テープ貼付装置及びテープ貼付方法
【課題】テープを貼り付ける際のウェハへの負荷を低減し、ウェハの破損や損傷を防止する。
【解決手段】内部に気密空間5を有するチャンバ6と、気密空間5を第1及び第2の気密空間7、8に仕切り、上面にウェハ9が載置されるゴムシート10と、ゴムシート10の上方でテープ11を保持するテープフレーム12と、第1及び第2の気密空間7、8の加圧及び減圧を切り替える第1及び第2の給排気管13、14とを備え、第1及び第2の気密空間7、8を真空状態とした後、第2の気密空間8を加圧してゴムシート10を膨張させ、ウェハ9を押し上げてテープ11に貼り付けるテープ貼付装置であって、ウェハ9の押し上げに際し、第2の気密空間8の加圧量を制御してゴムシート10の膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、ウェハ9をテープ11に貼り付けるテープ貼付装置1。
【解決手段】内部に気密空間5を有するチャンバ6と、気密空間5を第1及び第2の気密空間7、8に仕切り、上面にウェハ9が載置されるゴムシート10と、ゴムシート10の上方でテープ11を保持するテープフレーム12と、第1及び第2の気密空間7、8の加圧及び減圧を切り替える第1及び第2の給排気管13、14とを備え、第1及び第2の気密空間7、8を真空状態とした後、第2の気密空間8を加圧してゴムシート10を膨張させ、ウェハ9を押し上げてテープ11に貼り付けるテープ貼付装置であって、ウェハ9の押し上げに際し、第2の気密空間8の加圧量を制御してゴムシート10の膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、ウェハ9をテープ11に貼り付けるテープ貼付装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハへのダイシング用テープの貼り付け等に用いるテープ貼付装置及びテープ貼付方法に関し、特に、低剛性の貼付対象物にテープを貼り付けるのに適した装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程で半導体ウェハにダイシング用テープを貼り付ける際には、例えば、図17に示すように、基台41上にウェハ42を載置し、表面にゴムが貼着されたローラー44や、円筒状のブロック等でテープ43を上方から押圧して貼り付けていた。しかし、この方法は、大気中での作業となるため、ウェハ42とテープ43の間に空気が混入し易く、その状態でダイシング(チップ分割)を行うと、チップに割れや欠けが生じるという問題があった。
【0003】
そこで、真空環境下でテープを貼り付ける貼付装置が提案され、例えば、特許文献1には、図18に示すように、内部に気密空間51を有するチャンバ52と、気密空間51を第1及び第2の気密空間53、54に仕切り、上面にウェハ55が載置されるゴムシート56と、ゴムシート56の上方でテープ57を保持するフレーム台58と、第1及び第2の気密空間53、54を真空/大気状態に切り替える第1及び第2の空気流路59、60とを備えたテープ貼付装置50が記載されている。
【0004】
テープ貼付装置50では、第1及び第2の気密空間53、54を真空状態とした後、第2の気密空間54のみを大気圧に切り替え、第1及び第2の気密空間53、54の間で差圧を生じさせる。これにより、ゴムシート56を膨張させてウェハ55を押し上げ、テープ57の接着面(裏面)にウェハ55を当接させる。このテープ貼付装置50によれば、真空環境下でテープ57とウェハ55を貼り合わせることができ、両者の間に空気が混入するのを防止することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4143488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、特許文献1に記載のテープ貼付装置によれば、ウェハとテープの間への空気の混入を防止することができるが、近年、そうした能力に加えて、テープの貼り付け時に加わるウェハへの負荷を低減し得る貼付装置が要望されている。
【0007】
すなわち、電子機器の小型化等に伴い、回路の微細化が進んだ超薄型の半導体チップが普及しており、当然、その元となるウェハにおいても急速な薄型化が進んでいる。こうした薄型のウェハは、元々の強度が低いのに加え、反りが生じ易いため、上下からの押圧や衝撃に対して極めて弱く、テープの貼り付け時に割れや欠けが生じる虞がある。また、センサ用のチップの場合には、脆い構造物(例えば、光を反射する超小型ミラー等)が搭載されることがあり、この場合も、テープの貼り付け時に構造物の破損を招く虞があるため、慎重な取り扱いが要求される。
【0008】
こうした問題は、ウェハにテープを貼り付ける場合に限らず、例えば、超薄型のガラス板にテープを貼り付ける場合等、低剛性の貼付対象物にテープを貼り付ける場合であれば、概ね同様に生じ得る。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、低剛性の貼付対象物にテープを貼り付けるにあたり、貼付対象物への負荷を低減し、貼付対象物の破損や損傷を防止することが可能なテープ貼付装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備え、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付装置であって、前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明によれば、貼付対象物をテープに貼り付けるにあたり、弾性シートの膨張速度を低速から高速へ段階的に変化させながら貼り付けるため、貼付対象物への負荷を最小限に抑えた状態で貼り付けることができる。このため、低剛性の貼付対象物であっても、貼付対象物の破損や損傷を防止しつつ、テープを貼り付けることが可能になる。
【0012】
上記テープ貼付装置において、前記テープ貼付対象物と前記テープの当接面積が所定量に達するまで、破損しない押し付け圧で該テープ貼付対象物を前記テープに押し付け可能な第1の速度によって前記弾性シートを膨張させ、その後、該弾性シートの膨張速度を前記第1の速度よりも速い第2の速度に切り替え、前記テープ貼付対象物の貼付面の全体を前記テープに当接させることができる。
【0013】
上記テープ貼付装置において、前記第1の速度で弾性シートを膨張させるのに先立ち、該第1の速度よりも遅い第3の速度で前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物の中心部を前記テープに当接させることができる。
【0014】
上記テープ貼付装置において、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、該第1の気密空間の真空状態を維持したまま該第2の気密空間を閉塞することで、前記第3の速度で前記弾性シートを膨張させることができる。
【0015】
上記テープ貼付装置において、前記第2の速度で弾性シートを膨張させる際に、前記テープ貼付対象物と前記テープが当接した状態で、これらを押し上げ、前記気密空間の天井面に押し当てることができる。
【0016】
上記テープ貼付装置において、前記弾性シートの下面と前記気密空間の底面との間に設けられ、前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口の周辺に配置されたスペーサを備えることができる。
【0017】
上記テープ貼付装置において、前記スペーサが複数設けられ、該複数のスペーサを前記吸気口を中心とした十字状又は放射状に配置することができる。
【0018】
上記テープ貼付装置において、前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口にメッシュ蓋を付設することができる。
【0019】
上記テープ貼付装置において、前記テープの接着面にUV硬化樹脂製の接着剤が塗布され、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とする際に、該第1の気密空間に断続的に窒素を供給することができる。
【0020】
また、本発明は、内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備えたテープ貼付装置を用い、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付方法であって、前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けることを特徴とする。本発明によれば、前記発明と同様に、貼付対象物への負荷を最小限に抑えた状態で貼り付けることができ、貼付対象物の破損や損傷を防止しつつ、テープを貼り付けることが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、低剛性の貼付対象物にテープを貼り付けるにあたり、貼付対象物への負荷を低減し、貼付対象物の破損や損傷を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかるテープ貼付装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の第2の給排気管の開口部を示す拡大図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図3】図1のスペーサを示す拡大図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図4】図1のゴムシート及び押さえリングを示す拡大図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B線における押さえリングの断面図である。
