説明

データ配信装置

【課題】個人認証情報の漏洩の危険を冒すことなく認証処理をなし、データを配信することができるデータ配信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】データ配信装置は、受信端末からのサービスデータ配信要求信号に応じて認証電話番号を該受信端末に送信し、電話端末からの当該認証電話番号に基づく呼接続に応じて該電話端末との間に通信路を設定すると共に、認証データを生成してこれを該受信端末に送信し、該電話端末からの認証データと当該生成によって得られた認証データとが一致した場合にのみサービスデータを該受信端末に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサービス受信端末からのサービス要求に応じてデータ配信をなすデータ配信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、公共の場に設置され不特定多数の者が利用可能なサービス情報受信端末が普及しつつある。サービス情報としては例えば、端末設置付近の地図などの画像や、各種サービス案内などの映像及び映像に関する解説などの音声等多くの種類が挙げられる。サービス情報受信端末の利用者は自身が望むサービス情報の種類を当該端末に入力して、サービス情報が格納されている遠隔地のサーバなどに通信網を介して通知する。サーバから当該通知の内容に該当するサービス情報がサービス情報受信端末に配信され、当該端末の画面にサービス情報が表示される。このようにしてサービス情報受信端末の利用者はサービス情報を得ることができる。
【0003】
例えば特許文献1には、配信先リストに登録されている配信先にネットワークを介して映像データを配信する映像配信端末と、当該ネットワークを介して当該配信リストへの自身のアカウント登録を要求し、当該映像配信端末から映像を受信して表示する映像表示装置と、を有する映像配信システムが開示されている。また、映像表示装置はその操作者にパスワードの入力を促し、当該入力されたパスワードを映像配信端末に通知する手段を有し、映像配信端末は当該通知されたパスワードと登録済みのパスワードを照合し、これらが一致する場合にのみ当該映像表示装置を配信先リストへ登録する手段を有する。
【特許文献1】特開2007−36965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、公共の場に設置され不特定多数の他者が接触可能な状況下にあるサービス情報受信端末にアカウント名やパスワードを入力する場合には、これらの情報が漏洩してしまう可能性があるという問題があった。すなわち、入力時にアカウント名やパスワードを他人に盗み見られたり、サービス情報受信端末の入力部などに予め設置された読み取り機などによりこれらを読み取られたりする可能性があり、サービスの利用者が個人認証に用いる情報を入力する行為は大きなリスクを背負うものであった。
【0005】
不特定多数の者にサービス情報を無料で提供する場合には、個人認証は不要と思われるが、有料若しくは特定の個人に対してのみ無料とするサービスを提供する場合、サービスを利用する個人の特定が必要となる。しかしながら、上記したように、個人認証に用いる情報の入力には大きなリスクが伴っていたため、このような形態のサービスを提供することは困難であった。また、個人認証が困難であるため、いかなる利用者がどのようなサービスをどれだけの時間利用したのかを把握することができず、サービスの利用者に対する課金管理を適切に行うことができないという問題もあった。
【0006】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、個人認証情報の漏洩の危険を冒すことなく認証処理をなし、正当な利用者に対してサービスデータを配信することができるデータ配信装置を提供することを目的とする。