説明

データ管理システム及びデータ更新方法

【課題】ナビゲーション装置のように、記憶媒体に記憶された該当データ及び情報データを更新するにあたり、更新に用いる更新用ファイルの容量をできるだけ小さくできるデータ管理システム及びデータ更新方法を実現する。
【解決手段】情報データに、カテゴリを絞り込むための検索キーを含め、更新対象の情報データを更新するための更新用情報データを有する更新用ファイルの入力を受け付け、情報データフレームから更新対象の情報データを抽出すると共に、当該抽出した情報データを更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新し、該当データフレームから更新対象の情報データが有する検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを抽出すると共に、当該抽出した該当データを更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報データを情報データフレームに記憶すると共に、当該情報データを特定するための該当データを検索キーにより絞り込まれるカテゴリ毎に該当データフレームに記憶した記憶媒体を備え、
前記記憶媒体に対して、所望のデータの読み書きを行って、前記記憶媒体に記憶されるデータを更新する更新手段を備えたデータ管理システム、及び、前記記憶媒体に対して、所望のデータの読み書きを行って、前記記憶媒体に記憶されるデータを更新するデータ更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地図に関する地図データを記憶した記憶媒体を備え、その記憶媒体から読み出した地図データを、適宜GPS受信機などにより検出した自車位置と合わせてモニタに表示して、目的地までの最適進路案内等を行うナビゲーション装置としては、記憶媒体として大容量のハードディスクを内蔵したものが近年実用化されている。
かかるハードディスクを記憶媒体として備えたナビゲーション装置は、DVDやCD−ROMのようなディスク交換ではなく、例えば小容量のメディアや携帯電話などの所定の通信ネットワークを介して更新用ファイルの入力を受け付け、その更新用ファイルを用いて、記憶媒体に対して、所望のデータの読み書きを行って、前記記憶媒体に記憶されるデータを更新するように構成されている。
【0003】
そして、このようなナビゲーション装置において、記憶媒体に記憶されるデータを更新する場合には、当該記憶媒体において複数のフィールドからなるレコード単位で多数のデータが記憶されていることから、上記記憶媒体に記憶されたデータ全体を更新するのではなく、上記レコード単位でデータを更新する所謂差分更新を行う場合がある(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
即ち、上記差分更新においては、1バイトでも更新する必要があるレコードを更新対象として、新たなレコード全体のデータを有する更新用ファイルを生成し、ナビゲーション装置が、その更新用ファイルの入力を受け付け、記憶媒体に記憶されている更新対象のレコード全体を、その更新用ファイルが有するレコード全体のデータで書き替える形態で、記憶媒体に記憶されるデータを更新する。よって、上記更新用ファイルは、更新の必要がないレコードを含まないので容量が小さいものとなり、その更新用ファイルの入力のための通信量やメモリ容量や更新時間が削減される。
【0005】
また、ナビゲーション装置として、上述した最適進路案内とは別に、記憶媒体に、地点情報に関する情報データを記憶し、その記憶媒体から検索した情報データをモニタに表示して、地点情報の検索案内を行うように構成されたものが知られている(例えば、特許文献2及び非特許文献1を参照。)。即ち、地点情報の検索案内を行うナビゲーション装置では、上記記憶媒体において、複数の情報データが、情報データフレームに記憶されていると共に、当該情報データを特定するための該当データが、検索キーにより絞り込まれるカテゴリ毎に該当データフレームに記憶されている。そして、地点の名称の読み、地点の電話番号、地点の住所等の検索キーの入力により、その入力された検索キーにより絞り込まれたカテゴリに属する該当データが、前記該当データフレームから逐次抽出され、当該抽出された該当データに含まれている地点の名称等がモニタに表示される。更に、その表示された該当データから一の該当データが選択されることにより、その選択された該当データに含まれている情報データのアドレスを参照して、当該該当データが特定する情報データが前記情報データフレームから逐次抽出され、当該抽出された情報データに含まれている地点の詳細情報等がモニタに表示される。
【0006】
そして、このように地点情報の検索案内を行うナビゲーション装置において、上記該当データや上記情報データを更新する場合においても、上述したような差分更新を行う場合がある。
