説明

トナーカートリッジ

【課題】本発明は、限られた高さの範囲内でトナーの充填量を増大させることができ、交換頻度を少なくできるトナーカートリッジを得ることにある。
【解決手段】トナーカートリッジは、トナーを収容する第1のトナー収容部および第2のトナー収容部と、トナーを排出するトナー排出口と、第1のトナー収容部に収容され、トナーを攪拌するように第1のトナー収容部内で回転する第1の攪拌部材と、第2のトナー収容部に収容され、トナーを攪拌するように第2のトナー収容部内で回転する第2の攪拌部材と、第1のトナー収容部と第2のトナー収容部との間に設けられ、第1および第2の攪拌部材によって攪拌されたトナーをトナー排出口に向けて搬送する搬送部材と、を備えている。第2のトナー収容部の底は、第1のトナー収容部の底よりも下方において搬送部材の下端と同じ位置又は搬送部材の下端よりも高い位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つのトナー収容部を有するトナーカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、カラー複写機やプリンタのような画像形成装置は、現像器にトナーを供給するトナーカートリッジを備えている。トナーカートリッジは、画像形成装置のカートリッジ収容部に取り外し可能に装着されて、トナーカートリッジ内のトナーが使い尽くされた時に、ユーザが簡単に交換できるようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているトナーカートリッジは、トナーを収容する細長い筒状のカートリッジ本体と、カートリッジ本体の内部に収容された攪拌部材と、カートリッジ本体の底に配置されたスクリューとを備えている。カートリッジ本体は、トナーを充填する充填口と、トナーを現像器に向けて排出する排出口とを有する。攪拌部材は、カートリッジ本体内で回転することによりトナーを攪拌する。スクリューは、カートリッジ本体内で回転することにより、トナーを排出口に向けて搬送する。
【0004】
この種のトナーカートリッジでは、トナーの充填量を増やしてトナーカートリッジの交換頻度を少なくすることが望ましい。トナーの充填量を増やす方策として、カートリッジ本体の内部に二つのトナー収容部を形成することが試されている。二つのトナー収容部がカートリッジ本体の幅方向に並んでいる場合、トナー収容部の高さ(深さ)を大きくすることで、トナーの充填量を充分に確保することができる。
【特許文献1】特開2007−310146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トナーカートリッジが装着されるカートリッジ収容部は、画像形成部や用紙を搬送する搬送経路のような画像形成装置の主要な構成要素と隣り合っている。このため、画像形成装置の種類によっては、カートリッジ収容部の高さがカートリッジ収容部と隣り合う構成要素によって制限されることがある。
【0006】
カートリッジ収容部の高さが制限されてしまうと、トナーカートリッジの二つのトナー収容部の高さも制限されることになる。よって、トナーカートリッジの大容量化を図る上での妨げとなる。
【0007】
本発明の目的は、限られた高さの範囲内でトナーの充填量を増大させることができ、交換頻度を少なくできるトナーカートリッジを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係るトナーカートリッジは、
トナーを収容する第1のトナー収容部と、トナーを収容する第2のトナー収容部と、トナーを排出するトナー排出口と、上記第1のトナー収容部に収容され、上記第1のトナー収容部内で回転することによりトナーを攪拌する第1の攪拌部材と、上記第2のトナー収容部に収容され、上記第2のトナー収容部内で回転することによりトナーを攪拌する第2の攪拌部材と、上記第1のトナー収容部と上記第2のトナー収容部との間に設けられ、上記第1および第2の攪拌部材によって攪拌されたトナーを上記トナー排出口に向けて搬送する搬送部材と、を具備している。上記第2のトナー収容部の底は、上記第1のトナー収容部の底よりも下方において上記搬送部材の下端と同じ位置又は上記搬送部材の下端よりも高い位置にあることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1および第2のトナー収容部の高さ(深さ)を変えることで、限られた高さの範囲内でトナーの充填量を増大させることができる。そのため、トナーカートリッジの交換頻度を少なくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の実施の形態を、図1ないし図10にもとづいて説明する。
