説明

ドキュメント管理装置、ドキュメント管理方法及びプログラム

【課題】文書(ドキュメント)を構成する各構成単位に対してなされた各ユーザのセキュリティ設定の状況を容易に確認できるようにする。
【解決手段】CPU201は、ドキュメントを構成する各ページ(構成単位)に対して各ユーザにおけるセキュリティ(権限)を設定し、前記各ユーザの中から、セキュリティ設定に基づくプレビュー画像の表示を行うユーザを指定し、各ページごとに、指定したユーザが当該ページの内容をプレビュー画像として表示する権限を有するかを判定する。そして、CPU201は、判定の結果、権限がないと判定したページについては、その表示を制限し、権限があると判定されたページについては、その表示を制限せずに表示を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の構成単位が定義されている文章(ドキュメント)のプレビューを実行するドキュメント管理装置、ドキュメント管理方法、及び、当該ドキュメント管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子文書の閲覧や編集、印刷等を行うシステムが一般的に利用されている。このようなシステムを個人単位や小グループで利用している場合には、全ユーザが電子文書の閲覧や編集、印刷等を行っても、一般に、特に問題は発生しない。しかしながら、このようなシステムを不特定多数のユーザや多くのユーザで利用する場合には、共用で利用可能な電子文書や一部のユーザのみで共有可能な電子文書も存在するため、各種の問題が発生する。また、閲覧や印刷は全ユーザで可能とし、編集は一部のユーザのみで可能にしたいという要望もある。
【0003】
このような問題に対応するために、文書毎にパスワードを設定し、設定したパスワードを入力しないと閲覧などが行えないようにしたシステムが提案されている。また、入力されたパスワードで権限を判定し、閲覧や印刷は可能であるが、編集はできないようにしたシステムも提案されている。
【0004】
さらに、下記の特許文献1では、電子文書について、特定のユーザに閲覧を許可する秘匿部分を設定し、秘匿部分の閲覧を要求したユーザに閲覧権があれば、その閲覧を許可するようにしたシステムも提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−113664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電子文書の単位だけではなく、例えば、電子文書内のページ単位についても、閲覧や編集、印刷の権限を設定できるようにしたシステムでは、電子文書の管理者は、ページ単位やユーザ単位でセキュリティの設定を行う必要がある。ここで、セキュリティとは、例えば、閲覧や編集などの権限をいう。この際、電子文書の各ページにセキュリティ設定が行われているかの確認を管理者が行うためには、各ページの設定ユーザインタフェース(UI)を表示することで容易に確認できる。
【0007】
しかしながら、管理者が、各ユーザがどのページを閲覧可能であるのか等のセキュリティ設定を確認するためには、全ページの設定UIを表示して確認する必要があるため、その確認が煩雑となり、そのため、見落としが生じる可能性が高い。
【0008】
上述した特許文献1の技術では、ユーザが文書(ドキュメント)の閲覧を行う際のセキュリティ設定を考慮したものであり、管理者によるドキュメントの管理を考慮したものでなかった。即ち、特許文献1の技術において、管理者が、各ユーザがどのページを閲覧可能であるのか等のセキュリティ設定を確認するためには、ユーザごとにユーザID等の入力を行って確認を行う必要があった。
【0009】
このように、従来の技術では、文書(ドキュメント)を構成するページなどの各構成単位に対して各ユーザのセキュリティ設定がされている場合に、管理者は、そのセキュリティ設定の状況を容易に確認することが困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は前述の問題点に鑑みてなされたものであり、文書(ドキュメント)を構成する各構成単位に対してなされた各ユーザのセキュリティ設定の状況を容易に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のドキュメント管理装置は、複数の構成単位が定義されているドキュメントのプレビューを実行するドキュメント管理装置において、前記ドキュメントを構成する各構成単位に対して、ユーザごとの権限の設定を行う設定手段と、前記ドキュメントの構成単位の内容をプレビュー画像として表示装置に表示する表示手段と、前記設定手段により権限を設定されたユーザの中から、前記プレビュー画像の表示を行うユーザを指定する指定手段と、前記構成単位ごとに、前記指定手段で指定されたユーザが当該構成単位の内容を前記プレビュー画像として表示する権限を有するかを判定する判定手段とを有し、前記表示手段は、前記判定手段で権限がないと判定された構成単位については、その表示を制限し、前記判定手段で権限があると判定された構成単位については、その表示を制限せずに表示を行う。
【0012】
本発明のドキュメント管理方法は、複数の構成単位が定義されているドキュメントのプレビューを実行するドキュメント管理方法において、前記ドキュメントを構成する各構成単位に対して、ユーザごとの権限の設定を行う設定ステップと、前記ドキュメントの構成単位の内容をプレビュー画像として表示装置に表示する表示ステップと、前記設定ステップにより権限を設定されたユーザの中から、前記プレビュー画像の表示を行うユーザを指定する指定ステップと、前記構成単位ごとに、前記指定ステップで指定されたユーザが当該構成単位の内容を前記プレビュー画像として表示する権限を有するかを判定する判定ステップとを有し、前記表示ステップでは、前記判定ステップで権限がないと判定された構成単位については、その表示を制限し、前記判定ステップで権限があると判定された構成単位については、その表示を制限せずに表示を行う。
【0013】
本発明のプログラムは、複数の構成単位が定義されているドキュメントのプレビューを実行するドキュメント管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、前記ドキュメントを構成する各構成単位に対して、ユーザごとの権限の設定を行う設定ステップと、前記ドキュメントの構成単位の内容をプレビュー画像として表示装置に表示する表示ステップと、前記設定ステップにより権限を設定されたユーザの中から、前記プレビュー画像の表示を行うユーザを指定する指定ステップと、前記構成単位ごとに、前記指定ステップで指定されたユーザが当該構成単位の内容を前記プレビュー画像として表示する権限を有するかを判定する判定ステップとを有し、前記表示ステップでは、前記判定ステップで権限がないと判定された構成単位については、その表示を制限し、前記判定ステップで権限があると判定された構成単位については、その表示を制限せずに表示を行うことをコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、文書(ドキュメント)を構成する各構成単位に対してなされた各ユーザのセキュリティ設定の状況を容易に確認することができる。これにより、文書(ドキュメント)の管理を効率良く行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0016】
<システムの概要>
本実施形態の文書管理システムは、一般のアプリケーションによって作成されたデータファイルを電子原稿ファイルに変換する電子原稿ライタと、その電子原稿ファイルを編集する機能を提供する製本アプリケーションとを含み構成されている。そして、文書管理システムは、作成されたデータをひとまとめにした文書(ドキュメント)の作成及び編集を可能とし、その操作性を向上させて文書の編集を効率的に行えるものである。また、この文書管理システムは、作成されたデータにセキュリティ設定(即ち、権限の設定)を付加することが可能である。具体的に、後述の製本アプリケーションには、セキュリティ設定されたデータを開く機能や、データにセキュリティ設定を行う機能、セキュリティ設定されたデータを作成する機能が含まれている。
【0017】
<システムの構成及びその動作>
図1は、本発明の実施形態に係る文書管理システム(ドキュメント管理システム)のソフトウェア構成の一例を示す図である。
この文書管理システムは、図1に示すように、本発明のドキュメント管理装置に相当するデジタルコンピュータ(ホストコンピュータ)100と、印刷装置であるプリンタ150を有して構成されている。デジタルコンピュータ100には、一般アプリケーション101、電子原稿ライタ102、電子原稿ファイル記憶部103、製本アプリケーション104、電子原稿デスプーラ105、プリンタドライバ106及び認証モジュール107が含まれている。
【0018】
一般アプリケーション101は、例えば、ワードプロセシングやスプレッドシート、フォトレタッチ、ドロー、あるいはペイント、プレゼンテーション、テキスト編集などの機能を提供するアプリケーションプログラムであり、OSに対する印刷機能を有している。この一般アプリケーション101は、作成された文書データや画像データなどのアプリケーションデータを印刷する際に、オペレーティングシステム(OS)によって提供される所定のインタフェース(一般に、GDIと呼ばれる)を利用する。
【0019】
即ち、一般アプリケーション101は、作成したデータを印刷するために、上述のインタフェースを提供するOSの出力モジュールに対して、あらかじめ定められる、OSに依存する形式の出力コマンド(一般に、GDI関数と呼ばれる)を送信する。一方、出力コマンドを受けた出力モジュールは、その出力コマンドを、プリンタ等の出力デバイスが処理可能な形式に変換して、変換されたコマンド(一般に、DDI関数と呼ばれる)を出力する。この際、出力デバイスが処理可能な形式は、デバイスの種類やメーカ、機種などによって異なるため、デバイスごとにデバイスドライバが提供されている。そして、OSでは、そのデバイスドライバを利用してコマンドの変換を行い、印刷データを生成し、JL(Job Language)でくくることにより印刷ジョブが生成される。ここで、OSとしてマイクロソフト社のウインドウズを利用する場合には、前述した出力モジュールとして、GDI(Graphic Device Interface)と呼ばれるモジュールが相当する。
【0020】
電子原稿ライタ102は、上述のデバイスドライバを改良したものであり、本実施形態の文書管理システムの処理の実現のために提供されるソフトウェアモジュールである。但し、電子原稿ライタ102は、特定の出力デバイスを目的としておらず、後述する製本アプリケーション104やプリンタドライバ106において処理可能な形式に、出力コマンドを変換する。この電子原稿ライタ102による変換後の形式(以後、「電子原稿形式」と呼ぶ)は、ページ単位の原稿を詳細な書式をもって表現可能であれば、特に問わない。ここで、実質的な標準形式のうち、例えばアドビシステムズによるPDF形式やSVG形式などが電子原稿形式として採用できる。
【0021】
一般アプリケーション101から電子原稿ライタ102を利用させる場合には、出力に使用するデバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定してから印刷処理を実行させる。但し、電子原稿ライタ102によって作成されたままの電子原稿ファイルは、電子原稿ファイルとして完全な形式を備えていない。そのため、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定するのは製本アプリケーション104であり、その管理下でアプリケーションデータの電子原稿ファイルへの変換が実行される。
【0022】
そして、製本アプリケーション104は、電子原稿ライタ102が生成した新規の不完全な電子原稿ファイルを、後述する形式を備えた電子原稿ファイルとして完成させる。以下、この点を明瞭に識別する必要がある場合、電子原稿ライタ102によって作成されたファイルを「電子原稿ファイル」と呼び、製本アプリケーション104によって構造を与えられた電子原稿ファイルを「ブックファイル」と呼ぶ。また、特に区別する必要がない場合は、アプリケーションにより生成される電子原稿ファイル及びブックファイルをいずれも文書ファイル(またはドキュメントファイル)と呼ぶ。
【0023】
