説明

トナー圧縮防止機構を備えた画像形成装置

【課題】トナーカートリッジの交換時に発生しやすいリザーブタンク内のトナーの圧縮を防止するトナー圧縮防止機構を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーカートリッジ28はトナーを搬送するトナー搬送機構61の始端部の開口部に始端部シャッタ63を備え、終端部の開口部には終端部シャッタ64を備えている。トナー残量検知センサ55がトナー無しを検知して新たなトナーカートリッジ28がリザーブタンク27に装着されたときリザーブタンク27に連結された各シャッタ63、64が開放されトナーカートリッジ28のトナー搬送機構61とリザーブタンク27のトナー搬送機構67が駆動されるが、転写ベルトユニット3を回り込んで配置されているトナー補給路69の先の現像器14のシャッタ71は閉じている。トナー補給路69からトナーが溢れるようになると終端部シャッタ64を通ってトナーカートリッジ28に還流する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーカートリッジ、リザーブタンク、及び現像器で構成されるトナー供給系において、トナーカートリッジの交換時に発生しやすいリザーブタンク内のトナーの圧縮を防止するトナー圧縮防止機構を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置には、一成分現像剤(トナー)を用いる方式のものと、二成分現像剤を用いる方式のものとがある。一成分現像剤を用いる方式は、取り扱いと制御が比較的容易であるため、現像剤としては一成分トナーが主流を占めていた。
【0003】
しかし近年のように、印刷(以下、印字ともいう)処理の高速化に対する要望が強まってくると、印刷処理の高速化にはトナーとキャリアから成る二成分現像剤を用いる方式の方がよく対応できるため二成分現像剤を用いた画像形成装置が種々提案されるようになった。
【0004】
一般に、二成分系現像剤はトナーとキャリアで構成されている。現像器内ではトナーのみが消費され、キャリアは繰り返し使用される。なお、キャリアは現像器内におけるトナーとの攪拌によって表面の樹脂被覆層の剥離や脱落が生じて経時的に劣化するという問題を有している。
【0005】
この問題の改善策として、表面の樹脂被覆層の剥離や脱落が生じて機能が低下した古いキャリアを新しいキャリアと入替えて、トナーの被着性を再生させ、現像装置の長寿命化を図る方法として、一般にトリクル現像といわれている現像方法も提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
この特許文献1では、ユーザの操作性を向上させるために、リザーブタンクを設けることで、トナーカートリッジのトナー残量が無くなった場合においても、すぐにトナーカートリッジの交換を必要とせず、リザーブタンク内のトナーを使用することで他の色のトナーカートリッジのトナーがなくなった時に、同時に交換するようにした画像形成装置として提案されている。
【0007】
一般に、トナーカートリッジもリザーブタンクも、細長い形状で用紙の幅方向に延在して配置される部材である。そして、トナーカートリッジとリザーブタンクの内部には、それぞれ、回転シャフトとこの回転シャフトに固設された螺旋状フィンからなるトナー搬送機構が内蔵されている。
【0008】
このトナー搬送機構のギアが画像記録装置本体側の駆動ギアに係合して、トナーカートリッジとリザーブタンクそれぞれの内部のトナーを搬送するようになっている。
【0009】
なお、トナーカートリッジのトナー補給口にはシャッタが設けられている。これは、トナーカートリッジの着脱の際に残留トナーが外部に飛散しないようにするためである。また、リザーブタンクに連結されている現像器のトナー受入れ口にもシャッタが設けられている。これは、リザーブタンクの供給口から供給路を通って現像器に供給されるトナー量を適正量に抑制するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−241868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上記のように、トナーカートリッジと現像部の間にリザーブタンクを設ける構成で、トナーカートリッジが空で且つリザーブタンク内のトナーが少なくなった状態では、トナーカートリッジを新品と交換する。
【0012】
この場合、一方では、現像器へのトナー補給動作ではないので、トナーが現像器内に入らないように現像器のャッタを閉じておく必要がある。他方では、リザーブタンク内にトナーの空隙を生じさせないようにトナーカートリッジ内のトナーをリザーブタンクに供給する必要がある。
【0013】
この場合、トナーカートリッジとリザーブタンクそれぞれのトナー搬送機構を駆動して内部のトナーを供給方向へ搬送する。このとき、リザーブタンク内に残っていたトナーは、現像器のシャッタが閉じた状態で搬送方向へ搬送されるので、現像器のシャッタ付近で圧縮されて大きな負荷を受ける場合ある。