【図5】図1のテープ貼付装置を用いたテープ貼付方法の手順を示すメインフローチャートである。
【図6】第1及び第2の気密空間の圧力遷移の状態を示す図である。
【図7】テープを貼り付ける際の工程図であり、真空引き工程を示す図である。
【図8】テープを貼り付ける際の工程図であり、窒素注入工程を示す図である。
【図9】真空引き工程時の窒素注入手順を示すサブフローチャートである。
【図10】テープを貼り付ける際の工程図であり、低速貼付工程を示す図である。
【図11】テープを貼り付ける際の工程図であり、中速貼付工程を示す図である。
【図12】テープを貼り付ける際の工程図であり、高速貼付工程を示す図である。
【図13】テープを貼り付ける際の工程図であり、安定化工程を示す図である。
【図14】テープを貼り付ける際の工程図であり、ゴム収縮工程を示す図である。
【図15】テープを貼り付ける際の工程図であり、ゴム平坦化工程を示す図である。
【図16】図4のスペーサの作用効果を説明するための図であり、(a)はスペーサを設けない場合、(b)はスペーサを設けた場合の図である。
【図17】従来のテープ貼付方法の一例を示す図である。
【図18】従来のテープ貼付方法の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、本発明にかかるテープ貼付装置を、半導体ウェハへのダイシング用テープの貼り付けに適用した場合を例にとって説明する。
【0024】
図1は、本発明にかかるテープ貼付装置の一実施の形態を示し、このテープ貼付装置1は、大別して、装置本体2と、装置本体2に空気(クリーンエア)及び窒素を供給したり、装置本体2から空気等を吸引する給排気機構3と、空気等の給排タイミングを制御する制御部4とで構成される。
【0025】
装置本体2は、貼付操作を行うための装置であり、円筒状に形成される。この装置本体2は、内部に気密空間5を有するチャンバ(容器)6と、気密空間5を第1の気密空間7と第2の気密空間8とに仕切り、上面に円板状のウェハ9が載置されるゴムシート10と、ゴムシート10の上方でテープ11を保持するテープフレーム12と、第1の気密空間7に窒素を供給したり、第1の気密空間7から空気を吸引するための第1の給排気管13と、第2の気密空間8に空気を供給したり、第2の気密空間8から空気を吸引するための第2の給排気管14と、気密空間5の真空度を検出する真空度センサ15等を備える。
【0026】
チャンバ6は、2つ割りに形成された上側チャンバ(上蓋)6a及び下側チャンバ(基台)6bから構成され、上側チャンバ6aの内側には、上方に向けて窪む凹部が形成される。上側及び下側チャンバ6a、6bの間には、気密空間5の気密性を確保するためのシールリング16が配置される。
【0027】
下側チャンバ6bの内部には、上述の第1及び第2の給排気管13、14が敷設され、これらの管のうち、第2の給排気管14の開口部には、図2に示すように、多数の小孔が穿設されたメッシュ蓋14aが付設される。
【0028】
また、下側チャンバ6bの上面には、図1に示すように、所定の高さを有する複数のスペーサ17が形成され、これらスペーサ17は、図3に示すように、第2の給排気管14の開口部を中心とした十字状に配置される。
【0029】
さらに、下側チャンバ6bの上面には、図1に示すように、伸縮自在なゴムシート10が設置される。ゴムシート10は、例えば、クロロプレンゴムやエチレンプロピレンゴム等の気体遮断性に優れた弾性体によって形成することが好ましい。尚、ゴムシート10の損傷を防止するため、スペーサ17も、ゴムシート10と同様の材料によって形成することが好ましい。
【0030】
ゴムシート10の周縁部上には、図4に示すように、上面視円環状の押さえリング18が設置され、押さえリング18が下側チャンバ6bにねじ止めされることによって、ゴムシート10が固定される。押さえリング18には、複数の溝19が形成され、これらの溝19によって、押さえリング18の内側空間7aと外側空間7bとが連通される。尚、溝19は、後述するテープフレーム12に形成してもよいし、押さえリング18及びテープフレーム12の双方に形成してもよい。
【0031】
押さえリング18の上面には、図1に示すように、上面視円環状のテープフレーム12が載置される。テープフレーム12の上面には、UV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の接着剤が裏面に塗布されたテープ11が貼り付けられる。テープ11は、一定の張りが与えられた状態で貼着され、これにより、テープ11の歪みや皺が防止される。
【0032】
尚、テープ11の取り付けは、テープフレーム12の上面への貼り付けに限らず、2枚のフレームによってテープ11を表裏から挟み込むようにしてもよく、テープ11に歪みや皺を生じさせないものであれば如何なる態様でもよい。
【0033】
給排気機構3は、窒素を供給する窒素供給源21と、空気を供給する空気供給源22と、空気や窒素を吸引する真空ポンプ23と、窒素供給源21及び真空ポンプ23と第1の給排気管13との間に設置される第1の電磁弁24と、空気供給源22及び真空ポンプ23と第2の給排気管14との間に設置される第2の電磁弁26と、第2の電磁弁26と空気供給源22の間に設置される第3の電磁弁27と、第2の電磁弁26と第3の電磁弁27との間に設置される流量制御弁28から構成される。
【0034】
第1の電磁弁24は、第1の給排気管13を窒素供給源21又は真空ポンプ23に選択的に接続するために備えられ、第2の電磁弁26は、第2の給排気管14を第3の電磁弁27又は真空ポンプ23に選択的に接続するために備えられる。また、第3の電磁弁27は、第2の給排気管14を流量制御弁28又は空気供給源22に選択的に接続するために備えられ、流量制御弁28は、空気の流量を制限するために備えられる。
【0035】
制御部4は、真空度センサ15の出力や内蔵するタイマ4aの出力に応じて第1〜第3の電磁弁24、26、27の動作を制御し、装置本体2の第1及び第2の気密空間7、8の加圧/減圧を制御するために備えられる。
【0036】
次に、上記構成を有するテープ貼付装置1を用いた貼付方法について、図1〜図15を参照しながら説明する。尚、ここでは、テープ11の接着剤にUV硬化性樹脂を用いた場合を例にとって説明する。
【0037】
先ず、図1において、第2の電磁弁26を真空ポンプ23側に開いて第2の気密空間(ゴムシート10の下方に位置する気密空間)8を減圧雰囲気化し、その状態で、上側チャンバ6aを開き、ウェハ9をゴムシート10の上面中央に載置する。次いで、テープ11の裏面(接着面)をテープフレーム12の上面に貼り付けるとともに、テープ11を貼り付けたテープフレーム12を押さえリング18上に載置する。
【0038】
上側チャンバ6aを閉じた後、図7に示すように、第1の電磁弁24を真空ポンプ23側に開き、第1の給排気管13を真空ポンプ23に接続する。これにより、第1の気密空間(ゴムシート10の上方に位置する気密空間)7から空気を吸引し、減圧雰囲気化する(図5のステップS1)。
【0039】
このとき、図8に示すように、第1の電磁弁24を断続的に窒素供給源21側に開き、第1の気密空間7に窒素を注入する。これは、第1の気密空間7の酸素濃度を低下させ、酸素濃度が低い環境下で貼付作業を進めるためのものである。
【0040】
すなわち、UV硬化性樹脂は、嫌気性が強く、酸素濃度が高い環境下で貼り合わせると、硬化作用が低下するため、後の工程で紫外線を照射した際に、未硬化のUV硬化性樹脂が残存するようになる。その場合、ダイシング後のウェハ9(チップ)をテープ11から剥がす際に、チップが剥がれ難くなるため、上記のように、第1の気密空間7に窒素を注入して酸素濃度を低下させ、UV硬化性樹脂の硬化作用の低下を防止する。
【0041】
窒素注入の作業は、図9に示すように行うことができ、具体的には、第1の気密空間7から空気を吸引した状態で第1の気密空間7の真空度が第1の設定真空度に達したら、第1の給排気管13を窒素供給源21に接続し、第1の気密空間7に窒素を注入する(ステップS11〜S13)。そして、第1の気密空間7の真空度が第2の設定真空度に達するまで窒素を注入し続け、第2の設定真空度に達した時点で窒素の注入回数が設定回数に達したか否かを判別する(ステップS14〜S15)。判別の結果、設定回数に達していれば、改めて真空引きを行って窒素を吸引し(ステップS16)、第1の気密空間7の残留酸素濃度を1%以下とした状態で同空間7を減圧雰囲気化する。ここで、第1の設定真空度、第2の設定真空度及び設定回数は、任意に設定することができる。
【0042】
尚、窒素注入の工程は、上記の通り、UV硬化性樹脂の特性に配慮したものであるため、UV硬化樹脂以外の接着剤を用いる場合には省略することができる。
【0043】
次いで、図10に示すように、第1の気密空間7の真空圧を保持した状態で、第2の電磁弁26を閉じて第2の給排気管14を閉塞し、第2の気密空間8を密閉する。この際、第2の気密空間8では、自然リークが発生して若干の空気が流れ込むため、第1及び第2の気密空間7、8の間に僅かな差圧が発生する。
【0044】
その結果、ゴムシート10が緩やかに膨らみ、ゴムシート10上のウェハ9をゆっくりと押し上げる。こうした低速での押し上げにより、ウェハ9をテープ11の接着面に当接させ(図5のステップS2)、ウェハ9の中心が最初にテープ11と接触するようにする。