この様に、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定し、一般アプリケーション101によりデータを印刷処理させることで、アプリケーションデータは、一般アプリケーション101によって定義されたページを単位とする電子原稿形式に変換される。以後、この一般アプリケーション101によって定義されたページを、「論理ページ」あるいは、「原稿ページ」と呼ぶ。そして、電子原稿形式に変換されたアプリケーションデータは、電子原稿ファイルとして、ハードディスクなどの記憶媒体等からなる電子原稿ファイル記憶部103に格納される。尚、電子原稿ファイル記憶部103は、例えば、本実施形態の文書管理システムにおけるデジタルコンピュータ100が備えているローカルドライブで構成されていても良い。また、電子原稿ファイル記憶部103は、例えば、ネットワークに接続されている場合にはネットワーク上に提供されるドライブで構成されていても良い。
【0024】
製本アプリケーション104は、電子原稿ファイル記憶部103から電子原稿ファイル(あるいはブックファイル)を読み込み、それを編集するための機能を、利用者に提供する。但し、製本アプリケーション104は、各ページの内容を編集する機能は提供しておらず、ページを最小単位として構成される、後述する章やブックの構造を編集するための機能を提供している。製本アプリケーション104によって編集されたブックファイルを印刷処理する際には、製本アプリケーション104によって電子原稿デスプーラ105が起動される。
【0025】
電子原稿デスプーラ105は、製本アプリケーション104と共に、デジタルコンピュータ100内にインストールされるプログラムモジュールである。具体的に、電子原稿デスプーラ105は、製本アプリケーション104で利用するドキュメント(ブックファイル)を印刷処理する際に、プリンタドライバ106へ描画データを出力するために使用されるモジュールである。
【0026】
電子原稿デスプーラ105は、指定されたブックファイルを電子原稿ファイル記憶部103から読み出し、当該ブックファイルに記述された形式で各ページを印刷するために、前述したOSの出力モジュールに適合する出力コマンドを生成する。そして、電子原稿デスプーラ105は、生成した出力コマンドを不図示の出力モジュールに出力する。その際に、出力デバイスとして使用されるプリンタ150用のプリンタドライバ106が、デバイスドライバとして指定される。上述の出力モジュールは、電子原稿デスプーラ105から受信した出力コマンドをデバイスコマンドに変換して、これを指定されたプリンタ150用のプリンタドライバ106に出力する。
【0027】
プリンタドライバ106は、出力モジュールから出力されたデバイスコマンドを、プリンタ150で解釈実行可能なページ記述言語等のコマンドに変換する。そして、変換されたコマンドは、プリンタドライバ106から不図示のシステムスプーラを介してプリンタ150に送信され、プリンタ150によってコマンドに応じた画像が印刷される。
【0028】
上述した処理は、電子原稿ファイル記憶部103の電子原稿ファイル(あるいはブックファイル)にセキュリティ設定が施されていないことを想定した処理である。
【0029】
以下に、電子原稿ファイル記憶部103の電子原稿ファイル(あるいはブックファイル)にセキュリティ設定が施されていた場合の処理について説明する。
【0030】
まず、製本アプリケーション104は、後述するセキュリティ属性に係るセキュリティ情報を、電子原稿ファイル(あるいはブックファイル)から取得し、取得したセキュリティ情報を認証モジュール107に送信し、認証結果を待つ。
【0031】
認証モジュール107は、製本アプリケーション104から受け取ったセキュリティ情報を元に、認証ダイアログを表示し、ユーザにアカウント名とパスワードを入力させる。そして、認証モジュール107は、登録されたユーザ名と正しいパスワードが入力された場合には、正しく認証が行われたとして、認証結果が成功である旨の情報と認証されたユーザ名の情報を、製本アプリケーション104へ送信する。また、認証モジュール107は、もし、入力されたユーザ名が登録されていない場合や、パスワードが異なる場合には、認証結果が失敗である旨の情報を製本アプリケーション104へ送信する。
【0032】
製本アプリケーション104は、認証モジュール107からの認証結果に係る情報を受け取った後、認証モジュール107による認証結果が正常であれば、セキュリティ設定が施されていない場合と同様の処理を行う。一方、製本アプリケーション104は、認証モジュール107による認証結果が失敗であれば、認証ができなかったと判断し、電子原稿ファイル(あるいはブックファイル)を開かない。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係るデジタルコンピュータ(ドキュメント管理装置)100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
図2において、CPU201は、ROM203のプログラムROM203bに記憶された、あるいはハードディスク(HD)211からRAM202にロードされたOSや一般アプリケーション、製本アプリケーションなどのプログラムを実行する。そして、CPU201は、これらのプログラムを実行することにより、図1に示す各ソフトウェア構成や、後述するフローチャートの手順を実現する。
【0035】
即ち、本実施形態においては、例えば、CPU201、及び、プログラムROM203bあるいはHD211に記憶されたプログラムから、図1に示す各構成部101、102、104〜107が構成される。また、例えば、HD211から、図1に示す電子原稿ファイル記憶部103が構成される。
【0036】
RAM202は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。ROM203は、フォントROM203a、プログラムROM203b及びデータROM203cがハードウェア構成として含まれている。
【0037】
キーボードコントローラ(KBC)205は、キーボード(KB)209や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。CRTコントローラ(CRTC)206は、CRTディスプレイ210の表示を制御する。ディスクコントローラ(DKC)207は、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、後述する編集ファイル等を記憶するハードディスク(HD)211や不図示のフレキシブルディスク(FD)等とのアクセスを制御する。プリンタコントローラ(PRTC)208は、接続されたプリンタ150との間の信号の送受信を制御する。ネットワークコントローラ(NC)212は、ネットワークに接続され、当該ネットワークに接続された他の機器との通信を制御する。
【0038】
バス204は、CPU201、RAM202、ROM203、KBC205、CRTC206、DKC207、PRTC208及びNC212を相互に通信可能に接続するためのものである。
【0039】
<電子原稿データの形式>
ここで、図1に示す製本アプリケーション104の詳細な処理を言及する前に、ブックファイルのデータ形式について説明する。
ブックファイルは、紙媒体の書物を模倣した3層の層構造を有する。まず、上位層は「ブック」と呼ばれ、1冊の本を模倣しており、その本の全般に係る属性が定義されている。その下の中間層は、本でいう章に相当し、やはり「章」と呼ばれる。各章についても、章毎の属性が定義できる。そして、その下の下位層は「ページ」であり、一般アプリケーション101のプログラムで定義された各ページに相当する。尚、各ページについてもページ毎の属性が定義できる。更に、1つのブックは、複数の章を含んでいてよく、また1つの章は複数のページを含むこともできる。
【0040】
図3は、ブックファイルの形式の一例を説明するための図である。
図3(A)には、ブックファイルの形式の一例が模式的に示されている。図3(A)に示すように、本例では、ブックファイルにおけるブック、章及びページは、それぞれに相当するノードにより示されている。1つのブックファイルは、1つのブックを含むものである。
【0041】
ブック及び章は、ブックファイルとしての構造を定義するための概念であるから、定義された属性値と下位層へのリンクとをその実体として含むものである。ページは、一般アプリケーション101のプログラムによって出力されたページ毎のデータを実体として有する。そのため、ページは、その属性値のほかに、原稿ページの実体(当該ページの原稿データ)と当該ページの原稿データへのリンクを含むものである。尚、紙媒体等に出力する際の印刷ページは、複数の原稿ページを含む場合がある。この構造に関してはリンクによって表示されず、ブック、章、ページの各階層における属性として示される。
【0042】
図3(A)において、ブックには、ブック属性(ドキュメント属性)301が定義されると共に、章属性304に係る章及び章属性306に係る章の2つの章がリンクされている。このリンクにより、章属性304に係る章及び章属性306に係る章が当該ブックに包含されていることが表示される。
【0043】
また、章属性304に係る章には、ページ属性308に係るページがリンクされ、このページが含まれることが示されている。ページ属性308には属性値が定義され、その原稿ページの実体である原稿データ(1)へのリンク308aが含まれる。また、章属性306に係る章には、ページ属性310に係るページ及びページ属性312に係るページがリンクされ、これらのページが含まれることが示されている。ページ属性310及び312には属性値が定義され、それぞれ、その原稿ページの実体である原稿データ(2)へのリンク310a及び原稿データ(3)へのリンク312aが含まれる。
【0044】
原稿データへのリンク308a、310a及び312aは、図3(B)に示すように、それぞれ、原稿データ314の原稿データ(1)、原稿データ(2)及び原稿データ(3)を示している。即ち、ページ属性308に係るページの実体が原稿データ(1)であることを示し、ページ属性310に係るページの実体が原稿データ(2)であることを示し、ページ属性312に係るページの実体が原稿データ(3)であることを示している。
【0045】
また、図3(A)に示すように、ブックには、ドキュメント(ブックファイル)のセキュリティ設定を行ったユーザ情報302、及び、そのドキュメント(ブックファイル)のセキュリティ属性303が含まれている。また、各章には、当該各章のセキュリティ属性(305、307)が含まれている。また、各ページには、当該各ページのセキュリティ属性(309、311、313)が含まれている。尚、図3に示すブックファイルは、電子原稿ファイル記憶部103(HD211)に記憶されている。
【0046】
図4は、図3に示すブック属性(301)のリストの一例を示す図である。また、図5は、図3に示す章属性(304、306)のリストの一例を示す図である。また、図6は、図3に示すページ属性(308、310、312)のリストの一例を示す図である。
【0047】
図4に示すブック属性(301)のリストにおいて、下位層と重複して定義可能な項目に関しては、下位層の属性値が優先的に採用される。そのため、ブック属性(301)のみに含まれる項目に関しては、ブック属性(301)に定義された値がブック全体を通して有効な値となる。しかしながら、下位層と重複する項目については、下位層において定義されていない場合における既定値としての意味を有する。尚、図4に示された各項目は、具体的に1項目に対応するのではなく、関連する複数の項目を含むものもある。
【0048】
また、図5に示す章属性(304、306)とページ属性(308、310、312)との関係も、上述したブック属性(301)と下位層の属性との関係と同様である。
【0049】
図4〜図6から明らかなように、ブック属性(301)に固有の項目は、印刷方法、製本詳細、表紙/裏表紙、インデックス紙、合紙、章区切り、仕上がり用紙サイズ及び仕上がり用紙方向の8項目である。これらはブックを通して定義される項目である。
【0050】
印刷方法の属性としては、片面印刷、両面印刷、製本印刷の3つの値を指定できる。ここで、製本印刷とは、別途指定する枚数の用紙を束にして2つ折りにし、その束をつづり合わせることで製本が可能となる形式で印刷する方法である。
【0051】
製本詳細の属性としては、製本印刷が指定されている場合に、見開き方向や、束になる枚数等が指定できる。
【0052】
表紙/裏表紙の属性は、ブックとしてまとめられる電子原稿ファイルを印刷する際に、表紙及び裏表紙となる用紙を付加することの指定、及び付加した用紙への印刷内容の指定を含むものである。
【0053】
インデックス紙の属性は、章の区切りとして、印刷装置であるプリンタ150に別途用意される耳付きのインデックス紙の挿入の指定、及びインデックス(耳)部分への印刷内容の指定を含むものである。このインデックス紙の属性は、印刷用紙とは別に用意された用紙を所望の位置に挿入するインサート機能を持ったインサータが、使用するプリンタ150に備えられている場合か、あるいは、複数の給紙カセットを使用可能である場合に有効となる。これは後述する合紙の属性についても同様である。