即ち、上記差分更新により該当データや情報データを更新するナビゲーション装置は、図7及び図8に示すように、先ず、記憶媒体に記憶させるべき最新の更新用該当データを記憶した該当データフレーム全体、及び、記憶媒体に記憶させるべき最新の更新用情報データを記憶した情報データフレーム全体の両方を含む更新用ファイルの入力を受け付ける(ステップ#11)。次に、図8の矢印A’に示すように、記憶媒体の情報データフレームから更新対象の情報データを抽出する(ステップ#12)と共に、図8の矢印a’に示すように、当該抽出した情報データを上記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する(ステップ#13)。また、同様に、図8の矢印B’に示すように、記憶媒体の該当データフレームから更新対象の該当データを抽出する(ステップ#14)と共に、図8の矢印b’に示すように、当該抽出した該当データを上記更新用ファイルが有する更新用該当データにより更新する(ステップ#15)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−287705号公報
【特許文献2】特開2005−25672号公報
【非特許文献1】JIS規格 D 0810
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような地点情報の検索案内を行うナビゲーション装置においては、高性能化に伴って非常に多くの該当データや情報データを記憶媒体に記憶するようになっており、更には、地点情報の頻繁な変化により、その多くのデータを頻繁に更新する必要がある。
よって、新たな該当データと情報データの両方を有する更新用ファイルの容量が大きくなり、更新用ファイルの入力のための通信量やメモリ容量、更には更新時間が甚大なものとなるという問題があり、かかる更新用ファイルの容量の更なる削減が望まれている。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の情報データを情報データフレームに記憶すると共に、当該情報データを特定するための該当データを検索キーにより絞り込まれるカテゴリ毎に該当データフレームに記憶した記憶媒体を備え、前記記憶媒体に対して、所望のデータの読み書きを行って、前記記憶媒体に記憶されるデータを更新する更新手段を備えたデータ管理システムにおいて、更新に用いる更新用ファイルの容量をできるだけ小さくできる技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係るデータ管理システムは、複数の情報データを情報データフレームに記憶すると共に、当該情報データを特定するための該当データを検索キーにより絞り込まれるカテゴリ毎に該当データフレームに記憶した記憶媒体を備え、
前記記憶媒体に対して、所望のデータの読み書きを行って、前記記憶媒体に記憶されるデータを更新する更新手段を備えたデータ管理システムであって、その第1特徴構成は、前記情報データが、前記カテゴリを絞り込むための検索キーを含み、
更新対象の情報データを更新するための更新用情報データを有する更新用ファイルの入力を受け付ける更新用ファイル入力手段を備え、
前記更新手段として、前記情報データフレームから前記更新対象の情報データを抽出すると共に、当該抽出した情報データを前記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する情報データ更新手段と、前記該当データフレームから前記更新対象の情報データが有する検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを抽出すると共に、当該抽出した該当データを前記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する該当データ更新手段とを備えた点にある。
【0011】
上記第1特徴構成によれば、記憶媒体の情報データフレームに記憶されている更新対象の情報データを、上記更新用ファイルが有する更新用情報データで更新すると共に、記憶媒体の該当データフレームに記憶されている更新対象の該当データまでをも、上記情報データを更新するのに用いたものと同じ更新用情報データで更新することができる。よって、上記情報データと上記該当データの両方を更新する場合でも、上記更新用ファイルは、上記該当データを更新するためだけの該当データフレームを含まなくて済む分、容量を小さくすることができ、例えば、当該更新用ファイルの入力のための通信量やメモリ容量、更には更新時間を削減することができる。
【0012】
即ち、上記該当データ更新手段においては、上記情報データ更新手段により更新した更新対象の情報データに含まれる検索キーを参照して、その参照した検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを、更新対象の該当データとして抽出することができる。よって、その抽出した更新対象の該当データを、その更新用情報データにおいて該当データに対応するデータにより更新することができる。
【0013】