また、サービスの利用者を特定し、利用者毎のサービス利用内容に応じて適切に課金できるような情報管理を可能とするデータ配信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるデータ配信装置は、受信端末からの配信要求に応じてサービスデータを配信するデータ配信装置であって、前記配信要求に応じて認証電話番号データを前記受信端末に送信する認証電話番号送信手段と、前記認証電話番号データが表す認証電話番号に基づく電話端末からの着信呼に応じて前記電話端末との間に通信路を設定する通信路設定手段と、送信サービス認証データを生成してこれを前記受信端末に送信するサービス認証データ生成送信手段と、前記通信路を介して前記電話端末からの受信サービス認証データを受信するサービス認証データ受信手段と、前記送信サービス認証データと前記受信サービス認証データとが一致したと判別した場合にのみサービス認証の判定を下すサービス認証手段と、前記サービス認証手段が前記サービス認証の判定を下した場合にのみ前記受信端末へ前記サービスデータを配信するデータ配信手段と、を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明によるデータ配信装置100をサービス受信端末200及び電話端末300などと共に表すブロック図である。
【0010】
データ配信装置100は、通信事業者網400を介してサービス受信端末200と接続されており、サービス受信端末200からのサービスデータ配信要求に応じることができる。また、データ配信装置100は通信事業者網400を介してサービス受信端末200へサービスデータを配信できる。通信事業者網400は例えばインターネットであり、この場合、データ配信装置100とサービス受信端末200との間ではパケット信号によりサービスデータ配信要求信号の送信及びサービスデータの配信がなされる。ここでのサービスデータは例えば、サービス受信端末200の設置付近の地図などの画像データや、各種サービス案内などの映像データ及び当該映像に関する解説の音声データなどである。
【0011】
データ配信装置100は、電話端末300との間で呼接続をなし、携帯電話事業者網500及び公衆電話網600を介した通信路を設定できる。データ配信装置100と電話端末300との間では、当該通信路を介して通常の音声データやPB(Push Button)信号などを送受信できる。
【0012】
データ配信装置100は、管理部10と、サービスデータ配信部20と、を含む。管理部10は、信号受信部11と、呼接続部12と、制御部13と、サービス種別テーブル14と、認証電話番号テーブル15と、サービス認証番号テーブル16と、サービス管理テーブル17と、を含む。
【0013】
信号受信部11は、通信事業者網400と接続されており、サービス受信端末200からのサービスデータ配信要求信号を受信した場合に、これを制御部13に与える。
【0014】
呼接続部12は、制御部13からの呼接続指令又は電話端末300からの呼接続要求に応じて、電話端末300との間で呼接続をなし、携帯電話事業者網500及び公衆電話網600を介した通信路を設定する。
【0015】
制御部13は、管理部10における各種処理を統括して制御する。制御部13が実行する主な処理は、認証電話番号送信処理、サービス認証番号送信処理及びサービスデータ配信処理である。以下にこれらの処理を表すフローチャート及び各種テーブルを参照しつつ、制御部13が実行する処理について説明する。
【0016】
最初に、認証電話番号送信処理ルーチンを表すフローチャートである図2、サービス種別テーブル14の一例である図3、及び、認証電話番号テーブル15の一例である図4を参照しつつ、認証電話番号送信処理について説明する。
【0017】
先ず、制御部13は、信号受信部11からサービスデータ配信要求信号を受け取る(ステップS101)。このサービスデータ配信要求信号は信号受信部11が通信事業者網400を介してサービス受信端末200から受信した信号である。
【0018】
制御部13は、サービスデータ配信要求信号に含まれているサービス種別識別子及びサービス受信端末識別子を抽出する識別子抽出手段を有しており、信号受信部11からサービスデータ配信要求信号を受け取ったときにこれらを抽出する(S102)。
【0019】
制御部13は、当該抽出によって得られたサービス種別識別子に対応する認証電話番号をサービス種別テーブルから選択する(S103)。図3に示される如くサービス種別テーブル14は、映像配信や画像配信などのサービス種別を表すサービス種別識別子と、当該サービス種別識別子の各々に対応付けられた固有の認証電話番号と、を記憶するテーブルである。
【0020】
同図中の「サービス種別」は映像配信や画像配信などのサービス種別を表している。「サービス種別識別子」はこれらのサービス種別を示す固有の識別子を表している。ここでは、映像配信、画像配信、音声配信のサービス種別に対してそれぞれ、A1、A2、A3のサービス種別識別子が対応付けられている。「認証電話番号」は、サービス種別識別子の各々に対応付けられた固有の認証電話番号を表している。例えば、サービス種別識別子A1には、03−1234−1101、03−1234−1102、03−1234−1103、・・・、の認証電話番号が対応付けられている。通常、これらの情報は、データ配信装置100の管理者がサービス種別テーブル14に予め設定する。