【0054】
合紙の属性は、章の区切りとして、インサータから、あるいは給紙カセットから供給される用紙の挿入の指定、及び、合紙を挿入する場合には、給紙元の指定などを含むものである。
【0055】
章区切りの属性は、章の区切り目において、新たな用紙を使用するか、新たな印刷ページを使用するか、特に何もしないか等の指定を含むものである。片面印刷時には、新たな用紙の使用と新たな印刷ページの使用とは同じ意味を持つ。両面印刷時には、「新たな用紙の使用」を指定すれば連続する章が1枚の用紙に印刷されることは無いが、「新たな印刷ページの使用」を指定すれば、連続する章が1枚の用紙の表裏に印刷されることがあり得る。
【0056】
仕上がり用紙サイズの属性及び仕上がり用紙方向の属性は、印刷後、断裁することを前提にしており、出力用紙上に、どのように原稿を配置するかを指定できる。
【0057】
図5に示す章属性に関しては、章に固有の項目はなく、全て図4に示すブック属性と重複する。したがって、章属性における定義とブック属性における定義とが異なれば、章属性で定義された値が優先する。
【0058】
図4に示すブック属性と図5に示す章属性とにのみ共通する項目は、用紙サイズ、用紙方向、N−up印刷指定、拡大縮小、排紙方法の5項目である。これらのうち、N−up印刷指定の属性は、1印刷ページに含まれる原稿ページ数を指定するための項目である。指定可能な配置としては、1×1、1×2、2×2、3×3、4×4などがある。また、排紙方法の属性は、排出した用紙にステイプル処理を施すか否かを指定するための項目であり、この属性の有効性は、使用するプリンタ150がステイプル機能を有するか否かに依存する。
【0059】
図6に示すページ属性に固有の項目には、ページ回転指定、ズーム、配置位置、アノテーション、ページ分割などがある。これらのうち、ページ回転指定の属性は、原稿ページを印刷ページに配置する際の回転角度を指定するための項目である。ズームの属性は、原稿ページの変倍率を指定するための項目である。ここで、変倍率は、仮想論理ページ領域のサイズを100%として指定される。また、仮想論理ページ領域とは、原稿ページを、Nup等の指定に応じて配置した場合に、1原稿ページが占める領域である。例えば、1×1であれば、仮想論理ページ領域は1印刷ページに相当する領域となり、1×2であれば、1印刷ページの各辺を約70パーセントに縮小した領域となる。
【0060】
図4に示すブック属性、図5に示す章属性及び図6に示すページ属性について、それぞれに共通な属性としては、ウォーターマークの属性及びヘッダー・フッターの属性がある。ここで、ウォーターマークとは、例えば、アプリケーションで作成されたデータに重ねて印刷される、別途指定される画像や文字列などである。ヘッダー・フッターは、それぞれ各ページの上余白及び下余白に印刷されるウォーターマークである。但し、ヘッダー・フッターには、ページ番号や日時など変数により指定可能な項目が用意されている。
【0061】
尚、ウォーターマークの属性及びヘッダー・フッターの属性において指定可能な内容は、章とページとは共通であるが、ブックはそれらと異なっている。ブックにおいては、ウォーターマークやヘッダー・フッターの内容を設定できるし、また、ブック全体を通してどのようにウォーターマークやヘッダー・フッターを印刷するかを指定することができる。一方、章やページでは、その章やページにおいて、ブックで設定されたウォーターマークやヘッダー・フッターを印刷するか否かを指定できる。
【0062】
図7は、図3に示すブックファイルが有するユーザ情報(302)のリストの一例を示す図である。
図7の備考欄に示すように、1人のユーザに係るユーザ情報としては、「ユーザ名」、「パスワード」、「管理者権限の有無」の情報を含み、当該ブックファイルに係る全ユーザのユーザ情報がリストとして管理される。
【0063】
製本アプリケーション104と認証モジュール107では、このユーザ情報を用いて、ブックファイルのオープン時や追加認証時に、ユーザの認証を行う。また、ユーザの中には、全ての権限を保持する管理者が存在する。また、ユーザの設定として、管理者権限を付加することが可能であり、付加した場合は、管理者と同様の権限を有する。
【0064】
図8は、図3に示すブックファイルが有するセキュリティ属性のリストの一例を示す図である。
図3に示すブック、章及びページの各セキュリティ属性(303、305、307、309、311、313)は、同一のデータ構造となっている。
このセキュリティ属性の情報としては、図8に示すように、セキュリティがあるかないかを示すセキュリティ設定の有無に係る情報と、各ユーザ毎の閲覧権限、編集権限、印刷権限に対するそれぞれの権限を示すユーザ詳細情報の情報がある。製本アプリケーション104は、認証モジュール107で認証されているユーザのユーザ詳細情報を用いて、各文書ファイルを構成する各構成単位である各ページの閲覧権限や編集権限、あるいは印刷権限を取得し設定を行う。そして、製本アプリケーション104は、各ユーザの権限に応じて各ページの閲覧や、編集、印刷等の実行可否を行うことで、ページ単位のセキュリティを実現している。
【0065】
即ち、製本アプリケーション104(CPU201)は、ブックファイル(ドキュメント)を構成する各構成単位である各ページに対して、各ユーザにおけるセキュリティ設定を行う設定手段を構成する。
【0066】
<ブックファイルの生成手順>
ブックファイルは、上述したような構造及び内容を有している。
次に、製本アプリケーション104及び電子原稿ライタ102によるブックファイルの作成手順について説明する。ブックファイルの作成手順は、製本アプリケーション104によるブックファイルの編集操作の一環として実現される。
【0067】
図9は、製本アプリケーション104(CPU201)によりブックファイルを開く際の手順を示すフローチャートである。
まず、製本アプリケーション104(CPU201)は、開こうとするブックファイルが、新規作成すべきものであるか、それとも既存のものであるかを判定する(ステップS901)。この判定の結果、新規作成の場合には、製本アプリケーション104(CPU201)は、章を含まないブックファイルを新規に作成する(ステップS903)。
【0068】
ここで、ステップS903で新規に作成されるブックファイルは、図3の例で示せば、ブックのノードのみを有し、章のノードに対するリンクが存在しないブックのノードとなる。この際、ブック属性301は、新規作成用として予め用意された属性のセットが適用される。続いて、例えば、CPU201は、新規のブックファイルを編集するためのユーザインタフェース(UI)画面を、CRTC206を介してCRTディスプレイ210に表示する制御を行う(ステップS904)。
【0069】
図13は、新規にブックファイルが作成された際のUI画面の一例を示す図である。
この場合は、ブックファイルは実質的な内容を持たないため、図13に示すUI画面1300には何も表示されない。
【0070】
一方、ステップS901の判定の結果、新規作成ではなく、既存のブックファイルがある場合には、製本アプリケーション104(CPU201)は、指定されたブックファイルを開く(ステップS902)。そして、この場合、例えば、CPU201は、そのブックファイルの構造、属性、内容に従ってユーザインタフェース(UI)画面を、CRTC206を介してCRTディスプレイ210に表示する制御を行う(ステップS904)。
【0071】
図14は、既存のブックファイルの中から指定されたブックファイルを表示するUI画面の一例を示す図である。
図14に示すUI画面1400は、ブックの構造を示すツリー部1401と、印刷された状態を表示するプレビュー部1402とを含むものである。ツリー部1401には、ブックに含まれる章(図14の1章〜3章)、及び、各章に含まれるページ(図14の1章のページ1−1〜1−3、2章のページ2−1〜2−10、3章のページ3−1〜3−2)が、図3(A)のようにツリー構造で表示される。
【0072】
ツリー部1401に表示されるページは原稿ページである。また、プレビュー部1402には、印刷ページの内容が縮小されて表示される。その表示順序は、ブックの構造を反映したものとなっている。
【0073】
また、開かれたブックファイルには、電子原稿ライタ102(CPU201)によって電子原稿ファイルに変換されたアプリケーションデータを、新たな章として追加することができる。この機能を電子原稿インポート機能と呼ぶ。図9に示す手順によって新規に作成されたブックファイルに電子原稿インポートすることで、そのブックファイルには実体が与えられる。この機能は、例えば、図13(あるいは図14)の画面にアプリケーションデータをドラッグアンドドロップ操作することで起動される。
【0074】
図10は、図9に示すステップS902における既存のブックファイルをオープンさせるファイルオープン処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【0075】
図9のステップS902の処理では、まず、製本アプリケーション104(CPU201)は、図3に示すブックファイルの各種の設定情報を、電子原稿ファイル記憶部103(HD211)から取得する(ステップS1001)。
【0076】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS1001で取得されたブックファイルの各種の設定情報において、セキュリティ設定があるか否かを判定する(S1002)。例えば、ここでは、ブックファイルのセキュリティ属性において、セキュリティ設定がされているか否かが判定される。
【0077】
ステップS1002の判定の結果、セキュリティ設定がある場合は、例えば、CPU201(認証モジュール107)は、図15に示すようなユーザ認証画面1500を、CRTC206を介してCRTディスプレイ210に表示する制御を行う。図15に示すユーザ認証画面1500には、ユーザ名のIDを入力するためのユーザ名入力部1501と、パスワードを入力するためのパスワード入力部1502が設けられている。そして、例えば、CPU201(認証モジュール107)は、ユーザ名入力部1501にユーザ名が入力され、パスワード入力部1502にパスワードの入力がされると(ステップS1003)、これを検知してユーザの認証を行う。
【0078】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、当該ブックファイルが有する図3に示すユーザ情報302に基づいて、ステップS1003で認証を行ったユーザに管理者権限があるか否かを判定する(ステップS1004)。
【0079】
ステップS1004の判定の結果、管理者権限がある場合には、製本アプリケーション104(CPU201)は、ドキュメント(ブックファイル)のオープン権限として管理者権限を設定する(ステップS1005)。そして、この場合、製本アプリケーション104(CPU201)は、当該管理者権限に基づいて当該ドキュメント(ブックファイル)を開く。
【0080】
一方、ステップS1004の判定の結果、管理者権限がない場合には、製本アプリケーション104(CPU201)は、ドキュメント(ブックファイル)のオープン権限として認証したユーザ権限を設定する(ステップS1006)。そして、この場合、製本アプリケーション104(CPU201)は、当該ユーザ権限に基づいて当該ドキュメント(ブックファイル)を開く。
【0081】
また、ステップS1002の判定の結果、セキュリティ設定がない場合は、セキュリティ無しのドキュメント(ブックファイル)ということになる。この場合、製本アプリケーション104(CPU201)は、認証無しで管理者と同等の操作を可能とするため、ドキュメント(ブックファイル)のオープン権限として管理者権限を設定する(ステップS1007)。そして、この場合、製本アプリケーション104(CPU201)は、当該管理者権限に基づいて当該ドキュメント(ブックファイル)を開く。
【0082】
次に、上述した電子原稿インポートの処理の手順について説明する。
図11は、電子原稿インポートの処理の手順を示すフローチャートである。
まず、図11に示す処理を開始するのにあたり、指定されたアプリケーションデータを生成したアプリケーションプログラムが起動される。
【0083】
まず、例えば、製本アプリケーション104(CPU201)は、デバイスドライバとして電子原稿ライタ102を指定して、アプリケーションデータを印刷処理させ、電子原稿ファイルに変換する処理(電子原稿生成処理)を行わせる(ステップS1101)。
【0084】
続いて、例えば、製本アプリケーション104(CPU201)は、生成された電子原稿ファイルが画像ファイルであるか否かを判定する(ステップS1102)。
【0085】
