説明

データ送信装置、データ受信装置及びデータ送受信システム

【課題】AVデータのMOVEが中断した場合に、データ送信装置がMOVEを再開可能か否かデータ受信装置が確認することができるデータ送受信システムを提供する。
【解決手段】本発明に係るデータ受信装置102は、コピー制限されたAVデータを受信するデータ受信装置であって、前記AVデータをデータ送信装置101から受信する受信手段と、前記受信済みのAVデータを復号化する復号化手段と、前記受信済みのAVデータを記録する記録手段と、前記データ送信装置101に対してデータ送信の再開が可能か否か確認し、データ送信の再開が不可であると判断した場合、前記AVデータの復号化に使用する暗号鍵を破棄すると共に、前記記録済みのAVデータを削除するレジューム制御手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信装置、データ受信装置及びデータ送受信システムに関し、特に、2つの機器間でネットワークを介してデータ転送を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、xDSLや光ファイバーなどのブロードバンド環境が整ったことにより、企業、一般家庭を問わず高速なインターネット接続環境が普及してきている。また、家庭内のPC(Personal Computer)やデジタル家電機器をEthernet(登録商標)や無線LANなどで接続するホームネットワーク環境も一般化してきている。
【0003】
そのため、インターネット接続環境やホームネットワーク環境にあるデジタル家電機器間やデジタル家電機器とPCとの間で様々なアプリケーションが実行できるようになることが望まれている。様々なアプリケーションとは、例えば、DVDレコーダに蓄積した映像音声データ(以下、コンテンツデータと記載。)をPCに転送して視聴または編集するアプリケーションや、DVDレコーダに蓄積したコンテンツデータを他のDVDレコーダに転送(ダビング)するアプリケーションなどである。それにより、ユーザは、コンテンツデータの所在場所を意識することなく、自由にデータを扱える。
【0004】
また、インターネット接続環境やホームネットワーク環境にあるデジタル家電機器間やデジタル家電機器とPCとの間で実行するアプリケーションは、コンテンツデータ等を送信もしくは転送する技術であるファイル転送技術により実現される。
【0005】
しかしながら、扱うコンテンツデータがネットワーク上にあり、著作権を保護する必要がある場合には、コンテンツデータを暗号化して保護する必要がある。現在、ネットワーク上のデータ転送を利用した不正コピーを防止するための技術として、著作権保護技術(DTCP−IP/Digital Transmission Content Protection over IP)がある。
【0006】
DTCP−IPでは、1)コピーを完全に禁止するCopy Never、2)1世代だけコピーを許可するCopy One Generation(コピー後は、Copy No More に変更される)、3)コピーを自由に行えるCopy Freeの3つをコンテンツデータに対するコピー制御情報として規定している。DTCP−IPの規格内容の詳細は、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3及び非特許文献4に開示されている。
【0007】
DTCP−IPでは、著作権を保護する必要があるコンテンツデータの所在場所を意識することなく、ユーザが自由にデータを扱えるようにするため、コピー制御情報の1つであるCopy One Generationを用いてファイル転送技術を実現することが検討されている。
【0008】
Copy One Generationを用いたファイル転送技術では、データ転送元であるデータ送信装置は、データ転送後、転送済みのデータを即座に削除もしくは無効化させる。すなわち、使用可能な状態のデータを複数存在させないという条件の下で、データ送信装置が、他の装置に対して1世代のコピー後のデータを移動(以下、MOVEと記載。)することを許可している。言い換えると、使用可能な状態のデータを複数存在させないという条件を遵守しつつ、MOVEを実現するためには、データ送信側の装置とデータ受信側の装置との両方に使用可能な状態のデータが存在しない状態を確保した上で、データを送信または転送する必要がある。
【0009】
図16は、MOVEのシーケンス図である。
使用可能な状態のデータを複数存在させないという条件を遵守しつつ、1世代コピー可能なデータのMOVE(移動)を実現する方法が規格化されている。図16に示すように、データ受信装置102は、データ送信装置101から受信済みのAVデータを使用不可の状態で蓄積する(S101)。データ送信完了後、データ送信装置101とデータ受信装置102との間で、確認処理を実行する(S102)。前記確認処理の中で、データ送信装置101は、データを削除もしくは使用不能化する。データ受信装置102は、データ送信装置101がデータの削除もしくは使用不能化した後、AVデータを利用可能な状態に変更する。前記により、データ送信装置101とデータ受信装置102双方において、利用可能な状態のAVデータが存在することを防止している。さらに、MOVEでは、確認処理(S102)の最中に何らかの要因で処理が中断された際に、データ送信装置101とデータ受信装置102双方からデータが消失することを防止するために、MOVEを再開する手順(レジューム)に関しても記載されている。
【0010】
現在の規格では、データ送信装置101がAVデータの送信中(S101)に処理が中断した場合のレジュームに関する規定はない。そのため、AVデータ送信中のレジュームに関しては、各データ送信装置101の実装に拠るのが現状である。
【0011】
MOVEの実行中に何らかの要因でMOVEが中断した場合、データ受信装置102には、再生不可状態の受信済みデータが残る。データ送信装置101がデータ送信を再開可能な場合には、前記受信済みのデータの続きからMOVEを再開できるが、データ送信装置101がデータ送信を再開しない場合、記憶領域を節約するため、受信済みのデータを即座に削除できることが望ましい(MOVEが完了しないとデータは再生できない)。そのため、データ受信装置102は、データ送信装置101がMOVEの転送を再開可能か否か確認できる必要がある。
【0012】
ここで、レジュームに関する従来技術が存在する(特許文献1)。前記特許文献1に開示される従来技術では、データ受信装置は、データ送信装置内の送信済みのAVデータが削除されているのか、或いは使用不可なのかを確認可能となる。そのため、データ受信装置は、MOVEを再開する際に、AVデータのどの部分からAVデータの取得を再開すれば良いかを確認可能となる。
【特許文献1】特願2006−035805号
【非特許文献1】Digital Transmission Content Protection Specification Volume 1(Informational Version)