【0021】
制御部13は、例えば、抽出によって得られたサービス種別識別子がA1であった場合、A1に対応付けられている複数の認証電話番号の内のいずれか1つ、例えば03−1234−1101を選択する。
【0022】
続いて、制御部13は、当該選択によって得られた認証電話番号と抽出によって得られたサービス受信端末識別子との対応を認証電話番号テーブル15に記憶せしめる。図4に示す如く認証電話番号テーブル15は、認証電話番号と、サービス受信端末識別子と、当該認証電話番号の有効期限と、を対応付けて記憶する(S104)。
【0023】
同図中における「認証電話番号」は、制御部13によって選択された認証電話番号である。「受信端末識別子」は、制御部13によって抽出されたサービス受信端末識別子である。サービス受信端末識別子は例えば255.123.100.001などIPアドレスである。「認証電話番号有効期限」は、認証電話番号の有効期限であり、制御部13が、認証電話番号を記憶せしめるときに同時に設定する。有効期限としては例えば、当該記憶時刻から10分後の時刻などである。認証電話番号の有効期限を設定し、有効期限の切れた認証電話番号を他のサービス要求に割り振ることにより、認証電話番号の個数を無制限に増加させる必要がなくなる。
【0024】
最後に、制御部13は、サービスデータ配信部20をして、当該選択によって得られた認証電話番号をサービス受信端末200へ送信せしめる(S105)。
【0025】
次に、サービス認証番号送信処理ルーチンを表すフローチャートである図5、サービス認証番号テーブルを表す図である図6を参照しつつ、サービス認証番号送信処理について説明する。
【0026】
呼接続部12は、認証電話番号に基づく電話端末300からの着信呼に応じて通信路を設定すると共に、当該認証電話番号を取得する。制御部13は、呼接続部12から着信があった旨の通知を当該認証電話番号と共に受け取る(ステップS201)。また、呼接続部12は、当該呼から発信元の電話端末(ここでは電話端末300)の識別子(以下、電話端末識別子と称する)を抽出する電話端末識別子抽出手段を備え、当該抽出によって得られた電話端末識別子を制御部13に与える(ステップS202)。ここでの電話端末識別子とは例えば電話番号などである。
【0027】
制御部13は、サービス認証番号を生成するサービス認証番号生成手段を備えており、呼の着信通知に応じてサービス認証番号を生成する(S203)。制御部13は、当該通知を受ける毎に固有のサービス認証番号を生成する。サービス認証番号に特に制限は無く、例えば1658947などの番号である。
【0028】
続いて、制御部13は、呼接続部12から着信通知と共に受け取った認証電話番号と、サービス認証番号生成手段によって得られたサービス認証番号と、を対応付けてサービス認証番号テーブルに記憶せしめる(S204)。図6に示す如くサービス認証番号テーブルは、サービス認証番号と認証電話番号とを対応付けて記憶する。
【0029】
制御部13は、呼接続部12へ呼切断指令を与え、呼接続部12はこれに応じて電話端末300との間の呼接続を切断する。制御部13は、呼の切断を確認したら、呼接続部12に発信元である電話端末300への呼接続を命じる。呼接続部12は当該呼接続の命令に応じて電話端末300へ呼接続要求を発し、電話端末300との間で呼接続を確立する。
【0030】
制御部13は、サービス認証番号送信手段を備えており、サービスデータ配信部をしてサービス受信端末200へサービス認証番号を送信せしめる(S205)。例えば、図4の認証電話番号テーブル及び図6のサービス認証番号テーブルを例として説明すると、電話端末300からの呼の認証電話番号が03−1234−1101であった場合、制御部13は、これと一致する認証電話番号に対応付けられているサービス受信端末識別子255.123.100.001を認証電話番号テーブルから選択する。また、制御部13は、認証電話番号03−1234−1101に対応付けられているサービス認証番号1658947をサービス認証番号テーブルから選択する。これにより、制御部13は、サービスデータ配信部をしてサービス受信端末識別子255.123.100.001に対応するサービス受信端末200を送信先としてサービス認証番号1658947を送信せしめる。
