説明

データ送出装置、データ受信装置、及びデータ送受信システム

【課題】従来のHDMIのオーディオクロック伝送システムでは、サイクルタイムスタンプ値が変動してオーディオクロックの精度が劣化してしまう。
【解決手段】データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックを生成するクロック分周手段と、クロック分周手段で生成したクロックをカウントするカウント手段と、カウント生成手段で計測したカウント値を平均化する平均化手段と、平均化手段で取得した平均カウント値のビット数を削減するノイズシェーピング手段と、基本クロック、ノイズシェーピング手段で生成したカウント値及びクロック分周手段で使用した分周比を送出する送出手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルによるビデオ・オーディオ信号(デジタルコンテンツ)を伝送するためのデータインターフェイス規格の1つとして知られている、HDMI(High Definition Multimedia Interface)を改善して、高音質化を図るものである。
【背景技術】
【0002】
近年、HDMIが普及している。これは、1本で映像・音声・付加データを伝送できる特徴があるためである。これは、ますますデジタル機器の接続を便利にし、手軽に機器接続が可能となってきた。しかし、一方で、純粋なオーディオ機器ではないため、高音質を熱望する一部のオーディオマニアなどから音質が良くないという厳しい評価も散見されるようになってきた。実際には、機器固有の問題である実装ノイズ対策が不十分であることが課題であることも多いが、システムとして見て、さらに究極を目指すという観点で、まだまだ改善できる余地が残されていると考えられる。
【0003】
一般のAV機器内部では、オーディオ用のクロックとビデオ用のクロックは、周波数が異なるので独立して生成されている場合が多いが、HDMIでは、この2つのクロックを両方伝送するのではなく、ビデオ用のピクセルクロックだけを伝送して、オーディオクロックはピクセルクロックを元に再生成するというACR(Audio Clock Regeneration)と呼ばれる伝送システムとなっていて、この再生成されたクロックを元にしてオーディオデータをD/A変換することで音声が再生される。
【0004】
図7は従来のHDMIのオーディオクロック伝送システムのブロック図を示す。図7において、オーディオクロック伝送システムは、HDMI送信機61とHDMI受信機72で構成され、HDMI送信機61とHDMI受信機72の間はHDMIケーブルで接続されている。
【0005】
HDMI送信機61は、N分周器63、サイクルタイム・カウンタ62、N値設定回路64で構成される。N分周器63は設定されたN値でオーディオクロック(128×fs)を分周する。サイクルタイム・カウンタ62は1で分周されたオーディオクロックの周期をピクセルクロックでカウントして、その値をCTS値(サイクルタイムスタンプ値)として受信機72へ出力する。N値設定回路64は設定されたN値を保持して分周器61と受信機72へその値を出力する。
【0006】
HDMI受信機72は、CTS分周器74、逓倍器75で構成される。CTS分周器74はパケットとして伝送されてきたCTS値でピクセルクロックを分周する。逓倍器75はCTS分周器74の出力をN倍する。
【0007】
このように構成された従来のHDMIのオーディオクロック伝送システムの動作について説明する。まず、オーディオクロックとしては、サンプリング周波数fsを48kHzとすると、その128倍の6.144MHzが用いられているものとし、ビデオ用のピクセルクロックとしてはハイビジョン1080pの場合で148.36MHzが用いられているものとする。このときのN値は、128*fs/1000Hz付近の値を使用するように決められていて、標準値としては6144という値がHDMI規格で規定されている。
【0008】
上記の値が設定されると、N分周器63の出力、すなわちサイクルタイム・カウンタ62の入力は1000Hzになるので、CTS値は、148.5MHzを1kHzで割った148500になる。このCTS値がパケットデータとしてHDMI受信機72へ伝送される。HDMI受信機72では、同様にパケットで伝送されてきたN値とCTS値および別途伝送されたピクセルクロックを元にして、CTS分周器74でピクセルクロックを148500分の1に分周して1kHzを生成し、この信号をN逓倍器75で6144倍にすることでオーディオクロック6.144MHzを再生成することが出来る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】CQ出版著、「デザインウエーブマガジン」、2008年4月、p.73−81
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のCTS値は、オーディオクロックとピクセルクロックに誤差がある場合や、サイクルタイム・カウンタ2の動作タイミングの微妙なずれなどによって、変動が発生する。このCTS値の変動はHDMI受信機7の出力のオーディオクロックに変動を与え、これが再生される音声信号への歪の発生要因となる。
【0011】
