説明

ディーゼルエンジンの運転制御方法及びディーゼルエンジンの運転制御装置

【課題】排ガス後処理装置の作動が停止しても、排ガス規制の規定値を満たしつつ、運転が可能なディーゼルエンジンの運転制御方法及びディーゼルエンジンの運転制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン1の回転数と出力との関係において、排ガス後処理装置30の作動領域WG及び非作動領域UWが設定されている。排ガス後処理装置30の非作動領域UWは、複数個所に設定されている。エンジン1の運転が可能な作動領域WEは、エンジン1の回転数と出力との関係において、回転数及び出力が共に値0を含み、かつ、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内に設定されている。エンジン1の作動領域WEは、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内に含まれているため、排ガス後処理装置30の作動が停止していても排ガス規制の規定値を満たすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスを処理する排ガス後処理装置を備えたディーゼルエンジンの運転制御方法及びディーゼルエンジンの運転制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンよりも燃費に優れていることから、船舶、自動車等に広く用いられている。しかし、排ガス中に含まれている未燃焼燃料などのPM(Paticulate Matter:粒子状物質)や、窒素酸化物として知られているNO(NO、NO等)などが問題になっている。そこで、排気流路に排ガス後処理装置を設けて、排ガスからこれらを除去する方法が、例えば、特許文献1に開示されている。
ところで、排ガス後処理装置が故障したり、性能が劣化したりすると、排ガス後処理装置を通って大気中に放出される排ガスが、排ガス規制の規定値を満たさなくなるおそれがある。このため、排ガス後処理装置が故障等すると排ガス後処理装置を非作動とするとともに、ディーゼルエンジンも停止させるような安全装置を設けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−144525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、排ガス後処理装置が故障等したときに安全装置が作動してディーゼルエンジンが停止すると、ディーゼルエンジンが船舶の主機関に用いられている場合においては、船舶の姿勢を制御できなくなって転覆したり、漂流したりするおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題を解決するものであって、排ガス後処理装置の作動が停止しても排ガス規制の規定値を満たしつつ、運転が可能なディーゼルエンジンの運転制御方法及びディーゼルエンジンの運転制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決する本発明に係るディーゼルエンジンの運転制御方法は、排ガスの浄化を行う排ガス後処理装置を有するディーゼルエンジンの運転制御方法であって、
前記ディーゼルエンジンの回転数と前記ディーゼルエンジンの出力との関係において、前記回転数及び前記出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域を前記ディーゼルエンジンの運転が可能な作動領域として設定し、
前記排ガス後処理装置の作動が停止したとき、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限して前記回転数及び前記出力を前記作動領域内とし、前記ディーゼルエンジンの運転、停止、再起動の何れかを実施可能とすることを特徴とする。
【0007】
上記ディーゼルエンジンの運転制御方法によれば、ディーゼルエンジンの回転数及び出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域を運転が可能な作動領域として設定し、回転数及び出力が当該作動領域内となるように回転数及び出力を制限するため、排ガス後処理装置の作動が停止してもディーゼルエンジンを運転することができる。この作動領域内でディーゼルエンジンを作動させた際の排ガス値は、排ガス規制の規定値を満たすように予めディーゼルエンジンの性能をマッチングしておくので、規定値以上に粒子物質やNOxが大気中に放出されることはない。また、作動領域は、回転数及び出力が共に値0を含んでいるため、ディーゼルエンジンを停止、及び再起動することができる。
【0008】
また、前記作動領域は、前記回転数と前記出力との関係において、前記排ガス後処理装置が作動しない領域として設定された複数の非作動領域のうちの一つに含まれていてもよい。
【0009】
排ガス後処理装置には、回転数と出力との関係において、排ガス後処理装置が作動しない非作動領域が設定されている。この非作動領域は、例えば、回転数及び出力が共に低い領域、回転数及び出力が共に高い領域、回転数が高くて出力が低い領域等に複数、設けられている。これらの非作動領域では、排ガス後処理装置が作動しなくても排ガス値は排ガス規制の規定値を満たすようにディーゼルエンジンの性能がマッチングされている。そして、本発明に係るディーゼルエンジンの運転が可能な作動領域は、排ガス後処理装置の非作動領域内に含まれているため、排ガス後処理装置の作動が停止していても排ガス規制の規定値を満たすことができる。さらに、排ガス後処理装置の非作動領域内に、ディーゼルエンジンの作動領域を設けることで、排ガス規制の規定値を満たすように新たにディーゼルエンジンの性能をマッチングする必要がない。