【0045】
すなわち、ウェハ9をゴムシート10のような不安定な土台に載置させる場合、高速で押し上げると、ウェハ9の姿勢が乱れて傾いたり、ウェハ9がゴムシート10上で滑って位置が変位し易くなるが、ゆっくりと押し上げることによって、ウェハ9の姿勢や位置を不動に保ったまま、ウェハ9をテープ11と接触させることができ、確実にウェハ9の中心から貼り付けを行うことが可能になる。
【0046】
次に、図11に示すように、第2の電磁弁26を空気供給源22側に開くとともに、第3の電磁弁27を流量制御弁28側に開き、流量を制限した状態で空気を第2の給排気管14に供給する。これにより、第2の気密空間8を加圧雰囲気とし、第1及び第2の気密空間7、8の間の差圧を大きくして、ゴムシート10の膨張速度を低速から中速に変化させる(図5のステップS3)。
【0047】
この中速貼付は、後述の高速貼付と比較すると、ゴムシート10の膨張速度が遅く、ウェハ9の押し上げ圧が低いものであり、本工程では、テープ11へのウェハ9の押し付けを低圧で行うことで、ウェハ9に過大な負荷を掛けずに、テープ11とウェハ9の貼着領域を拡げていく。
【0048】
ウェハ9がテープ11に当接した部分では、テープ11がウェハ9に貼り付いてウェハ9を補強するため、ウェハ9の割れや欠けが抑制されるようになる。本工程は、ウェハ9への負荷を最小限に抑えながら、上記のような補強される領域を拡げるためのものであり、ウェハ9とともにテープ11及びテープフレーム12を押し上げ、例えば、ウェハ9の上面の5割〜7割程度をテープ11に当接させる。
【0049】
尚、中速貼付時のゴムシート10の膨張速度(膨張圧)は、ウェハ9を破損させない押し付け圧でテープ11に押し付け可能な速度(膨張圧)に設定される。但し、破損しない押し付け圧は、ウェハ9の厚さや形状(反りの具合)等によって異なるため、実運転時の速度は、使用するウェハ9の状態に応じて適宜定める。
【0050】
そして、貼着領域がウェハ上面の5割〜7割程度に達し、ウェハ9の割れや欠けの危険性が低くなった段階で、図12に示すように、第3の電磁弁27を空気供給源22側に開き、第1及び第2の気密空間7、8の間の差圧をさらに大きくする。これにより、ゴムシート10の膨張速度を中速から高速に変化させ(図5のステップS4)、テープ11へのウェハ9の押し付け圧を増加させる。この高速貼付により、ウェハ9の上面全体をテープ11に貼り付ける。
【0051】
また、高速貼付に際しては、テープ11及びウェハ9を上側チャンバ6aの天井面に押し当て、ウェハ9の反りを矯正するとともに、ウェハ9とテープ11の密着性を高める。このとき、テープ11がウェハ9の上面を保護する保護部材として機能するため、ウェハ9の表面が損傷することはない。
【0052】
上記の低速貼付、中速貼付及び高速貼付の切り替えは、自動制御により行うことができ、例えば、制御部4に内蔵するタイマ4aを利用し、時間経過に応じて切り替えるように構成することができる。
【0053】
次に、図13に示すように、第1及び第2の電磁弁24、26を閉じて第1及び第2の給排気管13、14を閉塞し、第1及び第2の気密空間7、8を密閉する。こうして、ウェハ9をテープ11に押し付けた状態を所定の時間に亘って維持し、テープ11とウェハ9の接着を安定させる(図5のステップS5)。
【0054】
次いで、図14に示すように、第2の電磁弁26を閉じたままで、第1の電磁弁24を窒素供給源21側に開き、第1の気密空間7に窒素を供給する。これにより、低速でゴムシート10を収縮させ、テープ11、ウェハ9及びテープフレーム12を緩やかに下降させる(図5のステップS6)。
【0055】
そして、テープフレーム12が押さえリング18に当接した後も、低速でのゴムシート10の収縮を継続して、ゴムシート10をウェハ9の下面から緩やかに剥離する。これにより、ゴムシート10の剥離時に、ウェハ9に大きな引っ張り荷重が加わるのを防止する。
【0056】
次に、図15に示すように、第2の電磁弁26を真空ポンプ23側に開き、第2の気密空間8から空気を吸引する。これにより、高速でゴムシート10を収縮させ、平坦化させる(図5のステップS7)。最後に、上側チャンバ6aを開いて、ウェハ9が貼り付いた状態のテープ11をテープフレーム12とともに取り出し、作業が完了する。
【0057】
以上のように、本実施の形態によれば、ウェハ9をテープ11に貼り付けるにあたり、ゴムシート10の膨張速度を低速から高速へ段階的に切り替えながら貼り付けるため(図5のステップS2〜S4)、ウェハ9への負荷を最小限に抑えた状態で貼り付けることができる。このため、低剛性のウェハ9であっても、ウェハ9の破損や損傷を防止しつつ、テープ11を貼り付けることが可能になる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、低速貼付を行い、ウェハ9の中心を最初にテープ11と接触させるため、以後の中速貼付及び高速貼付において、ウェハ9の中心から外周に向けて順番に貼着していくことができる。このため、ウェハ9とテープ11の間に空気が存在した場合でも、空気を外側に逃がしながらウェハ9をテープ11に貼り付けていくことができ、両者の間に空気が混入するのを防止することが可能になる。
【0059】
さらに、本実施の形態によれば、図3に示すように、第2の給排気管14の開口部を中心として十字状に配置された複数のスペーサ17を下側チャンバ6bの上面に形成するため、第2の気密空間8を減圧雰囲気とする際に、空気が残留するのを防止することが可能になる。
【0060】
すなわち、スペーサ17を設けない場合には、図16(a)に示すように、第2の給排気管14を通じて空気を吸引する際に、ゴムシート10が第2の給排気管14に吸い込まれ、第2の給排気管14の開口部が閉塞される。その結果、第2の気密空間8から空気を吸引できなくなり、空気が残存するようになる。
【0061】
こうした状態が、例えば、図5のステップS1の真空引き時に発生すると、第2の気密空間8が第1の気密空間7に対して正圧となり、ゴムシート10を完全に平坦化できなくなる。また、その状態で図5のステップS2の低速貼付工程に移行すると、第2の気密空間8が第1の気密空間7に対して正圧となっていることから、第2の気密空間8の空気吸引を解除した途端、ゴムシート10が比較的に速い速度で膨張し始め、意図するよりも高速でウェハ9が押し上げられるようになる。このことは、図5のステップS3の中速貼付工程に移行した際にも同様に生じ、テープ11へのウェハ9の押し付け圧を適切に制御できなくなる。
【0062】
これに対し、スペーサ17を設けた場合には、図16(b)に示すように、第2の給排気管14を通じて空気を吸引しても、ゴムシート10がスペーサ17に当接し、第2の給排気管14への吸い込みが妨げられる。このとき、第2の気密空間8内の空気は、図3の矢印Dに示すように、隣り合うスペーサ17の合間から第2の給排気管14に流入するため、スペーサ17によって第2の気密空間8からの空気吸引が妨げられることもない。
【0063】
このように、スペーサ17を設けることで、図5のステップS1の真空引き時に第2の気密空間8に空気が残留するのを防止することができ、以後のステップS2、S3の工程において、ウェハ9の押し上げ速度や、テープ11へのウェハ9の押し付け圧を適切に制御することが可能になる。
【0064】
尚、スペーサ17の高さは、特に限定されるものでなく、第2の気密空間8からの空気吸引圧やゴムシート10の材質に応じて適宜定めることができる。また、スペーサ17の配置形状は、十字状に限定されるものでなく、例えば、第2の給排気管14の開口部を中心とした放射状等の他の形状とすることもでき、さらには、特に規則性を持たせることなく、第2の給排気管14の開口部の周辺に複数のスペーサ17を離散的に配置するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施の形態によれば、図2に示すように、第2の給排気管14の開口部にメッシュ蓋14aを付設するため、第2の給排気管14へのゴムシート10の吸い込みを防止しながら、空気吸引時の有効断面積(第2の給排気管14の径)を拡大することが可能になる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0067】
例えば、上記実施の形態においては、本発明にかかるテープ貼付装置を半導体ウェハへのダイシング用テープの貼り付けに適用した場合を例示したが、本発明は、例えば、ガラス板に保護用テープを貼り付ける場合等、実施形態で例示した場合以外にも広く適用することが可能である。
【0068】
また、上記実施の形態においては、低速貼付、中速貼付及び高速貼付の三段階の速度切り替えでウェハ9をテープ11に貼り付けるが、十分な厚みを有するウェハ9の場合や、ゴムシート10の材質が滑り難いものである場合には、低速貼付を省略し、中速貼付から操作を始めるようにしてもよい。
【0069】
さらに、上記実施の形態においては、低速貼付に際し、第2の気密空間8側の自然リークを利用してゴムシート10をゆっくり膨張させるが、必ずしも自然リークを利用する必要はなく、中速貼付時よりも少量の空気を第2の気密空間8に供給することで、ゴムシート10の膨張速度を低速化してもよい。
【0070】
また、上記実施の形態においては、第1及び第2の気密空間7、8に気体を供給する供給源として窒素供給源21及び空気供給源22を備えるが、第1及び第2の気密空間7、8に供給する気体は、第1及び第2の気密空間7、8の加圧及び減圧を行い得るものであれば足り、窒素、空気以外の気体であってもよい。
【0071】