このステップS1102の判定は、ウインドウズOSの場合であれば、アプリケーションデータのファイル拡張子に基づいて行われる。例えば、拡張子が「bmp」であればウインドウズビットマップのファイルであり、「jpg」であればjpeg圧縮された画像ファイル、「tiff」であればtiff形式の画像ファイルであると判定できる。また、これらの画像ファイルの場合は、図11の処理を開始する際のアプリケーションを起動せずに、当該画像ファイルから直接、電子原稿ファイルを生成することが可能であるため、ステップS1101の処理を省略することも可能である。
【0086】
ステップS1102の判定の結果、生成された電子原稿ファイルが画像ファイルでなかった場合には、ステップS1103に進む。ステップS1103に進むと、例えば、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS1101で生成された電子原稿ファイルを、現在開かれているブックファイルのブックに、新たな章として追加する処理を行う。ここで、章属性(304、306)としては、ブック属性(301)と共通するものについては当該ブック属性の値がコピーされ、そうでないものについては、予め用意された規定値に設定される。
【0087】
一方、ステップS1102の判定の結果、生成された電子原稿ファイルが画像ファイルでなかった場合には、ステップS1104に進む。ステップS1104に進むと、例えば、製本アプリケーション104(CPU201)は、原則として新たな章を追加する処理を行わずに、指定されている章に、ステップS1101で生成された電子原稿ファイルに含まれる各原稿ページを追加する処理を行う。但し、ブックファイルが新規作成されたファイルであれば、新たな章が作成されて、その章に属するページとして電子原稿ファイルの各ページが追加される。
【0088】
ここで、ページ属性(308、310、312)は、上位層の属性と共通のものについてはその属性値が与えられ、アプリケーションデータにおいて定義された属性を電子原稿ファイルに引き継いでいるものについてはその値が与えられる。例えば、N−up印刷指定の属性などがアプリケーションデータにおいて指定されていた場合には、その属性値が引き継がれる。このようにして、新規なブックファイルが作成され、あるいは、新規な章が追加される。
【0089】
図12は、図11に示すステップS1101における電子原稿生成処理の詳細な手順を示すフローチャートである。この図12に示す処理は、電子原稿ライタ102(CPU201)で行われる。
【0090】
図11のステップS1101の処理では、まず、電子原稿ライタ102は、新たな電子原稿ファイルを作成して、それを開く(ステップS1201)。
【0091】
続いて、電子原稿ライタ102は、指定されたアプリケーションデータに対応するアプリケーションを起動し、当該電子原稿ライタ102をデバイスドライバとしてOSの出力モジュールに対して出力コマンドを送信する。出力モジュールは、受信した出力コマンドを、電子原稿ライタ102によって電子原稿形式のデータにページ単位で変換し、これを出力する(ステップS1202)。その出力先は、ステップS1201で開いた電子原稿ファイルである。
【0092】
続いて、電子原稿ライタ102は、指定されたアプリケーションデータの全てについて変換処理が終了したか否かを判定する(ステップS1203)。この判定の結果、指定されたアプリケーションデータの全てについては変換処理が終了していない場合には、ステップS1202に戻り、再度、ステップS1202の処理が行われる。
【0093】
一方、ステップS1203の判定の結果、指定されたアプリケーションデータの全てについて変換処理が終了した場合には、電子原稿ライタ102は、当該電子原稿ファイルを閉じる(ステップS1204)。
【0094】
この図12に示すフローチャートにおいて、電子原稿ライタ102によって生成される電子原稿ファイルは、図3(B)に示される原稿ページの実体である原稿データ314を含むファイルである。
【0095】
<ブックファイルの編集>
以上のようにして、アプリケーションデータからブックファイルを作成することができる。生成されたブックファイルについては、章及びページに対して次のような編集操作が可能である。
(1)新規追加
(2)削除
(3)コピー
(4)切り取り
(5)貼り付け
(6)移動
(7)章名称変更
(8)ページ番号名称振り直し
(9)表紙挿入
(10)合紙挿入
(11)インデックス紙挿入
(12)各原稿ページに対するページレイアウト
【0096】
その他、一旦行った編集操作を取り消す操作や、更に取り消した操作をやり直す操作が可能である。これら編集機能により、例えば、複数のブックファイルの統合や、ブックファイル内で章やページの再配置、ブックファイル内で章やページの削除、原稿ページのレイアウト変更、合紙やインデックス紙の挿入などの編集操作が可能となる。
【0097】
これらの操作を行うと、図4に示すブック属性や図5に示す章属性に操作結果が反映され、あるいは、ブックファイルの構造に反映される。例えば、ブランクページの新規追加操作を行えば、指定された箇所にブランクページが挿入される。このブランクページは、原稿ページとして扱われる。また、原稿ページに対するレイアウトを変更すれば、その変更内容は、印刷方法やN−up印刷指定、表紙/裏表紙、インデックス紙、合紙、章区切りといった属性に反映される。また、これらの編集操作は、指定したブック、章、ページに対して編集権限がないユーザが認証された場合には、実行できない。
【0098】
これに加えて、セキュリティ設定も可能である。セキュリティ設定は、ブックファイル全体、章単位、ページ単位に、各ユーザの閲覧、編集、印刷権限をそれぞれ設定可能とし、その結果は、図8に示すセキュリティ属性に反映される。また、ユーザの新規設定も設定画面で同時に行え、設定された新規ユーザは、図7に示すユーザ情報に追加される。また、別途、ユーザの追加や削除を行うための機能も具備されている。
【0099】
<ブックファイルの出力>
以上のように作成・編集されるブックファイルは、印刷出力を最終目的とするものである。ここで、ユーザが、図14に示すUI画面1400からファイルメニューを選択し、そこから印刷を選択すると、指定した出力デバイスにより印刷出力がなされる。
【0100】
この際、まず、製本アプリケーション104は、現在開かれているブックファイルからジョブチケットを作成し、そのジョブチケットを電子原稿デスプーラ105に送信する。一方、電子原稿デスプーラ105は、受信したジョブチケットをOSの出力コマンド、例えばウインドウズのGDI関数に変換し、それを出力モジュール、例えばGDIに送信する。そして、この出力モジュールは、指定されたプリンタドライバ106によってデバイスに適したコマンドを生成し、そのデバイスに送信する。
【0101】
ここで、ジョブチケットは、原稿ページを最小単位とする構造を有するデータである。ジョブチケットにおける構造は、用紙上における原稿ページのレイアウトを定義している。また、ジョブチケットは、1ジョブにつき1つ発行される。そのため、まず最上位にドキュメント(ブック)というノードがあり、文書ファイルの全体の属性、例えば、両面印刷/片面印刷などが定義されている。その下には、用紙ノードが属し、用いるべき用紙の識別子やプリンタ150における給紙口の指定などの属性が含まれる。各用紙ノードには、その用紙で印刷されるシートのノードが属する。ここで、1シートは、1枚の用紙に相当する。各シートには、印刷ページ(物理ページ)が属する。片面印刷ならば1シートには1物理ページが属し、両面印刷ならば1シートに2物理ページが属する。各物理ページには、その上に配置される原稿ページが属する。また物理ページの属性として、原稿ページのレイアウトが含まれる。
【0102】
電子原稿デスプーラ105は、上述のジョブチケットを、出力モジュールへの出力コマンドに変換する。また、上記印刷操作は、ブックに対して印刷権限がないユーザが認証された場合には、実行できない。
【0103】
<本実施形態の他のシステムの構成>
図1に示すシステムは、スタンドアロン型のシステムであるが、これを拡張したサーバクライアントシステムでも、ほぼ同様の構成及び手順でブックファイルを作成し、編集することができる。但し、ブックファイルや印刷処理はサーバによって管理されることになる。
【0104】
図16は、本発明の実施形態に係る他の文書管理システム(ドキュメント管理システム)を示し、サーバ・クライアント型の文書管理システムのソフトウェア構成の一例を示す図である。この図16では、クライアントPC1600が、本発明の実施形態に係るドキュメント管理装置に相当するものとなる。
【0105】
クライアントPC1600は、図1に示すデジタルコンピュータ100の構成に加えて、図16に示す各構成部108〜110を備えている。具体的に、DS(文書サービス)クライアントモジュール108、DOMS(Document Output Management Service:文書出力管理サービス)ドライバ109及びDOMSプリントサービスモジュール110を備えている。
【0106】
このクライアントPC1600においては、例えば、図2に示すCPU201、及び、プログラムROM203bあるいはHD211のプログラムから、図16に示す各構成部101、102、104〜110が構成される。また、例えば、HD211から、図16に示す電子原稿ファイル記憶部103が構成される。
【0107】
図16に示す文書管理システムでは、このクライアントPC1600に対して、文書管理サーバ1601、印刷集中管理サーバ1602及びプリントサーバ1603が接続されて構成されている。また、プリントサーバ1603に対しては、プリンタ1604が接続されている。これらのサーバは、通常ネットワークによってクライアントPC1600と接続されるが、サーバが同時にクライアントとしても機能する場合には、ネットワーク間の通信をシミュレートするプロセス間通信によって接続される。
【0108】
尚、図16に示す例では、文書管理サーバ1601と印刷集中管理サーバ1602の両方のサーバがクライアントPC1600に接続されているが、何れか一方のみがネットワーク上に存在する場合もあり得る。例えば、この場合、接続されているサーバが文書管理サーバ1601であれば、DSクライアントモジュール108を含む文書管理サーバクライアントシステム1601SCが構成される。また、接続されているサーバが印刷集中管理サーバ1602であれば、DOMSドライバ109及びDOMSプリントサービスモジュール110、並びに、プリントサーバ1603を含む印刷管理サーバクライアントシステム1602SCが構成される。
【0109】
文書管理サーバ1601は、製本アプリケーション104により作成・編集されたブックファイルを格納するサーバである。文書管理サーバ1601によってブックファイルを管理する場合、ブックファイルは、クライアントPC1600の電子原稿ファイル記憶部103に代わって、あるいは、それに加えて、文書管理サーバ1601のデータベース(DB)1611に保存される。また、製本アプリケーション104と文書管理サーバ1601との間のブックファイルの保存及び読み出しは、DSクライアントモジュール108及びDSコア1612を介して行われる。
【0110】
印刷集中管理サーバ1602は、クライアントPC1600に格納された、あるいは文書管理サーバ1601に格納されたブックファイルの印刷処理を管理するサーバである。クライアントPC1600における印刷要求は、DOMSドライバ109及びDOMSプリントサービスモジュール110を介して、印刷集中管理サーバ1602のDOMS WGサーバモジュール1621に送信される。印刷集中管理サーバ1602は、クライアントPC1600におけるプリンタ150で印刷処理する場合には、クライアントPC1600のDOMSプリントサービスモジュール110を介して、電子原稿デスプーラ105にブックファイルを送信する。
【0111】
また、印刷集中管理サーバ1602は、プリントサーバ1603におけるプリンタ1604で印刷処理する場合には、プリントサーバ1603のDOMSプリントサービスモジュール1631にブックファイルを送信する。そして、この場合、プリントサーバ1603内の電子原稿デスプーラ1632及びプリンタドライバ1633を介してプリンタ1604で印刷処理がなされる。
【0112】
印刷集中管理サーバ1602は、例えば、保存されているブックファイルに対して印刷要求を発行したユーザの資格などについてセキュリティチェックを行ったり、印刷処理のログを保存したりする。このように、文書管理システムは、スタンドアロンとしても、クライアント・サーバシステムとしても実現できる。
【0113】
<プレビュー表示の内容>
