説明

テープ貼着装置及びテープ貼着方法

【課題】テープ部材の残量によらずテープ部材を安定的に供給してACFテープの切片の基板への取り付け精度を高めることができるテープ貼着装置及びテープ貼着方法を提供することを目的とする。
【解決手段】リール23がACFテープ4の切片4Sの長さLs分のテープ部材Tpを繰り出すときに回転したリール23の回転角度φを検出し、検出したリール23の回転角度φとACFテープ4の切片4Sの長さLsとから、リール23に巻き付けられたテープ部材Tpの巻き付け半径Rを算出する。そして、算出したテープ部材Tpの巻き付け半径Rが大きいときほど小さい回転速度Wでリール23を回転させるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電膜から成るACFテープを基板上の貼着対象部位に貼着するテープ貼着装置及びテープ貼着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等のモジュール製造工程等では、基板の上面に並んで設けられた複数の電極にACF(Anisotropic Conductive Film)と呼ばれる異方性導電膜から成るテープ(以下、ACFテープと称する)を貼着するテープ貼着装置が用いられる。ここで、ACFテープは、その片面に取り付けられたセパレータと呼ばれる保護テープと一体になったテープ部材の状態で供給される。
【0003】
テープ貼着装置は、基板を保持する基板保持部、基板保持部の上方に設けられたベース部、ベース部に対して昇降自在に設けられた押し付けツール、ベース部に設けられてテープ部材が巻き付けられたリール、リールの回転によって繰り出されるテープ部材が押し付けツールの直下の領域を水平方向に延びるように案内してテープ部材の搬送を行うテープ搬送部及びリールより繰り出されたテープ部材からACFテープを切断してテープ部材上にACFテープの切片を形成するテープ切断部を備えている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−294361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のテープ貼着装置では、ACFテープの切片の長さは常に一定であり、リールの回転速度も一定に保たれる一方、リールに巻き付けられたテープ部材の巻き付け半径はテープ部材の残量によって異なり、テープ部材の残量が多くて巻き付き半径が大きいときほどテープ部材の繰り出し速度は大きくなる。このため、テープ部材の残量によってはテープ部材の繰り出し速度が過大になって、テープ部材が搬送用のガイドローラから外れる等の不都合が生じる場合があり、テープ部材を安定的に供給できないためにACFテープの切片の基板への取り付け精度が低下するおそれがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、テープ部材の残量によらずテープ部材を安定的に供給してACFテープの切片の基板への取り付け精度を高めることができるテープ貼着装置及びテープ貼着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載のテープ貼着装置は、基板を保持する基板保持部と、基板保持部の上方に設けられたベース部と、ベース部に対して昇降自在に設けられた押し付けツールと、ベース部に設けられ、異方性導電膜から成るACFテープの片面にセパレータが取り付けられたテープ部材が巻き付けられたリールと、リールの回転によって繰り出されるテープ部材が押し付けツールの直下の領域を水平方向に延びるように案内してテープ部材の搬送を行うテープ搬送部と、リールより繰り出されたテープ部材からACFテープを切断してテープ部材上にACFテープの切片を形成するテープ切断部と、セパレータ上に形成されたACFテープの切片を基板保持部に保持された基板上の貼着対象部位の直上の位置に位置させた状態で押し付けツールを下降させ、ACFテープの切片を基板上の貼着対象部位に押し付けて貼着する押し付けツール昇降手段とを備えたテープ貼着装置であって、リールがACFテープの切片の長さ分のテープ部材を繰り出すときに回転したリールの回転角度を検出する回転角度検出手段と、回転角度検出手段によって検出されたリールの回転角度及びACFテープの切片の長さからリールに巻き付けられたテープ部材の巻き付け半径を算出する巻き付け半径算出手段と、巻き付け半径算出手段により算出されたテープ部材の巻き付け半径が大きいときほど小さい回転速度でリールを回転させるリール回転制御手段とを備えた。
【0008】
請求項2に記載のテープ貼着装置は、請求項1に記載のテープ貼着装置であって、リールより繰り出されたテープ部材が弛まないようにベース部上を移動してテープ部材に張力を与え、テープ搬送部によるテープ部材の搬送が停止された状態でのリールからのテープ部材の繰り出し量がACFテープの切片の長さに等しくなったときに規定の位置に位置する張力付与部材と、張力付与部材が前記規定の位置に位置した状態を検出する張力付与部材検出手段とを備え、回転角度検出手段は、ACFテープを繰り出す前のリールの回転位置と、ACFテープの切片がベース部に対して固定された状態でリールからACFテープを繰り出し、張力付与部材検出手段によって張力付与部材が前記規定の位置に位置した状態が検出されたときのリールの回転位置との角度差に基づいて、ACFテープの切片の長さ分のテープ部材を繰り出すときに回転したリールの回転角度を検出する。
【0009】
請求項3に記載のテープ貼着方法は、基板を保持する基板保持部と、基板保持部の上方に設けられたベース部と、ベース部に対して昇降自在に設けられた押し付けツールと、ベース部に設けられ、異方性導電膜から成るACFテープの片面にセパレータが取り付けられたテープ部材が巻き付けられたリールと、リールの回転によって繰り出されるテープ部材が押し付けツールの直下の領域を水平方向に案内してテープ部材の搬送を行うテープ搬送部と、リールより繰り出されたテープ部材からACFテープを切断してテープ部材上にACFテープの切片を形成するテープ切断部とを備え、セパレータ上に形成されたACFテープの切片を基板保持部に保持された基板上の貼着対象部位の直上の位置に位置させた状態で押し付けツールを下降させ、ACFテープの切片を基板上の貼着対象部位に押し付けて貼着するテープ貼着装置におけるテープ貼着方法であって、リールがACFテープの切片の長さ分のテープ部材を繰り出すときに回転したリールの回転角度を検出する工程と、検出したリールの回転角度及びACFテープの切片の長さからリールに巻き付けられたテープ部材の巻き付け半径を算出する工程と、算出したテープ部材の巻き付け半径が大きいときほど小さい回転速度でリールを回転させる工程とを含む。
