説明

デジタルカラー画像形成方法とそれに用いる撮影用カメラ及び画像形成装置

【課題】 本発明の目的は、優れたカラー画像、撮影時に高い感度が得られるデジタルカラー画像形成方法、撮影用カメラ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 カメラ内のシャッター機構とハロゲン化銀感光材料との間に異なる色成分に分光し離散的に記録する色分離手段、感光材料面上に被写体の色成分情報を離散的に記録させ、それを電気的な信号に変換する手段により画像情報を読み取り、画像データの位置を規定する手段で該色分離手段により離散的に記録された各色成分ごとの画像情報を得て、各色成分画像中の欠落した情報領域を補間する手段によりカラー画像を再生することを特徴とするデジタルカラー画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色弁別能を有さないハロゲン化銀感光材料(以降、単に感光材料とも言う)でも優れたカラー画像が得られ、かつ撮影時に高い感度が得られるデジタルカラー画像形成方法とそれに用いる撮影用カメラ及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在用いられているコンベンショナルカラー写真による画像形成方法において、撮影用感光材料、いわゆるカラーネガフィルムは、通常青色光を記録してイエロー色素画像を形成する層、緑色光を記録してマゼンタ色素画像を形成する層および赤色光を記録してシアン色素画像を形成する層から主に構成されている。したがってコンベンショナルカラーネガフィルムの機能は、被写体の各色成分ごとの明暗情報を、イエロー、マゼンタ、シアンの画像濃度情報に変換し、これをカラープリント工程を経て、カラーペーパーの青感光性層、緑感光性層および赤感光性層に各々情報伝達することと定義される。この撮影用カラーフィルムの性能要素は、主には撮影感度と画質により表現され、画質要素はさらに粒状性、鮮鋭性、色再現性に分類される。この撮影用カラーフィルムの性能を向上させるために、一般的には各感光性層ごとに感度、粒状性、鮮鋭性を向上させつつ、目的の色再現性を得るために分光感度分布を調整したり、発色現像時に現像抑制剤を放出する化合物、いわゆるDIR化合物を含有させて層間現像抑制効果、いわゆるインターイメージ効果を高める設計がなされる。しかしながら、感度を高めるにしたがって画質を損ないやすいというトレードオフの関係があり、撮影用カラーフィルムの開発、改良の歴史は、この感度と画質の両立のための技術開発の歴史であるといっても過言ではない。
【0003】一方、カラーネガフィルムに形成された画像を、スキャナー等を用いて光学的に読みとり、電気信号に変換したのち、画像処理を施して一旦デジタル画像データを作製し、これを用いて他の画像記録材料に画像情報を転写する方法が知られている。この場合は、カラーペーパーなどの感光材料に走査露光してカラープリントを得るデジタルプリンタはもちろん、インクジェットプリンタや昇華型プリンタあるいは電子写真方式などの各種の非銀塩プリンタを通じてカラープリントを得ることが可能である。これら一旦デジタル画像データに変換する方法において、特に撮影用カラーフィルムで記録した画像情報を光学系を介して直接カラーペーパーに投影してカラープリントを作製することを前提としない場合には、被写体の青色情報、緑色情報、赤色情報を各々イエロー・マゼンタ・シアンの色素画像情報に必ずしも対応させなければならないというカラーフィルム設計上の制約条件は無く、ここにコンベンショナル感光材料とは異なった構成の設計により機能向上の余地がある。
【0004】前記のような光学的プリントを前提とせず一旦デジタル画像データに変換するための感光要素としては、例えば、米国特許第5,418,119号、同第5,420,003号において、中間層に蛍光物質を含有させることにより、青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層に各々異なった発色性のカプラーを用いることなく、現像処理後に得られる異なった感光性層の同じ色相の画像を反射、透過の両方法で画像をスキャンし演算処理することで青、緑、赤、各々の色分解画像を抽出する方法が開示されている。この方法は、感光材料や現像工程を簡素化したり迅速な現像処理を行う上では有利と言えるが、従来のカラー感光材料の画質を向上させる手段とはなり得ないものである。
【0005】また、特開昭61−34541号には、緑色感光性層の分光感度の重心波長に対して赤色感光性層の緑色領域で受ける重層効果の大きさの分布の重心波長を短波長にするための達成手段として、赤色感光性層に抑制効果を与えるいわゆるドナー層を設置する方法が開示されている。この方法は、より忠実な色再現を実現するためには効果的であるが、発色現像済みフィルムの発色は基本的にはイエロー、マゼンタ、シアン3種の情報に統合され、スキャナで画像を読みとる際に特別な情報を提供するものではなく、高感度でかつ高画質のカラーデジタル画像を得るための積極的な手段とは言い難い。
【0006】さらに、特願平10−4624号には、感光材料に非可視感光性の色再現向上層を設置する手段が開示されているが、この方法でも発色現像済みフィルムの発色は、基本的にはイエロー、マゼンタ、シアンの3種の情報に統合され、スキャナで画像を読みとる際に特別な情報を提供するものではなかった。また特願平9−308669号では、発色現像済みフィルムをスキャンする際に前記非可視感光性層の情報を別情報として抽出し、RGB信号に調合して色再現を向上させる手段が開示されているが、この方法は非可視感光性層の設置による一部の色再現の不具合点の解消を目的としたものであり、感度と色再現のトレードオフ関係を解消する技術手段とは言えなかった。
【0007】特願平11−119701号には、デジタルカラー画像の輝度情報および色情報を抽出するために、輝度情報を記録する感光性層(輝度情報記録層)を有し、かつ色情報を記録する感光性層(色情報記録層)を独立に有するハロゲン化銀カラー感光材料が記載されており、該輝度情報記録層の機能には2つあり、1つは従来のカラー写真感光材料において分光感度分布を大きく変化させると、色相再現性に重大な影響を及ぼし実用的なカラー画像を得ることが出来なかった問題の解決手段、もう1つは、ストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルタ配列層を用いた場合の鮮鋭解像度の向上手段である。
