デジタルレーダーまたはソナー装置
レーダーまたはソナーシステムは、レーダーシステムのアンテナまたはソナーシステムのトランスデューサが受信した信号を増幅し、次いで線形受信機による線形復調に晒す。増幅器と線形受信機との間には、アンチエイリアスフィルタおよびアナログ−デジタルコンバータが存在してもよい。このシステムはさらに、プロセッサにおいて実行されるネットワークスタックを有するデジタル信号プロセッサを有してもよい。当該プロセッサはさらに、システムが異なるレンジにて動作する場合、ネットワークインターフェイス・メディアアクセスコントローラを有してもよく、モジュレータは、パルス持続時間およびインターパルス間隔が異なる2つのパルスパターンのパルスを作り出してもよい。これらのパルスパターンは、2つのレーダー画像を形成するよう導入されるとともに用いられる。これら2つの画像は、より大きいインターパルス間隔よりも20倍未満の持続時間またはレーダーシステムの場合はアンテナ分解能時間の1/2未満の時間において取得されたデータから導き出される。1つ以上のルックアップテーブルが増幅器を制御するよう用いられてもよい。レーダーシステムは、レーダービデオのレベルを8つより多く含むデジタル出力を生成してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
この発明はレーダーまたはソナー装置に関する。詳細には、受取られたレーダーまたはソナー信号のデジタル処理を含むこのような装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の概要
レーダースキャナは1940年代から製造されている。レーダーの進歩は、非コヒーレントパルスレーダー(non-coherent pulse radar)およびドップラーレーダー(Doppler radar)の2つの方法に分岐している。ドップラーレーダーは、軍および航空機での利用のためにかなりの発展を遂げた。現在のドップラーレーダーは、デジタル信号処理およびデジタル制御を大いに活用している。しかしながら、パルスレーダーは、非常にアナログなままであり、対数受信機およびアナログ電位制御を用いて、ディスプレイに処理のために送られるベースバンドビデオを生成する。ディスプレイは、このベースバンドビデオを1ビットのコンパレータを用いてデジタル形式に変換する。このようなディスプレイにおいて行なわれるどのような信号処理も、コンパレータにおいて行なわれるしきい値化によって制限される。アナログ処理および制御はこれまで、ほとんどの目的についてより安価で適切であった。
【0003】
レーダー受信機は、従来、SバンドまたはXバンドから60MHzのオーダの中間周波数へのダウンコンバートに基づいてきた。中間周波数(IF)の信号は次いで、IFフィルタリングおよびベースバンドの「ビデオ」へのアナログ対数復調に晒され、その後ベースバンドフィルタリングに晒される。レーダー信号プロセッサは、しばしばスキャナ自体ではなくレーダーディスプレイ装置に配置される。これは、レーダースキャナの筐体においてサイズ、重さ、および電力の制限が存在するためである。スキャナは最悪の環境に晒される一方、ディスプレイの筐体はしばしば、暖房されるコックピットといったより温和な環境に配置される。複数のディスプレイが用いられる場合、レーダーの情報は典型的にはネットワークを介して送られ、スキャナに直接的に接続されてない各ディスプレイでは、レーダー信号プロセッサはアイドルおよび冗長となる。
【0004】
アナログIFフィルタは、従来のモノパルスレーダーのために用いられる。IFフィルタのための最適な帯域幅は、(BW)=1/Tであり、式中、Tはパルス幅である。
【0005】
パルス幅は、レンジ分解能および平均出力について最適化される。短いパルスは、最も高いレンジ分解能が必要とされるとともにリターン信号が最も強い短いレンジのために用いられる。長いパルスは、絶対的なレンジ分解能が低減され得る場合に用いられるが、リターン信号の電力が低くなっているので、より高い送信出力が必要とされる。
【0006】
リターン信号の電力は、
s=k/R^4
である。式中、kは定数であり、Rはレンジである。
【0007】
ディスプレイのレンジ分解能は、表示可能なレンジ分解能を、たとえば1/1024といったレンジの最大割合まで制限する。したがって、より長いレンジでは、絶対的なレンジ分解能は低減され得る。なお、レンジ分解能を上昇させることにより、クラッタが低減され、多くの数のレンジビン(range bin)が表示の前に信号プロセッサにおいて組合され得る。この最適な送信されたパルス幅のパルスは、計測距離をユーザが変更すると選択される。
【0008】
多くの数の異なるパルス幅(たとえば8)が利用可能な場合、整合アナログフィルタリングを与えると、セットアップに負担となり、ドリフトしやすくなる。したがって、フィルタ帯域幅の中継ぎのサブセットを設けるとともに、いくつかのパルス幅をカバーするようその各々を用いるのが普通である。これは、準最適なフィルタリングへと繋がる。アナログビデオフィルタリングが、検出の後に行なわれ、対数検出器の利用から起こるスプリアス積(spurious product)を取除く。アナログビデオ・ロスパスフィルタは、ベースバンドにて動作し、カットオフ周波数比に対して広い帯域幅を有する必要があるが、線形の位相を有するので、ビデオフィルタリングは最小となる。
【0009】
レーダー信号は、アナログ−デジタルコンバータ(Analog to Digital Converter;ADC)、または大抵コンパレータのみの場合もある、を用いてアナログからデジタル形式への変換を必要とする。この信号は、CRTまたはLCDといったラスターグラフィック表示で使用するために、デジタル形式である必要がある。これは、極座標(レンジ、アジマス)からデカルト座標(x,y)へ変換(走査)される必要があるからである。変換の前に、エイリアシングアーティファクト(aliasing artefacts)を避けるようローパスビデオフィルタリングが必要とされる。従来のレーダー受信機からの振幅の対数処理は、非線形の処理であり、その出力はADCにおいてエイリアシングを避けるよう除去されなければならない多くの高調波を含む。しかしながら、上で論じたように、ビデオフィルタリングは最小である。これらのスプリアス積の除去が乏しければ、エイリアシングが引起され、その後の信号処理において、表示される情報の品質を向上させるために用いられ得たであろう情報が破壊される。対数ベースバンドビデオは、たとえば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;FFT)のために線形信号を利用する如何なる信号処理も除外する。
【0010】
対数検出器は従来、その大きなダイナミックレンジにより、レーダー受信機において利点を有しており、本質的にCFAR(定誤警報率(Constant False Alarm Rate))である。これらの品質が線形受信機において損なわれないことを確実にするよう、アナログおよびアナログ−デジタル変換のダイナミックレンジは非常に広くなければならない。低ノイズのプリアンプの構成要素、高速高分解能(ビット数の多い)アナログ−デジタル変換、非常に速いデジタルフィルタ、および理想的には浮動小数点処理デジタル信号プロセッサ(DSP)が用いられなければならない。これらは高価であり、用いるのが難しい。したがって、線形の検出および処理は、(高い電力損失のために)非経済的かつ信頼性がないので、以前は考えられてはこなかった。
【0011】
従来のレーダーディスプレイである別個のレーダー平面位置インジケータ(radar plan position indicator;PPI)の表示を可能にするデュアルレンジスキャナが入手可能である。しかしながら、このようなスキャナにおいて、受信機が一度に1つのパルスタイプの受信について最適化された状態では、スキャナは各パルスタイプを用いて完全な回転を複数回行なう。各レンジからの表示は、同時に明確に更新されないという欠点があり、これは曖昧さを作り出す。時間は、受信機および送信機の特性のために変更されることが許されているが、その結果、如何なるレンジにおいてもパルスが送信または受信されない期間が存在してしまう。その結果、情報が損失してしまう。
【0012】
添付の図面の図1は、公知のレーダー装置を示す。当該レーダー装置は、5つの主要な構成要素、すなわち、プロセッサ10、送信機部20、アンテナ構造30、受信機構造40、およびディスプレイ構造50を含む。プロセッサ10は、デジタルバス11を介して送信機部20へと渡されるパルス開始信号を生成する。プロセッサはさらに、受信機部40を制御するための信号を生成し、当該信号はプロセッサ10から第2のデジタル信号バス12を介して受信機部40へと渡される。
【0013】
プロセッサ10からのパルス開始信号は、送信機部20においてパルス持続時間ユニット21にて受信される。パルス持続時間ユニット21は、生成されることになるパルスのパルス幅を決定する。パルスは、パルス開始信号のエッジによって開始され、それらの持続時間はしたがって固定される。結果得られるパルス情報は、マグネトロン送信機23を駆動するモジュレータ22に渡される。このマグネトロン送信機23は通常、レーダー信号を形成することになる高電力のマイクロ波パルスを作り出す真空装置である。それらのマイクロ波パルスは、マグネトロン23からのスプリアス放射を制御するバンドパスフィルタ24を介して、マグネトロン23からサーキュレータ25へと渡される。このサーキュレータはスイッチングユニットとして動作し、適切な時に、マイクロ波パルスをアンテナ31に渡す。アンテナ31から当該マイクロ波パルスが送信される。アンテナ31は、回転するよう構成され、回転ジョイント32と、所定の回転スピードでアンテナを駆動するモータ33とを有する。モータ33は、モジュレータ22から電力が与えられる駆動部34から駆動される。回転ジョイント32は、回転アンテナとサーキュレータ25との間でマイクロ波接続部として作用する。
【0014】
リターン信号がアンテナ31にて受信されると、当該信号は低ノイズコンバータ41にサーキュレータ25を介して渡される。低ノイズコンバータ41は当該信号を適切な周波数に変換する。一般的に、マグネトロンは9.4GHzで送られるXバンド領域のパルスを作り出す。この場合、低ノイズコンバータ41が、受信したXバンドの信号をたとえば60MHzといったIF周波数へと変換することになる。なお、サーキュレータ25はマグネトロン23からの送信のためのパルスと、アンテナ31によって受信されるとともに低ノイズコンバータ41へと渡される受信信号との間でスイッチングを行なう。低ノイズコンバータ41からの信号は、PINダイオード減衰器42に渡される。PINダイオード減衰器42は、バス12を介して渡された信号に基づきプロセッサ10によって制御される時変ゲイン(Time Varying Gain;TVG)ジェネレータ43によって制御される。TVGジェネレータ43は、受信機部40のゲインを制御して、アンテナ31が受信した信号のレンジの変動について補償する。TVGジェネレータ43はさらに、PIN減衰器42の出力を受信するとともに受信した信号のIFゲインを制御する可変増幅器44を制御する。可変ゲイン増幅器44の出力は、受取った信号を用いて、エンベロープの対数である出力を生成する対数検出器45へと渡される。この出力は、ディスプレイ部50への出力を生成する選択可能なバンドフィルタ(ビデオフィルタ46)へと渡される。
【0015】
図1に示されるように、このディスプレイ部は複数のディスプレイ構造を含む。その各々は、コンパレータ51、スポークバッファ52、信号プロセッサ53、およびグラフィカルディスプレイ54を含む。しかしながら、図1に示される構成において、複数のディスプレイ構造のすべてのうち、大抵1つ以外は冗長である。したがって、図1においては、ビデオフィルタ46の出力は、コンパレータ51と、スポークバッファ52と、信号プロセッサ53と、ディスプレイユニット54とを含む第1のディスプレイ構造55によって受取られる。コンパレータ51は、入力信号が事前に規定された電圧しきい値を横切ると変化するデジタル出力を生成する。スポークバッファ52は次いで、このコンパレータ51の出力を受取り、受取った信号のデジタル表現を時間を関数として格納する。スポークバッファ52に格納されたデジタル信号は次いで、信号プロセッサ53によって処理され、ディスプレイユニット54への信号を生成する。しかしながら、ディスプレイユニット54への信号は、第2のディスプレイ構造56のディスプレイユニット54にも直接的に渡される。そのディスプレイ構造56において、コンパレータ51、スポークバッファ52、および信号プロセッサ53は冗長となっている。同様に動作するディスプレイ構造をさらに設けることも可能である。
【0016】
ソナーシステムでは、当該構造は類似しているが、アンテナは、ソナー信号を送信および受信するソナートランスデューサに置き換えられる。当該トランスデューサは、アンテナ31とは異なり回転しない。さらに通常、マグネトロン23が高電力RFパルスジェネレータに置き換えられるのが望ましい。さらに、水中におけるある割合の音波の速度は、空気中を伝搬する電波よりも実質的に遅く、かつソナーシステムが検出することになる対象の最大レンジは通常、レーダーシステムにおいて検出されることになる最大レンジよりも少ないので、ソナーシステムにおいて用いられるパルス繰返し間隔およびパルス幅は、レーダーシステムにおいて用いられるそれらとは異なることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発明の概要
本発明は、公知のレーダーおよび/またはソナーシステムを向上することを目的とし、レーダーまたはソナーシステムにおいて独立または組み合わせて用いられ得る一連の局面を有する。各局面は、任意のレーダーまたはソナー装置の主な特徴を含む基本的なアンテナまたはソナー構造に付加的な特徴を与え得る。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明において、レーダー装置の基本的な構造は、
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含み得る。
【0019】
同様に、ソナー装置の基本的な構造は、
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含み得る。
【0020】
したがって、ソナー装置の基本的な構造は、レーダー装置のアンテナ(通常、回転アンテナ)がトランスデューサに置き換えられるという点で、レーダー装置の基本的な構造と異なるということが分かり得る。
【0021】
本発明の第1の局面は、レーダーまたはソナー装置のアンテナまたはトランスデューサが受信した信号を、増幅の後、線形の復調に晒すことを提案する。結果得られる復調された信号は次いで、表示を生成するよう用いられるか、またはさらに分析され得る。
【0022】
したがって、この第1の局面は、上で議論した基本的な構造を有するレーダーまたはソナー装置であって、レーダーまたはソナー装置は、増幅器と信号プロセッサとの間に線形受信機を有し、線形受信機は、信号プロセッサによる処理のために、増幅されたリターン信号を示すデジタル出力を生成する線形デモジュレータを含むレーダーまたはソナー装置を提供し得る。
【0023】
線形受信機は通常、線形増幅器および線形デモジュレータを含む受信機である。出力信号は、やって来る信号の振幅に線形に比例する。非線形受信機は、たとえば、対数および二乗検波デモジュレータを含む。同様に、線形デモジュレータは通常、やって来る信号の振幅に線形に比例する出力信号をデジタルまたはアナログのいずれかの形式で生成するデモジュレータである。線形デモジュレータはさらに、やって来る信号の位相を示す信号を、局部オシレータを基準にするタイミングで提供し得る。
【0024】
この発明の第2の局面はさらに、レーダーまたはソナーのアンテナまたはトランスデューサが受信した信号を考慮し、かつ増幅後のこれらの信号をアンチエイリアスフィルタを用いてフィルタリングし、サブサンプリングコンバータを介してアナログからデジタル形式に変換することを提案する。
【0025】
したがって、第2の局面では、上で論じた基本的な構造を有するレーダーまたはソナー装置であって、レーダーまたはソナー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタとフィルタリングされたデジタル信号をデジタル信号に変換するためのサブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータとを有し、デジタル信号は信号プロセッサに供給されるレーダーまたはソナー装置が提供され得る。
【0026】
アンチエイリアスフィルタは、通常アナログ−デジタルコンバータの前に用いられる装置であり、シャノン−ナイキスト−カテリニコフのサンプリング定理(Shannon-Nyquist-Kotelnikov sampling theorem)をほぼ満たすよう信号の帯域幅を制限することを可能にする。この定理は、連続時間ベースバンド信号が帯域制限され、かつサンプリング周波数が信号帯域幅の2倍より大きければ、そのサンプルからの連続時間ベースバンド信号の完全な復元が可能であることを必要とする。レーダーおよびソナー適用例では、帯域外信号は主に、ホワイトノイズ、熱ノイズを含む。満足のいく信号対雑音比を達成し、上記の基準に対して適切に近づくよう、帯域内信号は6dBより多く減衰されるべきではなく、エイリアシングされる可能性のある信号は30dBを超えて減衰されるべきではない。
【0027】
上述したように、第1および第2の局面は独立していてもよい。しかしながら、これらの局面が組み合わされて用いられる場合、アンチエイリアスフィルタおよびアナログ−デジタルコンバータは、増幅器と線形受信機との間に存在する。
【0028】
第2の局面では、アナログ−デジタルコンバータは、ベースバンドへのダウンコンバージョンまたはさらなるデジタル信号処理に好適なデジタル出力を作り出す。たとえば、デジタル信号は、信号プロセッサへの出力の前にデジタルフィルタリングに晒され得る。フィルタリングされたパルスが複数のパルス幅を有する場合、当該フィルタリングは、整合フィルタの形態でなされ得る。
【0029】
好ましくは、アナログ−デジタル変換、中間周波数(IF)フィルタリング、およびベースバンドへのダウンコンバージョンは、もし用いられるならば、単一の集積回路において行なわれる。
【0030】
好ましくは、信号は、出力の前に非線形ダイナミックレンジマッチングに晒される。任意のディスプレイに対する非線形ダイナミックレンジマッチングは、信号処理の前ではなく後に行なわれる。信号処理の後のレーダー信号のダイナミックレンジは、ディスプレイのダイナミック強度レンジよりも大きいままである。ダイナミックレンジ圧縮が用いられるが、これは信号処理の後である。圧縮のためのアルゴリズムの選択が実行可能である。なぜならば圧縮は信号プロセッサにおいて行なわれるからである。これらは、対数、平方根、または特別な場合、圧縮がない場合は線形であり得る。