【非特許文献2】Digital Transmission Protection License Agreement
【非特許文献3】DTCP Volume 1 Supplement E Mapping DTCP to IP(Informational Version)
【非特許文献4】RFC2616 Hypertext Transfer Protocol −− HTTP/1.1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前記特許文献1に開示される従来技術では、データ受信装置は、データ送信装置内の送信済みのAVデータの状態しか確認できないため、受信済みのデータを削除してよいのか否か判断できなかった。したがって、受信済みのデータを削除しなかった場合において、データ送信が再開されなかったときは、データ受信装置の記憶領域が無駄に利用されたことになる。
【0014】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、何らかの要因でAVデータのMOVEが中断された場合に、データ送信装置がMOVEを再開可能か否かデータ受信装置が確認することができるデータ送受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係るデータ送信装置は、コピー制限されたAVデータを受信するデータ受信装置であって、前記AVデータをデータ送信装置から受信する受信手段と、前記受信済みのAVデータを復号化する復号化手段と、前記受信済みのAVデータを記録する記録手段と、前記データ送信装置に対してデータ送信の再開が可能か否か確認し、データ送信の再開が不可であると判断した場合、前記AVデータの復号化に使用する暗号鍵を破棄すると共に、前記記録済みのAVデータを削除するレジューム制御手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
この構成により、データ送信の再開が不可であると判断した場合、受信済みのAVデータを削除することができるので、データ受信装置の記憶領域を効率的に利用することが可能となる。
【0017】
このとき、前記レジューム制御手段は、データ送信の再開が可能か否か確認するためのコマンドを前記データ送信装置に対して送信し、前記データ送信装置から受信する前記コマンドの応答に基づいてデータ送信の再開が可能か否か確認するようにしても良い。
【0018】
この構成により、前記データ受信装置は、確認コマンドを利用して、前記データ送信装置の状態を確実に確認可能となる。
【0019】
このとき、前記レジューム制御手段は、DTCP−IP(Digital Transmission Content Protection over IP)のCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを前記データ送信装置に送信し、前記データ送信装置から受信する前記コマンドの応答に含まれる交換鍵識別子と、前記復号化手段が保持する交換鍵識別子とを比較し、一致した場合はデータ送信の再開が可能であると判断し、一致しない場合はデータ送信の再開が不可であると判断するようにしても良い。
【0020】
この構成により、DTCP−IPに従来から存在するコマンドを利用して、前記データ送信装置の状態をデータ受信装置側で確認可能となる。
【0021】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るデータ送信装置は、コピー制限されたAVデータを送信するデータ送信装置であって、前記AVデータをデータ受信装置に対して送信する送信手段と、前記AVデータを暗号化すると共に、データ送信処理が中断した際、前記AVデータの暗号化に必要な情報を保持可能な暗号化手段と、前記データ受信装置からデータ送信の再開が可能であるか否か確認するためのコマンドを受信し、データ送信の再開が可能であるか否か応答するレジューム応答手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
この構成により、データ送信処理が途中で中断した場合でも、データ送信装置は、データ送信を再開可能となる。
【0023】
このとき、前記暗号化手段は、データ送信処理が中断した際、前記AVデータの暗号化に必要な情報を保持するか否かを切り替え可能なようにしても良い。
【0024】
この構成により、ユーザは、データ送信装置がデータ送信処理の再開が可能か否かを動的に切り替えることが可能となる。
【0025】
このとき、前記レジューム応答手段は、DTCP−IPのCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを前記データ送信装置から受信し、データ送信の再開が可能である場合は、前記暗号化手段が保持する交換鍵識別子を前記コマンドの応答に含めるようにしても良い。
【0026】
この構成により、DTCP−IPに従来から存在するコマンドを利用して、前記データ送信装置の状態をデータ受信装置側で確認可能となる。
【0027】
なお、本発明は、装置として実現するだけでなく、このような装置が備える処理手段を備える集積回路として実現したり、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の通信媒体を介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、何らかの要因でAVデータのMOVEが中断された場合に、データ送信装置がMOVEを再開可能か否かデータ受信装置が確認することができる。この構成により、データ受信装置は、データ送信の再開が不可であると判断した場合、受信済みのAVデータを削除することができるので、データ受信装置の記憶領域を効率的に利用することが可能となる。よって、デジタル家電機器間やデジタル家電機器とPCの間を結ぶインターネット接続環境やホームネットワーク環境が一般化しつつある今日における本発明の実用的価値は極めて高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるデータ送受信システムの概略図である。図1において、データ送信装置101と、データ受信装置102と、データ受信装置103(図示せず)とは、ネットワーク機器104に接続されている。
【0031】
ネットワーク機器104は、例えば、ブロードバンドルータなどであり、データ送信装置101とデータ受信装置102とデータ受信装置103とをネットワーク(以下、ホームネットワークと記載。)で接続している。ネットワーク機器104は、インターネット105に接続されていても良い。
【0032】
データ送信装置101は、本発明に係るデータ送信装置に相当し、利用制限されたAVデータを送信する。具体的には、蓄積メディア106を内蔵し、AVデータを蓄積することができる。ここで、データ送信装置101は、例えば、ネットワーク接続端子を備えたDVD/HDDハイブリッドレコーダである。
【0033】