【0008】ストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルタ配列層を用いる方式は、それだけで従来のカラー写真感光材料と比べ、層構成を単純化出来る点において優れていることは知られているが、前記輝度情報記録層の付与による鮮鋭解像度の向上を必要とするケースでは、フィルタピッチの拡大や撮影画面面積(以下、「フォーマット」とも称す)の縮小化あるいは高拡大倍率による出力などの場合に限られる。
【0009】従来から知られている35mmサイズフィルム(縦24mm×横36mm)の撮影面積(864mm2)以外の撮影用カラー感光材料の形態としては、アドバンスドフォトシステム(APS)と称される縦17mm×横30mm(面積510mm2)のフィルムサイズ、110フィルムの縦13mm×横17mm(面積221mm2)、ミノックスの縦8mm×横11mm(面積88mm2)やディスクフィルムなどがあり、いずれも35mmサイズより縦、横ともに縮小されたフォーマットを使用し、カメラやレンズつきフィルムのコンパクト化、あるいは撮影用途を拡大させることを目的に規格され用いられている。前記縮小されたフォーマットを使用した場合には、前記35mmサイズに比べ、同じサイズのハードコピーを作製するには高い拡大倍率が必要となり、それに伴い画質は低下する。同じ原理で、ハードコピーに占めるカラーフィルタ配列層を構成するフィルタ要素の大きさは、拡大倍率に応じて粗大化する。すなわち、出力されるハードコピー上で十分な鮮鋭解像度が得られるよう、フィルタピッチを規定した場合、輝度情報記録層はもはや必要とされない。要するに、輝度情報記録層やカラーフィルタ配列層は、モノクロフィルムをカラー化したい、鮮鋭解像度を向上させたいなどの要求に答えるべく、付与されているものであって、それぞれを必要に応じて付与出来る構造こそが、本来は理想とするところである。
【0010】モノクロフィルムを用いた場合でも、RGB3枚のフィルタを用いて色分解撮影した画像を合成することで、カラー画像が得られることは知られている。しかしながら、撮影時に順次RGBのフィルタを切り換えて露光を行うことは、動きのある被写体に対しては実質的に不可能であり、撮影駒も1回の撮影に3回分を必要とし効率的ではない。
【0011】デジタルカラーカメラには、単板式と称される、撮像素子を1つだけ使用し、かつカラー化と感度向上を目的としたベイヤーパターンのカラーフィル配列層と、個々のフィルタ要素に対応するマイクロレンズと称される集光手段とを組み合わせた層を撮像素子と一体化させた構造を有するものが知られている。
【0012】特願平11−328184号には、前記マイクロレンズを集光手段として用いた現有のカラー写真感光材料が記載されている。マイクロレンズを用いることによって、感度向上は達成されるが、カラー高画質を得るにはこのような色弁別能を有する感光材料を用いることが前提となっていた。前記単板式のデジタルカラーカメラのように、CCDセンサー自体が色弁別能を有さないモノクロである場合でも、カラー化と高感度化を同時に達成出来る手段が知られていながら、色弁別能を有さないハロゲン化銀写真感光材料への適用は実現出来ないでいた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、色弁別能を有さないハロゲン化銀写真感光材料を用いた場合でも、優れたカラー画像が得られ、かつ撮影時に高い感度が得られるデジタルカラー画像形成方法とそれに用いる撮影用カメラ及び画像形成装置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の手段により達成された。
【0015】1.カメラ内のシャッター機構とハロゲン化銀感光材料との間に被写体情報を異なる色成分に分光してそれぞれを離散的に記録する色分離手段を有し、該色分離手段により該ハロゲン化銀感光材料面上に被写体の色成分情報を離散的に記録させ、該ハロゲン化銀感光材料の現像処理後、電気的な信号に変換する手段により画像情報を読み取り、画像データの位置を規定する手段を用いて該色分離手段により離散的に記録された各色成分ごとの画像情報を得て、各色成分画像中の欠落した情報領域を補間する手段によりカラー画像を再生することを特徴とするデジタルカラー画像形成方法。
【0016】2.撮影時に、異なる色成分に分光してそれぞれを離散的に記録する色分離手段とハロゲン化銀感光材料の感光面とを密着させ、画像情報を該ハロゲン化銀感光材料に記録する手段を有することを特徴とする撮影用カメラ。
【0017】3.色分離手段により記録されたことを識別する情報をハロゲン化銀感光材料に提供する手段を有することを特徴とする前記2項記載の撮影用カメラ。
【0018】4.画像情報を異なる色成分に分光しそれぞれを離散的に記録する色分離手段を用いて撮影されたハロゲン化銀感光材料であることを識別する手段、該ハロゲン化銀感光材料に記録された画像情報を電気的な信号に変換しモノクロ画像を再生する手段、該色分離手段により離散的に記録された各色成分に対応する画像データの位置を規定する手段、及び各色成分画像中の欠落した情報領域を補間しカラー画像を再生する手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【0019】5.前記色分離手段が、集光させる手段と組み合わせられることを特徴とする前記1項記載のデジタルカラー画像形成方法。
【0020】6.前記色分離手段が、集光させる手段と組み合わせられることを特徴とする前記2又は3項記載の撮影用カメラ。
【0021】7.前記色分離手段が、集光させる手段と組み合わせられることを特徴とする前記4項記載の画像形成装置。
【0022】8.前記色分離手段が、集光させる手段を有することを特徴とする前記1項記載のデジタルカラー画像形成方法。
【0023】9.前記色分離手段が、集光させる手段を有することを特徴とする前記2又は3項記載の撮影用カメラ。
【0024】10.前記色分離手段が、集光させる手段を有することを特徴とする前記4項記載の画像形成装置。
【0025】11.前記色分離手段が、ストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルターであることを特徴とする前記5又は8項記載のデジタルカラー画像形成方法。