既に説明した通り、ブックファイルが製本アプリケーション104(CPU201)によって開かれると、図14に示したユーザインタフェース画面(UI画面)1400が表示される。ツリー部1401には、開いているブック(以下、「注目ブック」と呼ぶ)の構造を示すツリーが表示される。プレビュー部1402には、ユーザの指定に応じて、3通りの表示方法が用意されている。この際、ユーザは、例えば、図2に示すKB209を介して、指定を行う。
【0114】
まず、第1の表示方法は、原稿ページをそのまま表示する原稿ビューと呼ばれるモードである。この原稿ビューモードでは、注目ブックに属する原稿ページの内容が縮小されて表示される。尚、プレビュー部1402の表示にレイアウトは反映されない。次に、第2の表示方法は、印刷ビューモードである。この印刷ビューモードでは、プレビュー部1402には原稿ページのレイアウトが反映された形で原稿ページが表示される。そして、第3の表示方法は、簡易印刷ビューモードである。この簡易印刷ビューモードでは、各原稿ページの内容はプレビュー部1402の表示には反映されず、レイアウトのみが反映される。
【0115】
また、セキュリティ設定が設定され、かつ、ブックファイルのオープン時の権限が管理者でない場合は、セキュリティ設定に従って、プレビューの表示内容が制限される。この場合、認証したユーザの閲覧権限がないページは、原稿ページの内容が表示されないか、もしくは、権限がないことを示すダミーページ画像がプレビュー表示画像として表示される。
【0116】
次に、前述した文書管理システムにおける具体的な実施例について説明する。
【0117】
(第1の実施例)
本実施例では、1つのブックファイル(ドキュメント)において、当該ブックファイルを構成する各ページ(各構成単位)に対してセキュリティ設定を行った場合に、各ユーザのセキュリティ設定でプレビューを表示する方法に関するものを説明する。
【0118】
本実施例では、製本アプリケーション104で開く、例えば図14に示すUI画面に、例えば図17に示すプレビューユーザ選択コンボボックス1701を追加したUI画面1700を用いる。このプレビューユーザ選択コンボボックス1701を設けることにより、プレビューを行うユーザを指定することができる。
【0119】
この図17に示すプレビューユーザ選択コンボボックス1701には、ブックファイルに対して認証したユーザが管理者権限を持っている場合、開いているブックファイルに登録されている全てのユーザ名がリストアップされる。また、ブックファイルに対して認証したユーザが管理者権限を持っていない場合には、プレビューユーザ選択コンボボックス1701には、認証しているユーザのユーザ名のみがリストアップされる。このリストの作成手順は、後述する図22のユーザリスト作成処理のフローチャートに従って行われる。
【0120】
また、プレビューユーザ選択コンボボックス1701におけるユーザのリストには、各ユーザの単位だけでなく、複数のユーザをまとめたユーザ群をリストアップする形態も適用できる。また、図18に示すUI画面1800のプレビューユーザ選択コンボボックス1801のように、ユーザ名+各権限をリストアップする形態も適用できる。図17に示すプレビューユーザ選択コンボボックス1701では、閲覧権限であることを前提としているが、図18に示すプレビューユーザ選択コンボボックス1801では、選択された権限でプレビューが行われることになる。
【0121】
図19に示すUI画面1900のプレビューユーザ選択コンボボックス1901のように、プレビューを行うユーザが「ユーザA」と選択し指定されると、「ユーザA」の権限に応じて、プレビュー部1904にプレビューが行われる。このプレビュー表示画像を作成する処理は、後述する図23〜図25のフローチャートに従って行われる。このプレビュー表示画像の処理によって、「ユーザA」が権限を持っているページは、例えばページ1902のように、ページ内容が分かるプレビューとして表示される。また、「ユーザA」が権限を持っていないページは、例えばページ1903のように、ページ内容が分からないプレビューとして表示される。
【0122】
また、用紙プレビュー画像を作成する際、ブック、章、ページに、ページレイアウトに影響する属性が設定されていた場合は、その属性に従ってページレイアウトが作成され、その際の用紙のプレビュー画像は、選択されたユーザの権限に従ったものとなる。
【0123】
図20は、1枚の用紙に4ページをレイアウトする属性が設定され、ユーザAの権限でプレビューを行った際のUI画面の一例を示す図である。
図20に示すUI画面2000では、プレビューユーザ選択コンボボックス2001で「ユーザA」が選択され指定されている場合の印刷処理における出力用紙のプレビュー画像が、プレビュー部2004に表示された場合を示している。用紙2002は、5,6,7,8ページを含んだ出力用紙のプレビュー画像であるが、「ユーザA」は、1,5,6,7ページ目に対してのみ権限を持っているため、用紙2002では8ページ目は内容が分からないプレビュー画像として用紙プレビューが行われる。また、出力用紙に含まれるページ全てに対して権限がない場合は、用紙2003のように当該出力用紙に含まれる全ページの内容が分からないプレビュー画像として用紙プレビューが行われる。
【0124】
また、印刷処理の際に、印刷権限がないページ又は出力用紙は、内容が分からないプレビュー画像に従って印刷処理されるが、この場合、ユーザの選択等により、印刷権限がないページ又は出力用紙は、印刷処理ができないようにする形態も適用できる。加えて、本発明は、図3のように、データ構造内にセキュリティ設定に係る情報を含まずに、ネットワークを介してセキュリティ管理サーバなどのデータ構造外にセキュリティ設定に係る情報を保持し、本実施例の動作と同様の動作を行う場合にも適用できる。
【0125】
次に、プレビューユーザ選択コンボボックスに表示するユーザリスト作成処理について説明する。
図22は、プレビューユーザ選択コンボボックスに表示するユーザリスト作成処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、製本アプリケーション104(CPU201)が、例えば、図17に示すプレビューユーザ選択コンボボックス1701の表示のようなユーザリストを表示する処理の直前に開始される。
【0126】
まず、製本アプリケーション104(CPU201)は、図3に示すブックファイルのユーザ情報302から、当該ブックファイル(ドキュメント)を開いた際に認証したユーザの権限を取得する(ステップS2201)。
【0127】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS2201で取得したユーザの権限が、管理者権限を有しているか否かを判定する(ステップS2202)。
【0128】
ステップS2202の判定の結果、ステップS2201で取得したユーザの権限が、管理者権限を有している場合には、ステップS2203に進む。ステップS2203に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ユーザ情報302から、当該ユーザ情報302に登録してある、即ちセキュリティ設定を行っている全てのユーザに係る情報(ユーザ名等)を取得する。
【0129】
一方、ステップS2202の判定の結果、ステップS2201で取得したユーザの権限が、管理者権限を有していない場合には、ステップS2204に進む。ステップS2204に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ユーザ情報302から、セキュリティ設定を行っていて、認証しているユーザのみのユーザに係る情報(ユーザ名等)を取得する。
【0130】
ステップS2203又はステップS2204の処理は終了すると、ステップS2205に進む。ステップS2205に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、例えば、ステップS2203又はS2204で取得したユーザ名をリストにセットしてリストアップし、ユーザリスト作成処理を終了する。
【0131】
また、本実施形態では、製本アプリケーション104(CPU201)は、セキュリティ設定をしたユーザをリストアップする際、セキュリティ設定をした全てのユーザをリストアップせずに、選択されたユーザのみのリストアップを行うことが可能である。また、製本アプリケーション104(CPU201)は、セキュリティ設定の種類ごとにユーザのリストアップを行うことも可能である。
【0132】
次に、プレビュー表示画像を作成するプレビュー表示画像作成処理について説明する。
図23は、第1の実施例におけるプレビュー表示画像作成処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、製本アプリケーション104(CPU201)が、新規でブックファイルを開いて実際にプレビューを行う前か、印刷属性の変更などでページのプレビュー画像を作成する際に、開始される。
【0133】
まず、製本アプリケーション104(CPU201)は、プレビューユーザ選択コンボボックスで選択され指定されたユーザに係る情報を取得する(ステップS2301)。
【0134】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、ユーザ情報302に基づいて、ステップS2301で取得した情報のユーザが管理者権限を有する管理者であるか否かを判定する(ステップS2302)。
【0135】
ステップS2302の判定の結果、ステップS2301で取得した情報のユーザが管理者である場合には、ステップS2303に進む。ステップS2303に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、全てのページを正常に表示する通常のプレビュー表示画像の作成処理を行い、処理を終了する。
【0136】
一方、ステップS2302の判定の結果、ステップS2301で取得した情報のユーザが管理者でない場合には、ステップS2304に進む。ステップS2304に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、当該ユーザのセキュリティ設定に従って、セキュリティ用プレビュー表示画像の作成処理を行い、処理を終了する。
【0137】
図24は、図23に示すステップS2304におけるセキュリティ用プレビュー表示画像作成処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【0138】
図23のステップS2304の処理では、まず、製本アプリケーション104(CPU201)は、プレビューモードに係る情報、即ちステップS2304のプレビュー表示画像作成処理に係る情報を取得する(ステップS2401)。
【0139】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、まず、プレビューユーザ選択コンボボックスで選択されたユーザをユーザAとして設定(格納)する。さらに、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS2401で取得したプレビューモードに係る情報と印刷属性に従って、必要な用紙プレビューの枚数(画像数)をPmaxとして設定(格納)する(ステップS2402)。
【0140】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、作成対象の用紙プレビュー画像を示す変数Mを設定する(ステップS2403)。これにより、作成対象の用紙プレビュー画像に係る用紙Mが設定され、用紙Mのプレビュー画像を作成するためのループが開始される。最初の処理では、用紙Mを1に設定する。
【0141】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、作成する用紙Mの面付け情報を取得し、用紙Mに載るページのページ番号を取得する(ステップS2404)。
【0142】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、作成対象のページプレビュー画像を示す変数Nを設定する(ステップS2405)。これにより、作成対象のページプレビュー画像に係るページNが設定され、用紙Mに載るページNのプレビュー画像を作成するためのループが開始される。最初の処理では、例えば、ページNを、取得されたページ番号の一番小さいページ番号に設定する。
【0143】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、ユーザAの権限に基づいて、ページNのプレビュー画像を作成する処理を行う(ステップS2406)。その後、ステップS2407に進む。
【0144】