【0011】
図1は、例えば4連タンデム方式のカラー複写機のような画像形成装置1を概略的に示している。画像形成装置1は、装置本体2を備えている。装置本体2の上部に、原稿から文字等の画像情報を光学的に読み取るスキャナ3と、スキャナ3に原稿を自動的に送り込む自動原稿送り装置4と、排紙トレイ5が配置されている。
【0012】
装置本体2の下部に複数の給紙カセット6が配置されている。給紙カセット6は、搬送経路7を介して排紙トレイ5に接続されている。搬送経路7は、給紙カセット6に収容された用紙を一枚づつ排紙トレイ5に導くためのものである。搬送経路7は、給紙カセット6から上向きに延びる第1の経路7aと、第1の経路7aの上端から排紙トレイ5に向けて水平に延びる第2の経路7bとを有する。第1の経路7aに下方から順に複数の給紙ローラ9、レジストローラ10、転写ローラ11および定着器12が配置されている。第2の経路7bに複数の排紙ローラ13が配置されている。
【0013】
図1に示すように、画像形成部15が装置本体2の中段に配置されている。画像形成部15は、ブラック画像を形成するための第1の画像形成ユニット16、シアン画像を形成するための第2の画像形成ユニット17、マゼンダ画像を形成するための第3の画像形成ユニット18およびイエロー画像を形成するための第4の画像形成ユニット19を備えている。第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19は、装置本体2の幅方向に沿うように水平に一列に並んでいる。
【0014】
第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19は、夫々感光体ドラム20と、感光体ドラム20の外周面を一様に帯電させる帯電器21と、感光体ドラム20の外周面に形成された静電潜像をトナーで現像する現像器22と、感光体ドラム20上のトナー像を中間転写ベルト23に転写させる中間転写ローラ24とを備えている。帯電器21、現像器22および中間転写ローラ24は、感光体ドラム20を取り囲むように配置されている。
【0015】
中間転写ベルト23は、複数のローラ25の間に無端状に巻き掛けられて、第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19の上方に配置されている。中間転写ベルト23は、第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19の並び方向に沿って水平に走行する水平走行部26を有する。水平走行部26は、第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19の感光体ドラム20と中間転写ローラ24との間を通過している。さらに、中間転写ベルト23は、一つのローラ25を介して搬送経路7上の転写ローラ11に押し付けられている。
【0016】
図1に示すように、装置本体2は、カートリッジ収容部27を備えている。カートリッジ収容部27は、搬送経路7の第2の経路7bと中間転写ベルト23との間に設けられている。カートリッジ収容部27は、画像形成装置1の種類によっては高さ制限が厳しくなる傾向にある。
【0017】
第1ないし第4のトナーカートリッジ28,29,30,31がカートリッジ収容部27に取り外し可能に収容されている。第1のトナーカートリッジ28は、黒色のトナーを第1の画像形成ユニット16の現像器22に供給する。第2のトナーカートリッジ29は、青緑色のトナーを第2の画像形成ユニット17の現像器22に供給する。第3のトナーカートリッジ30は、赤紫色のトナーを第3の画像形成ユニット18の現像器22に供給する。第4のトナーカートリッジ31は、黄色のトナーを第4の画像形成ユニット19の現像器22に供給する。
【0018】
第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19の下方にレーザユニット33が配置されている。レーザユニット33は、第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19の感光体ドラム20に画像情報に応じた光を照射する。この結果、第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19の感光体ドラム20の外周面に、現像すべき色の静電潜像が形成される。
【0019】