【0031】
この発明の第3の局面は信号プロセッサに関する。第3の局面では、もっとも一般的には、信号プロセッサは、自身の上で実行されるネットワークスタックを有するデジタルプロセッサである。これは、ネットワークスタックが別個の通信プロセッサ上で実行される構成とは対照的である。
【0032】
したがって、この発明の第3の局面は、上で論じた基本的な構造を有するレーダーまたはソナー装置であって、レーダーまたはソナー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号に変換するためのアナログ−デジタルコンバータとを有し、デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは自身の中で実行されるネットワークスタックを含むデジタルプロセッサであるレーダーまたはソナー装置を提供し得る。
【0033】
ネットワークスタックは、ネットワーク通信プロトコルのソフトウェア実現例である。
この発明の第4の局面も信号プロセッサに関し、当該プロセッサが、ネットワークインターフェイス・メディアアクセスコントローラおよび物理層インターフェイスを有するデジタルプロセッサであるということを提案する。そのメディアアクセスコントローラは、デジタル信号プロセッサバスに直接的または論理的に、おそらくバスバッファを介して、接続されてもよい。
【0034】
したがって、この発明の第4の局面は、上で論じた基本的な構造を有するレーダーまたはソナー装置であって、レーダーまたはソナー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号に変換するためのアナログ−デジタルコンバータとを有し、デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサはデジタル信号処理バスに接続されるネットワークインターフェイス・メディアアクセスコントローラおよび物理層インターフェイスを有するデジタル信号プロセッサであるレーダーまたはソナー装置を提供し得る。
【0035】
メディアアクセスコントローラ(MAC)は、電子集積回路、またはいくつかのネットワークノードがマルチポイント通信ネットワーク内で通信することを可能にするアドレス指定およびアクセス制御機構を与える回路の機能ブロックのような構成要素である。
【0036】
物理層インターフェイス(PHY)は、デジタル信号同士の間を仲介する電子集積回路または回路の機能ブロックと、通信ネットワークのアナログドメインにおける変調とをを指す。
【0037】
上述したように、異なるパルスが、異なる画像、たとえば異なるレンジでの画像を生成するよう用いられるレーダーまたはソナーシステムを提供することは公知である。しかしながら、一般的には、公知のシステムは、異なるレンジについてパルスが別個に必要とされると考えていたので、画像のいずれかが、他の画像を形成するのに用いられるデータよりも大幅に古いデータに基づいている。この発明の第5の局面は、パルス幅および/またはインターパルス間隔において異なる、異なるレンジについてのパルスをインターリーブすることによって、画像の同時表示が行なわれる構成を向上することを目的とする。詳細には、これらのパルスは、表示画像を形成するデータが異なるパルスのインターパルス期間の20倍未満の長さの持続時間において取得されるデータから導き出されるようなパルスである。代替的には、少なくともレーダーシステムの場合、このデータは、他の画像のためのデータと比べて、アンテナ旋回時間の1/2より長い期間にわたって取得されるべきではない。後者は、回転アンテナを有さないソナーには適用できない。
【0038】
したがって、この発明の第5の局面では、上で論じた基本的な構造を有するレーダーシステムであって、レーダーシステムは、アンテナを所定の旋回持続時間で回転するためのアンテナ駆動部を有し、
モジュレータは、パルス信号の連なりが第1のパルスパターンのパルスと第2のパルスパターンのパルスとを含むようにパルス信号の連なりを生成するよう構成され、当該第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびインターパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンは、所定の旋回持続時間において、各々のパルスタイプの複数のパルスが存在するようにインターリーブされ、
信号プロセッサは、任意の時間の第1および第2の画像の各々を形成するパルスが所定の分解能持続時間の1/2未満である時間内であるように、第1のパルスタイプのパルスから第1のレーダー画像を生成するとともに、第2のパルスタイプのパルスから第2のレーダー画像を生成するよう構成されるレーダーシステムが提供され得る。
【0039】
同様に、この第5の局面は、上で論じた基本的な構造を有するソナーシステムであって、モジュレータは、パルスの連なりを生成するように、かつパルスの連なりが第1のパルスパターンのパルスおよび第2のパルスパターンのパルスを含むように構成され、第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンはインターリーブされ、
信号プロセッサは、第1のパルスタイプのパルスから第1のソナー画像を生成するととともに、第2のパルスタイプのパルスの第2のソナー画像を生成し、かつ任意の時間での第1および第2の画像を形成するパルスが、第1および第2のパルスパターンのパルス間隔のうちどちらがより大きくても、20倍未満の時間内にあるように構成されるソナー装置を提供し得る。
【0040】
この発明の第6の局面は、レーダーまたはソナー装置のアンテナまたはトランスデューサが受取った信号を増幅する増幅器に関する。第6の局面では、ルックアップテーブルが、デジタルで増幅器を制御するよう用いられる。
【0041】
したがって、第6の局面では、上で論じた基本的な構造を有するレーダーまたはソナーシステムであって、レーダーまたはソナーシステムは、増幅器のゲインを制御するためのコントローラを有し、コントローラはリターン信号のレンジ依存変動について補償するためのデータを含む少なくとも1つのルックアップテーブルを含むレーダーまたはソナーシステムが提供され得る。
【0042】
通常、レーダー信号についてのレンジ依存変動は1/R^4である。しかしながら、このレンジ依存は、雨または海のクラッタが存在する場合、この関数から離れ得るので、必要とされる変動はしばしば、レンジの多項式またはレンジ依存のべき法則の組合せである。したがって、受信機のゲイン制御が非線形の場合、ルックアップテーブルの内容は、必要とされる関数の積となる。
【0043】
第6の局面が複数のレンジで動作するレーダーのために用いられる場合、この発明の第5の局面または他の態様を用いるかに関わらず、増幅器の制御は当該複数のレンジを考慮に入れる必要がある。これは、2つ以上のルックアップテーブル(この数はレンジの数に依存する)を用いることによってなされ得る。代替的には、しかしながら、異なるレンジは、異なるレンジに対応する異なるテーブル領域を有する単一のルックアップテーブル内に収納されてもよい。次いで、増幅器を制御するためのデータを取得するよう用いられるアドレスが、レーダーまたはソナーが現在動作しているレンジに依存して、テーブルの必要とされる部分を指す。異なるテーブル領域を有する単一のルックアップテーブルが通常好ましいであろう。
【0044】
さらに、複数のルックアップテーブルまたは複数のテーブル領域を有するルックアップテーブルの利用は、更新を可能にする。したがって、1つのテーブルまたはテーブル領域におけるデータが用いられているとき、別のテーブルまたはテーブル領域におけるデータは、装置の現在の動作に影響を与えることなく、更新され得る。
【0045】
増幅器が、1つより多いゲインステージを有する場合、当該ステージについて別個のゲイン関数が必要とされ得る。この場合もまた、異なるゲインステージに対して、複数のルックアップテーブルを利用すること、または異なるテーブル領域を有するルックアップテーブルを有することが可能である。別個のルックアップテーブルがゲイン制御のために用いられる場合、信号は、ゲイン制御レンジ内に増幅器を制御するよう用いられる信号を保つ飽和論理を用いて、2つのタイプのテーブルからの出力を加えることによって所望のダイナミックレンジで保たれ得る。たとえば、0から255のレンジは、8ビットゲイン制御のために用いられ得る。
【0046】
上で論じたこの発明のすべての局面は、レーダーまたはソナーシステムのいずれかに適用可能である。この発明の第7の局面は、レーダーシステムに関し、上で論じた基本的なレーダー構造のデジタル信号プロセッサが、レーダービデオのレベルを8より多く含むデジタル出力を生成することを提案する。好ましくは、振幅における目標の擬似カラー表現が、レーダーディスプレイ上に表示される。好ましくは、レーダービデオのレベルが16より多く存在する。
【0047】
本発明によると、パルスレーダーまたはソナーデータの向上した表示を有するスキャナを作り出すことが可能になる。この発明は、ベースバンドへの線形変換を用いて、マルチビットのデジタル信号処理を利用し得る。デジタル制御が用いられる場合、これにより、温度の影響およびアナログ回路網に影響を与える経年変化に対してスキャナが対抗することが可能になる。
【0048】
この発明の実施例を、添付の図面を参照して、詳細にかつ例示目的で記載する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】既に記載された公知のレーダー装置のブロック図である。
【図2】この発明を実施するレーダー装置のブロック図である。
【図3】レンジに対する増幅器のゲインと感度との間の関係のグラフの図である。
【図4】図2の実施例のフィルタの周波数特性を示すグラフの図である。
【図5】図2の装置の部分を示すブロック図である。
【図6】図2の実施例における信号のダウンコンバージョンを示す図である。
【図7】図2の実施例におけるデータバッファリングを示す図である。
【図8】図2における時変ゲインジェネレータを示す図である。
【図9】図2に示されるPINダイオード減衰器の典型的な特性を示す図である。
【図10】この発明の実施例において用いられ得るパルスパターンを示す図である。
【図11】公知のソナーシステムのブロック図であって、図1に類似する図である。
【図12】この発明を実施するソナー装置のブロック図であって、図2に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
詳細な説明
この発明のさまざまな局面を具現化するレーダー装置をここで詳細に説明する。図2は、この実施例の装置の一般的な構造を示す。図1の公知の構成においてのように、この装置は5つの構成要素、すなわち制御プロセッサ100、送信機部200、アンテナ部300、受信機部400、およびディスプレイ部500を含む。送信機部200、アンテナ部300、および受信機部400のサブコンポーネントのいくつかは、図1の構成の送信機部20、アンテナ部30、および受信機部40の構成要素に対応し、対応する部分に対して同じ参照番号が用いられる。
【0051】
しかしながら、図2の装置は異なるレーダーレンジにおいて複数の表示を生成するよう意図される。したがって、制御プロセッサ100は、別個のデジタルバス101,102を介して別個のパルス持続時間ユニット201,202に送信される2つのタイプのパルス繰返し周波数信号を生成する。これらのパルス持続時間ユニット201,202の各々は、パルス持続時間ユニット21と同様の態様で、対象となるパルスの持続時間を決定する。しかしながら、パルス持続時間ユニット201,202によって生成されるパルスの持続時間は異なることになる。結果得られる信号は、モジュレータ22に渡される前に、論理ORコンポーネント203によって組合される。より詳細に後述するように、当該パルスは、インターリーブされるように生成される。インターリーブの態様は、表示されることになる画像の所望のレンジによって決定される。
【0052】
図2の構成において、アンテナ部300の構造は図1の構成のアンテナ部30と同様である。図1の構成においてのように、アンテナ31が受信した信号は、サーキュレータ、低ノイズコンバータ(low noise converter;LNC)41、PIN減衰器42を介して可変ゲイン増幅器44へと渡される。しかしながら、この可変ゲイン増幅器44の出力は、以下により詳細に記載されるように、図1の構成とは異なった態様で処理される。
【0053】
図2の実施例では、時変ゲイン(time varying gain;TVG)ジェネレータ401は、固定および可変ゲイン増幅器の組合せの連なりとPINダイオード減衰器とを用いて実現される。さらに、TVGジェネレータ401は、デジタルバス12を介して制御プロセッサ100から受取られた信号を用いて制御される。しかしながら、この実施例では、TVGジェネレータ401の出力は、PIN減衰器42と可変ゲイン増幅器44とをそれぞれ制御するようそれぞれのデジタル−アナログコンバータ402,403によって変換される。
【0054】
次いで、図3は、異なるレンジについて必要とされる可変ゲイン増幅器44のゲイン感度の変動を示す。これらは、TVGジェネレータ401によって制御される。
【0055】
可変ゲイン増幅器44に追従して、固定周波数アンチエイリアスフィルタ404は入力信号帯域幅を以下のように制限する。
アンチエイリアスフィルタ帯域幅=IF周波数+/−BWmax
式中、BWmaxは最短のパルスの最適な受信について必要とされる帯域幅であり、IFは所望の中間周波数である。上述したようなアンチエイリアスフィルタ404は、無限のロールオフ率を有し得ない。しかしながら、エイリアシングされた信号を含む何らかの信号をこのレンジの外に通すことは可能である。この信号は、受信した対象の信号の熱(ホワイト)ノイズ、干渉、およびより高い高調波を含むことになる。最低のノイズおよび最良の性能が必要とされる場合においてより狭い帯域幅(より長いパルス)で用いられると、エイリアシングされた歪んだ信号の多くがその後のデジタルフィルタリングによって除去されることになる。選択された帯域幅にエイリアシングされても、他のパルスレーダーからの干渉は拒絶される。複数のレーダーパルスに基づき、相関技術が用いられる。選択された帯域幅にエイリアシングされた残存するホワイトノイズは単に、エイリアシングフィルタスカートに対する選択された帯域幅の比に従って、少しばかりノイズ性能を悪化させるだけである。
【0056】
記載されたレーダー受信機は、集積された高速デジタルフィルタを有する単一の集積回路14ビットADCを用い得る。この構成要素のサイズが小さいことと、集積のレベルが高いこととにより、受信機の低ノイズフロントエンドに結合されるノイズが低減される。
【0057】
次いで、図4はアンチエイリアスフィルタ404の周波数応答を示す。
アンチエイリアスフィルタ404の出力は、レーダーの各レンジについて、アナログ−デジタルコンバータ405を介してそれぞれのデジタルフィルタ406,407へと渡される。これらのデジタルフィルタ406,407は、デジタルバス103を介して制御プロセッサ100から同期信号を受取る。これらのデジタルフィルタ406,407の出力は、それぞれのスポークバッファ408,409を介して信号プロセッサ410へと渡される。この信号プロセッサ410は、ネットワークユニット411を介してディスプレイ部500に渡されるネットワーク出力を生成する。
【0058】
図5は、図2の装置の部分をより詳細に示す。図5に示されるように、信号プロセッサ410は、デジタルプロセッサ(DSP)470、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory;SRAM)471、フラッシュメモリ472、シリアルEEPROM473、およびシリアル・デジタル−アナログコンバータ474を含む。
【0059】
図5は、さらに、TVGジェネレータ401およびバッファ408,409が実施されるフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(field programmable gate array;FPGA)412を示す。実際には、図5において別個の構成要素として示されているが、デジタルフィルタ406(およびデジタルフィルタ407)は、FPGA412内においても実施されてもよい。
【0060】
図5はさらに、ネットワークユニット410が、ホストポート付(host-ported)メディアアクセスコントローラ(media access controller;MAC)および物理層インターフェイス(PHY)413ならびにイーサネット(登録商標)コネクタ414とを含むことを示す。
【0061】
図5はさらに、さまざまな構成要素のタイミングを制御するシーケンサ415を示す。
FPGA412は、制御プロセッサに渡される出力をライン475上に生成する。
【0062】
この実施例は、アナログ−デジタル変換サンプリング速度を低減するサブサンプリングアプローチを用いる。サブサンプリングを促進するよう、IF周波数は70MHzへと上昇される。サブサンプリングなしの場合では、アナログ−デジタル変換は、ナイキスト基準を満たすよう2*(70MHz+(BW/2))の最小のサンプリング速度を必要とする。75nsパルスの場合、これは2*76.6=153.2MHzのアナログ−デジタル変換サンプリング速度と等しい。このサンプリング速度で動作する高分解能アナログ−デジタル変換は、高価であり、輸出規制の対象となり得る。実際には、アナログアンチエイリアスフィルタ404は、周波数範囲において無限のロールオフを有し得ないので、当該サンプリング速度は、フィルタのスカートにおいて信号をエイリアシングすることを避けるよう、さらにいくらか高い必要がある。
【0063】
記載される実施例は、57MHzサンプリング速度を用いる。アナログ−デジタル変換におけるアンダーサンプリングは、信号を13MHz+/−BW/2へとエイリアシングする。このサブサンプリングされた信号は、デジタルフィルタICの部分でもある複合ミキサ(complex mixer)において混合され、複合I,Qベースバンド信号を作り出す。この複合ベースバンド信号は次いで、デジタルフィルタにおいてフィルタリングされ、0Hz+/−BW/2を必要とするマッチングされた帯域幅を作り出す(混合信号は複合I,Qである)。アンダーサンプリングにより、アナログ−デジタル変換および必要とされる処理ならびにメモリのコストが低減される。
【0064】