さらに、上記実施の形態においては、半導体ウェハの一般形状に合わせて、装置本体2、ゴムシート10及びテープフレーム12が、各々、円筒状、円状及び円環状に形成されるが、装置本体2等の形状は、これらに限られるものではなく、例えば、矩形状等の他の形状を採ることもできる。
【0072】
また、上記実施の形態においては、第1及び第2の気密空間7、8のいずれでも、気体を供給する供給口と吸引する吸引口とを共有化しているが、これらは別個に設けるようにしてもよい。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0074】
(付記1)内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備え、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付装置であって、前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けるテープ貼付装置。
【0075】
(付記2)前記テープ貼付対象物と前記テープの当接面積が所定量に達するまで、破損しない押し付け圧で該テープ貼付対象物を前記テープに押し付け可能な第1の速度によって前記弾性シートを膨張させ、その後、該弾性シートの膨張速度を前記第1の速度よりも速い第2の速度に切り替え、前記テープ貼付対象物の貼付面の全体を前記テープに当接させる付記1に記載のテープ貼付装置。
【0076】
(付記3)前記第1の速度で弾性シートを膨張させるのに先立ち、該第1の速度よりも遅い第3の速度で前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物の中心部を前記テープに当接させる付記2に記載のテープ貼付装置。
【0077】
(付記4)前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、該第1の気密空間の真空状態を維持したまま該第2の気密空間を閉塞することで、前記第3の速度で前記弾性シートを膨張させる付記3に記載のテープ貼付装置。
【0078】
(付記5)前記第2の速度で弾性シートを膨張させる際に、前記テープ貼付対象物と前記テープが当接した状態で、これらを押し上げ、前記気密空間の天井面に押し当てる付記2、3又は4に記載のテープ貼付装置。
【0079】
(付記6)前記弾性シートの下面と前記気密空間の底面との間に設けられ、前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口の周辺に配置されたスペーサを備える付記1乃至5のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【0080】
(付記7)前記スペーサが複数設けられ、該複数のスペーサが前記吸気口を中心とした十字状又は放射状に配置される付記6に記載のテープ貼付装置。
【0081】
(付記8)前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口にメッシュ蓋を付設した付記1乃至7のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【0082】
(付記9)前記テープの接着面にUV硬化樹脂製の接着剤が塗布され、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とする際に、該第1の気密空間に断続的に窒素を供給する付記1乃至8のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【0083】
(付記10)内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備えたテープ貼付装置を用い、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付方法であって、前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けるテープ貼付方法。
【0084】
(付記11)前記テープ貼付対象物と前記テープの当接面積が所定量に達するまで、破損しない押し付け圧で該テープ貼付対象物を前記テープに押し付け可能な第1の速度によって前記弾性シートを膨張させ、その後、該弾性シートの膨張速度を前記第1の速度よりも速い第2の速度に切り替え、前記テープ貼付対象物の貼付面の全体を前記テープに当接させる付記10に記載のテープ貼付方法。
【0085】
(付記12)前記第1の速度で弾性シートを膨張させるのに先立ち、該第1の速度よりも遅い第3の速度で前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物の中心部を前記テープに当接させる付記11に記載のテープ貼付方法。
【0086】
(付記13)前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、該第1の気密空間の真空状態を維持したまま該第2の気密空間を閉塞することで、前記第3の速度で前記弾性シートを膨張させる付記12に記載のテープ貼付方法。
【0087】
(付記14)前記第2の速度で弾性シートを膨張させる際に、前記テープ貼付対象物と前記テープが当接した状態で、これらを押し上げ、前記気密空間の天井面に押し当てる付記11、12又は13に記載のテープ貼付方法。
【0088】
(付記15)前記テープの接着面にUV硬化樹脂製の接着剤が塗布され、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とする際に、該第1の気密空間に断続的に窒素を供給する付記10乃至14のいずれかに記載のテープ貼付方法。
【符号の説明】
【0089】
1 テープ貼付装置
2 装置本体
3 給排気機構
4 制御部
4a タイマ
5 気密空間
6 チャンバ
6a 上側チャンバ
6b 下側チャンバ
7 第1の気密空間
7a 押さえリングの内側空間
7b 押さえリングの外側空間
8 第2の気密空間
9 半導体ウェハ
10 ゴムシート
11 ダイシング用テープ
12 テープフレーム
13 第1の給排気管
14 第2の給排気管
14a メッシュ蓋
15 真空度センサ
16 シールリング
17 スペーサ
18 押さえリング
19 溝
21 窒素供給源
22 空気供給源
23 真空ポンプ
24 第1の電磁弁
26 第2の電磁弁
27 第3の電磁弁
28 流量制御弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハへのダイシング用テープの貼り付け等に用いるテープ貼付装置及びテープ貼付方法に関し、特に、低剛性の貼付対象物にテープを貼り付けるのに適した装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程で半導体ウェハにダイシング用テープを貼り付ける際には、例えば、図17に示すように、基台41上にウェハ42を載置し、表面にゴムが貼着されたローラー44や、円筒状のブロック等でテープ43を上方から押圧して貼り付けていた。しかし、この方法は、大気中での作業となるため、ウェハ42とテープ43の間に空気が混入し易く、その状態でダイシング(チップ分割)を行うと、チップに割れや欠けが生じるという問題があった。
【0003】
そこで、真空環境下でテープを貼り付ける貼付装置が提案され、例えば、特許文献1には、図18に示すように、内部に気密空間51を有するチャンバ52と、気密空間51を第1及び第2の気密空間53、54に仕切り、上面にウェハ55が載置されるゴムシート56と、ゴムシート56の上方でテープ57を保持するフレーム台58と、第1及び第2の気密空間53、54を真空/大気状態に切り替える第1及び第2の空気流路59、60とを備えたテープ貼付装置50が記載されている。
【0004】
テープ貼付装置50では、第1及び第2の気密空間53、54を真空状態とした後、第2の気密空間54のみを大気圧に切り替え、第1及び第2の気密空間53、54の間で差圧を生じさせる。これにより、ゴムシート56を膨張させてウェハ55を押し上げ、テープ57の接着面(裏面)にウェハ55を当接させる。このテープ貼付装置50によれば、真空環境下でテープ57とウェハ55を貼り合わせることができ、両者の間に空気が混入するのを防止することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4143488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、特許文献1に記載のテープ貼付装置によれば、ウェハとテープの間への空気の混入を防止することができるが、近年、そうした能力に加えて、テープの貼り付け時に加わるウェハへの負荷を低減し得る貼付装置が要望されている。
【0007】
すなわち、電子機器の小型化等に伴い、回路の微細化が進んだ超薄型の半導体チップが普及しており、当然、その元となるウェハにおいても急速な薄型化が進んでいる。こうした薄型のウェハは、元々の強度が低いのに加え、反りが生じ易いため、上下からの押圧や衝撃に対して極めて弱く、テープの貼り付け時に割れや欠けが生じる虞がある。また、センサ用のチップの場合には、脆い構造物(例えば、光を反射する超小型ミラー等)が搭載されることがあり、この場合も、テープの貼り付け時に構造物の破損を招く虞があるため、慎重な取り扱いが要求される。
【0008】
こうした問題は、ウェハにテープを貼り付ける場合に限らず、例えば、超薄型のガラス板にテープを貼り付ける場合等、低剛性の貼付対象物にテープを貼り付ける場合であれば、概ね同様に生じ得る。