このような画像形成装置1によると、第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19の感光体ドラム20の外周面に形成された静電潜像は、現像器22で所望する色のトナーにより現像されて、トナー像として可視化される。第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19により形成された四色のトナー像は、中間転写ローラ24を介して中間転写ベルト23に順次転写されるとともに、この中間転写ベルト23の上で重ね合わされる。
【0020】
中間転写ベルト23に対する四色のトナー像の重ね合わせが完了すると、一つの給紙カセット6から搬送経路7の第1の経路7aに供給された用紙がレジストローラ10を介して中間転写ベルト23の位置に導かれる。これにより、中間転写ベルト23の上で重ね合わされた四色のトナー像が転写ローラ11を介して用紙に転写される。用紙に転写されたフルカラー画像は、定着器12により用紙に定着される。フルカラー画像が定着された用紙は、搬送経路7の第2の経路7bを通じて排紙トレイ5に導かれる。
【0021】
次に、第1ないし第4の画像形成ユニット16〜19にトナーを供給する第1ないし第4のトナーカートリッジ28〜31について説明する。第2ないし第4のトナーカートリッジ29〜31は、上記特許文献1に開示されたトナーカートリッジと同様の構成を有する。このため、第2ないし第4のトナーカートリッジ29〜31については、その詳細な説明を省略する。
【0022】
黒色のトナーを収容する第1のトナーカートリッジ28は、第2ないし第4のトナーカートリッジ29〜31との比較においてトナーの消耗が早い。そのため、第1のトナーカートリッジ28は、交換頻度を少なくするためトナーの充填量を増大させる構成が採用されている。以下、第1のトナーカートリッジ28について詳細に説明する。
【0023】
図2ないし図5に示すように、第1のトナーカートリッジ28は、合成樹脂製のカートリッジ本体35を備えている。カートリッジ本体35は、画像形成装置1の奥行き方向に沿う長軸L1と、画像形成装置1の幅方向に沿う短軸S1とを有する細長い箱状である。カートリッジ本体35は、画像形成装置1の前面からカートリッジ収容部27に取り出し可能に挿入される。
【0024】
カートリッジ本体35は、容器36とトップカバー37とで構成されている。容器36は、左右の側壁38a,38b、底壁39、後壁40、前壁41および開口部42を有する細長い箱状である。側壁38a,38bは、カートリッジ本体35の長軸L1に沿って延びるとともに、短軸S1の方向に互いに向かい合っている。底壁39は、側壁38aの下端と側壁38bの下端との間に跨っている。後壁40は、カートリッジ本体35の長軸L1の方向に沿う一端に位置している。前壁41は、カートリッジ本体35の長軸L1の方向に沿う他端に位置している。開口部42は、側壁38a,38bの上縁、後壁40の上縁および前壁41の上縁により規定された長方形の開口形状を有するとともに、底壁39と向かい合っている。
【0025】
カートリッジ本体35の後壁40は、カートリッジ本体35を画像形成装置1のカートリッジ収容部27に挿入した時に、カートリッジ収容部27の終端に位置する図示しないカップリングと向かい合う。カップリングは、画像形成装置1の装置本体2に設けられた駆動装置によって駆動される。
【0026】
トップカバー37は、容器36の開口部42を密閉している。トップカバー37は、容器36と協働してカートリッジ本体35の内側に黒色のトナーを収容するためのトナー室43を構成している。トップカバー37は、トナー室43に露出するフラットな内面37aを有している。
【0027】
図2ないし図4に示すように、容器36の前壁41に凹部44が形成されている。凹部44は、前壁41から後壁40に向けて凹んでいる。そのため、カートリッジ本体35の前端部は、階段状に形成されている。
【0028】
容器36の前壁41に充填口45およびハンドル46が形成されている。充填口45は、黒色のトナーをトナー室43に充填するためのものであり、凹部44と隣り合っている。充填口45は、トナーの充填が完了した後、キャップ47により密閉されている。ハンドル46は、カートリッジ本体35をカートリッジ収容部27から引き出す時に、手の指先を引っ掛けるためのものである。ハンドル46は、充填口45の周囲に位置するとともに、前壁41からカートリッジ本体35の長軸L1の方向に突出している。
【0029】