多くのパルス幅(たとえば8)が用いられる場合、整合アナログフィルタリングを与えると、セットアップに対して負荷となりドリフトしやすくなる。この実施例は、ベースバンドへの変換の前に、IFのデジタルフィルタリングを用いる。このようなデジタルフィルタリングは線形であるとともに最適であり、従来のベースバンドの対数ビデオ(log video)をデジタル化し、次いでフィルタリングすることによっては同じ結果は達成され得ない。この設計において、全体のデジタル信号処理は、多くの処理アルゴリズムが利用可能(たとえば高速フーリエ変換(FFT))である線形のドメインにおいてが行なわれる。
【0065】
デジタルフィルタ406は、ユーザが計測距離を変更すると、各計測距離上において最適化されたマッチングされた帯域幅が常に用いられるように異なるパラメータでリロードされ得る。したがって、最適にフィルタリングされ得る異なるパルス幅の数に対して制限はない。代替的には、2つ以上のフィルタが同時に利用可能とされ得、必要とされるレンジに従ってパルス毎に選択されるこれらの出力が得られる。これらのフィルタは、ユーザが計測距離の1つを変更すると、別個にリロードされ得る。
【0066】
次いで、図6はIFからベースバンドへのダウンコンバージョンを示す。デジタルフィルタ406の出力は、サンプルデータの複合I,Qの対の形であり、それらは振幅の形に変換され、FPGA412にバッファリングされる。このバッファは、図7により詳細に示される。図7において、それぞれのアドレスジェネレータ422,423によって制御されるそれぞれのデュアルポートのパルス繰返し間隔(pulse repetition interval;PRI)バッファ420,421が、パラレル入力ポート424を介して適切な入力を受取るとともにリンクポート出力425を介して出力することになる。
【0067】
TVGジェネレータ401をここでより詳細に記載する。なお、TVGジェネレータ401は実質的に、レーダー装置が動作している異なるレンジのための複数のジェネレータを含む。図8は、1つのこのようなレンジのためのTVGジェネレータ401の構造の一部を示す。レーダーシステムが動作することになる各レンジごとに、TVGジェネレータ401内に同様の構造が存在することになる。
【0068】
TVGジェネレータはリアルタイムで動作する必要があり、したがって時間に対するTVG関数の計算は、同じ計測距離について、各送信パルスに対して同一であるとともに繰返される。この設計において、TVG関数がルックアップテーブルを用いてデジタルで実現されるということが1つの革新的なことである。ルックアップテーブルの内容はただ、計測距離の各変化に対する再計算を必要とするのみである。この再計算は、製造時に計測される、ゲイン制御ステージの非線形性と、必要ならば雨または海のクラッタカーブを含む必要とされるレンジまたは時間依存ゲイン関数との組合せである。最終関数は、デジタルフィルタの出力のサンプリング速度に対して尺度決めされる。これらのテーブルは、計測距離が変更される際にのみ、ソフトウェア制御の下でロードされる。
【0069】
これらのループアップテーブルは、図8において430および431で示される。実際には、これらのルックアップテーブルは、図8に示される2つのテーブル430,431のための異なるテーブル領域を有する単一のテーブルにおいて実現されてもよい。さらに、異なるレンジについて異なるTVGジェネレータ構造が存在する場合は、それぞれのレンジのための構造のルックアップテーブル自体が、異なる構造についての異なるテーブル領域を有する単一のルックアップテーブルにおいて組合されてもよい。
【0070】
この設計におけるルックアップテーブルのロードは、デュアルポートのSRAMの利用により簡略化される。これらは、以下に記載されるハードウェアによるルックアップテーブルの読取に干渉しないマイクロプロセッサバスに接続される第2のアドレスおよびデータバスを有する。テーブルのロードと、必要ならばエラーのチェックとは、通常のSRAMがマイクロプロセッサによってアクセスされるのと同じように、この第2のデータおよびアドレスバス上で行なわれる。テーブルのロードは、この議論の残りの部分では取り扱わない。
【0071】
通常1つのゲイン制御ステージでは、入力信号のダイナミックアレンジを扱うとともにアナログステージの各々における線形性を保存するのには不適切である。この実施例では、可変ゲイン増幅器(variable gain amplifier;VGA)44の前にPINダイオード減衰器42が用いられ、これにより大きな信号の場合、VGA44の入力の飽和を防止する。このゲインはさらに、レンジにより変動される必要がある。したがって、ゲイン制御回路は、単一のスポークの取得の間中、PINダイオード減衰器42およびVGAの両方のゲインを修正する必要がある。
【0072】
PINダイオード減衰器42は、図9に示されるように制御電圧により非常に非線形になる。したがって、PINダイオードゲイン制御のためのルックアップテーブルの内容は、当該線形に(レンジにより)増加するルックアップテーブルのアドレスを変換するよう逆の非線形性を適用し、必要とされるレンジ依存ゲイン(典型的にはR^4の電力ゲイン)とPINダイオード減衰器の逆非線形関数とを乗算したものにする。
【0073】
図8において、ライン436上において受取られた信号PRI_PLSは、回路を受信の開始に同期させる。遅延カウンタ432は、レンジ依存ゲイン制御回路の開始を遅延させ、送信機における遅延を相殺する。必要とされる遅延は、TVG遅延レジスタ437からロードされる。読取アドレスカウンタ433は次いで、そのレンジにとって適切なルックアップテーブルの内容にアクセスするよう、時間が進むと、クロックTsの制御の下でインクリメントする。この実施例では、デジタル−アナログコンバータ402の両方のためのデータがマルチプレクサによって、単一の8ビットRDACバス上でインターリーブされる。このマルチプレキシングは通常、デジタルフィルタの出力サンプリング速度よりも速い速度で行なわれる。
【0074】
マルチプレクサ438は、ライン439上で受取られたデジタル−アナログ選択信号を用いて、それに依存してデジタル−アナログコンバータが駆動されることになるか、デジタル−アナログ402がPINダイオード42に接続されるか、またはデジタル−アナログ403が可変ゲイン増幅器44に接続される、適切なルックアップテーブル430または431の出力を選択する。
【0075】
マルチレンジシステムでは、ルックアップテーブル430および431は、レンジの各々のための必要とされるテーブルを収納するのに十分大きくなっており、テーブル読取アドレスの最上位ビットは、取得されることになる現在のレンジのためにどのテーブルがアクセスされることになるか決定するよう修正される。取得されることになるこのレンジは、デジタルバス103を用いて制御プロセッサ100によって信号送信される。
【0076】
アナログ−デジタルコンバータのサンプリング速度ではなく、デジタルフィルタの出力速度に依存して修正され得る速度で、遅延カウンタ432はデクリメントされ、読取アドレスカウンタ433はインクリメントされる。このサンプリング速度は、用いられる好ましいデジタルフィルタ(AD6654)のために外部からアクセス可能とはなっていないので、この速度でクロック(Ts)を作り出すようアナログ−デジタルコンバータクロックの除算によって再び作り出される。速度分割器回路網440、遅延レジスタ441、速度分割器位相442、および周波数レジスタ443は、信号PRI_PLSに同期して開始するようクロックTsを同期させ、当該サンプリング速度で繰返し、そのレンジに適用可能な位相をサンプリングする。したがって、速度分割器およびレジスタは、同時に取得され得る各レンジについて二重に設けられている(デュアルレンジシステムの場合、2つのうちの1つが図8に示される)。
【0077】
低速度のTsの利用により、レンジ依存テーブルにおいて必要とされるエントリの数が低減される。ルックアップテーブルエントリの数は典型的には、取得されることになる当該レンジのためのデジタルフィルタ出力における最大サンプルと少なくとも同じぐらい長い。実際、エントリの数を低減することは可能である。ゲインデジタル−アナログコンバータ434のアナログ出力はアナログフィルタにおいてフィルタリングされ、これにより補間が与えられる。代替的には、所望の関数へのレンジ依存ゲイン関数のマッチングは、結果得られるゲインが小さく、かつ最終表示の前にその後のデジタル処理においてフィルタリングされ得るならば、段階的な近似であり得る。
【0078】
レンジ依存ゲイン制御に対して同時に、EXPビットをアドレスとして用いて、別のルックアップテーブル(EXPルックアップデータ)435がアクセスされる。これらのビットは、アナログ−デジタルコンバータのダイナミックレンジ内に信号を保つようアナログステージのゲインを変動させるAGC回路から与えられる。EXPの3つのビットが、この実施例において用いられるアナログ−デジタルコンバータから利用可能である。したがって、この実現例では、EXPルックアップテーブル435においては8つのエントリが必要とされる。EXPルックアップテーブル435は、ゲインをコントロールするよう用いられ得るか、またはEXPテーブルはこの関数を無効にするようすべて0に設定され得る。同様に、アナログゲイン制御回路が非線形である場合、EXPルックアップテーブル435は逆の非線形性を含み得、これによりEXPビットの値により線形に実際のゲインを変動させる。このように線形化した関数の傾きは、異なる尺度に対応するよう変動され得る。たとえば、用いられるアナログ−デジタルコンバータは、EXPの各インクリメントに対して6dBだけゲインが変動するよう見積もる。
【0079】
この実現例において用いられるアナログ−デジタルコンバータは、外部のアナログステージにおいてゲインの変化を要求するようEXP出力を提供する。
【0080】
ゲインレイジングブロック(外部)におけるゲインは、入力ポートの指数ビットEXP[2:0]を用いて、再線形化により補償される。この目的のために、ゲイン制御ビットはEXP[2:0]ビットに接続され、これによりゲイン制御出力において各増加毎に6.02dBの減衰を与える。外部ゲインレインジングブロックにおけるゲインおよびAD6654における減衰(EXPビットを用いる)の後、信号ゲインは本質的には変化しない。唯一の変化は、アナログ−デジタルコンバータのダイナミックレンジにおける増加である。
【0081】
選択されたルックアップテーブル430または431およびAGCルックアップテーブルの出力は、結果がアナログ−デジタルコンバータのレンジ内に保たれるとともにオーバーフローまたはアンダーフローが起こらないことを確実にする飽和論理により、ともに加えられる。診断レジスタの内容、すなわちRDAC_DEBUG_DATAは、TVGジェネレータ402のテストを促進するようこのパスに加えられる。
【0082】
ルックアップテーブルの内容のすべては、負の数が起こる場合に与えられる正しい結果とともに加えられ得る2つの補数である。デジタル−アナログ変換データおよび制御信号の正しいタイミング関係を確実にするよう、RDACデータは、TVGジェネレータ402を離れる前に、レジスタ434において再同期される。
【0083】
特定のレンジでの瞬時信号は、RCS変動およびフェーディング(fading)により未だ変動し得る。受取られたレーダー信号の全体のダイナミックレンジは非常に大きい。これは、以下の要素を含む。
範囲:ポイントリフレクタのための受信信号電力が1/R^4, (Ref.1)という法則に従う。この式中、Rはレンジである。たとえば50mの最小レンジから20NMのレンジまで、ダイナミックレンジは115dBである。
対象となる目標のレーダー断面(radar cross-section;RCS)は50dBだけ変動する。
フェーディングおよびマルチパス効果は、さらに30dBの変動に寄与する。
したがって、対象の合計ダイナミックレンジはこれらの合計、すなわち195dBである。
【0084】
幸運なことに、レンジの変動は予測可能である。TVGは、熱ノイズおよび変動ゲイン増幅器ノイズの制限ならびにダイナミックレンジに従って、レンジの変動の効果を相殺するよう加えられる。
【0085】
特定のレンジでの瞬時信号は、レーダー断面(RCS)変動およびフェーディングにより変動し得る。実際には、80dBの瞬間的なダイナミックレンジについての要件が存在する。14ビットのADCの理論上のダイナミックレンジは84dBである。アジマス積分を含む信号処理は、1つの最下位ビット(least significant bit;LSB)の下の信号を抽出するよう用いられ、これによりさらにダイナミックレンジを延長する。したがって、完全な線形のIF処理のためにこのようなコンバータを用いて、TVGを用いる完全なレンジの補償により、適切な瞬時ダイナミックレンジが存在することになる。
【0086】
信号処理の後のレーダー信号のダイナミックレンジは、ディスプレイのダイナミック強度レンジよりも大きいままである。ダイナミックレンジの圧縮が、信号の処理の後に用いられる。圧縮のためのアルゴリズムの選択が実行可能である。なぜならば、圧縮はDSPにおいて行なわれるからである。これらは、対数、平方根、または特別な場合、圧縮がない場合には線形であり得る。
【0087】
出力データは、ディスプレイのプロセッサにおいて擬似カラーに変換される8ビット(256レベル)を含む。
【0088】
複数のディスプレイの接続を促進するよう、イーサネット(登録商標)が、スキャナからディスプレイへの接続部として用いられる。
【0089】
イーサネット(登録商標)メディアアクセスコントローラ/物理層インターフェイス(MAC/PHY)は、デジタル信号プロセッサのバスに接続し、ネットワークソフトウェアスタックが、別個の通信プロセッサではなくデジタル信号プロセッサ自体で実行される。これにより、マルチプロセッサアーキテクチャの付加的なコストおよび複雑さが省かれる。
【0090】
図2はさらに、レーダー装置のディスプレイ部500が複数のウインドウ501、502、503(このようなウインドウの合計数nは、レーダーが動作するレンジの数に依存する)において異なる表示を生成することを示す。各ウインドウ501,502,503は、ネットワークユニット411からデジタル信号を受取り、レーダーのレンジの1つに対応する画像を表示する。
【0091】
公知のマルチレンジレーダーは、旋回ごとにレンジの目標検出値をインターリーブする。この実施例のレーダーは、これらのレンジについて、異なる計測距離に対する目的の検出値と、データの表示とをパルスごとにインターリーブする。したがって、実質的に同じ瞬間に取得された複数の計測距離のレーダー画像の同時表示が存在し、完全に時間ロックされる。これらの画像は、アンテナの一旋回の何分の一か前のレーダーデータよりも古いレーダーデータを画像が表示しないように、リアルタイムで更新される。
【0092】
異なる特性のレーダーパルスのインターリーブが公知であるが、異なるパルスからの情報は、異なる計測距離について別個の同時の表示を作り出すよう用いられる。
【0093】
パルス幅および繰返し速度を含むレーダーパルス特性は、表示されることになるレンジに依存して、レンジ識別または信号対雑音比について最適化されなければならない。同様に、パルスは、そのレンジについてのエコーが受信されるまで送信され得ない。受信された信号の処理はフィルタリングされ、パルスの特性の各々についての受信を最適化する。異なるタイプのパルスが送信の際にインターリーブされ、受取られた目的のエコーは別個のパスに沿って受け渡される。受信機において、各パスは、そのパルス形状ごとに別個に最適化される。各タイプの1つより多いパルスが、パルスパターンの部分として送信され得、これによりより短いレンジにて必要とされるより高い繰返し速度を可能にする。パルスパターンは、送信機のデューティサイクルが超過されないように、各レンジについてパルス繰返し速度の必要とされる比を与えるよう構成される。
【0094】
好適なパルスパターンが図10に示される。図10において、パルスのパルス幅P1は、第1のレンジについて最適化されるパルスについてのパルス持続時間であり、T1はそのレンジでの目的の取得間隔である。同様に、P2は第2のレンジについて最適化されるパルスについてのパルス持続時間であり、T2は対応する取得間隔である。各々の場合、取得間隔は対応するパルスに追従するが、可変干渉拒絶インターパルスジッター期間Δによって、すぐ後に続くパルスとは分離される。これにより、各レンジにて、目標同士の相関関係が失われる。このような構成において、パルス繰返し間隔は、各レンジについて、パルス持続時間、取得間隔、およびΔの最大値の合計である。
【0095】
図10は、パルスがインターリーブされ、この実施例において、第1のレンジについての各パルス同士の間に、第2のレンジについての3つのパルスが存在することを示す。ただし、他の組合せも可能である。しかしながら、表1は、ある可能なパルスパターンを示し、(a,b)は(列a,行b)からインターリーブされる各タイプのパルスの数である。
【0096】
【表1】
【0097】
これらのパターンは、各行または列ごとにPRIの比から計算される。
一般的には、パルス繰返し速度(pulse repetition rate;PRI)は、適切な表示を同時に生成するよう十分なパルスが好適な時間内に生成されるように十分である必要がある。一般的には、パルスの繰返しは、任意の画像におけるデータが最長インターパルス期間の20倍未満の時間にわたって取得されるように十分でなければならない。図10がレーダーのための各パルスP1同士の間の期間である場合は、この持続時間もアンテナの分解時間の1/2より長くある必要がある。したがって、図2の実施例では、制御プロセッサ100によって決定されるパルス繰返し周波数は、モータ33のスピードに関係付けられる必要がある。これは事前に設定され得るか、または計測に基づき得る。
【0098】
レーダーとともに用いられる場合、マグネトロン送信機23は、オシレータといった他のマイクロ波の源および高電力進行波管増幅器または低電力固体増幅器によって置き換えられてもよい。ソナーおよびレーダーの両方において、低電力送信機が用いられるならば、レンジの分解能を低減しないと同時に、送信された平均電力を増加するようパルス圧縮が用いられるのが普通である。これに用いられる線形受信機は、パルス圧縮を用いるレーダーおよびソナーとともに用いられるのが好適である。
【0099】
上記の実施例はレーダー装置を示す。この発明を実施するソナーシステムは同様であり得るが、アンテナ31がトランスデューサに置き換えられ、マグネトロンが高電力RFジェネレータに置き換えられる。さらに、表1のパルス間隔およびパルス幅は、空気中での電波の速度よりも遅い水中での音波の速度をに対応するよう修正される。
【0100】