【0010】
また、前記排ガス後処理装置の作動が停止したときに、前記排ガス後処理装置よりも上流側の排ガス排気系統から排ガスを分岐し、前記排ガス後処理装置をバイパスして排ガスを下流側へ送給してもよい。
【0011】
このように、排ガス後処理装置をバイパスさせて排ガスを排出するため、排ガスが排ガス後処理装置内を通過しない。このため、エンジンの運転中でも排ガス後処理装置を補修することが可能となる。
【0012】
また、前記ディーゼルエンジンは、前記排ガス後処理装置よりも下流側の排ガス排気系統に排ガスセンサを備えており、
前記排ガスセンサの検出結果に基づいて、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限することとしてもよい。
【0013】
このように、排ガス後処理装置の下流側に排ガスセンサを備えているため、排ガス後処理装置の異常を検出することができる。排ガスセンサによる検出結果が、予め設定された所定範囲内に含まれている場合、排ガス後処理装置は正常に作動していると判断する。つまり、排ガスセンサによる検出結果が、所定範囲を超えている場合や所定範囲よりも小さい場合、排ガス後処理装置の機能が低下していると判断する。例えば、排ガス後処理装置の機能が低下した場合、粒子物質やNOxが正常なときよりもやや多く検出される。また、排ガス後処理装置から排ガスが漏れていると、粒子物質やNOxがほとんど検出されなくなる。
ところで、排ガス後処理装置の機能が低下している場合には、排ガス後処理装置本体で機能の低下を検出することができるのが一般的である。しかし、何らかの理由によって排ガス後処理装置本体で機能の低下を検知できない場合のバックアップとして排ガスセンサを用いることにより、粒子物質やNOxを含む排ガスの放出を確実に防止することができる。
【0014】
また、本発明は、排ガスの浄化を行う排ガス後処理装置を有するディーゼルエンジンの運転制御装置であって、
前記ディーゼルエンジンの作動を制御するエンジン制御部と、前記排ガス後処理装置の作動を制御する排ガス後処理制御部と、を備え、
前記エンジン制御部は、前記排ガス後処理制御部からの前記排ガス後処理装置の停止信号を受信したとき、前記回転数及び前記出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域になるように、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限する制限部を有することを特徴とする。
【0015】
上記ディーゼルエンジンの運転制御装置によれば、制限部は、排ガス後処理装置の作動が停止したときに、ディーゼルエンジンの回転数及び出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域になるように回転数及び出力の少なくとも一方を制限するため、排ガス後処理装置の作動が停止してもディーゼルエンジンを運転することができる。この作動領域内でディーゼルエンジンを作動させた際の排ガス値は、排ガス規制の規定値を満たすように予めディーゼルエンジンの性能をマッチングしておくので、規定値以上に粒子物質やNOxが大気中に放出されることはない。また、低回転及び低出力領域若しくは低出力領域は、回転数及び出力が共に値0を含んでいるため、ディーゼルエンジンを停止、再起動することもできる。
【0016】
また、前記低回転及び低出力領域若しくは前記低出力領域は、前記回転数と前記出力との関係において、前記排ガス後処理装置が作動しない領域として設定された複数の非作動領域のうちの一つに含まれていてもよい。
【0017】
排ガス後処理装置には、回転数と出力との関係において、排ガス後処理装置が作動しない非作動領域が設定されている。この非作動領域は、例えば、回転数及び出力が共に低い領域、回転数及び出力が共に高い領域、回転数が高くて出力が低い領域等に複数、設けられている。これらの非作動領域では、排ガス後処理装置が作動しなくても排ガス値は排ガス規制の規定値を満たすようにディーゼルエンジンの性能がマッチングされている。そして、本発明に係るディーゼルエンジンの運転が可能な低回転及び低出力領域若しくは低出力領域は、排ガス後処理装置が作動しない非作動領域内に含まれているため、排ガス後処理装置の作動が停止していても排ガス規制の規定値を満たすことができる。さらに、排ガス後処理装置の非作動領域内に、ディーゼルエンジンの運転が可能な低回転及び低出力領域若しくは低出力領域を設けることで、排ガス規制の規定値を満たすように新たにディーゼルエンジンの性能をマッチングする必要がない。
【0018】
また、前記排ガス後処理装置よりも上流側の排ガス排気系統から分岐され、前記排ガス後処理装置をバイパスして排ガスを下流側へ送給するバイパス流路を更に備えていてもよい。
【0019】
このように、排ガス後処理装置をバイパスさせて排ガスを排出するため、排ガスが排ガス後処理装置内を通過しない。このため、エンジンの運転中でも排ガス後処理装置を補修することが可能となる。
【0020】
また、前記排ガス後処理装置よりも下流側の排ガス排気系統に設けられた排ガスセンサを更に備えており、