【0031】
次に、サービスデータ配信処理ルーチンを表すフローチャートである図7、サービス管理テーブルを表す図である図8を参照しつつ、サービスデータ配信処理について説明する。
【0032】
上述した通り、データ配信装置100と電話端末300とは呼接続されており、呼接続部12は電話端末300からサービス認証データを受信する。このとき、呼接続部12はサービス認証データをPB(Push Button)信号の形式で受信する。制御部13は、呼接続部12からPB信号を受け取り、これを解析してサービス認証番号を得る(ステップS301)。
【0033】
制御部13は、着信呼の認証電話番号に対応するサービス認証番号をサービス認証データテーブルから選択し、これと電話端末300からのサービス認証番号とが一致しするか否かを判別する(S302)。例えば、電話端末300からの呼の認証電話番号が03−1234−1101、解析よって得られたサービス認証番号が1658947であったとする。図6のサービス認証番号テーブルを例として説明すると、制御部13は、サービス認証番号テーブル内において認証電話番号03−1234−1101に対応付けられているサービス認証番号1658947と、解析よって得られたサービス認証番号1658947と、が一致することから、サービス認証の判定を下す。反対に、解析よって得られたサービス認証番号が1658947以外であれば、制御部13は、サービス認証せず、サービスデータ配信処理を終了する。制御部13は、サービス認証と判別した場合、電話端末300との呼接続を切断する(S303)。
【0034】
図8はサービス管理テーブルを表す図である。同図中の「電話端末識別子」は呼の発信元の電話端末識別子であり、例えば電話番号などである。制御部13は電話端末識別子を呼接続部12から受け取る。呼接続部12は、呼から発信元の電話端末識別子を抽出する電話端末識別子抽出手段を備えており、当該抽出によって得られた電話端末識別子を制御部13に与える。
【0035】
「サービス種別識別子」は、図3に示されるサービス種別テーブルにおけるサービス種別識別子と同一の識別子である。制御部13は、呼の認証電話番号に対応付けられているサービス種別識別子をサービス種別テーブルから選択し、当該選択によって得られたサービス種別識別子をサービス管理テーブルに記憶する。
【0036】
「サービス配信開始日時」は、映像等のサービス情報の配信開始日時を示している。制御部13は、サービスデータ配信部20にサービスデータ配信指令を発した日時をサービス配信開始日時としてサービス管理テーブルに記憶する。
【0037】
「サービス配信終了日時」は、同サービス情報の配信終了日時を示している。制御部13は、呼の発信元の電話端末からのサービス配信停止指令若しくはサービスデータ配信部20からのサービス配信終了通知に応じて、サービスデータ配信停止指令をサービスデータ配信部20に発すると共に、当該指令を発した日時をサービス配信終了日時としてサービス管理テーブルに記憶する。
【0038】
再び図7を参照する。制御部13はサービス認証と判定した場合、サービスデータ配信部20にサービスデータ配信指令を発すると共に、当該指令を発した日時をサービスデータ配信開始日時としてサービス管理テーブルに記録する(S304)。このとき、制御部13は、呼の認証電話番号に対応するサービス受信端末識別子を認証電話番号テーブルから選択し、当該サービス受信端末識別子に対応するサービス受信端末を送信先とするようにサービスデータ配信部20に指示する。また、制御部13は、呼の認証電話番号に対応するサービス種別識別子をサービス種別テーブルから選択し、当該サービス種別識別子に対応するサービスデータを配信するようにサービスデータ配信部20に指示する。
【0039】
サービスデータ配信部20は、サービスデータ配信指令に応じてサービスデータを配信する(S305)。制御部13は、サービス受信端末200からのサービスデータ配信停止指令若しくはサービスデータ配信部20からのサービスデータ配信終了通知に応じて、サービスデータ配信停止指令をサービスデータ配信部20に発すると共に、当該指令を発した日時をサービスデータ配信終了日時としてサービス管理テーブルに記憶し(S306)、サービスデータ配信処理を終了する。制御部13が実行する主な処理についての説明は以上である。
【0040】