添付の図面の図11は、公知のソナー装置を示す。図11のソナー装置のほとんどは、図1のレーダー装置と類似し、対応する部分は同じ参照番号で示される。したがって、図11のソナー装置は、5つの主要な構成要素、すなわち、プロセッサ10、送信機部20、アンテナ構造603、受信機構造40、およびディスプレイ構造50を含む。プロセッサ10は、デジタルバス11を介して送信機部20に渡されるパルス開始信号を生成する。プロセッサはさらに、受信機部40を制御するための信号を生成し、当該信号はプロセッサ10から第2のデジタル信号バス12を介して受信機部40へと渡される。このソナー装置のディスプレイ構造50は、図1のレーダー装置のディスプレイ構造50と同じであり、したがってここでは詳細に説明しない。
【0101】
プロセッサ10からのパルス開始信号は、生成されることになるパルスのパルス幅を決定する、送信機部20におけるパルス持続時間ユニット21にて受取られる。これらのパルスは、パルス開始信号のエッジにより開始され、したがって、それらの持続時間は固定である。これは図1のレーダー装置においてと同じであるが、結果得られるパルス情報は、オシレータをソナートランスデューサ603にマッチングするようトランスフォーマ602を駆動する高電力増幅器601に渡される。このトランスフォーマ602は、ソナーパルスをトランスデューサ603に渡し、そこからそれらが送信される。ソナートランスデューサ603は通常、ソナー信号を形成することになる高電力音響パルスを水中に作り出す圧電性装置である。リターン信号がトランスデューサ603にて受取られると、当該信号はトランスフォーマ602を介して低ノイズ増幅器604に渡される。低ノイズ増幅器604は、これらの信号の振幅を適切なレベルにまで上昇させる。バンドパスフィルタ605が、受信された信号をフィルタリングし、望まれないノイズを低減する。一般的には、高電力オシレータは、50から250KHzの長および中波長帯領域のパルスを作り出すことになる。その場合、バンドパスフィルタは、適切な中心周波数へと調整されることになる。
【0102】
バンドパスフィルタ605からの信号は、減衰器606に渡される。減衰器606は、図1のPINオルタネータ42と同様の態様で、時変ゲイン(TVG)ジェネレータ43によって制御される。TVGジェネレータ43は、バス12を介して渡される信号に基づき、プロセッサ10によって制御される。TVGジェネレータ43は、トランスデューサが受信した信号のレンジの変動を補償するよう、受信機部40のゲインを制御する。TVGジェネレータ43はさらに、減衰器606の出力を受取るとともに、受取った信号のゲインを制御する可変増幅器44を制御する。可変ゲイン増幅器44の出力は、対数検出器45に渡される。対数検出器45は、受取った信号に対するエンベロープの対数である出力を生成する。その出力は、ディスプレイ部50への出力を生成する選択可能バンドフィルタ(ビデオフィルタ46)に渡される。
【0103】
この発明のさまざまな局面を具現化するソナー装置をここで詳細に説明する。図12は、この実施例の装置の一般的な構造を示す。ここで、図12のソナー装置のほとんどは図2のレーダー装置と同様であり、対応する部分は同じ参照番号で示される。図12のソナー装置も図11のソナー装置の特徴の多くを有する。同様に、対応する部分は同じ参照番号で示される。したがって、この装置は5つの構成要素、すなわち制御プロセッサ100、送信機部200、トランスデューサ部603、受信機部400、およびディスプレイ部500を含む。図11のソナー装置のディスプレイ部は、図2のレーダー装置のディスプレイ部500と同じであるので、ここでは詳細には説明されない。
【0104】
図11のソナー装置とは異なり、図12の装置は異なるソナーレンジでの複数の表示を生成するよう意図される。したがって、制御プロセッサ100は、別個のデジタルバス101,102を介して別個のパルス持続時間ユニット201,202に送信される2つのタイプのパルス繰返し周波数信号を生成する。これらのパルス持続時間ユニット201,202の各々は、パルス持続時間ユニット21と同様の態様で、対象となるパルスの持続時間を決定する。しかしながら、パルス持続時間ユニット201,202が生成するパルスの持続時間は異なることになる。結果得られる信号は、高電力オシレータ601に渡される前に、論理OR構成要素203によって組合される。パルスは、インターリーブされるように生成される。インターリーブの態様は、表示される画像の所望のレンジによって決定される。
【0105】
図12の構成において、トランスデューサ部603の構造は図11の構成のトランスデューサ部603に類似している。図11の構成でのように、トランスデューサ603はトランスフォーマ602を介して高電力増幅器601から信号を受取る。トランスデューサ602が受取るリターン信号は、トランスフォーマ602、低増幅器(LNA)604、バンドパスフィルタ605、減衰器606を介して、可変ゲイン増幅器44に渡される。しかしながら、この可変ゲイン増幅器44の出力は図11の構成とは異なった態様で処理される。すなわち、図2の実施例において可変ゲイン増幅器44の出力が処理されたのと同じ態様で処理される。
【0106】
図12の実施例では、時変ゲイン(TVG)ジェネレータ401は、固定および可変ゲイン増幅器と減衰器との組合せの連なりを用いて実現される。ここで、TVGジェネレータ401はデジタルバス12を介して制御プロセッサ100から受取った信号を用いて制御される。しかしながら、この実施例では、TVGジェネレータ401の出力は、減衰器606および可変ゲイン増幅器44をそれぞれ制御するよう、それぞれのデジタル−アナログコンバータ402,403によって変換される。
【0107】
上述したように、可変ゲイン増幅器44の出力は、図2の実施例における可変ゲイン増幅器44の出力と同じ態様で処理される。可変ゲイン増幅器44からの信号を処理する、受信機部400およびディスプレイ部500の構成要素は、図2および図11におけるものと同じである。したがって、信号の処理は図3から図10を参照して述べたのと同じである。レーダー装置は円形の表示を生成する傾向にあり、このような円形の表示はソナー構成には適切ではないので、表示ジェネレータには通常違いが存在する。同様に、上述したように、表1のパルス間隔およびパルス幅は、空気中での電波と比較して遅い水中での音波の速度に対応するよう修正されなければならない。しかしながら、これらの違いは、第1の実施例を参照して述べた信号処理に影響を与えない。
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
この発明はレーダーまたはソナー装置に関する。詳細には、受取られたレーダーまたはソナー信号のデジタル処理を含むこのような装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の概要
レーダースキャナは1940年代から製造されている。レーダーの進歩は、非コヒーレントパルスレーダー(non-coherent pulse radar)およびドップラーレーダー(Doppler radar)の2つの方法に分岐している。ドップラーレーダーは、軍および航空機での利用のためにかなりの発展を遂げた。現在のドップラーレーダーは、デジタル信号処理およびデジタル制御を大いに活用している。しかしながら、パルスレーダーは、非常にアナログなままであり、対数受信機およびアナログ電位制御を用いて、ディスプレイに処理のために送られるベースバンドビデオを生成する。ディスプレイは、このベースバンドビデオを1ビットのコンパレータを用いてデジタル形式に変換する。このようなディスプレイにおいて行なわれるどのような信号処理も、コンパレータにおいて行なわれるしきい値化によって制限される。アナログ処理および制御はこれまで、ほとんどの目的についてより安価で適切であった。
【0003】
レーダー受信機は、従来、SバンドまたはXバンドから60MHzのオーダの中間周波数へのダウンコンバートに基づいてきた。中間周波数(IF)の信号は次いで、IFフィルタリングおよびベースバンドの「ビデオ」へのアナログ対数復調に晒され、その後ベースバンドフィルタリングに晒される。レーダー信号プロセッサは、しばしばスキャナ自体ではなくレーダーディスプレイ装置に配置される。これは、レーダースキャナの筐体においてサイズ、重さ、および電力の制限が存在するためである。スキャナは最悪の環境に晒される一方、ディスプレイの筐体はしばしば、暖房されるコックピットといったより温和な環境に配置される。複数のディスプレイが用いられる場合、レーダーの情報は典型的にはネットワークを介して送られ、スキャナに直接的に接続されてない各ディスプレイでは、レーダー信号プロセッサはアイドルおよび冗長となる。
【0004】
アナログIFフィルタは、従来のモノパルスレーダーのために用いられる。IFフィルタのための最適な帯域幅は、(BW)=1/Tであり、式中、Tはパルス幅である。
【0005】
パルス幅は、レンジ分解能および平均出力について最適化される。短いパルスは、最も高いレンジ分解能が必要とされるとともにリターン信号が最も強い短いレンジのために用いられる。長いパルスは、絶対的なレンジ分解能が低減され得る場合に用いられるが、リターン信号の電力が低くなっているので、より高い送信出力が必要とされる。
【0006】
リターン信号の電力は、
s=k/R^4
である。式中、kは定数であり、Rはレンジである。
【0007】
ディスプレイのレンジ分解能は、表示可能なレンジ分解能を、たとえば1/1024といったレンジの最大割合まで制限する。したがって、より長いレンジでは、絶対的なレンジ分解能は低減され得る。なお、レンジ分解能を上昇させることにより、クラッタが低減され、多くの数のレンジビン(range bin)が表示の前に信号プロセッサにおいて組合され得る。この最適な送信されたパルス幅のパルスは、計測距離をユーザが変更すると選択される。
【0008】
多くの数の異なるパルス幅(たとえば8)が利用可能な場合、整合アナログフィルタリングを与えると、セットアップに負担となり、ドリフトしやすくなる。したがって、フィルタ帯域幅の中継ぎのサブセットを設けるとともに、いくつかのパルス幅をカバーするようその各々を用いるのが普通である。これは、準最適なフィルタリングへと繋がる。アナログビデオフィルタリングが、検出の後に行なわれ、対数検出器の利用から起こるスプリアス積(spurious product)を取除く。アナログビデオ・ロスパスフィルタは、ベースバンドにて動作し、カットオフ周波数比に対して広い帯域幅を有する必要があるが、線形の位相を有するので、ビデオフィルタリングは最小となる。
【0009】
レーダー信号は、アナログ−デジタルコンバータ(Analog to Digital Converter;ADC)、または大抵コンパレータのみの場合もある、を用いてアナログからデジタル形式への変換を必要とする。この信号は、CRTまたはLCDといったラスターグラフィック表示で使用するために、デジタル形式である必要がある。これは、極座標(レンジ、アジマス)からデカルト座標(x,y)へ変換(走査)される必要があるからである。変換の前に、エイリアシングアーティファクト(aliasing artefacts)を避けるようローパスビデオフィルタリングが必要とされる。従来のレーダー受信機からの振幅の対数処理は、非線形の処理であり、その出力はADCにおいてエイリアシングを避けるよう除去されなければならない多くの高調波を含む。しかしながら、上で論じたように、ビデオフィルタリングは最小である。これらのスプリアス積の除去が乏しければ、エイリアシングが引起され、その後の信号処理において、表示される情報の品質を向上させるために用いられ得たであろう情報が破壊される。対数ベースバンドビデオは、たとえば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform;FFT)のために線形信号を利用する如何なる信号処理も除外する。
【0010】
対数検出器は従来、その大きなダイナミックレンジにより、レーダー受信機において利点を有しており、本質的にCFAR(定誤警報率(Constant False Alarm Rate))である。これらの品質が線形受信機において損なわれないことを確実にするよう、アナログおよびアナログ−デジタル変換のダイナミックレンジは非常に広くなければならない。低ノイズのプリアンプの構成要素、高速高分解能(ビット数の多い)アナログ−デジタル変換、非常に速いデジタルフィルタ、および理想的には浮動小数点処理デジタル信号プロセッサ(DSP)が用いられなければならない。これらは高価であり、用いるのが難しい。したがって、線形の検出および処理は、(高い電力損失のために)非経済的かつ信頼性がないので、以前は考えられてはこなかった。
【0011】
従来のレーダーディスプレイである別個のレーダー平面位置インジケータ(radar plan position indicator;PPI)の表示を可能にするデュアルレンジスキャナが入手可能である。しかしながら、このようなスキャナにおいて、受信機が一度に1つのパルスタイプの受信について最適化された状態では、スキャナは各パルスタイプを用いて完全な回転を複数回行なう。各レンジからの表示は、同時に明確に更新されないという欠点があり、これは曖昧さを作り出す。時間は、受信機および送信機の特性のために変更されることが許されているが、その結果、如何なるレンジにおいてもパルスが送信または受信されない期間が存在してしまう。その結果、情報が損失してしまう。
【0012】
添付の図面の図1は、公知のレーダー装置を示す。当該レーダー装置は、5つの主要な構成要素、すなわち、プロセッサ10、送信機部20、アンテナ構造30、受信機構造40、およびディスプレイ構造50を含む。プロセッサ10は、デジタルバス11を介して送信機部20へと渡されるパルス開始信号を生成する。プロセッサはさらに、受信機部40を制御するための信号を生成し、当該信号はプロセッサ10から第2のデジタル信号バス12を介して受信機部40へと渡される。
【0013】
プロセッサ10からのパルス開始信号は、送信機部20においてパルス持続時間ユニット21にて受信される。パルス持続時間ユニット21は、生成されることになるパルスのパルス幅を決定する。パルスは、パルス開始信号のエッジによって開始され、それらの持続時間はしたがって固定される。結果得られるパルス情報は、マグネトロン送信機23を駆動するモジュレータ22に渡される。このマグネトロン送信機23は通常、レーダー信号を形成することになる高電力のマイクロ波パルスを作り出す真空装置である。それらのマイクロ波パルスは、マグネトロン23からのスプリアス放射を制御するバンドパスフィルタ24を介して、マグネトロン23からサーキュレータ25へと渡される。このサーキュレータはスイッチングユニットとして動作し、適切な時に、マイクロ波パルスをアンテナ31に渡す。アンテナ31から当該マイクロ波パルスが送信される。アンテナ31は、回転するよう構成され、回転ジョイント32と、所定の回転スピードでアンテナを駆動するモータ33とを有する。モータ33は、モジュレータ22から電力が与えられる駆動部34から駆動される。回転ジョイント32は、回転アンテナとサーキュレータ25との間でマイクロ波接続部として作用する。
【0014】
リターン信号がアンテナ31にて受信されると、当該信号は低ノイズコンバータ41にサーキュレータ25を介して渡される。低ノイズコンバータ41は当該信号を適切な周波数に変換する。一般的に、マグネトロンは9.4GHzで送られるXバンド領域のパルスを作り出す。この場合、低ノイズコンバータ41が、受信したXバンドの信号をたとえば60MHzといったIF周波数へと変換することになる。なお、サーキュレータ25はマグネトロン23からの送信のためのパルスと、アンテナ31によって受信されるとともに低ノイズコンバータ41へと渡される受信信号との間でスイッチングを行なう。低ノイズコンバータ41からの信号は、PINダイオード減衰器42に渡される。PINダイオード減衰器42は、バス12を介して渡された信号に基づきプロセッサ10によって制御される時変ゲイン(Time Varying Gain;TVG)ジェネレータ43によって制御される。TVGジェネレータ43は、受信機部40のゲインを制御して、アンテナ31が受信した信号のレンジの変動について補償する。TVGジェネレータ43はさらに、PIN減衰器42の出力を受信するとともに受信した信号のIFゲインを制御する可変増幅器44を制御する。可変ゲイン増幅器44の出力は、受取った信号を用いて、エンベロープの対数である出力を生成する対数検出器45へと渡される。この出力は、ディスプレイ部50への出力を生成する選択可能なバンドフィルタ(ビデオフィルタ46)へと渡される。
【0015】
図1に示されるように、このディスプレイ部は複数のディスプレイ構造を含む。その各々は、コンパレータ51、スポークバッファ52、信号プロセッサ53、およびグラフィカルディスプレイ54を含む。しかしながら、図1に示される構成において、複数のディスプレイ構造のすべてのうち、大抵1つ以外は冗長である。したがって、図1においては、ビデオフィルタ46の出力は、コンパレータ51と、スポークバッファ52と、信号プロセッサ53と、ディスプレイユニット54とを含む第1のディスプレイ構造55によって受取られる。コンパレータ51は、入力信号が事前に規定された電圧しきい値を横切ると変化するデジタル出力を生成する。スポークバッファ52は次いで、このコンパレータ51の出力を受取り、受取った信号のデジタル表現を時間を関数として格納する。スポークバッファ52に格納されたデジタル信号は次いで、信号プロセッサ53によって処理され、ディスプレイユニット54への信号を生成する。しかしながら、ディスプレイユニット54への信号は、第2のディスプレイ構造56のディスプレイユニット54にも直接的に渡される。そのディスプレイ構造56において、コンパレータ51、スポークバッファ52、および信号プロセッサ53は冗長となっている。同様に動作するディスプレイ構造をさらに設けることも可能である。
【0016】
ソナーシステムでは、当該構造は類似しているが、アンテナは、ソナー信号を送信および受信するソナートランスデューサに置き換えられる。当該トランスデューサは、アンテナ31とは異なり回転しない。さらに通常、マグネトロン23が高電力RFパルスジェネレータに置き換えられるのが望ましい。さらに、水中におけるある割合の音波の速度は、空気中を伝搬する電波よりも実質的に遅く、かつソナーシステムが検出することになる対象の最大レンジは通常、レーダーシステムにおいて検出されることになる最大レンジよりも少ないので、ソナーシステムにおいて用いられるパルス繰返し間隔およびパルス幅は、レーダーシステムにおいて用いられるそれらとは異なることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発明の概要