前記制限部は、前記排ガスセンサの検出結果に基づいて、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限してもよい。
【0021】
このように、排ガス後処理装置の下流側に排ガスセンサを備えているため、排ガス後処理装置の異常を検出することができる。排ガスセンサによる検出結果が、予め設定された所定範囲内に含まれている場合、排ガス後処理装置は正常に作動していると判断する。つまり、排ガスセンサによる検出結果が、所定範囲を超えている場合や所定範囲よりも小さい場合、排ガス後処理装置の機能が低下していると判断する。例えば、排ガス後処理装置の機能が低下した場合、粒子物質やNOxが正常なときよりもやや多く検出される。また、排ガス後処理装置から排ガスが漏れていると、粒子物質やNOxがほとんど検出されなくなる。
ところで、排ガス後処理装置の機能が低下している場合には、排ガス後処理装置本体で機能の低下を検出することができるのが一般的である。しかし、何らかの理由によって排ガス後処理装置本体で機能の低下を検知できない場合のバックアップとして排ガスセンサを用いることにより、粒子物質やNOxを含む排ガスの放出を確実に防止することができる。
【0022】
また、燃料を供給する機械式ポンプと、前記機械式ポンプの燃料噴射量を調整可能なラックを制御するラック制御装置と、を更に備えることとしてもよい。
【0023】
このように、ラック制御装置を備えているため、機械式ポンプの燃料供給量を制御することができる。これにより、ディーゼルエンジンの出力を制限することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、排ガス後処理装置の作動が停止しても、排ガス規制の規定値を満たしつつ、運転が可能なディーゼルエンジンの運転制御方法及びディーゼルエンジンの運転制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第一実施形態に係るディーゼルエンジンの概略構成図である。
【図2】排ガス後処理装置の不作動領域及びエンジンの作動領域を示す図である。
【図3】本実施形態に係るエンジンの概略系統図である。
【図4】制御装置の制御フローを示す図である。
【図5】本発明の第二実施形態に係るエンジンの系統図である。
【図6】本発明の第三実施形態に係る排ガス後処理装置の不作動領域及びエンジンの作動領域を示す図である。
【図7】本実施形態に係るエンジンの概略図である。
【図8】排ガス後処理装置が作動しているときのラックの移動範囲を示す概念図である。
【図9】排ガス後処理装置の作動が停止しているときのラックの移動範囲を示す概念図である。
【図10】制御装置の制御フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るディーゼルエンジンの運転制御装置及びその運転制御方法について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0027】
図1は、本発明の第一実施形態に係るディーゼルエンジンの概略構成図である。
図1に示すように、ディーゼルエンジン(以下、エンジン1という)は、排気タービン2とこれに同軸駆動されるコンプレッサ4を有する排気ターボ過給機6を備えており、該排気ターボ過給機6のコンプレッサ4から吐出された空気は空気管8を通って空気冷却器10に入る。この空気冷却器10で冷却された空気は、吸気スロットルバルブ12で吸気流量が制御された後、吸気マニホールドを通り、シリンダ毎に設けられた吸気ポートからエンジン1の燃焼室内に吸入される。
【0028】
エンジン1は、燃料の噴射時期及び噴射量が制御装置50によって電子制御されており、かかる噴射時期及び噴射量にてシリンダ毎に設けられた燃料噴射弁16から燃焼室内に噴射される。また、燃料ポンプ18で加圧された高圧燃料がコモンレール20内に貯溜され、該コモンレール20から燃料が噴射時期及び噴射量を制御されて燃料噴射弁16に供給されるようになっている。これら燃料噴射弁16、燃料ポンプ18、コモンレール20によって燃料噴射量を電子的に制御する燃料噴射装置が構成されている。
【0029】
また、排気通路22の途中から、EGR(排ガス再循環)管24が分岐されて、排ガスの一部(EGRガス)がEGR管24を通り、EGRクーラ26で降温され、吸気スロットルバルブ12の下流部位の吸気マニホールドにEGRバルブ28を介して投入されるようになっている。ただし、EGR管24を通り、EGRクーラ26で降温され、吸気スロットルバルブ12までの構成は、本発明には必ずしも必須の装置ではない。
【0030】
エンジン1の燃焼室で燃焼された燃焼ガス、即ち排ガスは排気通路22を通って、排気ターボ過給機6の排気タービン2を駆動してコンプレッサ4の動力源となった後、排気通路36を通って排ガス後処理装置30に入る。
排ガス後処理装置30は、DPF(Diesel Particulate Filter)32と、その下流側のSCR(選択触媒還元)触媒34と、によって構成されている。排ガス後処理装置30に入った排ガスは、まず、DPF32に入る。DPF32では、排ガス中に含まれるPMが捕捉される。DPF32を通過した排ガスは、尿素水が吹き付けられてSCR触媒34に入る。SCR触媒34では、排ガス中に含まれるNOxが低減される。そして、NOxの低減された排ガスは、排気通路38を通って大気中へ放出される。
【0031】