データ受信装置102は、本発明に係るデータ受信装置に相当する。具体的には、蓄積メディア106を内蔵し、AVデータを蓄積することができる。ここで、データ受信装置102は、例えば、ネットワーク接続端子を備えたDVD/HDDハイブリッドレコーダである。
【0034】
次に、ファイルの移動(MOVE)に関して説明する。
データ送信装置101は、1世代コピー可能のコピー制御情報を持ったAVデータを蓄積メディア106に蓄積しており、蓄積メディア106に蓄積しているAVデータを、ホームネットワークを介してデータ受信装置102にMOVE(移動)する。
【0035】
ところで、DTCP−IPでは、AVデータに関するコピー制御情報として、EMI(Encryption Mode Indicator)を定義している。EMIは、1)ファイルの複製を禁止するCopy Never、2)1世代のみ複製を許可するCopy One Generation(なお、1世代のコピー後は、3)Copy No Moreに変更される。)、及び4)自由に複製を許可するCopy Freeの4つの値を持つ。2)Copy One Generationの場合、1世代コピー後のデータを蓄積する装置が他の機器に対して2世代目のコピーを実行することは許可されていない。しかしながら、データの移動(MOVE)は許可されている。DTCP−IPでは、転送元のデータ送信装置が転送後にデータを即座に削除もしくは無効化することを規定している。ここで、データの削除とは、データ送信装置の蓄積メディアからデータを完全に消去することを表す。また、データの無効化とは、データ送信装置の蓄積メディアにデータは存在するが、何らかの方法でアクセスできない状態に変化されていることを表す。データを消去する方法、及びデータを無効化する方法に関しては、本発明の主旨とは異なるため詳述しない。また、データの転送とは、データの送信後にデータが削除または無効化されることを表し、AVデータのデータすべてを送信した後にデータが削除または無効化されることも含んでいる。
【0036】
図2は、1世代コピー可能なAVデータがデータ送信装置101に記録される処理を概念的に示した図である。
【0037】
データ送信装置101は、1世代コピー可能なAVデータを受信すると、EMIの内容をCopy One GenerationからCopy No Moreに変更して蓄積メディア106に蓄積する。Copy No Moreは、これ以上コピーが不可であることを示す。
【0038】
図3は、データ送信装置101に記録されているCopy No MoreのAVデータをデータ受信装置102に移動する処理を概念的に示した図である。
【0039】
データ送信装置101は、Copy No MoreのAVデータをデータ受信装置102にMOVE(移動)後、AVデータを削除あるいは無効化する。
【0040】
次に、DTCP−IPにおけるMOVEに関して説明する。
図4は、DTCP−IPにおけるMOVEを行う場合のデータ送信装置101とデータ受信装置102との間のシーケンス図である。
【0041】
まず、データ送信装置101とデータ受信装置102とは、DTCP−IPの認証及び鍵交換(Authentication and Key Exchange)を行い、コンテンツデータの暗号化/復号化に使用する交換鍵(Kx)を共有する(S501)。
【0042】
なお、認証及び鍵交換の詳細に関しては、非特許文献1及び非特許文献3を参照されたい。
【0043】
次に、交換鍵(Kx)の共有が完了すると、データ送信装置101は、送信するAVデータをデータ受信装置102が受信可能か否か確認する「データ受信要求」をデータ受信装置102に対して送信する(S502)。
【0044】
データ受信装置102は、データ送信装置101からの「データ受信要求」を受信すると、データ送信装置101から送信されるAVデータが受信可能であることを示すデータ受信応答をデータ送信装置101に対して送信する(S503)。ここで、データ受信装置102は、AVデータを受信できない場合には、そのことを示すエラー応答をデータ受信応答の替わりに送信する。
【0045】
尚、ここでは、データ送信装置101が「データ受信要求」をデータ受信装置102に対して送信しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、データ受信装置102が、AVデータをデータ送信装置101が送信可能か否か確認する「データ送信要求」をデータ送信装置101に対して送信するようにしても良い。
【0046】
次に、データ送信装置101は、データ受信装置102からの「データ受信応答」を受信すると、暗号化したAVデータをデータ受信装置102に対して送信する(S504)。データ送信装置101からデータ受信装置102へのAVデータのMOVE(移動)中、データ送信装置101は、データ送信装置101に蓄積されているAVデータを有効化したままの状態で蓄積メディア106に保存している。また、AVデータの移動先であるデータ受信装置102は、データ送信装置101から受信したAVデータを無効化した状態で蓄積メディア106に記録する。
【0047】
次に、データ受信装置102は、AVデータの受信が完了すると、AVデータの無効化を要求するためにMV_FINALIZEコマンドをデータ送信装置101に対して送信する(S505)。データ送信装置101は、データ受信装置102からのMV_FINALIZEコマンドを受信すると、蓄積メディア106に蓄積されているAVデータの無効化を開始する(S506)。
【0048】
次に、データ送信装置101は、AVデータの無効化が完了すると、MV_FINALIZEコマンドの応答をデータ受信装置102に対して送信する(S507)。
【0049】
次に、データ受信装置102は、データ送信装置101からのMV_FINALIZEコマンドの応答を受信すると、蓄積メディア106にある受信済みのAVデータを有効化する(S508)。
【0050】
次に、データ受信装置102は、蓄積メディア106にあるAVデータの有効化が完了すると、AVデータの有効化が完了したことを通知するMV_COMPLETEコマンドをデータ送信装置101に対して送信する(S509)。
【0051】
次に、データ送信装置101は、データ受信装置102からのMV_COMPLETEコマンドを受信すると、データ受信装置102からのMV_COMPLETEコマンドに対する応答をデータ受信装置102に送信してMOVEの処理を完了する(S510)。
【0052】
ここで、MV_FINALIZEコマンドについて説明する。
図5(a)は、DTCP−IPのMV_FINALIZEコマンドの内容を概念的に示す図である。MV_FINALIZEコマンドは、パラメータとして交換鍵識別子、乱数P、コマンド検証用情報を含んでいる。
【0053】
交換鍵識別子は、交換鍵(Kxm)に付与される識別子である。認証及び鍵交換処理(S501)の中で、データ受信装置102は、交換鍵識別子のパラメータをデータ送信装置101から受信する。
【0054】
乱数値は、データ受信装置102により、MV_FINALIZEコマンド送信前に生成される値である。乱数値は、コマンド検証用情報の作成に利用される。