本発明は、公知のレーダーおよび/またはソナーシステムを向上することを目的とし、レーダーまたはソナーシステムにおいて独立または組み合わせて用いられ得る一連の局面を有する。各局面は、任意のレーダーまたはソナー装置の主な特徴を含む基本的なアンテナまたはソナー構造に付加的な特徴を与え得る。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明において、レーダー装置の基本的な構造は、
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含み得る。
【0019】
同様に、ソナー装置の基本的な構造は、
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含み得る。
【0020】
したがって、ソナー装置の基本的な構造は、レーダー装置のアンテナ(通常、回転アンテナ)がトランスデューサに置き換えられるという点で、レーダー装置の基本的な構造と異なるということが分かり得る。
【0021】
本発明の第1の局面は、レーダーまたはソナー装置のアンテナまたはトランスデューサが受信した信号を、増幅の後、線形の復調に晒すことを提案する。結果得られる復調された信号は次いで、表示を生成するよう用いられるか、またはさらに分析され得る。
【0022】
したがって、この第1の局面は、上で議論した基本的な構造を有するレーダーまたはソナー装置であって、レーダーまたはソナー装置は、増幅器と信号プロセッサとの間に線形受信機を有し、線形受信機は、信号プロセッサによる処理のために、増幅されたリターン信号を示すデジタル出力を生成する線形デモジュレータを含むレーダーまたはソナー装置を提供し得る。
【0023】
線形受信機は通常、線形増幅器および線形デモジュレータを含む受信機である。出力信号は、やって来る信号の振幅に線形に比例する。非線形受信機は、たとえば、対数および二乗検波デモジュレータを含む。同様に、線形デモジュレータは通常、やって来る信号の振幅に線形に比例する出力信号をデジタルまたはアナログのいずれかの形式で生成するデモジュレータである。線形デモジュレータはさらに、やって来る信号の位相を示す信号を、局部オシレータを基準にするタイミングで提供し得る。
【0024】
この発明の第2の局面はさらに、レーダーまたはソナーのアンテナまたはトランスデューサが受信した信号を考慮し、かつ増幅後のこれらの信号をアンチエイリアスフィルタを用いてフィルタリングし、サブサンプリングコンバータを介してアナログからデジタル形式に変換することを提案する。
【0025】
したがって、第2の局面では、上で論じた基本的な構造を有するレーダーまたはソナー装置であって、レーダーまたはソナー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタとフィルタリングされたデジタル信号をデジタル信号に変換するためのサブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータとを有し、デジタル信号は信号プロセッサに供給されるレーダーまたはソナー装置が提供され得る。
【0026】
アンチエイリアスフィルタは、通常アナログ−デジタルコンバータの前に用いられる装置であり、シャノン−ナイキスト−カテリニコフのサンプリング定理(Shannon-Nyquist-Kotelnikov sampling theorem)をほぼ満たすよう信号の帯域幅を制限することを可能にする。この定理は、連続時間ベースバンド信号が帯域制限され、かつサンプリング周波数が信号帯域幅の2倍より大きければ、そのサンプルからの連続時間ベースバンド信号の完全な復元が可能であることを必要とする。レーダーおよびソナー適用例では、帯域外信号は主に、ホワイトノイズ、熱ノイズを含む。満足のいく信号対雑音比を達成し、上記の基準に対して適切に近づくよう、帯域内信号は6dBより多く減衰されるべきではなく、エイリアシングされる可能性のある信号は30dBを超えて減衰されるべきではない。
【0027】
上述したように、第1および第2の局面は独立していてもよい。しかしながら、これらの局面が組み合わされて用いられる場合、アンチエイリアスフィルタおよびアナログ−デジタルコンバータは、増幅器と線形受信機との間に存在する。
【0028】
第2の局面では、アナログ−デジタルコンバータは、ベースバンドへのダウンコンバージョンまたはさらなるデジタル信号処理に好適なデジタル出力を作り出す。たとえば、デジタル信号は、信号プロセッサへの出力の前にデジタルフィルタリングに晒され得る。フィルタリングされたパルスが複数のパルス幅を有する場合、当該フィルタリングは、整合フィルタの形態でなされ得る。
【0029】
好ましくは、アナログ−デジタル変換、中間周波数(IF)フィルタリング、およびベースバンドへのダウンコンバージョンは、もし用いられるならば、単一の集積回路において行なわれる。
【0030】
好ましくは、信号は、出力の前に非線形ダイナミックレンジマッチングに晒される。任意のディスプレイに対する非線形ダイナミックレンジマッチングは、信号処理の前ではなく後に行なわれる。信号処理の後のレーダー信号のダイナミックレンジは、ディスプレイのダイナミック強度レンジよりも大きいままである。ダイナミックレンジ圧縮が用いられるが、これは信号処理の後である。圧縮のためのアルゴリズムの選択が実行可能である。なぜならば圧縮は信号プロセッサにおいて行なわれるからである。これらは、対数、平方根、または特別な場合、圧縮がない場合は線形であり得る。
【0031】
この発明の第3の局面は信号プロセッサに関する。第3の局面では、もっとも一般的には、信号プロセッサは、自身の上で実行されるネットワークスタックを有するデジタルプロセッサである。これは、ネットワークスタックが別個の通信プロセッサ上で実行される構成とは対照的である。
【0032】
したがって、この発明の第3の局面は、上で論じた基本的な構造を有するレーダーまたはソナー装置であって、レーダーまたはソナー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号に変換するためのアナログ−デジタルコンバータとを有し、デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは自身の中で実行されるネットワークスタックを含むデジタルプロセッサであるレーダーまたはソナー装置を提供し得る。
【0033】
ネットワークスタックは、ネットワーク通信プロトコルのソフトウェア実現例である。
この発明の第4の局面も信号プロセッサに関し、当該プロセッサが、ネットワークインターフェイス・メディアアクセスコントローラおよび物理層インターフェイスを有するデジタルプロセッサであるということを提案する。そのメディアアクセスコントローラは、デジタル信号プロセッサバスに直接的または論理的に、おそらくバスバッファを介して、接続されてもよい。
【0034】
したがって、この発明の第4の局面は、上で論じた基本的な構造を有するレーダーまたはソナー装置であって、レーダーまたはソナー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号に変換するためのアナログ−デジタルコンバータとを有し、デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサはデジタル信号処理バスに接続されるネットワークインターフェイス・メディアアクセスコントローラおよび物理層インターフェイスを有するデジタル信号プロセッサであるレーダーまたはソナー装置を提供し得る。
【0035】
メディアアクセスコントローラ(MAC)は、電子集積回路、またはいくつかのネットワークノードがマルチポイント通信ネットワーク内で通信することを可能にするアドレス指定およびアクセス制御機構を与える回路の機能ブロックのような構成要素である。
【0036】
物理層インターフェイス(PHY)は、デジタル信号同士の間を仲介する電子集積回路または回路の機能ブロックと、通信ネットワークのアナログドメインにおける変調とをを指す。
【0037】
上述したように、異なるパルスが、異なる画像、たとえば異なるレンジでの画像を生成するよう用いられるレーダーまたはソナーシステムを提供することは公知である。しかしながら、一般的には、公知のシステムは、異なるレンジについてパルスが別個に必要とされると考えていたので、画像のいずれかが、他の画像を形成するのに用いられるデータよりも大幅に古いデータに基づいている。この発明の第5の局面は、パルス幅および/またはインターパルス間隔において異なる、異なるレンジについてのパルスをインターリーブすることによって、画像の同時表示が行なわれる構成を向上することを目的とする。詳細には、これらのパルスは、表示画像を形成するデータが異なるパルスのインターパルス期間の20倍未満の長さの持続時間において取得されるデータから導き出されるようなパルスである。代替的には、少なくともレーダーシステムの場合、このデータは、他の画像のためのデータと比べて、アンテナ旋回時間の1/2より長い期間にわたって取得されるべきではない。後者は、回転アンテナを有さないソナーには適用できない。
【0038】
したがって、この発明の第5の局面では、上で論じた基本的な構造を有するレーダーシステムであって、レーダーシステムは、アンテナを所定の旋回持続時間で回転するためのアンテナ駆動部を有し、
モジュレータは、パルス信号の連なりが第1のパルスパターンのパルスと第2のパルスパターンのパルスとを含むようにパルス信号の連なりを生成するよう構成され、当該第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびインターパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンは、所定の旋回持続時間において、各々のパルスタイプの複数のパルスが存在するようにインターリーブされ、
信号プロセッサは、任意の時間の第1および第2の画像の各々を形成するパルスが所定の分解能持続時間の1/2未満である時間内であるように、第1のパルスタイプのパルスから第1のレーダー画像を生成するとともに、第2のパルスタイプのパルスから第2のレーダー画像を生成するよう構成されるレーダーシステムが提供され得る。
【0039】
同様に、この第5の局面は、上で論じた基本的な構造を有するソナーシステムであって、モジュレータは、パルスの連なりを生成するように、かつパルスの連なりが第1のパルスパターンのパルスおよび第2のパルスパターンのパルスを含むように構成され、第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンはインターリーブされ、
信号プロセッサは、第1のパルスタイプのパルスから第1のソナー画像を生成するととともに、第2のパルスタイプのパルスの第2のソナー画像を生成し、かつ任意の時間での第1および第2の画像を形成するパルスが、第1および第2のパルスパターンのパルス間隔のうちどちらがより大きくても、20倍未満の時間内にあるように構成されるソナー装置を提供し得る。
【0040】
この発明の第6の局面は、レーダーまたはソナー装置のアンテナまたはトランスデューサが受取った信号を増幅する増幅器に関する。第6の局面では、ルックアップテーブルが、デジタルで増幅器を制御するよう用いられる。
【0041】
したがって、第6の局面では、上で論じた基本的な構造を有するレーダーまたはソナーシステムであって、レーダーまたはソナーシステムは、増幅器のゲインを制御するためのコントローラを有し、コントローラはリターン信号のレンジ依存変動について補償するためのデータを含む少なくとも1つのルックアップテーブルを含むレーダーまたはソナーシステムが提供され得る。
【0042】
通常、レーダー信号についてのレンジ依存変動は1/R^4である。しかしながら、このレンジ依存は、雨または海のクラッタが存在する場合、この関数から離れ得るので、必要とされる変動はしばしば、レンジの多項式またはレンジ依存のべき法則の組合せである。したがって、受信機のゲイン制御が非線形の場合、ルックアップテーブルの内容は、必要とされる関数の積となる。
【0043】
第6の局面が複数のレンジで動作するレーダーのために用いられる場合、この発明の第5の局面または他の態様を用いるかに関わらず、増幅器の制御は当該複数のレンジを考慮に入れる必要がある。これは、2つ以上のルックアップテーブル(この数はレンジの数に依存する)を用いることによってなされ得る。代替的には、しかしながら、異なるレンジは、異なるレンジに対応する異なるテーブル領域を有する単一のルックアップテーブル内に収納されてもよい。次いで、増幅器を制御するためのデータを取得するよう用いられるアドレスが、レーダーまたはソナーが現在動作しているレンジに依存して、テーブルの必要とされる部分を指す。異なるテーブル領域を有する単一のルックアップテーブルが通常好ましいであろう。
【0044】
さらに、複数のルックアップテーブルまたは複数のテーブル領域を有するルックアップテーブルの利用は、更新を可能にする。したがって、1つのテーブルまたはテーブル領域におけるデータが用いられているとき、別のテーブルまたはテーブル領域におけるデータは、装置の現在の動作に影響を与えることなく、更新され得る。
【0045】
増幅器が、1つより多いゲインステージを有する場合、当該ステージについて別個のゲイン関数が必要とされ得る。この場合もまた、異なるゲインステージに対して、複数のルックアップテーブルを利用すること、または異なるテーブル領域を有するルックアップテーブルを有することが可能である。別個のルックアップテーブルがゲイン制御のために用いられる場合、信号は、ゲイン制御レンジ内に増幅器を制御するよう用いられる信号を保つ飽和論理を用いて、2つのタイプのテーブルからの出力を加えることによって所望のダイナミックレンジで保たれ得る。たとえば、0から255のレンジは、8ビットゲイン制御のために用いられ得る。
【0046】
上で論じたこの発明のすべての局面は、レーダーまたはソナーシステムのいずれかに適用可能である。この発明の第7の局面は、レーダーシステムに関し、上で論じた基本的なレーダー構造のデジタル信号プロセッサが、レーダービデオのレベルを8より多く含むデジタル出力を生成することを提案する。好ましくは、振幅における目標の擬似カラー表現が、レーダーディスプレイ上に表示される。好ましくは、レーダービデオのレベルが16より多く存在する。
【0047】
本発明によると、パルスレーダーまたはソナーデータの向上した表示を有するスキャナを作り出すことが可能になる。この発明は、ベースバンドへの線形変換を用いて、マルチビットのデジタル信号処理を利用し得る。デジタル制御が用いられる場合、これにより、温度の影響およびアナログ回路網に影響を与える経年変化に対してスキャナが対抗することが可能になる。
【0048】
この発明の実施例を、添付の図面を参照して、詳細にかつ例示目的で記載する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】既に記載された公知のレーダー装置のブロック図である。
【図2】この発明を実施するレーダー装置のブロック図である。
【図3】レンジに対する増幅器のゲインと感度との間の関係のグラフの図である。
【図4】図2の実施例のフィルタの周波数特性を示すグラフの図である。
【図5】図2の装置の部分を示すブロック図である。
【図6】図2の実施例における信号のダウンコンバージョンを示す図である。
【図7】図2の実施例におけるデータバッファリングを示す図である。
【図8】図2における時変ゲインジェネレータを示す図である。
【図9】図2に示されるPINダイオード減衰器の典型的な特性を示す図である。
【図10】この発明の実施例において用いられ得るパルスパターンを示す図である。
【図11】公知のソナーシステムのブロック図であって、図1に類似する図である。
【図12】この発明を実施するソナー装置のブロック図であって、図2に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
詳細な説明
この発明のさまざまな局面を具現化するレーダー装置をここで詳細に説明する。図2は、この実施例の装置の一般的な構造を示す。図1の公知の構成においてのように、この装置は5つの構成要素、すなわち制御プロセッサ100、送信機部200、アンテナ部300、受信機部400、およびディスプレイ部500を含む。送信機部200、アンテナ部300、および受信機部400のサブコンポーネントのいくつかは、図1の構成の送信機部20、アンテナ部30、および受信機部40の構成要素に対応し、対応する部分に対して同じ参照番号が用いられる。
【0051】
しかしながら、図2の装置は異なるレーダーレンジにおいて複数の表示を生成するよう意図される。したがって、制御プロセッサ100は、別個のデジタルバス101,102を介して別個のパルス持続時間ユニット201,202に送信される2つのタイプのパルス繰返し周波数信号を生成する。これらのパルス持続時間ユニット201,202の各々は、パルス持続時間ユニット21と同様の態様で、対象となるパルスの持続時間を決定する。しかしながら、パルス持続時間ユニット201,202によって生成されるパルスの持続時間は異なることになる。結果得られる信号は、モジュレータ22に渡される前に、論理ORコンポーネント203によって組合される。より詳細に後述するように、当該パルスは、インターリーブされるように生成される。インターリーブの態様は、表示されることになる画像の所望のレンジによって決定される。
【0052】
図2の構成において、アンテナ部300の構造は図1の構成のアンテナ部30と同様である。図1の構成においてのように、アンテナ31が受信した信号は、サーキュレータ、低ノイズコンバータ(low noise converter;LNC)41、PIN減衰器42を介して可変ゲイン増幅器44へと渡される。しかしながら、この可変ゲイン増幅器44の出力は、以下により詳細に記載されるように、図1の構成とは異なった態様で処理される。
【0053】
図2の実施例では、時変ゲイン(time varying gain;TVG)ジェネレータ401は、固定および可変ゲイン増幅器の組合せの連なりとPINダイオード減衰器とを用いて実現される。さらに、TVGジェネレータ401は、デジタルバス12を介して制御プロセッサ100から受取られた信号を用いて制御される。しかしながら、この実施例では、TVGジェネレータ401の出力は、PIN減衰器42と可変ゲイン増幅器44とをそれぞれ制御するようそれぞれのデジタル−アナログコンバータ402,403によって変換される。
【0054】
次いで、図3は、異なるレンジについて必要とされる可変ゲイン増幅器44のゲイン感度の変動を示す。これらは、TVGジェネレータ401によって制御される。
【0055】
可変ゲイン増幅器44に追従して、固定周波数アンチエイリアスフィルタ404は入力信号帯域幅を以下のように制限する。
アンチエイリアスフィルタ帯域幅=IF周波数+/−BWmax