【0010】
請求項4に記載のテープ貼着方法は、請求項3に記載のテープ貼着方法であって、テープ貼着装置は、リールより繰り出されたテープ部材が弛まないようにベース部上を移動してテープ部材に張力を与え、テープ搬送部によるテープ部材の搬送が停止された状態でのリールからのテープ部材の繰り出し量がACFテープの切片の長さに等しくなったときに規定の位置に位置する張力付与部材と、張力付与部材が前記規定の位置に位置した状態を検出する張力付与部材検出手段とを備え、ACFテープを繰り出す前のリールの回転位置と、ACFテープの切片がベース部に対して固定された状態でリールからACFテープを繰り出し、張力付与部材検出手段によって張力付与部材が前記規定の位置に位置した状態が検出されたときのリールの回転位置との角度差に基づいて、ACFテープの切片の長さ分のテープ部材を繰り出すときに回転したリールの回転角度を検出する。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ACFテープの切片の長さ及びそのACFテープの切片の長さ分のテープ部材を繰り出すときに回転したリールの回転角度からリールに巻き付けられたテープ部材の巻き付け半径を算出し、テープ部材の巻き付け半径が大きいときほど小さい回転速度でリールを回転させるようになっているので、リールから繰り出されるテープ部材の繰り出し速度はリールに巻き付けられたテープ部材の巻き付け半径、すなわちテープ部材の残量によらず一定とすることができ、テープ部材を安定的に供給してACFテープの切片の基板への取り付け精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態におけるテープ貼着装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態におけるテープ貼着装置の側面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるテープ貼着装置の制御系統を示すブロック図
【図4】本発明の一実施の形態におけるテープ貼着装置の部分正面図
【図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープ貼着装置の部分正面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるテープ貼着装置が基板上の貼着対象部位にACFテープの切片を貼着する作業の実行手順を示すフローチャート
【図7】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるテープ貼着装置が実行するテープ貼着作業の動作説明図
【図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるテープ貼着装置が実行するテープ貼着作業の動作説明図
【図9】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープ貼着装置が実行するテープ貼着作業の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2に示すテープ貼着装置1は、基板2の上面の縁部に設けられた複数の電極3に対してACF(Anisotropic Conductive Film)と呼ばれる異方性導電膜から成るテープ(ACFテープ4)の切片4Sを貼着する装置である。本実施の形態では、ACFテープ4は、片面に保護テープであるセパレータSpが取り付けられたテープ部材Tpとして供給される(図1中の拡大図参照)。
【0014】
図1及び図2において、テープ貼着装置1は、基台10と、電極3が上方を向くように基板2を水平姿勢に保持し、基台10上に設けられた基板保持部移動機構11によって移動されるテーブル状の基板保持部12と、基台10上に設けられ、水平方向に延びた横フレーム13aを有する門型フレーム13と、門型フレーム13の横フレーム13aに取り付けられて基板保持部12の上方に位置し、横フレーム13aに沿って(すなわち水平方向に)移動自在に設けられたプレート状のベース部14と、基台10上にベース部14の移動方向に延びて設けられたバックアップステージ15を備えて構成されている。以下、説明の便宜上、横フレーム13aが延びる(ベース部14が移動する)水平方向をテープ貼着装置1の左右方向としてこれをX軸方向とし、X軸方向と直交する水平方向をテープ貼着装置1の前後方向としてこれをY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。更に、左右方向(X軸方向)のうち、図1の紙面左側を左方、図1の紙面右側を右方とし、前後方向(Y軸方向)のうち、図2の紙面左側を前方、図2の紙面右側を後方とする。
【0015】
図1及び図2において、基板保持部移動機構11は、基台10に対して左右方向(X軸方向)に移動自在なX軸テーブル11a、X軸テーブル11aに対して前後方向(Y軸方向)に移動自在なY軸テーブル11b及びY軸テーブル11bに設けられてZ軸回りに回転自在なθテーブル11cから成り、θテーブル11cの上面には基板保持部12が取り付けられている。このため基板保持部12は、X軸テーブル11aの左右方向(X軸方向)への移動、Y軸テーブル11bの前後方向(Y軸方向)への移動及びθテーブル11cの上下軸(Z軸)回りの回転によって水平面内方向に移動させることができる。
【0016】
図1及び図2において、ベース部14の前面には、ツール昇降シリンダ21を介してベース部14に対して昇降自在に設けられた押し付けツール22、テープ部材Tpが巻き付けられたリール23、リール23の回転によって繰り出されるテープ部材Tpの搬送を行うテープ搬送部24、リール23より繰り出されたテープ部材TpからACFテープ4を切断してテープ部材Tp上にACFテープ4の切片4Sを形成するテープ切断部25、基板2上に貼着したACFテープ4の切片4SからセパレータSpを剥離させる剥離用ローラ26及びベース部14と一体に移動して撮像動作を行う撮像カメラ27が設けられている。