【0055】
コマンド検証用情報は、交換鍵(Kxm)及び乱数値を使用して生成する電子署名情報である。コマンド検証用情報には、前記電子署名情報の上位80bitが設定される。コマンド検証用情報が付加されることにより、コマンドの改竄が防止可能となる。
【0056】
図5(b)は、DTCP−IPのMV_FINALIZEコマンド応答の内容を概念的に示す図である。MV_FINALIZEコマンド応答は、MV_FINALIZEコマンドと同様に、パラメータとして交換鍵識別子、乱数P、コマンド検証用情報を含んでいる。
【0057】
MV_FINALIZEコマンド応答における交換鍵識別子及び乱数値には、MV_FINALIZEコマンドに設定された値と同一の値が設定される。
【0058】
コマンド検証用情報は、交換鍵(Kxm)及び乱数値を使用して生成される電子署名情報である。MV_FINALIZEコマンド応答におけるコマンド検証用情報には、電子署名情報の下位80bitが設定される。
【0059】
次に、MV_COMPLETEコマンドについて説明する。
図6(a)は、DTCP−IPのMV_COMPLETEコマンドの内容を概念的に示す図である。
【0060】
交換鍵識別子は、交換鍵(Kxm)に付与される識別子である。認証及び鍵交換処理(S501)の中で、データ受信装置102は、交換鍵識別子のパラメータをデータ送信装置101から受信する。交換鍵識別子には、MV_FINALIZEコマンドで設定された交換鍵識別子情報と同一の値が設定される。
【0061】
図6(b)は、DTCP−IPのMV_COMPLETEコマンド応答の内容を概念的に示す図である。
【0062】
MV_COMPLETEコマンド応答は、MV_COMPLETEコマンドと同様に、パラメータとして交換鍵識別子、乱数P、コマンド検証用情報を含んでいる。
【0063】
MV_COMPLETEコマンド応答における交換鍵識別子には、MV_COMPLETEコマンドに設定されていた値と同一の値が設定される。
【0064】
次に、本発明の実施の形態1におけるMOVEの再開方法について説明する。
図7は、本発明の実施の形態1におけるMOVEの再開方法を示すシーケンス図である。
【0065】
データ受信装置102は、データ送信装置101からのMOVEのためのデータ送信処理が中断した場合(S801)、MOVEの再開が可能か否か確認するために、交換鍵(Kxm)の確認コマンドであるCONTENT_KEY_REQUESTコマンドをデータ送信装置101に対して送信する(S802)。データ送信装置101は、MOVEの再開が可能である場合、前記交換鍵(Kxm)をMOVE中断後も保持し、MOVEの再開が不可である場合、交換鍵(Kxm)を破棄する。そのため、本コマンドを利用して、MOVEの再開が可能か否か確認することは非常に有効である。
【0066】
尚、MOVEの再開が可能か否か確認するコマンドは、CONTENT_KEY_REQUESTコマンドに限定されるものではなく、データ送信装置101がMOVEを再開可能か否か確認可能なあらゆるコマンドを含む。
【0067】
データ送信装置101は、MOVEの再開が可能であった場合、前記CONTENT_KEY_REQUESTコマンドに対して、MOVEの中断前に利用していた交換鍵(Kxm)の識別子を含む応答を送信する。MOVEの再開が不可であった場合、前記CONTENT_KEY_REQUESTコマンドに対して、MOVEの中断前に利用していた交換鍵(Kxm)とは異なる識別子を含む応答、或いは、REJECT応答を送信する(S803)。
【0068】
データ受信装置102は、データ送信装置101から受信したCONTENT_KEY_REQUESTの応答に、MOVEの中断前に利用していた交換鍵(Kxm)の識別子が含まれていた場合、MOVEを再開可能であると判断する。一方、MOVEの中断前に利用していた交換鍵(Kxm)とは異なる識別子を含む応答、或いは、REJECT応答を受信した場合、MOVEを再開不可であると判断する(S804)。
【0069】
データ受信装置102は、MOVEを再開可能であると判断した場合、MOVEが再開可能な状態に遷移した後、MOVEを再開する(S805)。
【0070】
次に、データ送信装置101、データ受信装置102の内部構成について説明する。
図8は、本発明の実施の形態1におけるデータ送信装置101の構成を示すブロック図である。データ送信装置101は、データ送信部901と、データ記録部902と、データ制御部903と、認証/鍵交換処理部904と、暗号化処理部905と、確認通知受信部906と、確認通知応答送信部907と、レジューム応答送信部908とで構成される。
【0071】
データ送信部901は、暗号化されたAVデータをデータ受信装置102に対して送信する。
【0072】
データ記録部902は、AVデータを記録する。ここで、データ記録部902は、蓄積メディア106に記録してもよく、蓄積メディア106を含んでいても良い。データ記録部902あるいはデータ記録部902の蓄積メディア106は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、Flash Disk、DVD(Digital Video Disk)、SDメモリカード(Secure Digital Memory Card)、BD(Blu−ray Disc)である。
【0073】
データ制御部903は、データ記録部902に記録されるAVデータの有効化、無効化、或いは削除を制御する。なお、具体的な有効化、無効化、或いは削除の制御方法に関しては、本願の発明のポイントではないため詳述しない。
【0074】
認証/鍵交換処理部904は、データ受信装置102との間で、S501で示した認証/鍵交換処理を実行する。
【0075】
暗号化処理部905は、鍵交換処理においてデータ受信装置102との間で共有された交換鍵情報(Kxm)を用いて作成された暗号鍵(Kc)を利用して、データ記録部902に記録されているAVデータを暗号化する。また、交換鍵情報(Kxm)に対応する交換鍵識別子を生成、管理する。AVデータ送信処理の中断に対するレジュームが可能な場合、暗号化処理部905は、AVデータ送信処理が中断した後も、交換鍵情報(Kxm)、交換鍵識別子、及び暗号鍵(Kc)を保存する。レジュームが不可の場合、暗号化処理部905は、データ送信処理が中断した直後、交換鍵情報(Kxm)、交換鍵識別子、及び暗号鍵(Kc)を破棄する。このように破棄した後、交換鍵情報(Kxm)及び交換鍵識別子を新たに生成しても良い。尚、暗号化処理部905は、前記レジュームの可、不可を動的に切り替えるように構成されても良い。
【0076】
確認通知受信部906は、データ受信装置102からのMV_FINALIZEコマンド及びMV_COMPLETEコマンドを受信する。また、MV_FINALIZEコマンド受信時には、送信済みAVデータの無効化をデータ制御部903に対して指示する。
【0077】
確認通知応答送信部907は、データ受信装置102からのMV_FINALIZEコマンド及びMV_COMPLETEコマンドに対する応答を生成し、データ受信装置102に対して送信する。