本発明は、上記のCTS値のような、クロックカウント値の変動の影響を極力小さくして、受信側の出力で高精度のクロックを生成可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するため、本願開示のデータ送出装置は、データ及び基本クロックを送出するデータ送出装置であって、前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックを生成するクロック分周手段と、前記クロック分周手段で分周されたクロックの各周期を前記基本クロックでカウントするカウント手段と、前記カウント手段が前記分周されたクロックの一周期を前記基本クロックでカウントした値の複数周期における平均のカウント値または、前記分周されたクロックの複数周期を前記基本クロックでカウントしたカウント値のビット数を、ノイズシェーピングを施して削減するノイズシェーピング手段と、ノイズシェーピング手段でビット数削減された前記カウント値、前記基本クロック及び前記クロック分周手段で用いた分周比を送出する送出手段とを備える。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成することにより、実質的に高精度のクロックを伝送することが可能となり、再生される信号の歪が低減して、より高品質な信号を再生することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1におけるデータ送受信システムの構成例を示す機能ブロック図
【図2】オーディオクロックを用いて再生される音声データのデジタル波形の一部の例を示す図
【図3】本発明の実施の形態2におけるHDMI送信機のブロック図
【図4】1次のノイズシェーピング回路のブロック図
【図5】本発明の実施の形態3におけるHDMI送信機のブロック図
【図6】本発明の実施の形態4におけるHDMI受信機のブロック図
【図7】従来のオーディオクロック伝送システムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のデータ伝送装置は、送出するCTS値を計算するために、サイクルタイム・カウンタと、その出力値を平均化する平均化回路と、平均化回路の出力精度を落とさずにビット数を削減するノイズシェーピング回路を備え、ノイズシェーピング回路の出力をCTS値として送出する。
【0016】
次に、本発明のデータ伝送装置の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるデータ送出装置を含むデータ送受信システムの構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すデータ受信システムは、データ及び基本クロックを送出するデータ送出装置60と、データ及び基本クロックを受信して、データのサンプルクロックを再構築するデータ受信装置70とを含む。データ送出装置60とデータ受信装置70は、互いに接続されている。
【0018】
以下の実施形態では、一例として、データ送信装置60からデータ受信装置70へ送信されるデータは、音声データ及び映像データを含み、基本クロックは映像データのピクセルクロックであり、サンプルクロックが音声データのオーディオクロックである場合について説明する。なお、データの種類、及び基本クロック及びサンプルクロックの組み合わせはこれに限られない。例えば、受信側で再生等のために2種類以上のクロックを必要とするデータを送信する場合に、1つのクロックと、このクロックと他のクロックとの関係を示す情報を送信して、受信側ではこの1つのクロックを用いて他のクロックを再構築するシステムにおいて、以下の実施形態を適用することが出来る。基本クロックとサンプルクロックは、第1のクロック及び第2のクロックと称することも出来る。
【0019】
データ送出装置60は、分周器10、カウンタ20、ノイズシェーピング部110、パラメータ設定部30及び送出部8を備える。
【0020】
分周器10は、前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周して分周クロック(中間クロック)を生成するクロック分周手段の一例である。分周器10は、入力されたクロックの周波数の1/N(Nは整数)の周波数を持つクロックを出力する。ここで、分周比はNとなる。なお、分周比は、Nの値そのものであってもよいし、その他Nを表す値であってもよい。通常、Nは整数であるが、必ずしも整数である必要はない。
【0021】
カウンタ20は、分周器で分周された分周クロックの各周期を基本クロックでカウントするカウント手段の一例である。カウンタ20は、例えば、分周されたクロックの一周期に基本クロックが何周期繰り返されるかを数えることができる。
【0022】
ノイズシェーピング部110は、カウンタ20の出力に基づいて、所定のビット数のカウント値を生成する。パラメータ設定部30は、分周比の入力を受け付け、分周器10及び送出部8へ入力された分周比を通知する。パラメータ設定部30は、分周比に限らず、その他必要なパラメータを送出部8へ通知してもよい。また、カウント値及び分周比は、基本クロックとサンプルクロックの関係を示す情報の一例である。
【0023】
具体的には、ノイズシェーピング部110は、分周クロックの一周期を基本クロックでカウントした値の複数周期における平均のカウント値のビット数を削減する。その際、ノイズシェーピングにより、平均カウント値の精度をなるべく落とさずにビット数が削減される。
【0024】
ノイズシェーピング部110は、あるいは、分周クロックの複数周期を基本クロックでカウントしたカウント値のビット数を削減し、所定ビット数のカウント値を生成することも出来る。この場合も、ノイズシェーピングを施してビット数削減に伴うカウント値の精度劣化を抑制することが出来る。
【0025】
ノイズシェーピングは、例えば、入力信号を、量子化して所定のビット数のデータ列に変換する際、量子化ノイズを、データの精度に与える影響が比較的低い周波数側にシフトさせることによって、量子化によるデータ精度劣化を抑える処理を含むことが出来る。