本発明に係るデータ管理システムの第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記更新用ファイル入力手段が、前記更新用ファイルを通信回線を介して受信可能に構成されている点にある。
【0014】
上記第2特徴構成によれば、上記更新用ファイル入力手段において、情報データ及び該当データの更新に利用する更新用ファイルの入力を、例えば記憶媒体に記憶されている情報データの管理等を行うサーバから、通信回線を介して受信する形態で、簡単且つ頻繁に受け付けることができる。
【0015】
本発明に係るデータ管理システムの第3特徴構成は、上記第1乃至上記第2の何れかの特徴構成に加えて、前記カテゴリが階層構造を有する点にある。
【0016】
上記第3特徴構成によれば、上記カテゴリを階層構造を有するものとして構成した場合でも、上記該当データ更新手段において、更新対象の情報データに含まれる検索キーを用いて、簡単且つ迅速に更新対象の該当データが属するカテゴリを絞り込んで、当該更新対象の該当データを抽出することができる。
【0017】
本発明に係るデータ管理システムの第4特徴構成は、上記第1乃至上記第3の何れかの特徴構成に加えて、前記記憶媒体に前記情報データとして地点情報に関するデータを記憶したナビゲーション装置として構成されている点にある。
【0018】
上記第4特徴構成によれば、記憶媒体に情報データとして地点情報に関するデータを記憶し、その記憶媒体から検索した情報データをモニタに表示して、地点情報の検索案内を行うように構成されたナビゲーション装置として構成した場合でも、上述したように記憶媒体に記憶した情報データ及び該当データを、該当データを更新するためだけの該当データフレームを含まない分容量を小さくできる更新用ファイルを用いて更新することができる。
【0019】
本発明に係るデータ管理システムの第5特徴構成は、上記第1乃至上記第4の何れかの特徴構成に加えて、前記検索キーが、前記地点の名称の読み、前記地点の電話番号、前記地点の住所から選択される少なくとも一つである点にある。
【0020】
上記第5特徴構成によれば、地点の名称の読み、地点の電話番号、地点の住所の少なくとも一つの検索キーの入力により、その入力された検索キーにより絞り込まれたカテゴリに属する該当データ、及び、その該当データが特定する情報データを抽出する形態で、地点情報の検索案内を行う場合には、それら地点の読み、電話番号及び住所の少なくとも一つを用いて、更新対象の該当データを抽出することができる。
【0021】
上記目的を達成するための本発明に係るデータ更新方法は、上述した本発明に係るデータ管理方法により実行可能なデータ更新方法、即ち、複数の情報データを情報データフレームに記憶すると共に、当該情報データを特定するための該当データを検索キーにより絞り込まれるカテゴリ毎に該当データフレームに記憶した記憶媒体に対して、所望のデータの読み書きを行って、前記記憶媒体に記憶されるデータを更新するデータ更新方法であって、その特徴構成は、前記情報データに、前記カテゴリを絞り込むための検索キーを含め、
更新対象の情報データを更新するための更新用情報データを有する更新用ファイルの入力を受け付ける更新用ファイル入力ステップと、
前記情報データフレームから前記更新対象の情報データを抽出すると共に、当該抽出した情報データを前記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する情報データ更新ステップと、
前記該当データフレームから前記更新対象の情報データが有する検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを抽出すると共に、当該抽出した該当データを前記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する該当データ更新ステップとを実行する点にある。
【0022】
即ち、上記データ更新方法の特徴構成によれば、上記情報データ更新ステップにおいて、記憶媒体の情報データフレームに記憶されている更新対象の情報データを、上記更新用ファイルが有する更新用情報データで更新すると共に、上記該当データ更新ステップにおいて、記憶媒体の該当データフレームに記憶されている更新対象の該当データまでをも、上記情報データを更新するのに用いたものと同じ更新用情報データで更新することができる。よって、上記情報データと上記該当データの両方を更新する場合でも、上記更新用ファイルは、上記該当データを更新するためだけの該当データフレームを含まなくて済む分、容量を小さくすることができ、例えば、当該更新用ファイルの入力のための通信量やメモリ容量、更には更新時間を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係るデータ管理システム及びデータ更新方法の実施の形態として、当該データ管理システムとして構成されたナビゲーション装置、及び、そのナビゲーション装置により実行されるデータ更新方法について、図面に基づいて説明する。
【0024】