図5、図8および図9に示すように、トナー室43は、第1のトナー収容部50aおよび第2のトナー収容部50bを有する。第1および第2のトナー収容部50a,50bは、カートリッジ本体35の長軸L1に沿って延びているとともに、カートリッジ本体35の短軸S1の方向に隣り合うように並んでいる。容器36の充填口45は、第1のトナー収容部50aの前端に開口している。容器36の凹部44は、第2のトナー収容部50bの前端に位置している。そのため、第2のトナー収容部50bは、凹部44の分だけ第1のトナー収容部50aよりもカートリッジ本体35の長軸L1の方向に沿う長さ寸法が短くなっている。
【0030】
図8および図9に示すように、容器36の底壁39は、第1のトナー収容部50aの底となる第1の底部51aと、第2のトナー収容部50bの底となる第2の底部51bとを有する。第1および第2の底部51a,51bは、互いに隣り合うとともに、容器36の下方に向けて張り出すように円弧状に湾曲している。本実施の形態によると、第1の底部51aの曲率と第2の底部51bの曲率は、互いに同等である。
【0031】
第2の底部51bは、第1の底部51aよりも容器36の下方に向けて張り出している。このため、第2の底部51bは、第1の底部51aよりも低い位置に設けられている。
【0032】
第1のトナー収容部50aの深さ寸法D1は、トップカバー37の内面37aと第1の底部51aの最下部との間で規定されている。同様に、第2のトナー収容部50bの深さ寸法D2は、トップカバー37の内面37aと第2の底部51bの最下部との間で規定されている。第2のトナー収容部50bの深さ寸法D2は、第1のトナー収容部50aの深さ寸法D1よりも大きい。
【0033】
言い換えると、カートリッジ本体35は、第1のトナー収容部50aに対応する箇所の高さと第2のトナー収容部50bに対応する箇所の高さが互いに異なっている。これにより、容器36の凹部44の分だけ第2のトナー収容部50bの長さ寸法が短いにも拘らず、第2のトナー収容部50bに充填されるトナーの量を充分に確保できる。
【0034】
図8および図9に示すように、容器36は、トナー搬送部52を有している。トナー搬送部52は、容器36の底壁39に形成された溝53によって規定されている。溝53は、第1のトナー収容部50aの第1の底部51aと第2のトナー収容部50bの第2の底部51bとの間に設けられているとともに、カートリッジ本体35の長軸L1の方向に沿って真っ直ぐに延びている。溝53は、トナー室43に開口している。
【0035】
容器36の底壁39は、トナー搬送部52の底となる第3の底部54を有している。第3の底部54は、容器36の下方に向けて張り出すように円弧状に湾曲されているとともに、第1および第2の底部51a,51bよりも容器36の下方に張り出している。
【0036】
第3の底部54は、図9に示すトナー排出口55を有している。トナー排出口55は、トナー室43に充填されたトナーをカートリッジ本体35の外に排出するためのものである。トナー排出口55は、容器36の前壁41に隣接する位置に設けられているとともに、シャッター56によって開閉される。
【0037】
容器36の底壁39を容器36の外側から見た場合に、第1の底部51aと第3の底部54との間の境界は、第1の窪み部57によって規定されている。同様に、第2の底部51bと第3の底部54との間の境界は、第2の窪み部58によって規定されている。第1および第2の窪み部57,58は、容器36の下方に向けて開口するとともに、カートリッジ本体35の長軸L1に沿って真っ直ぐに延びている。
【0038】
容器36の底壁39を容器36の内側から見た場合、上記第1の窪み部57は、底壁39から上向きに突出する第1の突起部60を構成している。同様に、上記第2の窪み部58は、底壁39から上向きに突出する第2の突起部61を構成している。第1の突起部60は、カートリッジ本体35の長軸L1に沿って真っ直ぐに延びて、第1の底部51aと第3の底部54との間を仕切っている。上記第2の突起部61は、カートリッジ本体35の長軸L1に沿って真っ直ぐに延びて、第2の底部51bと第3の底部54との間を仕切っている。第3の底部54に対する第2の突起部61の高さは、第3の底部54に対する第1の突起部60の高さよりも高くなっている。第1および第2の突起部60,61は、溝53を間に挟んで互いに向かい合っている。
【0039】
図3ないし図5に最もよく示されるように、第1のトナーカートリッジ28は、トナー室43に充填されたトナーをトナー排出口55に搬送するスクリュー63と、トナー室43に充填されたトナーを攪拌する攪拌機構64と、をさらに備えている。
【0040】