【0026】
本実施形態では、ノイズシェーピング部110は、分周クロックの複数周期分についてカウント値の平均を計算する。例えば、分周クロックの周期毎のカウンタ値をM周期分(M回)加算し、加算した値をMで割ることで平均値を計算することが出来る。また、分周クロックの毎周期に、M回の加算を開始し加算値をバッファに格納することで、毎周期において、その周期の過去M回の平均値を出力することが出来る。このように、カウント値を平均化することにより、より正確なカウント値を得ることが出来る。なお、平均値の出力は、分周クロックの周期毎に限られず、例えば、複数周期毎に平均値を出力してもよい。また、平均値出力を、必ずしも分周クロックの周期にあわせる必要もない。
【0027】
ビットの削減処理として、ノイズシェーピング部110は、例えば、ある時点で計算された平均値を所定ビット数の値に量子化する。そして、量子化前の値と量子化後の値の差分を計算し、この差分を、次に計算された平均値に加算して量子化したものを出力値とすることが出来る。これにより、量子化前後の値の差分、すなわち量子化ノイズを高域へシフトさせることが出来る。その結果、平均値の精度低下を抑えてビット数を削減するノイズシェーピングが可能になる。
【0028】
上記の場合、ノイズシェーピング部110は、例えば、上記のようにカウンタ20で計測したカウント値を平均化する平均化回路と、平均化回路で取得した平均カウント値のビット数を削減するノイズシェーピング回路とを備える構成とすることが出来る。
【0029】
あるいは、ノイズシェーピング部110は、分周クロックをさらに分周したクロックの各周期のカウント値を、同様にノイズシェーピングを伴って量子化することが出来る。分周クロックをさらに分周したクロックの各周期のカウント値は、平均値と同様により精度の高い情報を含んでいる。このカウント値を、上記と同様に、ノイズシェーピングを行って所定のビット数に量子化することで、精度低下を抑えてカウント値のビット数を削減することが出来る。
【0030】
この場合、ノイズシェーピング部110は、例えば、分周器10で分周した分周クロックをさらに所定の分周比で分周してクロックを生成する第2の分周器と、カウンタ20が第2の分周器で生成したクロックの各周期を基本クロックでカウントしたカウント値のビット数を削減するノイズシェーピング回路とを備える構成とすることが出来る。
【0031】
ノイズシェーピング部110でビット数が削減されたカウント値は、基本クロック及びクロック分周手段で用いられた分周比とともに、送出部8により受信装置70へ送出される。ここで、音声データ及び映像データも送出部8によって受信装置70へ送信される。基本クロック以外のデータ、すなわち、カウント値、分周比、音声データ及び映像データは、例えば、パケットデータにより時分割して受信装置70へ送信することが出来る。
【0032】
データ受信装置70は、受信部9、分周器40及び逓倍器50を備える。受信部9(受信手段の一例)は、データ送信装置60から送出された音声データ、映像データ、基本クロック、カウント値、及び分周比を受信する。分周部40は、受信部9で受信した基本クロックをカウント値で分周してクロックを生成する。逓倍部50は、分周器40で生成したクロックを分周比で逓倍してクロックを生成する。これによりサンプルクロックが再構築される。
【0033】
上記構成では、データ送信装置において、分周クロックの複数周期分のカウント値を、精度低下を抑えながらも、所定のビット数で送信することが出来る。これにより、実質的に高精度のサンプルクロックを伝送することが可能になる。
【0034】
例えば、サンプルクロックが、データ送出装置60から送出される音声データのオーディオクロックである場合、受信装置70が受信した音声データは、基本クロック、分周比、カウント値を基に再構築したオーディオクロックを用いて再生される。オーディオクロックとピクセルクロックに誤差がある場合や、カウンタ20の動作タイミングの微妙なずれがある場合、カウント値に変動が発生する。このカウンタ値の変動は、データ受信装置70の出力のオーディオクロックに変動を与え、これが再生される音声信号への歪の発生要因となる。
【0035】
図2は、オーディオクロックを用いて再生される音声データのデジタル波形の一部の例を示す図である。図2では、量子化されたデジタル波形を実線で、AD変換される前の音声信号波形を点線で示している。図2に示すデジタル波形の一周期のクロックに相当する幅(t1、t2、t3)は、カウント値の変動に伴って変動する。これは、デジタル波形における時間軸の揺らぎ、ジッタ(不正確さ)の原因となる。時間軸の揺らぎやジッタは、DA変換された後の音声信号の歪みやノイズの原因となる。
【0036】
本実施形態では、上記のとおり、所定のビット数のカウント値を高精度で伝送することが出来る。そのため、実質的に高精度のオーディオクロックを伝送することが可能となる。その結果、再生される音声信号の歪が低減してより高音質の音楽を再生することが出来る。
【0037】
なお、上記構成において、送出部8は、少なくとも、カウンタ20がカウントを開始してから前記複数周期分のカウントが終了するまでの間は、カウンタ20がカウントした各周期のカウント値を送出することが出来る。これにより、ノイズシェーピング部110によるカウント値の送信遅延を避けることが出来る。
【0038】