サービスデータ配信部20は、制御部13からの指令に応じて、認証電話番号、サービス認証番号、サービスデータをサービス受信端末200へ送信する。制御部13は、配信先のサービス受信端末及びサービスデータの種別を制御部13から指示されており、これに従って配信処理をなす。また、サービスデータ配信部20は、サービスデータの配信を完了した場合、その旨を制御部13に通知する。
【0041】
サービス受信端末200は、利用者によるサービス要求の入力に応じて、通信事業者網400を介してサービスデータ配信要求信号をデータ配信装置100に送信する機能を有する。サービス受信端末200は、自身を識別可能な固有の識別子であるサービス受信端末識別子及びサービス要求に係るサービス種別を表すサービス種別識別子をサービスデータ配信要求信号に含めて送信する。サービス種別識別子は、ユーザーにより直接入力されるようにしても良いし、ユーザーが動作させたアプリケーションプログラムやWebサーバとの連携により設定されるようにしても良い。通信事業者網400がインターネットである場合、サービス受信端末200は、サービスデータ配信要求信号をパケット信号で送信する。この場合、サービス受信端末識別子はIPアドレスであり、サービス受信端末200はIPアドレスをパケット信号のヘッダに格納して送信する。
【0042】
サービス受信端末200は、データ配信装置100からの認証電話番号及びサービス認証番号を受信し、これらの番号を表示部(図示せず)に文字表示する機能を有する。サービス受信端末200は、データ配信装置100からのサービスデータを受信し、当該データに基づいて表示部に画像や映像を表示する機能及びサービスデータに基づいてスピーカ(図示せず)から音声を出力する機能を有する。サービス受信端末200は、例えばSIP(Session Initiation Protocol)などのプロトコルによりデータ配信装置100との接続を確立して接続状態を管理する。
【0043】
電話端末300は、携帯電話事業者網500及び公衆電話網600を介してデータ配信装置100に呼接続要求を発し、データ配信装置100との間で通信路を設定する機能を有する。電話端末300は、プッシュボタンの押下による認証電話番号の入力に応じて、設定されている通信路を経由して当該認証電話番号を表すPB信号をデータ配信装置100に送信する機能を有する。
【0044】
以下、サービス受信端末200の利用者と電話端末300の利用者とが同一であるとし(以下、単に利用者と称する)、利用者が映像の配信サービスを要望したときのデータ配信装置100、サービス受信端末200及び電話端末300の動作を、図9、11及び13のシーケンス図と、図10、12、14及び15の信号、データ及び指令の送受信経路を表す図と、サービス種別、認証電話番号、サービス認証番号及びサービス管理の各テーブルを適宜参照しつつ説明する。なお、図9〜15においては、データ配信装置100が管理部10及びサービスデータ配信部20で表されている。また、図10、12、14及び15においては、送受信される信号、データ及び指令が点線で図示されている。
【0045】
図9は認証電話番号の送信処理を表すシーケンス図である。図10はサービス電話信号などの送受信経路を表す図である。以下に、図9及び10を参照しつつ、認証電話番号の送信処理について説明する。
【0046】
最初に、利用者は、映像配信サービスのサービス要求をサービス受信端末200に入力する。サービス受信端末200は、当該サービス要求の入力に応じて、サービスデータ配信要求信号CL1をデータ配信装置100に送信する(ステップS401)。このとき、サービス受信端末200は、映像配信サービスのサービス種別を表すサービス種別識別子A1及び自身のサービス受信端末識別子255.123.100.001をサービスデータ配信要求信号CL1に含めて送信する。
【0047】
管理部10は、サービス受信端末200からのサービスデータ配信要求信号CL1を受信し、これに含まれているサービス種別識別子A1及びサービス受信端末識別子255.123.100.001を抽出する(S402)。管理部10は、サービス種別識別子A1に対応付けられている認証電話番号03−1234−1101を図3に示されるサービス種別テーブルから選択する(S403)。管理部10は、認証電話番号03−1234−1101とサービス受信端末識別子255.123.100.001との対応を図4に示す如く認証電話番号テーブルに記憶せしめる(S404)。同時に管理部10は、当該認証電話番号の有効期限2007/9/28 10:30を設定する。管理部10は、認証電話番号03−1234−1101を、サービス受信端末識別子255.123.100.001に対応するサービス受信端末、すなわち、サービス受信端末200に送信すべき旨の指令TNをサービスデータ配信部20に発する(S405)。