【0026】12.前記色分離手段が、ストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルターであることを特徴とする前記6又は9項記載の撮影用カメラ。
【0027】13.前記色分離手段が、ストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルターであることを特徴とする前記7又は10項記載の画像形成装置。
【0028】14.前記集光させる手段がマイクロレンズであることを特徴とする前記11項記載のデジタルカラー画像形成方法。
【0029】15.前記集光させる手段がマイクロレンズであることを特徴とする前記12項記載の撮影用カメラ。
【0030】16.前記集光させる手段がマイクロレンズであることを特徴とする前記13項記載の画像形成装置。
【0031】以下、本発明について詳細に説明する。本発明においては、カメラ内のシャッター機構とハロゲン化銀感光材料との間に被写体情報を異なる色成分に分光してそれぞれを離散的に記録する色分離手段を有することが特徴である。
【0032】本発明で言う色分離手段とは、撮影カメラ等に入射する被写体の色情報を、それぞれ異なる色成分に分光し、それぞれを離散的に記録する機能を有する手段であり、例えば、ストライプ又はモザイク状の色分解カラーフィルタ配列などが挙げられる。本発明で言う「異なる色成分」としては、RGBの3原色が代表例である。また、本発明で言う「離散的に」とは、前記異なる色成分が重なり合わない状態を意味する。
【0033】請求項11〜13に係る発明では、色分離手段としてストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルタ配列を用いることが特徴である。
【0034】カラーフィルタをモザイク状に配列する方法としては、ベイヤー配列に代表される格子状配列の方法や3角形や6角形や円形を敷き詰める配列などが挙げられる。また各色の配列は規則的でもよいしまったくランダムに配置しても構わない。このカラーフィルタの製造は既知の種々の方法を用いることができる。代表的なカラーフィルタの製造方法としては、基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成しこれをパターニングすることにより単色のパターンを得る顔料分散法、基板上に染色用の材料である水溶性高分子材料を塗布しこれをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る染色法、熱硬化型の樹脂に顔料を分散させ、印刷を2回繰り返すことによりR、Bを塗り分けた後、樹脂を熱硬化させることにより着色層を形成する印刷法、色素を含有する着色液をインクジェット方式で光透過性の基板上に吐出し各着色液を乾燥させて着色画素部を形成するインクジェット法などがある。
【0035】また、ランダム配列のカラーフィルタ作製方法としては、特願平10−326017号に記載の方法を用いることができる。
【0036】さらに、ストライプ状カラーフィルタを作製する方法としては、Photographic Science and Engineering,vol.21,225(1977)に記載の方法を用いることができる。
【0037】本発明に係る異なる色成分に分光してそれぞれを離散的に記録させる色分離手段(以降、本発明の色分離手段という)を組み入れることのできるカメラとしては、一眼レフカメラ、コンパクトカメラ、レンズ付きフィルムのいずれの形態でも良く、例えば110カメラやミノックスカメラや、8コマ連続撮影機能や立体写真撮影機能を有したレンズ付きフィルムを用いたり、デジタル画像データを得る専用カメラとして独自のフォーマットを有したレンズ付きフィルムの形態を作製し、これに連続撮影機能や立体撮影機能を付与したものであっても良い。
【0038】図1に本発明のカメラ内に色分離手段を取り付けた概念図を示す。また、図2は色分離手段から感光材料面への記録を示す概念図である。図3は、色分離手段の一例であるカラーフィルタ配列を示す概念図である。図7及び図8には、1眼レフカメラなどで、本発明の色分離手段を適宜選択して使用する場合、色分離手段を必要に応じて自動的にセットされる形態、あるいは撮影者が手動でその都度取り付ける機構の概念図を示す。さらに、高い撮影感度を必要とする場合には、調光機構を有していても良い。図9に示すように、調光用のND(ニュートラルデンシティ)フィルタなどを、撮影レンズの前面又はカメラ内部で自動的に切り替えられる機構を有し、色分離手段の使用の有無に応じ入れ換えるようにすることも好ましい。
【0039】本発明における感光材料の形態としては、特に制限はなく、通常のロールフィルムが好ましいが、更にはディスクフィルムのような円盤型であることがカメラを薄く出来る点で好ましい。又、発色現像処理の際にカメラから撮影済み感光材料を取り出さず、現像処理機にそのままセットするだけで処理可能な設計にすれば処理時間が短縮でき、より好ましい。
【0040】請求項5〜16の発明では、更に高い撮影感度を必要とする場合、本発明の色分離手段と集光させる手段とを組み合わせて用いることが特徴である。本発明の色分離手段と集光させる手段とを組み合わせた本発明の実施形態の一例を図4に示す。
【0041】請求項5〜7の発明においては、本発明の色分離手段と共に集光させる手段を適宜選択して使用する形態であることが特徴である。具体的には、色分離手段を用いる系において、集光させる手段が必要に応じて自動的にセットされる形態であったり、あるいは撮影者が手動でその都度取り付ける形態であっても良い。請求項5〜7の発明では、さらに、前記図9に示すような調光用のNDフィルタなどをカメラ内部で自動的に切り替えられる機構を有し、集光手段の使用の有無に応じ入れ換えるようにすることも好ましい。
【0042】また、請求項8〜10の発明においては、本発明の色分離手段に集光させる手段を付与し、一体化した形態で用いられることが特徴である。
【0043】本発明でいう集光させる手段としては、マイクロレンズやレンティキュラーレンズ等を挙げることができるが、請求項14〜16に係る発明においては、撮影時に高い感度が得られるため、特願平11−328184号に記載のマイクロレンズを集光手段して用いることが特徴である。本発明で用いるマイクロレンズの配置としては、格子状であることが好ましいが、マイクロレンズの間隔が不均一であったり、あるいはマイクロレンズの径(平面視直径)が異なるものを配置したような形態であっても良い。