式中、BWmaxは最短のパルスの最適な受信について必要とされる帯域幅であり、IFは所望の中間周波数である。上述したようなアンチエイリアスフィルタ404は、無限のロールオフ率を有し得ない。しかしながら、エイリアシングされた信号を含む何らかの信号をこのレンジの外に通すことは可能である。この信号は、受信した対象の信号の熱(ホワイト)ノイズ、干渉、およびより高い高調波を含むことになる。最低のノイズおよび最良の性能が必要とされる場合においてより狭い帯域幅(より長いパルス)で用いられると、エイリアシングされた歪んだ信号の多くがその後のデジタルフィルタリングによって除去されることになる。選択された帯域幅にエイリアシングされても、他のパルスレーダーからの干渉は拒絶される。複数のレーダーパルスに基づき、相関技術が用いられる。選択された帯域幅にエイリアシングされた残存するホワイトノイズは単に、エイリアシングフィルタスカートに対する選択された帯域幅の比に従って、少しばかりノイズ性能を悪化させるだけである。
【0056】
記載されたレーダー受信機は、集積された高速デジタルフィルタを有する単一の集積回路14ビットADCを用い得る。この構成要素のサイズが小さいことと、集積のレベルが高いこととにより、受信機の低ノイズフロントエンドに結合されるノイズが低減される。
【0057】
次いで、図4はアンチエイリアスフィルタ404の周波数応答を示す。
アンチエイリアスフィルタ404の出力は、レーダーの各レンジについて、アナログ−デジタルコンバータ405を介してそれぞれのデジタルフィルタ406,407へと渡される。これらのデジタルフィルタ406,407は、デジタルバス103を介して制御プロセッサ100から同期信号を受取る。これらのデジタルフィルタ406,407の出力は、それぞれのスポークバッファ408,409を介して信号プロセッサ410へと渡される。この信号プロセッサ410は、ネットワークユニット411を介してディスプレイ部500に渡されるネットワーク出力を生成する。
【0058】
図5は、図2の装置の部分をより詳細に示す。図5に示されるように、信号プロセッサ410は、デジタルプロセッサ(DSP)470、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory;SRAM)471、フラッシュメモリ472、シリアルEEPROM473、およびシリアル・デジタル−アナログコンバータ474を含む。
【0059】
図5は、さらに、TVGジェネレータ401およびバッファ408,409が実施されるフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(field programmable gate array;FPGA)412を示す。実際には、図5において別個の構成要素として示されているが、デジタルフィルタ406(およびデジタルフィルタ407)は、FPGA412内においても実施されてもよい。
【0060】
図5はさらに、ネットワークユニット410が、ホストポート付(host-ported)メディアアクセスコントローラ(media access controller;MAC)および物理層インターフェイス(PHY)413ならびにイーサネット(登録商標)コネクタ414とを含むことを示す。
【0061】
図5はさらに、さまざまな構成要素のタイミングを制御するシーケンサ415を示す。
FPGA412は、制御プロセッサに渡される出力をライン475上に生成する。
【0062】
この実施例は、アナログ−デジタル変換サンプリング速度を低減するサブサンプリングアプローチを用いる。サブサンプリングを促進するよう、IF周波数は70MHzへと上昇される。サブサンプリングなしの場合では、アナログ−デジタル変換は、ナイキスト基準を満たすよう2*(70MHz+(BW/2))の最小のサンプリング速度を必要とする。75nsパルスの場合、これは2*76.6=153.2MHzのアナログ−デジタル変換サンプリング速度と等しい。このサンプリング速度で動作する高分解能アナログ−デジタル変換は、高価であり、輸出規制の対象となり得る。実際には、アナログアンチエイリアスフィルタ404は、周波数範囲において無限のロールオフを有し得ないので、当該サンプリング速度は、フィルタのスカートにおいて信号をエイリアシングすることを避けるよう、さらにいくらか高い必要がある。
【0063】
記載される実施例は、57MHzサンプリング速度を用いる。アナログ−デジタル変換におけるアンダーサンプリングは、信号を13MHz+/−BW/2へとエイリアシングする。このサブサンプリングされた信号は、デジタルフィルタICの部分でもある複合ミキサ(complex mixer)において混合され、複合I,Qベースバンド信号を作り出す。この複合ベースバンド信号は次いで、デジタルフィルタにおいてフィルタリングされ、0Hz+/−BW/2を必要とするマッチングされた帯域幅を作り出す(混合信号は複合I,Qである)。アンダーサンプリングにより、アナログ−デジタル変換および必要とされる処理ならびにメモリのコストが低減される。
【0064】
多くのパルス幅(たとえば8)が用いられる場合、整合アナログフィルタリングを与えると、セットアップに対して負荷となりドリフトしやすくなる。この実施例は、ベースバンドへの変換の前に、IFのデジタルフィルタリングを用いる。このようなデジタルフィルタリングは線形であるとともに最適であり、従来のベースバンドの対数ビデオ(log video)をデジタル化し、次いでフィルタリングすることによっては同じ結果は達成され得ない。この設計において、全体のデジタル信号処理は、多くの処理アルゴリズムが利用可能(たとえば高速フーリエ変換(FFT))である線形のドメインにおいてが行なわれる。
【0065】
デジタルフィルタ406は、ユーザが計測距離を変更すると、各計測距離上において最適化されたマッチングされた帯域幅が常に用いられるように異なるパラメータでリロードされ得る。したがって、最適にフィルタリングされ得る異なるパルス幅の数に対して制限はない。代替的には、2つ以上のフィルタが同時に利用可能とされ得、必要とされるレンジに従ってパルス毎に選択されるこれらの出力が得られる。これらのフィルタは、ユーザが計測距離の1つを変更すると、別個にリロードされ得る。
【0066】
次いで、図6はIFからベースバンドへのダウンコンバージョンを示す。デジタルフィルタ406の出力は、サンプルデータの複合I,Qの対の形であり、それらは振幅の形に変換され、FPGA412にバッファリングされる。このバッファは、図7により詳細に示される。図7において、それぞれのアドレスジェネレータ422,423によって制御されるそれぞれのデュアルポートのパルス繰返し間隔(pulse repetition interval;PRI)バッファ420,421が、パラレル入力ポート424を介して適切な入力を受取るとともにリンクポート出力425を介して出力することになる。
【0067】
TVGジェネレータ401をここでより詳細に記載する。なお、TVGジェネレータ401は実質的に、レーダー装置が動作している異なるレンジのための複数のジェネレータを含む。図8は、1つのこのようなレンジのためのTVGジェネレータ401の構造の一部を示す。レーダーシステムが動作することになる各レンジごとに、TVGジェネレータ401内に同様の構造が存在することになる。
【0068】
TVGジェネレータはリアルタイムで動作する必要があり、したがって時間に対するTVG関数の計算は、同じ計測距離について、各送信パルスに対して同一であるとともに繰返される。この設計において、TVG関数がルックアップテーブルを用いてデジタルで実現されるということが1つの革新的なことである。ルックアップテーブルの内容はただ、計測距離の各変化に対する再計算を必要とするのみである。この再計算は、製造時に計測される、ゲイン制御ステージの非線形性と、必要ならば雨または海のクラッタカーブを含む必要とされるレンジまたは時間依存ゲイン関数との組合せである。最終関数は、デジタルフィルタの出力のサンプリング速度に対して尺度決めされる。これらのテーブルは、計測距離が変更される際にのみ、ソフトウェア制御の下でロードされる。
【0069】
これらのループアップテーブルは、図8において430および431で示される。実際には、これらのルックアップテーブルは、図8に示される2つのテーブル430,431のための異なるテーブル領域を有する単一のテーブルにおいて実現されてもよい。さらに、異なるレンジについて異なるTVGジェネレータ構造が存在する場合は、それぞれのレンジのための構造のルックアップテーブル自体が、異なる構造についての異なるテーブル領域を有する単一のルックアップテーブルにおいて組合されてもよい。
【0070】
この設計におけるルックアップテーブルのロードは、デュアルポートのSRAMの利用により簡略化される。これらは、以下に記載されるハードウェアによるルックアップテーブルの読取に干渉しないマイクロプロセッサバスに接続される第2のアドレスおよびデータバスを有する。テーブルのロードと、必要ならばエラーのチェックとは、通常のSRAMがマイクロプロセッサによってアクセスされるのと同じように、この第2のデータおよびアドレスバス上で行なわれる。テーブルのロードは、この議論の残りの部分では取り扱わない。
【0071】
通常1つのゲイン制御ステージでは、入力信号のダイナミックアレンジを扱うとともにアナログステージの各々における線形性を保存するのには不適切である。この実施例では、可変ゲイン増幅器(variable gain amplifier;VGA)44の前にPINダイオード減衰器42が用いられ、これにより大きな信号の場合、VGA44の入力の飽和を防止する。このゲインはさらに、レンジにより変動される必要がある。したがって、ゲイン制御回路は、単一のスポークの取得の間中、PINダイオード減衰器42およびVGAの両方のゲインを修正する必要がある。
【0072】
PINダイオード減衰器42は、図9に示されるように制御電圧により非常に非線形になる。したがって、PINダイオードゲイン制御のためのルックアップテーブルの内容は、当該線形に(レンジにより)増加するルックアップテーブルのアドレスを変換するよう逆の非線形性を適用し、必要とされるレンジ依存ゲイン(典型的にはR^4の電力ゲイン)とPINダイオード減衰器の逆非線形関数とを乗算したものにする。
【0073】
図8において、ライン436上において受取られた信号PRI_PLSは、回路を受信の開始に同期させる。遅延カウンタ432は、レンジ依存ゲイン制御回路の開始を遅延させ、送信機における遅延を相殺する。必要とされる遅延は、TVG遅延レジスタ437からロードされる。読取アドレスカウンタ433は次いで、そのレンジにとって適切なルックアップテーブルの内容にアクセスするよう、時間が進むと、クロックTsの制御の下でインクリメントする。この実施例では、デジタル−アナログコンバータ402の両方のためのデータがマルチプレクサによって、単一の8ビットRDACバス上でインターリーブされる。このマルチプレキシングは通常、デジタルフィルタの出力サンプリング速度よりも速い速度で行なわれる。
【0074】
マルチプレクサ438は、ライン439上で受取られたデジタル−アナログ選択信号を用いて、それに依存してデジタル−アナログコンバータが駆動されることになるか、デジタル−アナログ402がPINダイオード42に接続されるか、またはデジタル−アナログ403が可変ゲイン増幅器44に接続される、適切なルックアップテーブル430または431の出力を選択する。
【0075】
マルチレンジシステムでは、ルックアップテーブル430および431は、レンジの各々のための必要とされるテーブルを収納するのに十分大きくなっており、テーブル読取アドレスの最上位ビットは、取得されることになる現在のレンジのためにどのテーブルがアクセスされることになるか決定するよう修正される。取得されることになるこのレンジは、デジタルバス103を用いて制御プロセッサ100によって信号送信される。
【0076】
アナログ−デジタルコンバータのサンプリング速度ではなく、デジタルフィルタの出力速度に依存して修正され得る速度で、遅延カウンタ432はデクリメントされ、読取アドレスカウンタ433はインクリメントされる。このサンプリング速度は、用いられる好ましいデジタルフィルタ(AD6654)のために外部からアクセス可能とはなっていないので、この速度でクロック(Ts)を作り出すようアナログ−デジタルコンバータクロックの除算によって再び作り出される。速度分割器回路網440、遅延レジスタ441、速度分割器位相442、および周波数レジスタ443は、信号PRI_PLSに同期して開始するようクロックTsを同期させ、当該サンプリング速度で繰返し、そのレンジに適用可能な位相をサンプリングする。したがって、速度分割器およびレジスタは、同時に取得され得る各レンジについて二重に設けられている(デュアルレンジシステムの場合、2つのうちの1つが図8に示される)。
【0077】
低速度のTsの利用により、レンジ依存テーブルにおいて必要とされるエントリの数が低減される。ルックアップテーブルエントリの数は典型的には、取得されることになる当該レンジのためのデジタルフィルタ出力における最大サンプルと少なくとも同じぐらい長い。実際、エントリの数を低減することは可能である。ゲインデジタル−アナログコンバータ434のアナログ出力はアナログフィルタにおいてフィルタリングされ、これにより補間が与えられる。代替的には、所望の関数へのレンジ依存ゲイン関数のマッチングは、結果得られるゲインが小さく、かつ最終表示の前にその後のデジタル処理においてフィルタリングされ得るならば、段階的な近似であり得る。
【0078】
レンジ依存ゲイン制御に対して同時に、EXPビットをアドレスとして用いて、別のルックアップテーブル(EXPルックアップデータ)435がアクセスされる。これらのビットは、アナログ−デジタルコンバータのダイナミックレンジ内に信号を保つようアナログステージのゲインを変動させるAGC回路から与えられる。EXPの3つのビットが、この実施例において用いられるアナログ−デジタルコンバータから利用可能である。したがって、この実現例では、EXPルックアップテーブル435においては8つのエントリが必要とされる。EXPルックアップテーブル435は、ゲインをコントロールするよう用いられ得るか、またはEXPテーブルはこの関数を無効にするようすべて0に設定され得る。同様に、アナログゲイン制御回路が非線形である場合、EXPルックアップテーブル435は逆の非線形性を含み得、これによりEXPビットの値により線形に実際のゲインを変動させる。このように線形化した関数の傾きは、異なる尺度に対応するよう変動され得る。たとえば、用いられるアナログ−デジタルコンバータは、EXPの各インクリメントに対して6dBだけゲインが変動するよう見積もる。
【0079】
この実現例において用いられるアナログ−デジタルコンバータは、外部のアナログステージにおいてゲインの変化を要求するようEXP出力を提供する。
【0080】
ゲインレイジングブロック(外部)におけるゲインは、入力ポートの指数ビットEXP[2:0]を用いて、再線形化により補償される。この目的のために、ゲイン制御ビットはEXP[2:0]ビットに接続され、これによりゲイン制御出力において各増加毎に6.02dBの減衰を与える。外部ゲインレインジングブロックにおけるゲインおよびAD6654における減衰(EXPビットを用いる)の後、信号ゲインは本質的には変化しない。唯一の変化は、アナログ−デジタルコンバータのダイナミックレンジにおける増加である。
【0081】
選択されたルックアップテーブル430または431およびAGCルックアップテーブルの出力は、結果がアナログ−デジタルコンバータのレンジ内に保たれるとともにオーバーフローまたはアンダーフローが起こらないことを確実にする飽和論理により、ともに加えられる。診断レジスタの内容、すなわちRDAC_DEBUG_DATAは、TVGジェネレータ402のテストを促進するようこのパスに加えられる。
【0082】
ルックアップテーブルの内容のすべては、負の数が起こる場合に与えられる正しい結果とともに加えられ得る2つの補数である。デジタル−アナログ変換データおよび制御信号の正しいタイミング関係を確実にするよう、RDACデータは、TVGジェネレータ402を離れる前に、レジスタ434において再同期される。
【0083】
特定のレンジでの瞬時信号は、RCS変動およびフェーディング(fading)により未だ変動し得る。受取られたレーダー信号の全体のダイナミックレンジは非常に大きい。これは、以下の要素を含む。
範囲:ポイントリフレクタのための受信信号電力が1/R^4, (Ref.1)という法則に従う。この式中、Rはレンジである。たとえば50mの最小レンジから20NMのレンジまで、ダイナミックレンジは115dBである。
対象となる目標のレーダー断面(radar cross-section;RCS)は50dBだけ変動する。
フェーディングおよびマルチパス効果は、さらに30dBの変動に寄与する。
したがって、対象の合計ダイナミックレンジはこれらの合計、すなわち195dBである。
【0084】
幸運なことに、レンジの変動は予測可能である。TVGは、熱ノイズおよび変動ゲイン増幅器ノイズの制限ならびにダイナミックレンジに従って、レンジの変動の効果を相殺するよう加えられる。
【0085】
特定のレンジでの瞬時信号は、レーダー断面(RCS)変動およびフェーディングにより変動し得る。実際には、80dBの瞬間的なダイナミックレンジについての要件が存在する。14ビットのADCの理論上のダイナミックレンジは84dBである。アジマス積分を含む信号処理は、1つの最下位ビット(least significant bit;LSB)の下の信号を抽出するよう用いられ、これによりさらにダイナミックレンジを延長する。したがって、完全な線形のIF処理のためにこのようなコンバータを用いて、TVGを用いる完全なレンジの補償により、適切な瞬時ダイナミックレンジが存在することになる。
【0086】
信号処理の後のレーダー信号のダイナミックレンジは、ディスプレイのダイナミック強度レンジよりも大きいままである。ダイナミックレンジの圧縮が、信号の処理の後に用いられる。圧縮のためのアルゴリズムの選択が実行可能である。なぜならば、圧縮はDSPにおいて行なわれるからである。これらは、対数、平方根、または特別な場合、圧縮がない場合には線形であり得る。
【0087】
出力データは、ディスプレイのプロセッサにおいて擬似カラーに変換される8ビット(256レベル)を含む。
【0088】
複数のディスプレイの接続を促進するよう、イーサネット(登録商標)が、スキャナからディスプレイへの接続部として用いられる。
【0089】
イーサネット(登録商標)メディアアクセスコントローラ/物理層インターフェイス(MAC/PHY)は、デジタル信号プロセッサのバスに接続し、ネットワークソフトウェアスタックが、別個の通信プロセッサではなくデジタル信号プロセッサ自体で実行される。これにより、マルチプロセッサアーキテクチャの付加的なコストおよび複雑さが省かれる。