【0009】
そこで、本発明は、上記従来の技術における問題点に鑑みてなされたものであって、低剛性の貼付対象物にテープを貼り付けるにあたり、貼付対象物への負荷を低減し、貼付対象物の破損や損傷を防止することが可能なテープ貼付装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備え、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付装置であって、前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明によれば、貼付対象物をテープに貼り付けるにあたり、弾性シートの膨張速度を低速から高速へ段階的に変化させながら貼り付けるため、貼付対象物への負荷を最小限に抑えた状態で貼り付けることができる。このため、低剛性の貼付対象物であっても、貼付対象物の破損や損傷を防止しつつ、テープを貼り付けることが可能になる。
【0012】
上記テープ貼付装置において、前記テープ貼付対象物と前記テープの当接面積が所定量に達するまで、破損しない押し付け圧で該テープ貼付対象物を前記テープに押し付け可能な第1の速度によって前記弾性シートを膨張させ、その後、該弾性シートの膨張速度を前記第1の速度よりも速い第2の速度に切り替え、前記テープ貼付対象物の貼付面の全体を前記テープに当接させることができる。
【0013】
上記テープ貼付装置において、前記第1の速度で弾性シートを膨張させるのに先立ち、該第1の速度よりも遅い第3の速度で前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物の中心部を前記テープに当接させることができる。
【0014】
上記テープ貼付装置において、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、該第1の気密空間の真空状態を維持したまま該第2の気密空間を閉塞することで、前記第3の速度で前記弾性シートを膨張させることができる。
【0015】
上記テープ貼付装置において、前記第2の速度で弾性シートを膨張させる際に、前記テープ貼付対象物と前記テープが当接した状態で、これらを押し上げ、前記気密空間の天井面に押し当てることができる。
【0016】
上記テープ貼付装置において、前記弾性シートの下面と前記気密空間の底面との間に設けられ、前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口の周辺に配置されたスペーサを備えることができる。
【0017】
上記テープ貼付装置において、前記スペーサが複数設けられ、該複数のスペーサを前記吸気口を中心とした十字状又は放射状に配置することができる。
【0018】
上記テープ貼付装置において、前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口にメッシュ蓋を付設することができる。
【0019】
上記テープ貼付装置において、前記テープの接着面にUV硬化樹脂製の接着剤が塗布され、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とする際に、該第1の気密空間に断続的に窒素を供給することができる。
【0020】
また、本発明は、内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備えたテープ貼付装置を用い、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付方法であって、前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けることを特徴とする。本発明によれば、前記発明と同様に、貼付対象物への負荷を最小限に抑えた状態で貼り付けることができ、貼付対象物の破損や損傷を防止しつつ、テープを貼り付けることが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、低剛性の貼付対象物にテープを貼り付けるにあたり、貼付対象物への負荷を低減し、貼付対象物の破損や損傷を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかるテープ貼付装置の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の第2の給排気管の開口部を示す拡大図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図3】図1のスペーサを示す拡大図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図4】図1のゴムシート及び押さえリングを示す拡大図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のB−B線における押さえリングの断面図である。
【図5】図1のテープ貼付装置を用いたテープ貼付方法の手順を示すメインフローチャートである。
【図6】第1及び第2の気密空間の圧力遷移の状態を示す図である。
【図7】テープを貼り付ける際の工程図であり、真空引き工程を示す図である。
【図8】テープを貼り付ける際の工程図であり、窒素注入工程を示す図である。
【図9】真空引き工程時の窒素注入手順を示すサブフローチャートである。
【図10】テープを貼り付ける際の工程図であり、低速貼付工程を示す図である。
【図11】テープを貼り付ける際の工程図であり、中速貼付工程を示す図である。
【図12】テープを貼り付ける際の工程図であり、高速貼付工程を示す図である。
【図13】テープを貼り付ける際の工程図であり、安定化工程を示す図である。
【図14】テープを貼り付ける際の工程図であり、ゴム収縮工程を示す図である。
【図15】テープを貼り付ける際の工程図であり、ゴム平坦化工程を示す図である。
【図16】図4のスペーサの作用効果を説明するための図であり、(a)はスペーサを設けない場合、(b)はスペーサを設けた場合の図である。
【図17】従来のテープ貼付方法の一例を示す図である。
【図18】従来のテープ貼付方法の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、本発明にかかるテープ貼付装置を、半導体ウェハへのダイシング用テープの貼り付けに適用した場合を例にとって説明する。
【0024】
図1は、本発明にかかるテープ貼付装置の一実施の形態を示し、このテープ貼付装置1は、大別して、装置本体2と、装置本体2に空気(クリーンエア)及び窒素を供給したり、装置本体2から空気等を吸引する給排気機構3と、空気等の給排タイミングを制御する制御部4とで構成される。
【0025】
装置本体2は、貼付操作を行うための装置であり、円筒状に形成される。この装置本体2は、内部に気密空間5を有するチャンバ(容器)6と、気密空間5を第1の気密空間7と第2の気密空間8とに仕切り、上面に円板状のウェハ9が載置されるゴムシート10と、ゴムシート10の上方でテープ11を保持するテープフレーム12と、第1の気密空間7に窒素を供給したり、第1の気密空間7から空気を吸引するための第1の給排気管13と、第2の気密空間8に空気を供給したり、第2の気密空間8から空気を吸引するための第2の給排気管14と、気密空間5の真空度を検出する真空度センサ15等を備える。
【0026】
チャンバ6は、2つ割りに形成された上側チャンバ(上蓋)6a及び下側チャンバ(基台)6bから構成され、上側チャンバ6aの内側には、上方に向けて窪む凹部が形成される。上側及び下側チャンバ6a、6bの間には、気密空間5の気密性を確保するためのシールリング16が配置される。
【0027】
下側チャンバ6bの内部には、上述の第1及び第2の給排気管13、14が敷設され、これらの管のうち、第2の給排気管14の開口部には、図2に示すように、多数の小孔が穿設されたメッシュ蓋14aが付設される。
【0028】
また、下側チャンバ6bの上面には、図1に示すように、所定の高さを有する複数のスペーサ17が形成され、これらスペーサ17は、図3に示すように、第2の給排気管14の開口部を中心とした十字状に配置される。
【0029】
さらに、下側チャンバ6bの上面には、図1に示すように、伸縮自在なゴムシート10が設置される。ゴムシート10は、例えば、クロロプレンゴムやエチレンプロピレンゴム等の気体遮断性に優れた弾性体によって形成することが好ましい。尚、ゴムシート10の損傷を防止するため、スペーサ17も、ゴムシート10と同様の材料によって形成することが好ましい。
【0030】
ゴムシート10の周縁部上には、図4に示すように、上面視円環状の押さえリング18が設置され、押さえリング18が下側チャンバ6bにねじ止めされることによって、ゴムシート10が固定される。押さえリング18には、複数の溝19が形成され、これらの溝19によって、押さえリング18の内側空間7aと外側空間7bとが連通される。尚、溝19は、後述するテープフレーム12に形成してもよいし、押さえリング18及びテープフレーム12の双方に形成してもよい。
【0031】
押さえリング18の上面には、図1に示すように、上面視円環状のテープフレーム12が載置される。テープフレーム12の上面には、UV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等の接着剤が裏面に塗布されたテープ11が貼り付けられる。テープ11は、一定の張りが与えられた状態で貼着され、これにより、テープ11の歪みや皺が防止される。
【0032】