【0044】本発明で用いるマイクロレンズの配置は、色分離手段の配列構造と必ずしも対応している必要はないが、加工精度が伴えば、対応(すなわち、レンズとフィルターが一致)している状態が最良であることはいうまでもない。また、マイクロレンズの径(平面視直径)が、色ごとにあるいは撮影画面内の位置で異なるものを配置した形態であっても良い。さらに、撮影用カメラ内における配置は、被写体側から集光手段、次いで色分離手段を配置するのが望ましい。
【0045】一般的に、マイクロレンズの集光率(増感率)は、マイクロレンズの配置された平面内においてマイクロレンズ自体の占有する面積とマイクロレンズにより集光される照射領域の比率により決定される。本発明においては、感光材料面上におけるマイクロレンズ1個あたりの集光面積が、レンズ1個の面積の50%以下、すなわち単位面積あたりの受光量を倍以上にすることが好ましい。一方、平面性等の精度が高い水準を維持出来さえすれば、マイクロレンズアレイと撮影感光材料間の距離を調整する機構により、集光率を制御することも好ましい態様の1つである。ただし、マイクロレンズにより集光させる焦点距離を長く設計した場合、撮影感光材料面上における画像のボケの影響の増大が懸念される為、焦点距離はおのずと制約を受けることになる。
【0046】マイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイの製造方法については、特開平5−40216号、同10−62606号、同10−123305号、同10−177104号、同11−160502号などに開示されているが、本発明に係るマイクロレンズアレイでは、その製造方法や材料選択に関しての制約は特にないが、マイクロレンズの精度は、集光率に影響を与え、結果的に得られる撮影感度や1画面内での感度レベルに影響を与える為、その精度は設計段階からの誤差が5%以内である品質のマイクロレンズを選択することが好ましい。
【0047】請求項2の発明では、撮影時にカラーフィルタ配列などの色分離手段と感光材料のハロゲン化銀乳剤面とを密着させる手段を有している事が特徴である。
【0048】更には、本発明の撮影用カメラにおいては、マイクロレンズなどによる集光手段を付与されたカラーフィルタ配列などの色分離手段と感光材料のハロゲン化銀乳剤面とを密着させる手段を有していることが好ましい。
【0049】本発明の色分離手段と感光材料のハロゲン化銀乳剤面とを密着させる手段としては、特に限定はされないが、例えば、図5に示すようにバネなどによる圧着機構やフィルムガイドを同時に備えていることが好ましく、あるいは、図6で示すように色分離手段部位(例えば、カラーフィルタ配列部位)に感光材料を通す隙間を設け、撮影に使用される1コマ分が常に色分離手段部位の中に完全に収められるような形態であっても良い。
【0050】請求項3の発明では、画像情報の読み取り時やプリント依頼時において、撮影済感光材料が、色分離手段や集光手段を用いて撮影されたコマであることを識別出来るようにするための情報提供手段を組み入れることが特徴である。具体的には、光学的にその情報を記録する場合には、撮影画面内にその後の画像処理で補正できる程度の微細な欠落部分を記録するための遮光部を色分離手段に設ける方法、あるいは撮影画面外、例えばパーフォレーション部等へ潜像焼き込みによる情報を記録する方法、また磁気記録などを用いる場合には、磁気記録層を有する感光材料を使用しての情報を記録する方法、あるいはカラーフィルタや圧着版などに突起物を設け、それによる物理的な記録方法などを挙げることができる。
【0051】処理画像が、色分離手段を用いた撮影画像であることを自動的に認識させる具体的な手段として、例えば、前述のように撮影画面内の規定の位置に光学的に記録させた信号を確認する手段としては、パターンマッチング等により認識させる機能や、補間処理前にそれを判別させる機能をソフトウエアに設ける方法が挙げられる。また、撮影画面外に同様に記録された信号を読みとる手段としては、その認識機能を有するフィルムホルダーを用いる方法、読み取り画面サイズの調整機能と共に判別手段を付加させる方法あるいは磁気記録情報を直接読みとる方法等がある。上記手段の中では、特に撮影画面内に信号を記録することが、市販のフィルムスキャナーを用いて信号の判別及び補間処理ソフトウエアの組み入れが容易に行える点で好ましい。
【0052】本発明において用いることのできる市販の35mmフィルム用スキャナー装置としては、例えばコニカ社製Qscan等が挙げられる。上記のような市販のフィルムスキャナー装置に用いられているイメージセンサー(撮像素子)としては、CCDを1列に配した1次元のラインセンサー及び走査機構から構成されるものが一般的であるが、本発明においては、2次元のモノクロCCDエリアセンサーよりなる装置を用いることが好ましい。本発明においては、赤、緑及び青の可視色画像情報の分離をより効率的に行うため、撮像素子と感光材料との間に、赤、緑、青の各フィルタを取り付けた回転板を設け、この回転板を回転させて読み込みを行うことが好ましい。可視色分解画像の読み取り方法は、もちろんこれに限定するものではなく、例えば光源に発光ダイオード(LED)などを用い、これを切り換えて使用しても良い。図10及び図11に色分解画像を読みとる装置の概略のブロック図を示す。
【0053】以下に、本発明の画像形成装置を示す図10、図11及び図12の図面を用いて、更に詳細に説明する。なお、図10と図11は、図11において最終画像に輝度情報を合成するプロセスを除いては、同一の内容を示す。
【0054】図10、図11において、現像処理後のフィルム17に記録された被写体情報は、光源からB、G、Rのいずれか一つの透過光照射により、CCD受像部19上に結像される。CCD受像部19により光電変換された単色画像情報は、メモリ23に一旦保存された後、撮影条件識別プロセス24により読み出され、フィルム17に記録された被写体情報が、本発明の色分離手段(カラーフィルタ配列)2を用いて撮影されたものかが判定される。
【0055】続いて、マスク用画像形成のために、カラーフィルタ配列についても同様に情報を取り込む。図10、図11のフィルム17と置き換えられたカラーフィルタ配列は、順次切り換えられる3つの透過光照射(RGB)により、CCD受像部19上に結像される。CCD受像部19により光電変換された3つの色分解画像情報は、メモリ23に一旦保存される。ついで、撮影条件識別プロセス24により、カラーフィルタ配列を用いて撮影されたと判断された場合、マスク用画像作製プロセス25により、メモリ23に保存されているカラーフィルタ配列の3つの色分解画像情報が読み出され、マスク用画像が作製された後、位置合わせプロセス26に転送される。