図1に示すナビゲーション装置1は、公知の如く車両に搭載され、CPU等からなる制御部3により入力されたデータに対して種々の処理を行うための各種機能部が、ハードウエア又はソフトウエア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。
【0025】
また、ナビゲーション装置1には、地図に関する地図データや地点情報に関する情報データ等を記憶したハードディスク等の書き替え可能な記憶媒体2が内蔵されており、この記憶媒体2は、ハードディスクドライブのようにそれを駆動する駆動手段と共にハードウエア構成として構成されている。
【0026】
上記ナビゲーション装置1は、記憶媒体2から読み出した地図データを、適宜GPS受信機5などにより検出した自車位置と合わせてモニタ4に表示して、目的地までの最適進路案内を行うように構成されており、そのような最適進路案内を行うための構成について、以下に説明を加える。
【0027】
上記ナビゲーション装置1には、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信するGPS受信機5が設けられている。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、制御部3へ出力される。制御部3では、GPS受信機5で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、自車の位置(緯度及び経度)、進行方位、移動速度等の情報を取得することができる。
【0028】
また、上記ナビゲーション装置1には、車両の進行方位又はその進行方位の変化を検出する方位センサ6が設けられている。この方位センサ6は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム、車輪部に取り付ける角度センサ等により構成される。そして、方位センサ6は、その検出結果を制御部3へ出力する。
【0029】
また、上記ナビゲーション装置1には、車両の移動距離や車速を検出する距離センサ7が設けられている。この距離センサ7は、例えば、車両のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、車両の加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を2回積分する回路等により構成される。そして、距離センサ7は、その検出結果を制御部3へ出力する。
【0030】
そして、上記ナビゲーション装置1の制御部3は、記憶媒体2から自車位置周辺の地図情報に関する地図データを取得し、その地図データと、上記特定した車両の現在位置とに基づいて、車両の進路案内のための各種演算処理を行い、モニタ4等に対する制御命令を出力する。そして、上記制御部3は、上記地図データに基づいて生成される地図画像上に、車両の現在位置を示す画像を重ねてモニタ4に表示する。また、車両の進行方向の地図情報に関する地図データに含まれる道路形状等と、現在位置とに基づいて、正確なタイミングで進路案内のための運転者への報知を、モニタ4等を用いて行う。
【0031】
上記ナビゲーション装置1は、記憶媒体2から検索した地点情報に関する情報データをモニタ4に表示して、地点情報の検索案内を行うように構成されており、その地点情報の検索案内を行うための構成について、以下に説明を加える。
【0032】
上記記憶媒体2には、図2に示すように、複数の地点情報に関する複数の情報データが、情報データフレームに記憶されていると共に、当該情報データを特定するための該当データが、地点の名称を50音で示した読みカナの検索キーにより絞り込まれるカテゴリ毎に該当データフレームに記憶されている。
【0033】
即ち、上記情報データフレームには、地点毎のレコード単位の情報データの並びが記憶されており、この情報データには、レコードの大きさを示すレコードサイズやそのレコードで不変のパーマネントIDの他、その地点の名称及び上記検索キーである読みカナ、及び、その地点の住所や電話番号等の地点についての各種情報が含まれている。
【0034】
一方、上記該当データフレームには、地点毎のレコード単位の該当データの並びが、後述するカテゴリ毎に記憶されており、この該当データには、レコードの大きさを示すレコードサイズやそのレコードで不変のパーマネントIDの他、その地点の名称及び上記検索キーである読みカナ、及び、情報データを特定するための情報データへのオフセット等の各種情報が含まれている。
【0035】
更に、上記記憶媒体2は、上記該当データフレームにおけるカテゴリを定義するためのカテゴリフレームを有している。即ち、そのカテゴリフレームには、50音を複数段において階層化して示した50音検索キーの階層構造が記憶されており、その夫々の階層の各段が一のカテゴリに相当することで、カテゴリが階層構造を有することになる。
【0036】
そして、上記制御部3は、地点情報の読みカナである検索キーによる検索案内を行うにあたり、利用者がタッチパネル式のモニタ4等の所定の操作部において読みカナを入力することで、カテゴリフレームに記憶されたカテゴリの階層構造を参照して、入力された読みカナによりカテゴリを絞り込み、該当データフレームから当該絞り込んだカテゴリに属する該当データを抽出して、その抽出した該当データに含まれる地点の名称等をモニタ4に表示する。
