説明

ナノワイヤー成長用システム及び方法

本発明はナノワイヤー成長用システム及び方法に関する。1態様では、1個以上の核生成粒子を堆積した基板材料を反応チャンバーに準備する段階と、基板材料の表面の洗浄を助長するエッチャントガスを第1の温度で反応チャンバーに導入する段階と、核生成粒子を少なくとも第1の前駆体ガスと接触させ、ナノワイヤー成長を開始する段階と、合金液滴を第2の温度まで加熱することにより、核生成粒子の部位にナノワイヤーを成長させる段階を含む、エピタキシャル垂直配向ナノワイヤー成長法を含むナノワイヤー成長及びドーピング方法を提供する。テーパーの小さいナノワイヤーを提供するために、ワイヤーの成長中にもエッチャントガスを反応チャンバーに導入することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願とのクロスリファレンス)
本願は米国仮特許出願第60/857,450号(出願日2006年11月7日)の出願日の優先権を主張し、その開示内容全体を本明細書に援用する。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明はナノワイヤーに関し、より詳細には改善型ナノワイヤー成長法に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノ構造、特にナノワイヤーは全く新世代の電子デバイスを促進する可能性がある。ナノ構造に基づくこの新世代電子デバイスの出現を阻む主要な障害は一貫した特性をもつナノワイヤー及び他のナノ構造を有効に成長させる能力にある。現在のナノワイヤー成長アプローチは大量生産が容易でなく、一般に一貫したナノワイヤー性能特性が得られない。
【0004】
一貫した性能特性をもつナノワイヤーを成長させるためのシステムと方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はテーパーが小さい等の均一特性をもつ垂直整列エピタキシャルナノワイヤー(例えばシリコンナノワイヤー)の製造方法として、1個以上の核生成粒子を堆積した基板材料を反応チャンバーに準備する段階と、基板材料の表面(及び核生成粒子)の洗浄を助長するエッチャントガスを第1の温度で反応チャンバーに導入する段階と、核生成粒子を少なくとも第1の前駆体ガスと接触させ、ナノワイヤー成長を開始する段階と、基板材料を第2の温度まで加熱することにより、核生成粒子の部位にナノワイヤーを成長させる段階を含む方法を提供する。本発明の方法で利用される基板材料は結晶質が好ましいが、非晶質でもよい。適切には、基板材料は多結晶又は単結晶の結晶質シリコンを含む。他の態様において、基板は非晶質SiO、Si又はアルミナとすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい1態様において、前駆体ガスはSiHを含むが、更にSi等の他の前駆体ガスも含むことができる。所定の適切な態様において、基板表面を洗浄するためにエッチャントガスを導入する第1の温度は前駆体ガスの存在下でナノワイヤー成長が生じる第2の温度よりも高い。適切には、第1の温度は第2の温度よりも少なくとも約100℃高くすることができ、例えば第2の温度よりも約200℃高くすることができ、例えば約800℃の温度とすることができる。他の態様において、基板表面を洗浄するためにエッチャントガスを導入する第1の温度は前駆体ガスの存在下でナノワイヤー成長が生じる第2の温度とほぼ同一とすることができる。例えば、第1の温度と第2の温度は約600℃とすることができる。本発明の実施に使用される核生成粒子は適切には金属触媒であり、第1の前駆体ガスと反応して共晶を形成し、そこからSiが析出し得るような金属を含む。適切な金属触媒はAu、Al、Pt、Fe、Ti、Ga、Ni、Sn又はInを含み、所定のこのような態様では、Auコロイド又はAu膜とすることができる。
【0007】
その後、例えば蒸気−液体−固体(VLS)成長法に基づく金属触媒化学蒸着法(CVD)により高品質単結晶シリコンナノワイヤーを成長させることができる。成長中に、前駆体ガス(例えばSiH)は核生成粒子触媒表面で分解し、Siが触媒中に拡散し、その後、過飽和が生じると、Si原子は触媒−基板界面に析出し、触媒核生成粒子と同等直径のシリコンナノワイヤーを形成する。
【0008】
結晶基板を利用する態様において、基板材料上に成長するワイヤーは好ましくは基板からエピタキシャル成長することができる。本発明の方法に従って製造されるナノワイヤーは軸方向に整列された垂直配向で基板材料の面から成長し、電荷を輸送することが可能である。本発明の方法によると、その長さに沿うテーパーが非常に小さく、例えばその長さに沿うテーパー率が約2nm/ミクロン未満、例えば約1.5nm/ミクロン未満、例えば約1.0nm/ミクロン未満、例えば約0.5nm/ミクロン未満、例えば約0.3nm/ミクロン未満のナノワイヤーが得られることが判明した。
【0009】
本発明の方法で利用される第1の前駆体ガスは適切にはSiH(又はSi)を含み、更にB、POCl又はPH等の1種類以上のドーパントガスを更に含むことができる。本発明の方法で利用される前駆体ガスは適切にはプラズマスパッタ堆積法により導入することができる。スパッタ堆積法は例えばダイオード、ラジオ周波数及び直流堆積法等の当業者に公知の任意方法により実施することができる。
【0010】
本発明の別の適切な態様では、このナノワイヤー成長法のボトムアップ可能性を完全に利用するために、相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイス作製に軸方向ドーパント変調等のin situドーピングが望ましい。例えば、VLS成長法は例えば(ワイヤーの全長ではなく)ワイヤーの所定部分のみ、例えばその末端にホウ素やリン等のドーパント種をドーピングできるようにドーパントを軸方向変調するのに好適である。例えば、ナノワイヤーを使用してトランジスタ等のCMOSデバイスを作製するために、所定の場合では、ワイヤーとの抵抗接触を改善するために電極とワイヤーを接触させるドープ末端をもつワイヤーを成長させることが望ましい。しかし、ジボランやホスフィン等のドーパントガスを導入すると、シランの熱分解速度が変化することが分かっている。実際に、ジボランはシランの熱分解速度を増加し、ホスフィンは低下させることが分かっている。従って、ジボランはワイヤーの成長中に実質的に触媒を介さずにワイヤー側壁にSi堆積を誘導し、その結果、ワイヤー成長中とドーパント取込み中にワイヤーに沿うテーパー率を著しく増加する可能性がある。
【0011】
従って、本発明の別の適切な態様では、ナノワイヤーの成長中及び/又はドーパント取込み中にも塩化水素等のエッチャントガスを反応チャンバーに導入することができる。HClはワイヤーの成長温度(例えば垂直配向エピタキシャルワイヤーでは約600℃)でワイヤーのエッチング速度が比較的低く、ワイヤー上にClの不動態層を形成し、Siの側壁形成を阻止することにより、ワイヤー均一性の良好な制御(例えばテーパーの小さいワイヤー)を可能にし、更に、ドーパントの側壁取込みを立体的に妨害し、垂直整列エピタキシャルワイヤーの軸方向変調電子ドーピングを可能にする。上記予備洗浄段階とワイヤー成長及び/又はドーパント取込み中の両者で塩化水素等のエッチャントガスを反応チャンバーに導入する態様では、成長中のワイヤーの過剰エッチングを最小限にするために、一般に予備洗浄段階中のHClの分圧(例えば約1.0Torr)はナノワイヤー成長プロセス中に反応チャンバーに導入されるHClの分圧(例えば約0.15Torr)よりも高い。
【0012】
別の例として、本発明の別の側面によると、本発明の教示は更に、異なる材料のセグメントを交互又は周期的に配置する場合や、セグメントの少なくとも2個を異なる材料から構成した多セグメントナノワイヤーの場合のように、ナノワイヤーの長さに沿って長手方向に異なる材料を配置したナノワイヤーの合成を可能にする。この1例として、隣接セグメントがSi、Ge及び/又はSiGe等の異なる化学組成をもつ場合が挙げられる。これらの異なるセグメントのナノワイヤー成長プロセス中にHClを使用すると、エッチング速度が非常に低くなり、Clの不動態層が形成され、SiHやGeHの側壁分解を阻止し、テーパーの非常に小さい垂直整列ヘテロ構造ナノワイヤーのSi/Ge及びSiGe1−x軸方向変調の制御の改善が得られる。当然のことながら、他の材料に異なる前駆体ガスを使用して異なる半導体材料(例えばPbSe)を使用する他の各種ナノワイヤー構造を成長させることもできる。
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の他の態様、特徴及び利点と、本発明の各種態様の構造及び作用について詳細に記載する。
【0014】
添付図面を参照しながら本発明を説明する。図面中、類似参照番号は同一又は機能的に同等の要素を示す。各要素を最初に示す図面を対応する参照番号の左端の数字により表す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1Aは単結晶半導体ナノワイヤーの模式図である。
【0016】
図1Bはコア−シェル構造に従ってドーピングしたナノワイヤーの模式図である。
【0017】
【図2】本発明の1態様に従ってHCl予備洗浄を使用したナノワイヤー製造方法の流れ図である。
【0018】
【図3】本発明の1態様に従ってナノワイヤー成長プロセス中にHCl予備洗浄段階とHClの導入を併用したナノワイヤー製造方法の流れ図である。
【0019】
