説明

トリムパネル

本発明は、装飾物を備えた装飾面(10a)と、基材と接触するように意図された接触面(10b)と、木質材料から製造された連結層(12)とを備えるトリムパネル(10)であって、実矧ぎの態様で構成された連結構成部の少なくとも1つの連結要素(14、16)が、連結層(12)と一体的な部材として構成される、トリムパネル(10)に関する。本発明によれば、セル構造を有し、装飾面(10a)を有する装飾層(24)に間接的にもしくは直接的に連結される、少なくとも1つの中間層(18)が、装飾面(10a)に向いた連結層(12)の面上に配置される、および/または、セル構造を有し、接触面(10b)を有する接触層(34)に間接的にもしくは直接的に連結される、少なくとも1つの中間層(20)が、接触面(10b)に向いた連結層(12)の面上に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾物を備える装飾面と、基材と接触するように意図された接触面と、木質材料から製造された連結層とを備えるトリムパネルであって、舌状部と溝との連結による実矧ぎの態様で具現化された連結構成部の少なくとも1つの連結要素が、この連結層と一体的な部材として具現化される、トリムパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのトリムパネルは、例えば特許文献1により知られている。基本的には、この既知のトリムパネルのボリューム全体は、例えば、MDFボード(中質繊維板: medium density fiberboard)またはHDFボード(高密度繊維板: high density fiberboard)などの木質材料から構成される。ラミネートが、可視面または装飾面の上にのみ設けられ、このラミネートは、例えば複数の紙プライに合成樹脂を含浸させることにより形成され、これらの紙プライの最上部、すなわち観察者の目に触れる部分が、装飾物を印刷される。さらに、作用抑制紙を、接触面の上に設けることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP1319773A2
【特許文献2】EP1024234A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
環境に対する意識の高まりとともに、最近では再生可能エネルギー源に対する需要も高まってきた。これにより、とりわけ、個人宅においてもペレット燃焼システムの数が増加してきた。これらのペレットも同様に木材から製造されるため、その結果として、市場における木材の入手の容易さが低下した。特に、これに伴う価格の上昇により、一般的なトリムパネルの所与の厚さに対するトリムパネルの単位面積当たりの木材使用量を削減しようという要望が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、セル構造を有する少なくとも1つの中間層が、装飾面の方向に向いた連結層の面上に配置され、この中間層は、装飾面を有する装飾層に間接的にもしくは直接的に連結される、および/または、セル構造を有する少なくとも1つの中間層が、接触面の方向に向いた連結層の面上に配置され、この中間層は、接触面を有する接触層に間接的にもしくは直接的に連結される、一般的なタイプのトリムパネルが、この条件を満たす。
【0006】
容易に理解され得るように、本発明によれば、トリムパネルのボリュームの一部がセル構造を有する少なくとも1つの中間層によって占められることにより、木材の使用量が削減される。したがって、少なくとも1つの中間層のセル構造の壁部が、気体、好ましくは空気を充填された容積部を囲む。しかし、少なくとも1つの中間層の安定性について、必要な場合には、少なくとも1つの中間層の容積部に、例えば発泡媒体などの安定化媒体を少なくとも部分的に充填することも可能である。
【0007】
本発明の他の展開例においては、セル構造の壁部が非金属の軽量構造材料から少なくとも部分的に形成されることが、提案される。したがって、構造材料は、例えば紙、および/または厚紙、および/または板紙であってよく、これらの材料は、主として単位面積あたりの重量においてそれぞれ異なり、また、専門家間においてこれらの呼称に関して概念的な重複が見られる。
【0008】
さらに、この構造材料は、例えばポリオレフィンプラスチックなど、少なくとも1つの熱可塑性材料および/または少なくとも1つの熱硬化性プラスチックを含浸されてよい、および/または、少なくとも1つの熱可塑性材料および/または少なくとも1つの熱硬化性プラスチックにより強化されてよい。
【0009】
少なくとも1つの中間層の実現可能な最も高い安定性に関し、セル構造の壁部が、パネル平面に対して実質的に直交方向に延在すると、さらに有利である。
【0010】
本発明の他の展開例においては、セル構造のセルの少なくとも一部が、パネル平面に対して実質的に平行な断面において、六角形断面、または例えば正四方形などの矩形断面、または三角形断面を有することが、さらに提案される。
