B2〜B7は、前記実施の形態における工程A2〜A7と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0125】
離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、トランジションユニット334に搬送される。続いて、テンプレートTは、インターフェイスステーション312のテンプレート搬送体331によって、反転ユニット332に搬送されて、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面Tが上方に向けられる。その後、テンプレートTは、テンプレート搬送体331によってインプリントユニット310に搬送され、テンプレート保持部360のチャック361に吸着保持される。
【0126】
このように処理ステーション3においてテンプレートTに離型剤処理を行い、インプリントユニット310へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション311では、ウェハ搬送体322により、カセット載置台320上のウェハカセットCからウェハWが取り出され、アライメントユニット323に搬送される。そして、アライメントユニット323において、ウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送体322によってインプリントユニット310に搬送される(図30の工程B8)。なお、ウェハ搬入出ステーション311において、ウェハカセットC内のウェハWは、その被処理面が上方を向くように収容されており、この状態でウェハWはインプリントユニット310に搬送される。
【0127】
インプリントユニット310に搬入されたウェハWは、昇降ピン342に受け渡され、ウェハ保持部341上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせをした後、レジスト液ノズル352をウェハWの径方向に移動させ、図31(a)に示すようにウェハW上にレジスト液を塗布し、塗布膜としてのレジスト膜Rを形成する(図30の工程B9)。このとき、制御部200により、レジスト液ノズル352から供給されるレジスト液の供給タイミングや供給量等が制御される。すなわち、ウェハW上に形成されるレジストパターンにおいて、凸部に対応する部分(テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は多く、凹部に対応する部分(転写パターンCにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は少なくなるように塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてウェハW上にレジスト液が塗布される。
【0128】
ウェハW上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図31(a)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面TがウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。このとき、ウェハW上では、レジスト膜Rが転写パターンCの外側に押し出される。続いて、光源363から光が照射される。光源363からの光は、図31(b)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図30の工程B10)。
【0129】
その後、図31(c)に示すようにテンプレートTを上昇させる。このとき、テンプレートTの内側領域Dの離型剤Sは離型効果を維持しているため、内側領域Dに対向するレジスト膜Rは適切に離型する。一方、テンプレートTの外側領域Dの離型剤Sは離型効果が弱められているため、外側領域Dに対向するレジスト膜RはウェハW上から剥離してテンプレートTに付着する。すなわち、ウェハW上に所定のレジストパターンPの外側に形成される不要な余剰パターンEがテンプレートTの離型剤Sに付着する。こうして、ウェハW上に、テンプレートTの転写パターンCが適切に転写された所定のレジストパターンPが形成される(図30の工程B11)。
【0130】
その後、ウェハWは、昇降ピン342によりウェハ搬送体322に受け渡され、インプリントユニット310からウェハ搬入出ステーション311に搬送され、ウェハカセットCに戻される(図30の工程B12)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム300の外部において、図31(d)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
【0131】
以上の工程B8〜B12(図22中の点線で囲った部分)を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程B1〜B7を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T上に離型剤Sを成膜し処理する。離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、インターフェイスステーション312のバッファカセット333に保管される。
【0132】
そして、所定枚数のウェハWに対して工程B8〜B12が行われると、ウェハ搬送体331によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット310から搬出され、反転ユニット332に搬送される(図30の工程B13)。続いて、ウェハ搬送体331によって、バッファカセット333内のテンプレートTがインプリントユニット310に搬送される。こうして、インプリントユニット310内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
【0133】
反転ユニット332に搬送された使用済みのテンプレートTは、その表裏面が反転される。その後、ウェハ搬送体331、搬送ユニット20、ウェハ搬送体12によって、テンプレートTはテンプレートカセットCに戻される。このようにして、インプリントシステム300において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
【0134】
以上の実施の形態によれば、外側領域Dの離型剤Sが改質したテンプレートTを用いてインプリント処理を行っているので、ウェハW上の外側領域Dに対向するレジスト膜RをテンプレートTに付着させることができる。すなわち、ウェハW上に所定のレジストパターンPの外側に形成される不要な余剰パターンEがテンプレートTの離型剤Sに付着する。したがって、ウェハWの外周部上には、従来形成されていた不要な余剰パターンが形成されず、ウェハW上に、テンプレートTの転写パターンCが適切に転写された所定のレジストパターンPを形成することができる。
【0135】
また、インプリントシステム300はテンプレート処理装置1を有しているので、インプリントシステム300において、テンプレートT上に離型剤処理を行いつつ、当該テンプレートTをインプリントユニット310に連続的に供給できる。これによって、例えばテンプレートTが劣化する前、あるいは複数のウェハW上に異なるレジストパターンPを形成する場合でも、インプリントユニット310内のテンプレートTを連続して効率よく交換することができる。したがって、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPを連続的に形成することができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