【図4】図4A及び4Bは本発明の方法によるナノワイヤー成長プロセス中にHCl予備洗浄段階とHClの導入を併用して成長させた約0.2nm/ミクロンのテーパー率をもつ長さ21ミクロンのナノワイヤーの基部(4A)と対応する先端(4B)を示すTEMである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
当然のことながら、本明細書に明示及び記載する特定実施態様は本発明の例であり、如何なる点でも本発明の範囲を限定するものではない。実際に、分かりやすくするために、従来のエレクトロニクス、製造、半導体デバイス、並びにナノワイヤー(NW)、ナノロッド、ナノチューブ及びナノリボン技術や、システムの他の機能的側面(及びシステムの個々の機能コンポーネントの素子)については本明細書に詳細に記載しない場合がある。更に、分かりやすくするために、本明細書ではナノワイヤーに属するものとして本発明を記載することが多い。
【0021】
当然のことながら、ナノワイヤーについて言及することが多いが、本明細書に記載する技術はナノロッド、ナノチューブ、ナノテトラポッド、ナノリボン及び/又はその組み合わせ等の他のナノ構造にも適用可能である。更に当然のことながら、本明細書に記載する製造技術は任意半導体デバイス型及び他の電子コンポーネント型を作製するために使用することができる。更に、これらの技術は電気システム、光学システム、家庭用電化製品、産業的エレクトロニクス、ワイアレスシステム、宇宙用途、又は他の任意用途に適用するのに適している。
【0022】
本明細書で使用する「縦横比」とはナノ構造の第1の軸の長さをナノ構造の第2の軸と第3の軸の長さの平均で割った値であり、ここで第2の軸と第3の軸は相互にほぼ等しい長さの2本の軸である。例えば、完璧なロッドの縦横比はその長軸の長さを長軸に垂直(直角)な横断面の直径で割った値である。
【0023】
ナノ構造に関して使用する場合の「ヘテロ構造」なる用語は少なくとも2種類の異なる及び/又は区別可能な材料型により特徴付けられるナノ構造を意味する。一般に、ナノ構造の第1の領域は第1の材料型を含み、ナノ構造の第2の領域は第2の材料型を含む。所定態様において、ナノ構造は第1の材料のコアと、第2(又は第3等)の材料少なくとも1個のシェルを含み、異なる材料型は例えばナノワイヤーの長軸の周囲、分岐ナノ結晶のアームの長軸の周囲、又はナノ結晶の中心の周囲に径方向に分配されている。シェルはシェルとみなされる隣接材料又はヘテロ構造とみなされるナノ構造を完全に覆う必要はない。例えば、第2の材料の小さい島で覆われた第1の材料のコアにより特徴付けられるナノ結晶はヘテロ構造である。他の態様では、異なる材料型はナノ構造内の異なる位置に分配されている。例えば、材料型はナノワイヤーの主(長)軸又は分岐ナノ結晶の長軸もしくはアームに沿って分配することができる。ヘテロ構造内の各領域は完全に異なる材料を含むこともできるし、各材料は同一基材を含むこともできる。
【0024】
本明細書で使用する「ナノ構造」とは約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、又は約20nm未満の寸法の少なくとも1個の領域又は特徴的寸法をもつ構造である。一般に、前記領域又は特徴的寸法は構造の最短軸方向に沿って配置される。このような構造の例としては、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ結晶、ナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分岐テトラポッド(例えば無機デンドリマー)等が挙げられる。ナノ構造は材料特性が実質的に均一でもよいし、所定の態様では不均一でもよい(例えばヘテロ構造)。ナノ構造は例えば実質的結晶質、実質的単結晶質、多結晶質、非晶質、又はその組み合わせとすることができる。1側面において、ナノ構造の三次元の各々は約500nm未満、例えば約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、又は約20nm未満の寸法をもつ。
【0025】
本明細書で使用する「ナノワイヤー」なる用語は一般に少なくとも1個の横断面寸法が500nm未満、好ましくは100nm未満であり、縦横比(縦対横)が>10、好ましくは>50、より好ましくは>100である任意細長型導体又は半導体材料(又は本明細書に記載する他の材料)を意味する。
【0026】
本発明のナノワイヤーは材料特性が実質的に均一でもよいし、所定の態様では不均一でもよい(例えばナノワイヤーヘテロ構造)。ナノワイヤーは本質的に任意の適切な1種類以上の材料から作製することができ、例えば実質的結晶質、実質的単結晶質、多結晶質、又は非晶質とすることができる。ナノワイヤーは可変直径でもよいし、実質的に均一直径でもよく、即ち直径は最大変動度の領域と少なくとも5nm(例えば少なくとも10nm、少なくとも20nm、又は少なくとも50nm)の直線寸法にわたって約20%未満(例えば約10%未満、約5%未満、又は約1%未満)の分散を示す。一般に、直径はナノワイヤーの末端から(例えばナノワイヤーの中心20%、40%、50%又は80%にわたって)測定される。ナノワイヤーはその長軸の全長又はその一部にわたって直線状でもよいし、例えば湾曲又は屈曲状でもよい。所定態様において、ナノワイヤー又はその一部は二次元又は三次元量子閉じ込めを示すことができる。本発明によるナノワイヤーは特にカーボンナノチューブを除外する場合があり、所定態様では、「ウィスカー」又は「ナノウィスカー」、特に直径>100nm又は>約200nmのウィスカーを除外する。
【0027】
このようなナノワイヤーの例としては本明細書に援用する国際特許出願公開WO02/17362、WO02/48701及びWO01/03208に記載されているような半導体ナノワイヤー、カーボンナノチューブ、及び同等寸法の他の細長型導体又は半導体構造が挙げられる。
【0028】
本明細書で使用する「ナノロッド」なる用語は一般に縦横比(縦対横)がナノワイヤーよりも短い点以外はナノワイヤーと同様の任意細長型導体又は半導体材料(又は本明細書に記載する他の材料)を意味する。なお、結合したナノロッドが電極間に完全にまたがるように、2本以上のナノロッドをその長軸に沿って相互に結合してもよい。あるいは、2本以上のナノロッドを相互に結合しないが、2本以上のナノロッドの末端間に小間隙が存在するように、その長軸に沿って実質的に整列させてもよい。この場合には、電子はナノロッド間を飛び越して小間隙を横断することによりナノロッド間に流れることができる。電子を電極間で移動させることができる通路を形成するように、2本以上のナノロッドを実質的に整列させてもよい。
【0029】
ナノワイヤー、ナノロッド、ナノチューブ及びナノリボンの材料としては多種多様のものを使用することができ、例えばSi、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、B−C、B−P(BP)、B−Si、Si−C、Si−Ge、Si−Sn及びGe−Sn、SiC、BN/BP/BAs、AlN/AlP/AlAs/AlSb、GaN/GaP/GaAs/GaSb、InN/InP/InAs/InSb、ZnO/ZnS/ZnSe/ZnTe、CdS/CdSe/CdTe、HgS/HgSe/HgTe、BeS/BeSe/BeTe/MgS/MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、AgF、AgCl、AgBr、AgI、BeSiN、CaCN、ZnGeP、CdSnAs、ZnSnSb、CuGeP、CuSi、(Cu,Ag)(Al,Ga,In,Tl,Fe)(S,Se,Te)、Si、Ge、Al,(Al,Ga,In)(S,Se,Te)、AlCO、及び2種類以上のこのような半導体の適当な組み合わせから選択される半導体材料が挙げられる。
【0030】
ナノワイヤーは金、ニッケル、パラジウム、イリジウム、コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、錫等の金属、金属合金、ポリマー、導電性ポリマー、セラミック、及び/又はその組み合わせ等の他の材料から形成することもできる。他の現在公知又は今後開発される導体又は半導体材料も利用することができる。
【0031】
所定側面において、半導体は周期表のIII族からのp型ドーパント;周期表のV族からのn型ドーパント;B、Al及びInから構成される群から選択されるp型ドーパント;P、As及びSbから構成される群から選択されるn型ドーパント;周期表のII族からのp型ドーパント;Mg、Zn、Cd及びHgから構成される群から選択されるp型ドーパント;周期表のIV族からのp型ドーパント;C及びSiから構成される群から選択されるp型ドーパント;又はSi、Ge、Sn、S、Se及びTeから構成される群から選択されるn型ドーパントから構成される群からのドーパントを含むことができる。他の現在公知又は今後開発されるドーパント材料も利用することができる。
【0032】
更に、ナノワイヤー又はナノリボンとしては、カーボンナノチューブ又は導体もしくは半導体有機ポリマー材料(例えばペンタセン及び遷移金属酸化物)から形成されるナノチューブも挙げられる。
【0033】
従って、本明細書の記載の全体にわたって例証の目的で「ナノワイヤー」なる用語を使用するが、本明細書の記載はナノチューブ(例えば軸方向に貫通するように中空チューブを形成したナノワイヤー様構造)の使用も含むものとする。ナノチューブを単独又はナノワイヤーと組み合わせ、ナノワイヤーについて本明細書に記載するようにナノチューブの組み合わせ/薄膜として形成し、本明細書に記載する特性と利点を提供することができる。