【0011】
ここで、このタイプのセル構造の使用は、例えばドア板などによって元々知られている点に留意されたい。しかし、ドア板の用途に関しては、このセル構造層は、ドア板平面またはパネル平面に対して直交方向に延在するその端部において、中実のフレームによって囲まれ、これにより、パネル平面に対して平行にかかるせん断力に対するパネルの安定性が保証され、したがってセル構造の壁部の横座屈が防がれる。しかし、これとは対照的に、少なくとも1つの中間層は、パネル平面に対して直交方向に延在する、本発明によるトリムパネルの端部にて露出される。しかし、驚くべきことには、このことによるいかなる負の影響も、本発明によるトリムパネルの安定性にはもたらされない。また、トリムパネルが、装飾面を被せられ、それと互いに接合されることにより、この露出状態が、美的観点から欠点をもたらすこともない。
【0012】
本発明によるトリムパネルの連結層は、例えば、MDFボード、HDFボード、パーティクルボード、チップボード、合板ボード、または、MDFおよびHDFの少なくとも一方の材料のチップを含む組合せボードによって形成されてよい。合板とチップとの組合せボード、または、化学的および熱的後硬化HDFボードを、例としてあげることが可能である。
【0013】
意図される用途の分野に応じて、装飾層は、種々の材料から形成されてもよく、または種々の材料から組み立てられてもよい。
【0014】
例えば、装飾層は、担体層および担体層に連結された装飾プライを備えることが可能である。したがって、通常は、装飾プライは、装飾層の方向に向いた担体層の表面上に配置される。
【0015】
担体層は、例えばHDFボードから形成されてよい。しかし、原則的には、担体層を形成するために他の材料を用いることを予期することも可能である。さらに、装飾プライは、ラミネートを含むことが可能であり、このラミネートは、例えば合成樹脂を含浸された複数の紙プライから形成される。
【0016】
本発明の他の展開例においては、装飾層の装飾面が、装飾物を印刷された紙プライによって形成されることが提案される。したがって、この装飾紙プライは、上述のラミネートの中の1つの紙プライであってよい。さらに、装飾物の耐摩耗性を高めるために、この装飾紙プライの印刷面の上にいわゆる重畳紙を配置することが可能である。さらに、通常は、このタイプの重畳紙は、合成樹脂を含浸され、この状態において装飾物の視認を妨げることがないように透明である。
【0017】
本発明の他の展開例においては、装飾層が少なくともその装飾面の上に単板を備えることを、さらに提示することが可能である。したがって、この単板は、装飾層の装飾プライのみを形成することが可能であり、これは、装飾層の担体層の上に配置される。しかし、単板が装飾層全体を形成することもまた可能である。さらに、耐摩耗性を高めるために、単板が重畳紙により覆われてもよい。
【0018】
また、利用分野に応じて、接触層に関して種々の実施形態の変形例を考慮することが可能である。例えば、接触層は、HDFボードまたは薄いラミネートを含むことが可能である。本発明によるトリムパネルを床パネルとして使用する場合には、接触層は、衝撃音シートをさらに備えることが可能である。さらに、トリムパネルの寸法安定性に関して、とりわけパネルの膨らみおよびへこみを回避するために、接触層の接触面が作用抑制紙プライによって形成されることが、有利となり得る。
【0019】
ここで、実矧ぎの態様で具現化された連結構成部は、実質的にパネル平面内における2つの隣接し合うパネルの実質的に平面的な相対変位により、および/または、特許文献2により元々知られているように、パネル平面に対して実質的に平行に延在する平面の周囲で、2つの隣接し合うパネルの連結要素を互いの方向に枢動させることにより、隣接し合うトリムパネルの連結を生じさせることが可能であることに留意されたい。さらに、例えば特許文献1により知られているように、トリムパネルが、連結凹部のみを備えて具現化され、双凸部要素が、隣接し合うパネルを連結するために追加的に提供される必要がある、ということも可能である。
【0020】
トリムパネルは、壁、天井、または床のトリム用に使用することが可能であり、パネル平面に対して直交方向へのこれらの層厚は、約3mmから約40mmの間であってよい。
【0021】
以下、添付の図面にもとづき、例示の実施形態とともに本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるトリムパネルの具体的な例示の実施形態の断面図である。
【図2】本発明によるトリムパネルの一変形形態の基本構造を説明する、図1に類似する断面図である。
【図3】本発明によるトリムパネルの一変形形態の基本構造を説明する、図1に類似する断面図である。