なお、本実施形態では、排ガス後処理装置30として、DPF32とSCR触媒34とを組み合わせて用いた場合について説明したが、この組み合わせに限定されるものではなく、別途、DOC(ディーゼル酸化触媒)を用いてもよく、DOCとSCR触媒34とDPF32とを適宜組み合わせて使用することができる。
【0032】
排気通路36及び排気通路38には、それぞれ排ガスの流れる方向を切換える三方弁40、42が取り付けられている。また、両端がそれぞれ各三方弁40、42に接続されたバイパス通路44が設けられている。両三方弁40、42は、排ガス後処理装置30の作動が停止したときに、排ガス後処理装置30をバイパスして排ガスを下流側へ流すように切り換えられる。具体的には、排ガス後処理装置30の作動が停止すると、三方弁40を切り換えて排気通路36を流れる排ガスをバイパス通路44へ流すとともに、三方弁42も切り換えてバイパス通路44を流れる排ガスを排気通路38へ流す。これにより、DPF32が目詰まりしても、DPF32内の圧力が上昇して損傷することを防止できる。
【0033】
図2は、排ガス後処理装置30の不作動領域及びエンジン1の作動領域を示す図である。
図2に示すように、エンジン1の回転数と出力との関係において、排ガス後処理装置30の作動領域WG及び非作動領域UWが設定されている。排ガス後処理装置30の非作動領域UWは、複数個所に設定されている。非作動領域UWは、例えば、回転数及び出力が共に低い領域、回転数が高くて出力が低い領域等に設けられている。これらの非作動領域UWでは、排ガス後処理装置30が作動しなくても排ガス値は排ガス規制の規定値を満たすようにエンジン1の性能がマッチングされている。
【0034】
排ガス後処理装置30の作動が停止した状態でエンジン1の運転が可能な作動領域WE(図2中のハッチング部分)は、エンジン1の回転数と出力との関係において、回転数及び出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域に設定されている。また、エンジン1の作動領域WEは、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内に設定されている。エンジン1の作動領域WEは、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内に含まれているため、排ガス後処理装置30の作動が停止していても排ガス規制の規定値を満たすことができる。
排ガス後処理装置30の作動が停止するとき、エンジン1の回転数及び出力が作動領域WE内となるように、制御装置50がエンジン1の回転数及び出力を制御する。これにより、排ガス後処理装置30の作動が停止してもエンジン1を停止させることなく運転可能である。また、エンジン1の作動領域WEは、回転数及び出力が共に値0を含んでいるため、エンジン1を停止、及び再起動させることも可能である。
【0035】
図3は、本実施形態に係るエンジン1の概略系統図である。
図3に示すように、エンジン1の制御装置50は、排ガス後処理制御部13と、エンジン制御部14とを備えている。排ガス後処理制御部13には、尿素水の濃度信号、DPF32の圧力信号等が入力されている。また、エンジン制御部14には、エンジン1の出力信号及び回転数信号が入力されている。エンジン制御部14は、エンジン1の出力及び回転数を制限する制限部15を有している。
ところで、排ガス後処理装置30が断線等によって故障すると、DPF32やSCR触媒34は正常でも、尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が出力されなくなる。排ガス後処理制御部13は、尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が入力されなくなることで、排ガス後処理装置30の故障を検知する。
一方、排ガス後処理装置30本体は正常であるが、DPF32やSCR触媒34に不具合が生じると、排ガス後処理装置30は、機能不全信号を排ガス後処理制御部13へ出力する。機能不全信号は、例えば、DPF32の目詰まりによる圧力の異常を検知した場合、尿素水の濃度の低下や尿素水の品質の劣化を検知した場合等に出力される。つまり、機能不全信号は、排ガス後処理装置30本体は正常であるが、排ガス後処理装置30に含まれる各機器に異常が発生した場合に出力される。排ガス後処理制御部13は、排ガス後処理装置30からの機能不全信号によって、排ガス後処理装置30の一部に機能不全が生じたことを検知する。
【0036】
排ガス後処理装置30の故障又は機能不全を検知した排ガス後処理制御部13は、排ガス後処理装置30を停止するための停止信号を出力するとともに、排ガス後処理装置30の作動が停止する旨の信号Aをエンジン制御部14へ出力する。
排ガス後処理装置30の作動が停止する旨の信号Aはエンジン制御部14に入力される。そして、この信号Aに基づいて制限部15が、エンジン1の回転数を制限する回転数制限信号と、エンジン1の出力を制限すべく燃料の最大噴射量を制限する最大噴射量制限信号をエンジン1へ出力する。これらの信号が入力されたエンジン1は、エンジン1の回転数及び燃料の最大噴射量を電子的に制御して、エンジン1の回転数及び出力を直ちに作動領域WE内とする。
また、排ガス後処理制御部13は、排ガスが排ガス後処理装置30を通過しないように、三方弁40、42を切り換える切換信号を出力する。これにより、排ガスは、バイパス通路44及び排気通路38を流れて放出される。
【0037】
次に、制御装置50の制御フローについて説明する。