また、上記例では、ノイズシェーピング部110がデータ送信装置60に設けられるが、ノイズシェーピング部110は、データ受信装置70に設けられてもよい。この場合、データ受信装置70の受信部9は、データ送出装置60から送出された基本クロック、データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックの各周期を前記基本クロックでカウントしたカウント値、及び分周比を受信する。データ受信装置70のノイズシェーピング部110が、複数の分周クロック周期における平均のカウント値または、分周クロックの複数周期のカウント値のビット数を、ノイズシェーピングを施して削減する。分周器40は、ビットが削減されたカウント値を用いて基本クロックを分周してクロックを生成する。逓信部50はこのクロックを分周比で逓倍して出力する。これにより、サンプルクロックが再構築される。
【0039】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるHDMI送信機のブロック図を示す。実施の形態2のHDMI送信機6は、従来例のサイクルタイム・カウンタ2を拡張してCTS値の生成を行っている。図3において、HDMI送信機6は、N分周器1(図3では1/Nと表示)、サイクルタイム・カウンタ2、N値設定回路3(図3ではN値と表示)、平均化回路100、ノイズシェーピング回路101で構成される。平均化回路100はサイクルタイム・カウンタ2の出力値を平均化する。ノイズシェーピング回路101は量子化雑音を整形する。
【0040】
図3に示す例は、データ送出装置の一例としてHDMI送信機6、及びデータ受信装置の一例としてHDMI受信機7を含むデータ送受信システムの例である。また、平均化回路100及びノイズシェーピング回路101は、ノイズシェーピング手段の一具体例である。
【0041】
HDMI送信機6において、N分周器1は、分周手段の一例であり、N値設定回路3により設定されたN値でオーディオクロック(128×fs)を分周する。N値は、分周比を示す値の一例であり、本例では、Nは自然数であり、分周比1/Nは、周波数が1/Nになるように分周することを意味している。サイクルタイム・カウンタ2は、カウント手段の一例であり、分周器1で分周されたオーディオクロック(分周クロック)の周期をピクセルクロック(基本クロックの一例)でカウントして、その値をCTS値(サイクルタイムスタンプ値)として、平均化回路100へ出力する。CTS値はカウンタ値の一例である。
【0042】
平均化回路100は、平均化手段の一例であり、サイクルタイム・カウンタ2で計測したCTS値を平均化する。例えば、平均化回路100は、サイクルタイム・カウンタ2がカウントした分周クロックの各周期のCTS値を、所定回数Mの周期分加算し、加算値を前記所定回数Mで除した値を平均値として出力することが出来る。具体的には、平均化回路100は、サイクルタイム・カウンタ2から周期毎のCTS値を順次受け取って、バッファに格納された、それまでCTS値の累積値に加算していき、M回加算するとバッファの累積値をMで割った値をCTS値の平均値として出力することが出来る。また、平均化回路100は、例えば、加算値を一時的に格納するバッファ領域をM個使うことによって、分周クロックの周期毎に、過去M回分の平均値を計算することが出来る。ここでも、平均値を分周クロックの複数周期毎に出力してもよいし、平均値出力を分周クロックに合わせなくてもよい。このように計算される平均値は、元のカウンタ値に比べて、より正確で、変動が少ない値となる。例えば、M=1024として、1024回分のCTS値の平均値を計算して、より正確なCTS値を得ることが出来る。
【0043】
より正確な平均値を得る観点からは、平均を取るCTS値の数Mは多い方が好ましい。Mが多くなると、平均値は、規格で決められているCTS値のビット数を越える可能性が高くなる。その場合、ノイズシェーピング回路101は、平均化回路100で取得したCTS値の平均値のビット数を削減して所定のビット数として出力する。ここで、ノイズシェーピング回路101は、CTS値の変化量が少ないほど、ビット数の削減後の値と元の値との誤差、すなわちノイズが小さくなるように出力値を計算する回路を構成することが出来る。
【0044】
ここで、ノイズシェーピング回路の動作例を説明する。図4は、最も簡単な1次のノイズシェーピング回路の構成例を示す。1次のノイズシェーピング回路は、量子化器103、遅延回路104を備える。量子化器103は、例えば、32ビットの入力信号を20ビットに切り捨てて、出力されるデータのビット数を減らす処理を行う。図4に示すノイズシェーピング回路は、さらに、量子化器103の出力と入力との差分を抽出して遅延回路104へ出力する加算器と、遅延回路104により遅延された上記差分の信号と、ノイズシェーピング回路への入力信号とを加算して量子化回路103へ出力する加算器とを有する。これにより、量子化器103の出力と入力との差が、次の(1サンプリング時間後の)入力信号に加算される。この構成において、量子化器103の出力から入力を引くことで、量子化による誤差が計算出来る。この誤差のことを量子化ノイズと呼ぶ。この量子化ノイズをVQと表記して、遅延処理をZと表記することにすると、図から、(数1)の式が成り立つことがわかる。
【0045】
(数1)
出力=入力+(1−Z)VQ