【0034】
本明細書で使用する「テーパー率」なる用語はその底端部から測定した細長型ナノ構造(例えばナノワイヤー)の直径とその頂端部から測定したナノ構造の直径の差をナノ構造の長さで割った値である。
【0035】
当然のことながら、本明細書中の空間に関する記載(例えば「上」、「下」、「上方」、「下方」、「頂部」、「底部」等)は例証のみを目的とし、本発明のデバイスは任意向き又は方法で空間的に配置することができる。
【0036】
ナノワイヤーの種類とその合成
図1Aは単結晶半導体ナノワイヤーコア(以下、「ナノワイヤー」と言う)100を示す。図1Aは均一にドープした単結晶ナノワイヤーであるナノワイヤー100を示す。このような単結晶ナノワイヤーは相当制御された方法でp型又はn型半導体にドープすることができる。ナノワイヤー100のようなドープナノワイヤーは改善された電子的性質を示す。例えば、このようなナノワイヤーはバルク単結晶材料と同等のキャリア移動度レベルをもつようにドープすることができる。
【0037】
図1Bはコア−シェル構造をもつナノワイヤー110を示す。ナノワイヤーの不動態化アニーリング及び/又はコア−シェル構造とナノワイヤーの併用等によりナノワイヤーの外層を形成することにより、表面散乱を低減することができる。酸化物コーティング等の絶縁層をシェル層としてナノワイヤー上に形成することができる。更に、例えば、酸化物コーティングをもつシリコンナノワイヤーでは、水素(H)中でナノワイヤーをアニーリングすることにより表面状態を著しく低減することができる。所定態様では、以下の条件を満足するようにコア−シェル組み合わせを構成する:(1)導電性キャリアーがコア内に閉じ込められるように、シェルエネルギー準位をコアエネルギー準位よりも高くする;(2)コア材料とシェル材料は良好な格子一致度をもち、表面状態と表面電荷が少ない。単結晶半導体のコアと、ゲート誘電体の内側シェルと、絶縁ゲートの外側シェルを含むように、より複雑な他のNWコア−シェル構造を使用してもよい。これはTaAlN、WN又は高度にドープされたアモルファスシリコンの層を(上記)Si/SiOコア−シェル構造の周囲に例えば外側ゲートシェルとして堆積することにより実現することができる。
【0038】
p型ドープワイヤーでは絶縁シェルの価電子帯をコアの価電子帯よりも低くすることができ、あるいはn型ドープワイヤーではシェルの伝導帯をコアよりも高くすることができる。一般に、コアナノ構造は任意金属又は半導体材料から作製することができ、コアに堆積する1層以上のシェル層は同一又は異なる材料から作製することができる。例えば、第1のコア材料はII−VI族半導体、III−V族半導体、IV族半導体、及びその合金から構成される群から選択される第1の半導体を含むことができる。同様に、1層以上のシェル層の第2の材料は酸化物層、例えばII−VI族半導体、III−V族半導体、IV族半導体、及びその合金から構成される群から選択される第1の半導体と同一又は異なる第2の半導体を含むことができる。半導体の例としては限定されないが、CdSe、CdTe、InP、InAs、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgTe、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InSb、Si、Ge、AlAs、AlSb、PbSe、PbS及びPbTeが挙げられる。上記のように、金、クロム、錫、ニッケル、アルミニウム等の金属材料とその合金をコア材料として使用することができ、二酸化ケイ素や他の絶縁材料等の適当なシェル材料で金属コアを被覆することができ、更に上記材料の1層以上の付加的なシェル層で被覆し、より複雑なコア−シェル−シェルナノワイヤー構造を形成してもよい。
【0039】
各種材料に適応可能な多数の適切な方法の任意のものによりナノ構造を作製し、そのサイズを制御することができる。例えば、各種組成のナノ結晶の合成は例えばPengら(2000)“Shape Control of CdSe Nanocrystals”Nature 404,59−61;Puntesら(2001)“Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt”Science 291,2115−2117;USPN6,306,736,Alivisatosら(2001年10月23日)、発明の名称“Process for forming shaped group III−V semiconductor nanocrystals,and product formed using process”;USPN6,225,198,Alivisatosら(2001年5月1日)、発明の名称“Process for forming shaped group II−VI semiconductor nanocrystals,and product formed using process”;USPN5,505,928,Alivisatosら(1996年4月9日)、発明の名称“Preparation of III−V semiconductor nanocrystals”;USPN5,751,018,Alivisatosら(1998年5月12日)、発明の名称“Semiconductor nanocrystals covalently bound to solid inorganic surfaces using self−assembled monolayers”;USPN6,048,616,Gallagherら(2000年4月11日)、発明の名称“Encapsulated quantum sized doped semiconductor particles and method of manufacturing same”;及びUSPN5,990,479,Weissら(1999年11月23日)、発明の名称“Organo luminescent semiconductor nanocrystal probes for biological applications and process for making and using such probes”に記載されている。
【0040】
直径制御型ナノワイヤーを含む各種縦横比のナノワイヤーの成長は例えばGudiksenら(2000)“Diameter−selective synthesis of semiconductor nanowires”J.Am.Chem.Soc.122,8801−8802;Cuiら(2001)“Diameter−controlled synthesis of single−crystal silicon nanowires”Appl.Phys.Lett.78,2214−2216;Gudiksenら(2001)“Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowires”J.Phys.Chem.B 105,4062−4064;Moralesら(1998)“A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires”Science 279,208−211;Duanら(2000)“General synthesis of compound semiconductor nanowires”Adv.Mater.12,298−302;Cuiら(2000)“Doping and electrical transport in silicon nanowires”J.Phys.Chem.B 104.5213−5216;Pengら(2000)“Shape control of CdSe nanocrystals”Nature 404,59−61;Puntesら(2001)“Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt”Science 291,2115−2117;USPN6,306,736,Alivisatosら(2001年10月23日)、発明の名称“Process for forming shaped group III−V semiconductor nanocrystals,and product formed using process”;USPN6,225,198,Alivisatosら(2001年5月1日)、発明の名称“Process for forming shaped group II−VI semiconductor nanocrystals,and product formed using process”;USPN6,036,774,Lieberら(2000年3月14日)、発明の名称“Method of producing metal oxide nanorods”;USPN5,897,945,Lieberら(1999年4月27日)、発明の名称“Metal oxide nanorods”;USPN5,997,832,Lieberら(1999年12月7日)、発明の名称“Preparation of carbide nanorods”;Urbanら(2002)“Synthesis of single−crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate”J.Am.Chem.Soc,124,1186;及びYunら(2002)“Ferroelectric Properties of Individual Barium Titanate Nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy”Nanoletters 2,447に記載されている。