図4は、制御装置50の制御フローを示す図である。図4に示すように、まず、排ガス後処理装置30が故障しているか否かを判定する(ステップS10)。当該判定は、排ガス後処理制御部13にて行う。排ガス後処理制御部13に尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が入力されている場合、排ガス後処理装置30は故障していないと判定してステップS12を実施する。
【0038】
ステップS12では、排ガス後処理装置30が機能不全状態か否かを判定する。当該判定は、排ガス後処理制御部13にて行う。排ガス後処理制御部13に機能不全信号が入力されていない場合、排ガス後処理装置30は機能不全状態ではないと判定してステップS14を実施する。
【0039】
ステップS14では、バイパス通路44に排ガスが流れないように、三方弁40、42をOFF(即ちバイパス通路44側の弁を閉じた)状態にする。上述したステップS10、S12より、排ガス後処理装置30は正常に作動しているため、排ガスをバイパスする必要が無いからである。
【0040】
一方、ステップS10で、排ガス後処理制御部13に尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が入力されない場合、排ガス後処理装置30は故障していると判定し、排ガス後処理装置30を停止する停止信号を出力するとともに、ステップS16を実施する。
また、ステップS12で、排ガス後処理制御部13に機能不全信号が入力された場合、排ガス後処理装置30は機能不全状態であると判定し、排ガス後処理装置30を停止する停止信号を出力するとともに、ステップS16を実施する。
【0041】
ステップS16では、制限部15がエンジン1の回転数を制限する。これにより、エンジン1の回転数は作動領域WE内に制限される。
【0042】
続いて、制御部15が燃料の噴射量を制限するとともに、燃料の最大噴射量を排ガス後処理装置13が正常に作動していたときよりも低く設定する(ステップS18)。これにより、エンジン1の出力は作動領域WE内に制限される。回転数及び出力をエンジン1の作動領域WE内に制限することで、排ガス後処理装置30の作動が停止した状態でも、エンジン1を運転することができる。この状態で排出される排ガス値は、排ガス規定を満たしている。
【0043】
次に、バイパス通路44に排ガスが流れるように、三方弁40、42をON(即ちバイパス通路44側の弁を開いた)状態にする(ステップS20)。これにより、排ガス後処理装置30をバイパスさせて排ガスを放出することができる。
【0044】
上述したように、本実施形態に係るエンジン1の運転制御方法によれば、エンジン1の回転数及び出力が共に値0を含む領域を作動領域WEとして設定し、回転数及び出力が当該作動領域WE内となるように回転数及び出力を制限するため、排ガス後処理装置30の作動が停止してもエンジン1を運転することができる。この作動領域WE内でエンジン1を作動させた際の排ガス値は、排ガス規制の規定値を満たすように予めエンジン1の性能をマッチングしておくので、粒子物質やNOxが規定値以上に大気中に放出されることはない。また、作動領域WEは、回転数及び出力が共に値0を含んでいるため、エンジン1を停止、及び再起動することができる。
【0045】
そして、排ガス後処理装置30には、回転数と出力との関係において、排ガス後処理装置30が作動しない非作動領域UWが設定されている。この非作動領域UWは、例えば、回転数及び出力が共に低い領域、回転数が高くて出力が低い領域等に複数、設けられている。これらの非作動領域UWでは、排ガス後処理装置30が作動しなくても排ガス値は排ガス規制の規定値を満たすようにエンジン1の性能がマッチングされている。そして、本発明に係るエンジン1の作動領域WEは、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内に含まれているため、排ガス後処理装置30の作動が停止していても排ガス規制の規定値を満たすことができる。また、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内にエンジン1の作動領域WEを設けることで、排ガス規制の規定値を満たすように新たにエンジン1の性能をマッチングする必要がない。
【0046】
また、排ガス後処理装置30をバイパスさせて排ガスを排出するため、排ガスが排ガス後処理装置30内を通過しない。このため、エンジン1の運転中でも排ガス後処理装置30を補修することが可能となる。
【0047】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。以下の説明において、上記の実施形態に対応する部分には同一の符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。第二実施形態のエンジン1は、三方弁42の下流側に排ガスセンサを備えたものである。
【0048】
図5は、本発明の第二実施形態に係るエンジン1の系統図である。
図5に示すように、三方弁42の下流側に排ガスセンサ60を備えている。本実施形態では、排ガスセンサ60として、NOxの濃度を計測可能なNOxセンサを用いた。なお、排ガスセンサ60は、NOxセンサに限定されるものではなく、CO、CO、O、THC(全炭化水素)の濃度を計測するセンサを用いてもよいし、排ガスの温度を計測する温度センサを用いてもよい。要は、所望の測定対象物に応じたセンサを用いることができる。