【0136】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明は、表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜し、当該離型剤に所定の処理を行う際に有用であり、また当該テンプレートを用いて基板上に所定のパターンを形成する際に有用である。
【符号の説明】
【0138】
1 テンプレート処理装置
2 テンプレート搬入出ステーション
3 処理ステーション
20 搬送ユニット
30、32 塗布ユニット
31 リンスユニット
33 後洗浄ユニット
40、50 前洗浄ユニット
41、51 離型剤改質ユニット
43、44、53、54 加熱ユニット
121 遮光板
122 クロムメッキ層
152 離型剤ノズル
200 制御部
220〜222 塗布ユニット
240 シャワーヘッド
250 ホルダー
260 遮光板
262 クロムメッキ層
300 インプリントシステム
310 インプリントユニット
311 ウェハ搬入出ステーション
312 インターフェイスステーション
C 転写パターン
G1〜G4 処理ブロック
P レジストパターン
R レジスト膜
S 離型剤
T テンプレート
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜し、当該離型剤に所定の処理を行うテンプレート処理装置であって、
前記テンプレートに所定の処理を行う処理ステーションと、
複数の前記テンプレートを保有可能で、且つ前記処理ステーションに対して前記テンプレートを搬入出するテンプレート搬入出ステーションと、を有し、
前記処理ステーションは、
前記テンプレートの表面に離型剤を成膜する離型剤成膜ブロックと、
前記テンプレートの転写パターンの外側に成膜された離型剤に紫外線を照射して、当該離型剤の離型効果を弱める離型剤改質ユニットと、
前記離型剤成膜ブロック及び離型剤改質ユニットに対して、前記テンプレートを搬送する搬送ユニットと、を有することを特徴とする、テンプレート処理装置。
【請求項2】
前記離型剤改質ユニットで離型効果が弱められた離型剤を洗浄する洗浄ユニットをさらに有することを特徴とする、請求項1に記載のテンプレート処理装置。
【請求項3】
複数の前記テンプレートは、一のホルダーに保持されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のテンプレート処理装置。
【請求項4】
前記ホルダーは、前記各テンプレートの転写パターンを覆い、紫外線を遮光する遮光板を有することを特徴とする、請求項3に記載のテンプレート処理装置。
【請求項5】
前記離型剤改質ユニットは、前記テンプレートの転写パターンを覆い、紫外線を遮光する遮光板を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のテンプレート処理装置。
【請求項6】
前記遮光板の表面は、クロムメッキ処理されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載のテンプレート処理装置。
【請求項7】
前記離型剤成膜ブロックは、
前記テンプレートの表面を洗浄する他の洗浄ユニットと、
前記洗浄されたテンプレートの表面に離型剤を塗布する塗布ユニットと、
前記塗布された離型剤を焼成する加熱ユニットと、を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のテンプレート処理装置。
【請求項8】
前記塗布ユニットは、前記テンプレートの表面に液体状の離型剤を供給する離型剤供給部を有し、
前記離型剤成膜ブロックは、前記加熱ユニットで焼成された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去するリンスユニットを有することを特徴とする、請求項7に記載のテンプレート処理装置。
【請求項9】
前記塗布ユニットは、前記テンプレートの表面に気体状の離型剤を供給する離型剤供給部を有することを特徴とする、請求項7に記載のテンプレート処理装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のテンプレート処理装置を備えたインプリントシステムであって、
前記処理ステーションで表面に離型剤が成膜された前記テンプレートを用いて、前記転写パターンを基板上に形成される塗布膜に転写し、当該塗布膜に所定のパターンを形成するインプリントユニットと、
複数の前記基板を保有可能で、前記インプリントユニットに対して前記基板を搬入出する基板搬入出ステーションと、を有することを特徴とする、インプリントシステム。
【請求項11】
表面に転写パターンが形成されたテンプレート上に離型剤を成膜し、当該離型剤を処理する離型剤処理方法であって、
前記テンプレートの表面に離型剤を成膜する離型剤成膜工程と、
その後、前記テンプレートの転写パターンの外側に成膜された離型剤に紫外線を照射して、当該離型剤の離型効果を弱める離型剤改質工程と、を有することを特徴とする、離型剤処理方法。
【請求項12】
前記離型剤改質工程後、前記離型効果が弱められた離型剤を洗浄する洗浄工程をさらに有することを特徴とする、請求項11に記載の離型剤処理方法。
【請求項13】
前記離型剤成膜工程は、
前記テンプレートの表面を洗浄する工程と、
その後、前記洗浄されたテンプレートの表面に液体状の離型剤を供給し、当該離型剤を塗布する工程と、
その後、前記塗布された離型剤を焼成する工程と、
その後、前記焼成された離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去する工程と、を有することを特徴とする、請求項11又は12に記載の離型剤処理方法。
【請求項14】
前記離型剤成膜工程は、
前記テンプレートの表面を洗浄する工程と、
その後、前記洗浄されたテンプレートの表面に気体状の離型剤を供給し、当該離型剤を塗布する工程と、
その後、前記塗布された離型剤を焼成する工程と、を有することを特徴とする、請求項11又は12に記載の離型剤処理方法。
【請求項15】
複数の前記テンプレートは、一のホルダーに保持されていることを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の離型剤処理方法。
【請求項16】
請求項11〜15のいずれかに記載の離型剤処理方法をテンプレート処理装置によって実行させるために、当該テンプレート処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項17】
請求項16に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公開番号】特開2011−5695(P2011−5695A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149888(P2009−149888)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】