ここで、1−Zの意味を考えると、今の時間のデータから1回前の時間のデータの差を求めるということで、これは微分の定義と同じことになっていることがわかる。従って、この回路の出力は、入力信号に量子化ノイズを微分した信号が加算されているということになる。これを量子化ノイズについて考え直すと、単に量子化ノイズが発生しているのではなく、微分というふうに形を変えたノイズが発生していると考えることが出来る。そのため、この回路は、ノイズの形を変える回路ということで、ノイズシェーピング回路と呼ぶことが出来る。この微分によるノイズシェーピング処理により、ノイズの低域成分が減って、代わりに高域成分が増えるという特性を持つことになる。つまり前回のデータ値と今回のデータ値の変化量が少ないほど、出力に加わる量子化ノイズの大きさが小さくなり、結果として出力されるデータの精度が高くなったのと同じことが実現できることになる。今回のサンプルタイムカウンタの出力は、通常はほとんど変化しない信号なので、このノイズ低減効果は大きくなる。なお、上記の1次のノイズシェーピング回路よりもさらに急峻な特性をもつ高次のノイズシェーピング回路を使えば、低域のノイズをより削減することが出来る。
【0046】
次に、実施の形態2のHDMI送信機6及びHDMI受信機7の動作を説明する。
【0047】
ノイズシェーピング回路101は、20ビットのCTS値を出力するが、この中に20ビット以上の情報を埋め込むことが出来るので、それに見合った精度の入力データを準備する。サイクルタイム・カウンタ21の出力を、平均化回路100で例えば1024回平均して、より正確なCTS値の元になる値を計算することが出来る。平均化回路100は、こうして得られた32ビットの高精度データをノイズシェーピング回路101へ送り、ノイズシェーピング回路101では、これを20ビットの信号として、HDMI受信機7へ出力する。
【0048】
N値設定回路3により設定されたN値も、HDMI受信7へ出力される。ここで、HDMI伝送のN値やCTS値は、例えば、パケットデータでHDMI送信機6からHDMI受信器7へ伝送することが出来る。このようなN値やCTS値は、例えば、HDMI送信機6から送信されるHDMI受信器7へビデオ信号のHSYNC区間にあるデータアイランド区間で転送される。
【0049】
HDMI受信機7は、CTS分周器4(図3では1/CTSと表示)及び逓倍器5(図3ではN倍と表示)を備える。CTS分周器4はパケットとして伝送されてきたCTS値でピクセルクロックを分周する。例えば、CTS分周器4は、HDMI送信機6から受信したピクセルクロックの周波数をCTS値で割った周波数を持つクロックを、分周クロック(中間クロック)として出力することが出来る。
【0050】
逓倍器5はCTS分周器4の出力をN倍する。逓倍器5は、PLL(Phase Locked Loop)回路により構成することが出来る。具体的には、逓倍器5に用いられるPLL回路は、互いに直列に接続された位相比較器、ローパスフィルタ(LPF)、電圧制御発信器(VCO:Voltage Control Oscillator)と、電圧制御発信器が出力した信号を1/Nに分周して位相比較器へ入力する1/N分周器を備える構成とすることが出来る。位相比較器は、CTS分周器4の出力信号と、1/N分周器の出力信号との位相差に基づいて制御信号を出力し、VCOは、LPFを経た制御信号に基づいて、分周クロックのN倍の周波数のクロックを出力する。このようなPLL回路により、CTS分周器4から出力された分周クロックの周波数がN倍される。
【0051】
HDMI受信機7では、一見高速で変化するCTS値を受け取ることになるが、これは量子化ノイズが高域側にシェープされているだけである。N逓倍器5に用いられているPLL回路を、入力信号周波数のゆっくりした変動には追従し、高速の変動に対しては応答しないというLPF特性を有するように構成することにより、CTS値の変動がゆっくりの場合には出力されるオーディオクロックにはその影響が出るが、ノイズシェーピングされたような高速の変動に対しては応答しないよう制御することが出来る。これにより、N逓倍器5のPLL回路で高域成分が除去されて残った高精度のCTS値でオーディオクロックの再生成が行われ、高音質の音声再生が実現される。
【0052】
また、応答時間を問題にするような場合には、最初のCTS値だけは平均化回路100を通さずに出力して、まず受信側でクロックの生成を開始させておいて、次のCTS値から高精度のデータを伝送するようにすることで、高速で伝送を開始させることが出来る。
【0053】
例えば、HDMI送信機6は、サイクルタイム・カウンタ2がカウントを開始してからM周期分のカウントが終了するまでの間は、サイクルタイム・カウンタ2が出力したCTS値を、平均化回路100及びノイズシェーピング回路101を通さずに、直接、HDMI受信機7へ転送するよう動作してもよい。具体的には、サイクルタイム・カウンタ2のカウント状況に応じて、サイクルタイム・カウンタ2の出力をそのまま出力するか、平均化回路100及びノイズシェーピング回路101を介して出力するかを切り替えるスイッチ回路を設けることが出来る。
【0054】
上記の本実施形態においては、CTS値の変動の影響を極力小さくして、HDMI受信機7の出力で高音質のクロックを生成することが可能になる。
【0055】
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3におけるHDMI送信機のブロック図を示す。実施の形態3のHDMI受信機6は、従来例のサイクルタイム・カウンタ2を拡張してCTS値の生成を行っている。図5において、HDMI送信機6は、N分周器1(図5では1/Nと表示)、NM分周器11(図5では(1/N)/Mと表示)、サイクルタイム・カウンタ22、ノイズシェーピング回路101を備える。
【0056】