【図4】本発明によるトリムパネルの一変形形態の基本構造を説明する、図1に類似する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1においては、本発明によるトリムパネルが、10により全体的に示される。トリムパネル10は、装飾面10aと、基材(図示せず)の上に接触するように意図された接触面10bとを備える。装飾面10aおよび接触面10bは、パネル平面Eに対して実質的に平行に延在する。さらに、パネル10は、パネル平面Eに対して実質的に直交方向に延在する側端部によって範囲を定められるが、図1には、これらの側端部の中から端部10cおよび10dのみが示される。
【0024】
パネル10は、連結層12を備え、連結凸部14が、パネル10の側面10c上に、この連結層12と一体的な部材として具現化され、連結凹部16が、側面10d上に、この連結層12と一体的な部材として具現化される。また、対応する連結要素を、図1には図示されないパネル10の側端部の上に設けることが可能であることに留意されたい。
【0025】
図1による例示の実施形態においては、セル構造を有する中間層18または20が、装飾面10aの方向に向いた連結層12の面の上に、および接触面10bの方向に向いた連結層12の面の上に、それぞれ配置される。好ましくは、このセル構造の壁部18aまたは20aが、パネル平面Eに対して実質的に直交方向に延在し、例えば視認方向Bの方向にハニカム形状構成を有する。さらに、壁部18aおよび20aは、厚紙から形成することが可能であり、例えばこの厚紙は、中間層18または20の必要な安定性を確保するために、熱可塑性プラスチックまたは熱硬化性プラスチックを含浸される。好ましくは、間隙部18bまたは20bが、空気を充填される。
【0026】
装飾面10aの方向に向いた中間層18の面上には、装飾層24が接合され、この装飾層24は、図示される例示の実施形態においては、担体層26および装飾プライ28を備える。担体層26は、例えばHDFボードであってよく、装飾プライ28は、合成樹脂を含浸させた紙プライからなるラミネートからなるものであってよく、これらの紙プライの最上部、すなわち装飾面10aに最も近い紙プライが、所望の装飾物を印刷される。元々知られているように、装飾プライ28は、重畳紙プライ30によってさらに覆うことが可能である。しかし、代替として、装飾プライ28、さらには装飾層24全体を、単板によって形成することも可能であり、この単板は、重畳紙プライ30によってさらに適宜覆われてよい。
【0027】
また、接触層34が、接触面10bの方向に向いた中間層20の面上に、対応する態様で設けられ、この接触層は、図示される例示の実施形態においては、担体層36および作用抑制紙38を備える。しかし、接触層34を薄いラミネートとして具現化すること、あるいは、担体層および/または作用抑制紙層38に衝撃音シートを追加的にまたは代替的に設けることも、可能である。
【0028】
連結層12ならびに2つの中間層18および20が、例えば約2mmの厚さをそれぞれ有することが可能である一方で、装飾層24および接触層34は、約1mmの厚さを有し、そのため、全体では、パネル平面Eに対して直交方向に約8mmのパネル厚dが得られる。
【0029】
図1による例示の実施形態の基本的構造が、図2において再度図示される。
【0030】
図3および図4は、原則的に1つだけの中間層を形成することもまた可能であることを明らかにするためにのみ使用される。
【0031】
この実施形態にもとづくと、図3によるパネル10'においては、連結層12'は、装飾面10a'まで延在し、パネル10'は、中間層20'および接触層34'に関して、図2によるパネル10と一致する。図4によるパネル10''における対応する態様においては、連結層12''は、パネル10''の接触面10b''まで延在し、パネル10''は、中間層18''および装飾層24''に関して、図2によるパネル10と一致する。したがって、また、図3による実施形態の連結層12'は、装飾層24の担体層26を一体的な部材として形成し、また、図4による実施形態の連結層12''は、接触層34の担体層36を一体的な部材として形成する。装飾面10a'または接触面10b''の区域における他の実施形態については、図1による実施形態に関する記述を参照とすることが可能である。
【符号の説明】
【0032】
10 トリムパネル
10a 装飾面
10b 接触面
10c 端部、側面
10d 端部
12 連結層
14 連結凸部、連結要素
16 連結凹部、連結要素
18 中間層
18a 壁部
18b 間隙部
20 中間層
20a 壁部
20b 間隙部
24 装飾層
26 担体層
28 装飾プライ
30 重畳紙プライ
34 接触層
36 担体層
38 作用抑制紙
d パネル厚
B 視認方向
E パネル平面
10' パネル
10a' 装飾面
12' 連結層
20' 中間層
34' 接触層
10'' パネル
10b'' 接触面
12'' 連結層
18'' 中間層