【0049】
排ガスセンサ60は、NOxの濃度を計測し、その濃度が予め設定された所定範囲よりも大きい場合又は小さい場合に、異常信号をエンジン制御部14へ出力する。
例えば、排ガス後処理装置30の機能が低下した場合は、粒子物質やNOxの濃度が高くなる。また、排ガス後処理装置30から排ガスが漏れていると、粒子物質やNOxがほとんど検出されない。したがって、排ガスセンサ60による検出結果が、上記所定範囲内に含まれている場合、排ガス後処理装置30は正常に作動していると判断することができる。一方、排ガスセンサ60による検出結果が、上記所定範囲よりも大きい場合又は小さい場合、排ガス後処理装置30の機能が低下していると判断することができる。このような機能の低下は、一般的に排ガス後処理装置30本体で検知可能である。しかしながら、排ガス後処理装置30本体が機能の低下を検知できない場合(即ち排ガス後処理制御部13に、尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が入力され、且つ機能不全信号が入力されない場合)のバックアップとして排ガスセンサ60を用いる。すなわち、エンジン制御部14自身が独立して排ガス後処理装置30の故障を検出できる。
【0050】
排ガス後処理制御部13には、第一実施形態と同様に、通常時、尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が入力されている。また、排ガス後処理装置30が機能不全となった場合、機能不全信号が入力される。
【0051】
排ガス後処理制御部13に、尿素水の濃度信号やDPF32の圧力信号等が入力され、且つ機能不全信号が入力されない場合であっても、排ガスセンサ60からの異常信号がエンジン制御部14に入力されたら、エンジン制御部14の制限部15が、エンジン1の回転数を制限する回転数制限信号と、エンジン1の出力を制限すべく燃料の最大噴射量を制限する最大噴射量制限信号をエンジン1へ出力して、エンジン1の回転数及び出力を直ちにエンジン1の作動領域WE内にする。
【0052】
上述したように、本実施形態に係るエンジン1の運転制御方法によれば、排ガス後処理装置30の下流側に排ガスセンサ60を備えているため、排ガス後処理装置30本体が機能の低下を検知できていない場合でも、排ガス後処理装置30の機能の低下をエンジン制御部14が検知することができる。このように、排ガスセンサ60をバックアップとして用いることで、粒子物質やNOxを含む排ガスの放出を確実に防止することができる。
【0053】
なお、上述した第一及び第二実施形態においては、排ガス後処理制御部13とエンジン制御部14とを備えた制御装置50を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、排ガス後処理制御部13を排ガス後処理装置30内に設け、エンジン制御部14をエンジン1内に設けてもよい。各制御部13、14を分割して設けることは、既設のエンジンに排ガス後処理装置30を新設する場合等に有効である。既設のエンジンを改良する際に、エンジン制御部14を既設のエンジンの制御部に組み込むとともに、排ガス後処理制御部13を備えた排ガス後処理装置30を新設することにより、本発明に係る運転を実行することが可能となる。
【0054】
また、第一及び第二実施形態においては、DPF32を備えているため、DPF32に目詰まりの機能不全が生じた場合を考慮して、排ガスのすべてをバイパスさせる場合について説明したが、必ずしもバイパスさせる必要はなく、機能不全の内容によっては、排ガスの一部を排ガス後処理装置30に流して、残りをバイパスさせることとしてもよい。
また、第一及び第二実施形態においては、排ガスをバイパスさせる場合について説明したが、例えば、排ガス後処理装置30がSCRのみから構成されているときは、尿素水の噴射を停止することにより、排ガス後処理装置30を非作動状態にすることができるため、バイパスさせなくてもよい。
【0055】
次に、本発明の第三実施形態について説明する。第三実施形態は、機械式燃料噴射装置を備えたエンジンを用いたものである。
【0056】
図6は、本発明の第三実施形態に係る排ガス後処理装置の不作動領域UW及びエンジンの作動領域WEを示す図である。
図6に示すように、エンジン1の運転が可能な作動領域WE(図6中のハッチング部分)は、エンジン1の回転数と出力との関係において、回転数及び出力が共に値0を含む低出力領域に設定されている。また、エンジン1の作動領域WEは、排ガス後処理装置30の非作動領域UW内に設定されている。本実施形態では、排ガス後処理装置30の作動が停止したとき、燃料噴射装置71のラック量を制限することで、エンジン1の出力を作動領域内にする。
【0057】
図7は、本実施形態に係る燃料噴射装置71の概略図である。
図7に示すように、本実施形態では、列型噴射ポンプ70を有する燃料噴射装置71を用いた。燃料噴射装置71は、列型噴射ポンプ70の燃料噴射量を調整するラック73と、ラック73を移動させるためのレバー72と、レバー72を介してラック73の移動範囲を制御するラック制御装置74と、を備えている。
【0058】