NM分周器11はN分周器1よりもさらに分周比の大きい分周器である。サイクルタイム・カウンタ22は実施の形態2のサイクルタイム・カウンタ2よりも長い時間を計測可能である。NM分周器11は、N分周器1で分周したクロックをさらに所定の分周比(ここでは、1/M)で分周してクロックを生成する。サイクルタイム・カウンタ22は、NM分周器11で生成されたクロックの各周期をピクセルクロックでカウントする。すなわち、サイクルタイム・カウンタ22は、オーディオクロック(128×fs)を、分周比(1/N)/Mで分周したクロックの一周期をピクセルクロックでカウントすることになる。カウント値は、ノイズシェーピング回路101に入力される。このカウント値は、オーディオクロックを分周比(1/N)で分周したクロックの一周期のカウント値をM回分加算した値と同等になる。
【0057】
実施の形態2と同様に、ノイズシェーピング回路101では出力に20ビットのCTS値を出力するが、この中に20ビット以上の情報を埋め込むことが出来るので、それに見合った精度の入力データを準備する。MN分周器11の分周比をM=1024としてさらに1024分周するように設定し、サイクルタイム・カウンタ22で長時間計測する。これにより、より正確なCTS値の元になる値を計算することが出来る。こうして得られた32ビットの高精度データをノイズシェーピング回路101へ送る。ノイズシェーピング回路101では、これを20ビットの信号として、HDMI受信機7へ出力する。以下は実施の形態2と同様の動作となる。また、図5に示すHDMI送信機6の構成によれば、実施の形態2のように加算処理を行うことなく、実施の形態2の平均値と同等に正確なカウント値が得られる。このように本実施形態では、簡単な処理で、精度の高いCTS値が得られる。
【0058】
また、応答時間を問題にするような場合には、最初のCTS値だけはMN分周器11の分周比を大きくせずにCTS値を生成してそれを出力し、まず受信側でクロックの生成を開始させておいて、次のCTS値から高精度のデータを伝送するようにすることで、高速で伝送を開始させることが出来る。
【0059】
ここで、高域・低域の範囲について触れておく。従来例のサイクルタイム・カウンタ2の出力タイミングは、N値の設定により決まり、およそ1kHz付近に設定されている。この周波数は、N逓倍回路5のPLLの位相比較周波数に相当するので、このPLLの応答周波数は速くとも100Hz以下程度に設定されている。従って、高域というのはこの100Hz以上を差すと考えてよい。低域についてはそれより下ということになるが、特に低域という場合にはもっと低い周波数を想定している。この高域と低域の考え方は、上記実施の形態2および下記実施の形態4にも適用することが出来る。
【0060】
HDMI伝送のN値やCTS値のパケット転送の頻度は、非特許文献1に示されているように、ビデオ信号のHSYNC区間にあるデータアイランド区間で転送される形になっているので、上記の周波数より十分に高く480pでは最高およそ15kHz程度でN値やCTS値の更新を行うことが可能となっている。ただし、VSYNC期間にはパケットを送れない時間が存在するので注意が必要になるが、送れない期間はノイズシェーピング回路の遅延時間を待たせても、ノイズシェーピングの動作自体には変わりは無く、その間のノイズシェーピングの効果が弱くなるだけで大きな問題にはならない。
【0061】
具体的にどの周期でCTSパケットを変更させるかは、上記のようにパケット伝送に関する条件等で許容される範囲内で設定が出来る。CTSパケットの更新があまり遅くなりすぎると、すなわち、CTS値変更の周期が長くなりすぎると、効果がなくなる。そのため、CTSパケットの転送頻度を標準よりも高くすることが好ましい。例えば、まず通常のCTS値を転送し、その後に互換性の確認を行ってからノイズシェーピングされたCTS値を転送するようにしても良い。なお、上記(数1)における遅延処理Zの値は、CTS値の更新頻度を表す値であると言える。そのため、例えば、図4に示したノイズシェーピング回路の遅延器104の設定により、CTS値更新の頻度を調整することが出来る。
【0062】
同一メーカー同士などで、動作の確認が行える場合には、HDMI規格の標準値からはずれた設定として、N値をより小さな値に設定して、CTS値も小さな値にして伝送することも出来る。CTS値を小さくすると、通常はCTS値の相対的な誤差が増えることによる音質劣化が発生する。そこで、このCTS値を、上記実施の形態1、2または下記実施の形態4に記載の技術を用いてノイズシェ-ピングして高精度化して高頻度で送ることが出来る。これにより、大きな音質改善効果を発揮させることが出来る。
【0063】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4におけるHDMI受信機のブロック図を示す。実施の形態1では、HDMI送信機側に平均化回路とノイズシェーピング回路を構成したが、実施の形態4では、それらに相当する構成をHDMI受信機側に構成したものである。HDMI受信機71は、平均化回路200、ノイズシェーピング回路201、CTS分周器4、逓倍器5を備える。
【0064】
HDMI送信機6は、オーディオクロックを1/Nで分周したクロックの各周期をピクセルクロックでカウントして得られるCTS値をHDMI受信器71へ転送する。HDMI受信器71の平均化回路200は、このCTS値のM回分の平均値を計算する。平均値は、例えば、32ビットで、ノイズシェーピング回路201に出力される。ノイズシェーピング回路201は、32ビットの平均値にノイズシェーピングを施してビット数を削減し、20ビットの値にして、CTS分周器4へ出力する。これらのCTS値の平均化及びノイズシェーピングは、上記実施の形態2または3と同様に行うことが出来る。また、CTS分周器4、逓倍器5も、上記実施の形態2または3と同様に行うことが出来る。
【0065】