【0041】
分岐ナノワイヤー(例えばナノテトラポッド、トライポッド、バイポッド及び分岐テトラポッド)の成長は例えばJunら(2001)“Controlled synthesis of multi−armed CdS nanorod architectures using monosurfactant system”J.Am.Chem.Soc.123,5150−5151;及びMannaら(2000)“Synthesis of Soluble and Processable Rod−,Arrow−,Teardrop−,and Tetrapod−Shaped CdSe Nanocrvstals”J.Am.Chem.Soc.122,12700−12706に記載されている。
【0042】
ナノ粒子の合成は例えばUSPN5,690,807,Clark Jr.ら(1997年11月25日)、発明の名称“Method for producing semiconductor particles”;USPN6,136,156,El−Shallら(2000年10月24日)、発明の名称“Nanoparticles of silicon oxide alloys”;USPN6,413,489,Yingら(2002年7月2日)、発明の名称“Synthesis of nanometer−sized particles by reverse micelle mediated techniques”;及びLiuら(2001)“Sol−Gel Synthesis of Free−Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate Nanoparticles”J.Am.Chem.Soc.123,4344に記載されている。ナノ粒子の合成もナノ結晶、ナノワイヤー及び分岐ナノワイヤーの成長に関する上記文献に記載されており、得られるナノ構造は縦横比が約1.5未満である。
【0043】
コア−シェルナノ構造ヘテロ構造、即ちナノ結晶及びナノワイヤー(例えばナノロッド)コア−シェルヘテロ構造の合成は例えば米国特許第6,882,051号;Pengら(1997)“Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility”J.Am.Chem.Soc.119,7019−7029;Dabbousiら(1997)“(CdSe)ZnS core−shell quantum dots:Synthesis and characterization of a size series of highly luminescent nanocrysallites”J.Phys.Chem.B 101,9463−9475;Mannaら(2002)“Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal CdSe nanorods”J.Am.Chem.Soc.124,7136−7145;及びCaoら(2000)“Growth and properties of semiconductor core/shell nanocrystals with InAs cores”J.Am.Chem.Soc.122,9692−9702に記載されている。他のコア−シェルナノ構造の成長にも同様のアプローチを適用することができる。
【0044】
異なる材料がナノワイヤーの長軸に沿って異なる位置に分配されたナノワイヤーヘテロ構造の成長は例えば米国特許第6,882,051号;Gudiksenら(2002)“Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics”Nature 415,617−620;Bjorkら(2002)“One−dimensional steeplechase for electrons realized”Nano Letters 2,86−90;Wuら(2002)“Block−by−block growth of single−crystalline Si/SiGe superlattice nanowires”Nano Letters 2,83−86;及び米国特許第7,067,867号に記載されている。他のヘテロ構造の成長にも同様のアプローチを適用することができる。
【0045】
エッチャント予備洗浄段階を使用したエピタキシャル配向ナノワイヤー成長
シリコンナノワイヤー等の高品質単結晶ナノワイヤーは一般に金属触媒化学蒸着法(CVD)により成長させる。この蒸気−液体−固体(VLS)成長プロセス中には、金核生成粒子等のナノ寸法金属触媒を使用し、シラン(SiH)等の前駆体ガスの分解を触媒する。液体Au−Si合金が形成され、過飽和に達すると、シリコンが析出し、触媒粒子と同等直径のシリコンナノワイヤーを形成する。この方法の好ましいナノワイヤー成長方向は<111>、<110>及び<112>を含むことができる。
【0046】
多くの方法では、一貫した性能特性をもつトランジスタ等のデバイスを製造するために垂直整列ナノワイヤー成長が非常に望ましい。このような配向は適切な結晶構造をもつ単結晶基板(例えばSi(111)ウェーハ)上にエピタキシャル成長により実現することができる。エピタキシャル成長には核生成粒子(例えばAu粒子)と基板の間に清浄な界面が必要である。当分野で公知の通り、成長前にフッ化水素(HF)酸エッチングで天然酸化物(SiOx)を除去することができる。しかし、大半の場合には、金ナノ粒子から核生成した垂直配向シリコンナノワイヤーのエピタキシャル成長は低収率しか認められず、他の表面洗浄処理が必要である。
【0047】
更に、エピタキシャルシリコンナノワイヤー成長に必要な成長温度では触媒を介さずにシランの熱分解が生じ、シリコンの側壁成長を誘発し、テーパー状ナノワイヤーが形成される。ナノワイヤーの側壁に付加するシリコンは成長条件に応じてポリシリコン、アモルファスシリコン、及び/又はエピタキシャルシリコンの組み合わせとすることができる。エピタキシャルシリコン以外のシリコン形態はワイヤーの固有の電子的性質を損なう場合があるので望ましくない。一貫した性能特性をもつシリコンナノワイヤー等のナノワイヤーに基づくデバイスを製造するためには、テーパーの小さいこのようなワイヤーを成長できることが望ましい。
【0048】
図2は本発明の1態様による塩化水素予備洗浄段階を使用したナノワイヤーの製造方法200の流れ図である。方法200はステップ201から開始する。ステップ201では、核生成粒子を基板表面に堆積する前に、シリコンウェーハ等のウェーハの表面を先ずフッ化水素ガスエッチャントで不動態化し、天然酸化物(例えばSiOx)をウェーハ表面から除去する。ステップ202では、1個以上の核生成粒子、適切にはAuコロイド粒子等の金属触媒を基板材料に堆積し、ナノワイヤー成長用核生成部位を形成する。ステップ204に示すように、核生成粒子を基板に堆積後に、基板を反応チャンバーで第1の温度まで加熱し、エッチャントガス(例えば塩化水素ガス)を反応チャンバーに導入し、核生成粒子で被覆された基板表面を洗浄する。エッチャントガスは基板表面と基板表面上の核生成粒子の両者の洗浄を助長する。次に、206に示すように核生成粒子を(第1の温度と同等以下とすることができる)第2の温度まで加熱し、核生成粒子を第1の前駆体ガス(例えばシラン)と接触させ、合金液滴を形成してナノワイヤー成長を開始し、ステップ208に示すように所望サイズ及び配向に達するまで成長させる。
【0049】
適切な態様において、ナノワイヤーを成長させる基板材料は結晶基板である。「結晶基板」なる用語は一般に10オングストローム(Å)以上のオーダーの長い原子距離にわたって反復又は周期的アレイ状に配置された原子を含む任意基板材料を意味する。このような結晶基板は多結晶でも単結晶でもよい。適切には、本発明の方法で利用される結晶基板はシリコン(Si)である。他の適切な結晶材料としては限定されないが、ゲルマニウム(Ge)、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、サファイア、石英、及びシリコンゲルマニウム(SiGe)が挙げられる。本発明の他の態様において、基板材料は非晶質材料を含むことができる。本発明の実施に使用することができる適切な非晶質基板材料としては限定されないが、SiO、Si及びアルミナが挙げられる。
【0050】
図2に要約するように、所定態様において、本発明の方法は先ず核生成粒子を基板材料上に堆積する段階を含む。本発明の実施に使用することができる核生成粒子としては金属触媒が挙げられ、前駆体ガスと反応して共晶相を形成する任意金属とすることができる。このような混合物は全成分が溶解する最低融点をもつ。前駆体ガス分子(例えばシリコン)を加えると、共晶相図の飽和点に達し、半導体粒子(例えばSi)が金属合金から析出し始め、ナノワイヤーが成長し始める。前駆体ガスを連続添加すると、共晶が飽和し続け、ナノワイヤー成長用材料が更に生成される。
【0051】