【0056】位置合わせプロセス26により、メモリ23に保存されているフィルム17から読み取った単色画像情報が読み出され、カラーフィルタ配列のRGBの色分解画像情報のそれぞれと、図12に示す概念図の如く位置合わせがなされる。これにより、位置合わせが終了した段階で、フィルムの画像情報記録エリア33とマスク用画像34の形状差異が許容される誤差範囲内に収束された状態となる。
【0057】位置合わせプロセス26において、カラーフィルタ配列のRGBの色分解画像情報をマスクすることにより抽出されたフィルム17のRGB色分解画像情報のそれぞれは、補間処理プロセス27に転送され、フィルム17のRGB色分解画像情報中の欠落した情報を補間する処理が施される。
【0058】最後に、補間処理がなされたフィルム17のRGB色分解画像情報は、次のRGB画像合成プロセス28において、1つの画像データとしてまとめられ最終画像データとなる。
【0059】更に高画質化が望まれる場合には、図11に示すように、色情報(ab)画像抽出プロセス30により、最終合成画像データから色情報(ab)が抽出され、フィルム17から読み取られた単色画像情報を輝度情報(L)として、Lab画像合成プロセス31において合成する処理がなされる。
【0060】本発明では、発色現像処理後の感光材料の画像記録情報をスキャナーなどを用い電子画像情報に変換する工程において、色分離手段要素と、前記変換された情報の位置を規定する手段を有することが特徴の1つである。
【0061】前記位置を規定する手段としては、カメラに取り付けられている色分離手段自体を読み取った画像を用いる方法がある。色分離手段自体を読み取った画像は、例えば、赤、緑、青の配列パターンに相当するので、各色分解画像を抽出するためのマスクとして使用することができる。
【0062】撮影駒と前記マスク用画像との位置合わせには、前記撮影駒とマスク用画像をスキャナー読み取り画面サイズより小さい範囲で読み取った画像を用いて、画像処理アプリケーションソフトであるAdobe社製フォトショップを用いて行うことが出来る。また前記位置合わせを自動化することも、前記撮影駒かマスク画像のどちらか一方をテンプレートとしたパターンマッチング手法の適用で可能となる。
【0063】本発明でいう補間あるいは補間処理とは、前記色分離手段により、離散的に記録されることにより生じるマスク領域、すなわち規定の色成分画像中の他の色成分の占有する領域を埋める処理をさす。カラーフィルタ配列などの色分離手段により生じる、色分解画像中に占める他のフィルタ構成色によって遮へいされた非画像領域や、マイクロレンズアレイなどの集光手段により生じる非集光領域(非画像領域)について、読み取り後に補間する必要がある。この補間処理は、画像処理機能を備えたPCのアプリケーションソフトウェアを用いることで簡単に行う事が出来る。例えば、前記フォトショップにおける補間処理としては、明るさの最大値やガウスボカシなどのフィルタ処理を施したり、フィルタ配列方向が1画面フレームに対して一定であれば、配列方向と平行方向のみ平均化処理を施すボカシ(移動)機能を用いることにより実行することができる。もちろん補間処理はこれに限定するものではなく、フォトショップなどの画像処理ソフトを用いることで、容易に行う事が出来き、また一連の操作を自動化することも可能である。更には、別途、画像処理プログラムを作成したり、上記フォットショップなどのソフトにプラグインとして組み込んだり、スキャナーのアプリケーションソフトに組み込み一連の作業を自動化してもよい。
【0064】前記補間処理により非集光領域又は非画像領域は除去されるものの、依然として画像情報量は元のままなので、解像度は低い状態にある。そのため、下記の対策を適用する必要性が生じる。
【0065】その一例としては、集光領域(画像領域)の全画面中に占める割合を最適化する、すなわちマイクロレンズを配置する距離を適宜調整することにより、出力解像度に影響のない十分な解像度を有する画像を得る方法である。前項で述べたように、35mmの撮影用感光材料からL版カラープリントにプリントした時(拡大倍率約3.5倍)と同等の解像度を得るには、約25μm間隔で画像情報が与えられていれば、十分な解像度を有する画質が得られることより、本発明に係るカラーフィルタも、少なくとも約25μmおきに配置することが好ましい。
【0066】CRTやハードコピーにおける出力解像度は、出力時の拡大倍率に依存する。本発明においては、35mmサイズのフィルムからL版サイズへの出力時に相当する約3.5倍の拡大倍率で十分な解像度を得る目的で、カラーフィルタ配列要素を約25μm間隔に設置するとしたが、より高い拡大倍率への対応やカラーフィルタ配列要素の配置間隔を広げる場合には、更に下記画質向上の為の画像処理プロセスを組み込むことがより好ましい。
【0067】本願発明者らは、特願平11−119701号において、デジタルカラー画像の輝度情報および色情報を抽出するために、輝度情報を記録する感光性層(輝度情報記録層)を有し、かつ色情報を記録する感光性層(色情報記録層)を独立に有するハロゲン化銀カラー感光材料について提案している。ここに記載されている如く、RGB画像情報からLab画像情報に変換したり、さらにL画像を高鮮鋭なモノクロ画像と置換する方法をとることにより、画質向上を達成することができ、本発明においても好ましく用いることができる。すなわち、カラーフィルタ自体の読み取り画像より作製した色分解マスク用画像と、現像済みフィルムから読み取られるモノクロ画像との合成により抽出されるカラー画像から、色情報であるab情報を抽出し、前記モノクロ画像を輝度情報であるL情報として、前記抽出した色情報と合成することにより、高画質化が達成される。
【0068】更に、本願発明者らは、特願平11−7747号において、鮮鋭化処理に続いて平滑化処理を組み合わせて施す方法を提案している。本発明においては、得られたカラー画像情報を輝度情報と色情報に分離する手段を用いて、抽出された輝度情報に対し鮮鋭化処理を行い、ついで平滑化処理を行う画像処理方法を組み合わせることが好ましい。また、あわせて前述の補間処理を用いることにより、画像情報を平滑化し、ある程度の粒状に起因するノイズを低減することができる。