本発明をトータルのシステムとして考えた時には、HDMI送信機側に、平均化及びノイズシェーピングの機能を入れたほうが、HDMI受信機側を選ばずに高音質化が出来るということで汎用性が高いが、HDMI送信機側とHDMI受信機側の両方に入れると2段階で高音質化が図れることとなり、より高い効果が発揮されることになる。また、HDMI受信機に平均化回路及びノイズシェーピング回路を設けることで、HDMI送信機の構成は変えなくても、高音質化が可能になる。
【0066】
なお、図6に示す例は、HDMI受信機でCTS値の平均化及びノイズシェーピングを伴うビット数削減を行う構成である。これに対して、例えば、HDMI送信機6において、オーディオクロックを分周器1で1/Nに分周し、さらに1/Mに分周したクロックをピクセルクロックでカウントしてCTS値を生成し、HDMI受信機71は、この(1/N)Mで分周されたクロックのCTS値を受信して、ノイズシェーピングにより、ビット数を削減する構成であってもよい。このように、HDMI送信機6が、N分周器1及びサイクルタイム・カウンタ2に加えて、NM分周器を備え、HDMI受信機71が、ノイズシェーピング回路201、CTS分周器4及び逓倍器5を備えてもよい。
【0067】
なお、本発明の実施の形態2から4では平均化回数やカウント時間等で32ビットを用いたが、32ビット以外でも構わない。また、ノイズシェーピング回路の構成も図4に示す例に限られない。例えば、2次またはそれ以上のノイズシェーピング回路を用いることも出来る。
【0068】
上記実施の形態1〜4に示した機能ブロックは、プリント基板の配線及び素子を含む電子回路で構成されてもよいし、半導体基板上に一体集積化されたICチップにより構成されてもよい。例えば、図1に示す構成において、分周器10、カウンタ20及びノイズシェーピング部110を、一つの半導体基板に集積することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のデータ送出装置、データ受信装置、及びデータ送受信システムは、例えば、HDMIオーディオの送信・受信装置に用いることで、高品質のオーディオ再生を行うことが出来る。
【符号の説明】
【0070】
1 N分周器
2 サイクルタイム・カウンタ
3 N値設定回路
4 CTS分周器
5 N逓倍器
6 HDMI送信機
7 HDMI受信機
2 サイクルタイム・カウンタ
100 平均化回路
101 ノイズシェーピング回路
103 量子化器
104 遅延回路
11 MN分周器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ及び基本クロックを送出するデータ送出装置であって、
前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックを生成するクロック分周手段と、
前記クロック分周手段で分周されたクロックの各周期を前記基本クロックでカウントするカウント手段と、
前記カウント手段が前記分周されたクロックの一周期を前記基本クロックでカウントした値の複数周期における平均のカウント値または、前記分周されたクロックの複数周期を前記基本クロックでカウントしたカウント値のビット数を、ノイズシェーピングを施して削減するノイズシェーピング手段と、
ノイズシェーピング手段でビット数削減された前記カウント値、前記基本クロック及び前記クロック分周手段で用いた分周比を送出する送出手段とを備える、データ送出装置。
【請求項2】
データ及び基本クロックを送出するデータ送出装置であって、
前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックを生成するクロック分周手段と、
前記クロック分周手段で生成したクロックの各周期を前記基本クロックでカウントするカウント手段と、
前記カウント生成手段で計測したカウント値を平均化する平均化手段と、
前記平均化手段で取得した平均カウント値のビット数を削減するノイズシェーピング手段と、
基本クロック、前記ノイズシェーピング手段で生成したカウント値及び前記クロック分周手段で使用した前記分周比を送出する送出手段を備えることを特徴とするデータ送出装置。
【請求項3】
データ及び基本クロックを送出するデータ送出装置であって、
前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックを生成する第1のクロック分周手段と、
前記第1のクロック分周手段で分周したクロックをさらに所定の分周比で分周してクロックを生成する第2のクロック分周手段と、
前記第2のクロック分周手段で生成したクロックの各周期を前記基本クロックでカウントするカウント手段と、
前記カウント手段で計測したカウント値のビット数を削減するノイズシェーピング手段と、
基本クロック、前記ノイズシェーピング手段で生成したカウント値及び前記第1のクロック分周手段で使用した前記分周比を送出する送出手段を備えることを特徴とするデータ送出装置。
【請求項4】
前記送出手段は、少なくとも、前記カウント手段がカウントを開始してから前記複数周期分のカウントが終了するまでの間は、前記カウント手段がカウントした各周期のカウント値を送出する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ送出装置。
【請求項5】
データ及び基本クロックを受信して、データのサンプルクロックを再構築するデータ受信装置であって、
データ送出装置から送出された基本クロック、前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックの各周期を前記基本クロックでカウントしたカウント値、及び前記分周比を受信する受信手段と、