スクリュー63は、搬送部材の一例である。スクリュー63は、回転軸65と、回転軸65の外周面に形成された螺旋状の案内羽66とを有する。図8および図9に示すように、スクリュー63は、溝53に収容されて第1の突起部60と第2の突起部61との間からトナー室43の底に露出している。スクリュー63は、トナー排出口55の上を横切っている。スクリュー63の回転軸65は、容器36の後壁40と前壁41との間に跨ることで、容器36に回転自在に支持されている。
【0041】
トナー搬送部52の底となる第3の底部54は、スクリュー63の案内羽66の外周縁が描く回転軌跡に沿うように円弧状に湾曲している。さらに、第2のトナー収容部50bの第2の底部51bの最下部は、スクリュー63の回転中心となる回転軸65よりも低い位置にある。本実施の形態によると、第2の底部51bの最下部は、スクリュー63の外周縁の下端と同じ高さ位置、又はスクリュー63の下端よりもやや高い位置にあることが望ましい。
【0042】
スクリュー63の回転軸65の後端にシールリング68を介して駆動歯車69が同軸状に固定されている。駆動歯車69は、容器36の後壁40の外側に位置している。図10に示すように、駆動歯車69は、一対の係合突起69a,69bを有する。係合突起69a,69bは、第1のトナーカートリッジ28をカートリッジ収容部27に挿入した時に、カートリッジ収容部27内のカップリングと噛み合う。この噛み合いにより、スクリュー63が駆動装置のトルクを受けて回転するようになっている。
【0043】
攪拌機構64は、第1および第2の攪拌部材70,71と、第1および第2の歯車72,73とを有する。第1の攪拌部材70は、第1のトナー収容部50aに配置されている。第1の攪拌部材70は、回転軸74と、パドル部75とを含む。回転軸74は、容器36の後壁40と前壁41との間に跨っている。パドル部75は、複数の棒状部材をトラス状に組み立てたものであり、回転軸74の軸方向に延びる二本の外枠76a,76bを有する。外枠76a,76bは、回転軸74と平行に配置されているとともに、回転軸74を間に挟んで互いに向かい合っている。そのため、パドル部75は、回転軸74を直径方向に横断するような形状を有している。
【0044】
第1の攪拌部材70は、回転軸74を介して容器36に支持されて、回転軸74を中心に回転する。第1の攪拌部材70が回転すると、パドル部75の外枠76a,76bが第1のトナー収容部50aの第1の底部51aとの間に僅かな隙間を存して移動する。そのため、第1の底部51aは、外枠76a,76bが描く回転軌跡R1に沿うように湾曲している。
【0045】
さらに、パドル部75は、螺旋状の搬送羽77を有している。搬送羽77は、トナー排出口55の真横に位置して、トナーをトナー排出口55に向けて送り込む。
【0046】
第2の攪拌部材71は、第2のトナー収容部50bに配置されている。第2の攪拌部材71は、回転軸79とパドル部80とを含む。回転軸79は、容器36の後壁40と前壁41の凹部44との間に跨っている。パドル部80は、複数の棒状部材をトラス状に組み立てたものであり、回転軸79の軸方向に延びる二本の外枠81a,81bを有する。外枠81a,81bは、回転軸79と平行に配置されているとともに、回転軸79を間に挟んで互いに向かい合っている。そのため、パドル部80は、回転軸79を直径方向に横断するような形状を有している。
【0047】
第2の攪拌部材71は、回転軸79を介して容器36に支持されて、回転軸79を中心に回転する。第2の攪拌部材71が回転すると、パドル部80の外枠81a,81bが第2のトナー収容部50bの第2の底部51bとの間に僅かな隙間を存して移動する。そのため、第2の底部51bは、外枠81a,81bが描く回転軌跡R2に沿うように湾曲している。
【0048】
第1の攪拌部材70のパドル部75および第2の攪拌部材71のパドル部80は、基本的に同一の構成を有し、回転軸74,79の径方向に沿う長さが同等となっている。図5に示すように、第1の攪拌部材70と第2の攪拌部材71は、カートリッジ本体35の短軸S1の方向に互いに間隔を存して平行に配置されている。第1の攪拌部材70の回転軸74と第2の攪拌部材71の回転軸79との間の軸間距離Xは、回転するパドル部75,80が互いに干渉しないような値に設定されている。
【0049】
第2の攪拌部材71の回転軸79は、第1の攪拌部材70の回転軸74よりも下方にずれている。これにより、第2のトナー収容部50bの第2の底部51bが第1のトナー収容部50aの第1の底部51aよりも容器36の下方に張り出しているにも拘らず、第2の底部51bとパドル部80の外周部との間の間隔が第1の底部51aとパドル部75の外周部との間の間隔と同等に保たれている。
【0050】