ラック73は、図中の左右方向に移動自在に列型噴射ポンプ70内に設けられている。また、ラック73の右端は、図示しないが、列型噴射ポンプ70内でレバー72に接続されている。ラック73は、通常、ガバナ76により制御されているが、レバー72を操作することにより、移動させることもできる。本実施例では、レバー72を図中の矢印と反対方向へ移動させるとラック73が移動して、燃料噴射量は増加する。一方、レバー72を矢印方向へ移動させると燃料噴射量は減少し、最右方へ移動すると燃料噴射量はゼロとなって燃料噴射装置71は燃料噴射を停止し、これに伴いエンジン1も停止する。
【0059】
ラック制御装置74は、第1ソレノイド78及び第2ソレノイド80と、両ソレノイド78、80の動作をレバー72に伝達するリンク部82と、から構成されている。
各ソレノイド78、80は、それぞれソレノイド78、80本体から外方へ移動自在なプランジャ78a、80aを有している。各プランジャ78a、80aの先端部には、それぞれ長孔78b、80bが形成されている。各長孔78b、80b内には、それぞれ当該長孔78b、80b内を摺動自在なピン78c、80cが挿入されている。
【0060】
リンク部82は、一端がレバー72に回動自在に接続された第1アーム84と、第1アーム84の他端に回動自在に連結された第2アーム86と、第2アーム86を支持する支持軸88と、支持軸88に接続された第3アーム90とから構成されている。
支持軸88は、回動自在に設けられているため、第2アーム86及び第3アーム90は、支持軸88を中心に回動することができる。
第2アーム86の中央部にはピン78cが接続されている。また、第3アーム90の端部にはピン80cが接続されている。
【0061】
第1ソレノイド78を作動させてプランジャ78aを図中の左右方向へ移動させると、プランジャ78aの移動に応じて第2アーム86が支持軸88を中心に回動するとともに、リンク機構で接続された第1アーム84も図中の左右方向へ移動するため、レバー72を操作することができる。
また、第2ソレノイド80を作動させてプランジャ80aを図中の上下方向へ移動させると、プランジャ80aの移動に応じて第3アーム90も上下方向へ移動する。この第3アーム90の移動に応じて第2アーム86が支持軸88を中心に回動するとともに、リンク機構で接続された第1アーム84も図中の左右方向へ移動するため、レバー72を操作することができる。
したがって、第1ソレノイド78及び第2ソレノイド80を作動させてプランジャ78a、80aを移動させることにより、レバー72を介してラック73を移動させることができる。即ち、燃料噴射量の制御が可能となる。
【0062】
図8は、排ガス後処理装置30が作動しているときのラック73の移動範囲を示す概念図である。また、図9は、排ガス後処理装置30の作動が停止しているときのラック73の移動範囲を示す概念図である。
図8に示すように、排ガス後処理装置30が作動しているときは、各ソレノイド78、80は作動しない。このときのラック73は、通常の移動範囲(列型噴射ポンプ70の設計範囲)Loffで摺動自在である。つまり、ラック73の移動は制限されていない。
一方、図9に示すように、排ガス後処理装置30の作動が停止したときは、各ソレノイド78、80の各プランジャ78a、80aのうち少なくとも一方を突出させて、レバー72を図7中の矢印方向に移動させることにより、ラック73の移動範囲Lon(<Loff)を制限する。つまり、ラック73の燃料噴射量増加方向(図9中の右方向)への移動を規制して燃料噴射量が予め設定された最大噴射量となるラック73の停止位置を規定する。したがって、燃料の噴射量が、ゼロから当該最大噴射量までとなるようにラック73の移動範囲Lonが制限される。
排ガス後処理装置30の作動が停止したときの燃料の最大噴射量は予め設計等によって決定される。
【0063】
次に、制御装置50の制御フローについて説明する。
図10は、制御装置50の制御フローを示す図である。図10に示すように、第一実施形態と同様に、排ガス後処理装置30が故障しているか否かを判定するステップS10からバイパス通路44に排ガスが流れないように三方弁40、42をOFF状態にするステップS14までを実施する。
【0064】
ステップS10及びステップS12で、それぞれ排ガス後処理装置30が故障していると判定されたとき、排ガス後処理装置30が機能不全状態であると判定されたときは、排ガス後処理装置30を停止するとともに、ステップS30を実施する。
【0065】
ステップS30では、制限部15が、第1ソレノイド78及び第2ソレノイド80を作動させて、ラック73の移動範囲を制限することで、エンジン71の出力を制限する。これにより、エンジン71の出力及び回転数がエンジン71の作動領域WE内となり、排ガス後処理装置30の作動が停止した状態でも、エンジン71を運転することができる。この状態で排出される排ガス値は、排ガス規定を満たしている。
【0066】
次に、第一実施形態と同様に、バイパス通路44に排ガスが流れるように、三方弁40、42をON状態にする(ステップS20)。これにより、排ガス後処理装置30をバイパスさせて排ガスを放出することができる。
【0067】
上述したように、本実施形態に係るエンジン1の運転制御方法によれば、エンジン1の回転数と出力との関係において、回転数及び出力が共に値0を含む領域をエンジン1の作動領域WEとして設定し、回転数及び出力が当該作動領域WE内となるように出力を制限するため、排ガス後処理装置30の作動が停止してもエンジン1を運転することができる。また、ラック制御装置74は後付けが可能なので、既設のエンジン1にラック制御装置74を新設することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、列型噴射ポンプ70を有する燃料噴射装置71を用いた場合について説明したが、列型噴射ポンプ70に限定されるものではなく、機械的に燃料の噴射量を調整可能なポンプであればよい。