尚、テープ11の取り付けは、テープフレーム12の上面への貼り付けに限らず、2枚のフレームによってテープ11を表裏から挟み込むようにしてもよく、テープ11に歪みや皺を生じさせないものであれば如何なる態様でもよい。
【0033】
給排気機構3は、窒素を供給する窒素供給源21と、空気を供給する空気供給源22と、空気や窒素を吸引する真空ポンプ23と、窒素供給源21及び真空ポンプ23と第1の給排気管13との間に設置される第1の電磁弁24と、空気供給源22及び真空ポンプ23と第2の給排気管14との間に設置される第2の電磁弁26と、第2の電磁弁26と空気供給源22の間に設置される第3の電磁弁27と、第2の電磁弁26と第3の電磁弁27との間に設置される流量制御弁28から構成される。
【0034】
第1の電磁弁24は、第1の給排気管13を窒素供給源21又は真空ポンプ23に選択的に接続するために備えられ、第2の電磁弁26は、第2の給排気管14を第3の電磁弁27又は真空ポンプ23に選択的に接続するために備えられる。また、第3の電磁弁27は、第2の給排気管14を流量制御弁28又は空気供給源22に選択的に接続するために備えられ、流量制御弁28は、空気の流量を制限するために備えられる。
【0035】
制御部4は、真空度センサ15の出力や内蔵するタイマ4aの出力に応じて第1〜第3の電磁弁24、26、27の動作を制御し、装置本体2の第1及び第2の気密空間7、8の加圧/減圧を制御するために備えられる。
【0036】
次に、上記構成を有するテープ貼付装置1を用いた貼付方法について、図1〜図15を参照しながら説明する。尚、ここでは、テープ11の接着剤にUV硬化性樹脂を用いた場合を例にとって説明する。
【0037】
先ず、図1において、第2の電磁弁26を真空ポンプ23側に開いて第2の気密空間(ゴムシート10の下方に位置する気密空間)8を減圧雰囲気化し、その状態で、上側チャンバ6aを開き、ウェハ9をゴムシート10の上面中央に載置する。次いで、テープ11の裏面(接着面)をテープフレーム12の上面に貼り付けるとともに、テープ11を貼り付けたテープフレーム12を押さえリング18上に載置する。
【0038】
上側チャンバ6aを閉じた後、図7に示すように、第1の電磁弁24を真空ポンプ23側に開き、第1の給排気管13を真空ポンプ23に接続する。これにより、第1の気密空間(ゴムシート10の上方に位置する気密空間)7から空気を吸引し、減圧雰囲気化する(図5のステップS1)。
【0039】
このとき、図8に示すように、第1の電磁弁24を断続的に窒素供給源21側に開き、第1の気密空間7に窒素を注入する。これは、第1の気密空間7の酸素濃度を低下させ、酸素濃度が低い環境下で貼付作業を進めるためのものである。
【0040】
すなわち、UV硬化性樹脂は、嫌気性が強く、酸素濃度が高い環境下で貼り合わせると、硬化作用が低下するため、後の工程で紫外線を照射した際に、未硬化のUV硬化性樹脂が残存するようになる。その場合、ダイシング後のウェハ9(チップ)をテープ11から剥がす際に、チップが剥がれ難くなるため、上記のように、第1の気密空間7に窒素を注入して酸素濃度を低下させ、UV硬化性樹脂の硬化作用の低下を防止する。
【0041】
窒素注入の作業は、図9に示すように行うことができ、具体的には、第1の気密空間7から空気を吸引した状態で第1の気密空間7の真空度が第1の設定真空度に達したら、第1の給排気管13を窒素供給源21に接続し、第1の気密空間7に窒素を注入する(ステップS11〜S13)。そして、第1の気密空間7の真空度が第2の設定真空度に達するまで窒素を注入し続け、第2の設定真空度に達した時点で窒素の注入回数が設定回数に達したか否かを判別する(ステップS14〜S15)。判別の結果、設定回数に達していれば、改めて真空引きを行って窒素を吸引し(ステップS16)、第1の気密空間7の残留酸素濃度を1%以下とした状態で同空間7を減圧雰囲気化する。ここで、第1の設定真空度、第2の設定真空度及び設定回数は、任意に設定することができる。
【0042】
尚、窒素注入の工程は、上記の通り、UV硬化性樹脂の特性に配慮したものであるため、UV硬化樹脂以外の接着剤を用いる場合には省略することができる。
【0043】
次いで、図10に示すように、第1の気密空間7の真空圧を保持した状態で、第2の電磁弁26を閉じて第2の給排気管14を閉塞し、第2の気密空間8を密閉する。この際、第2の気密空間8では、自然リークが発生して若干の空気が流れ込むため、第1及び第2の気密空間7、8の間に僅かな差圧が発生する。
【0044】
その結果、ゴムシート10が緩やかに膨らみ、ゴムシート10上のウェハ9をゆっくりと押し上げる。こうした低速での押し上げにより、ウェハ9をテープ11の接着面に当接させ(図5のステップS2)、ウェハ9の中心が最初にテープ11と接触するようにする。
【0045】
すなわち、ウェハ9をゴムシート10のような不安定な土台に載置させる場合、高速で押し上げると、ウェハ9の姿勢が乱れて傾いたり、ウェハ9がゴムシート10上で滑って位置が変位し易くなるが、ゆっくりと押し上げることによって、ウェハ9の姿勢や位置を不動に保ったまま、ウェハ9をテープ11と接触させることができ、確実にウェハ9の中心から貼り付けを行うことが可能になる。
【0046】
次に、図11に示すように、第2の電磁弁26を空気供給源22側に開くとともに、第3の電磁弁27を流量制御弁28側に開き、流量を制限した状態で空気を第2の給排気管14に供給する。これにより、第2の気密空間8を加圧雰囲気とし、第1及び第2の気密空間7、8の間の差圧を大きくして、ゴムシート10の膨張速度を低速から中速に変化させる(図5のステップS3)。
【0047】
この中速貼付は、後述の高速貼付と比較すると、ゴムシート10の膨張速度が遅く、ウェハ9の押し上げ圧が低いものであり、本工程では、テープ11へのウェハ9の押し付けを低圧で行うことで、ウェハ9に過大な負荷を掛けずに、テープ11とウェハ9の貼着領域を拡げていく。
【0048】
ウェハ9がテープ11に当接した部分では、テープ11がウェハ9に貼り付いてウェハ9を補強するため、ウェハ9の割れや欠けが抑制されるようになる。本工程は、ウェハ9への負荷を最小限に抑えながら、上記のような補強される領域を拡げるためのものであり、ウェハ9とともにテープ11及びテープフレーム12を押し上げ、例えば、ウェハ9の上面の5割〜7割程度をテープ11に当接させる。
【0049】
尚、中速貼付時のゴムシート10の膨張速度(膨張圧)は、ウェハ9を破損させない押し付け圧でテープ11に押し付け可能な速度(膨張圧)に設定される。但し、破損しない押し付け圧は、ウェハ9の厚さや形状(反りの具合)等によって異なるため、実運転時の速度は、使用するウェハ9の状態に応じて適宜定める。
【0050】
そして、貼着領域がウェハ上面の5割〜7割程度に達し、ウェハ9の割れや欠けの危険性が低くなった段階で、図12に示すように、第3の電磁弁27を空気供給源22側に開き、第1及び第2の気密空間7、8の間の差圧をさらに大きくする。これにより、ゴムシート10の膨張速度を中速から高速に変化させ(図5のステップS4)、テープ11へのウェハ9の押し付け圧を増加させる。この高速貼付により、ウェハ9の上面全体をテープ11に貼り付ける。
【0051】
また、高速貼付に際しては、テープ11及びウェハ9を上側チャンバ6aの天井面に押し当て、ウェハ9の反りを矯正するとともに、ウェハ9とテープ11の密着性を高める。このとき、テープ11がウェハ9の上面を保護する保護部材として機能するため、ウェハ9の表面が損傷することはない。
【0052】
上記の低速貼付、中速貼付及び高速貼付の切り替えは、自動制御により行うことができ、例えば、制御部4に内蔵するタイマ4aを利用し、時間経過に応じて切り替えるように構成することができる。
【0053】
次に、図13に示すように、第1及び第2の電磁弁24、26を閉じて第1及び第2の給排気管13、14を閉塞し、第1及び第2の気密空間7、8を密閉する。こうして、ウェハ9をテープ11に押し付けた状態を所定の時間に亘って維持し、テープ11とウェハ9の接着を安定させる(図5のステップS5)。
【0054】
次いで、図14に示すように、第2の電磁弁26を閉じたままで、第1の電磁弁24を窒素供給源21側に開き、第1の気密空間7に窒素を供給する。これにより、低速でゴムシート10を収縮させ、テープ11、ウェハ9及びテープフレーム12を緩やかに下降させる(図5のステップS6)。
【0055】
そして、テープフレーム12が押さえリング18に当接した後も、低速でのゴムシート10の収縮を継続して、ゴムシート10をウェハ9の下面から緩やかに剥離する。これにより、ゴムシート10の剥離時に、ウェハ9に大きな引っ張り荷重が加わるのを防止する。
【0056】
次に、図15に示すように、第2の電磁弁26を真空ポンプ23側に開き、第2の気密空間8から空気を吸引する。これにより、高速でゴムシート10を収縮させ、平坦化させる(図5のステップS7)。最後に、上側チャンバ6aを開いて、ウェハ9が貼り付いた状態のテープ11をテープフレーム12とともに取り出し、作業が完了する。
【0057】
以上のように、本実施の形態によれば、ウェハ9をテープ11に貼り付けるにあたり、ゴムシート10の膨張速度を低速から高速へ段階的に切り替えながら貼り付けるため(図5のステップS2〜S4)、ウェハ9への負荷を最小限に抑えた状態で貼り付けることができる。このため、低剛性のウェハ9であっても、ウェハ9の破損や損傷を防止しつつ、テープ11を貼り付けることが可能になる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、低速貼付を行い、ウェハ9の中心を最初にテープ11と接触させるため、以後の中速貼付及び高速貼付において、ウェハ9の中心から外周に向けて順番に貼着していくことができる。このため、ウェハ9とテープ11の間に空気が存在した場合でも、空気を外側に逃がしながらウェハ9をテープ11に貼り付けていくことができ、両者の間に空気が混入するのを防止することが可能になる。