【0017】
図1及び図2において、ツール昇降シリンダ21はピストンロッド21aを下方に向けてベース部14の前面中央部に設けられている。押し付けツール22はピストンロッド21aの下端に取り付けられており、ツール昇降シリンダ21のピストンロッド21aが下方に突没させると、押し付けツール22は図1に示す待機位置とその下方の押し付け位置との間で昇降する。押し付けツール22内には押し付けツール22を加熱するヒータ22a(図1)が設けられている。
【0018】
リール23はベース部14の後面に設けられたリール駆動モータ31(図2)に駆動されてテープ部材Tpの繰り出し供給を行う。テープ搬送部24は、リール23より繰り出されるテープ部材Tpを真空吸引によって回収するテープ回収部32及びリール23からテープ回収部32までの間のテープ部材Tpが押し付けツール22の直下の領域Rg(図1)を水平方向に延びるように案内する複数のローラ(第1案内ローラ33a、昇降ローラ33b、第2案内ローラ33c、第3案内ローラ33d、第4案内ローラ33e及び一対の第5案内ローラ33f)から成る。
【0019】
図1において、第1案内ローラ33aはベース部14の左方上部に設けられており、昇降ローラ33bは第1案内ローラ33aの直下に上下方向に延びて形成されたローラ移動溝14a内を移動自在に設けられている。第2案内ローラ33cは第1案内ローラ33aの右斜め下方の位置に設けられており、第3案内ローラ33dは第2案内ローラ33cのやや右方であって、ベース部14の左側下部に設けられている。第4案内ローラ33eは第3案内ローラ33dの右方であってベース部14の右側下部に設けられており、一対の第5案内ローラ33fは第4案内ローラ33eの上方であって、ベース部14の右側中央部に左右方向に並んで設けられている。ここで、第3案内ローラ33d及び第4案内ローラ33eは、押し付けツール22が待機位置にあるときには押し付けツール22の下面よりも下方に位置し(図1参照)、押し付けツール22が押し付け位置にあるときには押し付けツール22の下面よりも上方に位置する箇所に設けられている。
【0020】
図1において、リール23から供給されるテープ部材Tpは、第1案内ローラ33a、昇降ローラ33b、第2案内ローラ33c、第3案内ローラ33d、第4案内ローラ33e及び一対の第5案内ローラ33fによってこの順で案内され(一対の第5案内ローラ33fではテープ部材Tpは両面が左右方向から挟まれた状態となる)、テープ回収部32によって回収される。
【0021】
テープ部材Tpは、ローラ移動溝14a内に設けられた昇降ローラ33bの自重によって第1案内ローラ33aと第2案内ローラ33cの間の部分が下方に付勢されることにより、適度なテンションが与えられる。
【0022】
テープ部材Tpは、第2案内ローラ33cと第3案内ローラ33dの間では押し付けツール22の左側領域を垂直下方に進行し、第3案内ローラ33dと第4案内ローラ33eの間では、ベース部14の下側領域を左から右に向けて進行する(図1中に示す矢印A)。またテープ部材Tpは、第4案内ローラ33eと一対の第5案内ローラ33fの間及び一対の第5案内ローラ33fとテープ回収部32との間では、押し付けツール22の右側領域を垂直上方に進行する。
【0023】
このように本実施の形態において、テープ搬送部24は、リール23の回転によって繰り出されるテープ部材Tpが押し付けツール22の直下の領域Rgを水平方向に延びるように案内してテープ部材Tpの搬送を行う機能を有する。
【0024】
図1において、テープ切断部25は、テープ部材Tpのうち、押し付けツール22の直下の領域Rgよりもテープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送方向の上流側の位置(ここでは第2案内ローラ33cと第3案内ローラ33dの間の位置)に設けられており、第2案内ローラ33cと第3案内ローラ33dの間を垂直方向に延びるテープ部材Tpの左方領域において左右方向に移動自在に設けられたカッター25a、カッター25aが左方の収納位置と右方の突出位置との間で移動(図1中に示す矢印B)するようにカッター25aを駆動するカッター駆動シリンダ25b及び第2案内ローラ33cと第3案内ローラ33dの間を垂直方向に延びるテープ部材Tpの右方領域においてカッター25aと水平方向に対向する位置(すなわちカッター25aとの間でテープ部材Tpを挟む位置)に設けられた背板部25cから成る。
【0025】
テープ切断部25において、右方の突出位置に位置した状態のカッター25aと背板部25cとの間には、セパレータSpの厚さよりも若干狭くなるようなクリアランスが確保されている。このため、第2案内ローラ33cと第3案内ローラ33dとの間をテープ部材Tpが垂直方向に延びている状態で、カッター駆動シリンダ25bによってカッター25aを収納位置から突出位置に移動させると、テープ部材Tpの左面のACFテープ4に対して垂直にカッター25aが押し付けられ、セパレータSpを切断することなくACFテープ4のみが切断される。このとき背板部25cは、テープ部材Tpの右面のセパレータSpを支持してテープ部材Tpに対するカッター25aの押し付け荷重の反力をとる当て板として機能する。
【0026】
図1において、剥離用ローラ26は、テープ搬送部24によって搬送されるテープ部材Tpの押し付けツール22の直下の領域Rgよりもテープ部材Tpの搬送方向の下流側の一部(押し付けツール22の直下の領域Rgの右側の一部)を上下方向に挟持する一対のローラ部材から成る。この剥離用ローラ26はベース部14に設けられており、ベース部14が水平方向に移動するときには、剥離用ローラ26もベース部14と一体となって水平方向に移動する。
【0027】
撮像カメラ27はベース部14の右側下方に撮像視野を下方に向けて設けられており、ベース部14の水平方向への移動に応じて移動することによって、貼り付けられたACFテープ4の切片4Sの両端部の撮像を行う。これにより貼り付けの成否を確認することができる。
【0028】
門型フレーム13の横フレーム13aに対するベース部14のX軸方向(左右方向)への移動は、テープ貼着装置1が備える制御装置40(図3)の作業実行制御部40a(図3)が図示しないアクチュエータ等から成るベース部移動機構41(図3)の作動制御を行うことによってなされる。
【0029】