【0048】
サービスデータ配信部20は、当該指令TNに応じて、03−1234−1101の認証電話番号NBをサービス受信端末200に送信する(S406)。サービス受信端末200は、認証電話番号NBに基づいて図示せぬ表示部に認証電話番号03−1234−1101を文字表示する(S407)。
【0049】
図11はサービス認証番号の送信処理を表すシーケンス図である。図12はサービス認証信号などの送受信経路を表す図である。以下に、図11及び12を参照しつつ、サービス認証番号の送信処理について説明する。
【0050】
利用者は、電話端末300から認証電話番号03−1234−1201宛に電話をかける。電話端末300は利用者による入力に応じて認証電話番号03−1234−1101宛に呼CL2を発する(ステップS501)。当該呼CL2により、電話端末300と管理部10との間で呼接続がなされる。
【0051】
管理部10は、電話端末300からの着信呼に基づいて、当該呼の発信元である電話端末300の電話端末識別子090−1234-5678及び当該呼の宛先である認証電話番号03−1234−1101を判別する(S502)。続いて、管理部10は、サービス認証番号1658947を生成し(S503)、これと認証電話番号03−1234−1101とを対応付けて図6に示す如くサービス認証番号テーブルに記憶する(S504)。
【0052】
次に、管理部10は、電話端末300に呼接続の切断を促すメッセージMSを送信する(S505)。利用者は当該メッセージMSに応じて呼接続を切断する(S506)。管理部10は、当該切断を確認したら、電話端末300へ呼CL3を発し、電話端末300との間で呼接続をなす(S507)。管理部10は、当該呼接続の確立に続いて、サービス受信端末200へサービス認証番号1658947を送信すべき旨の指令SCをサービスデータ配信部20に発する(S508)。
【0053】
サービスデータ配信部20は、当該指令SCに応じて、1658947のサービス認証番号SNをサービス受信端末200に送信する(S509)。サービス受信端末200は、認証電話番号SNに基づいて図示せぬ表示部に1658947を文字表示する(S510)。
【0054】
図13はサービス情報の配信処理を表すシーケンス図である。図14はサービス情報データなどの送受信経路を表す図である。図15はサービス停止指令などの送受信経路を表す図である。以下に、図13、14及び15を参照しつつ、サービス認証番号の送信処理について説明する。
【0055】
利用者は、サービス認証番号1658947をプッシュボタンの押下により電話端末300に入力する。管理部10と電話端末300とは呼接続されており、電話端末300はプッシュボタンによるサービス認証番号1658947の入力に応じてPB信号PBを管理部10に発する(ステップS601)。
【0056】
管理部10は、PB信号PBを解析してサービス認証番号1658947を得る。管理部10は、当該解析によって得られたサービス認証番号1658947と、図6に示されるサービス認証データテーブルにおける認証電話番号03−1234−1101に対応するサービス認証番号1658947と、が一致することから、管理部10はサービス認証の判断を下す(S602)。このとき、仮にサービス認証番号が1658947以外であれば、管理部10は、サービス認証せず、サービスデータ配信処理を終了する。
【0057】
管理部10は、サービス認証と判定した場合、電話端末300との呼接続を切断する(S603)。続いて、管理部10は、サービスデータ配信部20にサービスデータ配信指令SPを発する(S604)。このとき、管理部10は、認証電話番号03−1234−1101に対応付けられているサービス受信端末識別子255.123.100.001を認証電話番号テーブルから選択し、これに対応するサービス受信端末識別子200を送信先とするようにサービスデータ配信部20に指示する。また、管理部10は、認証電話番号03−1234−1101に対応付けられているサービス種別識別子A1をサービス種別テーブルから選択し、これに対応する映像サービスデータを配信するようにサービスデータ配信部20に指示する。管理部10は、当該指令SPを発した日時2007/9/28 10:20をサービスデータ配信開始日時として図8に示される如くサービス管理テーブルに記録する(S605)。