【0069】以上のようにして得られた各画像データは、各種の画像表示装置を介して確認することが出来る。該画像表示装置としては、例えば、カラーもしくはモノクロCRT、液晶ディスプレイ、プラズマ発光ディスプレイ、ELディスプレイなど任意の装置を挙げることができる。
【0070】本発明では、このようにして読み取られた画像信号を出力し、別の記録材料上に出力し画像を形成することを目的としている。画像を出力する材料としては、ハロゲン化銀感光材料の他、各種ハードコピーを用いることができ、その具体的な出力方式としては、例えばインクジェット方式、昇華型熱転写方式、昇華型熱転写方式、電子写真方式、サイカラー方式、サーモオートクロム方式、ハロゲン化銀カラーぺーパーに露光する方法、ハロゲン化銀熱現像方式など様々な方式を挙げることができる。上記方式を用いた具体的システム例としては、コニカ社製CRTプリンターDP−8180やデジタルミニラボQD−21、富士写真フイルム社製フロンティア350システムなどの商品が知られている。いずれの出力方式においても、本発明の効果を充分に発揮することができるが、その中でも出力する材料がハロゲン化銀感光材料であることが特に好ましい。
【0071】以上説明した本発明に係るデジタル画像形成システムにおける画像情報処理の全体を表すフロー図を図13に示す。
【0072】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
【0073】実施例1(プリントサンプル試料101の作製)焦点距離35mm、F=2の撮影レンズを装着したニコン社製一眼レフカメラF4にコニカ社製カラーネガティブフィルムCENTURIA400を装填し、シャッター速度1/250秒、絞りF=8の条件で、イーストマンコダック社製グレースケールチャート(全18段)、コニカ社製鮮鋭性チャート及びマクベス社製カラーチャートの撮影を行った。次いで撮影済試料を特開平10−123652号の段落[0220]〜[0227]記載の発色現像処理を行い、現像処理済みの試料101を作製した。
【0074】以上により得られた試料101を、3種類のLED光源(メーカー:最大ピーク波長 スタンレー社製R:635nm、日亜化学社製G:535nm、日亜化学社製B:470nm)と、2048×2048ピクセルのモノクロCCD(イーストマンコダック社製KX4)の間に配置し、LED光源を順次切り替えて試料のR、G、Bの各色分解画像情報をモノクロCCDにより読み取った。
【0075】次いで、得られた試料101の3つの色分解画像に階調反転処理を施したのち、Adobe社製フォトショップを用いてR、G、Bの各反転色分解情報を1つの画像データに合成する処理を行った。
【0076】次いで、前記試料101をコニカ社製アナログプリンターNPS858を使用して、コニカ社製カラーペーパータイプQAA7にプリントして、コンベンショナルシステムのL版アナログプリントを作製し、それを基準プリントとした。
【0077】次いで、基準プリントの色再現性を基準として上記合成処理したグレースケール画像の階調をCRT画面上で観察しながら、基準プリントに近似させる色補正処理を施し、試料101に対応する各RGBのデジタル合成画像を作製した。
【0078】さらに、各RGBデジタル合成画像データを、コニカ社製デジタルミニラボシステムQD−21を用いて300dpiの解像度でL版サイズ(89mm×127mm)のコニカカラーペーパータイプQAA7に出力し、L版のプリントサンプル試料101を作製した。なお、本発明におけるdpiとは、1インチすなわち2.54cm当たりのドット数を表す。
【0079】(プリントサンプル試料102の作製)前記ニコン社製一眼レフカメラF4の本体フレームのシャッタースクリーン周囲とフィルムガイドの間に、下記のベイヤー配置カラーフィルタを取り付けた。また、カラーフィルタには、それを用い撮影した事を認識できる信号を撮影画面内に記録させるため、微小の遮光部分を設け、さらに1駒の撮影画面の周囲から2mm程度小さく記録されるように、カラーフィルタ周囲に遮光した領域を設けた。更に、カラーフィルタと感光材料との密着度を高めるため、厚さ0.5mmのプラスチック板にスポンジを貼り合わせた部品をカメラ裏蓋の圧着板に取り付けた。以上の仕様を有するカメラに、コニカ社製モノクロネガティブフィルムセピア400を装填し、シャッター速度1/250秒、絞りF−8の露光条件でイーストマンコダック社製グレースケールチャート(全18段)、コニカ社製鮮鋭性チャート及びマクベス社製カラーチャートの撮影をし、ついで前記発色現像処理を行い、現像処理済みの試料102を作製した。
【0080】〈カラーフィルタの作製〉下引済透明ポリエチレンテレフタレートベース(厚さ85μm)上に、特願平10−326017号の実施例1に記載の試料No.110と同一構成の塗布液を多層同時塗布したのち、一辺の長さが30μmの正方形形状のR、G、Bベイヤー配置パターンが形成されるようにマスクフィルタを通して調整、露光を施し、上記実施例記載の現像処理を施してカラーフィルタを作製した。
【0081】以上のようにして作製した試料102を、LED光源(メーカー:最大ピーク波長 日亜化学社製G:535nm)と前記モノクロCCD(イーストマンコダック社製KX4)の間に配置し、単色分解画像情報を読み取った。
【0082】次に、カメラに取り付けたベイヤー配置カラーフィルタを取り外し、それを試料101の読み取りに用いた前記3種類のLED光源と前記モノクロCCDの間に配置し、LED光源を順次切り替えてR、G、B色分解画像情報を読み取った。なお読み取りサイズは、試料101及び102の単色分解画像情報と同じになるように調整した。従って、試料102及びカラーフィルタによる読み取り画像の周囲には、ベイヤー配置カラーフィルタの遮光領域によりマスクされた非画像領域が形成されている。
【0083】さらに、下記に述べる方法によりマスク用画像をカラーフィルタ読み取り画像から作製し、前記試料102の読み取り画像に重ね合せることで、RGB各色成分画像の抽出を行った。すなわち、RGBの各マスク用画像は、黒(8bit値で0)が該当するカラーフィルタの特定の色位置、また白(8bit値で255)が他の色のカラーフィルタ位置を示すように、画像処理アプリケーションソフトウェアであるAdobe社製フォトショップのコントラスト調整機能を用いて、前記カラーフィルタ読み取り画像を2値化することにより作製した。作製したRGB各3枚のマスク用画像を、それぞれ試料102の読み取り画像に重ね合わせた状態で、2枚の画像の位置合せや、ゆがみの補正が行えるよう、前記ソフトウェアのレイヤー機能を使用した。前記黒(0)の位置では、前記試料102の読み取り画像が表示され、白(255)の位置ではマスクされ非階調画像部を形成する前記ソフトウェアの合成条件設定及び位置合せ操作によって、RGB各色成分画像の抽出を行った。