基板保持部12に保持された基板2の移動動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが図示しないアクチュエータ等から成る基板保持部駆動機構42(図3)の作動制御を行うことによってなされる。
【0030】
テープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送動作は、制御装置40の作業実行制御部40aが一対の第5案内ローラ33f及びリール駆動モータ31とテープ回収部32の作動制御を行うことによってなされる(図3)。
【0031】
押し付けツール22の昇降動作は、制御装置40の作業実行制御部40aがツール昇降シリンダ21の作動制御を行うことによってなされる(図3)。また、押し付けツール22の内部に設けられたヒータ22aは制御装置40の作業実行制御部40aによってオンオフ作動がなされる。
【0032】
撮像カメラ27による撮像動作制御は制御装置40の作業実行制御部40aによってなされる(図3)。撮像カメラ27によって撮像された画像データは制御装置40の画像データ格納部40bに格納され、作業実行制御部40aからの指示を受けた画像認識部40c(図3)が画像データ格納部40bに格納された画像データに基づいて画像認識を行う。
【0033】
テープ切断部25におけるカッター25aの左右方向への移動動作、すなわちカッター25aによるACFテープ4の切断動作は、制御装置40の作業実行制御部40aがカッター駆動シリンダ25bの作動制御を行うことによってなされる(図3)。
【0034】
基板2上の電極3に貼着するACFテープ4の切片4Sの長さLs(図1)は、基板2上の電極3にACFテープ4の切片4Sを貼着しようとする貼着対象部位Sa(図1。各貼着対象部位Sa内には複数の電極3が含まれる)のX軸方向の長さに対応しており、テープ切断部25は、リール23からテープ部材TpがACFテープ4の切片4Sの長さLs分だけ繰り出されるごとにACFテープ4の切断を行う。
【0035】
図4は、テープ部材Tp上に形成される複数のACFテープ4の切片4Sのうちテープ部材Tpの最も先頭部側に位置するACFテープ4の切片4S(以下、先頭部の切片4Sと称する)の後端Pを待機位置にある押し付けツール22の左端の直下に位置させた状態を示している。この図に示すように、テープ切断部25によるACFテープ4の切断位置Mは、テープ部材Tpの押し付けツール22の左端の直下の位置からテープ部材Tpに沿った距離がACFテープ4の切片4Sの長さLsの整数倍(ここでは3倍)の長さとなる位置に設けられており、テープ切断部25は先頭部の切片4Sの後端Pが押し付けツール22の左端の直下に位置する状態でACFテープ4の切断を行う動作を繰り返すことにより、テープ部材Tp上(セパレータSp上)に長さLsを有する複数のACFテープ4の切片4Sの列を形成させる。
【0036】
図5(a)は、図4に示す状態から押し付けツール22を押し付け位置まで下降させることによって(図5(a)中に示す矢印C1)、先頭部の切片4Sを基板2上の貼着対象部位Saに押し付けた状態を示している。この図5(a)の状態、すなわちテープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送が停止された状態を保持したままリール23を回転させてリール23からテープ部材Tpを繰り出させると(図5(b)中に示す矢印D)、テープ部材Tpの繰り出し量に応じて(繰り出し量の半分の距離だけ)昇降ローラ33bがローラ移動溝14a内を下降する(図5(b)中に示す矢印E1)。そして、テープ部材Tpの繰り出し量がACFテープ4の切片4Sの長さLsに等しくなり、昇降ローラ33bがリール23の回転開始からACFテープ4の切片4Sの長さLsの半分の長さである距離Dm(=Ls/2)だけ下降したとき、昇降ローラ33bは予め設定した規定の位置(以下、規定位置Jと称する)に位置する。そして、昇降ローラ33bが規定位置Jに位置した状態はベース部14に設けられたローラ検出センサ43(図1)によって検出され、その検出情報は制御装置40に送信される。
【0037】
すなわち本実施の形態において、昇降ローラ33bは、リール23より繰り出されたテープ部材Tpが弛まないようにベース部14上を移動してテープ部材Tpに張力を与え、テープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送が停止された状態でのリール23からのテープ部材Tpの繰り出し量がACFテープ4の切片4Sの長さLsに等しくなったときに規定位置Jに位置する張力付与部材として機能する。また、ローラ検出センサ43は、昇降ローラ33bが規定位置Jに位置した状態を検出する張力付与部材検出手段として機能する。
【0038】
制御装置40の駆動規制部40d(図3)は、リール23からのテープ部材Tpの繰り出し量が過大になるのを防止するため、ローラ検出センサ43によって昇降ローラ33bが規定位置Jに達した状態が検出されたときは、作業実行制御部40aに規制信号を出力して、リール駆動モータ31によるリール23の回転を停止させる。このため、テープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送が停止された状態でリール23からテープ部材Tpが繰り出された場合には、テープ部材Tpの繰り出し量がACFテープ4の切片4Sの長さLsに等しくなったところでリール23の回転が自動的に停止される。
【0039】
なお、駆動規制部40dから規制信号が出力されてリール駆動モータ31によるリール23の回転が規制された場合であっても、その後昇降ローラ33bが規定位置Jよりも上方の位置に移動した場合にはリール23の回転規制は解除されるので、制御装置40の作業実行制御部40aはリール23を回転させてテープ部材Tpの繰り出しを再開することができる。
【0040】
ここで、テープ部材Tpのリール23への巻き付け半径がR(図5(a)及び図5(b))である場合、ACFテープ4の切片4Sの長さLs分のテープ部材Tpが繰り出されたときのリール23の回転角度φ(図5(b))はφ=Ls/Rの関係式を満たすので、リール23からACFテープ4の切片4Sの長さLs分のテープ部材Tpが繰り出されたときのリール23の回転角度φを求めれば、そのときのテープ部材Tpの巻き付け半径R(図5(a),(b))を知ることができる。
【0041】