適切な態様において、核生成粒子は金属触媒であり、周期表の遷移金属の任意のものから構成することができ、限定されないが、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、インジウム、鉄、ルテニウム、錫、オスミウム、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム及びガリウムとこれらの金属の1種類以上の混合物が挙げられる。本発明の好ましい態様において、金属触媒は金(Au)コロイド(即ちAuナノ粒子)又はAu膜を含むことができる。所定のこのような態様では、直径20〜150ナノメートル(nm)の金コロイドを使用することができる。目的は1平方マイクロメートル(μm)当たり粒子約0.14〜6個の密度で金ナノ粒子の均一な堆積を達成することである。要は金粒子クラスター形成を最小限にすることである。クラスターは望ましくない大直径のナノワイヤー成長につながる可能性がある。堆積にはスピーコーティング法と自己集合法を利用することができる(例えばその開示内容全体を本明細書に援用する米国特許第7,067,867号参照)。
【0052】
スピンコーティングはかなり簡単な方法である。前駆体コロイド中の金粒子濃度の変更、シリコンウェーハの表面化学成分の操作、及びスピン速度の変更により、堆積密度を制御することができる。スピンコーティングの欠点としては金コロイド溶液の利用効率が低いという点が挙げられる。妥当な場合には、製造段階でリサイクル工程を使用することができる。
【0053】
自己集合法は定着している化学反応をある程度まで使用する。シリコン酸化物をコーティングした4インチウェーハの表面を(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTES)又は(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(MPTES)で官能基化した後に、金コロイド溶液と接触させる。金粒子を表面に集合させる。2種類の化学成分の相違を比較し、接触時間と接触溶液中の金粒子濃度の制御により金粒子密度を制御する可能性を使用することができる。
【0054】
表面の金膜コーティング層を加熱することにより、本発明を実施するために使用される核生成粒子を基板表面に形成することもできる。
【0055】
1態様において、本発明は1)ガスがその遊離成分原子に解離し、2)核生成粒子(例えば金属触媒)が融解して液体になる温度まで第1の前駆体ガスを加熱する段階を含む。その後、遊離ガス分子は金属触媒中に拡散し、合金液滴を形成することができる。この方法は化学蒸着法(CVD)として当業者に一般に知られている。
【0056】
本発明の適切な態様において、第1の前駆体ガスは限定されないが、SiH又はSiから選択することができる。熱エネルギーが気体分子間の結合エネルギーを切断するために十分となる温度よりも高温にこれらのSi前駆体ガスを加熱し、遊離Si原子を生成する(例えばSi−H結合:93kcal/mole,Si−Cl結合:110kcal/mole,Si−Si結合;77kcal/mole,M.T.Swihart and R.W.Carr,J.Phys Chem A 702:1542−1549(1998)参照)。この温度が金属触媒を液化するためにも十分高いならば、遊離Si原子は金属中に拡散し、共晶相を生成する。SiとSiHの解離温度は夫々約300℃〜500℃であり、約600℃で成長が生じて垂直配向エピタキシャルワイヤーを製造することが好ましい。
【0057】
本発明の全態様において、ナノワイヤー成長法のいずれかの間に使用される前駆体ガスは更に1種類以上のドーピングガスを含むことができる。本発明の実施に使用することができる適切なドーピングガスの例としては限定されないが、B、POCl及びPHが挙げられる。ワイヤーの多くの用途では、相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイス作製にin situドーピングが必要である。本発明の適切な態様では、前駆体ガス混合物の各々で同一のドーピングガスを使用してワイヤーを成長させることができる。このような態様では、得られるワイヤー全体はドーパントの選択に応じてp型又はn型となる。本発明の他の態様では、プロセス全体を通して異なるドーピングガスを前駆体ガスの成分として導入することができる。例えば、n型ドーパント(例えばP、As又はSb)を含む前駆体ガスを使用してワイヤー成長を開始した後に、p型ドーパント(例えばB、Al又はIn)を使用する前駆体ガスを使用して成長を続ける。他の態様では、開始中にp型ドーピングガスを使用した後に、成長中にn型ドーピングガスを使用する。
【0058】
他の態様では、例えばワイヤーの軸方向変調ドーピングのために前駆体ガスを交換するに伴い、ドーピングガスの種類を成長中に複数回交換することができる。従って、得られるナノワイヤーはその全長にわたって数種類の異なるドーパント部分を含むことができる。例えば、本発明により製造されるナノワイヤーはソース電極との電気接触を行うことができるn型基部と、p型中間部と、ドレイン電気と電気接触を行うことができるn型頂部、又は当業者に想定されるような適切な任意組み合わせを含むことができる。本発明のこのような態様では、n型ワイヤーをp型基板上に成長させることもできるし、p型ワイヤーをn型基板上に成長させることもできる。
【0059】
上記のように、VLS成長法は例えば(ワイヤーの全長ではなく)ワイヤーの所定部分のみ、例えばその末端にホウ素等のドーパント種をドーピングできるようにドーパントを軸方向変調するのに好適である。本発明の1態様において、例えば第1の前駆体ガスはSiHと適切にはH、He、Ar又は他の不活性ガス等のキャリヤーガスを含むことができる。このガス混合物を十分高温、例えば約600℃まで加熱し、遊離Si原子を生成する。適切なこのような態様では、第1の前駆体ガスは本明細書の全体にわたって記載するものから選択される1種類以上のドーパントガスを含むことができる。B等のドーパントガスが前駆体ガス混合物中に存在する場合には、B原子も生成する。基板材料上に堆積された核生成粒子、適切には金属−触媒粒子(例えば金ナノ粒子)を約600℃の温度まで加熱しながら第1の前駆体ガス混合物を約5〜約50Torrの全圧で核生成粒子上に流す。本発明の他の態様では、ガス圧を増減させ、前駆体ガス混合物を解離させるために必要な温度を調節してもよい。
【0060】
SiとBは金属触媒中に拡散し、合金液滴を生成する。前駆体ガスは金属触媒中に溶媒和されているので、金属触媒と前駆体ガスのこの共晶相は存在し続ける。過飽和に達すると、Si/B原子が析出し、ナノワイヤー成長を開始する。ナノワイヤー成長を続けるためには、Si前駆体ガスとドーピングガスの連続供給が必要である。しかし、ジボランやホスフィン等のドーパントガスを導入すると、シランの熱分解速度が変化することが分かっている。実際に、ジボランはシランの熱分解速度を増加し、ホスフィンは低下させることが分かっている。従って、ジボランはワイヤーの成長中に実質的に触媒を介さずにワイヤー側壁にシリコン成長を誘導し、その結果、ワイヤー成長中とドーパント取込み中にワイヤーに沿うテーパー率を著しく増加する可能性がある。
【0061】
従って、図3に示すような本発明の別の適切な態様では、ナノワイヤーの成長中及び/又はドーパント取込み中にも塩化水素等のエッチャントガスを反応チャンバーに導入することができる。図3のステップ301、302、304、306及び308は図2の対応するステップ201、202、204、206及び208と同一である。図3は更にワイヤー成長プロセス306中にHCL等のエッチャントガスを添加する付加的なステップ310を含む。
【0062】
HClはワイヤーの成長温度(例えば約600℃)でワイヤーのエッチング速度が比較的低い。垂直整列エピタキシャルシリコンナノワイヤーを成長させるために必要な約600℃の成長温度範囲では、HClによるシリコンエッチング速度は比較的低く、シリコンナノワイヤーの表面をClとHの1層以上の単層で被覆できることが分かった。このような不動態層はシリコンの側壁堆積を最小限にするのに役立ち、テーパーの小さいワイヤーを形成し、更にナノワイヤー側壁へのホウ素(又は他のドーパントガス)の格子取込みを立体的に妨害し、(あまり望ましくない側壁ドーパント取込みに対して)軸方向ドーパント取込みを促進することができる。図2で上述した予備洗浄段階とワイヤー成長及び/又はドーパント取込み中の両者で塩化水素等のエッチャントガスを反応チャンバーに導入する態様では、成長中のワイヤーの過剰エッチングを最小限にするために、一般に予備洗浄段階中のHClの分圧(例えば約1.0Torr)はナノワイヤー成長プロセス中に反応チャンバーに導入されるHClの分圧(例えば約0.15Torr)よりも高い。
【0063】
前駆体ガスを連続的に供給すると、要求による終了又は局所条件変化に起因する終了までナノワイヤーを成長させ続けることができる。ナノワイヤーの品質は金ナノ粒子の品質、エッチャントガス濃度、基板上の金ナノ粒子分布の制御及び成長条件(温度、ドーパントと前駆体ガスの比、前駆体ガスの分圧、及び反応器中の前駆体ガスの滞留時間を含む)に依存する。本発明の方法によると、その長さに沿うテーパーが非常に小さく、例えばテーパー率が約2nm/ミクロン未満、例えば約1nm/ミクロン未満、例えば約0.5nm/ミクロン未満、例えば約0.3nm/ミクロン未満のナノワイヤーが得られることが判明した。本発明の適切な態様では、コンピュータ制御下の8”半導体炉を使用して本発明の方法を実施することができる。図4A及び4Bは本発明の方法によるナノワイヤー成長プロセス中にHCl予備洗浄段階とHClの導入を併用して成長させた約0.2nm/ミクロンのテーパー率をもつ長さ21ミクロンのナノワイヤーの基部(4A)と対応する先端(4B)を示すTEMである。
【0064】