【0037】
更に、上記制御部3は、利用者が上記表示された地点の名称をタッチパネル式のモニタ4において選択することで、その選択された地点の名称に対応する該当データに含まれる情報データへのオフセットを参照して、情報データフレームからその地点の名称に対応する情報データを抽出し、その抽出した情報データに含まれる地点の詳細情報やその地点の地図データ等をモニタ4に表示する。
【0038】
更に、ナビゲーション装置1は、後述する配信サーバ20からインターネット等の所定の通信回線Iを介して所定のファイルを受信可能な通信部10を備えている。そして、この通信部10は、詳細については後述するが、記憶媒体2に記憶されている該当データ及び情報データを更新するための更新用ファイルの入力を、上記配信サーバ20から通信回線Iを介して受信する形態で受け付ける更新用ファイル入力手段として機能する。
【0039】
上記配信サーバ20は、ナビゲーション装置1の販売を行うメーカ側などに設置され、ナビゲーション装置1の記憶媒体2に記憶させる最新の情報データを記憶した情報データフレームを、ハードディスク等の記憶装置30に格納して管理するコンピュータからなる。そして、この配信サーバ20は、記憶装置30において更新された最新の情報データを含む情報データフレームを抽出し、通信回線Iを介してアクセスしたナビゲーション装置1に対して、当該抽出した情報データフレームを含むファイルを更新用ファイルとして送信するように構成されている。
【0040】
更に、ナビゲーション装置1の制御部3は、上記通信部10で受信した更新用ファイルを用いて、記憶媒体2に対して、所望のデータの読み書きを行って、記憶媒体2に記憶されるデータを更新する更新手段として、情報データを更新する情報データ更新手段8、及び、該当データを更新する該当データ更新手段9として機能するように構成されている。
【0041】
以下、これら更新手段としての情報データ更新手段8及び該当データ更新手段9の詳細構成について、これら各種手段により実行されるデータ更新方法のフローと共に、図3及び図4に基づいて説明する。
尚、図3は、データ更新方法の処理フロー図であり、図4は、記憶媒体での更新用ファイルによる更新の流れを説明する図である。
【0042】
ナビゲーション装置1は、上記通信部10により受信する形態で更新用ファイルの入力を受け付ける更新用ファイル入力ステップ(ステップ#1)を実行するのに伴って、データ更新方法の実行を開始する。
ここで、この通信部10に受信される更新用ファイルは、記憶媒体2に記憶させるべき最新の情報データである更新用情報データを記憶した情報データフレーム全体を含むファイルであり、最新の該当データは含まないために、比較的容量が小さいものとなっている。
【0043】
次に、上記情報データ更新手段8は、記憶媒体2の情報データフレームから更新対象の情報データを抽出(ステップ#2)すると共に、当該抽出した情報データを上記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新(ステップ#3)する情報データ更新ステップを実行するように構成されている。
詳しくは、上記情報データ更新ステップにおいては、図4の矢印Aに示すように、記憶媒体2から、更新用ファイルに含まれる情報データフレームに該当する情報データフレーム全体の情報データを更新対象として抽出する。そして、図4の矢印aに示すように、その更新対象の情報データと更新用ファイルが有する更新用情報データとを比較し、更新対象の情報データにおいて、上記更新用ファイルが有する更新用情報データとは異なるフィールド(図4においては、「表示地図尺度」、「建物階数」、「種別コード」がそれに該当する。)を、当該更新用情報データの対応するフィールドで書き替える形態で、情報データを更新する。
【0044】
次に、上記該当データ更新手段9は、記憶媒体2の該当データフレームから上記更新対象の情報データが有する検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを抽出(ステップ#4)すると共に、当該抽出した該当データを上記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新(ステップ#5)する該当データ更新ステップを実行するように構成されている。
詳しくは、上記該当データ更新ステップにおいては、図4の矢印Bで示すように、上記情報データ更新手段により更新した更新対象の情報データに含まれる検索キー、即ち地点の名称の読み(例えば「アイウエオ」)を参照し、カテゴリフレームにおいて参照した検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを、更新対象として、該当データフレームから抽出する。そして、図4の矢印bに示すように、その更新対象の該当データと更新用ファイルが有する更新用情報データとを比較し、更新対象の該当データにおいて、上記更新用ファイルが有する更新用情報データとは異なるフィールド(図4においては、「種別コード」がそれに該当する。)を、当該更新用情報データの対応するフィールドで書き替える形態で、該当データを更新する。