テープ貼着装置1は、リール23がACFテープ4の切片4Sの長さLs分のテープ部材Tpを繰り出すときに回転したリール23の回転角度φを検出する手段として、リール駆動モータ31の回転軸(図示せず)の回転角度からリール23の回転位置を検出する回転位置検出センサ44(図3)と、回転位置検出センサ44によって検出される2つのリール23の回転位置の角度差に基づいて、その2つのリール23の回転位置の間におけるリール23の回転角度φを算出する回転角度検出手段としての制御装置40の回転角度算出部40e(図3)を備えている。
【0042】
本実施の形態では、先頭部の切片4Sの後端Pを押し付けツール22の左端の直下に位置させて押し付けツール22を下降させたときのリール23の回転位置(図5(a))と、その後にリール23からテープ部材Tpを繰り出させて昇降ローラ33bが規定位置Jに位置したことがローラ検出センサ43によって検出されたときのリール23の回転位置(図5(b))とを回転位置検出センサ44から読み取り、これら両回転位置の角度差に基づいて、リール23がACFテープ4の切片4Sの長さLs分のテープ部材Tpを繰り出すときに回転したリール23の回転角度φを算出する。
【0043】
制御装置40の巻き付け半径算出部40f(図3)は、上記回転角度検出手段によって検出されたリール23の回転角度φと、ACFテープ4の切片4Sの長さLsとに基づいて、リール23に巻き付けられたテープ部材Tpの巻き付け半径Rを式R=Ls/φから算出する。
【0044】
制御装置40の作業実行制御部40aは、巻き付け半径算出部40fによって算出されたテープ部材Tpの巻き付け半径Rが大きいときほど小さい回転速度W(図5(b))でリール23を回転させる制御を行う。
【0045】
次に、図6のフローチャート及び図7〜図9の動作説明図を用いてテープ貼着装置1により基板2上の貼着対象部位SaにACFテープ4の切片4Sを貼着する作業(テープ貼着作業)の実行手順を説明する。
【0046】
テープ貼着装置1により基板2上の貼着対象部位SaにACFテープ4の切片4Sを貼着するには、制御装置40の作業実行制御部40aは先ず、上流側に設置された他の装置(例えば電極洗浄装置)から受け取った基板2を図示しない基板搬入機構によって搬入して基板保持部12に基板2を保持させる(図6に示すステップST1の基板の搬入及び保持工程)。
【0047】
制御装置40の作業実行制御部40aは、基板保持部12に基板2を保持させたら、基板保持部移動機構11を作動させて基板保持部12を移動させ、電極3が設けられた基板2の縁部の下面をバックアップステージ15の上面に接触させる(図2中に一点鎖線で示す基板2参照)。そして、複数の電極3がベース部14の移動方向(X軸方向)と平行な方向に並び、かつ押し付けツール22の直下に位置するように基板2の位置決めを行う(図6に示すステップST2の基板位置決め工程)。
【0048】
なお、この基板2の位置決めの際には、制御装置40の作業実行制御部40aはベース部14を左右方向(X軸方向)に移動させて撮像カメラ27により基板2の左右両端部に設けられた位置決め用のマークを撮像し、得られた画像データを画像認識部40cに画像認識させることによって、基板2のバックアップステージ15に対する位置ずれが起きていないかどうかの確認を行う。
【0049】
制御装置40の作業実行制御部40aは、基板2の位置決めを行ったら、ベース部移動機構41の作動制御を行ってベース部14を左右方向に移動させ(図7(a)中に示す矢印F1)、押し付けツール22の左端がこれからACFテープ4の切片4Sの貼着を行おうとする基板2上の貼着対象部位Saの左端の直上に位置するように、ベース部14の位置決めを行う(図6に示すステップST3のベース部位置決め工程)。
【0050】
制御装置40の作業実行制御部40aは、ベース部14の位置決めを行ったら、テープ搬送部24の作動制御を行ってテープ部材Tpを搬送させ、先頭部の切片4Sの後端Pを押し付けツール22の左端の直下に位置するように位置決めする(図7(a)。図6に示すステップST4のACFテープ切片位置決め工程)。
【0051】
制御装置40の作業実行制御部40aは、ACFテープ4の切片4Sの位置決めを行ったら、カッター駆動シリンダ25bの作動制御を行ってカッター25aを収納位置と突出位置との間で移動させ、ACFテープ4の切断を行ってテープ部材Tp上にACFテープ4の切片4Sを形成させる(図7(b)及び図7(c)。これらの図中に示す矢印B1及び矢印B2。図6に示すステップST5のACFテープ切断工程)。
【0052】
制御装置40の作業実行制御部40aは、ACFテープ4の切断を行ったら、ツール昇降シリンダ21の作動制御を行って押し付けツール22を押し付け位置まで下降させ(図8(a)及び図5(a)中に示す矢印C1)、ヒータ22aによって予め加熱しておいた押し付けツール22によって、ACFテープ4の切片4SをセパレータSpごと基板2の縁部に押し付ける(図8(a)。図6に示すステップST6のACFテープ切片押し付け工程)。
【0053】
このように本実施の形態において、ツール昇降シリンダ21は、セパレータSp上に形成されたACFテープ4の切片4Sを基板保持部12に保持された基板2上の貼着対象部位Saの直上の位置に位置させた状態で押し付けツール22を下降させ、ACFテープ4の切片4Sを基板2上の貼着対象部位Saに押し付けて貼着する押し付けツール昇降手段として機能する。
【0054】
制御装置40の作業実行制御部40aは、押し付けツール22による基板2上の貼着対象部位SaへのACFテープ4の切片4Sの押し付けを開始したら、回転位置検出センサ44からの検出情報に基づいて、リール23の現在の(すなわち回転前の)回転位置を読み取る(図6に示すステップST7のリール回転前回転位置読み取り工程)。
【0055】
制御装置40の作業実行制御部40aは、リール23の回転前の回転位置を読み取ったら、リール駆動モータ31の回転制御を行って回転速度Wでリール23を回転させ、リール23からテープ部材Tpを繰り出させる(図8(b)及び中に図5(b)示す矢印D。図6に示すステップST8のリール回転駆動工程)。これにより昇降ローラ33bはローラ移動溝14a内を下方に移動する(図8(b)及び図5(b)中に示す矢印E1)。ここで、制御装置40の作業実行制御部40aは、最初は回転速度Wを予め定めた規定の回転速度Wでリール23を回転させ、以後は後述のステップST17で設定する回転速度Wでリール23を回転させる。