【0014】
圧縮の程度が強いと、トナーに凝縮等の回復不能な損傷を与えるだけでなく、トナー搬送機構の螺旋状フィンが破損するおそれが多分にあるという解決すべき課題が残されていた。
【0015】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、二成分現像剤を用いる画像形成装置において、トナーカートリッジ、リザーブタンク、及び現像器で構成されるトナー供給系において、トナーカートリッジの交換時に発生しやすいリザーブタンク内のトナーの圧縮を防止するトナー圧縮防止機構を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明のトナー圧縮防止機構を備えた画像記録装置は、二成分現像剤にて現像を行う現像器と、該現像器内の上記二成分現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサと、該トナー濃度検知センサにより上記現像器内の上記二成分現像剤のトナー濃度が現像に適切なトナー濃度よりも低いことが検知されたとき、内蔵のトナー搬送機構によりトナー搬送路にトナーを送り出し該トナー搬送路を介して上記現像器にトナーを補給するリザーブタンクと、上記トナー搬送路と上記現像器との間に設置された現像器シャッタと、上記リザーブタンクに対し着脱自在に構成され、上記リザーブタンクにトナーを充填するために内蔵されているトナー搬送機構の始端部に始端部シャッタ及び終端部に終端部シャッタを備えたトナーカートリッジと、該トナーカートリッジのトナー残量を検知するトナー残量検知センサと、を少なくとも備え、上記トナー残量検知センサによりトナー残量無しが検知されたことによりトナー残量無しトナーカートリッジに代わって新品トナーカートリッジが上記リザーブタンクに装着されたとき、上記新品トナーカートリッジの上記始端部シャッタと上記終端部シャッタが共に開放されるように構成される。
【0017】
このトナー圧縮防止機構を備えた画像記録装置において、たとえば、上記現像器シャッタが閉鎖され、上記新品トナーカートリッジから上記リザーブタンクにトナーが充填されるとき、該リザーブタンク内のトナーが上記トナー搬送路から溢れたとき、溢れた上記トナーは上記始端部シャッタを通って上記新品トナーカートリッジ内に還流するように構成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明のトナー圧縮防止機構を備えた画像記録装置によれば、トナーカートリッジ、リザーブタンク、及び現像器で構成されるトナー供給系において、トナーカートリッジの交換時に発生しやすいリザーブタンク内のトナーの圧縮を防止するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】実施例1に係るプリンタの制御装置を含む回路ブロック図である。
【図3】実施例1に係るプリンタの画像形成部の現像装置及びトナー供給部のリザーブタンクとトナーカートリッジを分かりやすくそれぞれ1個のみ取り上げて転写ベルトと共に模式的に示す図である。
【図4】図3の左側方向から見た拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の実施例では、トナーとキャリアから成る二成分現像剤が使用されるが、以下の説明では二成分現像剤を単に現像剤という。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0022】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0023】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9m、9c、9y、9k)を多段式に並設した構成からなる。この画像形成部2は、図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0024】
上記4個の現像装置9のうち下流側(図の右側)の3個の現像装置9m、9c及び9yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0025】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)のトナー用の現像装置9kを例にしてその構成を説明する。
【0026】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0027】
現像器14は、外部を覆う筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、特には図示しないが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0028】