【0084】ついで、得られた各試料の3つの色分解画像に階調反転処理を施したのち、Adobe社製フォトショップを用いてR、G、Bの各反転色分解情報を1つの画像データに合成する処理を行った。
【0085】画像処理として均一な画面になるまで、すなわちスキャナー読み取り画像の撮影領域と非画像領域の区別が無くなるまでボカシ処理による補間処理を施した以外は、前記試料101で行ったと同様の処理を行って、試料102に対応する各デジタル合成画像及びL版のプリントサンプル試料102を作製した。
【0086】(プリントサンプル試料103の作製)前記ニコン社製一眼レフカメラF4の本体にあるシャッタースクリーン周囲部とフィルムガイドの間に、マイクロレンズアレーと前記ベイヤー配置カラーフィルタとを取り付けた。なお、カラーフィルタには、それを用い撮影した事を認識できる信号を撮影画面内に記録させるため、微小の遮光部分を設け、さらに1駒の撮影画面の周囲から2mm程度小さく記録されるように、カラーフィルタの周囲部に遮光した領域を設けた。更に、カラーフィルタと感光材料との密着度を高めるため、厚さ0.5mmのプラスチック板にスポンジを貼り合わせた部品をカメラ裏蓋の圧着板に取り付けた。以上の仕様を有するカメラに、コニカ社製モノクロネガティブフィルムセピア400を装填し、シャッター速度1/250秒、絞りF=8の露光条件でイーストマンコダック社製グレースケールチャート(全18段)、コニカ社製鮮鋭性チャート及びマクベス社製カラーチャートの撮影をしたのち、前記発色現像処理を行い現像処理済みの試料103を作製した。
【0087】前記試料102の読み取りと同様に、試料103をGのLED光源とモノクロCCDの間に配置し、単色分解画像情報を読み取った。次に、カメラに取り付けたベイヤー配置カラーフィルタを取り外し、試料102で行ったと同様に、前記3種類のLED光源と前記モノクロCCDの間に挿入し、LED光源を順次切り替えて試料のR、G、B色分解画像情報を読み取った。
【0088】さらに、試料102で行ったのと同様に、マスク用画像をカラーフィルタ読み取り画像から作製し、前記試料103の読み取り画像に重ね合せることで、R、G、Bの各色成分画像の抽出を行った。
【0089】次いで、得られた各試料の3つの色分解画像に階調反転処理を施したのち、前記Adobe社製フォトショップを用いてR、G、Bの各反転色分解情報を1つの画像データに合成する処理を行った。
【0090】更に、画像処理として均一な画面になるまで、すなわちスキャナー読み取り画像の撮影領域と非画像領域の区別が無くなるまでボカシ処理による補間処理を施した以外は試料101で行ったと同様の処理を行い、試料103に対応する各デジタル合成画像及びL版のプリントサンプル試料103を作製した。
【0091】(プリントサンプル試料104の作製)現像処理済みの試料102を読みとって得られたRGB画像を、前記Adobe社製フォトショップを用いてLab画像情報に変換し、得られたL画像情報を前記試料102から読み取った単色画像情報と置換し、再びRGB画像に変換することでカラー画像を得た。
【0092】さらに、各RGBデジタル合成画像データを、コニカ社製デジタルミニラボシステムQD−21を用いて300dpiの解像度でL版サイズ(89mm×127mm)のコニカカラーペーパータイプQAA7に出力し、L版のプリントサンプル試料104を作製した。
【0093】(プリントサンプル試料105の作製)上記プリントサンプル試料104の作製において、RGB画像読み取り試料を試料103に代えた以外は同様にしてプリントサンプル試料105を作製した。
【0094】以上のようにして作製したプリントサンプル試料101〜105について、以下の評価を行った。
【0095】(プリント画像評価)作製したプリントサンプル試料101〜105について、鮮鋭性チャートシーンを用いて鮮鋭性、マクベスカラーチャートシーンを用いて色再現性の官能評価で行った。なお、官能評価は、10名のパネラーにより、下記に示す基準に則り評価を行い、各試料の平均点を求めた。
【0096】5:鮮鋭性、色再現性共に良好で、基準プリントサンプルと遜色がない4:基準プリントに比較し、僅かに鮮鋭性、色再現性が低下しているが、良好な画質を有している3:基準プリントに比較し、やや鮮鋭性、色再現性が低下しているが、充分許容される画質を有している2:鮮鋭性、色再現性が低下し、基準プリントとは明確な差を有しており、許容外の画質である1:解像度が極めて低く、また色再現性が著しく劣化し、極めて許容できない画質である次いで、プリントサンプル試料101〜105のデジタル画像データの内、グレースケールの合成画像を用いて、階調再現段数をCRT画面上で観察し、評価を行った。なお、評価は、得られたグレースケールにおいて濃度変化が観察される限界のグレースケール段数を求めた。なお、限界段数値が小さいほど感度が高いことを意味している。
【0097】以上により得られた結果を表1に示す。
【0098】
【表1】


【0099】表1より明らかなように、本発明の試料102は、比較試料101と同等あるいはそれ以上の画質性能を有していることがわかり、カラーフィルタ配列と色弁別能を有さないフィルムを組み合わせて用いた場合でも、遜色のない画質が得られることが証明された。また、本発明の試料103では、試料102に対して、鮮鋭性がやや低下したものの、感度の向上を示す結果が得られ、マイクロレンズとカラーフィルタ配列を組み合わせることで、感度を向上させる本発明の効果が証明された。さらに本発明のLab画像合成処理を施すことにより、鮮鋭性を回復させることが出来ることが、本発明の試料104、及び105の結果より明らかとなった。
【0100】
【発明の効果】本発明により、色弁別能を有さないハロゲン化銀写真感光材料を用いた場合でも、優れたカラー画像が得られ、かつ撮影時に高い感度が得られるデジタルカラー画像形成方法とそれに用いる撮影用カメラ及び画像形成装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】カメラ内に色分離手段を取り付けた概念図。