【0078】
レジューム応答送信部908は、データ受信装置102から受信したCONTENT_KEY_REQUESTコマンドに対する応答を生成し、データ受信装置102に送信する。レジューム応答送信部908は、データ受信装置102からCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを受信すると、暗号化処理部905に交換鍵識別子の確認を行う。暗号化処理部905が交換鍵識別子を持つ場合、レジューム応答送信部908は、暗号化処理部905から前記交換鍵識別子を取得し、前記交換鍵識別子を含む応答を送信する。暗号化処理部905が交換鍵識別子を持たない場合、レジューム応答送信部908は、前記コマンドに対するREJECT応答を送信する。
【0079】
図9は、本発明の実施の形態1におけるデータ受信装置102の構成を示すブロック図である。データ受信装置102は、データ受信部1001と、データ記録部1002と、データ制御部1003と、認証/鍵交換処理部1004と、復号化処理部1005と、確認通知送信部1006と、確認通知応答受信部1007と、レジューム制御部1008とで構成される。データ記録部1002と、データ制御部1003と、認証/鍵交換処理部1004とに関しては、データ記録部902、データ制御部903、認証/鍵交換処理部904と同様であるため、説明を割愛する。
【0080】
データ受信部1001は、暗号化されたAVデータをデータ送信装置101から受信する。
【0081】
復号化処理部1005は、鍵交換処理においてデータ送信装置101との間で共有された交換鍵情報(Kxm)を用いて作成された暗号鍵(Kc)を利用して、データ記録部1002に記録されているAVデータを復号化する。さらに、復号化処理部1005は、データ送信装置101から受信した交換鍵情報(Kxm)に対応する交換鍵識別子を管理する。また、復号化処理部1005は、レジューム制御部1008の指示により、交換鍵情報(Kxm)、交換鍵識別子、及び暗号鍵(Kc)を破棄する。
【0082】
確認通知送信部1006は、MV_FINALIZEコマンド及びMV_COMPLETEコマンドをデータ送信装置101に対して送信する。
【0083】
確認通知応答受信部1007は、データ送信装置101からのMV_FINALIZEコマンド応答及びMV_COMPLETEコマンド応答を受信する。また、確認通知応答受信部1007は、MV_FINALIZEコマンド応答受信後、受信済みAVデータの有効化をデータ制御部1003に対して指示する。
【0084】
レジューム制御部1008は、レジューム可能か否か確認するために、CONTENT_KEY_REQUESTコマンドをデータ送信装置101に対して送信すると共に、データ送信装置101から受信した前記コマンドに対する応答に基づいて、データ送信装置101がレジューム可能か否か判断する。
【0085】
前記データ送信装置101から受信したCONTENT_KEY_REQUESTコマンドの応答に含まれる交換鍵識別子が、復号化処理部1005が管理する交換鍵識別子と同様の値である場合、レジューム制御部1008は、データ送信装置101がレジューム可能であると判断する。また、前記コマンドの応答に含まれる交換鍵識別子が、前記復号化処理部1005が管理する交換鍵識別子と異なる場合、或いはREJECT応答を受信した場合、レジューム制御部1008は、データ送信装置101がレジューム不可であると判断する。そして、交換鍵情報(Kxm)、交換鍵識別子、暗号鍵(Kc)の破棄を復号化処理部1005に対して指示すると共に、受信済みのAVデータの削除をデータ制御部1003に対して指示する。
【0086】
次に、データ送信装置101がレジューム可能か否か確認するために使用しているCONTENT_KEY_REQUESTコマンド及びその方法に関して説明する。
【0087】
CONTENT_KEY_REQUESTコマンドは、データ送信装置101が現在保持している交換鍵(Kxm)に関する情報をデータ受信装置102が確認するためのコマンドである。このコマンドの詳細に関しては、非特許文献1を参照されたい。
【0088】
MOVEでは、データ送信装置101は、AVデータの送信が完了すると、即座に交換鍵情報(Kxm)を破棄することが求められている。そのため、AVデータ送信処理が途中で中断された際、データ送信装置101は、レジュームによる再開が不可の場合、AVデータの送信が完了したとみなし、即座に交換鍵情報(Kxm)及び交換鍵識別子を破棄する。一方、データ送信装置101は、レジュームによる再開が可能な場合、AVデータの送信が未完了であるとみなすため、交換鍵情報(Kxm)及び交換鍵識別子を破棄しない。本実施の形態1では、データ受信装置102は、データ送信装置101の前記動作を利用し、CONTENT_KEY_REQUESTコマンドを利用して、データ送信装置101がレジューム可能か否か確認する。
【0089】
図10は、CONTENT_KEY_REQUESTコマンドの応答の内容を概念的に示す図である。
【0090】
交換鍵識別子は、データ送信装置101の暗号化処理部905が現在保持している交換鍵情報(Kxm)に関連付けられた交換鍵識別子である。前記交換鍵識別子は、交換鍵情報(Kxm)にユニークに関連付けられる値であるため、交換鍵情報(Kxm)が破棄された場合は、前記交換鍵識別子の情報も更新される。
【0091】
cipher_algorithmは、データ送信装置101がサポートする暗号化方式を示す値である。本パラメータに関しては、本発明のポイントではないため詳述しない。
【0092】
Ncは、暗号鍵(Kc)を生成する際に利用する値である。本パラメータに関しては、本発明のポイントではないため詳述しない。
【0093】
次に、データ送信装置101、データ受信装置102の動作の詳細に関して説明する。
図11は、本発明の実施の形態1におけるデータ送信装置101の動作を説明するフローチャート図である。
【0094】
まず、データ送信装置101における認証/鍵交換処理部904は、データ受信装置102との間で、認証処理及び鍵交換処理を実行する(S1202)。
【0095】
次に、データ送信装置101におけるデータ送信部901は、AVデータを受信することを要求する「データ受信要求」をデータ受信装置102に対して送信する(S1203)。
【0096】
尚、データ送信装置101におけるデータ送信部901は、AVデータを送信することをデータ送信装置101に対して要求する「データ送信要求」をデータ受信装置102から受信するように構成しても良い。
【0097】
次に、データ送信装置101における暗号化処理部905は、データ送信装置101におけるデータ記録部902に記録されているAVデータの暗号化を開始する(S1204)。
【0098】
次に、データ送信装置101におけるデータ送信部901は、暗号化処理部905による暗号化が完了すると、データ記録部902に記録されている暗号化が完了したAVデータをデータ受信装置102に対して送信する(S1205)。