【0058】
サービスデータ配信部20はサービスデータ配信指令SPに応じて映像サービスデータSVの配信を開始する(S606)。管理部10は、サービス受信端末200からのサービス配信停止指令SO若しくはサービスデータ配信部20からのサービス配信終了通知ED(S607)に応じて、サービスデータ配信停止指令STをサービスデータ配信部20に発する(S608)。制御部13は、当該指令STを発した日時2007/9/28 10:35をサービスデータ配信終了日時として図8に示される如くサービス管理テーブルに記録し(S609)、サービスデータ配信処理を終了する。
【0059】
データ配信装置100は、利用者からのサービス要求がある毎に上記したのと同様の処理を実行する。制御部13は、上記した処理により生成したサービス管理テーブルを出力するサービス管理情報生成出力手段を備え、データ配信装置100の管理者からの出力指令に応じて、図8に示す如きサービス管理テーブルを出力する。
【0060】
上記した如く本実施例によるデータ配信装置は、サービス受信端末からのサービスデータ配信要求信号に応じて、認証電話番号をサービス受信端末に送信する。データ配信装置は、電話端末からの当該認証電話番号に基づく呼接続に応じて電話端末との間に通信路を設定すると共に、サービス認証番号を生成してこれをサービス受信端末に送信する。データ配信装置は、電話端末からのサービス認証番号を受信し、当該サービス認証番号と、生成によって得られたサービス認証番号と、が一致した場合にのみサービスデータをサービス受信端末に送信する。これにより、個人のアカウント及びパスワードを公共の場に設置されたサービス受信装置に入力することから生じる個人認証情報の漏洩の危険を冒すことなく認証処理をなし、正当な利用者に対してサービスデータを配信することができる。
【0061】
サービス管理テーブルには電話端末識別子(電話番号)が記憶されており、データ配信装置の管理者は、これに基づいてサービスの利用者を特定することができる。また、電話端末識別子にはサービス種別識別子とサービスデータ配信開始及び終了時刻とが対応付けられており、管理者はこれらの情報に基づいて利用者毎のサービス利用内容に応じて適切に課金できるような情報管理が可能となる。
【0062】
本実施例は、サービス認証データを1658947などのサービス認証番号とした場合の例であり、データ配信装置がサービス認証番号をサービス受信装置に送信し、サービスの利用者がプッシュボタンの押下によりサービス認証番号をPB信号としてデータ配信装置に通知することにより認証処理を実現したが、認証処理は他の手段によってなされても良い。
【0063】
例えばデータ配信装置は、サービス認証データとして正方形の点を縦横に並べたマトリックス型の2次元コードであるQR(Quick Response)コードなどの画像データをサービス受信装置に送信し、サービスの利用者がサービス受信装置の表示部に表示されたQRコードを、電話端末に付属されているカメラの撮像機能により撮像して、得られた画像データをデータ配信装置に送信することにより、認証処理を実現しても良い。
【0064】
この場合、制御部13は電話端末からの画像データの入力に応じて、当該画像データを解析する画像データ解析手段を含み、当該解析の結果に基づいてサービス認証の判断をなす。サービス認証データとして認証番号に比較して情報量の多いQRコードなどを利用することにより、認証処理をより厳密に行うことができる。カメラによる撮像はプッシュボタン押下によるサービス認証番号の入力に比較して操作手順が簡単なため、サービス提供時における利用者の操作性及び利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明によるデータ配信装置を表すブロック図である。
【図2】認証電話番号送信処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図3】サービス種別テーブルの一例を表す図である。
【図4】認証電話番号テーブルを表す図である。
【図5】サービス認証番号送信処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図6】サービス認証番号テーブルを表す図である。