24'' 装飾層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾物を備えた装飾面(10a)と、基材と接触するように意図された接触面(10b)と、木質材料から製造された連結層(12)とを備えるトリムパネル(10)であって、実矧ぎの態様で具現化された連結構成部の少なくとも1つの連結要素(14、16)が、前記連結層(12)と一体的な部材として具現化される、トリムパネル(10)において、セル構造を有する少なくとも1つの中間層(18)が、前記装飾面(10a)の方向に向いた前記連結層(12)の面上に配置され、前記中間層は、前記装飾面(10a)を有する装飾層(24)に間接的にもしくは直接的に連結される、および/または、セル構造を有する少なくとも1つの中間層(20)が、前記接触面(10b)の方向に向いた前記連結層(12)の面上に配置され、前記中間層は、前記接触面(10b)を有する接触層(34)に間接的にもしくは直接的に連結されることを特徴とする、トリムパネル(10)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの中間層(18、20)の前記セル構造の壁部(18a、20a)が、気体、好ましくは空気を充填された容積部(18b、20b)を囲むことを特徴とする、請求項1に記載のトリムパネル。
【請求項3】
前記セル構造の前記壁部(18a、20a)は、非金属の軽量構造材料から少なくとも部分的に形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載のトリムパネル。
【請求項4】
前記構造材料は、紙、および/または厚紙、および/または板紙であることを特徴とする、請求項3に記載のトリムパネル。
【請求項5】
前記構造材料は、例えばポリオレフィンプラスチックなど、少なくとも1つの熱可塑性材料および/または少なくとも1つの熱硬化性プラスチックを含浸されることを特徴とする、および/または、少なくとも1つの熱可塑性材料および/または少なくとも1つの熱硬化性プラスチックにより強化されることを特徴とする、請求項3または4に記載のトリムパネル。
【請求項6】
前記セル構造の前記壁部(18a、20a)は、パネル平面(E)に対して実質的に直交方向に延在することを特徴とする、請求項1から5の一項に記載のトリムパネル。
【請求項7】
前記セル構造のセルの少なくとも一部が、六角形断面、または例えば正四方形などの矩形断面、または三角形断面を有することを特徴とする、請求項1から6の一項に記載のトリムパネル。
【請求項8】
前記連結層(12)は、MDFボード、HDFボード、パーティクルボード、チップボード、合板ボード、または、MDFおよびHDFの少なくとも一方の材料のチップを含む組合せボードによって形成されることを特徴とする、請求項1から7の一項に記載のトリムパネル。
【請求項9】
前記装飾層(24)は、担体層(26)および前記担体層(26)に連結された装飾プライ(28)を備えることを特徴とする、請求項1から8の一項に記載のトリムパネル。
【請求項10】
前記担体層(26)はHDFボードを含むことを特徴とする、請求項9に記載のトリムパネル。
【請求項11】
前記装飾プライ(26)はラミネートを含むことを特徴とする、請求項9または10に記載のトリムパネル。
【請求項12】
前記装飾層(24)の前記装飾面(10a)は、装飾物を印刷された紙プライによって形成されることを特徴とする、請求項1から11の一項に記載のトリムパネル。
【請求項13】
前記装飾層(24)は、少なくともその装飾面(10a)の上に単板を備えることを特徴とする、請求項1から10の一項に記載のトリムパネル。
【請求項14】
前記接触層(34)はHDFボードを含むことを特徴とする、請求項1から13の一項に記載のトリムパネル。
【請求項15】
前記接触層(34)は薄いラミネートを含むことを特徴とする、請求項1から14の一項に記載のトリムパネル。
【請求項16】
前記接触層(34)は衝撃音シートを備えることを特徴とする、請求項1から15の一項に記載のトリムパネル。
【請求項17】
前記接触層(34)の前記接触面(10b)は、作用抑制紙プライによって形成されることを特徴とする、請求項1から16の一項に記載のトリムパネル。
【請求項18】
約3mmから約40mmの間の厚さを有することを特徴とする、請求項1から17の一項に記載のトリムパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−522098(P2010−522098A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549798(P2009−549798)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001182
【国際公開番号】WO2008/098783
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(507389543)インターグラリオン リミテッド (8)
【Fターム(参考)】