【0099】
ここで、MOVE処理が途中で中断した場合(S1206がYESの場合)、データ送信装置101における暗号化処理部905は、MOVE中のAVデータの暗号化に使用していた交換鍵(Kxm)、前記交換鍵の交換鍵識別子、及び暗号鍵(Kc)を破棄せずに保持しておく(S1207)。
【0100】
尚、データ送信装置101における暗号化処理部905は、前記交換鍵(Kxm)、交換鍵識別子、及び暗号鍵(Kc)を破棄するようにしても良い。
【0101】
尚、データ送信装置101における暗号化処理部905は、前記交換鍵(Kxm)、交換鍵識別子、及び暗号鍵(Kc)を破棄するか否かを、ユーザなどの指示により動的に切り替え可能なようにしても良い。
【0102】
MOVE処理が中断した後、データ送信装置101におけるレジューム応答送信部908は、データ受信装置102から「CONTENT_KEY_REQUESTコマンド」を受信した場合(S1208がYESの場合)、前記暗号化処理部905から交換鍵識別子を取得し、前記交換鍵識別子を含む「CONTENT_KEY_REQUESTコマンド応答」を送信する(S1209)。
【0103】
AVデータの送信が完了すると、データ送信装置101における確認通知受信部906及び確認通知応答送信部907は、確認処理を実行する(S1210)。前記確認処理に関しては、後述する。
【0104】
図12は、実施の形態1におけるデータ送信装置101の確認処理の動作を説明するフローチャートである。
【0105】
まず、データ送信装置101がAVデータの送信を完了した場合、データ送信装置101における確認通知受信部906は、データ受信装置102からMV_FINALIZEコマンドを受信する(S1302)。
【0106】
データ送信装置101における確認通知受信部906は、MV_FINALIZEコマンドを受信すると、データ送信装置101に蓄積されているAVデータの無効化をデータ制御部903に対して指示する。データ制御部903は、データ送信装置101におけるデータ記録部902に記録されているAVデータを無効化する(S1303)。
【0107】
次に、データ制御部903による無効化処理が終了すると、確認通知応答送信部907は、MV_FINALIZEコマンド応答をデータ受信装置102に送信する(S1304)。確認通知応答送信部907がMV_FINALIZEコマンド応答を送信すると、確認通知受信部906は、データ受信装置102からMV_COMPLETEコマンドを受信する(S1305)。データ送信装置101における確認通知受信部906がMV_COMPLETEコマンドを受信すると、確認通知応答送信部907は、MV_COMPLTEコマンド応答をデータ受信装置102に対して送信する(S1306)。
【0108】
図13は、実施の形態1におけるデータ受信装置102の動作を説明するフローチャートである。
【0109】
まず、データ受信装置102における認証/鍵交換処理部1004は、データ送信装置101との間で、認証処理及び鍵交換処理を実行する(S1402)。
【0110】
次に、データ受信装置102におけるデータ受信部1001は、AVデータを受信することを要求する「データ受信要求」をデータ送信装置101から受信する(S1403)。データ受信装置102におけるデータ受信部1001は、データ送信装置101からの暗号化されたAVデータを受信し、データ受信装置102におけるデータ記録部1002に蓄積する(S1404)。
【0111】
尚、データ受信装置102におけるデータ受信部1001は、AVデータを送信することを要求する「データ送信要求」をデータ送信装置101に対して送信するようにしても良い。
【0112】
次に、データ受信装置102における復号化処理部1005は、受信した暗号化されたAVデータを復号化する(S1405)。ここで、データ受信装置102における復号化処理部1005は、データ送信装置101からの暗号化されたAVデータを受信し、データ受信装置102におけるデータ記録部1002に蓄積しながら復号化している。
【0113】
ここで、MOVE処理が途中で中断した場合(S1406がYESの場合)、データ受信装置101における復号化処理部1005は、MOVE中のAVデータの復号化に使用していた交換鍵(Kxm)、前記交換鍵の交換鍵識別子、及び暗号鍵(Kc)を破棄せずに保持しておく(S1407)。
【0114】
次に、データ受信装置102におけるレジューム制御部1008は、データ送信装置101がMOVEの再開が可能か否か確認するために、「CONTENT_KEY_REQUESTコマンド」をデータ送信装置101に対して送信し(S1408)、前記データ送信装置101からの「CONTENT_KEY_REQUESTコマンド応答」を受信する(S1409)。
【0115】
データ受信装置102におけるレジューム制御部1008は、復号化処理部1005に確認を行い、前記「CONTENT_KEY_REQUESTコマンド応答」に含まれる交換鍵識別子が、復号化処理部1005が保持している交換鍵識別子と同様か否か確認する。前記交換鍵識別子の値が同様であった場合(S1410がYESの場合)、データ受信部1001は、データの受信を再開する(S1411)。前記交換鍵識別子の値が異なる値であった場合、或いはREJECT応答を受信した場合(S1410がNOの場合)、データ制御部1003は、受信済みでデータ記録部1002に蓄積されているAVデータを削除すると共に(S1412)、復号化処理部1005は、MOVE中のAVデータの復号化に使用していた交換鍵(Kxm)、前記交換鍵の交換鍵識別子、及び暗号鍵(Kc)を破棄し(S1413)、処理を終了する。
【0116】
データの受信が完了した場合(S1406がNOの場合、或いはS1411が完了した場合)、データ受信装置102における確認通知送信部1006及び確認通知応答受信部1007は、確認処理を実行する(S1414)。前記確認処理に関しては、後述する。
【0117】
図14は、実施の形態1におけるデータ受信装置102の確認処理の動作を説明するフローチャートである。
【0118】
まず、データ受信装置102がAVデータの受信を完了した場合、データ受信装置102における確認通知送信部1006は、MV_FINALIZEコマンドをデータ送信装置101に対して送信する(S1502)。
【0119】
データ受信装置102における確認通知応答受信部1007は、MV_FINALIZEコマンドの応答を受信すると(S1503)、データ受信装置102のデータ記録部1002に蓄積されているAVデータの有効化をデータ制御部1003に対して指示する。データ制御部1003は、データ送信装置101におけるデータ記録部1002に記録されているAVデータを有効化する(S1504)。
【0120】
次に、データ制御部1003による有効化処理が終了すると、確認通知送信部1006は、MV_COMPLETEコマンドをデータ送信装置101に送信する(S1505)。確認通知送信部1006がMV_FINALIZEコマンド応答を送信すると、確認通知応答受信部1007は、データ送信装置101からMV_COMPLETEコマンド応答を受信する(S1506)。