【0056】
制御装置40の作業実行制御部40aは、リール23を回転速度Wで回転させ始めたらローラ検出センサ43の出力をモニターし、昇降ローラ33bが規定位置Jに位置したかどうかの判断を行う(図6に示すステップST9の規定位置到達判断工程)。そして、昇降ローラ33bが規定位置Jに達し(図8(b)及び図5(b))、制御装置40の駆動規制部40dによりリール23の回転を規制されてリール23からのテープ部材Tpの繰り出しが停止された状態になったら(図6に示すステップST10のリール回転停止工程)、制御装置40の作業実行制御部40aは、回転位置検出センサ44からの検出情報に基づいて、リール23の現在の(すなわち回転後の)回転位置を読み取る(図6に示すステップST11のリール回転後回転位置読み取り工程)。
【0057】
制御装置40の作業実行制御部40aは、リール23の回転後の回転位置を読み取ったら、押し付けツール22によるACFテープ4の切片4Sの基板2への押し付け開始(ステップST6)からの経過時間が所定時間に達したかどうかの判断を行う(図6に示すステップST12の経過時間判断工程)。そして、押し付けツール22によるACFテープ4の切片4Sの基板2への押し付け開始からの経過時間が所定時間に達していなかった場合には、制御装置40の作業実行制御部40aはステップST12の判断を継続して行い、押し付けツール22によるACFテープ4の切片4Sの基板2への押し付け開始からの経過時間が所定時間に達していた場合には、ツール昇降シリンダ21の作動制御を行って押し付けツール22を待機位置に上昇させて(図8(c)中に示す矢印C2)、押し付けツール22によるACFテープ4の切片4Sの基板2への押し付けを終了する(図8(c)。図6に示すステップST13のACFテープ押し付け終了工程)。
【0058】
なお、押し付けツール22を待機位置に上昇させた状態では、ACFテープ4の切片4Sが基板2上の貼着対象部位Saに貼着されていることから、第3案内ローラ33dと第4案内ローラ33eの間のテープ部材Tpは、図8(c)に示すように、下方に引っ張られた状態が維持される。
【0059】
制御装置40の作業実行制御部40aは、押し付けツール22を待機位置まで上昇させたら、現在、ACFテープ4の切片4Sの貼着を行っている基板2上に、まだACFテープ4の切片4Sの貼着を行う貼着対象部位Saがあるかどうかの判断を行う(図6に示すステップST14の貼着対象部位有無判断工程)。そして、基板2上にまだACFテープ4の切片4Sの貼着を行う貼着対象部位Saがあった場合には、制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST7で読み取ったリール23の回転前の回転位置と、ステップST11で読み取ったリール23の回転後の回転位置との角度差に基づいて、リール23がACFテープ4の切片4Sの長さ分のテープ部材Tpを繰り出すときに回転したリール23の回転角度φを検出(算出)したうえで(図6に示すステップST15の回転角度検出工程)、検出したリール23の回転角度φと、ACFテープ4の切片4Sの長さLsとから、リール23に巻き付けられたテープ部材Tpの巻き付け半径Rを式R=Ls/φに基づいて算出する(図6に示すステップST16の巻き付け半径算出工程)。
【0060】
制御装置40の作業実行制御部40aは、リール23に巻き付けられたテープ部材Tpの巻き付け半径Rを算出したら、算出したテープ部材Tpの巻き付け半径Rが大きいときほどリール23の回転速度Wを小さくなるように定めた所定の基準に基づいて、リール23の回転速度Wの設定を行う(図6に示すステップST17のリール回転速度設定工程)。
【0061】
制御装置40の作業実行制御部40aは、リール23の回転速度Wを設定したら、ベース部移動機構41の作動制御を行い、ベース部14を左方に移動させて(図9(a)及び図9(b)中に示す矢印F2)、押し付けツール22の左端が次に(これから)ACFテープ4の切片4Sを貼着しようとしている基板2上の貼着対象部位Saの左端の直上に位置するように、ベース部14の位置決めを行うとともに(図9(b))、その間、テープ搬送部24の作動制御を行ってテープ部材Tpを搬送させて引っ張り(図9(a)中に示す矢印G)、先頭部の切片4Sを押し付けツール22の直下の領域Rgに引き入れる(図9(b)及び図4)。
【0062】
これにより、基板2上に貼着されたACFテープ4の切片4Sの上面に貼り付いているセパレータSpは、剥離用ローラ26によって上方に引っ張り上げられつつ、テープ搬送部24によって搬送される(左方に引っ張られる)ので、基板2上の貼着対象部位Saに貼着されたACFテープ4の切片4SからセパレータSpが剥離される(図9(a)→図9(b)。図6に示すステップST18のセパレータの剥離を兼ねたベース部位置決め工程)。また、この間において昇降ローラ33bは規定位置Jから上昇するので(図9(a)→図9(b)。図9(a)中に示す矢印E2)、リール23の回転規制は解除される。
【0063】
制御装置40の作業実行制御部40aは、セパレータSpの剥離を兼ねたベース部14の位置決めを行ったら、ステップST4に戻ってACFテープ4の切片4Sの位置決めを行う(図9(b))。このステップST18を経過した後に行うステップST4のACFテープ4の切片4Sの位置決めでは、ステップST18で行うテープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送動作を継続し、テープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送量がACFテープ4の切片4Sの長さLs分に達したところでテープ部材Tpの搬送動作を停止させるようにする。なお、このテープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送によって昇降ローラ33bはローラ移動溝14a内を上昇し、ACFテープ4の切片4Sの長さLs分だけテープ部材Tpが搬送されたところでは、昇降ローラ33bは規定位置Jから距離Dm(=Ls/2)だけ上方の位置である上昇位置J1に位置する(図9(b)及び図4)。
【0064】