【符号の説明】
【0069】
1 エンジン
2 排気タービン
4 コンプレッサ
6 排気ターボ過給機
8 空気管
10 空気冷却器
12 吸気スロットルバルブ
13 排ガス後処理制御部
14 エンジン制御部
15 制限部
16 燃料噴射弁
18 燃料ポンプ
20 コモンレール
22 排気通路
24 EGR管
26 EGRクーラ
28 EGRバルブ
30 排ガス後処理装置
32 DPF
34 SCR触媒
36、38 排気通路
40、42 三方弁
44 バイパス通路
50 制御装置
60 排ガスセンサ
70 列型噴射ポンプ
71 燃料噴射装置
72 レバー
73 ラック
74 ラック制御装置
76 ガバナ
78 第1ソレノイド
78a プランジャ
78b 長孔
78c ピン
80 第2ソレノイド
80a プランジャ
80b 長孔
80c ピン
82 リンク部
84 第1アーム
86 第2アーム
88 支持軸
90 第3アーム
WE エンジンの作動領域
WG 排ガス後処理装置の作動領域
UW 排ガス後処理装置の非作動領域
A 排ガス後処理装置の作動が停止する旨の信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスの浄化を行う排ガス後処理装置を有するディーゼルエンジンの運転制御方法であって、
前記ディーゼルエンジンの回転数と前記ディーゼルエンジンの出力との関係において、前記回転数及び前記出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域を前記ディーゼルエンジンの運転が可能な作動領域として設定し、
前記排ガス後処理装置の作動が停止したとき、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限して前記回転数及び前記出力を前記作動領域内とし、前記ディーゼルエンジンの運転、停止、再起動の何れかを実施可能とすることを特徴とするディーゼルエンジンの運転制御方法。
【請求項2】
前記作動領域は、前記回転数と前記出力との関係において、前記排ガス後処理装置が作動しない領域として設定された複数の非作動領域のうちの一つに含まれていることを特徴とする請求項1に記載のディーゼルエンジンの運転制御方法。
【請求項3】
前記排ガス後処理装置の作動が停止したときに、前記排ガス後処理装置よりも上流側の排ガス排気系統から排ガスを分岐し、前記排ガス後処理装置をバイパスして排ガスを下流側へ送給することを特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼルエンジンの運転制御方法。
【請求項4】
前記ディーゼルエンジンは、前記排ガス後処理装置よりも下流側の排ガス排気系統に排ガスセンサを備えており、
前記排ガスセンサの検出結果に基づいて、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限することを特徴とする請求項1〜3のうち何れか一項に記載のディーゼルエンジンの運転制御方法。
【請求項5】
排ガスの浄化を行う排ガス後処理装置を有するディーゼルエンジンの運転制御装置であって、
前記ディーゼルエンジンの作動を制御するエンジン制御部と、前記排ガス後処理装置の作動を制御する排ガス後処理制御部と、を備え、
前記エンジン制御部は、前記排ガス後処理制御部からの前記排ガス後処理装置の停止信号を受信したとき、前記回転数及び前記出力が共に値0を含む低回転及び低出力領域若しくは低出力領域になるように、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限する制限部を有することを特徴とするディーゼルエンジンの運転制御装置。
【請求項6】
前記低回転及び低出力領域若しくは前記低出力領域は、前記回転数と前記出力との関係において、前記排ガス後処理装置が作動しない領域として設定された複数の非作動領域のうちの一つに含まれていることを特徴とする請求項5に記載のディーゼルエンジンの運転制御装置。
【請求項7】
前記排ガス後処理装置よりも上流側の排ガス排気系統から分岐され、前記排ガス後処理装置をバイパスして排ガスを下流側へ送給するバイパス流路を更に備えることを特徴とする請求項5又は6に記載のディーゼルエンジンの運転制御装置。
【請求項8】
前記排ガス後処理装置よりも下流側の排ガス排気系統に設けられた排ガスセンサを更に備えており、
前記制限部は、前記排ガスセンサの検出結果に基づいて、前記回転数及び前記出力の少なくとも一方を制限することを特徴とする請求項5〜7のうち何れか一項に記載のディーゼルエンジンの運転制御装置。
【請求項9】
燃料を供給する機械式ポンプと、前記機械式ポンプの燃料噴射量を調整可能なラックを制御するラック制御装置と、を更に備えることを特徴とする請求項5〜8のうち何れか一項に記載のディーゼルエンジンの運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−50083(P2013−50083A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188559(P2011−188559)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】