この現像器14には、トナー供給部4の詳しくは後述するリザーブタンク27から、同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーが供給される。
【0029】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0030】
上記の転写ベルト8には、一次転写ローラ20がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ20は転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接し、下方を循環移動するベルト表面にトナー像を直接転写(一次転写)する。転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部23まで搬送する。
【0031】
この転写ベルトユニット3には、ベルトクリーナ24が配置されている。ベルトクリーナ24は、転写ベルト8の駆動ローラ21に掛け渡されている表面に当接するクリーニングブレード25を備えている。また、ベルトクリーナ24の下方には廃トナー回収容器26が着脱自在に配置されている。
【0032】
ベルトクリーナ24は、クリーニングブレード25により転写ベルト8の表面に残留する廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを搬送スクリューにより下方の廃トナー回収容器26に送り込んでいる。
【0033】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置されている4個のリザーブタンク27(27m、27c、27y、27k)と、これらのリザーブタンク27の上にそれぞれ着脱自在に配置されたトナー補充用のトナーカートリッジ28(28m、28c、28y、28k)で構成される。
【0034】
4個のトナーカートリッジ28m、28c、28y、28kは、それぞれマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナーを収容し、4個のリザーブタンク27(27m、27c、27y、27k)は、それぞれ上に装着されているトナーカートリッジ28からトナーを補充される。
【0035】
これら4個のリザーブタンク27は、図1では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えないが、それぞれトナー供給路により対応する現像装置9の現像器14と連結されている。
【0036】
このトナー供給部4は、特には図示しないが、図1に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0037】
このトナー供給部4の左方には、ベルトクリーナ24の左方から駆動ローラ21の上方にかけて2つの電装部30が配設されている。電装部30には、詳しくは後述する複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤を備えている。
【0038】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット29(29a、29b)を備えている。2個の給紙カセット29の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0039】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8を介して従動ローラ22に圧接する二次転写ローラ35が配設されて、前述した用紙への二次転写部23を形成している。
【0040】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0041】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0042】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する開始返送路39a、それから下方に曲がる中間返送路39b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路39cから成る返送路39を備えている。
【0043】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記終端返送路39cの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット29bに対応する待機搬送ローラ対34への搬送路に合流している。
【0044】
図2は、上記のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。図2に示すように回路ブロックは、CPU(central processing unit)42を中心にして、このCPU42に、それぞれデータバスを介してインターフェイスコントローラ(I/F_CONT)43及びプリンタコントローラ(PR_CONT)44が接続されている。PR_CONT44にはプリンタ印字部45が接続されている。