前記カウント手段が分周クロックの一周期を前記基本クロックでカウントした値の複数周期における平均のカウント値または、分周クロックの複数周期のカウント値のビット数を、ノイズシェーピングを施して削減するノイズシェーピング手段と、
前記受信手段で受信した前記基本クロックを前記ノイズシェーピング手段で生成したカウント値で分周してクロックを生成するクロック分周手段と、
前記クロック分周手段で生成したクロックを前記分周比で逓倍してクロックを生成するクロック逓倍手段を備える、データ受信装置。
【請求項6】
データ及び基本クロックを受信して、データのサンプルクロックを再構築するデータ受信装置であって、
クロック送出手段で送出された基本クロック、前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックの各周期を前記基本クロックでカウントしたカウント値、分周比を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信したカウント値を平均化する平均化手段と、
前記平均化手段で取得した平均カウント値のビット数を削減するノイズシェーピング手段と、
前記受信手段で受信した前記基本クロックを前記ノイズシェーピング手段で生成したカウント値で分周してクロックを生成するクロック分周手段と、
前記クロック分周手段で生成したクロックを前記受信手段受信した前記分周比で逓倍してクロックを生成するクロック逓倍手段を備えることを特徴とするデータ受信装置。
【請求項7】
データ及び基本クロックを受信して、データのサンプルクロックを再構築するデータ受信装置であって、
クロック送出手段で送出された基本クロック、前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周し、さらに第2の分周比で分周してクロックの各周期を前記基本クロックでカウントしたカウント値、分周比及び第2の分周比を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記カウント値のビット数を削減するノイズシェーピング手段と、
前記受信手段で受信した前記基本クロックを前記ノイズシェーピング手段で生成したカウント値で分周してクロックを生成するクロック分周手段と、
前記クロック分周手段で生成したクロックを前記受信手段受信した前記分周比で逓倍してクロックを生成するクロック逓倍手段を備えることを特徴とするデータ受信装置。
【請求項8】
データ及び基本クロックを送出するデータ送出装置と、前記データ送出装置と接続され、前記データ及び前記基本クロックを受信して、前記データのサンプルクロックを再構築するデータ受信装置とを含むデータ送受信システムであって、
前記データ送出装置は、
前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックを生成する第1のクロック分周手段と、
前記第1のクロック分周手段で生成したクロックの各周期を前記基本クロックでカウントするカウント手段と、
基本クロック、前記カウント値及び前記分周比を送出する送出手段を備え、
前記データ受信装置は、
前記クロック送出手段で送出された基本クロック、カウント値及び分周比を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記基本クロックを前記カウント値で分周してクロックを生成する第2のクロック分周手段と、
前記第2のクロック分周手段で生成したクロックを前記受信手段受信した前記分周比で逓倍してクロックを生成するクロック逓倍手段を備え、
前記データ送出装置及び前記受信装置のいずれかは、前記カウント手段が分周クロックの一周期を前記基本クロックでカウントした値の複数周期における平均のカウント値または、分周クロックの複数周期のカウント値のビット数を、ノイズシェーピングを施して削減するノイズシェーピング手段を有する、データ送受信システム。
【請求項9】
データ及び基本クロックを送出するデータ送出装置と、前記データ送出装置と接続され、前記データ及び前記基本クロックを受信して、前記データのサンプルクロックを再構築するデータ受信装置とから構成されるデータ送受信システムであって、
前記データ送出装置は、
前記データのサンプルクロックを所定の分周比で分周してクロックを生成する第1のクロック分周手段と、
前記第1のクロック分周手段で生成したクロックをカウントするカウント手段と、
前記カウント生成手段で計測したカウント値を平均化する平均化手段と、
前記平均化手段で取得した平均カウント値のビット数を削減するノイズシェーピング手段と、
基本クロック、前記ノイズシェーピング手段で生成したカウント値及び前記第1のクロック分周手段で使用した前記分周比を送出する送出手段を備え、
前記データ受信装置は、
前記クロック送出手段で送出された基本クロック、カウント値、分周比を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した前記基本クロックを前記カウント値で分周してクロックを生成する第2のクロック分周手段と、
前記第2のクロック分周手段で生成したクロックを前記受信手段受信した前記分周比で逓倍してクロックを生成するクロック逓倍手段を備えることを特徴するデータ送受信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−130429(P2011−130429A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257979(P2010−257979)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】