このステップST18を経過した後に行うステップST4では、ステップST18で設定した回転速度W(すなわちテープ部材Tpの巻き付け半径Rが大きいときほど小さい値に設定された回転速度W)でリール23の回転を行うので、リール23から繰り出されるテープ部材Tpの繰り出し速度はリール23に巻き付けられたテープ部材Tpの巻き付け半径(すなわちテープ部材Tpの残量)によらず一定となり、テープ部材Tpは安定的な供給がなされる。
【0065】
一方、制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST14で、基板2上にACFテープ4の切片4Sの貼着を行う貼着対象部位Saがなかった場合には、ベース部14を左方に移動させつつ、テープ搬送部24によりテープ部材Tpの搬送を行わせることによって、基板2上の貼着対象部位Saに貼着されたACFテープ4の切片4SからセパレータSpを剥離させる(図6に示すステップST19のセパレータの剥離工程)。なお、このステップST19では、制御装置40の作業実行制御部40aは、セパレータSpの剥離を行うことができる程度の移動量だけベース部14を移動させるようにする。
【0066】
制御装置40の作業実行制御部40aは、ステップST19においてセパレータSpの剥離を行ったら、図示しない基板搬出機構によって、基板保持部12に保持された基板2(ACFテープ4の切片4Sの貼着が終了した基板2)を下流側に設置された他の装置(例えば仮圧着装置)に搬出する(図6に示すステップST20の基板搬出工程)。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態におけるテープ貼着装置1は、リール23がACFテープ4の切片4Sの長さLs分のテープ部材Tpを繰り出すときに回転したリール23の回転角度φを検出する回転角度検出手段(回転位置検出センサ44及び制御装置40の回転角度算出部40e)と、回転角度検出手段によって検出されたリール23の回転角度φ及びACFテープ4の切片4Sの長さLsからリール23に巻き付けられたテープ部材Tpの巻き付け半径Rを算出する巻き付け半径算出手段(制御装置40の巻き付け半径算出部40f)と、巻き付け半径算出手段により算出されたテープ部材Tpの巻き付け半径Rが大きいときほど小さい回転速度Wでリール23を回転させるリール回転制御手段(制御装置40の作業実行制御部40a)を備えたものとなっている。
【0068】
また、本実施の形態におけるテープ貼着方法は、上記テープ貼着装置1によるテープ貼着方法であり、(1)リール23がACFテープ4の切片4Sの長さ分のテープ部材Tpを繰り出すときに回転したリール23の回転角度φを検出する工程(ステップST15の回転角度検出工程)、(2)検出したリール23の回転角度φ及びACFテープ4の切片4Sの長さLsからリール23に巻き付けられたテープ部材Tpの巻き付け半径Rを算出する工程(ステップST16の巻き付け半径算出工程)、(3)算出したテープ部材Tpの巻き付け半径Rが大きいときほど小さい回転速度Wでリール23を回転させる工程(ステップST17のリール回転速度設定工程及びステップST8のリール回転駆動工程)を含むものとなっている。
【0069】
本実施の形態におけるテープ貼着装置1(テープ貼着方法)では、ACFテープ4の切片4Sの長さLs及びそのACFテープ4の切片4Sの長さLs分のテープ部材Tpを繰り出すときに回転したリール23の回転角度φからリール23に巻き付けられたテープ部材Tpの巻き付け半径Rを算出し、テープ部材Tpの巻き付け半径Rが大きいときほど小さい回転速度Wでリール23を回転させるようになっているので、リール23から繰り出されるテープ部材Tpの繰り出し速度(このテープ部材Tpの繰り出し速度は、昇降ローラ33bのローラ移動溝14a内での昇降速度に対応する)はリール23に巻き付けられたテープ部材Tpの巻き付け半径R、すなわちテープ部材Tpの残量によらず一定とすることができ、テープ部材Tpを安定的に供給してACFテープ4の切片4Sの基板2への取り付け精度を高めることができる。
【0070】
また、本実施の形態におけるテープ貼着装置1(テープ貼着方法)では、リール23より繰り出されたテープ部材Tpが弛まないようにベース部14上を移動してテープ部材Tpに張力を与え、テープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送が停止された状態でのリール23からのテープ部材Tpの繰り出し量がACFテープ4の切片4Sの長さLsに等しくなったときに規定の位置(規定位置J)に位置する張力付与部材としての昇降ローラ33bと、昇降ローラ33bが規定位置Jに位置した状態を検出する張力付与部材検出センサとしてのローラ検出センサ43を備え、上記回転位置検出手段は、ACFテープ4を繰り出す前のリール23の回転位置と、ACFテープ4の切片4Sがベース部14に対して固定された状態でリール23からACFテープ4を繰り出し、ローラ検出センサ43によって昇降ローラ33bが規定位置Jに位置した状態が検出されたときのリール23の回転位置との角度差に基づいて、ACFテープ4の切片4Sの長さLs分のテープ部材Tpを繰り出すときに回転したリール23の回転角度φを検出するようになっているので、簡単な構成によってリール23の回転角度φを検出することができる。
【0071】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、テープ切断部25によるACFテープ4の切断位置Mは、テープ部材Tpの押し付けツール22の左端の直下の位置からテープ部材Tpに沿った距離がACFテープ4の切片4Sの長さLsの整数倍の長さとなる位置に設けられていたが、これは、先頭部の切片4Sの後端Pが待機位置にある押し付けツール22の左端の直下に位置する状態(すなわち押し付けツール22によるACFテープ4の切片4Sの押し付けを行う直前の状態)でACFテープ4の切断を行うことができるようにしたためであり、このようなタイミングでACFテープ4の切断を行うのでなければ、テープ切断部25によるACFテープ4の切断位置Mは必ずしも本実施の形態に示した位置に位置していなくてもよい。
【0072】