ステップS2407に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS2404で取得したページ番号の全てのページについて、作成処理を行ったか否かを判定する。この判定の結果、ステップS2404で取得したページ番号のページについて、未だ作成処理を行っていないページがある場合には、ステップS2405に戻り、作成対象のページNを変更して、ステップS2406の処理を再度行う。
【0145】
一方、ステップS2407の判定の結果、ステップS2404で取得したページ番号の全てのページについて作成処理を行った場合には、ステップS2408に進む。ステップS2408に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS2405〜S2407のループで取得した各ページのプレビュー画像と、用紙Mのプレビューモードに係る情報及び印刷属性を使って、用紙Mのプレビュー画像を作成する。
【0146】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS2402で設定したPmaxに係る全ての用紙について、作成処理を行ったか否かを判定する(ステップS2409)。この判定の結果、未だ作成処理を行っていない用紙がある場合には、ステップS2403に戻り、作成対象の用紙Mに1を加算して、作成対象の用紙Mを変更する設定を行う。そして、ステップS2404以降の処理を再度行う。
【0147】
一方、ステップS2409の判定の結果、ステップS2402で設定したPmaxに係る全ての用紙について作成処理を行った場合には、作成された全ての用紙のプレビュー画像に基づいて、セキュリティ用プレビュー表示画像を作成する。そして、図24に示すフローチャートを終了する。
【0148】
図25は、図24に示すステップS2406におけるユーザAのページNのプレビュー画像作成処理の詳細な手順を示すフローチャートである。ここでは、製本アプリケーション104(CPU201)によるセキュリティ設定として閲覧権限が設定された場合における処理を例として説明する。
【0149】
図24のステップS2406の処理では、まず、製本アプリケーション104(CPU201)は、当該ページNのページ情報のセキュリティ属性にセキュリティ設定があるか否かを判定する(ステップS2501)。ここで、ページNのセキュリティ属性は、例えば、図3に示すページのセキュリティ属性(309、311、313)に該当する。
【0150】
ステップS2501の判定の結果、ページNのページ情報のセキュリティ属性にセキュリティ設定がない場合には、ステップS2502に進む。ステップS2502に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ページNを含む章の章情報のセキュリティ属性にセキュリティ設定があるか否かを判定する。ここで、ページNを含む章のセキュリティ属性は、例えば、図3に示す章のセキュリティ属性(305、307)に該当する。
【0151】
ステップS2502の判定の結果、ページNを含む章の章情報のセキュリティ属性にセキュリティ設定がない場合には、ステップS2503に進む。ステップS2503に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ページNを含むブックのブック情報のセキュリティ属性にセキュリティ設定があるか否かを判定する。ここで、ページNを含むブックのセキュリティ属性は、例えば、図3に示すブック(ドキュメント)のセキュリティ属性(303)に該当する。
【0152】
ステップS2503の判定の結果、ページNを含むブックのブック情報のセキュリティ属性にセキュリティ設定がない場合には、ステップS2504に進む。ステップS2504に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ページN、当該ページNを含む章及びブックにおける全てのセキュリティ属性に、セキュリティ設定がなしと設定されているため、ユーザAに対して権限(閲覧権限)ありと設定する。
【0153】
一方、ステップS2503の判定の結果、当該ページNを含むブックのブック情報のセキュリティ属性にセキュリティ設定がある場合には、ステップS2505に進む。ステップS2505に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ブックのセキュリティ属性のユーザ詳細情報(図8)に基づいて、ユーザAの閲覧権限を権限として設定する。
【0154】
即ち、このステップS2505では、ブックのセキュリティ属性のユーザ詳細情報に、ユーザAの閲覧権限が設定されていれば権限ありと設定され、また、ユーザAの閲覧権限が設定されていなければ権限なしと設定されることになる。
【0155】
一方、ステップS2502の判定の結果、ページNを含む章の章情報のセキュリティ属性にセキュリティ設定がある場合には、ステップS2506に進む。ステップS2506に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ページNを含む章のセキュリティ属性のユーザ詳細情報(図8)に基づいて、ユーザAの閲覧権限を権限として設定する。
【0156】
即ち、このステップS2506では、ページNを含む章のセキュリティ属性のユーザ詳細情報に、ユーザAの閲覧権限が設定されていれば権限ありと設定され、また、ユーザAの閲覧権限が設定されていなければ権限なしと設定されることになる。
【0157】
一方、ステップS2501の判定の結果、ページNのページ情報のセキュリティ属性にセキュリティ設定がある場合には、ステップS2507に進む。ステップS2507に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ページNのセキュリティ属性のユーザ詳細情報ユーザ詳細情報(図8)に基づいて、ユーザAの閲覧権限を権限として設定する。
【0158】
即ち、このステップS2507では、ページNのセキュリティ属性のユーザ詳細情報に、ユーザAの閲覧権限が設定されていれば権限ありと設定され、また、ユーザAの閲覧権限が設定されていなければ権限なしと設定されることになる。
【0159】
ステップS2504、S2505、S2506又はS2507の処理が終了すると、ステップS2508に進む。ステップS2508に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ページNに対してユーザAに権限(閲覧権限)があるか否かを判定する。
【0160】
ステップS2508の判定の結果、ページNに対してユーザAに権限(閲覧権限)がない場合には、ステップS2509に進む。ステップS2509に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ページNに対してユーザAに権限がないため、ページNのプレビュー画像としてその内容が分からないダミー画像を設定し、ユーザAのページNのプレビュー画像作成処理を終了する。即ち、このステップS2508の場合、ドキュメントの構成単位であるページNの表示が制限されることになる。
【0161】
ステップS2508の判定の結果、ページNに対してユーザAに権限(閲覧権限)がある場合には、ステップS2510に進む。ステップS2510に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ページNに対してユーザAに権限があるため、ページNのプレビュー画像としてページNの内容を示す画像を設定し、ユーザAのページNのプレビュー画像作成処理を終了する。即ち、このステップS2508の場合、ドキュメントの構成単位であるページNの表示が制限されずに表示されることになる。
【0162】
尚、図25では、製本アプリケーション104によるセキュリティ設定として閲覧権限を例にした処理で説明を行ったが、編集、印刷、その他の権限の場合も同様に、図25で示した閲覧権限に替えてこれらの権限を適用して処理を行うことが可能である。この場合、ステップS2505、S2506及びS2507で権限を設定する際の参照先が、それぞれの権限の設定先となる形態を採る。
【0163】
即ち、本実施形態では、製本アプリケーション104(CPU201)によるセキュリティ設定としては、各ページに対する閲覧権限、印刷権限及び編集権限のうちの少なくともいずれか1つの権限を設定するものであれば良い。そして、プレビューユーザ選択コンボボックスにリストアップされた各ユーザの中から、セキュリティ設定に基づくプレビュー画像の表示を行うユーザを指定する。そして、各ページごとに、指定されたユーザが当該ページの内容をプレビュー画像として表示する権限を有するかを判定し、当該判定結果に応じたプレビュー画像を表示する。
【0164】
(第2の実施例)
第2の実施例では、第1の実施例と、図3(A)に示すブックファイルの形式が異なり、それ以外の処理は同様である。図26を用いて、第2の実施例を説明する。
【0165】
図26は、ブックファイルの形式の他の一例を説明するための図である。
第2の実施例では、第1の実施例における図3(A)のブックファイルの形式において、さらに、ユーザ毎の属性を設定するようにしたものである。即ち、図26に示すように、ブックに対しては、ユーザ毎のドキュメント属性2604を設定可能となっている。また、章に対しては、ユーザ毎の章属性(1)2607、及び、ユーザ毎の章属性(2)2610を設定可能となっている。また、ページに対しては、ユーザ毎のページ属性(1)2613、ユーザ毎のページ属性(2)2616、及び、ユーザ毎のページ属性(3)2619を設定可能となっている。その他の構成については、図3(A)に示すものと同様である。
【0166】
図26のようなファイル構造とすることで、ユーザ毎に、例えば印刷体裁に係る印刷属性を設定することが可能となる。また、ユーザ毎の印刷属性が設定されていない場合の印刷属性として、共通の印刷属性を定義する。図26では、ドキュメント(ブック)属性2601、章属性(1)2605、章属性(2)2608、ページ属性(1)2611、ページ属性(2)2614、及び、ページ属性(3)2617が共通の印刷属性にあたる。
【0167】
第2の実施例では、1つのブックファイルに対して、ユーザ毎のセキュリティ設定とユーザ毎の印刷属性の設定を行った場合に、各ユーザの設定でプレビューを表示する方法に関するものである。
【0168】
本実施例では、製本アプリケーション104(CPU201)で開いているブックファイルのプレビューを行う図14のUI画面に、プレビューを行うユーザを選択するためのプレビューユーザ選択コンボボックス(例えば、図17の1701)を追加する。そして、プレビューを行うユーザを選択できるようにする。
【0169】
プレビューユーザ選択コンボボックス1701で表示するユーザのリストは、開いているブックファイルに登録されているユーザ情報2602のリストを表示する。作成手順については、上述した図22のユーザリスト作成処理に従う。また、ユーザのリストには、ユーザ名だけでなく、複数のユーザをまとめたユーザグループをリストアップしても良い。また、図18に示すUI画面1800のプレビューユーザ選択コンボボックス1801のように、ユーザ名+各権限をリストアップするようにしても良い。この際、図17では閲覧権限であることを前提としているが、この場合は、選択された権限でプレビューが行われることになる。
【0170】
また、図19のプレビューユーザ選択コンボボックス1901のように、プレビューを行うユーザが「ユーザA」と選択されると、「ユーザA」の権限に従って、プレビューが行われる。プレビューを作成する処理は、図27、図28及び図25のフローチャートに従って行われる。この処理によって、「ユーザA」が権限を持っているページは、例えば図19のページ1902のように、ページ内容が分かるプレビューとして表示される。また、「ユーザA」が権限を持っていないページは、例えば図19のページ1903のように、ページ内容が分からないプレビューとして表示される。
【0171】
また、用紙プレビュー画像を作成する際、プレビューユーザ選択コンボボックス1901で選択されたユーザAに対して、ブック、章、ページに、ページレイアウトに影響する属性が設定されていた場合は、その属性に従ってページレイアウトが作成される。また、プレビューユーザ選択コンボボックス1901で選択されたユーザAに対して、ブック、章、ページの印刷属性が設定されていない場合は、共通の印刷属性に従ってページレイアウトが作成される。その際の用紙のプレビュー画像は、選択されたユーザAの権限に従ったものとなる。
【0172】
図20は、上述したように、1枚の用紙に4ページをレイアウトする属性が設定され、ユーザAの権限でプレビューを行った際のUI画面の一例を示す図である。