【0045】
また、CPU42には、ROM(read only memory)46、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)47、本体操作部の操作パネル48、各部に配置されたセンサからの出力が入力されるセンサ部49が接続されている。
【0046】
ROM46には、システムプログラムが記憶され、CPU42は、このシステムプログラムに従って各部を制御して処理を行う。
【0047】
すなわち、各部において、先ず、I/F_CONT43は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換し、フレームメモリ51に展開する。フレームメモリ51は、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)ごとに記憶エリアが設定されており、各色のデータが対応するエリアに展開される。
【0048】
フレームメモリ51に展開されたデータはPR_CONT44に出力され、PR_CONT44からプリンタ印字部45に出力される。
【0049】
プリンタ印字部45は、エンジン部であり、PR_CONT44からの制御の下で、図1に示した感光体ドラム10、一次転写ローラ20等を含む不図示の回転駆動系、帯電ローラ12、光書込ヘッド13等の被駆動部を有する画像形成部、転写ベルトユニット3の上下移動や転写ベルト8の回転を駆動する不図示の駆動部を備えている。
【0050】
更に、プリンタ印字部45は、ベルト式定着ユニット6のベルト駆動を行うベルト駆動部52や、後述するカートリッジモータ、リザーブタンクモータ、現像器モータ等を駆動するトナー供給部モータ駆動部53や、後述するシャッタ部材を開閉駆動するシャッタ開閉駆動部54を備えている。
【0051】
更に、プリンタ印字部45は、用紙取出ローラ22〜排紙ローラ対31等の回転駆動される各部からなる搬送機構、発熱駆動及び回転駆動されるベルト式定着ユニット6などのプロセス負荷への駆動出力を制御する。
【0052】
そして、PR_CONT44から出力されたブラック(K)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色のデータは、プリンタ印字部45からそれぞれ対応する図1に示した光書込ヘッド13に供給される。
【0053】
図3は、上記の画像形成部2の現像装置9及びトナー供給部4のリザーブタンク27とトナーカートリッジ28を、分かりやすくそれぞれ1個のみ取り上げ、転写ベルト8と共に模式的に示す図である。
【0054】
図4は、図3の左側方向から見た拡大断面図である。図3及び図4には、図1に示した構成と同一の構成又は機能部分には図1と同一の番号を付与して示している。また、図4には図3の転写ベルト8に代えて転写ベルトユニット3を破線のブロックで示している。
【0055】
図3及び図4に示すトナーカートリッジ28は、図1に示す画像形成装置1本体に対し前面方向に、すなわち図3の両方向矢印bで示すように、リザーブタンク27に対して着脱自在である。
【0056】
図4に示すように、トナーカートリッジ28には、トナーカートリッジ28のトナー残量を検知するトナー残量検知センサ55が配置されている。ナー残量検知センサ55は、ごく一般的な安価な方法で構成することができる。
【0057】
このトナーカートリッジ28は、内部に、回転軸58と螺旋状の攪拌搬送フィン59から成るトナー搬送機構61を備えている。トナー搬送機構61の回転軸58には外部の駆動系に系合するためのカートリッジギア62が取り付けられている。
【0058】
このトナーカートリッジ28は、矢印cで示す搬送方向にトナーを搬送するトナー搬送機構61の始端部の開口部に始端部シャッタ63を備えており、トナー搬送機構61の終端部の開口部には終端部シャッタ64を備えている。
【0059】
トナーカートリッジ28は、リザーブタンク27に装着されたとき、始端部の開口部と終端部の開口部をリザーブタンク27に連結され、始端部シャッタ63と終端部シャッタ64を開放する。
【0060】
一方のリザーブタンク27の内部には、これもトナーカートリッジ28と同様な、回転軸65と螺旋状の攪拌フィン66から成るトナー搬送機構67が配設されている。トナー補給機構67の回転軸65には、トナーカートリッジ28が装着されたときカートリッジギア62に系合するタンクギア68が取り付けられている。
【0061】
上記のトナー搬送機構67は、リザーブタンク27の右端部から左端部までリザーブタンク27の長手方向に沿って延在し、右端部においてトナーカートリッジ28から始端部シャッタ63の開口部を介して充填されるトナーを左端部まで搬送する。
【0062】