さらに、本実施の形態によると、第1の攪拌部材70の回転中心O1からスクリュー63の回転中心O2までの距離A1は、第2の攪拌部材71の回転中心O3からスクリュー63の回転中心O2までの距離A2よりも短くなっている。したがって、図8および図9に示すように、第1の攪拌部材70のパドル部75が水平となった時、パドル部75の外周部がスクリュー63の真上に位置している。言い換えると、第1の攪拌部材70の外周部が描く回転軌跡R1がスクリュー63の真上を通過している。
【0051】
第1の攪拌部材70の一方の外枠76aにスクレーパ82が取り付けられている。スクレーパ82は、パドル部75の全長に亘って延びている。スクレーパ82は、第1の攪拌部材70が回転した時に、第1のトナー収容部50aの第1の底部51aに接触しながら移動する。
【0052】
第2の攪拌部材71の一方の外枠81aにスクレーパ83が取り付けられている。スクレーパ83は、パドル部80の全長に亘って延びている。スクレーパ83は、第2の攪拌部材71が回転した時に、第2のトナー収容部50bの第2の底部51bに接触しながら移動する。
【0053】
図10に示すように、第1および第2の歯車72,73は、例えば円盤状をなす共通の部品であり、容器36の後壁40の外側に配置されている。第1の歯車72は、第1の攪拌部材70の回転軸74の後端に同軸状に固定されている。第2の歯車73は、第2の攪拌部材71の回転軸79の後端に同軸状に固定されている。回転軸74,79に対する第1および第2の歯車72,73の固定構造は互いに共通となっているので、第1の歯車72と回転軸74との固定構造を代表して説明する。
【0054】
図6に示すように、第1の歯車72は、その回転中心部に筒状の嵌合部85を有する。嵌合部85は、後壁40に開けた軸受孔86を貫通するとともに、回転軸74の後端に形成した嵌合孔87に嵌め込まれている。これにより、第1の歯車72が回転軸74に一体的に結合されて、この回転軸74と一緒に回転するようになっている。嵌合部85は、ワッシャ88およびシールリング89を貫通している。シールリング89は、後壁40と第1の歯車72との間に介在されて、軸受孔86からのトナーの漏洩を防いでいる。
【0055】
図2および図10に示すように、第1および第2の歯車72,73は、容器36の外側で互いに噛み合っている。この噛み合いにより、第1および第2の攪拌部材70,71が互いに同期して逆回転するようになっている。本実施の形態では、第1の攪拌部材70は、図8に矢印Yで示す反時計回り方向に回転し、第2の攪拌部材71は、図8に矢印Zで示す時計回り方向に回転する。
【0056】
画像形成装置1の駆動装置のトルクがカップリングから駆動歯車69に伝わると、駆動歯車69を介してスクリュー63が回転する。さらに、駆動歯車69は、第1の歯車72と噛み合っている。このため、駆動装置のトルクが駆動歯車69から第1および第2の歯車72,73を通じて第1および第2の攪拌部材70,71に伝わり、第1および第2の攪拌部材70,71が回転する。第1および第2の攪拌部材70,71は、第1および第2のトナー収容部50a,50b内のトナーを攪拌するとともに、トナーをスクリュー63に向けて送り出す。
【0057】
第1および第2の攪拌部材70,71に固定されたスクレーパ82,83は、第1および第2のトナー収容部50a,50bの第1および第2の底部51a,51bに接しながら移動する。このため、第1および第2の攪拌部材70,71と第1および第2の底部51a,51bとの間の隙間に位置するトナーや第1および第2の底部51a,51bに付着したトナーをスクレーパ82,83によってスクリュー63の方向に掻き出すことができる。よって、第1および第2のトナー収容部50a,50bに充填されたトナーを無駄なく有効にスクリュー63に供給することができる。
【0058】
スクリュー63は、第1および第2の攪拌部材70,71から送られるトナーをトナー排出口55に向けて搬送する。トナー排出口55に搬送されてきたトナーは、トナー排出口55から第1の画像形成ユニット16の現像器22に供給される。
【0059】
図10に示すように、第1および第2の歯車72,73は、カートリッジ本体35の外に露出する円形の端面72a,73aを有する。端面72a,73aの中央部に夫々円筒体91が一体に形成されている。円筒体91は、第1および第2の歯車72,73の端面72a,73aからカートリッジ本体35とは逆方向に同軸状に突出している。円筒体91は、例えば上記特許文献1に開示されたトナーカートリッジと同様の手法で第1のトナーカートリッジ28の種類を光学的に検出するためのものである。
【0060】