【0121】
以上、本発明の実施の形態1によれば、何らかの要因でAVデータのMOVEが中断された場合に、データ送信装置101がMOVEを再開可能か否かデータ受信装置102が確認することができる。この構成により、データ受信装置102は、データ送信の再開が不可であると判断した場合、受信済みのAVデータを削除することができる。すなわち、データ受信装置102が無駄に利用不可状態のAVデータを蓄積することを防止することができ、データ受信装置102の記憶領域を効率的に利用することが可能となる。
【0122】
なお、本発明は、この実施の形態1に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態1に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、何らかの要因でAVデータのMOVEが中断された場合にMOVEを再開可能か否か確認することが必要なDVDレコーダ(図15)等の用途に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態1におけるデータ送受信システムの概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1における1世代コピー可能なコンテンツデータを記録する処理を概念的に示した図である。
【図3】本発明の実施の形態1における1世代コピー可能なコンテンツデータを移動する処理を概念的に示した図である。
【図4】DTCP−IPのMOVEを行う場合のデータ送信装置とデータ受信装置との間のシーケンス図である。
【図5】DTCP−IPのMV_FINALIZEコマンドの内容を概念的に示す図である。
【図6】DTCP−IPのMV_COMPLETEコマンドの内容を概念的に示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを利用した場合のデータ送信装置とデータ受信装置との間のシーケンス図である。
【図8】本発明の実施の形態1におけるデータ送信装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態1におけるデータ受信装置の構成を示すブロック図である。
【図10】DTCP−IPのCONTENT_KEY_REQUESTコマンドの応答の内容を概念的に示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1におけるデータ送信装置の動作を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態1におけるデータ送信装置の確認処理の動作を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態1におけるデータ受信装置の動作を説明するフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態1におけるデータ受信装置の確認処理の動作を説明するフローチャートである。
【図15】本発明の適用対象であるDVDレコーダの概観図である。
【図16】MOVEのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0125】
101 データ送信装置
102、103 データ受信装置
104 ネットワーク機器
901 データ送信部
902、1002 データ記録部
903、1003 データ制御部
904、1004 認証/鍵交換処理部
905 暗号化処理部
906 確認通知受信部
907 確認通知応答送信部
908 レジューム応答送信部
1001 データ受信部
1005 復号化処理部
1006 確認通知送信部
1007 確認通知応答受信部
1008 レジューム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コピー制限されたAVデータを受信するデータ受信装置であって、
前記AVデータをデータ送信装置から受信する受信手段と、
前記受信済みのAVデータを復号化する復号化手段と、
前記受信済みのAVデータを記録する記録手段と、
前記データ送信装置に対してデータ送信の再開が可能か否か確認し、データ送信の再開が不可であると判断した場合、前記AVデータの復号化に使用する暗号鍵を破棄すると共に、前記記録済みのAVデータを削除するレジューム制御手段と
を備えることを特徴とするデータ受信装置。
【請求項2】
前記レジューム制御手段は、データ送信の再開が可能か否か確認するためのコマンドを前記データ送信装置に対して送信し、前記データ送信装置から受信する前記コマンドの応答に基づいてデータ送信の再開が可能か否か確認する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ受信装置。
【請求項3】
前記レジューム制御手段は、DTCP−IP(Digital Transmission Content Protection over IP)のCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを前記データ送信装置に対して送信し、
前記データ送信装置から受信する前記コマンドの応答に含まれる交換鍵識別子と、前記復号化手段が保持する交換鍵識別子とを比較し、一致した場合はデータ送信の再開が可能であると判断し、一致しない場合はデータ送信の再開が不可であると判断する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ受信装置。
【請求項4】
コピー制限されたAVデータを送信するデータ送信装置であって、
前記AVデータをデータ受信装置に対して送信する送信手段と、
前記AVデータを暗号化すると共に、データ送信処理が中断した際、前記AVデータの暗号化に必要な情報を保持可能な暗号化手段と、
前記データ受信装置からデータ送信の再開が可能であるか否か確認するためのコマンドを受信し、データ送信の再開が可能であるか否か応答するレジューム応答手段と
を備えることを特徴とするデータ送信装置。
【請求項5】
前記暗号化手段は、データ送信処理が中断した際、前記AVデータの暗号化に必要な情報を保持するか否かを切り替え可能である
ことを特徴とする請求項4に記載のデータ送信装置。
【請求項6】
前記レジューム応答手段は、DTCP−IPのCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを前記データ送信装置から受信し、
データ送信の再開が可能である場合は、前記暗号化手段が保持する交換鍵識別子を前記コマンドの応答に含める
ことを特徴とする請求項4に記載のデータ送信装置。
【請求項7】
データ送信装置とデータ受信装置とを備え、コピー制限があるAVデータの送受信を行うデータ送受信システムであって、
前記データ受信装置は、
前記AVデータをデータ送信装置から受信する受信手段と、
前記受信済みのAVデータを復号化する復号化手段と、