そのトナー搬送機構67の左端部の直下に、リザーブタンク27と現像器14を連結するトナー搬送路69の上端部が開口している。
【0063】
このトナー搬送路69は、転写ベルトユニット3の後方に回り込んで配置されている。そして現像器14に連結するトナー搬送路69の下端部にはシャッタ71が配設されている。
【0064】
このシャッタ71は、シャッタ開閉駆動部54により、リザーブタンク27のトナー搬送機構67のトナー充填動作に同期してシャッタを開き、トナー搬送機構67のトナー充填動作停止に同期してシャッタを閉じるよう制御される。
【0065】
トナー搬送機構67によるトナー充填動作において、トナー搬送機構67の終端部まで攪拌搬送されたトナー63は、トナー搬送路69の上から下まではトナー63の自重で落下する。
【0066】
これにより、トナー搬送機構67のトナー充填動作に同期してシャッタを開いているシャッタ71を通過して、トナー63がリザーブタンク27から現像器14に補給される。
【0067】
現像器14は、内部に上述しトナー搬送機構61や67と同様の構成の図1に示した第1の攪拌搬送スクリュー18及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えているが図4では図示を省略している。この現像器14には、適宜な箇所にトナー濃度センサ72が配置されている。
【0068】
トナー濃度センサ72には透磁センサを用いている。この透磁センサは、二成分現像において現像器内のトナーが少なくなったことを検出するためのトナー濃度センサとして一般的なものである。
【0069】
ここで現像剤について、元に戻って二成分のキャリアとトナーに分けて考えることにする。キャリアは現像器14内でトナーと混合撹拌されてトナーに所定の電荷を与える。電荷を与えられたトナーはキャリアの表面に一時的に付着してキャリアの表面を被覆する。
【0070】
現像ローラ15により回転搬送される現像剤のキャリアは、電荷を帯びたトナーを感光体ドラム10と現像ローラ15との対向位置まで運び、感光体ドラム10上の静電潜像にトナーを転移させて、静電潜像上にトナー像を現像させる。表面のトナーを放出したキャリアは現像ローラ15上に残り、再び現像器14内に戻る。
【0071】
現像器14内に戻ったキャリアは新たなトナーと再び混合撹拌され、トナーに電荷を与え、そのトナーを感光体ドラム10上に運ぶ、というように繰り返し使用される。現像器14内のトナーが少なくなる(トナー濃度が低くなる)と外部から新たなトナーが補給される。
【0072】
本例の画像形成装置1において、例えば通常の画像形成時に現像に適切な二成分現像剤のトナー濃度は約10%であるので、画像形成中つまり印字中は、現像器14のトナー濃度を10%に維持するように制御される。
【0073】
したがって、所望の現像剤濃度(例えば10%のトナー濃度)に対応するトナー濃度センサ72の出力値を閾値として制御装置の例えばEEPROM47の所定の領域に予め設定しておく。これにより、減少したトナー濃度をトナー濃度センサ72の出力値と閾値との比較によって検知することができる。
【0074】
通常、新品の画像形成装置の場合、現像器14のみに現像剤が充填されていて、リザーブタンクやトナー搬送路にはトナーが無く空の状態である。
【0075】
したがって、ユーザは、新品の画像形成装置を開梱したとき、リザーブタンクに(場合により、トナー搬送路にも)、トナーが満杯になるまでトナーカートリッジからトナーを充填しておかなければならない。
【0076】
この充填では、画像形成装置が新品の時には現像器には上述したように現像剤が充填されているので、現像器にトナーを補給する必要はなく、従って、シャッタ71を閉じた状態でトナーの充填を行う。
【0077】
また、シャッタを閉じた状態で、トナーカートリッジとリザーブタンクのトナー搬送装置を動作させた場合、リザーブタンクが満杯になった後も更にトナーを搬送することがないようにしなければならない。
【0078】
ところで、通常のトナーカートリッジの構成であると、トナーカートリッジからリザーブタンクにトナーを充填する際、現像器のシャッタが閉じた状態で充填されるので、現像器のシャッタの付近でトナーが圧縮されて大きな負荷を受ける場合あることは前述した。
【0079】
しかし、本例のトナーカートリッジ28は、トナー搬送機構61の始端部の開口部と終端部の開口部にそれぞれシャッタを備えていて、親機から離れて単独であるときはシャッタを閉じてトナーの漏洩を禁止し、新品トナーカートリッジとしてリザーブタンクにトナーを充填するときは、始端部と終端部の開口部を共に開放する。
【0080】
これにより、リザーブタンク27内のトナーがトナー搬送路69から溢れたとき、溢れたトナーはトナーカートリッジの開放されている始端部シャッタ63を通ってトナーカートリッジ28に還流する。
【0081】