【0045】
以上のようなデータ更新方法により、上記更新用ファイルとして、上記該当データを更新するためのデータを含まず、上記情報データを更新するための更新用情報データのみを含む比較的容量が小さいファイルを利用して、記憶媒体2に記憶されている該当データ及び情報データの両方を更新することができ、例えば、更新用ファイル入力手段10における当該更新用ファイルの入力のための通信量やメモリ容量を削減して、当該データ更新方法を実行するのに必要な更新時間を削減することができる。
【0046】
〔別実施形態〕
(1)上記実施の形態では、該当データ更新手段9が、該当データ更新ステップを実行するにあたり、情報データが有する地点の名称の読みカナである検索キーを利用して、更新対象の該当データが属するカテゴリを絞り込んだが、別に、この更新対象の該当データが属するカテゴリを絞り込むための検索キーを、上記読みカナではなく、例えば、地点の電話番号や地点の住所等のように、情報データに含まれる他の情報を検索キーとして利用することができる。
【0047】
尚、上記更新対象の該当データが属するカテゴリを絞り込むための検索キーを、地点の電話番号とする場合のデータ更新方法は、以下のようになる。
即ち、図5に示すように、上記実施の形態で説明した情報データ更新ステップと同様に、図5の矢印Aに示すように、記憶媒体2から更新対象の情報データを抽出し、図5の矢印aに示すように、その更新対象の情報データおいて更新用ファイルが有する更新用情報データとは異なるフィールド(図5においては、「表示地図尺度」、「建物階数」、「種別コード」がそれに該当する。)を、当該更新用情報データの対応するフィールドで書き替える形態で、情報データを更新する。そして、上記該当データ更新ステップにおいては、図5の矢印Bで示すように、上記情報データ更新手段により更新した更新対象の情報データに含まれる検索キー、即ち地点の電話番号(例えば「01234F6789」、尚、6桁目の「F」は地点の電話番号が9桁の場合の無効値である。)を参照し、カテゴリフレームにおいて参照した検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを、更新対象として、該当データフレームから抽出し、その更新対象の該当データにおいて、上記更新用ファイルが有する更新用情報データとは異なるフィールド(図5においては、「種別コード」がそれに該当する。)を、当該更新用情報データの対応するフィールドで書き替える形態で、該当データを更新する。
【0048】
また、上記更新対象の該当データが属するカテゴリを絞り込むための検索キーを、地点の住所とする場合のデータ更新方法は、以下のようになる。
即ち、図6に示すように、上記実施の形態で説明した情報データ更新ステップと同様に、図6の矢印Aに示すように、記憶媒体2から更新対象の情報データを抽出し、図6の矢印aに示すように、その更新対象の情報データおいて更新用ファイルが有する更新用情報データとは異なるフィールド(図6においては、「表示地図尺度」、「建物階数」、「種別コード」がそれに該当する。)を、当該更新用情報データの対応するフィールドで書き替える形態で、情報データを更新する。そして、上記該当データ更新ステップにおいては、図6の矢印Bで示すように、上記情報データ更新手段により更新した更新対象の情報データに含まれる検索キー、即ち地点の住所(例えば「○県△市□町×番◎号」)を参照し、カテゴリフレームにおいて参照した検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを、更新対象として、該当データフレームから抽出し、その更新対象の該当データにおいて、上記更新用ファイルが有する更新用情報データとは異なるフィールド(図6においては、「種別コード」がそれに該当する。)を、当該更新用情報データの対応するフィールドで書き替える形態で、該当データを更新する。
【0049】
(2)上記実施の形態では、検索キーのカテゴリを階層構造を有するものとして構成したが、別に、カテゴリを階層構造ではなく、例えば、一の検索キーに対して一のカテゴリが定義されたものとしても構わない。
【0050】
(3)上記実施の形態では、更新用ファイル入力手段を、更新用ファイルの入力を配信サーバ20から通信回線Iを介して受信する通信部10で構成したが、別に、この更新用ファイル入力手段を、配信サーバからUSBなど通信線を介して直接更新用ファイルを入力するように構成したり、配信サーバから更新用ファイルをダウンロードした携帯電話やメディアからUSBなど通信線を介して更新用ファイルを入力するなどのように、適宜改変しても構わない。
【0051】