【0090】
図2はさらに、レーダー装置のディスプレイ部500が複数のウインドウ501、502、503(このようなウインドウの合計数nは、レーダーが動作するレンジの数に依存する)において異なる表示を生成することを示す。各ウインドウ501,502,503は、ネットワークユニット411からデジタル信号を受取り、レーダーのレンジの1つに対応する画像を表示する。
【0091】
公知のマルチレンジレーダーは、旋回ごとにレンジの目標検出値をインターリーブする。この実施例のレーダーは、これらのレンジについて、異なる計測距離に対する目的の検出値と、データの表示とをパルスごとにインターリーブする。したがって、実質的に同じ瞬間に取得された複数の計測距離のレーダー画像の同時表示が存在し、完全に時間ロックされる。これらの画像は、アンテナの一旋回の何分の一か前のレーダーデータよりも古いレーダーデータを画像が表示しないように、リアルタイムで更新される。
【0092】
異なる特性のレーダーパルスのインターリーブが公知であるが、異なるパルスからの情報は、異なる計測距離について別個の同時の表示を作り出すよう用いられる。
【0093】
パルス幅および繰返し速度を含むレーダーパルス特性は、表示されることになるレンジに依存して、レンジ識別または信号対雑音比について最適化されなければならない。同様に、パルスは、そのレンジについてのエコーが受信されるまで送信され得ない。受信された信号の処理はフィルタリングされ、パルスの特性の各々についての受信を最適化する。異なるタイプのパルスが送信の際にインターリーブされ、受取られた目的のエコーは別個のパスに沿って受け渡される。受信機において、各パスは、そのパルス形状ごとに別個に最適化される。各タイプの1つより多いパルスが、パルスパターンの部分として送信され得、これによりより短いレンジにて必要とされるより高い繰返し速度を可能にする。パルスパターンは、送信機のデューティサイクルが超過されないように、各レンジについてパルス繰返し速度の必要とされる比を与えるよう構成される。
【0094】
好適なパルスパターンが図10に示される。図10において、パルスのパルス幅P1は、第1のレンジについて最適化されるパルスについてのパルス持続時間であり、T1はそのレンジでの目的の取得間隔である。同様に、P2は第2のレンジについて最適化されるパルスについてのパルス持続時間であり、T2は対応する取得間隔である。各々の場合、取得間隔は対応するパルスに追従するが、可変干渉拒絶インターパルスジッター期間Δによって、すぐ後に続くパルスとは分離される。これにより、各レンジにて、目標同士の相関関係が失われる。このような構成において、パルス繰返し間隔は、各レンジについて、パルス持続時間、取得間隔、およびΔの最大値の合計である。
【0095】
図10は、パルスがインターリーブされ、この実施例において、第1のレンジについての各パルス同士の間に、第2のレンジについての3つのパルスが存在することを示す。ただし、他の組合せも可能である。しかしながら、表1は、ある可能なパルスパターンを示し、(a,b)は(列a,行b)からインターリーブされる各タイプのパルスの数である。
【0096】
【表1】
【0097】
これらのパターンは、各行または列ごとにPRIの比から計算される。
一般的には、パルス繰返し速度(pulse repetition rate;PRI)は、適切な表示を同時に生成するよう十分なパルスが好適な時間内に生成されるように十分である必要がある。一般的には、パルスの繰返しは、任意の画像におけるデータが最長インターパルス期間の20倍未満の時間にわたって取得されるように十分でなければならない。図10がレーダーのための各パルスP1同士の間の期間である場合は、この持続時間もアンテナの分解時間の1/2より長くある必要がある。したがって、図2の実施例では、制御プロセッサ100によって決定されるパルス繰返し周波数は、モータ33のスピードに関係付けられる必要がある。これは事前に設定され得るか、または計測に基づき得る。
【0098】
レーダーとともに用いられる場合、マグネトロン送信機23は、オシレータといった他のマイクロ波の源および高電力進行波管増幅器または低電力固体増幅器によって置き換えられてもよい。ソナーおよびレーダーの両方において、低電力送信機が用いられるならば、レンジの分解能を低減しないと同時に、送信された平均電力を増加するようパルス圧縮が用いられるのが普通である。これに用いられる線形受信機は、パルス圧縮を用いるレーダーおよびソナーとともに用いられるのが好適である。
【0099】
上記の実施例はレーダー装置を示す。この発明を実施するソナーシステムは同様であり得るが、アンテナ31がトランスデューサに置き換えられ、マグネトロンが高電力RFジェネレータに置き換えられる。さらに、表1のパルス間隔およびパルス幅は、空気中での電波の速度よりも遅い水中での音波の速度をに対応するよう修正される。
【0100】
添付の図面の図11は、公知のソナー装置を示す。図11のソナー装置のほとんどは、図1のレーダー装置と類似し、対応する部分は同じ参照番号で示される。したがって、図11のソナー装置は、5つの主要な構成要素、すなわち、プロセッサ10、送信機部20、アンテナ構造603、受信機構造40、およびディスプレイ構造50を含む。プロセッサ10は、デジタルバス11を介して送信機部20に渡されるパルス開始信号を生成する。プロセッサはさらに、受信機部40を制御するための信号を生成し、当該信号はプロセッサ10から第2のデジタル信号バス12を介して受信機部40へと渡される。このソナー装置のディスプレイ構造50は、図1のレーダー装置のディスプレイ構造50と同じであり、したがってここでは詳細に説明しない。
【0101】
プロセッサ10からのパルス開始信号は、生成されることになるパルスのパルス幅を決定する、送信機部20におけるパルス持続時間ユニット21にて受取られる。これらのパルスは、パルス開始信号のエッジにより開始され、したがって、それらの持続時間は固定である。これは図1のレーダー装置においてと同じであるが、結果得られるパルス情報は、オシレータをソナートランスデューサ603にマッチングするようトランスフォーマ602を駆動する高電力増幅器601に渡される。このトランスフォーマ602は、ソナーパルスをトランスデューサ603に渡し、そこからそれらが送信される。ソナートランスデューサ603は通常、ソナー信号を形成することになる高電力音響パルスを水中に作り出す圧電性装置である。リターン信号がトランスデューサ603にて受取られると、当該信号はトランスフォーマ602を介して低ノイズ増幅器604に渡される。低ノイズ増幅器604は、これらの信号の振幅を適切なレベルにまで上昇させる。バンドパスフィルタ605が、受信された信号をフィルタリングし、望まれないノイズを低減する。一般的には、高電力オシレータは、50から250KHzの長および中波長帯領域のパルスを作り出すことになる。その場合、バンドパスフィルタは、適切な中心周波数へと調整されることになる。
【0102】
バンドパスフィルタ605からの信号は、減衰器606に渡される。減衰器606は、図1のPINオルタネータ42と同様の態様で、時変ゲイン(TVG)ジェネレータ43によって制御される。TVGジェネレータ43は、バス12を介して渡される信号に基づき、プロセッサ10によって制御される。TVGジェネレータ43は、トランスデューサが受信した信号のレンジの変動を補償するよう、受信機部40のゲインを制御する。TVGジェネレータ43はさらに、減衰器606の出力を受取るとともに、受取った信号のゲインを制御する可変増幅器44を制御する。可変ゲイン増幅器44の出力は、対数検出器45に渡される。対数検出器45は、受取った信号に対するエンベロープの対数である出力を生成する。その出力は、ディスプレイ部50への出力を生成する選択可能バンドフィルタ(ビデオフィルタ46)に渡される。
【0103】
この発明のさまざまな局面を具現化するソナー装置をここで詳細に説明する。図12は、この実施例の装置の一般的な構造を示す。ここで、図12のソナー装置のほとんどは図2のレーダー装置と同様であり、対応する部分は同じ参照番号で示される。図12のソナー装置も図11のソナー装置の特徴の多くを有する。同様に、対応する部分は同じ参照番号で示される。したがって、この装置は5つの構成要素、すなわち制御プロセッサ100、送信機部200、トランスデューサ部603、受信機部400、およびディスプレイ部500を含む。図11のソナー装置のディスプレイ部は、図2のレーダー装置のディスプレイ部500と同じであるので、ここでは詳細には説明されない。
【0104】
図11のソナー装置とは異なり、図12の装置は異なるソナーレンジでの複数の表示を生成するよう意図される。したがって、制御プロセッサ100は、別個のデジタルバス101,102を介して別個のパルス持続時間ユニット201,202に送信される2つのタイプのパルス繰返し周波数信号を生成する。これらのパルス持続時間ユニット201,202の各々は、パルス持続時間ユニット21と同様の態様で、対象となるパルスの持続時間を決定する。しかしながら、パルス持続時間ユニット201,202が生成するパルスの持続時間は異なることになる。結果得られる信号は、高電力オシレータ601に渡される前に、論理OR構成要素203によって組合される。パルスは、インターリーブされるように生成される。インターリーブの態様は、表示される画像の所望のレンジによって決定される。
【0105】
図12の構成において、トランスデューサ部603の構造は図11の構成のトランスデューサ部603に類似している。図11の構成でのように、トランスデューサ603はトランスフォーマ602を介して高電力増幅器601から信号を受取る。トランスデューサ602が受取るリターン信号は、トランスフォーマ602、低増幅器(LNA)604、バンドパスフィルタ605、減衰器606を介して、可変ゲイン増幅器44に渡される。しかしながら、この可変ゲイン増幅器44の出力は図11の構成とは異なった態様で処理される。すなわち、図2の実施例において可変ゲイン増幅器44の出力が処理されたのと同じ態様で処理される。
【0106】
図12の実施例では、時変ゲイン(TVG)ジェネレータ401は、固定および可変ゲイン増幅器と減衰器との組合せの連なりを用いて実現される。ここで、TVGジェネレータ401はデジタルバス12を介して制御プロセッサ100から受取った信号を用いて制御される。しかしながら、この実施例では、TVGジェネレータ401の出力は、減衰器606および可変ゲイン増幅器44をそれぞれ制御するよう、それぞれのデジタル−アナログコンバータ402,403によって変換される。
【0107】
上述したように、可変ゲイン増幅器44の出力は、図2の実施例における可変ゲイン増幅器44の出力と同じ態様で処理される。可変ゲイン増幅器44からの信号を処理する、受信機部400およびディスプレイ部500の構成要素は、図2および図11におけるものと同じである。したがって、信号の処理は図3から図10を参照して述べたのと同じである。レーダー装置は円形の表示を生成する傾向にあり、このような円形の表示はソナー構成には適切ではないので、表示ジェネレータには通常違いが存在する。同様に、上述したように、表1のパルス間隔およびパルス幅は、空気中での電波と比較して遅い水中での音波の速度に対応するよう修正されなければならない。しかしながら、これらの違いは、第1の実施例を参照して述べた信号処理に影響を与えない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記レーダー装置はさらに、増幅器と信号プロセッサとの間に線形受信機を含み、当該線形受信機は、信号プロセッサによる処理のために、前記増幅されたリターン信号を示すデジタル出力を生成する線形デモジュレータを含むことを特徴とする、レーダー装置。
【請求項2】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
前記ソナー装置はさらに、増幅器と信号プロセッサとの間に線形受信機をさらに含み、当該線形受信機は信号プロセッサによる処理のために、前記増幅されたリターン信号を示すデジタル出力を生成する線形デモジュレータを含むことを特徴とする、ソナー装置。
【請求項3】
前記線形受信機は複数の線形増幅器および線形デモジュレータを含む、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされたデジタル信号をデジタル信号に変換するためのサブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータとをさらに含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給される、請求項1に記載のレーダー装置または請求項2に記載のソナー装置。
【請求項5】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記レーダー装置はさらに、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされたデジタル信号をデジタル信号に変換するためのサブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータとを含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給されることを特徴とする、レーダー装置。
【請求項6】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
前記ソナー装置はさらに、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされたデジタル信号をデジタル信号に変換するためのサブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータとを含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給されることを特徴とする、ソナー装置。
【請求項7】
前記アンチエイリアスフィルタは、シャノン−ナイキスト−カテリニコフのサンプリング定理を満たすよう増幅器のリターン信号の帯域幅を制限するよう構成される、請求項3から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記サブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータからの前記デジタル信号をフィルタリングするためのデジタルフィルタを有する、請求項3から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記信号プロセッサの出力から前記リターン信号の振幅の擬似カラー表現を示すよう構成されるディスプレイをさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記レーダー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号に変換するためのアナログ−デジタルコンバータとをさらに含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは、自身の中で実行されるネットワークスタックを含むデジタルプロセッサであることを特徴とする、レーダー装置。
【請求項11】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
前記ソナー装置はさらに、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号に変換するためのアナログ−デジタルコンバータとを含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは、自身の中で実行されるネットワークスタックを含むデジタルプロセッサであることを特徴とする、ソナー装置。
【請求項12】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記レーダー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号にするためのアナログ−デジタルコンバータとを有し、前記デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは、デジタル信号処理バスに接続されるネットワークインターフェイス・メディアアクセスコントローラおよび物理層インターフェイスを有するデジタル信号プロセッサであることを特徴とする、レーダー装置。
【請求項13】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
前記ソナー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号にするためのアナログ−デジタルコンバータとを有し、前記デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは、デジタル信号処理バスに接続されるネットワークインターフェイス・メディアアクセスコントローラおよび物理層インターフェイスを有するデジタル信号プロセッサであることを特徴とする、ソナー装置。
【請求項14】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダーシステムであって、
レーダー装置はさらに、アンテナを所定の旋回持続時間で回転するためのアンテナ駆動部を含み、
モジュレータは、前記パルス信号の連なりが第1のパルスパターンのパルスと第2のパルスパターンのパルスとを含むようにパルス信号の連なりを生成するよう構成され、当該第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびインターパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンは、前記所定の旋回持続時間において、各々のパルスタイプの複数のパルスが存在するようにインターリーブされ、
信号プロセッサは、任意の時間の第2の画像の各々を形成するパルスが所定の分解能持続時間の1/2未満である時間内であるように、前記第1のパルスタイプの前記パルスから第1のレーダー画像を生成するとともに、前記第2のパルスタイプの前記パルスから第2のレーダー画像を生成するよう構成されることを特徴とする、レーダーシステム。
【請求項15】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダーシステムであって、
レーダー装置はさらに、アンテナを所定の旋回持続時間で回転するためのアンテナ駆動部を含み、