本発明の教示を使用してシリコン/ゲルマニウムナノワイヤー等の高品質単結晶ナノワイヤーヘテロ構造を成長させることもできる。このようなワイヤーは一般に蒸気−液体−固体(VLS)成長法に基づく金属触媒化学蒸着法(CVD)により成長させる。成長中に、プロセスガス(例えばSiHやGeH)は触媒表面で分解し、Si(Ge)が触媒中に拡散した後、過飽和が生じると、シリコン(ゲルマニウム)は触媒−基板界面に析出し、触媒と同等直径のシリコン/ゲルマニウムナノワイヤーを形成する。SiとGeの主な相違は垂直整列エピタキシャルゲルマニウムナノワイヤーのほうがシリコンナノワイヤーよりも約200℃低い温度で成長させることができるという点である。このため、Si/Ge及びSiGe1−x軸方向変調構造を成長させる場合には、触媒を介さずにGeHが熱分解し、側壁成長を誘発し、シリコンナノワイヤー成長に必要な温度でテーパー状ナノワイヤーを生じるという問題が起きる可能性がある。ナノワイヤーの側壁にゲルマニウムを付加すると、半径方向と軸方向の組成変調を生じるので望ましくない。この結果、この組成変調ワイヤーの電子的性質が悪化すると思われる。
【0065】
このVLS成長技術はSiH(GeH)を断続的に導入及び停止して軸方向変調成長を生じることにより遷移を制御するSi及びGeの軸方向変調に好適である。本発明の教示によると、前駆体ガス種の側壁成長なしに垂直方向のナノワイヤーの軸方向Si/Ge及びSiGe1−x変調を可能にするように、Si/Geナノワイヤーの成長中に制御量のHClを提供することができる。垂直整列エピタキシャルシリコンナノワイヤーを成長させるために必要な成長温度範囲(例えば約600℃)では、シリコンのエッチング速度が非常に低く、Si/Geナノワイヤーの表面はClとHの単層で覆われる。このような不動態層はシラン(及び/又はゲルマニウムガス)の側壁分解を防ぐ。このため、先に成長したナノワイヤーのセグントにSiGe1−xの別の固体組成物が側壁堆積するのを防ぐ。その結果、別の望ましくない組成の材料によりナノワイヤーが径方向に覆われずに制御された軸方向変調が可能になる。
【0066】
適切な態様において、本発明の方法のいずれかで導入される前駆体ガスはプラズマスパッタ堆積法:Plasma Enhanced Sputter Deposition(ないしプラズマ化学蒸着法:Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition(PECVD))により導入することができる。(Hofmannら,“Gold Catalyzed Growth of Silicon Nanowires by Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition,”J.Appl.Phys.94:6005−6012(2003)参照。)本発明のこれらの所定態様のシリコンナノワイヤーの直径分布は核生成粒子、例えば金属(適切には金)ナノ粒子の直径分布により決定される。市販金コロイドは±10%の直径分布をもつことができる。同一分布をナノワイヤーで達成することができる。成長条件によっては、金ナノ粒子が更に小さい粒子に分割し、より直径の小さいナノワイヤーとなる可能性がある。この状況を最小限にするように成長条件を最適化することができる。所定の成長条件では、成長時間を変えることによりナノワイヤーの長さを制御することができる。シリコンナノワイヤーの結晶度とドーパント濃度も成長条件に依存する。他の重要なナノワイヤー特性と共にこれらを最適化し、制御することができる。
【0067】
本発明の方法のいずれかに従って製造されるナノワイヤーは基板材料の面から成長すると適切である。このような成長は基板に対して任意角度で基板材料の面から突出するナノワイヤーを含む。例えば、ナノワイヤーは基板材料の面に対して約1°〜約90°、及びこれらの値の間の任意角度で成長することができる。本発明の要件の1つは、本明細書に記載する方法により製造されるナノワイヤーが基板の面から突出するという点である。即ち、本発明により製造されるナノワイヤーは単分子の寸法よりも長い距離だけ基板材料の面から突出する必要がある。従って、薄膜や量子ドット等の構造は例えばSi分子1個の原子直径を上回る距離だけ基板の面から突出するように成長するのではなく基板材料の表面に広がるが、本発明により製造されるナノワイヤーはこれらの構造と区別される。
【0068】
適切には、本発明の方法のいずれかに従って製造されるナノワイヤーは約100nm〜約50μm未満、例えば約15μm〜約25μmの最終長を達成するように基板材料の面から突出する。本発明のナノワイヤーは適切には少なくとも約1nm〜約1μm未満の直径とする。電子デバイスで使用するには、本発明のナノワイヤーは電子デバイスで回収及び利用できるように、約数nm〜100nmの直径とする(ナノワイヤー回収の記載については、例えば本明細書に援用する米国出願第60/754,520号、出願日2005年12月29日参照)。
【0069】
本発明の適切な態様において、(多結晶であるか単結晶であるかを問わずに)結晶基板上に成長する場合のナノワイヤーはエピタキシャル成長することが好ましい。しかし、本発明はナノワイヤーがエピタキシャル配向で成長しない結晶基板上の成長も具現する。本明細書でナノワイヤーの成長に関して使用するエピタキシャルなる用語はナノワイヤーが成長している基板材料と同一の結晶特性をもつことを意味する。例えば、基板材料の配向は限定されないが、<111>、<110>、<100>及び<211>等の当業者に公知の任意結晶配向とすることができる。従って、適切な態様において、本発明により製造されるナノワイヤーは任意結晶配向に成長させることができ、基板材料と同一配向が適切であり、本明細書の全体にわたって記載する当業者に公知の配向が挙げられる。
【0070】
本発明の他の適切な態様では、基板材料の結晶面は0°水平面から軸をずらすことができる。このような基板材料の表面に成長するナノワイヤーはワイヤーが結晶面に対して垂直(即ち結晶面に対して90°)となるような角度で基板材料から突出させることができ、又は0°水平面に対して垂直となるように結晶面に対して軸をずらすことができる。
【0071】
非晶質基板を利用する本発明の態様において、非晶質材料は結晶配向を含まないので、本発明の方法により製造されるナノワイヤーはエピタキシャル成長しない。しかし、上述したように、このような基板上に成長させたナノワイヤーは水平面に対して任意角度で基板の面から突出することができる。
【0072】
本発明の方法は空間内の2点間で電子を輸送し、従って、電荷を移送するように機能することができるナノワイヤーを製造する。このように、本発明のナノワイヤーは更にナノドットから区別され、そのサイズと配向において半導体膜から区別される。
【0073】
本発明は更に、本発明の方法のいずれかにより製造されたナノワイヤーを含む電子回路を提供する。適切には、本発明の方法に従って製造されたナノワイヤー集団は高性能エレクトロニクス用の有用な構成要素である。実質的に同一方向に配向されたナノワイヤー集団は高い移動度値をもつ。更に、ナノワイヤーは廉価に製造できるように柔軟に溶液加工することができる。ナノワイヤー集団を溶液から任意型の基板上に容易に集合させ、ナノワイヤー薄膜を得ることができる。例えば、高性能エレクトロニクス用として2本、5本、10本、100本及びこれらの数値の間又はそれ以上の他の任意数のナノワイヤーを含むように、半導体デバイスで使用されるナノワイヤー薄膜を形成することができる。
【0074】
本発明のナノワイヤーは任意型の基板に柔軟にスピンキャストすることが可能な有機半導体材料等のポリマー/材料と併用し、高性能複合材料を製造することもできる。ナノワイヤー/ポリマー複合材料は純ポリマー材料に勝る特性を提供することができる。
【0075】
本発明のナノワイヤー集団又は薄膜は相互に実質的に平行に整列させてもよいし、非整列又はランダム状態のままでもよい。ナノワイヤーの非整列集団又は薄膜は一般に1〜10cm/V.sの範囲の移動度値をもつポリシリコン材料と同等以上の電子的性質を提供する。
【0076】
本発明のナノワイヤーの整列薄膜は種々の方法で得ることができる。例えば、ナノワイヤーの整列薄膜は以下の技術を使用することにより作製することができる:(a)ラングミュアー・ブロジェット膜整列;(b)その開示内容全体を本明細書に援用する米国特許第6,872,645号に記載されているような流体流アプローチ;(c)機械的剪断力の適用;及び(d)米国特許出願Nanosys代理人整理番号01−008200に記載されているような直流電場の使用。これらの技術を使用した後に、形成されたナノワイヤーの薄膜に所望ポリマーをスピンコートすることにより、ナノワイヤーの整列薄膜/ポリマー複合材料を得ることができる。例えば、ナノワイヤーをポリマー溶液中で堆積した後に、上記又は他の整列法に従って整列を実施し、その後、整列したナノワイヤーを硬化(例えばUV硬化、架橋等)させることができる。ナノワイヤーのランダムに配向された薄膜/ポリマー複合材料を機械的に延伸することによりナノワイヤーの整列薄膜/ポリマー複合材料を得ることもできる。
【0077】
本発明の方法により製造されるpドープナノワイヤーとnドープナノワイヤーを別々に作製し、マクロ電子基板等の表面に均質混合物として堆積することができる。マクロレベルでは、得られる材料はnドーパントとpドーパントの両者を高濃度で含有しているように見える。pドープナノワイヤーとnドープナノワイヤーのこのような混合物を形成することにより、n型とp型の両方にドープされているかのように応答するマクロ電子デバイスを作製することができる。例えば、nドープナノワイヤーとpドープナノワイヤーの両方を含むナノワイヤーの薄膜はnドープナノワイヤーとpドープナノワイヤーの両方特性を示すことができる。例えば、pドープナノワイヤーとnドープナノワイヤーの組み合わせを含むようにダイオード、トランジスタ及び他の公知電気デバイスを作製することができる。