以上述べたように、本実施例のトナー圧縮防止機構を備えた画像記録装置によれば、トナーカートリッジ、リザーブタンク、及び現像器で構成されるトナー供給系において、トナーカートリッジの交換時に発生しやすいリザーブタンク内のトナーの圧縮を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、トナーカートリッジ、リザーブタンク、及び現像器で構成されるトナー供給系において、トナーカートリッジの交換時に発生しやすいリザーブタンク内のトナーの圧縮を防止するトナー圧縮防止機構を備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 フルカラー画像形成装置(プリンタ)
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 トナー供給部
5 給紙部
6 ベルト式定着ユニット
7 両面印刷用搬送ユニット
8 転写ベルト
8a 下部走行部表面
9(9m、9c、9y、9k) 現像装置
10 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16 筐体
17 隔壁
15 現像ローラ
18 第1の攪拌搬送スクリュー
19 第2の攪拌搬送スクリュー
20 一次転写ローラ
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 二次転写部
24 ベルトクリーナ
25 クリーニングブレード
26 廃トナー回収容器
27(27m、27c、27y、27k) リザーブタンク
28(28m、28c、28y、28k) トナーカートリッジ
29(29a、29b) 給紙カセット
30 電装部
31 用紙取出ローラ
32 給送ローラ
33 捌きローラ
34 待機搬送ローラ対
35 二次転写ローラ
36 搬出ローラ対
37 排紙トレー
38 排紙ローラ対
39 返送路
39a 開始返送路
39b 中間返送路
39c 終端返送路
41(41a、41b、41c、41d、41e) 返送ローラ対
42 CPU(central processing unit)
43 インターフェイスコントローラ(I/F_CONT)
44 プリンタコントローラ(PR_CONT)
45 プリンタ印字部
46 ROM(read only memory)
47 EEPROM(electrically erasable programmable ROM)
48 操作パネル
49 センサ部
51 フレームメモリ
52 ベルト駆動部
53 トナー供給部モータ駆動部
54 シャッタ開閉駆動部
55 トナー残量検知センサ
58 回転軸
59 攪拌搬送フィン
61 トナー搬送機構
62 カートリッジギア
63 始端部シャッタ
64 終端部シャッタ
65 回転軸
66 攪拌フィン
67 トナー搬送機構
68 タンクギア
69 トナー搬送路
71 シャッタ
72 トナー濃度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二成分現像剤にて現像を行う現像器と、
該現像器内の前記二成分現像剤のトナー濃度を検知するトナー濃度検知センサと、
該トナー濃度検知センサにより前記現像器内の前記二成分現像剤のトナー濃度が現像に適切なトナー濃度よりも低いことが検知されたとき、内蔵のトナー搬送機構によりトナー搬送路にトナーを送り出し該トナー搬送路を介して前記現像器にトナーを補給するリザーブタンクと、
前記トナー搬送路と前記現像器との間に設置された現像器シャッタと、
前記リザーブタンクに対し着脱自在に構成され、前記リザーブタンクにトナーを充填するために内蔵されているトナー搬送機構の始端部に始端部シャッタ及び終端部に終端部シャッタを備えたトナーカートリッジと、
該トナーカートリッジのトナー残量を検知するトナー残量検知センサと、
を少なくとも備え、
前記トナー残量検知センサによりトナー残量無しが検知されたことによりトナー残量無しトナーカートリッジに代わって新品トナーカートリッジが前記リザーブタンクに装着されたとき、前記新品トナーカートリッジの前記始端部シャッタと前記終端部シャッタが共に開放される、
ことを特徴とするトナー圧縮防止機構を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記現像器シャッタが閉鎖され、前記新品トナーカートリッジから前記リザーブタンクにトナーが充填されるとき、該リザーブタンク内のトナーが前記トナー搬送路から溢れたとき、溢れた前記トナーは前記始端部シャッタを通って前記新品トナーカートリッジ内に還流する、
ことを特徴とする請求項1記載のトナー圧縮防止機構を備えた画像形成装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−88664(P2012−88664A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237697(P2010−237697)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】