(4)上記実施の形態では、本発明に係るデータ管理システムを、記憶媒体2に情報データとして地点情報に関するデータを記憶したナビゲーション装置1に適用したが、地点検索データベース、地図データベース等の検索機能を有する各種データベースの管理システム等の別の形態のシステムに適用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明に係るデータ管理システム及びデータ更新方法は、例えばナビゲーション装置のように、記憶媒体に記憶された該当データ及び情報データを更新するにあたり、更新に用いる更新用ファイルの容量をできるだけ小さくできるものとして有効に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施形態におけるナビゲーション装置の概略構成図
【図2】実施形態における記憶媒体でのデータ構造及び情報の検索案内の流れを示す図
【図3】実施形態におけるデータ更新方法の処理フロー図
【図4】実施形態における記憶媒体での更新用ファイルによる更新の流れを説明する図
【図5】別実施形態における記憶媒体での更新用ファイルによる更新の流れを説明する図
【図6】別実施形態における記憶媒体での更新用ファイルによる更新の流れを説明する図
【図7】従来のデータ更新方法の処理フロー図
【図8】従来の記憶媒体での更新用ファイルによる更新の流れを説明する図
【符号の説明】
【0054】
1:ナビゲーション装置(データ管理システム)
2:記憶媒体
3:制御部
8:情報データ更新手段
9:該当データ更新手段
10:通信部(更新用ファイル入力手段)
20:配信サーバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報データを情報データフレームに記憶すると共に、当該情報データを特定するための該当データを検索キーにより絞り込まれるカテゴリ毎に該当データフレームに記憶した記憶媒体を備え、
前記記憶媒体に対して、所望のデータの読み書きを行って、前記記憶媒体に記憶されるデータを更新する更新手段を備えたデータ管理システムであって、
前記情報データが、前記カテゴリを絞り込むための検索キーを含み、
更新対象の情報データを更新するための更新用情報データを有する更新用ファイルの入力を受け付ける更新用ファイル入力手段を備え、
前記更新手段として、前記情報データフレームから前記更新対象の情報データを抽出すると共に、当該抽出した情報データを前記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する情報データ更新手段と、前記該当データフレームから前記更新対象の情報データが有する検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを抽出すると共に、当該抽出した該当データを前記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する該当データ更新手段とを備えたデータ管理システム。
【請求項2】
前記更新用ファイル入力手段が、前記更新用ファイルを通信回線を介して受信可能に構成されている請求項1に記載のデータ管理システム。
【請求項3】
前記カテゴリが階層構造を有する請求項1又は2に記載のデータ管理システム。
【請求項4】
前記記憶媒体に前記情報データとして地点情報に関するデータを記憶したナビゲーション装置として構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載のデータ管理システム。
【請求項5】
前記検索キーが、前記地点の名称の読み、前記地点の電話番号、前記地点の住所から選択される少なくとも一つである請求項4に記載のデータ管理システム。
【請求項6】
複数の情報データを情報データフレームに記憶すると共に、当該情報データを特定するための該当データを検索キーにより絞り込まれるカテゴリ毎に該当データフレームに記憶した記憶媒体に対して、所望のデータの読み書きを行って、前記記憶媒体に記憶されるデータを更新するデータ更新方法であって、
前記情報データに、前記カテゴリを絞り込むための検索キーを含め、
更新対象の情報データを更新するための更新用情報データを有する更新用ファイルの入力を受け付ける更新用ファイル入力ステップと、
前記情報データフレームから前記更新対象の情報データを抽出すると共に、当該抽出した情報データを前記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する情報データ更新ステップと、
前記該当データフレームから前記更新対象の情報データが有する検索キーにより絞り込まれるカテゴリに属する該当データを抽出すると共に、当該抽出した該当データを前記更新用ファイルが有する更新用情報データにより更新する該当データ更新ステップとを実行するデータ更新方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−59045(P2008−59045A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−232205(P2006−232205)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】