【図7】サービスデータ配信処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図8】サービス管理テーブルを表す図である。
【図9】認証電話番号の送信処理を表すシーケンス図である。
【図10】サービス電話信号などの送受信経路を表す図である。
【図11】サービス認証番号の送信処理を表すシーケンス図である。
【図12】サービス認証信号などの送受信経路を表す図である。
【図13】サービス情報の配信処理を表すシーケンス図である。
【図14】サービス情報データなどの送受信経路を表す図である。
【図15】サービス停止指令などの送受信経路を表す図である。
【符号の説明】
【0066】
100 データ配信装置
10 管理部
11 信号受信部
12 呼接続部
13 制御部
14 サービス種別テーブル
15 認証電話番号テーブル
16 サービス認証番号テーブル
17 サービス管理テーブル
20 サービスデータ配信部
200 サービス受信端末
300 電話端末
400 通信事業者網
500 携帯電話事業者網
600 公衆電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信端末からの配信要求に応じてサービスデータを配信するデータ配信装置であって、
前記配信要求に応じて認証電話番号データを前記受信端末に送信する認証電話番号送信手段と、
前記認証電話番号データが表す認証電話番号に基づく電話端末からの着信呼に応じて前記電話端末との間に通信路を設定する通信路設定手段と、
送信サービス認証データを生成してこれを前記受信端末に送信するサービス認証データ生成送信手段と、
前記通信路を介して前記電話端末からの受信サービス認証データを受信するサービス認証データ受信手段と、
前記送信サービス認証データと前記受信サービス認証データとが一致したと判別した場合にのみサービス認証の判定を下すサービス認証手段と、
前記サービス認証手段が前記サービス認証の判定を下した場合にのみ前記受信端末へ前記サービスデータを配信するデータ配信手段と、を含むことを特徴とするデータ配信装置。
【請求項2】
少なくとも1つのサービス種別識別子の各々に固有の認証電話番号を対応付けて記憶するサービス種別テーブルと、
前記配信要求に含まれているサービス種別識別子を抽出するサービス種別識別子抽出手段と、を含み、
前記認証電話番号送信手段は、前記識別子抽出手段により抽出されたサービス種別識別子に対応する認証電話番号を前記サービス種別テーブルから選択しこれをデータ化して前記認証電話番号データとすることを特徴とする請求項1に記載のデータ配信装置。
【請求項3】
前記配信要求に含まれている前記受信端末の受信端末識別子を抽出する受信端末識別子抽出手段と、
前記認証電話番号と前記受信端末識別子とを対応付けて記憶する認証電話番号テーブルと、を含み、
前記サービス認証データ生成送信手段は、前記着信呼の認証電話番号に対応する受信端末識別子を前記認証電話番号テーブルから選択し当該受信端末識別子に対応する受信端末を送信先の受信端末とすることを特徴とする請求項1に記載のデータ配信装置。
【請求項4】
前記送信サービス認証データと前記認証電話番号とを対応付けて記憶するサービス認証データテーブルを含み、
前記サービス認証手段は、前記着信呼の認証電話番号に対応する送信サービス認証データを前記サービス認証データテーブルから選択してこれと前記受信サービス認証データとが一致しするか否かを判別することを特徴とする請求項1に記載のデータ配信装置。
【請求項5】
前記着信呼から発信元電話端末の電話端末識別子を判別する電話端末識別子判別手段と、
前記データ配信手段によるデータ配信の開始及び終了に応じて当該開始及び終了の時刻を記録する配信時刻記録手段と、
前記電話端末識別子と、前記着信呼の認証電話番号に対応するサービス種別識別子と、前記開始及び終了の時刻と、を対応付けたサービス管理テーブルを生成しこれを出力するサービス管理テーブル生成出力手段と、を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のデータ配信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−118131(P2009−118131A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288303(P2007−288303)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】