用紙2002は、5,6,7,8ページを含んだ用紙のプレビュー画像であるが、「ユーザA」は、1,5,6,7ページ目に対してのみ権限を持っているため、用紙2002では、8ページ目は内容が分からないプレビュー画像として用紙プレビューが行われる。また、用紙に含まれるページ全てに対して権限がない場合は、用紙2003のように当該用紙に含まれる全ページの内容が分からないプレビュー画像として用紙プレビューが行われる。
【0173】
また、印刷処理の際に、印刷権限がない用紙は、内容が分からないプレビュー画像に従って印刷処理されるが、ユーザの選択により、印刷しないようにすることも可能である。例えば、「ユーザA」と同じセキュリティ設定を持ち、印刷属性が異なる「ユーザB」を設定したとする。この場合、図19のプレビューユーザ選択コンボボックス1901を「ユーザA」から「ユーザB」に変更すると、図21に示すUI画面2100に示すように、「ユーザB」のセキュリティ設定と印刷属性を反映したプレビューがプレビュー部2104に行われる。
【0174】
加えて、本発明は、図26のようにファイル形式内に印刷属性やセキュリティ情報を含まず、ネットワークを通じたセキュリティ管理サーバなどに保持された印刷属性やセキュリティ情報を使って、本実施例で説明した動作と同様の動作を行う場合にも適用される。
【0175】
図27は、第2の実施例におけるプレビュー表示画像作成処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、製本アプリケーション104(CPU201)が、新規でブックファイルを開いて実際にプレビューを行う前か、印刷属性の変更などでページのプレビュー画像を作成する際に、開始される。
【0176】
まず、製本アプリケーション104(CPU201)は、プレビューユーザ選択コンボボックスで選択されているユーザに係る情報を取得する(ステップS2701)。
【0177】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、ユーザ情報302に基づいて、ステップS2701で取得した情報のユーザが管理者権限を有する管理者であるか否かを判定する(ステップS2702)。
【0178】
ステップS2702の判定の結果、ステップS2701で取得した情報のユーザが管理者である場合には、ステップS2703に進む。ステップS2303に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、全てのページを正常に表示する通常のプレビュー表示画像の作成処理を行い、処理を終了する。
【0179】
一方、ステップS2702の判定の結果、ステップS2701で取得した情報のユーザが管理者でない場合には、ステップS2704に進む。ステップS2704に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、指定ユーザの印刷属性とセキュリティを反映したプレビュー表示画像の作成処理を行い、処理を終了する。
【0180】
図28は、図27に示すステップS2704における、指定ユーザの印刷属性とセキュリティを反映したプレビュー表示画像作成処理を示すフローチャートである。
【0181】
図27のステップS2704の処理では、まず、製本アプリケーション104(CPU201)は、プレビューモードに係る情報、即ちステップS2704のプレビュー表示画像作成処理に係る情報を取得する(ステップS2801)。
【0182】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、まず、プレビューユーザ選択コンボボックスで選択されたユーザをユーザAとして設定(格納)する。さらに、製本アプリケーション104(CPU201)は、当該ユーザAの印刷属性を取得し、これを印刷属性として設定(格納)する(ステップS2702)。
【0183】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、まず、ステップS2801で取得したプレビューモードに係る情報とステップS2802で設定した印刷属性に従って、必要な用紙プレビューの枚数(画像数)を計算する。そして、製本アプリケーション104(CPU201)は、算出した必要な用紙プレビューの枚数(画像数)をPmaxとして設定(格納)する(ステップS2803)。
【0184】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、作成対象の用紙プレビュー画像を示す変数Mを設定する(ステップS2804)。これにより、作成対象の用紙プレビュー画像に係る用紙Mが設定され、用紙Mのプレビュー画像を作成するためのループが開始される。最初の処理では、用紙Mを1に設定する。
【0185】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、作成する用紙Mの面付け情報を取得し、用紙Mに載るページのページ番号を取得する(ステップS2805)。
【0186】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、作成対象のページプレビュー画像を示す変数Nを設定する(ステップS2806)。これにより、作成対象のページプレビュー画像に係るページNが設定され、用紙Mに載るページNのプレビュー画像を作成するためのループが開始される。最初の処理では、例えば、ページNを、取得されたページ番号の一番小さいページ番号に設定する。
【0187】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、ユーザAの権限に基づいて、ページNのプレビュー画像を作成する処理を行う(ステップS2807)。このステップS2807の詳細な処理手順は、図25に示すものとなる。その後、ステップS2808に進む。
【0188】
ステップS2808に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS2805で取得したページ番号の全てのページについて、作成処理を行ったか否かを判定する。この判定の結果、ステップS2805で取得したページ番号のページについて、未だ作成処理を行っていないページがある場合には、ステップS2806に戻り、作成対象のページNを変更して、ステップS2807の処理を再度行う。
【0189】
一方、ステップS2808の判定の結果、ステップS2805で取得したページ番号の全てのページについて作成処理を行った場合には、ステップS2809に進む。ステップS2809に進むと、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS2806〜S2808のループで取得した各ページのプレビュー画像と、用紙Mのプレビューモードに係る情報及び印刷属性を使って、用紙Mのプレビュー画像を作成する。
【0190】
続いて、製本アプリケーション104(CPU201)は、ステップS2803で設定したPmaxに係る全ての用紙について、作成処理を行ったか否かを判定する(ステップS2810)。この判定の結果、未だ作成処理を行っていない用紙がある場合には、ステップS2804に戻り、作成対象の用紙Mに1を加算して、作成対象の用紙Mを変更する設定を行う。そして、ステップS2805以降の処理を再度行う。
【0191】
一方、ステップS2810の判定の結果、S2803で設定したPmaxに係る全ての用紙について作成処理を行った場合には、作成された全ての用紙のプレビュー画像に基づいて、指定ユーザの印刷属性とセキュリティを反映したプレビュー表示画像を作成する。そして、図28に示すフローチャートを終了する。
【0192】
本発明の実施形態に係るドキュメント管理装置では、ブックファイル(ドキュメント)を構成する各構成単位のページに対して、各ユーザにおけるセキュリティ設定を行うようにしている。そして、各ユーザの中から、セキュリティ設定に基づくプレビュー画像の表示を行うユーザを指定し、各ページごとに、指定されたユーザが当該ページの内容をプレビュー画像として表示する権限を有するかを判定するようにしている。そして、当該判定結果に応じて、権限がないと判定されたページについては、その内容が分からないダミー画像をプレビュー画像として表示するようにしている。
かかる構成によれば、ドキュメントを構成する各ページに対してなされた各ユーザのセキュリティ設定の状況を容易に確認することができる。これにより、文書(ドキュメント)の管理を効率良く行うことが可能になる。
【0193】
前述した本実施形態のドキュメント管理装置によるドキュメント管理方法を示す図9〜図12、図22〜図25、図27及び図28の各ステップは、図2に示すプログラムROM203b又はHD211に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0194】
具体的に、前記プログラムは、例えばCD−ROMのような記憶媒体に記録し、或いは各種伝送媒体を介し、コンピュータに提供される。前記プログラムを記録する記憶媒体としては、CD−ROM以外に、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、不揮発性メモリカード等を用いることができる。他方、前記プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネットの等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体を用いることができる。また、この際の通信媒体としては、光ファイバ等の有線回線や無線回線などが挙げられる。
【0195】
また、本発明は、コンピュータが供給されたプログラムを実行することにより本実施形態のドキュメント管理装置の機能が実現される態様に限られない。そのプログラムがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)或いは他のアプリケーションソフト等と共同して本実施形態のドキュメント管理装置の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明に含まれる。また、供給されたプログラムの処理の全て、或いは一部がコンピュータの機能拡張ボードや機能拡張ユニットにより行われて本実施形態のドキュメント管理装置の機能が実現される場合も、かかるプログラムは本発明に含まれる。
【0196】
また、前述した本実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】本発明の実施形態に係る文書管理システム(ドキュメント管理システム)のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るデジタルコンピュータ(ドキュメント管理装置)のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態を示し、ブックファイルの形式の一例を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態を示し、図3に示すブック属性のリストの一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態を示し、図3に示す章属性のリストの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態を示し、図3に示すページ属性のリストの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態を示し、図3に示すブックファイルが有するユーザ情報のリストの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態を示し、図3に示すブックファイルが有するセキュリティ属性のリストの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態を示し、製本アプリケーションによりブックファイルを開く際の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態を示し、図9に示すステップS902における既存のブックファイルをオープンさせるファイルオープン処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態を示し、電子原稿インポートの処理の手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態を示し、図11に示すステップS1101における電子原稿生成処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態を示し、新規にブックファイルが作成された際のUI画面の一例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態を示し、既存のブックファイルの中から指定されたブックファイルを表示するUI画面の一例を示す図である。