【0059】
さらに、本実施の形態によれば、図3に示すように、第2の給排気管14の開口部を中心として十字状に配置された複数のスペーサ17を下側チャンバ6bの上面に形成するため、第2の気密空間8を減圧雰囲気とする際に、空気が残留するのを防止することが可能になる。
【0060】
すなわち、スペーサ17を設けない場合には、図16(a)に示すように、第2の給排気管14を通じて空気を吸引する際に、ゴムシート10が第2の給排気管14に吸い込まれ、第2の給排気管14の開口部が閉塞される。その結果、第2の気密空間8から空気を吸引できなくなり、空気が残存するようになる。
【0061】
こうした状態が、例えば、図5のステップS1の真空引き時に発生すると、第2の気密空間8が第1の気密空間7に対して正圧となり、ゴムシート10を完全に平坦化できなくなる。また、その状態で図5のステップS2の低速貼付工程に移行すると、第2の気密空間8が第1の気密空間7に対して正圧となっていることから、第2の気密空間8の空気吸引を解除した途端、ゴムシート10が比較的に速い速度で膨張し始め、意図するよりも高速でウェハ9が押し上げられるようになる。このことは、図5のステップS3の中速貼付工程に移行した際にも同様に生じ、テープ11へのウェハ9の押し付け圧を適切に制御できなくなる。
【0062】
これに対し、スペーサ17を設けた場合には、図16(b)に示すように、第2の給排気管14を通じて空気を吸引しても、ゴムシート10がスペーサ17に当接し、第2の給排気管14への吸い込みが妨げられる。このとき、第2の気密空間8内の空気は、図3の矢印Dに示すように、隣り合うスペーサ17の合間から第2の給排気管14に流入するため、スペーサ17によって第2の気密空間8からの空気吸引が妨げられることもない。
【0063】
このように、スペーサ17を設けることで、図5のステップS1の真空引き時に第2の気密空間8に空気が残留するのを防止することができ、以後のステップS2、S3の工程において、ウェハ9の押し上げ速度や、テープ11へのウェハ9の押し付け圧を適切に制御することが可能になる。
【0064】
尚、スペーサ17の高さは、特に限定されるものでなく、第2の気密空間8からの空気吸引圧やゴムシート10の材質に応じて適宜定めることができる。また、スペーサ17の配置形状は、十字状に限定されるものでなく、例えば、第2の給排気管14の開口部を中心とした放射状等の他の形状とすることもでき、さらには、特に規則性を持たせることなく、第2の給排気管14の開口部の周辺に複数のスペーサ17を離散的に配置するようにしてもよい。
【0065】
また、本実施の形態によれば、図2に示すように、第2の給排気管14の開口部にメッシュ蓋14aを付設するため、第2の給排気管14へのゴムシート10の吸い込みを防止しながら、空気吸引時の有効断面積(第2の給排気管14の径)を拡大することが可能になる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0067】
例えば、上記実施の形態においては、本発明にかかるテープ貼付装置を半導体ウェハへのダイシング用テープの貼り付けに適用した場合を例示したが、本発明は、例えば、ガラス板に保護用テープを貼り付ける場合等、実施形態で例示した場合以外にも広く適用することが可能である。
【0068】
また、上記実施の形態においては、低速貼付、中速貼付及び高速貼付の三段階の速度切り替えでウェハ9をテープ11に貼り付けるが、十分な厚みを有するウェハ9の場合や、ゴムシート10の材質が滑り難いものである場合には、低速貼付を省略し、中速貼付から操作を始めるようにしてもよい。
【0069】
さらに、上記実施の形態においては、低速貼付に際し、第2の気密空間8側の自然リークを利用してゴムシート10をゆっくり膨張させるが、必ずしも自然リークを利用する必要はなく、中速貼付時よりも少量の空気を第2の気密空間8に供給することで、ゴムシート10の膨張速度を低速化してもよい。
【0070】
また、上記実施の形態においては、第1及び第2の気密空間7、8に気体を供給する供給源として窒素供給源21及び空気供給源22を備えるが、第1及び第2の気密空間7、8に供給する気体は、第1及び第2の気密空間7、8の加圧及び減圧を行い得るものであれば足り、窒素、空気以外の気体であってもよい。
【0071】
さらに、上記実施の形態においては、半導体ウェハの一般形状に合わせて、装置本体2、ゴムシート10及びテープフレーム12が、各々、円筒状、円状及び円環状に形成されるが、装置本体2等の形状は、これらに限られるものではなく、例えば、矩形状等の他の形状を採ることもできる。
【0072】
また、上記実施の形態においては、第1及び第2の気密空間7、8のいずれでも、気体を供給する供給口と吸引する吸引口とを共有化しているが、これらは別個に設けるようにしてもよい。
【0073】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0074】
(付記1)内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備え、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付装置であって、前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けるテープ貼付装置。
【0075】
(付記2)前記テープ貼付対象物と前記テープの当接面積が所定量に達するまで、破損しない押し付け圧で該テープ貼付対象物を前記テープに押し付け可能な第1の速度によって前記弾性シートを膨張させ、その後、該弾性シートの膨張速度を前記第1の速度よりも速い第2の速度に切り替え、前記テープ貼付対象物の貼付面の全体を前記テープに当接させる付記1に記載のテープ貼付装置。
【0076】
(付記3)前記第1の速度で弾性シートを膨張させるのに先立ち、該第1の速度よりも遅い第3の速度で前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物の中心部を前記テープに当接させる付記2に記載のテープ貼付装置。
【0077】
(付記4)前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、該第1の気密空間の真空状態を維持したまま該第2の気密空間を閉塞することで、前記第3の速度で前記弾性シートを膨張させる付記3に記載のテープ貼付装置。
【0078】
(付記5)前記第2の速度で弾性シートを膨張させる際に、前記テープ貼付対象物と前記テープが当接した状態で、これらを押し上げ、前記気密空間の天井面に押し当てる付記2、3又は4に記載のテープ貼付装置。
【0079】
(付記6)前記弾性シートの下面と前記気密空間の底面との間に設けられ、前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口の周辺に配置されたスペーサを備える付記1乃至5のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【0080】
(付記7)前記スペーサが複数設けられ、該複数のスペーサが前記吸気口を中心とした十字状又は放射状に配置される付記6に記載のテープ貼付装置。
【0081】
(付記8)前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口にメッシュ蓋を付設した付記1乃至7のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【0082】
(付記9)前記テープの接着面にUV硬化樹脂製の接着剤が塗布され、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とする際に、該第1の気密空間に断続的に窒素を供給する付記1乃至8のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【0083】
(付記10)内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備えたテープ貼付装置を用い、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付方法であって、前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けるテープ貼付方法。
【0084】
(付記11)前記テープ貼付対象物と前記テープの当接面積が所定量に達するまで、破損しない押し付け圧で該テープ貼付対象物を前記テープに押し付け可能な第1の速度によって前記弾性シートを膨張させ、その後、該弾性シートの膨張速度を前記第1の速度よりも速い第2の速度に切り替え、前記テープ貼付対象物の貼付面の全体を前記テープに当接させる付記10に記載のテープ貼付方法。
【0085】
(付記12)前記第1の速度で弾性シートを膨張させるのに先立ち、該第1の速度よりも遅い第3の速度で前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物の中心部を前記テープに当接させる付記11に記載のテープ貼付方法。
【0086】