前記受信済みのAVデータを記録する記録手段と、
前記データ送信装置に対してデータ送信の再開が可能か否か確認し、データ送信の再開が不可であると判断した場合、前記AVデータの復号化に使用する暗号鍵を破棄すると共に、前記記録済みのAVデータを削除するレジューム制御手段と
を備え、
前記データ送信装置は、
前記AVデータをデータ受信装置に対して送信する送信手段と、
前記AVデータを暗号化すると共に、データ送信処理が中断した際、前記AVデータの暗号化に必要な情報を保持可能な暗号化手段と、
前記データ受信装置からデータ送信の再開が可能であるか否か確認するためのコマンドを受信し、データ送信の再開が可能であるか否か応答するレジューム応答手段と
を備える
ことを特徴とするデータ送受信システム。
【請求項8】
前記レジューム制御手段は、DTCP−IPのCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを前記データ送信装置に対して送信し、
前記データ送信装置から受信する前記コマンドの応答に含まれる交換鍵識別子と、前記復号化手段が保持する交換鍵識別子とを比較し、一致した場合はデータ送信の再開が可能であると判断し、一致しない場合はデータ送信の再開が不可であると判断する
ことを特徴とする請求項7に記載のデータ送受信システム。
【請求項9】
コピー制限されたAVデータを受信するデータ受信方法であって、
前記AVデータをデータ送信装置から受信する受信ステップと、
前記受信済みのAVデータを復号化する復号化ステップと、
前記受信済みのAVデータを記録する記録ステップと、
前記データ送信装置に対してデータ送信の再開が可能か否か確認し、データ送信の再開が不可であると判断した場合、前記AVデータの復号化に使用する暗号鍵を破棄すると共に、前記記録済みのAVデータを削除するレジューム制御ステップと
を含むことを特徴とするデータ受信方法。
【請求項10】
前記レジューム制御ステップでは、データ送信の再開が可能か否かを確認するためのコマンドを前記データ送信装置に対して送信し、前記データ送信装置から受信する前記コマンドの応答に基づいてデータ送信の再開が可能か否かを確認する
ことを特徴とする請求項9に記載のデータ受信方法。
【請求項11】
前記レジューム制御ステップでは、DTCP−IPのCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを前記データ送信装置に対して送信し、
前記データ送信装置から受信する前記コマンドの応答に含まれる交換鍵識別子と、前記復号化ステップで保持される交換鍵識別子とを比較し、一致した場合はデータ送信の再開が可能であると判断し、一致しない場合はデータ送信の再開が不可であると判断する
ことを特徴とする請求項9に記載のデータ受信方法。
【請求項12】
コピー制限されたAVデータを送信するデータ送信方法であって、
前記AVデータをデータ受信装置に対して送信する送信ステップと、
前記AVデータを暗号化すると共に、データ送信処理が中断した際、前記AVデータの暗号化に必要な情報を保持可能な暗号化ステップと、
前記データ受信装置からデータ送信の再開が可能であるか否か確認するためのコマンドを受信し、データ送信の再開が可能であるか否か応答するレジューム応答ステップと
を含むことを特徴とするデータ送信方法。
【請求項13】
前記暗号化ステップでは、データ送信処理が中断した際、前記AVデータの暗号化に必要な情報を保持するか否かを切り替え可能である
ことを特徴とする請求項12に記載のデータ送信方法。
【請求項14】
前記レジューム応答ステップでは、DTCP−IPのCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを前記データ送信装置から受信し、
データ送信の再開が可能である場合は、前記暗号化ステップで保持される交換鍵識別子を前記コマンドの応答に含める
ことを特徴とする請求項12に記載のデータ送信方法。
【請求項15】
コピー制限されたAVデータを受信するためのデータ受信プログラムであって、
前記AVデータをデータ送信装置から受信する受信ステップと、
前記受信済みのAVデータを復号化する復号化ステップと、
前記受信済みのAVデータを記録する記録ステップと、
前記データ送信装置に対してデータ送信の再開が可能か否か確認し、データ送信の再開が不可であると判断した場合、前記AVデータの復号化に使用する暗号鍵を破棄すると共に、前記記録済みのAVデータを削除するレジューム制御ステップと
をコンピュータに実行させるためのデータ受信プログラム。
【請求項16】
前記レジューム制御ステップでは、データ送信の再開が可能か否かを確認するためのコマンドを前記データ送信装置に対して送信し、前記データ送信装置から受信する前記コマンドの応答に基づいてデータ送信の再開が可能か否かを確認する
ことを特徴とする請求項15に記載のデータ受信プログラム。
【請求項17】
前記レジューム制御ステップでは、DTCP−IPのCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを前記データ送信装置に対して送信し、
前記データ送信装置から受信する前記コマンドの応答に含まれる交換鍵識別子と、前記復号化ステップで保持される交換鍵識別子とを比較し、一致した場合はデータ送信の再開が可能であると判断し、一致しない場合はデータ送信の再開が不可であると判断する
ことを特徴とする請求項15に記載のデータ受信プログラム。
【請求項18】
コピー制限されたAVデータを送信するためのデータ送信プログラムであって、
前記AVデータをデータ受信装置に対して送信する送信ステップと、
前記AVデータを暗号化すると共に、データ送信処理が中断した際、前記AVデータの暗号化に必要な情報を保持可能な暗号化ステップと、
前記データ受信装置からデータ送信の再開が可能であるか否か確認するためのコマンドを受信し、データ送信の再開が可能であるか否か応答するレジューム応答ステップと
をコンピュータに実行させるためのデータ送信プログラム。
【請求項19】
前記暗号化ステップでは、データ送信処理が中断した際、前記AVデータの暗号化に必要な情報を保持するか否かを切り替え可能である
ことを特徴とする請求項18に記載のデータ送信プログラム。
【請求項20】
前記レジューム応答ステップでは、DTCP−IPのCONTENT_KEY_REQUESTコマンドを前記データ送信装置から受信し、
データ送信の再開が可能である場合は、前記暗号化ステップで保持される交換鍵識別子を前記コマンドの応答に含める
ことを特徴とする請求項18に記載のデータ送信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−157848(P2009−157848A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338383(P2007−338383)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】