具体的には、円筒体91は、四つのスリット92を有する。スリット92は、円筒体91の軸方向に延びるとともに、円筒体91の周方向に等間隔に並んでいる。円筒体91は、第1のトナーカートリッジ28を画像形成装置1のカートリッジ収容部27に挿入した時に、カートリッジ収容部27の終端に配置された光検出器(図示せず)と合致する。
【0061】
上記特許文献1に開示されているように、光検出器は、発光素子と受光素子とを含んでいる。発光素子と受光素子は、互いに間隔を存して向かい合っている。発光素子は、円筒体91の回転中心部に位置するとともに、受光素子は円筒体91の外側に位置している。
【0062】
円筒体91が第1および第2の歯車72,73と一緒に回転すると、スリット92が発光素子と受光素子との間を次々に通過する。受光素子は、スリット92が受光素子と発光素子との間に介在された時に、発光素子からの光を受ける。光検出器は、受光素子が発光素子からの光を受けた時に第1の信号を制御部に出力し、発光素子から受光素子に向かう光が円筒体91によって遮られた時に、第2の信号を制御部に出力する。
【0063】
制御部は、光検出器が第1の信号を出力した時の時間Lおよび第2の信号を出力した時の時間Hを検出する。さらに、制御部は、時間L/時間Hの値が予め決められた値の範囲内にある時に、第1のトナーカートリッジ28が製造元が推奨する純正品であると判定する。時間L/時間Hの値が予め決められた値の範囲を外れている時に、制御部は、第1のトナーカートリッジ28が純正品でないと判定する。この制御部による判定結果は、画像形成装置1のコントロールパネル上に表示される。
【0064】
本発明の実施の形態によると、第1のトナーカートリッジ28のカートリッジ本体35は、第1および第2のトナー収容部50a,50bを有している。第1および第2のトナー収容部50a,50bは、カートリッジ本体35の長軸L1の方向に延びるとともに、短軸S1の方向に並んでいる。そのため、第1のトナーカートリッジ28は、従来の筒形のカートリッジが二つ並んだ形態となり、その分、トナーの充填量が倍増する。
【0065】
さらに、第1のトナーカートリッジ28のカートリッジ本体35は、第2のトナー収容部50bに対応する箇所の高さ(深さ寸法D2)が、第1のトナー収容部50aに対応する箇所の高さ(深さ寸法D1)よりも大きくなっている。
【0066】
これにより、第1のトナーカートリッジ28が挿入されるカートリッジ収容部27に高さ制限が課せられていた場合でも、トナーの充填量を充分に確保できる。したがって、第1のトナーカートリッジ28の交換頻度を少なくすることができ、画像形成装置1のメンテナンスが容易となる。
【0067】
一方、本実施の形態の第1のトナーカートリッジ28によると、第1の攪拌部材70と第2の攪拌部材71は、回転軸74に固定した第1の歯車72と、回転軸79に固定した第2の歯車73とを噛み合わせることで互いに同期して回転する。しかも、第1および第2の歯車72,73は、同じ大きさの共通の部品であるので、第1の攪拌部材70と第2の攪拌部材71との間の軸間距離Xは、固定的に定まっている。
【0068】
このような構成を有する第1のトナーカートリッジ28において、第1のトナー収容部50aの深さ寸法D1を第2のトナー収容部50bの深さ寸法D2と同等とすれば、トナーの充填量をより増やすことが可能となる。
【0069】
これを実現するためには、第1のトナー収容部50aの第1の底部51aを第2のトナー収容部50bの第2の底部51bと同等の位置まで低くするとともに、この第1の底部51aの位置に対応するように第1の攪拌部材70の位置も低くすることが必要となる。しかしながら、スクリュー63が第1の攪拌部材70の外周部の真下に位置するので、第1の攪拌部材70を下げると、パドル部75とスクリュー63とが干渉し合うといった問題が発生する。
【0070】
加えて、第1の底部51aと第3の底部54との間を仕切る第1の突起部60の高さを確保することもできなくなる。これにより、トナー搬送部52と第1のトナー収容部50aの底との間の仕切りが不明確となって、スクリュー63が回転した時にトナー搬送部52に沿って送られるトナーが第1のトナー収容部50aに逃げてしまう。このため、トナーの充填量を増やすことはできても、トナーの円滑な搬送が妨げられてしまう。よって、第1の画像形成ユニット16に効率よくトナーを供給することができなくなる。
【0071】
これに対し、上記実施の形態では、第2のトナー収容部50bの第2の底部51bのみを低くしているので、第1の攪拌部材70がスクリュー63と干渉することもない。加えて、第1の底部51aと第3の底部54との間の高低差を維持できるので、第1のトナー収容部50aの底とトナー搬送部52との間を仕切る第1の突起部60の高さを確保できる。