【0078】
本発明の方法により製造されたナノワイヤーは本明細書に記載するようなナノワイヤーヘテロ構造を使用してp−nダイオード、トランジスタ及び他の電気デバイス種等の電気デバイスを製造するために使用することもできる。ナノワイヤーヘテロ構造はナノワイヤーの長さに沿って複数のp−n接合を含み、異なる型にドープされた部分又はセグメントをその長さに沿って交互に含むことができる。
【0079】
典型的デバイス及び用途における本発明のナノワイヤーの使用
本発明の方法により製造されたナノワイヤーの薄膜を組込んだ半導体又は他の型のデバイスは多数の電子デバイス及びシステムに搭載することができる。本発明のいくつかの典型的な用途を以下又は本明細書の他の箇所に例証の目的で記載するが、これらに限定するものではない。本明細書に記載する用途としてはナノワイヤーの整列又は非整列薄膜と、ナノワイヤーの複合又は非複合薄膜が挙げられる。
【0080】
半導体デバイス(又は他の型のデバイス)は他の電子回路のシグナルと結合することができ、及び/又は他の電子回路を集積することができる。半導体デバイスを大型基板上に形成した後に、より小さい基板に分離又は分割することができる。更に、大型基板(即ち従来の半導体ウェーハよりも実質的に大きい基板)上で形成した半導体を相互に接続することができる。
【0081】
本発明の方法により製造されたナノワイヤーは1個から複数までの半導体デバイスを必要とする用途に利用することもできる。例えば、本発明の方法により製造されたナノワイヤーは複数の半導体デバイスをその上に形成する大面積マクロ電子基板に特に適用可能である。このような電子デバイスとしては、アクティブマトリクス液晶ディスプレイ(LCD)、有機LEDディスプレイ、及び電場発光ディスプレイ用のディスプレイ駆動回路が挙げられる。ナノワイヤー−ポリマー、量子ドット−ポリマー複合材料から他のアクティブディスプレイを形成することもできる(複合材料はエミッタとアクティブ駆動マトリクスを兼用することができる)。本発明の方法により製造されたナノワイヤーはスマートライブラリ、クレジットカード、大面積アレイセンサー、及びラジオ周波数識別(RFID)タグ(スマートカード、スマート棚卸票等)にも適用可能である。
【0082】
本発明の方法により製造されたナノワイヤーはデジタル及びアナログ回路用途にも適用可能である。特に、本発明の方法により製造されたナノワイヤーは大面積基板上に超大規模集積を必要とする用途に有用である。例えば、本発明の方法により製造されたナノワイヤーの薄膜を論理回路、記憶回路、プロセッサ、増幅器、並びに他のデジタル及びアナログ回路に実装することができる。
【0083】
本発明の方法により製造されたナノワイヤーは光起電力用途に適用することもできる。このような用途では、透明導体基板を使用して特定光起電力デバイスの光起電力特性を強化する。例えば、インジウム・スズ酸化物(ITO)等に代用する柔軟な大面積基板としてこのような透明導体基板を使用することができる。バンドギャップが大きく、即ち可視光よりも大きくなるようにナノワイヤーの薄膜を形成して基板を覆い、非吸収性でありながら、その頂部に形成される光起電力デバイスの活性材料とHOMO又はLUMOバンドを整列させるように基板を形成することができる。光起電力デバイスから電流を運び出すように吸収性光起電力材料の両側に透明導体を配置することができる。光起電力材料HOMOバンドに整列されたHOMOと、光起電力材料のLUMOバンドに整列されたLUMOの2種類の異なるナノワイヤー材料を選択することができる。2種類のナノワイヤー材料のバンドギャップは光起電力材料のバンドギャップよりも著しく大きくなるように選択することができる。この態様によるナノワイヤーは基板をほぼ非吸収性に維持しながら、ナノワイヤー薄膜の抵抗を下げるように軽くドープすることができる。
【0084】
従って、本発明の方法により製造されたナノワイヤーは多様な軍需品又は民需品に実装することができる。例えば、このような製品としてはパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバー、ネットワークデバイス、ハンドヘルド電子デバイス(例えばPDA及びパームパイロット)、電話機(例えば携帯又は固定電話機)、ラジオ、テレビ、テレビゲーム及びゲームシステム、家庭用防犯システム、自動車、航空機、船舶、他の家庭用及び商業用器具等が挙げられる。
【0085】
結論
以上、本発明の典型的態様について記載した。本発明はこれらの例に限定されない。これらの例は限定の目的ではなく、例証の目的で本明細書に記載した。本明細書に含まれる教示に基づいて代替態様(本明細書の記載と等価、拡張、変形、誘導等)が当業者に想到されよう。このような代替態様も本発明の範囲と精神に含まれる。
【0086】
本明細書に言及する全刊行物、特許及び特許出願は本発明が属する分野の当業者の水準を示すものであり、具体的に個々に各刊行物、特許及び特許出願を援用すると記載しているものとして本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/857,450号
【特許文献2】WO02/17362
【特許文献3】WO02/48701
【特許文献4】WO01/03208
【特許文献5】USPN6,306,736
【特許文献6】USPN6,225,198
【特許文献7】USPN5,505,928
【特許文献8】USPN5,751,018
【特許文献9】USPN6,048,616
【特許文献10】USPN5,990,479
【特許文献11】USPN6,036,774
【特許文献12】USPN5,897,945
【特許文献13】USPN5,997,832
【特許文献14】USPN5,690,807
【特許文献15】USPN6,136,156
【特許文献16】USPN6,413,489
【特許文献17】米国特許第6,882,051号
【特許文献18】米国特許第7,067,867号
【特許文献19】米国出願第60/754,520号
【特許文献20】米国特許第6,872,645号
【非特許文献】
【0088】
【非特許文献1】Pengら(2000)“Shape Control of CdSe Nanocrystals”Nature 404,59−61
【非特許文献2】Puntesら(2001)“Colloidal nanocrystal shape and size control:The case of cobalt”Science 291,2115−2117
【非特許文献3】Gudiksenら(2000)“Diameter−selective synthesis of semiconductor nanowires”J.Am.Chem.Soc.122,8801−8802
【非特許文献4】Cuiら(2001)“Diameter−controlled synthesis of single−crystal silicon nanowires”Appl.Phys.Lett.78,2214−2216
【非特許文献5】Gudiksenら(2001)“Synthetic control of the diameter and length of single crystal semiconductor nanowires”J.Phys.Chem.B 105,4062−4064
【非特許文献6】Moralesら(1998)“A laser ablation method for the synthesis of crystalline semiconductor nanowires”Science 279,208−211
【非特許文献7】Duanら(2000)“General synthesis of compound semiconductor nanowires”Adv.Mater.12,298−302
【非特許文献8】Cuiら(2000)“Doping and electrical transport in silicon nanowires”J.Phys.Chem.B 104.5213−5216
【非特許文献9】Urbanら(2002)“Synthesis of single−crystalline perovskite nanowires composed of barium titanate and strontium titanate”J.Am.Chem.Soc,124,1186
【非特許文献10】Yunら(2002)“Ferroelectric Properties of Individual Barium Titanate Nanowires Investigated by Scanned Probe Microscopy”Nanoletters 2,447
【非特許文献11】Junら(2001)“Controlled synthesis of multi−armed CdS nanorod architectures using monosurfactant system”J.Am.Chem.Soc.123,5150−5151
【非特許文献12】Mannaら(2000)“Synthesis of Soluble and Processable Rod−,Arrow−,Teardrop−,and Tetrapod−Shaped CdSe Nanocrvstals”J.Am.Chem.Soc.122,12700−12706
【非特許文献13】Liuら(2001)“Sol−Gel Synthesis of Free−Standing Ferroelectric Lead Zirconate Titanate Nanoparticles”J.Am.Chem.Soc.123,4344