(付記13)前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、該第1の気密空間の真空状態を維持したまま該第2の気密空間を閉塞することで、前記第3の速度で前記弾性シートを膨張させる付記12に記載のテープ貼付方法。
【0087】
(付記14)前記第2の速度で弾性シートを膨張させる際に、前記テープ貼付対象物と前記テープが当接した状態で、これらを押し上げ、前記気密空間の天井面に押し当てる付記11、12又は13に記載のテープ貼付方法。
【0088】
(付記15)前記テープの接着面にUV硬化樹脂製の接着剤が塗布され、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とする際に、該第1の気密空間に断続的に窒素を供給する付記10乃至14のいずれかに記載のテープ貼付方法。
【符号の説明】
【0089】
1 テープ貼付装置
2 装置本体
3 給排気機構
4 制御部
4a タイマ
5 気密空間
6 チャンバ
6a 上側チャンバ
6b 下側チャンバ
7 第1の気密空間
7a 押さえリングの内側空間
7b 押さえリングの外側空間
8 第2の気密空間
9 半導体ウェハ
10 ゴムシート
11 ダイシング用テープ
12 テープフレーム
13 第1の給排気管
14 第2の給排気管
14a メッシュ蓋
15 真空度センサ
16 シールリング
17 スペーサ
18 押さえリング
19 溝
21 窒素供給源
22 空気供給源
23 真空ポンプ
24 第1の電磁弁
26 第2の電磁弁
27 第3の電磁弁
28 流量制御弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備え、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付装置であって、
前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けることを特徴とするテープ貼付装置。
【請求項2】
前記テープ貼付対象物と前記テープの当接面積が所定量に達するまで、破損しない押し付け圧で該テープ貼付対象物を前記テープに押し付け可能な第1の速度によって前記弾性シートを膨張させ、その後、該弾性シートの膨張速度を前記第1の速度よりも速い第2の速度に切り替え、前記テープ貼付対象物の貼付面の全体を前記テープに当接させることを特徴とする請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記第1の速度で弾性シートを膨張させるのに先立ち、該第1の速度よりも遅い第3の速度で前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物の中心部を前記テープに当接させることを特徴とする請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、該第1の気密空間の真空状態を維持したまま該第2の気密空間を閉塞することで、前記第3の速度で前記弾性シートを膨張させることを特徴とする請求項3に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記第2の速度で弾性シートを膨張させる際に、前記テープ貼付対象物と前記テープが当接した状態で、これらを押し上げ、前記気密空間の天井面に押し当てることを特徴とする請求項2、3又は4に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記弾性シートの下面と前記気密空間の底面との間に設けられ、前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口の周辺に配置されたスペーサを備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記スペーサが複数設けられ、該複数のスペーサが前記吸気口を中心とした十字状又は放射状に配置されることを特徴とする請求項6に記載のテープ貼付装置。
【請求項8】
前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口にメッシュ蓋を付設したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【請求項9】
前記テープの接着面にUV硬化樹脂製の接着剤が塗布され、
前記第1及び第2の気密空間を真空状態とする際に、該第1の気密空間に断続的に窒素を供給することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【請求項10】
内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備えたテープ貼付装置を用い、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付方法であって、
前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けることを特徴とするテープ貼付方法。
【請求項1】
内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備え、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付装置であって、
前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けることを特徴とするテープ貼付装置。
【請求項2】
前記テープ貼付対象物と前記テープの当接面積が所定量に達するまで、破損しない押し付け圧で該テープ貼付対象物を前記テープに押し付け可能な第1の速度によって前記弾性シートを膨張させ、その後、該弾性シートの膨張速度を前記第1の速度よりも速い第2の速度に切り替え、前記テープ貼付対象物の貼付面の全体を前記テープに当接させることを特徴とする請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記第1の速度で弾性シートを膨張させるのに先立ち、該第1の速度よりも遅い第3の速度で前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物の中心部を前記テープに当接させることを特徴とする請求項2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、該第1の気密空間の真空状態を維持したまま該第2の気密空間を閉塞することで、前記第3の速度で前記弾性シートを膨張させることを特徴とする請求項3に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記第2の速度で弾性シートを膨張させる際に、前記テープ貼付対象物と前記テープが当接した状態で、これらを押し上げ、前記気密空間の天井面に押し当てることを特徴とする請求項2、3又は4に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記弾性シートの下面と前記気密空間の底面との間に設けられ、前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口の周辺に配置されたスペーサを備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記スペーサが複数設けられ、該複数のスペーサが前記吸気口を中心とした十字状又は放射状に配置されることを特徴とする請求項6に記載のテープ貼付装置。
【請求項8】
前記第2の気密空間から気体を吸引する吸気口にメッシュ蓋を付設したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【請求項9】
前記テープの接着面にUV硬化樹脂製の接着剤が塗布され、
前記第1及び第2の気密空間を真空状態とする際に、該第1の気密空間に断続的に窒素を供給することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のテープ貼付装置。
【請求項10】
内部に気密空間を有する容器と、前記気密空間を、上方に位置する第1の気密空間と下方に位置する第2の気密空間とに仕切り、該第1の気密空間側にテープ貼付対象物が載置される弾性シートと、前記第1の気密空間内でテープを保持し、該テープを前記弾性シートに載置されたテープ貼付対象物から所定の距離を隔てて位置させるテープ保持部材と、前記第1及び第2の気密空間の加圧及び減圧を切り替える気圧切替手段とを備えたテープ貼付装置を用い、前記第1及び第2の気密空間を真空状態とした後、前記第2の気密空間を加圧して前記弾性シートを膨張させ、前記テープ貼付対象物を押し上げて前記テープに貼り付けるテープ貼付方法であって、
前記テープ貼付対象物の押し上げに際し、前記第2の気密空間の加圧量を制御して前記弾性シートの膨張速度を低速から高速に向けて段階的に変化させながら、前記テープ貼付対象物を前記テープに貼り付けることを特徴とするテープ貼付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−192859(P2011−192859A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58629(P2010−58629)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(303013763)NECエンジニアリング株式会社 (651)
【Fターム(参考)】
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