また、上述の実施の形態では、リール23からのテープ部材Tpの繰り出しを、ACFテープ4の切片4Sを押し付けツール22によって基板2に押し付けている間に行うようになっており、これにより、押し付けツール22によるACFテープ4の切片4Sの押し付け時間を利用してテープ部材Tpの繰り出し動作を行うことができるという効果が得られるが、テープ部材Tpの繰り出し動作はテープ搬送部24によるテープ部材Tpの搬送が停止された状態であれば行うことができ(テープ部材Tpの搬送を停止させた状態でリール23からテープ部材Tpを繰り出せば昇降ローラ33bはローラ移動溝14a内を下降する)、必ずしもACFテープ4の切片4Sを押し付けツール22によって基板2に押し付けている間でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
テープ部材の残量によらずテープ部材を安定的に供給してACFテープの切片の基板への取り付け精度を高めることができるテープ貼着装置及びテープ貼着方法を提供する。
【符号の説明】
【0074】
1 テープ貼着装置
2 基板
4 ACFテープ
4S 切片
12 基板保持部
14 ベース部
21 ツール昇降シリンダ(押し付けツール昇降手段)
22 押し付けツール
23 リール
24 テープ搬送部
25 テープ切断部
33b 昇降ローラ(張力付与部材)
40a 作業実行制御部(リール回転制御手段)
40e 回転角度算出部(回転角度検出手段)
40f 巻き付け半径算出部(巻き付け半径算出手段)
43 ローラ検出センサ(張力付与部材検出手段)
44 回転位置検出センサ(回転角度検出手段)
Sp セパレータ
Tp テープ部材
Ls ACFテープの切片の長さ
Rg 押し付けツールの直下の領域
φ リールの回転角度
R テープ部材の巻き付け半径
W 回転速度
Sa 貼着対象部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持する基板保持部と、基板保持部の上方に設けられたベース部と、ベース部に対して昇降自在に設けられた押し付けツールと、ベース部に設けられ、異方性導電膜から成るACFテープの片面にセパレータが取り付けられたテープ部材が巻き付けられたリールと、リールの回転によって繰り出されるテープ部材が押し付けツールの直下の領域を水平方向に延びるように案内してテープ部材の搬送を行うテープ搬送部と、リールより繰り出されたテープ部材からACFテープを切断してテープ部材上にACFテープの切片を形成するテープ切断部と、セパレータ上に形成されたACFテープの切片を基板保持部に保持された基板上の貼着対象部位の直上の位置に位置させた状態で押し付けツールを下降させ、ACFテープの切片を基板上の貼着対象部位に押し付けて貼着する押し付けツール昇降手段とを備えたテープ貼着装置であって、
リールがACFテープの切片の長さ分のテープ部材を繰り出すときに回転したリールの回転角度を検出する回転角度検出手段と、
回転角度検出手段によって検出されたリールの回転角度及びACFテープの切片の長さからリールに巻き付けられたテープ部材の巻き付け半径を算出する巻き付け半径算出手段と、
巻き付け半径算出手段により算出されたテープ部材の巻き付け半径が大きいときほど小さい回転速度でリールを回転させるリール回転制御手段とを備えたことを特徴とするテープ貼着装置。
【請求項2】
リールより繰り出されたテープ部材が弛まないようにベース部上を移動してテープ部材に張力を与え、テープ搬送部によるテープ部材の搬送が停止された状態でのリールからのテープ部材の繰り出し量がACFテープの切片の長さに等しくなったときに規定の位置に位置する張力付与部材と、
張力付与部材が前記規定の位置に位置した状態を検出する張力付与部材検出手段とを備え、
回転角度検出手段は、ACFテープを繰り出す前のリールの回転位置と、ACFテープの切片がベース部に対して固定された状態でリールからACFテープを繰り出し、張力付与部材検出手段によって張力付与部材が前記規定の位置に位置した状態が検出されたときのリールの回転位置との角度差に基づいて、ACFテープの切片の長さ分のテープ部材を繰り出すときに回転したリールの回転角度を検出することを特徴とする請求項1に記載のテープ貼着装置。
【請求項3】
基板を保持する基板保持部と、基板保持部の上方に設けられたベース部と、ベース部に対して昇降自在に設けられた押し付けツールと、ベース部に設けられ、異方性導電膜から成るACFテープの片面にセパレータが取り付けられたテープ部材が巻き付けられたリールと、リールの回転によって繰り出されるテープ部材が押し付けツールの直下の領域を水平方向に案内してテープ部材の搬送を行うテープ搬送部と、リールより繰り出されたテープ部材からACFテープを切断してテープ部材上にACFテープの切片を形成するテープ切断部とを備え、セパレータ上に形成されたACFテープの切片を基板保持部に保持された基板上の貼着対象部位の直上の位置に位置させた状態で押し付けツールを下降させ、ACFテープの切片を基板上の貼着対象部位に押し付けて貼着するテープ貼着装置におけるテープ貼着方法であって、
リールがACFテープの切片の長さ分のテープ部材を繰り出すときに回転したリールの回転角度を検出する工程と、
検出したリールの回転角度及びACFテープの切片の長さからリールに巻き付けられたテープ部材の巻き付け半径を算出する工程と、
算出したテープ部材の巻き付け半径が大きいときほど小さい回転速度でリールを回転させる工程とを含むことを特徴とするテープ貼着方法。
【請求項4】
テープ貼着装置は、リールより繰り出されたテープ部材が弛まないようにベース部上を移動してテープ部材に張力を与え、テープ搬送部によるテープ部材の搬送が停止された状態でのリールからのテープ部材の繰り出し量がACFテープの切片の長さに等しくなったときに規定の位置に位置する張力付与部材と、
張力付与部材が前記規定の位置に位置した状態を検出する張力付与部材検出手段とを備え、
ACFテープを繰り出す前のリールの回転位置と、ACFテープの切片がベース部に対して固定された状態でリールからACFテープを繰り出し、張力付与部材検出手段によって張力付与部材が前記規定の位置に位置した状態が検出されたときのリールの回転位置との角度差に基づいて、ACFテープの切片の長さ分のテープ部材を繰り出すときに回転したリールの回転角度を検出することを特徴とする請求項3に記載のテープ貼着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−114323(P2012−114323A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263366(P2010−263366)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】