【非特許文献14】Pengら(1997)“Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS core/shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility”J.Am.Chem.Soc.119,7019−7029
【非特許文献15】Dabbousiら(1997)“(CdSe)ZnS core−shell quantum dots:Synthesis and characterization of a size series of highly luminescent nanocrysallites”J.Phys.Chem.B 101,9463−9475
【非特許文献16】Mannaら(2002)“Epitaxial growth and photochemical annealing of graded CdS/ZnS shells on colloidal CdSe nanorods”J.Am.Chem.Soc.124,7136−7145
【非特許文献17】Caoら(2000)“Growth and properties of semiconductor core/shell nanocrystals with InAs cores”J.Am.Chem.Soc.122,9692−9702
【非特許文献18】Gudiksenら(2002)“Growth of nanowire superlattice structures for nanoscale photonics and electronics”Nature 415,617−620
【非特許文献19】Bjorkら(2002)“One−dimensional steeplechase for electrons realized”Nano Letters 2,86−90
【非特許文献20】Wuら(2002)“Block−by−block growth of single−crystalline Si/SiGe superlattice nanowires”Nano Letters 2,83−86
【非特許文献21】M.T.Swihart and R.W.Carr,J.Phys Chem A 702:1542−1549(1998)
【非特許文献22】Hofmannら,“Gold Catalyzed Growth of Silicon Nanowires by Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition,”J.Appl.Phys.94:6005−6012(2003)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1個以上の核生成粒子を堆積した基板材料を反応チャンバーに準備する段階と;
(b)基板材料の表面の洗浄を助長するエッチャントガスを第1の温度で反応チャンバーに導入する段階と;
(c)核生成粒子を少なくとも第1の前駆体ガスと接触させ、ナノワイヤー成長を開始する段階と;
(d)基板材料を第2の温度まで加熱することにより、核生成粒子の部位にナノワイヤーを成長させる段階を含むナノワイヤーの製造方法。
【請求項2】
前駆体ガスがSiH又はSiを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階(b)における前記導入が約800℃の温度で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
段階(b)における前記導入が約600℃の温度で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の温度が前記第2の温度よりも高い請求項3に記載の方法。
【請求項6】
第2の温度が約600℃〜700℃である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第2の温度が約600℃である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の温度が前記第2の温度とほぼ同一である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2の温度が約600℃である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
エッチャントガスが塩化水素(HCl)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
段階(b)において約1Torrの分圧で前記塩化水素を反応チャンバーに導入する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
段階(c)及び/又は段階(d)中に塩化水素ガスを反応チャンバーに導入する段階を更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
段階(c)及び/又は段階(d)において約0.15Torrの分圧で前記塩化水素を反応チャンバーに導入する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
段階(c)及び/又は段階(d)中に1種類以上のドーパントガスを反応チャンバーに導入する段階を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
段階(c)及び/又は段階(d)中に少なくとも1種類のドーパントガスを反応チャンバーに導入し、ナノワイヤーの末端の1個以上をドーピングする段階を更に含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種類のドーパントガスがホウ素含有ガスを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
段階(c)を実施する前に段階(b)を実施する請求項1に記載の方法。
【請求項18】
1個以上の核生成粒子を含む基板を準備する段階がAu、Al、Pt、Fe、Ti、Ga、Ni、Sn又はInを含む複数の核生成粒子を基板上に堆積する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
核生成粒子が金属コロイドを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
金属コロイドがAuコロイドを含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1個以上の核生成粒子を含む基板を準備する段階が金属膜を基板上に堆積する段階を含む請求項1に記載の方法。
【請求項22】
金属膜が金膜を含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法により製造されたナノワイヤー。
【請求項24】
請求項1に記載の方法により製造され、ナノワイヤーの長さに沿うテーパー率が約2nm/ミクロン未満であるナノワイヤー。
【請求項25】
請求項1に記載の方法により製造され、ナノワイヤーの長さに沿うテーパー率が約1nm/ミクロン未満であるナノワイヤー。
【請求項26】
請求項1に記載の方法により製造され、ナノワイヤーの長さに沿うテーパー率が約0.5nm/ミクロン未満であるナノワイヤー。
【請求項27】
請求項1に記載の方法により製造されたナノワイヤーを含む電子回路。
【請求項28】
各々ナノワイヤーの長さに沿うテーパー率が約2nm/ミクロン未満である少なくとも4本の半導体ナノワイヤーの集合。
【請求項29】
ナノワイヤーの各々の長さに沿うテーパー率が約1nm/ミクロン未満である請求項28に記載の半導体ナノワイヤーの集合。
【請求項30】
ナノワイヤーの各々の長さに沿うテーパー率が約0.5nm/ミクロン未満である請求項29に記載の半導体ナノワイヤーの集合。
【請求項31】
ナノワイヤーの各々の長さに沿うテーパー率が約0.3nm/ミクロン未満である請求項30に記載の半導体ナノワイヤーの集合。
【請求項32】
ナノワイヤーがシリコンを含む請求項30に記載の半導体ナノワイヤーの集合。
【請求項33】
ナノワイヤーがシリコンとゲルマニウムを含む請求項30に記載の半導体ナノワイヤーの集合。
【請求項34】
ナノワイヤーがシリコンから形成されたコアと、コアの周囲に配置され、酸化物から形成された1層以上のシェル層を含む請求項32に記載の半導体ナノワイヤーの集合。
【請求項35】
ナノワイヤーがシリコンを含む第1の長手方向セグメントと、第1のセグメントから長手方向に離間して配置され、ゲルマニウムを含む少なくとも1個以上の第2の長手方向セグメントを含む請求項32に記載の半導体ナノワイヤーの集合。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−509171(P2010−509171A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536280(P2009−536280)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/023434
【国際公開番号】WO2008/057558
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(505082822)ナノシス・インク. (32)
【Fターム(参考)】