【図2】色分離手段から感光材料面への記録を示す概念図。
【図3】カラーフィルタ配列を示す概念図。
【図4】撮影時にマイクロレンズとカラーフィルタ配列から感光材料面への記録を示す概念図。
【図5】カラーフィルタ配列と感光材料圧着板による密着機構を示す概念図。
【図6】感光材料を挿入する機構を備えたカラーフィルタ配列を示す概念図。
【図7】カラーフィルタ配列をカメラ内で切り替える機構を示す概念図。
【図8】カラーフィルタ配列をカメラ内で切り替える為のスイッチを示す概念図。
【図9】NDフィルタによる調光機構を示す概念図。
【図10】光源に3波長蛍光灯又はハロゲンランプを用い、フィルタを切り換えて色分解画像を読み取り、かつカラー画像を再生する機能を有する装置の概略を示すブロック図。
【図11】光源に発光ダイオード(LED)を用い、色分解画像を読み取り、かつLab画像合成処理を施す、カラー画像再生機能を有する装置の概略を示すブロック図。
【図12】画像位置合わせ(歪み補正)を示す概念図である。
【図13】画像情報処理を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 カメラ本体
2 色分離手段(カラーフィルタ配列)
3 カラーフィルタ
4 感光材料(フィルム)
5 マイクロレンズ
6 集光させる手段(マイクロレンズアレイ)
7 カメラレンズからの入射光
8 カメラに装備された圧着板
9 圧着用バネ
10 NDフィルタ切り替えつまみ
11 NDフィルタ
12 感光材料の撮影対象コマ
13 カラーフィルタ配列切り替えつまみ
14 発光ダイオード光源
15 拡散板
16 コンデンサーレンズ
17 フィルム
18 拡散光学系レンズ
19 CCD受像部
20 プリアンプ部
21 駆動モーター
22 センサー
33 フィルムの画像情報記録エリア
34 マスク用画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラ内のシャッター機構とハロゲン化銀感光材料との間に被写体情報を異なる色成分に分光してそれぞれを離散的に記録する色分離手段を有し、該色分離手段により該ハロゲン化銀感光材料面上に被写体の色成分情報を離散的に記録させ、該ハロゲン化銀感光材料の現像処理後、電気的な信号に変換する手段により画像情報を読み取り、画像データの位置を規定する手段を用いて該色分離手段により離散的に記録された各色成分ごとの画像情報を得て、各色成分画像中の欠落した情報領域を補間する手段によりカラー画像を再生することを特徴とするデジタルカラー画像形成方法。
【請求項2】 撮影時に、異なる色成分に分光してそれぞれを離散的に記録する色分離手段とハロゲン化銀感光材料の感光面とを密着させ、画像情報を該ハロゲン化銀感光材料に記録する手段を有することを特徴とする撮影用カメラ。
【請求項3】 色分離手段により記録されたことを識別する情報をハロゲン化銀感光材料に提供する手段を有することを特徴とする請求項2記載の撮影用カメラ。
【請求項4】 画像情報を異なる色成分に分光しそれぞれを離散的に記録する色分離手段を用いて撮影されたハロゲン化銀感光材料であることを識別する手段、該ハロゲン化銀感光材料に記録された画像情報を電気的な信号に変換しモノクロ画像を再生する手段、該色分離手段により離散的に記録された各色成分に対応する画像データの位置を規定する手段、及び各色成分画像中の欠落した情報領域を補間しカラー画像を再生する手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】 前記色分離手段が、集光させる手段と組み合わせられることを特徴とする請求項1記載のデジタルカラー画像形成方法。
【請求項6】 前記色分離手段が、集光させる手段と組み合わせられることを特徴とする請求項2又は3記載の撮影用カメラ。
【請求項7】 前記色分離手段が、集光させる手段と組み合わせられることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項8】 前記色分離手段が、集光させる手段を有することを特徴とする請求項1記載のデジタルカラー画像形成方法。
【請求項9】 前記色分離手段が、集光させる手段を有することを特徴とする請求項2又は3記載の撮影用カメラ。
【請求項10】 前記色分離手段が、集光させる手段を有することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項11】 前記色分離手段が、ストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルターであることを特徴とする請求項5又は8記載のデジタルカラー画像形成方法。
【請求項12】 前記色分離手段が、ストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルターであることを特徴とする請求項6又は9記載の撮影用カメラ。
【請求項13】 前記色分離手段が、ストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルターであることを特徴とする請求項7又は10記載の画像形成装置。
【請求項14】 前記集光させる手段がマイクロレンズであることを特徴とする請求項11記載のデジタルカラー画像形成方法。
【請求項15】 前記集光させる手段がマイクロレンズであることを特徴とする請求項12記載の撮影用カメラ。
【請求項16】 前記集光させる手段がマイクロレンズであることを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図11】
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【図13】
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【公開番号】特開2001−249380(P2001−249380A)
【公開日】平成13年9月14日(2001.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−57007(P2000−57007)
【出願日】平成12年3月2日(2000.3.2)
【出願人】(000001270)コニカ株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】