【0072】
このため、スクリュー63が回転してトナーを搬送する時に、トナーがトナー搬送部52から第1のトナー収容部50aに逃げるのを防止できる。よって、トナー搬送部52内のトナーをトナー排出口55に効率よく導くことができる。
【0073】
このことから、第1のトナー収容部50aの底と第2のトナー収容部50bの底との間にスクリュー63が位置する第1のトナーカートリッジ28において、トナーの搬送を妨げることなくトナーの充填量を増やすことができる。したがって、第1のトナーカートリッジ28の交換頻度を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置を概略的に示す側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るトナーカートリッジの斜視図。
【図3】本発明の実施の形態に係るトナーカートリッジを分解して示す斜視図。
【図4】本発明の実施の形態において、第1および第2の攪拌部材およびスクリューを収容した容器の斜視図。
【図5】本発明の実施の形態において、第1および第2の攪拌部材およびスクリューを収容した容器の平面図。
【図6】図5のF6-F6線に沿う断面図。
【図7】図5のF7-F7線に沿う断面図。
【図8】図5のF8-F8線に沿う断面図。
【図9】図5のF9-F9線に沿う断面図。
【図10】本発明の実施の形態において、第1および第2の歯車が互いに噛み合った状態を示すトナーカートリッジの斜視図。
【符号の説明】
【0075】
16…画像形成ユニット(第1の画像形成ユニット)、22…現像器、28…トナーカートリッジ(第1のトナーカートリッジ)、50a…第1のトナー収容部、50b…第2のトナー収容部、51a…第1の底部、51b…第2の底部、54…第3の底部、55…トナー排出口、63…搬送部材(スクリュー)、70…第1の攪拌部材、71…第2の攪拌部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する第1のトナー収容部と、
トナーを収容する第2のトナー収容部と、
トナーを排出するトナー排出口と、
上記第1のトナー収容部に収容され、上記第1のトナー収容部内で回転することによりトナーを攪拌する第1の攪拌部材と、
上記第2のトナー収容部に収容され、上記第2のトナー収容部内で回転することによりトナーを攪拌する第2の攪拌部材と、
上記第1のトナー収容部と上記第2のトナー収容部との間に設けられ、上記第1および第2の攪拌部材によって攪拌されたトナーを上記トナー排出口に向けて搬送する搬送部材と、を具備し、
上記第2のトナー収容部の底は、上記第1のトナー収容部の底よりも下方において上記搬送部材の下端と同じ位置又は上記搬送部材の下端よりも高い位置にあることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記第1のトナー収容部の底と上記第2のトナー収容部の底との間に設けられたトナー搬送部をさらに備えており、上記トナー搬送部は、上記搬送部材を収容するとともに上記トナー排出口を有し、上記第1のトナー収容部の底と上記トナー搬送部との間に、上記第1のトナー収容部の底と上記トナー搬送部との間を仕切るように上向きに突出する第1の突起部が設けられ、上記第2のトナー収容部の底と上記トナー搬送部との間に、上記第2のトナー収容部の底と上記トナー搬送部との間を仕切るように上向きに突出する第2の突起部が設けられていることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項3】
請求項2の記載において、上記第2の突起部は、上記第1の突起部よりも高く、上記搬送部材は、上記第1の突起部と上記第2の突起部との間に配置されていることを特徴とするトナーカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−108566(P2012−108566A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−59301(P2012−59301)
【出願日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【分割の表示】特願2008−225041(P2008−225041)の分割
【原出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】