【図15】本発明の実施形態を示し、ユーザ認証を行うためのUI画面の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る他の文書管理システム(ドキュメント管理システム)を示し、サーバ・クライアント型の文書管理システムのソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態を示し、指定したユーザのセキュリティ設定でプレビューを切り替えるUI画面の一例を示す図である。
【図18】本発明の実施形態を示し、指定したユーザのセキュリティ設定でプレビューを切り替えるUI画面の一例を示す図である。
【図19】本発明の実施形態を示し、指定したユーザのセキュリティ設定でプレビューを切り替えた場合のUI画面の一例を示す図である。
【図20】本発明の実施形態を示し、指定したユーザのセキュリティ設定でプレビューを切り替えた場合に、印刷体裁に係る設定を反映したUI画面の一例を示す図である。
【図21】本発明の実施形態を示し、指定したユーザの印刷体裁に係る設定でプレビューを切り替えたUI画面の一例を示す図である。
【図22】本発明の実施形態を示し、プレビューユーザ選択コンボボックスに表示するユーザリスト作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】本発明の実施形態を示し、プレビュー表示画像作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】本発明の実施形態を示し、図23に示すステップS2304におけるセキュリティ用プレビュー表示画像作成処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図25】本発明の実施形態を示し、図24に示すステップS2406におけるユーザAのページNのプレビュー画像作成処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
【図26】本発明の実施形態を示し、ブックファイルの形式の他の一例を説明するための図である。
【図27】本発明の実施形態を示し、プレビュー表示画像作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図28】本発明の実施形態を示し、図27に示すステップS2704における、指定ユーザの印刷属性とセキュリティを反映したプレビュー表示画像作成処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0198】
100 デジタルコンピュータ(ドキュメント管理装置)
101 一般アプリケーション
102 電子原稿ライタ
103 電子原稿ファイル記憶部
104 製本アプリケーション
105 電子原稿デスプーラ
106 プリンタドライバ
107 認証モジュール
150 プリンタ
201 CPU
202 RAM
203 ROM
203a フォントROM
203b プログラムROM
203c データROM
204 バス
205 キーボードコントローラ(KBC)
206 CRTコントローラ(CRTC)
207 ディスクコントローラ(DKC)
208 プリンタコントローラ(PRTC)
209 キーボード(KB)
210 CRTディスプレイ
211 ハードディスク(HD)
212 ネットワークコントローラ(NC)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成単位が定義されているドキュメントのプレビューを実行するドキュメント管理装置において、
前記ドキュメントを構成する各構成単位に対して、ユーザごとの権限の設定を行う設定手段と、
前記ドキュメントの構成単位の内容をプレビュー画像として表示装置に表示する表示手段と、
前記設定手段により権限を設定されたユーザの中から、前記プレビュー画像の表示を行うユーザを指定する指定手段と、
前記構成単位ごとに、前記指定手段で指定されたユーザが当該構成単位の内容を前記プレビュー画像として表示する権限を有するかを判定する判定手段とを有し、
前記表示手段は、前記判定手段で権限がないと判定された構成単位については、その表示を制限し、前記判定手段で権限があると判定された構成単位については、その表示を制限せずに表示を行うことを特徴とするドキュメント管理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、前記判定手段で権限がないと判定された構成単位における表示の制限として、当該構成単位の内容が分からないダミー画像を前記プレビュー画像として表示することを特徴とする請求項1に記載のドキュメント管理装置。
【請求項3】
前記構成単位は、前記ドキュメントを構成するページであることを特徴とする請求項1又は2に記載のドキュメント管理装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記権限の設定において、前記各構成単位に対する閲覧権限、印刷権限及び編集権限のうちの少なくともいずれか1つの権限を設定し、
前記判定手段は、前記設定手段で設定された権限に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のドキュメント管理装置。
【請求項5】
前記設定手段は、各ユーザの単位だけでなく、複数のユーザをまとめたユーザ群を単位として、前記権限の設定を行えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のドキュメント管理装置。
【請求項6】
前記設定手段で権限の設定をしたユーザをリストアップするリストアップ手段を更に有し、
前記指定手段は、前記リストアップ手段でリストアップされたユーザの中から、前記権限の設定に基づく前記プレビュー画像の表示を行うユーザを指定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のドキュメント管理装置。
【請求項7】
前記リストアップ手段は、前記設定手段で権限の設定をした全てのユーザをリストアップせずに、選択されたユーザのみのリストアップを行えることを特徴とする請求項6に記載のドキュメント管理装置。
【請求項8】
前記リストアップ手段は、前記権限の設定の種類ごとにユーザのリストアップを行えることを特徴とする請求項6に記載のドキュメント管理装置。
【請求項9】
前記設定手段は、前記権限の設定に係る情報を、ネットワークを介したサーバに保持することが可能であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のドキュメント管理装置。
【請求項10】
前記表示手段は、前記構成単位の内容だけでなく、印刷処理における出力用紙の内容を前記プレビュー画像として表示することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のドキュメント管理装置。
【請求項11】
前記判定手段で前記権限がないと判定された構成単位又は当該構成単位を含む前記出力用紙は、印刷処理ができないこと特徴とする請求項10に記載のドキュメント管理装置。
【請求項12】
前記設定手段は、前記権限の設定に加えて、前記ユーザにおける印刷体裁に係る設定を更に行い、
前記表示手段は、前記印刷体裁に係る設定に基づいて前記プレビュー画像の表示を行えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のドキュメント管理装置。
【請求項13】
複数の構成単位が定義されているドキュメントのプレビューを実行するドキュメント管理方法において、
前記ドキュメントを構成する各構成単位に対して、ユーザごとの権限の設定を行う設定ステップと、
前記ドキュメントの構成単位の内容をプレビュー画像として表示装置に表示する表示ステップと、
前記設定ステップにより権限を設定されたユーザの中から、前記プレビュー画像の表示を行うユーザを指定する指定ステップと、
前記構成単位ごとに、前記指定ステップで指定されたユーザが当該構成単位の内容を前記プレビュー画像として表示する権限を有するかを判定する判定ステップとを有し、
前記表示ステップでは、前記判定ステップで権限がないと判定された構成単位については、その表示を制限し、前記判定ステップで権限があると判定された構成単位については、その表示を制限せずに表示を行うことを特徴とするドキュメント管理方法。
【請求項14】
前記表示ステップでは、前記判定ステップで権限がないと判定された構成単位における表示の制限として、当該構成単位の内容が分からないダミー画像を前記プレビュー画像として表示することを特徴とする請求項13に記載のドキュメント管理方法。
【請求項15】
前記構成単位は、前記ドキュメントを構成するページであることを特徴とする請求項13又は14に記載のドキュメント管理方法。
【請求項16】
前記設定ステップでは、前記権限の設定において、前記各構成単位に対する閲覧権限、印刷権限及び編集権限のうちの少なくともいずれか1つの権限を設定し、
前記判定ステップでは、前記設定ステップで設定された権限に基づいて前記判定を行うことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載のドキュメント管理方法。
【請求項17】
前記設定ステップでは、各ユーザの単位だけでなく、複数のユーザをまとめたユーザ群を単位として、前記権限の設定を行えることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のドキュメント管理方法。
【請求項18】
前記設定ステップで権限の設定をしたユーザをリストアップするリストアップステップを更に有し、
前記指定ステップでは、前記リストアップステップでリストアップされたユーザの中から、前記権限の設定に基づく前記プレビュー画像の表示を行うユーザを指定することを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載のドキュメント管理方法。
【請求項19】
前記リストアップステップでは、前記設定ステップで権限の設定をした全てのユーザをリストアップせずに、選択されたユーザのみのリストアップを行えることを特徴とする請求項18に記載のドキュメント管理方法。
【請求項20】
前記リストアップステップでは、前記権限の設定の種類ごとにユーザのリストアップを行えることを特徴とする請求項18に記載のドキュメント管理方法。
【請求項21】
前記設定ステップでは、前記権限の設定に係る情報を、ネットワークを介したサーバに保持することが可能であることを特徴とする請求項13乃至20のいずれか1項に記載のドキュメント管理方法。
【請求項22】
前記表示ステップでは、前記構成単位の内容だけでなく、印刷処理における出力用紙の内容を前記プレビュー画像として表示することを特徴とする請求項13乃至21のいずれか1項に記載のドキュメント管理方法。
【請求項23】
前記判定ステップで前記権限がないと判定された構成単位又は当該構成単位を含む前記出力用紙は、印刷処理ができないこと特徴とする請求項22に記載のドキュメント管理方法。
【請求項24】
前記設定ステップでは、前記権限の設定に加えて、前記ユーザにおける印刷体裁に係る設定を更に行い、
前記表示ステップでは、前記印刷体裁に係る設定に基づいて前記プレビュー画像の表示を行えることを特徴とする請求項13乃至23のいずれか1項に記載のドキュメント管理方法。
【請求項25】
複数の構成単位が定義されているドキュメントのプレビューを実行するドキュメント管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
前記ドキュメントを構成する各構成単位に対して、ユーザごとの権限の設定を行う設定ステップと、
前記ドキュメントの構成単位の内容をプレビュー画像として表示装置に表示する表示ステップと、
前記設定ステップにより権限を設定されたユーザの中から、前記プレビュー画像の表示を行うユーザを指定する指定ステップと、
前記構成単位ごとに、前記指定ステップで指定されたユーザが当該構成単位の内容を前記プレビュー画像として表示する権限を有するかを判定する判定ステップとを有し、
前記表示ステップでは、前記判定ステップで権限がないと判定された構成単位については、その表示を制限し、前記判定ステップで権限があると判定された構成単位については、その表示を制限せずに表示を行うことをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−310447(P2008−310447A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155674(P2007−155674)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】