モジュレータは、前記パルス信号の連なりが第1のパルスパターンのパルスと第2のパルスパターンのパルスとを含むようにパルス信号の連なりを生成するよう構成され、当該第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびインターパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンは、前記所定の旋回持続時間において、各々のパルスタイプの複数のパルスが存在するようにインターリーブされ、
信号プロセッサは、任意の時間の第2の画像の各々を形成するパルスが、第1および第2のパルスパターンのパルス間隔のうちどちらがより大きくても、20倍未満の時間内であるように、前記第1のパルスタイプの前記パルスから第1のレーダー画像を生成するとともに、前記第2のパルスタイプの前記パルスから第2のレーダー画像を生成するよう構成されることを特徴とする、レーダーシステム。
【請求項16】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
モジュレータは、パルスの連なりを生成するように、かつ前記パルスの連なりが第1のパルスパターンのパルスおよび第2のパルスパターンのパルスを含むように構成され、第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンはインターリーブされ、
信号プロセッサは、前記第1のパルスタイプの前記パルスから第1のソナー画像を生成するととともに、前記第2のパルスタイプの前記パルスの第2のソナー画像を生成し、かつ任意の時間での前記第1および第2の画像を形成するパルスが、第1および第2のパルスパターンのパルス間隔のうちどちらがより大きくても、20倍未満の時間内にあるように構成されることを特徴とする、ソナー装置。
【請求項17】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダーシステムであって、
前記レーダーシステムはさらに、増幅器のゲインを制御するためのコントローラを含み、コントローラは、前記リターン信号のレンジ依存変動について補償するためのデータを含む少なくとも1つのルックアップテーブルを含むことを特徴とする、レーダーシステム。
【請求項18】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナーシステムであって、
前記ソナーシステムはさらに増幅器のゲインを制御するためのコントローラを含み、コントローラは前記リターン信号のレンジ依存変動について補償するためのデータを含む少なくとも1つのルックアップテーブルを含むことを特徴とする、ソナーシステム。
【請求項19】
複数のレンジにて動作するよう構成され、複数のルックアップテーブルが存在し、各レンジは対応するルックアップテーブルを有する、請求項17または請求項18に記載の装置。
【請求項20】
複数のレンジにて動作するよう構成され、前記少なくとも1つのルックアップテーブルは複数のテーブル領域を有し、各レンジは対応するテーブル領域を有する、請求項17および18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記増幅器は複数のゲインステージを有し、前記ルックアップテーブルが複数存在し、各テーブルは前記ゲインステージの1つに対応する、請求項17から20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記増幅器は複数のゲインステージを有し、前記少なくとも1つのルックアップテーブルは複数のテーブル領域を有し、各テーブル領域は前記ゲインステージの1つに対応する、請求項16から20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記複数のルックアップテーブルまたは前記複数のテーブル領域からの出力は、ともに加えられ、飽和論理に晒され、次いで、前記増幅器の適切なゲインステージを決定するよう用いられる、請求項21または請求項22に記載の装置。
【請求項24】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記信号プロセッサは、レーダービデオのレベルを8より多く含むデジタル出力を生成するよう構成されるデジタル信号プロセッサであることを特徴とする、レーダー装置。
【請求項25】
非線形のダイナミックレンジマッチングに前記デジタル出力を晒すための手段を有する、請求項24に記載のレーダー装置。
【請求項1】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記レーダー装置はさらに、増幅器と信号プロセッサとの間に線形受信機を含み、当該線形受信機は、信号プロセッサによる処理のために、前記増幅されたリターン信号を示すデジタル出力を生成する線形デモジュレータを含むことを特徴とする、レーダー装置。
【請求項2】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
前記ソナー装置はさらに、増幅器と信号プロセッサとの間に線形受信機をさらに含み、当該線形受信機は信号プロセッサによる処理のために、前記増幅されたリターン信号を示すデジタル出力を生成する線形デモジュレータを含むことを特徴とする、ソナー装置。
【請求項3】
前記線形受信機は複数の線形増幅器および線形デモジュレータを含む、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされたデジタル信号をデジタル信号に変換するためのサブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータとをさらに含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給される、請求項1に記載のレーダー装置または請求項2に記載のソナー装置。
【請求項5】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記レーダー装置はさらに、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされたデジタル信号をデジタル信号に変換するためのサブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータとを含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給されることを特徴とする、レーダー装置。
【請求項6】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
前記ソナー装置はさらに、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされたデジタル信号をデジタル信号に変換するためのサブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータとを含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給されることを特徴とする、ソナー装置。
【請求項7】
前記アンチエイリアスフィルタは、シャノン−ナイキスト−カテリニコフのサンプリング定理を満たすよう増幅器のリターン信号の帯域幅を制限するよう構成される、請求項3から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記サブサンプリング・アナログ−デジタルコンバータからの前記デジタル信号をフィルタリングするためのデジタルフィルタを有する、請求項3から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記信号プロセッサの出力から前記リターン信号の振幅の擬似カラー表現を示すよう構成されるディスプレイをさらに含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記レーダー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号に変換するためのアナログ−デジタルコンバータとをさらに含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは、自身の中で実行されるネットワークスタックを含むデジタルプロセッサであることを特徴とする、レーダー装置。
【請求項11】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
前記ソナー装置はさらに、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号に変換するためのアナログ−デジタルコンバータとを含み、デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは、自身の中で実行されるネットワークスタックを含むデジタルプロセッサであることを特徴とする、ソナー装置。
【請求項12】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記レーダー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号にするためのアナログ−デジタルコンバータとを有し、前記デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは、デジタル信号処理バスに接続されるネットワークインターフェイス・メディアアクセスコントローラおよび物理層インターフェイスを有するデジタル信号プロセッサであることを特徴とする、レーダー装置。
【請求項13】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
前記ソナー装置は、増幅器に接続され、増幅されたリターン信号をフィルタリングするためのアンチエイリアスフィルタと、フィルタリングされた信号をデジタル信号にするためのアナログ−デジタルコンバータとを有し、前記デジタル信号は信号プロセッサに供給され、信号プロセッサは、デジタル信号処理バスに接続されるネットワークインターフェイス・メディアアクセスコントローラおよび物理層インターフェイスを有するデジタル信号プロセッサであることを特徴とする、ソナー装置。
【請求項14】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダーシステムであって、
レーダー装置はさらに、アンテナを所定の旋回持続時間で回転するためのアンテナ駆動部を含み、
モジュレータは、前記パルス信号の連なりが第1のパルスパターンのパルスと第2のパルスパターンのパルスとを含むようにパルス信号の連なりを生成するよう構成され、当該第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびインターパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンは、前記所定の旋回持続時間において、各々のパルスタイプの複数のパルスが存在するようにインターリーブされ、
信号プロセッサは、任意の時間の第2の画像の各々を形成するパルスが所定の分解能持続時間の1/2未満である時間内であるように、前記第1のパルスタイプの前記パルスから第1のレーダー画像を生成するとともに、前記第2のパルスタイプの前記パルスから第2のレーダー画像を生成するよう構成されることを特徴とする、レーダーシステム。
【請求項15】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダーシステムであって、
レーダー装置はさらに、アンテナを所定の旋回持続時間で回転するためのアンテナ駆動部を含み、
モジュレータは、前記パルス信号の連なりが第1のパルスパターンのパルスと第2のパルスパターンのパルスとを含むようにパルス信号の連なりを生成するよう構成され、当該第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびインターパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンは、前記所定の旋回持続時間において、各々のパルスタイプの複数のパルスが存在するようにインターリーブされ、
信号プロセッサは、任意の時間の第2の画像の各々を形成するパルスが、第1および第2のパルスパターンのパルス間隔のうちどちらがより大きくても、20倍未満の時間内であるように、前記第1のパルスタイプの前記パルスから第1のレーダー画像を生成するとともに、前記第2のパルスタイプの前記パルスから第2のレーダー画像を生成するよう構成されることを特徴とする、レーダーシステム。
【請求項16】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナー装置であって、
モジュレータは、パルスの連なりを生成するように、かつ前記パルスの連なりが第1のパルスパターンのパルスおよび第2のパルスパターンのパルスを含むように構成され、第1および第2のパルスパターンはパルス持続時間およびパルス間隔において異なり、第1および第2のパルスパターンはインターリーブされ、
信号プロセッサは、前記第1のパルスタイプの前記パルスから第1のソナー画像を生成するととともに、前記第2のパルスタイプの前記パルスの第2のソナー画像を生成し、かつ任意の時間での前記第1および第2の画像を形成するパルスが、第1および第2のパルスパターンのパルス間隔のうちどちらがより大きくても、20倍未満の時間内にあるように構成されることを特徴とする、ソナー装置。
【請求項17】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダーシステムであって、
前記レーダーシステムはさらに、増幅器のゲインを制御するためのコントローラを含み、コントローラは、前記リターン信号のレンジ依存変動について補償するためのデータを含む少なくとも1つのルックアップテーブルを含むことを特徴とする、レーダーシステム。
【請求項18】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをソナー信号に変換するための送信機と、
当該ソナー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのトランスデューサと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をトランスデューサに、かつトランスデューサを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理するための信号プロセッサとを含むソナーシステムであって、
前記ソナーシステムはさらに増幅器のゲインを制御するためのコントローラを含み、コントローラは前記リターン信号のレンジ依存変動について補償するためのデータを含む少なくとも1つのルックアップテーブルを含むことを特徴とする、ソナーシステム。
【請求項19】
複数のレンジにて動作するよう構成され、複数のルックアップテーブルが存在し、各レンジは対応するルックアップテーブルを有する、請求項17または請求項18に記載の装置。
【請求項20】
複数のレンジにて動作するよう構成され、前記少なくとも1つのルックアップテーブルは複数のテーブル領域を有し、各レンジは対応するテーブル領域を有する、請求項17および18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記増幅器は複数のゲインステージを有し、前記ルックアップテーブルが複数存在し、各テーブルは前記ゲインステージの1つに対応する、請求項17から20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記増幅器は複数のゲインステージを有し、前記少なくとも1つのルックアップテーブルは複数のテーブル領域を有し、各テーブル領域は前記ゲインステージの1つに対応する、請求項16から20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記複数のルックアップテーブルまたは前記複数のテーブル領域からの出力は、ともに加えられ、飽和論理に晒され、次いで、前記増幅器の適切なゲインステージを決定するよう用いられる、請求項21または請求項22に記載の装置。
【請求項24】
パルス信号の連なりを生成するためのモジュレータと、
当該パルス信号の連なりをレーダー信号に変換するための送信機と、
当該レーダー信号を発するとともにリターン信号を受信するためのアンテナと、
当該リターン信号を増幅するための増幅器と、
送信機をアンテナに、かつアンテナを増幅器に切替可能に相互接続するためのスイッチング装置と、
表示および/または分析のために、増幅されたリターン信号を処理する信号プロセッサとを含むレーダー装置であって、
前記信号プロセッサは、レーダービデオのレベルを8より多く含むデジタル出力を生成するよう構成されるデジタル信号プロセッサであることを特徴とする、レーダー装置。
【請求項25】
非線形のダイナミックレンジマッチングに前記デジタル出力を晒すための手段を有する、請求項24に記載のレーダー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−538251(P2010−538251A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522445(P2010−522445)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002935
【国際公開番号】WO2009/027693
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510054142)レイマリン・ユー・ケイ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】RAYMARINE UK LIMITED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002935
【国際公開番号】WO2009/027693
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510054142)レイマリン・ユー・ケイ・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】RAYMARINE UK LIMITED
【Fターム(参考)】
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